JP2023082881A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、固定鉄心の固定位置を厳密に規定することができる燃料噴射弁を提供することにある。【解決手段】本発明の燃料噴射弁は、弁体および可動鉄心を有する可動子と、弁体が接離する弁座を有する弁座部材と、可動鉄心との間に磁気吸引力を発生する固定鉄心25と、可動子、弁座部材および固定鉄心25を内包する筒状部5と、を備える。そして筒状部5は、固定鉄心25の筒状部5への挿入を所定の位置で規制する規制部(係合部)5hを有する。【選択図】図4
Description
本発明は、燃料を噴射する燃料噴射弁に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2019-7393号公報(特許文献1)に記載された燃料噴射弁が知られている。この燃料噴射弁は、金属材製の筒状体と、筒状体に圧入固定された固定鉄心と、筒状体の内部において固定鉄心に対して燃料噴射弁の先端側に配置された可動子と、を備えている(段落0012,0020,0025参照)。筒状体は、一端側の径が他端側の径に対して大きくなっており、固定鉄心は筒状体の小径部に圧入固定されている(段落0012,0025参照)。可動子は可動鉄心(可動コア)を有し、可動鉄心は固定鉄心と微小ギャップδ1を介して対向している(段落0021参照)。
特許文献1の燃料噴射弁では、可動鉄心が固定鉄心と微小ギャップδ1を介して対向し、この微小ギャップδ1が可動子、すなわち可動子に設けられた弁体のリフト量となり、弁体のリフト量は弁体と固定鉄心との間隔により設定される。このため、弁体のリフト量が流量に適した適切なリフト量になるよう、特に固定鉄心の固定位置は厳密に規定する必要がある。ここで、固定鉄心を筒状体に圧入固定する場合、固定鉄心の圧入時に、筒状体に対する固定鉄心の押し込みが足りなかったり、筒状体に対して固定鉄心を押し込み過ぎたりすることがあり、筒状体に対する固定鉄心の固定位置を厳密に規定することが難しかった。
本発明の目的は、固定鉄心の固定位置を厳密に規定することができる燃料噴射弁を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の燃料噴射弁は、
弁体および可動鉄心を有する可動子と、前記弁体が接離する弁座を有する弁座部材と、前記可動鉄心との間に磁気吸引力を発生する固定鉄心と、前記可動子、前記弁座部材および前記固定鉄心を内包する筒状部と、を備え、
前記筒状部は、前記固定鉄心の前記筒状部への挿入を所定の位置で規制する規制部を有する。
弁体および可動鉄心を有する可動子と、前記弁体が接離する弁座を有する弁座部材と、前記可動鉄心との間に磁気吸引力を発生する固定鉄心と、前記可動子、前記弁座部材および前記固定鉄心を内包する筒状部と、を備え、
前記筒状部は、前記固定鉄心の前記筒状部への挿入を所定の位置で規制する規制部を有する。
本発明によれば、固定鉄心の固定位置を厳密に規定することができる燃料噴射弁を提供することができる。
本発明に係る実施例について、図1乃至図3を用いて説明する。
図1を参照して、燃料噴射弁1の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る燃料噴射弁の一実施例について、弁軸芯(中心軸線)1xに沿う断面を示す断面図である。なお、符号1xは、燃料噴射弁1の中心軸線を示す。可動子27の軸芯(弁軸芯)27xは中心軸線1xに一致するように配置され、筒状体5及び弁座部材15の中心軸線と一致している。
図1において、燃料噴射弁1の上端部(上端側)を基端部(基端側)と呼び、下端部(下端側)を先端部(先端側)と呼ぶ場合がある。基端部(基端側)及び先端部(先端側)という呼び方は、燃料の流れ方向或いは燃料配管に対する燃料噴射弁1の取り付け構造に基づいている。また、本明細書において説明される上下関係は図1に基づくもので、燃料噴射弁1を内燃機関に搭載した実装状態における上下方向とは関係がない。
燃料噴射弁1には、金属材製の筒状体(筒状部材)5によって、その内側に燃料流路(燃料通路)3がほぼ中心軸線1xに沿うように構成されている。筒状体5は、磁性を有するステンレス等の金属素材を用い、深絞り加工等のプレス加工により中心軸線1xに沿う方向に段付きの形状に形成されている。これにより、筒状体5は、一端側5aの径が他端側5bの径に対して大きくなっている。
