JP2023128139A - エアバッグシステム、物体保護方法及びプログラム - Google Patents

エアバッグシステム、物体保護方法及びプログラム Download PDF

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賢二 小森
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憲有 岡村
Kenyu Okamura
修 伊藤
Osamu Ito
宏幸 浅沼
Hiroyuki Asanuma
惠珍 ▲裴▼
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Abstract

Figure 2023128139000001
【課題】ポテンシャルエネルギを変化可能なエアバッグ装置およびエアバッグシステムを提供する。
【解決手段】エアバッグシステムは、車両の車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な左側第1チャンバと、前記左側第1チャンバ上にて展開可能な左側第2チャンバと、前記車両の車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な右側第1チャンバと、前記右側第1チャンバ上にて展開可能な右側第2チャンバと、前記車両の周辺に存在するリスク物体を認識する認識部と、前記リスク物体と前記車両との衝突を予測する予測部と、前記予測部の予測に基づいて、前記左側第1チャンバ、前記左側第2チャンバ、前記右側第1チャンバ、及び前記右側第2チャンバの展開制御を行う展開制御部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、エアバッグシステム、物体保護方法及びプログラムに関する。
例えば、特許文献1には、車両のフロントピラー上面やフロントピラー外側面を外面から覆うエアバッグ装置が開示されている。特許文献1に開示されたエアバッグ装置によれば、歩行者やサイクリスト等の保護対象が車両に衝突した際の衝撃を緩和することができる。
特開2020-157839号公報
特許文献1に開示されたエアバッグ装置でも保護対象への衝撃を大きく緩和することができる。しかしながら、さらに衝突時の保護対象への負荷を低減させることが望ましい。例えば、歩行者とサイクリストとは、一般的に進行速度が異なる。また、例えば、ライダーは、歩行者よりも進行速度が極めて速い。衝突時の保護対象の速度が異なると、衝突エネルギも変化する。したがって、進行速度が速い保護対象への負荷をさらに低減させるためには、保護対象の種類或いは速度に応じて、エアバッグ装置におけるポテンシャルエネルギを変化させられることが好ましい。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、ポテンシャルエネルギを変化可能なエアバッグシステム、物体保護方法及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
この発明に係るエアバッグシステム、物体保護方法及びプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係るエアバッグシステムは、車両の車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な左側第1チャンバと、前記左側第1チャンバ上にて展開可能な左側第2チャンバと、前記車両の車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な右側第1チャンバと、前記右側第1チャンバ上にて展開可能な右側第2チャンバと、前記車両の周辺に存在するリスク物体を認識する認識部と、前記リスク物体と前記車両との衝突を予測する予測部と、前記予測部の予測に基づいて、前記左側第1チャンバ、前記左側第2チャンバ、前記右側第1チャンバ、及び前記右側第2チャンバの展開制御を行う展開制御部と、を備えるエアバッグシステムである。
(2):上記(1)の態様において、前記予測部が前記車両における前記リスク物体の衝突位置を予測した場合に、前記展開制御部は、前記衝突位置が前記車両の車幅方向に関して左側である場合には、前記左側第1チャンバのみ、或いは前記左側第1チャンバ及び前記左側第2チャンバを展開し、前記衝突位置が前記車両の車幅方向に関して右側である場合には、前記右側第1チャンバのみ、或いは前記右側第1チャンバ及び前記右側第2チャンバを展開する、ものである。
(3):上記(2)の態様において、前記認識部が前記リスク物体として歩行者を認識し、前記予測部が前記歩行者と前記車両との衝突を予測した場合に、前記展開制御部は、前記車両の速度が第1速度域にある場合には、前記衝突位置に応じて、前記左側第1チャンバ或いは前記右側第1チャンバを展開し、前記車両の速度が前記第1速度域よりも高速側の第2速度域にある場合には、前記衝突位置に応じて、前記左側第1チャンバ及び前記左側第2チャンバの両方、或いは、前記右側第1チャンバ及び前記右側第2チャンバの両方を展開する、ものである。
(4):上記(2)または(3)の態様において、前記認識部が前記リスク物体として歩行者を認識した場合に、前記予測部は、前記歩行者が前記車両と衝突すると予測される場合に、前記歩行者の体格情報と前記車両の速度とに基づいて前記歩行者の頭部が前記車両と衝突する時刻を予測し、前記展開制御部は、前記時刻に合わせて前記展開制御を行う、ものである。
(5):上記(4)の態様において、前記予測部は、前記歩行者の頭部位置が高いほど前記頭部が前記車両と衝突する時刻を遅く予測し、前記車両の速度が速いほど前記頭部が前記車両と衝突する時刻を早く予測する、ものである。
(6):上記(2)から(5)のうちいずれかの態様において、前記認識部が前記リスク物体として歩行者を認識し、前記予測部が予測した前記車両における前記リスク物体の衝突位置が予め設定された車幅方向における中央範囲である、場合に、前記展開制御部は、少なくとも前記左側第1チャンバと前記右側第1チャンバとを展開する、ものである。
(7):上記(2)の態様において、身体が外部に露出された状態で人が乗車する他車両を前記認識部が前記リスク物体として認識し、前記予測部が前記他車両と前記車両との衝突を予測した場合に、前記展開制御部は、前記衝突位置に応じて、前記左側第1チャンバ及び前記左側第2チャンバ、或いは、前記右側第1チャンバ及び前記右側第2チャンバを展開する、ものである。
(8):上記(2)または(7)の態様において、身体が外部に露出された状態で人が乗車する他車両を前記認識部が前記リスク物体として認識した場合に、前記予測部は、前記他車両が前記車両と衝突すると予測される場合に、前記他車両に乗車している人の頭部位置と、前記車両に対する前記他車両の相対速度と、に基づいて前記他車両に乗車している人の頭部が前記車両と衝突する時刻を予測し、前記展開制御部は、前記時刻に合わせて前記展開制御を行う、ものである。
(9):上記(8)の態様において、前記予測部は、前記頭部位置が高いほど前記頭部が前記車両と衝突する時刻を遅く予測し、前記相対速度が速いほど前記頭部が前記車両と衝突する時刻を早く予測する、ものである。
(10):上記(1)から(9)のうちいずれかの態様において、前記展開制御部は、前記左側第1チャンバが展開されている場合に、前記左側第1チャンバに前記リスク物体が接触するタイミングに合わせて前記左側第1チャンバの内圧を減少させ、前記右側第1チャンバが展開されている場合に、前記右側第1チャンバに前記リスク物体が接触するタイミングに合わせて前記右側第1チャンバの内圧を減少させる、ものである。
(11):上記(1)から(10)のうちいずれかの態様において、前記予測部が前記車両に衝突する前記リスク物体が複数あると予測した場合、或いは、前記予測部が前記車両における前記リスク物体の衝突位置が予測できない場合には、前記展開制御部は、少なくとも前記左側第1チャンバと前記右側第1チャンバとを展開する、ものである。
(12):この発明の一態様に係る物体保護方法は、車両の周辺状況を認識し、認識されたリスク物体と前記車両との衝突を予測し、予測に基づいて、前記車両の車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な左側第1チャンバと、前記左側第1チャンバ上にて展開可能な左側第2チャンバと、前記車両の車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な右側第1チャンバと、前記右側第1チャンバ上にて展開可能な右側第2チャンバと、の展開制御を行う、物体保護方法である。
(13):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、車両の周辺に存在するリスク物体を認識させ、前記リスク物体と前記車両との衝突を予測させ、予測に基づいて、前記車両の車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な左側第1チャンバと、前記左側第1チャンバ上にて展開可能な左側第2チャンバと、前記車両の車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な右側第1チャンバと、前記右側第1チャンバ上にて展開可能な右側第2チャンバと、の展開制御を行わせる、プログラムである。
(1)から(13)の態様によれば、左側第1チャンバ、左側第2チャンバ、右側第1チャンバ、および右側第2チャンバを選択的に展開することにより、ポテンシャルエネルギを変化させることができる。
実施形態に係るエアバッグ装置50およびエアバッグシステム200を含む車両システム1の一例を示す機能ブロック図である。 左側第1チャンバ51のみが展開された様子を示す車両Mの部分斜視図である。 左側第1チャンバ51と左側第2チャンバ52とが展開された様子を示す車両Mの部分斜視図である。 右側第1チャンバ53のみが展開された様子を示す車両Mの部分斜視図である。 右側第1チャンバ53と右側第2チャンバ54とが展開された様子を示す車両Mの斜視図である。 左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とが展開された様子を示す車両Mの斜視図である。 実施形態に係るエアバッグ装置50の模式的な斜視図である。 実施形態に係るエアバッグ装置50の模式的な分解斜視図である。 エアバッグ装置50をフロントガラスGの法線方向から見た模式図である。 リスク物体が歩行者P1である場合の接触判定部120について説明するための図である。 リスク物体が自転車C1である場合の接触判定部120について説明するための図である。 左側第1チャンバ51のみを展開する場合のガスの流れを示す模式図である。 左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52を展開する場合のガスの流れを示す模式図である。 展開された左側第1チャンバ51の内部のガスをエアバッグ装置50の外部に排気する場合のガスの流れを示す模式図である。 右側第1チャンバ53のみを展開する場合のガスの流れを示す模式図である。 右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開する場合のガスの流れを示す模式図である。 展開された右側第1チャンバ53の内部のガスをエアバッグ装置50の外部に排気する場合のガスの流れを示す模式図である。 左側第1チャンバ51および右側第1チャンバ53を展開する場合のガスの流れを示す模式図である。 実施形態に係るエアバッグ装置50の展開制御のための処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。 実施形態に係るエアバッグ装置50の展開制御のための処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。 実施形態に係るエアバッグ装置50の展開制御のための処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。 実施形態に係るエアバッグ装置50の変形例の模式的な分解斜視図である。
以下、図面を参照し、本発明のエアバッグ装置およびエアバッグシステムの実施形態について説明する。なお、以下では、エアバッグ装置およびエアバッグシステムは、フロントピラーを備える車両に搭載される。車両は、三輪または四輪等の車両、二輪車、マイクロモビリティ等を含み、人が搭乗するあらゆる車両を含んでよい。以下に説明する実施形態では、車両は四輪車両であるものとし、エアバッグ装置およびエアバッグシステムが搭載された車両を車両Mと称する。
[車両システム]
図1は、車両Mに搭載された車両システム1の一例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、車両システム1は、実施形態に係るエアバッグ装置50およびエアバッグシステム200を備える。車両システム1が搭載される車両Mは、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関を動力源とした自動車、電動機を動力源とした電気自動車、または内燃機関および電動機を兼ね備えたハイブリッド自動車のいずれでもよい。また、以下の説明において、前後、左右および上下の向きは、車両の前後、左右および上下の向きに相当するものとし、左右方向を車幅方向または横方向と称する場合があるものとする。
図1に示すように、車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、車両センサ40と、エアバッグ装置50と、制御装置100と、を備える。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載された車両(以下、車両M)の任意の箇所に取り付けられる。車両Mの前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面、車体の前頭部等に取り付けられる。後方を撮像する場合、カメラ10は、リアウインドシールド上部やバックドア等に取り付けられてよいし、ドアミラー等に取り付けられてもよい。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
レーダ装置12は、車両Mの周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、周辺の物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
