JP2023061709A - 水系塗料組成物及び塗装物品 - Google Patents

水系塗料組成物及び塗装物品 Download PDF

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Abstract

【課題】低臭気で、光沢を有し、タック感を抑え、耐水性及び低温成膜性に優れる塗膜を形成可能な水系塗料組成物を提供する。【解決手段】特定のガラス転移温度を有するアクリル樹脂(A)及び(B)を特定の質量比で含むと共に、アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物及び沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物よりなる群から選ばれる中和剤(C)を含み、前記アクリル樹脂(A)及び前記アクリル樹脂(B)はそれぞれエマルションの形態で分散している水系塗料組成物であって、沸点260℃以下の有機化合物の含有量は3.0質量%以下であり、特定のアンモニア濃度の測定方法によって測定されるアンモニア濃度が12体積ppm以下であり、前記水系塗料組成物から得られる塗膜の60°における光沢度が10以上であることを特徴とする水系塗料組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、水系塗料組成物及び該水系塗料組成物を用いた塗装物品に関し、特には、低臭気で、光沢を有し、タック感を抑え、耐水性及び低温成膜性に優れる塗膜を形成可能な水系塗料組成物に関するものである。
近年、内外装建築塗料、とりわけ屋内塗料において、大気汚染の問題、臭気、安全性などの観点から、溶剤系塗料から水性塗料への転換が要望され、現在ではほとんどの用途で水性エマルジョンをバインダーとした水性塗料が主流を占めている。しかしながら水性塗料に含まれる少量の揮発性有機化合物(VOC)が、依然臭気の問題として残されており、そのさらなる削減が強く要請されるようになってきた。
水性エマルジョン及びそれを用いた塗料では、残存モノマー量が微量であっても、特にアクリル系モノマーに由来する臭気が問題であり、その削減が強く要請されてきた。また、塗料の塗装作業性や安定性、被塗物への接着力を確保するための成分としてエマルジョン中に少量のカルボン酸などの酸性基含有重合性不飽和モノマーが共重合されている。従来この中和剤としては各種アミン類や、VOCには含まれないがアンモニアなどの揮発性アルカリが用いられ、これらの臭気も問題となっており、その削減が強く要請されてきた。
例えば、アンモニアに代えて他の中和剤を使用する手法も知られている。この手法により臭気の問題は解消できるものの、耐水性が低下するという別の問題が生じていた。このような課題に対して、国際公開第2020/184722号(特許文献1)では、臭気成分の使用を避けるために、アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物又は沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物を中和剤として使用した上で、更にアクリル樹脂の原料の一部に反応性乳化剤を用いたことによって、該中和剤の使用により起こり得る耐水性の低下を抑制できることが記載されている。
国際公開第2020/184722号
本発明者は、低臭気で且つ艶のある塗膜の形成に適した塗料組成物について検討していたところ、光沢を有する塗膜(有光沢塗膜)には、タック感(べたつき感)が生じる場合や耐水性が低くなる場合があることが分かった。タック感を抑え、耐水性を向上させるためにガラス転移温度の高い樹脂を用いる手法も考えられたが、この場合、成膜助剤を多く配合することが必要になり、成膜助剤に由来する臭気が生じる問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、低臭気で、光沢を有し、タック感を抑え、耐水性及び低温成膜性に優れる塗膜を形成可能な水系塗料組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる水系塗料組成物を用いた塗装物品を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、光沢を有する塗膜を形成するための塗料組成物において、臭気成分の使用を避けるために、アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物又は沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物を中和剤として使用した上で、特定のガラス転移温度を有する2種類のアクリル樹脂を特定量で併用することで、成膜助剤を使用しなくても成膜が可能であって、低臭気で、光沢を有し、タック感を抑え、耐水性及び低温成膜性に優れる塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって、本発明に従う水系塗料組成物は、ガラス転移温度が5℃未満のアクリル樹脂(A)と、ガラス転移温度が5℃以上100℃以下のアクリル樹脂(B)と、アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物及び沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物よりなる群から選ばれる中和剤(C)とを含み、前記アクリル樹脂(A)及び前記アクリル樹脂(B)はそれぞれエマルションの形態で分散している水系塗料組成物であって、前記アクリル樹脂(A)と前記アクリル樹脂(B)の質量比(A)/(B)が50/50~90/10であり、沸点260℃以下の有機化合物の含有量は3.0質量%以下であり、以下に示すアンモニア濃度の測定方法によって測定されるアンモニア濃度が12体積ppm以下であり、前記水系塗料組成物から得られる塗膜の60°における光沢度が10以上であることを特徴とする水系塗料組成物である。
<アンモニア濃度の測定方法>
3Lのポリフッ化ビニル製サンプリングバッグに3Lの無臭空気を満たし、該サンプリングバッグの中に塗料組成物を20g注入し、該サンプリングバッグを密閉する。その後、23℃にて30分静置させた後、アンモニアガス検知管を用いてサンプリングバッグ中のアンモニア濃度を測定する。
本発明に従う水系塗料組成物の好適例において、前記アクリル樹脂(B)のガラス転移温度は、10~70℃である。
本発明に従う水系塗料組成物の他の好適例においては、前記水系塗料組成物から得られる塗膜の60°における光沢度が70~90である。
本発明に従う水系塗料組成物の他の好適例においては、更に、着色顔料(D)を含む。
本発明に従う水系塗料組成物の他の好適例においては、沸点260℃以下の有機化合物を含まない。
また、本発明に従う塗装物品は、本発明に従う水系塗料組成物を建築物の内装基材に塗布して得られる塗装物品である。
本発明に従う水系塗料組成物によれば、低臭気で、光沢を有し、タック感を抑え、耐水性及び低温成膜性に優れる塗膜を形成可能な水系塗料組成物を提供することができる。また、本発明に従う塗装物品によれば、かかる水系塗料組成物を用いた塗装物品を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の1つの態様は、ガラス転移温度が5℃未満のアクリル樹脂(A)と、ガラス転移温度が5℃以上100℃以下のアクリル樹脂(B)と、アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物及び沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物よりなる群から選ばれる中和剤(C)とを含む塗料組成物である。本明細書では、この塗料組成物を「本発明の水系塗料組成物」又は「本発明の塗料組成物」とも称する。
