JP2023005014A - 複合粒子の製造方法および複合粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】取り扱い性に優れ、汎用性も高いセルロース繊維の複合粒子およびその製造方法を提供する。【解決手段】複合粒子の製造方法は、セルロース原料を分散溶媒4中で解繊して、微細化セルロースが分散された微細化セルロース1の分散液を得る第一工程と、微細化セルロース分散液に、有機オニウム化合物またはアミンを添加して、有機オニウムイオンまたはアンモニウムイオンが結合したイオン結合微細化セルロースを含む微細化セルロース分散液を得る第二工程と、イオン結合微細化セルロース分散液中においてコア粒子前駆体2を含む液滴6をエマルションとして安定化させる第三工程と、コア粒子前駆体を固体化させてコア粒子3とし、コア粒子と不可分に結合した微細化セルロースがコア粒子を被覆した複合粒子5を得る第四工程とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、微細化セルロースとコア粒子から成る複合粒子の製造方法および複合粒子に関する。
近年、木材中のセルロース繊維を、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化し、新規な機能性材料として利用しようとする試みが活発に行われている。
例えば、特許文献1には、木材セルロースに対しブレンダーやグラインダーによる機械処理を繰り返すことで、微細化セルロース繊維、すなわちセルロースナノファイバー(以下、「CNF」とも称する。)が得られることが開示されている。この方法で得られるCNFは、短軸径が10~50nm、長軸径が1μm~10mmであると記載されている。このCNFは、鋼鉄の1/5の軽さで5倍以上の強さを誇り、250m/g以上の膨大な比表面積を有することから、樹脂強化用フィラーや吸着剤としての利用が期待されている。
CNFの製造において、木材中のセルロース繊維を微細化しやすいように予め化学処理したのち、家庭用ミキサー程度の低エネルギー機械処理により微細化する試みが活発に行われている。上記化学処理の方法は特に限定されないが、セルロース繊維にイオン性官能基を導入して微細化しやすくする方法が好ましい。セルロース繊維にイオン性官能基が導入されることによってセルロースミクロフィブリル構造間に浸透圧効果で溶媒が浸入しやすくなり、セルロース原料の微細化に要するエネルギーを大幅に減少することができる。
上記イオン性官能基の導入方法は特に限定されないが、例えば非特許文献1には、リン酸エステル化処理を用いて、セルロースの微細繊維表面を選択的にリン酸エステル化処理する方法が開示されている。特許文献2には、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化することが開示されている。オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースとを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。
また、比較的安定なN-オキシル化合物である2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシラジカル(TEMPO)を触媒として用い、セルロースの微細繊維表面を選択的に酸化する方法も報告されている(例えば、特許文献3参照。)。TEMPOを触媒として用いる酸化反応(TEMPO酸化反応)は、水系、常温、常圧で進行する環境調和型の化学改質が可能であり、木材中のセルロースに適用した場合、結晶内部には反応が進行せず、結晶表面のセルロース分子鎖が持つアルコール性1級炭素のみを選択的にカルボキシ基へと変換することができる。
TEMPO酸化によって選択的に結晶表面に導入されたカルボキシ基同士の電離に伴う浸透圧効果により、溶媒中で一本一本のセルロースミクロフィブリル単位に分散させた、セルロースシングルナノファイバー(以下CSNFとも称する)が得られる。CSNFは表面のカルボキシ基に由来した高い分散安定性を示す。木材からTEMPO酸化反応によって得られる木材由来のCSNFは、短軸径が3nm前後、長軸径が数十nm~数μmに及ぶ高アスペクト比を有する構造体であり、その水分散液および成形体は高い透明性を有することが報告されている。
特許文献4には、CSNF分散液を塗布乾燥して得られる積層膜がガスバリア性を有することが記載されている。
特許文献5には、カチオン性を有する微細化セルロースの対イオンとして有機オニウムカチオンを配する表面改質により、有機溶媒中で高度に微細化セルロースが分散した分散液が得られることが記載されている。
微細化セルロースを用いた塗工用組成物の例として、例えば特許文献6には、TEMPO酸化CNFを含む水性塗液が記載されている。この水性塗液は良好な塗工性を有し、アンカー層上にコーティングすることによりバリア性を有する積層体を得られることが記載されている。
特許文献7には、セルロースナノファイバーのアスペクト比の高い繊維同士の絡み合いや増粘特性、カルボキシ基に由来する電荷の影響によりカーボン微粒子を分散安定化させたTEMPO酸化CNFを含む塗液が開示されている。
一方、CNFの実用化に向けては、得られるCNF分散液の固形分濃度が0.1~5%程度と低くなってしまうことが課題である。例えば、微細化セルロース分散液を輸送しようとした場合、大量の溶媒とともに輸送するため輸送費がかさみ、事業性に大きく影響する。また、樹脂強化用の添加剤として用いる際にも、固形分濃度が低いことによる添加効率の悪さや、溶媒である水が樹脂と馴染まない場合には複合化が困難となるといった点が問題である。さらに、含水状態で流通させる場合、腐敗の恐れもあるため、冷蔵保管や防腐処理などの対策が必要となり、コスト増加の原因となる。
しかしながら、単純に熱乾燥などで微細化セルロース分散液の溶媒を除去してしまうと、微細化セルロース同士が凝集・角質化し、あるいは膜化してしまい、添加剤として使用した際に期待する機能が安定して発現しない場合がある。さらにCNFの固形分濃度が低いため、乾燥による溶媒除去工程自体に多大なエネルギーがかかってしまうことも事業性へのハードルとなる。
このように、CNFを分散液の状態で取り扱うこと自体が事業性への課題となっており、CNFを容易に取り扱うことができる新たな態様を提供することが強く望まれている。
CNFを容易に取り扱うことができる新たな態様として、特許文献8には、セルロース繊維により構成される被覆層と、被覆層に覆われたポリマーとを含む複合粒子が記載されている。この複合粒子において、セルロース繊維とポリマーとは一体化しているため、ろ過により簡単に分離でき、粉体として流通できる。粉体の再分散性も良好である。
特開2010-216021号公報 国際公開第2014/088072号 特開2008-001728号公報 国際公開第2013/042654号 特開2015-101694号公報 特許第5928339号公報 特許第6020454号公報 特開2019-38949号公報
Noguchi Y, Homma I, Matsubara Y. Complete nanofibrillation of cellulose prepared by phosphorylation. Cellulose. 2017;24:1295.10.1007/s10570-017-1191-3
特許文献8に記載の複合粒子は、上述したようにCNFの特性を発揮する材料として優れているものの、適用できるポリマーの種類に限りがある点で改善の余地がある。
適用が難しい樹脂材料で複合粒子を形成する場合、収率が著しく低下する、得られる粒子の粒径分布のばらつきが大きくなる、粒子の表面に存在するCNFの量が少ないために材料としてCNF特性を十分発揮しない等の様々な問題が生じる。
上記事情を踏まえ、本発明は、取り扱い性に優れ、汎用性も高いセルロース繊維の複合粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、複合粒子の製造方法である。
この製造方法は、セルロース原料を分散溶媒中で解繊して、微細化セルロースが分散された微細化セルロース分散液を得る第一工程と、微細化セルロース分散液に、有機オニウム化合物またはアミンを添加して、有機オニウムイオンまたはアンモニウムイオンが結合した微細化セルロースを含むイオン結合微細化セルロース分散液を得る第二工程と、イオン結合微細化セルロース分散液中においてコア粒子前駆体を含む液滴をエマルションとして安定化させる第三工程と、コア粒子前駆体を固体化させてコア粒子とし、コア粒子と不可分に結合した微細化セルロースがコア粒子を被覆した複合粒子を得る第四工程とを備える。
本発明の第二の態様は、少なくとも1種類のポリマーを含むコア粒子と、コア粒子と不可分に結合してコア粒子の表面上に配置された、アニオン性官能基を有する微細化セルロースとを備える複合粒子である。
この複合粒子においては、微細化セルロースの少なくとも一部に有機オニウムイオンまたはアンモニウムイオンが結合している。
本発明によれば、取り扱い性に優れ、汎用性も高いセルロース繊維の複合粒子を提供できる。
本発明の一実施形態に係る複合粒子の模式図である。 同複合粒子の製造方法の一例を示す図である。 実施例に係るセルロースナノファイバーの水分散液について分光透過スペクトルを測定した結果を示すグラフである。 同水分散液に対し、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行った結果を示すグラフである。 実施例に係る複合粒子の走査電子顕微鏡像である。 実施例に係る複合粒子の走査電子顕微鏡像である。 比較例に係る複合粒子の走査電子顕微鏡像である。 実施例および比較例に係る複合粒子の粒度分布を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、本実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<複合粒子>
まず、本発明の第一実施形態に係る微細化セルロース/コア粒子の複合粒子について説明する。尚、コア粒子3の一態様は樹脂であり、ポリマーとも称する。
図1に、本実施形態に係る複合粒子5の模式図を示す。複合粒子5は、コア粒子3と、コア粒子3の表面上に位置する微細化セルロース1とを備える。複合粒子5において、微細化セルロース1はコア粒子3と結合して不可分の状態にある。微細化セルロース1とコア粒子3との結合態様は特に限定されないが、多数の微細化セルロース1がコア粒子3と結合することにより、図1に示すように、コア粒子3の表面に微細化セルロース層からなる被覆層10を形成していることが好ましい。
微細化セルロース1の少なくとも一部には、有機オニウムカチオンまたはアミン7aがカウンターカチオンとして結合している。
以降の説明において、有機オニウム化合物がイオン化した状態を、「有機オニウムイオン」または「有機オニウムカチオン」と称することがある。また、本明細書において、「アミン」とは、一部またはすべてがイオン化したアンモニウムイオンを含む。
さらに、以降の説明において、有機オニウム化合物またはアミン、または有機オニウムカチオンまたはアンモニウムイオンのいずれかを、それぞれ「有機オニウム化合物/アミン」、「有機オニウムカチオン(または、有機オニウムイオン)/アンモニウムイオン」と称することがある。
複合粒子5の製造方法について説明する。
本発明の複合粒子5は、アニオン性官能基のカウンターカチオン(対イオン)として有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合している微細化セルロース1を用いたO/W型ピッカリングエマルションにおいて油滴(油相、油粒子、分散相)として存在するコア粒子前駆体(以下、単に「液滴」とも称する。)を固体化することで得られる。
コア粒子前駆体は、固体化してコア粒子を形成するものであればよく、例えば、重合性を有する化合物、溶融ポリマー、溶解ポリマーである。コア粒子前駆体の固体化は、様々な方法で行える。例えば、コア粒子前駆体2として重合性官能基を有するモノマー(以下、「重合性モノマー」とも称する。)を用いて、重合過程で粒子形成を行う重合造粒法(乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法、放射線重合法等)、微小液滴化したポリマー溶液から粒子形成を行う分散造粒法(スプレードライ法、液中硬化法、溶媒蒸発法、相分離法、溶媒分散冷却法等)が挙げられる。
本実施形態において、「コア粒子前駆体の固体化」とは、(1)重合性モノマー液滴を重合すること、(2)溶融ポリマー液滴を冷却して固体化すること、(3)溶解ポリマー液滴から溶媒を除去して固体化することのすべてを含む概念である。
連続相(水相)の分散溶媒に分散したコア粒子前駆体を含む液滴の界面に微細化セルロース1が吸着することによって、O/W型ピッカリングエマルションが安定化する。安定化状態を維持したままエマルション内部のコア粒子前駆体を固体化することによって、エマルションを鋳型とした複合粒子5を作製できる。ここで、「エマルションの安定化状態」とは、長時間(例えば12時間)静置してもエマルションの液滴サイズが変化しない状態を意味する。エマルションが不安定であると、一部の液滴同士が時間経過とともに合一することで、液滴の粒度分布が初期に比べて大きい方へ推移したり、粒度分布にばらつきが生じたり、場合によっては油相と水相の分離が生じる。その結果、得られる複合粒子の収率が減少することや、複合粒子の粒子径が不均一となることがある。
特に、アニオン性官能基の対イオンとして有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合している微細化セルロース1を用いることで、多くのコア粒子前駆体にて安定したO/W型ピッカリングエマルションを形成できるため、粒径が小さく均一な複合粒子5を高収率で得ることができる。
コア粒子前駆体を含む液滴の界面に微細化セルロース1が吸着してO/W型ピッカリングエマルションが安定化するメカニズムについては、吸着による界面エネルギーの低下による作用が関係していると考えられている。微細化されサブミクロンオーダーとなった固体粒子である微細化セルロース1は、物理的な力により液滴の界面に吸着され、水相に対してセルロースの障壁を形成する。一度吸着し界面を形成すると、脱着にはより大きなエネルギーが必要になるため、エマルション構造は安定化する。
微細化セルロース1は両親媒性があり、疎水性を有する液滴に対して微細化セルロース1の疎水性側が吸着し、親水性である微細化セルロース1の分散溶媒側に親水性を向けることにより、液滴界面の安定化が向上するといった作用も推察されている。この界面における吸着力は、固体粒子の油相と水相への親和性の高さ、つまり微細化セルロース1のコア粒子前駆体に対する親和性と微細化セルロース1の分散溶媒に対する親和性との両方に依存する。
本実施形態では、微細化セルロース1の少なくとも一部に疎水性を付与することにより、コア前駆体を含む液滴に対する微細化セルロース1の親和性を高め、吸着力を向上させている。これにより多くのコア前駆体を用いて安定したO/W型ピッカリングエマルションを形成でき、高収率で粒径が小さく、粒径が均一な複合粒子5を得ることができる。
