JP2023061871A - 球状シリカ粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂に充填した際に、より低い誘電正接を達成できる球状シリカ粒子の製造方法を提供する。【解決手段】非晶質の球状シリカ粒子(A)を分級したのち、800~1200℃で熱処理することを含む、球状シリカ粒子(X)の製造方法。前記分級工程は湿式分級を含むことが好ましい。また、前記分級工程は、前記球状シリカ粒子(A)表面の異物を除去することを含むことが好ましい。前記球状シリカ粒子(A)が粉末溶融法により得られた非晶質の球状シリカ粒子であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、球状シリカ粒子の製造方法に関する。
近年、通信分野における情報通信量の増加に伴い、電子機器や通信機器等において高周波数帯の信号の活用が広がっている。一方、高周波数帯の信号を前記機器に適用することにより、回路信号の伝送損失が大きくなるという問題も生じている。そのため、高周波数帯用のデバイスに用いられる材料に関しては、低い誘電正接を有する材料が求められている。伝送損失は、大別して、配線の表皮効果による導体損失と、基板等の電気電子部品を構成する絶縁体の誘電体材質の特性による誘電体損失からなる。誘電体損失は、周波数の1乗、絶縁体の誘電率の1/2乗、及び誘電正接の1乗に比例するため、高周波数帯用の機器に用いられる材料に関して、誘電率と誘電正接とが共に低いことが求められている。
GHz帯のセラミックス材料の誘電特性は、例えば、非特許文献1等に記載があるが、いずれも焼結された基板としての特性である。シリカ粒子は、誘電率が比較的小さく、品質係数指標Qf(誘電正接の逆数に測定周波数を掛け合わせた値)が約12万であることから、低誘電率かつ低誘電正接を有するセラミックスフィラーとして有望である。樹脂への配合を容易にする観点からは、その形状が球状に近いほど好ましい。球状シリカ粒子は例えば、火炎溶融法等によって製造することができる(特許文献1)。このような方法で合成された球状シリカ粒子に関して、上記の高周数波帯用の機器への応用が期待されている。
ところで、球状シリカ粒子の表面には吸着水やシラノール基等の極性官能基が多く存在しており、誘電正接が悪化しやすいという問題がある。球状シリカ粒子表面の吸着水や、シラノール基を減少させる方法としては、例えば、特許文献2~4等に記載があるが、これらの方法で得られた球状シリカ粒子は、誘電正接の低減効果が十分ではない。
国際公開第2016/031823号 特許第2926348号 特開2020-097498号公報 特開2020-138880号公報
International Materials Reviews vol.60 No.70 Supplementary data (2015)
そこで本発明は、樹脂に充填した際に、より低い誘電正接を達成可能な球状シリカ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、非晶質の球状シリカ粒子から微粒を除去し、その後、高温条件で球状シリカ粒子を熱処理することにより、上記の課題を達成できる球状シリカ粒子が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1]非晶質の球状シリカ粒子(A)を分級したのち、800~1200℃で熱処理することを含む、球状シリカ粒子(X)の製造方法。
[2]前記分級工程が湿式分級を含む、[1]に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
[3]前記分級工程が、前記球状シリカ粒子(A)を分級して、表面フラクタル次元が1.0~2.3の球状シリカ粒子(B)を調製することを含む、[1]または[2]に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
[4]前記分級工程が、前記球状シリカ粒子(A)表面の異物を除去することを含む、[1]から[3]のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
[5]前記球状シリカ粒子(A)が粉末溶融法により得られた非晶質の球状シリカ粒子である、[1]から[4]のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
[6]前記分級工程が湿式分級であり、前記湿式分級が、少なくとも水を含む分散媒と、前記球状シリカ粒子(A)とを含むスラリーを用いて行われる、[1]から[5]のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
[7]前記球状シリカ粒子(X)の比表面積が0.1~2.0m/gである、[1]から[6]のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
[8]前記球状シリカ粒子(A)及び前記球状シリカ粒子(X)の平均粒子径及び比表面積が、下記の条件(1)~(2)を満たす、[1]から[7]のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子の製造方法。
