JP2023048051A - Iii族窒化物半導体装置の製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 有機金属ガスおよび半導体結晶へのプラズマの影響を抑制しつつ多くのラジカルを基板に供給することを図ったIII 族窒化物半導体装置の製造装置および製造方法を提供することである。
【解決手段】 ラジカル輸送室RM2は、pBN製の材料を貫通する空洞であり、プラズマ発生室RM1と反応室RM3との間に配置されている。第1のガス供給管1300は、反応室RM3の内部に開口部を有しており、反応室RM3の内部に第1のガスを供給する。第2のガス供給管1420は、プラズマ発生室RM1の内部に第2のガスを供給する。ラジカル輸送室RM2の筒形状の空洞は、プラズマ発生室RM1と反応室RM3とを連通している。
【選択図】図3
【解決手段】 ラジカル輸送室RM2は、pBN製の材料を貫通する空洞であり、プラズマ発生室RM1と反応室RM3との間に配置されている。第1のガス供給管1300は、反応室RM3の内部に開口部を有しており、反応室RM3の内部に第1のガスを供給する。第2のガス供給管1420は、プラズマ発生室RM1の内部に第2のガスを供給する。ラジカル輸送室RM2の筒形状の空洞は、プラズマ発生室RM1と反応室RM3とを連通している。
【選択図】図3
Description
本明細書の技術分野は、プラズマを用いたIII 族窒化物半導体装置の製造装置および製造方法に関する。
GaNに代表されるIII 族窒化物半導体では、その組成を変化させることにより、バンドギャップが0.6eVから6eVまで変化する。そのため、III 族窒化物半導体は、近赤外から深紫外までの広い範囲の波長に相当する発光素子や、レーザーダイオード、受光素子等に応用されている。
また、III 族窒化物半導体では、破壊電界強度が高く、かつ融点が高い。そのため、III 族窒化物半導体は、GaAs系半導体に代わる、高出力、高周波、高温用の半導体デバイスの材料として期待されている。そのため、HEMT素子などが研究開発されている。
III 族窒化物半導体をエピタキシャル成長させる方法として、例えば、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)がある。MOCVD法では、大量のアンモニアガスを用いる。そのため、MOCVD炉にアンモニアを除外する除害装置を設ける必要がある。また、アンモニアのランニングコストも高い。そして、有機金属ガスとアンモニアとの反応により半導体層を形成する。この反応を起こすために、基板温度を高温にする必要がある。基板温度が高いと、In濃度の高いInGaN層を高品質に成長させることは難しい。また、成長基板と半導体層との熱膨張差の違いにより、そりが発生しやすい。
また、III 族窒化物半導体をエピタキシャル成長させる方法として、例えば、分子線エピタキシー法(MBE法)が挙げられる。MBE法では、低い成長温度でIII 族窒化物半導体を成長させることができる。しかし、ラジカルソースを用いるRF-MBE法では、成長速度が遅い。すなわち、RF-MBE法は、量産に向かない。アンモニアガスを用いるMBE法では、大量のアンモニアガスを使用するため、製造コストが高い。
特許文献1には、III 族金属を含有する第1のガス(有機金属ガス)をプラズマ化しないで基板に供給し、窒素ガスを含有する第2のガスをプラズマ化して基板に供給することにより、III 族窒化物半導体を成長させる技術が開示されている。
特許文献1に記載の製造装置においては、シャワーヘッド電極をサセプターから離れて設置させることにより、プラズマ中の荷電粒子が第1のガスおよび基板上の半導体に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。しかし、シャワーヘッド電極をサセプターから離れて設置させると、プラズマ中のラジカルがサセプターに到達するまでに失活してしまう。すなわち、有機金属ガスおよび半導体結晶へのプラズマの影響を抑制することと、多くのラジカルを基板に供給することとは、トレードオフの関係にある。
本明細書の技術が解決しようとする課題は、有機金属ガスおよび半導体結晶へのプラズマの影響を抑制しつつ多くのラジカルを基板に供給することを図ったIII 族窒化物半導体装置の製造装置および製造方法を提供することである。
第1の態様におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置は、第1電極と、成長基板を支持するための基板支持部と、基板支持部に第1のガスを供給する第1のガス供給管と、基板支持部に第2のガスを供給する第2のガス供給管と、pBN製であるとともに筒形状の空洞を備えるラジカル輸送部と、を有する。第1のガス供給管は、少なくとも1以上の第1のガス噴出口を有するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスを第1のガスとして供給するものである。第2のガス供給管は、窒素ガスを含むガスを第2のガスとして供給するものである。第1電極は、基板支持部からみて第1のガス供給管の第1のガス噴出口よりも遠い位置に配置されている。ラジカル輸送部は、第1電極と第1のガス供給管の第1のガス噴出口との間に位置している。
このIII 族窒化物半導体装置の製造装置は、筒形状の空洞を備えるラジカル輸送部を有する。ラジカル輸送部は、ラジカルの失活を抑制する。ラジカル輸送部は、発生したラジカルが失活することを抑制するとともに、発生した荷電粒子が基板に到達することを抑制する。このため、この製造装置により製造されたIII 族窒化物半導体装置は、高品質な結晶性を備えている。
本明細書では、有機金属ガスおよび半導体結晶へのプラズマの影響を抑制しつつ多くのラジカルを基板に供給することを図ったIII 族窒化物半導体装置の製造装置および製造方法が提供されている。
以下、具体的な実施形態について、III 族窒化物半導体装置の製造装置および製造方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
1.半導体ウエハ
図1は、第1の実施形態の半導体ウエハWa1の構造を示す図である。半導体ウエハWa1は、基板Sa1と半導体層F1とを有する。基板Sa1は成長基板である。半導体層F1は、III 族窒化物半導体から成る単結晶の半導体層である。このように、半導体ウエハWa1は、ウエハの主面にIII 族窒化物半導体をエピタキシャル成長させたものである。
図1は、第1の実施形態の半導体ウエハWa1の構造を示す図である。半導体ウエハWa1は、基板Sa1と半導体層F1とを有する。基板Sa1は成長基板である。半導体層F1は、III 族窒化物半導体から成る単結晶の半導体層である。このように、半導体ウエハWa1は、ウエハの主面にIII 族窒化物半導体をエピタキシャル成長させたものである。
