JP2021172697A - 複合粒子および複合粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な種類のコア粒子に微細化セルロースが安定して吸着した複合粒子および複合粒子の製造方法を提供する。【解決手段】複合粒子5は、少なくとも1種類のコア粒子3を含み、前記コア粒子3の表面にアニオン性官能基を有する微細化セルロース1が結合し、前記微細化セルロース1は、体積基準粒度分布が2以上の粒径ピークを有し、前記粒径ピークは、体積基準粒度径が0.01μm以上20μm以下の範囲に有る。【選択図】図1

Description

本発明は、微細化セルロースとコア粒子から成る複合粒子および複合粒子の製造方法に関する。
近年木材中のセルロース繊維を、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化し、新規な機能性材料として利用しようとする試みが活発に行われている。
例えば、特許文献1に示されるように、木材セルロースに対しブレンダーやグラインダーによる機械処理を繰り返すことで、微細化セルロース、すなわちセルロースナノファイバー(以下CNFとも称する)が得られることが開示されている。この方法で得られるCNFは、短軸径が10〜50nm、長軸径が1μmから10mmに及ぶことが報告されている。このCNFは、鋼鉄の1/5の軽さで5倍以上の強さを誇り、250m/g以上の膨大な比表面積を有することから、樹脂強化用フィラーや吸着剤としての利用が期待されている。
また、木材中のセルロース繊維を微細化しやすいように予め化学処理したのち、家庭用ミキサー程度の低エネルギー機械処理により微細化してCNFを製造する試みが活発に行われている。上記化学処理の方法は特に限定されないが、セルロース繊維にイオン性官能基を導入して微細化しやすくする方法が好ましい。セルロース繊維にイオン性官能基が導入されることによってセルロースミクロフィブリル構造間に浸透圧効果で溶媒が浸入しやすくなり、セルロース原料の微細化に要するエネルギーを大幅に減少することができる。上記イオン性官能基の導入方法としては特に限定されないが、例えば非特許文献1にはリン酸エステル化処理を用いて、セルロースの微細繊維表面を選択的にリン酸エステル化処理する方法が開示されている。また、特許文献2には、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行う方法が開示されている。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。
また、比較的安定なN−オキシル化合物である2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル(TEMPO)を触媒として用い、セルロースの微細繊維表面を選択的に酸化する方法も報告されている(例えば、特許文献3を参照)。TEMPOを触媒として用いる酸化反応(TEMPO酸化反応)は、水系、常温、常圧で進行する環境調和型の化学改質が可能であり、木材中のセルロースに適用した場合、結晶内部には反応が進行せず、結晶表面のセルロース分子鎖が持つアルコール性1級炭素のみを選択的にカルボキシ基へと変換することができる。
TEMPO酸化によって選択的に結晶表面に導入されたカルボキシ基同士の電離に伴う浸透圧効果により、溶媒中で一本一本のセルロースミクロフィブリル単位に分散させた、セルロースシングルナノファイバー(以下CSNFとも称する)を得ることが可能となる。CSNFは表面のカルボキシ基に由来した高い分散安定性を示す。木材からTEMPO酸化反応によって得られる木材由来のCSNFは、短軸径が3nm前後、長軸径が数十nm〜数μmに及ぶ高アスペクト比を有する構造体であり、その水分散液および成形体は高い透明性を有することが報告されている。また、特許文献4にはCSNF分散液を塗布乾燥して得られる積層膜が、ガスバリア性を有することが報告されている。
微細化セルロース(CSNF、CNF、CNC、セルロースナノファイバーを含む)を用いた塗工用組成物の例としては、例えば特許文献5にTEMPO酸化セルロースナノファイバーを含む水性塗液をアンカー層上にコーティングして積層体を形成する方法が開示されており、良好な塗工性を持ちバリア性を有する積層体が得られることが報告されている。或いは、特許文献6にセルロースナノファイバーのアスペクト比の高い繊維同士の絡み合いや増粘特性、カルボキシ基に由来する電荷の影響によりカーボン微粒子を分散安定化させたTEMPO酸化セルロースナノファイバーを含む塗液が開示されている。
一方、CNFの実用化に向けては、得られるCNF分散液の固形分濃度が0.1〜5%程度と低くなってしまうことが課題となっている。例えば微細化セルロース分散液を輸送しようとした場合、大量の溶媒を輸送するに等しいため輸送費の高騰を招き、事業性が著しく損なわれるという問題がある。また、樹脂強化用の添加剤として用いる際にも、固形分が低いことによる添加効率の悪化や、溶媒である水が樹脂と馴染まない場合には複合化が困難となるといった問題がある。また、含水状態で取り扱う場合、腐敗の恐れもあるため、冷蔵保管や防腐処理などの対策が必要となり、コストが増加する恐れもある。
しかしながら、単純に熱乾燥などで微細化セルロース分散液の溶媒を除去してしまうと、微細化セルロース同士が凝集・角質化し、あるいは膜化してしまい、添加剤として安定な機能発現が困難になってしまう。さらにCNFの固形分濃度が低いため、乾燥による溶媒除去工程自体に多大なエネルギーがかかってしまうことも事業性を損なう一因となる。
CNFを分散液の状態で取り扱うこと自体が事業性を損なう原因となるため、CNFを容易に取り扱うことができる新たな取り扱い様態を提供することが強く望まれている。
高アスペクト比を有するCNFが近年開発され、各種用途への適用が検討されている一方、低アスペクト比ではあるがセルロースの非晶部位を除去し、高結晶性部のみを取り出したナノサイズを有する微細化セルロースとして、セルロースナノクリスタル(以下、CNCとも記述する)が開発されている。CNCは主にセルロースを加水分解処理し非晶部を分解した後に精製することで製造される。加水分解としては、たとえばセルロース原料を硫酸、塩酸、臭化水素酸等の水溶液中に懸濁させる方法を用いることができる。その工程の簡便さからCNFと比較して高いコストメリットを有する。
CNCは、直径数nmから数十nm、長さ数百nmの針状粒子としての外観を有する。アスペクト比が低いことに伴い繊維同士の絡み合いが極めて低く、また製造過程で一部の水酸基に硫酸イオンによるアニオン性が導入されており繊維同士が静電反発する。これにより、CNFと比較して水中において増粘しにくく、分散安定性が高いため高濃度での充填が可能である。さらに前述のように結晶性部位のみを抽出しているため、CNFと比較して耐熱性が向上している点が特徴の一つとされている。また、高い結晶性に由来する高強度高ヤング率を活かし、土木建築分野や自動車、航空産業分野における補強材用途、或いは塗料や掘削泥水等の流動性調整剤等に使用されており、今後さらに幅広い分野での応用展開が期待されている。
このように、カーボンニュートラル材料である微細化セルロースに新たな機能性を付与する高機能部材開発に関して様々な検討がなされている。
一方、従来から様々な分野における機能性材料として、各種マイクロ粒子やマイクロカプセルが実用化されている。通常マイクロ粒子は各種ポリマーから形成されたマイクロサイズオーダーの粒子であり、充填材、スペーサー、研磨剤、等として利用されている。また、マイクロ粒子を芯物質として粒子表面を壁膜で被覆したマイクロカプセル構造とすることにより、さらなる機能性の付与・発現が試みられている。具体的には、芯物質内に磁性体、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、顔料、染料、等の機能性材料を取込ませた上でマイクロカプセル化することで、該機能性材料の保護や、放出挙動の制御などが可能となる。芯物質を覆う壁膜自体に機能性材料をさらに付与することも可能である。
ここで、マイクロサイズオーダーのマイクロ粒子は高比表面積のため一般的に凝集しやすく、分散安定性が課題となっている。また、用途によっては生分解性や生体親和性が要求される。
