JP2023134560A - 含硫黄シラン化合物およびその組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機高分子材料と無機材料との分散不良や混合不良等が生じることがなく、優れた粘弾性特性若しくは接着特性を発揮する架橋物を得るための含硫黄シラン化合物、またはそれを含有する組成物の提供。【解決手段】例えば、式(1'')で表される、含硫黄シラン化合物。TIFF2023134560000114.tif55169(y’は1~5の整数)【選択図】なし

Description

本発明は、含硫黄シラン化合物およびそれを含んでなる組成物に関する。
従来、反応性官能基および加水分解性基を有するシラン化合物は、ゴム組成物において、ゴム等の有機高分子材料とシリカやガラス等の無機材料との分散性を向上させるために、シランカップリング剤の構成成分として用いられてきた。また、このようなシラン化合物は、シーリング剤や接着剤において、シリカ等の無機材料への接着性を改善するための接着助剤として用いられてきた。
通常、このようなシラン化合物は、ゴム等の有機高分子材料との反応性が高い反応性官能基として、メルカプト基、ポリスルフィド基、アミノ基やエポキシ基等の置換基を有し、かつシリカ等の無機材料との反応性が高い加水分解性基として、アルコキシシリル基等の置換基を有する。例えば、特許文献1には、ポリスルフィド系のシランカップリング剤を含有するゴム組成物が開示されている。また、特許文献2には、反応性官能基としてアミノ基、加水分解性基としてメトキシ基を有するシラン化合物が開示されている。
また、特許文献3~5には、シリル基含有環状スルフィド化合物およびそれを含むゴム組成物が開示されている。
特開平8-259736号公報 特開平11-335381号公報 特開平11-80209号公報 特開2001-261685号公報 国際公開第2004/009695号
しかしながら、特許文献1および2に記載されたシラン化合物の反応性官能基は極性が高いため、有機高分子材料との親和性が低く、分散不良や混合不良が生じてしまう傾向にあった。一方、このような有機高分子材料との親和性を高めるために、極性が低い反応性官能基を有する従来のシラン化合物を添加した場合、有機高分子材料との反応性が低く、シランカップリング剤や接着助剤としての性能が不十分であった。
また、特許文献3~5に記載されたシリル基含有環状スルフィド化合物は、有機高分子材料に対する反応性は高いものの、有機高分子材料との親和性並びに有機高分子材料と無機材料との分散性の点について必ずしも十分なものではなかった。
本発明者らは、シランカップリング剤の、有機高分子材料との親和性および有機高分子材料と無機材料との分散性の改善といった課題に対し、これを解決する手段を鋭意検討した。その結果、シリル基が適度な長さの側鎖により結合した脂環式炭化水素構造と、スルフィド構造とを有する化合物をゴム組成物等に配合することにより、カップリング反応が促進され、その結果、シリカ等の無機材料の分散性が向上して、該ゴム組成物等から得られる架橋物(ゴム製品)等の粘弾性特性が改良されることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
従って、本願発明の目的は、有機高分子材料と無機材料との分散不良や混合不良等が生じることがなく、優れた粘弾性特性若しくは接着特性を発揮する架橋物を得るための含硫黄シラン化合物、またはそれを含有する組成物を提供することである。
本発明は以下の発明を包含する。
[1]式(1):
Figure 2023134560000001
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくは、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、
または
16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]、あるいは、式(2):
Figure 2023134560000002
[式中、
Aは、式(1-1):
Figure 2023134560000003
(式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
14、R15およびR18は水素原子であり、R16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。)、または
式(1-2):
Figure 2023134560000004
(式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
12、R13およびR18は水素原子であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、または、R16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。)
で表される2価の有機基であり、
Eは、水素原子あるいは式(1-1-1):
Figure 2023134560000005
Figure 2023134560000006
Figure 2023134560000007
Figure 2023134560000008
(式(1-1-1)、式(1-1-2)、式(1-2-1)および式(1-2-2)中、R~R18、Lおよびa~eは、式(1-1)または式(1-2)において記載した通りであり、
波線は、Sとの結合部位を表す。)
で表される置換基であり、
xは、それぞれ独立して、1~30の整数であり、
pは、0~30の整数であり、
mは、2~30の整数である。]
で表される、含硫黄シラン化合物。
[2]式(3):
Figure 2023134560000009
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくは、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、
または
16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]で表される、[1]に記載の含硫黄シラン化合物。
[3]式(4):
Figure 2023134560000010
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
yは、1~10の整数である。]、または、
式(5):
Figure 2023134560000011
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
yは、1~10の整数である。]、または、
式(18):
Figure 2023134560000012
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
yは、1~10の整数である。]、または、
式(19):
Figure 2023134560000013
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
yは、1~10の整数である。]
で表される、[1]または[2]に記載の含硫黄シラン化合物。
[4]Aが、式(3-1):
Figure 2023134560000014
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
14、R15およびR18は水素原子であり、R16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または、
式(3-2):
Figure 2023134560000015
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
12、R13およびR18は水素原子であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、または、R16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]
で表される2価の有機基である、[1]に記載の含硫黄シラン化合物。
[5]Aが、式(4-1):
Figure 2023134560000016
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または
式(5-1):
Figure 2023134560000017
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または
式(18-1):
Figure 2023134560000018
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または
式(19-1):
Figure 2023134560000019
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]
で表される2価の有機基である、[1]または[4]に記載の含硫黄シラン化合物。
[6]RSi基が、式(6):
Figure 2023134560000020
[式中、
19は、それぞれ独立して、アルコキシ基または1以上のアルキル基で置換されたアミノ基であり、
20は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であり、
は、それぞれ独立して、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
jは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
kは、1~3の整数であり、
アスタリスク(*)は、前記含硫黄シラン化合物のシリル基以外の部分と結合している部位を示す。]
の化学構造を有する、[1]~[5]のいずれかに記載の含硫黄シラン化合物。
[7]RSi基がトリエトキシシリル基である、[1]~[6]のいずれかに記載の含硫黄シラン化合物。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の含硫黄シラン化合物、および該含硫黄シラン化合物と反応し得るポリマーを含んでなる、組成物。
[9]前記ポリマーが、ガラス転移点が25℃以下のエラストマーであり、かつ無機材料をさらに含んでなる、[8]に記載の組成物。
[10]前記ガラス転移点が25℃以下のエラストマーが、天然ゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソプレンゴム、ハロゲン化イソブチレンコポリマー、クロロプレンゴム、ブチルゴム及びハロゲン化イソブチレン-p-メチルスチレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、[9]に記載の組成物。
[11]前記式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物をさらに含んでなる、[9]または[10]に記載の組成物。
[12]前記式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物が、式(7):
Figure 2023134560000021
[式中、
tおよびvは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、
uは、2~10の整数であり、
qおよびrは、それぞれ独立して、1~3の整数であり、
wおよびzは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
およびLは、それぞれ独立して、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
21およびR23は、それぞれ独立して、アルコキシ基または1以上のアルキル基で置換されたアミノ基であり、
22およびR24は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基である。]で表される含硫黄シラン化合物である、[11]に記載の組成物。
[13]前記組成物における前記含硫黄シラン化合物の含有量の総量が、前記エラストマー100質量部に対して、0.1~30質量部である、[9]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]前記組成物における前記含硫黄シラン化合物の含有量の総量に対する、前記組成物における前記式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量の割合が、質量基準で0.1~0.9である、[11]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15][9]~[14]のいずれかに記載の組成物を製造する方法であって、前記含硫黄シラン化合物、前記エラストマー、および前記無機材料を混練する工程を含んでなる、方法。
[16]さらに加硫剤を混練する工程を含んでなる、[15]に記載の方法。
[17][9]~[14]のいずれかに記載の組成物の架橋物。
[18][9]~[14]のいずれかに記載の組成物を押出す工程、押し出された組成物を成形する工程、および成形された組成物を架橋する工程を含んでなる、架橋物の製造方法。
[19][17]に記載の架橋物を含んでなる、タイヤ。
[20]前記ポリマーがシーリング性ポリマーまたは接着剤である、[8]に記載の組成物。
[21]前記組成物における前記含硫黄シラン化合物の含有量が、前記組成物100質量部に対して、0.1~30質量部である、[20]に記載の組成物。
[22]無機材料の表面に、[1]~[7]のいずれかに記載の含硫黄シラン化合物を接触させる工程を含んでなる、無機材料の表面処理方法。
本発明によれば、ゴム等の有機高分子材料と無機材料との分散不良や混合不良等が生じることのない、シランカップリング剤として有用な含硫黄シラン化合物を提供できる点で有利である。本発明にかかる含硫黄シラン化合物をゴム組成物に用いることで、当該ゴム組成物から得られた架橋物の粘弾性特性を向上させることができる点で有利である。また、本発明によれば、ゴム組成物から得られた架橋物の転がり抵抗抑制性能を向上させることもできる点で有利である。また、本発明によれば、ゴム組成物から得られた架橋物のウェットグリップ性能を向上させることもできる点で有利である。また、本発明によれば、得られた架橋物の接着特性を向上させることができる点で有利である。
実施例1(1)で合成した含硫黄シラン化合物1のH-NMRチャートを表す。
1.定義
本明細書において、配合を示す「部」、「%」等は特に断らない限り質量基準である。
2.含硫黄シラン化合物
(1)含硫黄シラン化合物
本発明の含硫黄シラン化合物は、下記の式(1):
Figure 2023134560000022
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくは、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、
または
16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]、あるいは、式(2):
Figure 2023134560000023
[式中、
Aは、式(1-1):
Figure 2023134560000024
(式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
14、R15およびR18は水素原子であり、R16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。)
または、式(1-2):
Figure 2023134560000025
(式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