条件(1):前記球状シリカ粒子(A)の平均粒子径(Da50)に対する、前記球状シリカ粒子(X)の平均粒子径(Dx50)((Dx50)/(Da50))が、0.8以上1.2以下である。
条件(2):前記球状シリカ粒子(A)の比表面積(Sa)に対する、前記球状シリカ粒子(X)の比表面積(Sx)((Sx)/(Sa))が、0.2以上0.6以下である。
本発明によれば、樹脂に充填した際に、より低い誘電正接を達成可能な球状シリカ粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により得られた球状シリカ粒子(X)の1つの態様を表す電子顕微鏡写真である。 分級処理前の非晶質球状シリカ粒子(A)の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」の記載は、「以上以下」を意味する。例えば、「800~1200℃」とは、800℃以上1200℃以下を意味する。
[球状シリカ粒子(X)の製造方法]
本発明に係る球状シリカ粒子(X)の製造方法は、非晶質の球状シリカ粒子(A)を分級したのち(工程(i))、800~1200℃で熱処理すること(工程(ii))を含む。このような方法で製造された球状シリカ粒子(X)は、樹脂に充填した際に、より低い誘電正接を達成できる。また本発明に係る球状シリカ粒子の製造方法は、非晶質の球状シリカ粒子(A)を準備すること(工程(i’))を含んでいてもよい。
<準備工程:工程(i’)>
本発明に係る球状シリカ粒子(X)の製造方法は、非晶質の球状シリカ粒子(A)(以下、「球状シリカ粒子(A)」と記載する)を準備する工程(i’)を含んでいてもよい。
球状シリカ粒子(A)は、従来公知の方法で調製されたものを用いることができる。生産性の観点からは、粉末溶融法にて調製されたものが好ましい。本発明に係る製造方法において、工程(i’)は、粉末溶融法にて球状シリカ粒子(A)を調製する工程であってもよい。なお本発明において、「非晶質の球状シリカ粒子」とは、シリカ純度が98%以上であり、かつ非晶質相が全体の95質量%以上である球状シリカ粒子のことを意味する。また、シリカ粒子が「球状である」とは、顕微鏡等でシリカ粒子を観察した際に、その投影図(立体図及び平面図を含む)が、円形に近い形状を有するシリカ粒子を意味する。
粉末溶融法は、珪砂及び珪石等の粉砕物(以下、「粗原料」と記載することもある)を、火炎、プラズマ、電気炉、ガス炉等を用いて、粗原料の融点以上の高温条件下で、溶融球状化させる方法である。溶融雰囲気は特に限定されないが、経済的な観点からは、大気雰囲気下で行われることが好ましい。粗原料の平均粒子径は、0.1~100μmが好ましく、0.2~50μmがより好ましく、0.3~10μmがさらに好ましい。なお、本明細書における「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される、体積基準の累積粒度分布において、累積値が50%に相当する粒子径(D50)のことを指す。
球状シリカ粒子(A)の平均粒子径(D50)(以下、「平均粒子径(Da50)」と記載する)は1~30μmが好ましく、1~15μmがより好ましい。また、その平均円形度は、その形状がより真円に近い球状シリカ粒子(X)(すなわち、好ましい平均円形度が0.85以上である球状シリカ粒子(X))が得られやすくなる観点から、0.85以上が好ましい。また、球状シリカ粒子(A)の比表面積(以下、「比表面積(Sa)」と記載する)は、特に規定されないが、例えば、0.1~10m/gとすることができる。なお球状シリカ粒子(A)の平均粒子径(Da50)、平均円形度、及び比表面積(Sa)は、後述の方法で測定することができる。
必要に応じて工程(i’)を実施して球状シリカ粒子(A)を得たのち、以下の通り、球状シリカ粒子(A)を分級処理する。
<分級工程:工程(i)>
本発明に係る球状シリカ粒子(X)の製造方法は、球状シリカ粒子(A)を分級する工程(i)を含む。工程(i)は、球状シリカ粒子(A)を分級装置に投入し、一定の周速度で遠心分離することによって、球状シリカ粒子(A)から微細な粒子を除去する工程である。分級装置としては、例えば、重量場分級機、遠心力場分級機等を用いることができる。本明細書においては、工程(i)の後に得られるシリカ粒子を、「球状シリカ粒子(B)」と記載する。
工程(i)は、球状シリカ粒子(A)に含まれる0.9μm以下の微粒子を除去する工程であることが好ましい。また工程(i)は、球状シリカ粒子(A)の表面の異物を除去することを含む工程であることが好ましい。「球状シリカ粒子(A)表面の異物」とは、例えば、図2に示すように、球状シリカ粒子(A)の表面に付着した微粒子のことを指す。工程(i)において球状シリカ粒子(A)の粒子表面に付着した微粒子等を除去することにより、表面の凹凸が少なく、比表面積の小さな球状シリカ粒子(X)を得ることができる。このような球状シリカ粒子(X)は、吸着水やシラノール基等の極性官能基の絶対量が少なくなり、より低い誘電正接を達成することができる。
工程(i)は、球状シリカ粒子(A)の表面の異物を除去して、球状シリカ粒子(A)の比表面積を低下させる工程であってもよい。1つの実施態様において、球状シリカ粒子(A)の比表面積(Sa)に対する、工程(i)の後に得られる球状シリカ粒子(B)の比表面積(Sb)((Sb)/(Sa))は、0.2以上0.6以下であってもよく、0.3以上0.6以下であってもよい。
