JP2023004339A - 階段の段板取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】意匠性を確保しつつ、段板を簡単かつ精度良く固定ができる階段の段板取付構造を提供する。【解決手段】本発明は、間隔をおいて配置される一対の側板1と、側板1に設けられた水平部12に設置される段板2とを備えた階段の段板取付構造を対象とする。側板1の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔4が形成され、軸部62の基端側に頭部61が設けられた固定具の頭部61が先孔4の下端側に配置されて軸部62が先孔4を通じて側板2を貫通した状態で軸部62の先端側が段板の下面側に固定されることによって、段板2が側板1に固定されている。【選択図】図2
Description
この発明は、例えば一般住宅等の屋内における木質製のひな壇階段等に適用される階段の段板取付構造に関する。
戸建て住宅等の一般住宅に施工される木質製の屋内階段は、その各組付部品を予め工場等で加工して製作しておき、その階段部品を組付現場に搬入して施工するのが主流となっている。
例えばひな壇階段等の木質製屋内階段は、階段組付現場に固定される左右一対の側板(両側板)を備えている。この両側板の上側縁部は、階段状にカットされて、水平部と垂直部とが交互に配置されている。そして両側板の対応し合う各水平部に段板がそれぞれ固定されるとともに、各垂直部にけこみ板がそれぞれ固定されている。
このような木質製屋内階段においては、段板固定作業を階段表面側から行う表側作業方式と、裏面側から行う裏側作業方式とがある。
例えば下記特許文献1に示す従来の表側作業方式の段板取付構造では、側板の水平部に載置された段板にその表面側から釘等の固定具を打ち込んで側板の水平部に固定することによって段板を側板に取り付けるようにしている。このような表側作業方式においては、広い作業スペースを確保できるとともに、階段表側から無理のない自然な姿勢で作業できるため、釘等の位置決め作業を容易に行うことができ、段板を精度良く簡単に取り付けることができる。しかしながら、釘等の固定具が視認されないように段板表面に化粧カバーや木栓等の化粧部材を別途取り付ける必要があるため、意匠性の低下を来すばかりか、化粧部材を用いる分、部品点数が増加して、部品管理が面倒になるとともに、構造の複雑化を来すおそれがある。
一方、下記特許文献2に示す従来の裏側作業方式の段板取付構造では、階段裏面側において側板内面と段板裏面とのコーナー部にL字型の受金具(アングル金具)を配置して、その受金具の一辺を側板内面にビス留めするとともに、他辺を段板裏面にビス留めすることによって、段板を側板に取り付けるようにしている。このような裏側作業方式においては、ビス等の固定具が表面側に露出されないため、良好な意匠性を得ることができる。
また一般的な裏側作業方式の段板取付構造において、桟材(受桟)を利用するものも周知である。例えば側板の内面に水平部に沿って受桟を釘等で固定し、水平部および受桟上に段板を載置した状態で、受桟の下面側から釘等の固定具を受桟に貫通させて段板に打ち込むことにより、段板を側板に取り付けるようにしている。このように受桟を利用した段板取付構造においても上記と同様、釘等の固定具が表面側に露出されないため、良好な意匠性を得ることができる。
しかしながら、上記特許文献2に示す受金具を利用した段板取付構造や、上記の受桟を利用した段板取付構造では、階段裏面側(内側)の限られた狭いスペース内で無理な姿勢で作業する必要があるため、例えばビス留め作業や釘打ち作業が困難になり、段板を精度良く簡単に取り付けることができないという課題が発生する。さらに受金具や受桟を別途用いる分、部品点数が増加して、部品管理が面倒になるとともに、構造の複雑化を来すという課題も解消することはできなかった。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、良好な意匠性を確保しつつ、部品管理の容易化および構造の簡素化を図ることができる上さらに、段板を簡単かつ精度良く取り付けることができる階段の段板取付構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
[1]間隔をおいて配置される一対の側板と、前記側板に設けられた水平部に設置される段板とを備えた階段の段板取付構造であって、
前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔が形成され、
軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部が前記先孔の下端側に配置されて前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側が前記段板の下面側に固定されることによって、前記段板が前記側板に固定されていることを特徴とする階段の段板取付構造。
前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔が形成され、
軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部が前記先孔の下端側に配置されて前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側が前記段板の下面側に固定されることによって、前記段板が前記側板に固定されていることを特徴とする階段の段板取付構造。
[2]前記側板における前記先孔の下端側に対応して座ぐり凹部が設けられ、その座ぐり凹部に前記固定具の頭部が配置されるとともに、
前記座ぐり凹部の座面に、前記頭部が当接係止している前項1に記載の階段の段板取付構造。
前記座ぐり凹部の座面に、前記頭部が当接係止している前項1に記載の階段の段板取付構造。
[3]前記座ぐり凹部内に前記固定具の頭部が収納されている前項2に記載の階段の段板取付構造。
[4]前記座ぐり凹部の座面に、前記固定具の頭部が面接触状態に配置されている前項2または3に記載の階段の段板取付構造。
[5]前記先孔の内径が、前記固定具の軸部の外径よりも大きく形成されている前項1~4のいずれか1項に記載の階段の段板取付構造。
[6]前記固定具がビスによって構成され、
前記先孔の上端部が前記側板の水平部に開口している前項5に記載の階段の段板取付構造。
前記先孔の上端部が前記側板の水平部に開口している前項5に記載の階段の段板取付構造。
[7]前記側板における前記水平部の後端に上方に延びる垂直部が設けられ、
前記先孔がその上端部が下端部に対し前方に傾斜するように形成されている前項6に記載の階段の段板取付構造。
前記先孔がその上端部が下端部に対し前方に傾斜するように形成されている前項6に記載の階段の段板取付構造。
[8]前記垂直部の前面に沿ってけこみ板が配置されるとともに、そのけこみ板の下端部が前記段板の後端面および前記垂直部との間に介在されている前項7に記載の階段の段板取付構造。
[9]直階段に適用される前項1~8のいずれか1項に記載の階段の段板取付構造。
[10]廻り階段に適用される前項1~8のいずれか1項に記載の階段の段板取付構造。
[11]間隔をおいて配置される一対の側板に設けられた水平部に、段板を取り付けるための階段の段板取付方法であって、
前記側板に、その内面から前記水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔を予め形成しておき、
その側板の水平部に前記段板を配置した状態で、軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部を前記先孔の下端側に配置されるようにして、前記軸部を前記先孔に沿って前記側板に貫通させてその軸部の先端側を前記段板の下面側に固定することによって、前記段板を前記側板に固定するようにしたことを特徴とする階段の段板取付方法。
前記側板に、その内面から前記水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔を予め形成しておき、
その側板の水平部に前記段板を配置した状態で、軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部を前記先孔の下端側に配置されるようにして、前記軸部を前記先孔に沿って前記側板に貫通させてその軸部の先端側を前記段板の下面側に固定することによって、前記段板を前記側板に固定するようにしたことを特徴とする階段の段板取付方法。
[12]段板を取り付けるための水平部が設けられた階段の側板であって、
内面を構成する一面から前記水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔が形成され、
前記先孔が、軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の軸部をガイドするためのガイド孔として構成されていることを特徴とする側板。
内面を構成する一面から前記水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔が形成され、