12、R13およびR18は水素原子であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、または、R16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。)
で表される2価の有機基であり、
Eは、水素原子あるいは式(1-1-1):
Figure 2023134560000026
Figure 2023134560000027
Figure 2023134560000028
Figure 2023134560000029
(式(1-1-1)、式(1-1-2)、式(1-2-1)および式(1-2-2)中、R~R18、Lおよびa~eは、式(1-1)または式(1-2)において記載した通りであり、
波線は、Sとの結合部位を表す。)
で表される置換基であり、
xは、それぞれ独立して、1~30の整数であり、
pは、0~30の整数であり、
mは、2~30の整数である。]
で表される化合物である。
上記式(1)において、aは、0か1の整数であり、好ましくは1である。
また、bは、0か1の整数であり、好ましくは1である。
また、cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、好ましくは1である。
また、dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、好ましくは1である。
また、eは、0~5の整数であり、好ましくは0~3の整数、より好ましくは0~2の整数、さらに好ましくは0または1の整数である。
また、R、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよい。
また、fは、1~5の整数であり、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~3の整数、さらに好ましくは1である。
また、R、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよい。
また、gは、1~5の整数であり、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~3の整数、さらに好ましくは1である。
また、R16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、好ましくは、水素原子、メチル基または炭素数2または3のアルキル基、より好ましくは、水素原子またはメチル基、さらにより好ましくは、水素原子であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、好ましくは、水素原子、メチル基または炭素数2~5のアルキル基、より好ましくは、水素原子またはメチル基、さらにより好ましくは、水素原子であり、ここで、R12およびR13は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、好ましくは原子数2~8の硫黄、より好ましくは原子数2~6の硫黄、さらに好ましくは原子数3~5の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくは、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、好ましくは原子数2~8の硫黄、より好ましくは原子数2~6の硫黄、さらに好ましくは原子数3~5の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、または
16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素、好ましくは4~7員の脂環式炭化水素、より好ましくは5員または6員の脂環式炭化水素、さらに好ましくは5員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、好ましくは原子数2~8の硫黄、より好ましくは原子数2~6の硫黄、さらに好ましくは原子数3~5の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。
また、上記式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表す。炭化水素基は、例えば、アルキル基、アラルキル基またはアリール基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルキル基の炭素原子数は1~60が好ましく、1~30がより好ましく、中でもメチル基またはエチル基であることが好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素原子数は7~60が好ましく、7~20がより好ましく、7~14がさらに好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素原子数は6~60が好ましく、6~24がより好ましく、6~12がさらに好ましい。
酸素原子または窒素原子を含む炭化水素基とは、炭化水素基中の炭素原子が酸素原子または窒素原子で置き換えられた構造を有する基である。
本発明のさらに好ましい実施態様において、上記R、RおよびRにおける酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基は、アルコキシ基、1以上のアルキル基で置換されたアミノ基、またはアルキル基である。より好ましくは炭素数1~30のアルコキシ基、さらに好ましくは炭素数1~20のアルコキシ基、より好ましくは1以上の炭素数1~30のアルキル基で置換されたアミノ基、さらに好ましくは1以上の炭素数1~20のアルキル基で置換されたアミノ基、あるいは、より好ましくは炭素数1~30のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1~20のアルキル基である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基およびイソブトキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。また、1以上のアルキル基で置換されたアミノ基としては、N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基およびN-イソプロピルアミノ基等が挙げられ、これらの中でも、N-メチルアミノ基またはN-エチルアミノ基が好ましい。また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、へキシル基およびシクロへキシル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基およびエチル基が好ましい。
また、上記式(1)において、Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~30の炭化水素基、より好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~20の炭化水素基、さらに好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~10の炭化水素基である。その中でも、Lは、硫黄を含む炭化水素基であることが特に好ましい。かかる炭化水素基におけるシリル基と脂環式炭化水素部分をつなぐ直鎖部分の長さが、炭素、窒素、酸素または硫黄の原子数の総和として、好ましくは3~8、より好ましくは4~7、さらに好ましくは4~6とされる。
上記式(2)において、Aは、上記式(1-1)または式(1-2)で表される2価の有機基である。
また、xは、それぞれ独立して、1~30の整数であり、好ましくは1~15、より好ましくは1~8、さらに好ましくは1~5、さらにより好ましくは2~5の整数である。
また、pは、0~30の整数である。
また、mは、2~30の整数であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~15、さらに好ましくは2~10の整数である。
上記式(1-1)で表される化学構造において、波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。また、a~g、L、R~R11およびR14~R18については、上記式(1)において説明した通りである。
上記式(1-2)で表される化学構造において、波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。また、a~g、L、R~R13およびR16~R18については、上記式(1)において説明した通りである。
本発明においては、特定の理論に拘泥するものではないが、式(1)で表される含硫黄シラン化合物において、シリル基と脂環式炭化水素構造の間の側鎖Lの前記直鎖部分の長さを調節することにより、含硫黄シラン化合物全体の極性を下げてゴムとの親和性を向上させ、また、ゴム分子中における含硫黄シラン化合物の立体構造に適度な自由度を与えて、含硫黄シラン化合物を仲立ちとするシリカとゴムとのカップリング反応を促進させ、粘弾性特性を向上させることができると考えられる。また、式(2)で表される含硫黄シラン化合物についても、ゴムとの共架橋を形成する反応において、ポリスルフィド構造が開裂するため、式(1)で表される含硫黄シラン化合物におけるものと同様の考察が適用される。
本発明の一つの好ましい実施態様としては、上記式(1)で表される化合物は、式(3):
Figure 2023134560000030
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくは、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、
または
16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]で表される化合物である。
上記式(3)で表される化合物におけるhは、1~10の整数であり、好ましくは1~8、より好ましくは2~7、さらに好ましくは3~6、さらにより好ましくは3~5の整数であり、特に好ましくは3である。また、a~gおよびR~R18については、上記式(1)において説明した通りである。
本発明の一つのより好ましい実施態様としては、上記式(1)で表される化合物は、 式(4):
Figure 2023134560000031
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
yは、1~10の整数である。]、または
式(5):
Figure 2023134560000032
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
yは、1~10の整数である。]、または
式(18):
Figure 2023134560000033
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
yは、1~10の整数である。]、または、
式(19):
Figure 2023134560000034
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
yは、1~10の整数である。]
で表される化合物である。
上記式(4)、式(5)、式(18)または式(19)で表される化合物において、yは、1~10の整数であり、好ましくは2~8の整数、より好ましくは2~6の整数、さらに好ましくは3~5の整数である。また、R~Rについては、上記式(1)において説明した通りである。
本発明の別のより好ましい実施態様としては、上記式(1)で表される化合物は、式(8)~式(17)および式(20)~式(23):
Figure 2023134560000035

Figure 2023134560000036

Figure 2023134560000037
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
yは、1~10の整数である。]
で表される化合物である。
上記式(8)~式(17)および式(20)~式(23)で表される化合物において、yは、上記式(4)、式(5),式(18)および式(19)において説明した通りである。また、R~Rについては、上記式(1)において説明した通りである。
本発明の一つの好ましい実施態様としては、上記式(2)で表される化合物は、上記式(2)におけるAが、式(3-1):
Figure 2023134560000038
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
14、R15およびR18は水素原子であり、R16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または、
式(3-2):
Figure 2023134560000039
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
12、R13およびR18は水素原子であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、または、R16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]
で表される2価の有機基である化合物である。
上記式(3-1)で表される化学構造において、波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。また、a~g、R~R11およびR14~R18については、上記式(1)において説明した通りである。hについては、上記式(3)において説明した通りである。
上記式(3-2)で表される化学構造において、波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。また、a~g、R~R13およびR16~R18については、上記式(1)において説明した通りである。hについては、上記式(3)において説明した通りである。
本発明の一つのより好ましい実施態様としては、上記式(2)で表される化合物は、上記式(2)におけるAが、式(4-1):
Figure 2023134560000040
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または
式(5-1):
Figure 2023134560000041
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または
式(18-1):
Figure 2023134560000042
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または
式(19-1):
Figure 2023134560000043
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]
で表される2価の有機基である化合物である。
上記式(4-1)、式(5-1)、式(18-1)または式(19-1)で表される化学構造において、波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。また、R~Rについては、上記式(1)において説明した通りである。
本発明の別のより好ましい実施態様としては、上記式(2)で表される化合物は、上記式(2)におけるAが、式(8-1)~式(17-1)および式(20-1)~式(23-1):
Figure 2023134560000044

Figure 2023134560000045

Figure 2023134560000046
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]
で表される2価の有機基である化合物である。
上記式(8-1)~式(17-1)および式(20-1)~式(23-1)で表される化学構造において、波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。また、R~Rについては、上記式(1)において説明した通りである。