本発明の塗料組成物は、アクリル樹脂を含む。本明細書において、アクリル樹脂は、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類の重合体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸並びにそのエステル、アミド及びニトリル等から選択されるアクリル成分の1種又は複数種を重合させて得られる重合体が挙げられ、更には、アクリル成分と、例えば、スチレン等の非アクリル成分とを重合させて得られる重合体も含まれる。
アクリル成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体や、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の官能基含有モノマー等が挙げられる。また、アクリル酸やメタクリル酸;アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等のアミド系モノマー;γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、及びγ-(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体等もアクリル成分に含まれる。
アクリル樹脂を構成する成分全体に対するアクリル成分の割合は、例えば、40~100質量%である。ここでのアクリル成分の割合は、塗料組成物に含まれるアクリル樹脂全体についての説明であるが、後述するアクリル樹脂(A)及びアクリル樹脂(B)のそれぞれについても当てはまることである。
非アクリル成分としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、ビニルバーサチック酸等のカルボキシル基含有単量体;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー;酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル系モノマー;マレイン酸アミド等のアミド系モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体;ジアルキルフマレート、アリルアルコール、ビニルピリジン、ブタジエン等が挙げられる。
本発明の塗料組成物において、不揮発分中のアクリル樹脂の量は、15質量%以上100質量%未満であることが好ましく、15~99質量%であることがより好ましく、15~80質量%であることが更に好ましい。アクリル樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物中の不揮発分の含有量は、30~80質量%であることが好ましい。本明細書において、不揮発分とは、溶媒等の揮発する成分を除いた成分を指し、最終的に塗膜を形成することになる成分であるが、本発明においては、塗料組成物を130℃で60分間乾燥させた際に残存する成分を不揮発分として取り扱う。
本発明の塗料組成物は、異なるガラス転移温度を有する2種類のアクリル樹脂を含む。1つは、ガラス転移温度が5℃未満のアクリル樹脂であり、もう一つは、ガラス転移温度が5℃以上100℃以下のアクリル樹脂である。本明細書では、ガラス転移温度が5℃未満のアクリル樹脂を「アクリル樹脂(A)」とも称し、ガラス転移温度が5℃以上100℃以下のアクリル樹脂を「アクリル樹脂(B)」とも称する。
アクリル樹脂(A)は、ガラス転移温度が5℃未満のアクリル樹脂であり、成膜性を向上させることができる。このため、アクリル樹脂(B)を用いる場合であっても、アクリル樹脂(A)を併用することで、成膜助剤を使用せずに、低温成膜性を確保することができる。アクリル樹脂(A)のガラス転移温度は、0℃以下であることが好ましく、-50~0℃であることがより好ましく、-10~0℃であることが更に好ましい。
アクリル樹脂(B)は、ガラス転移温度が5℃以上100℃以下のアクリル樹脂であり、塗膜のタック感(べたつき感)を抑えると共に、塗膜の耐水性を向上させることができる。例えば、有光沢塗膜、特には艶のある塗膜を形成させる場合、タック感(べたつき感)や耐水性が課題となり得ることから、アクリル樹脂(B)を用いることは効果的である。他方で、アクリル樹脂(B)の使用の際には、通常、成膜助剤の使用が求められることから、臭気の課題が存在していた。しかしながら、本発明によれば、ガラス転移温度が5℃以上100℃以下のアクリル樹脂(B)と共に、ガラス転移温度が5℃未満のアクリル樹脂を用いたことで、良好な成膜が可能となり、成膜助剤の使用を回避することができる。アクリル樹脂(B)のガラス転移温度は、10~70℃であるであることが好ましく、20~60℃であることがより好ましい。
本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)の質量比(A)/(B)、即ちアクリル樹脂(A)/アクリル樹脂(B)の質量比は、50/50~90/10であることが好ましく、60/40~80/20であることがより好ましい。アクリル樹脂(A)とアクリル樹脂(B)をこのような質量比で使用することで、成膜助剤を使用しなくとも、タック感を抑え、耐水性及び低温成膜性に優れる塗膜を形成可能な塗料組成物を提供することができる。なお、アクリル樹脂(B)に代えて、ガラス転移温度が100℃を超えるアクリル樹脂を用いる場合には、成膜不良が生じる恐れがある。
本明細書において、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、次のFOX式を用いて計算されるものをいう。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・+Wn/Tgn
FOX式において、Tgは、n種類のモノマーからなるポリマーのガラス転移温度(K)であり、Tg(1、2、i、n)は、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)であり、W(1、2、i、n)は、各モノマーの質量分率であり、W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1である。
ホモポリマーのガラス転移温度は技術常識であるが、ガラス転移温度が不明の単量体を用いる場合、その単量体のガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)、示差熱量分析(DTA)、熱機械分析(TMA)等によって求めることができる。
