JP2022535815A - 多官能性フッ素化化合物、その化合物から製造されるフッ素化ポリマー、及び関連方法 - Google Patents
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Abstract
多官能性化合物は、式X-C(R)RF-Yによって表され、式中、X及びYは、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)-HAL、-C(O)-NR12、-C≡N、-C(O)NR1-SO2-Rf1-W、又は任意に1つ以上の-O-基によって中断されるフッ素化アルケニル基である。HALは、-F、-Cl、又は-Brである。Rf1は、任意に1つ以上の-O-基によって中断されるフッ素化アルキレン基である。Wは、-F、-SO2Z、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2である。Zは、-F、-Cl、-NR12、又は-OMである。各R1は、水素原子又は最大4個の炭素原子を有するアルキルである。Mは、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。Rは、臭素、塩化物、フッ素又は水素原子であり、RFは、置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基、若しくはこれらの組み合わせで置換されている、フッ素化アルケニル基であるか、或いはRFは、臭素又はヨウ素によって置換されており、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基により中断されている、フッ素化アルキル基又はアリールアルキレニル基である。化合物を製造するためのプロセスについても開示される。化合物から製造されたフルオロポリマー及びフルオロポリマーを製造する方法も開示される。
Description
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/856,893号の優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本出願は、2019年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/856,893号の優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[背景技術]
フッ素化ポリマーは、原材料として広く使用され、様々な有益な特性が知られている。テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、TFE)と1種以上の他のモノマーとの溶融加工可能コポリマーは、耐薬品性、耐候性、低可燃性、熱安定性、及び有利な電気特性などの有用な特性を有する。このような特性により、これらのフルオロポリマーは、例えば、チューブ、パイプ、ホイル、フィルム、並びにワイヤ及びケーブル用のコーティングなどの物品において有用である。
フッ素化ポリマーは、原材料として広く使用され、様々な有益な特性が知られている。テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、TFE)と1種以上の他のモノマーとの溶融加工可能コポリマーは、耐薬品性、耐候性、低可燃性、熱安定性、及び有利な電気特性などの有用な特性を有する。このような特性により、これらのフルオロポリマーは、例えば、チューブ、パイプ、ホイル、フィルム、並びにワイヤ及びケーブル用のコーティングなどの物品において有用である。
フルオロエラストマーは、例えば、優れた機械的特性、耐熱性、耐候性、及び耐薬品性を有することが知られている。このような有益な特性は、フルオロエラストマーを、例えば、高温又は腐食性環境に曝露され得る、Oリング、シール、ホース、スキッド材料、及びコーティング(例えば、自動車用金属ガスケットコーティング)として有用なものにしている。フルオロエラストマーは、とりわけ、自動車、化学処理、半導体、航空宇宙、及び石油産業において有用であることが見出されている。
フルオロエラストマーは、典型的に、フルオロエラストマーガムと呼ばれることがある非晶質フルオロポリマーを、1種以上の硬化剤と組み合わせることにより、得られる硬化性組成物を所望の形状に成形し、硬化性組成物を硬化させることによって調製される。非晶質フルオロポリマーは、多くの場合、特定の硬化剤と反応可能な非晶質フルオロポリマー骨格に組み込まれた官能基である、硬化部位を含む。
TFEと、スルホニル及びカルボン酸側鎖基を含むモノマーとのコポリマーは、イオン性コポリマー又はアイオノマーとして有用である。アイオノマーは、例えば、燃料電池又はNaCl電気分解における膜電極接合体用ポリマー電解質膜を製造するために有用であり得る。コポリマーのスルホニル基当量が減少すると、コポリマー中の電気伝導性が増加する傾向がある。米国特許第8,097,383号(Kaneko)は、従来の電解質材料よりも高いイオン交換容量及び低抵抗を有し、より高い軟化温度を有する、ポリマー電解質材料を実現することを報告している。米国特許第7,297,815号(Murata)は、様々な分子構造を有するフッ素化スルホニルフルオリド化合物を低コストで効率的に得るプロセスを実現することを報告している。
フッ素化ポリマーは、典型的にはフッ素化乳化剤の存在下で、水相中で重合が行われる、水性乳化重合によって調製される。いくつかの用途では、乳化剤をフッ素化ポリマーから除去すること、又は他の場合には最終物品中に乳化剤が存在することを回避することが望ましい場合がある。
本開示は、多官能性フッ素化化合物及びそれを製造するためのプロセスを提供する。容易に得ることができるマロネートエステル並びに関連するカルボン酸及びそれらの誘導体は、有利には、プロセスの出発物質として使用される。フッ素化アルケン基を有する化合物との反応を含むプロセスは、比較的低い温度及び周囲気圧で実施することができる。多官能性フッ素化化合物は、例えば、重合助剤としてフルオロポリマーに硬化部位を導入する際に、及びフッ素化イオノマーの調製時に、有用であり得る。
第1の態様では、本開示は、下記の式によって表される多官能性化合物を提供する:
この式中、Rはフッ素、塩素、臭素又は水素原子であり、RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基、若しくはこれらの組み合わせによって置換されている、フッ素化アルケニル基であるか、或いはRFは、臭素又はヨウ素で置換されており、且つ中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されているフッ素化アルキル基又はアリールアルキレニル基であり、X及びYは、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)-HAL、-C(O)-NR1
2、-C≡N、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-W、又は中断されていないか若しくは1つ以上の-O-基によって中断されているフッ素化アルケニル基である。各HALは、独立して、-F、-Cl、又は-Brである。各Rf
1は、独立して、中断されていない、又は1つ以上の-O-基によって中断された、フッ素化アルキレン基である。各Wは、独立して、-F、-SO2Z、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2である。各Zは、独立して、-F、-Cl、-NR1
2、又は-OMである。各R1は、独立して、水素原子又は最大4個の炭素原子を有するアルキルであり、各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。
別の態様では、本開示は、多官能性化合物を含む成分から調製されたフルオロポリマーを提供する。
別の態様では、本開示は、多官能性化合物を製造するためのプロセスを提供する。このプロセスは、式M’O(O)C-C(R)H-C(O)OM’で表されるマロネート、塩基、及びアルケン基を含むフッ素化化合物を含む第1の成分を組み合わせることと、式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’で表される化合物を形成することと、を含む。これらの式中、各M’は、独立して、アルキル基又はトリメチルシリル基であり、Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、RFは、中断されていないか、又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか、又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基、若しくはこれらの組み合わせによって置換された、フッ素化アルケニルである。
更なるプロセス工程は、多官能性化合物の様々な実施形態を製造するために有用である。
別の態様では、本開示はフルオロポリマーを製造する方法を提供する。本方法は、本明細書に開示される多官能性化合物と、式RaCF=CRa
2若しくはCF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2で表される少なくとも1種のフッ素化モノマー、又はこれらの組み合わせと、を含む第4の成分を組み合わせることと、フッ素化モノマーと多官能性化合物とを共重合させることと、を含む。これらの式において、各Raは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールであり、Rf
2は、1個~8個の炭素原子を有し、任意に1つ以上の-O-基が中断する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、zは、0、1、又は2であり、各nは、独立して1、2、3、又は4であり、mは、0又は1である。
本願において、
「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、具体例を例示するために用いることができる一般的な種類を含む。「a」、「an」及び「the」の用語は、「少なくとも1つ」という用語と互換可能に使用される。
