JP2023089811A - スクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度差のある環境下での肌荒れや肌の黒化・色素沈着を予防し得る成分を探索することを目的とし、そのための新たなスクリーニング方法を確立することを課題とする。【解決手段】温度差刺激を与えたケラチノサイトにおける炎症性因子(IL-6)の活性を指標として、肌荒れ抑制剤及び/又は美白剤をスクリーニングする。好ましい態様において前記スクリーニング方法は、ケラチノサイトに被験試料を添加し、温度差刺激を与えて培養する工程、及び前記ケラチノサイトにおける炎症性因子の発現量を測定する工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、肌荒れ抑制剤及び/又は美白剤をスクリーニングする方法に関する。
肌において皮膚バリア機能や保湿機能が低下すると、乾燥や角質細胞の剥離、かゆみなどの肌荒れ症状が生じる。肌荒れは紫外線曝露等の物理的刺激の蓄積や加齢により生じやすいことが知られており、炎症が関与することも知られているが、発症要因が複雑であるためにその対処法は容易ではなく、これまでの肌荒れを抑制し得る成分では必ずしも十分な効果が得られてこなかった。
また、皮膚における日焼け後の色素沈着、シミ、肝斑、老人性色素斑等は、皮膚に存在するメラノサイト(色素細胞)の活性化によりメラニン生成が著しく亢進した状態である。これらの皮膚色素沈着に関連するトラブルの発生や悪化は肌の美しさを妨げるものであるため、従来これらを予防又は改善する作用を有する成分に関する研究が盛んになされており、様々な作用機序に基づく美白成分が創出されている。例えば、シミ等の色素沈着と相関性の高い遺伝子群の発現量を指標として美白成分を探索することが提案されている(特許文献1等)。
特開2019-004746号公報
近年、夏の外気温は従前より上昇する傾向にある。また、マスクを常時装着する生活が定着し、顔表面の温度が高くなりやすい。一方で、室内では冷房により低い気温となる。そのような、温度に差がある環境を行き来する条件は、肌にとって過酷なものとなり得る。
本発明者らは、そのような温度差刺激を受けた肌では肌荒れがより生じやすいことに着目した。また紫外線照射による黒化や色素沈着が進行しやすいという新たな知見を見出した。これまでに、温度差が肌の黒化・色素沈着に与える影響やそれを抑制する成分を探索しようとすることはなされてこなかった。
本発明は、温度差のある環境下での肌荒れや、肌の黒化・色素沈着を予防し得る成分を探索することを目的とし、そのための新たなスクリーニング方法を確立することを課題とする。
本発明者らは、温度差刺激を受けたケラチノサイト(表皮細胞)では炎症性因子IL-6(Interleukin-6)の発現が亢進すること、それにより肌荒れが生じやすくなったり、メラノサイトにおいてメラニン合成が促進されて肌の黒化や色素沈着が進行しやすくなったりすることを見出した。かかる知見に基づき、温度差刺激を与えたケラチノサイトにおける炎症性因子IL-6の活性を指標として、肌荒れ抑制剤及び/又は美白剤の有効成分をスクリーニングする方法を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]温度差刺激を与えたケラチノサイトにおける炎症性因子IL-6の活性を指標とする、肌荒れ抑制剤及び/又は美白剤をスクリーニングする方法。
[2]ケラチノサイトに被験試料を添加し、温度差刺激を与えて培養する工程、及び前記ケラチノサイトにおける炎症性因子IL-6の発現量を測定する工程を含む、[1]に記載の方法。
[3]前記温度差刺激が、5℃以上の差の温度変化に1回又は複数回曝すことである、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記発現量が、被験試料を添加しなかったケラチノサイトにおける発現量と比較して小さい場合に、前記被験試料は肌荒れ抑制作用及び/又は美白作用を有すると判定する、[2]又は[3]に記載の方法。
[5][1]~[5]のいずれかに記載の方法により肌荒れ抑制剤及び/又は美白剤をスクリーニングする工程を含む、肌荒れ抑制用及び/又は美白用化粧料の設計方法。