LIDAR14は、車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
車両センサ40は、例えば、接触センサ42を備える。接触センサ42は、車両Mと物体との接触を検知するセンサである。接触センサ42は、例えば、車体の少なくとも前方に設けられている。また、接触センサ42は、後方、または側方の任意の位置に設けられてもよい。接触センサ42は、車体への荷重を検出し、検出した荷重の検出値を出力する。接触センサ42は、例えば圧力センサを用いてよい。
また、車両センサ40は、接触センサ42に加えて、車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、ヨーレート(例えば、車両Mの重心点を通る鉛直軸回りの回転角速度)を検出するヨーレートセンサ、車両Mの向きを検出する方位センサ等を含んでいてもよい。また、車両センサ40は、車両Mの位置を検出する位置センサを含んでいてもよい。位置センサは、例えば、GPS(Global Positioning System)装置から位置情報(経度・緯度情報)を取得するセンサである。また、位置センサは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を用いて位置情報を取得するセンサであってもよい。
[エアバッグ装置]
エアバッグ装置50は、車両Mと接触した物体(例えば、歩行者、サイクリストおよびライダー)の負荷を軽減させる車外用エアバッグ装置である。図1に示すように、エアバッグ装置50は、左側第1チャンバ51と、左側第2チャンバ52と、右側第1チャンバ53と、右側第2チャンバ54とを備えている。
図2は、左側第1チャンバ51のみが展開された様子を示す車両Mの部分斜視図である。また、図3は、左側第1チャンバ51と左側第2チャンバ52とが展開された様子を示す車両Mの部分斜視図である。図4は、右側第1チャンバ53のみが展開された様子を示す車両Mの部分斜視図である。図5は、右側第1チャンバ53と右側第2チャンバ54とが展開された様子を示す車両Mの斜視図である。図6は、左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とが展開された様子を示す車両Mの斜視図である。これらの図に示すように、エアバッグ装置50は、左側第1チャンバ51と、左側第2チャンバ52と、右側第1チャンバ53と、右側第2チャンバ54とを選択的に展開することができる。
図2~図6に示すように、車両Mは、フロントガラスGの左側に位置する左側フロントピラーPLと、フロントガラスGの右側に位置する右側フロントピラーPRとを備えている。また、車両Mは、フロントガラスGの前方に位置するフードHDを備えている。左側フロントピラーPLおよび右側フロントピラーPRは、前端から後端に向かうに連れて上方に向かうように鉛直方向に対して傾斜して延伸されている。
左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54は、ガスが供給された場合には、左側フロントピラーPL或いは右側フロントピラーPRを外側から覆うように展開される。また、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54は、ガスが供給された場合には、フードHDの後端部H1の外表面を覆うように展開される。ただし、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54は、展開時にフードHDの後端部H1の外表面を覆わなくてもよい。
図7~図9を参照して、エアバッグ装置50の詳細な構造について説明する。図7は、エアバッグ装置50の模式的な斜視図である。図8は、エアバッグ装置50の分解斜視図である。図7および図8に示すように、エアバッグ装置50は、左側第1チャンバ51と、左側第2チャンバ52と、右側第1チャンバ53と、右側第2チャンバ54と、ガス供給ユニット60とを備えている。図7および図8は、説明の便宜上、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54の全てが展開された状態を示している。これらの左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54は、展開用のガスが供給されることによって膨張して展開される袋体である。左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54は、エアバッグ装置50が作動される前においては萎んでおり、例えば車両MのフードHDの下方に収容されている。
左側第1チャンバ51は、車両Mの車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーPLの外表面を覆うように展開可能である。左側第1チャンバ51は、左側ピラー被覆部51aと、フード被覆部51bとを有している。左側ピラー被覆部51aは、展開時の左側第1チャンバ51において、左側フロントピラーPLの延伸方向に沿って車両Mの前後方向に延伸する。左側ピラー被覆部51aは、左側第1チャンバ51が展開された場合に、左側フロントピラーPLの外表面を覆う。
フード被覆部51bは、展開時の左側第1チャンバ51において、左側ピラー被覆部51aの前端部から右側に向けて延出する。フード被覆部51bは、左側第1チャンバ51が展開された場合に、フードHDの後端部H1の左側の部分の外表面を覆う。また、フード被覆部51bは、ガス供給ユニット60と接続される接続部51cを有する。図8に示すように、接続部51cの右側の側面には、左側第1チャンバ51にガスを導入するためのガス導入開口51dが設けられている。
左側第2チャンバ52は、左側第1チャンバ51上に位置しており、左側第1チャンバ51上にて展開可能である。左側第2チャンバ52は、左側ピラー被覆部52aと、フード被覆部52bとを有している。左側ピラー被覆部52aは、展開時の左側第2チャンバ52において、左側フロントピラーPLの延伸方向に沿って車両Mの前後方向に延伸する。左側ピラー被覆部52aは、左側第2チャンバ52が展開された場合に、左側第1チャンバ51の左側ピラー被覆部51a上に位置する。
フード被覆部52bは、展開時の左側第2チャンバ52において、左側ピラー被覆部52aの前端部から右側に向けて延出する。フード被覆部52bは、左側第2チャンバ52が展開された場合に、フードHDの後端部H1の左側の部分を外側から覆う。また、フード被覆部52bは、ガス供給ユニット60と接続される接続部52cを有する。図8に示すように、接続部52cの下面には、左側第2チャンバ52にガスを導入するためのガス導入開口52dが設けられている。
図9は、エアバッグ装置50をフロントガラスGの法線方向から見た模式図である。図9に示すように、前後方向に関して、左側第1チャンバ51の前端の位置は、左側第2チャンバ52の前端の位置と合っている。一方で、前後方向に関して、左側第1チャンバ51の後端の位置は、左側第2チャンバ52の後端の位置よりも後方に位置する。この結果、前後方向(左側フロントピラーPLの延伸方向に沿った方向)に関し、展開時の左側第2チャンバ52の長さL2は、展開時の左側第1チャンバ51の長さL1よりも小さい。
また、図9に示すように、展開時の左側第2チャンバ52の左側ピラー被覆部52aは、展開時の左側第1チャンバ51の左側ピラー被覆部51aに対して、車幅方向に関して右側に位置する。また、展開時の左側第2チャンバ52のフード被覆部52bの後縁は、展開時の左側第1チャンバ51のフード被覆部51bの後縁よりも後方に位置する。つまり、展開時の左側第2チャンバ52は、展開時の左側第1チャンバ51よりも車両Mの中央側に位置する。
右側第1チャンバ53は、車両Mの車幅方向に関しての右側に位置する右側フロントピラーPRの外表面を覆うように展開可能である。右側第1チャンバ53は、右側ピラー被覆部53aと、フード被覆部53bとを有している。右側ピラー被覆部53aは、展開時の右側第1チャンバ53において、右側フロントピラーPRの延伸方向に沿って車両Mの前後方向に延伸する。右側ピラー被覆部53aは、右側第1チャンバ53が展開された場合に、右側フロントピラーPRの外表面を覆う。
フード被覆部53bは、展開時の右側第1チャンバ53において、右側ピラー被覆部53aの前端部から左側に向けて延出する。フード被覆部53bは、右側第1チャンバ53が展開された場合に、フードHDの後端部H1の右側の部分の外表面を覆う。また、フード被覆部51bは、ガス供給ユニット60と接続される接続部53cを有する。図8に示すように、接続部53cの左側の側面には、右側第1チャンバ53にガスを導入するためのガス導入開口53dが設けられている。
右側第2チャンバ54は、右側第1チャンバ53上に位置しており、右側第1チャンバ53上にて展開可能である。右側第2チャンバ54は、右側ピラー被覆部54aと、フード被覆部54bとを有している。右側ピラー被覆部54aは、展開時の右側第2チャンバ54において、右側フロントピラーPRの延伸方向に沿って車両Mの前後方向に延伸する。右側ピラー被覆部54aは、右側第2チャンバ54が展開された場合に、右側第1チャンバ53の右側ピラー被覆部53a上に位置する。
フード被覆部54bは、展開時の右側第2チャンバ54において、右側ピラー被覆部54aの前端部から左側に向けて延出する。フード被覆部54bは、右側第2チャンバ54が展開された場合に、フードHDの後端部H1の右側の部分を外側から覆う。また、フード被覆部54bは、ガス供給ユニット60と接続される接続部54cを有する。図8に示すように、接続部54cの下面には、右側第2チャンバ54にガスを導入するためのガス導入開口54dが設けられている。
図9に示すように、前後方向に関して、右側第1チャンバ53の前端の位置は、右側第2チャンバ54の前端の位置と合っている。一方で、前後方向に関して、右側第1チャンバ53の後端の位置は、右側第2チャンバ54の後端の位置よりも後方に位置する。この結果、前後方向(右側フロントピラーPRの延伸方向に沿った方向)に関し、展開時の右側第2チャンバ54の長さL4は、展開時の右側第1チャンバ53の長さL3よりも小さい。
また、図9に示すように、展開時の右側第2チャンバ54の右側ピラー被覆部54aは、展開時の右側第1チャンバ53の右側ピラー被覆部53aに対して、車幅方向に関して左側に位置する。また、展開時の右側第2チャンバ54のフード被覆部54bの後縁は、展開時の右側第1チャンバ53のフード被覆部53bの後縁よりも後方に位置する。つまり、展開時の右側第2チャンバ54は、展開時の右側第1チャンバ53よりも車両Mの中央側に位置する。
ガス供給ユニット60は、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54に対して選択的に展開用のガスを供給する。図8に示すように、ガス供給ユニット60は、インフレータ収容チャンバ61と、第1インフレータ62(第1ガス供給部)と、第2インフレータ63(第2ガス供給部)と、第1接続チャンバ64(第1接続部)と、第2接続チャンバ65(第2接続部)と、左側第1チャンバ展開用開閉弁66(第1開閉弁)と、左側第2チャンバ展開用開閉弁67(第4開閉弁)と、右側第1チャンバ展開用開閉弁68(第3開閉弁)と、右側第2チャンバ展開用開閉弁69(第2開閉弁)と、第1外部連通部70と、第2外部連通部71と、を備えている。
インフレータ収容チャンバ61は、第1インフレータ62と第2インフレータ63とを収容するチャンバである。インフレータ収容チャンバ61は、形状が固定されていてもよい。また、インフレータ収容チャンバ61は、第1インフレータ62或いは第2インフレータ63から噴射されたガスによって展開される袋体であってもよい。
インフレータ収容チャンバ61は、外殻部61aと、外殻部61aの内部空間に配置された隔壁部61bとを有している。隔壁部61bは、外殻部61aの内部空間を左右方向に分離する。つまり、外殻部61aの内部には、隔壁部61bによって区画された第1インフレータ収容空間61cと、第2インフレータ収容空間61dとが設けられている。第1インフレータ収容空間61cには、第1インフレータ62が収容される。第2インフレータ収容空間61dには、第2インフレータ63が収容される。第1インフレータ収容空間61cは、第2インフレータ収容空間61dの左側に位置する。つまり、第2インフレータ収容空間61dは、第1インフレータ収容空間61cの右側に位置する。
外殻部61aには、左側第1チャンバ51に連通する左側第1チャンバ連通開口61eと、第1接続チャンバ64に連通する第1接続チャンバ連通開口61fと、外部空間に連通する第1外部連通開口61gと、右側第1チャンバ53に連通する右側第1チャンバ連通開口61hと、第2接続チャンバ65に連通する第2接続チャンバ連通開口61iと、外部空間に連通する第2外部連通開口61jと、が設けられている。
左側第1チャンバ連通開口61eは、外殻部61aの左側壁に設けられている。外殻部61aの左側壁は、左側第1チャンバ51の接続部51cに固定されている。左側第1チャンバ連通開口61eは、接続部51cに設けられたガス導入開口51dに連通している。この左側第1チャンバ連通開口61eは、第1インフレータ収容空間61cと、左側第1チャンバ51の内部空間とを接続する。
第1接続チャンバ連通開口61fは、外殻部61aの上壁の隔壁部61bより左側の部位に設けられている。外殻部61aの上壁の隔壁部61bより左側の部位は、第1接続チャンバ64に固定されている。第1接続チャンバ連通開口61fは、第1接続チャンバ64に設けられた後述の下側連通開口64aに連通している。この第1接続チャンバ連通開口61fは、第1インフレータ収容空間61cと、第1接続チャンバ64の内部空間とを接続する。
第1外部連通開口61gは、外殻部61aの底壁の隔壁部61bより左側の部位に設けられている。外殻部61aの底壁部の下面は露出されている。この第1外部連通開口61gは、第1インフレータ収容空間61cと外部空間とを接続する。
右側第1チャンバ連通開口61hは、外殻部61aの右側壁に設けられている。外殻部61aの右側壁は、右側第1チャンバ53の接続部53cに固定されている。右側第1チャンバ連通開口61hは、接続部53cに設けられたガス導入開口53dに連通している。この右側第1チャンバ連通開口61hは、第2インフレータ収容空間61dと、右側第1チャンバ53の内部空間とを接続する。
第2接続チャンバ連通開口61iは、外殻部61aの上壁の隔壁部61bより右側の部位に設けられている。外殻部61aの上壁の隔壁部61bより右側の部位は、第2接続チャンバ65に固定されている。第2接続チャンバ連通開口61iは、第2接続チャンバ65に設けられた後述の下側連通開口65aに連通している。この第2接続チャンバ連通開口61iは、第2インフレータ収容空間61dと、第2接続チャンバ65の内部空間とを接続する。