疎水性を付与する方法としては、疎水性付与の効果が高くプロセスコストにおいて有利である点から、有機オニウム化合物/アミンを用い、微細化セルロース1のアニオン性官能基の対イオンを有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aとする方法が好ましい。アニオン性官能基を有する微細化セルロース1のアニオン性官能基の対イオンを有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aとする方法としては、アニオン性官能基を有する微細化セルロース1の分散液に有機オニウム化合物/アミンを添加し、しばらく攪拌する方法が挙げられる。この方法を用いることで、従来の方法より短時間で効率よくアニオン性官能基の対イオンを有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aとすることが可能である。
少なくとも一部が疎水化された微細化セルロース1を使用して複合粒子5を作製することにより、エマルションの安定性が向上する。その結果、適用できるコア粒子前駆体2の材料の種類が大幅に増え、用途に応じた要求仕様に対応可能な多様な複合粒子5を高収率に、生産性良く作製できる。
本実施形態において、コア粒子3と微細化セルロース1との結合状態を示す「不可分」とは、複合粒子5を含む分散液を遠心分離処理して上澄みを除去し、さらに溶媒を加えて再分散することで複合粒子5を精製・洗浄する操作、あるいはメンブレンフィルターを用いたろ過洗浄によって繰り返し溶媒による洗浄する操作を繰り返した後であっても、微細化セルロース1とコア粒子3とが分離せず、微細化セルロース1によるコア粒子3の被覆状態が保たれることを意味する。
微細化セルロース1によるコア粒子3の被覆状態は、走査型電子顕微鏡(SEM)による複合粒子5の表面観察により確認することができる。微細化セルロース1とコア粒子3とが不可分に結合する詳細なメカニズムについては明らかになっていないが、複合粒子5は、微細化セルロース1によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として作製されるため、エマルション内部の液滴に微細化セルロース1が接触した状態で液滴6の固体化が進むと、微細化セルロース1の一部が液滴に位置したまま固定化されて、最終的にコア粒子3と微細化セルロース1とが不可分に結合すると考えられる。
O/W型エマルションは、水中油滴型(Oil-in-Water)とも言われ、水を連続相とし、その中に油が油滴(油粒子)として分散しているものである。
複合粒子5は、微細化セルロース1によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として作製されるため、O/W型エマルションに由来した真球に近い形状となることが一つの特徴である。また、安定したO/W型エマルションにより、粒径が均一な複合粒子5を得ることができる。典型的な複合粒子5においては、真球状のコア粒子3の表面に微細化セルロース1からなる被覆層10が比較的均一な厚みで形成されることが好ましい。
本実施形態の複合粒子5は、球状であり、特に真球状であることが好ましい。微細化セルロース1により安定したO/W型ピッカリングエマルションが形成し、これにより真球状の複合粒子5を得ることができる。真球度の指標は、円形度から評価することができる。円形度が0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、更に好ましくは0.9以上である。円形度は、画像分析型粒度分布計にて測定した1000個以上の粒子の円形度の平均値として算出することができる。その平均円形度を上記真球度の指標とするとよい。なお、画像上における複合粒子5の面積をS、周囲長をLとしたとき、円形度は、「円形度=4πS/L」の式で算出でき、円形度が1に近いほど真球度が高くなる。
複合粒子5の粒径は、光学顕微鏡観察により確認できる。100箇所ランダムに測定し、複合粒子5の直径の平均値を取ることで平均粒径を算出できる。その平均粒径を複合粒子5の粒径とすればよい。
平均粒径は、特に限定されないが、0.01μm以上1000μm以下であることが好ましい。平均粒径は、より好ましくは0.05μm以上100μm以下、更に好ましくは0.10μm以上50μm以下である。微細化セルロース1が液-液界面に吸着して安定したピッカリングエマルションを形成することにより、平均粒径が小さな複合粒子5を得ることができる。
光学顕微鏡により複合粒子5を100箇所ランダムに測定し、直径の最大値を取ることで複合粒子5の最大粒径を得られる。特に限定されないが、複合粒子5の最大粒径は200μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。本発明における複合粒子5は、安定したエマルションを鋳型として得られるため、最大粒径が小さくなる。
また、レーザー回折式粒度分布計や画像解析式粒度分布計等の粒度分布計を用いることもできる。
分散安定性の観点から、微細化セルロース1は、コア粒子3表面に被覆層10を形成することが好ましい。被覆層10はコア粒子3表面の全面を覆うことが好ましいが、必ずしも全面を覆わなくてもよい。微細化セルロース1で構成される被覆層10の厚みは特に限定されないが、3nm以上1000nm以下であることが好ましい。
被覆層10の平均厚みは、複合粒子5を包埋樹脂で固定したものをミクロトームで切削してSEM観察を行い、画像中の複合粒子5の断面像における被覆層10の厚みを画像上で100箇所ランダムに測定し、その算術平均値を算出することで得られる。
被覆層10の厚みが均一であることも複合粒子5の一つの特徴である。被覆層10の厚みの値の変動係数(上述した100箇所からランダム抽出した30箇所の標準偏差)は0.5以下となることが好ましく、0.4以下となることがより好ましい。
本実施形態における微細化セルロース1は、セルロース、セルロース誘導体からなる数平均短軸径が1nm以上1000nm以下のファイバーであり、例えばセルロースナノファイバー(CNF)が挙げられる。CNFは、木材等から得られるセルロース原料を極細繊維に粉砕して得ることができる微細化セルロース1であり、安全で生分解性を有する。
さらに、微細化セルロース1は、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であることが好ましい。具体的には、微細化セルロース1は繊維状であって、数平均短軸径が1nm以上1000nm以下、数平均長軸径が50nm以上であり、かつ数平均長軸径が数平均短軸径の5倍以上であることが好ましい。また、微細化セルロース1の結晶化度は50%以上であることが好ましい。微細化セルロース1の結晶構造は、セルロースI型であることが好ましい。
本発明の微細化セルロース1の結晶表面にはアニオン性官能基を有することが好ましい。アニオン性官能基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基が挙げられる。中でも、カルボキシ基やリン酸基が好ましく、セルロース結晶表面への選択的な導入のしやすさから、カルボキシ基が好ましい。
本実施形態における微細化セルロース1は特に限定されないが、結晶表面にアニオン性官能基を有しており、当該アニオン性官能基の含有量が、微細化セルロースあたり0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下であることが好ましい。より好ましくは0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下である。0.1mmol/g未満であると、エマルションの安定性が悪くなることがあり、粒子径分布が広くなってしまう。また、5.0mmol/gを超えると安定して複合粒子5を作製することが難しくなることがある。
また、本実施形態における複合粒子5に結合した微細化セルロース1の表面側のアニオン性官能基の量は、複合粒子あたり0.01μmоl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.10μmоl/g以上であり、100μmоl/g以下であることが好ましく、より好ましくは50μmоl/g以下であり、更に好ましくは10μmоl/g以下である。0.01μmоl/g未満であるとエマルション安定性が悪く、粒子径分布が広くなってしまうことがある。また、100μmоl/gを超えると安定して複合粒子5を作製することが難しくなることがある。
微細化セルロース1や、複合粒子5に結合した微細化セルロース1の表面側におけるアニオン性官能基量は、特に限定されないが、電気伝導度滴定により測定できる。試料をビーカーに採り、イオン交換水中に分散させ、0.01mol/L塩化ナトリウム水溶液を加え、攪拌しながら、0.1mol/L塩酸を加えて、全体がpH2となるように調整し、自動滴定装置(商品名:AUT-701、東亜ディーケーケー社製)を用いて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を0.05mL/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続ける。得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウムの滴定量を求め、アニオン性官能基の含有量を算出することができる。
微細化セルロース1における有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量は、エマルション安定性の観点から微細化セルロースあたり、好ましくは0.02mmol/g以上であり、より好ましくは0.2mmol/g以上であり、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2.5mmol/g以下であり、更に好ましくは2mmol/g以下である。任意の2種以上の有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが同時に微細化セルロース1に導入されていてもよく、この場合、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量は、導入されている修飾基の合計量が前記範囲内であることが好ましい。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(mmol/g)は公知の方法で測定できる。例えば、滴定やIR測定等により算出できる。
本発明に使用する微細化セルロース1における有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量は、アニオン性官能基に対して0.01当量以上であることが好ましく、より好ましくは0.05当量以上であり、0.8当量以下であることが好ましく、より好ましくは0.50当量以下、さらに好ましくは0.30当量以下である。
平均結合量が0.01当量以上0.8当量以下であると、十分に微細化セルロース1の表面を疎水化することができ、安定したO/W型エマルションを形成でき、粒径が小さく、均一な複合粒子5を高収率に得ることができるため、好ましい。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの結合量が0.01当量未満であると、微細化セルロース1の表面の疎水化が十分ではなく、粒径にばらつきが生じやすく、収率が下がることもある。一方、0.8当量を超えると、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aにより微細化セルロース1の分解や分散媒への親和性低下が生じる場合があり、好ましくない。
有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(当量)は、微細化セルロースあたりの有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(mmоl/g)をA、微細化セルロースあたりのアニオン性官能基量(mmоl/g)をBとすると、A/Bにて計算することができる。
複合粒子5の微細化セルロース1の表面側に結合した有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量は、エマルション安定性の観点から複合粒子あたり、好ましくは0.01μmоl/g以上であり、より好ましくは0.1μmоl/g以上であり、好ましくは100μmоl/g以下であり、より好ましくは50μmоl/g以下であり、更に好ましくは10μmоl/g以下である。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量がこの範囲であると、複合粒子5の分散性が良好となる。任意の2種以上の有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが同時に微細化セルロース1に導入されていてもよく、この場合、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量は、導入されている修飾基の合計量が前記範囲内であることが好ましい。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(μmоl/g)は公知の方法で測定できる。
例えば、塩酸等の酸により複合粒子5を洗浄することにより、複合粒子5から有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aを分離し、液体クロマトグラフィー、滴定、IR測定等により算出できる。
複合粒子5の微細化セルロース1の表面側に結合した有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量は、複合粒子5に結合した微細化セルロース1の表面に存在するアニオン性官能基に対して0.01当量以上であることが好ましく、より好ましくは0.05当量以上であり、1.00当量以下であることが好ましく、より好ましくは0.50当量以下、さらに好ましくは0.25当量以下である。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量がこの範囲であると、微細化セルロース1の分散性、安定性が良好であるため、高収率に分散安定性の高い複合粒子5が得られる。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(当量)は、複合粒子あたりの有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(mmоl/g)をC、複合粒子あたりのアニオン性官能基量(mmоl/g)をDとすると、C/Dにて計算することができる。
本発明の微細化セルロース1は、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合することによって、表面の一部が疎水化されている。そのため、特に限定されないが、微細化セルロース1を用いて作製した膜の水に対する接触角が45°以上であることが好ましく、より好ましくは50°以上である。接触角の測定方法は、微細化セルロース1の0.5%の水分散液を5cm×5cmの容器に流し入れ、温度30℃湿度80%で乾燥させた後、更に窒素雰囲気下で乾燥させた膜に、接触角計(協和界面科学社製、PCA-1を用いて2μlの純水を滴下して接触角を得ることができる。
微細化セルロース1のアニオン性官能基の対イオンとして、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7a以外のカチオン性物質が対イオンとして結合していても構わない。カチオン性物質としては、特に限定されないが、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属や、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属等の金属イオンが挙げられる。微細化セルロース1の分散安定性の観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属の金属イオンであることが好ましい。