特許文献7には、ポリマー粒子に微細化セルロールが結合した複合粒子が記載されている。特許文献7に記載の複合粒子は、ポリマー粒子や微細化セルロールの新たな取り扱い態様を提供する。また、様々な機能を有するポリマー粒子に微細化セルロールを結合させることで、微細化セルロールに新たな機能性を付与することができる。様々な種類のコア粒子に微細化セルロースを、より安定して吸着させることが望まれている。
特開2010−216021号公報 国際公開第2014/088072号 特開2008−001728号公報 国際公開第2013/042654号 特許第5928339号公報 特許第6020454号公報 国際公開第2019/135384号
Noguchi Y, Homma I, Matsubara Y. Complete nanofibrillation of cellulose prepared by phosphorylation. Cellulose. 2017;24:1295.10.1007/s10570-017-1191-3
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、様々な種類のコア粒子に微細化セルロースが安定して吸着した複合粒子および複合粒子の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る複合粒子は、複合粒子は、少なくとも1種類のコア粒子を含み、前記コア粒子の表面にアニオン性官能基を有する微細化セルロースが結合し、前記微細化セルロースは、体積基準粒度分布が2以上の粒径ピークを有し、前記粒径ピークは、体積基準粒径が0.01μm以上20μm以下の範囲に有る。
本発明の一態様に係る複合粒子の製造方法は、セルロース原料を溶媒中で解繊して、体積基準粒径が0.01μm以上20μm以下の範囲に2以上の粒径ピークを有する微細化セルロースの分散液を得る第1工程と、前記分散液を含む媒体中においてコア粒子前駆体を液滴として分散させ、前記コア粒子前駆体の表面を前記微細化セルロースで被覆し、エマルションとして安定化させる第2工程と、前記液滴を固体化して前記微細化セルロースでコア粒子が被覆された複合粒子を得る第3工程と、を備える。
本発明の複合粒子および複合粒子の製造方法の一態様によれば、様々な種類のコア粒子に安定して吸着した複合粒子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る複合粒子の概略図である。 同複合粒子の外観のSEM像(倍率:200倍)である。 同複合粒子の外観のSEM像(倍率:30,000倍)である。 本発明を用いない場合における複合粒子の外観のSEM像(倍率:30,000倍)である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、本実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<複合粒子5>
まず、本発明の一実施形態に係る微細化セルロース/コア粒子の複合粒子5について説明する。なお、コア粒子の一様態は樹脂であり、少なくとも1種類のポリマーを含む。図1は、微細化セルロース1を用いたO/W型ピッカリングエマルションと、エマルション内部の液体状のコア粒子前駆体2(以下、単に「液滴2」とも称する)を固体化することで得られる複合粒子5の概略図である。
複合粒子5は、少なくとも一種類のコア粒子3を含み、コア粒子3の表面に、微細化セルロース1により構成された微細化セルロース層10を有し、コア粒子3と微細化セルロース1とが結合した状態にある複合粒子である。
複合粒子5の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、コア粒子前駆体として重合性官能基を有するモノマー(重合性モノマーとも称する)を用いて、重合過程で粒子形成を行う重合造粒法(乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法、放射線重合法等)、微小液滴化したポリマー溶液から粒子形成を行う分散造粒法(スプレードライ法、液中硬化法、溶媒蒸発法、相分離法、溶媒分散冷却法等)が挙げられる。製造方法の詳細は後述する。
例えば、親水性溶媒に分散したコア粒子3の液滴2の界面に微細化セルロース1が吸着することによって、O/W型ピッカリングエマルションが安定化し、安定化状態を維持したままエマルション内部の液滴2を固体化することによって、エマルションを鋳型とした複合粒子5が作製することができる。
なお、コア粒子前駆体を固体化とは、(1)重合性モノマー液滴を重合すること、(2)ポリマー液滴を固体化すること、(3)重合性モノマー液滴およびポリマー液滴を固体化することを含む。
このとき、液滴2の界面に微細化セルロース1が吸着してO/W型ピッカリングエマルションが安定化するメカニズムについては、吸着による界面エネルギーの低下による作用が推察されている。微細化されナノサイズからミクロンサイズとなった固体粒子である微細化セルロース1は、物理的な力により液滴界面に吸着され、水相に対してセルロースの障壁を形成する。一度吸着し界面を形成すると、脱着にはより大きなエネルギーが必要とされるため、エマルション構造は安定化する。さらに、微細化セルロースは両親媒性があり、疎水性を有する液滴2に対して微細化セルロース1の疎水性側が吸着し、親水性である微細化セルロースの分散溶媒側に親水性を向けることにより、液滴界面の安定化が向上するといった作用も推察されている。但し、この界面における吸着力は、固体粒子の油相と水相への親和性の高さ、つまり微細化セルロースの液体状のコア粒子前駆体と微細化セルロースの分散溶媒への親和性に依存する。
複合粒子5において微細化セルロース1とコア粒子3の結合メカニズムについては定かではないが、複合粒子5が微細化セルロース1によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として作製されるため、エマルション内部の液滴2に微細化セルロース1が接触した状態で液滴2の固体化が進むために、物理的に微細化セルロース1が固体化する液滴2に固定化されて、最終的にコア粒子3と微細化セルロース1とが結合した状態に至ると推察される。
ここで、O/W型エマルションは、水中油滴型(Oil−in−Water)とも言われ、水を連続相とし、その中に油が油滴(油粒子)として分散しているものである。
また、複合粒子5は微細化セルロース1によって安定化されたO/W型エマルションを鋳型として作製されるため、複合粒子5の形状はO/W型エマルションに由来した真球状となることが特徴である。詳細には、真球状のコア粒子3の表面に微細化セルロース1からなる微細化セルロース層10が比較的均一な厚みで形成された様態となる。微細化セルロース層10の平均厚みは複合粒子5を包埋樹脂で固定したものをミクロトームで切削して走査型電子顕微鏡観察を行い、画像中の複合粒子5の断面像における微細化セルロース層10の厚みを画像上で100箇所ランダムに測定し、平均値を取ることで算出できる。また、複合粒子5は比較的揃った厚みの微細化セルロース層10で均一に被覆されていることが特徴であり、具体的には上述した微細化セルロース層10の厚みの値の変動係数は0.5以下となることが好ましく、0.4以下となることがより好ましい。
なお、本実施形態における微細化セルロース1は特に限定されないが、結晶表面にアニオン性官能基を有しており、当該アニオン性官能基の含有量が、セルロース1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下であることが好ましい。
微細化セルロース1は、少なくとも体積基準粒度分布が0.01μm以上20μm以下の体積基準粒径の範囲にあり、2以上の粒径ピークを有する。また、2以上の粒径ピークは、体積基準粒径が0.01μm以上20μm以下の範囲に有る。ここで、体積基準粒度分布とは、微細化セルロースの水分散液中でのサイズ分布を体積基準で測定した分布である。また、体積基準粒径とは、微細化セルロースの水分散液中でのサイズを体積基準で測定した粒径である。粒径ピークとは、体積基準粒度分布のピークである。
