JP2023102151A - 加熱調理器 - Google Patents

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Kenichi Hemmi
ちひろ 伊藤
Chihiro Ito
成彦 小池
Narihiko Koike
雄一郎 伊藤
Yuichiro Ito
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【課題】炊飯ムラを抑制可能な加熱調理器を提供する。【解決手段】本開示に係る加熱調理器は、被加熱物を収容する容器と、容器を加熱する加熱手段と、加熱手段を制御する制御手段と、容器内の炊飯量を検知する炊飯量検知手段と、を備える。加熱手段は、容器の底面部を加熱する第1加熱部および容器の側面部を加熱する第2加熱部を含む。制御手段は、炊飯量検知手段の検知結果に応じて、第1加熱部および第2加熱部による加熱開始時間、第1加熱部および第2加熱部の通電率、第1加熱部および第2加熱部による加熱量の比率、の少なくとも1つを制御する。【選択図】図3

Description

本開示は、加熱調理器に関するものである。
特許文献1に、炊飯を行う加熱調理器の一例として、鍋の側面部分と底面部分とに加熱コイルを設置して、各コイルを用いることで対流によって均一な加熱を行う炊飯器が記載されている。
特開2019-13364号公報
特許文献1に記載の炊飯器は、炊飯量の変化に対応したものではなく、例えば、炊飯量が多量である場合または少量である場合に、炊飯ムラが発生してしまうという課題がある。
本開示は、上記のような課題を解決するためのものである。本開示の目的は、炊飯ムラを抑制可能な加熱調理器を提供することである。
本開示に係る加熱調理器は、被加熱物を収容する容器と、容器を加熱する加熱手段と、加熱手段を制御する制御手段と、容器内の炊飯量を検知する炊飯量検知手段と、を備える。加熱手段は、容器の底面部を加熱する第1加熱部および容器の側面部を加熱する第2加熱部を含む。制御手段は、炊飯量検知手段の検知結果に応じて、第1加熱部および第2加熱部による加熱開始時間、第1加熱部および第2加熱部の通電率、第1加熱部および第2加熱部による加熱量の比率、の少なくとも1つを制御する。
本開示によれば、炊飯ムラを抑制可能な加熱調理器を提供することができる。
実施の形態1の加熱調理器の断面構造に制御系統の構成を併せて示す概略図である。 実施の形態1の炊飯工程の具体例を説明する図である。 実施の形態1の加熱調理器の動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態1における炊飯量の検知の手法の例を説明する図である。 実施の形態1における炊飯量の検知の図4とは別の手法の例を説明する図である。 図5に示した例の変形例を説明する図である。 実施の形態1において炊飯量が少量である場合の炊飯工程の具体例を説明する図である。 実施の形態1において炊飯量が中量である場合の炊飯工程の具体例を説明する図である。 実施の形態1において炊飯量が多量である場合の炊飯工程の具体例を説明する図である。 炊飯量が多量である場合における、米飯の物理特性を示した図である。
以下、添付の図面を参照して、実施の形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。また、本開示では、重複する説明については、適宜に簡略化または省略する。なお、本開示は、その趣旨を逸脱しない範囲において、以下の実施の形態によって開示される構成のあらゆる変形およびあらゆる組み合わせを含み得るものである。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の加熱調理器の断面構造に制御系統の構成を併せて示す概略図である。図1に示すように、本実施の形態の加熱調理器は、本体1と、鍋状容器5と、蓋体10と、を備える。