本発明に係る製造方法において、工程(i)は、球状シリカ粒子(A)を分級して、表面フラクタル次元が1.0~2.3の球状シリカ粒子(B)を得る工程であってもよい。「表面フラクタル次元」とは、粒子の表面凹凸の程度を示す指標である。表面フラクタル次元(Ds)の数値が低いほど、粒子表面の凹凸が少なく、滑らかな表面を有していることを意味する。本発明に係る球状シリカ粒子(X)の製造方法において、分級後の球状シリカ粒子(B)の表面フラクタル次元は1.0~2.3であることが好ましく、1.0~2.1であることがより好ましく、1.0~1.9であることがさらに好ましい。なお、球状シリカ粒子の表面フラクタル次元は、以下の方法で測定できる。
<表面フラクタル次元の測定方法>
球状シリカ粒子を有姿のまま、X線回折分析装置((株)リガク製、製品名:SmartLab)の透過測定用試料セルに設置して、超小角X線散乱法(USAXS)にて以下の条件で粒子を測定する。また、解析時には、バックグラウンド除去およびデスメアリング処理を実施する。デスメアリング処理は解析ソフトウェア((株)リガク製、製品名:粒径・空孔径解析ソフトウェアNANO-Solver)を用いて行う。
X線管球:Cu Kα、
管電圧・管電流:45kV-200mA、
検出器:シンチレーションカウンター、
スキャン範囲:0.00~0.50deg、
スキャンステップ:0.0006deg、
スキャンスピード:0.03deg/min、
入射側分光結晶:Ge(220)×2、
受光側分光結晶:Ge(220)×2。
<表面フラクタル次元の算出方法>
表面フラクタル次元の算出は以下の方法で行う。まず、下記の式(2)を用いて、散乱角度2θを散乱ベクトルqに換算する。測定X線波長λは0.154nmとした。
q=4πsinθ/λ ・・・(2)
次に、バックグラウンド除去およびデスメアリング処理されたUSAXSパターンに対して、散乱ベクトルqと強度I(q)の関係を示す両対数グラフを作成し、q=0.0124~0.0627nm-1(2θ=0.174~0.0882°)において累乗近似を行う。その近似式における指数部αを、以下の式(3)に代入し、表面フラクタル次元(Ds)を算出する。
Ds=6+α ・・・(3)
工程(i)は乾式分級によって球状シリカ粒子(A)から微粒子を除去する工程であってもよく、湿式分級によって球状シリカ粒子(A)から微粒子を除去する工程であってもよい。効率よく0.9μm以下の粒子を除去する観点からは、湿式分級であることが好ましい。
(湿式分級)
工程(i)は湿式分級によって球状シリカ粒子(A)から微粒子を除去する工程であってもよい。従来より、シリカ粒子の誘電正接を改善する方法として、吸着水やシラノール基の量を低減させたシリカ粒子の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2~4等)。これらの製造方法では、その製造工程で極力水分と接触しないこと、または水分量を制御する工程を必須としている。本願発明者らは、原料のシリカ粒子から微粒子を除去すること、特にシリカ粒子表面に付着した微粒子を除去することで吸着水やシラノール基等の極性官能基の絶対量を低減させることができることを見出した。さらに驚くべきことに、この微粒子を除去する工程を湿式条件で行うことにより、最終的に得られる球状シリカ粒子(X)の誘電正接が悪化せず、むしろより低い誘電正接を有する球状シリカ粒子(X)が得られやすくなることも見出した。
工程(i)が湿式分級である場合、球状シリカ粒子(A)と分散媒とを含むスラリーを分級装置に投入して、球状シリカ粒子(A)から微粒子を除去する。分級装置としては、例えば、重量場分級機、遠心力場分級機等を採用できる。
分散媒としては、例えば、水(純水、イオン交換水等を含む);エタノール、アセトン等の有機溶媒が挙げられる。このうち、球状シリカ粒子(A)の分散のしやすさ、及び経済的な観点から、分散媒として少なくとも水を含むことが好ましい。
分散媒中の水の割合は、分散媒の総質量に対して、50~100質量%がより好ましい。また、スラリー中の球状シリカ粒子(A)の濃度は、スラリーの総質量に対して、1~50質量%が好ましく、20~40質量%がより好ましい。
スラリーの調製方法としては、例えば、分散媒中に、所望の固形分濃度となるように球状シリカ粒子(A)を投入したのち、室温で1~24時間攪拌する方法が挙げられる。
後述する実施例に記載の分級機を用いる場合、湿式分級時のローター周速度は、効率良く微粒を分級する観点から、10~30m/sが好ましく、20~30m/sがより好ましい。
また、湿式分級時の温度は特に制限されないが、経済的な観点からは室温が好ましい。
工程(i)が湿式分級である場合、分級後のスラリーを静置して上澄み液を除去し、球状シリカ粒子(B)を得る。その後、以下の通り、さらに熱処理して球状シリカ粒子(X)を調製する。なお、工程(ii)の前に、球状シリカ粒子(B)を40~200℃で、1~24時間乾燥処理してもよい。真空下で乾燥しても良い。
<熱処理工程:工程(ii)>
