JP4127165B2 - 炊飯器 - Google Patents

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Description

本発明は、炊飯性能を向上させるために、水の沸点以上の蒸気を利用する炊飯器に関するものである。
一般的な家庭用の炊飯器においては、鍋内の飯と水を加熱するために鍋底部に配置した鍋加熱手段が主であり、蓋内の加熱手段は鍋内の飯、水の上方の空間を介するため、結果的に、補助的な加熱となる。よって、鍋内上層の飯は加熱量が不足し、鍋内の飯、水を均一な加熱をすることができなかった。
さらに、本来炊飯においては、水がほぼ無くなり飯の流動性がなくなる、炊飯の最終工程である蒸らし工程で、それまでの加熱を継続し、米澱粉の糊化を完成させることが美味なる飯を炊くために必須であるが、この工程で、加熱を継続すると鍋底付近の飯が焦げてしまうため加熱を弱めることが多かった。
加熱を弱めることに伴う糊化不足を防止し、炊飯性能を向上させるための手段としては、蓋に高熱源である誘導加熱コイルを設けて鍋開口部の上方から飯を加熱するようなものがあった(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
図12に、特許文献1の構成を示す。図12において、51は本体ケースで下面には支持脚52を有する底板53が固着されている。54は耐熱性を有する樹脂材料によって構成された保護枠で、上部周縁部に設けられたつば部55が本体ケース51の上面に固着されている。56は保護枠54の下底部に装着された底面加熱用誘導コイル、57は保護枠54の下方側部に設置された側面加熱用誘導コイルで、保護枠54に収容された磁性金属層をもった鍋58を前記底面加熱用誘導コイル56とによって加熱し、鍋58内の米と水との内容物を加熱調理するものである。59は保護枠54の底面の中心に設けられた貫通孔に装着された温度センサー、60はつまみ61を有する蓋で、保護枠54の上端部のつば部55上に着脱自在に載置されており、耐熱性を有するプラスチックスによって構成された内カバー62を断熱材63を介して固着している。64は内カバー62にピン70によって着脱自在に装着された内蓋で、その周縁部は鍋58のつば部に載置し、鍋58を覆蓋するものである。65は保護枠54のつば部55の内面に設置された本体側上部誘導コイルで本体ケース51内の電源部(図示しない)に接続されている。
16は本体側上部誘導コイル15によって励磁される蓋側誘導コイルで蓋60内の本体側誘導コイル65に対向する部分に装着されており、この蓋側誘導コイル66に励起された電流が誘導コイル69に流れ、誘導コイル69の磁束により磁性金属板で形成された加熱板67が誘導加熱され、鍋58内の上部よりの炊飯加熱または保温加熱ができるものである。
特許文献2についてもその基本構成は特許文献1と同様であるのでここでは詳細は省略する。
特許第2988050号公報 特開平6−62956号公報
しかしながら、上記の従来の構成の炊飯器では、鍋内上層の飯が直接、誘導加熱コイルの熱放射により加熱されることになるため、蒸らし工程においては、飯の水分が蒸発して乾燥するという現象が生じている。従って、鍋内の飯全体が十分な炊飯性能を確保できる温度まで鍋上方から誘導加熱コイルで加熱すると、鍋上層では乾燥して逆に食味が落ちてしまうため、結局、十分な加熱が行えず、鍋内全体にわたっては食味は完全なものではなかった。
さらに、炊飯量が多いほど加熱量を多くしなければならないにも拘わらず、炊飯量が多くなるほど上層の飯は誘導加熱コイルに接近するので乾燥しやすくなるため、加熱を弱めなければならないという矛盾を生じていた。
この第1の課題は、鍋と、給水される蒸気発生部を有し鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段とを備えた炊飯器とすることにより解決することができる。
すなわち、大気圧下の水の沸点(100℃)以上の過熱蒸気を鍋開口部上方から米に供給することにより、まず、蒸気が供給されるがゆえに飯の乾燥を伴わない、しかも、100℃以下の蒸気供給では米粒表面に水が付着するに留まるが、100℃以上の蒸気であるので、米の糊化を進行させるのに必要なエネルギーをもち、糊化を促進し、炊飯性能を向上させることができるものである。