第2外部連通開口61jは、外殻部61aの底壁の隔壁部61bより右側の部位に設けられている。外殻部61aの底壁部の下面は露出されている。この第2外部連通開口61jは、第1インフレータ収容空間61cと外部空間とを接続する。
第1インフレータ62は、インフレータ収容チャンバ61の第1インフレータ収容空間61cに位置する。第2インフレータ63は、インフレータ収容チャンバ61の第2インフレータ収容空間61dに位置する。第1インフレータ62および第2インフレータ63は、制御装置100の制御の下、所定のタイミングでガスを噴射する。左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54は、このガスが供給されることで、膨張する。つまり、第1インフレータ62から噴射されるガスおよび第2インフレータ63から噴射されるガスは、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54を展開させる展開用のガスである。
実施形態では、第1インフレータ62から噴射されたガスは、左側第1チャンバ51と右側第2チャンバ54とのいずれかに供給される。制御装置100によって、左側第1チャンバ展開用開閉弁66と右側第2チャンバ展開用開閉弁69との開閉状態が選択される。これによって、第1インフレータ62から噴射されたガスが左側第1チャンバ51と右側第2チャンバ54とのいずれかに供給されるかが決定される。例えば、左側第1チャンバ展開用開閉弁66が開放状態となり、右側第2チャンバ展開用開閉弁69が閉鎖状態となることで、第1インフレータ62から噴射されたガスは、左側第1チャンバ51に流入する。また、左側第1チャンバ展開用開閉弁66が閉鎖状態となり、右側第2チャンバ展開用開閉弁69が開放状態となることで、第1インフレータ62から噴射されたガスは、右側第2チャンバ54に流入する。
実施形態では、第2インフレータ63から噴射されたガスは、左側第2チャンバ52と右側第1チャンバ53とのいずれかに供給される。制御装置100によって、左側第2チャンバ展開用開閉弁67と右側第1チャンバ展開用開閉弁68との開閉状態が選択される。これによって、第2インフレータ63から噴射されたガスが左側第2チャンバ52と右側第1チャンバ53とのいずれかに供給されるかが決定される。例えば、左側第2チャンバ展開用開閉弁67が開放状態となり、右側第1チャンバ展開用開閉弁68が閉鎖状態となることで、第2インフレータ63から噴射されたガスは、左側第2チャンバ52に流入する。また、左側第2チャンバ展開用開閉弁67が閉鎖状態となり、右側第1チャンバ展開用開閉弁68が開放状態となることで、第2インフレータ63から噴射されたガスは、右側第1チャンバ53に流入する。
第1接続チャンバ64は、インフレータ収容チャンバ61と右側第2チャンバ54とを接続する。第1接続チャンバ64は、インフレータ収容チャンバ61の上壁の隔壁部61bよりも左側の部位に上方から固定されている。また、第1接続チャンバ64は、右側第2チャンバ54の接続部54cに下方から接続されている。この第1接続チャンバ64は、形状が固定されていてもよい。また、第1接続チャンバ64は、は、第1インフレータ62から噴射されたガスによって展開される袋体であってもよい。
第1接続チャンバ64の底部には、下側連通開口64aが設けられている。下側連通開口64aは、インフレータ収容チャンバ61の第1接続チャンバ連通開口61fと接続されている。これらの下側連通開口64aと第1接続チャンバ連通開口61fとが接続されることで、インフレータ収容チャンバ61の第1インフレータ収容空間61cと第1接続チャンバ64の内部空間とが連通される。
下側連通開口64aと第1接続チャンバ連通開口61fとの接続箇所には、後述するように、右側第2チャンバ展開用開閉弁69が設けられている。つまり、第1接続チャンバ64には、右側第2チャンバ展開用開閉弁69が設けられている。
また、第1接続チャンバ64の天井部には、上側連通開口64bが設けられている。第1接続チャンバ64の天井部は、右側第2チャンバ54の接続部54cと固定されている。上側連通開口64bは、接続部54cに設けられたガス導入開口54dに接続されている。これらの上側連通開口64bとガス導入開口54dとが接続されることで、第1接続チャンバ64の内部空間と右側第2チャンバ54の内部空間とが連通される。
第2接続チャンバ65は、インフレータ収容チャンバ61と左側第2チャンバ52とを接続する。第2接続チャンバ65は、インフレータ収容チャンバ61の上壁の隔壁部61bよりも右側の部位に上方から固定されている。また、第2接続チャンバ65は、左側第2チャンバ52の接続部52cに下方から接続されている。この第2接続チャンバ65は、形状が固定されていてもよい。また、第2接続チャンバ65は、は、第2インフレータ63から噴射されたガスによって展開される袋体であってもよい。
第2接続チャンバ65の底部には、下側連通開口65aが設けられている。下側連通開口65aは、インフレータ収容チャンバ61の第2接続チャンバ連通開口61iと接続されている。これらの下側連通開口65aと第2接続チャンバ連通開口61iとが接続されることで、インフレータ収容チャンバ61の第2インフレータ収容空間61dと第2接続チャンバ65の内部空間とが連通される。
下側連通開口65aと第2接続チャンバ連通開口61iとの接続箇所には、後述するように、左側第2チャンバ展開用開閉弁67が設けられている。つまり、第2接続チャンバ65には、左側第2チャンバ展開用開閉弁67が設けられている。
また、第2接続チャンバ65の天井部には、上側連通開口65bが設けられている。第2接続チャンバ65の天井部は、左側第2チャンバ52の接続部52cと固定されている。上側連通開口65bは、接続部52cに設けられたガス導入開口52dに接続されている。これらの上側連通開口65bとガス導入開口52dとが接続されることで、第2接続チャンバ65の内部空間と左側第2チャンバ52の内部空間とが連通される。
左側第1チャンバ展開用開閉弁66と、左側第2チャンバ展開用開閉弁67と、右側第1チャンバ展開用開閉弁68と、右側第2チャンバ展開用開閉弁69と、第1外部連通部70と、第2外部連通部71とのそれぞれは、制御装置100によって、開放状態と閉鎖状態とが選択されるアクティブベントである。開放状態とは、ガスが通過可能な状態である。閉鎖状態とは、ガスが通過できない状態である。例えば、左側第1チャンバ展開用開閉弁66と、左側第2チャンバ展開用開閉弁67と、右側第1チャンバ展開用開閉弁68と、右側第2チャンバ展開用開閉弁69と、第1外部連通部70と、第2外部連通部71とのそれぞれは、制御装置100の制御の下で、テザーが切断されることで閉鎖状態から開放状態に状態が移行する。
左側第1チャンバ展開用開閉弁66は、インフレータ収容チャンバ61の左側第1チャンバ連通開口61eと、左側第1チャンバ51のガス導入開口51dとの接続箇所に位置する。つまり、左側第1チャンバ展開用開閉弁66は、第1インフレータ62と左側第1チャンバ51との間に位置する。左側第1チャンバ展開用開閉弁66が開放状態となることで、第1インフレータ62から噴射されたガスが、第1インフレータ収容空間61cから左側第1チャンバ51に流入可能となる。
左側第2チャンバ展開用開閉弁67は、実施形態において2つ設けられている。一方の左側第2チャンバ展開用開閉弁67は、インフレータ収容チャンバ61の第2接続チャンバ連通開口61iと、第2接続チャンバ65の下側連通開口65aとの接続箇所に位置する。また、他方の左側第2チャンバ展開用開閉弁67は、第2接続チャンバ65の上側連通開口65bと、左側第2チャンバ52のガス導入開口52dとの接続箇所に位置する。つまり、これらの左側第2チャンバ展開用開閉弁67は、第2インフレータ63と左側第2チャンバ52との間に位置する。これらの左側第2チャンバ展開用開閉弁67が開放状態となることで、第2インフレータ63から噴射されたガスが、第2インフレータ収容空間61dから左側第2チャンバ52に流入可能となる。
右側第1チャンバ展開用開閉弁68は、インフレータ収容チャンバ61の右側第1チャンバ連通開口61hと、右側第1チャンバ53のガス導入開口53dとの接続箇所に位置する。つまり、右側第1チャンバ展開用開閉弁68は、第2インフレータ63と右側第1チャンバ53との間に位置する。右側第1チャンバ展開用開閉弁68が開放状態となることで、第2インフレータ63から噴射されたガスが、第2インフレータ収容空間61dから右側第1チャンバ53に流入可能となる。
右側第2チャンバ展開用開閉弁69は、実施形態において2つ設けられている。一方の右側第2チャンバ展開用開閉弁69は、インフレータ収容チャンバ61の第1接続チャンバ連通開口61fと、第1接続チャンバ64の下側連通開口64aとの接続箇所に位置する。また、他方の右側第2チャンバ展開用開閉弁69は、第1接続チャンバ64の上側連通開口64bと、右側第2チャンバ54のガス導入開口54dとの接続箇所に位置する。つまり、これらの右側第2チャンバ展開用開閉弁69は、第1インフレータ62と右側第2チャンバ54との間に位置する。これらの右側第2チャンバ展開用開閉弁69が開放状態となることで、第1インフレータ62から噴射されたガスが、第1インフレータ収容空間61cから右側第2チャンバ54に流入可能となる。
第1外部連通部70は、インフレータ収容チャンバ61の第1外部連通開口61gに位置する。第1外部連通部70が開放状態となることで、第1インフレータ収容空間61cの内部のガスがエアバッグ装置50の外部に排気される。実施形態では、第1インフレータ62から噴射されたガスが左側第1チャンバ51に充満された状態において、制御装置100が所定のタイミングで第1外部連通部70を開放状態とする。このため、左側第1チャンバ51の内部のガスは、第1外部連通部70が開放状態となることで、第1外部連通部70を介して排気される。つまり、第1外部連通部70は、展開された左側第1チャンバ51の内部のガスを外部に排出可能である。
第2外部連通部71は、インフレータ収容チャンバ61の第2外部連通開口61jに位置する。第2外部連通部71が開放状態となることで、第2インフレータ収容空間61dの内部のガスがエアバッグ装置50の外部に排気される。実施形態では、第2インフレータ63から噴射されたガスが右側第1チャンバ53に充満された状態において、制御装置100が所定のタイミングで第2外部連通部71を開放状態とする。このため、右側第1チャンバ53の内部のガスは、第2外部連通部71が開放状態となることで、第2外部連通部71を介して排気される。つまり、第2外部連通部71は、展開された右側第1チャンバ53の内部のガスを外部に排出可能である。
なお、エアバッグ装置50は、上述した構成に加えて、ポップアップフードシステム(以下、PUHシステムと称する)を備えていてもよい。PUHシステムは、車両Mと物体(例えば、歩行者、サイクリスト或いはライダー)とが接触する場合に、フードHDを上方に持ち上げる機構を備える。これにより、車両Mに搭載されたエンジン等との間に空間を設け、歩行者等の頭部等に与える負荷(衝撃等)を軽減させることができる。PUHシステムは、例えば、後述するエアバッグ制御部130の制御によって作動する。
[制御装置]
図1に示すように、制御装置100は、例えば、認識部110と、接触判定部120(予測部)と、エアバッグ制御部130(展開制御部)と、記憶部140とを備える。認識部110と、接触判定部120と、エアバッグ制御部130とは、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め制御装置100のHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
認識部110は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14から入力された情報に基づいて、車両Mの周辺状況を認識する。車両Mの周辺とは、例えば、車両Mを中心とした所定距離以内の範囲である。例えば、認識部110は、車両Mの周辺に存在する物体の種類や位置を認識する。また、認識部110は、物体の速度、加速度、移動方向等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、例えば、物体が他車両等の移動体である場合、物体の加速度やジャーク、或いは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
物体には、例えば、交通参加者、周辺車両、道路構造物等が含まれる。交通参加者とは、例えば、少なくとも歩行者を含み、車椅子に搭乗した人を含んでもよい。以下では、交通参加者が歩行者であるものとして説明する。周辺車両(他車両)とは、身体が外部に露出された状態で人が乗車する車両を少なくとも含む。身体が外部に露出された状態で人が乗車する車両とは、少なくとも自転車および自動二輪車両を含み、キックボード、電動キックボード、スケートボード或いは電動立ち乗り二輪車を含んでもよい。以下では、周辺車両(他車両)が自転車であるものとして説明する。道路構造物には、例えば、道路標識や交通信号機、踏切、縁石、中央分離帯、ガードレール、フェンス等が含まれる。また、道路構造物には、例えば、路面に描画または貼付された道路区画線や横断歩道、自転車横断帯、一時停止線等の路面標識が含まれてもよい。また、物体には、道路上の落下物(例えば、他車両の積み荷や道路周辺に設置されていた看板)等の障害物が含まれてよい。
また、認識部110は、例えば、カメラ10の撮像画像に含まれる物体の形状、輪郭、大きさ、色等の特徴情報に基づいて、リスク物体を認識する。リスク物体とは、例えば、外部移動体(external mobile object)、換言すると交通参加者、他移動体である。具体的に、リスク物体とは、歩行者、人が乗った周辺車両などである。これに加えて、リスク物体は、静的障害物、例えば放置物体、駐車車両、電柱などを含んでもよい。「リスク物体を認識する」とは、上記のように分類されるリスク物体が存在することと、そのリスク物体の車両Mに対する相対位置とを認識することを意味する。認識部110は、外部から物体の位置の情報と共に物体の種別の情報が入力される場合は、その物体の種別を参照してリスク物体を認識してもよいし、自らカメラ10の撮像した画像を解析してリスク物体を認識してもよい。また、認識部110は、物体の速度や電磁波の反射率などに基づいてリスク物体を認識してもよい。なお、実施形態では、上述のように、交通参加者が歩行者であるものとし、周辺車両が自転車であるものとして説明する。したがって、実施形態において認識部110は、歩行者と、自転車とを少なくともリスク物体として認識する。
