JP2023064028A - 被洗浄物の洗浄方法 - Google Patents

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JP2023064028A JP2022035783A JP2022035783A JP2023064028A JP 2023064028 A JP2023064028 A JP 2023064028A JP 2022035783 A JP2022035783 A JP 2022035783A JP 2022035783 A JP2022035783 A JP 2022035783A JP 2023064028 A JP2023064028 A JP 2023064028A
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Abstract

【課題】大量の洗浄溶剤を用いることなく、安全や地球環境に配慮した洗浄を可能にしようとする。【解決手段】洗浄溶剤3を用いた蒸気洗浄により被洗浄物に付着した油分を除去する第一洗浄を行った後、上記被洗浄物27を、エアーブローによる物理力を与えて油分以外の汚れを除去する第二洗浄を行うことにより、上記洗浄溶剤3の使用量を抑えて温室効果ガスの排出を抑制可能とする。【選択図】図1

Description

本発明は、機械部品、電子部品、医療機器等の被洗浄物に付着した油分、及び油分以外の汚れの除去を個別に行う洗浄方法に係るものである。
特開H05-004077号公報 金属やセラミック、樹脂などの工業製品を製造する際には、プレス、切削等の加工を行う際に熱を発するため、加工油により材料を冷やしながら作業を行うのが一般的である。そのため、このような加工を行った場合、本願の被洗浄物となる工業製品には油分や切削くずなどの汚れが付着するためこれらを除去する必要がある。
そのため、このような被洗浄物を洗浄する際には、特許文献1に示す如く洗浄溶剤を大量に使用することが一般的であった。しかしこのような大量の洗浄溶剤の使用は、光化学スモッグやオゾン層破壊、土壌汚染、公害の原因となっていた。また1995年のフロン113,1.1.1-トリクロロエタンが世界的に全廃となり、近年では二酸化炭素排出量の削減が世界的な課題となっているため、このような問題を解決するためには、洗浄時に使用する洗浄溶剤の使用量を大幅に減らす必要がある。
しかし現在一般的に行われている洗浄方法では、被洗浄物に付着した油分や切粉、切削くずなどの汚れを化学的及び物理的手法によって被洗浄物から同時に除去するものであるため、依然として洗浄溶剤を大量に使用する必要があった。また石油系の洗浄溶剤を使用した場合には可燃物を取り扱う際の安全性を確保する観点から、専用の装置を用いる必要があるためコストが高くなるとともに、法律などで使用の際に多くの規制がかかるものとなる。またフロンの代替として使用する洗浄溶剤は価格が高く、ランニングコストが高くなるため大量に使用することは難しい。そのため、多くの企業はコストを低く抑えるために毒性の強いトリクロロエチレン、メチレンクロライド、臭素溶剤などを使用しなければならないという問題があった。
そこで本願では上述の如き課題を解決しようとするものであって、大量の洗浄溶剤を用いることなく、洗浄溶剤の使用量を低減させて安全や地球環境に配慮した洗浄を可能にしようとするものである。
上述の如き課題を解決するため本願発明は、洗浄溶剤を用いた蒸気洗浄により被洗浄物に付着した油分を除去する第一洗浄を行った後、上記被洗浄物を、エアーブローによる物理力を与えて油分以外の汚れを除去する第二洗浄を行うことにより、上記洗浄溶剤及び上記洗浄液の使用量を抑えて温室効果ガスの排出を抑制可能としたものである。
また、上記第一洗浄時には、蒸気洗浄に加えて上記洗浄溶剤によるシャワー洗浄を行うものであってもよい。
また、上記洗浄溶剤は、石油系溶剤、HFO、臭素系溶剤、または塩素系溶剤であってもよい。
また、上記第二洗浄で除去する油分以外の汚れは、切粉、切削粉、またはチリであってもよい。
また、上記第一洗浄は、大気圧下、または減圧下で行うものであってもよい。