さらに、炊飯量に拘わらず、最適な加熱量を設定できるものである。
しかしながら、上記の構成にした場合、新たに、第2の課題が生じる。
蒸気発生部には、鍋に投入する蒸気を生成する水を、使用者が予め入れておくのであるが、入れておくのを忘れたり、十分な水量が入っていなかったりする場合がある。この場合には、上記の炊飯性能の向上を実現することができなくなるという第2の課題が生じる。
本発明は、上記従来の第2の課題をも解決するもので、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、給水される蒸気発生部を有し前記鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段と、前記蒸気発生部内の水量を検知する水量検知手段と、前記水量検知手段によって検知した水量により決定される報知をする報知手段と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、前記蒸気供給を行わないメニューの場合には、前記水量検知手段を動作させないようにした炊飯器である。
また、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、給水される蒸気発生部を有し前記鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段と、前記蒸気発生部内の水量を検知する水量検知手段と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、炊飯開始時または炊飯開始から所定時間以内に前記水量検知手段によって検知した水量により決定されるシーケンスで炊飯を行い、前記蒸気供給を行わないメニューの場合には、前記水量検知手段を動作させないようにした炊飯器である。
よって、必要な量の大気圧下の水の沸点(100℃)以上の過熱蒸気を鍋開口部上方から米に供給することができ、炊飯性能を向上させることができるものである。
本発明によれば、適切に高温蒸気を発生し、水量不足などによる、不必要な蒸気発生手段の動作や高温蒸気の発生を抑えつつ、飯の乾燥を伴わずに糊化を促進し炊飯性能を向上させることができる。
請求項1に記載の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、給水される蒸気発生部を有し前記鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段と、前記蒸気発生部内の水量を検知する水量検知手段と、前記水量検知手段によって検知した水量により決定される報知をする報知手段と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、前記蒸気供給を行わないメニューの場合には、前記水量検知手段を動作させないようにしたことにより、必要な量の大気圧下の水の沸点(100℃)以上の過熱蒸気を鍋開口部上方から米に供給することが可能であるかどうかを判断することができ、使用者に必要な量の水を供給することをうながすことができる。さらに、水量検知を行う必要のないメニューの場合に水量検知のための余計な動作を行わせることなく最適な炊飯を行うことができる。
請求項2に記載の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、給水される蒸気発生部を有し前記鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段と、前記蒸気発生部内の水量を検知する水量検知手段と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、炊飯開始時または炊飯開始から所定時間以内に前記水量検知手段によって検知した水量により決定されるシーケンスで炊飯を行い、前記蒸気供給を行わないメニューの場合には、前記水量検知手段を動作させないようにしたことにより、蒸気加熱部内にある水量で可能な範囲での大気圧下の水の沸点(100℃)以上の過熱蒸気を鍋開口部上方から米に供給することができ、十分な水量がない場合でも水量不足による乾燥などの炊飯性能の低下を抑えつつ、これに適した炊飯を行うことができる。