2.III 族窒化物半導体装置の製造装置
図2は、第1の実施形態におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置1000の概略構成図である。製造装置1000は、窒素ガスと水素ガスとを含む混合ガスをプラズマ化して、そのプラズマ化したプラズマ生成物を成長基板に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで成長基板に供給する装置である。
図2は、第1の実施形態におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置1000の概略構成図である。製造装置1000は、窒素ガスと水素ガスとを含む混合ガスをプラズマ化して、そのプラズマ化したプラズマ生成物を成長基板に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで成長基板に供給する装置である。
製造装置1000は、炉本体1001と、シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200と、加熱器1210と、第1のガス供給管1300と、ガス導入室1410と、第2のガス供給管1420と、荷電粒子捕獲部1500と、RF電源1600と、マッチングボックス1610と、第1のガス供給部1710と、第2のガス供給部1810と、ガス容器1910、1920、1930と、恒温槽1911、1921、1931と、マスフローコントローラー1720、1820、1830、1840、1850と、ラジカル輸送部RD1と、を有している。また、製造装置1000は、排気口(図示せず)を有している。
シャワーヘッド電極1100は、周期的な電位を付与される第1の電極である。シャワーヘッド電極1100は、例えば、ステンレス製である。もちろん、これ以外の金属であってもよい。シャワーヘッド電極1100は、平板形状の電極である。そして、シャワーヘッド電極1100には、表面から裏面に貫通する複数の貫通孔(図示せず)が設けられている。そして、これらの複数の貫通孔は、ガス導入室1410および第2のガス供給管1420と連通している。このため、ガス導入室1410から炉本体1001の内部に供給される第2のガスは、好適にプラズマ化される。シャワーヘッド電極1100は、サセプター1200からみて第1のガス供給管1300の貫通孔よりも遠い位置に配置されている。
サセプター1200は、基板Sa1を支持するための基板支持部である。サセプター1200の材質は、例えば、グラファイトである。また、これ以外の導電体であってもよい。ここで、基板Sa1は、III 族窒化物半導体を成長させるための成長基板である。
第1のガス供給管1300は、サセプター1200に第1のガスを供給するためのものである。実際には、サセプター1200に支持された基板Sa1に第1のガスを供給することとなる。ここで、第1のガスとは、III 族金属を含む有機金属ガスである。また、その他のキャリアガスを含んでいてもよい。第1のガス供給管1300は、リング状のリング部1310を有している。そして、第1のガス供給管1300のリング部1310には、12個の貫通孔(図示せず)がリング部1310の内側に設けられている。これらの貫通孔は、第1のガスが噴出する第1のガス噴出口である。そのため、第1のガスは、リング部1310の内側に向けて、噴出することとなる。第1のガス供給管1300は、後述するように、プラズマ発生領域から離れた位置に位置している。
第2のガス供給管1420は、サセプター1200に第2のガスを供給するためのものである。実際には、第2のガスをガス導入室1410および炉本体1001の内部に導入するとともに、サセプター1200に支持された基板Sa1に第2のガスを供給することとなる。そして、第2のガス供給管1420は、第2のガスを炉本体1001の内部に供給する。ここで、第2のガス供給管1420が供給する第2のガスは、少なくとも窒素ガスを含むガスである。第2のガス供給管1420は、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを第2のガスとして供給するとよい。ガス導入室1410は、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを一旦収容するとともに、シャワーヘッド電極1100の貫通孔にこの混合ガスを供給するためのものである。
荷電粒子捕獲部1500は、荷電粒子を捕獲するためのものである。荷電粒子捕獲部1500は、例えば、ステンレス製である。もちろん、これ以外の金属であってもよい。荷電粒子捕獲部1500は、シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の位置に配置されている。そのため、後述するようにプラズマ発生領域で発生した荷電粒子が、サセプター1200に支持されている成長基板Sa1に向かうのを抑制することができる。また、荷電粒子捕獲部1500は、シャワーヘッド電極と第1のガス供給管1300のリング部1310との間の位置に配置されている。そのため、荷電粒子が、第1のガス供給管1300から噴出されるIII 族金属を含む有機金属分子に衝突するのを抑制することができる。
炉本体1001は、少なくとも、シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200と、第1のガス供給管1300のリング部1310と、荷電粒子捕獲部1500と、を内部に収容している。炉本体1001は、例えば、ステンレス製である。炉本体1001は、上記以外の導電体であってもよい。
加熱器1210は、サセプター1200を介して、サセプター1200に支持される基板Sa1を加熱するためのものである。
マスフローコントローラー1720、1820、1830、1840は、各々のガスの流量を制御するためのものである。恒温槽1911、1921、1931には、不凍液1912、1922、1932が満たされている。また、ガス容器1910、1920、1930は、III 族金属を含む有機金属ガスを収容するための容器である。ガス容器1910、1920、1930には、それぞれ、トリメチルガリウムと、トリメチルインジウムと、トリメチルアルミニウムとが、収容されている。もちろん、トリエチルガリウム等、その他のIII 族金属を含む有機金属ガスであってもよい。
炉本体1001と、荷電粒子捕獲部1500と、第1のガス供給管1300とは、導電性の部材であり、いずれも接地されている。
RF電源1600は、シャワーヘッド電極1100に周期的な高周波電位を付与する電位付与部である。
3.ラジカル輸送部
3-1.ラジカル輸送部の構成