有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7a以外のカチオン性物質の結合当量は、微細化セルロース1の分散安定性やエマルション安定性の観点から、微細化セルロースあたり、好ましくは0.02mmol/g以上であり、より好ましくは0.2mmol/g以上である。また、好ましくは3mmol/g以下であり、より好ましくは2.5mmol/g以下であり、更に好ましくは2mmol/g以下である。任意の2種以上のカチオン性物質が同時に微細化セルロース1に導入されていてもよい。カチオン性物質の平均結合量(mmol/g)は公知の方法で測定できる。例えば、金属イオンの場合、電子線マイクロアナライザーを用いたEPMA法や、蛍光X線分析法、ICP発光分光分析による元素分析等を簡易的な方法として例示できる。
アニオン性官能基に結合するカチオン性物質の量は特に限定されないが、微細化セルロース1のアニオン性官能基に対して、0.95当量以下、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.80以下である。カチオン性物質の量が0.95当量を超えるとエマルション安定が低くなるため、収率が下がり、粒子径分布が広くなることがある。カチオン性物質の平均結合量(当量)は、微細化セルロースあたりのカチオン性物質の平均結合量(mmоl/g)をE、微細化セルロースあたりのアニオン性官能基量(mmоl/g)をBとすると、E/Bにて計算することができる。
有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7a以外のカチオン性物質の結合当量は、複合粒子5の分散安定性やエマルション安定性の観点から、複合粒子あたり、好ましくは0.01μmоl/g以上であり、より好ましくは0.1μmоl/g以上である。また、好ましくは100μmоl/g以下であり、より好ましくは50μmоl/g以下であり、さらに好ましくは10μmоl/g以下である。カチオン性物質の結合量がこの範囲であると複合粒子5の分散性が良好となる。任意の2種以上のカチオン性物質が同時に複合粒子5の表面の微細化セルロース1に導入されていてもよい。カチオン性物質の平均結合量(μmоl/g)は公知の方法で測定できる。例えば、金属イオンの場合、電子線マイクロアナライザーを用いたEPMA法や、蛍光X線分析法、ICP発光分光分析による元素分析等を簡易的な方法として例示できる。必要に応じて塩酸等の酸により複合粒子5を洗浄してカチオン性物質を分離してから元素分析等により分析してもよい。
複合粒子5の微細化セルロース1の表面側に結合したカチオン性物質の平均結合量は、複合粒子5に結合した微細化セルロース1の表面に存在するアニオン性官能基に対して0.01当量以上であることが好ましく、より好ましくは0.05当量以上であり、好ましくは1.00当量以下であることが好ましく、より好ましくは0.50当量以下、更により好ましくは0.25当量以下である。カチオン性物質の平均結合量がこの範囲であると、微細化セルロース1の安定性が良好で、エマルション安定もよく、高収率にて複合粒子5を得ることができ、得られた複合粒子5の分散性も良好となる。カチオン性物質の平均結合量(当量)は、複合粒子あたりのカチオン性物質の平均結合量(mmоl/g)をF、複合粒子あたりのアニオン性官能基量(mmоl/g)をDとすると、F/Dにて計算することができる。
また、コア粒子3は、少なくとも一種類以上のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、公知のポリマーを用いることができ、重合性モノマーを公知の方法で重合させたポリマーでもよい。
ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、アミノ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、フッ素系ポリマー、ウレタン・イソシアネート系ポリマー等が挙げられる。
近年、環境への配慮から、使用後に自然界の微生物によって分解され、最終的には水と二酸化炭素になることができる生分解性を有する粉体が強く望まれている。生分解性ポリマーを本実施形態のコア粒子3に用いることができる。
特に限定されないが、ポリマーは生分解性ポリマーであることが好ましい。生分解性とは、土壌や海水中などの地球環境において分解して消滅するポリマー、または/および生体内で分解して消滅するポリマーのことである。一般的に、土壌や海水中では微生物がもつ酵素によりポリマーが分解されるのに対し、生体内では酵素を必要とせず物理化学的な加水分解により分解される。ポリマーの分解は、ポリマーが低分子化或いは水溶性化して形態を消失することである。ポリマーの分解は、特に限定されないが、主鎖、側鎖、架橋点の加水分解や、主鎖の酸化分解により起こる。
生分解性ポリマーには、天然由来の天然高分子、或いは合成高分子がある。
天然高分子としては、例えば、植物が生産する多糖(セルロース、デンプン、アルギン酸等)、動物が生産する多糖(キチン、キトサン、ヒアルロン酸等)、タンパク質(コラーゲン、ゼラチン、アルブミン等)、微生物が生産するポリエステル(ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート))、多糖(ヒアルロン酸等)等が挙げられる。
合成高分子としては、例えば、脂肪族ポリエステル、ポリオール、ポリカーボネート等が挙げられる。
脂肪酸ポリエステルとしては、例えば、グリコール・ジカルボン酸重縮合系(ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等)、ポリラクチド類(ポリグリコール酸、ポリ乳酸等)、ポリラクトン類(β-カプロラクトン、ε-カプロラクトン等)、その他(ポリブチレンテレフタレート・アジペート等)が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
ポリカーボネートとしては、例えば、ポリエステルカーボネート等が挙げられる。
その他、ポリ酸無水物、ポリシアノアクリレート、ポリオルソエステル、ポリフォスファゼン等も生分解性の合成高分子である。
コア粒子3はポリマー以外に他の成分を含んでも良い。例えば、着色剤、吸油剤、光遮蔽剤(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤等)、抗菌剤、酸化防止剤、制汗剤、消泡剤、帯電防止剤、結合剤、漂白剤、キレート剤、脱臭成分、芳香剤、香料、ふけ防止活性物質、皮膚軟化剤、防虫剤、防腐剤、天然抽出物、美容成分、pH調整剤、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、油脂やロウ類をはじめとする油性原料、界面活性剤、無機質粒子(酸化チタン、シリカ、クレー等)、等が挙げられる。これらの他成分は固体、気体、液体のいずれの形態であってもよい。他成分の複合粒子5中の含有率は、特に限定されず、複合粒子5が安定して形態を保つことができる範囲であることが好ましい。他成分の含有率は、複合粒子5を100質量部とすると、他成分は0.001質量部以上80質量部以下であることが好ましい。
<複合粒子5の製造方法>
本実施形態の複合粒子5の製造方法の詳細について、図2を参照しつつ説明する。本実施形態に係る複合粒子の製造方法は、セルロース原料を分散溶媒4中で解繊して、微細化セルロース1が分散された微細化セルロース分散液を得る第一工程と、微細化セルロース分散液に有機オニウム化合物/アミンを添加して、微細化セルロース1に有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aを結合させる第二工程と、微細化セルロース分散液中においてコア粒子前駆体2を含む液滴6をエマルションとして安定化させる第三工程と、コア粒子前駆体2を固体化させてコア粒子3とし、コア粒子3と不可分に結合した複合粒子5を得る第四工程と、を備える。
上記製造方法により得られた複合粒子5は分散体として得られる。分散体から分散溶媒4を除去すると、取り扱い性の良い複合粒子5の乾燥固形物が得られる。分散溶媒4の除去方法は特に限定されず、例えば遠心分離法やろ過法によって分散溶媒4を除去する方法や、オーブン等で分散溶媒4を気化させて除去する方法を例示できる。この際、得られる複合粒子5の乾燥固形物は膜状や凝集体状にはならず、きめ細やかな粉体である。この理由は定かではないが、複合粒子5を含む分散液の場合、微細化セルロース1が表面に固定化された略真球状の複合粒子5であるため、分散溶媒4を除去しても微細化セルロース1同士が凝集することなく、隣り合う複合粒子間で点接触するのみであることが一因と考えられる。複合粒子5は凝集を生じないため、乾燥粉体として得られた複合粒子5を溶媒に再分散することも容易であり、再分散後も表面に結合された微細化セルロース1に由来した分散安定性を示す。
複合粒子5の乾燥粉体は溶媒をほとんど含まず、さらに溶媒に再分散可能であることを特長とする乾燥固形物であり、具体的には固形分率を80%以上とすることができ、さらに90%以上とすることができ、さらに95%以上とすることができる。
複合粒子5の分散体は、溶媒をほぼ除去することが容易であるため、輸送費の削減、腐敗防止、添加率向上、樹脂との混練効率向上、といった観点から好ましい効果を得る。なお、乾燥処理により固形分率を80%以上にした場合でも、微細化セルロース1は吸湿しやすいため、空気中の水分を吸着して固形分率が経時的に低下し、保管中に80%以下となる可能性がある。しかしながら、複合粒子5は乾燥粉体として容易に得られ、さらに再分散させ得ることが特長である本発明の技術思想を考慮すると、複合粒子5を含む乾燥粉体の固形分率を80%以上とする工程を経て得られた乾燥固形物であれば、本発明の技術的範囲に含まれると言うべきである。
以下、製造方法の各工程について詳細に説明する。
(第一工程)
第一工程はセルロース原料を分散溶媒4中で解繊して微細化セルロース分散液を得る工程である。まず、各種セルロース原料を分散溶媒4中に分散し、懸濁液とする。懸濁液中のセルロース原料の濃度としては0.1%以上10%未満が好ましい。懸濁液中のセルロース原料の濃度が0.1%未満であると、溶媒過多となり生産性を損なう傾向があるため好ましくない。また、懸濁液中のセルロース原料の濃度が10%以上になると、セルロース原料の解繊に伴い懸濁液が急激に増粘し、均一な解繊処理が困難となる傾向があるため好ましくない。懸濁液作製に用いる分散溶媒4としては、水を50%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50%未満になると、後述するセルロース原料を分散溶媒4中で解繊して微細化セルロース分散液を得る工程において、微細化セルロース1の分散が阻害される傾向がある。
水以外に含まれる溶媒としては親水性溶媒が好ましい。親水性溶媒については特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。必要に応じて、セルロースや生成する微細化セルロース1の分散性を上げるために、例えば、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、TMAH)水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、TEAH)水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、TBAH)水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機オニウム化合物などが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
続いて、懸濁液に物理的解繊処理を施して、セルロース原料を微細化する。物理的解繊処理の方法としては特に限定されないが、例えば、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を行うことで、懸濁液中のセルロースが微細化され、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化されたセルロース(微細化セルロース1)の分散液を得ることができる。また、このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られる微細化セルロース1の数平均短軸径及び数平均長軸径を調整することができる。
上記のようにして、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化された微細化セルロース1の分散体(微細化セルロース分散液)が得られる。得られた分散体は、そのまま、又は希釈、濃縮等を行って、後述するO/W型エマルションの安定化剤として用いることができる。
また、微細化セルロース1の分散体は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロース及びpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。上記他の成分としては、特に限定されず、複合粒子5の用途等に応じて、公知の添加剤から適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物又はその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤、磁性体、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、顔料、染料、消臭剤、金属、金属酸化物、無機酸化物等が挙げられる。
通常、微細化セルロース1は、ミクロフィブリル構造由来の繊維形状であるため、本実施形態の製造方法に用いる微細化セルロース1としては、以下に示す範囲にある繊維形状のものが好ましい。すなわち、微細化セルロース1の形状としては、繊維状であることが好ましい。また、繊維状の微細化セルロース1は、短軸径において数平均短軸径が1nm以上1000nm以下であればよく、好ましくは2nm以上500nm以下であればよい。ここで、数平均短軸径が1nm未満では高結晶性の剛直な微細化セルロース1繊維構造をとることができず、エマルションの安定化と、エマルションを鋳型とした重合反応やポリマーの固体化等による複合粒子5の形成が難しくなる傾向がある。一方、短軸径において数平均短軸径が1000nmを超えると、エマルションを安定化させるにはサイズが大きくなり過ぎるため、得られる複合粒子5のサイズや形状を制御することが困難となる傾向がある。また、数平均長軸径においては特に制限はないが、好ましくは数平均短軸径の5倍以上であればよい。数平均長軸径が数平均短軸径の5倍未満であると、複合粒子5のサイズや形状を十分に制御することが困難となる傾向があるために好ましくない。
なお、微細化セルロース1の数平均短軸径は、例えば、透過型電子顕微鏡観察又は原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、微細化セルロース1の数平均長軸径は、例えば、透過型電子顕微鏡観察又は原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
