JP2023035346A - 燃料噴射弁およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、弁座に発生する歪みを抑制する環状溝の形状を、弁座に発生する歪みの抑制に好適な形状とすることで、弁体と弁座とが当接するシール部の油密性能の低下を抑制した燃料噴射弁を提供することにある。【解決手段】弁座部材15は、溶接部19を有すると共に、内周面から径方向に窪み、中心軸線方向において弁座15bと溶接部19との間に形成された環状溝15rを有する。環状溝15rは、中心軸線方向において中心軸線に対して傾斜した環状傾斜面部15r2を有する。溶接部19の位置と環状傾斜面部15r2との間に形成される弁座部材15の肉厚であって、径方向において溶接部19が設けられた側の第1肉厚Taが、溶接部19が設けられた側とは反対側の第2肉厚Tbよりも大きくなるように、環状傾斜面部15r2が傾斜して設けられる。【選択図】図4
Description
本発明は、燃料を噴射する燃料噴射弁およびその製造方法に関する。
特許文献1の燃料噴射弁は、ハウジングパイプと、ハウジングパイプ内を軸方向に往復可能な弁体と、弁体が着座する弁座を持つ底壁と底壁の周縁から立設されハウジングパイプとの間に熱接合部を形成する側壁とを備えるボディバルブと、を有し、ハウジングパイプとバルブボディとを接合する前に、予め熱接合部と弁座との間に接合熱による熱変形を吸収する熱変形吸収空間を設けている(要約参照)。
特許文献1の燃料噴射弁は、溶接部の歪みに連動して弁座に発生する歪みを、断面コ字状の環状溝で抑制するものであるが、環状溝の形状について断面をコ字状にすることが説明されているだけで、弁座に発生する歪みを抑制するのに効果的な環状溝の形状については配慮がない。
本発明の目的は、弁座に発生する歪みを抑制する環状溝の形状を、弁座に発生する歪みの抑制に好適な形状とすることで、弁体と弁座とが当接するシール部の油密性能の低下を抑制した燃料噴射弁およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の燃料噴射弁は、
協働して燃料通路を開閉する弁座及び弁体と、前記弁座が形成された弁座部材と、先端側の端部に前記弁座部材が組み付けられた筒状体と、を備え、
前記弁座部材は、当該弁座部材の外周面に前記筒状体と溶接された溶接部を有すると共に、当該弁座部材の外周面又は内周面から径方向に窪み、燃料噴射弁の中心軸線に沿う方向において前記弁座の位置と前記溶接部の位置との間に形成された環状溝を有し、
前記環状溝は、前記中心軸線に沿う方向において前記中心軸線に対して傾斜した環状傾斜面部と、を有し、
前記環状傾斜面部は、前記中心軸線に沿う方向において前記溶接部が設けられた側に位置し、
前記溶接部の位置と当該環状傾斜面部との間に形成される前記弁座部材の肉厚であって、径方向において前記溶接部が設けられた側の第1肉厚が、前記溶接部が設けられた側とは反対側の第2肉厚よりも大きくなるように、前記環状傾斜面部が傾斜して設けられる。
協働して燃料通路を開閉する弁座及び弁体と、前記弁座が形成された弁座部材と、先端側の端部に前記弁座部材が組み付けられた筒状体と、を備え、
前記弁座部材は、当該弁座部材の外周面に前記筒状体と溶接された溶接部を有すると共に、当該弁座部材の外周面又は内周面から径方向に窪み、燃料噴射弁の中心軸線に沿う方向において前記弁座の位置と前記溶接部の位置との間に形成された環状溝を有し、
前記環状溝は、前記中心軸線に沿う方向において前記中心軸線に対して傾斜した環状傾斜面部と、を有し、
前記環状傾斜面部は、前記中心軸線に沿う方向において前記溶接部が設けられた側に位置し、
前記溶接部の位置と当該環状傾斜面部との間に形成される前記弁座部材の肉厚であって、径方向において前記溶接部が設けられた側の第1肉厚が、前記溶接部が設けられた側とは反対側の第2肉厚よりも大きくなるように、前記環状傾斜面部が傾斜して設けられる。
また上記目的を達成するために、本発明の燃料噴射弁の製造方法は、
協働して燃料通路を開閉する弁座及び弁体と、前記弁座が形成された弁座部材と、先端側の端部に前記弁座部材が組み付けられた筒状体と、を備え、
前記弁座部材は、当該弁座部材の外周面に前記筒状体と溶接された溶接部を有すると共に、当該弁座部材の外周面又は内周面から径方向に窪み、燃料噴射弁の中心軸線に沿う方向において前記弁座の位置と前記溶接部の位置との間に形成された環状溝を有する燃料噴射弁の製造方法であって、
前記環状溝を挟んで前記中心軸線に沿う方向の両側に第1円筒面および第2円筒面を、前記第1円筒面に対して前記第2円筒面が前記弁座の側とは反対側に位置するように切削加工し、
前記第2円筒面の直径を前記第1円筒面の直径よりも大きく加工すると共に、
前記環状溝を、前記中心軸線に対して垂直な環状平面部と、前記中心軸線に沿う方向において前記中心軸線に対して傾斜した環状傾斜面部と、を有するように、且つ前記環状傾斜面部が前記中心軸線に沿う方向において前記溶接部が設けられた側に位置するように、加工すると共に、
前記溶接部の位置と当該環状傾斜面部との間に形成される前記弁座部材の肉厚であって、径方向において前記溶接部が設けられた側の第1肉厚が、前記溶接部が設けられた側とは反対側の第2肉厚よりも大きくなるように、前記環状溝傾斜面部を傾斜させて加工する。
協働して燃料通路を開閉する弁座及び弁体と、前記弁座が形成された弁座部材と、先端側の端部に前記弁座部材が組み付けられた筒状体と、を備え、
前記弁座部材は、当該弁座部材の外周面に前記筒状体と溶接された溶接部を有すると共に、当該弁座部材の外周面又は内周面から径方向に窪み、燃料噴射弁の中心軸線に沿う方向において前記弁座の位置と前記溶接部の位置との間に形成された環状溝を有する燃料噴射弁の製造方法であって、