微細化セルロース1の体積基準粒度分布における粒径ピークが2つである場合、小さい粒径ピークを持つ微細化セルロース1を「微細化セルロース1A」とし、大きい粒径ピークを持つ微細化セルロース1を「微細化セルロース1B」とする。微細化セルロース1Aは、体積基準粒径が0.01μm以上1μm以下の範囲に1以上の粒径ピークを有することが好ましい。また、微細化セルロース1Bは、体積基準粒径が1μm以上20μm以下の範囲に1以上の粒径ピークを有することが好ましい。
微細化セルロース1Aは、針状または短繊維状であり、数平均短軸径が1nm以上50nm以下、数平均長軸径が50nm以上1μm以下のCNCや短繊維化したCNFを用いることができる。微細化セルロース1Bは、数平均短軸径が1nm以上50nm以下、数平均長軸径が1μm以上20μm以下の繊維状であることが好ましい。数平均短軸径が1nm未満の微細化セルロースを製造することは技術的に困難である。また、数平均短軸径が50nmより大きくなると微細化セルロース1の剛直性が過大となり、液滴2への吸着力が低減し、エマルションの安定性が低下する。微細化セルロース1の体積基準粒度分布及び体積基準粒径は既存の任意の方法により測定することができ、例えば動的光散乱法等による粒度分布計を用いることができる。また、微細化セルロース1の形状については既存の任意の方法により求めることができ、例えば微細化セルロース1に水を加えて作製した希薄な分散液をマイカ上に滴下し、乾燥させたものを走査型プローブ顕微鏡にて観察することにより求めることができる。
微細化セルロース1が、体積基準粒径が0.01μm以上20μm以下の範囲に2以上の粒径ピークを有することにより、液滴2への微細化セルロース1の吸着量が増大し、結果として複合粒子5に微細化セルロース1が高密度に結合される。微細化セルロース1の液滴2への吸着量増大のメカニズムとしては明らかではないが、粒径ピークが大きい微細化セルロース1Bが絡み合いながら複合粒子5を被覆し、層状を形成し、粒径ピークの小さい微細化セルロース1Aが絡み合いの隙間に吸着され、結果的に複合粒子5への微細化セルロース1の吸着量が増大する。
コア粒子3に熱可塑性樹脂等を用いると、微細化セルロース1の液滴2への吸着が弱くなる場合がある。この場合、微細化セルロース1Bのみを液滴2へ吸着させると、複合粒子5から微細化セルロース1Bの一部が剥離する場合がある。一方、微細化セルロース1Bに加えて微細化セルロース1Aを液滴2へ吸着させると、微細化セルロース1Aが液滴2界面に直接結合し、微細化セルロース1Bから成る微細化セルロース層と物理的な結合を形成することにより、微細化セルロース1の一部の剥離を抑制できる。
微細化セルロース1の吸着量は任意の方法により測定することができるが、例えば複合粒子5の水中でのゼータ電位の測定により複合粒子に吸着する微細化セルロース1の電位量から導出したり、複合粒子表面に被覆された微細化セルロース1を溶解させてフェノール硫酸法を用いて算出したりすることにより求めることができる。
<複合粒子の製造方法>
次に、本実施形態の複合粒子の製造方法について説明する。本実施形態に係る複合粒子の製造方法は、セルロース原料を溶媒中で解繊して、体積基準粒径が0.01μm以上20μm以下の範囲に2以上の粒径ピークを有する微細化セルロース1の分散液を得る工程(第1工程)と、前記分散液を含む媒体中においてコア粒子前駆体を液滴2として分散させ、前記コア粒子前駆体の表面を微細化セルロース1で被覆し、エマルションとして安定化させる工程(第2工程)と、液滴2を固体化して微細化セルロース1でコア粒子3が被覆された複合粒子5を得る工程(第3工程)とを備える複合粒子の製造方法である。
第2工程は、微細化セルロース分散液に重合開始剤を含む重合性モノマーを添加してエマルション化させる工程、または、コア粒子前駆体を、微細化セルロース分散液への相溶性が低い溶媒で溶解し微細化セルロース分散液に添加しエマルション化させる工程、または、微細化セルロース分散液に常温にて固体であるコア粒子前駆体を添加し融点以上に加熱し融解させエマルション化させる工程のうちいずれかの工程を用いる複合粒子の製造方法である。
第1工程において、微細化セルロース1は体積基準粒径が0.01μm以上20μm以下の範囲に2以上の粒径ピークを有する。2以上の粒径ピークを有する微細化セルロース1は、微細化セルロース1を調製する過程において機械的処理、化学処理、またはその両方の手段を用いて用意することができる。
上記製造方法により得られた複合粒子5は分散体として得られる。さらに溶媒を除去することにより乾燥固形物として得られる。溶媒の除去方法は特に限定されず、例えば遠心分離法やろ過法によって余剰の水分を除去し、さらにオーブンで熱乾燥することで乾燥固形物として得ることができる。この際、得られる乾燥固形物は膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかな粉体として得られる。この理由としては定かではないが、通常微細化セルロース分散液から溶媒を除去すると、微細化セルロース同士が強固に凝集、膜化することが知られている。一方、複合粒子5を含む分散液の場合、微細化セルロース1が表面に固定化された真球状の複合粒子であるため、溶媒を除去しても微細化セルロース1同士が凝集することなく、複合粒子間の点と点で接するのみであるため、その乾燥固形物は肌理細やかな粉体として得られると考えられる。また、複合粒子5同士の凝集がないため、乾燥粉体として得られた複合粒子5を再び溶媒に再分散することも容易であり、再分散後も複合粒子5の表面に結合された微細化セルロース1に由来した分散安定性を示す。さらに、得られた複合粒子5の表面の微細化セルロース1は高密度に集積されており、剥離しにくく結合されている。
なお、複合粒子5の乾燥粉体は溶媒をほとんど含まず、さらに溶媒に再分散可能であることを特長とする乾燥固形物であり、具体的には固形分率を80%以上とすることができ、さらに90%以上とすることができ、さらに95%以上とすることができる。溶媒をほぼ除去することができるため、輸送費の削減、腐敗防止、添加率向上、樹脂との混練効率向上、といった観点から好ましい効果を得る。なお、乾燥処理により固形分率を80%以上にした際、微細化セルロース1は吸湿しやすいため、空気中の水分を吸着して固形分率が経時的に低下する可能性がある。しかしながら、複合粒子5は乾燥粉体として容易に得られ、さらに再分散させ得ることが特長である本発明の技術思想を考慮すると、複合粒子5を含む乾燥粉体の固形分率を80%以上とする工程を含む乾燥固形物であれば、本発明の技術的範囲に含まれると定義する。
以下に、各工程について、詳細に説明する。
(第1工程)
第1工程は、セルロース原料を溶媒中で解繊して微細化セルロース分散液を得る工程である。まず、各種セルロース原料を溶媒中に分散し、懸濁液とする。懸濁液中のセルロース原料の濃度としては0.1%以上10%未満が好ましい。0.1%未満であると、溶媒過多となり生産性を損なうため好ましくない。10%以上になると、セルロース原料の解繊に伴い懸濁液が急激に増粘し、均一な解繊処理が困難となるため好ましくない。懸濁液作製に用いる溶媒としては、水を50%以上含むことが好ましい。懸濁液中の水の割合が50%以下になると、後述するセルロース原料を溶媒中で解繊して微細化セルロース分散液を得る工程において、微細化セルロース1の分散が阻害される。また、水以外に含まれる溶媒としては親水性溶媒が好ましい。親水性溶媒については特に制限はないが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。必要に応じて、セルロースや生成する微細化セルロース1の分散性を上げるために、懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
続いて、懸濁液に物理的解繊処理を施して、セルロース原料を微細化する。物理的解繊処理の方法としては特に限定されないが、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。このような物理的解繊処理を行うことで、懸濁液中のセルロースが微細化され、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化されたセルロース1の分散液を得ることができる。また、このときの物理的解繊処理の時間や回数により、得られる微細化セルロース1の体積基準粒度分布、数平均短軸径および数平均長軸径を調整することができる。