微細化セルロース1の原料として用いることができるセルロースの種類や結晶構造も特に限定されない。具体的には、セルロースI型結晶からなる原料としては、例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いることができる。さらには、セルロースII型結晶からなるレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースも用いることができる。材料調達の容易さから、木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプ、など、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いることができる。精製及び微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
さらに微細化セルロース原料は化学改質されていることが好ましい。より具体的には、微細化セルロース原料の結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることが好ましい。セルロース結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることによって浸透圧効果でセルロース結晶間に溶媒が浸入しやすくなり、セルロース原料の微細化が進行しやすくなるためである。
セルロースの結晶表面に導入されるアニオン性官能基の種類や導入方法は特に限定されず、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基等が挙げられる、カルボキシ基やリン酸基が好ましい。セルロース結晶表面への選択的な導入のしやすさから、カルボキシ基が好ましい。
セルロースの繊維表面にカルボキシ基を導入する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行ってもよい。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。さらには、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、アルコール性一級炭素の酸化に対する選択性が高い、TEMPOをはじめとするN-オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法を用いてもよい。カルボキシ基導入部位の選択性及び環境負荷低減のためにはN-オキシル化合物を用いた酸化がより好ましい。
ここで、N-オキシル化合物としては、例えば、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシラジカル)、2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-エトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、等が挙げられる。そのなかでも、反応性が高いTEMPOが好ましい。N-オキシル化合物の使用量は、触媒としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01~5.0質量%程度である。
N-オキシル化合物を用いた酸化方法としては、例えば木材系天然セルロースを水中に分散させ、N-オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N-オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N-オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、上記オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。この酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。
共酸化剤としては、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。上記共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1~200質量%程度である。
また、N-オキシル化合物及び共酸化剤とともに、臭化物及びヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。このような化合物としては、臭化ナトリウム又は臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1~50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上70℃以下がより好ましい。酸化反応の反応温度が4℃未満であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう傾向がある。酸化反応の反応温度が80℃を超えると副反応が促進して試料であるセルロースが低分子化して高結晶性の剛直な微細化セルロース1繊維構造が崩壊し、O/W型エマルションの安定化剤として用いることが困難となる傾向がある。
また、酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10分~5時間程度である。
酸化反応時の反応系のpHは特に限定されないが、9~11が好ましい。pHが9以上であると反応を効率良く進めることができる。pHが11を超えると副反応が進行し、試料であるセルロースの分解が促進されてしまうおそれがある。また、酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9~11に保つことが好ましい。反応系のpHを9~11に保つ方法としては、例えば、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、TMAH)水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、TEAH)水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム(テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、TBAH)水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機オニウム化合物などが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が好ましい。
酸化反応時のpHを保つのに用いるアルカリ水溶液に含まれるカチオン性物質が、酸化反応により生成したカルボキシ基の対イオンとして結合する。TEMPO酸化セルロースのカルボキシ基の対イオンのカチオン性物質は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属や、マグネシウムイオンやカルシウムイオン等のアルカリ土類金属等の金属イオンとなることが好ましい。TEMPO酸化セルロースのカルボキシ基の対イオンのカチオン性物質が金属イオンであると、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aに対してイオン化傾向が強いために後述する第二工程において、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが微細化セルロース1のアニオン性官能基に対イオンとして結合しやすくなる。
N-オキシル化合物による酸化反応は、例えば、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは上記の範囲内に保つことが好ましい。添加するアルコールとしては、例えば、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N-オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。TEMPO酸化セルロースの回収は、例えば、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。TEMPO酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては純水や塩酸等の酸性溶液が好ましい。純水を用いて洗浄した際にはTEMPO酸化セルロースのカルボキシ基の対イオンは置換されることなく、維持されるため、洗浄後のTEMPO酸化セルロースのカルボキシ基の対イオンは金属イオンとなる。また、塩酸等の酸を用いて洗浄することで、少なくとも一部の対イオンを除去し、TEMPO酸化セルロースのカルボキシ基をCOOHとすることも可能である。
TEMPO酸化セルロースのカルボキシ基がCOOH、あるいは対イオンが金属イオンであると、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aに対してイオン化傾向が強いために、後述する第二工程において、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが微細化セルロース1のアニオン性官能基に対イオンとして結合しやすくなる。
得られたTEMPO酸化セルロースに対し解繊処理を行うと、3nm前後の均一な繊維幅を有するTEMPO酸化セルロースナノファイバー(以下、TEMPO酸化CNF、セルロースシングルナノファイバー、CSNFとも称する。)が得られる。CSNFを複合粒子5の微細化セルロース1の原料として用いると、その均一な構造に由来して、得られるO/W型エマルションの粒径も均一になりやすい。
以上のように、本実施形態で用いられるCSNFは、セルロース原料を酸化する工程と、微細化して分散液化する工程と、によって得ることができる。CSNFに導入するカルボキシ基の含有量としては、0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。ここで、カルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に浸透圧効果による溶媒進入作用が働かないため、セルロースを微細化して均一に分散させることが困難となる傾向がある。また、カルボキシ基量が5.0mmol/gを超えると化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化するため、高結晶性の剛直な微細化セルロース1繊維とならず、O/W型エマルションの安定化剤として用いることが困難となる傾向がある。
酸化反応に用いるアルカリ水溶液として、金属アルカリの水溶液を用いる場合、セルロース原料を酸化し、ろ過洗浄、微細化して分散液化する工程と、によって得られたCSNFのカルボキシ基の対イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属や、マグネシウムイオンやカルシウムイオン等のアルカリ土類金属等の金属イオンとなる。CSNFのカルボキシ基の対イオンが金属イオンである場合、CSNFの表面は親水性が高い。
物理的解繊処理のしやすさの観点から、CSNFに対する金属イオンの結合量は、0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.0mmol/g以下がより好ましい。ここで、金属イオンの結合量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に浸透圧効果による溶媒進入作用が働かないため、セルロースを微細化して均一に分散させることが困難となる傾向がある。また、カルボキシ基量が5.0mmol/gを超えると化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化するため、高結晶性の剛直な微細化セルロース1繊維構造をとることができず、O/W型エマルションの安定化剤として用いることが困難となる傾向がある。
なお、金属イオン含有量は、様々な分析方法で調べることができ、例えば、電子線マイクロアナライザーを用いたEPMA法、蛍光X線分析法、ICP発光分光分析の元素分析によって簡易的に調べることができる。
(第二工程)
第二工程は、第一工程で得られた微細化セルロース分散液に、有機オニウム化合物/アミンを添加して攪拌し、微細化セルロース分散液に含まれる微細化セルロース1に有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aを結合させる工程である。微細化セルロース分散液に有機オニウム化合物/アミンを添加して攪拌することで、短時間で簡便な方法にて有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合し、表面の少なくとも一部に疎水性が付与された微細化セルロース1を得ることができる。第一工程にて微細化セルロース1のアニオン性官能基に結合したカチオン性物質よりイオン化傾向の低い有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aを用いることで、簡便に微細化セルロース1のアニオン性官能基の対イオンを交換することができる。
前述のように、一般に、酸化反応時の反応系のpHは、水酸化ナトリウム水溶液等の金属アルカリの水溶液を用いるため、アニオン性官能基の対イオンのカチオン性物質はナトリウムイオン等の金属イオンとなる。金属イオンを対イオンとしたTEMPO酸化セルロースをろ過洗浄し、分散溶媒4に懸濁して物理的解繊処理することにより微細化セルロース1を得ることができる。
一方、従来法による有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aが結合した微細化セルロースの作製は煩雑である。従来法では、酸化反応液に酸を添加して系内を酸性下に調整し、カルボン酸としてろ別した後に、懸濁した酸型のTEMPO酸化セルロースに、カルボキシ基と等量の有機オニウム化合物/アミンを添加して攪拌し、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aを結合させ、この懸濁液に物理的解繊処理を施して有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合したアニオン性官能基を有する微細化セルロース1を作製する。
しかし、本発明においては、第一工程で得られた微細化セルロース1に第二工程で有機オニウム化合物/アミンを添加し、攪拌するという簡便な方法にて、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合した微細化セルロース1を含む、イオン結合微細化セルロース分散液を得ることができる。これにより微細化セルロース1の一部に疎水性が付与される。
有機オニウム化合物/アミンを添加するアニオン性を有する微細化セルロース1は、カチオン性物質を対イオンとした塩を形成していてもよいが、カチオン性物質を含まなくてもよい。また、対イオンのカチオン性物質は、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aよりイオン化傾向が強いことが好ましい。カチオン性物質のイオン化傾向が強いほど、対イオン置換が効率よく進むため好ましい。対イオンのカチオン性物質としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属や、マグネシウムイオンやカルシウムイオン等のアルカリ土類金属等の金属イオンであることが好ましい。微細化セルロース1の少なくとも一部にアニオン性官能基に有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aを結合させた後も、一部のアニオン性官能基にカチオン性物質が残留しても構わない。