「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、具体例を例示するために用いることができる一般的な種類を含む。「a」、「an」及び「the」の用語は、「少なくとも1つ」という用語と互換可能に使用される。
列挙に続く語句「のうちの少なくとも1つを含む」とは、列挙中の項目のうちのいずれか1つ、及び列挙中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを含むことを指す。列挙に続く語句「のうちの少なくとも1つ」とは、列挙中の項目のうちのいずれか1つ、又は列挙中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
「アルキル基」及び接頭辞「アルキ(alk-)」は直鎖及び分枝鎖の両方の基、並びに環状基を含む。特に指定しない限り、本明細書におけるアルキル基は最大20個の炭素原子を有する。環状基は単環であっても多環であってもよく、いくつかの実施形態では、3個~10個の環炭素原子を有してもよい。
本明細書で使用するとき、「アリール」及び「アリーレン」という用語は、例えば、1、2又は3つの環を有し、最大4個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基(例えば、メチル又はエチル)、最大4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロ基(すなわち、フルオロ、クロロ、ブロモ若しくはヨード)、ヒドロキシ基、又はニトロ基を含む、任意に最大5つの置換基で置換されている環内に、任意に少なくとも1個のへテロ原子(例えば、O、S又はN)を含有する、炭素環式芳香環又は環系を含む。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、並びにフリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、及びチアゾリルが挙げられる。
「アルキレン」は、上記定義の「アルキル」基の、多価(例えば、二価又は三価)の形態である。「アリーレン」は、上記定義の「アリール」基の、多価(例えば、二価又は三価)の形態である。
「アリールアルキレン」は、アリール基が結合している「アルキレン」部分を指す。「アルキルアリーレン」は、アルキル基が結合している「アリーレン」部分を指す。
用語「フッ素化」は、少なくともいくつかのC-H結合が、C-F結合で置き換えられている基を指す。
「ペルフルオロ」及び「ペルフルオロ化」という用語は、全てのC-H結合がC-F結合によって置き換えられている基を指す。
多官能性という用語は、ポリフルオロアルキル又はペルフルオロアルキル主鎖上に2つ以上の官能基を有することを指す。いくつかの実施形態では、多官能性は、三官能性を指す。有用な官能基としては、カルボン酸及びそれらの誘導体、スルホン酸及びそれらの誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル、シアノ基、アルケン、アミド、並びにヨウ素及び臭素などのハロゲンが挙げられる。多官能性(例えば、三官能性)基において、複数の官能基は同じである必要はない。
例えばペルフルオロアルキル又はペルフルオロアルキレン基に関する、「少なくとも1つの-O-基によって中断されている」という語句は、その-O-基の両側にペルフルオロアルキル又はペルフルオロアルキレンの一部を有することを指す。例えば、-CF2CF2-O-CF2-CF2-は、1つの-O-によって中断されているペルフルオロアルキレン基である。
全ての数値範囲は、特に別途指示しない限り、これらの範囲の端点、及び端点間の非整数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
本開示は、式Iで表される多官能性化合物を提供する:
式I中、X及びYは、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)-HAL、-C(O)-NR1
2、-C≡N、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-W、又は中断されていないか若しくは少なくとも1つの-O-基によって中断されているフッ素化アルケニル基である。
-C(O)-O-Mについては、各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。四級アンモニウムカチオンは、水素及びアルキル基の任意の組み合わせで置換されていてもよく、いくつかの実施形態では、アルキル基は独立して1個~4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、又は金属カチオンである。いくつかの実施形態では、各Mは、独立して、アルキル基又は水素原子である。いくつかの実施形態では、各Mは、独立して、アルキル基である。これらの実施形態のいずれにおいても、アルキルは、最大4、3、2、個又は1個の炭素原子を有し得る。いくつかの実施形態では、Mは金属カチオンであり、金属カチオンはアルカリ金属カチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウム)である。いくつかの実施形態では、Mは、カリウム、ナトリウム又はリチウムカチオンである。
-C(O)-HALについては、各HALは、独立して、-F、-Cl、又は-Brである。いくつかの実施形態では、各HALは、独立して、-F又は-Clである。いくつかの実施形態では、各HALは-Fである。いくつかの実施形態では、X又はYのうちの少なくとも1つは、-C(O)-Fである。いくつかの実施形態では、X及びYは両方とも-C(O)-Fである。
-C(O)-NR1
2において、各R1は、水素又は最大4個の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、又はブチル)である。いくつかの実施形態では、各R1は、水素又はメチルである。いくつかの実施形態では、各R1は水素である。
いくつかの実施形態では、各フッ素化アルケニル基は、独立して、最大20、10、8、6、又は4個の炭素原子を有する。フッ素化アルケニル基は、少なくとも2個の炭素原子を有し、いくつかの実施形態では、少なくとも3個の炭素原子を有する。各フッ素化アルケニル基は、独立して、部分フッ素化又はペルフルオロ化されてもよく、2つ以上のアルケン基を有してもよく、最大で6、5、4、3、又は2個の-O-基を有してもよい。部分フッ素化アルケニル基は、例えば、少なくとも1つの炭素-水素結合を含み得る。いくつかの実施形態では、各フッ素化アルケニル基は、独立して、1つの-O-基によって中断されている。いくつかの実施形態では、各フッ素化アルケニルは、独立して、-CF2-O-ペルフルオロ化アルケニルである。いくつかの実施形態では、各フッ素化アルケニル基は、独立して、-CF2-O-ペルフルオロ化(C2~C6)アルケニルである。いくつかの実施形態では、各フッ素化アルケニル基は、独立して、-CF2-O-CF2-CF=CF2又は-CF2-O-CF=CF2である。いくつかの実施形態では、フッ素化アルケニルは-O-基によって中断されておらず、炭素-炭素結合、炭素-フッ素結合、及び任意に炭素-水素又は炭素-塩素結合のみを含む。いくつかの実施形態では、X及びYは両方とも、中断されていないか又は1つ以上の-O-基によって中断されている、同じフッ素化アルケニル基である。いくつかの実施形態では、X又はYのうちの少なくとも1つは、-CF2-O-CF2-CF=CF2、又は-CF2-O-CF=CF2である。いくつかの実施形態では、X及びYは両方とも、-CF2-O-CF2-CF=CF2、又は-CF2-O-CF=CF2である。
例えば、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-Wについては、各Rf
1は、独立して、中断されていないか又は1つ以上の-O-基によって中断されているフッ素化アルキレン基であり、各Wは、独立して、-F、-SO2Z、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2、各Zは、独立して-F、-Cl、-NR1
2、又は-OMであり、各R1は、独立して、水素又はアルキルである[式中、各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである]。四級アンモニウムカチオンは、水素及びアルキル基の任意の組み合わせで置換されていてもよく、いくつかの実施形態では、アルキル基は独立して1個~4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、各R1は、水素又は最大4個の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル)である。いくつかの実施形態では、各R1は水素である。いくつかの実施形態では、各Mは、独立して、アルキル基、水素原子、又は金属カチオンである。いくつかの実施形態では、各Mは、独立して、アルキル基又は水素原子である。いくつかの実施形態では、各Mは、独立して、アルキル基である。これらの実施形態のいずれにおいても、アルキルは、最大4、3、2、個又は1個の炭素原子を有し得る。いくつかの実施形態では、金属カチオンはアルカリ金属カチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウム)である。いくつかの実施形態では、Mは、カリウム、ナトリウム又はリチウムカチオンである。いくつかの実施形態では、各Rf
1は、独立して、最大20、10、8、6又は4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、各Rf
1は、少なくとも2個の炭素原子を有し、いくつかの実施形態では、少なくとも3個の炭素原子を有する。各Rf