前記先孔が、軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の軸部をガイドするためのガイド孔として構成されていることを特徴とする側板。
発明[1]の階段の段板取付構造によれば、階段裏側から施工できるため、固定具が表面側に露出されず、良好な意匠性を得ることができる。さらに先孔に固着具を通して段板に打ち込むだけで簡単かつ精度良く段板を取り付けることができるとともに、受桟や受金具等の段板固定用の別部品を用いる必要がなくその分、部品点数の削減、部品管理の容易化および構造の簡素化を図ることができる。
発明[2]の階段の段板取付構造によれば、先孔の側板内面側に座ぐり凹部を形成して、その座ぐり凹部の座面に固定具の頭部が係止しているため、固定具が必要以上に打ち込まれるのを防止でき、例えば固定具先端が段板の表面から突出するような不具合を確実に防止することができる。
発明[3]の階段の段板取付構造によれば、座ぐり凹部内に固定具の頭部が収納されているため、固定具の頭部が階段裏面側から突出するような不具合を確実に防止することができる。
発明[4]の階段の段板取付構造によれば、座ぐり凹部の座面に固定具の頭部を安定した状態で確実に係止することができる。
発明[5]の階段の段板取付構造によれば、固定具の軸部を先孔にスムーズに挿入することができる。
発明[6]の階段の段板取付構造によれば、ビスの段板へのねじ込み操作によって段板を下方へ引き寄せることができ、その引き寄せ移動によって段板を側板の水平部に隙間なく接触させた状態で精度良く取り付けることができる。
発明[7][8]の階段の段板取付構造によれば、ビスの段板へのねじ込み操作によって段板を後方へ引き寄せることができ、その引き寄せ移動によって段板を側板の後端面をけこみ板等に隙間なく接触させた状態で精度良く取り付けることができる。
発明[9]の階段の段板取付構造によれば、直階段に対して上記と同様の効果を得ることができる。
発明[10]の階段の段板取付構造によれば、廻り階段に対して上記と同様の効果を得ることができる。
前項[11]の階段の段板取付方法によれば、発明[1]の階段の段板取付構造の製造プロセスを特定するものであるため、発明[1]と同様の効果を有する段板取付構造を製造することができる。
前項[12]の階段の側板によれば、発明[1]の階段の段板取付構造の主要部である側板を特定するものであるため、発明[1]と同様の効果を有する段板取付構造を形成することができる。
図1はこの発明の実施形態である段板取付構造が適用された直階段の構造を説明するための斜視図である。なお本実施形態においては、発明の理解を容易にするため、階段を下りる際に向いている方向を前側とし、階段を上る際に向いている方向を後側として説明する。
図1に示すように、本実施形態の階段は、木質製屋内階段としてのひな壇階段を構成するものであり、左右一対の側板(両側板)1と、両側板1に取り付けられる複数の段板2および複数のけこみ板とを備えている。
本実施形態において両側板1は、実質的に同じ形状に形成されており、左右方向(間口幅方向)に間隔をおいて左右に並んで平行に、かつ後側に向かって斜め上方に延びるように配置された状態で家屋構造体に固定されている。
側板1は、前端部から後端部にかけての上側縁部が階段状にカットされることによって、水平な切り口である水平部12と、垂直な切り口である垂直部13とが交互に並んでそれぞれ複数配置されている。本実施形態においては、側板1の水平部12が段板設置部として機能し、垂直部13がけこみ板設置部として機能する。
本実施形態において、側板1としては例えば、厚さ18mm~36mmの合板が用いられている。
踏板とも称される段板2としては例えば、厚さ20mm~45mmの合板や集成材からなる基材に、突板、挽板、化粧シート等を張って化粧したもの等を用いることができる。
本実施形態においては、段板2の前端部の下面側に、階段間口幅方向(段板長さ方向)に沿って延び、かつ下方に向けて開口する嵌合溝22が形成されている。この嵌合溝22には、けこみ板3の上端縁部を位置決め状態に嵌合できる大きさや形状に形成されている。なお段板2における嵌合溝22よりも前方の部分が段鼻部として構成されている。
けこみ板3としては厚さ6mm~15mm程度の合板やMDFに、突板、挽板、化粧シート等を張って化粧したもの等を用いることができる。
なお言うまでもなく本発明において、側板1の材質(素材)や厚さ、段板2の材質(素材)や厚さ、けこみ板3の材質(素材)や厚さは特に限定されるものではない。
図2は図1のII-II線断面に相当する断面図、図3は図2の分解断面図、図4は図1のIV-IV線断面に相当する断面図、図5は図4の分解断面図である。
