JP2023039538A - 歩行者保護エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】歩行者に対する2次衝突を低減する。【解決手段】歩行者保護エアバッグ装置10では、フロントサイドエアバッグ20及びリヤサイドエアバッグ30が、サイドシル40から車幅方向外側及び上側へ膨張展開されると共に、車両Vの側面に沿って配置される。また、フロントサイドエアバッグ20の上端部がリヤサイドエアバッグ30の上端部よりも下側に配置されて、フロントサイドエアバッグ20とリヤサイドエアバッグ30との間に段差部30Aが形成される。これにより、フード78の後端側部分から車両Vの車幅方向外側へ倒れ込む歩行者Pの上半身を、フロントサイドエアバッグ20により下側から受け止め、歩行者Pの頭部を段差部30Aによって後側から受け止めることができる。したがって、歩行者Pの路面SRへの衝突を抑制することができる。【選択図】図5

Description

本発明は、歩行者保護エアバッグ装置に関するものである。
下記特許文献1に記載の歩行者保護装置は、車両のフードの右側後端部とフロントガラスとの間で膨張展開される右エアバッグと、車両のフードの左側後端部とフロントガラスとの間で膨張展開される左エアバッグと、を含んで構成されている。また、歩行者保護装置は、車幅方向における歩行者の衝突位置を検知する衝突位置検知装置を有している。そして、衝突位置検知装置が歩行者の衝突位置を検知すると、制御部が、歩行者の衝突位置に応じて、右エアバッグ及び左エアバッグの一方を、右エアバッグ及び左エアバッグの他方に対して先に膨張展開させるように制御する。これにより、フード上に倒れ込む歩行者に対する保護性能を向上することができる。
特開2017-177981号公報
ここで、例えば、歩行者と車両の前部との衝突では、車両に衝突した歩行者が、フード上に倒れ込んだ後に、車両の側面に沿って車両下側へ倒れて、地面に衝突する可能性がある。すなわち、歩行者と車両の前部との衝突では、車両に衝突した歩行者の地面への2次衝突が考えられる。したがって、車両では、歩行者保護性能を向上するという観点からすると、歩行者の2次衝突を低減することができる構造にすることが望ましい。
本発明は、上記事実を考慮して、歩行者に対する2次衝突を低減することができる歩行者保護エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、車両のサイドシルの前部に設けられ、ガスの供給を受けることで車両の側面に沿って膨張展開される車外前側サイドエアバッグと、車両のサイドシルの後部に設けられ、ガスの供給を受けることで車両の側面に沿って膨張展開される車外後側サイドエアバッグと、を備え、前記車外前側サイドエアバッグの上端部が、前記車外後側サイドエアバッグの上端部よりも車両下側に配置されている歩行者保護エアバッグ装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記サイドシルには、前記車外前側サイドエアバッグの膨張展開時に開裂されて前記サイドシルの下端部から車幅方向外側に開く前側バッグドアと、前記車外後側サイドエアバッグの膨張展開時に開裂されて前記サイドシルの下端部から車幅方向外側に開く後側バッグドアと、が形成されており、前記後側バッグドアによって、前記車外後側サイドエアバッグを車両下側から支持し、前記前側バッグドアは、前記後側バッグドアよりも車両下側に配置され、前記車外前側サイドエアバッグが前記車外後側サイドエアバッグに対して下側にずれて配置される歩行者保護エアバッグ装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記前側バッグドアに連結され、前記前側バッグドアを保持する前側保持部と、前記後側バッグドアに連結され、前記後側バッグドアを保持する後側保持部と、前記前側保持部に連結され、作動することで前記前側保持部による前記前側バッグドアに対する保持状態を解除して、前記前側バッグドアを前記後側バッグドアよりも車両下側に配置させる保持解除部と、を備えた歩行者保護エアバッグ装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、歩行者の車両への衝突を検出する歩行者衝突検知部と、衝突体の車両への側面衝突を検出する衝突検知部と、前記保持解除部の作動を制御すると共に、前記歩行者衝突検知部からの出力信号に基づいて歩行者の車両への衝突を検知し、前記衝突検知部からの出力信号に基づいて車両への側面衝突を検知する制御部と、を備え、前記制御部が、歩行者の車両への衝突を検知したときには、前記保持解除部を作動させ、前記制御部が、衝突体の側面衝突を検知したときには、前記保持解除部を非作動状態に維持して、前記前側バッグドアによって前記車外前側サイドエアバッグを車両下側から支持する歩行者保護エアバッグ装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記車外前側サイドエアバッグの内部には、膨張展開された前記車外前側サイドエアバッグの下端部及び上端部を連結するテザーが設けられており、前記保持解除部の作動時には、前記テザーによって車両上側へ開放された窪み部が前記車外前側サイドエアバッグの上端部に形成され、前記保持解除部の非作動時には、前記テザーの上端部が、車両の側部の車幅方向外側に隣接して配置される歩行者保護エアバッグ装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記車外前側サイドエアバッグは、前記車外前側サイドエアバッグの上部を構成するアッパバッグ部と、前記車外前側サイドエアバッグの下部を構成するロアバッグ部と、を含んで構成されており、前記アッパバッグ部の内圧が前記ロアバッグ部の内圧よりも低い歩行者保護エアバッグ装置である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、歩行者に対する2次衝突を低減することができる。
本実施の形態に係る歩行者保護エアバッグ装置が適用された車両の右側から見た側面図である。 (A)は、車両と衝突体との側面衝突時における歩行者保護エアバッグ装置のフロントサイドエアバッグ及びリヤサイドバッグの膨張展開状態を示す右側面図であり、(B)は、車両と歩行者との衝突時における歩行者保護エアバッグ装置のフロントサイドエアバッグ及びリヤサイドバッグの膨張展開状態を示す右側面図である。 図2(A)に示されるフロントサイドエアバッグの膨張展開状態を示す前側から見た断面図(図2(A)の3-3線断面図)である。 図2(A)に示されるリヤサイドエアバッグの膨張展開状態を示す前側から見た断面図(図2(A)の4-4線断面図)である。 図2(B)に示されるフロントサイドエアバッグの膨張展開状態を示す前側から見た断面図(図2(B)の5-5線断面図)である。 車両と歩行者との衝突時における歩行者の挙動を説明するための説明図である。
以下、図面を用いて、本実施形態に係る歩行者保護エアバッグ装置10について説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRは、歩行者保護エアバッグ装置10が適用された車両(自動車)Vの車両前側を示し、矢印UPは車両上側を示し、矢印RHは車両右側(車幅方向一方側)を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、車両上下方向、車両前後方向、車両左右方向を示すものとする。
歩行者保護エアバッグ装置10は、車両Vの車幅方向両側部に設けられて、車両Vの車幅方向外側の側面に沿って下側へ倒れ込む歩行者Pを保護するための歩行者保護装置として構成されている。また、歩行者保護エアバッグ装置10は、車両Vと衝突体との側面衝突時において、衝突体との衝突を軽減するための側面衝突用のエアバッグ装置としても構成されている。以下、歩行者保護エアバッグ装置10を車両Vの右側部に設けた例として説明する。
図1~図5に示されるように、歩行者保護エアバッグ装置10は、車外前側サイドエアバッグとしての車外フロントサイドエアバッグ20(以下、単にフロントサイドエアバッグ20という)と、車外後側サイドエアバッグとしての車外リヤサイドエアバッグ30(以下、単にリヤサイドエアバッグ30という)と、フロントサイドエアバッグ20に設けられ且つフロントサイドエアバッグ20にガスを供給する前側インフレータ28と、リヤサイドエアバッグ30に設けられ且つリヤサイドエアバッグ30にガスを供給する後側インフレータ38と、前側インフレータ28及び後側インフレータ38を作動させるための制御部としてのECU(Electronic Control Unit)60(図1参照)と、を含んで構成されている。