本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂は、反応性乳化剤に由来する構成単位を含むアクリル樹脂であってもよい。反応性乳化剤を構成単位として含むことで、塗料組成物より得られる塗膜からの乳化剤の溶出が抑えられ、塗膜の耐水性を向上させることができる。更に、反応性乳化剤を構成単位として含むことにより、低温安定性も合わせて向上させることができる。このため、例えばJIS K5663:2008の「7.6 低温安定性試験」に規定されるように、塗料に対して凍結と融解を繰り返し行った場合であっても、融解後の塗料は元の性状に戻ることが可能である。また、乳化剤とは、一般に、乳濁液を形成させるのを容易にするか又は乳濁液の安定性を助成するために使用されるものであるが、反応性乳化剤である場合には、重合時にモノマーとしてポリマーの構成単位として組み込まれるため、乳化剤のブリードアウトを抑制できる観点からも好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、アニオン性又はノニオン性の反応性乳化剤が挙げられる。
反応性乳化剤は、乳濁液の安定性の観点から、ポリアルキレングリコール鎖を有することが好ましい。ポリアルキレングリコール鎖としては、例えばポリエチレングリコール鎖やポリプロピレングリコール鎖等が挙げられる。また、反応性乳化剤は、耐水性及び乳濁液の安定性の観点から、分子量が200~3500の範囲内であることが好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有する乳化剤が挙げられる。こうした反応性乳化剤は、乳化機能を有するだけでなく、分子中にビニル基等の重合性の不飽和結合、及び、親水性基を持つ重合性単量体でもある。通常の乳化剤が生成粒子表面に吸着するだけであるのに対し、反応性乳化剤は、重合体の重合過程において、全てではないが、重合体の一成分として重合体に組み込まれることがあるため、塗膜形成後、例えば水蒸気等の外的な要因によって乳化剤が重合体から遊離しない、あるいは、遊離しにくいといった特徴を有する。
アニオン系反応性乳化剤としては、例えば、アルキルエーテル型(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のアクアロンKH-05、KH-10、株式会社ADEKA製のアデカリアソープSR-10、SR-1025、SR-20、R-3025、花王株式会社製のラテムルPD-104等)、スルフォコハク酸エステル型(市販品としては、例えば、花王株式会社製のラテムルS-120、S-120A、S-180P、S-180A、三洋化成株式会社製のエレミノールJS-20等)、アルキルフェニルエーテル型もしくはアルキルフェニルエステル型(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のアクアロンHS-10、HS-1025、AR-10、AR-1025、AR-20、AR-2020、BC-10、BC-1025、BC-20、BC-2020、株式会社ADEKA製のアデカリアソープSE-10N、SE-1025A等)、(メタ)アクリレート硫酸エステル型(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製のアントックスMS-60、SAD、MS-2N、三洋化成工業株式会社製のエレミノールRS-3000等)、リン酸エステル型(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のH-3330PL、株式会社ADEKA製のアデカリアソープPP-70等)等が挙げられる。
ノニオン系反応性乳化剤としては、例えば、アルキルエーテル型(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のアクアロンKN-10、KN-20、KN-30、KN-5065、株式会社ADEKA製のアデカリアソープER-10、ER-20、ER-30、ER-40、花王株式会社製のラテムルPD-420、PD-430、PD-450等)、アルキルフェニルエーテル型もしくはアルキルフェニルエステル型(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のアクアロンRN-10、RN-20、RN-30、RN-50、AN-10、AN-20、AN-30、AN-5065、株式会社ADEKA製のアデカリアソープNE-10、NE-20、NE-30等)、(メタ)アクリレートエステル型(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製のMA-50A、MA-100A、MPG-130MA、日油株式会社製のブレンマーPE-90、PP-1000、50PEP-300、AE-200、AP-400等)等が挙げられる。
本発明の塗料組成物においては、アクリル樹脂(A)及びアクリル樹脂(B)の一方又は両方が、反応性乳化剤に由来する構成単位を含むアクリル樹脂であってもよい。
アクリル樹脂を構成する成分全体に対する反応性乳化剤の割合は、例えば、0.5~10質量%の範囲であることが好ましい。反応性乳化剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂は、酸性基含有モノマーに由来する構成単位を含むアクリル樹脂であることが好ましい。酸性基含有モノマーを用いることで、塗膜の付着性を向上させることができる。酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。酸性基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、ビニルバーサチック酸等のカルボキシル基含有モノマーやt-ブチルアクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマーが挙げられる。本発明の塗料組成物においては、アクリル樹脂(A)及びアクリル樹脂(B)の一方又は両方が、酸性基含有モノマーに由来する構成単位を含むアクリル樹脂であってもよい。
アクリル樹脂を構成する成分全体に対する酸性基含有モノマーの割合は、例えば、0.1~5質量%の範囲であることが好ましい。ここでの酸性基含有モノマーの割合は、塗料組成物に含まれるアクリル樹脂全体についての説明であるが、アクリル樹脂(A)及びアクリル樹脂(B)のそれぞれについても当てはまることである。酸性基含有モノマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂は、エマルションの形態で該塗料組成物中に分散していることが好ましく、アクリル樹脂(A)及びアクリル樹脂(B)はそれぞれエマルションの形態で分散していることが好ましい。このため、本発明の塗料組成物を調製する際には、アクリル樹脂エマルションを用いることが好ましい。アクリル樹脂エマルションは、アクリル樹脂が水中に安定して分散している乳濁液を意味し、必要に応じて乳化剤等の添加剤が含まれる。なお、このように樹脂がエマルションの形態で分散している塗料は、エマルション塗料とも称される。
本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂エマルションは、例えば、水を媒体とし、水中で乳化重合を行うことによって調製できる。より好ましくは、乳化重合によって得られる均一構造を有するアクリル樹脂エマルション、多段階の乳化重合法によって得られる異相構造を有するアクリル樹脂エマルション等が挙げられ、これらの両方を一緒に用いてもよい。或いは、アクリル樹脂エマルションを以下のように調製することもできる。例えば、高速攪拌機等を使用することにより強制的なせん断力を加えながら、アクリル樹脂を水中で乳化させることによって調製してもよい。有機溶剤媒体中にて重合してなるアクリル樹脂に対して、水中への相転換を行うことによってアクリル樹脂エマルションを調製でき、必要に応じて蒸留等によってアクリル樹脂エマルション中に含まれる有機溶剤を除去してもよい。