本発明により、温度差のある環境下での肌荒れを抑制し得る新たな肌荒れ抑制剤の有効成分や、温度差のある環境下での肌の黒化や色素沈着を予防し得る新たな美白剤の有効成分をスクリーニングする方法が提供される。
温度条件を変えて培養したケラチノサイトにおける炎症性因子IL-6の発現量を示すグラフ(高温群:37℃一定、温度刺激あり群:37℃→32℃→37℃)。 温度条件を変えて培養した後に被験試料を添加又は未添加で培養したケラチノサイトにおける炎症性因子IL-6の発現量を示すグラフ(高温群:37℃一定、温度刺激あり群:37℃→32℃→37℃、温度刺激あり・試料添加群:37℃→32℃→37℃)。
本発明のスクリーニング方法は、温度差刺激を与えたケラチノサイトにおける炎症性因子IL-6の活性を指標とする。
炎症性因子IL-6の発現が亢進すると、肌荒れが生じやすいことが知られている(例えば、J. Invest. Dermatol., 123:124-131, 2004等)。また、炎症性因子IL-6の発
現が亢進すると、メラノサイトにおいてチロシナーゼ活性が増強し、メラニン産生が亢進して肌の黒化や色素沈着に至りやすいことも知られている(例えば、Molecular Medicine
REPORTS 21: 1421-1430, 2020等)。また、後述の実施例で示される通り、温度差刺激を与えたケラチノサイトにおいては、該刺激が与えられていない、すなわち温度条件が一定であったケラチノサイトに比べて、著しく炎症性因子IL-6の発現が亢進する。これらのことから、温度差刺激を与えたケラチノサイトにおいて炎症性因子IL-6の発現を抑制する成分は、温度差刺激により生じやすくなる肌荒れやメラニン黒化を抑制する化粧料の有効成分になり得る。
本発明において、炎症性因子IL-6の活性としては、炎症性因子IL-6の発現量であってよい。ここで発現量は、IL-6の遺伝子の発現量や、前記遺伝子によりコードされるタンパク質の翻訳量又は存在量であってよい。
本発明のスクリーニング法の好ましい態様としては、ケラチノサイトに被験試料を添加し、温度差刺激を与えて培養する工程、及び前記ケラチノサイトにおける炎症性因子IL-6の発現量を測定する工程を含む。
炎症性因子IL-6の発現量は、任意の方法を用いて測定することができる。例えば、炎症性因子IL-6をコードする遺伝子の発現量、通常はmRNA量を、該遺伝子の配列に特異的に結合する配列を有するDNA断片をプライマーとして用いてPCRを行い、定量的な検出を行う。なお、既知の炎症性因子IL-6の遺伝子の塩基配列はそれぞれ公開されており、当業者は適宜プライマーを設計してPCRに供することができる。
また、例えば、前記遺伝子によりコードされるタンパク質の翻訳量又は存在量を、常法により定量的に測定して、前記因子の発現量としてもよい。
本発明においては、被験試料を添加して温度差刺激を与えて培養したケラチノサイトにおける炎症性因子IL-6の発現量が、被験試料を添加しなかった場合の発現量(コントロール)と比較して小さい場合に、前記被験試料は肌荒れ抑制作用及び/又は美白作用を有すると判定される。
なお、発現量が小さいことの程度としては、コントロールに対して好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは70%以下である。ただし、顕著な細胞毒性の起きない濃度範囲で試験試料を添加するものとする。
本発明の方法においてケラチノサイトに与える温度差刺激としては、特に限定されないが、好ましくは5℃以上、より好ましくは7℃以上、さらに好ましくは9℃以上の差の温度変化に一時的に曝すことをいう。温度変化の差の上限は特に限定されないが、通常は10℃以下である。また、温度変化に曝す回数は、1回又は複数回である。なお、温度変化は、低温から高温に曝し再び低温に戻す、あるいは高温から低温に曝し再び高温に戻す、のいずれでもよい。ここでの「低温」、「高温」は変化前後の相対的な高低を指す。温度変化に曝した後に戻す温度は、温度差があれば特に限定されず、元の温度と同一でなくてもよい。また、一つの温度条件に置く時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは6時間以上であるが、特に限定されない。