例えば、認識部110は、リスク物体の種別を入力すると撮像画像中の位置(輪郭)を出力するように学習されたDNN(deep neural network)に撮像画像を入力する。認識部110は、出力された輪郭の外接矩形(バウンディングボックス)を設定し、その下辺の位置からリスク物体の位置(画像平面では無く上空から見た平面上の位置)を取得する。これによって、リスク物体の距離と方位が分かる。更に、認識部110は、リスク物体の位置とバウンディングボックスの高さとに基づいてリスク物体の高さを取得することができる。
接触判定部120は、認識部110の認識結果に基づいて、車両Mと物体とが接触するか否かを判定する。つまり、接触判定部120は、リスク物体と車両Mとの衝突を予測する。例えば、接触判定部120は、車両Mの位置および速度に基づく将来の走行予測軌道と、リスク物体の位置および速度に基づく将来の予測軌道とに基づいて、車両Mとリスク物体とが接触するか否かを判定する。また、接触判定部120は、接触センサ42の検出結果等に基づき、車両Mとリスク物体とが接触したか否かを判定してもよい。また、接触判定部120は、加速度センサにより検出された車両Mの加速度の変化量に基づいて車両Mとリスク物体とが接触するか否かを判定してもよい。
また、接触判定部120は、車両Mとリスク物体とが接触する(または接触した)と判定し、且つリスク物体に含まれる人の頭部と車両Mとが衝突する位置(衝突位置)と時刻(衝突時刻)とを予測する。例えば、接触判定部120は、歩行者が車両Mと衝突すると予測される場合に、歩行者の体格情報と車両の速度とに基づいて歩行者の頭部が車両Mと衝突する時刻を予測する。また、例えば、接触判定部120は、自転車が車両Mと衝突すると予測される場合に、自転車と車両との相対速度に基づいて、自転車に乗車する人の頭部が車両Mと衝突する時刻を予測する。
図10は、リスク物体が歩行者P1である場合の接触判定部120について説明するための図である。図10の例において、車両Mは、図中X軸方向に延伸する車道L1を速度VMで進行方向に走行しているものとする。また、車両Mの進行方向には歩行者P1が存在しているものとする。歩行者P1は、道路区画線RLから道路区画線LL(道路幅方向、-Y軸方向)に向かって速度VP1で歩行(車道L1を横断歩行)しているものとする。なお、図10は、例えばカメラ10によって撮像された三次元画像をXY平面座標に変換した図(トップビュー画像の図)を示している。
例えば、接触判定部120は、時系列における車両Mの位置および速度VMに基づいて、車両Mの速度VMおよび操舵角が一定であると仮定した場合の車両Mの将来の走行予測軌道を設定する。図10の例では、車両Mの左右端から車両Mの中心軸方向で、且つ車両Mの前方に延出させた二本の仮想線VL11およびVL12で挟まれた領域AR1を走行予測軌道として設定されている。車両Mの左右端の距離は、例えば車幅αに相当する。走行予測軌道は、例えば操舵角等を考慮して曲がりを持って設定されてもよい。また、接触判定部120は、時系列における歩行者P1の位置および速度VP1に基づいて、速度VP1および移動方向が一定であると仮定した場合の歩行者P1の将来の予測軌道を導出する。そして、接触判定部120は、歩行者P1が存在する位置(X軸上の位置)に車両Mが到達すると予測される時刻において、歩行者P1の位置が領域AR1内である場合に、車両Mと歩行者P1とが接触すると判定し、歩行者P1の位置が領域AR1内でない場合に、車両Mと歩行者P1とが接触しないと判定する。
また、接触判定部120は、接触センサ42により所定値以上の荷重が検出された場合に、車両Mと歩行者P1とが接触したと判定してもよく、加速度センサにより所定量以上の減速量が検出された場合に車両Mと歩行者P1とが接触したと判定してもよい。
例えば、接触判定部120は、車両Mと歩行者P1とが接触すると判定した場合には、車両Mの速度VMと歩行者P1の体格情報とに基づいて、歩行者P1の頭部の衝突位置および衝突時刻を導出する。体格情報とは、歩行者P1の身体的特徴を含む情報であり、例えば歩行者P1の身長を含む。接触判定部120は、歩行者P1の頭部位置が高いほど頭部が車両Mと衝突する時刻を遅く予測してもよい。また、接触判定部120は、車両Mの速度VMが速いほど頭部が車両Mと衝突する時刻を早く予測してもよい。例えば、記憶部140は、歩行者P1の体格情報と、頭部の衝突位置および衝突時刻との関係を示すマップデータを予め記憶する。接触判定部120は、例えば、上記マップデータを参照して、頭部の衝突位置および衝突時刻を導出する。
また、接触判定部120は、歩行者P1の頭部の衝突位置が、車幅方向に関して、車幅方向における車両Mの最も外側から所定の閾値以内であるか否かの判定をしてもよい。つまり、接触判定部120は、歩行者P1の頭部の衝突位置が、車幅方向における中央範囲Aαであるか否かの判定をしてもよい。
図11は、リスク物体が自転車C1である場合の接触判定部120について説明するための図である。図11の例において、車両Mは、図中X軸方向に延伸する車道L1を速度VMで進行方向に走行しているものとする。また、車両Mの進行方向には自転車C1が存在しているものとする。自転車C1は、道路区画線RLから道路区画線LL(道路幅方向、-Y軸方向)に向かって速度VC1で走行(車道L1を横断走行)しているものとする。なお、図11は、例えばカメラ10によって撮像された三次元画像をXY平面座標に変換した図(トップビュー画像の図)を示している。
例えば、接触判定部120は、リスク物体が歩行者P1の場合と同様に、車両Mの将来の走行予測軌道を設定する。また、接触判定部120は、時系列における自転車C1の位置および速度VC1に基づいて、速度VC1および移動方向が一定であると仮定した場合の自転車C1の将来の予測軌道を導出する。そして、接触判定部120は、自転車C1が存在する位置(X軸上の位置)に車両Mが到達すると予測される時刻において、自転車C1の位置が領域AR1内である場合に、車両Mと自転車C1とが接触すると判定し、自転車C1の位置が領域AR1内でない場合に、車両Mと自転車C1とが接触しないと判定する。
また、接触判定部120は、接触センサ42により所定値以上の荷重が検出された場合に、車両Mと自転車C1とが接触したと判定してもよく、加速度センサにより所定量以上の減速量が検出された場合に車両Mと自転車C1とが接触したと判定してもよい。
例えば、接触判定部120は、車両Mと自転車C1とが接触すると判定した場合には、自転車C1に乗車する人の頭部の位置(例えば、地面からの高さ)と、車両Mの速度VMと自転車C1の速度VC1との相対速度と、に基づいて、自転車C1に乗車する人の頭部の衝突位置および衝突時刻を導出する。接触判定部120は、自転車C1に乗車する人の頭部の位置が高いほど頭部が車両Mと衝突する時刻を遅く予測してもよい。また、接触判定部120は、車両Mと自転車C1の相対速度が速いほど頭部が車両Mと衝突する時刻を早く予測してもよい。例えば、記憶部140は、自転車C1に乗車する人の頭部の位置と、頭部の衝突位置および衝突時刻との関係を示すマップデータを予め記憶する。更に、記憶部140は、例えば、車両Mと自転車C1の相対速度と、頭部の衝突位置および衝突時刻との関係を示すマップデータを予め記憶する。接触判定部120は、例えば、上記マップデータを参照して、頭部の衝突位置および衝突時刻を導出する。
また、認識部110によって認識されたリスク物体が複数存在する場合もある。接触判定部120は、認識部110によって認識されたリスク物体が複数存在する場合には、各々のリスク物体が車両Mに対して接触するか否かを判定してもよい。つまり、接触判定部120は、複数のリスク物体が車両Mに対して同時に接触すると判定してもよい。
図1に示すエアバッグ制御部130は、例えば、接触判定部120により車両Mと物体とが接触すると判定されることを条件の1つとして、エアバッグ装置50の展開制御を行う。また、エアバッグ制御部130は、例えば、接触センサ42で検出された検出値が予め設定された閾値(以下、エアバッグ装置展開閾値と称する)を超えたことを条件の1つとして、エアバッグ装置50の展開制御を行う。実施形態では、エアバッグ制御部130は、接触判定部120により車両Mと物体とが接触すると判定されることと、接触センサ42で検出された検出値がエアバッグ装置展開閾値以上であることと、を条件としてエアバッグ装置50の展開制御を行う。
展開制御とは、左側第1チャンバ51と、左側第2チャンバ52と、右側第1チャンバ53と、右側第2チャンバ54とを選択的に展開させる制御である。実施形態において、エアバッグ制御部130は、シビアリティ低モードと、シビアリティ高モードと、両側展開モードと、に応じてエアバッグ装置50の展開制御を行う。
シビアリティ低モードとは、例えば、リスク物体の衝突が予測でき且つリスク物体の衝突エネルギが所定の閾値よりも低いと判断可能なモードである。実施形態では、エアバッグ制御部130は、シビアリティ低モードの場合には、左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とのうちいずれか一方を展開する。エアバッグ制御部130は、例えば、リスク物体が歩行者P1であり、車両Mの速度VMが所定の速度(シビアリティ判定閾値)以下であり、歩行者P1の頭部の衝突位置が車両Mの車幅方向における最外側から車幅の20%以下である場合に、シビアリティ低モードに応じたエアバッグ装置50の展開制御を行ってもよい。
シビアリティ高モードとは、例えば、リスク物体の衝突が予測でき且つリスク物体の衝突エネルギが所定の閾値よりも高いと判断可能なモードである。実施形態では、エアバッグ制御部130は、シビアリティ高モードの場合には、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52、或いは、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開する。エアバッグ制御部130は、例えば、リスク物体が自転車C1である場合に、シビアリティ高モードに応じたエアバッグ装置50の展開制御を行ってもよい。また、エアバッグ制御部130は、例えば、リスク物体が歩行者P1であり、車両Mの速度VMが所定の速度(シビアリティ判定閾値)よりも速い場合に、シビアリティ高モードに応じたエアバッグ装置50の展開制御を行ってもよい。
両側展開モードとは、例えば、シビアリティ低モードとシビアリティ高モードのいずれにも該当しないモードである。実施形態では、エアバッグ制御部130は、両側展開モードの場合には、左側第1チャンバ51および右側第1チャンバ53を展開する。エアバッグ制御部130は、例えば、リスク物体が認識されずに接触センサ42からエアバッグ装置展開閾値以上の検出値が入力された場合に、両側展開モードに応じたエアバッグ装置50の展開制御を行ってもよい。また、エアバッグ制御部130は、例えば、リスク物体が歩行者P1であり、歩行者P1の頭部の衝突位置が車両Mの車幅方向における最外側から車幅の20%以下でない場合に、両側展開モードに応じたエアバッグ装置50の展開制御を行ってもよい。また、エアバッグ制御部130は、例えば、複数のリスク物体が車両Mに衝突すると予想される場合に、両側展開モードに応じたエアバッグ装置50の展開制御を行ってもよい。
また、接触判定部120が車両Mにおけるリスク物体の衝突位置を予測した場合に、エアバッグ制御部130は、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して左側である場合には、左側第1チャンバ51のみ、或いは左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52を展開してもよい。例えば、エアバッグ制御部130は、シビアリティ低モードであり、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して左側である場合には、左側第1チャンバ51のみ展開する。一方、例えば、エアバッグ制御部130は、シビアリティ高モードであり、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して左側である場合には、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52を展開する。
また、接触判定部120が車両Mにおけるリスク物体の衝突位置を予測した場合に、エアバッグ制御部130は、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して右側である場合には、右側第1チャンバ53のみ、或いは右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開してもよい。例えば、エアバッグ制御部130は、シビアリティ低モードであり、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して右側である場合には、右側第1チャンバ53のみ展開する。一方、例えば、エアバッグ制御部130は、シビアリティ高モードであり、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して右側である場合には、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開する。
また、認識部110がリスク物体として歩行者P1を認識し、接触判定部120が歩行者P1と車両Mとの衝突を予測し、車両Mの速度VMがシビアリティ判定閾値以下の速度域である第1速度域にある場合には、エアバッグ制御部130は、衝突位置に応じて、左側第1チャンバ51或いは右側第1チャンバ53を展開してもよい。例えば、エアバッグ制御部130は、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して左側である場合には、左側第1チャンバ51を展開する。一方、例えば、エアバッグ制御部130は、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して右側である場合には、右側第1チャンバ53を展開する。
また、認識部110がリスク物体として歩行者P1を認識し、接触判定部120が歩行者P1と車両Mとの衝突を予測し、車両Mの速度VMがシビアリティ判定閾値より速い速度域である第2速度域(第1速度域よりも高速側の速度域)にある場合には、エアバッグ制御部130は、衝突位置に応じて、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52の両方、或いは、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54の両方を展開する。