従来、被洗浄物に油分や切粉、切削くず等が付着している洗浄では、これらの汚れを同時に洗浄するのが一般的であった。その上、このような被洗浄物を大量に洗浄する場合には、複数の槽を備えた、あるいは縦移動多段式の洗浄装置を使用するのが一般的である。そのため、油分の除去と切粉等の除去を同時に行う必要があることから、大量の洗浄溶剤を使用しなければならず、環境への影響が懸念されるものであった。
そこで本願発明では上記の如く、油分の除去と油分以外の汚れの除去とを別々の洗浄工程により行うものであるから、油分除去のための第一洗浄では従来の洗浄溶剤を使用するものの、油分以外の汚れの除去時にはエアーブローによる物理力を与えるものであるため、従来より使用されている環境負荷の大きい洗浄溶剤の使用を極力低減することが可能となる。また第二洗浄ではエアーブローによる物理力を与えることにより、被洗浄物に付着した切粉、切削粉、あるいはチリなどを効果的に取り除くことが可能となる。よって、本願発明では第一洗浄時にのみ洗浄溶剤を使用し第二洗浄時には洗浄液を用いないため、環境への負荷を更に低減することが可能となる。
以上の通り、本願発明は被洗浄物の洗浄工程全体における脱脂力が強く環境負荷の大きい洗浄溶剤の使用量を従来よりも低減することが可能となる。このような洗浄方法により、地球環境への負荷を低減することが可能となりカーボンニュートラルの達成に貢献し得るものである。
願発明を示す実施例1の概念図。 従来の洗浄方法に使用する洗浄装置を示す概念図。
まず、プレス加工や切削加工等を行った後の油分や切削くず等の汚れが付着した被洗浄物(51)を洗浄する際の従来の一般的な洗浄方法について以下に説明する。従来の洗浄方法は、被洗浄物(51)の液洗浄を行った後に蒸気洗浄を行うことが一般的であり、図2に示す如く温液洗浄槽(52)、冷液洗浄槽(53)、蒸気洗浄槽(54)が設けられた洗浄装置(56)を使用して洗浄を行う場合が多い。そしてこのような各洗浄槽(52)(53)(54)には全て同じ洗浄溶剤(55)を収納する必要があることから、大量の洗浄溶剤(55)が使用されるものとなり環境への悪影響が懸念されるとともに、当該洗浄溶剤(55)を再利用するための手間がかかるものとなっていた。
一方、本願発明の実施例1では、図1に示す如く蒸気洗浄槽(1)と液洗浄槽(2)とを備えるとともに、蒸気洗浄槽(1)には油分を除去可能な洗浄溶剤(3)であるHFOを収納するとともに、液洗浄槽(2)には脱脂力を伴わない洗浄液(4)である水を収納している。尚、本実施例では洗浄溶剤(3)としてHFOを使用しているが、他の異なる実施例ではこれに限らず、石油系溶剤、臭素系溶剤、又は塩素系溶剤であっても良い
実施例の洗浄方法に使用する洗浄装置について以下に説明すると、まず、蒸気洗浄槽(1)内には、底部側にヒーター(5)と温度センサー(6)を備えている。更に開口部(7)側の内周には冷却コイル(8)を巻き回している。更に当該蒸気洗浄槽(1)の高さ方向中央部よりもやや上方には、シャワーヘッド(10)を設けている。そしてこのシャワーヘッド(10)は、当該蒸気洗浄槽(1)から外方に延びる流通管(11)を通じてシャワータンク(12)に接続されている。尚、当該流通管(11)にはポンプ(13)が設けられるとともに、上記シャワータンク(12)内には蒸気洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(3)と同じ洗浄溶剤(3)が収納されている。
更にこの蒸気洗浄槽(1)の底部側には、排出口(14)が設けられるとともに、この排出口(14)と上記シャワータンク(12)との間を排出管(15)にて連通可能としている。更に、上記冷却コイル(8)の下方には、当該冷却コイル(8)にて凝縮した洗浄溶剤(3)を回収するための回収トレー(16)が設けられており、この回収トレー(16)は、蒸気洗浄槽(1)の外方に設けた水分分離器(17)に、回収管(18)を通じて接続されている。
更に当該水分分離器(17)は、接続管(26)を通じて上記排出管(15)に連結されている。また排出管(15)には、この接続管(26)との連結部(20)よりも蒸気洗浄槽(1)側に第一開閉弁(21)を備えるとともに、シャワータンク(12)側に第二開閉弁(22)を備えている。また、液洗浄槽(2)の開口部(7)側には、被洗浄物(27)にエアーブローを吹き付けるためのエアー装置(図示せず。)を備えている。