さらに、水量検知を行う必要のないメニューの場合に水量検知のための余計な動作を行わせることなく最適な炊飯を行うことができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1について、図1、2を用いて説明する。図1において、炊飯器の本体1は有底筒状の鍋収納部1aを有し、着脱自在に鍋2を収納する。鍋収納部1aの底部には鍋加熱手段である底誘導コイル3が設けられている。4は底センサーで、鍋2の底面2aと当接するよう構成されている。制御部5は炊飯器の動作を制御する。
本体1の上部は本体1の後部のヒンジ部6に設けたヒンジ軸7にて軸支された、外蓋8aと外蓋カバー8bからなる開閉自在な蓋8で覆われている。蓋8は加熱板9が設けてある。加熱板9の鍋2と対向した面には蓋加熱手段である蓋誘導コイル10がある。加熱板9は加熱板蒸気口9aを有しており、蓋天面8cには蓋蒸気口8d設けられている。蒸気口パッキン11は、加熱板9と蓋8に挟持されており、鍋パッキン12は、閉蓋時に加熱板9と鍋2の上縁外周部にある鍋フランジ部2bの間で挟持されている。蒸気加熱手段13は蓋8に取り付けられており、蒸気経路14を経由して蒸気発生手段15と連通となっている。蒸気発生手段15は給水口15aと蒸気発生部15bを有している。水量検知手段17は蒸気発生手段内にある圧力センサー17aとその出力から蒸気発生手段内の水量を判定する水量判定手段17bからなる。報知手段のLCD18は、水量検知手段の結果を表示によって報知する報知手段である。
次に上記構成において動作を説明する。炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋2に入れ、本体1の所定の状態に内挿する。この時、水量判定手段17bは圧力センサー17aからの出力が所定の値にない時、水量が不足していると判定し、その旨をLCD18に表示する。このことにより、使用者に、蒸気発生部15bに所定量以上の水がない場合に、蒸気発生手段15の給水口15aより蒸気発生部15bに水を給水することをうながすことができる。そして炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、制御部5が炊飯開始スイッチよりの入力を受け、炊飯工程が実施される。底センサー4は鍋2の底面2aの温度を検知し、制御部5へと信号を送る。底センサー4よりの信号を受け制御部5は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分された炊飯工程のそれぞれにおいて鍋2の内部の水と米の状態が適正値として設定された温度や所定時間に維持されるよう、底誘導コイル4や蓋誘導コイル10、また蒸気発生手段15や蒸気加熱手段13の通電量を出力として制御する。底誘導コイル3は制御部5より供給される電流で誘導加熱により鍋2の底面2aを発熱させる。蓋誘導コイル10も制御部5より供給される電流で誘導加熱により加熱板9を発熱させる。蒸気発生手段15は制御部5より通電される電流を熱に変換し、蒸気発生部15bの水を沸騰させ蒸気を発生する。発生した蒸気は蒸気経路14を経由し蒸気加熱手段13へ流れる。蒸気加熱手段13は制御部5より通電される電流を熱に変換し、蒸気を高温に加熱する(図2)。
以上のように本実施例において、蒸気加熱手段の水量を検知する水量検知手段を設け、報知手段のLCD18に検知結果を報知することで、使用者に、蒸気発生手段15に所定量以上の水がないことを気付かせ、蒸気発生手段15の給水口15aより蒸気発生部15bに水を給水することをうながすことができ、蒸気発生手段15に所定量以上の水量がない状態で炊飯を行い、蒸気発生部15bでの水が不足し、蒸気を供給できない状態になり、必要な量の大気圧下の水の沸点(100℃)以上の過熱蒸気を鍋開口部上方から米に供給することができず、鍋上層では乾燥して逆に食味が落ちてしまうなどの現象が発生することを防止することができる。