本実施の形態の加熱調理器は、米および水を含む被加熱物を入れた鍋状容器5を、本体1内に収容した状態で加熱することによって炊飯を行う加熱調理器、いわゆる「炊飯器」である。なお、本開示に係る加熱調理器は、炊飯機能のみを有するものでもよいし、炊飯機能を有した上でその他の機能を有するものであってもよい。本開示に係る加熱調理器は、いわゆる「炊飯器」に限られるものではなく、少なくとも炊飯機能を有するものであればよい。本開示に係る加熱調理器は、米以外の食品を被加熱物として加熱調理する機能を有するものであってもよい。
本体1は、加熱調理器の主要構造部分である。本体1の形状は、有底の筒状である。本体1は、図1に示すように、上方に開口した形状をしている。鍋状容器5は、この本体1に着脱自在に収容される。本体1は、当該本体1に収容された鍋状容器5を加熱する。鍋状容器5が本体1によって加熱されることで、当該鍋状容器5に収容された被加熱物が加熱調理される。
鍋状容器5は、上方に開口した鍋状の容器である。鍋状容器5は、被加熱物を収容する容器の一例である。鍋状容器5に収容される被加熱物には、米および水が含まれる。加熱調理器が備える鍋状容器5は、「炊飯釜」とも称されるものである。
蓋体10は、開閉自在に本体1に取り付けられている。蓋体10は、本体1の上部の開口を開閉可能に構成されている。蓋体10は、本体1の上部の開口を開閉すると同時に、当該本体1に収容された鍋状容器5の上部の開口も開閉する。図1に示される状態において、蓋体10は、本体1の上部の開口を閉じると同時に、鍋状容器5の上部の開口を閉じている。
なお、図1では加熱調理器の制御系統の一部の構成および信号線が本体1の外側に描かれているが、これは図示の便宜上のものである。これらの構成および信号線も、実際には本体1または蓋体10に備え付けられる。以下、鍋状容器5、本体1および蓋体10等の各構成要素についてより詳細に説明する。
鍋状容器5は、被加熱物を収容する有底の円筒形状の容器である。鍋状容器5は、例えば、電磁誘導によって発熱する磁性体の金属を含む材料で構成される。鍋状容器5の内部には、被加熱物である米200および水201が収容される。また、本実施の形態の鍋状容器5は、羽釜形状に形成されている。鍋状容器5の外周面部には、外側へ突出する鍔部5aが全周にわたって設けられる。
上記のように構成された鍋状容器5が着脱自在に収容される本体1は、容器カバー2と、第1加熱部3aと、第2加熱部3bと、鍋底温度センサー4と、ヒンジ部6と、を備える。第1加熱部3aおよび第2加熱部3bは、鍋状容器5を加熱する加熱手段の一例を構成するものである。また、本実施の形態の加熱調理器は、制御系統の一例として、時間計測手段の一例である時間計測部7と、制御手段の一例である制御部8と、を備える。時間計測部7および制御部8は、例えば、本体1の内部に設けられる。
容器カバー2は、有底の筒状に形成されている。容器カバー2の内側には、鍋状容器5が着脱自在に収容される。鍋状容器5の鍔部5aを容器カバー2に置くことで、鍋状容器5が容器カバー2内に収容される。容器カバー2の底部の中央には、鍋底温度センサー4が挿入される孔部2aが形成されている。
容器カバー2に鍋状容器5の鍔部5aが置かれた状態において、容器カバー2と鍋状容器5との間は閉ざされた空間となる。この状態で第1加熱部3aおよび第2加熱部3bによる加熱を行うと、上記の閉ざされた空間によって断熱されるため、鍋状容器5の鍔部5aより下方に位置する部分と収容されている米200と温度が冷めにくく、効率的な加熱が行われる。
また、本体1の外郭部分と容器カバー2との間の空間には、断熱材17が設けられていてもよい。断熱材17は、鍔部5aが置かれる容器カバー2の肩部2bの下方に配置される。断熱材17により、鍋状容器5の鍔部5aより下方に位置する部分と容器カバー2との間の空間の断熱性を向上させることができる。
第1加熱部3aは、鍋状容器5の底面部を加熱する。第2加熱部3bは、鍋状容器5の側面部を加熱する。第1加熱部3aおよび第2加熱部3bは、例えば、制御部8により通電制御されるコイルである。コイルとして構成された第1加熱部3aおよび第2加熱部3bは、鍋状容器5を誘導加熱する。コイルとして構成された第1加熱部3aは、鍋状容器5の底面部に対向するように配置されている。コイルとして構成された第2加熱部3bは、鍋状容器5の側面部に対向するように配置されている。なお、第1加熱部3aおよび第2加熱部3bは、誘導加熱を行うコイルに限定されるものではなく、例えば、シーズヒーター等の電気ヒーター等、任意の加熱機器から構成されてもよい。