図1~図5に示すように本実施形態の階段における両側板1の内面には、その各水平部12の近傍に、先孔(下孔)4が形成されている。本実施形態において先孔4は、各水平部12毎に2つずつ形成されている。なお本実施形態において先孔4は、工場等で予め形成しておくものであり、階段組付現場で形成するものではないが、階段組付現場で形成するようにしても良い。
先孔4は、側板1の内面から水平部12に向けて直線状に延びるように形成されており、上端部が水平部12において開口し、かつ下端部が後に詳述する座ぐり凹部5を介して側板1の内面側に開口している。
また図2および図3に示すように先孔4は上端部が下端部に対し外側に位置するように形成されている。換言すると、先孔4はその軸心Xaは、垂直軸Xbに対し上方に向かうに従って次第に外側に位置するように外向きに傾斜するように配置されている。
さらに図4および図5に示すように先孔4は上端部が下端部に対し前方に位置するように形成されている。換言すると先孔4はその軸心Xaが垂直軸Xbに対し上方に向かうに従って次第に前方に位置するように前方に傾斜するように配置されている。
なお先孔4は、その内径寸法が後述のビス6の軸部62の外径寸法よりも大きく形成された、いわゆるバカ孔によって構成されている。言うまでもなく、先孔4の内径寸法は、ビス6の頭部61の外径寸法より小さく形成されている。
座ぐり凹部5は、先孔4の下端部が開口する先孔開口部周辺(段部)が座面41として構成されており、この座面41が先孔4の軸心Xaに対し直交する平坦面に形成されている。そして後述するようにビス6の頭部61の底面(裏面)が、座ぐり凹部5の座面41に面接触状態に適合配置できるように構成されている。そして本実施形態においては、ビス6の頭部61が座面41に面接触して適合した状態では、先孔4の軸心Xaにビス6の軸部62の軸心が実質的に一致するように構成されている。
なお本実施形態においては、座ぐり凹部5を、先孔4の周辺のみに形成する場合を例に挙げて説明しているが、それだけに限られず、本発明においては、座ぐり凹部を広範囲にわたって形成するようにしても良い。例えば側板1の内面側に水平方向に沿って連続する座ぐり凹部(ビス留め用溝部)を形成しておき、その座ぐり凹部の一部に先孔4を形成するようにしても良い。さらに座面41は、必ずしも軸心Xaに対し直交する平坦面に形成する必要はなく、座面41は軸心Xaに対し直交せずに傾斜していたり、湾曲面や、凹凸面によって形成するようにしても良い。
本実施形態においては、図3に示すように先孔4(ビス6)の軸心Xaの垂直軸Xbに対する外側への傾斜角度θ1を、5°~45°に設定するのが良い。好ましくは傾斜角度θ1の下限値を10°以上に設定するのが良く、より好ましくは20°以上に設定するのが良い。さらに好ましくは傾斜角度θ1の上限値を40°以下に設定するのが良く、より好ましくは30°以下に設定するのが良い。すなわちビス留めに使用するインパクトドライバー等の工具が、ビス留め部周辺の部位に干渉するのを防止するには、外側への傾斜角度θ1を5°以上に設定するのが好ましく、また段板2を側板1の水平部12に十分な強度で固定するには45°以下であるのが好ましい。換言すると、角度θ1を上記特定の範囲に設定することによって、後に詳述するようにビス6を段板2にねじ込んだ際に、段板2を側板1の水平部12に確実に引き寄せることができ、段板2を水平部12上に精度良く確実に固定することができる。本実施形態においては、先孔4の外側への傾斜角度θ1を25°に設定している。
また本実施形態においては、図5に示すように先孔4(ビス6)の軸心Xaの垂直軸Xbに対する前方への傾斜角度θ2を、1°~45°に設定するのが良い。好ましくは傾斜角度θ2の下限値を5°以上に設定するのが良く、より好ましくは10°以上、より一層好ましくは20°以上に設定するのが良い。さらに好ましくは傾斜角度θ2の上限値を40°以下に設定するのが良く、より好ましくは30°以下に設定するのが良い。ここで後に詳述するようにビス6を段板2にねじ込んだ際に、段板2を後方に引き寄せて位置決めを図るものであるが、本発明者は、この段板2の引き寄せる効果を、傾斜角度θ2が5°、45°で確認し、傾斜角度θ2が5°~45°の範囲内で段板2を後方へ引き寄せる効果があると判断した。換言すると、傾斜角度θ2を上記特定の範囲に設定する場合には、後に詳述するようにビス6を段板2にねじ込んだ際に、段板2を後方に確実に引き寄せることができ、段板2の後端面をけこみ板3の前面に確実に接触させることができ、段板2を水平部12上に精度良く十分な強度で確実に固定することができる。本実施形態においては、先孔4の前方への傾斜角度θ2を25°に設定している。