また、LCD18に水の有無を報知すると同時に使用者に水有無確認の注意を喚起するために、蓋8を開閉した場合、炊飯開始を直後などに、蒸気発生手段15内の水量確認の注意換気表示をLCD18に表示しても、常に、蒸気発生不足を防ぐことができ、炊飯性能の安定が貼ることができる。
(実施例2)
本発明の第2の実施例について、図3を用いて説明する。図3は本発明の第2の実施例のフローチャートであり、炊飯開始後から、所定のシーケンスで炊飯を開始するまでの動作を記述している。ステップ31で、水量検知手段により、蒸気発生手段内の水量を検知し、ステップ32へすすむ。ステップ32でその水量が第1の規定水量満(本実施例の場合、20cc未満)であるかどうかを判断し、第1の規定水量以下の場合、ステップ33へすすみ、そうでない場合はステップ34へ進む。ステップ33では、蒸気発生手段を動作させず、大気圧下の水の沸点(100℃)以上の過熱蒸気を鍋開口部上方から米に供給することを行わずに炊飯を行うシーケンスで炊飯を行う。ステップ34では、水量検知手段によって検知した水量が第2の規定値未満(本実施例の場合、50cc未満)であるかどうかを判断し、第2の規定水量以下の場合、ステップ35へすすみ、そうでない場合はステップ36へ進む。ステップ36では、十分な量の大気圧下の水の沸点(100℃)以上の過熱蒸気を鍋開口部上方から米に供給することができる本来のシーケンスでの炊飯を行う。ステップ35では、蒸気発生手段への加熱時期や、加熱量を調整することで、水量が第1の規定値以上、第2の規定値未満の場合にでも、この水量に適した大気圧下の水の沸点(100℃)以上の過熱蒸気を鍋開口部上方から米に供給するシーケンスで炊飯する。
以上のように本実施例において、蒸気加熱手段の水量を検知する水量検知手段を設け、炊飯開始時または炊飯開始から所定の時間以内に水量検知手段による水量検知結果に応じたシーケンスで炊飯することで、蒸気加熱手段の水量が、所定の水量に足りない場合でも、その水量に応じたシーケンスで炊飯を行うことができ、炊飯途中で、必要な量の大気圧下の水の沸点(100℃)以上の過熱蒸気を鍋開口部上方から米に供給することができず、鍋上層では乾燥して逆に食味が落ちてしまうなどの現象が発生することを防止することができる。
また、本実施例では、蒸気発生部内の水量に応じて炊飯を行うようにしているが、必要とする水量を使用者の好みによって選択できるようにしてもよいし、その場合でも選択した水量に満たない場合には、その水量に応じた炊飯を行うようにしてもよい。
(実施例3)
本発明の第3の実施例について、図4を用いて説明する。図4は本発明の第3の実施例の操作表示部の例であり、41は炊飯開始設定手段、42はメニュー選択手段であり、43はメニュー選択手段により選択されたメニューを三角の記号を用いて表示するメニュー表示手段である。43aは高温蒸気を供給するメニューであり、白米、無洗米などのメニューがある。43bは高温蒸気を供給しないメニューであり、おかゆなどのメニューがある。前記構成において、メニュー選択手段42により、高温蒸気を供給するメニューである43aの中「白米」が選択され、炊飯開始設定手段により炊飯が開始された場合には、水量検知手段17を動作させ、水量検知を行った上で、あらかじめ設定された「白米」のシーケンスに従って炊飯を行う。
一方、メニュー選択手段42により、高温蒸気を供給しないメニューである43bの中の「おかゆ」が選択され、炊飯開始設定手段により炊飯が開始された場合には、水量検知手段17を動作させずにあらかじめ設定された高温蒸気を供給しない「おかゆ」のシーケンスに従って炊飯を行う。
以上のように本発明では、高温蒸気を供給するメニューと高温蒸気を供給しないメニューとを備え、高温蒸気を供給しないメニューで炊飯を行う場合には、水量検知手段を動作させないようにしている。このことにより、高温蒸気を供給しないメニューには必要のない、水量検知手段を動作させるための余計な時間やエネルギーを使うことなく炊飯を行うことができる。