前記環状溝を挟んで前記中心軸線に沿う方向の両側に第1円筒面および第2円筒面を、前記第1円筒面に対して前記第2円筒面が前記弁座の側とは反対側に位置するように切削加工し、
前記第2円筒面の直径を前記第1円筒面の直径よりも大きく加工すると共に、
前記環状溝を、前記中心軸線に対して垂直な環状平面部と、前記中心軸線に沿う方向において前記中心軸線に対して傾斜した環状傾斜面部と、を有するように、且つ前記環状傾斜面部が前記中心軸線に沿う方向において前記溶接部が設けられた側に位置するように、加工すると共に、
前記溶接部の位置と当該環状傾斜面部との間に形成される前記弁座部材の肉厚であって、径方向において前記溶接部が設けられた側の第1肉厚が、前記溶接部が設けられた側とは反対側の第2肉厚よりも大きくなるように、前記環状溝傾斜面部を傾斜させて加工する。
本発明によれば、弁座に発生する歪みを抑制する環状溝の形状を、弁座に発生する歪みの抑制に好適な形状とすることができ、弁体と弁座とが当接するシール部の油密性能の低下を抑制した燃料噴射弁およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る燃料噴射弁1の実施例について説明する。
[実施例1]
図1を参照して、燃料噴射弁1の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る燃料噴射弁の一実施例について、弁軸心(中心軸線)に沿う断面を示す断面図である。なお、中心軸線1xは、弁体27c、ロッド部(接続部)27b及び可動鉄心27aが一体に設けられた可動子27の軸心(弁軸心)27xに一致し、筒状体5及び弁座部材15の中心軸線に一致している。
図1を参照して、燃料噴射弁1の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る燃料噴射弁の一実施例について、弁軸心(中心軸線)に沿う断面を示す断面図である。なお、中心軸線1xは、弁体27c、ロッド部(接続部)27b及び可動鉄心27aが一体に設けられた可動子27の軸心(弁軸心)27xに一致し、筒状体5及び弁座部材15の中心軸線に一致している。
図1において、燃料噴射弁1の上端部(上端側)を基端部(基端側)と呼び、下端部(下端側)を先端部(先端側)と呼ぶ場合がある。基端部(基端側)及び先端部(先端側)という呼び方は、燃料の流れ方向或いは燃料配管に対する燃料噴射弁1の取り付け構造に基づいている。また、本明細書において説明される上下関係は図1を基準とするもので、燃料噴射弁1を内燃機関に搭載した形態における上下方向とは関係がない。
燃料噴射弁1には、金属材製の筒状体(筒状部材)5によって、その内側に燃料流路(燃料通路)3がほぼ中心軸線1xに沿うように構成されている。筒状体5は、磁性を有するステンレス等の金属素材を用い、深絞り加工等のプレス加工により中心軸線1xに沿う方向に段付きの形状に形成されている。これにより、筒状体5は、一端側5aの径が他端側5bの径に対して大きくなっている。
筒状体5の基端部には燃料供給口2が設けられ、この燃料供給口2に、燃料に混入した異物を取り除くための燃料フィルタ13が取り付けられている。
筒状体5の基端部は径方向外側に向けて拡径するように曲げられた鍔部(拡径部)5dが形成され、鍔部5dとカバー47の基端側端部47aとで形成される環状凹部(環状溝部)4にOリング11が配設されている。
筒状体5の先端部には、弁体27cと弁座部材15とからなる弁部7が構成されている。弁座部材15は、筒状体5の先端側内側に挿入され、レーザ溶接19により筒状体5に固定されている。レーザ溶接19は、筒状体5の外周側から全周に亘って実施されている。この場合、弁座部材15を筒状体5の先端側内側に圧入した上で、弁座部材15をレーザ溶接により筒状体5に固定してもよい。
弁座部材15にはノズルプレート21nが固定され、弁座部材15及びノズルプレート21nのノズル部8を構成する。弁座部材15及びノズルプレート21nは、弁座部材15が筒状体5の内周面に挿入されて固定されることにより、筒状体5の先端側に組み付けられている。
本実施例の筒状体5は、燃料供給口2が設けられる部分から弁座部材15及びノズルプレート21nが固定される部分までが一部材で構成されているが、燃料供給口2が設けられる部分(基端側部分)と、弁座部材15及びノズルプレート21nが固定される部分(先端側部分)とを、別部材で構成してもよい。筒状体5の先端側部分はノズル部8を保持するノズルホルダを構成する。本実施例では、ノズルホルダが筒状体5の基端側部分と共に一部材で構成されている。
筒状体5の中間部には弁体27cを駆動するための駆動部9が配置されている。駆動部9は電磁アクチュエータ(電磁駆動部)で構成されている。具体的には、駆動部9は、筒状体5の内部(内周側)に固定された固定鉄心25と、筒状体5の内部において固定鉄心25に対して先端側に配置され、中心軸線1xに沿う方向に移動可能な可動子(可動部材)27と、固定鉄心25と可動子27に構成された可動鉄心27aとが微小ギャップδ1を介して対向する位置で筒状体5の外周側に外挿された電磁コイル29と、電磁コイル29の外周側で電磁コイル29を覆うヨーク33とを備える。
筒状体5の内側には可動子27が収容されており、筒状体5は可動鉄心27aの外周面と対向して可動鉄心27aを囲繞するハウジングを構成している。