本発明のさらに好ましい実施態様は、上記式(1)、(1-1)、(1-2)、(3)、(3-1)、(3-2)、(4)、(4-1)、(5)、(5-1)、(8)~(23)および(8-1)~(23-1)において、RSi基が、式(6):
Figure 2023134560000047
[式中、
19は、それぞれ独立して、アルコキシ基または1以上のアルキル基で置換されたアミノ基であり、
20は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であり、
は、それぞれ独立して、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
jは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
kは、1~3の整数であり、
アスタリスク(*)は、前記含硫黄シラン化合物のシリル基以外の部分と結合している部位を示す。]
の化学構造を有する含硫黄シラン化合物である。
上記式(6)において、R19は、それぞれ独立して、アルコキシ基または1以上のアルキル基で置換されたアミノ基である。好ましい一つの実施態様としては、R19は、それぞれ独立して、加水分解性基であり、アルコキシ基、より好ましくは炭素数1~30のアルコキシ基、さらに好ましくは炭素数1~20のアルコキシ基、または1以上のアルキル基で置換されたアミノ基、より好ましくは1以上の炭素数1~30のアルキル基で置換されたアミノ基、さらに好ましくは1以上の炭素数1~20のアルキル基で置換されたアミノ基である。具体的には、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基およびイソブトキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。また、1以上のアルキル基で置換されたアミノ基としては、N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基およびN-イソプロピルアミノ基等が挙げられ、これらの中でも、N-メチルアミノ基またはN-エチルアミノ基が好ましい。なお、アルコキシ基およびアミノ基は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基からなる連結基を介してケイ素(Si)と結合してもよい。
また、R20は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~30のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1~20のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、へキシル基およびシクロへキシル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基およびエチル基が好ましい。
上記式(6)において、Lは、それぞれ独立して、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~30の炭化水素基、より好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~20の炭化水素基、さらに好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~10の炭化水素基である。
上記式(6)において、kは、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
また、jは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、好ましくは0である。
本発明のさらにより好ましい実施態様は、上記式(1)、(1-1)、(1-2)、(3)、(3-1)、(3-2)、(4)、(4-1)、(5)、(5-1)、(8)~(23)および(8-1)~(23-1)において、RSi基がトリエトキシシリル基またはトリメトキシシリル基である含硫黄シラン化合物であり、特にトリエトキシシリル基である含硫黄シラン化合物である。
本発明の特に好ましい実施態様としては、上記式(1)で表される化合物は、式(24)~(41):
Figure 2023134560000048

Figure 2023134560000049

Figure 2023134560000050
[式中、yは、1~10の整数である。]
で表される化合物である。
上記式(24)~(41)で表される化合物において、yは、上記式(4)または(5)において説明した通りである。
ここで、上記式(24)~(41)で表される化合物において、ノルボルネン環に結合した置換基がノルボルネン環の架橋構造と同様に紙面向かって前側に伸びている異性体(シン異性体)と、ノルボルネン環に結合した置換基がノルボルネン環の架橋構造と反対に紙面向かって後側に伸びている異性体(アンチ異性体)の2種の立体異性体が存在することが推察される。
従って、例えば上記式(24)および式(25)で表される化合物は、以下の式:
Figure 2023134560000051
で表される立体異性体の混合物であると考えられる。
また、例えば上記式(28)および式(29)で表される化合物は、以下の式:
Figure 2023134560000052
Figure 2023134560000053
で表される立体異性体を含む複数の立体異性体の混合物であると考えられる。
さらに、例えば上記式(36)および式(37)で表される化合物は、以下の式:
Figure 2023134560000054
で表される立体異性体の混合物であると考えられる。
さらに、例えば上記式(38)~(41)で表される化合物は、以下の式:
Figure 2023134560000055
Figure 2023134560000056
で表される立体異性体の混合物であると考えられる。
本発明の特に好ましい実施態様としては、上記式(2)で表される化合物は、上記式(2)におけるAが、式(24-1)~(41-1):
Figure 2023134560000057

Figure 2023134560000058

Figure 2023134560000059
[式中、波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]
で表される2価の有機基である化合物である。
上記式(24-1)~(41-1)で表される化学構造において、波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。
ここで、上記式(24-1)~(41-1)で表される2価の有機基において、ノルボルネン環に結合した置換基がノルボルネン環の架橋構造と同様に紙面向かって前側に伸びている異性体(シン異性体)と、ノルボルネン環に結合した置換基がノルボルネン環の架橋構造と反対に紙面向かって後側に伸びている異性体(アンチ異性体)の2種の立体異性体が存在することが推察される。
従って、例えば上記式(24-1)および式(25-1)で表される2価の有機基は、以下の式:
Figure 2023134560000060
で表される立体異性体の混合物であると考えられる。
また、例えば上記式(28-1)および式(29-1)で表される2価の有機基は、以下の式:
Figure 2023134560000061
Figure 2023134560000062
で表される立体異性体を含む複数の立体異性体の混合物であると考えられる。
さらに、例えば上記式(36-1)および式(37-1)で表される2価の有機基は、以下の式:
Figure 2023134560000063
で表される立体異性体の混合物であると考えられる。
さらに、例えば上記式(38-1)~(41-1)で表される2価の有機基は、以下の式:
Figure 2023134560000064
Figure 2023134560000065
で表される立体異性体の混合物であると考えられる。
本発明の他の実施態様としては、本発明の含硫黄シラン化合物は、後述の式(1’)で表される化合物と硫黄とを反応させることにより得られる含硫黄シラン化合物である。
(2)含硫黄シラン化合物の製造方法
式(1)または(2)で表される化合物は、式(42):
Figure 2023134560000066
[式中、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくは、R14およびR15は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、または
16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]
で表される化合物と、式(43):
Figure 2023134560000067
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
Yは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基である。]
で表される化合物を反応させることにより、式(1’):
Figure 2023134560000068
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくはR14およびR15は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、
または
16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]
で表される化合物を製造する工程(工程1-1)、および
上記式(1’)で表される化合物を、硫黄と反応させることにより式(1)または(2)で表される化合物を製造する工程(工程1-2)により製造することができる。
上記式(42)、(43)および(1’)において、R12およびR13は、それぞれ水素原子であるか、または、互いに結合して二重結合を形成してもよい。また、R14およびR15は、それぞれ水素原子であるか、または、互いに結合して二重結合を形成してもよい。さらに、R~R11、R16~R18、L、a~gは、式(1)で表される化合物において説明した通りである。
また、上記式(43)において、Yは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~30の窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、より好ましくは炭素数1~20の窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基、さらに好ましくは炭素数1~10の窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基である。その中でも、Yは、硫黄を含む炭化水素基であることが特に好ましい。かかる炭化水素基におけるシリル基と脂環式炭化水素部分に結合する箇所をつなぐ直鎖部分の長さが、炭素、窒素、酸素または硫黄の原子数の総和として、好ましくは3~8、より好ましくは4~7、さらに好ましくは4~6とされる。
ここで、上記工程1-1においては、式(42)で表される化合物と、式(43)で表される化合物とを、付加反応または縮合反応に供することで合成することができる。ここにおける付加反応として、ラジカル付加反応、共役付加反応、求核付加反応、求電子付加反応などを用いることができ、例えばペリ環状反応に類する反応、ヒドロシリル化反応、ヒドロアミノ化反応などを用いることができる。縮合反応として、例えばエステル化反応、アミド化反応、チオエステル化反応、チオアミド化反応、フリーデルクラフツ反応等を用いることができる。
ここで、上記工程1-2においては、式(1’)で表される化合物と硫黄とを、例えば、窒素置換環境下で、80℃~180℃の温度で3~24時間反応させることができる。また、溶媒中でまたは無溶媒で、触媒量のアミン、または酸化亜鉛と加硫促進剤の触媒を入れて反応させてもよい。必要に応じて、蒸留により得られた反応物から余分な溶媒等を留去することができる。
なお、上記式(42)で表される化合物は、当業者に既に知られた知識に基づいて、同一もしくは異なる共役ジエン類化合物同士によるディールズ・アルダー反応、あるいは、共役ジエン類化合物とアルケン類化合物とのディールズ・アルダー反応により合成することができる。また、式(42)で表される化合物は、当該ディールズ・アルダー反応により合成された化合物を、必要に応じて熱変性させることにより、および/または必要に応じて精製することにより調製することができる。
上記式(3)または式(2’):
Figure 2023134560000069
[式中、
Aは、
式(3-1):
Figure 2023134560000070
(式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
14、R15およびR18は水素原子であり、R16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、
波線は、式(2’)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。)、または、
式(3-2):
Figure 2023134560000071
(式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
12、R13およびR18は水素原子であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、または、R16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、
波線は、式(2’)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。)で表される2価の有機基であり、
Eは、水素原子あるいは式(3-1-1):
Figure 2023134560000072
Figure 2023134560000073
Figure 2023134560000074
Figure 2023134560000075
(式(3-1-1)、式(3-1-2)、式(3-2-1)および式(3-2-2)中、R~R18、a~eおよびhは、式(3-1)または式(3-2)において記載した通りであり、
波線は、Sとの結合部位を表す。)
で表される置換基であり、
xは、それぞれ独立して、1~30の整数であり、
pは、0~30の整数であり、
mは、2~30の整数である。]
で表される化合物は、式(42):
Figure 2023134560000076
[式中、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくは、R14およびR15は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、または
16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]
で表される化合物と、式(44):
Figure 2023134560000077
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数である。]
で表される化合物を反応することにより式(3’):
Figure 2023134560000078
[式中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
hは、1~10の整数であり、
aは、0か1の整数であり、
bは、0か1の整数であり、
cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
eは、0~5の整数であり、