また本実施形態においては、図2に示すように側板1の水平部12における先孔4から側板内側縁までの寸法(水平残り代寸法)Aを5mm以上に設定するのが良く、さらに側板1の内側面における座ぐり凹部5から側板上側縁までの寸法(垂直残り代寸法)Bを5mm以上に設定するのが良い。すなわちこれらの残り代寸法A,Bが短過ぎる場合には、ビス留め時等に側板1の残り代A,Bの部分が割れてしまうおそれがあり、好ましくない。
なお本実施形態において、段板2側には先孔(下孔)等に相当するような孔は形成されていない。
本実施形態においては、家屋構造体に固定された両側板1に、段板2およびけこみ板3を取り付けて屋内階段を組み立てるものである。本実施形態において屋内階段を組み立てる際に組立手順は限定されるものではないが一般的には、両側板1に対し段板2およびけこみ板3を下側から順に組み立てていくのが通例である。
すなわち両側板1の1段目の垂直部13の前面に、1段目のけこみ板3を沿わせるように配置するとともに、1段目の水平部に、段板2をその嵌合溝22内に上記1段目のけこみ板3の上端縁部を嵌合しつつ配置する。この際、必要に応じて接着剤を用いて、けこみ板3の上端縁部を段板2の嵌合溝22に接着し、けこみ板3を側板1の水平部12に仮止めしておく。さらに必要に応じて接着剤や両面テープを用いて、段板2を側板1の水平部12に仮止めしておく。
次に1段目の段板2を両側板1にビス留めするが、その前に、両側板1の2段目の垂直部13の前面に、2段目のけこみ板3を配置し、そのけこみ板3の下端部を1段目の段板2の後端面と両側板1の2段目の垂直部13との間の隙間に介在しておく。なおビス留め前の状態では、当該隙間の間隔は、けこみ板3の厚さ寸法よりも少し大きくなっており、当該隙間にけこみ板3の下端部が遊嵌状態で介在されている。
続いてビス6の軸部62を、1段目の段板2の下面側から側板1の座ぐり凹部5を介して先孔4に挿入し、そのビス6を回転操作して軸部62の先端部を先孔4を通じて段板2の裏面側にねじ込んでいく。
ここで本実施形態においては、ビス6の軸部62の外径寸法よりも先孔4の内径寸法が大きく形成されているため、ビス6の軸部62が段板2に所定量ねじ込まれて、ビス6の頭部61が座ぐり凹部5の座面51に当接して係止すると、それ以降、回転操作されるビス6は、それ自体は軸心方向に沿って前進移動せず、段板2をビス6側(下方側)に引き寄せつつ段板2内にねじ込まれていく。この段板2の引き寄せ移動によって、段板2が側板1の水平部12に引き付けられて、段板2が水平部12に隙間なく適合した状態に確実に固定することができる。
その上さらに本実施形態においては、先孔4が前方に向けて傾斜しているため、上記ビス6の回転操作によって、段板2が水平部12に沿って後方へも引き寄せられていき、1段目の段板2の後端面が2段目のけこみ板3を介して2段目の垂直部13に隙間なく圧接した状態に確実に固定することができる。
このようにビス6のねじ込み操作に伴う段板2の引き寄せ移動によって、段板2を側板1の水平部12および垂直部13の所望の位置に適合した状態に確実に固定することができる。
なおけこみ板3は、必要に応じてビスや釘等の固着具によって、両側板1や段板2に固定するようにしても良い。
以下同様にして、側板1における2段目以降の水平部12および垂直部13に、段板2およびけこみ板3を順次固定していき、屋内階段の組付が完了する。
以上のように本実施形態の階段においては、階段裏面側から施工する裏面作業方式であるため、ビス6等の固定具が表面側に露出されず良好な意匠性を得ることができる。さらにビス6を先孔4に挿入するだけでビス6を所望の位置に確実にガイドでき、ビス6の位置決め操作を簡単に行うことができるとともに、先孔4に挿入後、ビス6を段板2にねじ込めば、上記の引き寄せ効果も相まって、段板2を位置精度良く簡単に取り付けることができる。
また本実施形態においては、受金具や受桟を用いずに、段板2をビス6によって側板1に直接固定するものであるため、部品点数を削減できて、部品管理が容易であるとともに、構造の簡素化も図ることができる。
また本実施形態においては、先孔4の側板内面側に座ぐり凹部5を形成して、その座ぐり凹部5の座面51に、ビス6の頭部を当接係止するようにしているため、上記の段板2の引き寄せ移動を確実に行うことができるとともに、ビス6が必要以上に打ち込まれるのを防止できて、ビス先端が段板2の表面(化粧面)から突出するような不具合を確実に防止することができる。