アニオン性官能基に残留するカチオン性物質の量は特に限定されないが、微細化セルロース1のアニオン性官能基に対して、0.95当量以下、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.80以下である。残留するカチオン性物質の量が0.95当量を超えるとエマルション安定が低くなるため、収率が下がり、粒子径分布が広くなることがある。
微細化セルロース1におけるカチオン性物質の含有量は様々な分析方法で調べることができる。例えば、カチオン性物質が金属である場合は、電子線マイクロアナライザーを用いたEPMA法や、蛍光X線分析法による元素分析等を簡易的な方法として例示できる。アニオン性を有する微細化セルロース1からカチオン性物質を除去する方法としては、微細化セルロース1を酸性下で繰り返し洗浄した後に純水で水洗を繰り返す精製し、再度前述の物理的解繊処理を施すことを例示できる。
微細化セルロース分散液への有機アンモニウム化合物/アミンの添加量としては、微細化セルロース1に含まれるアニオン性官能基に対して0.01当量以上2当量以下であることが好ましい。特に、添加量が0.02当量以上1.8当量以下であると、十分に微細化セルロース1の表面を疎水化することができ、安定したO/W型エマルションを形成でき、粒子径の均一な複合粒子5を高収率に得ることができるため、好ましい。有機オニウム化合物/アミンの添加量が0.01当量未満であると、微細化セルロース1の表面の疎水化が十分ではなく、粒子径にばらつきが生じやすく、収率が下がることもある。一方、2当量を超えると、有機オニウム化合物/アミンの過剰添加により微細化セルロース1の分解や分散媒への親和性低下が生じる場合があり、好ましくない。
微細化セルロース1における有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量は、アニオン性官能基に対して0.01当量以上、好ましくは0.05当量以上であり、好ましくは0.8当量以下、好ましくは0.50当量以下、より好ましくは0.30当量以下である。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量がこの範囲であると、微細化セルロース1の分散性、安定性が良好となる。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(当量)は、微細化セルロースあたりの有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(mmоl/g)をA、微細化セルロースあたりのアニオン性官能基量(mmоl/g)をBとすると、A/Bにて計算することができる。
平均結合量が0.01当量以上0.8当量以下であると、十分に微細化セルロース1の表面を疎水化することができ、安定したO/W型エマルションを形成でき、粒径が小さく、均一な複合粒子5を高収率に得ることができるため、好ましい。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの結合量が0.01当量未満であると、微細化セルロース1の表面の疎水化が十分ではなく、粒径にばらつきが生じやすく、収率が下がることもある。一方、0.8当量を超えると、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aにより微細化セルロース1の分解や分散媒への親和性低下が生じる場合があり、好ましくない。
有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(当量)は、微細化セルロースあたりの有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aの平均結合量(mmоl/g)をA、微細化セルロースあたりのアニオン性官能基量(mmоl/g)をBとすると、A/Bにて計算することができる。
有機オニウム化合物/アミンの種類は、1種類でもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。特に、有機オニウムまたはアミンを構成する水酸基または炭化水素基の構造が異なるものを混合して用いてもよい。或いは、炭化水素基が直鎖状であっても分岐状であってもよい。
微細化セルロース1に有機オニウム化合物/アミンを添加する際の分散溶媒4としては水が好適であり、水を50%以上含むことが好ましい。分散溶媒4における水の割合が50%以下になると、後述する第二工程において、液状のコア粒子前駆体2のエマルションの安定が阻害される。
分散液における微細化セルロース1の割合は、0.1%以上10%未満が好ましい。0.1%未満であると、第一工程においてのセルロース原料の解繊時に溶媒過多となり生産性を損なうため好ましくない。また、後述する第三工程において安定したO/W型エマルションを形成することが困難となり、複合粒子5の収率が下がり、粒子径にばらつきが生じやすくなる。10%以上になると、前述のセルロース原料の解繊に伴い懸濁液が急激に増粘し、均一な解繊処理が困難となるため好ましくない。また、微細化セルロース1の分散液の粘度が高くなるため、第三工程においてO/W型エマルションを形成するのが困難となる。
有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合した微細化セルロース1を含む微細化セルロース分散液を得る方法は、特に限定されないが、有機オニウム化合物/アミンを予め水に溶解させた水溶液を、微細化セルロース1の分散液に添加し、攪拌することができる。有機オニウム化合物/アミンを溶解させた水溶液の有機オニウム化合物/アミンの濃度は、特に限定されないが、0.01M以上5.0M以下であることが好ましい。
有機オニウム化合物/アミンを添加する微細化セルロース1の分散液のpHは特に限定されず、4以上12以下が好ましく、より好ましくはpH6以上10以下である。pHが6以上であると微細化セルロース1のアニオン性官能基がイオン化しやすく、浸透圧効果で微細化セルロース1の繊維間に溶媒が浸入しやすくなり、微細化セルロース1の分散安定性が高まる。また、pHが10以下であると、有機オニウム化合物/アミン7を加えた際のpH上昇を抑えることができ、微細化セルロース1のピーリング反応やアルカリ加水分解による低分子化を抑制できる。
微細化セルロース1に有機オニウム化合物/アミンを添加した後のpHは4以上12以下が好ましい。特に、pH7以上12以下のアルカリ性とすると、微細化セルロース1のアニオン性官能基がイオン化するため、浸透圧効果で微細化セルロース1の繊維間に溶媒が浸入しやすくなり、微細化セルロース1の分散安定性が高まる。
pH4未満の場合は、微細化セルロース1の分散性が低下する。一方、pH12を超えると、アニオン性を有する微細化セルロース1に、ピーリング反応やアルカリ加水分解による低分子量化が生じたり、末端アルデヒドや二重結合形成によって分散液の黄変が促進されたりするため、好ましくない。
微細化セルロース1に有機オニウム化合物/アミンを添加し、攪拌する際の温度は特に限定されないが、4℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上70℃以下がより好ましい。温度が4℃未満であると、対イオンの交換効率が悪くなる。温度が80℃を超えるとセルロースが低分子化して高結晶性の剛直な微細化セルロース1の繊維構造が崩壊し、O/W型エマルションの安定化剤として用いることが困難となる傾向がある。攪拌時間は、温度、所望のアニオン性官能基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常10分~5時間程度である。
本実施形態における有機オニウム化合物は、化1に示す構造式のカチオン構造を有する。
Figure 2023005014000002
上記構造式中において、Mは窒素原子、リン原子、水素原子、硫黄原子のいずれかであり、R1、R2、R3、およびR4は、水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子を含む炭化水素基のいずれかである。
例えば、Mが窒素原子であり、R1、R2、R3及びR4がいずれも水素原子の場合、有機オニウム化合物はアンモニアである。R1、R2、R3、R4のうち3つが水素原子の場合は第1級アミン、2つの場合は第2級アミン、1つの場合は第3級アミン、0個の場合は第4級アミンとなり、いずれも本実施形態における有機オニウム化合物である。へテロ原子を含む炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、オキシアルキレン基、アラルキル基、アリール基、芳香族基等を例示できる。R1、R2、R3、およびR4が環を形成していてもよい。
上記構造式中において、Mが窒素原子である第4級アンモニウム化合物としては、例えば、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、テトラブチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ココナットアミンが挙げられる。
特に、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドを用いることで、抗菌性を付与できるため、好ましい。
上記構造式中において、Mがリン原子である第4級ホスホニウム化合物としては、例えば、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラプロピルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルホスホニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルホスホニウムヒドロキシド等のホスホニウム等が挙げられる。
本実施形態における第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンは、それぞれ化2の式(1)、(2)、(3)に示す構造を有する。なお、これらがイオン化してカチオン構造のアンモニウムイオンとなった際の構造は、それぞれ(1)’、(2)’、(3)’となる。(1)’は第1級アンモニウムイオン、(2)’は第2級アンモニウムイオン、(3)’は第3級アンモニウムイオンである。
Figure 2023005014000003
式(1)から(3)’において、R1~R6は、炭化水素基、ヘテロ原子を含む炭化水素基のいずれかである。
第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、n-オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、へキシルアミン、2-エチルへキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリへキシルアミン、ジオクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンアミノ変性シリコーン化合物、ポリエーテルアミン、ポリエチレングリコールアミン(PEG-NH)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO)共重合部を有するアミンなどを例示することができる。
有機オニウム化合物/アミンのカチオン構造の対イオンは特に限定されない。有機オニウム化合物のカチオン構造の対イオンとしては、硝酸イオン、硫酸イオン、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。特に、カチオン構造の対イオンが塩化物イオンや臭化物イオンである塩の有機オニウム化合物を用いると、微細化セルロース分散液に添加してもpHの上昇を抑えることができ、pHをコントロールしやすい。また、有機オニウム化合物は、水和物であってもよい。
第二工程では、有機オニウム化合物に加えて、アルカリ金属やアルカリ土類金属等の金属塩を含む無機アルカリが添加されてもよい。
微細化セルロース1に有機オニウム化合物/アミンを添加して得られた有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aを結合した微細化セルロース1は、金属イオンを対イオンとする無機アルカリを用いた場合よりも分散液の分散安定性が良好である。これは、有機オニウム化合物/アミンを用いた方が、微細化セルロース1が有するアニオン性部位の対イオンのイオン径が大きいため、分散溶媒4中で微細化セルロース1同士をより引き離す効果が大きいためと考えられる。さらに、分散液として有機オニウム化合物/アミンを含むと、無機アルカリと比べて分散液の粘度とチキソ性を低下させることができ、後述の第三工程におけるエマルション化のしやすさとその後のハンドリングにおいて有利になる。さらに、有機オニウム化合物/アミンとイオン結合により相互作用した微細化セルロース1は、有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aに基づく立体斥力または疎水化作用によって親水性が低下する。これにより後述の第三工程において液状のコア粒子前駆体2のエマルション液滴への親和性が高まり、液滴6の安定性が向上する。
得られた微細化セルロース分散液は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、特に限定されず、複合粒子5の用途等に応じて、公知の添加剤から適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤、磁性体、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、顔料、染料、消臭剤、金属、金属酸化物、無機酸化物等が挙げられる。
(第三工程)
第三工程は、第二工程で得られた有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合した微細化セルロースの分散液中において、コア粒子前駆体2を含む液滴6をエマルションとして安定化させる工程である。
具体的には、第二工程で得られた分散液(水相、分散相)にコア粒子前駆体2を含有する液体状の油相(分散相)を添加し、図2に示すように、コア粒子前駆体2を含む液滴6を分散液中に分散させる。これにより、液滴6の表面は微細化セルロース1によって被覆され、被覆層10によって安定化されたO/W型エマルションが作製される。第二工程で得られた有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合し、表面の少なくとも一部が疎水化された微細化セルロース1を用いることにより、幅広い種類のコア粒子前駆体2を用いても、液滴6に微細化セルロース1が安定的に吸着し、安定したO/W型エマルションを得ることができる。
O/W型エマルションを作製する方法としては特に限定されないが、一般的な乳化処理、例えば各種ホモジナイザー処理や機械攪拌処理を用いることができ、具体的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、万能ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突、ペイントシェイカーなどの機械的処理が挙げられる。また、複数の機械的処理を組み合わせて用いてもよい。
