JP6638846B1 - 分散剤、分散体、電極、および樹脂組成物 - Google Patents

分散剤、分散体、電極、および樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、従来の分散剤と比較して、低使用量で分散性、流動性、および保存安定性に優れる分散体を作製可能な分散剤の提供を目的とする。【解決手段】(メタ)アクリロニトリルに由来する単位、ならびに活性水素基含有モノマー、塩基性モノマー、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選択される1種以上のモノマーに由来する単位を含む共重合体であり、前記共重合体は、前記(メタ)アクリロニトリルに由来する単位を40〜99質量%含み、重量平均分子量が5000〜50000である、分散剤。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリロニトリル共重合体の分散剤に関する。
一般に、インキ等を製造する場合、顔料を安定に高濃度で分散することが難しく、製造工程や製品そのものに対して種々の問題を引き起こすことが知られている。例えば、微細な粒子からなる顔料を含む分散体は往々にして高粘度を示し、製品の分散機からの取り出しや輸送が困難となるばかりでなく、悪い場合は保存中にゲル化を起こし、使用困難となることさえある。更に展色物の表面に関しては光沢の低下、レベリング不良等の状態不良を生じる。
そこで一般的には分散状態を良好に保つために分散剤が利用されている。分散剤は顔料に吸着する部位と、分散媒に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの機能の部位のバランスで分散剤の性能は決まる。
一般的に顔料表面の疎水性が強い場合には、顔料に分散剤を吸着させるためには顔料の表面に合わせた親・疎水性相互作用を利用した吸着機構を用い、顔料表面に官能基が存在する場合には表面の酸・塩基を利用した吸着機構を用いるなどする。
例えばカーボンブラックやカーボンナノチューブ(以下CNT)の分散においては特許文献1、2にポリビニルアルコール(以下PVA)やポリビニルピロリドン(以下PVP)といった高分子分散剤を用いて分散体を作成する方法が開示されている。しかしながらPVAやPVPといった高分子分散剤はN−メチル−2−ピロリドンや、水といった極性溶媒中での効果が示されているが、その他の分散媒中で分散の効果は示されていない。
さらにPVAやPVPは一般的に親水性が高く、水に溶ける性質があるため、カーボンブラックの分散剤として用いた場合に、分散体を塗膜にした際、塗膜の耐水性が低下するなどの不具合が生じる。例えばリチウムイオンバッテリー用の分散体としてPVAやPVPを用いたカーボン分散体を使用すると、吸湿による電池性能の低下などの不具合が発生する。
さらに、PVAやPVPは親水性が高く水やNMP等の親水性溶剤での分散性は担保できるが、その他の溶剤への溶解性は低く、疎水性溶剤への展開が困難である。また、PVAやPVPはその親水性の高さから、高親水性でない顔料への濡れ性は十分ではなく、安定な分散体作成するために分散時間が比較的長くなってしまう傾向がある。
特開2014−193986号公報 特開2003−157846号公報
Michael J. O’Connel et al. Chemical Physics Letters, 13 July 2001, 265-271 ポリアクリロニトリルおよびその共重合体の着色https://www.jstage.jst.go.jp/article/koron1944/19/210/19_210_653/_pdf/-char/ja
本発明は、従来の分散剤と比較して、低使用量で分散性、流動性、および保存安定性に優れる分散体を作製可能な分散剤の提供を目的とする。
本発明は(メタ)アクリロニトリルに由来する単位、ならびに活性水素基含有モノマー、塩基性モノマー、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選択される1種以上のモノマーに由来する単位を含む共重合体であり、
前記共重合体は、前記(メタ)アクリロニトリルに由来する単位を40〜99質量%含み、重量平均分子量が5000〜50000である、分散剤に関する。
また、本発明は(メタ)アクリロニトリルに由来する単位、ならびに活性水素基含有モノマー、塩基性モノマー、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選択される1種以上のモノマーに由来する単位を含む共重合体であり、
前記共重合体は、アクリロニトリルに由来する単位を40〜99質量%含み、重量平均分子量は、5000〜50000であり、
前記アクリロニトリルに由来する単位が、環状構造を有する、分散剤に関する。
また、本発明はアクリロニトリルに由来する単位、および(メタ)アクリル酸に由来する単位を含む共重合体であり、
前記共重合体は、前記アクリロニトリルに由来する単位を40〜99質量%、および(メタ)アクリル酸に由来する単位を1〜25質量%含み
重量平均分子量は、5000〜50000であり、
前記アクリロニトリルに由来する単位および前記(メタ)アクリル酸単位が、環状構造を形成する、分散剤に関する。
また、本発明は、分散媒、上記分散剤、および被分散物とを含む、分散体に関する。
また、本発明は、被分散物が導電材である上記分散体に関する。
また、本発明は、さらに、無機金属塩、無機塩基および有機塩基からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、上記分散体に関する。
また、本発明は、上記分散体、およびバインダー樹脂を含む、樹脂組成物に関する。