筒状体5の基端部には燃料供給口2が設けられ、この燃料供給口2に、燃料に混入した異物を取り除くための燃料フィルタ13が取り付けられている。
筒状体5の基端部は径方向外方に向けて拡径するように曲げられた鍔部(拡径部)5dが形成され、鍔部5dとカバー47の基端側端部47aとで形成される環状凹部(環状溝部)4にOリング11が配設されている。
筒状体5の先端部には、弁体27cと弁座部材15とからなる弁部7が構成されている。弁座部材15は、筒状体5の先端部の内周側に挿入され、レーザ溶接19により筒状体5に固定されている。すなわち筒状体5は、弁座部材15を内包するように保持している。レーザ溶接19は、筒状体5の外周側から全周に亘って実施されている。弁座部材15は、筒状体5の内周面に圧入することで、筒状体5の内周側に挿入されて溶接される際に、筒状体5に対する位置ずれを抑制することができる。
弁座部材15にはノズルプレート21nが固定され、弁座部材15及びノズルプレート21nはノズル部8を構成する。弁座部材15及びノズルプレート21nは、弁座部材15が筒状体5の内周面5g(図3参照)に挿入されて固定されることにより、筒状体5の先端側に組み付けられている。
本実施例の筒状体5は、燃料供給口2が設けられる部分から弁座部材15及びノズルプレート21nが固定される部分までが一部材で構成されている。筒状体5の先端側部分はノズル部8を保持するノズルホルダを構成する。本実施例では、ノズルホルダが筒状体5の基端側部分と共に一部材で構成されている。
筒状体5の中間部には弁体27cを駆動するための駆動部9が配置されている。駆動部9は電磁アクチュエータ(電磁駆動部)で構成されている。
具体的には、駆動部9は、筒状体5の内部(内周側)に固定された固定鉄心(固定コア)25と、筒状体5の内部において固定鉄心25に対して先端側に配置された可動子(可動部材)27と、筒状体5の外周側に外挿された電磁コイル29と、電磁コイル29の外周側で電磁コイル29を覆うヨーク33と、を備える。
可動子27は、弁体27c、ロッド部(接続部)27b及び可動鉄心27aが一体に設けられて構成される。可動子27は基端側に固定鉄心25と対向する可動鉄心(可動コア)27aを有し、中心軸線1xに沿う方向に移動可能に組み付けられている。また電磁コイル29は、固定鉄心25と可動鉄心27aとが微小ギャップδ1を介して対向する位置の外周側(径方向外方)に配置されている。これにより、可動鉄心27a及び固定鉄心25は、相互間に電磁力を働かせて弁体27cを駆動する。
筒状体5の内側には可動子27及び固定鉄心25が収容されており、筒状体5は固定鉄心25と当接すると共に、可動鉄心27aの外周面と対向して可動鉄心27a及び固定鉄心25を囲繞するハウジングを構成している。すなわち筒状体5は、可動子27及び固定鉄心25を内包している。
可動鉄心27aと固定鉄心25とヨーク33とは、電磁コイル29に通電することにより生じる磁束が流れる閉磁路を構成する。磁束は微小ギャップδ1を通過するが、微小ギャップδ1の部分で筒状体5を流れる漏れ磁束を低減するため、筒状体5の微小ギャップδ1に対応する位置に、非磁性部或いは筒状体5の他の部分よりも弱磁性の弱磁性部5cが設けられている。以下、この非磁性部或いは弱磁性部5cは、単に非磁性部5cと呼んで説明する。
電磁コイル29は、樹脂材料で筒状に形成されたボビン31に巻回され、筒状体5の外周側に外挿されている。電磁コイル29はコネクタ41に設けられたターミナル43に電気的に接続されている。コネクタ41には図示しない外部の駆動回路が接続され、ターミナル43を介して、電磁コイル29に駆動電流が通電される。
固定鉄心25は、磁性金属材料からなる。固定鉄心25は筒状に形成され、中心部を中心軸線1xに沿う方向に貫通する貫通孔25aを有する。貫通孔25aは、可動鉄心27aの上流側の燃料通路(上流側燃料通路)3を構成する。固定鉄心25は、筒状体5の小径部5bの基端側に圧入固定され、筒状体5の中間部に位置している。小径部5bの基端側に大径部5aが設けられていることにより、固定鉄心25の組付けが容易になる。固定鉄心25は溶接により筒状体5に固定してもよいし、溶接と圧入を併用して筒状体5に固定してもよい。