本発明に係る球状シリカ粒子(X)の製造方法は、工程(i)の後、さらに800~1200℃の温度で熱処理することを含む。工程(ii)において、球状シリカ粒子(B)の加熱温度は800~1200℃であり、900~1100℃が好ましい。800~1200℃の高温で熱処理することにより、球状シリカ粒子(B)から吸着水等を除去して、低い誘電正接を達成可能な球状シリカ粒子(X)を得ることができる。一方、熱処理時の温度が1200℃超の場合、粒子の融着等により球状シリカ粒子(X)の樹脂中での分散性が悪くなる、シリカ構造内の欠陥が増える等の理由から、誘電正接が悪化しやすくなる。1つの実施態様において、本発明に係る製造方法により得られた球状シリカ粒子(X)は、25℃/分の昇温速度で50℃から1000℃まで加熱した際に脱離する水分子の量(脱離水分子量)が、0.010mmoL/g以下であってもよい。また、前記脱離水分子量の下限値は、0.001mmoL/g以上とすることができる。なお、球状シリカ粒子(X)から脱離する水分子の量は以下の方法で測定できる。
<脱離水分子数の測定方法>
ガスクロマトグラフ質量分析装置(日本電子(株)製、製品名:JMS-Q1500GC)及び熱分解装置(フロンティアラボ社製、製品名:PY-3030D)を用いて、球状シリカ粒子15μgを、25℃/分の昇温速度で50℃から1000℃までヘリウム雰囲気下で昇温する。得られたマスクロマトグラム(m/z=18)の50℃から1000℃の範囲における面積値を算出し、検量線から水分子の脱離数を算出する。なお検量線としては、標準試料として水酸化アルミニウム試料((株)高純度化学研究所製、製品名:水酸化アルミニウム)の脱離水分子数(m/z=18)の面積値を用いる。具体的には、水酸化アルミニウム試料を、ミクロ天秤を用いて、23μg、122μg、270μg精秤し、上記と同じ条件で昇温して、水酸化アルミニウムから脱離した水分子の面積値を測定することで作成することができる。なお、ここでの水酸化アルミニウムの水分量は、高感度差動型示差熱天秤により、200℃から320℃における質量の減少量から算出された値である。
工程(ii)において、加熱装置としては、例えば、電気炉やガス炉等を用いることができる。また、工程(ii)は、誘電正接低減の観点から、窒素、アルゴン、真空雰囲気下で行われることが好ましい。また加熱時間は1~24時間が好ましく、2~8時間がより好ましい。加熱時間が1~24時間であれば、生産性も良好となりやすい。
前述の工程(i)~(ii)を含む方法により(必要に応じて、工程(i’)、工程(i)、及び工程(ii)を含む方法により)、球状シリカ粒子(X)を調製する。なお、工程(ii)の後、必要に応じて、球状シリカ粒子(X)を表面処理剤で表面処理してもよい。表面処理剤で球状シリカ粒子(X)を表面処理することにより、球状シリカ粒子(X)の樹脂への充填性がより良好となりやすい。また、粒子表面の極性官能基等が低減しやすくなり、より低誘電正接の球状シリカ粒子(X)が得られやすくなる。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、粒子表面の極性官能基等を低減しやすい観点からは、シランカップリング剤で処理されていることが好ましく、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシラザン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
工程(i)又は工程(ii)の後、或いは任意の表面処理工程の後に得られる球状シリカ粒子(X)は、凝集体となっていることがある。よってこれらの工程の後で、必要に応じて解砕処理を行ってもよい。解砕方法としては、水分と接触しない乾式条件で行われることが好ましく、例えば、メノウ乳鉢、ボールミル、振動ミル、ジェットミル等を採用できる。
本発明に係る製造方法により得られた球状シリカ粒子(X)は、例えば、図1に示すような表面構造を有している。一方、図2は、分級処理前の非晶質球状シリカ粒子(球状シリカ粒子(A))の1つの態様を示す電子顕微鏡写真である。図1、2の比較から明らかなように、球状シリカ粒子(A)の表面には非常に微細な異物(微細な粒子)が大量に付着しており、この微細な異物によって球状シリカ粒子(A)の比表面積(Sa)が大きくなっている。本発明に係る製造方法によれば、工程(i)によって球状シリカ粒子(A)表面の微細な異物が除去されやすくなり、その結果、図1に示すような、表面異物が少なく、比表面積の小さな球状シリカ粒子(X)を得ることができる。1つの実施態様において、球状シリカ粒子(X)の比表面積(Sx)は、0.1~2.0m/gであってもよく、0.5~2.0m/gであってもよい。このように表面異物が少なく、比表面積の小さな球状シリカ粒子(X)は、粒子表面の吸着水や極性官能基の絶対数が少なくなるため、樹脂に充填した際に、低い誘電正接を達成しやすい。すなわち、本発明に係る製造方法は、以下の条件(1)、(2)を満たす方法であることがより好ましい。
条件(1):球状シリカ粒子(A)の平均粒子径(Da50)に対する、球状シリカ粒子(X)の平均粒子径(Dx50)すなわち、(Dx50)/(Da50)が、0.8以上1.2以下である。
条件(2):球状シリカ粒子(A)の比表面積(Sa)に対する、球状シリカ粒子(X)の比表面積(Sx)、すなわち(Sx)/(Sa)が、0.2以上0.6以下である。
