JP2023012943A - 二次電池電極用樹脂組成物、二次電池電極用合材スラリーの製造方法、電極膜の製造方法、及び二次電池の製造方法 - Google Patents

二次電池電極用樹脂組成物、二次電池電極用合材スラリーの製造方法、電極膜の製造方法、及び二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い流動性及び分散性を有する二次電池電極用樹脂組成物を提供すること。【解決手段】カーボンナノチューブと、分散剤と、フッ素樹脂と、分散媒とを含み、動的粘弾性測定による25℃及び1Hzでの複素弾性率X(Pa)と位相角Y(°)の積(X×Y)が30以上5,000以下である、二次電池電極用樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、二次電池電極用樹脂組成物、二次電池電極用合材スラリーの製造方法、電極膜の製造方法、及び二次電池の製造方法に関する。
電気自動車の普及や携帯機器の小型軽量化及び高性能化に伴い、高いエネルギー密度を有する二次電池、さらに、その二次電池の高容量化が求められている。このような背景の下で高エネルギー密度、高電圧という特徴から非水系電解液を用いる非水電解質二次電池、特に、リチウムイオン二次電池が多くの機器に使われるようになっている。
二次電池の電極は、正極活物質又は負極活物質、導電材、バインダー樹脂等を含む合材スラリーを集電体に塗工して作製される。分散媒に導電材を分散させた導電材分散液を用意しておき、導電材分散液に活物質及びバインダー樹脂を添加して合材スラリーを作製することで、電極膜において導電材が均一に分散して含まれ、電極膜の導電性を改善することができる。導電材分散液は各種の合材スラリーに共通して使用可能であるが、合材スラリーは電池または電極の仕様に応じて活物質の種類、各成分の配合割合等が調整されて作製される。そのため、活物質を添加する前に導電材分散液を保管する間にも分散性及び流動性が維持されるとよい。さらに、導電材分散液にバインダー樹脂が添加された樹脂組成物の状態で保管することができれば、合材スラリーを作製する作業を簡素化することができる。
導電材としては、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、微細炭素材料等が使用されている。特に、微細炭素繊維の一種であるカーボンナノチューブが多く使用されている。例えば、正極にカーボンナノチューブを添加することにより、電極膜の導電性を改善して電極抵抗を低減することができる。また、負極にカーボンナノチューブを添加することにより、電極抵抗を低減したり、電池の負荷抵抗を改善したり、電極の強度を上げたり、電極の膨張収縮性を上げることで、リチウム二次電池のサイクル寿命を向上させることができる。中でも、外径数nm~数10nmの多層カーボンナノチューブは比較的安価であり、実用化が進んでいる。平均外径が小さく繊維長が大きいカーボンナノチューブを用いると、少量でも効率的に導電ネットワークを形成することができ、二次電池の高容量化を図ることができる。一方で、これらの特徴を有するカーボンナノチューブは凝集力が強く、カーボンナノチューブ分散液の分散性をより一層高めることが難しくなる。
特許文献1には、バンドル型カーボンナノチューブを含む導電材と、水素化したニトリルブタジエン系ゴム等の分散剤と、分散媒とを含み、レオメーター測定の際、周波数1Hzにおける位相角が3°から18°である導電材分散液が開示されている。特許文献1では、カーボンナノチューブを含む導電材分散液に活物質及びバインダーを添加した組成物は、粘度及び弾性が低下し、コーティング時に経時変化が速く、電極活物質層の形成においてクラックを引き起こすことから、導電材分散液の位相角を18°以下に制御して固体様特性を備えるようにし、作製される電極活物質層のクラックの発生を防止している。特許文献2には、バンドル型カーボンナノチューブを含む導電材と、水素化ニトリルゴムを含む分散剤と、分散媒とを含み、レオメーター測定の際、周波数1Hzにおける複素弾性率(G*|@1Hz)が20Paから500Paである導電材分散液が開示されている。特許文献2によれば、線状のカーボンナノチューブは、粒度分析おける測定角度に応じて粒度が異なるため分散性の評価が難しいことから、導電材分散液の複素弾性率によって導電材分散液の分散性及び粘度特性を制御しようとしている。特許文献2の実施例の評価からは、導電材分散液の分散状態が良好なほど弾性率の尺度である複素弾性率の値が低下することが確認されている。
特許文献3には、アセチレンブラック等の導電材と第一バインダーとを混合して導電材ペースト1を得て、導電材ペースト1に第二バインダーを添加して導電材ペースト2を得て、導電材ペースト2に正極活物質とを混合して二次電池正極用スラリーを製造する方法が開示されている。特許文献3によれば、第一バインダーが、共役ジエン単量体単位、1-オレフィン単量体単位、及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる群から選択される少なくとも一種の単量体単位を含む樹脂を含み、第二バインダーがポリフッ化ビニリデン等のフッ素系重合体を含み、第一バインダー及び第二バインダーの順で添加され混合されることで、得られるスラリー中において導電材が適度に分散し、作製される正極合材層において導電材間で良好な導電ネットワークが形成され、二次電池のサイクル特性が向上され、低温での容量劣化が抑制される。特許文献4には、アセチレンブラック等の導電材とバインダーとさらにポリフッ化ビニリデン等のフッ素系重合体とを含み固形分濃度が5質量%以上15質量%以下である導電材ペーストを調製し、導電材ペーストと正極活物質とを混合して二次電池正極用スラリーを製造する方法が開示されている。特許文献4によれば、導電材ペーストの固形分量がこの範囲であることで、作製される正極合材層において導電材間で良好な導電ネットワークが形成され、二次電池のサイクル特性が向上され、内部抵抗が低減される。
導電材が微細になるほど理想的には効率的な導電ネットワークを形成させることができるが、微細な導電材ほど比表面積が大きくなり、凝集力が高く、高濃度かつ良好な樹脂組成物を得るのが難しくなる。導電材の濃度を無理に上げると、樹脂組成物が高粘度化して流動性が悪くなる。また、微細な導電材とバインダー樹脂とが絡まり分散不良が引き起こされることもある。流動性が悪い樹脂組成物では、樹脂組成物をタンク等で輸送し、または長期間貯蔵して使用する場合に、タンク等からの取り出しが困難になるという問題が生じることがある。一方、導電材の濃度が低い樹脂組成物では、活物質等の材料を配合した際の設計自由度が低くなるといった問題や、導電材固形分あたりの輸送コストが高くなるといった問題が生じる。したがって、微細な導電材を流動性が高い状態で、良好に分散させた樹脂組成物を得ることは急務である。
特表2018-534731号公報 特表2018-533175号公報 特開2015-133302号公報 特開2015-128012号公報
特許文献1に開示の導電材分散液は固体様特性が比較的強く、特許文献2に開示の導電材分散液は弾性挙動が比較的強いため、いずれも流動性が悪く、タンクによる輸送や長期の貯蔵には不向きであるという問題がある。特許文献1では、位相角を制御して固体様特性が高い導電材分散液を得て、次いで活物質及びバインダーを添加して組成物を作製している。しかし、固体様特性が高い導電材分散液は粘度が高くなり、次いで添加されるバインダーとの混和性が低下することがある。特許文献2では、複素弾性率で分散性及び粘度特性を制御した導電材分散液を得て、次いで活物質及びバインダーを添加して組成物を作製している。しかし、導電材分散液を複素弾性率で制御したのみでは、次いで添加されるバインダーとの混和性が十分に得られないことがある。例えば、カーボンナノチューブの繊維長を維持して微分散させたカーボンナノチューブ分散液にバインダー樹脂を添加すると、カーボンナノチューブが凝集したり、バインダー樹脂がゲル化したりして、樹脂組成物の分散性及び流動性が低下することがある。
特許文献3及び4では、導電材としてアセチレンブラックが具体的に検討されるがカーボンナノチューブについて十分に検討されていない。カーボンナノチューブ等の繊維質の炭素材料は、合材スラリーの製造過程において分散処理または撹拌処理によって繊維が破断されると、電極膜において導電材間の導電ネットワークが低下することがある。また、合材スラリーに繊維長が長いカーボンナノチューブが含まれる場合では、繊維及び樹脂成分が絡まって凝集しやすく、繊維同士が解かれない状態で電極膜が作製されると、電極膜において導電材間の導電ネットワークが低下することがある。
本発明者らが、導電材の分散状態の細かな違いについて詳細に比較検討したところ、繊維状のカーボンナノチューブを導電材として用いる場合には、従来分散度の指標としてしばしば用いられてきた粒度分布や粘度では、同じ測定値であっても二次電池に用いた場合の特性が異なる場合があり、導電材の分散状態を的確に捉えていないことがわかった。例えば、粒度分布の場合には、繊維状の非球状粒子を、球状と仮定して算出していることから、実態との乖離が生じやすい。粘度の場合には、一般に、導電材の分散状態が良好なほど低粘度になると言われているが、導電材が繊維状で絡まりやすい場合には、導電材が分散媒中で均一かつ安定に解れた状態であっても、導電材自体の構造粘性があるため弾性が強くなる。また、繊維が破断されている場合には、解凝集と破断の二つの要素によって粘度が変化することから、粘度だけで導電材の状態を的確に表すことは難しい。カーボンナノチューブの繊維を破断させた場合、カーボンナノチューブ同士の接触抵抗の増大により電極中の発達した導電ネットワーク形成が困難になるため、繊維をなるべく破断させずに、かつ均一に分散させることが効果的である。従来の技術では、カーボンナノチューブを含む樹脂組成物の分散状態の細かなコントロールが十分になされていない。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、導電材であるカーボンナノチューブの分散状態を細かくコントロールし、フッ素樹脂を含む状態で高い分散性及び流動性を有する二次電池電極用樹脂組成物、さらに活物質を含む状態でカーボンナノチューブの分散性がよい二次電池電極用合材スラリーを提供することである。さらに詳しくは、高出力、高容量、高寿命な非水電解質二次電池及びこれに用いられる電極膜を提供することである。
本発明者らが、上記課題を解決することを目的として鋭意検討したところによると、カーボンナノチューブと、分散剤と、フッ素樹脂と、分散媒とを含み、動的粘弾性測定による25℃及び1Hzでの複素弾性率X(Pa)と位相角Y(°)の積(X×Y)が30以上5,000以下であることによって、カーボンナノチューブ及びフッ素樹脂を含む状態においても流動性が維持され、樹脂組成物中においてカーボンナノチューブの長い繊維を破断させず適度に維持したまま分散させ、この樹脂組成物を用いて電極膜を形成することで電極膜中に発達した導電ネットワークを形成させ得ることを見出した。これにより、高出力、高容量、高寿命な二次電池を提供することが可能となる。
すなわち、本発明は、以下の実施形態を含む。本発明の実施形態は以下に限定されない。
<1>カーボンナノチューブと、分散剤と、フッ素樹脂と、分散媒とを含み、動的粘弾性測定による25℃及び1Hzでの複素弾性率X(Pa)と位相角Y(°)の積(X×Y)が30以上5,000以下である、二次電池電極用樹脂組成物。
<2>動的粘弾性測定による25℃及び1Hzでの複素弾性率が0.1Pa以上300Pa以下である、<1>記載の二次電池電極用樹脂組成物。
<3>動的粘弾性測定による25℃及び1Hzでの位相角が3°以上90°以下である、<1>または<2>記載の二次電池電極用樹脂組成物。
<4>前記カーボンナノチューブの含有量は、樹脂組成物の全量に対し、0.5質量%以上15質量%以下である、<1>から<3>のいずれかに記載の二次電池電極用樹脂組成物。
<5>前記カーボンナノチューブに対する前記分散剤の質量比が0.01以上2以下である、<1>から<4>のいずれかに記載の二次電池電極用樹脂組成物。
<6>前記カーボンナノチューブに対する前記フッ素樹脂の質量比が0.1以上10以下である、<1>から<5>のいずれかに記載の二次電池電極用樹脂組成物。
<7><1>から<6>のいずれかに記載の二次電池電極用樹脂組成物に、活物質を添加することを含む、二次電池電極用合材スラリーの製造方法。
<8><1>から<6>のいずれかに記載の二次電池電極用樹脂組成物に、活物質を添加し合材スラリーを作製すること、及び前記合材スラリーを塗工し電極膜を作製することを含む、電極膜の製造方法。
<9>正極、負極、及び電解質を含む二次電池の製造法であって、<1>から<6>のいずれかに記載の二次電池電極用樹脂組成物に、活物質を添加し合材スラリーを作製すること、及び前記正極及び前記負極のうち少なくとも一方を、前記合材スラリーを集電体に塗工し電極膜を形成して作製することを含む、二次電池の製造方法。
本発明の実施形態によれば、高い流動性及び分散性を有する二次電池電極用樹脂組成物を提供することが可能である。本発明の他の実施形態によれば、カーボンナノチューブの分散性がよい二次電池電極用合材スラリーを提供することが可能である。本発明のさらに他の実施形態によれば、高出力、高容量、高寿命な非水電解質二次電池及びこれに用いられる電極膜を提供することができる。
以下、本発明の実施形態である二次電池電極用樹脂組成物、二次電池電極用合材スラリーの製造方法、電極膜の製造方法、および二次電池の製造方法について詳しく説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明には要旨を変更しない範囲において実施される実施形態も含まれる。