図3は、第1の実施形態における製造装置1000の炉本体1001の内部構造を示す図である。ラジカル輸送部RD1は、pBN製であるとともに筒形状の空洞を備えている。ラジカル輸送部RD1は、シャワーヘッド電極1100と第1のガス供給管1300の貫通孔との間に位置している。炉本体1001は、プラズマ発生室RM1と、ラジカル輸送室RM2と、反応室RM3と、を有する。
3-1.ラジカル輸送部の構成
図3は、第1の実施形態における製造装置1000の炉本体1001の内部構造を示す図である。ラジカル輸送部RD1は、pBN製であるとともに筒形状の空洞を備えている。ラジカル輸送部RD1は、シャワーヘッド電極1100と第1のガス供給管1300の貫通孔との間に位置している。炉本体1001は、プラズマ発生室RM1と、ラジカル輸送室RM2と、反応室RM3と、を有する。
プラズマ発生室RM1は、プラズマを発生させるための部屋である。プラズマ発生室RM1は、シャワーヘッド電極1100と、荷電粒子捕獲部1500と、を有する。
ラジカル輸送室RM2は、プラズマ発生室RM1で発生させたラジカルを反応室RM3に輸送するための部屋である。ラジカル輸送室RM2は、ラジカル輸送部RD1に囲まれている。ラジカル輸送部RD1は、pBN製の材料からなり、筒形状の空洞を有する。その筒形状の空洞がラジカル輸送室RM2に相当する。この筒形状の空洞は、プラズマ発生室RM1から反応室RM3に向かう向きに貫通している。つまり、この筒形状の空洞は、シャワーヘッド電極1100からサセプター1200に向かう向きに貫通している。ラジカル輸送室RM2は、プラズマ発生室RM1と反応室RM3との間に配置されている。ラジカル輸送室RM2の筒形状の空洞は、プラズマ発生室RM1と反応室RM3とを連通している。ラジカル輸送室RM2の筒形状の空洞は、プラズマ発生室RM1の荷電粒子捕獲部1500と、反応室RM3の第1のガス供給管1300の開口部と、の間に配置されている。
反応室RM3は、基板Sa1の上に半導体を成長させるための部屋である。反応室RM3は、サセプター1200を有する。
第1のガス供給管1300は、反応室RM3の内部に開口部を有しており、反応室RM3の内部に第1のガスを供給する。
第2のガス供給管1420は、プラズマ発生室RM1の内部に第2のガスを供給する。
ラジカル輸送部RD1は、pBN(熱分解性窒化ホウ素)製の筒形状部である。ラジカル輸送部RD1は、シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の位置に配置されている。また、ラジカル輸送部RD1は、荷電粒子捕獲部1500と第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔との間に配置されている。
ラジカル輸送部RD1は、プラズマ発生領域で発生させたプラズマ生成物のうちラジカルを透過させるための筒形状部である。ラジカル輸送部RD1における空洞がラジカル輸送部RD1を貫通する長さは、例えば、20mm以上1000mm以下である。より好ましくは、30mm以上300mm以下である。ラジカル輸送部RD1における空洞がラジカル輸送部RD1を貫通する長さは、例えば、その空洞の内径の0.5倍以上200倍以下である。好ましくは、1倍以上100倍以下である。1.2倍以上50倍以下であってもよい。
3-2.ラジカル輸送部とプラズマ発生領域との間の関係
シャワーヘッド電極1100の直下はプラズマ発生領域である。プラズマ発生領域で発生するプラズマは、陽イオン、電子、ラジカル、紫外線といったプラズマ生成物を含む。荷電粒子捕獲部1500は、陽イオン、電子を捕獲するとともに、紫外線をサセプター1200の側に透過させない。プラズマ発生室RM1はプラズマ発生領域を有するが、ラジカル輸送部RD1のラジカル輸送室RM2は、プラズマ発生領域を有さない。
シャワーヘッド電極1100の直下はプラズマ発生領域である。プラズマ発生領域で発生するプラズマは、陽イオン、電子、ラジカル、紫外線といったプラズマ生成物を含む。荷電粒子捕獲部1500は、陽イオン、電子を捕獲するとともに、紫外線をサセプター1200の側に透過させない。プラズマ発生室RM1はプラズマ発生領域を有するが、ラジカル輸送部RD1のラジカル輸送室RM2は、プラズマ発生領域を有さない。
このため、プラズマ発生領域で発生したプラズマ生成物のうちラジカルと希ガスとがラジカル輸送部RD1に進入する。プラズマガスが窒素ガスと水素ガスと希ガスとを含有する。このため、窒素原子と水素原子とに由来するラジカルと、希ガス等がラジカル輸送部RD1に進入する。ラジカル輸送部RD1は、pBN製であるため、ラジカルの失活を抑制する。ラジカル輸送部RD1を通過したラジカルはサセプター1200に向かう。
そして、ラジカル輸送部RD1を通過したラジカルは、サセプター1200上の基板Sa1の表面でIII 属金属と反応し、III 属窒化物半導体を生成する。
3-3.ラジカル輸送部の効果
ラジカル輸送部RD1は、プラズマにより発生させたラジカルをなるべく失活させないようにサセプター1200に向かって輸送するためのものである。
ラジカル輸送部RD1は、プラズマにより発生させたラジカルをなるべく失活させないようにサセプター1200に向かって輸送するためのものである。
多くのラジカルをサセプター1200に供給するためには、ラジカル輸送部RD1を設けることなく、シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の距離を短くすればよい。しかし、その場合には、ラジカル以外の陽イオン、電子がサセプター1200上の基板Sa1に到達するおそれがある。これらの陽イオン、電子が基板Sa1に到達すると、半導体結晶の結晶性が悪くなる。
このため、ラジカル輸送部RD1は、プラズマ発生領域と第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔との間の距離を長くとり、なおかつ、ラジカルの失活を抑制する。荷電粒子捕獲部1500により荷電粒子を捕獲した後に、プラズマ化させない有機金属ガスのプラズマ化を抑制するためのものである。
このように、半導体を成膜するために、一方のガスをプラズマ化し、他方のガスをプラズマ化しないために、ラジカル輸送部RD1を荷電粒子捕獲部1500より下流であって、第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔より上流の位置に設ける必要がある。
荷電粒子捕獲部1500は、荷電粒子を捕獲する。しかし、荷電粒子捕獲部1500は、必ずしもすべての荷電粒子を捕獲するとは限らない。ラジカル輸送室RM2がある程度の長さで存在することにより、反応室RM3に向かう粒子のうち微量の荷電粒子がさらに減少する。
4.製造装置の動作
4-1.プラズマの発生