可動鉄心27aは円環状の部材である。弁体27cは弁座15b(図3参照)と当接する部材である。弁座15b及び弁体27cは協働して燃料噴射孔51(図3参照)の上流側で燃料通路を開閉する。ロッド部27bは細長い円筒形状であり、可動鉄心27aと弁体27cとを接続する接続部である。可動鉄心27aは、弁体27cと連結され、固定鉄心25との間に作用する磁気吸引力によって、弁体27cを開閉弁方向に駆動するための部材である。
本実施例では、可動鉄心27aとロッド部27bとが固定されているが、可動鉄心27aとロッド部27bとが相対変位可能に連結された構成であってもよい。
本実施例では、ロッド部27bと弁体27cとを別部材で構成し、ロッド部27bに弁体27cを固定している。ロッド部27bと弁体27cとの固定は、圧入又は溶接により行われる。ロッド部27bと弁体27cとは一つの部材で一体化されて構成されてもよい。
ロッド部27bは円筒形状であり、ロッド部27bの上端が可動鉄心27aの下端部に開口し、軸方向に延設された孔27baを有する。ロッド部27bには内側(内周側)と外側(外周側)とを連通する連通孔(開口部)27boが形成されている。ロッド部27bの外周面と筒状体5の内周面との間には燃料室37が形成されている。
固定鉄心25の貫通孔25aにはばね部材39が設けられている。本実施例では、ばね部材39はコイルばねで構成される。以下、コイルばね39と呼んで説明する。
コイルばね39の一端は、可動鉄心27aの内側に設けられたばね座27agに当接している。コイルばね39の他端部は、固定鉄心25の貫通孔25aの内側に配設されたアジャスタ(調整子)35に当接している。コイルばね39は、可動鉄心27aに設けられたばね座27agとアジャスタ(調整子)35の下端(先端側端面)との間に、圧縮状態で配設されている。
コイルばね39は、弁体27cが弁座15bに当接する方向(閉弁方向)に可動子27を付勢する付勢部材として機能している。中心軸線1xに沿う方向におけるアジャスタ35の位置を貫通孔25a内で調整することにより、コイルばね39による可動子27(すなわち弁体27c)の付勢力が調整される。
アジャスタ35は、中心部を中心軸線1xに沿う方向に貫通する燃料流路3を有する。燃料供給口2から供給された燃料は、アジャスタ35の燃料流路3を流れた後、固定鉄心25の貫通孔25aの先端側部分の燃料流路3に流れ、可動子27内に構成された燃料流路3に流れる。
ヨーク33は、磁性を有する金属材料でできており、燃料噴射弁1のハウジングを兼ねている。ヨーク33は大径部33aと小径部33bとを有する段付きの筒状に形成されている。大径部33aは電磁コイル29の外周を覆って円筒形状を成しており、大径部33aの先端側に大径部33aよりも小径の小径部33bが形成されている。小径部33bは筒状体5の小径部5bの外周に圧入又は挿入されている。これにより、小径部33bの内周面は筒状体5の外周面に緊密に接触している。このとき、小径部33bの内周面の少なくとも一部は、可動鉄心27aの外周面と筒状体5を介して対向しており、この対向部分に形成される磁路の磁気抵抗を小さくしている。
ヨーク33の先端側端部の外周面には周方向に沿って環状凹部33cが形成されている。環状凹部33cの底面に形成された薄肉部において、ヨーク33と筒状体5とがレーザ溶接24により全周に亘って接合されている。
筒状体5の先端部にはフランジ部49aを有する円筒状のプロテクタ49が外挿され、筒状体5の先端部がプロテクタ49によって保護されている。プロテクタ49はヨーク33のレーザ溶接部24の上を覆っている。
プロテクタ49のフランジ部49aと、ヨーク33の小径部33bと、ヨーク33の大径部33aと小径部33bとの段差面とによって環状溝34が形成され、環状溝34にOリング46が外挿されている。Oリング46は、燃料噴射弁1が内燃機関に取り付けられる際に、内燃機関側に形成された挿入口の内周面とヨーク33における小径部33bの外周面との間で液密及び気密を確保するシールとして機能する。
燃料噴射弁1の中間部から基端側端部の近傍までの範囲に、樹脂カバー47がモールドされている。樹脂カバー47の先端側端部はヨーク33の大径部33aの基端側の一部を被覆している。また、樹脂カバー47を形成する樹脂によりコネクタ41が一体的に形成されている。
図2を参照して、可動子27近傍の構成について、詳細に説明する。図2は、図1に示す可動子27の近傍を拡大して示す断面図である。
