JP2023040818A - 延伸フィルムの製造方法および光学積層体の製造方法 - Google Patents

延伸フィルムの製造方法および光学積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023040818000001
【課題】面内位相差および/または配向角のバラツキが低減された長尺状の斜め延伸フィルムを提供すること。
【解決手段】長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること、該左右のクリップを少なくとも一方のクリップのクリップピッチを変化させながら走行移動させて、該フィルムを斜め延伸すること、該フィルムを熱固定すること、該フィルムを該左右のクリップから開放すること、および、該フィルムの幅方向における面内位相差および/または配向角のバラツキを測定すること、を含み、該面内位相差および/または配向角のバラツキが所定の基準を超える場合に、該熱固定時の該左右のクリップ間の距離および/または該左右のクリップのクリップピッチを補正すること、を含む、延伸フィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、延伸フィルムの製造方法および光学積層体の製造方法に関する。
液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置において、表示特性の向上や反射防止を目的として円偏光板が用いられている。円偏光板は、代表的には、偏光子と位相差フィルム(代表的にはλ/4板)とが、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とが45°の角度をなすようにして積層されている。従来、位相差フィルムは、代表的には、縦方向および/または横方向に一軸延伸または二軸延伸することにより作製されているので、その遅相軸は、多くの場合、長尺状のフィルム原反の横方向(幅方向)または縦方向(長尺方向)に発現する。結果として、円偏光板を作製するには、位相差フィルムを幅方向または長尺方向に対して45°の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。
また、円偏光板の広帯域性を確保するために、λ/4板とλ/2板の二枚の位相差フィルムを積層させる場合もある。その場合はλ/2板は偏光子の吸収軸に対して75°の角度をなすように積層し、λ/4板は偏光子の吸収軸に対して15°の角度をなすように積層する必要がある。この場合でも、円偏光板を作製する際には、位相差フィルムを幅方向または長尺方向に対して15°および75°の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。
さらに別の実施形態においては、ノートPCからの光が、キーボード等に映り込むのを回避するために、偏光板からでた直線偏光の向きを90°回転させる目的で、偏光板の視認側にλ/2板を用いることがある。この場合でも、位相差フィルムを幅方向または長尺方向に対して45°の角度をなすように裁断し、1枚ずつ貼り合わせる必要があった。
このような問題を解決するために、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持し、該左右のクリップの少なくとも一方のクリップピッチを変化させて、長尺方向に対して斜め方向に延伸(以下、「斜め延伸」とも称する)することにより、位相差フィルムの遅相軸を斜め方向に発現させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このような技術で得られた斜め延伸フィルムにおいては、面内位相差および/または配向角にバラツキが生じる場合がある。
特許第4845619号
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、面内位相差および/または配向角のバラツキが低減された長尺状の斜め延伸フィルムを提供することにある。
本発明の1つの局面によれば、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること、該左右のクリップを少なくとも一方のクリップのクリップピッチを変化させながら走行移動させて、該フィルムを斜め延伸すること、該フィルムを熱固定すること、該フィルムを該左右のクリップから開放すること、および、該フィルムの幅方向における面内位相差および/または配向角のバラツキを測定すること、を含み、該面内位相差および/または配向角のバラツキが所定の基準を超える場合に、該熱固定時の該左右のクリップ間の距離および/または該左右のクリップのクリップピッチを補正すること、を含む、延伸フィルムの製造方法が提供される。
1つの実施形態においては、上記左右のクリップから開放された上記フィルムの左右端部を切断除去した後に、上記幅方向における面内位相差および/または配向角のバラツキを測定する。
1つの実施形態においては、上記左右のクリップのクリップピッチの補正に関して、下記式(1)で規定される補正率がそれぞれ独立して、0.5%~4.0%である。
補正率(%)=(補正後の熱固定終了時のクリップピッチ-補正前の熱固定終了時のクリップピッチ)/(補正前の熱固定終了時のクリップピッチ)×100 式(1)
1つの実施形態においては、上記左右のクリップ間の距離の補正に関して、下記式(2)で規定される補正率が、0.5%~3.0%である。
補正率(%)=(補正後の熱固定終了時の左右のクリップ間の距離-補正前の熱固定終了時の左右のクリップ間の距離)/(補正前の熱固定終了時の左右のクリップ間の距離)×100 式(2)
1つの実施形態においては、上記斜め延伸が、(i)上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させること、および、(ii)該減少したクリップピッチと該増大したクリップピッチとが所定の等しいピッチとなるように、それぞれのクリップのクリップピッチを変化させることを含む。
1つの実施形態においては、P/Pが1.25~1.75であり、P/Pが0.50以上1未満である。
本発明の別の局面によれば、上記製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および、長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む、光学積層体の製造方法が提供される。
1つの実施形態においては、上記光学フィルムが、偏光板であり、上記延伸フィルムが、λ/4板またはλ/2板である。
本発明の延伸フィルムの製造方法においては、斜め延伸および熱固定を経て、クリップから開放されたフィルムの幅方向における面内位相差および/または配向角のバラツキを測定し、所定の基準を超える面内位相差および/または配向角のバラツキが生じた場合に、製造ライン下流の熱固定工程における左右のクリップ間の距離および/または左右のクリップのクリップピッチを補正する。これにより、幅方向における面内位相差および/または配向角のバラツキが低減された長尺状の斜め延伸フィルムが得られ得る。このような効果が得られる理由は、本発明を何ら制限するものではないが、熱固定において斜め延伸に起因する残留応力の緩和がより好適に行われる結果、ボーイングが抑制されるためと推測される。