例えば超音波ホモジナイザーを用いる場合、第一工程にて得られた微細化セルロース分散液に対し重合性モノマーを添加して混合溶媒とし、混合溶媒に超音波ホモジナイザーの先端を挿入して超音波処理を実施する。超音波ホモジナイザーの処理条件としては特に限定されないが、例えば周波数は20kHz以上が一般的であり、出力は10W/cm以上が一般的である。処理時間についても特に限定されないが、通常10秒から1時間程度である。
上記超音波処理により、分散液中にコア粒子前駆体2を含む液滴6が分散してエマルション化が進行し、さらに液滴6と分散液との液/液界面に選択的に微細化セルロース1が吸着することで、液滴6が微細化セルロース1で被覆されO/W型エマルションとして安定した構造を形成する。このように、液/液界面に固体物が吸着して安定化したエマルションは、学術的には「ピッカリングエマルション」と呼称されている。前述のように微細化セルロース繊維によってピッカリングエマルションが形成されるメカニズムは定かではないが、セルロースはその分子構造において水酸基に由来する親水性サイトと炭化水素基に由来する疎水性サイトとを有することから両親媒性を示すため、両親媒性に由来して疎水性モノマーと親水性溶媒の液/液界面に吸着すると考えられる。
O/W型エマルション構造は、光学顕微鏡観察により確認できる。O/W型エマルションの粒径サイズは特に限定されないが、通常0.1μm~1000μm程度であることが好ましい。エマルションの平均粒子径は0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上50μm以下、更に好ましくは0.1μm以上20μm以下である。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aが結合した微細化セルロース1を用いることにより、多くのコア粒子前駆体2にて、安定して微小な液滴6を得ることができ、エマルションの平均粒子径が小さくなる。
エマルションの平均粒子径は、特に限定されないが、光学顕微鏡にて100個のエマルション液滴の粒子径を測定し、平均することで算出できる。
O/W型エマルション構造において、液滴6の表層に形成された被覆層10の厚みは特に限定されないが、通常3nm~1000nm程度である。被覆層10の厚みは、例えばクライオTEMを用いて計測することができる。
コア粒子前駆体2を含有する液体状の油相(分散相)は、コア粒子前駆体2を含有し、液滴6としてO/W型エマルションを形成することができればよく、O/W型エマルションを安定的に形成するためには、前記微細化セルロース1の分散液と相溶せず、疎水性であることが好ましい。また、前記コア粒子前駆体2は、化学的な変化あるいは物理化学的な変化により固体化してコア粒子3を形成する前駆体である。
コア粒子前駆体2としては、例えば、(1)重合性を有する化合物、(2)加熱により溶融した溶融ポリマー、(3)溶媒に溶解した溶解ポリマー、を用いることもできる。
(1)重合性を有する化合物としては、重合性官能基を有するモノマー(重合性モノマー)や、重合性官能基を有するオリゴマー(重合性オリゴマー)、重合性官能基を有するポリマー(重合性ポリマー)等、重合反応により固体のポリマーを形成できるものが挙げられる。(2)溶融ポリマーとしては、熱可塑性ポリマーであり加熱により液体状に溶融し、相転移して室温下において固体となるものが挙げられる。(3)溶解ポリマーとしては、非硬化性ポリマーであり溶剤により液体状に溶解し、溶剤除去により室温下において固体となるものが挙げられる。
重合性モノマーは少なくとも一つの重合性官能基を有する。重合性官能基を一つ有する重合性モノマーは単官能モノマーとも称する。また、重合性官能基を二つ以上有する重合性モノマーは多官能モノマーとも称する。重合性モノマーの種類としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、ビニル系モノマーなどが挙げられる。また、エポキシ基やオキセタン構造などの環状エーテル構造を有する重合性モノマー(例えばε-カプロラクトン等)を用いることも可能である。
なお、「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレート」と「メタクリレート」との両方を含むことを意味する。
単官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
単官能のビニル系モノマーとしては例えば、ビニルエーテル系、ビニルエステル系、芳香族ビニル系、特にスチレンおよびスチレン系モノマーなど、常温で水と相溶しない液体が好ましい。
単官能ビニル系モノマーのうち(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、単官能芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロペニルトルエン、イソブチルトルエン、tert-ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1,1-ジフェニルエチレンなどが挙げられる。
多官能のビニル系モノマーとしてはジビニルベンゼンなどの不飽和結合を有する多官能基が挙げられる。常温で水と相溶しない液体が好ましい。
例えば多官能性ビニル系モノマーとしては、具体的には、(1)ジビニルベンゼン、1,2,4-トリビニルベンゼン、1,3,5-トリビニルベンゼン等のジビニル類、(2)エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-プロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート類、(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート類、(4)エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4-ジブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキシレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2-ビス(4-アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート類、(5)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチロールエタントリアクリレート等のトリアクリレート類、(6)テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート類、(7)その他に、例えばテトラメチレンビス(エチルフマレート)、ヘキサメチレンビス(アクリルアミド)、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
例えば官能性スチレン系モノマーとしては、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、ジビニルビフェニル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン等が挙げられる。
これらの他にも重合性の官能基を少なくとも1つ以上有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができ、特にその材料は限定されない。
上述した各種重合性モノマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(2)について、熱可塑性ポリマーとしては、融点が40℃以上80℃以下であることが好ましい。融点が40℃より低いと、室温において固体として形状を維持することが困難となり、使用環境が極端に制限されるため好ましくない。一方、融点が80℃を超えると、微細化セルロース分散液中において溶融状態を維持することが製造工程上困難となるため好ましくない。より好ましくは、融点が45℃以上75℃以下である。また、融点以上でのメルトフローレート(MFR)が10以上であることが好ましい。MFRが10未満の場合、前述の乳化処理において多大な乳化エネルギーを要するため好ましくない。
上記(3)について、非硬化性ポリマーとしては、水を除く溶剤に溶解し、液体状を有するものである。ここで、非硬化性ポリマーを溶解させる溶剤としては、20℃における水溶解度が水1Lに対して20g以上2000g以下であることが好ましい。20g未満である場合、溶剤を含む液滴と微細化セルロース1の親和性が低く、微細化セルロース1によるエマルション安定化効果が低下する。一方、2000gより大きい場合、微細化セルロース分散液中での溶剤の拡散速度が早いために液滴が形状を維持できない。その結果、微細化セルロース1による液滴被覆効果が損なわれる。
熱可塑性ポリマーおよび非硬化性ポリマーは、本実施形態の機能が損なわれない限りにおいてその材料は限定されない。例えば、上述した各種単官能モノマーや、エポキシ基やオキセタン構造などの環状エーテル構造を有する重合性モノマーを出発物質とした重合体、あるいは、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用できる。
熱可塑性ポリマーおよび非硬化性ポリマーとして、生分解性ポリマーを使用することもできる。生分解性ポリマーとしては、生分解性を有し、水に溶解しないものであれば特に制限はなく、具体的には、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアセテート誘導体、キチン、キトサン等の多糖類、ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類、ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類、ポリアミノ酸類、ポリエステルポリカーボネート類、ロジン等の天然樹脂等を例示できる。これらの化合物は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
第三工程における微細化セルロース分散液(水相、連続相)とコア粒子前駆体2との重量比については特に限定されないが、100質量部の微細化セルロース分散液に対し、コア粒子前駆体2が1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。コア粒子前駆体2が1質量部以下となると複合粒子5の収量が低下するため好ましくなく、50質量部を超えると液滴6を微細化セルロース1で均一に被覆することが困難となり好ましくない。
コア粒子前駆体2として重合性モノマーを用いる場合は、予め重合開始剤が含まれていてもよい。一般的な重合開始剤として、有機過酸化物やアゾ重合開始剤などのラジカル開始剤等を例示できる。
有機過酸化物としては、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル等を例示できる。
アゾ重合開始剤としては、ADVN,AIBN等を例示できる。
例えば2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル-2,2-アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2-アゾビス(2-メチルブチルアミド)、2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-シアノ-2-プロピルアゾホルムアミド、2,2-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等である。
第三工程において予め重合開始剤が含まれた状態の重合性モノマーを用いれば、O/W型エマルションを形成した際にエマルションの液滴中に重合開始剤が含まれるため、後述する第三工程においてエマルションの液滴内部のモノマーを重合させる重合反応が進行しやすくなる。
第三工程における重合性モノマーと重合開始剤との重量比については特に限定されないが、通常、重合性モノマー100質量部に対し、重合開始剤が0.1質量部以上であることが好ましい。重合開始剤が0.1質量部未満となると重合反応が充分に進行せずに複合粒子5の収量が低下するため好ましくない。
熱可塑性ポリマーを溶融させた溶融ポリマーを得る方法としては、例えば常温で固体のポリマーを溶融させて液体とする。溶融ポリマーを前述のように超音波ホモジナイザー等による機械処理を加えながら、第二工程で得られた微細化セルロース1の分散液を、ポリマーの溶融状態を維持可能な温度にまで加熱した状態で、溶融ポリマーを添加することによって、分散液中で溶融ポリマー液滴をO/W型エマルションとして安定化することが好ましい。
非硬化性ポリマーを溶解させて溶解ポリマーを調製するための溶媒は、特に限定されないが、エマルションを安定化させるためには、有機溶媒を用いることが好ましい。例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン、セロソルブアセテート、イソホロン、ソルベッソ100、トリクレン、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、イソオクタン、ノナン等を用いることができる。
非硬化性ポリマーと溶媒の質量比は、特に限定されない。好ましくは、非硬化性ポリマーを100質量部に対し、溶媒の質量は0.005質量部以上900質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上400質量部以下であることが好ましい。
また、コア粒子前駆体2を含有する液体状の油相(分散相)には予め重合開始剤以外の他の機能性成分が含まれていてもよい。具体例として、溶媒、磁性体、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、顔料、染料、消臭剤、金属、金属酸化物、無機酸化物、等を例示できる。重合性モノマーに予め重合開始剤以外の他の機能性成分が含まれている場合、製造された複合粒子5のコア粒子内部に機能性成分を含有させることができ、用途に応じた機能発現が可能となる。
(第四工程)
第四工程は、図2に示すように、コア粒子前駆体2を固体化させることにより、液滴6を固体化させ、コア粒子3が被覆層10で被覆された複合粒子5を得る工程である。
コア粒子前駆体2を固体化する具体的方法は、コア粒子前駆体2の材質に応じて変化するため、コア粒子前駆体2を固体化させる方法については特に限定されない。コア粒子前駆体2として重合性を有する化合物を用いた場合、加熱や紫外線照射等にて重合することにより固体化できる。コア粒子前駆体2として溶融ポリマーを用いた場合、溶融ポリマーを冷却して凝固させて固体化させることができる。コア粒子前駆体2として溶解ポリマーを用いた場合、液滴6内部の溶媒を分散溶媒4に拡散させる方法や、溶媒を蒸発させる方法により溶媒を除去し、ポリマーを固体化できる。
重合性モノマーを用いる場合、重合する方法については特に限定されず、用いた重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜決定できる。重合法の一例として懸濁重合法が挙げられる。
具体的な懸濁重合の方法についても特に限定されず、公知の方法を用いて実施することができる。例えば、第三工程で得られたO/W型エマルションを攪拌しながら加熱することにより、コア粒子前駆体2を固体化できる。攪拌の方法も特に限定されず、公知の方法を用いることができ、具体的にはディスパーや攪拌子を用いることができる。
攪拌せずに加熱処理のみで固体化できる場合もある。加熱時の温度条件については重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜決定でき、例えば20℃以上150℃以下でもよい。20℃未満であると重合の反応速度が低下する場合があり、150℃を超えると微細化セルロース1が変性する場合がある。