本発明のスクリーニング方法に使用する表皮細胞としては、ヒト由来の表皮細胞のほか、ラット、マウス、ウサギなどの哺乳動物由来の表皮細胞であれば特段の限定なく使用することができるが、通常は、いずれも正常な細胞を用いることが好ましく、ヒト由来の正常な表皮細胞を用いることがより好ましい。
細胞の培養の条件としては、通常の培養条件の他、本発明のスクリーニング方法の実行を妨げない培養条件であれば、特段の限定なく適用することができる。
本発明のスクリーニング方法が対象とする被験試料は、純物質、動植物由来の抽出物、またはそれらの混合物等のいずれであってもよい。
動植物由来の抽出物は、動物又は植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物又は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花、花蕾、果実等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される一種又は二種以上が好適なものとして例示することができる。具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位又はその乾燥物1質量部に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法における手順の一例を以下に挙げるが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
まず、プレ培養したケラチノサイトに被験試料を添加し、37℃で24~72時間、次
いで32℃で1~24時間、次いで再び37℃で6~24時間インキュベーションする。その後、該ケラチノサイトにおけるIL-6等の炎症性因子をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を定法により測定する。コントロールとして被験試料を添加せず同様に培養したケラチノサイトにおいても該発現量を測定する。被験試料を添加したケラチノサイトにおける発現量が、被験試料を添加しなかったケラチノサイトにおける発現量(コントロール)に対して小さい場合、前記被験試料は肌荒れ抑制作用及び/又は美白作用を有すると判定する。
本発明でいう肌荒れ抑制作用は、言い換えると肌のバリア機能低下抑制作用、又は保湿機能色低下抑制作用であってよく、好ましくは温度差刺激で生じる肌荒れ抑制作用、温度差刺激で生じる肌のバリア機能低下抑制作用、又は温度差刺激で生じる保湿機能色低下抑制作用をいう。
本発明でいう美白作用は、言い換えると肌の黒化抑制作用、色素沈着抑制作用、又はメラニン生成抑制作用であってよく、好ましくは温度差刺激で生じる肌の黒化抑制作用、温度差刺激で生じる色素沈着抑制作用、又は温度差刺激で生じるメラニン生成抑制作用をいう。
本発明のスクリーニング方法により肌荒れ抑制作用及び/又は美白作用を有すると判定された成分は、任意の調製方法により組成物に含有させることができる。すなわち、本発明のスクリーニング方法は、肌荒れ抑制用組成物及び/又は美白用組成物に好適に用いることができる。かかる組成物としては、例えば皮膚外用組成物が好ましく、化粧料がより好ましく、肌荒れ抑制用スキンケア化粧料や美白用スキンケア化粧料が好適に挙げられる。
本発明のスクリーニングにより有効性が判定された物質を組成物に含有させる場合、その含有量(配合量)は、通常、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上であり、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。有効成分の含有量(配合量)が少なすぎると所望の効果が得られにくい場合があり、多すぎると効果が頭打ちになるばかりか組成物の処方の自由度を損なう場合があるからである。また、組成物に含有させる有効成分の種類は、1種類のみでなく2種類以上であってもよい。なお、動植物抽出物等についてはその配合量は固形物換算量とする。
本発明に係る肌荒れ抑制剤及び/又は美白剤を皮膚外用組成物に含有させる場合、その製造に際しては、化粧料、医薬部外品、医薬品などの製剤化で通常使用される成分を任意に配合することができる。
