JP2023041360A - 成形品、成形品の製造方法および成形品の外観性向上方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、機械的物性を維持しながらも外観性(意匠性)を発揮する熱可塑性樹脂を含有する成形品を提供することにある。【解決手段】本発明の目的は、少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる内外装用成形品であって、該無機フィラーBが該熱可塑性樹脂Cにより被覆されている内外装用成形品、によって達成された。【選択図】図1
Description
本発明は、内外装用途に使用される成形品に関し、既存の材料よりもさらに優れた外観性(意匠性)を有する熱可塑性樹脂からなる成形品、その成形品の製造方法および成形品の外観性向上方法に関する。
熱可塑性樹脂からなる成形品は、優れた機械的特性、電気的特性、耐熱性、耐候性、耐水性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れる等の理由により、自動車部品、電気・電子部品、産業用機械部品等の種々の用途に広く利用されている。
しかし、熱可塑性樹脂からなる成形品は、人の目にふれる内外装用途に使用される場合、その美的外観(意匠性)や印刷、塗装後の見栄えに問題があり、必ずしも十分な特性を示すことができていなかった。
外観性を、材料面から改善するための検討が行われている。例えば、特許文献1の実施例3、4には、飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維とオレフィン系エラストマーが外観に優れており表面粗さRaが10μm以下であることが提案されている。
しかしながらこの技術では外観を改善する効果は見られるものの、十分でなく、さらなる改善が求められている。
本発明の目的は、機械的物性を維持しながらも外観性を発揮する熱可塑性樹脂を含有する成形品を提供することにある。
本発明の目的は、下記によって達成された。
1. 少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる内外装用成形品であって、該無機フィラーBが該熱可塑性樹脂Cにより被覆されている内外装用成形品。
2. 前記熱可塑性樹脂Cと前記無機フィラーBとが親和性を有するものである、前記1記載の内外装用成形品。
3. 前記内外装用成形品が、印刷または塗装して用いられる前記1または2記載の内外装用成形品。
4. 少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる外観性を向上した成形品の製造方法であって、前記無機フィラーBと熱可塑性樹脂Cをあらかじめ溶融混練することで、前記無機フィラーBを前記熱可塑性樹脂Cで被覆してから、前記熱可塑性樹脂Aと溶融混練する、外観性を向上した成形品の製造方法。
5. 少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる成形品の外観性向上方法であって、前記無機フィラーBと熱可塑性樹脂Cをあらかじめ溶融混練することで、前記無機フィラーBを前記熱可塑性樹脂Cで被覆してから、前記熱可塑性樹脂Aと溶融混練する、外観性向上方法。
1. 少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる内外装用成形品であって、該無機フィラーBが該熱可塑性樹脂Cにより被覆されている内外装用成形品。
2. 前記熱可塑性樹脂Cと前記無機フィラーBとが親和性を有するものである、前記1記載の内外装用成形品。
3. 前記内外装用成形品が、印刷または塗装して用いられる前記1または2記載の内外装用成形品。
4. 少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる外観性を向上した成形品の製造方法であって、前記無機フィラーBと熱可塑性樹脂Cをあらかじめ溶融混練することで、前記無機フィラーBを前記熱可塑性樹脂Cで被覆してから、前記熱可塑性樹脂Aと溶融混練する、外観性を向上した成形品の製造方法。
5. 少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる成形品の外観性向上方法であって、前記無機フィラーBと熱可塑性樹脂Cをあらかじめ溶融混練することで、前記無機フィラーBを前記熱可塑性樹脂Cで被覆してから、前記熱可塑性樹脂Aと溶融混練する、外観性向上方法。
本発明によれば、これまで以上に外観性に優れた成形品を提供することができる。
本発明の内外装用成形品は、少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる内外装用成形品であって、該無機フィラーBが該熱可塑性樹脂Cにより被覆されていることを特徴とする。
<熱可塑性樹脂A>
本発明の熱可塑性樹脂Aとして、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂が好適に用いられる。結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレンPE、ポリプロピレンPP)。フッ素樹脂等が挙げられる。溶融成形加工性を有するものであればよい。
本発明の熱可塑性樹脂Aとして、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂が好適に用いられる。結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレンPE、ポリプロピレンPP)。フッ素樹脂等が挙げられる。溶融成形加工性を有するものであればよい。