更に、得られる塗膜の機能を向上させるため、アクリル樹脂に架橋構造を導入することも可能である。一般的に架橋構造は、“粒子内部架橋構造”と“粒子間架橋構造”の2種に大別される。
この“粒子内架橋構造”や“粒子間架橋構造”をアクリル樹脂に導入することで、塗膜とした時の強靱性、耐ブロッキング性、不粘着性、タック感の抑制等の塗膜性能を大幅に向上させ得ることができる。
粒子内架橋及び粒子間架橋構造を得るためには、例えば、以下に示す方法を用いればよい。
粒子内架橋:分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上有するモノマーを用いる。
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等を使用する方法;乳化重合反応時の温度にて相互に反応する官能基を持つモノマーを用いる方法、例えば、カルボキシル基とグリシジル基や、水酸基とイソシアネート基等の官能基の組み合わせを持つモノマーを用いる方法;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解縮合反応する加水分解性シリル基含有モノマーを用いる方法等が挙げられる。
粒子間架橋:カルボニル基を有するモノマーを共重合させ、その後、分子中に2個以上のヒドラジド基を有する化合物(硬化剤)を混合する方法が最も代表的な方法として挙げられる。
カルボニル基含有モノマーとしては、例えば、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルオキシアルキルプロパナール、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート-アセチルアセテート、ブタンジオール-1,4-アクリレート-アセチルアクリレート、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン等が挙げられる。特に、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド及びビニルエチルケトンが好ましい。一方、上記カルボニル基の対となる、分子中に2個以上のヒドラジド基を有する化合物としては、例えば、カルボヒドラジドや、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン2酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4-ベンゼントリヒドラジド、及びチオカルボジヒドラジド等が挙げられる。これらの中でも、エマルションへの分散性や耐水性のバランスからカルボヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド及びコハク酸ジヒドラジドが好ましい。
乳化重合には、一般的に乳化重合で使用される界面活性剤を乳化剤として使用することができる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩や、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基又は硫酸エステル基と重合性の炭素-炭素不飽和二重結合を分子中に有する、いわゆる反応性乳化剤等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテルや、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、又は前述の骨格と重合性の炭素-炭素不飽和二重結合を分子中に有する反応性ノニオン性界面活性剤等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩や、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、アンモニウム塩であるアニオン性界面活性剤は、耐水性の効果が高く好ましい。
本発明において、アクリル樹脂エマルションの調製には、反応性乳化剤と非反応性乳化剤を併用してもよい。
本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂エマルションは、pHが7~10であることが好ましい。例えば中和剤を用いてアクリル樹脂エマルションのpHを上記特定した範囲内に調整することができる。アクリル樹脂エマルションのpHが7未満では、貯蔵時の安定性、塗料の機械的安定性等の種々の安定性が低下する恐れがあり、一方、10を超えると、乾燥が遅くなる場合もある。ここで使用できる中和剤としては、後述するような、アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物及び沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物よりなる群から選ばれる中和剤であることが好ましい。
アクリル樹脂エマルションには、アクリル樹脂の原料として使用したアクリル成分や非アクリル成分が重合せずに残留し得る。また、アクリル樹脂エマルションの原料がアンモニアやVOC化合物を含んでいる場合もある。このように残留している未反応モノマーやアンモニアやVOC化合物は、臭気の発生を抑制する観点から、除去することが好ましい。このため、アクリル樹脂エマルションの調製中又は調製後に減圧下でこれらを除去することが好ましい。
本発明の塗料組成物において、アクリル樹脂(A)及びアクリル樹脂(B)は、それぞれ独立して、その体積平均粒子径が30~300nmであることが好ましく、60~300nmであることが更に好ましい。本発明の塗料組成物中に分散しているアクリル樹脂の体積平均粒子径を30~300nmに調整することで、低温成膜性や低温安定性を向上させることができる。
本明細書において、体積平均粒子径は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、粒度分布測定装置(例えばレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
本発明の塗料組成物は、アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物及び沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物よりなる群から選ばれる中和剤を含む。本明細書では、この中和剤を「中和剤(C)」とも称する。中和剤として使用できるアルカリ性の無機化合物は、アンモニアを除けば、無臭であるか、低臭気であるため、塗料組成物の臭気の発生を抑える観点から好適である。また、中和剤として使用できるアルカリ性の有機化合物についても、沸点が260℃を超えるものであれば、通常、塗装の際に蒸発せず、塗膜中に残存するため、塗料組成物の臭気の発生を抑える観点から好適である。本明細書において、沸点は、1気圧での沸点である。
本発明の塗料組成物において、中和剤として使用できるアルカリ性の無機化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられ、これらの中でも水酸化ナトリウムが好ましい。