かかる任意成分としては例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシルなどのエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油などのトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、レチノイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオール等の多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を任意に配合することができる。
該皮膚外用組成物は、常法に従って前記の成分を処理・配合することにより製造することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<試験例1>温度差による正常ヒト表皮細胞における炎症性因子IL-6の遺伝子発現量への影響
正常ヒト表皮細胞(倉敷紡績株式会社)を、Humedia-KG2(倉敷紡績株式会社)を用いて起眠した後、細胞培養用フィルターキャップフラスコ 75cm内で、3
7℃、5%CO環境下で5日間培養した。
フラスコをPBSにてWash後、0.05%トリプシンを2mL加え、37℃に数分間静置し、細胞を剥離した。中和液を加えてフラスコ内をピペッティングし、細胞を液ごと50mLチューブに回収した。回収した細胞を24ウェルプレート2枚に3.0×10cells/ウェルとなるように播種した。各プレートでは中央の4ウェルにのみ細胞を播種し、残りのウェルにはPBSを添加した。各プレートを37℃、5%CO環境下で24時間静置した。
24時間後、各プレートの培地を新しい培地(Humedia-KG2)に交換した。37℃、5%CO環境下で24時間静置した。
24時間後、1枚のプレートを32℃、5%CO環境下に移動させ、6時間静置した。6時間後に37℃、5%CO環境下に戻し、24時間静置した。もう1枚のプレート
についてはそのまま37℃、5%CO環境下に静置した。24ウェルプレートへ播種した24時間後から、37℃一定で培養した細胞群を「高温群」、および37℃で24時間培養後に32℃で6時間培養し、その後37℃に戻し24時間培養した細胞群を「温度差刺激あり群」とした。
24時間後、各プレートの培地を除いてPBSで洗浄し、Buffer RLT(株式
会社キアゲン)を加え細胞を溶解し、各ウェルの細胞溶解液を別々のQIA shred
derチューブ(株式会社キアゲン)に回収した。遠心分離によりチューブ内のフィルターを通過した溶液を回収した。
回収した溶液から、RNeasy plus micro kit(株式会社キアゲン)
を用いてそれぞれRNAを抽出した。
QuantiTecT SYBR Green RT-PCR kit(株式会社キアゲン)を用いてRT-PCRを行い、内在性コントロールとしてACTB(Actin Be
taの遺伝子、プライマーは株式会社キアゲンのものを使用)及びIL-6(炎症性因子であるInterleukin-6の遺伝子、プライマーは株式会社キアゲンのものを使用)のmRNA発現量を測定した。
IL-6のmRNA発現量を、ACTBのmRNA発現量で除した値(IL-6/ACTB)を求め、各サンプルのIL-6 mRNA発現量とした。
図1に、各群の炎症性因子IL-6のmRNA発現量の平均値を、高温群のmRNA発現量平均値を1とする相対値としてグラフで示す。この結果から、温度差刺激あり群は高温群よりIL-6発現量が有意に高いことがわかる。
以上の結果から、正常ヒト表皮細胞において、温度差刺激により炎症性因子Interleukin-6の遺伝子であるIL-6の発現量が高まることが明らかとなった。
<試験例2>温度差による正常ヒト表皮細胞における炎症性因子の遺伝子発現量への影響
正常ヒト表皮細胞(倉敷紡績株式会社)を、Humedia-KG2(倉敷紡績株式会社)を用いて起眠した後、細胞培養用フィルターキャップフラスコ 75cm内で、3
7℃、5%CO環境下で5日間培養した。
フラスコをPBSにてWash後、0.05%トリプシンを2mL加え、37℃に数分
間静置し、細胞を剥離した。中和液を加えてフラスコ内をピペッティングし、その液を50mLチューブに回収。回収した細胞を24ウェルプレート2枚に3.0×10cel