更に、エアバッグ制御部130は、リスク物体が歩行者P1であり、車両Mの速度VMが第1速度域における低速度域にある場合に、エアバッグ装置展開閾値を引き下げてもよい。例えば、車両Mの内部に設けられた不図示の車室内エアバッグ装置と、エアバッグ装置50とで、同一のエアバッグ装置展開閾値を用いている場合には、車室内エアバッグ装置の展開が不要な衝突エネルギであると、エアバッグ装置50も展開されないことが考えられる。つまり、速度エネルギが小さい歩行者P1がリスク物体であり、車両Mの速度VMが遅い場合には、車室内エアバッグ装置に合わせて、エアバッグ装置50も展開されないことが考えられる。そこで、エアバッグ制御部130は、エアバッグ装置50の展開制御に用いるエアバッグ装置展開閾値を、車室内エアバッグ装置の展開制御に用いるエアバッグ装置展開閾値と切り離して引き下げる。これによって、車室内エアバッグ装置の展開が不要な衝突エネルギである場合であっても、車室内エアバッグ装置と切り離して、エアバッグ装置50を展開することができる。
また、車室内エアバッグ装置とエアバッグ装置50とは、異なる車両センサ40が設けられ、各々に異なるエアバッグ装置展開閾値を用いる場合もある。このような場合であっても、リスク物体が歩行者P1であり、車両Mの速度VMが第1速度域における低速度域にある場合に、エアバッグ装置展開閾値を引き下げてもよい。例えば、エアバッグ装置展開閾値は、悪路走行時の衝撃等でエアバッグ装置50の展開を防止する値である場合がある。この場合に、速度エネルギが小さい歩行者P1がリスク物体であり、車両Mの速度VMが遅い場合には、衝突エネルギが小さく、エアバッグ装置50も展開されないことが考えられる。そこで、エアバッグ制御部130は、エアバッグ装置50の展開制御に用いるエアバッグ装置展開閾値を、リスク物体が歩行者P1であり、車両Mの速度VMが第1速度域における低速度域にある場合に引き下げてもよい。これによって、リスク物体が歩行者P1であり、車両Mの速度VMが第1速度域における低速度域にある場合であっても、エアバッグ装置50を展開することができ、さらに歩行者P1に対する衝撃を緩和できる。
更に、リスク物体が自転車C1である場合には、車両Mが衝突する位置によっては、衝突エネルギが小さい場合もある。そこで、エアバッグ制御部130は、エアバッグ装置50の展開制御に用いるエアバッグ装置展開閾値を、リスク物体が自転車C1である場合に引き下げてもよい。これによって、リスク物体が自転車C1であり、衝突エネルギが小さい場合であっても、エアバッグ装置50を展開することができ、さらに自転車C1に乗車する人に対する衝撃を緩和できる。
また、エアバッグ制御部130は、接触判定部120にて歩行者P1の頭部の衝突時刻或いは自転車C1に乗車する人の頭部の衝突時刻が導出された場合には、導出された衝突時刻に合わせて展開制御を行ってよい。例えば、エアバッグ制御部130は、歩行者P1の頭部に対する衝撃或いは自転車C1に乗車する人の頭部に対する衝撃を緩和するように、衝突時刻に合わせてエアバッグ装置50を展開制御する。
また、エアバッグ制御部130は、車両Mにおける歩行者P1の衝突位置が予め設定された車幅方向の中央範囲(例えば、衝突位置が車両Mの車幅方向における最外側から車幅の20%以下でない範囲)の場合には、少なくとも左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とを展開してもよい。
また、エアバッグ制御部130は、接触判定部120が自転車C1と車両Mとの衝突を予測した場合には、衝突位置に応じて、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52、或いは、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開してもよい。つまり、エアバッグ制御部130は、自転車C1が車両Mに衝突すると予測された場合には、車両Mの速度VMに関わらずに、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52、或いは、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開してもよい。例えば、エアバッグ制御部130は、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して左側である場合には、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52を展開する。一方、例えば、エアバッグ制御部130は、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して右側である場合には、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開する。
また、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ51が展開されている場合に、左側第1チャンバ51にリスク物体が接触するタイミングに合わせて左側第1チャンバ51の内圧を減少させてもよい。例えば、エアバッグ制御部130は、展開された左側第1チャンバ51にリスク物体が衝突した場合に、リスク物体が左側第1チャンバ51から受ける反力によりリバウンドすることを抑制するように左側第1チャンバ51の内圧を減少させる。例えば、エアバッグ制御部130は、展開された左側第1チャンバ51にリスク物体が衝突したタイミングと同時に、或いは、展開された左側第1チャンバ51にリスク物体が衝突したタイミングに対して僅かに遅いタイミングにて、第1外部連通部70を開放状態とする。
例えば、エアバッグ制御部130は、展開された右側第1チャンバ53にリスク物体が衝突した場合に、リスク物体が右側第1チャンバ53から受ける反力によりリバウンドすることを抑制するように右側第1チャンバ53の内圧を減少させる。例えば、エアバッグ制御部130は、展開された右側第1チャンバ53にリスク物体が衝突したタイミングと同時に、或いは、展開された右側第1チャンバ53にリスク物体が衝突したタイミングに対して僅かに遅いタイミングにて、第2外部連通部71を開放状態とする。
また、エアバッグ制御部130は、接触判定部120が車両Mに衝突するリスク物体が複数あると予測した場合、両側展開モードに応じて、左側第1チャンバと右側第1チャンバとを展開してもよい。また、エアバッグ制御部130は、接触判定部120が車両Mにおけるリスク物体の衝突位置が予測できない場合には、両側展開モードに応じて、左側第1チャンバと右側第1チャンバとを展開してもよい。
記憶部140は、上記の各種記憶装置、或いはSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。記憶部140には、例えば、実施形態におけるエアバッグ制御等の各種制御を実行するために必要な情報、プログラム、その他の各種情報等が格納される。
実施形態では、制御装置100は、コンピュータを含む。記憶部140には、エアバッグ装置50の展開制御を行うプログラムPが記憶されている。プログラムPは、コンピュータに、車両Mの周辺に存在するリスク物体を認識させる。また、プログラムPは、コンピュータに、リスク物体と車両Mとの衝突を予測させる。また、プログラムPは、コンピュータに、上述の予測に基づいて、左側第1チャンバ51と、左側第2チャンバ52と、右側第1チャンバ53と、右側第2チャンバ54と、の展開制御を行わせる。
[エアバッグシステム]
図1に示すように、実施形態では、車両システム1は、エアバッグシステム200を含む。エアバッグシステム200は、上述したエアバッグ装置50と、制御装置100とを含む。つまり、エアバッグシステム200は、車両Mの車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーPLの外表面を覆うように展開可能な左側第1チャンバ51を備える。また、エアバッグシステム200は、左側第1チャンバ51上にて展開可能な左側第2チャンバ52を備える。また、エアバッグシステム200は、車両Mの車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーPRの外表面を覆うように展開可能な右側第1チャンバ53を備える。また、エアバッグシステム200は、右側第1チャンバ53上にて展開可能な右側第2チャンバ54を備える。また、エアバッグシステム200は、車両Mの周辺に存在するリスク物体を認識する認識部110を備える。また、エアバッグシステム200は、リスク物体と車両Mとの衝突を予測する接触判定部120を備える。また、エアバッグシステム200は、接触判定部120の予測に基づいて、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54の展開制御を行うエアバッグ制御部130を備える。
エアバッグシステム200において、エアバッグ制御部130は、図1に示すように、第1インフレータ62と、第2インフレータ63と、左側第1チャンバ展開用開閉弁66と、左側第2チャンバ展開用開閉弁67と、右側第1チャンバ展開用開閉弁68と、右側第2チャンバ展開用開閉弁69と、第1外部連通部70と、第2外部連通部71と接続されている。
例えば、左側第1チャンバ51のみを展開させる場合には、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ展開用開閉弁66を開放状態とし、第1インフレータ62にガスを噴射させる。図12は、左側第1チャンバ51のみを展開する場合のガスの流れを示す模式図である。図12に示すように、第1インフレータ62から噴射されたガスG1は、左側第1チャンバ展開用開閉弁66を通過して左側第1チャンバ51に流入する。この結果、図2に示すように、左側第1チャンバ51が展開される。
例えば、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52を展開させる場合には、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ展開用開閉弁66と左側第2チャンバ展開用開閉弁67とを開放状態とし、第1インフレータ62および第2インフレータ63にガスを噴射させる。図13は、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52を展開する場合のガスの流れを示す模式図である。図13に示すように、第1インフレータ62から噴射されたガスG1は、左側第1チャンバ展開用開閉弁66を通過して左側第1チャンバ51に流入する。また、第2インフレータ63から噴射されたガスG2は、2つの左側第2チャンバ展開用開閉弁67および第2接続チャンバ65を通過して左側第2チャンバ52に流入する。この結果、図3に示すように、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52が展開される。
例えば、展開された左側第1チャンバ51の内部のガスをエアバッグ装置50の外部に排気する場合には、エアバッグ制御部130は、第1外部連通部70を開放状態とする。図14は、展開された左側第1チャンバ51の内部のガスをエアバッグ装置50の外部に排気する場合のガスの流れを示す模式図である。図14に示すように、展開された左側第1チャンバ51の内部のガスG1は、左側第1チャンバ展開用開閉弁66、第1インフレータ収容空間61cおよび第1外部連通部70を通過してエアバッグ装置50の外部に排気される。
例えば、右側第1チャンバ53のみを展開させる場合には、エアバッグ制御部130は、右側第1チャンバ展開用開閉弁68を開放状態とし、第2インフレータ63にガスを噴射させる。図15は、右側第1チャンバ53のみを展開する場合のガスの流れを示す模式図である。図15に示すように、第2インフレータ63から噴射されたガスG2は、右側第1チャンバ展開用開閉弁68を通過して右側第1チャンバ53に流入する。この結果、図4に示すように、右側第1チャンバ53が展開される。
例えば、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開させる場合には、エアバッグ制御部130は、右側第1チャンバ展開用開閉弁68と右側第2チャンバ展開用開閉弁69とを開放状態とし、第1インフレータ62および第2インフレータ63にガスを噴射させる。図16は、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開する場合のガスの流れを示す模式図である。図16に示すように、第2インフレータ63から噴射されたガスG2は、右側第1チャンバ展開用開閉弁68を通過して右側第1チャンバ53に流入する。また、第1インフレータ62から噴射されたガスG1は、2つの右側第2チャンバ展開用開閉弁69および第1接続チャンバ64を通過して右側第2チャンバ54に流入する。この結果、図5に示すように、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54が展開される。
例えば、展開された右側第1チャンバ53の内部のガスをエアバッグ装置50の外部に排気する場合には、エアバッグ制御部130は、第2外部連通部71を開放状態とする。図17は、展開された右側第1チャンバ53の内部のガスをエアバッグ装置50の外部に排気する場合のガスの流れを示す模式図である。図17に示すように、展開された右側第1チャンバ53の内部のガスG2は、右側第1チャンバ展開用開閉弁68、第2インフレータ収容空間61dおよび第2外部連通部71を通過してエアバッグ装置50の外部に排気される。
例えば、左側第1チャンバ51および右側第1チャンバ53を展開させる場合には、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ展開用開閉弁66と右側第1チャンバ展開用開閉弁68とを開放状態とし、第1インフレータ62および第2インフレータ63にガスを噴射させる。図18は、左側第1チャンバ51および右側第1チャンバ53を展開する場合のガスの流れを示す模式図である。図18に示すように、第1インフレータ62から噴射されたガスG1は、左側第1チャンバ展開用開閉弁66を通過して左側第1チャンバ51に流入する。また、第2インフレータ63から噴射されたガスG2は、右側第1チャンバ展開用開閉弁68を通過して右側第1チャンバ53に流入する。この結果、図6に示すように、左側第1チャンバ51および右側第1チャンバ53が展開される。