歩行者保護エアバッグ装置10は、車両Vのサイドシル40(ロッカともいう)の内部に配置されている。サイドシル40は、車両Vの右側部の下端部を構成すると共に、前後方向に延在された略中空柱状に形成されて、車両Vの前輪70及び後輪72との間に配置されている。そして、折り畳み状態のフロントサイドエアバッグ20及び前側インフレータ28が、サイドシル40の前部に収容されており、折り畳み状態のリヤサイドエアバッグ30及び後側インフレータ38が、サイドシル40の後部に収容されている。前側インフレータ28及び後側インフレータ38は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、ECU60に電気的に接続されている。そして、ECU60によって前側インフレータ28(後側インフレータ38)が作動すると、前側インフレータ28(後側インフレータ38)から噴出されるガスがフロントサイドエアバッグ20(リヤサイドエアバッグ30)に供給されて、フロントサイドエアバッグ20(リヤサイドエアバッグ30)が膨張展開されるようになっている。
また、フロントサイドエアバッグ20及びリヤサイドエアバッグ30の膨張展開に伴ってフロントサイドエアバッグ20及びリヤサイドエアバッグ30がサイドシル40に形成された前側バッグドア42及び後側バッグドア44を開口させて、フロントサイドエアバッグ20及びリヤサイドエアバッグ30が車両Vの右側部に膨張展開されるようになっている。以下、先に、前側バッグドア42及び後側バッグドア44の構造について説明し、次いで、フロントサイドエアバッグ20、リヤサイドエアバッグ30、及びECU60について説明する。
(前側バッグドア42及び後側バッグドア44について)
サイドシル40の車幅方向外側壁の前部には、フロントサイドエアバッグ20の膨張圧によって開裂されるティア部40A(図1参照)が形成されており、サイドシル40におけるティア部40Aの内側部分が、前側バッグドア42として構成されている。また、サイドシル40の車幅方向外側壁の後部には、リヤサイドエアバッグ30の膨張圧によって開裂されるティア部40B(図1参照)が形成されており、サイドシル40におけるティア部40Bの内側部分が、後側バッグドア44として構成されている。そして、歩行者保護エアバッグ装置10の作動時には、前側バッグドア42及び後側バッグドア44が車幅方向外側へ傾倒するように開いて、サイドシル40が開口される。具体的には、前側バッグドア42は、サイドシル40と接続されたヒンジ部42Aを有しており、前側バッグドア42が、ヒンジ部42Aから車幅方向外側へ延出するように開く(図3に示される位置であり、以下、この前側バッグドア42の位置を開位置という)。また、同様に、後側バッグドア44は、サイドシル40と接続されたヒンジ部44Aを有しており、後側バッグドア44が、ヒンジ部44Aから車幅方向外側へ延出するように開く(図4に示される位置であり、以下、この後側バッグドア44の位置を開位置という)。
前側バッグドア42は、サイドシル40内に設けられた前側保持部としての前側バッグドア保持部50に連結されている(図3参照)。前側バッグドア保持部50は、紐状部材によって構成されており、前側バッグドア保持部50によって前側バッグドア42が開位置に保持されている。また、前側バッグドア42と同様に、後側バッグドア44は、サイドシル40内に設けられ且つ紐状部材によって構成された後側保持部としての後側バッグドア保持部52に連結されており(図4参照)、後側バッグドア保持部52によって後側バッグドア44が開位置に保持されている。
また、サイドシル40内には、前側バッグドア保持部50の前側バッグドア42に対する保持状態を解除するための保持解除部としてのアクチュエータ54が設けられている(図3参照)。アクチュエータ54は、前側バッグドア保持部50に連結されている。アクチュエータ54は、例えば、シリンダと、シリンダ内に収容され且つ前側バッグドア保持部50に連結されたピストンと、シリンダ内に設けられたガスジェネレーションと、を含んで構成されて、後述するECU60に電気的に接続されている。そして、車両Vと歩行者Pとの衝突時には、ECU60によってアクチュエータ54が作動して、前側バッグドア保持部50をアクチュエータ54によって破断させるようになっている。具体的には、ガスジェネレーションによって発生したガスがシリンダ内に充填され、シリンダ内のガス圧によってピストンがシリンダに対して相対移動することで、前側バッグドア保持部50が破断される構成になっている。これにより、図5に示されるように、前側バッグドア保持部50の前側バッグドア42に対する保持状態が解除されて、前側バッグドア42の開き量を拡大可能に構成されている。そして、前側バッグドア保持部50の前側バッグドア42に対する保持状態を解除されると、前側バッグドア42が、ヒンジ部42Aを中心に開位置からさらに開いて、開位置よりも下側の拡大位置(図5に示される位置参照)に配置される構成になっている。
(フロントサイドエアバッグ20について)