本明細書において、カーボンナノチューブを「CNT」と表記することがある。水素化ニトリルゴムを「H-NBR」、N-メチル-2-ピロリドンを「NMP」と表記することがある。なお、本明細書では、カーボンナノチューブ分散液を単に「CNT分散液」または「分散液」という場合がある。
<カーボンナノチューブ>
二次電池電極用樹脂組成物は、カーボンナノチューブと、分散剤と、フッ素樹脂と、分散媒とを含み、さらに任意成分が含まれてもよい。カーボンナノチューブ(CNT)は、導電材として機能する。樹脂組成物には、カーボンナノチューブ以外の導電材が含まれてもよい。その他の導電材としては、例えば、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、多層グラフェン、グラファイト等の炭素材料等が挙げられる。CNT以外の導電材を用いる場合、分散剤の吸着性能の観点から、カーボンブラックが好ましく、例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、中空カーボンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックが挙げられる。これらのカーボンブラックは、中性、酸性、塩基性のいずれでもよく、酸化処理されたカーボンブラックや、黒鉛化処理されたカーボンブラックを使用してもよい。その他の導電材は、1種または2種以上併用して用いてもよい。
樹脂組成物に添加するためのCNTは以下の物性を備えることが好ましい。
CNTは、平面的なグラファイトを円筒状に巻いた形状であり、単層CNT、多層CNTを含み、これらが混在してもよい。単層CNTは一層のグラファイトが巻かれた構造を有する。多層CNTは、二または三以上の層のグラファイトが巻かれた構造を有する。また、CNTの側壁はグラファイト構造でなくともよい。また、例えば、アモルファス構造を有する側壁を備えるCNTも本明細書ではCNTである。
CNTの形状は限定されない。かかる形状としては、針状、円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン又はカップ積層型)、トランプ状(プレートレット)及びコイル状を含む様々な形状が挙げられる。中でも、CNTの形状は、針状、又は、円筒チューブ状であることが好ましい。CNTは、単独の形状、または2種以上の形状の組合せであってもよい。
CNTの形態は、例えば、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ及びカーボンナノファイバー等が挙げられる。カーボンナノチューブは、これらの単独の形態又は2種以上を組み合わせた形態を有していてもよい。
CNTの平均外径は1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましい。また、30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましい。なお、CNTの平均外径は、まず透過型電子顕微鏡によって、CNTを観測するとともに撮像し、観測写真において、任意の300個のCNTを選び、それぞれの外径を計測することで算出できる。
樹脂組成物は、平均外径が異なる2種以上のCNTを別々に用意して、分散媒に添加して用意してもよい。CNTとして、平均外径が異なる2種以上のCNTを使用する場合、第一のCNTの平均外径は1nm以上、5nm未満であることが好ましい。第二のCNTの平均外径は5nm以上、30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。CNTとして、平均外径が異なる2種以上のCNTを使用する場合、第一のCNTと第二のCNTの質量比率は1:10~1:100であることが好ましく、1:10~1:50であることがより好ましい。
CNTの平均繊維長は0.5μm以上であることが好ましく、0.8μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることがさらに好ましい。また、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。なお、CNTの平均繊維長は、まず走査型電子顕微鏡によって、CNTを観測するとともに撮像し、観測写真において、任意の300個のCNTを選び、それぞれの繊維長を計測することで算出できる。
CNTの繊維長を、外径で除した値がアスペクト比である。平均繊維長と平均外径の値を用いて、代表的なアスペクト比を求めることができる。アスペクト比が高い導電材ほど、電極を形成した際に高い導電性を得ることができる。CNTのアスペクト比は、30以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、80以上であることがさらに好ましい。また、10,000以下であることが好ましく、3,000以下であることがより好ましく、1,000以下であることがさらに好ましい。
CNTの比表面積は100m/g以上であることが好ましく、150m/g以上であることがより好ましく、200m/g以上であることがさらに好ましい。また、1200m/g以下であることが好ましく、1000m/g以下であることがより好ましい。CNTの比表面積は窒素吸着測定によるBET法で算出する。CNTの平均外径、平均繊維長、アスペクト比、および比表面積が上記範囲内であると、電極中で発達した導電パスを形成しやすくなる。
CNTの炭素純度はCNT中の炭素原子の含有率(質量%)で表される。炭素純度はCNT100質量%に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。炭素純度を上記範囲にすることにより、金属触媒等の不純物によってデンドライトが形成されショートが起こる等の不具合を防ぐことができる。
金属触媒等の不純物を除去または低減し、炭素純度を上げる目的で、高純度化処理を行ったCNTを用いてもよい。高純度化処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、不活性雰囲気下、高温(例えば3000℃)で処理することで、不純物を蒸発させる方法を用いてもよい。この方法では、爆発等の危険性が比較的少ない条件で処理できる点で好ましい。また、不活性ガスにハロゲンを含むガス(塩素ガス、フッ素ガス、四塩化炭素ガス、四フッ化炭素ガス等)を混入させて熱処理し、ハロゲン化した不純物を蒸発させる方法を用いてもよい。ハロゲン化によって不純物の沸点が低下することから、ハロゲン化しない場合と比べてより低い温度(例えば1600℃)で除去することができ、CNTの結晶性、密度、導電性などの物性を変化させずに炭素純度を上げることができる点で好ましい。さらに、CNTを高密度化してから熱処理すると、CNTの飛散を抑えつつ、処理量が増えて効率的に純化することができる。また、酸性または塩基性の溶液中にCNTを含侵させ、不純物を溶解除去する方法を用いてもよい。酸性または塩基性の溶液で処理すると、CNTの表面または末端に官能基が導入される場合があり、官能基が少量であれば分散性を向上しやすくなる。また、官能基が多量であれば、導電性が低下しやすくなることがある。
CNTをビーズミル等のメディアとの衝突による分散機で分散する場合や、長時間かけて繰り返し分散機を通過させるような処理を行う場合、CNTが破損して短片状の炭素質が生じる場合がある。短片状の炭素質が生じると、樹脂組成物の粘度は低下し、樹脂組成物を塗工乾燥させて得た塗膜の光沢は高くなることから、これらの評価結果のみで判断すると分散状態が良好なように思われる。しかし、短片状の炭素質は接触抵抗が高く、導電ネットワーク形成が難しいため、このような分散処理を経て作製される樹脂組成物は、電極の抵抗を悪化させる場合がある。短片状の炭素質が生じた程度は、分散液を希釈し、表面が平滑で分散媒と親和性のよい基材に滴下し乾燥した試料を、走査型電子顕微鏡で観察する等の方法で確認できる。0.1μm以下の炭素質が生じないように分散条件や分散液の配合を調整すると、導電性の高い電極を得ることができる。
カーボンナノチューブは、表面処理を行ったカーボンナノチューブでもよい。カーボンナノチューブは、カルボキシ基に代表される官能基が付与されたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、有機化合物、金属原子、又はフラーレンに代表される物質を内包させたカーボンナノチューブも用いることができる。
カーボンナノチューブはどのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。カーボンナノチューブは一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法及び燃焼法で製造できるが、これらに限定されない。例えば、酸素濃度が1体積%以下の雰囲気中、500~1000℃にて、炭素源を触媒と接触反応させることでカーボンナノチューブを製造することができる。炭素源は炭化水素及びアルコールの少なくともいずれか一方でもよい。
カーボンナノチューブの炭素源となる原料ガスは、従来公知の任意のものを使用できる。例えば、炭素を含む原料ガスとしてメタン、エチレン、プロパン、ブタン及びアセチレンに代表される炭化水素、一酸化炭素、並びにアルコールを用いることができるが、これらに限定されない。特に使いやすさの観点から、炭化水素及びアルコールの少なくともいずれか一方を原料ガスとして用いることが望ましい。
<分散剤>
樹脂組成物は分散剤を含む。分散剤は、樹脂組成物中でCNTを分散安定化できるものが好ましい。分散剤は、樹脂型分散剤及び界面活性剤のいずれも使用することができるが、CNTへの吸着力が強く良好な分散安定性が得られることから、樹脂型分散剤が好ましい。カーボンナノチューブの分散に要求される特性に応じて適宜好適な種類の分散剤を、好適な配合量で使用することができる。
樹脂型分散剤としては、(メタ)アクリル系ポリマー、エチレン性不飽和炭化水素由来のポリマー、セルロース系誘導体、これらのコポリマー等が使用できる。
エチレン性不飽和炭化水素由来のポリマーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ニトリルゴム類等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、水酸基以外の官能基(例えば、アセチル基、スルホ基、カルボキシ基、カルボニル基、アミノ基)を有する変性ポリビニルアルコール、各種塩によって変性されたポリビニルアルコール、その他アニオンまたはカチオン変性されたポリビニルアルコール、アルデヒド類によってアセタール変性(アセトアセタール変性またはブチラール変性等)されたポリビニルアセタール(ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール等)等が挙げられる。
ポリアクリロニトリル系樹脂としては、ポリアクリロニトリルのホモポリマー、ポリアクリロニトリルのコポリマー、これらの変性体等であってよく、ヒドロキシル基、カルボキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、及びメルカプト基等の活性水素基、塩基性基、(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたはα―オレフィン等に由来して導入されるアルキル基等からなる群から選択される少なくとも1種を有するポリアクリロニトリル系樹脂等が好ましく、例えば特開2020-163362号公報記載のアクリロニトリル共重合体を用いることができる。ポリアクリロニトリル系樹脂としては、ポリアクリロニトリルのホモポリマー、ポリアクリロニトリルのコポリマー、これらの変性体等であってよく、ヒドロキシル基、カルボキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、及びメルカプト基等の活性水素基、塩基性基、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等に由来して導入されるアルキル基等からなる群から選択される少なくとも1種を有するポリアクリロニトリル系樹脂等が好ましく、例えば特開2020-163362号公報記載のアクリロニトリル共重合体を用いることができる。ニトリルゴム類としては、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。セルロース系誘導体としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、シアノエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等、またはこれらのコポリマー等が挙げられる。また、国際公開2008/108360号パンフレット、特開2018-192379号公報、特開2019-087304号公報、特許6524479号公報、特開2009-026744号公報に記載の分散剤を用いてよいが、これらに限定されるものではない。特にメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリルのホモポリマー、ポリアクリロニトリルのコポリマー、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴムが好ましい。これらのポリマーの一部に他の置換基を導入したポリマー、変性させたポリマー等を用いてもよい。樹脂型分散剤の重量平均分子量は、被分散物と分散媒との親和性バランスの観点および、電解液への耐性の観点から、500,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがより好ましく、3,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。樹脂型分散剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