本発明の延伸フィルムの製造方法の一例を説明する概略図である。 本発明の延伸フィルムの製造方法に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。 図2の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図である。 図2の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図である。 左右のクリップ間の距離およびクリップピッチを説明する概略図である。 斜め延伸の1つの実施形態におけるクリップピッチのプロファイルを示す概略図である。 斜め延伸の1つの実施形態におけるクリップピッチのプロファイルを示す概略図である。 面内位相差および/または配向角の測定方法を説明する概略図である。 本発明の製造方法により得られる位相差フィルムを用いた円偏光板の概略断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、本明細書において、長尺状のフィルムの幅方向の左右関係は、特段の記載がない限り、該フィルムの搬送方向に向かっての左右関係を意味する。
A.延伸フィルムの製造方法
本発明の実施形態による延伸フィルムの製造方法は、
長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること(把持工程)、
該左右のクリップを少なくとも一方のクリップのクリップピッチを変化させながら走行移動させて、該フィルムを斜め延伸すること(斜め延伸工程)、
該フィルムを熱固定すること(熱固定工程)、
該フィルムを該左右のクリップから開放すること(開放工程)、および、
該フィルムの幅方向における面内位相差および/または配向角のバラツキを測定すること(バラツキ測定工程)、を含み、
該面内位相差および/または配向角のバラツキが所定の基準を超える場合に、該熱固定時の該左右のクリップ間の距離および/または該左右のクリップのクリップピッチを補正すること(補正工程)、を含む。代表的には、本発明の実施形態による延伸フィルムの製造方法は、予熱工程をさらに含む。具体的には、左右のクリップによって把持されたフィルムは、予熱され、その後、斜め延伸に供される。
図1は、本発明の延伸フィルムの製造方法の一例を説明する概略図である。延伸装置100において斜め延伸され、次いで、クリップから開放された長尺状の斜め延伸フィルム1は、延伸装置100の出口から送り出され、搬送ロール200a、200b、200cおよび200dを用いてロール搬送されて巻取り部300で巻き取られる。フィルム1をロール搬送する際に、フィルムの幅方向における面内位相差および/または配向角のバラツキ(以下、「面内位相差等のバラツキ」と称する場合がある)を測定し、該バラツキが所定の基準を超える場合には、製造ラインの上流に遡って熱固定における左右のクリップ間の距離および/または左右のクリップのクリップピッチを補正する。このように補正することにより、幅方向における面内位相差等のバラツキが低減された長尺状の斜め延伸フィルムが得られ得る。
上記クリップによるフィルムの把持、予熱、斜め延伸、熱固定およびクリップからの開放は、例えば、長尺状のフィルムの幅方向の左右端部を把持しながら、それぞれ異なる速度で走行移動し得る左右のクリップを備えたテンター式同時二軸延伸装置を用いて行われ得る。
図2は、本発明の製造方法に用いられ得る延伸装置の一例の全体構成を説明する概略平面図である。延伸装置100は、平面視で、左右両側に、フィルム把持用の多数のクリップ20を有する無端ループ10Lと無端ループ10Rとを左右対称に有する。なお、本明細書においては、フィルムの入口側から見て左側の無端ループを左側の無端ループ10L、右側の無端ループを右側の無端ループ10Rと称する。左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20は、それぞれ、基準レール70に案内されてループ状に巡回移動する。左側の無端ループ10Lのクリップ20は反時計廻り方向に巡回移動し、右側の無端ループ10Rのクリップ20は時計廻り方向に巡回移動する。延伸装置においては、フィルムの入口側から出口側へ向けて、把持ゾーンA、予熱ゾーンB、延伸ゾーンC、熱固定ゾーンDおよび開放ゾーンEがこの順に設けられている。これらのそれぞれのゾーンは、延伸対象となるフィルムが実質的に把持、予熱、斜め延伸、熱固定および開放されるゾーンを意味し、機械的、構造的に独立した区画を意味するものではない。また、図2の延伸装置におけるそれぞれのゾーンの長さの比率は、実際の長さの比率と異なることに留意されたい。
図2では、図示されていないが、延伸装置は、代表的には、予熱ゾーンBから熱固定ゾーンDまたは開放ゾーンEまでを加熱環境とするための加熱装置(例えば、熱風式、近赤外式、遠赤外式等の各種オーブン)を備えている。
図2では、上記延伸装置100の把持ゾーンAおよび予熱ゾーンBでは、左右の無端ループ10L、10Rは、延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。延伸ゾーンCでは、予熱ゾーンBの側から熱固定ゾーンDに向かうに従って左右の無端ループ10L、10Rの離間距離が上記フィルムの延伸後の幅に対応するまで徐々に拡大する構成とされている。熱固定ゾーンDおよび開放ゾーンEでは、左右の無端ループ10L、10Rは、上記フィルムの延伸後の幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されている。
その一方で、左右の無端ループ10L、10Rは、互いの離間距離を自由に変更可能に構成されている。よって、左右の無端ループ10L、10Rの構成(基準レールパターン)は、目的等に応じて任意に変更することができる。例えば、熱固定の際に左右のクリップ間の距離を減少させる補正が行われる場合、熱固定ゾーンDでは、延伸ゾーンCの側から開放ゾーンEに向かうに従って左右の無端ループ10L、10Rの離間距離が、徐々に減少する構成とされ得る。また例えば、左右の無端ループ10L、10Rは、延伸ゾーンCにおいて延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されていてもよい。なお、左右の無端ループ10L、10Rの離間距離(左右の基準レールのレールパターン)を変更可能とする構成としては、特に限定されず、同時二軸延伸機において通常用いられている任意の適切な構成を採用することができる。
左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ独立して巡回移動し得る。例えば、左側の無端ループ10Lの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって反時計廻り方向に回転駆動され、右側の無端ループ10Rの駆動用スプロケット11、12が電動モータ13、14によって時計廻り方向に回転駆動される。その結果、これら駆動用スプロケット11、12に係合している駆動ローラ(図示せず)のクリップ担持部材に走行力が与えられる。これにより、左側のクリップは反時計廻り方向に巡回移動し、右側のクリップは時計廻り方向に巡回移動する。左側の電動モータおよび右側の電動モータを、それぞれ独立して駆動させることにより、左側のクリップおよび右側のクリップをそれぞれ独立して巡回移動させることができる。
さらに、左側の無端ループ10Lのクリップ(左側のクリップ)20および右側の無端ループ10Rのクリップ(右側のクリップ)20は、それぞれ可変ピッチ型である。すなわち、左右のクリップ20、20は、それぞれ独立して、移動に伴って縦方向のクリップピッチが変化し得る。可変ピッチ型の構成は、パンタグラフ方式、リニアモーター方式、モーター・チェーン方式等の駆動方式を採用することにより実現され得る。以下、一例として、リンク機構(パンタグラフ機構)について説明する。