[エアバッグ装置の展開制御]
図19~図21は、エアバッグ装置50の展開制御のための処理フローの一例を説明するためのフローチャートである。
図19に示すように、処理フローが開始されると、認識部110は、リスク物体の検出および識別を行う(ステップS1)。認識部110は、例えば上述のように、カメラ10の撮像画像に基づいてリスク物体を検出する。更に、認識部110は、例えば上述のように、DNNから出力された輪郭の外接矩形に基づいて、リスク物体の位置、距離、方位および高さを取得する。次に、認識部110は、リスク物体を検出したか否かを判定する(ステップS2)。リスク物体が検出されなかった場合、ステップS1に戻る。リスク物体が検出された場合、認識部110は、リスク物体が歩行者P1であるか否かを判定する(ステップS3)。リスク物体が歩行者P1である場合、制御装置100は、歩行者用展開制御処理(ステップS10)を実行する。リスク物体が歩行者P1でない場合、認識部110は、リスク物体が自転車C1であるか否かを判定する(ステップS4)。リスク物体が自転車C1である場合、制御装置100は、自転車用展開制御処理(ステップS30)を実行する。リスク物体が歩行者P1でない場合、ステップS1に戻る。
なお、上述のように、実施形態では、リスク物体が歩行者P1或いは自転車C1である場合について説明する。例えば、リスク物体が、身体が外部に露出された状態で乗車する他車両(自動二輪車等の)である場合は、自転車C1を他車両に置き換えた処理を制御装置100によって実行してもよい。
図20は、歩行者用展開制御処理(ステップS10)を説明するためのフローチャートである。歩行者用展開制御処理(ステップS10)が開始されると、接触判定部120は、歩行者P1が車両Mと衝突するか否かを判定する(ステップS11)。歩行者P1が車両Mと衝突しない場合、再びステップS1に戻る。一方、歩行者P1が車両Mと衝突する場合、次に接触判定部120は、衝突する歩行者P1が1名であるか否かを判定する(ステップS12)。衝突する歩行者P1が1名である場合、接触判定部120は、歩行者P1の頭部の衝突位置が予測可能であるか否かを判定する(ステップS13)。なお、例えば、接触判定部120は、撮像画像における歩行者P1の頭部位置が不明である場合には、歩行者P1の頭部の衝突位置が予測できないと判定する。
歩行者P1の頭部の衝突位置が予測可能である場合、接触判定部120は、車両Mの左側と右側とのいずれでチャンバを展開するかを決定する(ステップS14)。例えば、接触判定部120は、例えば車両Mの速度VMと歩行者P1の体格情報とに基づいて頭部の衝突位置および衝突時刻を予測し、衝突位置が車両Mの左側である場合には、車両Mの左側でチャンバを展開することを決定する。また、接触判定部120は、衝突位置が車両Mの右側である場合には、車両Mの右側でチャンバを展開することを決定する。
次に、接触判定部120は、ステップS14で決定した側のチャンバを展開するためのガスの噴射タイミングを決定する(ステップS15)。接触判定部120は、予測した衝突時刻に合わせてチャンバが展開されるように、第1インフレータ62と第2インフレータ63との少なくともいずれかからガスを噴射するタイミングを決定する。
次に、接触判定部120は、衝突位置が車幅方向における中央範囲Aαであるか否かを判定する(ステップS16)。接触判定部120は、衝突位置が車幅方向における中央範囲Aαでない場合、車両Mの速度VMが低速度域(例えば、時速15km以上で時速25kmより小さい速度域)であるか否かを判定する(ステップS17)。この低速度域は、シビアリティ判定閾値以下の速度域(第1速度域)のなかでも遅い速度域である。車両Mの速度VMが低速度域である場合、接触判定部120は、車両Mの速度VMが低速度域よりも速くシビアリティ判定閾値以下の中速度域(例えば、時速25km以上で時速40kmより小さい速度域)であるか否かを判定する(ステップS18)。この中速度域は、シビアリティ判定閾値以下の速度域(第1速度域)のなかでも速い速度域である。車両Mの速度VMが低速度域よりも速くシビアリティ判定閾値以下でない場合、接触判定部120は、高速度域であると判断する(ステップS19)。この高速度域は、車両Mの速度VMがシビアリティ判定閾値よりも速い速度域である。
また、ステップS12にて衝突する歩行者P1が1名でないと判定された場合と、ステップS13にて歩行者P1の頭部の衝突位置が予測できないと判定された場合と、ステップS16にて衝突位置が車幅方向における中央範囲Aαであると判定された場合には、制御装置100は、ステップS20に移行する。
ステップS20では、エアバッグ制御部130は、接触センサ42から入力された検出値がエアバッグ装置展開閾値以上であるか否かを判定する。ステップS20にて検出値がエアバッグ装置展開閾値以上である場合、エアバッグ制御部130は、両側展開モードに応じた展開制御を行う(ステップS21)。ステップS21では、エアバッグ制御部130は、ステップS15で決定された噴射タイミングに基づいて、第1インフレータ62および第2インフレータ63からガスを噴射させ、左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とを展開する。その後、制御装置100は、処理フローを完了する。
ステップS17で車両Mの速度VMが低速度域である場合、エアバッグ制御部130は、エアバッグ装置50の展開制御に関して、エアバッグ装置展開閾値を引き下げる(ステップS22)。つまり、ステップS22においては、エアバッグ装置50が展開される感度が向上させられる。次に、エアバッグ制御部130は、接触センサ42から入力された検出値がエアバッグ装置展開閾値以上であるか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23にて検出値がエアバッグ装置展開閾値以上である場合、エアバッグ制御部130は、シビアリティ低モードに応じた展開制御を行う(ステップS24)。ステップS24では、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とのうちステップS14で決定された側に位置する方を、ステップS15で決定された噴射タイミングに基づいて展開する。その後、制御装置100は、処理フローを完了する。
例えば、ステップS14で決定された側が左側である場合、ステップS24にてエアバッグ制御部130は、第1インフレータ62からガスを噴射させ、左側第1チャンバ51を展開する。例えば、ステップS14で決定された側が右側である場合、ステップS24にてエアバッグ制御部130は、第2インフレータ63からガスを噴射させ、右側第1チャンバ53を展開する。
ステップS18で車両Mの速度VMが中速度域である場合、エアバッグ制御部130は、接触センサ42から入力された検出値がエアバッグ装置展開閾値以上であるか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25にて検出値がエアバッグ装置展開閾値以上である場合、エアバッグ制御部130は、シビアリティ低モードに応じた展開制御を行う(ステップS26)。ステップS26では、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とのうちステップS14で決定された側に位置する方を、ステップS15で決定された噴射タイミングに基づいて展開する。その後、制御装置100は、処理フローを完了する。
例えば、ステップS14で決定された側が左側である場合、ステップS26にてエアバッグ制御部130は、第1インフレータ62からガスを噴射させ、左側第1チャンバ51を展開する。例えば、ステップS14で決定された側が右側である場合、ステップS26にてエアバッグ制御部130は、第2インフレータ63からガスを噴射させ、右側第1チャンバ53を展開する。
なお、ステップS20で接触センサ42から入力された検出値がエアバッグ装置展開閾値より低い場合と、ステップS23で接触センサ42から入力された検出値がエアバッグ装置展開閾値より低い場合と、ステップS25で接触センサ42から入力された検出値がエアバッグ装置展開閾値より低い場合とは、ステップS1に戻る。また、ステップS19にて車両Mの速度VMがシビアリティ判定閾値よりも速いと判断されると、エアバッグ制御部130は、接触センサ42から入力された検出値がエアバッグ装置展開閾値以上であるか否かを判定する(ステップS27)。ステップS27にて検出値がエアバッグ装置展開閾値以上である場合、エアバッグ制御部130は、シビアリティ高モードに応じた展開制御を行う(ステップS28)。ステップS28では、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ51と左側第2チャンバ52との組み合わせと、右側第1チャンバ53と右側第2チャンバ54との組み合わせとのうちステップS14で決定された側に位置する方を、ステップS15で決定された噴射タイミングに基づいて展開する。その後、制御装置100は、処理フローを完了する。
なお、ステップS24、ステップS26およびステップS28において、エアバッグ制御部130は、必要に応じて、ガスのエアバッグ装置50の外部への排出タイミングを決定し、決定した排出タイミングに応じてガスをエアバッグ装置50から排気する。
なお、ステップS20、ステップS25およびステップS27の前に、ステップS22と同様に、エアバッグ装置50の展開制御に関して、エアバッグ装置展開閾値を引き下げてもよい。これによって、エアバッグ装置50の感度を向上させることができる。
図21は、自転車用展開制御処理(ステップS30)を説明するためのフローチャートである。自転車用展開制御処理(ステップS30)が開始されると、接触判定部120は、自転車C1が車両Mと衝突するか否かを判定する(ステップS31)。自転車C1が車両Mと衝突しない場合、再びステップS1に戻る。一方、自転車C1が車両Mと衝突する場合、次に接触判定部120は、衝突する自転車C1が1台であるか否かを判定する(ステップS32)。衝突する自転車C1が1台である場合、接触判定部120は、自転車C1に乗車する人の頭部の衝突位置が予測可能であるか否かを判定する(ステップS33)。なお、例えば、接触判定部120は、撮像画像における自転車C1に乗車する人の頭部位置が不明である場合には、自転車C1に乗車する人の頭部の衝突位置が予測できないと判定する。
自転車C1に乗車する人の頭部の衝突位置が予測可能である場合、接触判定部120は、車両Mの左側と右側とのいずれでチャンバを展開するかを決定する(ステップS34)。例えば、接触判定部120は、例えば車両Mの速度VMと自転車C1との相対速度に基づいて頭部の衝突位置および衝突時刻を予測し、衝突位置が車両Mの左側である場合には、車両Mの左側でチャンバを展開することを決定する。また、接触判定部120は、衝突位置が車両Mの右側である場合には、車両Mの右側でチャンバを展開することを決定する。
次に、接触判定部120は、ステップS34で決定した側のチャンバを展開するためのガスの噴射タイミングを決定する(ステップS35)。接触判定部120は、予測した衝突時刻に合わせてチャンバが展開されるように、第1インフレータ62と第2インフレータ63との少なくともいずれかからガスを噴射するタイミングを決定する。
ステップS35でガスの噴射タイミングが決定されると、エアバッグ制御部130は、エアバッグ装置50の展開制御に関して、エアバッグ装置展開閾値を引き下げる(ステップS36)。つまり、ステップS36においては、エアバッグ装置50が展開される感度が向上させられる。次に、エアバッグ制御部130は、接触センサ42から入力された検出値がエアバッグ装置展開閾値以上であるか否かを判定する(ステップS37)。ステップS37にて検出値がエアバッグ装置展開閾値以上である場合、エアバッグ制御部130は、シビアリティ高モードに応じた展開制御を行う(ステップS38)。ステップS38では、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ51と左側第2チャンバ52との組み合わせと、右側第1チャンバ53と右側第2チャンバ54との組み合わせとのうちステップS34で決定された側に位置する方を、ステップS35で決定された噴射タイミングに基づいて展開する。その後、制御装置100は、処理フローを完了する。
また、ステップS32にて衝突する自転車C1が1台でないと判定された場合と、ステップS33にて自転車C1に乗車する人の頭部の衝突位置が予測できないと判定された場合とには、制御装置100は、ステップS39に移行する。
ステップS39では、エアバッグ制御部130は、エアバッグ装置50の展開制御に関して、エアバッグ装置展開閾値を引き下げる。つまり、ステップS39においても、エアバッグ装置50が展開される感度が向上させられる。次に、エアバッグ制御部130は、接触センサ42から入力された検出値がエアバッグ装置展開閾値以上であるか否かを判定する(ステップS40)。ステップS40にて検出値がエアバッグ装置展開閾値以上である場合、エアバッグ制御部130は、両側展開モードに応じた展開制御を行う(ステップS41)。ステップS41では、エアバッグ制御部130は、あらかじめ設定された噴射タイミングに基づいて、第1インフレータ62および第2インフレータ63からガスを噴射させ、左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とを展開する。その後、制御装置100は、処理フローを完了する。
なお、ステップS38およびステップS41において、エアバッグ制御部130は、必要に応じて、ガスのエアバッグ装置50の外部への排出タイミングを決定し、決定した排出タイミングに応じてガスをエアバッグ装置50から排気する。
[エアバッグ装置およびエアバッグシステムの作用と効果]
以上のように、実施形態のエアバッグ装置50は、左側第1チャンバ51と、左側第2チャンバ52と、右側第1チャンバ53と、右側第2チャンバ54と、ガス供給ユニット60と、を備える。左側第1チャンバ51は、車両Mの車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーPLの外表面を覆うように展開可能である。左側第2チャンバ52は、左側第1チャンバ51上にて展開可能である。右側第1チャンバ53は、車両Mの車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーPRの外表面を覆うように展開可能である。右側第2チャンバ54は、右側第1チャンバ53上にて展開可能である。ガス供給ユニット60は、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54に対して選択的に展開用のガスを供給する。