炉本体1001と、荷電粒子捕獲部1500と、第1のガス供給管1300とは、導電性の部材であり、いずれも接地されている。そのため、シャワーヘッド電極1100に電位が付与されると、シャワーヘッド電極1100と、炉本体1001および荷電粒子捕獲部1500および第1のガス供給管1300と、の間に電圧が印加されることとなる。そして、炉本体1001および荷電粒子捕獲部1500および第1のガス供給管1300の少なくとも1つ以上と、シャワーヘッド電極1100と、の間に放電が生じると考えられる。シャワーヘッド電極1100の直下では、高周波かつ高強度の電界が形成される。そのため、シャワーヘッド電極1100の直下の位置は、プラズマ発生領域である。
4-1.プラズマの発生
炉本体1001と、荷電粒子捕獲部1500と、第1のガス供給管1300とは、導電性の部材であり、いずれも接地されている。そのため、シャワーヘッド電極1100に電位が付与されると、シャワーヘッド電極1100と、炉本体1001および荷電粒子捕獲部1500および第1のガス供給管1300と、の間に電圧が印加されることとなる。そして、炉本体1001および荷電粒子捕獲部1500および第1のガス供給管1300の少なくとも1つ以上と、シャワーヘッド電極1100と、の間に放電が生じると考えられる。シャワーヘッド電極1100の直下では、高周波かつ高強度の電界が形成される。そのため、シャワーヘッド電極1100の直下の位置は、プラズマ発生領域である。
ここで、第2のガス、すなわち、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスは、このプラズマ発生領域においてプラズマ化されることとなる。そして、プラズマ発生領域でプラズマ生成物が発生する。この場合におけるプラズマ生成物とは、窒素ラジカルと、水素ラジカルと、窒化水素系の化合物と、電子と、その他のイオン等である。ここで、窒化水素系の化合物とは、NHと、NH2 と、NH3 と、これらの励起状態と、その他のものとを含む。
荷電粒子捕獲部1500が、プラズマ発生室RM1の内部で発生したプラズマ生成物のうちの陽イオン、電子を捕獲する。荷電粒子捕獲部1500は金属メッシュを互いにずらして重ね合わせたものである。このため、荷電粒子捕獲部1500は紫外線を反射または吸収することができる。したがって、プラズマ発生室RM1の内部で発生したプラズマのうち中性粒子がラジカル輸送室RM2に移動する。ここで、中性粒子とは、ラジカルと希ガスとを含む。
ラジカル輸送室RM2は、ラジカルをほとんど失活させることなく基板Sa1にラジカルを供給する。
4-2.製造装置の条件
製造装置1000における製造条件を表1に示す。表1で挙げた数値範囲は、あくまで目安であり、必ずしもこの数値範囲である必要はない。RFパワーは、100W以上1000W以下の範囲内である。RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に付与する周期的な電位の周波数は、30MHz以上300MHz以下の範囲内である。基板温度は、400℃以上900℃以下の範囲内である。また、基板温度は、室温以上であってもよい。製造装置1000の内圧は、1Pa以上10000Pa以下の範囲内である。
製造装置1000における製造条件を表1に示す。表1で挙げた数値範囲は、あくまで目安であり、必ずしもこの数値範囲である必要はない。RFパワーは、100W以上1000W以下の範囲内である。RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に付与する周期的な電位の周波数は、30MHz以上300MHz以下の範囲内である。基板温度は、400℃以上900℃以下の範囲内である。また、基板温度は、室温以上であってもよい。製造装置1000の内圧は、1Pa以上10000Pa以下の範囲内である。
[表1]
RFパワー 100W以上 1000W以下
周波数 30MHz以上 300MHz以下
基板温度 400℃以上 900℃以下
内圧 1Pa以上 10000Pa以下
RFパワー 100W以上 1000W以下
周波数 30MHz以上 300MHz以下
基板温度 400℃以上 900℃以下
内圧 1Pa以上 10000Pa以下
5.半導体ウエハの製造方法
5-1.基板のクリーニング
ここで、第1の実施形態の製造装置1000を用いた半導体ウエハの製造方法について説明する。まず、基板Sa1を準備する。基板Sa1として、例えば、c面サファイア基板を用いることができる。また、その他の基板を用いてもよい。基板Sa1を、製造装置1000の内部に配置し、水素ガスを供給しながら基板温度を400℃程度まで上昇させる。これにより、基板Sa1の表面を還元するとともに、基板Sa1の表面をクリーニングする。基板温度をこれ以上の温度にしてもよい。
5-1.基板のクリーニング
ここで、第1の実施形態の製造装置1000を用いた半導体ウエハの製造方法について説明する。まず、基板Sa1を準備する。基板Sa1として、例えば、c面サファイア基板を用いることができる。また、その他の基板を用いてもよい。基板Sa1を、製造装置1000の内部に配置し、水素ガスを供給しながら基板温度を400℃程度まで上昇させる。これにより、基板Sa1の表面を還元するとともに、基板Sa1の表面をクリーニングする。基板温度をこれ以上の温度にしてもよい。
5-2.半導体層形成工程
次に、RF電源1600をONにする。そして、第2のガス供給管1420から、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを供給する。そして、シャワーヘッド電極1100の貫通孔から炉本体1001の内部に供給された混合ガスは、シャワーヘッド電極1100の直下でプラズマ化する。そのため、シャワーヘッド電極1100の直下にプラズマ発生領域が生成される。この際に、窒素ラジカルと水素ラジカルとが生成される。そして、窒素ラジカルと水素ラジカルとが反応して、窒化水素系の化合物が生成されると考えられる。また、電子やその他の荷電粒子も生成される。
次に、RF電源1600をONにする。そして、第2のガス供給管1420から、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを供給する。そして、シャワーヘッド電極1100の貫通孔から炉本体1001の内部に供給された混合ガスは、シャワーヘッド電極1100の直下でプラズマ化する。そのため、シャワーヘッド電極1100の直下にプラズマ発生領域が生成される。この際に、窒素ラジカルと水素ラジカルとが生成される。そして、窒素ラジカルと水素ラジカルとが反応して、窒化水素系の化合物が生成されると考えられる。また、電子やその他の荷電粒子も生成される。