図3および図4はそれぞれ、図2の延伸装置においてクリップピッチを変化させるリンク機構を説明するための要部概略平面図であり、図3はクリップピッチが最小の状態を示し、図4はクリップピッチが最大の状態を示す。
図3および図4に図示されるように、クリップ20を個々に担持する平面視横方向に細長矩形状のクリップ担持部材30が設けられている。図示しないが、クリップ担持部材30は、上梁、下梁、前壁(クリップ側の壁)、および後壁(クリップと反対側の壁)により閉じ断面の強固なフレーム構造に形成されている。クリップ担持部材30は、その両端の走行輪38により走行路面81、82上を転動するよう設けられている。なお、図3および図4では、前壁側の走行輪(走行路面81上を転動する走行輪)は図示されない。走行路面81、82は、全域に亘って基準レール70に並行している。クリップ担持部材30の上梁と下梁の後側(クリップ側の反対側(以下、反クリップ側))には、クリップ担持部材の長手方向に沿って長孔31が形成され、スライダ32が長孔31の長手方向にスライド可能に係合している。クリップ担持部材30のクリップ20側端部の近傍には、上梁および下梁を貫通して一本の第1の軸部材33が垂直に設けられている。一方、クリップ担持部材30のスライダ32には一本の第2の軸部材34が垂直に貫通して設けられている。各クリップ担持部材30の第1の軸部材33には主リンク部材35の一端が枢動連結されている。主リンク部材35は、他端を隣接するクリップ担持部材30の第2の軸部材34に枢動連結されている。各クリップ担持部材30の第1の軸部材33には、主リンク部材35に加えて、副リンク部材36の一端が枢動連結されている。副リンク部材36は、他端を主リンク部材35の中間部に枢軸37によって枢動連結されている。主リンク部材35、副リンク部材36によるリンク機構により、図3に示すように、スライダ32がクリップ担持部材30の後側(反クリップ側)に移動しているほど、クリップ担持部材30同士の縦方向のピッチ(結果として、クリップピッチ)が小さくなり、図4に示すように、スライダ32がクリップ担持部材30の前側(クリップ側)に移動しているほど、クリップ担持部材30同士の縦方向のピッチ(結果として、クリップピッチ)が大きくなる。スライダ32の位置決めは、ピッチ設定レール90により行われる。図3および図4に示すように、基準レール70とピッチ設定レール90との離間距離が小さいほどクリップピッチが大きくなる。
上記のような延伸装置を用いてフィルムの斜め延伸を行うことにより、斜め延伸フィルム、例えば、斜め方向に遅相軸を有する位相差フィルムが作製され得る。なお、上記のような延伸装置の具体的な実施形態については、例えば、特開2008-44339号に記載されており、その全体が本明細書に参考として援用される。以下、各工程について詳細に説明する。
A-1.把持工程
把持ゾーンA(延伸装置100のフィルム取り込みの入り口)においては、代表的には、左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20によって、延伸対象となるフィルムの左右端部が互いに等しい一定のクリップピッチで同時に把持される。このとき、左右のクリップの中心を結んだ線は、フィルムの搬送方向に対して略直交(例えば90°±3°、好ましくは90°±1°、より好ましくは90°±0.5°、さらにより好ましくは90°)となることが好ましい。把持時の左右のクリップのクリップピッチは、例えば100mm~200mm、好ましくは125mm~175mm、より好ましくは140mm~160mmである。
なお、本明細書において、「縦方向のクリップピッチ」または「クリップピッチ」は、縦方向に隣接するクリップ20の走行方向における中心間距離Pを意味し、「左右のクリップ間の距離」は、中心間を結んだ線がフィルム1の搬送方向に対して略直交となるように位置する左右のクリップ20の内方側の端部間の距離Lを意味し、左右の無端ループ10L、10Rの離間距離に対応し得る(図5参照)。
左右の無端ループ10L、10Rのクリップ20の移動(実質的には、基準レール30に案内された各クリップ担持部材の移動)により、当該フィルムが予熱ゾーンBに送られる。
A-2.予熱工程
予熱ゾーンBにおいては、左右の無端ループ10L、10Rは、上記のとおり延伸対象となるフィルムの初期幅に対応する離間距離で互いに略平行となるよう構成されているので、基本的には横延伸も縦延伸も行わず、フィルムが加熱される。ただし、予熱によりフィルムのたわみが起こり、オーブン内のノズルに接触するなどの不具合を回避するために、わずかに左右クリップ間の距離(幅方向の距離)を広げてもよい。
予熱工程においては、フィルムを温度T1(℃)まで加熱する。温度T1は、フィルムのガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、より好ましくはTg+2℃以上、さらに好ましくはTg+5℃以上である。一方、加熱温度T1は、好ましくはTg+40℃以下、より好ましくはTg+30℃以下である。用いるフィルムにより異なるが、温度T1は、例えば70℃~190℃であり、好ましくは80℃~180℃である。
上記温度T1までの昇温時間および温度T1での保持時間は、フィルムの構成材料や製造条件(例えば、フィルムの搬送速度)に応じて適切に設定され得る。これらの昇温時間および保持時間は、クリップ20の移動速度、予熱ゾーンの長さ、予熱ゾーンの温度等を調整することにより制御され得る。
A-3.斜め延伸工程
延伸ゾーンCにおいては、左右のクリップ20を、その少なくとも一方のクリップの縦方向のクリップピッチを変化させながら走行移動させて、フィルムを斜め延伸する。より具体的には、左右のクリップを、それぞれ異なる位置でクリップピッチを増大または縮小させながら走行移動させること、それぞれ異なる変化速度でクリップピッチを変化(増大および/または縮小)させながら走行移動させること等によって、フィルムを斜め延伸する。このようにクリップピッチを変化させながら左右のクリップを走行移動させる結果、延伸ゾーンに同時に移行した一対の左右のクリップの内、一方のクリップが他方のクリップに先行して延伸ゾーンの終端に到達する。このような斜め延伸によれば、当該先行するクリップ側の端部が後行するクリップ側の端部よりも高い延伸倍率で延伸されることになり、その結果として、長尺フィルムの所望の方向(例えば、長手方向に対して45°の方向)に遅相軸を発現させることができる。
斜め延伸は、横延伸を含んでもよい。この場合、斜め延伸は、例えば図示例のように、左右のクリップ間の距離(幅方向の距離)を拡大させながら行われ得る。あるいは、図示例とは異なり、斜め延伸は、横延伸を含まず、左右のクリップ間の距離を維持したまま行われ得る。
斜め延伸が横延伸を含む場合、横方向(TD)の延伸倍率(フィルムの初期幅Winitialに対する斜め延伸後のフィルムの幅Wfinalの比(Wfinal/Winitial)は、好ましくは1.05~6.00であり、より好ましくは1.10~5.00である。
1つの実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置と他方のクリップのクリップピッチが増大または減少し始める位置とを縦方向における異なる位置とした状態で、それぞれのクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少することによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特許文献1、特開2014-238524号公報等の記載を参照することができる。