市販のポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、クラレポバール(クラレ製ポリビニルアルコール樹脂)、ゴーセノール、ゴーセネックス(日本合成化学工業製ポリビニルアルコール樹脂)、デンカポバール(デンカ社製ポリビニルアルコール樹脂)、J-ポバール(日本酢ビ・ポバール社製ポリビニルアルコール樹脂)などの商品名で、種々のグレードを入手することができる。また、各種官能基を有する変性ポリビニルアルコールも同様に入手できる。また、公知の合成方法で合成したものを用いてもよい。市販のポリビニルピロリドン系樹脂としては、具体的には、ルビテック(Luvitec)K17(K値:15.0~19.0、低分子量)、K30(K値27.0~33.0)、K80(K値74.0~82.0)、K85(K値84.0~88.0)、K90(K値88.0~92.0)、K90HM(K値92.0~96.0、高分子量)(BASFジャパン製)、K15、K30、K90、K120(ISP製)、ポリビニルピロリドンK30(K値27.0~33.0)、K85(K値84.0~88.0)、K90(K値88.0~96.0)(日本触媒製)、PVP K12(K値10~14)、K15(K値13~19)、K30(K26~K35)、K60(K値50~62)、K90(K値88~100)、K120(K値114~130)(DSP五経フード&ケミカル製)などが挙げられる。ポリビニルピロリドンは、粘度上昇防止の観点から、K値が150以下であることが好ましく、K値が100以下であることがより好ましく、K値が85以下であることがさらに好ましい。市販のニトリルゴム類としては、テルバン(Therban)(アランセオ製水素化ニトリルゴム)、バイモード(Baymod)(アランセオ製ニトリルゴム)、Zetpole(日本ゼオン製水素化ニトリルゴム)、Nipole NBR(日本ゼオン製ニトリルゴム)などの商品名で、ニトリル比率、水素化率、および分子量等が異なる種々のグレードを入手することができる。また、公知の合成方法で合成したものを用いてもよい。
上記した樹脂型分散剤に代えて又は加えて界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤はアニオン性、カチオン性、両性のイオン性界面活性剤と、ノニオン性界面活性剤に分類される。
樹脂型分散剤として、少なくとも脂肪族炭化水素構造単位、およびニトリル基含有構造単位を含む重合体を用いてもよい。重合体の脂肪族炭化水素構造単位は、アルキレン構造単位を含んでもよい。この重合体は水素添加されていてもよい。
脂肪族炭化水素構造単位は、脂肪族炭化水素構造を含む構造単位であり、好ましくは脂肪族炭化水素構造のみからなる構造単位である。脂肪族炭化水素構造は、飽和脂肪族炭化水素構造を少なくとも含み、不飽和脂肪族炭化水素構造を更に含んでもよい。脂肪族炭化水素構造は、直鎖状脂肪族炭化水素構造を少なくとも含むことが好ましく、分岐状脂肪族炭化水素構造を更に含んでもよい。
脂肪族炭化水素構造単位の例として、アルキレン構造単位、アルケニレン構造単位、アルキル構造単位、アルカントリイル構造単位、アルカンテトライル構造単位等が挙げられる。アルカントリイル構造単位、アルカンテトライル構造単位等の分岐点を含む構造単位は、後述の分岐状アルキレン構造を含む構造単位及び分岐状アルキル構造を含む構造単位とは異なる構造単位である。脂肪族炭化水素構造単位は、少なくともアルキレン構造単位を含むことが好ましい。
アルキレン構造単位は、アルキレン構造を含む構造単位であり、好ましくはアルキレン構造のみからなる構造単位である。アルキレン構造は、直鎖状アルキレン構造又は分岐状アルキレン構造であることが好ましい。
アルキレン構造単位は、下記一般式(1A)で表される構造単位を含むことが好ましい。
一般式(1A)
Figure 2023012943000001
一般式(1A)中、nは、1以上の整数を表す。nは、2以上の整数であることが好ましく、3以上の整数であることがより好ましく、4以上の整数であることが特に好ましい。nは、6以下の整数であることが好ましく、5以下の整数であることがより好ましい。特に、nは、4であることが好ましい。
本明細書において「*」は、他の構造との結合部を表す。
アルキレン構造単位は、下記一般式(1B)で表される構造単位を含むことが好ましい。
一般式(1B)
Figure 2023012943000002
一般式(1B)中、nは、1以上の整数を表す。nは、2以上の整数であることが好ましく、3以上の整数であることがより好ましい。nは、5以下の整数であることが好ましく、4以下の整数であることがより好ましい。特に、nは、3であることが好ましい。
アルキレン構造単位は、下記一般式(1C)で表される構造単位を含むことが好ましい。
一般式(1C)
Figure 2023012943000003
一般式(1C)中、nは、1以上の整数を表す。nは、4以下の整数であることが好ましく、3以下の整数であることがより好ましく、2以下の整数であることが更に好ましい。特に、nは、2であることが好ましい。
重合体へのアルキレン構造単位の導入方法は、特に限定はされないが、例えば以下の(1a)又は(1b)の方法が挙げられる。
(1a)の方法では、共役ジエン単量体を含有する単量体組成物を用いて重合反応により重合体を調製する。調製した重合体は、共役ジエン単量体に由来する単量体単位を含む。本明細書において、「共役ジエン単量体に由来する単量体単位」を「共役ジエン単量体単位」という場合があり、他の単量体に由来する単量体単位についても同様に省略する場合がある。次いで、共役ジエン単量体単位に水素添加することで、共役ジエン単量体単位の少なくとも一部をアルキレン構造単位に変換する。本明細書では、「水素添加」を「水素化」という場合がある。最終的に得られる重合体は、共役ジエン単量体単位を水素化した単位をアルキレン構造単位として含む。
なお、共役ジエン単量体単位は、炭素-炭素二重結合を1つ持つ単量体単位を少なくとも含む。例えば、共役ジエン単量体単位である1,3-ブタジエン単量体単位は、cis-1,4構造を持つ単量体単位、trans-1,4構造を持つ単量体単位、及び1,2構造を持つ単量体単位からなる群から選択される少なくとも1種の単量体単位を含み、2種以上の単量体単位を含んでいてもよい。また、共役ジエン単量体単位は、炭素-炭素二重結合を持たない単量体単位であって、分岐点を含む単量体単位を更に含んでいてもよい。本明細書において、「分岐点」とは分岐ポリマーにおける分岐点をいい、共役ジエン単量体単位が分岐点を含む単量体単位を含む場合、上記の調製した重合体は分岐ポリマーである。
(1b)の方法では、α-オレフィン単量体を含む単量体組成物を用いて重合反応により重合体を調製する。調製した重合体は、α-オレフィン単量体単位を含む。最終的に得られる重合体は、α-オレフィン単量体単位をアルキレン構造単位として含む。
これらの中でも、重合体の製造が容易であることから(1a)の方法が好ましい。共役ジエン単量体の炭素数は、4以上であり、好ましくは4以上6以下である。共役ジエン単量体としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンなどの共役ジエン化合物が挙げられる。中でも、1,3-ブタジエンが好ましい。アルキレン構造単位は、共役ジエン単量体単位を水素化して得られる構造単位(水素化共役ジエン単量体単位)を含むことが好ましく、1,3-ブタジエン単量体単位を水素化して得られる構造単位(水素化1,3-ブタジエン単量体単位)を含むことがより好ましい。共役ジエン単量体は、1種を単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
水素化は、共役ジエン単量体単位を選択的に水素化できる方法であることが好ましい。水素化の方法として、例えば、油層水素添加法又は水層水素添加法などの公知の方法が挙げられる。
水素化は、通常の方法により行うことができる。水素化は、例えば、共役ジエン単量体単位を有する重合体を、適切な溶媒に溶解させた状態において、水素化触媒の存在下で水素ガス処理することにより行うことができる。水素化触媒としては、鉄、ニッケル、パラジウム、白金、銅等が挙げられる。
(1b)の方法において、α-オレフィン単量体の炭素数は、2以上であり、好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上である。α-オレフィン単量体の炭素数は、6以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。α-オレフィン単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンなどのα-オレフィン化合物が挙げられる。α-オレフィン単量体は、1種を単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルキレン構造単位は、直鎖状アルキレン構造を含む構造単位、及び、分岐状アルキレン構造を含む構造単位からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、直鎖状アルキレン構造のみからなる構造単位、及び、分岐状アルキレン構造のみからなる構造単位からなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、上記式(1B)で表される構造単位、及び、上記式(1C)で表される構造単位からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが更に好ましい。
アルキレン構造単位は、直鎖状アルキレン構造を含む構造単位と、分岐状アルキレン構造を含む構造単位とを含んでもよい。アルキレン構造単位が、直鎖状アルキレン構造を含む構造単位と、分岐状アルキレン構造を含む構造単位とを含む場合、分岐状アルキレン構造の含有量は、アルキレン構造単位の質量を基準として(すなわち、アルキレン構造単位の質量を100質量%とした場合に)、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましい。特に、20質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。重合体が、直鎖状アルキレン構造を含む構造単位と、分岐状アルキレン構造を含む構造単位とを含む場合、分岐状アルキレン構造の含有量は、アルキレン構造単位の質量を基準として(すなわち、アルキレン構造単位の質量を100質量%とした場合に)、例えば、1質量%以上であり、5質量%以上あってもよく、更に10質量%以上であってもよい。
脂肪族炭化水素構造単位において、アルキレン構造単位の含有量は、脂肪族炭化水素構造単位の合計の質量を基準として(すなわち、脂肪族炭化水素構造単位の質量を100質量%とした場合に)、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。アルキレン構造単位の含有量は、脂肪族炭化水素構造単位の合計の質量を基準として(すなわち、脂肪族炭化水素構造単位の質量を100質量%とした場合に)、例えば、100質量%未満であり、99.5質量%以下、99質量%以下、又は98質量%以下であってもよい。アルキレン構造単位の含有量は、100質量%であってもよい。
脂肪族炭化水素構造単位の含有量は、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。脂肪族炭化水素構造単位の含有量は、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、85質量%未満であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
ニトリル基含有構造単位は、ニトリル基を含む構造単位であり、好ましくはニトリル基により置換されたアルキレン構造を含む構造単位を含み、より好ましくはニトリル基により置換されたアルキレン構造のみからなる構造単位を含む。アルキレン構造は、直鎖状又は分岐状のアルキレン構造であることが好ましい。ニトリル基含有構造単位は、ニトリル基により置換されたアルキル構造を含む(又はのみからなる)構造単位を更に含んでもよい。ニトリル基含有構造単位に含まれるニトリル基の数は、1つであることが好ましい。
ニトリル基含有構造単位は、下記一般式(2A)で表される構造単位を含むことが好ましい。
一般式(2A)
Figure 2023012943000004
一般式(2A)中、nは、2以上の整数を表す。nは、6以下の整数であることが好ましく、4以下の整数であることがより好ましく、3以下の整数であることが更に好ましい。特に、nは、2であることが好ましい。
ニトリル基含有構造単位は、下記一般式(2B)で表される構造単位を含むことが好ましい。
一般式(2B)
Figure 2023012943000005
一般式(2B)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子であることが好ましい。
重合体へのニトリル基含有構造単位の導入方法は、特に限定されないが、ニトリル基含有単量体を含有する単量体組成物を用いて重合反応により重合体を調製する方法((2a)の方法)を好ましく用いることができる。最終的に得られる重合体は、ニトリル基含有単量体単位をニトリル基含有構造単位として含む。ニトリル基含有構造単位を形成し得るニトリル基含有単量体としては、重合性炭素-炭素二重結合とニトリル基とを含む単量体が挙げられる。例えば、ニトリル基を有するα,β-エチレン性不飽和基含有化合物が挙げられ、具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。特に、重合体同士及び/又は重合体と被分散物(被吸着物)との分子間力を高める観点から、ニトリル基含有単量体は、アクリロニトリルを含むことが好ましい。ニトリル基含有単量体は、1種を単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