、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくはR14およびR15は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、
または
16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、互いに結合して二重結合を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]
で表される化合物を製造する工程(工程2-1)、および上記式(3’)で表される化合物を、硫黄と反応させることにより式(3)または(2’)で表される化合物を製造する工程(工程2-2)により製造することができる。
上記式(42)、(44)および(3’)において、R12およびR13は、それぞれ水素原子であるか、または、互いに結合して二重結合を形成してもよい。また、R14およびR15は、それぞれ水素原子であるか、または、互いに結合して二重結合を形成してもよい。さらに、R~R11、R16~R18およびa~gは、式(1)で表される化合物において説明した通りである。さらに、hは、式(3)で表される化合物において説明した通りである。
ここで、上記工程2-1においては、上記した式(3’)で表される化合物は、上記式(42)で表される化合物と、上記式(44)で表される化合物とを混合し、加熱することにより、上記式(44)で表される化合物におけるメルカプト基と上記式(42)で表される化合物における炭素-炭素不飽和結合部分とが反応することにより、合成されると考えられる。上記式(44)で表される化合物は、上記式(42)で表される化合物1モルに対し、0.1~4モルとなるように混合することが好ましく、0.3~3モルとなるように混合することがより好ましい。また、加熱温度は、40~300℃とすることが好ましく、50~200℃とすることがより好ましい。
上記式(44)で表される化合物としては、たとえばメルカプト基を有するアルコキシシラン化合物が挙げられる。メルカプト基を有するアルコキシシラン化合物としては、メルカプトトリメトキシシラン、メルカプトトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、4-メルカプトブチルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、4-メルカプトブチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、4-メルカプトブチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、4-メルカプトブチルメチルジメトキシシラン、2-メルカプトエチルメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、4-メルカプトブチルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
また、上記した式(3’)で表される化合物は、上記式(42)で表される化合物と、後述する式(7)で表される化合物を混合し、加熱することによっても合成することができる。後述の式(7)で表される化合物におけるポリスルフィド結合が開裂し、これが上記式(42)で表される化合物における炭素-炭素不飽和結合部分と反応することにより、合成されると考えられる。後述する式(7)で表される化合物は、上記式(42)で表される化合物1モルに対し、0.1~4モルとなるように混合することが好ましく、0.3~3モルとなるように混合することがより好ましい。また、加熱温度は、40~300℃とすることが好ましく、50~200℃とすることがより好ましい
必要に応じて、ラジカル開始剤を併用することもできる。ラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)等のアゾ化合物、ジ-tert-ブチルペルオキシド(t-BuOOBu-t)やtert-ブチルヒドロペルオキシド(t-BuOOH)、過酸化ベンゾイル(BPO, PhC(=O)OOC(=O)pH)、メチルエチルケトンペルオキシド、ジクミルペルオキシド(DCP)等の過酸化物、塩素分子等のジハロゲン化合物、低温でラジカルを発生させられる試薬として、過酸化水素と鉄(II)塩、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムなど、酸化剤と還元剤の組み合わせのレドックス開始剤、トリエチルボラン(EtB)やジエチル亜鉛(EtZn)も用いることができる。
なお、後述する式(7)で表される化合物のうち、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドは、市販されているものを使用してもよく、例えば、エボニック社製のSi-69が挙げられる。また、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィドについても、市販されているものを使用してもよく、例えば、エボニック社製のSi-75が挙げられる。
ここで、上記工程2-2においては、式(3’)で表される化合物と硫黄とを、例えば、窒素置換環境下で、80℃~180℃の温度で3~24時間反応させることができる。また、溶媒中でまたは無溶媒で、触媒量のアミン、または酸化亜鉛と加硫促進剤の触媒を入れて反応させてもよい。必要に応じて、蒸留により得られた反応物から余分な溶媒等を留去することができる。
(3)含硫黄シラン化合物の有用性
本発明の含硫黄シラン化合物は、ゴム等の有機高分子材料と無機材料との分散不良や混合不良等が生じ難い、優れたシランカップリング剤である。本発明の含硫黄シラン化合物を用いることで、ゴム組成物から得られた架橋物の粘弾性特性を向上させることができる。また、本発明の含硫黄シラン化合物は、ゴム組成物から得られた架橋物の転がり抵抗抑制性能を向上させる。また、本発明の含硫黄シラン化合物は、ゴム組成物から得られた架橋物のウェットグリップ性能を向上させる。また、本発明の含硫黄シラン化合物は、得られた架橋物の接着特性を向上させる。
式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、あるいは、それらの任意の割合の混合物として使用することもできる。
3.含硫黄シラン化合物を含んでなる組成物
本発明の組成物は、上記式(1)で表される含硫黄シラン化合物および/または式(2)で表される含硫黄シラン化合物、並びに該含硫黄シラン化合物と反応し得るポリマーを含んでなる。本発明の組成物としては、例えば、前記ポリマーが、ガラス転移点が25℃以下のエラストマーであって、かつ無機材料をさらに含んでなるゴム組成物、前記ポリマーがシーリング性ポリマーであるシーリング材組成物、並びに前記ポリマーが接着剤である接着剤組成物等が挙げられる。
(1)ゴム組成物
本発明の組成物の一つの好ましい実施態様は、上記式(1)で表される含硫黄シラン化合物および/または式(2)で表される含硫黄シラン化合物、ガラス転移点が25℃以下のエラストマー、並びに無機材料を含んでなるものである。これらの組成により、エラストマーとシリカ等の無機材料との混合不良や分散不良等が生じることがなく、優れた粘弾性特性を発揮する架橋物を得るためのゴム組成物を提供することができる。また、該ゴム組成物から得られた架橋物の転がり抵抗抑制性能を向上させることができる。また、該ゴム組成物から得られた架橋物のウェットグリップ性能を向上させることができる。
シランカップリング剤を上記のエラストマーと反応させるためには、従来、ポリスルフィド基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基等の極性の高い置換基が必要であった。しかしながら、これらの官能基を導入するに従い、極性が上がり、上記のエラストマーの場合、親和性が悪化してしまい、分散不良、混合不良が起こってしまう問題があった。特定の理論に拘泥するものではないが、上記式(1)または式(2)で表される化合物は、その硫黄-硫黄結合および/または硫黄―炭素結合が開裂することで、容易にジエン系ゴム等と共架橋できる。また、適度な長さの側鎖により結合したシリル基部分は、シリカ表面のシラノール基と反応し、ポリマーとガラスやシリカ間の反応の仲立ちをして補強性を発揮する。そして、上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物をゴム組成物に添加することにより、上記のエラストマーとガラスやシリカとの間の反応を仲立ちすると考えられる。
(i)エラストマー
本発明のゴム組成物におけるエラストマーは、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下のエラストマーを含むものである。本発明の好ましい一つの実施態様によれば、本発明のゴム組成物におけるエラストマーは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のエラストマーを含むものである。本発明のゴム組成物に含まれるエラストマーのガラス転移温度(Tg)がこの範囲であると、ゴム組成物が室温でゴム状弾性を示すため好ましい。本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC-Differential Scanning Calorimetry)により測定したガラス転移点である。昇温速度は10℃/minにするのが好ましい。
本発明のゴム組成物におけるエラストマーとしては天然ゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソプレンゴム、ハロゲン化イソブチレンコポリマー、クロロプレンゴム、ブチルゴムおよびハロゲン化イソブチレン-p-メチルスチレンゴムが挙げられ、その中でも天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソプレンゴム、ハロゲン化イソブチレンコポリマー、ブチルゴムおよびハロゲン化イソブチレン-p-メチルスチレンゴムが好ましく、その中でも天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ブチルゴムおよびハロゲン化イソブチレン-p-メチルスチレンゴムがさらに好ましく、その中でも天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴムおよびブタジエンゴムがより好ましい。本発明のゴム組成物におけるエラストマーとしては、上述したゴムのうちの1種または2種以上のものであってもよい。
本発明のゴム組成物におけるエラストマーの重量平均分子量は、1,000~3,000,000であることが好ましく、10,000~1,000,000であることがさらに好ましい。なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel permeation chromatography(GPC))により測定した重量平均分子量(ポリスチレン換算)である。測定にはテトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルムを溶媒として用いるのが好ましい。
本発明のゴム組成物における式(1)で表される化合物の含有量および式(2)で表される化合物の含有量の総量は、エラストマー100質量部に対し、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.3~20質量部、さらに好ましくは0.4~15質量部、さらにより好ましくは0.7~10質量部、特に好ましくは0.7~6.9質量部、特により好ましくは1~5.0質量部、特にさらに好ましくは1~3.4質量部である。また、式(1)で表される化合物の含有量および式(2)で表される化合物の含有量の総量は、ゴム組成物に含まれる無機材料の総量100質量部に対し、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.5~20質量部、さらに好ましくは1.0~15質量部である。
また、上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物を本発明のゴム組成物に含有させることにより、得られる架橋物の粘弾性特性を向上させることができる。また、ゴム組成物から得られた架橋物の転がり抵抗抑制性能を向上させることもできる。さらに、ゴム組成物から得られた架橋物のウェットグリップ性能を向上させることもできる。
(ii)式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物
本発明のゴム組成物は、式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物(本明細書において、「その他の含硫黄シラン化合物」と称することもある)をさらに含んでいてもよい。式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物を含んでなるゴム組成物を加硫反応させると、式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物が加硫反応に組み込まれるため、シランカップリング剤として機能する式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物と式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物が反応する。この反応によって、カップリング効率が高まるという相乗効果が生まれると考えられる。
式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量は、エラストマー100質量部に対し、好ましくは0.01~27質量部であり、より好ましくは0.03~18質量部である。また、式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量は、ゴム組成物に含まれる無機材料の総量100質量部に対し、好ましくは0.01~27質量部であり、より好ましくは0.05~18質量部、さらに好ましくは0.1~13.5質量部である。
本発明のゴム組成物において、式(1)で表される化合物の含有量および式(2)で表される化合物の含有量の総量並びに式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量の合計が、エラストマー100質量部に対し、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.3~20質量部、さらに好ましくは0.4~15質量部、さらにより好ましくは0.7~10質量部、特に好ましくは0.7~6.9質量部、特により好ましくは1~5.0質量部、特にさらに好ましくは1~3.4質量部である。また、式(1)で表される化合物の含有量および式(2)で表される化合物の含有量の総量並びに式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量の合計が、ゴム組成物に含まれる無機材料の総量100質量部に対し、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.5~20質量部、さらに好ましくは1.0~15質量部である。
本発明のゴム組成物において、式(1)で表される化合物の含有量および式(2)で表される化合物の含有量の総量並びに式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量の合計に対する、式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量の割合は、好ましくは質量基準で0.1~0.9であり、さらに好ましくは0.2~0.8である。
式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物として、例えば、式(7):
Figure 2023134560000079