また、本発明は、さらに、活物質を含む、上記樹脂組成物に関する。
また、本発明は、電極層、および上記樹脂組成物から形成されてなる合材層を備える電
極に関する。
また、本発明は、上記分散剤、ならびに着色剤、およびセルロース繊維からなる群より選択される1種以上の被分散物を含む、分散体に関する。
上記の本発明により、従来の分散剤と比較して、低使用量で分散性、流動性、および保存安定性に優れる分散体を作製可能な分散剤を提供できる。
まず、本明細書の用語を定義する。
モノマーは、エチレン性不飽和基含有単量体である。(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリル酸を含む。
<分散剤>
本発明の分散剤は、(メタ)アクリロニトリルに由来するモノマー単位と、活性水素基含有モノマー、塩基性モノマー、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選択される1種以上のモノマーに由来する単位とを含む共重合体であり、共重合体中、前記(メタ)アクリロニトリルに由来するモノマー単位を40〜99質量%含むものであるが、好ましくは(メタ)アクリロニトリルに由来する単位の含有量としては50〜99質量%であり、さらに好ましくは75〜99質量%である。本発明の分散剤は、ランダム重合、ブロック重合いずれの方法でも合成できる。
本発明の分散剤は、(メタ)アクリロニトリルに由来する単位を高濃度に含有する。非水素結合性のシアノ基の強い分極と分散樹脂主鎖の炭素鎖が被分散物への吸着性と分散媒への親和性を高め、被分散物を分散媒中に安定に存在させることができる。
本発明の分散剤は、オフセットインキ、グラビアインキ、カラーフィルター用レジストインキ及びインキジェットインキ、塗料、導電材料、着色樹脂組成物等の用途に使用することが好ましい。本発明の分散剤は、被分散物の再凝集を抑制し、流動性が優れることで、良好な分散安定性が得られる。
本発明における活性水素基含有モノマーについて説明する。活性水素基含有モノマーは1分子に1つ以上の活性水素基を有していれば特に限定は無く、活性水素基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、及びメルカプト基である。
ヒドロキシル基含有モノマーは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートまたはこれらモノマーのカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)等が挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及び無水マレイン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸等の酸無水物基含有モノマーの単官能アルコール付加体等が挙げられる。
1級アミノ基含有モノマーとしては例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アリルアミン塩酸塩、二水素アリルアミンリン酸塩、2−イソプロペニルアニリン、3−ビニルアニリン、4−ビニルアニリン等が挙げられる。
2級アミノ基含有モノマーとしては例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
メルカプト基含有モノマーとしては例えば、アクリル酸2−(メルカプトアセトキシ)エチル、アリルメルカプタン等が挙げられる。
原料の入手しやすさ、取り扱いやすさ、後述する分散媒との親和性の観点からヒドロキシル基含有モノマー及びカルボキシル基含有モノマーであるヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸が好ましく、さらに好ましくはヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸である。
次に塩基性モノマーについて説明する。本発明における塩基性モノマーは1級アミノ基もしくは2級アミノ基を含有しない塩基性モノマーを示す。
例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
1−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール等の複素環式芳香族アミン含有ビニルモノマー類
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、等のN−置換マレイミド類;
N−(ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等のN−(アルキルアミノアルキル)(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−アルキル(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
原料の入手しやすさ、取り扱いやすさ、後述する分散媒との親和性の観点からジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートが好ましく、最も好ましくはジメチルアミノエチルアクリレートである。