なお、本実施例においては、高温蒸気を供給するメニューと高温蒸気を供給しないメニューを全く別のメニューとしているが、同じ名前のメニュー(例えば「白米」)において、高温蒸気を供給する場合と、高温蒸気を供給しない場合の選択をするようにしてもよい。
また、本実施例において、水量検知手段として、圧力センサーを用いているが、蒸気発生手段を水量検知手段の一部として、短時間動作させてそのときの温度変化で水量検知を行うようにしてもよい。
(実施例4)
本発明の第4の実施例について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第4の実施例のフローチャートであり、高温蒸気を供給するメニューでの炊飯を開始し、鍋の有無やセンサーの異常の有無などを確認(図示せず)した後の動作の例を示している。ステップ50で水量を判定し、第1の所定の水量(本実施例の場合80cc)以上であればステップ51へ、そうでなければステップ52へ進む。ステップ51では、予備加熱1として、蒸気発生手段を一定時間動作させ、蒸気を発生させない程度に内部の水を暖め、ステップ52へ進む。ステップ52では、浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分された炊飯工程の内、浸水のための工程を行い、ステップ53へ進む。ステップ53では、水量を判定し、第2の所定の水量(本実施例の場合60cc)以上であればステップ54へ、そうでなければステップ55へ進む。ステップ54では、予備加熱2として、蒸気発生手段を一定時間動作させ、蒸気を発生させない程度に内部の水を暖め、ステップ55へ進む。ステップ55では、炊き上げのための工程を行い、ステップ56へ進む。ステップ56では、水量を判定し、第3の所定の水量(本実施例の場合50cc)以上であればステップ57へ、そうでなければステップ58へ進む。ステップ57では、水量が十分にあると判断し、蒸気発生手段を動作させて、十分な高温蒸気を供給して蒸らしの工程を行い、炊飯を終了する。ステップ58では、ステップ57と同じシーケンスでは、炊飯終了前に水がなくなり、高温蒸気の供給ができなくなる可能性があるため、蒸らし工程の前半では温度を下げて、高温蒸気を供給せず、蒸らし工程の後半で、温度を上げて、高温蒸気の供給を行い、炊飯を終了する。
以上のように本実施例では、炊飯開始から所定の時間以上経過した後の所定の工程で水量検知手段によって検知した水量に応じて、蒸気発生手段を動作させたり、温度を調整するなど、そのときの実際の水量に応じた炊飯を行うことで、予備加熱や周囲温度の変動などにより、炊飯開始時の水量から予定された以上の水量の変動があった場合にも、その水量に応じた最適な炊飯を行わせることができる。
なお、本実施例では、水量に応じて蒸気発生手段を動作させた後、浸水と炊き上げの工程を同一のものとしたが、それぞれ別の工程で動作させてもよいし、ステップ58では、蒸らし工程の前半で、蒸らし工程の前半では温度を下げて、高温蒸気を供給せず、蒸らし工程の後半で、温度を上げて、高温蒸気の供給を行うようにしたが、必ずしも前半、後半に分ける必要はなく、間欠で高温蒸気を供給するようにしてもよいし、そのタイミングや長さを検知した水量に応じて変化させてもよいし、蒸らし工程中にも水量を判定してその結果に応じて、さらに工程を変化させてもよい。
また、本実施例の場合、第1から第3の所定の水量をそれぞれ別の水量としたが、これは、必ずしも異なるものにする必要はなく、メニュー、水温、室温、以前に検知した水量などに応じて変化させてもよい。
(実施例5)
本発明の第5の実施例について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第5の実施例のフローチャートであり、高温蒸気を供給する蒸らし工程での動作の例を示している。ステップ60で、蒸気発生手段を動作させ、ステップ61へ進む。ステップ61では、蒸らしの第1の工程である蒸らし1工程を行い、ステップ62へ進む。ステップ62では、水量検知を行い、所定の水量(本実施例の場合は5cc)未満であるかどうかを判定し、所定の水量未満の場合はステップ63へ、所定の水量以上の場合はステップ64へ進む。ステップ64では、蒸らしの第2の工程である蒸らし2工程を行い、ステップ65へ進む。ステップ65では、水量検知を行い、所定の水量(本実施例の場合は5cc)未満であるかどうかを判定し、所定の水量未満の場合はステップ66へ、所定の水量以上の場合はステップ67へ進む。ステップ67では、蒸らしの第3の工程である蒸らし3工程を行い炊飯を終了する。ステップ63では、蒸気発生手段の動作を停止し、高温蒸気が供給されない場合に応じた第2の蒸らし工程2aを行い炊飯を終了する。ステップ66では、蒸気発生手段の動作を停止し、高温蒸気が供給されない場合に応じた第3の蒸らし工程3aを行い炊飯を終了する。