微細化セルロース1は、微細化セルロース1Aと、微細化セルロース1Aと体積基準粒度分布が異なる微細化セルロース1Bと、を含む。微細化セルロース1Aと微細化セルロース1Bとは、異なるセルロース原料や処理により作製されたものであってもよい。微細化セルロース1Aと微細化セルロース1Bとは、同じセルロース原料や処理により作製され、異なる種類の解繊処理がなされたものであってもよい。
微細化セルロース1Aと微細化セルロース1Bは、乾燥重量当たりの混合比率が、微細化セルロース1A/微細化セルロース1Bが1/99〜99/1の範囲に含まれることが好ましく、さらに、微細化セルロース1A/微細化セルロース1Bが10/90〜80/20の範囲に含まれることが更に好ましい。微細化セルロース1Aの割合が多すぎると液滴2のエマルション時の安定性が低下するとともに複合粒子5に対する微細化セルロース1の吸着量が低減する。一方、微細化セルロース1Aの割合が少なすぎるとより微細な微細化セルロース1Aの吸着による充填効果が低減する。
上記のようにして、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで微細化されたセルロース1の分散体(微細化セルロース分散液)が得られる。得られた分散体は、そのまま、または希釈、濃縮等を行って、後述するO/W型エマルションの安定化剤として用いることができる。
また、微細化セルロース分散液は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロースおよびpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有してもよい。上記他の成分としては、特に限定されず、複合粒子5の用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤、磁性体、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、顔料、染料、消臭剤、金属、金属酸化物、無機酸化物等が挙げられる。
微細化セルロース1の原料として用いることができるセルロースの種類や結晶構造も特に限定されない。具体的には、セルロースI型結晶からなる原料としては、例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いることができる。さらには、セルロースII型結晶からなるレーヨン繊維、キュプラ繊維に代表される再生セルロースも用いることができる。材料調達の容易さから、木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプ、など、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
さらに微細化セルロース原料は化学改質されていることが好ましい。より具体的には、微細化セルロース原料の結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることが好ましい。セルロース結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることによって浸透圧効果でセルロース結晶間に溶媒が浸入しやすくなり、セルロース原料の微細化が進行しやすくなるためである。
セルロースの結晶表面に導入されるアニオン性官能基の種類や導入方法は特に限定されないが、カルボキシ基やリン酸基、硫酸基、あるいはこれらの誘導体が好ましい。
セルロースの繊維表面にカルボキシ基を導入する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸またはモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行ってもよい。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入してもよい。さらには、水系の比較的温和な条件で、可能な限り構造を保ちながら、アルコール性一級炭素の酸化に対する選択性が高い、TEMPOをはじめとするN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法を用いてもよい。カルボキシ基導入部位の選択性および環境負荷低減のためにはN−オキシル化合物を用いた酸化がより好ましい。
ここで、N−オキシル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、等が挙げられる。そのなかでも、反応性が高いTEMPOが好ましい。N−オキシル化合物の使用量は、触媒としての量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して0.01〜5.0質量%程度である。
N−オキシル化合物を用いた酸化方法としては、例えば木材系天然セルロースを水中に分散させ、N−オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。このとき、N−オキシル化合物とともに、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N−オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、上記オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。この酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。酸化処理を温和な条件で行うと、セルロースの結晶構造を維持しやすい。
共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。上記共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜200質量%程度である。
また、N−オキシル化合物および共酸化剤とともに、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよい。これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を改善することができる。このような化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましい。化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4〜80℃が好ましく、10〜70℃がより好ましい。4℃未満であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。80℃を超えると副反応が促進して試料が低分子化して高結晶性の剛直な微細化セルロース繊維構造が崩壊し、O/W型エマルションの安定化剤として用いることができない。
また、酸化処理の反応時間は、反応温度、所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10分〜5時間程度である。
酸化反応時の反応系のpHは特に限定されないが、9〜11が好ましい。pHが9以上であると反応を効率良く進めることができる。pHが11を超えると副反応が進行し、試料の分解が促進されてしまうおそれがある。また、酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成することにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9〜11に保つことが好ましい。反応系のpHを9〜11に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。コストなどの面から水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
N−オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHは上記の範囲内に保つことが好ましい。 添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま微細化工程に供してもよいが、N−オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては純水が好ましい。