1は、独立して、部分フッ素化又はペルフルオロ化されてもよく、最大6、5、4、3又は2個の-O-基を有してもよい。部分フッ素化アルキレン基は、例えば、少なくとも1つの炭素-水素結合を含み得る。いくつかの実施形態では、Wは、-SO2Z、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2である。いくつかの実施形態において、Wは、-SO2Zである。いくつかの実施形態では、各Zは、独立して、-F、-Cl、又は-OMである。いくつかの実施形態では、各Zは独立して-F又は-OMであり、式中、Mは水素原子又は金属カチオンである。
いくつかの実施形態では、X及びYは、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)F、-C≡N、又は-CF2-O-ペルフルオロ化アルケニルである[式中、各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである]。いくつかの実施形態では、X又はYのうちの少なくとも1つは-C(O)-Fであり、X又はYのうちの少なくとも1つは、-CF2-O-ペルフルオロ化アルケニルである。いくつかの実施形態では、各X及びYは、独立して、-C(O)-O-Mであり、各Mは、独立して、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。いくつかの実施形態では、各X及びYは、独立して、-C(O)-O-Mであり、各Mは、独立して、アルキル基又はトリメチルシリル基である。いくつかの実施形態では、X及びYは、それぞれ独立して、-C≡N又は-CF2-O-ペルフルオロ化アルケニルである。いくつかの実施形態では、X又はYのうちの少なくとも1つは、-CF2-O-CF2-CF=CF2、又は-CF2-O-CF=CF2である。いくつかの実施形態では、X及びYは両方とも、-CF2-O-CF2-CF=CF2、又は-CF2-O-CF=CF2である。いくつかの実施形態では、X又はYのうちの少なくとも1つは、-C(O)NR1
2である。いくつかの実施形態では、X又はYのうちの少なくとも1つは-C(O)NR1
2であり、X又はYのうちの少なくとも1つは、-C(O)NR1
2又は-C(O)NR-SO2-Rf
1-Wである。いくつかの実施形態では、X又はYのうちの少なくとも1つは、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-Wである。いくつかの実施形態では、X及びYの両方が、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-Wである。これらの実施形態のいくつかでは、Wは、-SO2Z、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2である。いくつかの実施形態では、Wは-O-CF=CF2又は-O-CF2-CF=CF2である。いくつかの実施形態では、X又はYのうちの少なくとも1つは、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-SO2Halである。いくつかの実施形態では、X及びYの両方が、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-SO2Halである。これらの実施形態のいずれかにおいて、Halは、-Cl又は-Fである。
式I中、Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子である。いくつかの実施形態では、Rは、フッ素原子又は水素原子である。いくつかの実施形態では、Rは、フッ素原子である。
式Iにおいて、RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基、若しくはこれらの組み合わせによって置換されている、フッ素化アルケニル基であるか、或いはRFは、臭素又はヨウ素で置換されており、且つ中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されている、フッ素化アルキル基若しくはアリールアルキレニル基である。いくつかの実施形態では、各フッ素化アルケニル基は、独立して、最大20、10、8、6、又は4個の炭素原子を有する。フッ素化アルケニル基は、少なくとも2個の炭素原子を有し、いくつかの実施形態では、少なくとも3個の炭素原子を有する。各フッ素化アルケニルは、独立して、部分フッ素化又はペルフルオロ化されてもよく、2つ以上のアルケン基を有してもよく、最大で6、5、4、3、又は2個の-O-基を有してもよい。いくつかの実施形態では、RFはペルフルオロ化アルケニルである。部分フッ素化アルケニル基は、例えば、炭素-水素結合又は炭素-塩素結合のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、各フッ素化アルケニルは、1つの-O-基によって中断されている。いくつかの実施形態では、フッ素化アルケニルは-O-基によって中断されておらず、炭素-炭素結合、炭素-フッ素結合、及び任意に炭素-水素又は炭素-塩素結合のみを含む。いくつかの実施形態では、RFは、-CF=CF2、-CF=CFCF3、-CCl=CF2、-CF=CFCl、-CF=CH2、又は-CF2-CF=CF2である。
いくつかの実施形態では、RFは、中断されていないか又は1つ以上の-O-基によって中断されている、フッ素化アルケニル基である。いくつかの実施形態では、RFは、CF=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2、又は-CF2CF=CF(OCnF2n)zORfである[式中、Rf
2は、1個~8個の炭素原子を有し、中断されていないか又は1つ以上の-O-基によって中断されている直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、zは0、1又は2であり、各nは独立して1、2、3又は4であり、mは0又は1である]。いくつかの実施形態では、zは1又は2である。いくつかの実施形態では、nは1~3、又は2~3、又は2~4である。いくつかの実施形態では、nは1又は3である。いくつかの実施形態では、nは3である。CnF2nは、直鎖又は分枝鎖であり得る。いくつかの実施形態では、CnF2nは、(CF2)nと表記する場合があり、これは直鎖ペルフルオロアルキレン基を指す。いくつかの実施形態では、CnF2nは、-CF2-CF2-CF2-である。いくつかの実施形態では、CnF2nは分枝鎖であり、例えば、-CF2-CF(CF3)-である。いくつかの実施形態では、(OCnF2n)zは、-O-(CF2)1-4-[O(CF2)1-4]0-1で表される。いくつかの実施形態では、Rfは、1個~6個の炭素原子を有し、任意に最大4、3、又は2個の-O-基によって中断されている直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である。いくつかの実施形態では、Rfは、1個~4個の炭素原子を有し、任意に1つの-O-基が中断しているペルフルオロアルキル基である。
いくつかの実施形態では、RFは、臭素若しくはヨウ素で置換されており、且つ中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されている、フッ素化アルキル基若しくはアリールアルキレニル基である。いくつかの実施形態では、RFは、臭素又はヨウ素で置換されており、且つ中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されている、フッ素化アルキル基である。いくつかの実施形態では、各フッ素化アルキル基は、独立して、最大20、10、8、6又は4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、各フッ素化アルキル基は、少なくとも2個の炭素原子を有し、いくつかの実施形態では、少なくとも3個の炭素原子を有する。各フッ素化アルキルは、独立して、部分フッ素化又はペルフルオロ化されてもよく、最大6、5、4、3、又は2個の-O-基を有してもよい。いくつかの実施形態では、RFは、少なくとも1つの臭素又はヨウ素で置換されたペルフルオロ化アルキルである。部分フッ素化アルキル基は、例えば、炭素-水素結合又は炭素-塩素結合のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、各フッ素化アルキルは、1つの-O-基によって中断されている。いくつかの実施形態では、フッ素化アルキルは、-O-基によって中断されておらず、炭素-炭素結合、炭素-フッ素結合、及び任意に炭素-水素又は炭素-塩素結合のみを含む。これらの実施形態では、RFは、1つ又は2つの臭素原子又は1つ又は2つのヨウ素原子によって置換されていてよい。
いくつかの実施形態では、Rはフッ素原子であり、RFはペルフルオロ化アルケニル基である。いくつかの実施形態では、Rはフッ素原子であり、RFは、-CF=CF2、-CF=CFCF3、又は-CF2-CF=CF2である。
本開示の多官能性化合物を製造するプロセスは、式M’O(O)C-C(R)H-C(O)OM’で表されるマロネートを含む第1の成分、塩基、及びアルケン基を含むフッ素化化合物を組み合わせることと、式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’(X)で表される化合物を形成することとを含む[式中、R及びRFは、それらの実施形態のいずれかにおいて上記に定義したとおりであり、各M’は、独立して、アルキル又はトリメチルシリルである]。いくつかの実施形態では、各M’は、独立して、1つの4個の炭素原子(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、又はイソブチル)を有するアルキルである。いくつかの実施形態では、各M’は、メチル、エチル、又はトリメチルシリルである。いくつかの実施形態では、各M’は同じものである。式M’O(O)C-C(R)H-C(O)OM’で表されるいくつかのマロネートは市販されている。例えば、ジメチル-2-フルオロマロネート、ジエチル-2-フルオロマロネート、ジメチル-2-クロロマロネート、ジエチル-2-クロロマロネート、ジメチル-2-ブロモマロネート、ジエチル-2-ブロモマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルマロネート、及びビス(トリメチルシリル)マロネートは、abcr Chemicals(Karlsruhe、Germany)及びSigma-Aldrich(St.Louis、Mo.)などの化学物質製造業者から市販されている。