図2、図3、及び図5に示されるように、フロントサイドエアバッグ20は、一例として複数の基布の外周部を縫製することにより袋状に形成されている。具体的には、フロントサイドエアバッグ20の膨張展開状態では、フロントサイドエアバッグ20が、左右方向を厚み方向とし且つ右側から見て略矩形袋状に形成されている。また、フロントサイドエアバッグ20は、フロントサイドエアバッグ20の下部を構成するロアバッグ部22と、フロントサイドエアバッグ20の上部を構成するアッパバッグ部24と、を備えている。アッパバッグ部24は、前後方向から見た断面視で、下側へ開放された断面略逆U字形状に形成されており、アッパバッグ部24の下側開口部が、厚み方向内側に折られた状態で、ロアバッグ部22の上端部に縫製等によって結合されている。また、ロアバッグ部22の上端部におけるアッパバッグ部24と縫合された部分が、隔壁22Aとして構成されており、隔壁22Aには、複数の連通孔22B(図3及び図5参照)が貫通形成されており、連通孔22Bは、前後方向に並んで配置されている。これにより、ロアバッグ部22とアッパバッグ部24とが連通孔22Bによって連通されている。また、アッパバッグ部24には、ベントホール24A(図2(A)及び(B)参照)が形成されており、アッパバッグ部24の内圧が、ロアバッグ部22の内圧と比べて低くなるように構成されている。
フロントサイドエアバッグ20は、前側インフレータ28からガスの供給を受けると、サイドシル40の前部から車幅方向外側へ且つ上側へ膨張展開されて、車両Vのフロントサイドドア74における下部の外表面に沿って配置されるようになっている。詳しくは、前側バッグドア42の開位置では、ロアバッグ部22の下端部が、サイドシル40の車幅方向外側に配置され、前側バッグドア42によって下側から支持されるようになっている(図3参照)。一方、前側バッグドア42の拡大位置では、ロアバッグ部22の下端部が、サイドシル40の右斜め下方側に配置され、路面SRと当接することで、路面SRによって下側から支持されるようになっている(図5参照)。すなわち、前側バッグドア42の拡大位置では、前側バッグドア42の開位置と比べて、フロントサイドエアバッグ20が下側に配置される構成になっている。より詳しくは、前側バッグドア42の拡大位置では、フロントサイドエアバッグ20の上端が、車両Vのフード78よりも下側に配置されて、車両Vの右側部に倒れ込む歩行者Pの頭部や上半身を下側から受け止めるように構成されている(図2(B)参照)。
さらに、フロントサイドエアバッグ20の内部には、フロントサイドエアバッグ20の下端部と上端部とを連結する複数のテザー26が設けられている。テザー26は、略長尺紐状に形成されており、テザー26の一端部(下端部)が、ロアバッグ部22における前側バッグドア42の先端部に略対応する位置に結合され、テザー26の他端部(上端部)がアッパバッグ部24の上端側部分に結合されている。そして、前側バッグドア42の拡大位置では、テザー26によってフロントサイドエアバッグ20の上端部の上下位置が規制されて、上側へ開放された窪み部20Aがフロントサイドエアバッグ20の上端部に形成されるように構成されている(図5参照)。一方、前側バッグドア42の開位置では、テザー26の他端部(上端部)が、車両Vのフロントサイドドア74の車幅方向外側に隣接配置されて、テザー26によってフロントサイドエアバッグ20を、フロントサイドドア74側へ引き込んで、フロントサイドエアバッグ20の配置姿勢を良好に維持するように構成されている。なお、テザー26は、フロントサイドエアバッグ20の連通孔22B内を挿通して、フロントサイドエアバッグ20の下端部と上端部とを連結している。
(リヤサイドエアバッグ30について)
図2、図4、及び図5に示されるように、リヤサイドエアバッグ30は、フロントサイドエアバッグ20と同様に構成されている。すなわち、リヤサイドエアバッグ30の膨張展開状態では、リヤサイドエアバッグ30が、左右方向を厚み方向とし且つ右側から見て略矩形袋状に形成されている。また、リヤサイドエアバッグ30は、リヤサイドエアバッグ30の下部を構成するロアバッグ部32と、リヤサイドエアバッグ30の上部を構成するアッパバッグ部34と、を備えており、アッパバッグ部34の下端部が、ロアバッグ部32の上端部に縫製等によって結合されている。なお、リヤサイドエアバッグ30のアッパバッグ部34の後端部は、車両Vのホイールハウスに対応して、アッパバッグ部34よりも後側へ突出している。また、ロアバッグ部32の上端部の隔壁32Aには、複数の連通孔32B(図4参照)が貫通形成されている。さらに、アッパバッグ部34には、ベントホール34A(図2(A)及び(B)参照)が形成されており、アッパバッグ部34の内圧が、ロアバッグ部32の内圧と比べて低くなるように構成されている。