上記の如き構成の洗浄装置(25)を用いた本実施例の洗浄方法について、以下に説明する。まず、図1に示す如く被洗浄物(27)を蒸気洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(3)の上方であってシャワーヘッド(10)よりも下方の位置に配置する。この状態で、流通管(11)のポンプ(13)を作動させてシャワータンク(12)からシャワーヘッド(10)に洗浄溶剤(3)を移送する。これにより、シャワーヘッド(10)から洗浄溶剤(3)を被洗浄物(27)に向かって噴出させることにより、洗浄溶剤(3)によるシャワー洗浄が行われる。
このようにシャワー洗浄を行うことにより、被洗浄物(27)が洗浄溶剤(3)のシャワーにより十分に冷やされるものとなる。よって、次の蒸気洗浄の際に効率よく凝縮を行うことができるため、洗浄効果を向上させることができる。また、シャワー洗浄により使用した洗浄溶剤(3)は、蒸気洗浄槽(1)内に貯留され、次の蒸気洗浄に使用されるものとなる。
次に、蒸気洗浄槽(1)内のヒーターを加熱させて蒸気洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(3)を沸騰させる。これにより洗浄溶剤(3)の洗浄蒸気(28)が発生し、被洗浄物(27)の蒸気洗浄が行われる。そして、この蒸気洗浄及び上記シャワー洗浄により、被洗浄物(27)に付着した油分が洗浄溶剤(3)によって除去されるものとなり、本願の第一洗浄は終了となる。
次に、第一洗浄が終了した被洗浄物(27)に、上記エアー装置を作動させてエアーブローを吹き付ける。これにより、第一洗浄時に除去しきれなかった切粉、切削粉、チリなどを被洗浄物(27)から物理力により除去することが可能となる。このように、本実施例では第二洗浄時に洗浄液を用いずにエアーブローのみで洗浄を行うため、環境への負荷を更に低減することが可能となる。
3 洗浄溶剤
27 被洗浄物
本発明は、機械部品、電子部品、医療機器等の被洗浄物に付着した油分、及び油分以外の汚れの除去を個別に行う洗浄方法に係るものである。
特開H05-004077号公報 金属やセラミック、樹脂などの工業製品を製造する際には、プレス、切削等の加工を行う際に熱を発するため、加工油により材料を冷やしながら作業を行うのが一般的である。そのため、このような加工を行った場合、本願の被洗浄物となる工業製品には油分や切削くずなどの汚れが付着するためこれらを除去する必要がある。
そのため、このような被洗浄物を洗浄する際には、特許文献1に示す如く洗浄溶剤を大量に使用することが一般的であった。しかしこのような大量の洗浄溶剤の使用は、光化学スモッグやオゾン層破壊、土壌汚染、公害の原因となっていた。また1995年のフロン113,1.1.1-トリクロロエタンが世界的に全廃となり、近年では二酸化炭素排出量の削減が世界的な課題となっているため、このような問題を解決するためには、洗浄時に使用する洗浄溶剤の使用量を大幅に減らす必要がある。
しかし現在一般的に行われている洗浄方法では、被洗浄物に付着した油分や切粉、切削くずなどの汚れを化学的及び物理的手法によって被洗浄物から同時に除去するものであるため、依然として洗浄溶剤を大量に使用する必要があった。また石油系の洗浄溶剤を使用した場合には可燃物を取り扱う際の安全性を確保する観点から、専用の装置を用いる必要があるためコストが高くなるとともに、法律などで使用の際に多くの規制がかかるものとなる。またフロンの代替として使用する洗浄溶剤は価格が高く、ランニングコストが高くなるため大量に使用することは難しい。そのため、多くの企業はコストを低く抑えるために毒性の強いトリクロロエチレン、メチレンクロライド、臭素溶剤などを使用しなければならないという問題があった。
そこで本願では上述の如き課題を解決しようとするものであって、大量の洗浄溶剤を用いることなく、洗浄溶剤の使用量を低減させて安全や地球環境に配慮した洗浄を可能にしようとするものである。