本開示の多官能性化合物を製造する方法における第1の成分はまた、塩基を含む。様々な塩基が、本開示の方法において有用である。いくつかの実施形態では、塩基は、水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、炭酸セシウム、又はn-ブチルリチウムのうちの少なくとも1つを含む。有用な塩基としては、アンモニウム及びアルカリ金属水酸化物も挙げられる。いくつかの実施形態では、塩基は水素化ナトリウムである。水素化ナトリウムは、典型的に、鉱油中の懸濁液として入手可能であり、所望であれば、反応前に鉱油を除去するために溶媒で洗浄されてもよい。
いくつかの実施形態では、アルケン基を含むフッ素化化合物は、RaCF=CRa
2、CF2=CF-CF2-LG、又はCF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2である[式中、Ra、LG、Rf
2、z、n、及びmは、以下に定義されるとおりである]。式RaCF=CRa
2中、各Raは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基(例えば、1個~8個、1個~4個、若しくは1個~3個の炭素原子を有し、且つ任意に1個以上の酸素原子によって中断されている、ペルフルオロアルキル)、フルオロアルコキシ基(例えば、1個~8個、1個~4個、若しくは1個~3個の炭素原子を有し、且つ任意に1個以上の酸素原子によって中断されている、ペルフルオロアルコキシ)、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールである。式RaCF=CRa
2によって表される有用なフッ素化モノマーの例としては、フッ化ビニリデン(vinylidene fluoride、VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene、HFP)、クロロトリフルオロエチレン、2-クロロペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ジクロロジフルオロエチレン、1,1-ジクロロフルオロエチレン、1-ヒドロペンタフルオロプロピレン、2-ヒドロペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペルフルオロアルキルペルフルオロビニルエーテル、ペルフルオロアルキルペルフルオロアリルエーテル及びこれらの混合物が挙げられる。
RFが式-CF=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2又は-CF2CF=CF(OCnF2n)zORf
2によって表される場合、アルケン基を含むフッ素化化合物は、式CF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2によって表され、式中、m、n、z、及びRf2は、上記で定義したとおりである。アルケン基を含む好適なフッ素化化合物としては、m及びzが0であり、ペルフルオロアルキルペルフルオロビニルエーテルが式CF2=CFORf
2によって表される、フッ素化化合物が挙げられる[式中、Rf
2は、1個~8個、1個~4個、又は1個~3個の炭素原子を有し、任意に1個以上の-O-基によって中断されている、ペルフルオロアルキルである]。アルケン基を含むフッ素化化合物として好適なペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルとしては、mが0であり、式CF2=CF(OCnF2n)zORf
2[各nは、独立して、1~4であり、zは、1又は2であり、Rf
2は、1個~8個の炭素原子を有し且つ任意に1つ以上の-O-基によって中断されている、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]によって表されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、nは1~3、又は2~3、又は2~4である。いくつかの実施形態では、nは1又は3である。いくつかの実施形態では、nは3である。CnF2nは、直鎖又は分枝鎖であり得る。いくつかの実施形態では、CnF2nは、(CF2)nと表記する場合があり、これは直鎖ペルフルオロアルキレン基を指す。いくつかの実施形態では、CnF2nは、-CF2-CF2-CF2-である。いくつかの実施形態では、CnF2nは分枝鎖であり、例えば、-CF2-CF(CF3)-である。いくつかの実施形態では、(OCnF2n)zは、-O-(CF2)1-4-[O(CF2)1-4]0-1によって表される。いくつかの実施形態において、Rf2は、任意に最大4、3又は2個の-O-基によって中断されている、1個~8個(又は1個~6個)の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である。いくつかの実施形態において、Rf2は、任意に1個~4個の炭素原子を有して1つの-O-基によって中断されているペルフルオロアルキル基である。式CF2=CF(OCnF2n)zORf
2によって表される好適なアルケンとしては、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、CF2=CFOCF2OCF3、CF2=CFOCF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2(OCF2)3OCF3、CF2=CFOCF2CF2(OCF2)4OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2OCF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2CF(CF3)-O-C3F7(PPVE-2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3))2-O-C3F7(PPVE-3)及びCF2=CF(OCF2CF(CF3))3-O-C3F7(PPVE-4)が挙げられる。これらのペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの多くは、米国特許第6,255,536号(Wormら)、及び同第6,294,627号(Wormら)に記載されている方法によって調製することができる。
ペルフルオロアルキルアルケンエーテル及びペルフルオロアルコキシアルキルアルケンエーテルはまた、本開示の方法を実施するとき、アルケン基を含むフッ素化化合物として有用であり得る。好適なフッ素化オレフィンとしては、米国特許第5,891,965号(Wormら)及び同第6,255,535号(Schulzら)に記載されているものが挙げられる。このようなモノマーとしては、nが0であり、式CF2=CF(CF2)m-O-Rf
2[式中、mは1であり、Rf
2は、その実施形態のいずれかにおいて上記で定義したとおりである]によって表されるものが挙げられる。好適なペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルとしては、式CF2=CFCF2(OCnF2n)zORf2[式中、n、z及びRf2は、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの実施形態のいずれかにおいて上記に定義されたとおりである]によって表されるようなものが挙げられる。好適なペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルの例としては、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF2)3OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF2)4OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2OCF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF(CF3)-O-C3F7、及びCF2=CFCF2(OCF2CF(CF3))2-O-C3F7が挙げられる。これらのペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルの多くは、例えば、米国特許第4,349,650号(Krespan)に記載されている方法によって調製することができる。
いくつかの実施形態では、アルケン基を含むフッ素化化合物は、式CF2=CF-CF2-LG[式中、LGは、Cl、Br、I、クロロサルフェート、フルオロサルフェート、又はトリフルオロメチルサルフェートである]によって表される。式CF2=CF-CF2-LGによって表される化合物は、既知の方法によって調製することができる。ペルフルオロアリルフルオロスルホネート(CF2=CF-CF2-OSO2F)は、ヘキサフルオロプロピレンとSO3及びBF3との反応によって得ることができる。CF2=CF-CF2-OSO2Clは、国際公開第2018/211457号パンフレット(Hintzerら)に記載されているとおり、三塩化ホウ素(BCl3)とClSO3Hとを反応させて、B(OSO2Cl)3をもたらし、続いてB(OSO2Cl)3とヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene、HFP)とを反応させることによって、好都合に調製することができる。M(OSO2CF3)3及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)を含む成分を組み合わせることにより、CF2=CF-CF2-OSO2CF3[式中、MはAl又はBである]が得られる。Al(OSO2CF3)3は、例えば、abcr GmbH(Karlsruhe、Germany)及びSigma-Aldrich(St.Louis、Missouri)などの化学物質製造業者から市販されている。BCl3とCF3SO3Hとの反応は、B(OSO2CF3)3をもたらすのに有用であり得る。CF2=CF-CF2-OSO2CF3の調製についての更なる詳細は、国際公開第2018/211457号パンフレット(Hintzerら)に見出すことができる。