得られたTEMPO酸化セルロースに対し解繊処理を行うと、3nmの均一な繊維幅を有するセルロースシングルナノファイバー(CSNF)が得られる。CSNFを複合粒子5の微細化セルロース1の原料として用いると、その均一な構造に由来して、得られるO/W型エマルションの粒径も均一になりやすい。
セルロースの繊維表面にリン酸基を導入する方法は、特に限定されない。例えば木材系天然セルロースを水中に分散させ、リン酸もしくはその誘導体のリン酸系化合物と、尿素もしくはその誘導体を含む尿素系化合物と混和し加熱しながら処理することが好ましい。リン酸系化合物としては、リン酸もしくはその塩、脱水縮合リン酸もしくはその塩、無水リン酸などが挙げられるが、特に限定されない。尿素系化合物としては、尿素およびその誘導体から選択され、尿素、ビウレット、1-メチル尿素、1-エチル尿素、1−フェニル尿素、1−ベンジル尿素などが挙げられる。処理温度はリン酸基を効率的に導入できる温度として50℃以上300℃以下が好ましく、さらに130℃以上200℃以下であることが好ましい。処理時間は反応温度、所望のリン酸基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常1秒間から1000秒間の範囲である。さらに複数回処理を繰り返してもよい。
処理後は不純物等を除去するために、反応液に含まれるセルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては純水が好ましい。次いで、セルロースの水懸濁液として水酸化ナトリウム水溶液等を用いてpH12程度に調整し、この懸濁液に対して濾過脱水を繰り返してリン酸基が導入されたセルロースが得られる。
得られたセルロースに対し分散媒中で解繊処理を行うと、ナノファイバー化したセルロースの分散液が得られる。
セルロースの繊維表面に硫酸基を導入する方法は、特に限定されない。例えば木材系天然セルロースを水中に分散させ、加熱しながら硫酸で処理する方法が一般的である。用いる硫酸濃度としては4mol/L〜18mol/Lに調整されたものを用いることができる。処理温度は、4〜80℃が好ましく、さらに10〜50℃がより好ましい。処理時間は反応温度、所望の硫酸基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常30分間から3時間の範囲である。
処理後は不純物等を除去するために、反応液に含まれるセルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては純水が好ましい。次いで、セルロースの水懸濁液として水酸化ナトリウム水溶液等を用いてpH12程度に調整し、この懸濁液に対して濾過脱水を繰り返して硫酸基が導入されたセルロースが得られる。
得られたセルロースに対し解繊処理を行うと、非晶部位が除去され短繊維化されたセルロースナノクリスタル(CNC)が得られる。
以上のように、本実施形態で用いられるCSNFや微細化セルロースは、セルロース原料を化学的に処理する工程と、機械的に微細化して分散液化する工程と、によって得ることができる。また、上記方法により得られた微細化セルロースのアニオン性官能基量は、微細化セルロースの乾燥重量当たり0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下が好ましい。ここで、カルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に浸透圧効果による溶媒進入作用が働かないため、セルロースを微細化して均一に分散させることは難しい。また、5.0mmol/gを超えると化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化するため、高結晶性の剛直な微細化セルロース繊維構造をとることができず、O/W型エマルションの安定化剤として用いることができない。
(第2工程)
第2工程は、微細化セルロースの分散液中において液体状のコア粒子前駆体2の表面を微細化セルロース1で被覆して、エマルションとして安定化させる工程である。
具体的には第1工程で得られた微細化セルロース分散液に液体状のコア粒子前駆体を添加し、さらに液体状のコア粒子前駆体を微細化セルロース分散液中に液滴2として分散させ、さらに液体状のコア粒子前駆体の表面を微細化セルロース1によって被覆し、微細化セルロース1によって安定化されたO/W型エマルションを作製する工程である。
O/W型エマルションを作製する方法としては特に限定されないが、一般的な乳化処理、例えば各種ホモジナイザー処理や機械攪拌処理を用いることができ、具体的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、万能ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突、ペイントシェイカーなどの機械的処理が挙げられる。また、複数の機械的処理を組み合わせて用いてもよい。
例えば超音波ホモジナイザーを用いる場合、第1工程にて得られた微細化セルロース分散液に対しコア粒子前駆体を添加して混合溶媒とし、混合溶媒に超音波ホモジナイザーの先端を挿入して超音波処理を実施する。超音波ホモジナイザーの処理条件としては特に限定されないが、例えば周波数は20kHz以上が一般的であり、出力は10W/cm以上が一般的である。処理時間についても特に限定されないが、通常10秒から1時間程度である。
上記超音波処理により、微細化セルロース分散液中に液体状のコア粒子前駆体が分散してエマルション化が進行し、さらに液滴2と微細化セルロース分散液の液/液界面に選択的に微細化セルロース1が吸着することで、液滴2が微細化セルロース1で被覆されO/W型エマルションとして安定した構造を形成する。このように、液/液界面に固体物が吸着して安定化したエマルションは、学術的には「ピッカリングエマルション」と呼称されている。前述のように微細化セルロース繊維によってピッカリングエマルションが形成されるメカニズムは定かではないが、セルロースはその分子構造において水酸基に由来する親水性サイトと炭化水素基に由来する疎水性サイトとを有することから両親媒性を示すため、両親媒性に由来して疎水性モノマーと親水性溶媒の液/液界面に吸着すると考えられる。
微細化セルロース1は、少なくとも微細化セルロース1Aと微細化セルロース1Bとを含む。微細化セルロース1は、乳化処理の前に微細化セルロース1Aと微細化セルロース1Bとが混和した状態であってもよく、予め微細化セルロース1Aとコア粒子前駆体を乳化処理しておき、続いて微細化セルロース1Bを加えてさらに乳化処理を施してもよく、微細化セルロース1Aと微細化セルロース1Bの混和の順序が逆であってもよい。
O/W型エマルション構造は、光学顕微鏡観察により確認することができる。O/W型エマルションの粒径サイズは特に限定されないが、通常0.1μm〜1000μm程度である。
O/W型エマルション構造において、液滴2の表層に形成された微細化セルロース層の厚みは特に限定されないが、通常3nm〜1000nm程度である。微細化セルロース層の厚みは、例えばクライオTEMを用いて計測することができる。
第2工程で用いることができる液体状のコア粒子前駆体の種類としては、水と相溶せず、(1)重合性官能基を有するモノマーであり、重合反応により固体のポリマーを形成できるもの、あるいは(2)熱可塑性ポリマーであり加熱により液体状に溶融し、相転移して室温下において固体となるもの、(3)非硬化性ポリマーであり溶剤により液体状に溶解または分散し、溶剤除去により室温下において固体となるもの、であれば特に限定されない。
(1)において、重合性モノマーは少なくとも一つの重合性官能基を有する。重合性官能基を一つ有する重合性モノマーは単官能モノマーとも称する。また、重合性官能基を二つ以上有する重合性モノマーは多官能モノマーとも称する。重合性モノマーの種類としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、ビニル系モノマーなどが挙げられる。また、エポキシ基やオキセタン構造などの環状エーテル構造を有する重合性モノマー(例えばε-カプロラクトン等、)を用いることも可能である。
なお、「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレート」と「メタクリレート」との両方を含むこと示す。