別の実施形態において、斜め延伸は、上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチを固定したまま、他方のクリップのクリップピッチを所定のピッチまで増大または減少させた後、当初のクリップピッチまで戻すことによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2013-54338号公報、特開2014-194482号公報等の記載を参照することができる。
さらに別の実施形態において、斜め延伸は、(i)上記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させること、および、(ii)該減少したクリップピッチと該増大したクリップピッチとが所定の等しいピッチとなるように、それぞれのクリップのクリップピッチを変化させることによって行われ得る。当該実施形態の斜め延伸については、例えば、特開2014-194484号公報等の記載を参照することができる。当該実施形態の斜め延伸は、左右のクリップ間の距離を拡大させながら、一方のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させて、フィルムを斜め延伸すること(第1の斜め延伸)、および、左右のクリップ間の距離を拡大させながら、左右のクリップのクリップピッチが等しくなるように該一方のクリップのクリップピッチをPで維持またはPまで減少させ、かつ、該他方のクリップのクリップピッチをPまたはPまで増大させて、フィルムを斜め延伸すること(第2の斜め延伸)を含み得る。
上記第1の斜め延伸においては、フィルムの一方の端部を長尺方向に伸長させつつ、他方の端部を長尺方向に収縮させながら斜め延伸を行うことにより、所望の方向(例えば、長尺方向に対して45°の方向)に高い一軸性および面内配向性で遅相軸を発現させることができる。また、第2の斜め延伸においては、左右のクリップピッチの差を縮小しながら斜め延伸を行うことにより、余分な応力を緩和しつつ、斜め方向に十分に延伸することができる。
上記3つの実施形態の斜め延伸において、左右のクリップの移動速度が等しくなった状態でフィルムをクリップから開放することができるので、左右のクリップの開放時にフィルムの搬送速度等のバラつきが生じ難く、その後のフィルムの巻き取りが好適に行われ得る。
図6Aおよび図6Bはそれぞれ、上記第1の斜め延伸および第2の斜め延伸を含む斜め延伸におけるクリップピッチのプロファイルの一例を示す概略図である。以下、これらの図を参照しながら、第1の斜め延伸を具体的に説明する。なお、図6Aおよび図6Bにおいて、横軸はクリップの走行距離に対応する。第1の斜め延伸開始時においては、左右のクリップピッチはともにPとされている。Pは、代表的には、フィルムを把持した際のクリップピッチである。第1の斜め延伸が開始されると同時に、一方のクリップ(以下、第1のクリップと称する場合がある)のクリップピッチの増大を開始し、かつ、他方のクリップ(以下、第2のクリップと称する場合がある)のクリップピッチの減少を開始する。第1の斜め延伸においては、第1のクリップのクリップピッチをPまで増大させ、第2のクリップのクリップピッチをPまで減少させる。したがって、第1の斜め延伸の終了時(第2の斜め延伸の開始時)において、第2のクリップはクリップピッチPで移動し、第1のクリップはクリップピッチPで移動することとされている。なお、クリップピッチの比はクリップの移動速度の比に概ね対応し得る。
図6Aおよび図6Bでは、第1のクリップのクリップピッチを増大させ始めるタイミングおよび第2のクリップのクリップピッチを減少させ始めるタイミングをともに第1の斜め延伸の開始時としているが、図示例とは異なり、第1のクリップのクリップピッチを増大させ始めた後に第2のクリップのクリップピッチを減少させ始めてもよく、第2のクリップのクリップピッチを減少させ始めた後に第1のクリップのクリップピッチを増大させ始めてもよい。1つの好ましい実施形態においては、第1のクリップのクリップピッチを増大させ始めた後に第2のクリップのクリップピッチを減少させ始める。このような実施形態によれば、既にフィルムが幅方向に一定程度(好ましくは1.2倍~2.0倍程度)延伸されていることから第2のクリップのクリップピッチを大きく減少させてもシワが発生しにくい。よって、より鋭角な斜め延伸が可能となり、一軸性および面内配向性の高い位相差フィルムが好適に得られ得る。
同様に、図6Aおよび図6Bでは、第1の斜め延伸の終了時(第2の斜め延伸の開始時)まで第1のクリップのクリップピッチの増大および第2のクリップのクリップピッチの減少が続いているが、図示例とは異なり、クリップピッチの増大または減少のいずれか一方が他方よりも早く終了し、他方が終了するまで(第1の斜め延伸の終了時まで)そのクリップピッチがそのまま維持されてもよい。
第1のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)は、好ましくは1.25~1.75、より好ましくは1.30~1.70、さらに好ましくは1.35~1.65である。また、第2のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)は、例えば0.50以上1未満、好ましくは0.50~0.95、より好ましくは0.55~0.90、さらに好ましくは0.55~0.85である。クリップピッチの変化率がこのような範囲内であれば、フィルムの長手方向に対して概ね45度の方向に高い一軸性および面内配向性で遅相軸を発現させることができる。
クリップピッチは、上記のとおり、延伸装置のピッチ設定レールと基準レールとの離間距離を調整してスライダを位置決めすることにより、調整され得る。
第1の斜め延伸におけるフィルムの幅方向の延伸倍率(第1の斜め延伸終了時のフィルム幅/第1の斜め延伸前のフィルム幅)は、好ましくは1.1倍~3.0倍、より好ましくは1.2倍~2.5倍、さらに好ましくは1.25倍~2.0倍である。当該延伸倍率が1.1倍未満であると、収縮させた側の端部にトタン状のシワが生じる場合がある。また、当該延伸倍率が3.0倍を超えると、得られる位相差フィルムの二軸性が高くなってしまい、円偏光板等に適用した場合に視野角特性が低下する場合がある。
1つの実施形態において、第1の斜め延伸は、第1のクリップのクリップピッチの変化率と第2のクリップのクリップピッチの変化率との積が、好ましくは0.7~1.5、より好ましくは0.8~1.45、さらに好ましくは0.85~1.40となるように行われる。変化率の積がこのような範囲内であれば、一軸性および面内配向性の高い位相差フィルムが得られ得る。
次に、第2の斜め延伸の1つの実施形態を、図6Aを参照しながら具体的に説明する。本実施形態の第2の斜め延伸においては、第2のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させる。一方、第1のクリップのクリップピッチは、第2の斜め延伸の間、Pのまま維持される。したがって、第2の斜め延伸の終了時において、左右のクリップはともに、クリップピッチPで移動することとされている。