本実施例では、可動鉄心27aとロッド部27bとが一部材で一体に形成されている。可動鉄心27aの上端面(上端部)27abの中央部には、下端側に向けて窪んだ凹部27aaが形成されている。凹部27aaの底部27agにはばね座が形成され、コイルばね39の一端(先端側端部)が底部27agに支持されている。さらに、凹部27aaの底部27agには、ロッド部27bの孔27baの内側に連通する開口部27afが形成されている。開口部27afは、固定鉄心25の貫通孔25aから凹部27aa内の空間27aiに流入した燃料を、ロッド部27bの孔27baの内側の空間27biに流す燃料通路を構成する。
本実施例では、ロッド部27bと可動鉄心27aとを一部材で構成しているが、別々の部材で構成したものを一体に組み付けてもよい。
可動鉄心27aの上端面(基端側端面)27abは、固定鉄心25側に位置する端面であり、固定鉄心25の下端面(先端側端面)25bと対向する。上端面27abに対して反対側の可動鉄心27aの端面は、燃料噴射弁1の先端側(ノズル側)に位置する端面であり、以下、下端面(下端部)27akと呼ぶ。
可動鉄心27aの上端面27abと固定鉄心25の下端面25bとは、相互に磁気吸引力が作用する磁気吸引面を構成する。
磁気吸引面の外周側には、非磁性部5cが設けられている。本実施例では、非磁性部5cは、筒状体5の外周面に形成した環状凹部5hにより構成される。環状凹部5hは非磁性部5cに相当する部分を薄肉化して薄肉部5iを構成する。すなわち環状凹部5hは、可動鉄心27aと固定鉄心25とが対向する対向部の外周部に位置する筒状体5の部位に、肉厚の薄い薄肉部5iを周方向に形成する。薄肉部5iは筒状体5の他の部分よりも肉厚(厚さ寸法)が薄くなっており、ここを通る磁束の磁気抵抗を増大させ、磁束を流れ難くしている。この非磁性部5cは、筒状体5の肉厚を他の部分と同じ厚さとし、非磁性化処理を行うことにより構成してもよい。
可動鉄心27aの外周面27acに、筒状体5の小径部5bの内周面5beに摺動する摺動部が構成される。この摺動部として、外周面27acには径方向外方に向かって突出する凸部27alが設けられる。内周面5eは、可動鉄心27aの凸部27alが摺接する上流側ガイド部50Bを構成する。
一方、弁座部材15には、弁体27cの球面27cbが摺接するガイド面15c(図3参照)が構成され、ガイド面15cが球面27cbをガイドするガイド部は下流側ガイド部50Aを構成する。これにより、可動子27は上流側ガイド部50Bと下流側ガイド部50Aとの二点で案内されて、中心軸線1xに沿う方向(開閉弁方向)に往復動作する。
ロッド部27bには、孔27baの内側の空間27biと外側の燃料室37とを連通する開口部(連通孔)27boが形成されている。連通孔27boは、ロッド部27bの内側と外側とを連通する燃料通路を構成する。これにより、固定鉄心25の貫通孔25a内の燃料は、孔27ba及び連通孔27boを通じて燃料室37に流れる。
本実施例では、可動子27が開弁方向に移動した際に、可動鉄心27aの上端面27abと固定鉄心25の下端面25bとが当接し、可動子27の移動が止められる。すなわち固定鉄心25の下端面25bが可動子27のストッパを構成する。
次に、図3を参照して、ノズル部8の構成ついて、詳細に説明する。図3は、図2に示すノズル部8の近傍を拡大して示す断面図である。
弁座部材15には、中心軸線1xに沿う方向に貫通する貫通孔15d,15c,15v,15eが形成されている。
貫通孔15d,15c,15v,15eの途中には、下流側に向かって縮径する円錐面(円錐台面)15vが形成されている。円錐面15v上には弁座15bが構成され、弁体27cが弁座15bに対して離接することにより、燃料通路の開閉が行われる。なお、弁座15bが形成された円錐面15vを弁座面と呼ぶ場合もある。
弁座15bと弁体27cとの相互に当接する当接部は、閉弁時に燃料をシールするシール部を構成する。なお、弁座15b側の当接部を弁座側(固定弁側)シート部と呼び、弁体27c側の当接部を弁体側(可動弁側)シート部と呼ぶ場合がある。
貫通孔15d,15c,15v,15eにおける、円錐面15vから上側の孔部分15d,15c,15vは、弁体27cを収容する弁体収容孔を構成する。弁体収容孔15d,15c,15vの内周面に、弁体27cを中心軸線1xに沿う方向に案内するガイド面15cが形成されている。ガイド面15cは可動子27を案内する二つのガイド面のうち、下流側に位置する下流側ガイド面50Aを構成する。