上述の如き課題を解決するため本願発明は、洗浄溶剤を用いた蒸気洗浄により被洗浄物に付着した油分を除去する第一洗浄を行った後に当該被洗浄物の自熱乾燥を行い、その後上記被洗浄物を、エアーブローによる物理力を与えて油分以外の汚れである切粉、切削粉、またはチリを除去する第二洗浄を行うことにより、上記洗浄溶剤の使用量を抑えて温室効果ガスの排出を抑制可能とするものである。
また、上記第一洗浄時には、蒸気洗浄に加えて上記洗浄溶剤によるシャワー洗浄を行うものであってもよい。
また、上記洗浄溶剤は、石油系溶剤、HFO、臭素系溶剤、または塩素系溶剤であってもよい。
また、上記第一洗浄は、大気圧下、または減圧下で行うものであってもよい。
従来、被洗浄物に油分や切粉、切削くず等が付着している洗浄では、これらの汚れを同時に洗浄するのが一般的であった。その上、このような被洗浄物を大量に洗浄する場合には、複数の槽を備えた、あるいは縦移動多段式の洗浄装置を使用するのが一般的である。そのため、油分の除去と切粉等の除去を同時に行う必要があることから、大量の洗浄溶剤を使用しなければならず、環境への影響が懸念されるものであった。
そこで本願発明では上記の如く、油分の除去と油分以外の汚れの除去とを別々の洗浄工程により行うものであるから、油分除去のための第一洗浄では従来の洗浄溶剤を使用するものの、油分以外の汚れの除去時にはエアーブローによる物理力を与えるものであるため、従来より使用されている環境負荷の大きい洗浄溶剤の使用を極力低減することが可能となる。また第二洗浄ではエアーブローによる物理力を与えることにより、被洗浄物に付着した切粉、切削粉、あるいはチリなどを効果的に取り除くことが可能となる。よって、本願発明では第一洗浄時にのみ洗浄溶剤を使用し第二洗浄時には洗浄液を用いないため、環境への負荷を更に低減することが可能となる。
以上の通り、本願発明は被洗浄物の洗浄工程全体における脱脂力が強く環境負荷の大きい洗浄溶剤の使用量を従来よりも低減することが可能となる。このような洗浄方法により、地球環境への負荷を低減することが可能となりカーボンニュートラルの達成に貢献し得るものである。
本願発明を示す実施例1の概念図。 従来の洗浄方法に使用する洗浄装置を示す概念図。
まず、プレス加工や切削加工等を行った後の油分や切削くず等の汚れが付着した被洗浄物(51)を洗浄する際の従来の一般的な洗浄方法について以下に説明する。従来の洗浄方法は、被洗浄物(51)の液洗浄を行った後に蒸気洗浄を行うことが一般的であり、図2に示す如く温液洗浄槽(52)、冷液洗浄槽(53)、蒸気洗浄槽(54)が設けられた洗浄装置(56)を使用して洗浄を行う場合が多い。そしてこのような各洗浄槽(52)(53)(54)には全て同じ洗浄溶剤(55)を収納する必要があることから、大量の洗浄溶剤(55)が使用されるものとなり環境への悪影響が懸念されるとともに、当該洗浄溶剤(55)を再利用するための手間がかかるものとなっていた。
一方、本願発明の実施例1では、図1に示す如く蒸気洗浄槽(1)と液洗浄槽(2)とを備えるとともに、蒸気洗浄槽(1)には油分を除去可能な洗浄溶剤(3)であるHFOを収納するとともに、液洗浄槽(2)には脱脂力を伴わない洗浄液(4)である水を収納している。尚、本実施例では洗浄溶剤(3)としてHFOを使用しているが、他の異なる実施例ではこれに限らず、石油系溶剤、臭素系溶剤、又は塩素系溶剤であっても良い。
本実施例の洗浄方法に使用する洗浄装置について以下に説明すると、まず、蒸気洗浄槽(1)内には、底部側にヒーター(5)と温度センサー(6)を備えている。更に開口部(7)側の内周には冷却コイル(8)を巻き回している。更に当該蒸気洗浄槽(1)の高さ方向中央部よりもやや上方には、シャワーヘッド(10)を設けている。そしてこのシャワーヘッド(10)は、当該蒸気洗浄槽(1)から外方に延びる流通管(11)を通じてシャワータンク(12)に接続されている。尚、当該流通管(11)にはポンプ(13)が設けられるとともに、上記シャワータンク(12)内には蒸気洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(3)と同じ洗浄溶剤(3)が収納されている。
更にこの蒸気洗浄槽(1)の底部側には、排出口(14)が設けられるとともに、この排出口(14)と上記シャワータンク(12)との間を排出管(15)にて連通可能としている。更に、上記冷却コイル(8)の下方には、当該冷却コイル(8)にて凝縮した洗浄溶剤(3)を回収するための回収トレー(16)が設けられており、この回収トレー(16)は、蒸気洗浄槽(1)の外方に設けた水分分離器(17)に、回収管(18)を通じて接続されている。