重合反応に供する時間は重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜でき、例えば1時間~24時間程度でもよい。
重合反応は、電磁波の一種である紫外線照射処理によって実施してもよい。また、電磁波以外にも電子線などの粒子線を用いてもよい。
熱可塑性ポリマーを用いる場合、溶融ポリマーを相転移させることにより固体化させる。相転移の方法としては、冷却が典型的である。このとき、冷却速度を制御することにより熱可塑性ポリマーの結晶化度を制御することができる。冷却の具体的方法として、水あるいは氷水に拡散させる方法や、液体窒素等の冷媒に接触させる方法、放冷する方法等を例示できる。
非硬化性ポリマーを用いる場合、溶解ポリマーから溶媒を除去することにより固体化させる。溶媒を除去する方法としては特に限定されず、加熱する方法や減圧する方法、電磁波を照射する方法、およびこれらの組み合わせを例示できる。
溶解ポリマーの溶媒を蒸発させる方法としては、具体的には、加熱又は/及び減圧乾燥により溶媒を蒸発させ、除去する。前記溶媒の沸点が水より低いと、溶媒を選択的に除去することが可能である。特に限定されないが、減圧条件下で加熱することにより効率的に溶媒を除去することができる。加熱温度は20℃以上100℃以下であることが好ましく、圧力は600mHg以上750mmHg以下であることが好ましい。
溶解ポリマーの溶媒を分散溶媒4に拡散させる方法は、具体的には前記O/W型エマルション液に更に他の溶媒や塩を添加することにより液滴6内部の溶媒を分散溶媒4に拡散させる。分散溶媒4への溶解性の低い溶媒が経時的に分散溶媒4の水相へと拡散して行くことで、溶解ポリマーが析出して粒子として固体化させることができる。
第四工程が終了すると、ポリマーを含むコア粒子3が微細化セルロース1によって被覆された略真球状の複合粒子5が得られる。得られた直後の複合粒子5においては、表在する微細化セルロース1の少なくとも一部に有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aが結合している。また、複合粒子5の粒径は比較的揃っており、均一度が高い。
第四工程終了後間もない分散液は、複合粒子5と、多量の水と、コア粒子3と一体化せずに遊離している微細化セルロース1とが混在した状態となっている。
この分散液から複合粒子5のみを取り出す際の回収・精製方法としては、遠心分離による洗浄や、ろ過洗浄等を例示できる。遠心分離による洗浄方法としては公知の方法を用いることができる。例えば、遠心分離で分散液中の複合粒子5を沈降させてから上澄みを除去し、水・メタノール混合溶媒に再分散する操作を繰り返し、最終的に遠心分離によって得られた沈降物から残留溶媒を除去することで複合粒子5を回収できる。ろ過洗浄についても公知の方法を用いることができる。例えば、孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて水とメタノールで吸引ろ過を繰り返し、最終的にメンブレンフィルター上に残留したペーストから残留溶媒を除去することで複合粒子5を回収できる。
いずれの場合も、残留溶媒の除去方法は特に限定されず、風乾やオーブンで熱乾燥にて実施することが可能である。複合粒子5を含む乾燥固形物は膜状や凝集体状にはならず、きめ細やかな粉体として得られる。
上記工程により得られた複合粒子5の収率は、30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上である。有機オニウムイオン/アンモニウムイオン7aを結合した微細化セルロース1を用いることで、安定したエマルションを得ることができ、高い収率で複合粒子5を安定的に作製することができる。
収率は、複合粒子5の乾燥固形物の重量(g)/製造に用いたコア粒子前駆体2の樹脂重量(g)×100として算出することができる。
(第五工程)
第五工程は、得られた複合粒子5から有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aを取り除く工程である。第五工程は、必要に応じて第四工程の後に行われるものであり、複合粒子5の用途等に鑑みて不要であれば省略されてもよい。
上述したように、製造直後の複合粒子5においては、微細化セルロース1の一部が対イオンとして有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aを有する。複合粒子5の用途等に関連して、有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aの存在が好ましくない場合や、有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aとは異なるカチオン性物質をイオン結合として微細化セルロース1に結合したい場合、第五工程を行って有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aを除去してもよい。
有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aを取り除く方法としては、イオン交換が挙げられる。酸性化合物を含む水溶液中に有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aを有する複合粒子5を分散させ、さらに純水で洗浄することで有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aを除去できる。有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aを除去した後に所望のカチオン性化合物を添加し、微細化セルロース1のアニオン性官能基に有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aと異なるカチオン性物質をイオン結合により結合させても構わない。
以上説明したように、本実施形態に係る複合粒子5は、表面に被覆層10として存在する微細化セルロース1に由来した、高い生体親和性と、良好な分散安定性を有する。
また、有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aが結合した微細化セルロース1を用いて形成されるため、広範な種類の樹脂でコア粒子3を形成でき、多種多様な用途に対応可能な複合粒子を簡便な方法で得られる。例えば、従来製造が困難であった熱可塑性を有する複合粒子も簡便に製造できる。
さらに、有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン7aにより微細化セルロース1が疎水性を獲得することで、両親媒性となる。その結果複合粒子5の収率が著しく向上するとともに、粒径分布も均一化し、材料としても優れたものとなる。
複合粒子5の乾燥固形物は、微細化セルロース1の材料特性を発揮するものでありながら、きめ細やかな粉体として得られ、粒子同士の凝集がないため、再び溶媒に分散することも容易である。微細化セルロース1とコア粒子3とは不可分に結合しているため、再分散後も微細化セルロース1の特性に由来した安定した分散を示す。
本実施形態に係る複合粒子5の製造方法は、微細化セルロース1の特性を発揮する粒子を、乾燥状態で流通可能な状態で簡便に取得できる。したがって、環境への負荷が低く、輸送費の削減、腐敗リスクの低減、添加剤としての添加効率の向上、疎水性樹脂への混練効率向上といった効果も期待できる。
本発明の実施例について、実施例を用いてさらに説明する。本発明の技術的範囲は、実施例の具体的内容について何ら制限されない。
以降の説明において、「%」は、特にことわりない限り、質量%を意味する。
<実施例1>
(第一工程:微細化セルロース分散液を得る工程)
(木材セルロースのTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの質量に対して、水酸化ナトリウムの添加量の合計が3.0mmol/gに達した時点で、約100mLのエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、TEMPO酸化セルロース(酸化セルロース、酸化パルプ)を得た。
(酸化セルロースのカルボキシ基量測定)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプを固形分質量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。
(酸化セルロースの解繊処理)
上記TEMPO酸化で得た酸化セルロース0.5gを99.5gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、濃度0.5%の微細化セルロース水分散液を得た。
(微細化セルロースの評価)
得られた酸化セルロース、微細化セルロース(セルロースナノファイバー)について、カルボキシ基量、結晶化度、長軸の数平均軸径、光線透過率及びレオロジーの測定や算出を次のように行った。得られた微細化セルロースの評価結果を表1、図3、図4に示す。
(カルボキシ基量の測定)
分散処理前の酸化セルロースについて、カルボキシ基量を以下の方法にて算出した。
酸化セルロースの乾燥質量換算0.2gをビーカーに採り、イオン交換水80mLを添加した。
そこに、0.01mol/L塩化ナトリウム水溶液5mLを加え、攪拌しながら、0.1mol/L塩酸を加えて、全体がpH2.8となるように調整した。
また、自動滴定装置(商品名:AUT-701、東亜ディーケーケー社製)を用いて、0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を0.05mL/30秒で注入し、30秒毎の電導度とpH値を測定し、pH11まで測定を続けた。
得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウムの滴定量を求め、カルボキシ基の含有量を算出した。
(結晶化度の算出)
TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
TEMPO酸化セルロースについて、試料水平型多目的X線回折装置(商品名:UltimaIII、Rigaku社製)を用い、X線出力:(40kv、40mA)の条件で、5°≦2θ≦35°の範囲でX線回折パターンを測定した。得られるX線回折パターンはセルロースI型結晶構造に由来するものであるため、下記の式(2)を用い、以下に示す手法により、TEMPO酸化セルロースの結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=〔(I22.6-I18.5)/I22.6〕×100・・・(2)
ただし、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。
(微細化セルロースの長軸の数平均軸径の算出)
原子間力顕微鏡を用いて、微細化セルロースの長軸の数平均軸径を算出した。
まず、微細化セルロース水分散液を0.001%となるように希釈した後、マイカ板上に20μLずつキャストして風乾した。
乾燥後に原子間力顕微鏡(商品名:AFM5400L、日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、DFMモードで微細化セルロースの形状を観察した。
微細化セルロースの長軸の数平均軸径は、原子間力顕微鏡による観察画像から100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求めた。
(微細化セルロース水分散液の光線透過率の測定)
微細化セルロース0.5質量%の水分散液について、光線透過率を測定した。
石英製のサンプルセルの一方にはリファレンスとして水を入れ、もう一方には気泡が混入しないように微細化セルロース水分散液を入れ、光路長1cmにおける波長220nmから800nmまでの光線透過率を分光光度計(商品名:NRS-1000、日本分光社製)にて測定した。
(レオロジー測定)
微細化セルロース0.5質量%の分散液のレオロジーをレオメーター(商品名:AR2000ex、ティー・エイ・インスツルメント社製)傾斜角1°のコーンプレートにて測定した。
測定部を25℃に温調し、せん断速度を0.01s-1から1000s-1について連続的にせん断粘度を測定した。その結果を図4に示す。図4から明らかなように、微細化セルロース分散液はチキソトロピック性を示した。せん断速度が10s-1と100s-1のときのせん断粘度を表1に示す。
Figure 2023005014000004
図3から明らかなように、微細化セルロース水分散液は高い透明性を示した。また、微細化セルロース水分散液に含まれる微細化セルロース(TEMPO酸化CNF)の数平均短軸径は3nm、数平均長軸径は831nmであった。更に、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行った結果を図4に示す。図4から明らかなように、微細化セルロース分散液はチキソトロピック性を示した。
(第二工程)
(対イオン置換による有機オニウムカチオン導入)
前記微細化セルロース分散液をスターラーで攪拌しながら、有機オニウム化合物であるテトラブチルアンモニウムクロリド(TBACl)を微細化セルロースのカルボキシ基に対して1.0当量加えた。スターラーを用いて1時間撹拌し、対イオン置換により有機オニウムカチオンが導入されたイオン結合微細化セルロース分散液を得た。
(第三工程)
(O/W型エマルションを作製する工程)
コア粒子前駆体として、重合性モノマーである単官能性メタクリレート、イソボルニルメタクリレート(以下、「IB-X」とも称する。)10gを用い、重合開始剤である2、2-アゾビス-2、4-ジメチルバレロニトリル(以下、「ADVN」とも称する。)を1g溶解させた。IB-X/ADVN混合溶液全量を、濃度1%の微細化セルロース分散液40gに対し添加した。IB-X/ADVN混合溶液と分散液とは、それぞれ透明性の高い状態で2相に分離した。
次に、2相分離した状態の混合液における上相の液面から超音波ホモジナイザーのシャフトを挿入し、周波数24kHz、出力400Wの条件で、超音波ホモジナイザー処理を3分間行った。超音波ホモジナイザー処理後の混合液は、白濁した乳化液の状態となった。混合液一滴をスライドグラスに滴下し、カバーガラスで封入して光学顕微鏡で観察したところ、数μm以下のIB-Xのエマルション液滴が多数観察され、O/W型エマルションとして分散安定化している様子が確認された。
(第四工程)
(コア粒子前駆体の固体化により微細化セルロースで被覆された複合粒子を得る工程)
O/W型エマルション分散液を、ウォーターバスを用いて70℃の湯浴中に供し、攪拌子で攪拌しながら8時間処理し、重合反応を実施した。8時間処理後に上記分散液を室温まで冷却し、コア粒子前駆体を固体化して、分散液中に複合粒子を生成した。重合反応の前後で分散液の外観に変化はなかった。
得られた分散液を遠心分離(75000g、5分間)して複合粒子を含む沈降物を得た。デカンテーションにより上澄みを除去して沈降物を回収し、さらに孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水とメタノールで繰り返し洗浄した。こうして精製・回収された複合粒子を1%濃度で純水に再分散させ、粒子形状画像解析装置(セイシン企業、PITA-04)を用いて粒径を測定したところ平均粒径(メジアン値)は1.3μmであった。複合粒子を風乾し、室温25度にて真空乾燥処理を24時間実施したところ、きめ細やかな乾燥粉体となり、凝集や膜状化を生じなかった。