ガイド面15cの上流側には、上流側に向かって拡径する拡径部15dが形成されている。拡径部15dは、貫通孔15d,15c,15v,15eの上端部分に位置し、燃料室37に向かって開口する基端側開口部を構成する。拡径部15dは、基端側から先端側に向かって縮径するテーパー面として構成される。このテーパー面15dの傾斜角度は後述する弁座面15vの傾斜角度よりも急である。
弁体収容孔15d,15c,15vの下端部は燃料導入孔15eに接続され、燃料導入孔15eの下端面が弁座部材15の先端面15tに開口している。すなわち燃料導入孔15eは、貫通孔15d,15c,15v,15eの先端側開口部を構成する。
弁座部材15の先端面15tには、ノズルプレート21nが取り付けられている。ノズルプレート21nは弁座部材15にレーザ溶接23により固定されている。レーザ溶接部23は、燃料噴射孔51が形成された噴射孔形成領域を取り囲むようにして、この噴射孔形成領域の周囲を一周している。
また、ノズルプレート21nは板厚が均一な板状部材(平板)で構成されており、中央部に外方に向けて突き出すように突状部21naが形成されている。突状部21naは曲面(例えば球状面)で形成されている。突状部21naの内側には燃料室21aが形成されている。この燃料室21aは弁座部材15に形成された燃料導入孔15eに連通しており、燃料導入孔15eを通じて燃料室21aに燃料が供給される。
突状部21naには複数の燃料噴射孔51が形成されている。燃料噴射孔51の形態は特に問わない。燃料噴射孔51の上流側に燃料に旋回力を付与する旋回室を有するものであってもよい。燃料噴射孔の中心軸線51aは燃料噴射弁の中心軸線1xに対して平行であってもよいし、傾斜していてもよい。また、突状部21naが無い構成であってもよい。
燃料噴霧の形態を決定する燃料噴射部21はノズルプレート21nによって構成される。弁座部材15と燃料噴射部21とは、燃料噴射を行うためのノズル部8を構成している。弁体27cはノズル部8を構成する構成要素の一部とみなしてもよい。
また本実施例では、弁体27cは、球状を成すボール弁を用いている。このため、弁体27cにおけるガイド面15cと対向する部位には、周方向に間隔を置いて複数の切欠き面27caが設けられ、この切欠き面27caによってシート部に燃料を供給する燃料通路が構成されている。弁体27cはボール弁以外の弁体で構成することも可能である。例えば、ニードル弁を用いてもよい。
弁座部材15は、筒状体5の先端部(小径部5b)の内周面5beに圧入した後、溶接部19により筒状体5に溶接して固定する。
次に、図4を参照して、固定鉄心25の組み付け構造について説明する。図4は、本発明に係る燃料噴射弁の一実施例について、筒状体5に対する固定鉄心25の組み付け構造を示す断面図である。
固定鉄心25は、筒状体5に圧入されている。すなわち、固定鉄心25の外周面25dが筒状体5の小径部5bの内周面5beに圧入されている。固定鉄心25の外周面25dは圧入部を構成する。圧入部25dの外径(外周面の直径)φ25dは、筒状体5の大径部5aの内径(内周面5aeの直径)φ5aeよりも小さい。
固定鉄心25の基端側端面(上端面)25cと圧入部25dとの間には薄肉部25fが形成されている。薄肉部(基端側薄肉部、第1薄肉部)25fの厚み(肉厚)T25fは、圧入部25dの厚み(肉厚)T25dよりも薄い。すなわち薄肉部25fの厚み寸法(肉厚寸法)T25fは、圧入部25dの厚み寸法(肉厚寸法)T25dよりも小さい。薄肉部25fの外径(外周面の直径)φ25fは、圧入部25dの外径φ25dよりも小さく、薄肉部25fは固定鉄心25の小径部(基端側小径部、第1小径部)を構成する。
すなわち固定鉄心25は、筒状部5の内周面5beに圧入される圧入部25dを有すると共に、圧入部25dに対して燃料噴射弁1の基端側に、圧入部25dの外径φ25dよりも小さい外径φ25fの基端側小径部25fを有する。
固定鉄心25は、薄肉部25fに対して基端側端面(上端面)25cの側に、薄肉部25fの外周面から径方向外側に突出する鍔部25eを有する。すなわち固定鉄心25は、燃料噴射弁1の基端側に設けられ、固定鉄心25の外周面(薄肉部25fの外周面)から径方向外側に突出した鍔部25eを有する。鍔部25eの外径(外周面の直径)φ25eは、圧入部25dの外径φ25dよりも大きい。また鍔部25eの外径φ25eは、筒状体5の大径部5aの内径(内周面5aeの直径)φ5aeよりも小さく、筒状体5の小径部5bの内径(内周面5beの直径)φ5beよりも大きい。