更に当該水分分離器(17)は、接続管(26)を通じて上記排出管(15)に連結されている。また排出管(15)には、この接続管(26)との連結部(20)よりも蒸気洗浄槽(1)側に第一開閉弁(21)を備えるとともに、シャワータンク(12)側に第二開閉弁(22)を備えている。また、液洗浄槽(2)の開口部(7)側には、被洗浄物(27)にエアーブローを吹き付けるためのエアー装置(図示せず。)を備えている。
上記の如き構成の洗浄装置(25)を用いた本実施例の洗浄方法について、以下に説明する。まず、図1に示す如く被洗浄物(27)を蒸気洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(3)の上方であってシャワーヘッド(10)よりも下方の位置に配置する。この状態で、流通管(11)のポンプ(13)を作動させてシャワータンク(12)からシャワーヘッド(10)に洗浄溶剤(3)を移送する。これにより、シャワーヘッド(10)から洗浄溶剤(3)を被洗浄物(27)に向かって噴出させることにより、洗浄溶剤(3)によるシャワー洗浄が行われる。
このようにシャワー洗浄を行うことにより、被洗浄物(27)が洗浄溶剤(3)のシャワーにより十分に冷やされるものとなる。よって、次の蒸気洗浄の際に効率よく凝縮を行うことができるため、洗浄効果を向上させることができる。また、シャワー洗浄により使用した洗浄溶剤(3)は、蒸気洗浄槽(1)内に貯留され、次の蒸気洗浄に使用されるものとなる。
次に、蒸気洗浄槽(1)内のヒーターを加熱させて蒸気洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(3)を沸騰させる。これにより洗浄溶剤(3)の洗浄蒸気(28)が発生し、被洗浄物(27)の蒸気洗浄が行われる。そして、この蒸気洗浄及び上記シャワー洗浄により、被洗浄物(27)に付着した油分が洗浄溶剤(3)によって除去されるものとなり、本願の第一洗浄は終了となる。
次に、第一洗浄が終了した被洗浄物(27)に、上記エアー装置を作動させてエアーブローを吹き付ける。これにより、第一洗浄時に除去しきれなかった切粉、切削粉、チリなどを被洗浄物(27)から物理力により除去することが可能となる。このように、本実施例では第二洗浄時に洗浄液を用いずにエアーブローのみで洗浄を行うため、環境への負荷を更に低減することが可能となる。
3 洗浄溶剤
27 被洗浄物
本発明は、機械部品、電子部品、医療機器等の被洗浄物に付着した油分、及び油分以外の汚れの除去を個別に行う洗浄方法に係るものである。
特開H05-004077号公報 金属やセラミック、樹脂などの工業製品を製造する際には、プレス、切削等の加工を行う際に熱を発するため、加工油により材料を冷やしながら作業を行うのが一般的である。そのため、このような加工を行った場合、本願の被洗浄物となる工業製品には油分や切削くずなどの汚れが付着するためこれらを除去する必要がある。
そのため、このような被洗浄物を洗浄する際には、特許文献1に示す如く洗浄溶剤を大量に使用することが一般的であった。しかしこのような大量の洗浄溶剤の使用は、光化学スモッグやオゾン層破壊、土壌汚染、公害の原因となっていた。また1995年のフロン113,1.1.1-トリクロロエタンが世界的に全廃となり、近年では二酸化炭素排出量の削減が世界的な課題となっているため、このような問題を解決するためには、洗浄時に使用する洗浄溶剤の使用量を大幅に減らす必要がある。
しかし現在一般的に行われている洗浄方法では、被洗浄物に付着した油分や切粉、切削くずなどの汚れを化学的及び物理的手法によって被洗浄物から同時に除去するものであるため、依然として洗浄溶剤を大量に使用する必要があった。また石油系の洗浄溶剤を使用した場合には可燃物を取り扱う際の安全性を確保する観点から、専用の装置を用いる必要があるためコストが高くなるとともに、法律などで使用の際に多くの規制がかかるものとなる。またフロンの代替として使用する洗浄溶剤は価格が高く、ランニングコストが高くなるため大量に使用することは難しい。そのため、多くの企業はコストを低く抑えるために毒性の強いトリクロロエチレン、メチレンクロライド、臭素溶剤などを使用しなければならないという問題があった。