また、リヤサイドエアバッグ30の内部には、リヤサイドエアバッグ30の下端部と上端部とを連結する複数のテザー36(図4参照)が設けられており、テザー36は、リヤサイドエアバッグ30の連通孔32B内を挿通している。
そして、後側インフレータ38の作動時には、リヤサイドエアバッグ30が、サイドシル40の後部から車幅方向外側へ且つ上側へ膨張展開されて、車両Vのリヤサイドドア76の外表面に沿って配置されと共に、フロントサイドエアバッグ20の後側に隣接して配置されるようになっている。また、リヤサイドエアバッグ30におけるロアバッグ部32の下端部が、サイドシル40の車幅方向外側に配置され、開位置の後側バッグドア44によって下側から支持される。さらに、前側バッグドア42が拡大位置に配置された状態では、リヤサイドエアバッグ30の上端部が、フロントサイドエアバッグ20の上端部よりも上側に配置されて、フロントサイドエアバッグ20とリヤサイドエアバッグ30との間に段差部30Aが形成されるようになっている(図2(B)及び図5参照)。これにより、段差部30Aによって、フロントサイドエアバッグ20上に倒れ込む歩行者Pを受け止めて、歩行者Pの後側への移動を抑制する構成になっている。なお、フロントサイドエアバッグ20と同様に、リヤサイドエアバッグ30のテザー36は、車両Vのリヤサイドドア76の車幅方向外側に隣接配置されて、テザー36によってリヤサイドエアバッグ30を、リヤサイドドア76側へ引き込んで、リヤサイドエアバッグ30配置姿勢を良好に維持するように構成されている。
(ECU60について)
図1に示されるように、ECU60には、前述した前側インフレータ28、後側インフレータ38、及びアクチュエータ54が電気的に接続されている。そして、ECU60の制御によって前側インフレータ28、後側インフレータ38、及びアクチュエータ54が作動する。
また、ECU60には、車両Vに設けられた衝突検知部としての衝突検知センサ62及び衝突予知センサ64と、歩行者衝突検知部としての歩行者衝突検知センサ66と、が電気的に接続されている。
衝突検知センサ62は、加速度センサ等によって構成されると共に、車両Vの外周部に設けられている。衝突検知センサ62は、車両Vに入力された加速度等を測定して、測定データをECU60に出力する。衝突予知センサ64は、ステレオカメラ等によって構成されている。衝突予知センサ64は、車両Vの周囲を撮影して、車両Vへの衝突体を検出する。また、衝突予知センサ64は、検出した衝突体までの距離や車両Vと衝突体との相対速度等を測定し、測定データをECU60へ出力する。そして、ECU60が、衝突検知センサ62及び衝突予知センサ64からの出力信号に基づいて、前面衝突や側面衝突等の車両Vへの衝突を検知するようになっている。
歩行者衝突検知センサ66は、車両Vの前端部に配置されたフロントバンパ80のバンパビーム(図示省略)の前側に設けられている。この歩行者衝突検知センサ66は、車幅方向を長手方向とする略長尺状の圧力チューブと、圧力チューブの長手方向両端に設けられた圧力センサと、を含んで構成されている。そして、圧力チューブ内の圧力変化に応じた信号が歩行者衝突検知センサ66からECU60に出力されて、ECU60が車両Vに前部に衝突した衝突体が歩行者か歩行者以外の障害物であるかを判別するようになっている。
さらに、ECU60が、衝突検知センサ62及び衝突予知センサ64の出力信号に基づいて、車両Vと衝突体との側面衝突を検知した場合には、ECU60は、前側インフレータ28及び後側インフレータ38を作動させるようになっている。また、ECU60が、衝突検知センサ62、衝突予知センサ64、及び歩行者衝突検知センサ66との出力信号に基づいて、車両Vの前部と歩行者との衝突を検知した場合には、ECU60は、前側インフレータ28、後側インフレータ38、及びアクチュエータ54を作動させるようになっている。すなわち、車両Vの側面衝突時には、アクチュエータ54が作動せずに、前側バッグドア42が開位置に開き、車両Vと歩行者Pとの衝突時には、アクチュエータ54が作動して、前側バッグドア42がフロントサイドエアバッグ20の膨張圧によって拡大位置に開くように構成されている。
(作用効果)
次に、車両Vの前側の右角部付近に歩行者Pが衝突したときの歩行者Pの挙動と、歩行者保護エアバッグ装置10の動作と、を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果を説明する。