そして、これらの窒素ラジカルと水素ラジカルと窒化水素系の化合物と電子とその他の荷電粒子を含んだラジカル混合気体は、基板Sa1に向けて送出される。このラジカル混合ガスの発生箇所は、シャワーヘッド電極1100の直下である。シャワーヘッド電極1100から基板Sa1までの距離は十分に広いため、ラジカル混合気体のうち、電子やイオン等の荷電粒子は、基板Sa1まで到達しにくい。また、荷電粒子は、荷電粒子捕獲部1500に捕獲されやすい。そのため、基板Sa1に向けて供給されるのは、窒素ラジカルと水素ラジカルの他、窒化水素系の化合物であると考えられる。通常のアンモニアに比べて、これらの窒素ラジカルや窒化水素系の化合物の反応性は高い。そのため、従来に比べて低い温度で半導体層をエピタキシャル成長させることができる。
一方、第1のガス供給管1300のリング部1310から、III 族金属の有機金属ガスを供給する。例えば、トリメチルガリウムと、トリメチルインジウムと、トリメチルアルミニウムとが、挙げられる。これらのガスは、基板Sa1に向かうラジカル混合気体に巻き込まれて、基板Sa1に供給されることとなる。III 族金属の有機金属ガスは、プラズマ化されないで、基板Sa1に供給される。
このように、第1の実施形態では、窒素ガスと水素ガスとを含む混合ガスをプラズマ化し、そのプラズマ化したガスのうちのラジカルをpBN製の筒形状部の内部を通過させてから成長基板に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないでpBN製の筒形状部の内部を通過させずに成長基板に供給し、成長基板の上にIII 族窒化物半導体を成長させる。
5-3.半導体ウエハ
こうして、基板Sa1の主面にIII 族窒化物半導体をエピタキシャル成長させる。これにより、半導体ウエハが製造される。この半導体ウエハにおけるIII 族窒化物半導体の結晶性はよい。
こうして、基板Sa1の主面にIII 族窒化物半導体をエピタキシャル成長させる。これにより、半導体ウエハが製造される。この半導体ウエハにおけるIII 族窒化物半導体の結晶性はよい。
6.第1の実施形態の効果
第1の実施形態の製造装置1000は、プラズマ発生室RM1とラジカル輸送室RM2と反応室RM3とを有する。プラズマ発生室RM1で発生したプラズマのうち大部分の荷電粒子は荷電粒子捕獲部1500により捕獲され、残りの荷電粒子はラジカル輸送室RM2で減少する。このため、プラズマ発生室RM1で発生したプラズマのうち窒素原子と水素原子とに由来するラジカルおよび化合物と、希ガスと、がラジカル輸送室RM2を透過して反応室RM3に到達する。反応室RM3においては、ラジカル輸送室RM2を透過してきたラジカルと、第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔から供給される第1のガスと、が基板Sa1の表面で反応する。これにより、基板Sa1の上にIII 族窒化物半導体が成長する。
第1の実施形態の製造装置1000は、プラズマ発生室RM1とラジカル輸送室RM2と反応室RM3とを有する。プラズマ発生室RM1で発生したプラズマのうち大部分の荷電粒子は荷電粒子捕獲部1500により捕獲され、残りの荷電粒子はラジカル輸送室RM2で減少する。このため、プラズマ発生室RM1で発生したプラズマのうち窒素原子と水素原子とに由来するラジカルおよび化合物と、希ガスと、がラジカル輸送室RM2を透過して反応室RM3に到達する。反応室RM3においては、ラジカル輸送室RM2を透過してきたラジカルと、第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔から供給される第1のガスと、が基板Sa1の表面で反応する。これにより、基板Sa1の上にIII 族窒化物半導体が成長する。
このように、プラズマ発生室RM1で発生したプラズマのうちラジカルまたは希ガスが基板Sa1に到達し、荷電粒子が反応室RM3にほとんど到達しない。このため、基板Sa1の上に成長する半導体の結晶性はよい。
また、多くのラジカルが基板Sa1に到達するため、半導体の成膜速度は速い。
7.変形例
7-1.ラジカル輸送部の形状
図4は、第1の実施形態の変形例におけるラジカル輸送部RD2を示す図である。図4の上図は、シャワーヘッド電極1100の側からラジカル輸送部D2を視た図である。図4の下図は、図4の上図に垂直な方向から視た図である。図4に示すように、ラジカル輸送部RD2は、プラズマ発生室RM1から反応室RM3に達する多数の空洞RD2aを有する。空洞RD2aは円筒内面形状の空洞である。このときラジカル輸送室は、複数の空洞RD2aを有する。空洞RD2aにおけるラジカル輸送部RD2を貫通する長さは、例えば、空洞RD2aの内径の0.5倍以上200倍以下である。好ましくは、1倍以上100倍以下である。1.2倍以上50倍以下であってもよい。
7-1.ラジカル輸送部の形状
図4は、第1の実施形態の変形例におけるラジカル輸送部RD2を示す図である。図4の上図は、シャワーヘッド電極1100の側からラジカル輸送部D2を視た図である。図4の下図は、図4の上図に垂直な方向から視た図である。図4に示すように、ラジカル輸送部RD2は、プラズマ発生室RM1から反応室RM3に達する多数の空洞RD2aを有する。空洞RD2aは円筒内面形状の空洞である。このときラジカル輸送室は、複数の空洞RD2aを有する。空洞RD2aにおけるラジカル輸送部RD2を貫通する長さは、例えば、空洞RD2aの内径の0.5倍以上200倍以下である。好ましくは、1倍以上100倍以下である。1.2倍以上50倍以下であってもよい。
図5は、第1の実施形態の変形例におけるラジカル輸送部RD3を示す図である。図5に示すように、ラジカル輸送部RD3は、プラズマ発生室RM1から反応室RM3に達する複数の空洞RD3a、RD3b、RD3c、RD3d、RD3eを有する。中心に位置する空洞RD3aは、円筒内面形状である。その他の空洞RD3b、RD3c、RD3d、RD3eは、空洞RD3aと同心円状に配置された円筒内面と円筒外面とで挟まれた円筒形状の空洞である。ラジカル輸送室は、同心円状に配置された複数の空洞を有する。
図6は、第1の実施形態の変形例におけるラジカル輸送部RD4を示す図である。図6に示すように、ラジカル輸送部RD4は、プラズマ発生室RM1から反応室RM3に達する複数の空洞RD4aを有する。空洞RD4aは、角筒内面形状である。図6では、角筒が正方格子状に配置されている。
7-2.ラジカル輸送部の材質
ラジカル輸送部RD1の材質は、例えば、ホウケイ酸ガラス、Si、Cu、Ti、Al、AlN、アルミナ、Si3N4であってもよい。
ラジカル輸送部RD1の材質は、例えば、ホウケイ酸ガラス、Si、Cu、Ti、Al、AlN、アルミナ、Si3N4であってもよい。
7-3.リング部の貫通孔
第1の実施形態では、第1のガス供給管1300は、リング部1310の内側に貫通孔を有する。しかし、この貫通孔の位置を、リングの内側でかつ下向きにしてもよい。リング部1310を含む面と、貫通孔の開口部の方向とのなす角の角度は、例えば45°である。この角の角度は、例えば、0°以上60°以下の範囲内で変えてもよい。この角度は、もちろん、リング部1310の径や、リング部1310とサセプター1200との間の距離にも依存する。また、貫通孔の数は、1以上であればよい。もちろん、リング部1310に、等間隔で貫通孔が形成されていることが好ましい。