次に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルについて説明する。本発明の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、C=C−CO−O−骨格を有しており、炭素数1以上のアルキル基を有し、活性水素もしくは塩基性基を含有しなければ特に限定は無く、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の鎖状脂肪族アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル等の分岐状脂肪族アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の環状脂肪族アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の芳香族基が置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル等のフルオロ基が置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル等の脂環式エポキシ基が置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシリルエーテル基が置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル基が置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;
2−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル等の環化重合性モノマー類
等が挙げられる。
原料の入手しやすさ、取り扱いやすさ、後述する分散媒との親和性の観点から(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルである。
本発明の分散剤は、さらに上記の他のモノマー成分を共重合してもよい。その他のモノマーは、例えばスチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、又は3−メチルオキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;等が挙げられる。
本発明の分散剤は、導電材、着色剤、セルロース繊維等様々な被分散物を分散できる。また、本発明の分散剤は、分散媒の種類に応じて以下の活性水素基含有モノマー単位を有すると分散安定性がより向上する。例えば、水を分散媒とする場合、(メタ)アクリル酸単位を含有することが好ましい。また、NMP(N−メチルピロリドン)を分散媒とする場合、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー単位を含有することが好ましい。
本発明の分散剤の製造方法は、特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法、沈殿重合などのいずれの方法を用いてもよく、本発明においては溶液重合または沈殿重合法が好ましい。重合反応系としては、イオン重合、フリーラジカル重合、リビングラジカル重合などの付加重合を用いることができ、本発明においてはフリーラジカル重合またはリビングラジカル重合が好ましい。また、ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤などから選ばれた化合物またはそれらの混合物が使用でき、必要に応じて連鎖移動剤等の分子量調整剤を使用しても良い。
本発明の分散剤は、(メタ)アクリロニトリルに由来する単位を40〜99質量%含有し、さらに50〜99質量%含有することが好ましく、特に75〜99質量%含有することが好ましい。(メタ)アクリロニトリルに由来する単位を上記範囲で含有することで被分散物への吸着性、分散媒への親和性をコントロールすることができ、被分散物を分散媒中に安定に存在させることができる。
また、本発明の分散剤の分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5000以上、50000以下の範囲であり、さらに6000以上40000以下の範囲が好ましく、特に7000以上30000以下の範囲が好ましい。分散剤の分子量が5000未満、または50000を超えると被分散物への吸着性、分散媒への親和性が低下し、分散体の安定性が低下する傾向がある。
本発明の分散剤は、共重合体そのままでも分散性、流動性、保存安定性に優れるところ、前記アクリロニトリルに由来する単位が、環状構造を有するとこれらの特性がより向上する。共重合体をアルカリで処理するとアクリロニトリルに由来する単位が水素化ナフチリジン環等の環状構造へ変化する。本明細書では、前記環状構造の存在により分散性がより向上する。なお、アルカリ処理は、共重合体の合成後、分散剤として使用する直前までに任意のタイミングで行えばよい。
また、共重合体は、(メタ)アクリル酸単位を有する場合、アルカリ処理によりアクリロニトリルに由来する単位とともに環状構造としてグルタルイミド環を形成するため、水素化ナフチリジン環等の環構造と、グルタルイミド環が併存する。(メタ)アクリル酸単位は、共重合体の全モノマー単位中、1〜25質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。また、アクリロニトリルに由来する単位は、共重合体の全モノマー単位中、40〜99質量%が好ましく、75〜99質量%がより好ましい。
<被分散物>
本発明の分散剤は、分散媒中に被分散物と共存して分散体として使用できる。被分散物としては、有機顔料などの着色剤、導電材料としての無機顔料、絶縁材料としての無機顔料、セルロース繊維などの高分子などが挙げられる。また、分散体は、分散媒を含有することが好ましい。