条件(1)~(2)を満たすことにより、球状シリカ粒子(A)の平均粒子径(Da50)の範囲を維持しつつ、その比表面積が小さな球状シリカ粒子(X)が得られやすくなる。
[球状シリカ粒子(X)]
本発明に係る製造方法により、より低い誘電正接を達成できる球状シリカ粒子(X)を得ることができる。1つの実施態様において、後述の方法で作成した、球状シリカ粒子(X)を含む樹脂シートの35GHzでの誘電率は、3.0以下であることが好ましい。また、前記樹脂シートの35GHzでの誘電正接は、4.8×10-4未満であることが好ましく、4.5×10-4以下であることがより好ましく、4.0×10-4以下であることがさらに好ましい。
本発明に係る製造方法により得られる球状シリカ粒子(X)の平均粒子径(Dx50)は、1~30μmの範囲とすることができる。また、その平均円形度は、0.85以上とすることができる。また、その平均粒子密度は、1.8~2.4g/cmとすることができる。平均円形度及び平均粒子密度の測定方法については後述する。
[用途]
本発明に係る製造方法により得られる球状シリカ粒子(X)は、樹脂に充填した際に、より低い低誘電正接を達成できる。そのため、樹脂材料用の充填材として好適に利用できる。
[樹脂組成物]
本発明に係る樹脂組成物は、前述の製造方法により調製された球状シリカ粒子(X)と、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選択される少なくとも1つの樹脂とを含む。
樹脂組成物中の球状シリカ粒子(X)の含有量は特に限定されず、目的に応じて適宜調整し得る。例えば、高周波数用基板材料や、絶縁材料用途に用いる場合は、樹脂組成物の総質量に対して、1~95質量%の範囲で配合してもよく、より好ましくは10~80質量%の範囲である。
<樹脂>
本発明に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選択される少なくとも1つの樹脂を含む。より具体的には、例えば、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂;エポキシ樹脂;シリコーン樹脂;フェノール樹脂;メラミン樹脂;ユリア樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;フッ素樹脂;ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等のポリアミド系樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;全芳香族ポリエステル樹脂;ポリスルホン樹脂;液晶ポリマー樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリカーボネート樹脂;マレイミド変性樹脂;ABS樹脂;AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン)樹脂;AES(アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエンゴム-スチレン)樹脂;炭化水素系エラストマー樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;芳香族ポリエン系樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る樹脂組成物を高周波数帯用基板材料や絶縁材料として用いる場合、本用途に用いられる公知の低誘電樹脂を採用できる。具体的には、低誘電樹脂としては、炭化水素系エラストマー樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、及び芳香族ポリエン系樹脂から選択される少なくとも1つの樹脂を用いることができる。このうち、炭化水素系エラストマー樹脂、又はポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。
本発明に係る樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、硬化剤、硬化促進剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、難燃剤、イオン補捉剤等を配合してもよい。
<樹脂組成物の製造方法>
樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、各材料の所定量を撹拌、溶解、混合、分散させることにより製造することができる。これらの混合物の混合、撹拌、分散等の装置は特に限定されないが、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。またこれらの装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
上述の通り、球状シリカ粒子(X)を含む樹脂組成物は、低い誘電率、かつより低い誘電正接を達成できる。また本発明に係る、球状シリカ粒子(X)を含む樹脂組成物は、低粘度であるため流動性がよく、成形性にも優れている。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