鍋底温度センサー4は、鍋状容器5の温度を検出する。鍋底温度センサー4は、例えば、サーミスタ等の部材によって構成される。孔部2aに挿入された鍋底温度センサー4は、弾性部材であるばね等の手段によって、上方に付勢されている。上方に付勢されている鍋底温度センサー4は、容器カバー2に収容された鍋状容器5の底面に接する。鍋底温度センサー4は、検知した鍋状容器5の温度に関する温度情報を検知信号として制御部8に出力する。なお、鍋底温度センサー4は、サーミスタから構成されるものに限定されず、例えば、その他の接触式温度センサー、或いは、赤外線センサー等の非接触式温度センサー等であってもよい。
ヒンジ部6は、本体1の上部の一端側に設けられる。ヒンジ部6は、蓋体10を開閉自在に支持する。蓋体10は、ヒンジ部6を支点として回動することで開閉する。ヒンジ部6は、蓋体10が本体1の上部の開口を開閉できるように、当該蓋体10を支持している。
本体1には、使用者が加熱調理器を運搬するための図示しないハンドルを設けてもよい。ハンドルは、例えば、本体1の側面上部の略前後中央において回転可能に軸支される。ハンドルの回転方向は、蓋体10の回動方向と一致させるとよい。加熱調理器を運搬する際、使用者は、ハンドルの軸支点のほぼ直上に位置するようにハンドルを回転させて持ち上げることで、ハンドルのみを持って容易に加熱調理器を運搬することができる。
時間計測部7は、制御部8による機器制御等に必要な経過時間を計測する。時間計測部7は、制御部8から受けた指示信号に基づいて経過時間を計測する。時間計測部7が計測した経過時間の情報は、制御部8に出力される。
制御部8は、本開示に係る加熱調理器が備える制御手段の一例である。制御部8は、加熱調理器の動作全般を制御するためのものである。特に、制御部8は、炊飯工程における各種の機器の動作を制御する。炊飯工程とは、加熱調理器が米飯を炊き上げる際に実施される工程を意味する。本実施の形態において、制御部8は、加熱手段の一例である第1加熱部3aおよび第2加熱部3bの動作を制御する。制御部8は、例えば、鍋底温度センサー4、蓋体10に設けられた操作表示部15、および、後述する内部温度センサー16からの出力に基づいて、第1加熱部3aおよび第2加熱部3bへの通電量を制御する。
なお、時間計測部7および制御部8の一方または両方は、その機能を実現する制御回路のようなハードウェアで構成してもよい。また、時間計測部7および制御部8の一方または両方を、半導体メモリ等の記憶部に記憶されたソフトウェアプログラムと、このソフトウェアプログラムを実行するマイコン又はCPU(中央演算装置)のような演算装置とによって構成してもよい。
蓋体10は、外蓋11と、内蓋12と、を有する。外蓋11には、着脱できるカートリッジ14が設けられている。また、外蓋11の上面部には、操作表示部15が設けられている。
外蓋11は、蓋体10の上部および側部を構成している。外蓋11の下面側、すなわち鍋状容器5に対向する側には、内蓋12が着脱自在に取り付けられている。内蓋12は、例えば、ステンレス等の金属材料から形成されている。内蓋12は、外蓋11の本体1側の面に、係止材13を介して取り付けられている。
内蓋12の周縁部には、鍋状容器5の上端部外周部との密閉性を確保するためのシール材である蓋パッキン9が取り付けられている。また、内蓋12には、内部温度センサー16が挿入される孔部12aが形成されている。外蓋11には、内蓋12の孔部12aに挿入された内部温度センサー16の外周の隙間を塞ぐパッキン11aが取り付けられている。さらに、内蓋12には、鍋状容器5内で発生した蒸気が通る蒸気口12bが形成されている。蒸気口12bは、カートリッジ14の蒸気取入口14aと通じている。