本発明の塗料組成物において、中和剤として使用できるアルカリ性の有機化合物としては、例えばアミン化合物、具体的には酸基とイオン対を形成可能なアミン化合物である。ここで、沸点260℃超のアミン化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン等が挙げられる。
本発明の塗料組成物において、中和剤の含有量は特に制限されるものではないが、上述したアクリル樹脂エマルションや塗料組成物のpHが7~10となるように中和剤を用いることが好ましい。本発明の塗料組成物に含まれる中和剤の一部又は全部がアクリル樹脂エマルションに含まれていることが好ましい。中和剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物において、不揮発分中におけるアクリル樹脂と中和剤を合わせた含有量は、15~100質量%であることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、着色顔料を含んでもよい。本明細書では、着色顔料を「着色顔料(D)」とも称する。着色顔料としては、特に限定されるものではなく、塗料業界において通常使用されている顔料を使用できる。具体例としては、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料やフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。本発明の塗料組成物において、不揮発分中の着色顔料の量は、1~80質量%であることが好ましく、20~75質量%であることが更に好ましい。着色顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物は、体質顔料を含んでもよい。体質顔料としては、例えば、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー等が挙げられる。カオリン、シリカ及び炭酸カルシウムは、低臭気であることから、好ましい体質顔料である。本発明の塗料組成物において、不揮発分中の体質顔料の量は、1~65質量%であることが好ましい。体質顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、体質顔料は、塗膜の光沢を調整する観点から使用される場合がある。
本発明の塗料組成物は、メタリック顔料、光輝顔料、鱗片状顔料等に分類される他の顔料を含んでもよい。例えば、アルミニウム粉顔料、ニッケル粉顔料、金粉、銀粉、ブロンズ粉、銅粉、ステンレス粉顔料、マイカ(雲母)顔料、グラファイト顔料、ガラスフレーク顔料や、金属コーティングした硝子粉、金属コーティングしたマイカ粉、金属コーティングしたプラスチック粉、鱗片状酸化鉄顔料等が挙げられる。
本発明の一実施形態においては、塗膜の着色やツヤ、塗装作業性、塗膜の強度、物性等に応じて適宜選択して顔料を使用できる。本発明の塗料組成物において、不揮発分中の顔料の量は、0~80質量%であることが好ましい。なお、顔料を含まない場合、本発明の塗料組成物は、クリヤー塗料として使用できる。
本発明の塗料組成物は、消泡剤を含んでもよい。消泡剤は市販されているものを適宜使用できるが、中でも臭気が少ないものを使用するのが好ましい。消泡剤は、一般にキャリアオイルによってミネラルオイル系、シリコーン系、ポリエーテル系などに分類され、通常、キャリアの他、疎水性シリカ、ワックス、アマイド、金属石鹸等の核剤を構成成分として含むものである。本発明の塗料組成物中の消泡剤の量は、0.01~5質量%であることが好ましい。消泡剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物は、粘性調整剤を含んでもよい。粘性調整剤としては、ポリアクリル酸系粘性調整剤やポリウレタン系粘性調整剤であることが好ましい。ポリアクリル酸系粘性調整剤は、例えば、アクリル酸又はそのエステル、アミド及びニトリル等から選択されるアクリル成分の1種又は複数種を重合させて得られる重合体のアミン塩、アマイド塩又はナトリウム塩であり、分子内に複数のカルボキシル基又はその塩を有する。ポリアクリル酸系粘性調整剤の市販品として、例えば、チクゾールK-130B(共栄社、ポリアクリル酸脂肪族ポリアマイドの水分散液)等がある。ポリウレタン系粘性調整剤としては、例えば、水酸基とイソシアネート基の反応から形成されるウレタン部位と親水性部位を分子内に有する化合物や、アミノ基とイソシアネート基の反応から形成されるウレア部位と親水性部位を分子内に有する化合物、又はウレタン部位、ウレア部位及び親水性部位を分子内に有する化合物が挙げられる。ポリウレタン系粘性調整剤の市販品として、例えば、BYK-7420ES(BYK、ウレアウレタン溶液)等がある。
本発明の塗料組成物中の粘性調整剤の量は、例えば0~5質量%であり、0.15~3質量%であることが好ましい。粘性調整剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物は、水系の塗料組成物である。本明細書において、水系塗料組成物とは、主溶媒として水を含有する塗料組成物である。ここで、塗料組成物に用いる水は、特に制限されるものではなく、イオン交換水や蒸留水等の純水等が好適に挙げられるが、地下水や水道水であってもよい。また、塗料組成物を長期保存する場合には、カビやバクテリアの発生を防止するため、紫外線照射等により滅菌処理した水を用いてもよい。本発明の塗料組成物中において、水の量は、20~70質量%であることが好ましい。また、本発明の塗料組成物は、完全水系化することも可能であり、使用される溶媒中の水の割合は、好ましくは85質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。
本発明の水系塗料組成物には、その他の成分として、他の樹脂、表面調整剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、増粘剤、沈降防止剤、皮張り防止剤、たれ防止剤、色分かれ防止剤、ツヤ消剤、レベリング剤、乾燥剤、可塑剤、成膜助剤、防カビ剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、防腐剤、殺虫剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び導電性付与剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら成分は、市販品を好適に使用することができる。
本発明の水系塗料組成物に有機溶剤(例えば、成膜助剤や添加剤中に含まれる有機溶剤等)が使用される場合もあるが、本発明の塗料組成物中において、有機溶剤の含有量は、好ましくは15質量%以下、最も好ましくは0質量%である。また、本発明の好ましい実施形態では、成膜助剤を使用しないことが好ましい。
本発明の水系塗料組成物は、臭気の発生を抑える観点から、沸点260℃以下の有機化合物の含有量が3.0質量%以下であることが好ましく、沸点260℃以下の有機化合物を含まないことが特に好ましい。塗料組成物に使用される沸点260℃以下の有機化合物としては、例えば、有機溶剤等が挙げられる。
本発明の塗料組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製できる。本発明の塗料組成物は、1液型でも2液型でもよいが、1液型として使用することが好ましく、常温乾燥形水系塗料組成物であることが好ましい。ここで「常温」とは5~35℃であり、本発明の塗料組成物によれば、23℃の場合、16時間以内、5℃の場合でも、24時間以内という短時間での乾燥も可能である。