単官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
単官能のビニル系モノマーとしては例えば、ビニルエーテル系、ビニルエステル系、芳香族ビニル系、特にスチレンおよびスチレン系モノマーなど、常温で水と相溶しない液体が好ましい。
単官能ビニル系モノマーのうち(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、単官能芳香族ビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロペニルトルエン、イソブチルトルエン、tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレンなどが挙げられる。
多官能のビニル系モノマーとしてはジビニルベンゼンなどの不飽和結合を有する多官能基が挙げられる。常温で水と相溶しない液体が好ましい。
例えば多官能性ビニル系モノマーとしては、具体的には、(1)ジビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルベンゼン等のジビニル類、(2)エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート類、(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリエチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート類、(4)エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ジブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキシレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート類、(5)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリエチロールエタントリアクリレート等のトリアクリレート類、(6)テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート類、(7)その他に、例えばテトラメチレンビス(エチルフマレート)、ヘキサメチレンビス(アクリルアミド)、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
例えば官能性スチレン系モノマーとしては、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、ジビニルビフェニル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン等が挙げられる。
また、これらの他にも重合性の官能基を少なくとも1つ以上有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができ、特にその材料を限定しない。
上記重合性モノマーは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(2)熱可塑性ポリマーは、融点が40℃以上85℃以下であることが好ましい。融点が40℃より低いと室温において固体として形状を維持することが困難となり、使用環境が極端に制限されるため好ましくない。一方、融点が85℃を超えると微細化セルロース分散液中において溶融状態を維持することが製造工程上困難となるため好ましくない。より好ましくは、融点が45℃以上75℃以下である。また、融点以上でのメルトフローインデックスが10以上であることが好ましい。10未満の場合、前述の乳化処理において多大な乳化エネルギーを要するため好ましくない。
(3)非硬化性ポリマーは、水を除く溶剤に溶解し、液体状を呈するものである。ここで、非硬化性ポリマーを溶解させる溶剤としては、20℃における水溶解度が水1Lに対して20g以上2000g以下であることが好ましい。非硬化性ポリマーを溶解させる溶剤は、例えば、酢酸エチル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ベンジルアルコールである。20g未満である場合、溶剤を含む液滴とCNFの親和性が低く、CNFによるエマルション安定化効果が低下する。一方、2000gより大きい場合、CNF分散液中での溶剤の拡散速度が早いために液滴が維持できずにCNFによる液滴被覆効果が損なわれる。
上記(2)の熱可塑性ポリマーおよび(3)の非硬化性ポリマーとしては、本実施形態の機能が損なわれない限りにおいてその材料は限定されず、上記単官能モノマーを始め、エポキシ基やオキセタン構造などの環状エーテル構造を有する重合性モノマーを出発物質とした重合体、セルロース等の天然多糖類を化学変性して製造したセルロース系樹脂(例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等)、あるいは、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
第2工程において用いることができる微細化セルロース繊維分散液と液体状のコア粒子前駆体の重量比については特に限定されないが、微細化セルロース繊維分散液100質量部に対し、液体状のコア粒子前駆体が1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。液体状のコア粒子前駆体が1質量部以下となると複合粒子5の収量が低下するため好ましくなく、50質量部を超えると液滴2を微細化セルロース1で均一に被覆することが困難となり好ましくない。
また、液体状のコア粒子前駆体として重合性モノマーを用いる場合には予め重合開始剤が含まれていてもよい。一般的な重合開始剤としては有機過酸化物やアゾ重合開始剤などのラジカル開始剤が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばパーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステルなどが挙げられる。
アゾ重合開始剤としては、例えばADVN,AIBNが挙げられる。
例えば2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
第2工程において予め重合開始剤が含まれた状態の重合性モノマーを用いれば、O/W型エマルションを形成した際にエマルション粒子内部の重合性モノマー液滴2中に重合開始剤が含まれるため、後述の第3工程においてエマルション内部のモノマーを重合させる際に重合反応が進行しやすくなる。
第2工程において用いることができる重合性モノマーと重合開始剤の重量比については特に限定されないが、通常、重合性モノマー100質量部に対し、重合性開始剤が0.1質量部以上であることが好ましい。重合性モノマーが0.1質量部未満となると重合反応が充分に進行せずに複合粒子5の収量が低下するため好ましくない。
また、重合性モノマーには予め重合開始剤以外の他の機能性成分が含まれていてもよい。具体的には磁性体、医薬品、農薬、香料、接着剤、酵素、顔料、染料、消臭剤、金属、金属酸化物、無機酸化物、等が挙げられる。重合性モノマーに、予め重合開始剤以外の他の機能性成分が含まれている場合、複合粒子5として形成した際の粒子内部に上述の機能性成分を含有させることができ、用途に応じた機能発現が可能となる。
(第3工程)
第3工程は、液体状のコア粒子前駆体(液滴)2を固体化させて微細化セルロース1でコア粒子3が被覆された複合粒子5を得る工程である。
重合性モノマーを用いる場合、重合する方法については特に限定されず、用いた重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜選択可能であるが、例えば懸濁重合法が挙げられる。