可動鉄心27aと固定鉄心25とヨーク33とは、電磁コイル29に通電することにより生じる磁束が流れる閉磁路を構成する。磁束は微小ギャップδ1を通過するが、微小ギャップδ1の部分で筒状体5を流れる漏れ磁束を低減するため、筒状体5の微小ギャップδ1に対応する位置に、非磁性部或いは筒状体5の他の部分よりも弱磁性の弱磁性部5cが設けられている。以下、この非磁性部或いは弱磁性部5cは、単に非磁性部5cと呼んで説明する。非磁性部5cは、筒状体5に対する磁性を有する筒状体5に非磁性化処理を行うことにより形成することができる。このような非磁性化処理は、例えば熱処理によって行うことができる。或いは、筒状体5の外周面に環状凹部を形成することにより非磁性部5cに相当する部分を薄肉化して構成することができる。
電磁コイル29は、樹脂材料で筒状に形成されたボビン31に巻回され、筒状体5の外周側に外挿されている。電磁コイル29はコネクタ41に設けられたターミナル43に電気的に接続されている。コネクタ41には図示しない外部の駆動回路が接続され、ターミナル43を介して、電磁コイル29に駆動電流が通電される。
固定鉄心25は、磁性金属材料からなる。固定鉄心25は筒状に形成され、中心部を中心軸線1xに沿う方向に貫通する貫通孔25aを有する。貫通孔25aは、可動鉄心27aの上流側の燃料通路(上流側燃料通路)3を構成する。固定鉄心25は、筒状体5の小径部5bの基端側に圧入固定され、筒状体5の中間部に位置している。小径部5bの基端側に大径部5aが設けられていることにより、固定鉄心25の組付けが容易になる。固定鉄心25は溶接により筒状体5に固定してもよいし、溶接と圧入を併用して筒状体5に固定してもよい。
可動子27は、可動鉄心27aとロッド部(接続部)27bと弁体27cとで構成される。可動鉄心27aは円環状の部材である。弁体27cは弁座15b(図3参照)と当接する部材である。弁座15b及び弁体27cは協働して燃料通路を開閉する。ロッド部27bは細長い円筒形状であり、可動鉄心27aと弁体27cとを接続する接続部である。可動鉄心27aは、弁体27cと連結され、固定鉄心25との間に作用する磁気吸引力によって、弁体27cを開閉弁方向に駆動するための部材である。
本実施例では、可動鉄心27aとロッド部27bとが固定されているが、可動鉄心27aとロッド部27bとが相対変位可能に連結された構成であってもよい。
本実施例では、ロッド部27bと弁体27cとを別部材で構成し、ロッド部27bに弁体27cを固定している。ロッド部27bと弁体27cとの固定は、溶接により行われる。弁体27cには真球度の高い鋼球が用いられる。
ロッド部27bは円筒形状であり、ロッド部27bの上端が可動鉄心27aの下端部に開口し軸方向に延設された孔27baを有する。ロッド部27bには内側(内周側)と外側(外周側)とを連通する連通孔(開口部)27boが形成されている。ロッド部27bの外周面と筒状体5の内周面との間には燃料室37が形成されている。
固定鉄心25の貫通孔25aにはコイルばね39が設けられている。コイルばね39の一端は、可動鉄心27aの内側に設けられたばね座27agに当接している。コイルばね39の他端部は、固定鉄心25の貫通孔25aの内側に配設されたアジャスタ(調整子)35に当接している。コイルばね39は、可動鉄心27aに設けられたばね座27agとアジャスタ(調整子)35の下端(先端側端面)との間に、圧縮状態で配設されている。
コイルばね39は、弁体27cが弁座15b(図2参照)に当接する方向(閉弁方向)に可動子27を付勢する付勢部材として機能している。中心軸線1xに沿う方向におけるアジャスタ35の位置を貫通孔25a内で調整することにより、コイルばね39による可動子27(すなわち弁体27c)の付勢力が調整される。
アジャスタ35は、中心部を中心軸線1xに沿う方向に貫通する燃料流路3を有する。燃料供給口2から供給された燃料は、アジャスタ35の燃料流路3を流れた後、固定鉄心25の貫通孔25aの先端側部分の燃料流路3に流れ、可動子27内に構成された燃料流路3に流れる。
ヨーク33は、磁性を有する金属材料でできており、燃料噴射弁1のハウジングを兼ねている。ヨーク33は大径部33aと小径部33bとを有する段付きの筒状に形成されている。大径部33aは電磁コイル29の外周を覆って円筒形状を成しており、大径部33aの先端側に大径部33aよりも小径の小径部33bが形成されている。小径部33bは筒状体5の小径部5bの外周に圧入又は挿入されている。これにより、小径部33bの内周面は筒状体5の外周面に緊密に接触している。このとき、小径部33bの内周面の少なくとも一部は、可動鉄心27aの外周面と筒状体5を介して対向しており、この対向部分に形成される磁路の磁気抵抗を小さくしている。
ヨーク33の先端側端部の外周面には周方向に沿って環状凹部33cが形成されている。環状凹部33cの底面に形成された薄肉部において、ヨーク33と筒状体5とがレーザ溶接24により全周に亘って接合されている。
筒状体5の先端部にはフランジ部49aを有する円筒状のプロテクタ49が外挿され、筒状体5の先端部がプロテクタ49によって保護されている。プロテクタ49はヨーク33のレーザ溶接部24の上を覆っている。
プロテクタ49のフランジ部49aと、ヨーク33の小径部33bと、ヨーク33の大径部33aと小径部33bとの段差面とによって環状溝34が形成され、環状溝34にOリング46が外挿されている。Oリング46は、燃料噴射弁1が内燃機関に取り付けられる際に、内燃機関側に形成された挿入口の内周面とヨーク33における小径部33bの外周面との間で液密及び気密を確保するシールとして機能する。
燃料噴射弁1の中間部から基端側端部の近傍までの範囲に、樹脂カバー47がモールドされている。樹脂カバー47の先端側端部はヨーク33の大径部33aの基端側の一部を被覆している。また、樹脂カバー47を形成する樹脂によりコネクタ41が一体的に形成されている。