ここで本実施形態において、座ぐり凹部5の座面51に、ビス6の頭部61を確実に当接係止できるように、ビス6としては、既述した通り頭部61の底面(つまり座面5との対向面)が軸部62の軸心に直交する平坦面に形成されているものを採用するのが好ましい。具体的にはビス6として、トラスビス、ラッパビスを好適に採用でき、中でも特にトラスビスを採用するのが良い。もっとも本実施形態においては、他のビス、例えばフレキビスも採用することも可能である。
また本実施形態においては、ビス6の頭部61を座ぐり凹部5内に確実に収納できるため、ビス6の頭部61が階段裏面側(側板内面)から突出するようなことがなく、その突出部が階段裏面側での階段組立作業の妨げになるような不具合を確実に防止でき、この点からも階段組立作業を効率良くスムーズに行うことができる。さらにビス6の頭部が側板内面側から突出していないため、階段下収納を採用する場合等、段板内面側に化粧を施すような場合、段板内面に内装材(化粧材)等を支障なく貼り付けることができ、利便性を一層向上させることができる。
もっとも本発明においては、座ぐり凹部5を、ビス6(固定具)の頭部61の全域を収納できる大きさに必ずしも形成する必要はなく、座ぐり凹部52を頭部61の一部のみを収容できる大きさに形成し、頭部61の残りの部分を座ぐり凹部5から突出させるようにしても良い。
なお上記実施形態においては、固定具としてビス6を用いる場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、他の機械的ないし物理的固定具例えば、釘やスクリュー釘等を用いるようにしても良い。釘等を用いる場合、段板2の引き寄せ効果は得られないが、釘等を先孔4に打ち込んだ際に、釘等を先孔6によってガイドできるため、釘等の位置決めを確実に行うことができ、ひいては段板取付作業を簡単かつ確実に行うことができる。
また上記実施形態においては、先孔4を側板内面側から水平部(上端面)12にかけて貫通するように形成しているが、それだけに限られず、本発明においては、先孔4を、その上端部側(水平部12側)が開口されずに閉塞されて下端側(側板内側面側)のみが開口された非貫通状に形成しても良い。
さらに上記実施形態においては、先孔4をその内径寸法をビス6の軸部62の外径寸法よりも大きくしたバカ孔に形成しているが、それだけに限られず、本発明おいては、先孔4の内径寸法を固着具の軸部の外径寸法よりも小さく、または同程度の大きさに形成するようにしても良い。もっとも、先孔4をその上端部を閉塞したり、内径寸法を小さくすると、段板2の引き寄せ効果を期待できないため、上記実施形態のように、先孔4を貫通状のバカ孔(大径孔)に形成するのが好ましい。
また上記実施形態においては、本発明の段板取付構造を直階段に適用する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明の段板取付構造は廻り階段にも適用することができる。
例えば図6に示す階段においては、直階段S1と、廻り階段S2とが組み合わされて構成されており、直階段S1は上記実施形態と同様、支柱等の家屋構造体9に固定された両側板1に、その各水平部12に対応して2つずつ先孔4が形成されている。一方、廻り階段S2においては、家屋構造体9に固定される両側板のうち、内側に配置される内側板1aは、外側に配置される外側板1bに比べて、前後方向の長さ(水平部12の長さ)が短くなっている。このような廻り階段S2においても、上記実施形態と同様に、内側板1aおよび外側板1bに先孔4や座ぐり凹部5を形成しておくことによって、上記実施形態と同様に階段を組み立てることができる。
ここで廻り階段S2の裏面側における内側板1a周辺の作業スペースは特に小さく、さらに多くの部材が錯綜して複雑な構造であるため、階段内側での内側板1aへの段板2の取付作業は作業者にとって多大な負担となる。このような作業し難い廻り階段内側であっても、本実施形態の段板取付構造においては、ビス6を先孔4に挿入してねじ込むだけで簡単かつ精度良く、段板2を内側板1aに固定することができるとともに、受桟や受金具も不要で構造も簡素になり、有用性をより一層向上させることができる。なお外側板1bへの段板2の取付作業も、上記実施形態と同様に行うことができる。
また上記実施形態においては、本発明の段板取付構造を一対の側板1の各水平部12にそれぞれ適用する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明の段板取付構造は、側板1の少なくとも1つの水平部12に適用されてさえいれば良い。例えば本発明の段板取付構造を、一対の側板1のうち、片側の側板1のいずれかの水平部12のみに適用するようにしても良いし、廻り階段の内側板1aの水平部のみに適用するようにしても良い。