具体的な懸濁重合の方法についても特に限定されず、公知の方法を用いて実施することができる。例えば第2工程で作製された、重合開始剤を含むモノマー液滴2が微細化セルロース1によって被覆され安定化したO/W型エマルションを攪拌しながら加熱することによって実施することができる。攪拌の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、具体的にはディスパーや攪拌子を用いることができる。また、攪拌せずに加熱処理のみでもよい。また、加熱時の温度条件については重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、20度以上150度以下が好ましい。20度未満であると重合の反応速度が低下するため好ましくなく、150度を超えると微細化セルロース1が変性する可能性があるため好ましくない。重合反応に供する時間は重合性モノマーの種類および重合開始剤の種類によって適宜設定することが可能であるが、通常1時間〜24時間程度である。また、重合反応は電磁波の一種である紫外線照射処理によって実施してもよい。また、電磁波以外にも電子線などの粒子線を用いても良い。
熱可塑性ポリマーを用いる場合、加熱により溶融したポリマーを相転移させることにより固体化させる。相転移の方法としては、冷却させる方法を用いることができる。このとき、冷却速度を制御することにより熱可塑性ポリマーの結晶化度を制御することができる。冷却方法として、水あるいは氷水に拡散させる方法や、液体窒素等の冷媒に接触させる方法、或いは放冷する方法等を用いることができる。
非硬化性ポリマーを用いる場合、溶剤を除去することにより固体化させる。溶剤を除去する方法としては特に限定されず、加熱する方法や減圧する方法、溶媒のみを溶解させる方法、電磁波を照射する方法、或いはこれらを組み合わせて実施しても良い。
上述の工程を経て、コア粒子3が微細化セルロース1によって被覆された真球状の複合粒子5を作製することができる。
なお、固体化した直後の状態は、複合粒子5の分散液中に多量の水と複合粒子5の被覆層に形成に寄与していない遊離した微細化セルロース1が混在した状態となっている。そのため、作製した複合粒子5を回収・精製する必要があり、回収・精製方法としては、遠心分離による洗浄またはろ過洗浄が好ましい。遠心分離による洗浄方法としては公知の方法を用いることができ、具体的には遠心分離によって複合粒子5を沈降させて上澄みを除去し、水・メタノール混合溶媒に再分散する操作を繰り返し、最終的に遠心分離によって得られた沈降物から残留溶媒を除去して複合粒子5を回収することができる。ろ過洗浄についても公知の方法を用いることができ、例えば孔径0.1μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて水とメタノールで吸引ろ過を繰り返し、最終的にメンブレンフィルター上に残留したペーストからさらに残留溶媒を除去して複合粒子5を回収することができる。
残留溶媒の除去方法は特に限定されず、風乾やオーブンで熱乾燥にて実施することが可能である。こうして得られた複合粒子5を含む乾燥固形物は上述のように膜状や凝集体状にはならず、肌理細やかな粉体として得られる。
(発明の効果)
本実施形態に係る複合粒子5によれば、コア粒子3に対して高密度かつ強固に微細化セルロースが安定して結合した粉体状微粒子を提供することができる。
本実施形態に係る複合粒子5の製造方法によれば、環境への負荷が低く、簡便な方法で提供することが可能な新規な複合粒子5の製造方法を提供することができる。微細化セルロース1の複合体を含む乾燥固形物であって、乾燥固形物を溶媒に再分散可能な形で提供することができる。
本実施形態に係る複合粒子5によれば、溶媒をほとんど除去することが可能なため、輸送費の削減、腐敗リスクの低減、添加剤としての添加効率の向上、疎水性樹脂への混練効率向上といった効果が期待できる。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の各例において、「%」は、特に断りのない限り、重量%を示す。
<実施例1>
(第1工程:セルロースナノファイバー分散液を得る工程)
(木材セルロースのTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。セルロースの重量に対して、水酸化ナトリウムの添加量の合計が3.50mmol/gに達した時点で、約100mLのエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。得られた酸化パルプをpH2に調整した塩化水素水溶液に加え、脱水した後水洗し、続いてpH3に調整した塩化水素水溶液に加えた。その後脱水、水洗を繰り返し、精製した酸化パルプを得た。
(酸化パルプのカルボキシ基量測定)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプおよび再酸化パルプを固形分重量で0.1gを量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。結果は1.6mmol/gであった。
(酸化パルプの解繊処理)
上記方法により得た酸化パルプを蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで120分間微細化処理し、CNF濃度0.5%のCNF分散液NC−1が得られた(表1参照)。また、同様に作製した酸化パルプを用いて、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、CNF濃度0.5%のCNF分散液NC−2が得られた(表1参照)。CNF分散液NC−1およびNC−2は、必要に応じて、脱泡のために遠心脱泡器により処理された。得られたCNF分散液NC−1およびNC−2は、高い透明性を示した。また、CNF分散液NC−1およびNC−2は、チキソトロピック性を示した。得られたCNF分散液NC−1とNC−2とは混合された。
(第2工程:O/W型エマルションを作製する工程)
次に、コア粒子前駆体として非硬化性ポリマーであるセルロースアセテートプロピオネート(以下、CAPとも称する。)を用い、酢酸エチルに対してCAP濃度が20%となるように溶解させ、CAP/酢酸エチル溶液をコア粒子前駆体として作製した。飽和量の酢酸エチルを予め溶解させたCNF濃度0.5%に、CNF/酢酸エチル溶液とCAP/酢酸エチル溶液を各溶液中の樹脂(CAP)とCNFの固形分重量比が10:1になるように添加したところ、2液はそれぞれ透明性の高い状態で2層に分離した。
次に、上記2層分離した状態の混合液における上層の液面から超音波ホモジナイザーのシャフトを挿入し、周波数24kHz、出力400Wの条件で、超音波ホモジナイザー処理を3分間行った。超音波ホモジナイザー処理後の混合液の外観は白濁した乳化液の様態であった。混合液一滴をスライドグラスに滴下し、カバーガラスで封入して光学顕微鏡で観察したところ、1〜数μm程度のエマルション液滴が無数に生成し、O/W型エマルションとして分散安定化している様子が確認された。
(第3工程:コア粒子前駆体の固体化によりCNFで被覆された複合粒子5を得る工程)
O/W型エマルション分散液を10倍量の純水に投入し、CAP溶液から酢酸エチルを溶出させてCAPを固化した。得られた分散液に対し、遠心力75,000gで5分間処理したところ、沈降物を得た。デカンテーションにより上澄みを除去して沈降物を回収し、さらに孔径0.01μmのPTFEメンブレンフィルターを用いて、純水で繰り返し洗浄した。こうして得られた精製・回収物を1%濃度で再分散させ、粒度分布計(NANOTRAC UPA−EX150、日機装株式会社)を用いて粒径を評価したところ平均粒径0.4μmであった。次に精製・回収物を風乾し、さらに室温25度にて真空乾燥処理を24時間実施したところ、肌理細やかな乾燥粉体(複合粒子5)を得た。
(走査型電子顕微鏡による形状観察)
得られた乾燥粉体を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を図2および図3に示す。図2から明らかなように、O/W型エマルション液滴を鋳型として固化を実施したことにより、エマルション液滴の形状に由来した、真球状の複合粒子5が無数に形成していることが確認され、さらに図3に示されるように、その表面は幅数nmのCNFによって均一に被覆されていることが確認された。また、ろ過洗浄によって繰り返し洗浄したにも拘らず、複合粒子5の表面は等しく均一にCNFによって被覆されていることから、本発明の複合粒子5において、複合粒子内部のモノマーとCNFは結合した状態にあることが示された。
<実施例2、3、4>