以上のように本実施例では、蒸気発生手段を動作させた後でも、空もしくは所定の水量以下になった場合に、蒸気発生手段の動作を停止するようにしているので、炊飯途中に水が不足した場合でも蒸気発生手段を水のない状態で動作させないようにすることができる。
なお、本実施例では、所定の水量未満であることを検知した後も炊飯を継続しているが、検知した時点で炊飯を終了させてもよく、また検知した時点あるいは、炊飯が終了した時点で、水量が不足していたことを報知するようにしてもよい。
また、本実施例では、一つの工程が終了する毎に水量を検知するようにしているが、一定時間ごとあるいは常に水量を検知して空もしくは所定の水量以下であることを検知した時点で、蒸気発生手段の動作を停止するようにしてもよいのは明らかである。
(実施例6)
本発明の第6の実施例について、図7を用いて説明する。基本的な構成は図2と同じであるため詳細な説明は省略する。図7において、17は水量検知手段であり、17cの適正水量検知手段と、17dの空検知手段と、17bの水量判定手段からなる。17cは適正な水量があるかどうかを判定するものであり、圧力センサーを使用している。17dは蒸気発生部15b内の水量が空であるかどうかを判定する空検知手段であり、サーミスタを使用している。
次に上記構成において動作を説明する。水量判定手段17bは、適正水量検知手段17cからの出力が一定値以上であるかどうかにより、蒸気発生部15b内の水量が適当であるかどうかを判断し、蒸気発生手段の動作後、空検知手段17dからの出力により、一定以上の温度(例えば120℃)を検知した場合に空と検知するようにしている。
逆に、空検知手段17dで水量検知を行おうとした場合、蒸気発生手段を動作させないことには温度が変化しないため、検知できない。たとえ、蒸気発生手段を動作させたとしても、検知に時間がかかるとともに、水量が少ない場合など、誤ったタイミングで蒸気を発生させてしまう可能性がある。
また、適正水量検知手段17Cで空検知を行おうとしても、蒸気発生手段により沸騰が始まった後では、沸騰による泡などにより正確に判断することが困難になる。
以上のように、本発明では、水量検知手段として、空検知手段と適正水量検知手段の2つを備えることにより、それぞれ最適な検知手段を設けることができ、より正確な判断を行い、適切な動作をさせることができる。
(実施例7)
本発明の第7の実施例について、図8を用いて説明する。炊飯器の基本的な構成は図1と同じであるので詳細な説明は省略する。図8において、15は蒸気発生手段、19は蒸気発生手段へ水を供給する水供給手段であり、弁20の動作によって適量の水を蒸気発生手段15へ供給している。17は水量検知手段で、水供給手段19の水量を検知している。
以上の構成により、蒸気発生手段と蒸気発生手段へ水を供給する水供給手段とを分離し、蒸気発生手段に定量の水を供給することで安定した蒸気を発生させるとともに、水供給手段の水量を検知することで、適正な炊飯を行うことができるようにしている。また、水供給手段の水量を検知するため、蒸気発生手段の動作による熱等の影響も小さく、より正確に水量を検知することができる。
(実施例8)
本発明の第8の実施例について、図9を用いて説明する。炊飯器の基本的な構成は図1と同じであるので詳細な説明は省略する。図9において蒸気発生手段15は蒸気発生用の水を貯水する磁性体を使用した水容器15cと水容器15cを加熱する容器誘導コイル15dで構成されており、更に、水容器15cの温度を測定するための容器温度センサー15eが容器の側面に圧接される様に設置されている。又容器誘導コイル15dは容器温度センサー15eの上方と下方に巻付けられているのである。