固定鉄心25は、圧入部25dに対し先端側端面(下端面)25bの側に、薄肉部(先端側薄肉部、第2薄肉部)25gを有する。薄肉部25gの厚み(肉厚)T25gは、圧入部25dの厚み(肉厚)T25dよりも薄い。すなわち薄肉部25gの厚み寸法(肉厚寸法)T25gは、圧入部25dの厚み寸法(肉厚寸法)T25dよりも小さい。薄肉部25gの外径(外周面の直径)φ25gは、圧入部25dの外径(外周面の直径)φ25dよりも小さく、固定鉄心25の先端側において小径部(先端側小径部、第2小径部)を構成する。なお、小径部25gの外径φ25gは、筒状体5の小径部5bの内径φ5beよりも小さい。
筒状体5は、大径部5aと小径部5bとの間に、大径部5a側から小径部5b側に向かって径が次第に小さくなるテーパー部(縮径部)5hを有する。固定鉄心25は、大径部5a側から筒状体5の内側に挿入される。圧入部25dの外径φ25dおよび鍔部25eの外径φ25eは筒状体5の大径部5aの内径φ5aeよりも小さいため、また先端側小径部の外径φ25gは小径部5bの内径φ5beよりも小さいため、圧入部25dが筒状体5の小径部5bに達するまで、固定鉄心25は圧入荷重(押し込み荷重)なしで筒状体5の内側に挿入される。
圧入部25dが筒状体5の小径部5bに達した後、固定鉄心25は圧入荷重を受けて筒状体5の内側に挿入される。このとき、固定鉄心25は基端側端部に圧入荷重を受けるが、基端側端部に鍔部25eが形成されているため、圧入荷重の受圧面の面積を鍔部25eにより大きくすることができる。一方、鍔部25eで圧入荷重の受圧面を構成することにより、基端側小径部25fの肉厚T25fを小さくすることできる。基端側小径部25fの肉厚T25fを小さくすることで、基端側小径部25fの側に漏れる磁束を減らすことができ、磁気効率が向上する。
固定鉄心25は、圧入荷重を受けて筒状体5の内側に挿入される際に、鍔部25eが筒状体5のテーパー部(縮径部)5hに当接することで、筒状体5に対する挿入が規制される。すなわち鍔部25eは、規制部(テーパー部)5hと係合することにより、固定鉄心25の筒状部5への挿入を規制する。テーパー部(縮径部)5hは、固定鉄心25の鍔部25eと係合する筒状体5側の係合部(位置決め部)を構成し、筒状体5に対する固定鉄心25の位置を厳密に決める。このような構成において、固定鉄心25の鍔部25eは、筒状体5側の係合部5hと係合する、固定鉄心25側の係合部を構成する。
上述した様に、本実施例の燃料噴射弁1は、弁体27cおよび可動鉄心27aを有する可動子27と、弁体27cが接離する弁座15bを有する弁座部材15と、可動鉄心27aとの間に磁気吸引力を発生する固定鉄心25と、可動子27、弁座部材15および固定鉄心25を内包する筒状部5と、を備える。そして筒状部5は、固定鉄心25の筒状部5への挿入を所定の位置で規制する規制部(係合部)5hを有する。
本実施例では、筒状体5が固定鉄心25に対する係合部(位置決め部)5hを有することで、筒状体5に対する固定鉄心25の固定位置を厳密に規定することができる。
本実施例では、鍔部25eにより、基端側小径部25fの外周面と筒状体5の内周面との間に異物が入り込むのを防ぐ効果が得られる。鍔部25eがない場合、基端側小径部25fの外周面と筒状体5の内周面との間に、燃料流れの死水域が形成される。そして死水域に入り込んだ異物を除去するための、出荷前の慣らし運転に長い時間を要することになる。
次に、図5を参照して、筒状体5に対する弁座部材15の組み付けについて説明する。図5は、本発明に係る燃料噴射弁の一実施例について、筒状体5に対する弁座部材15の組み付け方法を示す断面図である。
弁座部材15は、外周面15fに大径部(大径外周面)15f1と小径部(小径外周面)15f2とが設けられ、大径部15f1と小径部15f2との間に径方向(中心軸線1xに垂直な方向)に沿う段差部(段差面)15jが設けられている。
一方、筒状体5の小径部5bの内周面5beには、先端側端部に小径部5bの内径φ5beよりも拡径した拡径部(拡径内周面)5iが設けられ、内周面5beと拡径部5iとの間に径方向に沿う段差部(段差面)5jが設けられている。
弁座部材15は、筒状体5の内側に挿入される際に、弁座部材15の段差部15jと筒状体5の段差部5jとが当接することで、筒状体5に対する挿入が規制される。すなわち筒状部5は、弁座部材15の筒状部5への挿入を所定の位置で規制する規制部(段差部)5jを有する。