球状シリカ粒子(A)として、表1に示す球状シリカ粒子(A-1)(デンカ(株)製、商品名:FB-5D、比表面積2.3m/g)、及び球状シリカ粒子(A-2)(デンカ(株)製、商品名:FB-3SDC、比表面積3.3m/g)を準備した。なお、球状シリカ粒子(A-1)及び(A-2)の平均円形度、平均粒子密度、平均粒子径、比表面積、及び脱離水分量、並びに樹脂シートとした際の誘電率及び誘電正接は、後述する方法に沿って測定した値である。
Figure 2023061871000002
[実施例1]
表1に示す球状シリカ粒子(A-1)2kgを、純水3kgに添加し、室温で6時間攪拌して、粒子濃度40質量%のスラリーを作成した。このスラリーを分級装置(佐竹化学機械工業(株)製、製品名:SATAKE i Classifier(登録商標)標準機)に投入して湿式分級を行った。分級条件は、ローター周速度:26m/s、微粒排出速度:10L/hrとした。微粒が除去されたスラリーをデカンテーションにより上澄み液を取り除き、得られた球状シリカ粒子(B)を110℃で24時間乾燥させた。乾燥後の球状シリカ粒子(B)を乳鉢で解砕して、50gアルミナ坩堝に入れ、電気炉(富士電波工業(株)製、製品名:ハイマルチ(登録商標)10000)にて、窒素雰囲気下、電気炉内温度:1000℃で、4時間加熱処理した。その後、炉内が室温になるまで自然冷却したのち、球状シリカ粒子(X)を回収した。得られた球状シリカ粒子(X)の比表面積、脱離水分子量、平均粒子径、平均円形度、表面フラクタル次元、及び平均粒子密度を以下の方法で測定した。また、球状シリカ粒子(X)の表面状態を以下の方法で観察し、表面の微粒子の有無を確認した。結果を表2に示す。
<脱離水分子数の測定方法>
ガスクロマトグラフ質量分析装置(日本電子(株)製、製品名:JMS-Q1500GC)及び熱分解装置(フロンティアラボ社製、製品名:PY-3030D)を用いて、球状シリカ粒子15μgを、25℃/分の昇温速度で50℃から1000℃までヘリウム雰囲気下で昇温した。得られたマスクロマトグラム(m/z=18)の50℃から1000℃の範囲における面積値を算出し、検量線から水分子の脱離数を算出した。なお検量線としては、標準試料として水酸化アルミニウム試料((株)高純度化学研究所製、製品名:水酸化アルミニウム)の脱離水分子数(m/z=18)の面積値を用いた。具体的には、水酸化アルミニウム標準試料を、ミクロ天秤を用いて、23μg、122μg、270μg精秤し、上記と同じ条件で昇温して、水酸化アルミニウムから脱離した水分子の面積値を測定して検量線を作成した。なお、水酸化アルミニウムの水分量は以下の方法によって算出した。高感度差動型示差熱天秤(NETZSCH社製、製品名:STA 2500 Regulus)を用いて、水酸化アルミニウム粒子((株)高純度化学研究所製、製品名:水酸化アルミニウム、ALI06PB)の200℃から320℃における質量の減少量を測定した(昇温条件:室温(23℃)から800℃まで昇温速度10℃/minで昇温、キャリアガス:空気、測定容器:白金パン、試料量:13mg)。
<比表面積の測定方法>
測定用セルに球状シリカ粒子を1g充填し、全自動比表面積径測定装置(Mountech社製、製品名:Macsorb HM model-1201(BETー点法))を用いて、球状シリカ粒子の比表面積を測定した。なお、測定前の脱気条件は、200℃、10分間とした。
<平均円形度の測定方法>
球状シリカ粒子をカーボンテープで試料台に固定した後、オスミウムコーティングを行った。その後、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JSM-7001F SHL)で撮影した倍率500~50,000倍、解像度1280×1024ピクセルの画像をパソコンに取り込んだ。この画像を、画像解析装置(日本ローパー(株)製、製品名:Image-Pro Premier Ver.9.3)を使用し、粉末の投影面積(S)と投影周囲長(L)を算出してから、下記の式(I)より円形度を算出した。任意の200個の粉末について円形度を算出し、その平均値を平均円形度とした。
円形度=4πS/L ・・・(I)
<平均粒子径の測定方法>
レーザー回折式粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、商品名:LS 13 320)を用いて平均粒子径の測定を行った。まず、ガラスビーカーに50cmの純水と、球状シリカ粒子0.1gとを入れ、超音波ホモジナイザー(BRANSON社製、商品名:SFX250)で1分間、分散処理を行った。分散処理を行った球状シリカ粒子の分散液を、レーザー回折式粒度分布測定装置にスポイトで一滴ずつ添加し、所定量添加してから30秒後に測定を行った。レーザー回折式粒度分布測定装置内のセンサーで検出した球状シリカ粒子の回折/散乱光の光強度分布のデータから、粒度分布を計算した。平均粒子径は、測定される粒子径の体積基準の累積粒度分布において、累積値が50%に相当する粒子径から算出した。
<平均粒子密度の測定方法>
球状シリカ粒子2.0gを測定用試料セルに入れ、乾式密度計((株)島津製作所製、製品名:アキュピックII 1340)を用い、気体(ヘリウム)置換法により平均粒子密度を測定した。