図2を参照して、可動子27近傍の構成について、詳細に説明する。図2は、図1に示す可動子27の近傍を拡大して示す断面図である。
本実施例では、可動鉄心27aとロッド部27bとが一部材で一体に形成されている。可動鉄心27aの上端面(上端部)27abの中央部には、下端側に向けて窪んだ凹部27aaが形成されている。凹部27aaの底部27agにはばね座が形成され、コイルばね39の一端が底部27agに支持されている。さらに、凹部27aaの底部27agには、ロッド部27bの孔27baの内側に連通する開口部27afが形成されている。開口部27afは、固定鉄心25の貫通孔25aから凹部27aa内の空間27aiに流入した燃料を、ロッド部27bの孔27baの内側の空間27biに流す燃料通路を構成する。
本実施例では、ロッド部27bと可動鉄心27aとを一部材で構成しているが、別々の部材で構成したものを一体に組み付けてもよい。
可動鉄心27aの上端面27abは、固定鉄心25側に位置する端面であり、固定鉄心25の下端面25bと対向する。上端面27abに対して反対側の可動鉄心27aの端面27akは、燃料噴射弁1の先端側(ノズル側)に位置する端面であり、以下、下端面(下端部)と呼ぶ。
上端面27abと固定鉄心25の下端面25bとは、相互に磁気吸引力が作用する磁気吸引面を構成する。
本実施例では、可動鉄心27aの外周面27acに、筒状体5の内周面5eに摺動する摺動部が構成される。この摺動部として、外周面27acには径方向外方に向かって突出する凸部(図示せず)が設けられる。内周面5eは、可動鉄心27aの外周面27acが摺接する上流側ガイド面を構成する。上流側ガイド面5eと可動鉄心27aの外周面27ac(正確には外周面27acに形成した凸部)とは、可動子27の変位を案内する上流側ガイド部50Bを構成する。
一方、弁体27cと弁座部材15との間に、後で詳細に説明する下流側ガイド部50Aが構成され、可動子27は上流側ガイド部50Bと下流側ガイド部50Aとの二点で案内されて、中心軸線1xに沿う方向(開閉弁方向)に往復動作する。
ロッド部27bには、内側(孔27ba)と外側(燃料室37)とを連通する開口部(連通孔)27boが形成されている。連通孔27boは、ロッド部27bの軸方向(中心軸線1x方向)において中央部に配置され、ロッド部27bの内側と外側とを連通する燃料通路を構成する。これにより、固定鉄心25の貫通孔25a内の燃料は、孔27ba及び連通孔27boを通じて燃料室37に流れる。
次に、図3を参照して、ノズル部8の構成ついて、詳細に説明する。図3は、図2に示すノズル部8の近傍を拡大して示す断面図である。
弁座部材15には、中心軸線1xに沿う方向に貫通する貫通孔15d,15c,15v,15eが形成されている。この貫通孔の途中には下流側に向かって縮径する円錐面15vが形成されている。円錐面15v上には弁座15bが構成され、弁体27cが弁座15bに離接することにより、燃料通路の開閉が行われる。なお、弁座15bが形成された円錐面15vを弁座面と呼ぶ場合もある。弁座面15vは、弁座部材15の中間部にテーパ部(下流側テーパ部)を構成する。
なお、弁座15bをシート部と呼んだり、弁座15bと弁体27cの弁座15bと当接する部位とをシート部と呼んだりする場合がある。弁座15bは弁座部材15側のシート部を構成し、弁体27cの弁座15bと当接する部位は弁体27c側のシート部を構成する。また、弁座15bと弁体27cとの相互に当接する当接部は、閉弁時に燃料をシールするシール部を構成する。
貫通孔15d,15c,15v,15eにおける、円錐面15vから上側の孔部分15d,15c,15vは、弁体27cを収容する弁体収容孔を構成する。弁体収容孔15d,15c,15vの内周面に、弁体27cを中心軸線1xに沿う方向に案内するガイド面15cが形成されている。ガイド面15cは上端から下端まで同一径の円筒面により構成され、可動子27を案内する二つのガイド面のうち、下流側に位置するガイド面を構成する。
ガイド面15cとこのガイド面15cに摺接する弁体27cの摺接面(摺動面)27cbとは、可動子27の変位を案内する下流側ガイド部50Aを構成する。
ガイド面15cの上流側には、ガイド面15cから上流側に向かって拡径する拡径部15dが形成されている。拡径部15dは上流側から下流側に向かって縮径するテーパ面により構成され、弁座部材15の入口部にテーパ部(上流側テーパ部)を構成する。拡径部15dおよびガイド面15cは弁座部材15の側壁部15wに構成され、弁座面15vは弁座部材15の底部に構成される。側壁部15wは底部15vの外周部から上流側に向かって立設される。
ガイド面15cと上流側テーパ部15dとの境界部に、ガイド面15cから径方向外側に向かって窪む環状溝15rが形成されている。環状溝15rについては、後で詳細に説明する。
弁体収容孔15d,15c,15vの下端部は燃料導入孔15eに接続され、燃料導入孔15eの下端部が弁座部材15の先端面15tに開口している。すなわち燃料導入孔15eは、弁座部材15の底部15vを貫通して底部15vに開口を形成する。
弁座部材15の先端面15tには、ノズルプレート21nが取り付けられている。ノズルプレート21nは弁座部材15にレーザ溶接23により固定されている。レーザ溶接部23は、燃料噴射孔110が形成された噴射孔形成領域を取り囲むようにして、この噴射孔形成領域の周囲を一周している。
また、ノズルプレート21nは板厚が均一な板状部材(平板)で構成されており、中央部に外方に向けて突き出すように突状部21naが形成されている。突状部21naは曲面(例えば球状面)で形成されている。突状部21naの内側には燃料室21aが形成されている。この燃料室21aは弁座部材15に形成された燃料導入孔15eに連通しており、燃料導入孔15eを通じて燃料室21aに燃料が供給される。