好都合には、第1の成分間の反応は、周囲気圧及び準周囲温度で実施することができる。いくつかの実施形態では、第1の成分は、-25℃~50℃の範囲、又は-15℃~10℃の範囲の温度で組み合わされる。いくつかの実施形態では、第1の成分は、最大25℃、最大20℃、又は最大15℃の温度で反応させる。有用な反応時間としては、少なくとも30分、最大12時間、最大8時間、最大4時間、又は最大2時間が挙げられる。反応は、典型的には、好適な溶媒中で実施される。好適な溶媒の例としては、極性非プロトン性溶媒、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン(グリム)、1-(2-メトキシエトキシ)-2-メトキシエタン(ジグリム)、2,5,8,11-テトラオキサドデカン(トリグリム)、テトラグリム、ジオキサン、スルホラン、ニトロベンゼン、及びベンゾニトリルが挙げられる。これらの溶媒のいずれかの組み合わせも有用な場合がある。本開示のプロセスのいくつかの実施形態では、反応は、DMF又はアセトニトリルのうちの少なくとも1つにおいて実施される。好適な溶媒は、約25℃~200℃の範囲の沸点を有し得る。
いくつかの実施形態では、本開示のプロセスは、式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’によって表される化合物を、式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OH又はHAL(O)C-C(R)RF-C(O)HALによって表される化合物に変換することを更に含む。式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’のジエステルを式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OHのジカルボン酸に変換することは、例えば加水分解によって実施することができる。反応は、例えば、過剰な水の存在下で鉱酸を使用して行うことができる。好適な酸としては、硫酸及び塩酸が挙げられる。反応は、室温又は室温未満で実施されてもよい。従来の方法を用いた、式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’のジエステルの塩基促進加水分解も有用であり得る。
式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OHで表されるジカルボン酸[式中、R及びRFは、それらの実施形態のいずれかにおいて上記に定義したとおりである]は、従来の方法を用いて式(CH3)3SiO(O)C-C(R)RF-C(O)OSi(CH3)3によって表されるトリメチルシリルエステルに変換することができる。例えば、式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OHで表されるジカルボン酸は、適切な溶媒中の塩基(例えば、第3級アミン)の存在下で、トリメチルシリルクロリドで処理することができる。反応は、周囲温度又は高温において実施することができる。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OHのジカルボン酸を式HAL(O)C-C(R)RF-C(O)HALのカルボン酸ハロゲン化物に変換することを更に含む。いくつかの実施形態では、ジカルボン酸ハロゲン化物は、ジカルボン酸塩化物又はジカルボン酸フッ化物である。式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OHのジカルボン酸は、従来の方法(例えば、塩化ホスホリル、五塩化リン(phosphorous pentachloride)、塩化オキサリル、塩化チオニル、又はベンゾトリクロリドと反応させる方法)を用いて、式Cl(O)C-C(R)RF-C(O)Clのジカルボン酸塩化物中で、変換することができる。変換は、式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OHのジカルボン酸を、塩化ホスホリル及び五塩化リンと組み合わせることによって好都合に実施することができる。成分は準周囲温度で組み合わせることができ、次いで、反応物を高温(例えば、少なくとも60℃、70℃、80℃、90℃、又は100℃以上)で加熱することができる。反応は、上記のもののいずれかを含む極性非プロトン性溶媒などの好適な溶媒の存在下で実施することができ、生成物は、従来の方法(例えば、蒸留)によって単離され得る。同様に、式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OHのジカルボン酸は、従来の方法を用いて、式F(O)C-C(R)RF-C(O)Fのジカルボン酸フッ化物に変換することができる。変換は、触媒塩化鉄(III)の存在下でジカルボン酸とベンゾトリフルオリドとを組み合わせることによって好都合に実施することができる。反応は、未希釈又は好適な溶媒の存在下のいずれかで、高温で実施することができ、生成物は、従来の方法(例えば、蒸留)によって単離され得る。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、式F(O)C-C(R)RF-C(O)Fによって表される化合物と、フッ化物イオン及びヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む第2の成分とを組み合わせて、式
[式中、X1は、-CF2-O-CF=CF2であり、Y1は-C(O)F又は-CF2-O-CF=CF2であり、R及びRFは、それらの実施形態のいずれかにおいて上記で定義したとおりである]によって表される化合物を提供することを含む。式F(O)C-C(R)RF-C(O)Fで表されるジカルボン酸フッ化物は、例えばフッ化物イオンの存在下でヘキサフルオロプロピレンオキシド(hexafluoropropylene oxide、HFPO)と反応させることによって、ポリフッ素化ジビニルエーテルに変換することができる。反応は、上記の極性非プロトン性溶媒のいずれかなどの非反応性有機溶媒中で、使用される触媒に応じて、-40℃~60℃の範囲の温度で、式F(O)C-C(R)RF-C(O)Fのジカルボン酸フッ化物、HFPO、及びフッ化物イオンを組み合わせることによって好都合に実施することができる。式F(O)C-C(R)RF-C(O)Fの化合物の、HFPOに対するモル比は、1:1~1:10の範囲内、いくつかの実施形態では、1:2~1:5の範囲内である。フッ化物イオンは、フッ化物塩によって提供され得る。いくつかの実施形態において、フッ化物イオンのソースは、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、又は(R’)4NF[式中、各R’は、独立して、1個~6個の炭素原子を有するアルキルであり、いくつかの実施形態では、1個~4個又は2個~4個の炭素原子を有する]のうちの少なくとも1つである。上述のように調製され、ジビニルエーテルXXVに変換される、ジカルボン酸フッ化物XVの実施形態を、以下の反応スキームIに示す[式中、R及びRFは、それらの実施形態のいずれかにおいて上記に定義したとおりである]。いくつかの実施形態では、Rはフッ素原子であり、RFは、-CF=CF2、-CF=CFCF3、又は-CF2-CF=CF2である。2当量未満のHFPOが使用される場合、X1は-CF2-O-CF=CF2であり、Y1は-C(O)Fである。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、式F(O)C-C(R)RF-C(O)Fによって表される化合物と、フッ化物イオンと、CF2=CF-CF2-LG[式中、LGは、Cl、Br、I、クロロサルフェート、フルオロサルフェート、又はトリフルオロメチルサルフェートである]とを含む第2の成分を組み合わせて、式
[式中、X1は、-CF2-O-CF2CF=CF2であり、Y1は、-C(O)F又は-CF2-O-CF2CF=CF2であり、R及びRFは、それらの実施形態のいずれかにおいて上記で定義したとおりである]によって表される化合物を提供することを含む。上記の方法を用いて、式CF2=CF-CF2-LGによって表される様々な化合物を調製することができる。上述のように調製され、ジアリルエーテルXXXに変換される、ジカルボン酸フッ化物XVの実施形態を、以下の反応スキームIIに示す[式中、R及びRFは、それらの実施形態のいずれかにおいて上記に定義したとおりである]。いくつかの実施形態では、Rはフッ素原子であり、RFは、-CF=CF2、-CF=CFCF3、又は-CF2-CF=CF2である。ジビニルエーテル及びジアリルエーテル、例えば反応スキームI及びIIに示されるものは、例えば米国特許出願公開第2010/0311906号(Lavalleeら)に記載されているようなフッ素化ポリマーの調製中に長鎖分枝を導入するために有用であり得、且つ/又は架橋のために硬化部位をフルオロポリマーに導入することができる。
XXXで表される化合物は、例えば、米国特許第4,273,729号(Krespan)に記載されているフッ化カリウムの存在下で、式XVで表されるジカルボン酸フッ化物を、ペルフルオロアリルクロリド、ペルフルオロアリルブロミド、ペルフルオロアリルヨージド、又はペルフルオロアリルフルオロサルフェートと反応させることによって、製造することができる。式XXXで表される化合物はまた、式XVで表されるジカルボン酸フッ化物、CF2=CF-CF2-OSO2Cl又はCF2=CF-CF2-OSO2CF3のうちの少なくとも1つ、及びフッ化物イオンを組み合わせることによって調製することができる。フッ化物イオンは、フッ化物塩によって提供され得る。いくつかの実施形態において、フッ化物イオンのソースは、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、又は(R’)4NF[式中、各R’は、独立して、1個~6個の炭素原子を有するアルキルであり、いくつかの実施形態では、1個~4個又は2個~4個の炭素原子を有する]のうちの少なくとも1つである。変換に好適な溶媒としては、極性非プロトン性溶媒、例えば、上記の溶媒のいずれかが挙げられる。2当量未満のCF2=CF-CF2-LGが使用される場合、X1は-CF2-O-CF-CF=CF2であり、Y1は-C(O)Fである。