カートリッジ14には、炊飯中に発生する蒸気の圧力に応じて上下動する図示しない弁が設けられた蒸気取入口14aと、蒸気取入口14aを通過した蒸気を外部へ排出するための蒸気排出口14bとが形成されている。蒸気取入口14aは、上述の通り、蒸気口12bに通じている。蒸気口12bを通過して蒸気取入口14aからカートリッジ14内に入った蒸気は、カートリッジ14内を流れ、蒸気排出口14bからカートリッジ14の外へ流出する。
操作表示部15は、例えば、外蓋11の上面部に設けられている。操作表示部15は、使用者からの操作入力を受け付ける。また、操作表示部15は、例えば、記号または図を用いて、操作入力に関する情報および加熱調理器の動作状態の表示を行う。使用者が操作表示部15によって行う操作入力としては、例えば、炊飯の開始および取り消し、炊飯の予約、炊飯メニューの設定等が該当する。炊飯メニューの具体例としては、白米炊飯または玄米炊飯等の米の種類に関するもの、標準炊飯または早炊き炊飯等の炊飯時間に関するもの、かため、やわらかめまたは粘りの大小等の米飯の炊き上がりに関するもの、等が挙げられる。操作表示部15が表示する項目としては、例えば、炊飯中または予約待機中等の加熱調理器の状態、設定されている炊飯メニューの内容、炊き上がりの予定時刻、現在時刻、炊飯する米の量等が挙げられる。なお、ここで示した操作表示部15の具体的構成はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。
操作表示部15によって使用者が操作入力を行うと、制御部8は、当該操作入力に応じた炊飯プログラムに従って、第1加熱部3aおよび第2加熱部3bを動作させて炊飯工程を実行させる。
内部温度センサー16は、鍋状容器5内の温度を検知する温度検知手段であり、外蓋11に取り付けられている。上述の通り、内部温度センサー16の一部は内蓋12の孔部12aに挿入されている。内部温度センサー16は、例えばサーミスタ等の部材によって構成することができる。内部温度センサー16が検知した鍋状容器5内の温度に関する情報は、制御部8に出力される。
また、本実施の形態の加熱調理器は、鍋状容器5内の炊飯量を検知する炊飯量検知手段の一例として、炊飯量検知部18を備える。炊飯量検知部18は、例えば、鍋底温度センサー4および内部温度センサー16の検知結果を用いて、鍋状容器5および鍋状容器5の内部の温度の変化から、炊飯量を推定する。なお、炊飯量検知部18の構成は、上記の形態に限られない。炊飯量検知部18は、例えば、鍋状容器5の底面側に備えられた重量センサーによって鍋状容器5内に収容された米量および水量の少なくとも一方を検知することで、炊飯量を間接的に検知するものでもよい。炊飯量検知部18は、炊飯量を検知可能であればよく、任意の方式によって構成され得る。炊飯量検知部が検知した炊飯量の情報は、制御部8へ出力される。
例えば、制御部8には、炊飯量検知部18が炊飯量の検知を行うためのプログラムが記憶されていてもよい。炊飯量は、例えば、鍋底温度センサー4および内部温度センサー16による検知された温度変化量あるいは所定の温度の変化に要する時間から推定することができる。また、炊飯量は、例えば、重量センサーによって検知された米量と水量との合計量の範囲に対応して割り当てられた炊飯合数として検知することもできる。
続いて、以上に説明したように構成された、本実施の形態における加熱調理器の動作について説明する。図2は、実施の形態1の炊飯工程の具体例を説明する図である。図2は、炊飯工程における各部の温度と、加熱手段である第1加熱部3aおよび第2加熱部3bに投入される電力と、の時系列変化の一例を示している。図2に示すとおり,本実施の形態における加熱調理器の炊飯工程は、吸水工程と、昇温工程と、沸騰維持工程と、ドライアップ工程と、蒸らし工程と、を含む。
吸水工程とは、鍋状容器5内の米200の内部への吸水を促す工程である。吸水工程では、鍋状容器5内の水を沸騰させる前の段階で、鍋状容器5を予め設定された温度で予め設定された時間だけ加熱する。吸水工程における加熱により、米の吸水が促進される。
吸水工程の次の昇温工程とは、鍋状容器5内の水201が沸騰するまで鍋状容器5を加熱する工程である。水201が沸騰したことの検知は、例えば、内部温度センサー16が所定の温度T1を検知することで、実施される。内部温度センサー16によって鍋状容器5内の水201が沸騰したことを検知されると、次の沸騰維持工程に移行する。