図6Aに示す実施形態の第2の斜め延伸における第2のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて制限はない。該変化率(P/P)は、例えば1.3~4.0、好ましくは1.5~3.0である。
第2の斜め延伸の別の実施形態を、図6Bを参照しながら具体的に説明する。本実施形態の第2の斜め延伸においては、第1のクリップのクリップピッチを減少させるとともに、第2のクリップのクリップピッチを増大させる。具体的には、第1のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させ、第2のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させる。したがって、第2の斜め延伸の終了時において、左右のクリップはともにクリップピッチPで移動することとされている。なお、図示例では、第2の斜め延伸の開始と同時に、第1のクリップのクリップピッチの減少および第2のクリップのクリップピッチの増大を開始しているが、これらは異なるタイミングで開始され得る。また、同様に、第1のクリップのクリップピッチの減少および第2のクリップのクリップピッチの増大は、異なるタイミングで終了してもよい。
図6Bに示す実施形態の第2の斜め延伸における第1のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)および第2のクリップのクリップピッチの変化率(P/P)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて制限はない。変化率(P/P)は、例えば0.4以上1.0未満、好ましくは0.6~0.95である。また、変化率(P/P)は、例えば1.0を超え2.0以下、好ましくは1.2~1.8である。好ましくは、PはP以上である。P<Pであると、端部にシワが生じる、二軸性が高くなる等の問題が生じる場合がある。
第2の斜め延伸におけるフィルムの幅方向の延伸倍率(第2の斜め延伸終了時のフィルム幅/第1の斜め延伸終了時のフィルム幅)は、好ましくは1.1倍~3.0倍、より好ましくは1.2倍~2.5倍、さらに好ましくは1.25倍~2.0倍である。当該延伸倍率が1.1倍未満であると、収縮させた側の端部にトタン状のシワが生じる場合がある。また、当該延伸倍率が3.0倍を超えると、得られる位相差フィルムの二軸性が高くなってしまい、円偏光板等に適用した場合に視野角特性が低下する場合がある。また、第1の斜め延伸および第2の斜め延伸における幅方向の延伸倍率(第2の斜め延伸終了時のフィルム幅/第1の斜め延伸前のフィルム幅)は、上記と同様の観点から、好ましくは1.2倍~4.0倍であり、より好ましくは1.4倍~3.0倍である。
斜め延伸は、代表的には、温度T2で行われ得る。温度T2は、フィルムのガラス転移温度(Tg)に対し、Tg-20℃~Tg+30℃であることが好ましく、さらに好ましくはTg-10℃~Tg+20℃、特に好ましくはTg程度である。用いるフィルムにより異なるが、温度T2は、例えば70℃~180℃であり、好ましくは80℃~170℃である。上記温度T1と温度T2との差(T1-T2)は、好ましくは±2℃以上であり、より好ましくは±5℃以上である。1つの実施形態においては、T1>T2であり、したがって、予熱ゾーンで温度T1まで加熱されたフィルムは温度T2まで冷却され得る。
上述の通り、斜め延伸後に横収縮処理が行われてもよい。斜め延伸後の当該処理については、特開2014-194483号公報の0029~0032段落を参照することができる。
左右のクリップの移動により、フィルムが延伸ゾーンから熱固定ゾーンに送られる。このとき、代表的には、左右のクリップが同時に熱固定ゾーンに移行する。換言すれば、フィルムを把持する左右のクリップの中心を結んだ線がフィルムの搬送方向に対して略直交となる状態で、フィルムが熱固定ゾーンに移行する。
A-4.熱固定工程
熱固定ゾーンDでは、斜め延伸されたフィルムを熱処理する。後述する補正が適用される前の熱固定ゾーンDにおいては、熱処理の間、左右のクリップ間の距離が維持される。縦方向のクリップピッチとしては、斜め延伸終了時のクリップピッチが維持され得るが、必要に応じて、漸減させ、これにより、応力を緩和してもよい。この場合、左右のクリップのクリップピッチの減少率[(熱固定開始時のクリップピッチ-熱固定終了時のクリップピッチ)/熱固定開始時のクリップピッチ×100]は、例えば0.5%~5%、好ましくは1%~3%である。
熱処理は、代表的には、温度T3で行われ得る。温度T3は、延伸されるフィルムによって異なり、T2≧T3の場合も、T2<T3の場合もあり得る。一般的に、フィルムが非晶性材料である場合はT2≧T3であり、結晶性材料である場合はT2<T3にすることで結晶化処理を行う場合もある。T2≧T3の場合、温度T2とT3の差(T2-T3)は好ましくは0℃~50℃である。熱処理時間は、代表的には10秒~10分である。
A-5.開放工程
開放ゾーンEの任意の位置において、上記フィルムが、クリップから開放される。開放ゾーンEにおいては、通常、熱固定後のフィルムに対して横延伸も縦延伸も行うことなく、所望の温度までフィルムを冷却し、次いで、フィルムをクリップから開放する。
クリップから開放される際のフィルム温度は、例えば150℃以下であり、好ましくは70℃~140℃、より好ましくは80℃~130℃である。
クリップから開放された延伸フィルムは、延伸装置の出口から送り出されて、面内位相差等の測定に供される。
A-6.面内位相差および/または配向角のバラツキ測定工程
1つの実施形態においては、延伸装置の出口から送り出されたフィルムをロール搬送しながら、その幅方向における複数箇所の面内位相差等をインラインで測定する。幅方向における複数箇所で測定された面内位相差等の最大値と最小値との差が、幅方向における面内位相差等のバラツキとして算出される。
例えば、図7に示す実施形態では、搬送ラインにおいて、フィルム1の幅方向中央部および左右端部の上方に測定装置400を設け、搬送されてくるフィルムの面内位相差等を幅方向の3箇所において定点測定している。測定箇所は、図示例とは異なっていてもよく、例えば、フィルムの幅方向中央部と左右端部のいずれか一方との計2箇所、または、左右端部のみの計2箇所、あるいは、幅方向に等間隔で2箇所、3箇所、4箇所、5箇所またはそれ以上とすることができる。好ましくは、左右端部(例えば、左右の端辺からの距離が25mm以内)を含む2箇所以上で面内位相差等を測定する。
面内位相差等の測定は、連続的に行ってもよく、所定の間隔で行ってもよい。例えば0.1秒~1秒、好ましくは0.1秒~0.5秒の間隔で面内位相差等の測定が行われ得る。
面内位相差等の測定波長は、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、面内位相差等の測定波長は、500nm~600nmの範囲内であり得る。なお、本明細書において、Re(λ)は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。したがって、Re(550)は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。ここで、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率である。
面内位相差等の測定は、クリップから開放された延伸フィルムの幅方向の左右端部を切断除去した後に行われてもよい。両端部を除去した状態で面内位相差等の測定を行うことにより、より正確な測定結果が得られ得る。