反応スキームI及びIIに示されるXVなどのジカルボン酸フッ化物の反応の場合、1又は2当量の、ジカルボン酸フッ化物以外の成分は、ジカルボン酸フッ化物を、官能基がそれぞれ異なる又は同じである多官能性フッ素化化合物に変換するために有用であり得る。所望の当量数の、ポリフッ化ジカルボン酸フッ化物以外の成分は、場合によって、最大10モル%、7.5モル%、又は5モル%を超えることがある。
式XXVの化合物中のフッ素化ジビニルエーテル及び式XXXのアリルエーテルのうちの1つ以上は、30℃~200℃の範囲、又は80℃~160℃の範囲の温度で、ヨウ素元素と五フッ化ヨウ素との混合物と反応させることができる。或いは、得られるジビニルエーテルの反応を、ICl、HF、及びBF3を用いて約50℃で実施して、更なる多官能性フッ素化化合物を形成することもできる。ここのような化合物の例としては、I-CF2-CF2-O-CF2-C(R)RF-CF2-O-CF=CF2、I-CF2-CF2-O-CF2-C(R)RF-CF2-O-CF2-CF2-I、
、及び
が挙げられる。RF中のアルケン基はまた、この反応条件下でヨウ素化して、RFが、ヨウ素で置換され且つ中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されている、フッ素化アルキル基又はアリールアルキレニル基である、化合物を提供することもできる。これらの化合物はまた、フルオロポリマーを架橋するのに有用であり得る。
ジカルボン酸フッ化物及び式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’(X)によって表される化合物は、以下の反応スキームIII[式中、R及びRFは、それらの実施形態のいずれかにおいて上に定義したとおりである]に示されるようにニトリルに変換することができる。いくつかの実施形態では、Rはフッ素原子であり、RFは、-CF=CF2、-CF=CFCF3、又は-CF2-CF=CF2である。アミノ化及びその後の酸化(例えば、P4O10)は、例えば欧州特許第0710645(A1)号(1996)及び欧州特許第0708139(A1)号(1996)に記載されているように、式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’の化合物をニトリルXXXVに変換するのに有用であり得る。他の実施形態では、式XVIの化合物中の酸フッ化物基のうちの1つは、例えば反応スキームI及びIIに関連して上述したプロセスを使用して、ポリフッ素化ビニルエーテル又はアリルエーテルに変換することができ、酸フッ化物基のもう一方は、例えば欧州特許第0710645(A1)号(1996)及び欧州特許第0708139(A1)号(1996)に記載されているように、既知の方法(例えば、(例えば、CH3OHによる)エステル化、(例えば、アンモニアによる)アミノ化、及び(例えば、P4O10による)その後の酸化)によって、シアノ基に変換することができる。反応スキームIIIに示されるXXXVなどの硬化部位モノマーは、例えば、架橋のために硬化部位をフルオロポリマーに導入するために有用であり得る。
本開示の多官能性化合物及び/又は本開示のプロセスによって製造される多官能性化合物のいくつかの実施形態では、X又はY(又はX2又はY2)のうちの少なくとも1つは、-C(O)-NR1SO2Rf
1SO2Zである[式中、R1、Rf
1、及びZは、それらの実施形態のいずれかにおいて上記に定義されたとおりである]。これらの化合物は、例えば、式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’で表されるジエステル、又は式XVのジカルボン酸フッ化物から出発して製造することができる[式中、R及びRFは、それらの実施形態のいずれかにおいて上に定義したとおりである]。いくつかの実施形態では、Rはフッ素原子であり、RFは、-CF=CF2、-CF=CFCF3、又は-CF2-CF=CF2である。ジエステル又はフッ素化ジカルボン酸は、アンモニア、又は式R1
2Nで表される一級若しくは二級アミンでアミン化することができる[式中、各R1は、独立して、最大4個の炭素原子を有する水素又はアルキルである]。反応は、任意に上記の極性非プロトン性溶媒のいずれかにおいて、周囲温度又は周囲温度未満で、好都合に実施することができる。式R1
2Nで表されるアミンとの反応の前又は後に、例えば欧州特許第0710645(A1)号(1996)に記載の方法を使用して、RF中のアルケン基を保護して、所望であれば、アルケンを臭素又は塩素と反応させ、ジブロモ又はジクロロ化合物を形成することができる。
式XVIで表される得られたアミドを、多官能性スルホニルフルオリド又はスルホニルクロリド化合物XVIIIと更に反応させて、反応スキームIVに示されるフッ素化イミドXLを提供することができる。アミドXVIが、R1基がアルキルである三級アミドである場合、式XL中のアミド基は四級アンモニウム基を有する。典型的には、少なくともR1基は水素である。式XVIIIによって表される有用な多官能性化合物の例としては、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-1,3-ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロピル-1,3-ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル-1,4-ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5-ペルフルオロブチル-1,5-ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-1,2-ジスルホニルクロリド、1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロピル-1,3-ジスルホニルクロリド、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブチル-1,4-ジスルホニルクロリド、及び1,1,2,2,3,3,4,4,5,5-ペルフルオロブチル-1,5-ジスルホニルクロリドが挙げられる。スルホニルハロゲン化物基は、式R1
2Nで表される更なる化合物で加水分解又は処理されて、式XLの化合物[式中、Zは上記のとおりである]を提供することができる。-SO2F基を有するコポリマーを、アルカリ性水酸化物(例えば、LiOH、NaOH、又はKOH)溶液で加水分解することによって-SO3Z基をもたらし、続いてこれを酸性化してSO3H基をもたらしてもよい。-SO2F基を有する化合物を水及び水蒸気で処理することにより、SO3H基を形成することができる。
反応スキームIVを実施する前に、RF基中のアルケンが臭素で保護される場合、所望であれば、亜鉛粉末を用いて、好適な溶媒(例えば、上記の極性非プロトン性溶媒のいずれか)中で、脱保護を実施することができる。脱保護に関する更なる詳細は、例えば、欧州特許第0710645(A1)号(1996年)に見出すことができる。脱保護は、高温で実施することができ、式XLの生成物は、従来の方法を用いて単離され得る。脱保護が実施されない場合、RFは、臭素によって置換され、且つ中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されている、フッ素化アルキル基又はアリールアルキレニル基であり得る。
式XVIの化合物はまた、式FSO2(CF2)a[SO2NZSO2(CF2)a]1-10SO2F、又はFSO2(CF2)a[SO2NZSO2(CF2)a]1-10SO3H[式中、各aは独立して、1~6、1~4、又は2~4である]で表されるポリスルホンイミド(polysulfonimide)によって処理してもよい。ポリスルホンイミドを製造するには、ハロゲン化スルホニルモノマー(例えば、上記のうちのいずれか)及び式H2NSO2(CF2)aSO2NH2によって表されるスルホンアミドモノマーを、(k+1)/kのモル比で反応させる。この反応は、例えば、好適な溶媒(例えば、アセトニトリル)中において塩基の存在下、0℃で実施することができる。スルホニルハライドモノマー及びスルホンアミドモノマーは、同じ又は異なる値のaを有してもよく、各繰り返し単位について同じ又は異なる値のaがもたらされる。得られた生成物FSO2(CF2)a[SO2NZSO2(CF2)a]1-10SO2Fは、塩基(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine、DIPEA))の存在下で1当量の水で処理して、公開特許2011-40363号に記載のFSO2(CF2)a[SO2NZSO2(CF2)a]1-10SO3Hを提供することができる。
式XVIで表されるアミドを、他のスルホニルフルオリド又はスルホニルクロリド化合物XIXと反応させて、下記の反応スキームVに示されるフッ素化イミドXLVを提供することもできる[式中、R、RF、R1、Rf
1、及びWは上記に定義したとおりである]。