筒状体5の段差部5jは、弁座部材15の段差部15jと係合する筒状体5側の係合部(位置決め部)を構成し、筒状体5に対する弁座部材15の位置を厳密に決める。このような構成において、弁座部材15の段差部15jは、筒状体5側の係合部5jと係合する、弁座部材15側の係合部を構成する。
本実施例では、筒状体5が弁座部材15に対する係合部(位置決め部)5jを有することで、筒状体5に対する弁座部材15の固定位置を厳密に規定することができる。
本実施例では、固定鉄心25および弁座部材15の、筒状体5に対する固定位置を厳密に規定することができる。
可動子27は、固定鉄心25の下端面25bと弁座部材15の弁座15bとの間で、中心軸線1xに沿う方向に移動する。この場合、固定鉄心25および弁座部材15は、筒状体5に設けられた位置決め部5h,5jを基準にして、位置決めされる。固定鉄心25および弁座部材15に対する2つの位置決め部5h,5jは、1つの部材(筒状体5)に設けられているので、精度よく管理することができる。このため、固定鉄心25の下端面25bと弁座部材15の弁座15bとの間の、中心軸線1xに沿う方向における距離(間隔)L(図2参照)を、筒状体5を基準にして規定することができ、可動子27のストローク(リフト量)を精度よく設定することができる。
次に、図6を参照して、固定鉄心25の組み付け構造の変更例について説明する。図6は、本発明に係る燃料噴射弁の一実施例について、筒状体5に対する固定鉄心25の組み付け構造の変更例を示す断面図である。
本実施例では、筒状体5を径の異なる3つ筒状部5k,5l,5mを含む形状とする。3つ筒状部5k,5l,5mは、それぞれの内径(内周面5ke,5le,5meの直径)φ5ke,φ5le,φ5meが基端側から先端側に向かって順次、大きくなる。すなわち筒状体5は、燃料噴射弁1の基端側から先端側に向かって順次、径の大きくなる3つ筒状部5k,5l,5mを有し、筒状部5k,5l,5mは、内径φ5ke,φ5le,φ5meがφ5ke<φ5le<φ5meの関係を有する。
この場合、筒状部5kは基端側小径部を構成し、筒状部5mは先端側大径部を構成し、筒状部5lは基端側小径部5kと先端側大径部5mとの間の中間径部を構成する。すなわち、最も燃料噴射弁1の基端側に設けられる筒状部5kは基端側小径部を構成し、最も燃料噴射弁1の先端側に設けられる筒状部5mは先端側大径部を構成し、基端側小径部5kと先端側大径部5mとの間に設けられる筒状部5lは中間径部を構成する。
また固定鉄心25には、鍔部25eが設けられていない。
本例では、固定鉄心25は先端側大径部5mの側から基端側小径部5kの側に向けて筒状体5の内側に挿入される。固定鉄心25の圧入部25dは筒状体5の中間径部5lの内周面5leに圧入される。固定鉄心25は、先端側から筒状体5の内側に挿入される際に、圧入部25dが筒状体5の中間径部5lに達するまで、圧入荷重(押し込み荷重)なしで筒状体5の内側に挿入される。圧入部25dが筒状体5の中間径部5lに達した後、固定鉄心25は圧入荷重を受けて筒状体5の内側に挿入される。
本例では、固定鉄心25の基端側小径部25fと圧入部25dとの間に、テーパー部25nが構成される。テーパー部25nは先端側から基端側に向かって径が次第に小さくなるテーパー部(縮径部)である。一方、筒状体5は、中間径部5lと基端側小径部5kとの間に、テーパー部5nが構成される。テーパー部5nは先端側から基端側に向かって径が次第に小さくなるテーパー部(縮径部)である。
固定鉄心25は、圧入荷重を受けて筒状体5の内側に挿入される際に、テーパー部25nが筒状体5のテーパー部5nに当接することで、筒状体5に対する挿入が規制される。テーパー部5nは、固定鉄心25のテーパー部25nと係合する筒状体5側の係合部(位置決め部)を構成し、筒状体5に対する固定鉄心25の位置を厳密に決める。このような構成において、固定鉄心25のテーパー部25nは、筒状体5側の係合部5nと係合する、固定鉄心25側の係合部を構成する。
すなわち固定鉄心25は、筒状部5の中間径部5lの内周面5leに圧入される圧入部25dを有すると共に、圧入部25dに対して燃料噴射弁1の基端側に、規制部(テーパー部)5nと係合する、固定鉄心25の側の係合部(テーパー部)25nを有する。