(第1工程:セルロースナノファイバー分散液を得る工程)
非特許文献1に従い針葉樹クラフトパルプにリン酸エステル化処理して得られた化学処理パルプに対して解繊処理を施し、CNF分散液NC−3を作製した(表1参照)。
また、針葉樹クラフトパルプに8mol/L硫酸にて40℃で1時間処理して得られた化学処理パルプに対して解繊処理を施し、CNF分散液NC−4を作製した(表1参照)。得られたCNF分散液NC−4の乾燥粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、長さは100〜400nmであり、CNF分散液NC−1,NC−2,NC−3およびNC−5のCNFと比較して長軸方向の長さが短いCNCが調製できたことが確認された。
上述のTEMPO酸化処理において、水酸化ナトリウムの添加量の合計が1.0mmol/gに達した時点で処理を終了して得られたTEMPO酸化パルプに対して解繊処理を施し、CNF分散液NC−5を作製した(表1参照)。
セルロースナノファイバー分散液の種類や混合比を表2のように変更した以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子5を作製した。
<実施例5>
実施例1において、コア粒子前駆体として酢酸エチルに溶解させたCAPを分散させて酢酸エチルを溶出させることで固体化する代わりに、ポリカプロラクトン(PCL、分子量10,000、融点61℃)を20%MEK溶液として用い、75℃に加熱したCNF分散液中で乳化処理した後に氷水へ投入することによって固体化したこと以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子5を作製した(表2参照)。
<実施例6>
実施例1において、コア粒子前駆体としてコア粒子前駆体として酢酸エチルに溶解させたCAPを分散させて酢酸エチルを溶出させることで固体化する代わりに、ジビニルベンゼン(以下、DVBと記す)と開始剤ADVNを用いて70℃で8時間重合反応させて固体化したこと以外は、実施例1と同様の条件で複合粒子5を作製した(表2参照)。
<比較例1,2,3>
表3に示すように、CNF分散液の混合比率を変更し、実施例1と同様の条件で複合粒子を作製した。
<比較例4>
表3に示すように、CNF分散液の混合比率を変更し、実施例5と同様の条件で複合粒子を作製した。
<比較例5>
表3に示すように、CNF分散液の混合比率を変更し、実施例6と同様の条件で複合粒子を作製した。
以下の実施例および比較例の組成および評価結果を表2および表3に示す。
なお、表2および表3において、平均粒径は得られた複合粒子に対して走査型電子顕微鏡観察を実施し、ランダムに抽出した100個の粒径測定から平均を求めた。また、「剥がれ」の評価は、複合粒子を50,000倍に拡大観察した際、粒子表面のCNF層の剥がれが観察されないものを「〇」、観察されたものを「×」とした。さらに、CNF吸着量については、得られた複合粒子を濃硫酸で処理して粒子表面のセルロースを溶解させ、フェノール水溶液を加えて490nm吸光度からセルロース濃度を算出するフェノール硫酸法により求め、セルロース濃度を複合粒子の乾燥重量で除算することにより求めた。
Figure 2021172697
Figure 2021172697
Figure 2021172697
表2の実施例1〜6、表3の比較例1〜5の評価結果において明らかなように、体積基準粒径が0.01μm以上20μm以下の範囲に2以上の粒径ピークを有する微細化セルロース1から作製された複合粒子5(実施例1〜6)は、粒径が小さくなる傾向を有し、CNFの吸着量が多くなる。これは、コア粒子前駆体へのCNF吸着において、粒径ピークの大きな微細化セルロース1Bによる吸着安定化と、粒径ピークの小さな微細化セルロース1AによるCNF被覆の充填効果が相乗的に作用するためであると考察される。
複合粒子5に非硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いた場合(実施例1〜5)、粒径ピークが小さい微細化セルロース1Aを併用することにより複合粒子表面のCNF層の剥がれがほぼ見られなかった。これは、粒径ピークの小さな微細化セルロース1Aがコア粒子前駆体に密に結合し、そこに粒径ピークの大きな微細化セルロース1Bが絡むことによるアンカー効果を発現するためであると考えらえる。
一方、比較例1において得られた乾燥粉体を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を図4に示す。図4に示されるように、複合粒子の表面は幅数nmのCNFによって均一に被覆されていることが確認された一方、一部のCNFがめくれ上がり、コア粒子から剥離している様子が観察された。
本発明の複合粒子は、新たな取り扱い態様、新たな付与される機能性、および安定した微細化セルロースのコア粒子への吸着により、様々な用途に使用できる。
1 微細化セルロース
2 液滴(コア粒子前駆体)
3 コア粒子
4 CNF分散液
5 複合粒子

Claims (14)

  1. 少なくとも1種類のコア粒子を含み、
    前記コア粒子の表面にアニオン性官能基を有する微細化セルロースが結合し、
    前記微細化セルロースは、体積基準粒度分布が2以上の粒径ピークを有し、
    前記粒径ピークは、体積基準粒径が0.01μm以上20μm以下の範囲に有る、
    複合粒子。
  2. 前記体積基準粒径が0.01μm以上1μm以下の範囲に1以上の粒径ピークを有し、
    前記体積基準粒径が1μm以上20μm以下の範囲に1以上の粒径ピークを有する、
    請求項1に記載の複合粒子。
  3. 前記微細化セルロースの数平均短軸径が1nm以上50nm以下である、
    請求項1または請求項2に記載の複合粒子。
  4. 前記コア粒子が、少なくとも1種類以上のポリマーを含む、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の複合粒子。
  5. 前記コア粒子が、重合性官能基を少なくとも1以上有するモノマーを重合して得られる
    請求項1から4のいずれか一項に記載の複合粒子。
  6. 前記コア粒子が、熱可塑性を有し、融点が40℃以上85℃以下である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の複合粒子。
  7. 前記コア粒子が、非硬化性を有し、水を除く溶剤に溶解し、液体状を呈する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の複合粒子。
  8. セルロース原料を溶媒中で解繊して、体積基準粒径が0.01μm以上20μm以下の範囲に2以上の粒径ピークを有する微細化セルロースの分散液を得る第1工程と、
    前記分散液を含む媒体中においてコア粒子前駆体を液滴として分散させ、前記コア粒子前駆体の表面を前記微細化セルロースで被覆し、エマルションとして安定化させる第2工程と、
    前記液滴を固体化して前記微細化セルロースでコア粒子が被覆された複合粒子を得る第3工程と、
    を備える、
    複合粒子の製造方法。
  9. 前記コア粒子前駆体が、熱可塑性を有する
    請求項8に記載の複合粒子の製造方法。
  10. 前記コア粒子前駆体が、非硬化性を有する
    請求項8または請求項9に記載の複合粒子の製造方法。
  11. 前記コア粒子前駆体は、20℃における水溶解度が水1Lに対して20g以上2000g以下であるの溶剤で溶解または分散して形成させた液滴である、
    請求項10に記載の複合粒子の製造方法。
  12. 前記第2工程は、前記分散液に重合開始剤を含む重合性モノマーを添加してエマルション化させる、
    請求項8に記載の複合粒子の製造方法。
  13. 前記第2工程は、前記コア粒子前駆体を前記分散液への相溶性が低い溶媒で溶解し、微細化セルロース分散液に添加しエマルション化させる、
    請求項8に記載の複合粒子の製造方法。
  14. 前記第2工程は、前記分散液に常温にて固体である前記コア粒子前駆体を添加し融点以上に加熱し融解させエマルション化させる、
    請求項8に記載の複合粒子の製造方法。
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