反応スキームVのプロセスを用いたアミドとの反応に好適な式XIXのいくつかの化合物は、式CF2=CF-(CF2)0-1-SO2Hal又はCF2=CF(CF2)0-1(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2Hal[式中、Halは-Cl又は-Fである]によって表すことができる。式CF2=CFCF2-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2Hal中、bは2~8、0又は2の数であり、eは1~8の数である。いくつかの実施形態では、bは2~6又は2~4の数である。いくつかの実施形態では、bは2である。いくつかの実施形態では、eは1~6又は2~4の数である。いくつかの実施形態では、eは2である。いくつかの実施形態では、eは4である。いくつかの実施形態では、cは0又は1である。いくつかの実施形態では、cは0である。いくつかの実施形態では、cは0であり、eは2又は4である。いくつかの実施形態では、bは3であり、cは1であり、eは2である。CeF2eは、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。いくつかの実施形態では、CeF2eは、(CF2)eと表記する場合があり、これは直鎖ペルフルオロアルキレン基を指す。cが2である場合、2つのCbF2b基におけるbは、独立して選択され得る。しかしながら、CbF2b基内では、bは独立して選択されないことを当業者は理解するであろう。式CF2=CFCF2-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2Zによって表される有用な化合物の例としては、CF2=CFCF2-O-CF2-SO2Z、CF2=CFCF2-O-CF2CF2-SO2Z、CF2=CFCF2-O-CF2CF2CF2-SO2Z、CF2=CFCF2-O-CF2CF2CF2CF2-SO2Z、及びCF2=CFCF2-O-CF(CF3)-CF2-O-(CF2)e-SO2Zが挙げられる。
式CF2=CF(CF2)a-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2Zで表される化合物は、公知の方法によって製造することができる。例えば、式FSO2(CF2)e-1-C(O)F又はFSO2(CF2)e-(OCbF2b)c-1-C(O)Fで表される酸フッ化物を、米国特許第4,273,729号(Krespan)に記載されているように、フッ化カリウムの存在下において、ペルフルオロアリルクロリド、ペルフルオロアリルブロミド、又はペルフルオロアリルフルオロサルフェートと反応させて、式CF2=CFCF2-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2Fの化合物を製造することができる。式CF2=CFCF2-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO2Fの化合物を、塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、又は水酸化アンモニウム)で加水分解して、式CF2=CFCF2-(OCbF2b)c-O-(CeF2e)-SO3Zで表される化合物を提供することができる。
本開示の多官能性化合物及び/又は本開示のプロセスによって製造される多官能性化合物は、例えば、フルオロポリマーの調製において有用である。例えば、多官能性化合物は、式RaCF=CRa
2[式中、各Raは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基(例えば、1個~8個、1個~4個、若しくは1個~3個の炭素原子を有し、且つ任意に1個以上の酸素原子によって中断されている、ペルフルオロアルキル)、フルオロアルコキシ基(例えば、1個~8個、1個~4個、若しくは1個~3個の炭素原子を有し、且つ任意に1個以上の酸素原子によって中断されている、ペルフルオロアルコキシ)、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールである]によって表される、少なくとも1つの部分フッ素化又はペルフルオロ化されたエチレン性不飽和モノマーにより、インターポリマー化され得る。式RaCF=CRa
2によって表される有用なフッ素化モノマーの例としては、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン、2-クロロペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ジクロロジフルオロエチレン、1,1-ジクロロフルオロエチレン、1-ヒドロペンタフルオロプロピレン、2-ヒドロペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペルフルオロアルキルペルフルオロビニルエーテル、ペルフルオロアルキルペルフルオロアリルエーテル及びこれらの混合物が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本開示の多官能性化合物に由来する単位を含むフルオロポリマーは、式CF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2[式中、m、n、z、及びRf2は、上記で定義したとおりである]によって独立して表される1つ以上のモノマーからの単位を含む。この式の好適なモノマーとしては、m及びzが0であり、ペルフルオロアルキルペルフルオロビニルエーテルが式CF2=CFORf
2によって表されるモノマーが挙げられる[式中、Rf
2は、1個~8個、1個~4個、又は1個~3個の炭素原子を有し、任意に1個以上の-O-基によって中断されている、ペルフルオロアルキルである]。フルオロポリマーを製造するために好適なペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルとしては、式CF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2[式中、mは、0であり、各nは、独立して1~6であり、zは、1又は2であり、Rf
2は、1~8個の炭素原子を有し且つ任意に1つ以上の-O-基によって中断されている、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である]によって表されるものが挙げられる。いくつかの実施形態において、nは、1~4又は1~3又は2~3又は2~4である。いくつかの実施形態では、nは1又は3である。いくつかの実施形態では、nは3である。CnF2nは、直鎖又は分枝鎖であり得る。いくつかの実施形態では、CnF2nは、(CF2)nと表記する場合があり、これは直鎖ペルフルオロアルキレン基を指す。いくつかの実施形態では、CnF2nは、-CF2-CF2-CF2-である。いくつかの実施形態では、CnF2nは分枝鎖であり、例えば、-CF2-CF(CF3)-である。いくつかの実施形態では、(OCnF2n)zは、-O-(CF2)1-4-[O(CF2)1-4]0-1で表される。いくつかの実施形態において、Rf
2は、最大4、3又は2つの-O-基によって任意に中断されている、1個~8個(又は1個~6個)の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である。いくつかの実施形態において、Rf
2は、1個~4個の炭素原子を有して1つの-O-基によって任意に中断されている、ペルフルオロアルキル基である。式CF2=CFORf
2及びCF2=CF(OCnF2n)zORf
2によって表される好適なモノマーとしては、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、CF2=CFOCF2OCF3、CF2=CFOCF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2(OCF2)3OCF3、CF2=CFOCF2CF2(OCF2)4OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2OCF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2CF(CF3)-O-C3F7(PPVE-2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3))2-O-C3F7(PPVE-3)及びCF2=CF(OCF2CF(CF3))3-O-C3F7(PPVE-4)が挙げられる。これらのペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの多くは、米国特許第6,255,536号(Wormら)、及び同第6,294,627号(Wormら)に記載されている方法によって調製することができる。
好適なフルオロ(アルケンエーテル)モノマーとしては、米国特許第5,891,965号(Wormら)及び同第6,255,535号(Schulzら)に記載されているものが挙げられる。このようなモノマーとしては、nが0であり、式CF2=CF(CF2)m-O-Rf
2[式中、mは1であり、Rf
2は、その実施形態のいずれかにおいて上記で定義したとおりである]によって表されるものが挙げられる。好適なペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルとしては、式CF2=CFCF2(OCnF2n)zORf2によって表されるようなものが挙げられ、式中、n、z及びRf2は、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの実施形態のいずれかにおいて上記に定義されたようなものである。好適なペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルの例としては、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF2)3OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF2)4OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2OCF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF(CF3)-O-C3F7、及びCF2=CFCF2(OCF2CF(CF3))2-O-C3F7が挙げられる。これらのペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルの多くは、例えば、米国特許第4,349,650号(Krespan)に記載されている方法によって調製することができる。
ペルフルオロ-1,3-ジオキソールはまた、本開示の多官能性化合物に由来する単位を含むフルオロポリマーを調製するのに有用であり得る。ペルフルオロ-1,3-ジオキソールモノマー及びそれらのコポリマーは、米国特許第4,558,141号(Squire)に記載されている。