突状部21naには複数の燃料噴射孔50が形成されている。燃料噴射孔50の形態は特に問わない。燃料噴射孔50の上流側に燃料に旋回力を付与する旋回室を有するものであってもよい。燃料噴射孔の中心軸線50aは燃料噴射弁1の中心軸線1xに対して平行であってもよいし、傾斜していてもよい。また、突状部21naが無い構成であってもよい。
燃料噴霧の形態を決定する燃料噴射部21はノズルプレート21nによって構成される。弁座部材15と燃料噴射部21とは、燃料噴射を行うためのノズル部8を構成している。弁体27cはノズル部8を構成する構成要素の一部とみなしてもよい。
また本実施例では、弁体27cは、球状を成すボール弁を用いている。このため、弁体27cにおけるガイド面15cと対向する部位には、周方向に間隔を置いて複数の切欠き面27caが設けられ、この切欠き面27caによってシート部に燃料を供給する燃料通路が構成されている。
本実施例では、弁座部材15を筒状体5の先端部の内周面に5eに圧入した後、弁座部材15と筒状体5とを溶接(溶接部19)により固定する。この溶接時の溶接熱により発生する応力により、弁座15bに変形(歪み)が生じることがある。弁座15bに変形が生じると、弁座15b側のシート部において真円度が悪化し、閉弁時におけるシート部のシール性能が低下する可能性がある。
このとき何もしなければ、弁座部材15では、溶接による熱ひずみの発生により弁座15bが変形し、弁座15bの真円度が悪化する。
そこで本実施例では、弁座部材15の溶接時に発生する応力を吸収し、弁座15bに発生する歪みを抑制する応力吸収部(歪み吸収部)を設ける。以下、図3と共に図4を用いて、応力吸収部について説明する。図4は、図3の弁座部材15の環状溝15rの近傍を拡大して示す拡大断面図である。
図3に示すように、本実施例の応力吸収部は、弁座部材15の側壁部15wの内周側から外周側に向かって掘り下げられるように形成された環状溝15rにより構成される。環状溝15rは弁座部材15の内周面の全周に形成されている。
環状溝15rは、中心軸線1xに対して垂直な環状平面部15r1と、中心軸線1xに対して傾斜した環状傾斜面部15r2と、を有して構成される。環状平面部15r1は、環状を成す平面で構成される。環状傾斜面部15r2は、下端部から上端部まで径が直線状に縮径する環状のテーパ面(環状テーパ面)で構成される。
環状溝15rは、中心軸線1xに沿う方向において、溶接部19の位置よりも弁座15bの位置側、すなわち燃料噴射弁1の先端側に設けられる。本実施例では、環状傾斜面部15r2を含む環状溝15rの全体が、中心軸線1xに沿う方向において、溶接部19の位置よりもよりも弁座15bの位置側、すなわち燃料噴射弁1の先端側に位置する。環状溝15rの上端縁は溶接部19よりも間隔L1を置いて下方にあり、環状溝15rの下端縁は溶接部19よりも間隔(L1+L2)を置いて下方にある。ここで、溶接部19の位置は溶接幅の中心を基準とし、L2は環状溝15rの幅(中心軸線1xに沿う方向の長さ)である。
本実施例では、溶接熱により溶接部19の近傍に生じる変形(歪み)を環状溝15rにより吸収することができる。すなわち、環状平面部15r1近傍の径方向外側に形成される薄肉部P1の剛性は小さくなっており、溶接部19の近傍に生じる変形(歪み)は低剛性の薄肉部P1により吸収される。これにより本実施例では、弁座部材15の溶接時に発生する熱変形(熱ひずみ)によるシート部の真円度の悪化を抑制することができ、シート部の油密性能を向上させることができる。
さらに本実施例では、環状溝15rが環状平面部15r1と環状傾斜面部15r2とを含んで形成され、環状傾斜面部15r2は環状平面部15r1に対して溶接部19の設けられる側に配置されている。ここで、環状傾斜面部15r2上で径方向に離れた2点A1(第1点),B1(第2点)を設定する。点A1は、径方向において、点B1の位置に対して溶接部19の側に設定される点である。一方、点B1は、径方向において、点A1の位置に対して溶接部19から離れる側に設定される点である。言い換えれば、点A1は径方向において点B1の位置に対して外周側に設定される点であり、点B1は径方向において点A1の位置に対して内周側に設定される点である。
さらに、2点A1,B1に対応する2点A2(第3点),B2(第4点)を設定する。点A2は径方向において点A1の位置と同じ位置にあり、中心軸線1xに沿う方向において溶接部19の位置と同じ位置にある。一方、点B2は径方向において点B1の位置と同じ位置にあり、中心軸線1xに沿う方向において溶接部19の位置と同じ位置にある。
なお、A1,B1,A2,B2は、径方向において環状傾斜面部15r2が設けられる範囲L15rの内側にあり、且つ中心軸線1xに沿う方向において溶接部19の位置と環状傾斜面部15r2の下端縁との間の範囲L1の内側にある。
本実施例では、環状傾斜面部15r2は、A1とA2との間の距離TaがB1とB2との間の距離Tbよりも大きくなるように傾斜する。この場合、A1とA2との間の距離TaはA1とA2との間に形成される側壁部15wの肉厚となり、B1とB2との間の距離TbはB1とB2との間に形成される側壁部15wの肉厚となる。すなわち本実施例では、A1とA2との間に形成される側壁部15wの肉厚Taは、B1とB2との間に形成される側壁部15wの肉厚Tbよりも大きくなるように(Ta>Tb)、環状溝15rが形成される。ここで肉厚Taは径方向における溶接部19の側(外周側)の肉厚であり、肉厚Tbは径方向における溶接部19の側とは反対側(内周側)の肉厚である。