ls/ウェルとなるように播種した。1枚のプレートには中央の12ウェルに細胞を播種し、残りのウェルにはPBSを添加した。残り1枚のプレートには中央の6ウェルに細胞を播種し、これら2枚のプレートを37℃、5%CO環境下で24時間静置した。
24時間後、各プレートから培地を除去し、細胞を6ウェルに播種したプレートには溶媒対照を添加したHumedia-KG2を加え、細胞を12ウェルに播種したプレートのうち6ウェルには溶媒対照を、残りの6ウェルには試料を添加したHumedia-KG2を加え、37℃、5%CO環境下で24時間静置した。
試料としては、トラネキサム酸(終濃度0.01%)、ヒキオコシエキス(岩瀬コスファ株式会社、終濃度0.1%)及びサンザシエキス(小城製薬株式会社、終濃度0.1%)の混合物を用いた。
24時間後、細胞を12ウェルに播種したプレートを32℃、5%CO環境下に移動させ、6時間静置した。6時間後に37℃、5%CO環境下に戻し、24時間静置した。細胞を6ウェルに播種したプレートについては、そのまま37℃、5%CO環境下に静置した。
24ウェルプレートへ播種した24時間後から、溶媒対照培地を添加して37℃一定で培養した細胞群を「高温群」、溶媒対照培地を添加して37℃で24時間培養後に32℃で6時間培養し、その後37℃に戻し24時間培養した細胞群を「温度差刺激あり群」、試料添加培地を添加して37℃で24時間培養後に32℃で6時間培養し、その後37℃に戻し24時間培養した細胞群を「温度差刺激あり・試料添加群」とした。
各プレートの培地を除いてPBSで洗浄し、Buffer RLT(株式会社キアゲン
)を加え細胞を溶解し、各ウェルの細胞溶解液を別々のQIA shredderチュー
ブ(株式会社キアゲン)に回収した。遠心分離によりチューブ内のフィルターを通過した溶液を回収した。
回収した溶液から、RNeasy plus micro kit(株式会社キアゲン)
を用いてそれぞれRNAを抽出した。
試験例1と同様にACTB及びIL-6のmRNA発現量を測定し、(IL-6/ACTB)を求め、各サンプルのIL-6 mRNA発現量とした。
図2に、各群の炎症性因子IL-6のmRNA発現量の平均値を、高温群のmRNA発現量平均値を1とする相対値としてグラフで示す。この結果から、温度差刺激あり群は高温群よりもIL-6の発現量が有意に高く、温度差刺激あり・試料添加群は温度差刺激あり群よりもIL-6の発現量が有意に低いことがわかる。
以上の結果から、正常ヒト表皮細胞において、温度差刺激により炎症性因子Interleukin-6の遺伝子であるIL-6の発現量が高まるが、試料の添加により、IL-6の発現量増加が抑制されたことが明らかとなった。
温度差刺激によりケラチノサイトにおいてIL-6の発現量が亢進すると肌のバリア機能が低下して肌荒れが生じたり、メラノサイトにおいてメラニン合成量が増加し肌の黒化や色素沈着に至ったりするところ、温度差刺激により亢進するIL-6の発現量を抑制することができる試料は、肌荒れ抑制剤や美白剤の有効成分となり得る。

Claims (5)

  1. 温度差刺激を与えたケラチノサイトにおける炎症性因子Interleukin-6(IL-6)の活性を指標とする、肌荒れ抑制剤及び/又は美白剤をスクリーニングする方法。
  2. ケラチノサイトに被験試料を添加し、温度差刺激を与えて培養する工程、及び
    前記ケラチノサイトにおける炎症性因子IL-6の発現量を測定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記温度差刺激が、5℃以上の差の温度変化に1回又は複数回曝すことである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記発現量が、被験試料を添加しなかったケラチノサイトにおける発現量と比較して小さい場合に、前記被験試料は肌荒れ抑制作用及び/又は美白作用を有すると判定する、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の方法により肌荒れ抑制剤及び/又は美白剤をスクリーニングする工程を含む、肌荒れ抑制用及び/又は美白用化粧料の設計方法。
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