本発明における有機顔料としてはインキ等に使用される種々の顔料が挙げられる。このような顔料としては溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等があり、更に具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示すと、ピグメントブラック7、ピグメントブルー6,15,15:1,15:3,15:4,15:6,60、ピグメントグリーン7,36、ピグメントレッド9,48,49,52,53,57,97,122,144,146,149,166,168,177,178,179,185,206,207,209,220,221,238,242,254,255、ピグメントバイオレット19,23,29,30,37,40,50、ピグメントイエロー12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,94,95,109,110,117,120,125,128,137,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185、ピグメントオレンジ13,36,37,38,43,51,55,59,61,64,71,74等が挙げられる。但し、例示には限定されない。
本発明において導電材は、例えば金、銀、銅、銀メッキ銅粉、銀−銅複合粉、銀−銅合金、アモルファス銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、モルブテン、白金等の金属粉、これらの金属で被覆した無機物粉体、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム等の金属酸化物の粉末、これらの金属酸化物で被覆した無機物粉末、およびカーボンブラック、グラファイト等を用いることができる。カーボンブラックについては中性、酸性、塩基性等のあらゆるカーボンブラックを使用することができる。これらの導電材は、1種または2種以上組み合わせて用いても良い。これらの導電材の中でも、カーボンブラックが好ましい。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、市販のアセチレンブラック、ファーネスブラック、中空カーボンブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラックなど各種のものを用いることができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、黒鉛化処理されたカーボンブラック、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなども使用できる。
本発明において絶縁材は、例えば二酸化チタン、酸化鉄、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、
シリカなどの金属酸化物、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウ
ム、クレー、タルク、黄鉛、などが挙げられる。
本発明における分散剤の吸着性能の観点から、被分散物は、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーを含むカーボンブラックであることが好ましい。
また、本発明の分散剤は、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維、アクリル繊維、セルロース繊維、フェノール樹脂繊維等の有機繊維、スチール繊維、銅繊維、アルミナ繊維、亜鉛繊維等の金属繊維;ガラス繊維、ロックウール、セラミック繊維、生分解性繊維、生体溶解性繊維、ワラストナイト繊維等の無機繊維;炭素繊維;等の繊維状化合物にも使用することが出来、特にセルロース繊維に対し、好適に使用することが出来る。
本発明の分散体は、無機塩基、無機金属塩、または有機塩基を含有できる。これにより被分散物の経時分散安定性がより向上する。無機塩基および無機金属塩としては、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を有する化合物であることが好ましく、詳しくは、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属の、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩、バナジウム酸塩、モリブデン酸塩、ニオブ酸塩、ならびにホウ酸塩等が挙げられる。また、これらの中でも容易にカチオンを供給できる面でアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物、水酸化物、炭酸塩が好ましい。アルカリ金属の水酸化物は、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属の水酸化物は、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩は、例えば、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属の炭酸塩は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが挙げられる。これらの中でも水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウムがより好ましい。なお、本発明の無機塩基および無機金属塩が有する金属は、遷移金属であってもよい。
有機塩基としては、炭素数1〜40の1級、2級、3級アルキルアミンが挙げられる。