<表面フラクタル次元の測定方法>
球状シリカ粒子を有姿のまま、X線回折分析装置((株)リガク製、製品名:SmartLab)の透過測定用試料セルに設置して、超小角X線散乱法(USAXS)にて以下の条件で粒子を測定した。解析時には、バックグラウンド除去およびデスメアリング処理を実施した。デスメアリング処理は解析ソフトウェア((株)リガク製、製品名:粒径・空孔径解析ソフトウェアNANO-Solver)を用いて行った。
X線管球:Cu Kα、
管電圧・管電流:45kV-200mA、
検出器:シンチレーションカウンター、
スキャン範囲:0.00~0.50deg、
スキャンステップ:0.0006deg、
スキャンスピード:0.03deg/min。
入射側分光結晶:Ge(220)×2、
受光側分光結晶:Ge(220)×2。
<表面フラクタル次元の算出方法>
表面フラクタル次元の算出は以下の方法で行った。まず、下記の式(2)を用いて、散乱角度2θを散乱ベクトルqに換算した。測定X線波長λは0.154nmとした。
q=4πsinθ/λ ・・・(2)
次に、バックグラウンド除去およびデスメアリング処理されたUSAXSパターンに対して、散乱ベクトルqと強度I(q)の関係を示す両対数グラフを作成し、q=0.0124~0.0627nm-1(2θ=0.174~0.0882°)において累乗近似を行った。その近似式における指数部αを、以下の式(3)に代入し、表面フラクタル次元(Ds)を算出した。
Ds=6+α ・・・(3)
<粒子表面の観察>
球状シリカ粒子(X)の表面を電子顕微鏡で観察し、粒子表面の微粒子の有無を評価した。
(評価基準)
合格:球状シリカ粒子(X)表面から微粒子が除去されており、表面凹凸が小さくなっていた。
不合格:球状シリカ粒子(X)表面に微粒子が大量に付着していた。
得られた球状シリカ粒子(X)を樹脂に充填した際の誘電特性を、以下の方法で評価した。
<誘電特性(誘電率及び誘電正接)の評価>
球状シリカ粒子(X)の充填量が40体積%となるように、球状シリカ粒子(X)とポリエチレン樹脂粉末(住友精化(株)製、商品名:フローセン(登録商標)UF-20S)とを計量し、振動式ミキサー(Resodyn社製)を用いて、加速度60G、処理時間2分で混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、厚みが約0.3mmとなる量で直径3cmの金枠内に投入し、ナノインプリント装置(SCIVAX社製、商品名:X-300)にて、140℃、5分、30,000Nの条件でシート化した。得られたシートを1.5cm×1.5cmサイズに切り出して評価サンプルを得た。
次に、36GHz空洞共振器(サムテック社製)をベクトルネットワークアナライザ(キーサイトテクノロジー社製、製品名:85107)に接続し、評価サンプルを空洞共振器に設けられた直径10mmの穴を塞ぐように配置して、共振周波数(f0)、無負荷Q値(Qu)を測定した。1回測定するごとに評価サンプルを60度回転させ、同様の測定を5回繰り返した。得られたf0、Quの値の平均値を測定値として、解析ソフト(サムテック(株)製ソフトウェア)を用いて、f0より誘電率を、Quより誘電正接(tanδc)を算出した。なお、測定温度20℃、湿度60%RHの条件で測定を行った。得られた誘電率及び誘電正接の値を以下の評価基準で評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
<誘電率>
3点:誘電率が3.0以下
2点:誘電率が3.0超3.2以下
1点:誘電率が3.2超3.4以下
0点;誘電率が3.4超
<誘電正接>
3点:誘電正接が4.0×10-4未満
2点:誘電正接が4.0×10-4以上、4.5×10-4未満
1点:誘電正接が4.5×10-4以上、5.0×10-4未満
0点;誘電正接が5.0×10-4以上
<総合評価>
誘電率及び誘電正接の点数を合計し、以下の基準に沿って誘電特性を評価した。
優:誘電率及び誘電正接の点数が共に3点である(合計点が6点)。
良:誘電率又は誘電正接の一方が3点であり、他方が2点である(合計点が5点)。
可:誘電率及び誘電正接の点数が共に2点である(合計点が4点)。
不可:誘電率または誘電正接の一方の点数が2点未満である(合計点が4点以下)。
[実施例2~3、及び比較例1~4]
表2に示す製造条件で球状シリカ粒子(X)を調製した。なお、比較例1~2、及び4は工程(i)(分級工程)を行わずに球状シリカ粒子を製造した例である。各例の球状シリカ粒子(X)について、実施例1と同様の方法で、比表面積、脱離水分子量、平均粒子径、平均円形度、表面フラクタル次元、平均粒子密度を測定した。また、実施例1と同様の方法で粒子の表面状態及び誘電特性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