切断除去される端部の幅はそれぞれ独立して、例えば20mm~600mm、好ましくは100mm~500mmであり得る。端部の切断除去は、通常のスリット加工によって行われ得る。
A-7.補正工程
上記測定において、面内位相差等のバラツキが所定の基準を超える場合に、製造ラインの上流に遡って熱固定工程における左右のクリップ間の距離および/または左右のクリップのクリップピッチを補正する。より具体的には、補正前後において、熱固定終了時の左右のクリップ間の距離および/または左右のクリップのクリップピッチが異なるように補正を行う。好ましくは、補正前後において、熱固定終了時の左右のクリップ間の距離および左右のクリップのクリップピッチの両方が異なるように補正を行う。一方、当該バラツキが所定の基準以下である場合は、上記補正を行うことなく、それまでと同じ条件で延伸フィルムの作製を続けることができる。
1つの実施形態において、面内位相差Re(550)のバラツキが、例えば8nm以上、7nm以上または6nm以上である場合に上記補正が行われ得る。
1つの実施形態において、配向角のバラツキが、例えば6°以上、5°以上または4°以上である場合に上記補正が行われ得る。
左右のクリップのクリップピッチを補正する場合、その補正率は、面内位相差等のバラツキの程度に応じて適切に設定され得る。クリップピッチの補正は、下記式(1)で規定される補正率が、例えば0.5%~4.0%、好ましくは1.0%~3.5%、より好ましくは1.5%~3.0%となるように行われ得る。なお、本発明の効果が得られる限りにおいて、左右のクリップに関して、同じまたは異なる補正率が適用され得るが、好ましくは同じ補正率が適用される。左右のクリップのクリップピッチ補正率が同じであることにより、面内位相差等のバラツキを好適に低減できるとともに、左右のクリップを開放するタイミングおよびその際の走行速度が揃うので、搬送および巻取りが好適に行われ得るという利点がある。
補正率(%)=(補正後の熱固定終了時のクリップピッチ-補正前の熱固定終了時のクリップピッチ)/(補正前の熱固定終了時のクリップピッチ)×100 式(1)
左右のクリップ間の距離を補正する場合、その補正率は、面内位相差等のバラツキの程度に応じて適切に設定され得る。左右のクリップ間の距離の補正は、下記式(2)で規定される補正率が、例えば0.5%~3.0%、好ましくは1.0%~2.5%、より好ましくは1.0%~2.0%となるように行われ得る。左右のクリップ間の距離を補正することにより、フィルムの収縮挙動を均一にするという効果が得られ得る。なお、左右のクリップ間の距離の補正率は、実質的にフィルムの横延伸または横収縮の比率に相当し得る。
補正率(%)=(補正後の熱固定終了時の左右のクリップ間距離-補正前の熱固定終了時の左右のクリップ間距離)/(補正前の熱固定終了時の左右のクリップ間距離)×100 式(2)
上記補正は、熱固定中の任意のタイミングで行うことができる。1つの実施形態においては、熱固定ゾーンの始端から終端にかけて(すなわち、熱固定工程の全体にわたって)徐々に上記補正を行う。別の実施形態においては、熱固定ゾーンの始端からその途中にかけて上記補正を完了し、熱固定ゾーンの終端まで補正後の状態で熱処理を継続する。さらに別の実施形態においては、熱固定ゾーンの途中から終端にかけて上記補正を行う。
必要に応じて、上記熱固定における補正を経て得られた延伸フィルムに対して、面内位相差等のバラツキの測定を行い、当該バラツキが所定の基準を超える度に上記補正を行ってもよい。1つの実施形態においては、延伸フィルムの製造の間、継続的に面内位相差等のバラツキの測定を行い、当該バラツキが所定の基準を超える度に補正工程を行うことができる。
B.延伸対象のフィルム
本発明の製造方法においては、任意の適切なフィルムを用いることができる。例えば、位相差フィルムとして適用可能な樹脂フィルムが挙げられる。このようなフィルムを構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂である。これらの樹脂であれば、いわゆる逆分散の波長依存性を示す位相差フィルムが得られ得るからである。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、所望の特性に応じて組み合わせて用いてもよい。
上記ポリカーボネート系樹脂としては、任意の適切なポリカーボネート系樹脂が用いられる。例えば、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート系樹脂が好ましい。ジヒドロキシ化合物の具体例としては、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-sec-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-tert-ブチル-6-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂は、上記ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の他に、イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、スピログリコール、ジオキサングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、トリシクロデカンジメタノール(TCDDM)、ビスフェノール類などのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
上記のようなポリカーボネート系樹脂の詳細は、例えば特開2012-67300号公報および特許第3325560号に記載されている。当該特許文献の記載は、本明細書に参考として援用される。
ポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度は、110℃以上250℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上230℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形安定性が悪くなる場合があり、また、フィルムの透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、任意の適切なポリビニルアセタール系樹脂を用いることができる。代表的には、ポリビニルアセタール系樹脂は、少なくとも2種類のアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物と、ポリビニルアルコール系樹脂とを縮合反応させて得ることができる。ポリビニルアセタール系樹脂の具体例および詳細な製造方法は、例えば、特開2007-161994号公報に記載されている。当該記載は、本明細書に参考として援用される。
上記延伸対象のフィルムを延伸して得られる延伸フィルム(位相差フィルム)は、好ましくは、屈折率特性がnx>nyの関係を示す。1つの実施形態において、位相差フィルムは、好ましくはλ/4板として機能し得る。本実施形態において、位相差フィルム(λ/4板)の面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm~180nm、より好ましくは135nm~155nmである。別の実施形態において、位相差フィルムは、好ましくはλ/2板として機能し得る。本実施形態において、位相差フィルム(λ/2板)の面内位相差Re(550)は、好ましくは230nm~310nm、より好ましくは250nm~290nmである。