炭素数1〜40の1級アルキルアミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、オクチルアミン、2ーエチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、3−エトキシプロピルアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン等が挙げられる。
炭素数1〜40の2級アルキルアミンとしては、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジステアリルアミン、2−メチルアミノエタノール等が挙げられる。
炭素数1〜40の3級アルキルアミンとしては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等が挙げられる。
この内、炭素数1〜30の1級、2級または3級アルキルアミンが好ましく、炭素数1〜20の1級、2級または3級アルキルアミンがさらに好ましい。
有機塩基としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール等の塩基性窒素原子を含有する化合物類を用いても良い。
無機塩基および無機金属塩、有機塩基の配合量は、分散剤100質量部に対して、1〜50質量部がより好ましい。適量配合すると分散性がより向上する。
<分散媒>
分散媒は、特に限定されない。分散媒は、水、水溶性溶剤、非水溶性溶剤が挙げられる。水溶性溶媒は、例えば、;エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系分散媒;が挙げられる。非水溶性溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系分散媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系分散媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系分散媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系分散媒を包含する窒素原子含有分散媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系分散媒を包含する硫黄原子含有分散媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル系分散媒などが挙げられる。
<分散方法>
本発明の分散剤は、被分散物を、分散剤、バインダー樹脂などの被分散物担体及び/または分散媒中に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段用いて微細に分散して製造することができる。このとき、2種以上の被分散物等を同時に被分散物担体及び/または分散媒中に分散しても良いし、別々に分散したものを混合しても良い。
<バインダー樹脂>
本発明の分散剤を用いて分散体を作成する際、更に、バインダー樹脂を含有していても良い。使用するバインダー樹脂としては、用途によって異なるが、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体または共重合体;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂;カルボキシメチルセルロースのようなセルロース樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムのようなゴム類;ポリアニリン、ポリアセチレンのような導電性樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性体や混合物、および共重合体でも良い。
本発明の分散体は、分散剤、および被分散物を含むことが好ましい。前記被分散物は、例えば、既に説明した導電材、着色剤、セルロース繊維等が挙げられる。
本明細書では、まず、分散剤の用途とし導電用途を説明する。
導電用途は、例えば、蓄電デバイス、帯電防止材、電子部品、透明電極(ITO膜)代替、電磁波シールド等が挙げられる。
蓄電デバイスは、例えば、リチウムイオン二次電池用電極、電気二重層キャパシタ用電極、リチウムイオンキャパシタ用電極等が挙げられる。この場合、導電材は炭素材料が好ましい。
帯電防止材は、プラスチックやゴム製品のICトレーや電子部品材料の成形体が挙げられる。
<活物質>
本発明の分散体を二次電池の電極の合材層に用いる場合は、さらに、正極活物質または負極活物質を含有させることができる。
<正極活物質>
使用する正極活物質は、電池用活物質として機能するものであれば、特に限定はされない。例えば、リチウムイオン二次電池に使用する場合には、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。
具体的には、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1−yCoyO2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1−yO2)、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixNiyCozMn1−y−zO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2−yNiyO4)等のリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物粉末(例えばLixFePO4、LixFe1−yMnyPO4、LixCoPO4など)、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、バナジウム酸化物(例えばV2O5、V6O13)、酸化チタン等の遷移金属酸化物粉末、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、TiS2、およびFeS等の遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。ただし、x、y、zは数であり、0<x<1、0<y<1、0<z<1、0<y+z<1である。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーを使用することもできる。これら正極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