沸騰維持工程では、制御部8は、鍋状容器5内の水201の沸騰を維持するように制御を行う。沸騰維持工程において、米200は、芯のない状態になるために必要な量の水分の吸水を進める。また、米200のデンプンの糊化が促進される。
本実施の形態における沸騰維持工程は、第1沸騰維持工程と第2沸騰維持工程とで構成される。第1沸騰維持工程では、水201の沸騰を検知した状態からさらに加熱が進み、鍋状容器5内の全体に沸騰による気泡が分布する。第1沸騰維持工程は、鍋状容器5内の水201の沸騰によって発生する蒸気の生成量が最も多くなる区間である。第2沸騰維持工程では、例えば、第1加熱部3aおよび第2加熱部3bへの通電率を第1沸騰維持工程に比べて下げた状態で、水201の沸騰を維持する。第2沸騰維持工程は、鍋状容器5内の水がさらに米200に吸収されることで、鍋状容器5内に残存する水分が減少していく区間である。
沸騰維持工程の次のドライアップ工程は、鍋状容器5内に残った余分な水分を蒸発させる工程である。最後の工程である蒸らし工程とは、鍋状容器5内の米200を蒸らすことにより、米200の粒中心部まで糊化を進行させ、且つ、米200の粒内の水分の分布を均一にする工程である。
なお、図2に示す「電力」とは、加熱手段の一例である第1加熱部3aおよび第2加熱部3bに供給される単位時間あたりの電力量の大きさを示している。つまり、図2に示す「電力」は、加熱手段の一例である第1加熱部3aおよび第2加熱部3bによる鍋状容器5の加熱の強さを表している。
また、図3は、実施の形態1の加熱調理器の動作の一例を示すフローチャートである。まず、加熱調理器に電力が供給されて使用者が所定の操作を行った後に、炊飯工程がスタートする。炊飯工程では、上述した通り、まず、吸水工程と昇温工程とが順に実施される(ステップS1)。
炊飯工程の開始後、炊飯量検知部18による炊飯量の検知が行われる。一例として、炊飯量検知部18は、検知した鍋状容器5内の炊飯量が予め設定された第1の量の範囲である少量であるか判定する(ステップS2)。炊飯量が少量でない場合には、予め設定された第2の量の範囲である中量であるか判定する(ステップS3)。第2の量の範囲は、第1の量の範囲に比べて、大きい量の範囲として設定される。すなわち、本開示において、中量は少量よりも多い量として定義される。ステップS3において炊飯量が中量でないと判定された場合には、炊飯量は予め設定された第3の量の範囲である多量であると判定される。第3の量の範囲は、第2の量の範囲に比べて、大きい量の範囲として設定される。すなわち、本開示において、多量は中量よりも多い量として定義される。このように、本実施の形態において、炊飯量検知部18は、鍋状容器5内の炊飯量が、予め設定された少量、中量および多量の何れであるか判定する機能を有している。なお、炊飯量の検知および判定については、吸水工程または昇温工程内において行われることが望ましい。
図4は、実施の形態1における炊飯量の検知の手法の例を説明する図である。図4は、炊飯量が中量である場合の鍋状容器5の底面温度300と、炊飯量が少量である場合の鍋状容器5の底面温度300aと、炊飯量が多量である場合の鍋状容器5の底面温度300bと、を示している。吸水工程において第1加熱部3aおよび第2加熱部3bは間欠的に鍋状容器5を加熱することで、鍋状容器5内の水201の温度を一定温度に保つように動作する。吸水工程における第1加熱部3aおよび第2加熱部3bがオフとなっている期間においては、図4に示すように、鍋状容器5の底面温度が低下する。この温度低下時における熱の流出量は、炊飯量に応じて変化する。図4に示すように、炊飯量が少量である場合の鍋状容器5の底面温度300aは、炊飯量が中量である場合の鍋状容器5の底面温度300よりも早く低下する。一方、炊飯量が多量である場合の鍋状容器5の底面温度300bの低下速度は、炊飯量が中量である場合の鍋状容器5の底面温度300よりも遅くなる。このように、炊飯量検知部18は、鍋底温度センサー4の検知結果から、炊飯量の検知および判定を行うことができる。