そこで本願では上述の如き課題を解決しようとするものであって、大量の洗浄溶剤を用いることなく、洗浄溶剤の使用量を低減させて安全や地球環境に配慮した洗浄を可能にしようとするものである。
上述の如き課題を解決するため本願発明は、洗浄溶剤を用いた蒸気洗浄により被洗浄物に付着した油分を除去する第一洗浄を行った後に当該被洗浄物の自熱乾燥を行い、その後上記被洗浄物に、エアーブローによる物理力を与えて油分以外の汚れである切粉、切削粉、またはチリを除去する第二洗浄を行うことにより、上記洗浄溶剤の使用量を抑えて温室効果ガスの排出を抑制可能とするものである。
また、上記第一洗浄時には、蒸気洗浄に加えて上記洗浄溶剤によるシャワー洗浄を行うものであってもよい。
また、上記洗浄溶剤は、石油系溶剤、HFO、臭素系溶剤、または塩素系溶剤であってもよい。
また、上記第一洗浄は、大気圧下、または減圧下で行うものであってもよい。
従来、被洗浄物に油分や切粉、切削くず等が付着している洗浄では、これらの汚れを同時に洗浄するのが一般的であった。その上、このような被洗浄物を大量に洗浄する場合には、複数の槽を備えた、あるいは縦移動多段式の洗浄装置を使用するのが一般的である。そのため、油分の除去と切粉等の除去を同時に行う必要があることから、大量の洗浄溶剤を使用しなければならず、環境への影響が懸念されるものであった。
そこで本願発明では上記の如く、油分の除去と油分以外の汚れの除去とを別々の洗浄工程により行うものであるから、油分除去のための第一洗浄では従来の洗浄溶剤を使用するものの、油分以外の汚れの除去時にはエアーブローによる物理力を与えるものであるため、従来より使用されている環境負荷の大きい洗浄溶剤の使用を極力低減することが可能となる。また第二洗浄ではエアーブローによる物理力を与えることにより、被洗浄物に付着した切粉、切削粉、あるいはチリなどを効果的に取り除くことが可能となる。よって、本願発明では第一洗浄時にのみ洗浄溶剤を使用し第二洗浄時には洗浄液を用いないため、環境への負荷を更に低減することが可能となる。
以上の通り、本願発明は被洗浄物の洗浄工程全体における脱脂力が強く環境負荷の大きい洗浄溶剤の使用量を従来よりも低減することが可能となる。このような洗浄方法により、地球環境への負荷を低減することが可能となりカーボンニュートラルの達成に貢献し得るものである。
本願発明を示す実施例1の概念図。 従来の洗浄方法に使用する洗浄装置を示す概念図。
まず、プレス加工や切削加工等を行った後の油分や切削くず等の汚れが付着した被洗浄物(51)を洗浄する際の従来の一般的な洗浄方法について以下に説明する。従来の洗浄方法は、被洗浄物(51)の液洗浄を行った後に蒸気洗浄を行うことが一般的であり、図2に示す如く温液洗浄槽(52)、冷液洗浄槽(53)、蒸気洗浄槽(54)が設けられた洗浄装置(56)を使用して洗浄を行う場合が多い。そしてこのような各洗浄槽(52)(53)(54)には全て同じ洗浄溶剤(55)を収納する必要があることから、大量の洗浄溶剤(55)が使用されるものとなり環境への悪影響が懸念されるとともに、当該洗浄溶剤(55)を再利用するための手間がかかるものとなっていた。
一方、本願発明の実施例1では、図1に示す如く蒸気洗浄槽(1)と液洗浄槽(2)とを備えるとともに、蒸気洗浄槽(1)には油分を除去可能な洗浄溶剤(3)であるHFOを収納するとともに、液洗浄槽(2)には脱脂力を伴わない洗浄液(4)である水を収納している。尚、本実施例では洗浄溶剤(3)としてHFOを使用しているが、他の異なる実施例ではこれに限らず、石油系溶剤、臭素系溶剤、又は塩素系溶剤であっても良い。
本実施例の洗浄方法に使用する洗浄装置について以下に説明すると、まず、蒸気洗浄槽(1)内には、底部側にヒーター(5)と温度センサー(6)を備えている。更に開口部(7)側の内周には冷却コイル(8)を巻き回している。更に当該蒸気洗浄槽(1)の高さ方向中央部よりもやや上方には、シャワーヘッド(10)を設けている。そしてこのシャワーヘッド(10)は、当該蒸気洗浄槽(1)から外方に延びる流通管(11)を通じてシャワータンク(12)に接続されている。尚、当該流通管(11)にはポンプ(13)が設けられるとともに、上記シャワータンク(12)内には蒸気洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(3)と同じ洗浄溶剤(3)が収納されている。