図6には、車両Vの前側の右角部付近に歩行者Pが衝突したときの歩行者Pの挙動を時系列で図示している。図6の(1)~(3)に示されるように、車両Vと歩行者Pとの衝突前期では、車両Vの前端部のフロントバンパ80によって歩行者Pの脚部が跳ね上げられて、歩行者Pが車両Vのフード78の右側部(右端部)上に倒れ込むようになる。そして、図6の(4)~(6)に示されるように、車両Vと歩行者Pとの衝突後期では、車両Vのフード78の右側部(右端部)上に倒れ込んだ歩行者Pは、車両Vのフード78の後端側部分から車両Vのフロントサイドドア74の車幅方向外側へ倒れ込むようになる。これにより、歩行者Pが車両Vのフロントサイドドア74の外表面に沿って滑り落ちるため(図2(B)の矢印を参照)、歩行者Pが路面SRに衝突する可能性がある。なお、図示は省略するが、歩行者Pと車両Vとの衝突時には、フード78の後端部が持上げられ、歩行者保護用のフードエアバッグが、フード78とウィンドシールドガラス82との間からフロントピラー84側へ膨張展開されて、フード78に倒れ込む歩行者Pをフードエアバッグによって保護するようになっている。
ここで、車両Vと歩行者Pとの衝突では、ECU60が、衝突検知センサ62、衝突予知センサ64、及び歩行者衝突検知センサ66との出力信号に基づいて、歩行者保護エアバッグ装置10の前側インフレータ28及び後側インフレータ38を作動させる。これにより、前側インフレータ28によってフロントサイドエアバッグ20にガスが供給されて、フロントサイドエアバッグ20が、サイドシル40から車幅方向外側及び上側へ膨張展開されると共に、フロントサイドドア74の外表面に沿って配置される。また、後側インフレータ38によってリヤサイドエアバッグ30にガスが供給されて、リヤサイドエアバッグ30が、サイドシル40から車幅方向外側及び上側へ膨張展開されて、リヤサイドドア76の外表面に沿って配置される。さらに、このときには、ECU60によってアクチュエータ54が作動する。これにより、前側バッグドア保持部50が破断して、前側バッグドア42が拡大位置まで開く。その結果、フロントサイドエアバッグ20の上端部がリヤサイドエアバッグ30の上端部よりも下側に配置されて、フロントサイドエアバッグ20とリヤサイドエアバッグ30との間に段差部30Aが形成される。
これにより、歩行者Pが、車両Vのフード78の後端側部分からフロントサイドドア74の車幅方向外側へ倒れ込むと、歩行者Pの上半身を、フロントサイドエアバッグ20によって下側から受け止めると共に、歩行者Pの頭部を、フロントサイドエアバッグ20とリヤサイドエアバッグ30との間の段差部30Aによって受け止める(図5参照)。また、このときには、フロントサイドエアバッグ20のロアバッグ部22が路面SRに当接して、フロントサイドエアバッグ20が路面SRによって下側から支持される。その結果、路面SRからフロントサイドエアバッグ20に上側への反力が作用して、フロントサイドエアバッグ20によって歩行者Pを良好に受け止めることができる。したがって、本実施の形態の歩行者保護エアバッグ装置10によれば、フード78の後端側部分から車両Vのフロントサイドドア74の車幅方向外側へ倒れ込む歩行者Pの路面SRへの衝突を抑制することができる。すなわち、歩行者Pの2次衝突を低減することができる。
また、サイドシル40には、前側バッグドア42及び後側バッグドア44が形成されている。そして、リヤサイドエアバッグ30の膨張展開時には、後側バッグドア44が開位置に開いて、開位置の後側バッグドア44によって、リヤサイドエアバッグ30が下側から支持される。また、同様に、フロントサイドエアバッグ20の膨張展開時には、前側バッグドア42が車幅方向外側に開く。ここで、歩行者Pとの衝突時には、前側バッグドア42が、後側バッグドア44よりも下側に配置され、フロントサイドエアバッグ20の下端部がリヤサイドエアバッグ30の下端部よりも下側に配置される。これにより、前側バッグドア42の開き量を後側バッグドア44の開き量よりも大きくすることで、フロントサイドエアバッグ20の全体をリヤサイドエアバッグ30の下側にずらして配置して、フロントサイドエアバッグ20とリヤサイドエアバッグ30との間に段差部30Aを形成することができる。
また、サイドシル40の内部には、前側バッグドア42に連結された前側バッグドア保持部50が設けられており、前側バッグドア保持部50によって前側バッグドア42が開位置に保持される。また、サイドシル40の内部には、後側バッグドア44に連結された後側バッグドア保持部52が設けられており、後側バッグドア保持部52によって後側バッグドア44が開位置に保持される。さらに、前側バッグドア保持部50には、前側バッグドア保持部50の前側バッグドア42に対する保持状態を解除するためのアクチュエータ54が連結されている。そして、アクチュエータ54が作動すると、前側バッグドア保持部50が破断して、前側バッグドア保持部50の前側バッグドア42に対する保持状態を解除される。これにより、歩行者Pとの衝突時には、アクチュエータ54を作動させることで、フロントサイドエアバッグ20をリヤサイドエアバッグ30に対して下側にずらして配置して、フロントサイドエアバッグ20とリヤサイドエアバッグ30との間に段差部30Aを形成することができる。