[式中、
tおよびvは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、
uは、2~10の整数であり、
qおよびrは、それぞれ独立して、1~3の整数であり、
wおよびzは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
およびLは、それぞれ独立して、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
21およびR23は、それぞれ独立して、アルコキシ基または1以上のアルキル基で置換されたアミノ基であり、
22およびR24は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基である。]で表される化合物を使用してもよい。
上記式(7)中、tおよびvは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、好ましくは0~5の整数であり、より好ましくは1~3の整数であり、さらに好ましくは2である。
また、uは、2~10の整数であり、より好ましくは、2~8の整数である。
また、qおよびrは、それぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
また、wおよびzは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、好ましくは0である。
また、LおよびLは、それぞれ独立して、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~30の炭化水素基、より好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~20の炭化水素基、さらに好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~10の炭化水素基である。
また、R21およびR23は、それぞれ独立して、加水分解性基であり、アルコキシ基、より好ましくは炭素数1~30のアルコキシ基、さらに好ましくは炭素数1~20のアルコキシ基、または1以上のアルキル基で置換されたアミノ基、より好ましくは1以上の炭素数1~30のアルキル基で置換されたアミノ基、より好ましくは1以上の炭素数1~20のアルキル基で置換されたアミノ基である。具体的には、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基およびイソブトキシ基等が挙げられ、これらの中でも、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。また、1以上のアルキル基で置換されたアミノ基としては、N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基およびN-イソプロピルアミノ基等が挙げられ、これらの中でも、N-メチルアミノ基またはN-エチルアミノ基が好ましい。なお、アルコキシ基およびアミノ基は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基からなる連結基を介してケイ素(Si)と結合してもよい。
また、R22およびR24は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~30のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1~20のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、へキシル基およびシクロへキシル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基およびエチル基が好ましい。
本発明のゴム組成物における上記式(7)で表される化合物の含有量は、エラストマー100質量部に対し、好ましくは0.01~27質量部であり、より好ましくは0.03~18質量部である。また、本発明のゴム組成物における上記式(7)で表される化合物の含有量は、ゴム組成物に含まれる無機材料の総量100質量部に対し、好ましくは0.01~27質量部であり、より好ましくは0.05~18質量部、さらに好ましくは0.1~13.5質量部である。
式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物として、上記式(7)で表される化合物以外にも、上記式(44)で表される化合物、特に以下のような構造を有するシラン化合物を使用することができる。
Figure 2023134560000080
Figure 2023134560000081
(iii)無機材料
本発明のゴム組成物に含まれる無機材料としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレイおよびタルク等が挙げられ、これらの中でも、機械的特性および耐熱性をより向上させることができることから、シリカ、またはカーボンブラックを用いることが好ましい。
シリカとしては、特に限定されないが、例えば、乾式法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ、および沈降シリカ等が挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法シリカが好ましい。これらのシリカは、エラストマー100質量部に対し、10~300質量部の配合量で、それぞれ単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらシリカの比表面積は、特に制限されないが、窒素吸着比表面積(BET法)で通常10~400m2/g、好ましくは20~300m2/g、更に好ましくは120~190m2/gの範囲であるときに、補強性、耐摩耗性および発熱性等の改善が十分に達成され好適である。ここで、窒素吸着比表面積は、ASTM D3037-81に準じ、BET法で測定される値である。
カーボンブラックは、用途に応じて適宜選択使用される。一般に、カーボンブラックは粒子径に基づいて、ハードカーボンとソフトカーボンとに分類される。ソフトカーボンはゴムに対する補強性が低く、ハードカーボンはゴムに対する補強性が高い。本発明のゴム組成物では、特に補強性の高いハードカーボンを用いるのが好ましい。エラストマー100質量部に対して10~300質量部、好ましくは20~200質量部、より好ましくは30~150質量部含んでいるのがよい。
無機材料の添加量は、エラストマー100質量部に対し、0.1~500質量部であることが好ましく、1~300質量部であることがより好ましい。
(iv)その他の加工助剤
本発明のゴム組成物は、その機能を損なわない範囲で、硫黄、酸化亜鉛等の加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、架橋促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、軟化剤、各種オイル、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤及び可塑材等のその他の加工助剤を含んでいてもよい。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、脂肪族および芳香族のヒンダードアミン系等の化合物が挙げられ、エラストマー100質量部に対して0.1~10質量部、より好ましくは1~5質量部添加するのがよい。また、酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。エラストマー100質量部に対して0.1~10質量部、より好ましくは1~5質量部添加するのがよい。
着色剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。エラストマー100質量部に対して0.1~10質量部、より好ましくは1~5質量部添加するのがよい。
加硫剤としては、粉末硫黄、沈降性硫黄、高分散性硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等の硫黄系加硫剤や酸化亜鉛、酸化マグネシウム、リサージ、p-キノンジオキサム、p-ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ-p-ベンゾキノン、ポリ-p-ジニトロベンゼン、メチレンジアニリン、フェノール樹脂、臭素化アルキルフェノール樹脂、塩素化アルキルフェノール樹脂等が挙げられる。
加硫促進助剤としては、アセチル酸、プロピオン酸、ブタン酸、ステアリン酸、アクリル酸、マレイン酸等の脂肪酸、アセチル酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ブタン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、マレイン酸亜鉛等の脂肪酸亜鉛、酸化亜鉛等が挙げられる。
加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)等のチウラム系、ヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒド・アンモニア系、ジフェニルグアニジン等のグアニジン系、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)等のチアゾール系、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N-t-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアマイド(BBS)等のスルフェンアミド系、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)等のジチオカルバミン酸塩系挙げられる。
本発明では、その他の加工助剤は、公知のゴム用混練機、例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練し、任意の条件で加硫してゴム組成物として使用することができる。これらその他の加工助剤の添加量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
(v)ゴム組成物を製造する方法
本発明のゴム組成物を製造する方法は、上記含硫黄シラン化合物、上記ガラス転移点が25℃以下のエラストマーおよび上記無機材料を混練する工程を含んでなるものである。本発明のゴム組成物を製造する方法は、好ましくは、該含硫黄シラン化合物、該ガラス転移点が25℃以下のエラストマー、該無機材料および上記加硫促進助剤を混練する工程を含んでなるものである。
上述のゴム組成物を製造する方法は、好ましくは、さらに上記加硫剤を混練する工程を含んでなるものであってもよい。より好ましくは、さらに該加硫剤と上記加硫促進剤を混練する工程を含んでなるものであってもよい。
ここで、該ゴム組成物における該含硫黄シラン化合物の含有量が、該エラストマー100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは0.3~20質量部、さらに好ましくは0.4~15質量部、さらにより好ましくは0.7~10質量部、特に好ましくは0.7~6.9質量部、特により好ましくは1~5.0質量部、特にさらに好ましくは1~3.4質量部である。また、該含硫黄シラン化合物が式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物を含む場合、式(1)で表される化合物の含有量および式(2)で表される化合物の含有量の総量並びに式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量の合計に対する、式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量の割合は、質量基準で0.1~0.9であることが好ましく、0.2~0.8であることがさらに好ましい。
また、上述の各工程において、ゴム組成物の機能を損なわない範囲で、上述のその他の加工助剤を適宜配合することができる。
(vi)本発明のゴム組成物の架橋物
本発明のゴム組成物を用いて、従来公知の方法および当業者に広く知られた技術常識に従い、ゴム組成物の架橋物を製造することができる。例えば、上記ゴム組成物を押し出し、次いで、成型機を用いて成形した後、加硫機を用いて加熱・加圧することにより架橋が形成され、架橋物を製造することができる。
(vii)タイヤ
上記ゴム組成物を用いて、従来公知の方法および当業者に広く知られた技術常識によりタイヤを製造することができる。例えば、上記ゴム組成物を押し出し、次いで、タイヤ成型機を用いて成形した後、加硫機を用いて加熱・加圧することにより架橋が形成され、タイヤを製造することができる。一つの実施態様としては、本発明のタイヤは、上記架橋物を含んでなるタイヤとされる。
本発明のゴム組成物を用いてタイヤを製造することにより、製造されたタイヤの粘弾性特性を改善することができる。また、製造されたタイヤの転がり抵抗抑制性能を向上させることができる。さらに、製造されたタイヤのウェットグリップ性能を向上させることができる。
(2)シーリング材組成物
本発明の組成物のもう一つの好ましい実施態様は、上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物並びにシーリング性ポリマー(シーリング剤)を含んでなるものである。これらの組成により、該シーリング材組成物と無機材料との接着性を向上させることができる。
シランカップリング剤をポリウレタン等と反応させるためには、従来、ポリスルフィド基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基等の極性の高い置換基が必要であった。しかしながら、これらの官能基を導入するに従い、極性が上がり、低極性のシーリング性ポリマーと混合した場合、親和性が悪化してしまい、分散不良、混合不良が起こってしまう問題があった。特定の理論に拘泥するものではないが、上記式(1)または式(2)で表される化合物は、その硫黄-硫黄結合および/または硫黄―炭素結合が開裂することで、容易にジエン系ゴム等と共架橋できる。また、適度な長さの側鎖により結合したシリル基部分は、シリカ表面のシラノール基と反応し、ポリマーとガラスやシリカ間の反応の仲立ちをして補強性を発揮する。そして、上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物をシーリング材組成物または接着剤組成物に添加することにより、ポリウレタン等とガラスやシリカとの間の反応を仲立ちして補強性を発揮すると考えられる。その結果、上記式(1)で表される化合物および/または(2)で表される化合物を含有するシーリング材組成物、または接着剤組成物が優れた引張り特性を有し、または該シーリング材組成物または該接着剤組成物が優れた接着性を発揮するものと考えられる。
本発明のシーリング材組成物における上記式(1)で表される化合物の含有量および式(2)で表される化合物の含有量の総量は、シーリング材組成物100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましい。
シーリング性ポリマーは特に限定されるものではなく、一液硬化型(湿気硬化、酸素硬化、乾燥硬化、非硬化型)のものであってもよく、二液硬化型(反応硬化型)ものであってもよく、アクリル系ポリマー、アクリルウレタン系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、シリコン系ポリマー、変成シリコン系ポリマー、ポリサルファイド系ポリマー、SBR系ポリマー、ブチルゴム系ポリマー、油性コーキング系ポリマー等が挙げられ、これらの中でも、一液硬化型のポリウレタン系ポリマー、シリコン系ポリマー、変成シリコン系ポリマー、ポリサルファイド系ポリマー、ブチルゴム系ポリマーが好ましい。本発明のシーリング材組成物は、上記したシーリング性ポリマーを1または2以上含んでいてもよい。