また上記実施形態においては、両側が壁面等によって閉塞されるひな壇階段に本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明おいては、片側の全域または一部、両側の全域または一部が開放されたひな壇階段にも適用することができる。
また上記実施形態においては、本発明の段板取付構造を段板およびけこみ板を備えたひな壇階段に適用する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、側板に段板のみが取り付けられて、けこみ板を備えていないささら桁階段等にも適用することができる。
さらに上記実施形態においては、両側板1が共にひな壇階段用等の階段状の側板によって構成される場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、一対の側板のうち少なくとも一方が階段状の側板によって構成されていれば良い。例えば本発明は、一対の側板のうち一方が階段状の側板によって構成され、他方が化粧階段用の側板(段板支持部材)等によって構成されていても良い。
また言うまでもなく本発明においては、側板1における一つの水平部12に形成される先孔4の数は限定されるものではない。
この発明の階段の段板取付構造は、戸建て住宅等の一般家屋のひな壇階段等に好適に適用することができる。
1:側板
1a:内側板
1b:外側板
12:水平部
13:垂直部
2:段板
3:けこみ板
4:先孔
5:座ぐり凹部
51:座面
6:ビス(固定具)
61:頭部
62:軸部
S1:直階段
S2:廻り階段
1a:内側板
1b:外側板
12:水平部
13:垂直部
2:段板
3:けこみ板
4:先孔
5:座ぐり凹部
51:座面
6:ビス(固定具)
61:頭部
62:軸部
S1:直階段
S2:廻り階段
Claims (10)
- 間隔をおいて配置される一対の側板と、前記側板に設けられた水平部に設置される段板とを備えた階段の段板取付構造であって、
前記側板の内面から水平部に向けて直線状に延び、かつ上端側が下端側に対し外側に傾斜する先孔が形成され、
軸部の基端側に頭部が設けられた固定具の前記頭部が前記先孔の下端側に配置されて前記軸部が前記先孔を通じて前記側板を貫通した状態で前記軸部の先端側が前記段板の下面側に固定されることによって、前記段板が前記側板に固定されていることを特徴とする階段の段板取付構造。 - 前記側板における前記先孔の下端側に対応して座ぐり凹部が設けられ、その座ぐり凹部に前記固定具の頭部が配置されるとともに、
前記座ぐり凹部の座面に、前記頭部が当接係止している請求項1に記載の階段の段板取付構造。 - 前記座ぐり凹部内に前記固定具の頭部が収納されている請求項2に記載の階段の段板取付構造。
- 前記座ぐり凹部の座面に、前記固定具の頭部が面接触状態に配置されている請求項2または3に記載の階段の段板取付構造。
- 前記先孔の内径が、前記固定具の軸部の外径よりも大きく形成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の階段の段板取付構造。
- 前記固定具がビスによって構成され、
前記先孔の上端部が前記側板の水平部に開口している請求項5に記載の階段の段板取付構造。 - 前記側板における前記水平部の後端に上方に延びる垂直部が設けられ、
前記先孔がその上端部が下端部に対し前方に傾斜するように形成されている請求項6に記載の階段の段板取付構造。 - 前記垂直部の前面に沿ってけこみ板が配置されるとともに、そのけこみ板の下端部が前記段板の後端面および前記垂直部との間に介在されている請求項7に記載の階段の段板取付構造。
- 直階段に適用される請求項1~8のいずれか1項に記載の階段の段板取付構造。
- 廻り階段に適用される請求項1~8のいずれか1項に記載の階段の段板取付構造。
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JP2021105956A JP2023004339A (ja) | 2021-06-25 | 2021-06-25 | 階段の段板取付構造 |
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- 2021-06-25 JP JP2021105956A patent/JP2023004339A/ja active Pending
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