本実施例では、筒状体5が固定鉄心25に対する係合部(位置決め部)5nを有することで、筒状体5に対する固定鉄心25の固定位置を厳密に規定することができる。
図7を参照して、本発明に係る燃料噴射弁を搭載した内燃機関について説明する。図9は、燃料噴射弁1が搭載された内燃機関の断面図である。
内燃機関100のエンジンブロック101にはシリンダ102が形成されおり、シリンダ102の頂部に吸気口103と排気口104とが設けられている。吸気口103には、吸気口103を開閉する吸気弁105が、また排気口104には排気口104を開閉する排気弁106が設けられている。エンジンブロック101に形成され、吸気口103に連通する吸気流路107の入口側端部107aには吸気管108が接続されている。
燃料噴射弁1の燃料供給口2(図1参照)には燃料配管110が接続される。
吸気管108には燃料噴射弁1の取付け部109が形成されており、取付け部109に燃料噴射弁1を挿入する挿入口109aが形成されている。挿入口109aは吸気管108の内壁面(吸気流路)まで貫通しており、挿入口109aに挿入された燃料噴射弁1から噴射された燃料は吸気流路内に噴射される。二方向噴霧の場合、エンジンブロック101に吸気口103が二つ設けられた形態の内燃機関を対象として、それぞれの燃料噴霧が各吸気口103(吸気弁105)を指向して噴射される。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、一部の構成の削除や、記載されていない他の構成の追加が可能である。
1…燃料噴射弁、1x…中心軸線、5…筒状部、5be…筒状部5の内周面、5h…規制部(テーパー部)、5j…規制部(段差部)、5k,5l,5m…3つ筒状部(5k…基端側小径部、5l…中間径部、5m…先端側大径部)、5le…中間径部5lの内周面、5n…規制部(テーパー部)、15…弁座部材、15b…弁座、25…固定鉄心、25d…圧入部、25e…鍔部、25n…固定鉄心25の側の係合部(テーパー部)、27…可動子、27a…可動鉄心、27c…弁体、φ25d…圧入部25dの外径、φ25f…基端側小径部25fの外径。
Claims (7)
- 弁体および可動鉄心を有する可動子と、前記弁体が接離する弁座を有する弁座部材と、前記可動鉄心との間に磁気吸引力を発生する固定鉄心と、前記可動子、前記弁座部材および前記固定鉄心を内包する筒状体と、を備え、
前記筒状体は、前記固定鉄心の前記筒状体への挿入を所定の位置で規制する規制部を有する燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁であって、
前記固定鉄心は、当該燃料噴射弁の基端側に設けられ、前記固定鉄心の外周面から径方向外側に突出した鍔部を有し、
前記鍔部は、前記規制部と係合することにより、前記固定鉄心の前記筒状体への挿入を規制する燃料噴射弁。 - 請求項2に記載の燃料噴射弁であって、
前記固定鉄心は、前記筒状体の内周面に圧入される圧入部を有すると共に、前記圧入部に対して当該燃料噴射弁の基端側に、前記圧入部の外径よりも小さい外径の基端側小径部を有する燃料噴射弁。 - 請求項3に記載の燃料噴射弁であって、
前記筒状体は、前記弁座部材の前記筒状体への挿入を所定の位置で規制する規制部を有する燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁であって、
前記筒状体は、当該燃料噴射弁の基端側から先端側に向かって順次、径の大きくなる3つ筒状部を有し、
最も基端側に設けられる筒状部は基端側小径部を構成し、最も先端側に設けられる筒状部は先端側大径部を構成し、前記基端側小径部と前記先端側大径部との間に設けられる筒状部は中間径部を構成し、
前記固定鉄心は、前記筒状部の前記中間径部の内周面に圧入される圧入部を有すると共に、前記圧入部に対して当該燃料噴射弁の基端側に、前記規制部と係合する前記固定鉄心の側の係合部を有する燃料噴射弁。 - 請求項5に記載の燃料噴射弁であって、
前記固定鉄心は、前記先端側大径部の側から前記基端側小径部の側に向けて前記筒状体の内側に挿入される燃料噴射弁。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃料噴射弁を備えた内燃機関。
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