本発明の塗料組成物(エマルション塗料)及び該塗料組成物に配合し得るアクリル樹脂エマルションは、最低造膜温度が5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることが更に好ましい。本明細書において、最低造膜温度は、JIS K6828-2:2003に準じて測定される。
本発明の塗料組成物は、せん断速度0.1s-1の粘度が0.1~10,000Pa・sであり、且つせん断速度1,000s-1の粘度が0.05~10Pa・sであることが好ましい。本明細書において、粘度は、レオメーター(TAインスツルメンツ社製レオメーターARES等)を用い、液温を23℃に調整した後測定される。
本発明の塗料組成物は、以下に示すアンモニア濃度の測定方法によって測定されるアンモニア濃度が12体積ppm以下であることが好ましい。
<アンモニア濃度の測定方法>
3Lのポリフッ化ビニル製サンプリングバッグに3Lの無臭空気を満たし、該サンプリングバッグの中に塗料組成物を20g注入し、該サンプリングバッグを密閉する。その後、23℃にて30分静置させた後、アンモニアガス検知管を用いてサンプリングバッグ中のアンモニア濃度を測定する。
本明細書において、無臭空気は、臭気分析に使用される一般的な無臭空気を使用でき、通常、活性炭により不純物を除去した空気を無臭空気として用いる。
また、本発明の塗料組成物は、以下に示す測定方法によって測定される未反応モノマーの濃度が100体積ppm以下であることが好ましい。
<未反応モノマーの濃度の測定方法>
3Lのポリフッ化ビニル製サンプリングバッグに3Lの無臭空気を満たし、該サンプリングバッグの中に塗料組成物を20g注入し、該サンプリングバッグを密閉した後、23℃にて30分静置し、対象とするモノマーを検出可能な検知管を用いてサンプリングバッグ中の未反応モノマーの濃度を測定する。
本明細書において、無臭空気は、臭気分析に使用される一般的な無臭空気を使用でき、通常、活性炭により不純物を除去した空気を無臭空気として用いる。
本発明の塗料組成物は、該塗料組成物から得られる塗膜の60°における光沢度が10以上であることが好ましく、例えば、艶有り塗膜を形成する場合には、該塗料組成物から得られる塗膜の60°における光沢度が70~90であることが好ましい。
本明細書において、60°における光沢度は、JIS K5600-4-7(ISO 2813:1994)で規定される60°における鏡面光沢度(D60)により、例えば、日本電色株式会社製 光沢計VG-2000を用いて測定可能である。
本発明の塗料組成物の塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、コテ塗装、ヘラ塗装、フローコーター塗装、スプレー塗装(例えばエアースプレー塗装、エアレススプレー塗装)等が利用できる。
本発明の塗料組成物の乾燥手段は、特に限定されず、周囲温度での自然乾燥や乾燥機等を用いた強制乾燥のいずれであってもよい。
本発明の別の態様は、本発明の水系塗料組成物を基材上に塗布して得られる塗装物品である。本明細書では、この塗装物品を「本発明の塗装物品」とも称する。本発明の塗装物品は、本発明の水系塗料組成物から得られる塗膜を基材上に有する塗装物品と言い換えることも可能である。
本発明の水系塗料組成物から得られる塗膜の膜厚は、例えば20~80μmである。
本発明の塗装物品において、基材としては、例えば、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)等のプラスチック基材、鉄鋼、亜鉛めっき鋼、錫めっき鋼、ステンレス鋼、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属基材、セメント、モルタル、コンクリート、スレート、石膏、ケイ酸カルシウム、ガラス、セラミック、炭酸カルシウム、大理石、人工大理石等の金属以外の無機質基材、木材等の木質基材、これら基材の2種以上の材料を組み合わせたような複合基材等が挙げられる。また、複合基材としては、例えば、木繊維補強セメント板、繊維補強セメント板、繊維補強セメント・珪酸カルシウム板等の複合基材、各種表面処理、例えば酸化処理が施された金属基材、その表面が無機物で被覆されているようなプラスチック基材(例えば、ガラス質で被覆されたプラスチック基材)等が挙げられる。
基材は、様々な形状のものがあり、例えば、板状の基材等がある。基材の表面は、平滑であってもよいし、凹凸を有していてもよい。
基材の具体例としては、建築物や構築物等の構造物、車両(自動車等)、家具、建具、電子機器(家電機器等)や、それらの部品が好適に挙げられる。ここで、本発明の塗装物品は、構造物の内外装用(内装用及び/又は外装用)の基材として好適である。本発明において、建築物とは、人間が居住又は滞在する目的で建築された構造物を意味し、例えば住宅(特には戸建や集合住宅)やビル、工場等が挙げられ、構築物とは、人間が居住又は滞在する目的以外のために建設された構造物を意味し、例えば橋梁、タンク、プラント配管、煙突等が挙げられる。また、構造物の部材としては、例えば屋根や壁(内壁や外壁など、特にはカーテンウォール)等が挙げられる。
本発明の塗装物品は、建材、特に建築板であることが好ましい。建築基材の具体例としては、例えば、単板、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質建材;窯業系サイディングボード、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグバーライト板、木片セメント板、石綿セメント板、パルプセメント板、プレキャストコンクリート板、軽量気泡コンクリート(ALC)板またはALCパネル、石膏ボード等の窯業建材;金属サイディングボード、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属建材等の各種建材(特に建築板)が好適に挙げられる。また、基材の具体例として、塩ビシート、ターポリン、プラダン(プラスチック製ダンボール)、アクリル板等のプラスチック基材、タイル、ガラス板等も挙げられる。
基材は、その表面に、脱脂処理、化成処理、研磨等の前処理や、シーラー、プライマー塗装等が施されていてもよい。例えば、基材が、窯業建材等の塗料を過度に吸い込む可能性のある基材(特に多孔性基材)である場合、基材の表面がシーラーで塗装され、基材上にシーラー層が形成されている場合がある。また、基材が、金属建材等である場合には、基材の表面がプライマーで塗装され、基材上にプライマー層が形成されている場合がある。
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の塗料組成物を建築物の内装基材に塗布することができる。
本発明の塗装物品は、本発明の塗料組成物が基材に直接塗布する態様に限定されるのではなく、基材上に塗膜層が形成され、該塗膜層上に本発明の塗料組成物を塗布する態様も含まれる。
本発明の水系塗料組成物から得られる塗膜と基材の間に形成され得る塗膜層は、1層でも複数層でもよく、様々な目的から塗装されている。例えば、基材上に意匠を施す場合には意匠層を塗装することができ、また、基材の表面を保護する場合には保護層を塗装することができ、また、本発明の水系塗料組成物から得られる塗膜と基材の付着性を向上させる目的で塗膜層を塗装することもできる。塗膜層は、異なる目的から複数の塗膜層で構成されてもよく、例えば、意匠層と保護層とが積層されていてもよい。