(SEMによる複合粒子の形状観察)
上記乾燥粉体のSEM像を図5に示す。図5の(a)は倍率2万倍、(b)は倍率5万倍の像である。第三工程および第四工程において、O/W型エマルション液滴を鋳型として重合反応を実施したことにより、エマルション液滴の形状に由来した真球状の複合粒子5が多数得られ、粒径の均一度も高いことが図5の(a)からわかる。
図5の(b)より、複合粒子の表面は幅数nm程度の微細化セルロース1によってまんべんなく被覆されていることがわかる。図5は、繰り返しろ過洗浄した後の複合粒子の像であることから、本発明の複合粒子5において、コア粒子3と微細化セルロース1とは結合しており、不可分の状態にあることが示された。
(複合粒子の粒度分布)
上記乾燥粉体の粒度分布をベックマン・コールター社製の粒度分布計LS-13320により測定した結果を図8に示す。粒度分布は平均粒径(メジアン値)が1.3μmとして、粒径が10μm以下の範囲にほぼ収まっており、SEM像と良好な一致を示した。
<実施例2~8>
アルカリ種として有機オニウム化合物であるテトラブチルアンモニウムクロリド(TBACl)に代えて以下の有機オニウム化合物を使用した点を除き、実施例1と同様の手順で実施例2~8に係る複合粒子を作製した。
実施例2 テトラブチルアンモニウムブロミド(TBABr)
実施例3 テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)
実施例4 テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)
実施例5 アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)
実施例6 ジメチルステアリルアミン(DMSA)
実施例7 ステアリルアミン
実施例8 トリヘキシルアミン
<実施例9~12>
有機オニウム化合物であるテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)を微細化セルロースのカルボキシ基に対して下記の量添加した点を除き、実施例3と同様の手順で実施例9から実施例12に係る複合粒子を作製した。
実施例9 0.01当量
実施例10 0.05当量
実施例11 0.25当量
実施例12 0.50当量
<実施例13~15>
IB-Xに代えて、以下のモノマー・オリゴマーをコア粒子前駆体とした点を除き、実施例1と同様の手順で実施例13から実施例15に係る複合粒子を作製した。
実施例13 単官能性アクリレートであるイソボニルアクリレート(IB-XA)
実施例14 単官能性ビニルモノマーであるp-メチルスチレン(p-MeSt)
実施例15 二官能性ウレタンアクリレートオリゴマー(UA4200)
<実施例16>
コア粒子前駆体として、ポリカプロラクトン(PCL、分子量10,000)を使用した。第三工程において、PCLの20%MEK溶液を微細化セルロース分散液に添加した。この分散液を75℃に加熱して超音波ホモジナイザー処理を行い、O/W型エマルションとした後、第四工程において、重合反応を行う代わりに、氷水で冷却して液滴を固体化した。
それ以外は、実施例1と同様の条件で実施例16に係る複合粒子を作製した。
<実施例17>
TEMPO酸化CNFに代えて、特許文献2に記載されたカルボキシメチル化(以下、「CM化」とも称する。)処理を行って得られたCM化CNFを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で実施例17に係る複合粒子を作製した。
<実施例18>
実施例1において、TEMPO酸化の代わりに、先行技術文献として挙げた非特許文献1に従いリン酸エステル化処理を行って得られたリン酸エステル化CNF分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で実施例18に係る複合粒子を作製した。
<比較例1>
TEMPO酸化処理しない未処理パルプを用いた点を除き、実施例1と同様の手順で比較例1に係る粒子を作製した。
<比較例2>
TBAClを添加しなかった点を除き、実施例1と同様の手順で比較例1に係る粒子を作製した。
<比較例3>
TBAClを添加しなかった点を除き、実施例13と同様の手順で比較例3に係る粒子を作製した。
<比較例4>
TBAClを添加しなかった点を除き、実施例14と同様の手順で比較例4に係る粒子を作製した。
<比較例5>
TBAClを添加しなかった点を除き、実施例15と同様の手順で比較例5に係る粒子を作製した。
<比較例6>
TBAClを添加しなかった点を除き、実施例16と同様の手順で比較例6に係る粒子を作製した。
<比較例7>
TBAClを添加しなかった点を除き、実施例17と同様の手順で比較例7に係る粒子を作製した。
<比較例8>
TBAClを添加しなかった点を除き、実施例18と同様の手順で比較例8に係る粒子を作製した。
(第五工程:複合粒子5から有機オニウムカチオンを取り除く工程)
実施例1に係る複合粒子5の乾燥粉体を、固形分濃度1%となるようにpH2.5の塩化水素水溶液に加え、超音波洗浄機で5分間処理し、さらにスターラーにて30分間撹拌した。これにより、目視にて凝集のない懸濁液を得た。この懸濁液を、遠心分離(25000g、10分間)およびデカンテーションにより濃縮し、続いてpH4の塩化水素水溶液に加えて5分間スターラー撹拌してから、遠心分離およびデカンテーションでさらに濃縮した。その後純水で洗浄と濃縮を5回繰り返した。精製、回収した複合粒子を風乾し、さらに室温25度にて真空乾燥処理を24時間実施することで乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体をXPS解析したところ、TBAClに由来する窒素元は検出されず、有機オニウムカチオンが除去されたことを確認した。乾燥粉体を再び純水に加え、超音波処理したところ、良好な再分散を示した。
すべての実施例において上記処理を行い、有機オニウムカチオンの除去および良好な再分散を確認した。比較例については、第五工程を行わなかった。
表2に、実施例および比較例の内容をまとめて示す。
Figure 2023005014000005
表3に、実施例および比較例の評価結果を示す。評価項目および基準は以下の通りである。
(エマルション安定性)
第三工程で得られたО/W型エマルションを24時間静置した後においてO/W型エマルションを光学顕微鏡観察により観察し、100個の液滴の径を測定し、その最大値を最大液滴径とした。エマルション安定性が低いとクリーミングや凝集、液滴の合一などの不安定化により液滴径が大きくなる。
〇(good):最大液滴径が50μm以下である
×(bad):最大液滴径が50μmを超える
(複合粒子作製可否)
○(good):第四工程で得られた粒子を光学顕微鏡にて観察し、球状の複合粒子が多数得られている
×(bad):第四工程で得られた粒子を光学顕微鏡にて観察し、粒子が球状でない、または複合粒子が凝集した粗大な塊を認める
エマルションの安定性が高い場合、重合後もエマルションの液滴の形状が維持される。一方で、重合前や重合中にエマルションが不安定化すると、分離や合一により異形の樹脂や粗大化した樹脂が生じる。
・複合粒子の収率(%)
取得された複合粒子の重量(g)/製造に用いたコア粒子前駆体の樹脂重量(g)×100として算出した。
・複合粒子の平均粒径(メジアン値):粒子形状画像解析装置(PITA-04)を用いて求めた。粗大化した樹脂の塊が存在する場合は、これを除去して測定した。
・複合粒子の粒径均一性:光学顕微鏡観察により、100個の粒子の粒径を測定し、粒径の最大値と最小値との差を粒径範囲として算出した。評価は以下の2段階とした。
○(good):粒径範囲が50μm以下である
×(bad):粒径範囲が50μmを超える
Figure 2023005014000006
表2に示すように、各実施例では、微細化セルロース分散液中で様々な種類のコア粒子前駆体が安定性したエマルションを形成し、良好に高収率で、粒子径が小さく均一な複合粒子が形成された。これは、微細化セルロースの分散液に後から各種有機オニウム化合物/アミンを添加して攪拌するという非常に簡便な方法にて、有機オニウム化合物/アミン由来の有機オニウムイオン/アンモニウムイオンが親水性の微細化セルロースの表面の一部に結合することにより表面が疎水化され、コア粒子前駆体への吸着力が向上したことよると考えられる。
実施例1から実施例8のように、TBACl、TBABr、TBAH、TMAH、DMBA、DMSA、ステアリルアミン、トリヘキシルアミンといった様々な有機オニウム化合物/アミンを用いることができる。図5に示した実施例1に係る複合粒子のSEM像では、数μm以下と粒径が小さく均一な球状粒子が生成されていることが分かる。また、粒子の表面を観察すると繊維状の凹凸が見られ、微細化セルロースが被覆されていることが示唆された。
更に、驚くべきことに、微細化セルロースのアニオン性官能基に対してTBAHを1当量未満しか添加していない実施例9から実施例12においても安定したエマルションが形成され、粒子径の均一な複合粒子を高収率に得ることができた。図6に、実施例10に係る複合粒子のSEM像を示す。(a)および(b)の倍率は、図5と同様である。図6の(a)より、全体として数μm以下と微小な球状粒子が多く生成されており、図6の(b)より、複合粒子の表面には繊維状の凹凸が多数見られ、微細化セルロースからなる被覆層10が形成されていることがわかる。また、図8の粒度分布からも、実施例10においては全体として微小な粒子が生成されていることが確認できる。
実施例13から実施例16に示されるように、IB-XA、pMe-St、UA4200、PCLといった、IB-X以外の様々なコア前駆体、コア粒子においても、高収率で、粒子径の均一な複合粒子を得ることができた。
実施例17および実施例18に示されるように、CM化、リン酸エステル化といった、TEMPO酸化以外の各種アニオン性官能基を有する微細化セルロースを使用しても、有機オニウム化合物/アミンを後から添加する簡便な方法によって、微細化セルロース表面を疎水化し、高収率にて粒子径の均一な複合粒子を得ることができた。
比較例1から比較例7においても複合粒子を得ることができたが、エマルション安定性が低いために収率が下がり、粒径が大きく、粒径の均一性も低かった。図7に、比較例2に係る複合粒子の乾燥粉体のSEM像を示す。(a)および(b)の倍率は、図5と同様である。図7の(a)より、比較例1では、粗大化した複合粒子が多数存在し、粒度分布が均一でないことが分かる。粗大化した複合粒子においては、図7の(b)に示すようにコア粒子の表面の多くが露出しており、微細化セルロースはわずかしか結合していなかった。
比較例1から比較例8の複合粒子を光学顕微鏡にて観察したところ、最大粒径が50μm以上であり、粒度分布計PITA-04のセルに詰まる可能性があったため、粒度分布測定を実施できなかった。比較例2において粗大粒子を取り除き、粒度分布計にて粒度分布を評価したところ、図8のように実施例1、実施例10と比較して粒子径が大きい傾向が認められ、粒子径のバラつきも大きかった。
本発明に係る複合粒子は、添加剤としての添加効率、樹脂との混練効率が向上し、また輸送効率向上や腐敗防止の観点からコスト削減にも寄与するなど、産業実施の観点から好ましい効果が得られる。本複合粒子は、粒子表面の微細化セルロースおよびコア粒子を構成するポリマーの特性を活かすことによって、色材、吸着剤、化粧顔料、徐放材、消臭剤、抗菌性医療用部材、パーソナルケア用品向け抗菌性物品、包装材料、色素増感太陽電池、光電変換材料、光熱変換材料、遮熱材料、光学フィルター、ラマン増強素子、画像表示素子、磁性粉、触媒担持体、ドラッグデリバリーシステム、などに適用することができる。
1 微細化セルロース
2 コア粒子前駆体
3 コア粒子
4 分散溶媒
5 複合粒子
6 液滴
7a 有機オニウムカチオン/アンモニウムイオン
10 被覆層

Claims (14)

  1. セルロース原料を分散溶媒中で解繊して、微細化セルロースが分散された微細化セルロース分散液を得る第一工程と、
    前記微細化セルロース分散液に、有機オニウム化合物またはアミンを添加して、有機オニウムイオンまたはアンモニウムイオンが結合した微細化セルロースを含むイオン結合微細化セルロース分散液を得る第二工程と、
    前記イオン結合微細化セルロース分散液中においてコア粒子前駆体を含む液滴をエマルションとして安定化させる第三工程と、
    前記コア粒子前駆体を固体化させてコア粒子とし、前記コア粒子と不可分に結合した前記微細化セルロースが前記コア粒子を被覆した複合粒子を得る第四工程と、
    を備える、
    複合粒子の製造方法。
  2. 前記第四工程の後に、前記微細化セルロースと結合した前記有機オニウムイオンまたはアンモニウムイオンを除去する第五工程をさらに備える、
    請求項1に記載の複合粒子の製造方法。
  3. 前記有機オニウム化合物またはアミンの添加量は、前記微細化セルロースに含まれるアニオン性官能基に対して0.02当量以上1.8当量以下である、
    請求項1または2に記載の複合粒子の製造方法。
  4. 前記有機オニウム化合物またはアミンが有するカチオン構造の対イオンが塩化物イオンまたは臭化物イオンである、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の複合粒子の製造方法。
  5. 前記複合粒子の収率が60%以上である、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の複合粒子の製造方法。
  6. 少なくとも1種類のポリマーを含むコア粒子と、
    前記コア粒子と不可分に結合して前記コア粒子の表面上に配置された、アニオン性官能基を有する微細化セルロースと、
    を備え、
    前記微細化セルロースの少なくとも一部に有機オニウムイオンまたはアンモニウムイオンが結合している、
    複合粒子。
  7. 前記有機オニウムイオンは、窒素、リン、水素、硫黄から選ばれる少なくとも1種類の原子を含む、
    請求項6に記載の複合粒子。
  8. 前記有機オニウムイオンが第4級アンモニウムイオンである、
    請求項6または7に記載の複合粒子。
  9. 前記微細化セルロースの少なくとも一部に、前記アンモニウムイオンとして第1級アンモニウムイオン、第2級アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオンのいずれかが結合している、
    請求項6に記載の複合粒子。
  10. 前記複合粒子の平均粒径が50μm以下である、
    請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の複合粒子。
  11. 前記微細化セルロースの少なくとも一部に、更に金属イオンが結合している、
    請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の複合粒子。
  12. 前記ポリマーは、重合性官能基を有する少なくとも1種類以上のモノマーが重合されたものである、
    請求項6から請求項11のいずれか一項に記載の複合粒子。
  13. 前記ポリマーが熱可塑性ポリマーである、
    請求項6から請求項12のいずれか一項に記載の複合粒子。
  14. 前記コア粒子が生分解性材料を含有する、
    請求項6から請求項13のいずれか一項に記載の複合粒子。
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