すなわち本実施例では、
中心軸線1xに平行で且つ中心軸線1xを含む断面上において、
環状傾斜面部15r2の上で径方向に離れた第1点A1および第2点B1と、
径方向において第1点A1の位置と同じ位置にあり、中心軸線1xに沿う方向において溶接部19の位置と同じ位置にある第3点A2と、
径方向において第2点B1の位置と同じ位置にあり、中心軸線1xに沿う方向において溶接部19の位置と同じ位置にある第4点B2と、
を仮想した場合に、
第1点A1の位置は第2点B2の位置よりも径方向において溶接部19が設けられた側に位置し、
環状溝15rは、第1点A1と第3点A2との間に形成される側壁部15wの第1肉厚Taが、第2点B1と第4点B2との間に形成される側壁部15wの第2肉厚Tbよりも大きくなるように形成される。
中心軸線1xに平行で且つ中心軸線1xを含む断面上において、
環状傾斜面部15r2の上で径方向に離れた第1点A1および第2点B1と、
径方向において第1点A1の位置と同じ位置にあり、中心軸線1xに沿う方向において溶接部19の位置と同じ位置にある第3点A2と、
径方向において第2点B1の位置と同じ位置にあり、中心軸線1xに沿う方向において溶接部19の位置と同じ位置にある第4点B2と、
を仮想した場合に、
第1点A1の位置は第2点B2の位置よりも径方向において溶接部19が設けられた側に位置し、
環状溝15rは、第1点A1と第3点A2との間に形成される側壁部15wの第1肉厚Taが、第2点B1と第4点B2との間に形成される側壁部15wの第2肉厚Tbよりも大きくなるように形成される。
本実施例によれば、環状傾斜面部15r2は、中心軸線1xに沿う方向において溶接部19の位置と環状傾斜面部15r2との間に形成される弁座部材15の肉厚であって、径方向において溶接部19が設けられた側の第1肉厚Taが、溶接部19が設けられた側とは反対側の第2肉厚Tbよりも大きくなるように、傾斜して設けられる。この場合、環状傾斜面部15r2は、外周側が内周側よりも弁座15bの側に位置するように傾斜して設けられる。
肉厚Taを肉厚Tbよりも厚肉に構成することで、径方向において溶接部19の側(外周側)に存在し、且つ中心軸線1xに沿う方向において溶接部19と環状傾斜面部15r2の下端縁との間に存在する側壁部15w部分の剛性を高めることができ、この部分における、溶接部19近傍の熱変形(熱ひずみ)による変形を抑制することができる。そして、熱変形によるシート部(弁座)の真円度の悪化を抑制することができ、シート部の油密性能を向上させることができる。
また肉厚Taを肉厚Tbよりも厚肉に構成することで、径方向において溶接部19の側(外周側)に存在し、且つ中心軸線1xに沿う方向において溶接部19と環状傾斜面部15r2の下端縁との間に存在する側壁部15w部分の熱容量を大きくすることができ、溶接熱による熱変形を抑制する効果が得られる。
また本実施例では、環状傾斜面部15r2が単純なテーパ面で構成されることで、その加工が容易であり、弁座部材15の加工性が向上する。
次に、図5を用いて、環状溝15rの変更例(第1変更例)を説明する。図5は、環状溝15rの変更例(第1変更例)を示す断面図である。本例では、第1実施例と異なる構成について説明する。
本例では、環状溝15rの環状傾斜面部15r2を、図5の断面上(中心軸線1xに平行で、且つ中心軸線1xを含む断面上)において、径方向外側(溝外側)に凸となる曲線を描く曲面で構成したものである。このような曲線の一例として円弧があり、本例の環状溝15rの環状傾斜面部15r2は円弧断面が周方向に連続した、径方向外側(溝外側)に凸となる環状円弧面で構成される。
本例では、図4の構成と比べて、径方向における溶接部19の側(外周側)の肉厚Taが小さくなるが、環状溝15rの断面を矩形状にした場合と比べると、肉厚Taを大きくすることができる。
その他の構成は第1実施例と同様である。
次に、図6を用いて、環状溝15rの変更例(第2変更例)を説明する。図6は、環状溝15rの変更例(第2変更例)を示す断面図である。本例では、第1実施例と異なる構成について説明する。
本例では、環状溝15rの環状傾斜面部15r2を、図5の断面上(中心軸線1xに平行で、且つ中心軸線1xを含む断面上)において、径方向内側(溝内側)に凸となる曲線を描く曲面で構成したものである。このような曲線の一例として円弧があり、本例の環状溝15rの環状傾斜面部15r2は円弧断面が周方向に連続した、径方向内側(溝内側)に凸となる環状円弧面で構成される。
本例では、図4の構成と比べて、環状傾斜面部15r2に対して溶接部19の側の側壁部15wの部分P2の肉厚が厚くすることができる。
その他の構成は第1実施例と同様である。
次に、燃料噴射弁1の製造方法について説明する。
本実施例では、環状溝15rを挟んで中心軸線1xに沿う方向の両側に第1円筒面15cおよび第2円筒面15d2を、第1円筒面15cに対して第2円筒面15d2が弁座15bの側とは反対側に位置するように切削加工し、
第2円筒面15d2の直径φ15d2を第1円筒面15cの直径φ15cよりも大きく加工する。
第2円筒面15d2の直径φ15d2を第1円筒面15cの直径φ15cよりも大きく加工する。
この場合、環状溝15rを、中心軸線1xに対して垂直な環状平面部15r1と、中心軸線1xに沿う方向において中心軸線1xに対して傾斜した環状傾斜面部15r2と、を有するように、且つ環状傾斜面部15r2が中心軸線1xに沿う方向において溶接部19が設けられた側に位置するように、加工すると共に、
溶接部19の位置と環状傾斜面部15r2との間に形成される弁座部材15の肉厚であって、径方向において溶接部19が設けられた側の第1肉厚Taが、溶接部19が設けられた側とは反対側の第2肉厚Tbよりも大きくなるように、環状溝傾斜面部15r2を傾斜させて加工する。