シーリング性ポリマーの重量平均分子量は、300~500,000であることが好ましく、1,000~300,000であることがさらに好ましい。
本発明のシーリング材組成物は、上記式(1)または(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物を含んでいてもよい。
本発明のシーリング材組成物は、その効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、老化防止剤、耐電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、核剤、透明化剤、加工性改良剤、滑剤、充填剤、可塑剤、フィラー、アンチブロッキング剤、架橋剤、染料および顔料等の添加剤を含んでいてもよい。
被着体の材質については特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス、アルミ、銅、鉄等の金属、ナイロン、スチロール、アクリル、塩化ビニル、ABS、FRP、ポリカーボネート等のプラスチック、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム等のゴム、コンクリート、モルタル、天然石、タイル、ガラス、陶磁器等の無機材料、木材、合板、皮革、厚紙等の天然素材、その他ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアセタール等が挙げられる。
(3)接着剤組成物
本発明の組成物のさらにもう一つの好ましい実施態様は、本発明の接着剤組成物は、上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物並びに接着剤(接着性ポリマー)を含んでなるものである。これらの組成により、該接着剤組成物と無機材料との接着性を向上させることができる。
本発明の接着剤組成物における上記式(1)で表される化合物の含有量および式(2)で表される化合物の含有量の総量は、接着剤組成物100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましい。
接着剤は、一液硬化型のものであってもよく、二液硬化型ものであってもよく、水分散系接着剤、溶液系接着剤、反応系接着剤、固体系接着剤、テープ系接着剤のいずれであってもよい。また、接着剤は、有機系接着剤であっても、無機系接着剤であってもよい。
有機系接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤、ビニル樹脂系接着剤、エチレン-酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤、ポリ酢酸ビニル樹脂溶液系接着剤、エチレン-酢酸ビニル樹脂ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、エポキシ樹脂エマルジョン接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤、塩化ビニル系接着剤、塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤、水性高分子-イソシアネート系接着剤、α-オレフィン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、アクリル樹脂嫌気性接着剤、アクリル樹脂エマルジョン接着剤、アクリル樹脂系粘着テープ、ポリアミド系接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト系接着剤、ポリイミド系接着剤、セルロース系接着剤(エーテルセルロース、ニトロセルロース等)、ポリビニルピロリドン系接着剤、ポリスチレン系接着剤、ポリスチレン樹脂溶剤系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリビニルアセタール系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、ウレタン樹脂エマルジョン接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤、ポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤、ポリビニルブチラール樹脂系接着剤、ポリアロマティック系接着剤、構造用アクリル樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤、エステル系接着剤、クロロブレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、スチレンブタジエンゴム接着剤、スチレン-ブタジエンゴム系ラテックス接着剤、ポリベンズイミダソール接着剤、ポリメタクリレート樹脂溶液系接着剤、熱可塑性エラストマー系接着剤、ブチルゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、変性シリコン系接着剤、シリル化ウレタン系接着剤、ウレタンゴム系接着剤、ポリサルファイト系接着剤、アクリルゴム系接着剤等の合成系接着剤、並びにデンプン系接着剤、天然ゴム系接着剤、天然ゴムラッテクス系接着剤、アスファルト、膠、アラビアガム、漆、カゼイン、大豆タンパク、松やに等の天然系接着剤、反応性ホットメルト接着剤等が挙げられる。
無機系接着剤としては、シリカ系接着剤、はんだ、水ガラス(珪酸ソーダ、珪酸ナトリウム)、セメント(ポルトランドセメント、漆喰、石膏、マグネシウムセメント、リサージセメント、歯科用セメント等)およびセラミック等が挙げられる。
上記した接着剤の中でも、被着体の材質が厚紙や木材である場合には、セルロース系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤、デンプン系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン系接着剤が好ましい。また、被着体の材質がプラスチックである場合には、ビニル系接着剤、スチレン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤が好ましい。また、被着体の材質がゴムや皮革である場合には、クロロブレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、スチレンブタジエンゴム接着剤が好ましい。また、被着体の材質が金属、陶磁器、コンクリートである場合には、エポキシ樹脂系接着剤、シリコン系接着剤、酢酸ビニル系接着剤が好ましい。また、相溶性および安定性の観点からは、エポキシ系接着剤が好ましい。本発明の接着剤組成物は、上記した接着剤を1または2以上含んでいてもよい。
接着剤の重量平均分子量は、300~500,000であることが好ましく、1,000~300,000であることがさらに好ましい。
本発明の接着剤組成物は、上記式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物を含んでいてもよい。
本発明の接着剤組成物は、その効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、老化防止剤、耐電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、核剤、透明化剤、加工性改良剤、滑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
4.無機材料の表面処理方法
また、上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物は、無機材料の表面処理に使用することができる。表面処理方法としては、(1)乾式法、(2)湿式法、および(3)インテグラルブレンド法がある。
乾式法は、大量の無機材料の表面処理をするのに適している方法で、無機材料をよくかき混ぜながら含硫黄シラン化合物を噴霧するか蒸気状態で吹き込むことにより行われる。また、必要に応じて加熱処理工程を入れる。この方法は、希釈剤を使用しないため作業性に優れる。
湿式法は、無機材料を溶媒中に分散させ、含硫黄シラン化合物も水や有機溶媒に希釈し、スラリー状態で激しくかき混ぜながら添加することにより行われる。この方法によれば、均一な表面処理が可能である。
インテグラルブレンド法は、無機材料を有機樹脂に混合する際に、含硫黄シラン化合物を直接有機樹脂に添加することにより行われる。この方法は、簡便であることから工業的に広く行われている。この方法で無機材料に含硫黄シラン化合物が作用する際には、フィラー表面への含硫黄シラン化合物の移行、加水分解および縮合の3工程を経る。したがって、この方法では含硫黄シラン化合物と有機樹脂の反応性に注意する必要がある。
含硫黄シラン化合物の添加量としては、一般的に以下の式により計算することができる。
・添加量(g)=[無機材料の質量(g)×無機材料の比表面積(m/g)]/含硫黄シラン化合物の最小被覆面積(m/g)
なお、含硫黄シラン化合物の最小被覆面積は、以下の式により計算することができる。・最小被覆面積(m/g)=(6.02×1023×13×10-20)/含硫黄シラン化合物の分子量
なお、無機材料の比表面積が不明の場合、1質量%の含硫黄シラン化合物により処理し、次いで量を適宜増減して最適な結果が得られる量を見出すことにより求める。
無機材料としては、例えば、E-ガラス(比表面積0.1~0.12m/g)、マイカ(比表面積0.2~0.3m/g)、石英粉(比表面積1.0~2.0m/g)、ケイ酸カルシウム(比表面積1.0~3.0m/g)、磁性紛(比表面積1.0~3.0m/g)、炭酸カルシウム(比表面積2.0~5.0m/g)、クレイ(比表面積6.0~15.0m/g)、カオリン(比表面積7.0~30.0m/g)、タルク(比表面積830~20.0m/g)、合成シリカ(比表面積200.0~300.0m/g)などが挙げられる。
5.その他
上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物は、パワートレイン関係製品として、ハイブリッド・電気自動車用製品、ディーゼルエンジン関係製品、スタータ、オルタネータ、エンジン冷却製品、駆動系製品など自動車関係製品に適用することができる。
具体的には、例えば、
(1)タイヤのトレッド、カーカス、サイドウォール、インナーライナー、アンダートレッド、ベルト部などのタイヤ各部、
(2)外装のラジエータグリル、サイドモール、ガーニッシュ(ピラー、リア、カウルトップ)、エアロパーツ(エアダム、スポイラー)、ホイールカバー、ウェザーストリップ、カウベルトグリル、エアアウトレット・ルーバー、エアスクープ、フードバルジ、換気口部品、防触対策部品(オーバーフェンダー、サイドシールパネル、モール(ウインドー、フード、ドアベルト))、マーク類;ドア、ライト、ワイパーのウェザーストリップ、グラスラン、グラスランチャンネルなどの内装窓枠用部品、
(3)エアダクトホース、ラジエターホース、ブレーキホース、
(4)クランクシャフトシール、バルブステムシール、ヘッドカバーガスケット、A/Tオイルクーラーホース、ミッションオイルシール、P/Sホース、P/Sオイルシールなどの潤滑油系部品、
(5)燃料ホース、エミッションコントロールホース、インレットフィラーホース、ダイヤフラム類などの燃料系部品;エンジンマウント、インタンクポンプマウントなどの防振用部品、
(6)CVJブーツ、ラック&ピニオンブーツなどのブーツ類、
(7)A/Cホース、A/Cシールなどのエアコンデショニング用部品、
(8)タイミングベルト、補機用ベルトなどのベルト部品、
(9)ウィンドシールドシーラー、ビニルプラスチゾルシーラー、嫌気性シーラー、ボディシーラー、スポットウェルドシーラーなどのシーラー類などが挙げられる。
また、乗用車用エアコン、バス用エアコン、冷凍機などの空調関係製品に適用することができる。また、コンビネーションメータ、ヘッドアップディスプレイ、ボデー製品、リレーなどのボデー関係製品に適用することができる。また、車間制御クルーズ/プリクラッシュセーフティ/レーンキーピングアシストシステム、ステアリングシステム、灯火制御システム、エアバッグ関連センサ&ECU、ブレーキコントロールなどの走行安全関係製品に適用することができる。また、カーナビゲーションシステム、ETC、データ通信モジュール、CAN-Gateway ECUなどの情報通信関係製品に適用することができる。また、自動車部品、ホース、ベルト、シート、防振ゴム、ローラー、ライニング、ゴム引布、シール材、手袋、防舷材、医療用ゴム(シリンジガスケット、チューブ、カテーテル)、ガスケット(家電用、建築用)、アスファルト改質剤、ホットメルト接着剤、ブーツ類、グリップ類、玩具、靴、サンダル、キーパッド、ギア、ペットボトルキャプライナーなどのエラストマー、ゴム履物、ベルト、ホース、防振ゴム、ゴムロール、印刷用ブランケット、ゴム・樹脂ライニング、ゴム板(ゴムシート)、導電性ゴム製品、シーリング材、シート防水、ウレタン塗膜防水、土木用遮水シート、密封装置、押出ゴム製品、スポンジゴム製品、防舷材、建築用ガスケット、 免震ゴム、舗装用ゴムブロック、非金属チェーン、医療・衛生用ゴム製品、ゴム引布製品、ゴム・ビニール手袋に適用することができる。また、タッチパネル用耐指紋コーティング、金属表面用潤滑性コート、金属塗装用プライマーなどのコーティング剤に適用することができる。
上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物を塗料またはコーティング剤に適用することにより、接着性、耐候性、耐久性、耐摩耗性、耐薬品性を向上させることができるとともに、充填剤および顔料分散性を改善することができる。
また、上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物をガラス繊維強化樹脂に適用することにより、衝撃強度、耐水性、電気絶縁性および湿潤環境下における長期安定性を向上させることができる。また、強度保持能力および断熱マットの弾性力を改善することができる。さらにガラス繊維束のほつれを防止することができる。
また、上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物を印刷用インクに適用することにより、接着性および離型性を向上させることができるとともに、濡れ性を改善することができる。
また、上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物を熱可塑性樹脂に適用することにより、充填剤や顔料の分散性を改善することができるとともに、オレフィン樹脂などの架橋性を向上させることができる。また、高機能化や難燃性の付与も期待することができる。
上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物を有機材料または有機溶剤へ添加する場合、その添加量としては、一般的に0.2~2.0質量%とすることができる。
上記式(1)で表される化合物および/または式(2)で表される化合物をプライマーとして使用する場合、まず、アルコール系溶媒、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)の1~2%溶液を調製し、被着体に塗布することが好ましい。その後IPAを揮発させ、目的の接着剤またはコーティング材を塗布することが好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
1.調製例1:シリル基含有VNB(VNB-SSi)の合成