以下では、本発明の水系塗料組成物から得られる塗膜と基材の間に形成され得る塗膜層を単に「塗膜層」とも称する。塗膜層の膜厚は、例えば20~80μmである。
塗膜層は、樹脂を含むことが好ましく、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミン樹脂、ケチミン樹脂、およびこれらの樹脂を変性した樹脂(変性樹脂)等が挙げられる。樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
塗膜層は、本発明の水系塗料組成物から得られる塗膜と同種の樹脂を含むことが好ましい。これによって、塗膜層と、本発明の水系塗料組成物から得られる塗膜の密着性を向上させることができる。
塗膜層は、顔料を含むことが好ましい。顔料としては、例えば、着色顔料、体質顔料、防錆顔料、光輝顔料等の、塗料業界において通常使用されている顔料が使用できる。顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
塗膜層は、その他の成分として、分散剤、表面調整剤、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、溶剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、粘性調整剤、充填剤、消泡剤、荷電制御剤、応力緩和剤、浸透剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等の添加剤を必要に応じて含んでもよい。
塗膜層は、例えば、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料、主溶媒として水を用いる水系塗料、光重合性化合物を用いる光硬化型塗料、粉体塗料等の各種塗料等から形成することができる。本発明の好ましい実施形態においては、塗膜層は、臭気の少ない水系塗料から形成される塗膜層とすることができ、臭気の少ない水系塗料の一例としては、例えば、沸点260℃以下の有機溶剤を含有しない水分散性樹脂系塗料や、残存モノマーの含有量が100重量ppm未満の水分散性樹脂系塗料が挙げられる。より好ましい実施形態においては、国際公開第2020/184722号公報に記載される水系塗料組成物から形成される塗膜層とすることができる。
具体的に、塗膜層形成用の塗料組成物は、反応性乳化剤に由来する構成単位を含むアクリル樹脂と、アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物及び沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物よりなる群から選ばれる中和剤とを含み、アクリル樹脂はエマルションの形態で水系塗料組成物中に分散している水系塗料組成物であることがより好ましい。ここで「反応性乳化剤」、「アクリル樹脂」、「アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物」、「沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物」、「水系塗料組成物」等の説明については、上述した本発明の塗料組成物における「反応性乳化剤」、「アクリル樹脂」、「アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物」、「沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物」、「水系塗料組成物」等の説明が同様に当てはまる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<アクリル樹脂(A)エマルションの合成例A1>
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置、及び窒素導入管を備えた5つ口フラスコに、イオン交換水44質量部及び反応性アニオン乳化剤KH10(第一工業製薬)1.0質量部、非反応性ノニオン乳化剤ET170(第一工業製薬)を2.0質量部仕込み、反応容器内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウム1.0質量部加え、次いで予め別容器に攪拌混合しておいた「メチルメタクリレート39.0質量部、ブチルアクリレート56.0質量部、スチレン3.0質量部、アクリル酸2.0質量部、イオン交換水49質量部、及び非反応性アニオン乳化剤NF08(第一工業製薬)3.0質量部」の混合物を、4時間かけて連続滴下した。その後、撹拌を続けながら80℃で2時間熟成した後、室温まで冷却後、水酸化ナトリウム水溶液をpHが9.0になるよう調整し、アクリル樹脂をエマルションの形態で得た。合成例A1で得られたアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg,℃)を表1に示す。ガラス転移温度はFOX式より求めた。
<アクリル樹脂(B)エマルションの合成例B1>
攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下装置、及び窒素導入管を備えた5つ口フラスコに、イオン交換水40質量部及び反応性アニオン乳化剤KH10(第一工業製薬)1.0質量部、反応容器内を窒素で置換しながら、80℃まで昇温した後、過硫酸カリウム1.0質量部加え、次いで予め別容器に攪拌混合しておいた「メチルメタクリレート60.5質量部、ブチルアクリレート31.0質量部、スチレン5.0質量部、アクリル酸2.5質量部、ダイアセトンアクリルアミド1.0質量部、イオン交換水53質量部、及び非反応性アニオン乳化剤NF08(第一工業製薬)5.0質量部」の混合物を、3.5時間かけて連続滴下した。その後、撹拌を続けながら80℃で2時間熟成した後、室温まで冷却後、水酸化ナトリウム水溶液をpHが9.0になるよう調整し、アクリル樹脂をエマルションの形態で得た。合成例B1で得られたアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg,℃)を表2に示す。ガラス転移温度はFOX式より求めた。
<合成例A2~合成例A9>
合成例A1のアクリル樹脂のモノマー配合を表1に示した配合に変更した以外は、合成例A1と同様の条件により合成例A2~合成例A9のアクリル樹脂をエマルションの形態で調製した。各アクリル樹脂の含有量(質量部)、ガラス転移温度(Tg,℃)を表1に示す。
<合成例B2~合成例B14>
合成例B1のアクリル樹脂のモノマー配合を表2に示した配合に変更した以外は、合成例B1と同様の条件により合成例B2~合成例B14のアクリル樹脂をエマルションの形態で調製した。また、合成例B7~B9、B13及びB14については、合成例B1で中和剤として用いた水酸化ナトリウムを表2に示した中和剤に変更した。各アクリル樹脂の含有量(質量部)、ガラス転移温度(Tg,℃)を表2に示す。
Figure 2023061709000001
Figure 2023061709000002
<実施例1>