このような実施形態のエアバッグ装置50によれば、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54を選択的に展開することにより、ポテンシャルエネルギを変化させることができる。例えば、左側第1チャンバ51のみを展開する場合よりも、左側第1チャンバ51と左側第2チャンバ52とを展開する場合の方が、エアバッグ装置50のポテンシャルエネルギが増加する。このため、実施形態のエアバッグ装置50は、自転車C1のように速度が速いリスク物体であっても適切に保護することが可能である。したがって、実施形態のエアバッグ装置50は、自転車C1等の他車両に、身体が外部に露出された状態で乗車する人であっても適切に保護することが可能である。
また、実施形態のエアバッグ装置50において、展開時における左側第2チャンバ52の左側フロントピラーPLの延伸方向に沿った方向の長さL2は、展開時の左側第1チャンバ51の長さL1よりも小さい。このため、左側第2チャンバ52の容積を左側第1チャンバ51の容積よりも小さくすることができる。したがって、同量のガスを左側第1チャンバ51と左側第2チャンバ52とに供給した場合には、左側第2チャンバ52の内圧が左側第1チャンバ51の内圧よりも高くなる。このため、左側第2チャンバ52を左側第1チャンバ51に加えて展開した場合のポテンシャルエネルギを、同一の長さの左側第1チャンバ51と左側第2チャンバ52と展開した場合よりも高めることができる。よって、実施形態のエアバッグ装置50は、よりクラスが高いシビアリティに対応することが可能になる。
また、実施形態のエアバッグ装置50において、展開時における右側第2チャンバ54の右側フロントピラーPRの延伸方向に沿った方向の長さL4は、展開時の右側第1チャンバ53の長さL3よりも小さい。このため、右側第2チャンバ54の容積を右側第1チャンバ53の容積よりも小さくすることができる。したがって、同量のガスを右側第1チャンバ53と右側第2チャンバ54とに供給した場合には、右側第2チャンバ54の内圧が右側第1チャンバ53の内圧よりも高くなる。このため、右側第2チャンバ54を右側第1チャンバ53に加えて展開した場合のポテンシャルエネルギを、同一の長さの右側第1チャンバ53と右側第2チャンバ54とを展開した場合よりも高めることができる。よって、実施形態のエアバッグ装置50は、よりクラスが高いシビアリティに対応することが可能になる。
また、実施形態のエアバッグ装置50においては、左側第1チャンバ51は、左側フロントピラーPLの延伸方向に沿って延伸する左側ピラー被覆部51aを備える。また、左側第2チャンバ52は、左側フロントピラーPLの延伸方向に沿って延伸する左側ピラー被覆部52aを備える。また、展開時における左側第2チャンバ52の左側ピラー被覆部52aは、展開時における左側第1チャンバ51の左側ピラー被覆部51aに対して、左側ピラー被覆部53aの少なくとも一部が車幅方向に関して右側に位置する。このため、左側第1チャンバ51に加えて左側第2チャンバ52を展開する場合には、これらのうち左側第1チャンバ51のみを展開する場合よりも、車両Mの広範囲をエアバッグ装置50によって覆うことが可能である。このため、実施形態のエアバッグ装置50は、進行する速度が速い自転車C1等の他車両が車両Mに衝突した場合であっても、他車両の乗員を適切に保護することが可能となる。
また、実施形態のエアバッグ装置50においては、右側第1チャンバ53は、右側フロントピラーPRの延伸方向に沿って延伸する右側ピラー被覆部53aを備える。また、右側第2チャンバ54は、右側フロントピラーPRの延伸方向に沿って延伸する右側ピラー被覆部54aを備える。展開時における右側第2チャンバ54の右側ピラー被覆部54aは、展開時における右側第1チャンバ53の右側ピラー被覆部53aに対して、右側ピラー被覆部54aの少なくとも一部が車幅方向に関して左側に位置する。このため、右側第1チャンバ53に加えて右側第2チャンバ54を展開する場合には、これらのうち右側第1チャンバ53のみを展開する場合よりも、車両Mの広範囲をエアバッグ装置50によって覆うことが可能である。このため、実施形態のエアバッグ装置50は、進行する速度が速い自転車C1等の他車両が車両Mに衝突した場合であっても、他車両の乗員を適切に保護することが可能となる。
また、実施形態のエアバッグ装置50において、左側第1チャンバ51は、展開時に車両Mが備えるフードHDの後端部H1の外表面を覆うフード被覆部51bを有する。また、左側第2チャンバ52は、展開時に車両Mが備えるフードHDの後端部H1の外表面を覆うフード被覆部52bを有する。右側第1チャンバ53は、展開時に車両Mが備えるフードHDの後端部H1の外表面を覆うフード被覆部53bを有する。右側第2チャンバ54は、展開時に車両Mが備えるフードHDの後端部H1の外表面を覆うフード被覆部54bを有する。このような実施形態のエアバッグ装置50は、これらのフード被覆部51b、フード被覆部52b、フード被覆部53bおよびフード被覆部54bによって、人がフードHDの後端部H1に衝突することを抑止することができる。
また、実施形態のエアバッグ装置50において、左側第1チャンバ51のフード被覆部51bには、ガス供給ユニット60との接続部51cが設けられている。このため、フード被覆部51bを介して左側第1チャンバ51がガス供給ユニット60に接続され、別体として左側第1チャンバ51とガス供給ユニット60との接続部を設ける必要がない。したがって、このような実施形態のエアバッグ装置50は、簡素な構成となる。また、実施形態のエアバッグ装置50においては、左側第2チャンバ52のフード被覆部52bには、ガス供給ユニット60との接続部52cが設けられている。また、右側第1チャンバ53のフード被覆部53bには、ガス供給ユニット60との接続部53cが設けられている。また、右側第2チャンバ54のフード被覆部54bには、ガス供給ユニット60との接続部54cが設けられている。したがって、同様に、実施形態のエアバッグ装置50は、簡素な構成となる。
また、実施形態のエアバッグ装置50において、ガス供給ユニット60は、第1インフレータ62と、左側第1チャンバ展開用開閉弁66と、右側第2チャンバ展開用開閉弁69と、第2インフレータ63と、右側第1チャンバ展開用開閉弁68と、左側第2チャンバ展開用開閉弁67とを備える。第1インフレータ62は、左側第1チャンバ51と右側第2チャンバ54とのいずれかに対して供給されるガスG1を噴射する。左側第1チャンバ展開用開閉弁66は、第1インフレータ62と左側第1チャンバ51との間に位置する。右側第2チャンバ展開用開閉弁69は、第1インフレータ62と右側第2チャンバ54との間に位置する。第2インフレータ63は、右側第1チャンバ53と左側第2チャンバ52とのいずれかに対して供給されるガスG2を噴射する。右側第1チャンバ展開用開閉弁68は、第2インフレータ63と右側第1チャンバ53との間に位置する。左側第2チャンバ展開用開閉弁67は、第2インフレータ63と左側第2チャンバ52との間に位置する。
このような実施形態のエアバッグ装置50によれば、第1インフレータ62から噴射したガスG1によって、左側第1チャンバ51と右側第2チャンバ54とのいずれかを選択的に展開することができる。また、第2インフレータ63から噴射したガスG2によって、右側第1チャンバ53と左側第2チャンバ52とのいずれかを選択的に展開することができる。つまり、実施形態のエアバッグ装置50によれば、4つのチャンバに対して2つのインフレータが設けられており、4つのチャンバの各々に対してインフレータを設ける必要がない。したがって、実施形態のエアバッグ装置50は、インフレータの設置数を削減することができ、簡素な装置構成となる。
また、実施形態のエアバッグ装置50においてガス供給ユニット60は、第1接続チャンバ64と、第2接続チャンバ65と、を更に備える。第1接続チャンバ64は、第1インフレータ62と右側第2チャンバ54とを接続すると共に右側第2チャンバ展開用開閉弁69が設けられている。第2接続チャンバ65は、第2インフレータ63と左側第2チャンバ52とを接続すると共に左側第2チャンバ展開用開閉弁67が設けられている。
このような実施形態のエアバッグ装置50によれば、第1インフレータ62から噴射されたガスG1の流路と、第2インフレータ63から噴射されたガスG2の流路とが開閉弁を介して接続された部位がない。このため、実施形態のエアバッグ装置50は、第1インフレータ62から噴射されたガスG1と第2インフレータ63から噴射されたガスG2とを適切に案内することが可能となる。
図22は、エアバッグ装置50の変形例を示す分解斜視図である。図22に示すように、第1接続チャンバ64と第2接続チャンバ65に換えて、共通接続チャンバ72(共通接続部)を備えてもよい。共通接続チャンバ72は、第1インフレータ62および第2インフレータ63と、左側第2チャンバ52および右側第2チャンバ54と、を接続する。また、共通接続チャンバ72には、2つの右側第2チャンバ展開用開閉弁69と、2つの左側第2チャンバ展開用開閉弁67が設けられている。例えば、2つの右側第2チャンバ展開用開閉弁69を開放状態とすることで、第1インフレータ62のガスG1を右側第2チャンバ54に流入させることができる。また、例えば、2つの左側第2チャンバ展開用開閉弁67を開放状態とすることで、第2インフレータ63のガスG2を左側第2チャンバ52に流入させることができる。このような実施形態のエアバッグ装置50の変形例は、部品点数が削減され、簡素な装置構成となる。
また、実施形態のエアバッグ装置50において、ガス供給ユニット60は、第1外部連通部70と、第2外部連通部71とを更に備える。第1外部連通部70は、展開された左側第1チャンバ51の内部のガスG1を外部に排出可能である。第2外部連通部71は、展開された右側第2チャンバ54の内部のガスを外部に排出可能である。このため、実施形態のエアバッグ装置50は、リスク物体が左側第1チャンバ51および右側第1チャンバ53によってリバウンドすることを抑止することができる。
また、実施形態のエアバッグシステム200は、エアバッグ装置50と、ガス供給ユニット60を制御する制御装置100と、を備える。このようなエアバッグシステム200によれば、エアバッグ装置50を備えているため、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54を選択的に展開することにより、ポテンシャルエネルギを変化させることができる。
また、実施形態のエアバッグシステム200は、左側第1チャンバ51と、左側第2チャンバ52と、右側第1チャンバ53と、右側第2チャンバ54と、認識部110と、接触判定部120と、エアバッグ制御部130と、を備えている。左側第1チャンバ51は、車両Mの車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーPLの外表面を覆うように展開可能である。左側第2チャンバ52は、左側第1チャンバ51上にて展開可能である。右側第1チャンバ53は、車両Mの車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーPRの外表面を覆うように展開可能である。右側第2チャンバ54は、右側第1チャンバ53上にて展開可能である。認識部110は、車両Mの周辺に存在するリスク物体を認識する。接触判定部120は、リスク物体と車両Mとの衝突を予測する。エアバッグ制御部130は、接触判定部120の予測に基づいて、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54の展開制御を行う。
このような実施形態のエアバッグシステム200においては、左側第1チャンバ51、左側第2チャンバ52、右側第1チャンバ53、および右側第2チャンバ54を選択的に展開することにより、ポテンシャルエネルギを変化させることができる。例えば、左側第1チャンバ51のみを展開する場合よりも、左側第1チャンバ51と左側第2チャンバ52とを展開する場合の方が、エアバッグ装置50のポテンシャルエネルギが増加する。このため、実施形態のエアバッグシステム200は、自転車C1のように速度が速いリスク物体であっても適切に保護することが可能である。したがって、実施形態のエアバッグシステム200は、自転車C1等の他車両に身体が外部に露出された状態で乗車する人であっても適切に保護することが可能である。
また、実施形態のエアバッグシステム200において、接触判定部120が車両Mにおけるリスク物体の衝突位置を予測し、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して左側である場合には、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ51のみ、或いは左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52を展開する。また、接触判定部120が車両Mにおけるリスク物体の衝突位置を予測し、エアバッグ制御部130は、衝突位置が車両Mの車幅方向に関して右側である場合には、右側第1チャンバ53のみ、或いは右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開する。
実施形態のエアバッグシステム200によれば、リスク物体が衝突する位置でチャンバを展開し、リスク物体が衝突しない位置でチャンバの展開を行わない。このため、不要な位置でチャンバが展開されることを抑止することができる。
また、実施形態のエアバッグシステム200において、認識部110がリスク物体として歩行者を認識し、接触判定部120が歩行者と車両Mとの衝突を予測し、車両Mの速度がシビアリティ判定閾値より低速な速度域(第1速度域)にある場合には、エアバッグ制御部130は、衝突位置に応じて、左側第1チャンバ51或いは右側第1チャンバ53を展開する。一方、認識部110がリスク物体として歩行者を認識し、接触判定部120が歩行者と車両Mとの衝突を予測し、車両Mの速度がシビアリティ判定閾値よりも高速な速度域(第2速度域)にある場合には、衝突位置に応じて、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52の両方、或いは、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54の両方を展開する。