ニトリル基含有構造単位の含有量は、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。ニトリル基含有構造単位の含有量は、重合体の質量を基準として(すなわち、重合体の質量を100質量%とした場合に)、50質量%以下であることが好ましく、46質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。ニトリル基含有構造単位の含有量を上記範囲にすることで、被分散物への吸着性及び分散媒への親和性をコントロールすることができ、被分散物を分散媒中に安定に存在させることができる。また、重合体の電解液への親和性もコントロールでき、電池内で重合体が電解液に溶解して電解液の抵抗を増大させるなどの不具合を防ぐことができる。
重合体は、任意の構造単位を含んでもよい。任意の構造単位として、アミド基含有構造単位、カルボキシ基含有構造単位などが挙げられる。
重合体の好ましい態様として、重合体に含まれる脂肪族炭化水素構造単位、ニトリル基含有構造単位の合計の含有量が、重合体の質量を基準として80質量%以上100質量%以下である重合体が挙げられる。合計の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上である。
本明細書において、構造単位の含有量は、単量体の使用量、NMR(核磁気共鳴)及び/又はIR(赤外分光法)測定を利用して求めることができる。
重合体は、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20以上80以下であることが好ましい。重合体のムーニー粘度は、20以上であり、30以上が好ましく、40以上がより好ましい。また、80以下であり、70以下が好ましい。本明細書において、「ムーニー粘度(ML1+4,100℃)」は、JIS K6300-1に準拠して温度100℃で測定することができる。ムーニー粘度を上記範囲とすることで、導電材に吸着した状態で適度な反発力を持たせ、分散安定性を高めることができると思われる。上記範囲を下回ると、溶媒への溶解性が上がり、導電材と分散媒とのバランスが悪くなる懸念がある。また、ムーニー粘度が上記範囲を上回る場合、導電材分散液の粘度が高くなり過ぎ、分散機のエネルギー伝達効率が低下する場合や、原料由来で混入する金属異物を磁石による除鉄や、ろ過、遠心分離等の方法で効率よく除去できず、残存金属異物による電池性能が低下する場合がある。
重合体のムーニー粘度の調整方法は特に限定はされないが、例えば重合体の組成(構造単位種や含有量、水素化率等)、構造(直鎖率等)、分子量、調製条件(重合温度、分子量調整剤量等)等を変更することでムーニー粘度を調整することができる。具体的には、以下の方法によって、重合体のムーニー粘度を調整することができる。
(2a)の方法では、重合体の調製に用いる分子量調整剤の使用量を増やすことでムーニー粘度を低下させる。
(2b)の方法では、塩基を添加して重合体のニトリル基含有構造単位に含まれるニトリル基を加水分解する等により変性させることで重合体のムーニー粘度を低下させる。
(2c)の方法では、重合体に、機械的なせん断力を負荷することでムーニー粘度を低下させる。
(2b)の方法において、ムーニー粘度の低下は、脂肪族炭化水素構造単位及びニトリル基含有単量体単位を含む重合体と、塩基と、溶媒とを混合することによって行うことができる。さらに任意成分を混合してもよい。重合体、塩基及び溶媒の容器への添加順序及び混合方法に制限はなく、これらを同時に容器に添加してもよいし;重合体、塩基及び溶媒をそれぞれ別に容器に添加してもよいし;又は、重合体及び塩基のいずれか一方又は両方を溶媒と混合し、重合体含有液及び/又は塩基含有液を調製し、重合体含有液及び/又は塩基含有液を容器に添加してもよい。特に、ニトリル基を効率よく変性させることができることから、重合体を溶媒に溶解させた重合体溶液に、塩基を溶媒中に分散させた塩基分散液を、撹拌しながら添加する方法が好ましい。撹拌には、ディスパー(分散機)またはホモジナイザー等を用いることができる。溶媒としては、後述する溶媒を用いることができる。
(2b)の方法で用いる以外にも、樹脂組成物中に塩基を含有すると、CNTの分散媒への濡れ性を高めて分散性を向上させたり、分散安定性が向上することから、好ましい。添加する塩基は、無機塩基、無機金属塩、有機塩基、有機金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
無機塩基および無機金属塩としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩、モリブデン酸塩、ニオブ酸塩、ホウ酸塩;および、水酸化アンモニウム等が挙げられる。これらの中でも容易にカチオンを供給できる観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物またはアルコキシドが好ましい。アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。なお、無機塩基が有する金属は、遷移金属であってもよい。
有機塩基としては、置換基を有してもよい炭素数1~40の1級、2級、3級アミン化合物(アルキルアミン、アミノアルコール等)、または有機水酸化物が挙げられる。
置換基を有してもよい炭素数1~40の1級アルキルアミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、オクチルアミン、2ーエチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等のアルキルアミン;2-アミノエタノール、3-アミノプロパノール等のアミノアルコール;3-エトキシプロピルアミン、3-ラウリルオキシプロピルアミン等が挙げられる。
置換基を有してもよい炭素数1~40の2級アルキルアミンとしては、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N-メチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジステアリルアミン等のアルキルアミン、2-メチルアミノエタノール等のアミノアルコール等が挙げられる。
置換基を有してもよい炭素数1~40の3級アルキルアミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン等のアルキルアミン、トリエタノールアミン、2-(ジメチルアミノ)エタノール等が挙げられる。
有機水酸化物は、有機カチオンと水酸化物イオンとを含む塩である。有機水酸化物としては、例えば、トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、セチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、3-トリフルオロメチル-フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。これらの中でも、トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
これらの中でも、CNTへの作用の観点から、2-アミノエタノール、3-アミノプロパノール、トリエタノールアミン、トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドからなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
有機金属塩としては、例えば、アルカリ金属のアルコキシド、アルカリ金属の酢酸塩などが挙げられる。アルカリ金属のアルコキシドとしては、例えば、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド、リチウム-t-ブトキシド、リチウム-n-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウム-t-ブトキシド、ナトリウム-n-ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウム-t-ブトキシド、カリウム-n-ブトキシド等が挙げられる。これらの中でも、容易にカチオンを供給できる観点から、ナトリウム-t-ブトキシドが好ましい。なお、無機塩基が有する金属は、遷移金属であってもよい。
塩基の使用量は、重合体の質量を基準として0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。塩基の使用量は、重合体の質量を基準として20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。使用量が少なすぎると、ムーニー粘度の低下が起こりにくい傾向がある。使用量が多すぎると、分散装置及び/又は電池内部の腐食の原因となり得る。
上記(2c)の方法は、ニトリル基含有単量体単位及び脂肪族炭化水素構造単位を含有する重合体を調製する際に、機械的なせん断力を負荷することで調整してもよく、また、既に調製されたニトリル基含有単量体単位及び脂肪族炭化水素構造単位を含有する重合体を、溶解できる溶媒に溶解させた後、機械的なせん断力を負荷することで調整してもよい。溶解前の重合体にロールやニーダーなどを用いて機械的なせん断力を負荷することによってもムーニー粘度を低下させることができるが、重合体は、溶解できる溶媒に溶解させた状態で分散剤として使用するのが効率的であるため、重合体溶液状態でせん断力を負荷することがより好ましい。
重合体溶液状態でせん断力を負荷する方法としては、ホモジナイザー、シルバーソンミキサー等の分散手段を用いる方法が挙げられる。ディスパーなどを用いてもせん断力を負荷することができるが、ホモジナイザー、シルバーソンミキサー等の、より高いせん断力を負荷することができる分散手段を用いることが好ましい。溶解前の重合体に機械的なせん断力を負荷する方法としては、ニーダー、2本ロールミル等の分散手段を用いる方法が挙げられる。
樹脂組成物は、上記した分散剤に加えて、無機塩基、無機金属塩、有機塩基、有機金属塩、又はこれらの組み合わせをさらに含んでもよい。具体的には、上記した重合体の(2b)の方法で説明した無機塩基、無機金属塩、有機塩基、有機金属塩、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。これらは、合計量で、樹脂組成物の全量に対し、0.001~0.1質量%が好ましく、0.005~0.05質量%がより好ましい。
<分散媒>
樹脂組成物は分散媒を含む。分散媒は、特に限定されないが、高誘電率溶媒であることが好ましく、高誘電率溶媒のいずれか1種からなる溶媒、または2種以上からなる混合溶媒を含むことが好ましい。また、高誘電率溶媒に、その他の溶媒を1種または2種以上混合して用いてもよい。
高誘電率溶媒としては、アミド系(N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルカプロラクタムなど)、複素環系(シクロヘキシルピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、γ-ブチロラクトンなど)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシドなど)、スルホン系(ヘキサメチルホスホロトリアミド、スルホランなど)、低級ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、カーボネート系(ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート)、その他、テトラヒドロフラン、尿素、アセトニトリルなどを使用することができる。分散媒としては、アミド系有機溶媒を含むことが好ましく、N-メチル-2-ピロリドンおよびN-エチル-2-ピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。高誘電率溶媒の比誘電率は、溶剤ハンドブック等に記載の数値とすることができ、20℃において2.5以上であることが好ましい。
<フッ素樹脂>
樹脂組成物はフッ素樹脂を含む。フッ素樹脂はフッ素を含む樹脂であり、耐熱性、耐薬品性、及び粘着性に優れ、バインダー樹脂として機能する。フッ素樹脂は、ポリエチレンの水素がフッ素またはトリフルオロメチルで置換された構造を備えるとよい。フッ素樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等のホモポリマー;パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロジオキシソールコポリマー(TPE/PDD)等のコポリマー等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。フッ素樹脂の中でも耐性面からポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、これらの構造単位を有する樹脂、これらの変性体、またはこれらの組み合わせが好ましい。なかでも、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が好ましく、例えば、ポリフッ化ビニリデンのホモポリマー;フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン等とのコポリマー等が挙げられる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂は変性されていてもよく、例えばカルボキシ基等の酸性基が導入されていてもよい。フッ素樹脂は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フッ素樹脂の重量平均分子量(Mw)は、耐性及び密着性と樹脂粘度とをバランスよく維持するために、100,0000~5,000,000が好ましく、200,000~3,000,000がより好ましく、500,000~1,500,000がさらに好ましい。フッ素樹脂のガラス転移点は、電極膜の成膜性の観点から、20℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、0℃以下がさらに好ましい。