また、図5は、実施の形態1における炊飯量の検知の図4とは別の手法の例を説明する図である。図5は、炊飯量が中量である場合の内部温度センサー16の検知温度400と、炊飯量が多量である場合の内部温度センサー16の検知温度400aと、炊飯量が少量である場合の内部温度センサー16の検知温度400bと、を示している。例えば、吸水工程の次の工程である昇温工程において、昇温工程開始後から内部温度センサー16によって沸騰が検知されるまでの時間t1によって、炊飯量を推定してもよい。図5に示すように、炊飯量が中量である場合の時間t1に比べて、炊飯量が多量である場合のt1は長くなり、炊飯量が少量である場合のt1は短くなる。昇温工程での温度変化に基づいて炊飯量の検知を行うと、吸水工程によって鍋状容器5内が一定の温度で加熱された状態から炊飯量の検知が行われるため、加熱調理器の周囲温度に依らずにより精度の高い炊飯量の検知ができる。
また、図6は、図5に示した例の変形例を説明する図である。図6に示すように、昇温工程時の第1加熱部3aおよび第2加熱部3bの電力を、実線で示す電力Pよりも低い破線で示す電力Qに下げることで、昇温工程における内部温度センサー16の検知温度の変化の違いを大きくすることができる。これにより、炊飯量の判定を、より行いやすくすることができる。
炊飯量を検知する手法は上記の限りでない。例えば、鍋底温度センサー4が規定温度を検知してから内部温度センサー16が規定温度を検知するまでの所要時間等から、炊飯量の検知および判定をしてもよい。また、炊飯量の判定結果は、例えば、炊飯量の合数であってもよい。本開示では、便宜的に、炊飯量の合数を判定する形態のものも、少量、中量または多量であるかを判定する形態に含むものとする。例えば、1合または2合は少量、3合または4合は中量、5合以上は多量として定義することができる。
炊飯量が少量と判定された場合には、判定以降の炊飯工程では、例えば、第1加熱部3aを動作させて、第2加熱部3bをオフとしてよい(ステップS4)。炊飯量が少ない時に第2加熱部をオンにした場合、過剰な加熱によって空焚きあるいは炊飯ムラが発生してしまう可能性があるからである。
炊飯量が中量または多量と判定された場合については、第1加熱部3aと第2加熱部3bとの両方に通電することで炊飯を行う。この時、炊飯量が中量と判定された場合、第1加熱部3aを加熱量Aで、第2加熱部3bを加熱量Bで動作させる(ステップS5)。炊飯量が多量と判定された場合、第1加熱部3aを加熱量Cで、第2加熱部3bを加熱量Dで動作させる(ステップS6)。このように、炊飯量に応じて、各加熱部の加熱量の制御を行う。ここでの加熱量の制御とは、電力量または一定期間内における通電時間の少なくとも1つの制御を行うことを意味する。上記のように各加熱部が制御された状態で、沸騰維持工程(ステップS7)、ドライアップ工程(ステップS8)および蒸らし工程(ステップS9)が実施される。
図7は、実施の形態1において炊飯量が少量である場合の炊飯工程の具体例を説明する図である。図8は、実施の形態1において炊飯量が中量である場合の炊飯工程の具体例を説明する図である。図9は、実施の形態1において炊飯量が多量である場合の炊飯工程の具体例を説明する図である。図7から図9では、各加熱部の制御例を示している。
上述の通り、炊飯量が少量と判定された場合には、鍋状容器5の底部側に備わる第1加熱部3aのみを用いて一連の炊飯工程を実施する。炊飯量が中量と判定された場合、鍋状容器5全体を均一に加熱するため、昇温工程以降、第1加熱部3aと第2加熱部3bとを切替えながら動作させる。例えば、炊飯量が少量である場合の昇温工程時の第1加熱部3aの電力量と、炊飯量が中量である場合の第1加熱部3aおよび第2加熱部3bの総電力量と、は同量としてよい。なお、本例はあくまで一例であり、例えば、第1加熱部3aと第2加熱部3bとは同時に動作してもよい。