100mLの2口フラスコに玉栓および真空ラインを繋いだ3方コックを設置した。この2口フラスコにスターラーバーを入れ、真空ラインを用いてドライヤーで加熱しながら系内の脱気-窒素置換を10回繰り返し、常圧窒素雰囲気下とした。この2口フラスコ内に、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を38.65g(0.317モル)を入れた後、71.93gのトルエン溶媒を、シリンジを用いて注入した。その後、スターラーを用いて撹拌し5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を溶解させた。次に、シリンジを用いて、68.6g(0.288モル)の3-メルカプトプロピルトリエトキシシランを注入した。最後に0.4725g(2.88ミリモル)のアゾビスイソブチロニトリルを窒素を吹き込みながら添加した後、窒素バブリングを20分間行った。2口フラスコをオイルバスに浸漬し、オイルバスの温度を70℃になるまで徐々に上昇させて化学反応を進行させた。その後6時間化学反応を行った後に、2口フラスコをオイルバスからはずし、室温になるまで放置した。トルエンおよび未反応の5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を減圧留去した後、98.64g(収率95%)の目的のシリル基含有VNB(VNB-SSi)を得た。H-NMRおよび13C-NMRの測定により、シランの導入率は100%であり、ノルボルネン環の二重結合が消失していることを確認した。
Figure 2023134560000082
2.実施例1:含硫黄シラン化合物1の合成並びに含硫黄シラン化合物1と天然ゴムを含むゴム組成物およびゴムシートの調製と評価
(1)含硫黄シラン化合物1の合成
50mLの2口フラスコに、調製例1で得られたシリル基含有VNB(VNB-SSi)12.55g(0.035モル)、硫黄3.37g(0.105モル)、およびスターラーバーを入れ、玉栓、還流管を繋げた3方コックを設置した。その後、系内に10分間窒素を吹き込んで反応器内の空気を窒素に置換した。その後、2口フラスコをオイルバスに浸漬し、オイルバスの温度を160℃まで徐々に上昇させて化学反応を進行させた。その8時間化学反応を行った後に、2口フラスコをオイルバスからはずし、室温まで放置した。そして、15.50g(97%)の含硫黄シラン化合物1(黒褐色液体)を得た。得られた化合物のH-NMR測定結果を図1に示す。図1により、得られた化合物のビニル基の二重結合由来のピークが消失していることを確認した。
Figure 2023134560000083
[式中、y’は1~5の整数である。]、
および
Figure 2023134560000084
[式中、
Aは、以下の式:
Figure 2023134560000085
(式中、波線は、式(2”)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。)
を表し、
Eは、以下の式:
Figure 2023134560000086
(式中、波線は、Sとの結合部位を表す。)、または
式:
Figure 2023134560000087
(式中、波線は、Sxとの結合部位を表す。)
で表される置換基であり、
xは、それぞれ独立して、1~30の整数であり、
pは、0~30の整数であり、
mは、2~30の整数である。]
(2)実施例1-1
ゴム組成物およびゴムシートの調製
以下の各成分を100mLニーダー(東洋精機社製ラボプラストミル)を用いて混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物について160℃、15分間のプレス加硫を行いゴム組成物からなる厚さ1mmのゴムシートを得た。
・天然ゴム(RSS♯3) 100質量部
・含硫黄シラン化合物1(調製例2で合成) 3.2質量部
・シリカAQ(東ソー社製、商品名:ニップシールAQ) 40質量部
・酸化亜鉛3号(東邦亜鉛社製、商品名:銀嶺R) 3質量部
・ステアリン酸(新日本理化製、商品名:ステアリン酸300) 1質量部
・老化防止剤(大内新興化学社製、ノクラック224) 1質量部
・硫黄(細井化学社製、油処理硫黄) 2質量部
・加硫促進剤(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーCZ) 1質量部
・加硫促進剤(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーD) 0.5質量部
(3)実施例1-2
3.2質量部の含硫黄シラン化合物1のかわりに、1.6質量部の含硫黄シラン化合物1および1.6質量部のその他の含硫黄シラン化合物(エボニック社製、商品名:Si69)を用いた以外は実施例1-1と同様にしてゴム組成物およびゴムシートを得た。
(4)比較例1-1
3.2質量部の含硫黄シラン化合物1のかわりに、3.2質量部のその他の含硫黄シラン化合物(Si69)を用いた以外は実施例1-1と同様にしてゴム組成物およびゴムシートを得た。
(5)比較例1-2
3.2質量部の含硫黄シラン化合物1のかわりに、3.2質量部の5-(トリエトキシシリルメチル)-2-ノルボルネントリスルフィド(特開2001-261685号公報の段落0035の合成例2に記載された方法で合成される式(45):
Figure 2023134560000088
(45)
で表される化合物)を用いた以外は実施例1-1と同様にしてゴム組成物およびゴムシートを得た。
(6)物性評価
上記実施例1-1~1-2および比較例1-1~1-2で得られたおよびゴムシートの物性を下記の方法により評価した。
(JIS-A硬度)
実施例1-1~1-2または比較例1-1~1-2で得られたゴムシートを6枚重ね、JIS K6353(2012年発行)に準拠して、JIS-A硬度を測定した。
(粘弾性)
粘弾性測定装置(UBM社製REOGEL E-4000)を用い、JIS K 6394に準拠して、歪20μm、約0.1%、周波数10Hzの条件下において、実施例1-1~1-2または比較例1-1~1-2で得られたゴムシートの、測定温度0℃および60℃におけるtanδを求め、さらにこの値からtanδバランス(=tanδ(0℃)/tanδ(60℃))を算出した。
実施例1-1~1-2および比較例1-1~1-2について、上記の物性評価項目の測定結果(ただし、粘弾性における、tanδバランスはtanδ(0℃)およびtanδ(60℃)からの算出結果である。)を表1に表す。なお、tanδ(0℃)、tanδ(60℃)、tanδバランスは、それぞれ実施例1-1~1-2および比較例1-2については比較例1-1における値を100とした場合の相対値として記載した。
Figure 2023134560000089
実施例1-1~1-2で得られたゴムシートと、比較例1-1で得られたゴムシートを比較すると、tanδ(60℃)が比較例より低く、転がり抵抗抑制性能に優れることが分かる。またtanδバランスは実施例1-1~1-2で得られたゴムシートの方が高く、粘弾性に優れることが分かる。
3.実施例2:含硫黄シラン化合物1とスチレン-ブタジエンゴムを含むゴム組成物およびゴムシートの調製と評価
(1)実施例2-1
ゴム組成物およびゴムシートの調製
以下の各成分を100mLニーダー(東洋精機社製ラボプラストミル)を用いて混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物について160℃、30分間のプレス加硫を行いゴム組成物からなる厚さ1mmのゴムシートを得た。
・スチレン-ブタジエンゴム(日本ゼオン社製Nipol1502) 100質量部
・含硫黄シラン化合物1(調製例2で合成) 3.2質量部
・シリカAQ(東ソー社製、商品名:ニップシールAQ) 40質量部
・酸化亜鉛3号(東邦亜鉛社製、商品名:銀嶺R) 3質量部
・ステアリン酸(新日本理化製、商品名:ステアリン酸300) 1質量部
・老化防止剤(大内新興化学社製、ノクラック224) 1質量部
・硫黄(細井化学社製、油処理硫黄) 2質量部
・加硫促進剤(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーCZ) 1質量部
・加硫促進剤(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーD) 0.5質量部
(2)実施例2-2
3.2質量部の含硫黄シラン化合物1のかわりに、1.6質量部の含硫黄シラン化合物1および1.6質量部のその他の含硫黄シラン化合物(エボニック社製、商品名:Si69)を用いた以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物およびゴムシートを得た。
(4)比較例2-1
含硫黄シラン化合物1のかわりに、3.2質量部のその他の含硫黄シラン化合物(Si69)を用いた以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物およびゴムシートを得た。
(5)比較例2-2
3.2質量部の含硫黄シラン化合物1のかわりに、3.2質量部の5-(トリエトキシシリルメチル)-2-ノルボルネントリスルフィド(特開2001-261685号公報)を用いた以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物およびゴムシートを得た。
(6)物性評価
上記実施例2-1~2-2および比較例2-1~2-2で得られたゴムシートの物性(硬度および粘弾性)を実施例1(6)に記載された方法により測定した。
実施例2-1~2-2および比較例2-1~2-2について、上記の物性評価項目の測定結果(ただし、粘弾性における、tanδバランスはtanδ(0℃)およびtanδ(60℃)からの算出結果である。)を表2に表す。なお、tanδ(0℃)、tanδ(60℃)、tanδバランスは、それぞれ実施例2-1~2-2および比較例2-2については比較例2-1における値を100とした場合の相対値として記載した。
Figure 2023134560000090
実施例2-1~2-2で得られたゴムシートと、比較例2-1で得られたゴムシートを比較するとtanδ(0℃)が比較例より高く、ウェットグリップ性能に優れることが分かる。またtanδ(60℃)は比較例2-1より低く、転がり抵抗抑制性能に優れることが分かる。tanδバランスは実施例2-1~2-2で得られたゴムシートの方が高く、粘弾性に優れることが分かる。
4.実施例3:含硫黄シラン化合物1とスチレン-ブタジエンゴムおよびブタジエンゴムを含むゴム組成物およびゴムシートの調製と評価
(1)実施例3-1
ゴム組成物およびゴムシートの調製
以下の各成分を100mLニーダー(東洋精機社製ラボプラストミル)を用いて混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物について160℃、30分間のプレス加硫を行いゴム組成物からなる厚さ1mmのゴムシートを得た。
・スチレン-ブタジエンゴム(日本ゼオン社製Nipol1502) 70質量部
・ブタジエンゴム(宇部興産製UBEPOL BR150L) 30質量部
・含硫黄シラン化合物1(調製例2で合成) 3.2質量部
・シリカAQ(東ソー社製、商品名:ニップシールAQ) 40質量部
・酸化亜鉛3号(東邦亜鉛社製、商品名:銀嶺R) 3質量部
・ステアリン酸(新日本理化製、商品名:ステアリン酸300) 1質量部
・老化防止剤(大内新興化学社製、ノクラック224) 1質量部
・硫黄(細井化学社製、油処理硫黄) 2質量部
・加硫促進剤(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーCZ) 1質量部
・加硫促進剤(大内新興化学社製、商品名:ノクセラーD) 0.5質量部
(2)実施例3-2
3.2質量部の含硫黄シラン化合物1のかわりに、1.6質量部の含硫黄シラン化合物1および1.6質量部のその他の含硫黄シラン化合物(エボニック社製、商品名:Si69)を用いた以外は実施例3-1と同様にしてゴム組成物およびゴムシートを得た。
(4)比較例3-1
含硫黄シラン化合物1のかわりに、3.2質量部のその他の含硫黄シラン化合物(Si69)を用いた以外は実施例3-1と同様にしてゴム組成物およびゴムシートを得た。
(5)比較例3-2
3.2質量部の含硫黄シラン化合物1のかわりに、3.2質量部の5-(トリエトキシシリルメチル)-2-ノルボルネントリスルフィド(特開2001-261685号公報)を用いた以外は実施例3-1と同様にしてゴム組成物およびゴムシートを得た。
(6)物性評価
上記実施例3-1~3-2および比較例3-1~3-2で得られたゴムシートの物性(硬度および粘弾性)を実施例1(6)に記載された方法により測定した。
実施例3-1~3-2および比較例3-1~3-2について、上記の物性評価項目の測定結果(ただし、粘弾性における、tanδバランスはtanδ(0℃)およびtanδ(60℃)からの算出結果である。)を表3に表す。なお、tanδ(0℃)、tanδ(60℃)、tanδバランスは、それぞれ実施例3-1~3-2および比較例3-2については比較例3-1における値を100とした場合の相対値として記載した。
Figure 2023134560000091
実施例3-1~3-2で得られたゴムシートと、比較例3-1で得られたゴムシートを比較すると、tanδ(0℃)が比較例3-1より高く、ウェットグリップ性能に優れることが分かる。またtanδ(60℃)は比較例3-1より低く、転がり抵抗抑制性能に優れることが分かる。tanδバランスは実施例3-1~3-2で得られたゴムシートの方が高く、粘弾性に優れることが分かる。
これらの結果は、実施例で使用された含硫黄シラン化合物が有する、ゴムとの反応性が高いポリスルフィド、シリカとの反応性が高いシリル基、および極性の低い構造がシリカAQの分散およびゴムとの反応を促進したことによるものと考えられる。またポリスルフィドとシリル基との距離が短い5-(トリエトキシシリルメチル)-2-ノルボルネンとの比較から、適度な距離を有する方が、極性の低さとゴム分子中の適度な自由度を与え、シリカAQの分散およびゴムとの反応をより促進するものと考えられる。
5.実施例4:含硫黄シラン化合物1を含むシーリング材組成物の調製と評価
(1)実施例4-1
含硫黄シラン化合物1を、1成分形ウレタン系シーリング剤(ウレタンシールS700NB、セメダイン株式会社製)に、以下の表4に示す量で混合し、減圧乾燥機にて脱気し、組成物を得た。得られた組成物を、ガラス板(松波硝子工業株式会社、76mm×26mm×1.0mmのマイクロスライドガラス)に塗布し、室温で1週間放置、硬化させた。
(2)比較例4-1
1成分形ウレタン系シーリング剤(ウレタンシールS700NB、セメダイン株式会社製)を、ガラス板(松波硝子工業株式会社、マイクロスライドガラス76mm×26mm×1.0mm)に塗布し、室温で1週間放置、硬化させた。
(3)比較例4-2
1成分形ウレタン系シーリング剤(ウレタンシールS700NB、セメダイン株式会社製)に、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBE-403)を、以下の表4に示す量で混合して、減圧乾燥機にて脱気し、シーリング剤入り組成物を得た。得られたシーリング剤を、ガラス板(松波硝子工業株式会社、マイクロスライドガラス76mm×26mm×1.0mm)に塗布し、室温で1週間放置、硬化させた。
(4)物性評価
上記実施例4-1および比較例4-1~4-2で硬化させた組成物の接着力(N/m)を、それぞれJIS K6854-1に準拠して、90°剥離試験(引張速度300mm/分、室温)により測定した。結果を表4に示す。
Figure 2023134560000092
実施例4-1で得られた組成物と比較例4-1および4-2で得られた組成物とを比較すると、実施例4-1で得られた組成物の方が比較例4-1および4-2で得られた組成物よりも接着強度が大きいことがわかる。

Claims (22)

  1. 式(1):
    Figure 2023134560000093
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
    aは、0か1の整数であり、
    bは、0か1の整数であり、
    cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    eは、0~5の整数であり、
    、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
    、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
    16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくは、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、
    または
    16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]、あるいは、式(2):
    Figure 2023134560000094
    [式中、
    Aは、式(1-1):
    Figure 2023134560000095
    (式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
    aは、0か1の整数であり、
    bは、0か1の整数であり、
    cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    eは、0~5の整数であり、
    、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
    、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
    14、R15およびR18は水素原子であり、R16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、
    波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。)、または
    式(1-2):
    Figure 2023134560000096
    (式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    Lは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
    aは、0か1の整数であり、
    bは、0か1の整数であり、
    cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    eは、0~5の整数であり、
    、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
    、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
    12、R13およびR18は水素原子であり、
    16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、または、R16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、
    波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。)
    で表される2価の有機基であり、
    Eは、水素原子あるいは式(1-1-1):
    Figure 2023134560000097
    Figure 2023134560000098
    Figure 2023134560000099
    Figure 2023134560000100
    (式(1-1-1)、式(1-1-2)、式(1-2-1)および式(1-2-2)中、R~R18、Lおよびa~eは、式(1-1)または式(1-2)において記載した通りであり、
    波線は、Sとの結合部位を表す。)
    で表される置換基であり、
    xは、それぞれ独立して、1~30の整数であり、
    pは、0~30の整数であり、
    mは、2~30の整数である。]
    で表される、含硫黄シラン化合物。
  2. 式(3):
    Figure 2023134560000101
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    hは、1~10の整数であり、
    aは、0か1の整数であり、
    bは、0か1の整数であり、
    cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    eは、0~5の整数であり、
    、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
    、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
    16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、ここで、R12およびR13は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R14、R15およびR18は水素原子であり、若しくは、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子であり、
    または
    16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、ここで、R14およびR15は、原子数1~10の硫黄を介して互いに結合して環を形成し、かつ、R12、R13およびR18は水素原子である。]で表される、請求項1に記載の含硫黄シラン化合物。
  3. 式(4):
    Figure 2023134560000102
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    yは、1~10の整数である。]、または、
    式(5):
    Figure 2023134560000103
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    yは、1~10の整数である。]、または、
    式(18):
    Figure 2023134560000104
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    yは、1~10の整数である。]、または、
    式(19):
    Figure 2023134560000105
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    yは、1~10の整数である。]
    で表される、請求項1または2に記載の含硫黄シラン化合物。
  4. Aが、式(3-1):
    Figure 2023134560000106
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    hは、1~10の整数であり、
    aは、0か1の整数であり、
    bは、0か1の整数であり、
    cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    eは、0~5の整数であり、
    、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
    、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
    14、R15およびR18は水素原子であり、R16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、
    波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または、
    式(3-2):
    Figure 2023134560000107
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    hは、1~10の整数であり、
    aは、0か1の整数であり、
    bは、0か1の整数であり、
    cは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    dは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    eは、0~5の整数であり、
    、R、RおよびRは、水素を表し、または、R若しくはRおよびR若しくはRの1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、fは、1~5の整数であり、
    、R、R10およびR11は、水素を表し、または、R若しくはRおよびR10若しくはR11の1つが、-(CH-で表される架橋構造を形成してもよく、gは、1~5の整数であり、
    12、R13およびR18は水素原子であり、
    16は、水素原子、メチル基または炭素数2~8のアルキル基であり、かつ、R17は、水素原子、メチル基または炭素数2~10のアルキル基であり、または、R16およびR17は、互いに結合して4~9員の脂環式炭化水素を形成してもよく、
    波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]
    で表される2価の有機基である、請求項1に記載の含硫黄シラン化合物。
  5. Aが、式(4-1):
    Figure 2023134560000108
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または
    式(5-1):
    Figure 2023134560000109
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または
    式(18-1):
    Figure 2023134560000110
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]、または
    式(19-1):
    Figure 2023134560000111
    [式中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい炭化水素基、あるいは水素原子を表し、
    波線は、式(2)で表される含硫黄シラン化合物における主鎖との結合部位を表す。]
    で表される2価の有機基である、請求項1または4に記載の含硫黄シラン化合物。
  6. Si基が、式(6):
    Figure 2023134560000112
    [式中、
    19は、それぞれ独立して、アルコキシ基または1以上のアルキル基で置換されたアミノ基であり、
    20は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基であり、
    は、それぞれ独立して、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
    jは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    kは、1~3の整数であり、
    アスタリスク(*)は、前記含硫黄シラン化合物のシリル基以外の部分と結合している部位を示す。]
    の化学構造を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の含硫黄シラン化合物。
  7. Si基がトリエトキシシリル基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の含硫黄シラン化合物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の含硫黄シラン化合物、および該含硫黄シラン化合物と反応し得るポリマーを含んでなる、組成物。
  9. 前記ポリマーが、ガラス転移点が25℃以下のエラストマーであり、かつ無機材料をさらに含んでなる、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記ガラス転移点が25℃以下のエラストマーが、天然ゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソプレンゴム、ハロゲン化イソブチレンコポリマー、クロロプレンゴム、ブチルゴム及びハロゲン化イソブチレン-p-メチルスチレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物をさらに含んでなる、請求項9または10に記載の組成物。
  12. 前記式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物が、式(7):
    Figure 2023134560000113
    [式中、
    tおよびvは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、
    uは、2~10の整数であり、
    qおよびrは、それぞれ独立して、1~3の整数であり、
    wおよびzは、それぞれ独立して、0か1の整数であり、
    およびLは、それぞれ独立して、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、
    21およびR23は、それぞれ独立して、アルコキシ基または1以上のアルキル基で置換されたアミノ基であり、
    22およびR24は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基である。]で表される含硫黄シラン化合物である、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記組成物における前記含硫黄シラン化合物の含有量の総量が、前記エラストマー100質量部に対して、0.1~30質量部である、請求項9~12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 前記組成物における前記含硫黄シラン化合物の含有量の総量に対する、前記組成物における前記式(1)または式(2)で表される化合物以外の含硫黄シラン化合物の含有量の割合が、質量基準で0.1~0.9である、請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 請求項9~14のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、前記含硫黄シラン化合物、前記エラストマー、および前記無機材料を混練する工程を含んでなる、方法。
  16. さらに加硫剤を混練する工程を含んでなる、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項9~14のいずれか一項に記載の組成物の架橋物。
  18. 請求項9~14のいずれか一項に記載の組成物を押出す工程、押し出された組成物を成形する工程、および成形された組成物を架橋する工程を含んでなる、架橋物の製造方法。
  19. 請求項17に記載の架橋物を含んでなる、タイヤ。
  20. 前記ポリマーがシーリング性ポリマーまたは接着剤である、請求項8に記載の組成物。
  21. 前記組成物における前記含硫黄シラン化合物の含有量が、前記組成物100質量部に対して、0.1~30質量部である、請求項20に記載の組成物。
  22. 無機材料の表面に、請求項1~7のいずれか一項に記載の含硫黄シラン化合物を接触させる工程を含んでなる、無機材料の表面処理方法。
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