第1の実施形態では、第1のガス供給管1300は、リング部1310の内側に貫通孔を有する。しかし、この貫通孔の位置を、リングの内側でかつ下向きにしてもよい。リング部1310を含む面と、貫通孔の開口部の方向とのなす角の角度は、例えば45°である。この角の角度は、例えば、0°以上60°以下の範囲内で変えてもよい。この角度は、もちろん、リング部1310の径や、リング部1310とサセプター1200との間の距離にも依存する。また、貫通孔の数は、1以上であればよい。もちろん、リング部1310に、等間隔で貫通孔が形成されていることが好ましい。
7-4.パルス電圧
RF電源1600は、シャワーヘッド電極1100にパルス電圧を繰り返し印加してもよい。
RF電源1600は、シャワーヘッド電極1100にパルス電圧を繰り返し印加してもよい。
7-5.半導体装置
半導体ウエハWa1の上にさらに半導体層を形成し、電極を形成することにより、半導体装置を製造してもよい。
半導体ウエハWa1の上にさらに半導体層を形成し、電極を形成することにより、半導体装置を製造してもよい。
7-6.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
A.実験1
1.サンプルの製作
1-1.サンプル1
サンプル1を次のように製造した。ラジカル輸送室RM2を有する製造装置1000を用いてGaNを成長させた。成長基板として、10mm角、GaNの厚さが2.5μmのGaN/Si基板を用いた。窒素ガス1500sccmと水素ガス1500sccmとを混合したガスを第2のガスとして用いた。第1のガスとしてTMGを用いた。キャリアガスとしてH2を用いた。H2の流量を20sccmとし、TMGの流量を2.4sccmとした。製造装置1000の内圧は300Paであった。GaN/Si基板を800℃まで昇温した後に、RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に与える電力が600Wであった。成膜時間は20分であった。
1.サンプルの製作
1-1.サンプル1
サンプル1を次のように製造した。ラジカル輸送室RM2を有する製造装置1000を用いてGaNを成長させた。成長基板として、10mm角、GaNの厚さが2.5μmのGaN/Si基板を用いた。窒素ガス1500sccmと水素ガス1500sccmとを混合したガスを第2のガスとして用いた。第1のガスとしてTMGを用いた。キャリアガスとしてH2を用いた。H2の流量を20sccmとし、TMGの流量を2.4sccmとした。製造装置1000の内圧は300Paであった。GaN/Si基板を800℃まで昇温した後に、RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に与える電力が600Wであった。成膜時間は20分であった。
1-2.サンプル2
サンプル1の製造条件の一部を変更してサンプル2を製造した。製造装置1000からラジカル輸送部RD1を取り除いた装置でサンプル2を製造した。窒素ガスの流量は750sccmであった。水素ガスの流量は250sccmであった。キャリアガスを用いなかった。TMGの流量は1.2sccmであった。成膜時間は2時間であった。
サンプル1の製造条件の一部を変更してサンプル2を製造した。製造装置1000からラジカル輸送部RD1を取り除いた装置でサンプル2を製造した。窒素ガスの流量は750sccmであった。水素ガスの流量は250sccmであった。キャリアガスを用いなかった。TMGの流量は1.2sccmであった。成膜時間は2時間であった。
サンプル1およびサンプル2の違いを表2に示す。
[表2]
サンプル1 ラジカル輸送部(pBN)あり
サンプル2 ラジカル輸送部(pBN)なし
サンプル1 ラジカル輸送部(pBN)あり
サンプル2 ラジカル輸送部(pBN)なし
2.顕微鏡写真
図7は、サンプル1の表面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図7に示すように、サンプル1の表面は滑らかである。
図7は、サンプル1の表面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図7に示すように、サンプル1の表面は滑らかである。
図8は、サンプル1の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図8に示すように、サンプル1の表面は平坦である。写真で確認する限り、GaNの結晶性はよい。
図9は、サンプル2の表面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図9に示すように、サンプル2の表面はやや荒れている。
図10は、サンプル2の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図10に示すように、サンプル2の表面は微小な凹凸を有する。サンプル2のGaNの結晶性は、サンプル1のGaNの結晶性よりも劣っている。
3.成膜速度
サンプル1の成膜速度は1.7μm/hだった。サンプル2の成膜速度は0.45μm/hであった。サンプル1の成膜速度は、サンプル2の成膜速度の3倍以上であった。
サンプル1の成膜速度は1.7μm/hだった。サンプル2の成膜速度は0.45μm/hであった。サンプル1の成膜速度は、サンプル2の成膜速度の3倍以上であった。
B.実験2
1.サンプルの製作
1-1.サンプル3
サンプル3を次のように製造した。ラジカル輸送室RM2を有する製造装置1000を用いてGaNを成長させた。成長基板として、10mm角、GaNの厚さが350μmのバルクGaN基板を用いた。バルクGaN基板を800℃まで昇温した後に、窒素ガス1500sccmと水素ガス1500sccmとを混合した混合ガスを第2のガスとして供給した。第1のガスとしてTMGを用いた。キャリアガスとしてH2を用いた。H2の流量を20sccmとし、TMGの流量を2.4sccmとした。製造装置1000の内圧は300Paであった。RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に与える電力が600Wであった。成膜時間は10分であった。
1.サンプルの製作
1-1.サンプル3