また、ECU60は、歩行者Pと車両Vとの衝突を検知したときには、アクチュエータ54を作動させて、前側バッグドア保持部50の前側バッグドア42に対する保持状態を解除する。一方、ECU60は、衝突体と車両Vとの側面衝突を検知したときには、アクチュエータ54の非作動状態に維持する。これにより、歩行者保護エアバッグ装置10を、歩行者保護用のエアバッグ装置と側面衝突用のエアバッグ装置として兼用することができる。すなわち、上述したように、歩行者Pと車両Vとの衝突では、フロントサイドエアバッグ20を下側にずらして配置させて、フロントサイドエアバッグ20によって歩行者Pを下側から受け止めることができ、フロントサイドエアバッグ20とリヤサイドエアバッグ30との間の段差部30Aによって歩行者Pを後側から受け止めることができる。一方、車両Vの側面衝突時には、フロントサイドエアバッグ20におけるフロントサイドドア74を覆う面積を大きくして、衝突体との衝突を軽減することができる。
また、フロントサイドエアバッグ20の内部には、フロントサイドエアバッグ20の下端部及び上端部を連結するテザー26が設けられている。そして、アクチュエータ54の作動時には、テザー26によって車両上側へ開放された窪み部20Aがフロントサイドエアバッグ20の上端部に形成される。すなわち、車両Vと歩行者Pとの衝突時には、フロントサイドエアバッグ20の上端部に窪み部20Aが形成される。これにより、フロントサイドエアバッグ20に上側から倒れ込む歩行者Pの肩部や頭部を、窪み部20Aによって包むようにして、歩行者Pを受け止めることができる。また、窪み部20Aを形成することで、フロントサイドエアバッグ20のアッパバッグ部24の左右方向の厚みを厚くすることができる。したがって、車両Vの車幅方向外側において下側へ倒れ込む歩行者を、フロントサイドエアバッグ20のアッパバッグ部24によって良好に受け止めることができる。
さらに、アクチュエータ54の非作動時には、テザー26の上端部が、車両Vの側部(フロントサイドドア74)の車幅方向外側に隣接して配置される。これにより、テザー26によってフロントサイドエアバッグ20をフロントサイドドア74側へ引き込むように配置させることができる。したがって、衝突体と車両Vとの側面衝突時には、フロントサイドエアバッグ20をフロントサイドドア74の外表面に沿って良好に配置させることができる。
また、フロントサイドエアバッグ20は、フロントサイドエアバッグ20の上部を構成するアッパバッグ部24と、フロントサイドエアバッグ20の下部を構成するロアバッグ部22と、を含んで構成されており、アッパバッグ部24の内圧がロアバッグ部22の内圧よりも低く設定されている。これにより、フロントサイドエアバッグ20の支持性能をロアバッグ部22によって確保しつつ、フロントサイドエアバッグ20に上側から倒れ込む歩行者Pに対する衝突エネルギを、アッパバッグ部24によって効果的に吸収することができる。
なお、本実施の形態の歩行者保護エアバッグ装置10では、前側バッグドア42に対する前側バッグドア保持部50の保持状態を解除することで、フロントサイドエアバッグ20の上端部をリヤサイドエアバッグ30の上端部よりも下側に配置して、段差部30Aを形成している。これに代えて、前側バッグドア保持部50によって前側バッグドア42を開位置に保持し、予めフロントサイドエアバッグ20の上端部の位置を本実施の形態よりも下側に配置するように設定して、フロントサイドエアバッグ20とリヤサイドエアバッグ30との間に段差部30Aを形成するように構成してもよい。
また、歩行者保護エアバッグ装置10では、フロントサイドエアバッグ20(リヤサイドエアバッグ30)のロアバッグ部22(ロアバッグ部32)に連通孔22B(連通孔32B)を形成して、ロアバッグ部22(ロアバッグ部32)とアッパバッグ部24(アッパバッグ部34)とを連通しているが、ロアバッグ部22(ロアバッグ部32)とアッパバッグ部24(アッパバッグ部34)とを連通させる構成はこれに限らない。例えば、ロアバッグ部22(ロアバッグ部32)の上端部を開放させて、ロアバッグ部22(ロアバッグ部32)の上端部とアッパバッグ部24(アッパバッグ部34)の下端部とを複数のテザーによって連結してもよい。