<負極活物質>
使用する負極活物質としては特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属Li、またはその合金、スズ合金、シリコン合金負極、LiXTiO2、LiXFe2O3、LiXFe3O4、LiXWO2等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が用いられる。ただし、xは数であり、0<x<1である。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することもできる。
本発明の電極は、電極層、および樹脂組成物から形成されてなる合材層を備えることが好ましい。
電極層は、各種二次電池に適用する素材を選択すればよい。例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、およびステンレス等の金属、ならびにその合金が挙げられる。電極層の形状は、例えば、平板の箔、メッシュ状等が挙げられる。電極層の表面は、粗面化や穴あき加工がされていてもよい。
電極層の厚みは、通常1〜500μm程度である。
合材層は、電極層上にスラリー状の樹脂組成物を塗工、乾燥して形成することが好ましい。また、塗工後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行うことができる。
塗工方法は、例えば、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、静電塗装法等が挙げられる。乾燥方法は、例えば、熱風乾燥、赤外線ヒーター等が挙げられる。
合材層の厚みは、通常、1〜300μm程度である。
本発明の分散体は、導電材以外の被分散物が、着色剤、およびセルロース繊維からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
被分散物が着色剤である場合、例えば、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。この場合、分散体の用途は、例えば、オフセットインキ、グラビアインキ、カラーフィルター用レジストインキ、インキジェットインキ、塗料、成形用樹脂組成物等が挙げられる。
また、被分散物がセルロース繊維(例えば、セルロースナノファイバーを含む)である場合、その用途は、例えば、セルロース繊維の持つ、高耐熱性、低線膨張率、高弾性率、高強度、高透明性を活かした用途、例えば、接着剤、各種塗料、包装材料、ガスバリア材、電子部材、成形体、構造体等が挙げられる。
以下、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、「質量%」は「%」と記載する。表中の配合量は、質量%である。
本発明の分散剤、バインダー樹脂の分子量、本発明の分散剤を用いた分散体の各種物性評価は以下の通りである。
(重量平均分子量(Mw)の測定方法)
重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。
装置は、HLC−8320GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを3本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー社製「TSK−GELSUPERAW−4000」、「AW−3000」、及び「AW−2500」を用い、オーブン温度40℃、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mMLiBrのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を用い、流速0.6ml/minで測定した。サンプルは上記溶離液からなる溶剤に1wt%の濃度で調製し、20マイクロリットル注入した。分子量はポリスチレン換算値である。
(分散体の粘度測定方法)
粘度の測定は、B型粘度計(東機産業社製「BL」)を用いて、分散体温度25℃にて、分散体をヘラで充分に撹拌した後、B型粘度計ローター回転速度60rpmにて直ちに行った。測定に使用したローターは、粘度が100mPa・s未満の場合はNo.1を、100以上500mPa・s未満の場合はNo.2を、500以上2000mPa・s未満の場合はNo.3を、2000以上10000mPa・s未満の場合はNo.4のものをそれぞれ用いた。低粘度であるほど分散性が良好であり、高粘度であるほど分散性が不良である。得られた分散体が明らかに分離や沈降しているものは分散性不良とした。
セルロース繊維以外の判定基準は以下の通りである。
◎+:30mPa・s未満(良好)
◎:50mPa・s未満(良好)
○:50以上1000mPa・s未満(使用可)
△:1000以上10000mPa・s未満(使用不可)
×:10000mPa・s以上、沈降または分離(不良)
セルロース繊維の判定基準は以下の通りである。