非晶性熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、環状オレフィン(共)重合体(COP、COC)等が挙げられるが、耐熱性面で特にポリカーボネート樹脂、環状オレフィン(共)重合体が好適に用いられる。特にポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂が好ましい。本発明の熱可塑性樹脂Aは、慣用の方法により製造できる。
<無機フィラーB>
本発明の成形品に含有させる無機フィラーBとしては繊維状充填剤、板状充填剤、又は粉粒状充填剤を挙げることができる。繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ-アルミナ繊維、アルミニウムシリケート繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、炭化ケイ素繊維、ウィスカー(炭化ケイ素、アルミナ、窒化珪素等のウィスカー)等の無機質繊維を挙げることができる。板状充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、ガラスフレーク、グラファイト等を挙げることができる。粉粒状充填剤としては、例えば、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラスファイバー等)、ウォラストナイト(珪灰石)等を挙げることができる。
本発明の成形品に含有させる無機フィラーBとしては繊維状充填剤、板状充填剤、又は粉粒状充填剤を挙げることができる。繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ-アルミナ繊維、アルミニウムシリケート繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、炭化ケイ素繊維、ウィスカー(炭化ケイ素、アルミナ、窒化珪素等のウィスカー)等の無機質繊維を挙げることができる。板状充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、ガラスフレーク、グラファイト等を挙げることができる。粉粒状充填剤としては、例えば、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラスファイバー等)、ウォラストナイト(珪灰石)等を挙げることができる。
繊維状充填剤の平均径は、例えば、1μm~30μm(好ましくは5μm~20μm、さらに好ましくは10~15μm)程度、平均長は、例えば、100μm~5mm(好ましくは300μm~4mm、さらに好ましくは500μm~3.5mm)程度であってもよい。また、板状又は粉粒状充填剤の平均一次粒子径は、例えば、0.1μm~500μm、好ましくは1μm~100μm程度とすることができる。これらの無機充填剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
なお、繊維状充填剤の平均径及び平均長、並びに板状又は粉粒状充填剤の平均一次粒子径は、樹脂組成物中に配合される前の繊維状充填材、板状又は粉粒状充填剤について、CCDカメラで撮影した画像を解析し、加重平均により算出した値である。これらは例えば、株式会社セイシン企業製、動的画像解析法/粒子(状態)分析計PITA-3等を用いて算出することができる。なお、板状又は粉状充填材のアスペクト比は、特に限定されず、例えば、1以上10以下とすることができる。
<熱可塑性樹脂C>
本発明の熱可塑性樹脂Cは、無機フィラーBを被覆することができれば特に制限はない。例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、エラストマー等が挙げられる、エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂Cは、無機フィラーBを被覆することができれば特に制限はない。例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、エラストマー等が挙げられる、エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー等が挙げられる。
エラストマーであることが好ましく、オレフィン系エラストマーであることがさらに好ましく、エポキシ基含有オレフィン系共重合体であることが最も好ましい。少なくとも、α-オレフィン由来の構成単位及びα,β-不飽和酸グリシジルエステル由来の構成単位を有することが好ましい。
オレフィン系エラストマーは、エチレン及び/又はプロピレンを成分として含む共重合体であり、具体的にはエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられ、これらに限定されるものではないが、特に無機フィラーとの反応性基を有する、エポキシ基含有オレフィン系共重合体であることが最も好ましい。
更に、オレフィン系エラストマーの中でも、エチレン-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体又はα-オレフィンとα,β-不飽和酸のグリシジルエステルから成るオレフィン系共重合体に、下記一般式(1)で示される繰返し単位で構成された重合体又は共重合体の一種又は二種以上が分岐又は架橋構造的に化学結合したグラフト共重合体も利用することができる。
α-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン等のC2~4のオレフィンを使用することができ、エチレン、プロピレンであることが好ましい。α,β-不飽和酸グリシジルエステルとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートを使用することが好ましい。その他、C1~12の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等の第3成分を共重合させてもよい。