炊飯量が多量と判定された場合、中量である場合と同様に、鍋状容器5全体を均一に加熱するため、昇温工程以降、第1加熱部3aと第2加熱部3bとを切替えながら動作させる。ここで、炊飯量が多量である場合には、第1加熱部3aによる加熱から第2加熱部3bによる加熱への切り替えを開始する時点を、炊飯量が中量である場合よりも遅くする。例えば、炊飯量が中量の場合は、昇温工程以降の区間の前半に加熱の切り替えを実施するが、炊飯量が多量の場合は、被加熱物の温度が沸騰温度T1に達したことを検知した後に加熱の切り替えを実施する。
また、例えば、炊飯量が中量である場合における第1加熱部3aの加熱量Aに比べて、炊飯量が多量である場合における第1加熱部3aの加熱量Cを小さくしてもよい。炊飯量が中量である場合における第2加熱部3bの加熱量Bに比べて、炊飯量が多量である場合における第2加熱部3bの加熱量Dを大きくしてもよい。
炊飯量が多量になる場合、鍋状容器5内の米を可食にするために付与すべき熱量は多くなる。ただし、第1加熱部3aからのみの加熱では、炊飯ムラが発生する。炊飯量が多い程、大きな炊飯ムラが発生する。上記の加熱部の制御によれば、鍋状容器5全体を均一に加熱することができ、炊飯ムラを抑制することができる。
炊飯量が中量の場合、第1加熱部3aと第2加熱部3bによる加熱の切り替えをする場合、昇温工程以降の区間の前半で加熱の切り替えをすることで、均一な加熱が実施される。
図10は、炊飯量が多量である場合における、米飯の物理特性を示した図である。第2加熱部3bの上端が、炊飯量が中量である場合の喫水線よりも低い位置に備わる場合において、炊飯量が多量である場合に中量である場合と同様の炊飯制御を実施すると、第2加熱部3bの米飯が柔らかくなりすぎてしまう傾向がある。
鍋状容器5内に発生する沸騰気泡は、第1加熱部3aだけでなく第2加熱部3bの近傍でも発生する。沸騰気泡の内部は高温になっており、当該気泡が米に接触することで米への伝熱が促進される。過剰に沸騰気泡が接触すると、過剰に米へ熱が伝わるため、米が過剰に軟化して炊飯ムラの要因となる。
炊飯量が中量の場合であれば、第2加熱部3bの近傍で発生した沸騰気泡は米に接触するものの、第2加熱部3bから上の位置に米は少ないため、沸騰気泡が上部に抜けることで米への過剰な伝熱は起きにくくなる。一方で、炊飯量が多量の場合、加熱により米に水が吸収されて米が膨張すると、中量である場合の喫水線の近傍に備わる第2加熱部3bの近傍に、多量の米が存在することとなる。炊飯量が多量の場合、中量である場合と同様の加熱を行うと、第2加熱部3bの近傍で発生した沸騰気泡が多量の米に接触することとなり、米が過剰に軟化して炊飯ムラを起こしてしまう。このような課題を踏まえ、炊飯量が多量の場合には、各加熱部による加熱の切り替えを、炊飯量が中量である場合より遅らせることで、沸騰気泡による過加熱を抑制し、炊飯ムラを抑制することができる。
なお、炊飯量が多量の場合、第2加熱部3bからの加熱量を増やすことで、米への加熱量差を抑制することが可能である。この時、炊飯量が少量の場合に対して、中量および多量の場合には、第1加熱部3aからの加熱量は相対的に小さくなるが、第1加熱部3aの加熱の影響を強く受ける鍋状容器5の底部付近の米を可食状態へするのに十分な加熱量は確保されるものとする。
図3に示した加熱制御の例は、あくまで一例であり、本開示に係る加熱調理器の動作はこれに限定されるものではない。本開示に係る加熱調理器は、炊飯量検知部18の検知結果に応じて、第1加熱部3aおよび第2加熱部3bによる加熱開始時間、第1加熱部3aおよび第2加熱部3bの通電率、第1加熱部3aおよび第2加熱部3bによる加熱量の比率、の少なくとも1つを制御するように構成されていればよい。第1加熱部3aおよび第2加熱部3bが炊飯量に応じて制御されることで、炊飯ムラを抑制することができる。
以上の構成により、鍋状容器5の側面側に配置する加熱手段を増やすことなく、炊飯量に関わらず炊飯ムラを抑制することができる。なお、第1加熱部3aおよび第2加熱部3bは、例えば、インバーターによって同時通電または各々に切り替えて通電する構成であってもよい。
また第2加熱部3bは、その上端が炊飯量の中量相当の喫水線に位置する高さ、またはそれ以下にあることが望ましい。例えば、一般的な中量に相当する3合の喫水線の位置に、第2加熱部3b上端が備わることが望ましい。