位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、斜め延伸条件を適切に設定することにより所望の範囲とすることができる。例えば、斜め延伸によって100nm~180nmの面内位相差Re(550)を有する位相差フィルムを製造する方法は、特開2013-54338号公報、特開2014-194482号公報、特開2014-238524号公報、特開2014-194484号公報等に詳細に開示されている。よって、当業者は、当該開示に基づいて適切な斜め延伸条件を設定することができる。
1枚の位相差フィルムを用いて円偏光板を作製する場合、または、1枚の位相差フィルムを用いて直線偏光の向きを90°回転させる場合、用いられる位相差フィルムの遅相軸方向は、当該フィルムの長尺方向に対して好ましくは30°~60°または120°~150°、より好ましくは38°~52°または128°~142°、さらに好ましくは43°~47°または133°~137°、特に好ましくは45°または135°程度である。
また、2枚の位相差フィルム(具体的には、λ/2板とλ/4板)を用いて円偏光板を作製する場合、用いられる位相差フィルム(λ/2板)の遅相軸方向は、当該フィルムの長尺方向に対して好ましくは60°~90°、より好ましくは65°~85°、特に好ましくは75°程度である。また、位相差フィルム(λ/4板)の遅相軸方向は、当該フィルムの長尺方向に対して好ましくは0°~30°、より好ましくは5°~25°、特に好ましくは15°程度である。
位相差フィルムは、好ましくは、いわゆる逆分散の波長依存性を示す。具体的には、その面内位相差は、Re(450)<Re(550)<Re(650)の関係を満たす。Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8~0.95である。Re(550)/Re(650)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8~0.97である。
位相差フィルムは、その光弾性係数の絶対値が、好ましくは2×10-12(m/N)~100×10-12(m/N)であり、より好ましくは5×10-12(m/N)~50×10-12(m/N)である。
C.光学積層体および該光学積層体の製造方法
本発明の製造方法により得られた延伸フィルムは、別の光学フィルムと貼り合わせられて光学積層体として用いられ得る。例えば、本発明の製造方法によって得られた位相差フィルムは、偏光板と貼り合わせられて、円偏光板として好適に用いられ得る。
図8は、そのような円偏光板の一例の概略断面図である。図示例の円偏光板500は、偏光子510と、偏光子510の片側に配置された第1の保護フィルム520と、偏光子510のもう片側に配置された第2の保護フィルム530と、第2の保護フィルム530の外側に配置された位相差フィルム540と、を有する。位相差フィルム540は、A項に記載の製造方法により得られた延伸フィルム(例えば、λ/4板)である。第2の保護フィルム530は省略されてもよい。その場合、位相差フィルム540が偏光子の保護フィルムとして機能し得る。偏光子510の吸収軸と位相差フィルム540の遅相軸とのなす角度は、好ましくは30°~60°、より好ましくは38°~52°、さらに好ましくは43°~47°、特に好ましくは45°程度である。
本発明の製造方法により得られた位相差フィルムは、長尺状であり、かつ、斜め方向(長尺方向に対して例えば45°の方向)に遅相軸を有する。また、多くの場合、長尺状の偏光子は長尺方向または幅方向に吸収軸を有する。よって、本発明の製造方法により得られた位相差フィルムを用いれば、いわゆるロールトゥロールを利用することができ、きわめて優れた製造効率で円偏光板を作製することができる。なお、ロールトゥロールとは、長尺状のフィルム同士をロール搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせる方法をいう。
1つの実施形態において、本発明の光学積層体の製造方法は、A項に記載の延伸フィルムの製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および、長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における測定および評価方法は下記のとおりである。
(1)厚み
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG-205 type pds-2」)を用いて測定した。
(2)位相差値
インライン位相差計(王子計測機器社製、KOBRAシリーズ)を用いて、波長550nmにおける面内位相差Re(550)を0.5秒間隔で測定した。
(3)配向角(遅相軸の発現方向)
インライン位相差計(王子計測機器社製、KOBRAシリーズ)を用いて、波長550nmにおける配向角θを0.5秒間隔で測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準じて測定した。
<実施例1>
(ポリエステルカーボネート樹脂フィルムの作製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン 29.60質量部(0.046mol)、ISB 29.21質量部(0.200mol)、SPG 42.28質量部(0.139mol)、DPC 63.77質量部(0.298mol)及び触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2質量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネートを水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。得られたポリエステルカーボネート樹脂のTgは、140℃であった。
得られたポリエステルカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み135μmの樹脂フィルムを作製した。
(延伸フィルムの作製)
上記のようにして得られたポリエステルカーボネート樹脂フィルムを、図2~4に示すような延伸装置を用いて斜め延伸して、位相差フィルムを得た。
具体的には、延伸装置の入り口で、ポリエステルカーボネート樹脂フィルムの左右端部を、左右のクリップによって同じタイミングかつ同じクリップピッチで把持した。フィルムを把持した際の左右のクリップの中心を結んだ線は、フィルムの搬送方向に対して直交であり、左右のクリップのクリップ間距離およびクリップピッチ(P)はそれぞれ、150mmおよび125mmであった。次いで、フィルムを予熱ゾーンBに移行し、145℃に予熱した。予熱ゾーンBにおいては、把持時の左右のクリップのクリップ間距離およびクリップピッチを維持した。
次に、フィルムが延伸ゾーンCに入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大および左側クリップのクリップピッチの減少を開始し、右側クリップのクリップピッチをPまで増大させるとともに左側クリップのクリップピッチをPまで減少させた(第1の斜め延伸)。このとき、右側クリップのクリップピッチ変化率(P/P)は、1.42であり、左側クリップのクリップピッチ変化率(P/P)は0.65であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.45倍であった。次いで、右側クリップのクリップピッチをPに維持したままで、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、PからPまで増大させた(第2の斜め延伸)。この間の左側クリップのクリップピッチの変化率(P/P)は2.18であり、フィルムの原幅に対する横延伸倍率は1.9倍であった(延伸ゾーン終端における左右のクリップ間の距離:285mm、左右のクリップのクリップピッチ:177.5mm)。なお、延伸ゾーンCはTg+3.2℃(143.2℃)に設定した。