オレフィン及びグリシジルエステルは、共重合体中それぞれ30~90モル%。70~10モル%の範囲で調整することができ、第3成分は0~30モル%の範囲を含有させることができる。
本発明では特に、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体(以下EGMAともいう)であることが好ましい。エチレンに対するグリシジルメタクリレートの割合は特に制限されるものではないが、共重合体の変性部位を各単量体質量に換算し、共重合体100質量部に対する割合として1~30質量部、好ましくは3~20質量部、更に好ましくは8~15質量部の範囲が好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル単量体の単独又は共重合体で構成されたハードセグメントと、α-オレフィン(エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどのα-C2-12オレフィンなど)、ジエン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)などから選択された少なくとも一種の単量体の単独又は共重合体で構成されたソフトセグメントとのブロック又はグラフト共重合体(又はその水素添加物)などが例示できる。
また、前記スチレン系エラストマーは、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などの酸又は酸無水物で変性された酸変性エラストマー、グリシジル基やエポキシ基を有する共重合性モノマー(グリシジル(メタ)アクリレートなど)を用いたり、エラストマーの不飽和結合をエポキシ化して得られたエポキシ変性エラストマーなどの反応性官能基を有するエラストマーであってもよい。
代表的なスチレン系エラストマーとしては、スチレン-ジエン-スチレンブロック共重合体[スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)など]、水素添加ブロック共重合体[スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(又は水添(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体))(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(又は水添(スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体))(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)、ランダムスチレン-ブタジエン共重合体の水素添加重合体など]、これらの共重合体に官能基(エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基など)が導入された変性共重合体[ジエンの不飽和結合がエポキシ化されたエポキシ化スチレン-ジエン共重合体(エポキシ化スチレン-ジエン-スチレンブロック共重合体又はその水素添加重合体など)など]が例示できる。
ポリエステル系エラストマーとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートといった芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエチレングリコールやポリテトラメチレングリコールといったポリエーテル、またはポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトンといった脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするブロック共重合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
ポリアミド系エラストマーとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などをハードセグメントとし、ポリエーテルまたは脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするブロック共重合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
ウレタン系エラストマーとしては、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネートとエチレングリコール、テトラメチレングリコール等のグリコールとを反応させることによって得られるポリウレタンをハードセグメントとし、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルもしくはポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするブロック共重合体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
シリコーン系エラストマーとしては、オルガノポリシロキサンを主成分として含むエラストマーであり、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、およびポリジフェニルシロキサン系に分けられる。オルガノポリシロキサンの一部がビニル基、アルコキシ基等で変性されていてもよい。シリコーンエラストマーの具体例としては、シリコーンゴム(ポリ(ジメチルシロキサン)およびポリ(ジメチルシロキサン-co-メチルビニルシロキサン))が挙げられる。
商業的に入手可能なシリコーンエラストマーとしては、KEシリーズ(信越化学社製)、SEシリーズ、CYシリーズおよびSHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)がある。