溶接部19の位置と環状傾斜面部15r2との間に形成される弁座部材15の肉厚であって、径方向において溶接部19が設けられた側の第1肉厚Taが、溶接部19が設けられた側とは反対側の第2肉厚Tbよりも大きくなるように、環状溝傾斜面部15r2を傾斜させて加工する。
本実施例の燃料噴射弁1の製造方法によれば、弁座部材15の加工性が向上し、燃料噴射弁1の生産性が向上する。
[実施例2]
次に、図7および図8を用いて、弁座部材15の第2実施例を説明する。図7は、弁座部材15の第2実施例を示す断面図である。図8は、弁座部材15の加工方法の一実施例を示す図である。本例では、第1実施例と異なる構成について説明する。
次に、図7および図8を用いて、弁座部材15の第2実施例を説明する。図7は、弁座部材15の第2実施例を示す断面図である。図8は、弁座部材15の加工方法の一実施例を示す図である。本例では、第1実施例と異なる構成について説明する。
図7に示すように、本実施例では、第1実施例の弁座部材15の入口部に形成されたテーパ部(上流側テーパ部)15dが、上流側のテーパ部15d1と下流側の円筒面部15d2とで構成されている。この場合、ガイド面15cが第1円筒面となり、円筒面部15d2は第1円筒面15cの上流側(弁座15bの側とは反対側)に設けられる第2円筒面となる。第1円筒面15cと第2円筒面15d2とは、環状溝15rを挟んで中心軸線1xに沿う方向の両側に設けられる。
第1円筒面15cと第2円筒面との間に環状溝15rが設けられている。本実施例では、環状溝15rは図3および図4で説明した構成のものを用いているが、第1変更例或いは第2変更例で説明した構成のものを用いてもよい。
第2円筒面の直径(内径)φ15d2は第1円筒面15cの直径(内径)φ15cよりも大きく、第1円筒面15cと第2円筒面との間に径方向の間隔L3が設けられている。
図7では、第1実施例のテーパ部15dを点線(15d)で示す。本実施例では第2円筒面15d2が設けられていることで、この第2円筒面15d2が第1実施例のテーパ部15dに対して径方向内側に膨出する形状となる。このため、環状溝15rの上流側の側壁部15wの肉厚を厚くすることができ、溶接部19が設けられる側壁部15wの剛性を高めることができる。これにより、溶接部19が設けられる側壁部15wの熱変形を抑制することができる。そして、側壁部15wの熱変形によるシート部の真円度の悪化を抑制することができ、シート部の油密性能を向上させることができる。
図8に示すように、弁座部材15の第1円筒面15cおよび弁座面15vは、切削ツールToolで切削加工される。第1円筒面15cおよび弁座面15vの切削加工は、第2円筒面15d2を切削加工した後に、行われる。本実施例では、第2円筒面の直径(内径)φ15d2は第1円筒面15cの直径(内径)φ15cよりも大きく、第1円筒面15cと第2円筒面15d2との間にL3の間隔が設けられているため、第1円筒面15cの切削加工時に、環状溝15rと第2円筒面15d2との間の角部15qに切削ツールToolが触れないようにすることができる。これにより、角部15qでのバリの発生を抑制することができる。
その他の構成は第1実施例と同様である。また、環状溝15rは、図5または図6に示したような形状としてもよい。
[実施例3]
次に、図9を用いて、弁座部材15の第3実施例を説明する。図9は、弁座部材15の第3実施例を示す断面図である。
次に、図9を用いて、弁座部材15の第3実施例を説明する。図9は、弁座部材15の第3実施例を示す断面図である。
図9に示すように、環状溝15rは弁座部材15の外周面から径方向内側に窪んだ溝形状として形成してもよい。この場合も、環状傾斜面部15r2は図4に図示したのと同じ傾斜方向に傾斜する必要があり、環状溝15rは図9に示すような形状になる。
その他の構成は第1実施例と同様である。また、環状溝15rは、図5または図6に示したような形状としてもよい。
[実施例4]
図10を参照して、本発明に係る燃料噴射弁を搭載した内燃機関について説明する。図10は、燃料噴射弁1が搭載された内燃機関の断面図である。
図10を参照して、本発明に係る燃料噴射弁を搭載した内燃機関について説明する。図10は、燃料噴射弁1が搭載された内燃機関の断面図である。
内燃機関100のエンジンブロック101にはシリンダ102が形成されおり、シリンダ102の頂部に吸気口103と排気口104とが設けられている。吸気口103には、吸気口103を開閉する吸気弁105が、また排気口104には排気口104を開閉する排気弁106が設けられている。エンジンブロック101に形成され、吸気口103に連通する吸気流路107の入口側端部107aには吸気管108が接続されている。
燃料噴射弁1の燃料供給口2(図1参照)には燃料配管110が接続される。
吸気管108には燃料噴射弁1の取付け部109が形成されており、取付け部109に燃料噴射弁1を挿入する挿入口109aが形成されている。挿入口109aは吸気管108の内壁面(吸気流路)まで貫通しており、挿入口109aに挿入された燃料噴射弁1から噴射された燃料は吸気流路内に噴射される。二方向噴霧の場合、エンジンブロック101に吸気口103が二つ設けられた形態の内燃機関を対象として、それぞれの燃料噴霧が各吸気口103(吸気弁105)を指向して噴射される。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、一部の構成の削除や、記載されていない他の構成の追加が可能である。