次いで、フィルムを把持する一対の左右のクリップが同時に熱固定ゾーンに入るように、フィルムを熱固定ゾーンDに移行させた。熱固定ゾーンDにおいては、延伸ゾーンCの終端における左右のクリップのクリップ間距離およびクリップピッチを維持したまま、125℃で60秒間フィルムを保持して熱固定を行った。
以上のようにして熱固定されたフィルムを、開放ゾーンEにおいて100℃まで冷却後、左右のクリップから開放した。
(面内位相差および配向角の測定)
上記クリップから開放され、延伸装置から送り出された延伸フィルムの左右端部をそれぞれ25mm切除した。次いで、ロール搬送しながら、フィルムの幅方向中央および左右端部から各々25mm内方の計3箇所において、面内位相差Re(550)および配向角(長尺方向に対する角度)を定点測定した。その結果、面内位相差Re(550)および配向角のバラツキはそれぞれ、16nmおよび8°であった。
(クリップ間距離およびクリップピッチの補正)
製造ライン上流の熱固定ゾーンにおいて、始端から終端にかけて左右のクリップ間の距離を2%増大するとともに、左右のクリップのクリップピッチを1.5%増大する補正を行った(熱固定ゾーン終端における左右のクリップ間距離:290.7mm、クリップピッチ:180.2mm)。
上記補正後の熱固定を経て得られた延伸フィルムについて、上記と同様に左右端部をそれぞれ25mm切除後、幅方向の計3箇所において、面内位相差Re(550)および配向角(長尺方向に対する角度)を定点測定した。結果を表1に示す。
<実施例2>
クリップ間距離およびクリップピッチの補正において、熱固定ゾーン始端から終端にかけて左右のクリップ間の距離を2%増大するとともに、左右のクリップのクリップピッチを2%増大する補正を行ったこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムについて、上記と同様に左右端部をそれぞれ25mm切除後、幅方向の計3箇所において、面内位相差Re(550)および配向角(長尺方向に対する角度)を定点測定した。結果を表1に示す。
<実施例3>
クリップ間距離およびクリップピッチの補正において、熱固定ゾーン始端から終端にかけて左右のクリップ間の距離を1%増大するとともに、左右のクリップのクリップピッチを3%増大する補正を行ったこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムについて、上記と同様に左右端部をそれぞれ25mm切除後、幅方向の計3箇所において、面内位相差Re(550)および配向角(長尺方向に対する角度)を定点測定した。結果を表1に示す。
[外観および取り扱い性評価]
実施例および比較例(補正工程を行う前に得られた延伸フィルム)で得られた延伸フィルムに関して、外観および取り扱い性を目視によって以下の基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
〇:ロール搬送時の延伸フィルムにシワおよび弛みが確認されない
×:ロール搬送時の延伸フィルムにシワおよび/または弛みが確認される
Figure 2023040818000002
表1に示されるとおり、長尺状の斜め延伸フィルムの製造において、面内位相差等に幅方向のバラツキが生じた場合、熱固定における左右のクリップ間の距離および/または左右のクリップのクリップピッチを補正することにより、このようなバラツキを低減することができる。
本発明の延伸フィルムの製造方法は、位相差フィルムの製造に好適に用いられ、結果として、液晶表示装置(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)等の画像表示装置の製造に寄与し得る。
1 延伸フィルム
10L 無端ループ
10R 無端ループ
20 クリップ
100 延伸装置
500 円偏光板

Claims (8)

  1. 長尺状のフィルムの幅方向の左右端部をそれぞれ、縦方向のクリップピッチが変化する可変ピッチ型の左右のクリップによって把持すること、
    該左右のクリップを少なくとも一方のクリップのクリップピッチを変化させながら走行移動させて、該フィルムを斜め延伸すること、
    該フィルムを熱固定すること、
    該フィルムを該左右のクリップから開放すること、および、
    該フィルムの幅方向における面内位相差および/または配向角のバラツキを測定すること、を含み、
    該面内位相差および/または配向角のバラツキが所定の基準を超える場合に、該熱固定時の該左右のクリップ間の距離および/または該左右のクリップのクリップピッチを補正すること、を含む、延伸フィルムの製造方法。
  2. 前記左右のクリップから開放された前記フィルムの左右端部を切断除去した後に、前記幅方向における面内位相差および/または配向角のバラツキを測定する、請求項1に記載の延伸フィルムの製造方法。
  3. 前記左右のクリップのクリップピッチの補正に関して、下記式(1)で規定される補正率がそれぞれ独立して、0.5%~4.0%である、請求項1または2に記載の延伸フィルムの製造方法。
    補正率(%)=(補正後の熱固定終了時のクリップピッチ-補正前の熱固定終了時のクリップピッチ)/(補正前の熱固定終了時のクリップピッチ)×100 式(1)
  4. 前記左右のクリップ間の距離の補正に関して、下記式(2)で規定される補正率が、0.5%~3.0%である、請求項1から3のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
    補正率(%)=(補正後の熱固定終了時の左右のクリップ間の距離-補正前の熱固定終了時の左右のクリップ間の距離)/(補正前の熱固定終了時の左右のクリップ間の距離)×100 式(2)
  5. 前記斜め延伸が、(i)前記左右のクリップのうちの一方のクリップのクリップピッチをPからPまで増大させつつ、他方のクリップのクリップピッチをPからPまで減少させること、および、(ii)該減少したクリップピッチと該増大したクリップピッチとが所定の等しいピッチとなるように、それぞれのクリップのクリップピッチを変化させることを含む、請求項1から4のいずれかに記載の延伸フィルムの製造方法。
  6. /Pが1.25~1.75であり、P/Pが0.50以上1未満である、請求項5に記載の延伸フィルムの製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の製造方法によって長尺状の延伸フィルムを得ること、および
    長尺状の光学フィルムと該長尺状の延伸フィルムとを搬送しながら、その長尺方向を揃えて連続的に貼り合わせることを含む、光学積層体の製造方法。
  8. 前記光学フィルムが、偏光板であり、
    前記延伸フィルムが、λ/4板またはλ/2板である、請求項7に記載の光学積層体の製造方法。
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