混合機にイオン交換水10.0質量部を投入し、これに分散剤0.5質量部及び消泡剤0.1質量部、顔料成分(酸化チタン20.0質量部)を攪拌環境下で徐々に添加し、添加完了後、粒度が10μm以下になるまで混合した。次いで、混合機に合成例A1のアクリル樹脂を含む樹脂エマルション(固形分濃度50質量%,溶媒:水)46.2質量部、合成例B1のアクリル樹脂を含む樹脂エマルション(固形分濃度42質量%,溶媒:水)23.6質量部、粘性調整剤2.0質量部、消泡剤0.3質量部、硬化剤0.05質量部を攪拌環境下で徐々に添加し、十分に混合した後、実施例1の水系塗料組成物を得た。
<実施例2~22、比較例1~9>
表3~表5に示す配合に変更する以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2~22、比較例1~9の水系塗料組成物を得た。
表3~表5に示す成分は、以下のとおりである。
(注1)分散剤(ビックケミー社製:BYK-190)
(注2)消泡剤(ビックケミー社製:BYK-038)
(注3)粘性調整剤(ダウ・ケミカル社製:PRIMAL RM-2020NPR)
(注4)酸化チタン(テイカ社製:JR-806)
(注5)炭酸カルシウム(竹原化学工業社製:サンライトSL-100)
(注6)シリカ(EP Minerals社製:Celatom MW-25)
(注7)成膜助剤A(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)、沸点:281.5℃)
(注8)成膜助剤B(2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)、沸点:253℃)
(注9)硬化剤(アジピン酸ジヒドラジド)
得られた塗料組成物について、以下の評価を行った。結果を表3~表5に示す。
<臭気(アンモニア濃度)>
3Lのポリフッ化ビニル製サンプリングバッグに、活性炭で処理した3Lの無臭空気を満たし、その中に塗料を20g注入し、密閉した。その後、室温23℃の室内にて30分静置した後、ガステック社製のアンモニアガス検知管を用いてアンモニア濃度測定を行った。評価基準は以下の通りとした。
○:12体積ppm以下
×:12体積ppmを超える値
<臭気(官能評価)>
100mlのガラス瓶に塗料を50g取り、室温23℃の室内にて臭気の官能試験をパネラー10名にて行った。「臭気無し」「わずかに臭気あり」「臭気あり」の3段階で評価を行い、「臭気無し」は0点、「わずかに臭気あり」は1点、「臭気あり」は2点を加算することで塗料臭気の評価を行った。評価基準は以下の通りとした。
○:10名の合計得点が4点以下。
×:10名の合計得点が5点以上。
<タック感>
標準条件(温度23℃、相対湿度50%)下にて、150×70×2mmのガラス板に、塗料を隙間150μmのフィルムアプリケータにて塗り付け、7日間乾燥後、指の腹で塗膜表面に触れた感触から、タック感を以下の基準に従い評価した。
◎+:指を強く押し付けても、指へのべた付きが全くない。
◎ :指を強く押し付けた場合、わずかにべた付きあり。
○ :指を押し付けた場合、わずかにべた付き感がある。
× :ベタ付き感がある。
<低温成膜性>
5℃の条件下にて、150×70×2mmのガラス板に塗料を6milのアプリケータにて塗り付け、同条件下にて24時間乾燥後、室温(23℃)に戻したとき、塗膜の外観から、低温成膜性を以下の基準に従い評価した。
◎ :塗膜に割れ、剥がれは認められない。
○ :塗膜に目視で確認できないレベルの微細な割れが認められる。
× :塗膜に割れ、剥がれ等の異常がある。
<耐水性>
標準条件(温度23℃、相対湿度50%)下にて、150×70×4mmのフレキシブル板に、塗料を刷毛で塗り付けた。6時間乾燥後、2層目を同様に塗り付け、14日間乾燥させ、試験片を得た。得られた試験片をイオン交換水(23℃)に96時間浸漬させた後に取り出し、取り出してから2時間経過後の試験片の外観から、耐水性を以下の基準に従い評価した。なお、艶の変化率は、幾何角度60°の鏡面光沢度から、下記式により算出した。
R=|G-G|/G×100
(R:艶の変化率、G:耐水性試験前の鏡面光沢度、G:耐水試験後の鏡面光沢度)
◎+:耐水性試験前後の艶の変化率が5%以下である。
◎ :耐水性試験前後の艶の変化率が6~10%である。
○ :耐水性試験前後の艶の変化率が11~20%である。
× :耐水性試験前後の艶の変化率が20%超である。
<60°光沢>
標準条件(温度23℃、相対湿度50%)下にて、150×70×2mmのガラス板に、塗料を隙間150μmのフィルムアプリケータにて塗り付け、48時間乾燥させた。得られた試験片について、幾何角度60°の鏡面光沢度を測定した。
Figure 2023061709000003
Figure 2023061709000004
Figure 2023061709000005
表中の「固形分濃度」とは、「不揮発分の含有量」と同じ意味を有する。また、「合計(質量部)」とは、塗料中に含まれる成分の合計質量部を示し、「不揮発分(質量%)」とは、塗料中に含まれる不揮発分の含有量(質量%)を示し、「沸点260℃以下の有機化合物の含有量」は、塗料中の沸点260℃以下の有機化合物の含有量(質量%)を示し、「アクリル樹脂A/アクリル樹脂Bの質量比」は、塗料中に含まれるアクリル樹脂A(合成例A1~A9)とアクリル樹脂B(合成例B1~B14)の質量比を示す。

Claims (6)

  1. ガラス転移温度が5℃未満のアクリル樹脂(A)と、ガラス転移温度が5℃以上100℃以下のアクリル樹脂(B)と、アンモニアを除くアルカリ性の無機化合物及び沸点260℃超のアルカリ性の有機化合物よりなる群から選ばれる中和剤(C)とを含み、前記アクリル樹脂(A)及び前記アクリル樹脂(B)はそれぞれエマルションの形態で分散している水系塗料組成物であって、前記アクリル樹脂(A)と前記アクリル樹脂(B)の質量比(A)/(B)が50/50~90/10であり、沸点260℃以下の有機化合物の含有量は3.0質量%以下であり、以下に示すアンモニア濃度の測定方法によって測定されるアンモニア濃度が12体積ppm以下であり、前記水系塗料組成物から得られる塗膜の60°における光沢度が10以上であることを特徴とする水系塗料組成物:
    <アンモニア濃度の測定方法>
    3Lのポリフッ化ビニル製サンプリングバッグに3Lの無臭空気を満たし、該サンプリングバッグの中に塗料組成物を20g注入し、該サンプリングバッグを密閉する。その後、23℃にて30分静置させた後、アンモニアガス検知管を用いてサンプリングバッグ中のアンモニア濃度を測定する。
  2. 前記アクリル樹脂(B)のガラス転移温度は、10~70℃であることを特徴とする請求項1に記載の水系塗料組成物。
  3. 前記水系塗料組成物から得られる塗膜の60°における光沢度が70~90であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系塗料組成物。
  4. 更に、着色顔料(D)を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の水系塗料組成物。
  5. 沸点260℃以下の有機化合物を含まないことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の水系塗料組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の水系塗料組成物を建築物の内装基材に塗布して得られる塗装物品。
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