1…燃料噴射弁、1x…中心軸線、5…筒状体(ハウジング)、15…弁座部材、15b…弁座、15c…第1円筒面(ガイド面)、15d2…第2円筒面、15r…環状溝、15r1…環状平面部、15r2…環状傾斜面部、15w…弁座部材の側壁部、19…溶接部、27c…弁体、Ta…第1肉厚、Tb…第2肉厚、A1…第1点、A2…第3点、B1…第2点、B2…第4点、φ15c…第1円筒面15cの直径、φ15d2…第2円筒面15d2の直径。
Claims (11)
- 協働して燃料通路を開閉する弁座及び弁体と、前記弁座が形成された弁座部材と、先端側の端部に前記弁座部材が組み付けられた筒状体と、を備え、
前記弁座部材は、当該弁座部材の外周面に前記筒状体と溶接された溶接部を有すると共に、当該弁座部材の外周面又は内周面から径方向に窪み、燃料噴射弁の中心軸線に沿う方向において前記弁座の位置と前記溶接部の位置との間に形成された環状溝を有し、
前記環状溝は、前記中心軸線に沿う方向において前記中心軸線に対して傾斜した環状傾斜面部を有し、
前記環状傾斜面部は、前記中心軸線に沿う方向において前記溶接部が設けられた側に位置し、
前記溶接部の位置と当該環状傾斜面部との間に形成される前記弁座部材の肉厚であって、径方向において前記溶接部が設けられた側の第1肉厚が、前記溶接部が設けられた側とは反対側の第2肉厚よりも大きくなるように、前記環状傾斜面部が傾斜して設けられる燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁であって、
前記環状溝は、前記弁座部材の内周面から径方向外側に窪む形状に形成され、
前記環状傾斜面部は、外周側が内周側よりも前記弁座の側に位置するように傾斜して設けられる燃料噴射弁。 - 請求項2に記載の燃料噴射弁であって、
前記環状溝は、前記中心軸線に対して垂直な環状平面部を有する燃料噴射弁。 - 請求項3記載の燃料噴射弁であって、
前記環状傾斜面部は、下端部から上端部まで径が直線状に縮径する環状テーパ面で構成される燃料噴射弁。 - 請求項3記載の燃料噴射弁であって、
前記環状傾斜面部は、前記環状溝の外側に凸となる環状円弧面で構成される燃料噴射弁。 - 請求項3記載の燃料噴射弁であって、
前記環状傾斜面部は、前記環状溝の内側に凸となる環状円弧面で構成される燃料噴射弁。 - 請求項3記載の燃料噴射弁であって、
前記弁座部材は、前記環状溝を挟んで前記中心軸線に沿う方向の両側に第1円筒面と第2円筒面と、を有する燃料噴射弁。 - 請求項7記載の燃料噴射弁であって、
前記第1円筒面は前記弁体をガイドするガイド面を構成し、
前記第2円筒面は前記第1円筒面に対して上流側に配置される燃料噴射弁。 - 請求項8記載の燃料噴射弁であって、
前記第2円筒面の直径は前記第1円筒面の直径よりも大きく、前記第1円筒面と前記第2円筒面との間に径方向の間隔が設けられている燃料噴射弁。 - 協働して燃料通路を開閉する弁座及び弁体と、前記弁座が形成された弁座部材と、先端側の端部に前記弁座部材が組み付けられた筒状体と、を備え、
前記弁座部材は、当該弁座部材の外周面に設けられた前記筒状体との溶接部と、
前記弁座が設けられる底部と、前記底部から上流側に向かって立設される側壁部と、当該弁座部材の外周面又は内周面から径方向に窪み燃料噴射弁の中心軸線に沿う方向において前記弁座の位置と前記溶接部の位置との間に形成される環状溝と、を有し、
前記環状溝は、前記中心軸線に対して垂直な環状平面部と、前記中心軸線に沿う方向において前記中心軸線に対して傾斜した環状傾斜面部と、を有し、
前記中心軸線に平行で且つ前記中心軸線を含む断面上において、
前記環状傾斜面部の上で径方向に離れた第1点および第2点と、
径方向において前記第1点の位置と同じ位置にあり、前記中心軸線に沿う方向において前記溶接部の位置と同じ位置にある第3点と、
径方向において前記第2点の位置と同じ位置にあり、前記中心軸線に沿う方向において前記溶接部の位置と同じ位置にある第4点と、
を仮想した場合に、
前記第1点の位置は前記第2点の位置よりも径方向において前記溶接部が設けられた側に位置し、
前記環状溝は、前記第1点と前記第3点との間に形成される前記側壁部の第1肉厚が、前記第2点と前記第4点との間に形成される前記側壁部の第2肉厚よりも大きくなるように形成される燃料噴射弁。 - 協働して燃料通路を開閉する弁座及び弁体と、前記弁座が形成された弁座部材と、先端側の端部に前記弁座部材が組み付けられた筒状体と、を備え、
前記弁座部材は、当該弁座部材の外周面に前記筒状体と溶接された溶接部を有すると共に、当該弁座部材の外周面又は内周面から径方向に窪み、燃料噴射弁の中心軸線に沿う方向において前記弁座の位置と前記溶接部の位置との間に形成された環状溝を有する燃料噴射弁の製造方法であって、
前記環状溝を挟んで前記中心軸線に沿う方向の両側に第1円筒面および第2円筒面を、前記第1円筒面に対して前記第2円筒面が前記弁座の側とは反対側に位置するように切削加工し、
前記第2円筒面の直径を前記第1円筒面の直径よりも大きく加工すると共に、
前記環状溝を、前記中心軸線に対して垂直な環状平面部と、前記中心軸線に沿う方向において前記中心軸線に対して傾斜した環状傾斜面部と、を有するように、且つ前記環状傾斜面部が前記中心軸線に沿う方向において前記溶接部が設けられた側に位置するように、加工すると共に、
前記溶接部の位置と当該環状傾斜面部との間に形成される前記弁座部材の肉厚であって、径方向において前記溶接部が設けられた側の第1肉厚が、前記溶接部が設けられた側とは反対側の第2肉厚よりも大きくなるように、前記環状溝傾斜面部を傾斜させて加工する燃料噴射弁の製造方法。
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