表2に示す製造条件で球状シリカ粒子(X)を製造した。得られた球状シリカ粒子(X)100質量部に対して、表面処理剤として、ヘキサメチルジシラザン(表2中、「HMDS」と記載)(信越化学工業(株)製、商品名:SZ-31)を1質量部添加した。その後、振動式ミキサー(Resodyn社製、製品名:LabRAM II)にて、加速度60Gで2分間混合処理した後、混合粉末真空乾燥機にて、120℃、-133Pa未満の環境下で24時間乾燥させて、表面処理された球状シリカ粒子(X)を得た。得られた球状シリカ粒子(X)について、実施例1と同様の方法で、比表面積、脱離水分子量、平均粒子径、平均円形度、表面フラクタル次元、及び平均粒子密度を測定した。また、実施例1と同様の方法で粒子の表面状態及び誘電特性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例5]
表2に示す製造条件で球状シリカ粒子(X)を製造した。得られた球状シリカ粒子(X)100質量部に対して、表面処理剤として、ビニルトリエトキシシラン(表2中、「ビニル」と記載)(信越化学工業(株)製、商品名:KBE-1003)を1質量部添加した。その後、振動式ミキサー(Resodyn社製、製品名:LabRAM II)にて、加速度60Gで2分間混合処理した後、混合粉末真空乾燥機にて、120℃、-133Pa未満の環境下で24時間乾燥させて、表面処理された球状シリカ粒子(X)を得た。得られた球状シリカ粒子(X)について、実施例1と同様の方法で、比表面積、脱離水分子量、平均粒子径、平均円形度、表面フラクタル次元、及び平均粒子密度を測定した。また、実施例1と同様の方法で粒子の表面状態及び誘電特性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2023061871000003
表1に示す通り、本発明に係る製造方法により得られた実施例1~5の球状シリカ粒子(X)は、比較例の球状シリカ粒子よりも低い誘電正接を有していた。また、これら実施例1~5の球状シリカ粒子(X)を電子顕微鏡で観察した結果、粒子の表面から微粒子が除去されていた。一方、工程(i)を実施しなかった比較例1~2では、樹脂シートの誘電正接の値が高かった。比較例1~2は工程(i)を行わなかったことで、球状シリカ粒子の微粒を除去できていなかった。これらのことから、吸着水や極性官能基の低減が不十分であり、結果として誘電正接の値が悪化したものと推察される。また、工程(ii)を1300℃で実施した比較例3でも、樹脂シートの誘電正接の値が高かった。比較例3では、樹脂シート内での分散が実施例と比較して悪いことや、処理温度が高いことで欠陥が増加したことから、誘電正接が悪化したと推察される。さらに、工程(i)を実施しない代わりに、球状シリカ粒子(A)を1200℃の高温で8時間熱処理して製造した比較例4の球状シリカ粒子も、樹脂シートの誘電正接の値が高かった。比較例4は比表面積が大きく、吸着水や官能基量を低減させるには処理温度を高くする必要があり、その結果、比較例3同様、樹脂シート内での分散が実施例と比較して悪いことや、処理温度が高いことで粒子内の欠陥が増加したことが理由であると考えられる。以上の結果より、本発明に係る製造方法によって得られた球状シリカ粒子(X)は、樹脂に充填した際に、より低い誘電正接を達成できることが確認できた。

Claims (8)

  1. 非晶質の球状シリカ粒子(A)を分級したのち、800~1200℃で熱処理することを含む、球状シリカ粒子(X)の製造方法。
  2. 前記分級工程が湿式分級を含む、請求項1に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
  3. 前記分級工程が、前記球状シリカ粒子(A)を分級して、表面フラクタル次元が1.0~2.3の球状シリカ粒子(B)を調製することを含む、請求項1または2に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
  4. 前記分級工程が、前記球状シリカ粒子(A)表面の異物を除去することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
  5. 前記球状シリカ粒子(A)が粉末溶融法により得られた非晶質の球状シリカ粒子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
  6. 前記分級工程が湿式分級であり、前記湿式分級が、少なくとも水を含む分散媒と、前記球状シリカ粒子(A)とを含むスラリーを用いて行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
  7. 前記球状シリカ粒子(X)の比表面積が0.1~2.0m/gである、請求項1から6のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
  8. 前記球状シリカ粒子(A)及び前記球状シリカ粒子(X)の平均粒子径及び比表面積が、下記の条件(1)~(2)を満たす、請求項1から7のいずれか一項に記載の球状シリカ粒子(X)の製造方法。
    条件(1):前記球状シリカ粒子(A)の平均粒子径(Da50)に対する、前記球状シリカ粒子(X)の平均粒子径(Dx50)((Dx50)/(Da50))が、0.8以上1.2以下である。
    条件(2):前記球状シリカ粒子(A)の比表面積(Sa)に対する、前記球状シリカ粒子(X)の比表面積(Sx)((Sx)/(Sa))が、0.2以上0.6以下である。
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