更にこの蒸気洗浄槽(1)の底部側には、排出口(14)が設けられるとともに、この排出口(14)と上記シャワータンク(12)との間を排出管(15)にて連通可能としている。更に、上記冷却コイル(8)の下方には、当該冷却コイル(8)にて凝縮した洗浄溶剤(3)を回収するための回収トレー(16)が設けられており、この回収トレー(16)は、蒸気洗浄槽(1)の外方に設けた水分分離器(17)に、回収管(18)を通じて接続されている。
更に当該水分分離器(17)は、接続管(26)を通じて上記排出管(15)に連結されている。また排出管(15)には、この接続管(26)との連結部(20)よりも蒸気洗浄槽(1)側に第一開閉弁(21)を備えるとともに、シャワータンク(12)側に第二開閉弁(22)を備えている。また、液洗浄槽(2)の開口部(7)側には、被洗浄物(27)にエアーブローを吹き付けるためのエアー装置(図示せず。)を備えている。
上記の如き構成の洗浄装置(25)を用いた本実施例の洗浄方法について、以下に説明する。まず、図1に示す如く被洗浄物(27)を蒸気洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(3)の上方であってシャワーヘッド(10)よりも下方の位置に配置する。この状態で、流通管(11)のポンプ(13)を作動させてシャワータンク(12)からシャワーヘッド(10)に洗浄溶剤(3)を移送する。これにより、シャワーヘッド(10)から洗浄溶剤(3)を被洗浄物(27)に向かって噴出させることにより、洗浄溶剤(3)によるシャワー洗浄が行われる。
このようにシャワー洗浄を行うことにより、被洗浄物(27)が洗浄溶剤(3)のシャワーにより十分に冷やされるものとなる。よって、次の蒸気洗浄の際に効率よく凝縮を行うことができるため、洗浄効果を向上させることができる。また、シャワー洗浄により使用した洗浄溶剤(3)は、蒸気洗浄槽(1)内に貯留され、次の蒸気洗浄に使用されるものとなる。
次に、蒸気洗浄槽(1)内のヒーターを加熱させて蒸気洗浄槽(1)内の洗浄溶剤(3)を沸騰させる。これにより洗浄溶剤(3)の洗浄蒸気(28)が発生し、被洗浄物(27)の蒸気洗浄が行われる。そして、この蒸気洗浄及び上記シャワー洗浄により、被洗浄物(27)に付着した油分が洗浄溶剤(3)によって除去されるものとなり、本願の第一洗浄は終了となる。
次に、第一洗浄が終了した被洗浄物(27)に、上記エアー装置を作動させてエアーブローを吹き付ける。これにより、第一洗浄時に除去しきれなかった切粉、切削粉、チリなどを被洗浄物(27)から物理力により除去することが可能となる。このように、本実施例では第二洗浄時に洗浄液を用いずにエアーブローのみで洗浄を行うため、環境への負荷を更に低減することが可能となる。
3 洗浄溶剤
27 被洗浄物

Claims (5)

  1. 洗浄溶剤を用いた蒸気洗浄により被洗浄物に付着した油分を除去する第一洗浄を行った後、上記被洗浄物を、エアーブローによる物理力を与えて油分以外の汚れを除去する第二洗浄を行うことにより、上記洗浄溶剤の使用量を抑えて温室効果ガスの排出を抑制可能とすることを特徴とする被洗浄物の洗浄方法。
  2. 上記第一洗浄時には、蒸気洗浄に加えて上記洗浄溶剤によるシャワー洗浄を行うことを特徴とする請求項1の被洗浄物の洗浄方法。
  3. 上記洗浄溶剤は、石油系溶剤、HFO、臭素系溶剤、または塩素系溶剤であることを特徴とする請求項1、または2の被洗浄物の洗浄方法。
  4. 上記第二洗浄で除去する油分以外の汚れは、切粉、切削粉、またはチリであることを特徴とする請求項1の被洗浄物の洗浄方法。
  5. 上記第一洗浄は、大気圧下、または減圧下で行うことを特徴とする請求項1、または2の被洗浄物の洗浄方法。
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