本発明の無機フィラーBは、その表面が熱可塑性樹脂Cによって被覆されていることを特徴とする。被覆されているか否かは、成形品の断面をSEMで観察する、もしくは以下の方法(以下、被覆確認法ともいう)によって知ることができる。
熱可塑性樹脂Cによって被覆されている無機フィラーBは、熱可塑性樹脂Cと無機フィラーBを溶融混錬する被覆処理工程によって製造することができる。この熱可塑性樹脂Cを表面に被覆処理した無機フィラーBを、熱可塑性樹脂Aに溶融混練する。熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Cの両方を溶解できる溶剤にて、被覆に関与していない熱可塑性樹脂Aと過剰の熱可塑性樹脂Cを取り除く。その後、被覆処理した無機フィラーBをFT-IRで測定する。
被覆処理していない無機フィラーと比較し、FT-IRの熱可塑性樹脂C由来の吸収が観測された場合、無機フィラーBが熱可塑性樹脂Cによって被覆されているということが分かる。
成形品用の樹脂組成物は、無機フィラーの表面に熱可塑性樹脂Cを被覆させる製造工程を経たのち、熱可塑性樹脂Aを添加し、さらに溶融混錬することによって製造することができる。熱可塑性樹脂Cにより被覆されている無機フィラーBが、熱可塑性樹脂A中に分散された状態の成形品を得ることができる。
熱可塑性樹脂Cは、被覆させた熱可塑性樹脂Cに追加して熱可塑性樹脂Aとの溶融混錬時に添加してもよい。
本発明において、無機フィラーBは、熱可塑性樹脂A100質量部に対して20~200質量部含むことが好ましく、30~160質量部含むことがより好ましい。
本発明においては、熱可塑性樹脂Cで表面を被覆された無機フィラーB以外に、表面を被覆しない無機フィラーBNを配合することもできる。配合量は、所望の機械的物性により適宜選択されるが、熱可塑性樹脂A100質量部に対して0~200質量部含ませることが好ましい。
本発明について熱可塑性樹脂Cと無機フィラーBとは親和性を有することが好ましい。ここで親和性とは、樹脂組成物の成形時等の溶融混練時に熱可塑性樹脂Cが無機フィラーBの表面から剥離しない程度を言う。
例えば熱可塑性樹脂Cが無機フィラーBと反応性を有する官能基を含むものであったり、無機フィラーBを表面処理剤で処理し、無機フィラーBの疎水性を減少させたり、熱可塑性樹脂Cの官能基との反応や水素結合を促進させるものであってもよい。また、熱可塑性樹脂Aよりも高粘度の熱可塑性樹脂Cを選択し、熱可塑性樹脂Aとの溶融混練時に、熱可塑性樹脂Cのせん断組成変形を減じるものであっても良い。
<他の成分>
本発明においては、本発明の効果を害さない範囲で、上記各成分の他、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の添加剤、即ち、バリ抑制剤、離型剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、結晶化促進剤、結晶核剤、各種酸化防止剤、熱安定剤、耐候性安定剤、腐食防止剤等を配合してもよい。
本発明においては、本発明の効果を害さない範囲で、上記各成分の他、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の添加剤、即ち、バリ抑制剤、離型剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、結晶化促進剤、結晶核剤、各種酸化防止剤、熱安定剤、耐候性安定剤、腐食防止剤等を配合してもよい。
<成形品>
本発明の成形品は、以上説明した成形品用の樹脂組成物を成形してなる。本発明の成形品を作製する方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、上記のような樹脂組成物を押出機に投入して溶融混練してペレット化し、このペレットを所定の金型を装備した射出成形機に投入し、射出成形することで製造することができる。
本発明の成形品は、以上説明した成形品用の樹脂組成物を成形してなる。本発明の成形品を作製する方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、上記のような樹脂組成物を押出機に投入して溶融混練してペレット化し、このペレットを所定の金型を装備した射出成形機に投入し、射出成形することで製造することができる。
本発明の成形品は、その表面に印刷または塗装をすることでさらに外観性(意匠性)を表出することができる。本発明の成形品は無機ファイラーを充填しながらも表面を滑らかなものとすることができることから、印刷用インク、塗料の膜厚を均等とすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 なお特に断りの無い限り測定は、23℃50%RH雰囲気下で行った。
<材料>
以下の材料を使用し、評価用試料を作製した。使用量は、表1および表2に示す。
A1 ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、固有粘度0.69dl/g、カルボン
酸末端濃度23meq/k):ポリプラスチックス社製
B1 マイカ:山口雲母工業所製ミカレット21PU
C1 エチレンーグリシジルメタクリレート共重合体:住友化学社製ボンドファースト7L
B1MC11 B1:C1=10:10(質量部)でブレンド後、溶融混練しマスターバッチ化したもの
BN1 ガラス繊維:日本電気硝子社製T187(直径13μm、長径3.0mm)
P 酸化防止剤:BASFジャパン社製 イルガノックス1010
Q 滑剤:三洋化成工業社製 サンワックス161-P
以下の材料を使用し、評価用試料を作製した。使用量は、表1および表2に示す。
A1 ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT、固有粘度0.69dl/g、カルボン
酸末端濃度23meq/k):ポリプラスチックス社製
B1 マイカ:山口雲母工業所製ミカレット21PU