ポリフッ化ビニリデン及びその変性体の市販品としては、例えば、株式会社クレハ製のKFポリマーシリーズ「W#7300、W#7200、W#1700、W#1300、W#1100、W#9700、W#9300、W#9100、L#7305、L#7208、L#1710、L#1320、L#1120」等、solvay製solefシリーズ「6008、6010、6012、1015、6020、5130、9007、460、41308、11010、21510、31508、60512」等が挙げられる(いずれも商品名)。
樹脂組成物は、フッ素樹脂および樹脂型分散剤以外のバインダー樹脂を含んでもよい。その他のバインダー樹脂は、通常、塗料のバインダー樹脂として用いられるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。樹脂組成物に用いるバインダー樹脂は、活物質、CNT等の物質間を結合することができる樹脂が好ましい。樹脂組成物に用いるバインダー樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン等を構造単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂;スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなエラストマー;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でもよく、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<樹脂組成物>
樹脂組成物は、カーボンナノチューブと、分散剤と、フッ素樹脂と、分散媒とを含む。樹脂組成物は、必要に応じて、湿潤剤、界面活性剤、pH調整剤、濡れ浸透剤、レベリング剤等のその他の添加剤、その他の導電材、その他のバインダー樹脂等の樹脂成分等の任意成分を、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜含んでもよい。任意成分は、樹脂組成物作製前、混合時、混合後、又はこれらの組み合わせ等、任意のタイミングで添加することができる。
樹脂組成物におけるCNTの分散性は、動的粘弾性測定による複素弾性率および位相角で評価できる。本明細書において、樹脂組成物の複素弾性率および位相角は、25℃、周波数1Hzでの測定値である。詳しくは、実施例に記載の方法により測定することができる。樹脂組成物の複素弾性率は、樹脂組成物の硬さを示し、CNTの分散性が良好であるほど、また、樹脂組成物が低粘度であるほど小さくなる傾向にある。しかし、CNTの繊維長が大きい場合には、CNTが媒体中で均一かつ安定に解れた状態であっても、CNT自体の構造粘性があるため、複素弾性率が高い数値となる場合がある。また、CNTの分散状態に加え、CNT、分散剤、フッ素樹脂、およびその他樹脂成分の絡まり、またはこれらの分子間力等の影響によっても変化する。
また、位相角は、樹脂組成物に与えるひずみを正弦波とした場合の応力波の位相ズレを意味している。純弾性体であれば、与えたひずみと同位相の正弦波となるため、位相角0°となる。一方で、純粘性体であれば90°進んだ応力波となる。一般的な粘弾性測定用試料では、位相角が0°より大きく90°より小さい正弦波となり、樹脂組成物におけるCNTの分散性が良好であれば、位相角は純粘性体である90°に近づく。しかし、複素弾性率と同様に、CNT自体の構造粘性がある場合には、CNTが分散媒中で均一かつ安定に解れた状態であっても、位相角が低い数値となる場合がある。また、複素弾性率と同様に、CNTの分散状態に加え、CNT、分散剤、フッ素樹脂、およびその他樹脂成分の絡まり、またはこれらの分子間力等の影響によっても変化する。
樹脂組成物において、複素弾性率X(Pa)および位相角Y(°)の積(X×Y)が30以上5,000以下であることで、樹脂組成物が高濃度で高い流動性を有し、かつ、導電性が非常に良好な電極膜を得ることができる。複素弾性率X(Pa)および位相角Y(°)の積(X×Y)は、30以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましく、500以上であることが一層好ましい。また、5,000以下であることが好ましく、3,000以下であることがより好ましく、1,500以下であることがさらに好ましく、1,000以下であることが一層好ましい。
樹脂組成物の動的粘弾性測定による複素弾性率は、0.1Pa以上であることが好ましく、0.3Pa以上であることがより好ましく、0.5Pa以上であることがさらに好ましい。また、300Pa以下が好ましく、200Pa以下であることがより好ましく、100Pa以下であることがさらに好ましく、50Pa以下であることが一層好ましく、30Pa以下であることがさらにいっそう好ましい。より好ましくは、0.1Pa以上300Pa以下である。
樹脂組成物の動的粘弾性測定による位相角は、3°以上であることが好ましく、5°以上であることがより好ましく、10°以上であることがさらに好ましく、30°以上であることが特に好ましい。また、90°以下であってよく、88°以下であることが好ましく、85°以下であることがより好ましい。より好ましくは3°以上90°以下であり、さらに好ましくは5°以上88°以下である。
さらに、樹脂組成物は、複素弾性率X(Pa)および位相角Y(°)の積(X×Y)が上記好ましい範囲を満たし、かつ、動的粘弾性測定による複素弾性率及び位相角がそれぞれ上記好ましい範囲を満たすことが好ましい。
CNTの繊維長が大きいCNTを、長さを一定以上に保ったまま均一かつ良好に分散させることで、発達した導電ネットワークが形成される。したがって、単に樹脂組成物の粘度が低く(見かけ上の)分散性が良好であればよいのではなく、複素弾性率および位相角を、粘度等の従来の指標と組み合わせて分散状態を判断することが特に有効である。複素弾性率および位相角を上記範囲とすることで、導電性および電極強度の良好な樹脂組成物を得ることができる。例えば、樹脂組成物は、動的粘弾性測定による複素弾性率及び位相角がそれぞれ0.1Pa以上300Pa以下及び3°以上90°以下を満たすことが好ましい。
樹脂組成物のメジアン径(μm)は0.4μm以上であることが好ましく、また、5.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましい。上記範囲とすることで適切な分散状態の樹脂組成物を得ることができる。上記範囲を下回ると凝集した状態のCNTが存在し、また、上記範囲を上回ると微細に切断されたCNTが多数生じることから、効率的な導電ネットワークの形成が難しくなる。メジアン径は実施例に記載の方法により測定することができる。
樹脂組成物におけるCNTの分散性は、平滑なガラス基材の上に塗工し、焼き付け乾燥させて得た塗膜の60°にて測定した光沢(すなわち、入射角に対して60°における反射光の強度)でも評価できる。塗膜に対して入射した光は、分散性が良好であるほど塗膜表面が平滑となるため、光沢が高くなる。逆に、分散性が悪いほど塗膜表面の凹凸によって光の散乱が起こるため、光沢が低くなる。60°における光沢は、実施例に記載の方法により測定することができる。60°における光沢は10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。また、120以下であることが好ましく、110以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで適切な分散状態の樹脂組成物を得ることができる。上記範囲を下回ると凝集した状態のCNTが存在し、また、上記範囲を上回ると微細に切断されたCNTが多数生じることから、効率的な導電ネットワークの形成が難しくなる。また、塗膜の光沢は、CNTの分散性以外にも、分散剤の結晶性または平滑性の影響も受けるため、相対的に判断するとよい。
樹脂組成物の粘度は、B型粘度計を用いて、25℃において60rpmで測定した粘度が10mPa・s以上10000mPa・s未満であることが好ましく、10mPa・s以上5000mPa・s未満であることがより好ましく、10mPa・s以上2000mPa・s未満であることがさらに好ましい。
樹脂組成物のTI値は、B型粘度計にて25℃において測定した6rpmにおける粘度(mPa・s)を、60rpmにおける粘度(mPa・s)で除した値から算出できる。TI値は1.0以上10.0未満であることが好ましく、1.0以上7.0未満がより好ましく、1.0以上5.0未満がさらに好ましい。TI値が高いほどCNT、分散剤、フッ素樹脂、その他樹脂成分の絡まり、またはこれらの分子間力等に起因する構造粘性が大きく、TI値が低いほど構造粘性が小さくなる。TI値を上記範囲とすることで、CNT、分散剤、フッ素樹脂、その他樹脂成分の絡まりを抑えつつ、これらの分子間力を適度に作用させることができる。
樹脂組成物中のCNTの平均繊維長は0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがより好ましい。また、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。なお、樹脂組成物中のCNTの平均繊維長は、樹脂組成物をNMP等の非水溶媒によって50倍に希釈したものを基材に滴下して乾燥させた試料を走査型電子顕微鏡によって観察し、観測写真において、任意の300個のCNTを選び、それぞれの繊維長を計測することで算出できる。
樹脂組成物中のCNTの含有量は、樹脂組成物の全量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が一層好ましい。上記範囲にすることで、沈降やゲル化の発生を抑制し、一方でCNTを良好に、かつ安定に存在させることができる。より好ましくは0.1~20質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。
樹脂組成物において、カーボンナノチューブに対する分散剤の質量比は0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましい。また、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。上記範囲にすることで、CNTの分散安定性をより高めることができる。より好ましくは0.01以上2以下であり、さらに好ましくは0.1以上1以下である。
樹脂組成物中の分散剤の含有量は、樹脂組成物の全量に対し、0.1~5質量%が好ましく、0.4~1質量%がより好ましい。
樹脂組成物において、カーボンナノチューブに対するフッ素樹脂の質量比は0.1以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、10以下が好ましく、5以下がより好ましい。上記範囲にすることで、沈降やゲル化の発生を抑制し、一方で電極幕の耐性及び密着性を十分に得ることができる。より好ましくは、0.1以上10以下であり、さらに好ましくは0.5~5である。
樹脂組成物中のフッ素樹脂の含有量は、樹脂組成物全量に対し、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
樹脂組成物にその他のバインダー樹脂が含まれる場合は、フッ素樹脂及びその他のバインダー樹脂の合計量に対しその他のバインダー樹脂が80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
樹脂組成物は、カーボンナノチューブの含有量が樹脂組成物の全量に対し0.5質量%以上15質量%以下であり、カーボンナノチューブに対する分散剤の質量比が0.01以上0.2以下であり、かつカーボンナノチューブに対するフッ素樹脂の質量比が0.1以上10以下であることが好ましい。この範囲において、樹脂組成物の動的粘弾性測定による複素弾性率と位相角の積が30以上5,000以下であることで、樹脂組成物の分散性及び流動性をより改善することができる。
樹脂組成物の固形分量は、0.2~40質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、カーボンナノチューブ、分散剤、フッ素樹脂、及び分散媒を混合することで得ることができる。例えば、CNT、分散剤、フッ素樹脂、及び分散媒を一括又は分割して混合し分散して作製する方法;CNT、分散剤、及び分散媒を含むCNT分散液を作製し、次いでフッ素樹脂を添加し混合して作製する方法;分散剤、フッ素樹脂、及び分散媒を含む分散剤溶液を作製し、次いでCNTを添加し分散して作製する方法等が挙げられる。いずれの方法においてもCNTの分散処理は特に限定されないが、各種の分散装置を用いるとよい。分散処理は、使用する材料の添加タイミングを任意に調整し、2回以上の多段階処理ができる。フッ素樹脂は粉状またはワニスの形態で添加してよい。