サンプル3を次のように製造した。ラジカル輸送室RM2を有する製造装置1000を用いてGaNを成長させた。成長基板として、10mm角、GaNの厚さが350μmのバルクGaN基板を用いた。バルクGaN基板を800℃まで昇温した後に、窒素ガス1500sccmと水素ガス1500sccmとを混合した混合ガスを第2のガスとして供給した。第1のガスとしてTMGを用いた。キャリアガスとしてH2を用いた。H2の流量を20sccmとし、TMGの流量を2.4sccmとした。製造装置1000の内圧は300Paであった。RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に与える電力が600Wであった。成膜時間は10分であった。
次に、上記のバルクGaN基板の上にGaNを成長させたサンプルの上に、さらにGaNをパルス成長させた。内圧は150Paであった。窒素ガスの流量を1500sccmとし、その窒素ガスをプラズマ化してGaNに供給した。水素ガスは供給しなかった。第1の期間を5秒とし、第2の期間を10秒とし、それらを繰り返した。第1の期間における出力W1は600Wであった。第2の期間における出力W2は300Wであった。第1の期間ではTMGを供給した。キャリアガスとしてH2を用いた。H2の流量を20sccmとし、TMGの流量を2.4sccmとした。第2の期間ではTMGを供給しなかった。成膜時間は2時間であった。
1-2.サンプル4
サンプル3の製造条件の一部を変更してサンプル4を製造した。製造装置1000からラジカル輸送部RD1を取り除いた装置でサンプル4を製造した。成長基板として、10mm角、GaNの厚さが2.5μmのGaN/Si基板を用いた。GaN/Si基板を800℃まで昇温した後に、窒素ガス750sccmと水素ガス250sccmとを混合した混合ガスを第2のガスとして供給した。第1のガスとしてTMGを用いた。キャリアガスを用いなかった。TMGの流量は1.2sccmであった。製造装置1000の内圧は300Paであった。RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に与える電力が700Wであった。成膜時間は1時間であった。
サンプル3の製造条件の一部を変更してサンプル4を製造した。製造装置1000からラジカル輸送部RD1を取り除いた装置でサンプル4を製造した。成長基板として、10mm角、GaNの厚さが2.5μmのGaN/Si基板を用いた。GaN/Si基板を800℃まで昇温した後に、窒素ガス750sccmと水素ガス250sccmとを混合した混合ガスを第2のガスとして供給した。第1のガスとしてTMGを用いた。キャリアガスを用いなかった。TMGの流量は1.2sccmであった。製造装置1000の内圧は300Paであった。RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に与える電力が700Wであった。成膜時間は1時間であった。
次に、窒素ガス750sccmと水素ガス250sccmとを混合した混合ガスをプラズマ化してGaNに供給した。内圧は300Paのままであった。
次に、上記のバルクGaN基板の上にGaNを成長させたサンプルの上に、さらにGaNをパルス成長させた。窒素ガス750sccmと水素ガス250sccmとを混合した混合ガスをプラズマ化してGaNに供給した。第1の期間を18秒とし、第2の期間を1秒とし、それらを繰り返した。第1の期間における出力W1は700Wであった。第2の期間における出力W2は400Wであった。第1の期間ではTMGを1.2sccmで供給した。キャリアガスを用いなかった。第2の期間ではTMGを供給しなかった。成膜時間は2時間であった。
サンプル3およびサンプル4の違いを表3に示す。
[表3]
サンプル3 ラジカル輸送部(pBN)あり
サンプル4 ラジカル輸送部(pBN)なし
サンプル3 ラジカル輸送部(pBN)あり
サンプル4 ラジカル輸送部(pBN)なし
2.顕微鏡写真
図11は、サンプル3の表面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図11に示すように、サンプル3の表面は滑らかである。
図11は、サンプル3の表面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図11に示すように、サンプル3の表面は滑らかである。
図12は、サンプル3の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図12に示すように、サンプル3の表面は平坦である。連続成長させたGaNの膜厚が1.3μmであった。パルス成長させたGaNの膜厚が1.4μmであった。
図13は、サンプル4の表面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図13に示すように、サンプル4の表面はやや荒れている。
図14は、サンプル4の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図14に示すように、サンプル4の表面は微小な凹凸を有する。
3.成膜速度
サンプル3におけるパルス成長の成膜速度は0.75μm/hだった。サンプル4におけるパルス成長の成膜速度は0.03μm/hであった。
サンプル3におけるパルス成長の成膜速度は0.75μm/hだった。サンプル4におけるパルス成長の成膜速度は0.03μm/hであった。
(付記)
第1の態様におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置は、第1電極と、成長基板を支持するための基板支持部と、基板支持部に第1のガスを供給する第1のガス供給管と、基板支持部に第2のガスを供給する第2のガス供給管と、筒形状の空洞を備えるラジカル輸送部と、を有する。第1のガス供給管は、少なくとも1以上の第1のガス噴出口を有するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスを第1のガスとして供給するものである。第2のガス供給管は、窒素ガスを含むガスを第2のガスとして供給するものである。第1電極は、基板支持部からみて第1のガス供給管の第1のガス噴出口よりも遠い位置に配置されている。ラジカル輸送部は、第1電極と第1のガス供給管の第1のガス噴出口との間に位置している。
第1の態様におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置は、第1電極と、成長基板を支持するための基板支持部と、基板支持部に第1のガスを供給する第1のガス供給管と、基板支持部に第2のガスを供給する第2のガス供給管と、筒形状の空洞を備えるラジカル輸送部と、を有する。第1のガス供給管は、少なくとも1以上の第1のガス噴出口を有するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスを第1のガスとして供給するものである。第2のガス供給管は、窒素ガスを含むガスを第2のガスとして供給するものである。第1電極は、基板支持部からみて第1のガス供給管の第1のガス噴出口よりも遠い位置に配置されている。ラジカル輸送部は、第1電極と第1のガス供給管の第1のガス噴出口との間に位置している。