以上の構成について、動作を説明すると、まず使用者は炊飯を開始する。すると、容器誘導コイル15dにより、水容器15cの加熱がスタートする。ここで、ある一定時間の間に容器温度センサーが110℃に達するかどうかを検知するのである。例えば、ある一定時間の間に容器温度センサー15eが110℃に達しなかった場合、水容器15dの中には水が存在するとして、蒸気発生用炊飯シーケンスに従い蒸気発生工程に入ると、水容器15cを加熱して、蒸気を発生させる。しかし、容器温度センサーがある一定時間内に110℃を検知した場合には、水容器15c内には水が無いと判断し、蒸気発生なし炊飯シーケンスに入り、蒸気発生は行わないのである。
また、初期水量が少なかった場合、炊飯中に水容器15c内の水が蒸発し、水容器15c内が空になってしまうことも考えられるが、この場合も、容器温度センサー15eが水容器15c温度を常に検知しており、容器温度センサー15eが110℃に達すると、水容器15cの加熱を停止するのである。
更に、熱伝導率の低いステンレスなどの磁性金属で作られた水容器15cは容器誘導コイル15d付近温度と、容器誘導コイル15dから離れた位置での水容器15cの温度では大きな温度差が生じるため、容器温度センサー15eを水容器15cの底部に設置してしまうと、水容器15c内の水が炊飯途中で空になった場合など、温度検知が遅れ、水容器15cが異常加熱されてしまう場合がある。しかし、容器温度センサー15eの上方及び下方に容器誘導コイル15dを設置することで、水容器温度センサー15e付近は常に加熱されていることになり温度検知の即答性が向上するのである。これに加えて、容器温度センサー15eを水容器15cの側面(側壁)温度を検知していることで、水容器15cと容器温度センサー15eの間に米粒などの異物が介在する可能性を低減させることができるのである。
容器温度センサー15eを水容器15cの側面に設置した場合でもなお、水容器15cと容器温度センサー15e間には異物が介在する可能性が有るが、この場合においても、水容器15cの側面温度を検知し、容器誘導コイル15dが容器温度センサーの上下に設置されているために、炊飯中に水が蒸発し、水容器15c内の水が減少してくると、容器温度センサー15e部ではすでに水が無いが、水容器15c底部にはまだ水が残っている状態になる。この状態で容器温度センサー15eにある程度の異物が存在しても、温度検知の遅れは発生するものの、完全に水が無くなる前に水が無いと判断する110℃の温度検知は可能になるのである。
また、容器温度センサー15eの検知温度を110℃のみの1個に固定するのではなく、110℃よりも低い温度点を検知し、その検知するまでの時間を測定することで、水容器内15cの水量を検知することも可能である。
(実施例9)
本発明の第9の実施例について、図10を用いて説明する。炊飯器の基本的な構成は図1と同じであるので詳細な説明は省略する。図10において蒸気発生手段15は蒸気発生用の水を貯水する磁性体を使用した水容器15cと水容器15cを加熱する容器誘導コイル15dで構成されており、さらに水容器15c上方には発生した蒸気が通る蒸気径路14が設置されており、この蒸気径路14には水量検知手段17としての1対の電極17eと17fの2個設置されており、この電極17e、17fはそれぞれ高さが違うように構成されている。
以上の構成について、動作を説明すると、まず使用者は炊飯を開始する。すると、水容器15cに十分な水が入っていると、電極17e、17fは両方とも水に浸水し、水の伝導性により電極17e、17fがそれぞれ、水量検知のためのスイッチ的な役割を果たし、電極17e、17fの両方がON状態になっていることを検知する。すると、水が十分に入っている状態が検知でき、設置位置が高い電極17fが水に浸水せずにOFF状態になると、水が減少してきたことを検知することができ、電極17e、17f両方が水に浸水せずOFF状態になると、完全に水が無くなったと判断することができるのである。これらの水量検知方式では、使用者が炊飯を開始した直後に水の有無を認識できるようになり、炊飯を開始した直後に水の補給などが可能になるのである。