CNTの分散効率の観点から、CNT、分散剤、及び分散媒を混合及び分散してCNT分散液を作製し、CNT分散液とフッ素樹脂とを混合するとよい。CNT分散液にフッ素樹脂を添加する方法は特に限定されないが、例えば、CNT分散液に粉状のフッ素樹脂を添加して混合してもよい。他の方法としては、フッ素樹脂を非水溶媒に溶解させたワニスをCNT分散液に添加して混合してもよい。ワニス用の非水溶媒は特に限定されず樹脂組成物に使用可能なものを用いるとよい。CNT分散液にフッ素樹脂を添加した混合物を撹拌するとよい。撹拌装置には、ディスパー、ホモジナイザー等を用いることができる。また、撹拌中に混合物を加温してフッ素樹脂の溶解を促進させてもよい。加温温度は30~80℃であってよい。粉状のフッ素樹脂をCNT分散液に添加することで、フッ素樹脂の添加において非水溶媒の量が増加しないため、より高濃度の樹脂組成物を提供することができる。フッ素樹脂を添加する前にCNT分散液の分散性を十分に高めておくことで、粉状のフッ素樹脂を添加する場合でも、樹脂組成物の流動性及び分散性の低下を防止することができる。
<分散方法>
分散装置は、例えば、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、プラネタリーミキサー、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター、ハイシアミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられる。なかでも、CNT分散液又は樹脂組成物中にCNTを微細に分散させ、好適な分散性を得るために、ハイシアミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、又はこれらを組み合わせて用いることが好ましい。特に、CNTの濡れを促進し、粗い粒子を解す観点から、分散の初期工程ではハイシアミキサーを用い、続いて、CNTのアスペクト比を保ったまま分散させる観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。高圧ホモジナイザーは循環分散によって多段階に行うことでCNTの分散性をより高めることができる。また、高圧ホモジナイザーで分散させたあと、さらにビーズミルにて分散させることで、繊維長を保ちつつ、分散状態を均一化させることができる。高圧ホモジナイザーを使用する際の圧力は60~150MPaが好ましく、60~120MPaであることがより好ましい。
分散装置を用いた分散方式には、バッチ式分散、パス式分散、循環分散等があるが、いずれの方式でもよく、2つ以上の方式を組み合わせてもよい。バッチ式分散とは、配管などを用いずに、分散装置本体のみで分散を行う方法である。取扱いが簡易であるため、少量製造する場合に好ましい。パス式分散とは、分散装置本体に、配管を介して被分散液を供給するタンクと、被分散液を受けるタンクとを備え、分散装置本体を通過させる分散方式である。また、循環式分散とは、分散装置本体を通過した被分散液を、被分散液を供給するタンクに戻して、循環させながら分散を行う方式である。いずれも処理時間を長くするほど分散が進むため、目的の分散状態になるまでパス、あるいは循環を繰り返せばよく、タンクの大きさや処理時間を変更すれば処理量を増やすことができる。パス式分散は循環式分散と比較して分散状態を均一化させやすい点で好ましい。循環式分散はパス式分散と比較して作業や製造設備が簡易である点で好ましい。分散工程は、凝集粒子の解砕、導電材の解れ、濡れ、安定化等が順次、あるいは同時に進行し、進行の仕方によって仕上がりの分散状態が異なることから、各分散工程における分散状態を各種評価方法を用いることにより管理することが好ましい。例えば、実施例に記載の方法で管理することができる。
<カーボンナノチューブ分散液>
以下、樹脂組成物を製造する際に用意されるカーボンナノチューブ分散液の一例について説明する。なお、上記した成分及び物性を備える樹脂組成物は、下記のCNT分散液を用いて製造されるものに限定されない。カーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含み、任意成分を本発明の目的を阻害しない範囲で適宜含んでもよい。任意成分は、分散液作製前、分散時、分散後、又はこれらの組み合わせ等、任意のタイミングで添加することができる。任意成分としては、上記樹脂組成物で説明したものを用いることができる。
CNT分散液は、CNTと分散剤と分散媒とを含む組成物を混合及び分散することで得ることができる。分散処理には上記した樹脂組成物で説明した方法を用いることができる。
CNT分散液の分散処理は、CNT分散液の粒子径が十分に小さくなるまで行うことが好ましい。例えば、分散処理後のCNT分散液は、レーザー回折/散乱式の粒度分布計にて求めたメジアン径(μm)は0.4以上であることが好ましく、また、5.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。
CNT分散液の分散処理は、CNT分散液の粘度が十分に低下するまで行うことが好ましい。例えば、分散後のCNT分散液は、B型粘度計を用いて、25℃において60rpmで測定した粘度が10mPa・s以上10000mPa・s未満であることが好ましく、10mPa・s以上2000mPa・s未満であることがより好ましく、10mPa・s以上1000mPa・s未満であることがさらに好ましい。
CNTの含有量は、CNT分散液の全量に対し、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることがより好ましい。また、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。上記範囲にすることで、CNTを良好に、かつ安定に存在させることができる。より好ましくは0.5~10質量%である。また、CNTの含有量は、CNTの比表面積、分散媒への親和性、分散剤の分散能等によって、適当な流動性または粘度のカーボンナノチューブ分散液が得られるように、適宜調整することが好ましい。
分散剤の含有量は、CNTの100質量部に対して、5~200質量部使用することが好ましく、10~100質量部使用することがより好ましく、15~80質量部使用することがさらに好ましい。分散剤の含有量は、CNT分散液の全量に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.5~6質量%がより好ましい。
CNT分散液の固形分量は、0.2~40質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。
<二次電池電極用合材スラリーの製造方法>
二次電池電極用合材スラリーは、上記した樹脂組成物に、活物質を添加することで得ることができる。合材スラリーは、必要に応じて、その他の任意成分を本発明の目的を阻害しない範囲で適宜含んでもよい。任意成分は、合材スラリー作製前、混合時、混合後、又はこれらの組み合わせ等、任意のタイミングで添加することができる。任意成分は、上記樹脂組成物で説明したものであってよい。
活物質は、正極活物質または負極活物質であってよい。本明細書では、正極活物質および負極活物質を、単に「活物質」という場合がある。活物質とは、電池反応の基となる材料のことである。活物質は、起電力から、正極活物質と負極活物質に分けられる。合材スラリーは、均一性および加工性を向上させるためにスラリー状であることが好ましい。
<正極活物質>
正極活物質は、特に限定されないが、例えば、二次電池用途は、リチウムイオンを可逆的にドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物および金属硫化物等の金属化合物を使用することができる。例えば、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMnまたはLixMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-yCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnCo1-y)、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiNiCoMn1-y-z)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLiMn2-yNi)等のリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物粉末(例えばLiFePO、LiFe1-yMnPO、LiCoPOなど)、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、バナジウム酸化物(例えばV、V13)、酸化チタン等の遷移金属酸化物粉末、硫酸鉄(Fe(SO)、TiS、およびFeS等の遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。ただし、x、y、zは、数であり、0<x<1、0<y<1、0<z<1、0<y+z<1である。これら正極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。これらの活物質の中でも、特に、Niおよび/またはMnを含有する活物質は(遷移金属中のNiおよび/またはMnの合計量が50mol%以上の場合は殊更)、原料由来成分または金属イオンの溶出によって、塩基性が高くなる傾向があり、その影響によってバインダー樹脂のゲル化や分散状態の悪化が起こりやすいことから、Niおよび/またはMnを含有する活物質を含有する電池の場合、本実施形態が特に有効である。
<負極活物質>
負極活物質は、特に限定されないが、例えば、リチウムイオンを可逆的にドーピングまたはインターカレーション可能な金属Li、またはその合金、スズ合金、シリコン合金負極、LiTiO、LiFe、LiFe、LiWO等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ-p-フェニレン等の導電性高分子、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、樹脂焼成炭素材料を用いることができる。ただし、xは数であり、0<x<1である。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。特にシリコン合金負極を用いる場合、理論容量が大きい反面、体積膨張が極めて大きいため、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、樹脂焼成炭素材料等と組み合わせて用いるのが好ましい。
合材スラリー中のCNTの含有量は、活物質の質量を基準として(活物質の質量を100質量%として)、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.05%以上であることがさらに好ましい。また、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。上記範囲を上回ると、電極中の活物質の充填量が低下して電池の低容量化を招く。また、上記範囲を下回ると、電極および電池の導電性が不十分となる場合がある。
合材スラリー中の分散剤の含有量は、活物質の質量を基準として(活物質の質量を100質量%として)、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上であることがより好ましい。また、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
合材スラリー中のバインダー樹脂の含有量は、活物質の質量を基準として(活物質の質量を100質量%として)、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。また、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
合材スラリー中の固形分量は、合材スラリーの質量を基準として(合材スラリーの質量を100質量%として)、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。また、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。
合材スラリーを作製する方法としては、CNT分散液にバインダー樹脂を添加し樹脂組成物を作製し、樹脂組成物に活物質をさらに添加し撹拌させる処理を行う方法が好ましい。撹拌に使用される撹拌装置は特に限定されない。撹拌装置には、ディスパー、ホモジナイザー等を用いることができる。
<電極膜>
電極膜は、合材スラリーを膜状に形成してなるものであり、CNT、分散剤、フッ素樹脂、及び活物質を含む。電極膜には、任意成分がさらに含まれてもよい。電極膜は、上記した樹脂組成物に活物質を添加し合材スラリーを作製し、合材スラリーを塗工することで得ることができる。例えば、電極膜は、合材スラリーを集電体上に塗工し揮発分を除去することで形成することができる。
集電体の材質や形状は特に限定されず、各種二次電池にあったものを適宜選択することができる。例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。集電体の厚みは、0.5~30μm程度が好ましい。
集電体上に合材スラリーを塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げられる。塗工後の乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機等が使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
合材スラリーの塗工後に、平版プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行ってもよい。電極膜の厚みは、例えば、1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
<二次電池>