C1 エチレンーグリシジルメタクリレート共重合体:住友化学社製ボンドファースト7L
B1MC11 B1:C1=10:10(質量部)でブレンド後、溶融混練しマスターバッチ化したもの
BN1 ガラス繊維:日本電気硝子社製T187(直径13μm、長径3.0mm)
P 酸化防止剤:BASFジャパン社製 イルガノックス1010
Q 滑剤:三洋化成工業社製 サンワックス161-P
<樹脂組成物の製造>
マスターバッチは、BとCを表1に記載の量をシリンダー温度190℃で溶融混練後、ペレタイズして作製した。
実施例1は、樹脂A1とペレタイズしたマスターバッチおよびその他の成分である酸化防止剤P、滑剤Qとをホッパーから投入し、ガラス繊維BN1をサイドフィードから投入し、シリンダー温度260℃で混練後、射出成形し、ISO3167のISO多目的試験片 Type-1Aを作製した。
上記被覆確認法によって、無機フィラーB1が熱可塑性樹脂C1により被覆されていることを確認した。
マスターバッチは、BとCを表1に記載の量をシリンダー温度190℃で溶融混練後、ペレタイズして作製した。
実施例1は、樹脂A1とペレタイズしたマスターバッチおよびその他の成分である酸化防止剤P、滑剤Qとをホッパーから投入し、ガラス繊維BN1をサイドフィードから投入し、シリンダー温度260℃で混練後、射出成形し、ISO3167のISO多目的試験片 Type-1Aを作製した。
上記被覆確認法によって、無機フィラーB1が熱可塑性樹脂C1により被覆されていることを確認した。
比較例1は、樹脂A1、熱可塑性樹脂C1、無機フィラーB1およびその他の成分である酸化防止剤P、滑剤Qとをホッパーから投入し、ガラス繊維BN1をサイドフィードから投入し、シリンダー温度260℃で混練後、射出成形し、ISO3167のISO多目的試験片 Type-1Aを作製した。
比較例2は、樹脂A1、無機フィラーB1およびその他の成分である酸化防止剤P、滑剤Qとをホッパーから投入し、熱可塑性樹脂C1とガラス繊維BN1をサイドフィードから投入しシリンダー温度260℃で混練後、射出成形し、ISO3167のISO多目的試験片 Type-1Aを作製した。
<評価>
<外観性評価:目視>
外観性の評価は、表面粗さ測定器(株式会社ミツトヨ製、輪郭形状測定機「サーフテストエクストリームSV-3000CNC」)を用いて、ISO多目的試験片 Type-1Aの標線間部分を4mm程度の範囲を測定し、JIS B 0601-2001に準拠した算術平均粗さRaを測定し、1μm以下を〇、1μmを超える場合を×とした。
<機械的物性>
ISO3167に準拠したISO多目的試験片 Type-1Aを用いて、ISO527-1,2に準拠し引張強さおよび引張破壊ひずみの値をオリエンテック社製万能試験機テンシロンRTC-1325Aを用いて測定した。
<外観性評価:目視>
外観性の評価は、表面粗さ測定器(株式会社ミツトヨ製、輪郭形状測定機「サーフテストエクストリームSV-3000CNC」)を用いて、ISO多目的試験片 Type-1Aの標線間部分を4mm程度の範囲を測定し、JIS B 0601-2001に準拠した算術平均粗さRaを測定し、1μm以下を〇、1μmを超える場合を×とした。
<機械的物性>
ISO3167に準拠したISO多目的試験片 Type-1Aを用いて、ISO527-1,2に準拠し引張強さおよび引張破壊ひずみの値をオリエンテック社製万能試験機テンシロンRTC-1325Aを用いて測定した。
<評価結果>
表2に示すように、本発明は機械的特性を維持したまま、外観性に優れた内外装用成形品であることが判る。そして本発明では外観性に優れた内外装用成形品の製造方法、内外装用成形品の外観性向上方法を提供することができる。
A 熱可塑性樹脂
B 無機フィラー
BN 表面被覆しない無機フィラー(ガラス繊維)
C 被覆した熱可塑性樹脂
X COフィード
Y サイドフィード
1 ホッパー
2 モーター
3 スクリュー
4 シリンダー
5 ストランドバス
6 カッター
Pelet ペレット
B 無機フィラー
BN 表面被覆しない無機フィラー(ガラス繊維)
C 被覆した熱可塑性樹脂
X COフィード
Y サイドフィード
1 ホッパー
2 モーター
3 スクリュー
4 シリンダー
5 ストランドバス
6 カッター
Pelet ペレット
Claims (5)
- 少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる内外装用成形品であって、該無機フィラーBが該熱可塑性樹脂Cにより被覆されている内外装用成形品。
- 前記熱可塑性樹脂Cと前記無機フィラーBとが親和性を有するものである、請求項1記載の内外装用成形品。
- 前記内外装用成形品が、印刷または塗装して用いられる請求項1または2記載の内外装用成形品。
- 少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる外観性を向上した成形品の製造方法であって、前記無機フィラーBと熱可塑性樹脂Cをあらかじめ溶融混練することで、前記無機フィラーBを前記熱可塑性樹脂Cで被覆してから、前記熱可塑性樹脂Aと溶融混練する、外観性を向上した成形品の製造方法。
- 少なくとも、熱可塑性樹脂A、無機フィラーBおよび該熱可塑性樹脂A以外の熱可塑性樹脂Cを含む樹脂組成物からなる成形品の外観性向上方法であって、前記無機フィラーBと熱可塑性樹脂Cをあらかじめ溶融混練することで、前記無機フィラーBを前記熱可塑性樹脂Cで被覆してから、前記熱可塑性樹脂Aと溶融混練する、外観性向上方法。
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JP2021148698A JP2023041360A (ja) | 2021-09-13 | 2021-09-13 | 成形品、成形品の製造方法および成形品の外観性向上方法 |
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