第2の態様におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置は、プラズマ発生室と、反応室と、プラズマ発生室で発生させたラジカルを反応室に輸送するためのラジカル輸送室と、を有する。プラズマ発生室は、第1電極と、プラズマ中の荷電粒子を捕獲する荷電粒子捕獲部と、を有する。反応室は、基板支持部を有する。ラジカル輸送室は、ラジカル輸送部における筒形状の空洞であり、プラズマ発生室と反応室との間に配置されている。第1のガス供給管は、反応室の内部に開口部を有するとともに、反応室の内部に第1のガスを供給する。第2のガス供給管は、プラズマ発生室の内部に第2のガスを供給する。ラジカル輸送室は、プラズマ発生室と反応室とを連通している。
第3の態様におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置においては、ラジカル輸送室は、プラズマ発生室の荷電粒子捕獲部と、反応室の第1のガス供給管の開口部と、の間に配置されている。
第4の態様におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置においては、ラジカル輸送室は、複数の空洞を有する。
第5の態様におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置においては、ラジカル輸送室は、同心円状に配置された複数の空洞を有する。
第6の態様におけるIII 族窒化物半導体装置の製造装置においては、ラジカル輸送部の材質は、pBN、ホウケイ酸ガラス、Si、Cu、Ti、Al、AlN、アルミナ、Si3N4のいずれかである。
第7の態様におけるIII 族窒化物半導体装置の製造方法においては、窒素ガスと水素ガスとを含む混合ガスをプラズマ化し、そのプラズマ化したガスのうちのラジカルを筒形状の空洞を有するpBN製のラジカル輸送部の内部を通過させてから成長基板に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないでラジカル輸送部の空洞の内部を通過させずに成長基板に供給し、成長基板の上にIII 族窒化物半導体を成長させる。
1000…製造装置
1001…炉本体
1100…シャワーヘッド電極
1200…サセプター
1210…加熱器
1300…第1のガス供給管
1420…第2のガス供給管
1500…荷電粒子捕獲部
1600…RF電源
1610…マッチングボックス
1001…炉本体
1100…シャワーヘッド電極
1200…サセプター
1210…加熱器
1300…第1のガス供給管
1420…第2のガス供給管
1500…荷電粒子捕獲部
1600…RF電源
1610…マッチングボックス
Claims (7)
- III 族窒化物半導体装置の製造装置において、
第1電極と、
成長基板を支持するための基板支持部と、
前記基板支持部に第1のガスを供給する第1のガス供給管と、
前記基板支持部に第2のガスを供給する第2のガス供給管と、
筒形状の空洞を備えるラジカル輸送部と、
を有し、
前記第1のガス供給管は、
少なくとも1以上の第1のガス噴出口を有するとともに、
III 族金属を含む有機金属ガスを第1のガスとして供給するものであり、
前記第2のガス供給管は、
窒素ガスを含むガスを第2のガスとして供給するものであり、
前記第1電極は、
前記基板支持部からみて前記第1のガス供給管の前記第1のガス噴出口よりも遠い位置に配置されており、
前記ラジカル輸送部は、
前記第1電極と前記第1のガス供給管の前記第1のガス噴出口との間に位置していること
を含むIII 族窒化物半導体装置の製造装置。 - 請求項1に記載のIII 族窒化物半導体装置の製造装置において、
プラズマ発生室と、
反応室と、
前記プラズマ発生室で発生させたラジカルを前記反応室に輸送するためのラジカル輸送室と、
を有し、
前記プラズマ発生室は、
前記第1電極と、プラズマ中の荷電粒子を捕獲する荷電粒子捕獲部と、を有し、
前記反応室は、
前記基板支持部を有し、
前記ラジカル輸送室は、
前記ラジカル輸送部における前記筒形状の空洞であり、
前記プラズマ発生室と前記反応室との間に配置されており、
前記第1のガス供給管は、
前記反応室の内部に開口部を有するとともに、前記反応室の内部に前記第1のガスを供給し、
前記第2のガス供給管は、
前記プラズマ発生室の内部に前記第2のガスを供給し、
前記ラジカル輸送室は、
前記プラズマ発生室と前記反応室とを連通していること
を含むIII 族窒化物半導体装置の製造装置。 - 請求項2に記載のIII 族窒化物半導体装置の製造装置において、
前記ラジカル輸送室は、
前記プラズマ発生室の前記荷電粒子捕獲部と、前記反応室の前記第1のガス供給管の前記開口部と、の間に配置されていること
を含むIII 族窒化物半導体装置の製造装置。 - 請求項2または請求項3に記載のIII 族窒化物半導体装置の製造装置において、
前記ラジカル輸送室は、
複数の空洞を有すること
を含むIII 族窒化物半導体装置の製造装置。 - 請求項2または請求項3に記載のIII 族窒化物半導体装置の製造装置において、
前記ラジカル輸送室は、
同心円状に配置された複数の空洞を有すること
を含むIII 族窒化物半導体装置の製造装置。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体装置の製造装置において、
前記ラジカル輸送部の材質は、
pBN、ホウケイ酸ガラス、Si、Cu、Ti、Al、AlN、アルミナ、Si3N4のいずれかであること
を含むIII 族窒化物半導体装置の製造装置。 - 窒素ガスと水素ガスとを含む混合ガスをプラズマ化し、
そのプラズマ化したガスのうちのラジカルを筒形状の空洞を有するpBN製のラジカル輸送部の内部を通過させてから成長基板に供給するとともに、
III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで前記ラジカル輸送部の前記空洞の内部を通過させずに前記成長基板に供給し、
前記成長基板の上にIII 族窒化物半導体を成長させること
を含むIII 族窒化物半導体装置の製造方法。
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JP (1) | JP2023048051A (ja) |
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2021
- 2021-09-27 JP JP2021157306A patent/JP2023048051A/ja active Pending
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