二次電池は、正極と、負極と、電解質とを含み、正極及び負極からなる群から選択される少なくとも1つが上記した電極膜を含む。二次電池の製造方法では、例えば、正極及び負極のうち少なくとも一方は、合材スラリーを集電体に塗工し電極膜を形成して作製され、合材スラリーは、上記した二次電池電極用樹脂組成物に活物質を添加して作製される。
正極としては、集電体上に正極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極膜を作製したものを使用することができる。負極としては、集電体上負極活物質を含む合材スラリーを塗工乾燥して電極膜を作製したものを使用することができる。正極活物質及び負極活物質には、上記したものを用いることができる。合材スラリーは、上記した方法にしたがって作製することができる。
電解質は、液体電解質、ゲル状電解質、及び固体電解質のいずれであってもよい。例えば、液体電解質は、リチウム塩等の電解質塩及び非水溶媒を含むものであってよい。
電解質塩としては、イオンが移動可能な従来公知の様々なものを使用することができる。例えば、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、Li(CFSOC、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN、又はLiBPh(ただし、Phはフェニル基である)等のリチウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。電解質塩は非水溶媒に溶解して、電解液として使用することが好ましい。
非水溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、及びγ-オクタノイックラクトン等のラクトン類;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、1,2-メトキシエタン、1,2-エトキシエタン、及び1,2-ジブトキシエタン等のグライム類;メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいが、2種以上を混合して使用してもよい。
二次電池は、セパレーターを含むことが好ましい。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びこれらに親水性処理を施した不織布等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとを備え、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
<分散剤の製造>
(製造例1 H-NBR1の製造)
ステンレス製重合反応器に、アクリロニトリル32部、1,3-ブタジエン68部、オレイン酸カリ石ケン3部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、t-ドデシルメルカプタン0.48部、及びイオン交換水200部を加えた。窒素雰囲気下において、撹拌しながら、45℃で20時間の重合を行い、転化率90%で重合を終了した。未反応のモノマーを減圧ストリッピングにより除き、固形分濃度約30%のアクリロニトリル-共役ジエン系ゴムラテックスを得た。続いて、ラテックスにイオン交換水を追加して全固形分濃度を12%に調整し、容積1Lの撹拌機付きオートクレーブに投入して、窒素ガスを10分間にわたり流して内容物中の溶存酸素を除去した。水素化触媒としての酢酸パラジウム75mgを、パラジウムに対して4倍モルの硝酸を添加したイオン交換水180mLに溶解して調製した触媒液を、オートクレーブに添加した。オートクレーブ内を水素ガスで2回置換した後、3MPaまで水素ガスで加圧した状態でオートクレーブの内容物を50℃に加温し、6時間の水素化反応を行った。その後、内容物を常温に戻し、オートクレーブ内を窒素雰囲気とした後、固形分を乾燥させて分散剤(H-NBR1)を得た。H-NBR1のムーニー粘度(ML1+4、100℃)(日本工業規格JIS K6300-1に準拠して温度100℃でL形ローターを使用して測定した)は、44であった。また、水素添加率(全反射測定法による赤外分光分析から算出)は0.7%であった。H-NMR定量スペクトルから求めたアクリロニトリル由来の構造単位は32%であった。
(製造例2 PANの製造)
特開2020-163362号公報の段落(0078)に記載の分散剤(A-6:アクリロニトリル/ヒドロキシエチルアクリレート=90/10、重量平均分子量15,000)を製造した。得られた分散剤は、以下、PANと表記する。
<カーボンナノチューブの高純度化処理>
(製造例3 100T-Pの製造)
カーボンナノチューブ(K-Nanos 100T:Kumho Petrochemical製)1gに対して、水5gを加えた後、ヘンシェル型ミキサーで撹拌し、粒状のカーボンナノチューブ(粒径約7mm)を得た。粒状のカーボンナノチューブをバットに広げ、100℃の減圧熱風オーブンにて7時間乾燥させ圧縮CNTを得た。得られた圧縮CNTをセラミック製のるつぼに入れ、焼成炉内に配置した。炉内を1Torr以下となるまで真空廃棄してから1000℃まで昇温させた。炉内の圧力が90Torrとなるまで毎分0.3Lの四塩化炭素ガスを導入した後、炉内の温度を1600℃まで昇温して1時間保持した。続いて、ヒーターを停止してからゆっくり1Torrになるまで減圧し、室温になるまで放冷しした。炉内の減圧を解除して、るつぼから高純度化処理したカーボンナノチューブ(100T-P)を回収した。
実施例および比較例では、製造例1、2で製造した分散剤以外に、以下の分散剤を用いた。
・H-NBR2:Therban(R)3406(ARLANXEO製、水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴム)
・H-NBR3:Therban(R)AT 3404(ARLANXEO製、水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴム)
・H-NBR4:Zetpole2000L(日本ゼオン製、水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴム)
・PVP:ポリビニルピロリドンK-15(ISP製)
・PVA:クラレポバール3-86SD(クラレ製、変性ポリビニルアルコール)
実施例および比較例では、製造例3で製造したカーボンナノチューブ以外に、以下のカーボンナノチューブを用いた。
・100T:K-Nanos 100T(Kumho Petrochemical製、多層CNT、平均外径13nm、比表面積210m/g)
・BT1001M:LUCAN BT1001M(LG chem Ltd製、多層CNT、平均外径13nm、比表面積250m/g)
・10B:JENOTUBE10B(JEIO製、多層CNT、平均外径10nm、比表面積230m/g)
・8B:JENOTUBE8B(JEIO製、多層CNT、平均外径8nm、比表面積300m/g)
・6A:JENOTUBE6A(JEIO製、多層CNT、平均外径6nm、比表面積700m/g)
・TUBALL:シングルウォールカーボンナノチューブ(OCSiAl製、平均外径1.6nm、炭素純度93%、比表面積975m/g)
実施例および比較例では、以下のバインダーを用いた。
・S-5130:solef5130(solvay製、ポリフッ化ビニリデン樹脂)
・W#7300:KFポリマーW#7300(クレハ製、ポリフッ化ビニリデン樹脂)
・W#7200:KFポリマーW#7200(クレハ製、ポリフッ化ビニリデン樹脂)
・W#1300:KFポリマーW#1300(クレハ製、ポリフッ化ビニリデン樹脂)
・W#9300:KFポリマーW#9300(クレハ製、ポリフッ化ビニリデン樹脂)
<樹脂組成物の作製>
(実施例1-1)
表1に示す材料と組成に従い、バインダーを除く材料を順次添加し、以下の通りカーボンナノチューブ分散液を作製した。まず、ステンレス容器にNMPをとり、50℃に加温した。ディスパーで撹拌しながら分散剤、添加剤を添加した後、1時間撹拌して、分散剤を溶解させた。続いて、CNTをディスパーで撹拌しながら添加して、ハイシアミキサー(L5M-A、SILVERSON製)に角穴ハイシアスクリーンを装着し、8,000rpmの速度で全体が均一になり、溝の最大深さ300μmのグラインドゲージにて分散粒度が250μm以下になるまでバッチ式分散を行った。このとき、グラインドゲージにて確認した分散粒度は180μmであった。続いて、ステンレス容器から、配管を介して高圧ホモジナイザー(スターバーストラボHJP-17007、スギノマシン製)に被分散液を供給し、循環式分散処理を行った。分散処理はシングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.25mm、圧力100MPaにて行った。被分散液のB型粘度計(TOKI SANGYO製、VISCOMETER、MODEL:BL)で測定した60rpmにおける粘度が3,000mPa・s以下となるまで分散した後、高圧ホモジナイザーにて表1に示すパス回数に従いパス式分散処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を得た。
続いて、50℃に加温し、ディスパーで撹拌しながらバインダーを少量ずつ全量添加した。2時間撹拌し、バインダーを全量溶解させ、樹脂組成物1を得た。
(実施例1-2~1-23)
表1に示す材料、組成、およびパス回数に従い変更した以外は、実施例1-1と同様にして樹脂組成物2~23を得た。
(実施例1-24)
バインダーを予めNMPに溶解し、8%溶液として用いた以外は、実施例1-1と同様にして樹脂組成物24を得た。なお、カーボンナノチューブ分散液を調製する際には、バインダー溶解に用いたNMPを控えておき、仕上がりの組成を合わせた。
(実施例1-25)
表1に示す材料と組成に従い、以下の通り樹脂組成物を作製した。ステンレス容器にNMPをとり、50℃に加温した。ディスパーで撹拌しながら分散剤、添加剤を添加した後、1時間撹拌して、分散剤を溶解させた。CNTとバインダーを粉末状態でタンブリングしてから、ディスパーで撹拌しながら前記分散剤溶液に添加して、ハイシアミキサー(L5M-A、SILVERSON製)に角穴ハイシアスクリーンを装着し、8,000rpmの速度で全体が均一になり、溝の最大深さ300μmのグラインドゲージにて分散粒度が250μm以下になるまでバッチ式分散を行った。以下、実施例1-1のカーボンナノチューブ分散液の作製工程と同様にして、高圧ホモジナイザーにてパス式分散処理を行い、樹脂組成物25を得た。
(実施例1-26~1-28)
表1に示す分散剤を用いた以外は、実施例1-25と同様にして、樹脂組成物26~28を得た。
(実施例1-29)
表1に示す材料と組成に従い、以下の通り樹脂組成物を作製した。ステンレス容器にNMPをとり、50℃に加温した。ディスパーで撹拌しながら分散剤、添加剤およびバインダーを添加した後、1時間撹拌して溶解させた。CNTをディスパーで撹拌しながら前記分散剤溶液に添加して、ハイシアミキサー(L5M-A、SILVERSON製)に角穴ハイシアスクリーンを装着し、8,000rpmの速度で全体が均一になり、溝の最大深さ300μmのグラインドゲージにて分散粒度が250μm以下になるまでバッチ式分散を行った。以下、実施例1-1のカーボンナノチューブ分散液の作製工程と同様にして、高圧ホモジナイザーにてパス式分散処理を行い、樹脂組成物29を得た。
(比較例1-1)
表1に示す材料と組成に従い、高圧ホモジナイザーのパス回数を10回に変更した以外は、実施例1-1と同様にして比較樹脂組成物1を得た。
(比較例1-2)
表1に示す材料と組成に従い、高圧ホモジナイザーのパス回数を15回に変更した以外は、実施例1-13と同様にして比較樹脂組成物2得た。
(比較例1-3)
実施例1-1で、高圧ホモジナイザーを用いて分散した代わりに、ビーズミル(アシザワ製、スターミルLMZ06、ビーズ直径1.0mm、ビーズ充填率80%)を用いて分散し、比較樹脂組成物3を得た。なお、パス回数は25回とした。
Figure 2023012943000006
なお、表1に記載の添加剤は以下の通りである。
・NaOH:水酸化ナトリウム(東京化成工業製、純度>98.0%、顆粒状)
・アミノエタノール:2-アミノエタノール(東京化成工業製、純度>99.0%)
・t-BuONa:ナトリウム-t-ブトキシド(東京化成工業製、純度>98.0%)
<樹脂組成物の評価>
(粒度の測定方法)
樹脂組成物の粗大粒子の有無、粒度は、溝の最大深さ100μmのグラインドゲージを用い、JIS K5600-2-5に準ずる判定方法により求めた。
粒度 判定基準
◎:20μm未満(優良)
〇:20μm以上50μm未満(良)
△:50μm以上90μm未満(不良)
×:90μm以上(不可)
(樹脂組成物の粘度測定方法)
樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(東機産業製「BL」)を用いて、温度25℃にて、ヘラで充分に撹拌した後、直ちにB型粘度計ローター回転速度6rpmにて測定し、引き続き60rpmにて測定した。60rpmにて測定した粘度を初期粘度とした。低粘度であるほど分散性が良好であり、高粘度であるほど分散性が不良である。得られた分散液が明らかに分離や沈降しているものは分散性不良とした。また、60rpmにおける粘度(mPa・s)を、6rpmにおける粘度(mPa・s)で除した値からTI値を求めた。
初期粘度 判定基準
◎:1,000mPa・s未満(優良)
○:1,000mPa・s以上2,000mPa・s未満(良)
△:2,000mPa・s以上10,000mPa・s未満(可)
×:10,000mPa・s以上、沈降または分離(不良)
TI値 判定基準
◎:3.0未満(優良)