また、その他の変形例として、第1加熱部3aおよび第2加熱部3bは、操作表示部15で設定された使用者の嗜好に応じた炊きあがりの条件に基づいて制御されてもよい。本例における操作表示部15は、炊飯条件設定手段の一例である。
例えば、使用者は炊飯開始前に、操作表示部15によって個人の嗜好に合わせた炊き上がりの条件を設定する。この条件は、炊飯完了後の米の状態について関するものであり、例えば、かため、やわらかめ、粘り気が大きいまたは少ないといったパラメータを選択することで設定される。設定された炊飯条件に基づき、第1加熱部3aまたは第2加熱部3bの少なくとも1つを動作させ、炊飯を行う。
例えば、かための仕上がりに設定した場合、吸水工程における加熱時間を短縮する。また、第1加熱部3aと第2加熱部3bとを制御して鍋状容器5の底付近の過加熱を抑制することで底付近の米をかためにし、全体の仕上がりをかためにすることも可能になる。なお、炊き上がりの米をかために仕上げる炊飯制御については上記の限りではない。
例えば、粘りを大きくしたい場合、第2沸騰維持工程における加熱時間を延長することで、第2沸騰維持工程以前の炊飯工程で米から流出したデンプンの米への再付着を促進して粘りを大きくできる。なお、炊き上がりの米の粘りを大きくする炊飯制御については上記の限りではない。
1 本体、 2 容器カバー、 2a 孔部、 2b 肩部、 3a 第1加熱部、 3b 第2加熱部、 4 鍋底温度センサー、 5 鍋状容器、 5a 鍔部、 6 ヒンジ部、 7 時間計測部、 8 制御部、 9 蓋パッキン、 10 蓋体、 11 外蓋、 11a パッキン、 12 内蓋、 12a 孔部、 12b 蒸気口、 13 係止材、 14 カートリッジ、 14a 蒸気取入口、 14b 蒸気排出口、 15 操作表示部、 16 内部温度センサー、 17 断熱材、 18 炊飯量検知部、 200 米、 201 水

Claims (5)

  1. 被加熱物を収容する容器と、
    前記容器を加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段を制御する制御手段と、
    前記容器内の炊飯量を検知する炊飯量検知手段と、
    を備え、
    前記加熱手段は、前記容器の底面部を加熱する第1加熱部および前記容器の側面部を加熱する第2加熱部を含み、
    前記制御手段は、前記炊飯量検知手段の検知結果に応じて、前記第1加熱部および前記第2加熱部による加熱開始時間、前記第1加熱部および前記第2加熱部の通電率、前記第1加熱部および前記第2加熱部による加熱量の比率、の少なくとも1つを制御することを特徴とした加熱調理器。
  2. 前記制御手段は、前記炊飯量検知手段が検知した炊飯量が少量である場合には前記第2加熱部を停止した状態で前記第1加熱部によって炊飯工程を実施させ、前記炊飯量検知手段が検知した炊飯量が当該少量よりも多い中量または多量である場合には、前記第1加熱部および前記第2加熱部の両方によって炊飯工程を実施させる請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 前記制御手段は、前記炊飯量検知手段が検知した炊飯量が前記多量である場合には、前記炊飯量検知手段が検知した炊飯量が前記中量である場合に比べて、第2加熱部による加熱の開始時間を遅らせる請求項2に記載の加熱調理器。
  4. 前記第2加熱部の上端は、炊飯量が中量である場合の喫水線に相当する高さ、または、当該喫水線よりも低い位置にあることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の加熱調理器。
  5. 使用者の嗜好に合わせた炊きあがりの条件を設定する炊飯条件設定手段を備え、
    前記制御手段は、前記炊飯条件設定手段で設定された条件に基づいて、前記第1加熱部および第2加熱部の少なくとも1つを制御する請求項1から請求項4の何れか1項に記載の加熱調理器。
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