また、歩行者保護エアバッグ装置10では、前側インフレータ28によってフロントサイドエアバッグ20にガスを供給し、後側インフレータ38によってリヤサイドエアバッグ30にガスを供給するように構成されている。すなわち、歩行者保護エアバッグ装置10が2つのインフレータを有している。これに代えて、歩行者保護エアバッグ装置10を1個のインフレータによって構成し、当該インフレータからフロントサイドエアバッグ20及びリヤサイドエアバッグ30にガスを供給するように構成してもよい。
10 歩行者保護エアバッグ装置
20 車外フロントサイドエアバッグ(車外前側サイドエアバッグ)
20A 窪み部
22 ロアバッグ部
24 アッパバッグ部
26 テザー
30 車外リヤサイドエアバッグ(車外後側サイドエアバッグ)
40 サイドシル
42 前側バッグドア
44 後側バッグドア
50 前側バッグドア保持部(前側保持部)
52 後側バッグドア保持部(後側保持部)
54 アクチュエータ(保持解除部)
ECU(制御部)
60 衝突検知センサ62(衝突検知部)
64 衝突予知センサ(衝突検知部)
66 歩行者衝突検知センサ(歩行者衝突検知部)
P 歩行者
V 車両

Claims (6)

  1. 車両のサイドシルの前部に設けられ、ガスの供給を受けることで車両の側面に沿って膨張展開される車外前側サイドエアバッグと、
    車両のサイドシルの後部に設けられ、ガスの供給を受けることで車両の側面に沿って膨張展開される車外後側サイドエアバッグと、
    を備え、
    前記車外前側サイドエアバッグの上端部が、前記車外後側サイドエアバッグの上端部よりも車両下側に配置されている歩行者保護エアバッグ装置。
  2. 前記サイドシルには、前記車外前側サイドエアバッグの膨張展開時に開裂されて前記サイドシルの下端部から車幅方向外側に開く前側バッグドアと、前記車外後側サイドエアバッグの膨張展開時に開裂されて前記サイドシルの下端部から車幅方向外側に開く後側バッグドアと、が形成されており、
    前記後側バッグドアによって、前記車外後側サイドエアバッグを車両下側から支持し、
    前記前側バッグドアは、前記後側バッグドアよりも車両下側に配置され、前記車外前側サイドエアバッグが前記車外後側サイドエアバッグに対して下側にずれて配置される請求項1に記載の歩行者保護エアバッグ装置。
  3. 前記前側バッグドアに連結され、前記前側バッグドアを保持する前側保持部と、
    前記後側バッグドアに連結され、前記後側バッグドアを保持する後側保持部と、
    前記前側保持部に連結され、作動することで前記前側保持部による前記前側バッグドアに対する保持状態を解除して、前記前側バッグドアを前記後側バッグドアよりも車両下側に配置させる保持解除部と、
    を備えた請求項2に記載の歩行者保護エアバッグ装置。
  4. 歩行者の車両への衝突を検出する歩行者衝突検知部と、
    衝突体の車両への側面衝突を検出する衝突検知部と、
    前記保持解除部の作動を制御すると共に、前記歩行者衝突検知部からの出力信号に基づいて歩行者の車両への衝突を検知し、前記衝突検知部からの出力信号に基づいて車両への側面衝突を検知する制御部と、
    を備え、
    前記制御部が、歩行者の車両への衝突を検知したときには、前記保持解除部を作動させ、
    前記制御部が、衝突体の側面衝突を検知したときには、前記保持解除部を非作動状態に維持して、前記前側バッグドアによって前記車外前側サイドエアバッグを車両下側から支持する請求項3に記載の歩行者保護エアバッグ装置。
  5. 前記車外前側サイドエアバッグの内部には、膨張展開された前記車外前側サイドエアバッグの下端部及び上端部を連結するテザーが設けられており、
    前記保持解除部の作動時には、前記テザーによって車両上側へ開放された窪み部が前記車外前側サイドエアバッグの上端部に形成され、
    前記保持解除部の非作動時には、前記テザーの上端部が、車両の側部の車幅方向外側に隣接して配置される請求項4に記載の歩行者保護エアバッグ装置。
  6. 前記車外前側サイドエアバッグは、
    前記車外前側サイドエアバッグの上部を構成するアッパバッグ部と、
    前記車外前側サイドエアバッグの下部を構成するロアバッグ部と、
    を含んで構成されており、
    前記アッパバッグ部の内圧が前記ロアバッグ部の内圧よりも低い請求項1~請求項5の何れか1項に記載の歩行者保護エアバッグ装置。
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