○:3.0以上5.0未満(良)
△:5.0以上10.0未満(不良)
×:10.0以上、沈降または分離(不可)
(樹脂組成物の光沢の測定方法)
光沢測定用の試料は、樹脂組成物を平滑なガラス基板上に1mL滴下し、No.7のバーコーターにて2cm/秒で塗工した後、140℃の熱風オーブンで10分間焼き付け、放冷して得た。塗工面積は約10cm×10cmとした。光沢計(BYK Gardner製光沢計 micro-gross60°)を用い、端部を除く塗膜面内の3か所を無作為に選び、1回ずつ測定して平均値を60°における光沢とした。
光沢 判定基準
◎:30以上(優良)
○:20以上30未満(良)
△:10以上20未満(不良)
×:10未満(不可)
(樹脂組成物のメジアン径の粒度測定方法)
メジアン径は粒度分布測定装置(Partical LA-960V2、HORIBA製)を用いて測定した。循環/超音波の動作条件は、循環速度:3、超音波強度:7、超音波時間:1分、撹拌速度:1、撹拌モード:連続とした。また、空気抜き中は超音波強度7、超音波時間5秒で超音波作動を行った。水の屈折率は1.333、カーボン材料の屈折率は1.92とした。測定は、測定試料を赤色レーザーダイオードの透過率が60~80%となるように希釈した後行い、粒子径基準は体積とした。
メジアン径 判定基準
○:0.4μm以上2.0μm未満(優良)
△:2.0μm以上5.0μm未満(良)
×:0.4μm未満、または5.0μm以上(不可)
(樹脂組成物の複素弾性率及び位相角の測定)
樹脂組成物の複素弾性率X及び位相角Yは、直径60mm、2°のコーンにてレオメーター(Thermo Fisher Scientific株式会社製RheoStress1回転式レオメーター)を用い、25℃、周波数1Hzにて、ひずみ率0.01%から5%の範囲で動的粘弾性測定を実施することで評価した。得られた複素弾性率が小さいほど分散性が良好であり、大きいほど分散性が不良である。また、得られた位相角が大きいほど分散性が良好であり、小さいほど分散性が不良である。さらに、得られた複素弾性率X(Pa)と位相角Y(°)の積(X×Y)を算出した。
(CNTの平均繊維長の算出)
ディスパーにて撹拌しながら樹脂組成物にNMPを少しずつ滴下し、50倍に希釈したものを、表面が平滑な基材に少量滴下し、乾燥させて観察用試料とした。得られた観察用試料を走査型電子顕微鏡にて観測するとともに撮像した。観測写真において、任意の300個のCNTを選び、それぞれの繊維長を計測して、平均値を算出し、平均繊維長とした。
(樹脂組成物の貯蔵安定性評価方法)
貯蔵安定性の評価は、分散液を50℃にて7日間静置して保存した後の粘度を測定した。測定方法は初期粘度と同様の方法で測定した。
貯蔵安定性 判定基準
◎:初期同等(優良)
○:粘度がわずかに変化した(良)
△:粘度が上昇したがゲル化はしていない(不良)
×:ゲル化している(極めて不良)
Figure 2023012943000007
<正極合材スラリーおよび正極の作製>
(実施例2-1~2-32、比較例3-1~3-3)
表3に示す組み合わせと組成比に従い、以下のようにして正極合材スラリーおよび正極を作製した。容量150cmのプラスチック容器に樹脂組成物と、正極活物質を添加し、自転・公転ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで150秒間撹拌し、正極合材スラリーを得た。正極合材スラリーの不揮発分は78質量%とした。
正極合材スラリーを、アプリケーターを用いて、厚さ20μmのアルミ箔上に塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間乾燥し、電極膜を作製した。その後、電極膜をロールプレス(サンクメタル製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、正極(正極1~32、比較正極1~3)を得た。なお、合材層の単位当たりの目付量が20mg/cmであり、圧延処理後の合材層の密度は3.2g/ccであった。
実施例および比較例では、以下の正極活物質を用いた。
・NMC1:セルシードNMC(LiNi0.6Co0.2Mn0.2、日本化学工業製)
・NMC2:S800(LiNi0.8Mn0.1Co0.1、金和製)
・NCA:NAT-7050(LiNi0.8Co0.15Al0.05、BASF戸田バッテリーマテリアルズ製)
・LFP:HED(商標)LFP-400(リン酸鉄リチウム、BASF製)
<正極の評価>
(正極の導電性評価方法)
得られた正極を、三菱化学アナリテック製:ロレスターGP、MCP-T610を用いて合材層の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。測定後、合材層の厚みを乗算し、正極の体積抵抗率(Ω・cm)とした。合材層の厚みは、膜厚計(NIKON製、DIGIMICRO MH-15M)を用いて、電極中の3点を測定した平均値から、アルミ箔の膜厚を減算し、正極の体積抵抗率(Ω・cm)とした。
導電性 判定基準
◎:10Ω・cm未満(優良)
〇:10Ω・cm以上20Ω・cm未満(良)
△:20Ω・cm以上30Ω・cm未満(不良)
×:30Ω・cm以上(不可)
(正極の密着性評価方法)
得られた正極を、塗工方向を長軸として90mm×20mmの長方形に2本カットした。剥離強度の測定には卓上型引張試験機(東洋精機製作所製、ストログラフE3)を用い、180度剥離試験法により評価した。具体的には、100mm×30mmサイズの両面テープ(No.5000NS、ニトムズ製)をステンレス板上に貼り付け、作製した正極の合材層側を両面テープのもう一方の面に密着させ試験用試料とした。次いで、試験用試料を長方形の短辺が上下にくるように垂直に固定し、一定速度(50mm/分)でアルミ箔の末端を下方から上方に引っ張りながら剥離し、このときの応力の平均値を剥離強度とした。
密着性 判定基準
◎:0.8N/cm以上(優良)
○:0.5N/cm以上0.8N/cm未満(良)
△:0.3N/cm以上0.5N/cm未満(不良)
×:0.3N/cm未満(極めて不良)
Figure 2023012943000008
<二次電池の作製と評価>
(標準負極の作製)
容量150mlのプラスチック容器にアセチレンブラック(デンカブラック(登録商標)HS‐100、デンカ製)0.5部と、MAC500LC(カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 サンローズ特殊タイプ MAC500L、日本製紙製、不揮発分100%)1部と、水98.4部とを加えた後、自転・公転ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌した。さらに活物質として人造黒鉛(CGB-20、日本黒鉛工業製)を97質量部添加し、自転・公転ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで150秒間撹拌した。続いてSBR(スチレンブタジエンゴム、TRD2001、不揮発分48%、JSR製)を3.1部加えて、自転・公転ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌し、標準負極合材スラリーを得た。標準負極合材スラリーの不揮発分は50質量%とした。
上述の標準負極合材スラリーを集電体となる厚さ20μmの銅箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、電気オーブン中で80℃±5℃で25分間乾燥して電極の単位面積当たりの目付量が10mg/cmとなるように調整した。さらにロールプレス(サンクメタル製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、合材層の密度が1.6g/cmとなる標準負極を作製した。
(実施例3-1~3-32、比較例3-1~3-3)
(二次電池の作製)
表4に記載した正極および標準負極を使用して、各々50mm×45mm、45mm×40mmに打ち抜き、打ち抜いた正極および標準負極と、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロプレンフィルム)とをアルミ製ラミネート袋に挿入し、電気オーブン中、70℃で1時間乾燥した。その後、アルゴンガスで満たされたグローブボックス内で、電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを体積比1:1:1の割合で混合した混合溶媒を作製し、さらに添加剤として、ビニレンカーボネートを100質量部に対して1質量部加えた後、LiPFを1Mの濃度で溶解させた非水電解液)を2mL注入した後、アルミ製ラミネートを封口して二次電池をそれぞれ作製した。
(二次電池のレート特性評価方法)
得られた二次電池を25℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電電流10mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流1mA(0.02C))を行った後、放電電流10mA(0.2C)にて、放電終止電圧3Vで定電流放電を行った。この操作を3回繰り返した後、充電電流10mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流(1mA0.02C))を行い、放電電流0.2Cおよび3Cで放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行って、それぞれ放電容量を求めた。レート特性は0.2C放電容量と3C放電容量の比、以下の数式1で表すことができる。
(数式1) レート特性 = 3C放電容量/3回目の0.2C放電容量 ×100 (%)
レート特性 判定基準
◎:80%以上(優良)
○:60%以上80%未満(良)
△:40%以上60%未満(不良)
×:40%未満(極めて不良)
(二次電池のサイクル特性評価方法)
得られた二次電池を25℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電電流25mA(0.5C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流2.5mA(0.05C))を行った後、放電電流25mA(0.5C)にて、放電終止電圧3Vで定電流放電を行った。この操作を200回繰り返した。サイクル特性は25℃における3回目の0.5C放電容量と200回目の0.5C放電容量の比、以下の数式2で表すことができる。
(数式2)サイクル特性 = 3回目の0.5C放電容量/200回目の0.5C放電容量×100(%)
サイクル特性 判定基準
◎:85%以上(優良)
○:80%以上85%未満(良)
△:50%以上80%未満(不良)
×:50%未満(極めて不良)
Figure 2023012943000009
<正極合材スラリーおよび正極の作製>
(実施例2-1~2-32、比較例3-1~3-3)
表3に示す組み合わせと組成比に従い、以下のようにして正極合材スラリーおよび正極を作製した。容量150cmのプラスチック容器に樹脂組成物と、正極活物質を添加し、自転・公転ミキサー(シンキー製 あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで150秒間撹拌し、正極合材スラリーを得た。正極合材スラリーの不揮発分は68.17質量%とした。

Claims (9)

  1. カーボンナノチューブと、分散剤と、フッ素樹脂と、分散媒とを含み、動的粘弾性測定による25℃及び1Hzでの複素弾性率X(Pa)と位相角Y(°)の積(X×Y)が30以上5,000以下である、二次電池電極用樹脂組成物。
  2. 動的粘弾性測定による25℃及び1Hzでの複素弾性率が0.1Pa以上300Pa以下である、請求項1記載の二次電池電極用樹脂組成物。
  3. 動的粘弾性測定による25℃及び1Hzでの位相角が3°以上90°以下である、請求項1または2記載の二次電池電極用樹脂組成物。
  4. 前記カーボンナノチューブの含有量は、樹脂組成物の全量に対し、0.5質量%以上15質量%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の二次電池電極用樹脂組成物。
  5. 前記カーボンナノチューブに対する前記分散剤の質量比が0.01以上2以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の二次電池電極用樹脂組成物。
  6. 前記カーボンナノチューブに対する前記フッ素樹脂の質量比が0.1以上10以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の二次電池電極用樹脂組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の二次電池電極用樹脂組成物に、活物質を添加することを含む、二次電池電極用合材スラリーの製造方法。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載の二次電池電極用樹脂組成物に、活物質を添加し合材スラリーを作製すること、及び前記合材スラリーを塗工し電極膜を作製することを含む、電極膜の製造方法。
  9. 正極、負極、及び電解質を含む二次電池の製造法であって、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の二次電池電極用樹脂組成物に、活物質を添加し合材スラリーを作製すること、及び
    前記正極及び前記負極のうち少なくとも一方を、前記合材スラリーを集電体に塗工し電極膜を形成して作製することを含む、二次電池の製造方法。
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