また、本説明は電極を2個設置した場合の構成を説明したが、電極個数を増やすことで、水量検知は電極の個数に比例し、精度が向上するのである。
また、水量検知が水の有無を検知するだけのもので良いのであれば、電極を複数設置するのではなく、1個設置すれば良いことは言うまでもない。
(実施例10)
本発明の第10の実施例について、図11を用いて説明する。炊飯器の基本的な構成は図1と同じであるので詳細な説明は省略する。図11において蒸気発生手段15は蒸気発生用の水を貯水する磁性体を使用した水容器15cと水容器15cを加熱する容器誘導コイル15dで構成されており、さらに水容器15c上方には発生した蒸気が通る蒸気径路14が設置されており、この蒸気径路14には水量検知手段17が設置されている。この水量検知手段17は水よりも比重の小さいフロート17gとフロート17gの位置を検知するフォトセンサー17hを設けている。
以上の構成について、動作を説明すると、水容器15c内に水が存在した場合、フロート17gは水の水量に応じて高さを変化する。このフロート17gの位置をフォトセンサー17hが検知し、水容器15c内の水量を検知するのである。この構成であると、水容器15c内の水量が精度良く、加えて即座に検知することが可能であり、使用者への水量報知がより性格に行うことができるのである。
本発明は、高温蒸気を発生し、飯の乾燥を伴わずに糊化を促進し炊飯性能を向上が可能となり、炊飯器の用途に適用できる。
本発明の第1の実施例の炊飯器の断面図 同、炊飯器の要部断面図 本発明の第2の実施例の炊飯器のフローチャート 本発明の第3の実施例の炊飯器の操作表示部を示す図 本発明の第4の実施例の炊飯器のフローチャート 本発明の第5の実施例の炊飯器のフローチャート 本発明の第6の実施例の炊飯器の要部断面図 本発明の第7の実施例の炊飯器の要部断面図 本発明の第8の炊飯器の要部断面図 本発明の第9の炊飯器の要部断面図 本発明の第10の炊飯器の要部断面図 従来の炊飯器の断面図
符号の説明
1 本体
2 鍋
3 底誘導コイル
8 蓋
13 蒸気加熱手段
14 蒸気経路
14a 蒸気経路開口部
14c 蒸気経路開口弁
15 蒸気発生手段
15c 水容器
15d 容器誘導コイル(誘導コイル)
15e 容器温度センサー
16 高温蒸気口
16a 高温蒸気口弁
17 水量検知手段
17a 圧力センサー
17b 水量判定手段
17c 適正水量検知手段
17d 空検知手段
17e 電極
17f 電極
17g フロート
17h フォトセンサー(フロートの位置検知手段)
18 報知手段
19 水供給手段

Claims (2)

  1. 鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、給水される蒸気発生部を有し前記鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段と、前記蒸気発生部内の水量を検知する水量検知手段と、前記水量検知手段によって検知した水量により決定される報知をする報知手段と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、前記蒸気供給を行わないメニューの場合には、前記水量検知手段を動作させないようにした炊飯器。
  2. 鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、給水される蒸気発生部を有し前記鍋へ供給する蒸気を発生する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段が発生する蒸気を加熱する蒸気加熱手段と、前記蒸気発生部内の水量を検知する水量検知手段と、蒸気の供給を行うメニューと蒸気の供給を行わないメニューとを備え、炊飯開始時または炊飯開始から所定時間以内に前記水量検知手段によって検知した水量により決定されるシーケンスで炊飯を行い、前記蒸気供給を行わないメニューの場合には、前記水量検知手段を動作させないようにした炊飯器。
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