このような実施形態のエアバッグシステム200によれば、車両Mの速度がシビアリティ判定閾値より高速である場合には、2つのチャンバが重なるように展開される。このため、車両Mの速度がシビアリティ判定閾値より高速であっても、リスク物体に与える衝撃を緩和することが可能となる。
また、実施形態のエアバッグシステム200においては、認識部110がリスク物体として歩行者P1を認識し、歩行者P1が車両Mと衝突すると予測される場合に、接触判定部120は、歩行者P1の体格情報と車両Mの速度VMとに基づいて歩行者P1の頭部が車両Mと衝突する時刻を予測する。また、エアバッグ制御部130は、接触判定部120で予測された時刻に合わせて展開制御を行う。このため、実施形態のエアバッグシステム200は、歩行者P1の頭部が車両Mと衝突する瞬間にチャンバを展開することができ、歩行者P1の頭部が受ける衝撃を更に緩和させることが可能となる。
また、実施形態のエアバッグシステム200においては、接触判定部120は、歩行者P1の頭部位置が高いほど頭部が車両Mと衝突する時刻を遅く予測し、車両Mの速度が速いほど頭部が車両Mと衝突する時刻を早く予測する。歩行者P1の頭部位置が高いほど頭部が車両Mと衝突する時刻が遅れる傾向にある。このため、実施形態のエアバッグシステム200によれば、より確実に歩行者P1が車両Mと衝突する瞬間にチャンバを展開することができ、歩行者P1の頭部が受ける衝撃を更に緩和させることが可能となる。
また、実施形態のエアバッグシステム200においては、認識部110がリスク物体として歩行者P1を認識し、接触判定部120が予測した車両Mにおけるリスク物体の衝突位置が予め設定された車幅方向における中央範囲である、場合に、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とを展開する。実施形態のエアバッグシステム200によれば、衝突位置が車両Mの左右のどちら側であるかが確定できない場合には、車両Mの車幅方向の両側でチャンバが展開される。このため、衝突位置が車両Mの左右のどちら側であるかが確定できない場合であっても、リスク物体を保護することができる。
また、実施形態のエアバッグシステム200においては、自転車C1(身体が外部に露出された状態で人が乗車する他車両)を認識部110がリスク物体として認識し、接触判定部120が他車両と車両Mとの衝突を予測した場合に、エアバッグ制御部130は、衝突位置に応じて、左側第1チャンバ51および左側第2チャンバ52、或いは、右側第1チャンバ53および右側第2チャンバ54を展開する。実施形態のエアバッグシステム200によれば、歩行者P1と比較して速度が速い可能性が高い自転車C1等が車両Mに衝突する場合には、2つのチャンバが重なるように展開される。このため、リスク物体の速度が速い場合であっても、リスク物体に与える衝撃を緩和することが可能となる。
また、実施形態のエアバッグシステム200においては、自転車C1(身体が外部に露出された状態で人が乗車する他車両)を認識部110がリスク物体として認識し、自転車C1が車両Mと衝突すると予測される場合に、接触判定部120は、他車両に乗車している人の頭部位置と、車両Mに対する他車両の相対速度と、に基づいて自転車C1に乗車している人の頭部が車両Mと衝突する時刻を予測する。また、エアバッグ制御部130は、接触判定部120が予測した時刻に合わせて展開制御を行う。このため、実施形態のエアバッグシステム200は、自転車C1の乗員の頭部が車両Mと衝突する瞬間にチャンバを展開することができ、自転車C1の乗員の頭部が受ける衝撃を更に緩和させることが可能となる。
また、実施形態のエアバッグシステム200において、接触判定部120は、自転車C1に乗車する人の頭部位置が高いほど頭部が車両Mと衝突する時刻を遅く予測し、車両Mと自転車C1との相対速度が速いほど頭部が車両Mと衝突する時刻を早く予測する。頭部位置が高いほど頭部が車両Mと衝突する時刻が遅くなり、相対速度が速いほど頭部が車両Mと衝突する時刻が速くなる傾向がある。このため、実施形態のエアバッグシステム200によれば、自転車C1に乗車する人の頭部が車両Mと衝突する瞬間にチャンバを展開することができ、自転車C1に乗車する人の頭部が受ける衝撃を更に緩和させることが可能となる。
また、実施形態のエアバッグシステム200において、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ51が展開されている場合に、左側第1チャンバ51にリスク物体が接触するタイミングに合わせて左側第1チャンバ51の内圧を減少させる。このため、リスク物体が左側第1チャンバ51によってリバウンドすることを抑制できる。また、エアバッグ制御部130は、右側第1チャンバ53が展開されている場合に、右側第1チャンバ53にリスク物体が接触するタイミングに合わせて右側第1チャンバ53の内圧を減少させる。このため、リスク物体が右側第1チャンバ53によってリバウンドすることを抑制できる。
また、実施形態のエアバッグシステム200においては、接触判定部120が車両Mに衝突するリスク物体が複数あると予測した場合、或いは、接触判定部120が車両Mにおけるリスク物体の衝突位置が予測できない場合には、エアバッグ制御部130は、左側第1チャンバ51と右側第1チャンバ53とを展開する。実施形態のエアバッグシステム200によれば、衝突するリスク物体が複数ある場合や、衝突位置が車両Mの左右のどちら側であるかが確定できない場合には、車両Mの車幅方向の両側でチャンバが展開される。このため、衝突するリスク物体が複数である場合や、衝突位置が車両Mの左右のどちら側であるかが確定できない場合であっても、リスク物体を保護することができる。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、 車両の周辺状況を認識し、
認識されたリスク物体と前記車両との衝突を予測し、
予測に基づいて、
前記車両の車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な左側第1チャンバと、
前記左側第1チャンバ上にて展開可能な左側第2チャンバと、
前記車両の車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な右側第1チャンバと、
前記右側第1チャンバ上にて展開可能な右側第2チャンバと、
の展開制御を行う、ように構成されている、
物体保護装置。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
50 エアバッグ装置
51 左側第1チャンバ
51a 左側ピラー被覆部
51b フード被覆部
51c 接続部
51d ガス導入開口
52 左側第2チャンバ
52a 左側ピラー被覆部
52b フード被覆部
52c 接続部
52d ガス導入開口
53 右側第1チャンバ
53a 右側ピラー被覆部
53b フード被覆部
53c 接続部
53d ガス導入開口
54 右側第2チャンバ
54a 右側ピラー被覆部
54b フード被覆部
54c 接続部
54d ガス導入開口
60 ガス供給ユニット
61 インフレータ収容チャンバ
62 第1インフレータ(第1ガス供給部)
63 第2インフレータ(第2ガス供給部)
64 第1接続チャンバ(第1接続部)
65 第2接続チャンバ(第2接続部)
66 左側第1チャンバ展開用開閉弁(第1開閉弁)
67 左側第2チャンバ展開用開閉弁(第4開閉弁)
68 右側第1チャンバ展開用開閉弁(第3開閉弁)
69 右側第2チャンバ展開用開閉弁(第2開閉弁)
70 第1外部連通部
71 第2外部連通部
72 共通接続チャンバ(共通接続部)
100 制御装置
110 認識部
120 接触判定部(予測部)
130 エアバッグ制御部(展開制御部)
140 記憶部
200 エアバッグシステム
C1 自転車(リスク物体)
G1 ガス
G2 ガス
H1 後端部
HD フード
M 車両
P プログラム
P1 歩行者(リスク物体)
PL 左側フロントピラー
PR 右側フロントピラー

Claims (13)

  1. 車両の車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な左側第1チャンバと、
    前記左側第1チャンバ上にて展開可能な左側第2チャンバと、
    前記車両の車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な右側第1チャンバと、
    前記右側第1チャンバ上にて展開可能な右側第2チャンバと、
    前記車両の周辺に存在するリスク物体を認識する認識部と、
    前記リスク物体と前記車両との衝突を予測する予測部と、
    前記予測部の予測に基づいて、前記左側第1チャンバ、前記左側第2チャンバ、前記右側第1チャンバ、及び前記右側第2チャンバの展開制御を行う展開制御部と、
    を備えるエアバッグシステム。
  2. 前記予測部が前記車両における前記リスク物体の衝突位置を予測した場合に、
    前記展開制御部は、
    前記衝突位置が前記車両の車幅方向に関して左側である場合には、前記左側第1チャンバのみ、或いは前記左側第1チャンバ及び前記左側第2チャンバを展開し、
    前記衝突位置が前記車両の車幅方向に関して右側である場合には、前記右側第1チャンバのみ、或いは前記右側第1チャンバ及び前記右側第2チャンバを展開する、
    請求項1記載のエアバッグシステム。
  3. 前記認識部が前記リスク物体として歩行者を認識し、前記予測部が前記歩行者と前記車両との衝突を予測した場合に、
    前記展開制御部は、
    前記車両の速度が第1速度域にある場合には、前記衝突位置に応じて、前記左側第1チャンバ或いは前記右側第1チャンバを展開し、
    前記車両の速度が前記第1速度域よりも高速側の第2速度域にある場合には、前記衝突位置に応じて、前記左側第1チャンバ及び前記左側第2チャンバの両方、或いは、前記右側第1チャンバ及び前記右側第2チャンバの両方を展開する、
    請求項2記載のエアバッグシステム。
  4. 前記認識部が前記リスク物体として歩行者を認識した場合に、
    前記予測部は、前記歩行者が前記車両と衝突すると予測される場合に、前記歩行者の体格情報と前記車両の速度とに基づいて前記歩行者の頭部が前記車両と衝突する時刻を予測し、
    前記展開制御部は、前記時刻に合わせて前記展開制御を行う、
    請求項2または3記載のエアバッグシステム。
  5. 前記予測部は、
    前記歩行者の頭部位置が高いほど前記頭部が前記車両と衝突する時刻を遅く予測し、
    前記車両の速度が速いほど前記頭部が前記車両と衝突する時刻を早く予測する、
    請求項4記載のエアバッグシステム。
  6. 前記認識部が前記リスク物体として歩行者を認識し、
    前記予測部が予測した前記車両における前記リスク物体の衝突位置が予め設定された車幅方向における中央範囲である、場合に、
    前記展開制御部は、少なくとも前記左側第1チャンバと前記右側第1チャンバとを展開する、
    請求項2から5のうちいずれか一項に記載のエアバッグシステム。
  7. 身体が外部に露出された状態で人が乗車する他車両を前記認識部が前記リスク物体として認識し、前記予測部が前記他車両と前記車両との衝突を予測した場合に、
    前記展開制御部は、前記衝突位置に応じて、前記左側第1チャンバ及び前記左側第2チャンバ、或いは、前記右側第1チャンバ及び前記右側第2チャンバを展開する、
    請求項2記載のエアバッグシステム。
  8. 身体が外部に露出された状態で人が乗車する他車両を前記認識部が前記リスク物体として認識した場合に、
    前記予測部は、前記他車両が前記車両と衝突すると予測される場合に、前記他車両に乗車している人の頭部位置と、前記車両に対する前記他車両の相対速度と、に基づいて前記他車両に乗車している人の頭部が前記車両と衝突する時刻を予測し、
    前記展開制御部は、前記時刻に合わせて前記展開制御を行う、
    請求項2または7記載のエアバッグシステム。
  9. 前記予測部は、
    前記頭部位置が高いほど前記頭部が前記車両と衝突する時刻を遅く予測し、
    前記相対速度が速いほど前記頭部が前記車両と衝突する時刻を早く予測する、
    請求項8記載のエアバッグシステム。
  10. 前記展開制御部は、
    前記左側第1チャンバが展開されている場合に、前記左側第1チャンバに前記リスク物体が接触するタイミングに合わせて前記左側第1チャンバの内圧を減少させ、
    前記右側第1チャンバが展開されている場合に、前記右側第1チャンバに前記リスク物体が接触するタイミングに合わせて前記右側第1チャンバの内圧を減少させる、
    請求項1から9のうちいずれか一項に記載のエアバッグシステム。
  11. 前記予測部が前記車両に衝突する前記リスク物体が複数あると予測した場合、或いは、前記予測部が前記車両における前記リスク物体の衝突位置が予測できない場合には、
    前記展開制御部は、少なくとも前記左側第1チャンバと前記右側第1チャンバとを展開する、
    請求項1から10のうちいずれか一項に記載のエアバッグシステム。
  12. 車両の周辺状況を認識し、
    認識されたリスク物体と前記車両との衝突を予測し、
    予測に基づいて、
    前記車両の車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な左側第1チャンバと、
    前記左側第1チャンバ上にて展開可能な左側第2チャンバと、
    前記車両の車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な右側第1チャンバと、
    前記右側第1チャンバ上にて展開可能な右側第2チャンバと、
    の展開制御を行う、
    物体保護方法。
  13. コンピュータに、
    車両の周辺に存在するリスク物体を認識させ、
    前記リスク物体と前記車両との衝突を予測させ、
    予測に基づいて、
    前記車両の車幅方向に関して左側に位置する左側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な左側第1チャンバと、
    前記左側第1チャンバ上にて展開可能な左側第2チャンバと、
    前記車両の車幅方向に関して右側に位置する右側フロントピラーの外表面を覆うように展開可能な右側第1チャンバと、
    前記右側第1チャンバ上にて展開可能な右側第2チャンバと、
    の展開制御を行わせる、
    プログラム。
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