◎:500mPa・s未満(良好)
○:500以上10000mPa・s未満(使用可)
×:10000mPa・s以上、沈降または分離(不良)
(分散体の安定性評価方法)
貯蔵安定性の評価は、分散体を50℃にて7日間静置して保存した後の粘度を測定した。測定方法は初期粘度と同様の方法で測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:粘度変化なし(変化率3%未満)(良好)
〇:粘度がやや変化した(変化率3%以上10%未満)(使用可)
△:粘度が変化した(変化率10%以上)(使用不可)
×:溶液がゲル化または沈降、分離した(不良)
(製造例1)
(分散剤(A−1)の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、アセトニトリル100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、アクリロニトリル50.0部、アクリル酸25.0部、スチレン25.0部および及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を(日油社製;V−65)5.0部の混合物を3時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに70℃で1時間反応させた後、パーブチルOを0.5部添加し、さらに70℃で1時間反応を続けた。その後、不揮発分測定にて転化率が98%超えたことを確認し、減圧濃縮して分散媒を完全に除去し、分散剤(A−1)を得た。分散剤(A−1)の重量平均分子量(Mw)は15,000であった。
(製造例2〜13)
(分散剤(A−2)〜(A−13)の製造)
使用するモノマーを表1に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ分散剤(A−2)〜(A−13)の製造を作製した。各分散剤の重量平均分子量(Mw)は表1に示す通りであった。なお、分散剤の合成は、連鎖移動剤の添加、重合開始剤量の調整、および反応条件等を適宜変更してMwを調製した。
Figure 0006638846
AA:アクリル酸
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
DMAEA:ジメチルアミノエチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
2EHMA:2−エチルヘキシルアクリレート
AOMA:2−[(アリルオキシ)メチル]アクリル酸メチル
(分散剤(A−14)の製造)
製造例3で得られた分散剤(A−3)50部を、198部の精製水中に添加しディスパーで撹拌してスラリー状にした。次いで2.0部の1N水酸化ナトリウム水溶液を25℃で滴下し、ディスパーにて2時間攪拌した。IR測定(装置:FT/IR−410、日本分光社製)にてシアノ基由来のピーク強度が80%以下に減少したことを確認し、環状構造の形成を確認した。次いで、精製水で水洗、ろ過乾燥し、水素化ナフチリジン環、およびグルタルイミド環を有する分散剤(A−14)を得た。なお、重量平均分子量(Mw)は14,000であった。
(分散剤(A−15)の製造)
用いる分散剤を(A−3)から(A−6)に変更した以外は製造例13と同様に行い水素化ナフチリジン環を有する分散剤(A−15)を得た。なお、重量平均分子量(Mw)は14,000であった。
<カーボンブラック分散体の作成>
[実施例1〜35、比較例1〜7]
表2に示す組成に従い、ガラス瓶に導電材としてカーボンブラック、分散剤、添加剤、分散媒とを仕込み、充分に混合溶解、または混合した後、1.25mmφジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーで2時間分散し、各カーボンブラック分散体を得た。表2に示す通り、本発明の分散剤を使用した分散体1〜分散体35はいずれも低粘度かつ貯蔵安定性も良好であった。なお、本明細書において実施例1は、参考例である。
Figure 0006638846
Figure 0006638846
・HS−100:デンカブラックHS−100(デンカ社製、アセチレンブラック、平均一次粒子径48nm、比表面積39m2/g)
・#30:三菱化学社製、ファーネスブラック、平均一次粒子径30nm、比表面積74m2/g
・EC−300J:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、ケッチェンブラック、平均一次粒子径40nm、比表面積800m2/g
・8A:JENOTUBE8A JEIO社製、多層CNT、外径6〜9nm
・100T:K−Nanos100T(Kumho Petrochemical社製、多層CNT、外径10〜15nm)
・PVP:日本触媒製、ポリビニルピロリドンK−30、不揮発分100%
・PVA:クラレ社製、KurarayPOVAL PVA403、不揮発分100%
・NMP:N−メチルピロリドン
・MEK:メチルエチルケトン
・PGMAc:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<着色剤、セルロース繊維、無機酸化物分散体の作成>
[実施例36〜42、比較例8〜10]
表3に示す組成に従い、ガラス瓶に被分散物、分散剤、添加剤、分散媒とを仕込み、充分に混合溶解、または混合した後、各種被分散物を加え、0.5mmφジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーで2時間分散し、各分散体を得た。表3に示す通り、本発明の分散剤を使用した分散体26〜分散体32はいずれも低粘度かつ貯蔵安定性も良好であった。
Figure 0006638846
P−1:フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製「FASTOGENGREEN A110」)
P−2:銅フタロシアニン系青色顔料PB15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)
P−3:キノフタロン系黄色顔料PY138(BASF社製「パリオトールイエローK0961HD」)
P−4:アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメントレッド177(BASF社製「クロモフタルレッドA2B」
P−5:セルロース繊維(ダイセル社製「セリッシュKY100G」
P−6:酸化チタン(石原産業社製「CR−95」)
P−7:酸化ジルコニウム粉末(新日本電工社製「PCS」)
[実施例43〜77、比較例11〜17]
(カーボンブラック分散体を用いて形成した導電性塗膜)
実施例1〜35で作成した分散体1〜35と、バインダー樹脂を、不揮発分および不揮発分中のカーボン濃度が表4に示すようになるように各分散体に配合してカーボン分散体を調製した。バーコーターを使用して厚さ100μmのPETフィルムの表面に、バーコーターを用いて調製した分散体を塗工した後、130℃で30分間乾燥させて、厚さ5μmの塗膜を形成した。塗膜の表面抵抗値を抵抗率計(商品名「ハイレスタ」、三菱ケミカルアナリテック社製)を使用して測定した。結果を表4に示す。
◎:1.0×104Ω/cm2未満(良好)
○:1.0×104以上1.0×107Ω/cm2未満(使用可)
△:1.0×107以上1.0×1010Ω/cm2未満(使用可)
×:1.0×1010Ω/cm2以上、沈降または分離(不良)
耐水性:実施例43〜77、あるいは比較例で得た塗板を25℃温水に2時間浸漬した後引き上げ、表面の水滴をふき取った後塗膜の状態を目視評価した。結果を表4に示す。
判定基準
◎:塗膜に変化がない。
〇:塗面に白化が見られるが24時間放置すると元の状態に戻った。
×:塗膜が著しく白化しており、軽くこすっただけで簡単に剥がれた。
Figure 0006638846
・CMC:ダイセルファインケム社製、カルボキシメチルセルロース#1120、不揮発分100%
・PVDF:クレハ社製、ポリフッ化ビニリデン、KFポリマーW1100不揮発分100%
以上の結果より、本発明の分散剤を用いると分散効率に優れ、分散性、流動性、保存安定性に優れた分散体を製造できた。特に分散媒が水、NMP等の親水性溶媒系には活性水素基含有モノマーや塩基性モノマーを含有する分散剤が好ましく、酢酸ブチル、MEK、PGMAc等の溶媒には(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する分散剤が優れていた。
また、表2の比較例7から従来の分散剤は使用量を増やした場合、ある程度の分散性を有するものの、使用量を減らすと分散性が低下した。一方、本発明の分散剤は使用量を減らしても良好な分散性を有していた。
また、本発明の分散剤は、導電材のみならず、導電材以外の被分散物に対しても良好な分散性、流動性、保存安定性に優れた分散体を製造できた。
本発明の分散剤を蓄電デバイス用途に使用すると導電性に優れ、耐水性の良好な電極が得られる。

Claims (10)

  1. (メタ)アクリロニトリルに由来する単位、ならびに活性水素基含有モノマー、塩基性モノマー、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選択される1種以上のモノマーに由来する単位を含む共重合体であり、
    前記共重合体は、前記(メタ)アクリロニトリルに由来する単位を75〜99質量%含み、重量平均分子量が5000〜50000である、分散剤。
  2. (メタ)アクリロニトリルに由来する単位、ならびに活性水素基含有モノマー、塩基性モノマー、および(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選択される1種以上のモノマーに由来する単位を含む共重合体であり、
    前記共重合体は、アクリロニトリルに由来する単位を75〜99質量%含み、重量平均分子量は、5000〜50000であり、
    前記アクリロニトリルに由来する単位が、環状構造を有する、分散剤。
  3. アクリロニトリルに由来する単位、および(メタ)アクリル酸に由来する単位を含む共重合体であり、
    前記共重合体は、前記アクリロニトリルに由来する単位を75〜99質量%、および(メタ)アクリル酸に由来する単位を1〜25質量%含み
    重量平均分子量は、5000〜50000であり、
    前記アクリロニトリルに由来する単位および前記(メタ)アクリル酸単位が、環状構造を形成する、分散剤。
  4. 分散媒、請求項1〜3いずれか1項に記載の分散剤、および被分散物を含む、分散体。
  5. 被分散物が導電材である請求項4に記載の分散体。
  6. 無機金属塩、無機塩基および有機塩基からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項4または5に記載の分散体。
  7. 請求項4〜6いずれか1項に記載の分散体、およびバインダー樹脂を含む、樹脂組成物。
  8. さらに、活物質を含む、請求項7記載の樹脂組成物。
  9. 電極層、および請求項8に記載の樹脂組成物から形成されてなる合材層を備える電極。
  10. 前記被分散物が、着色剤、およびセルロース繊維からなる群より選択される1種以上である、請求項4記載の分散体。
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