本明細書に開示される多官能性化合物は、非晶質フルオロポリマー、半結晶性熱可塑材、及び非溶融加工性フルオロプラスチックを調製するのに有用であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される1つ以上の多官能性化合物をTFEと共重合させて、非溶融加工性フルオロプラスチックを形成することができる。多官能性化合物は、上記の化合物のいずれかであり得る。非溶融加工性フルオロプラスチックでは、1つ以上の多官能性化合物が、重合のために最大約1重量%の量でモノマーに含まれる。最大約1重量%の量でコモノマーを含むTFEホモポリマー及びコポリマーは、当該技術分野において、PTFEと称される。PTFEは、押出、射出成形又はブロー成形などの従来の溶融加工技術では加工できない高い融解粘度及び/又は低いメルトフローインデックス(MFI)を有する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、TFE単位及び少なくとも1つの多官能性化合物由来の単位を含有し、他のコモノマー単位を含有しない。多官能性化合物コモノマー単位の量は、最大1重量%又は最大0.1重量%であってよい。例えば、多官能性化合物コモノマー単位の量は、フルオロポリマーの(コモノマー単位が合計で100重量%になる)総重量に基づいて、0.01重量%~1重量%又は0.3重量%~1重量%であり得る。
特定のフッ素プラスチックの分子量は、多くの場合、融解粘度又はメルトフローインデックス(MFI、例えば、372℃/5kg)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフッ素化化合物から製造される非溶融加工性フルオロポリマーは、5kgの荷重を使用して372℃で1.0g/10分以下のメルトフローインデックス(melt flow index、MFI)(1.0g/10分未満のMFI 372/5)を有し、いくつかの実施形態では、0.1g/10分以下のメルトフローインデックス(372/5)を有する。いくつかの実施形態では、非溶融加工性フルオロポリマーは、少なくとも300℃、いくつかの実施形態では少なくとも315℃、及び典型的には327±10℃の範囲内の融点を有する。いくつかの実施形態では、非溶融加工性フルオロポリマーは、少なくとも317℃、少なくとも319℃、又は少なくとも321℃の融点を有する。材料が最初に溶融するときとその後に溶融するときとで、非溶融加工性フルオロポリマーの融点は異なる。材料が一度融解した後では、その後の融解における融点は一定のままである。本明細書でいうところの融点は、既に融解した材料の融点を指す(すなわち、材料が融点に達し、その融点を下回って冷却された後、再び融解された)。
本明細書に開示される1つ以上の多官能性化合物で製造されたPTFEは、例えば、ガスケット並びにパイプ及び容器用インナーライナーに有用であり得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の多官能性化合物をTFEと共重合させて、フルオロ熱可塑性材料を形成することができる。TFEとペルフルオロ化ビニル又はアリルエーテルとのコポリマーは、当技術分野では、PFA(perfluorinated alkoxy polymer、ペルフルオロ化アルコキシポリマー)として知られている。これらの実施形態において、フッ素化ビニル又はアリルエーテル単位は、0.5mol%~15mol%の範囲、いくつかの実施形態では、0.5mol%~10mol%、いくつかの実施形態では、0.5mol%~5mol%の範囲の量でコポリマー中に存在する。上記の実施形態のいずれかにおける多官能性ビニル又はアリルエーテル、例えば、式
によって表される化合物は、PFAの調製に有用であり得る。いくつかの実施形態では、TFEと少なくとも1つのフッ素化ビニルエーテル又はアリルエーテルとのコポリマーは、TFEに由来する単位と、本明細書に開示される多官能性化合物のうちの少なくとも1つとから本質的になる。本明細書で使用されるとき、「から本質的になる」とは、他のコモノマーが存在しないこと、又は他のコモノマーから誘導された単位が1重量%未満、いくつかの実施形態では、0.1重量%未満の量で存在することを指す。いくつかの実施形態では、TFEと少なくとも1つの多官能性化合物とのコポリマーは、少なくとも1重量%、いくつかの実施形態では、最大10、6、5又は4重量%の、上記の式RaCF=CRa
2によって表される化合物に由来する他の単位、非フッ素化オレフィン(例えば、エテン若しくはプロペン)を更に含む。いくつかの実施形態において、HFP、VDF、フッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、エテン又はプロペンのうちの少なくとも1つが、フッ素熱可塑性材料を製造するために最大10重量%の量でモノマーに含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つの多官能性化合物から製造されるフッ素熱可塑性材料は、5kgの荷重を使用して、372℃で0.5g/10分~100g/10分の範囲のメルトフローインデックス(MFI)(0.5g/10分~100g/10分の範囲のMFI 372/5)を有する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、200℃~310℃の融点及び0.5g/10分の~19g/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、250℃~290℃の融点を有し、30g/10分~50g/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有する。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多官能性化合物のうちの1つ以上は、TFE及びHFPと共重合させることができる。多官能性化合物は、上記の化合物のいずれかであり得る。他のペルフルオロコモノマーを有するか又は有さない、TFEとHFPとのコポリマーは、当技術分野では、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)として知られている。いくつかの実施形態では、これらのフッ素熱可塑性材料は、30重量%~70重量%のTFE、10重量%~30重量%のHFP、及び本明細書で開示される多官能性化合物のうちの1つ以上を含み得る、0.2重量%~50重量%の他のコモノマーを共重合させることから誘導される。これらの重量パーセントは、ポリマーの総重量に基づいており、コモノマーは合計で100重量%になる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される多官能性化合物に由来する単位は、コポリマーの総重量に基づいて、0.2重量%~12重量%の範囲で本開示によるコポリマーに存在する。いくつかの実施形態では、多官能性化合物から誘導される単位は、コポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~6重量%の範囲で存在し、コポリマーの総重量は100重量%である。いくつかの実施形態では、多官能性化合物に由来する単位は、コポリマーの総量に基づいて、0.02モル%~2モル%の範囲で本開示によるコポリマーに存在する。いくつかの実施形態では、多官能性化合物に由来する単位は、最大1.5モル%又は最大1.0モル%の量でコポリマーに存在する。いくつかの実施形態では、多官能性化合物に由来する共重合単位は、少なくとも0.03モル%又は0.05モル%の量でコポリマーに存在する。共重合単位は、0.02モル%~2モル%、0.03モル%~1.5モル%、又は0.05モル%~1.0モル%の範囲でコポリマーに存在してもよい。HFPは、コポリマーの総重量に基づいて、5重量%~22重量%の範囲、10重量%~17重量%の範囲、11重量%~16重量%の範囲又は11.5重量%~15.8重量%の範囲で存在してもよく、コポリマーの総重量は100重量%である。本開示の方法に従って製造されるコポリマーは、典型的に、220℃~285℃、いくつかの実施形態では、235℃~275℃、240℃~275℃、又は245℃~265℃の融点を有する。いくつかの実施形態では、多官能性化合物、TFE、及びHFPから調製されたコポリマーは、372℃及び5kgの荷重で10分当たり30±10グラムのMFIを有する。いくつかの実施形態では、多官能性化合物、TFE及びHFPから調製されたコポリマーは、372℃及び5kg荷重で10分当たり30±5g又は10分当たり30±3gのMFIを有する。いくつかの実施形態では、多官能性化合物、TFE及びHFPから調製されたコポリマーは、372℃及び5kg荷重で10分当たり1g~10分当たり19gの範囲のMFIを有する。いくつかの実施形態では、このコポリマーは、10分当たり1g~10分当たり15gの範囲又は10分当たり1g~10分当たり10gの範囲のMFIを有する。
本明細書に開示される1つ以上の多官能性化合物で製造されたFEPは、例えば、ローカルエリアネットワーク(Local Area Networks、LAN)における電気絶縁に有用であり得る。
いくつかの実施形態では、本開示の1つ以上の多官能性化合物及び/又は本明細書に開示されるプロセスによって製造される1つ以上の多官能性化合物を使用して、非晶質フルオロポリマーを製造することができる。非晶質フルオロポリマーは、典型的には融点を呈さず、室温で結晶性をほとんど又は全く呈しない。有用な非晶質フルオロポリマーは、室温未満又は最大280℃のガラス転移温度を有し得る。好適な非晶質フルオロポリマーは、-60℃~最大280℃、-60℃~最大250℃、-60℃~150℃、-40℃~150℃、-40℃~100℃、又は-40℃~20℃の範囲のガラス転移温度を有し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多官能性化合物に由来する単位を含む非晶質フルオロポリマーとしては、TFE/プロピレンコポリマー、TFE/プロピレン/VDFコポリマー、VDF/HFPコポリマー、TFE/VDF/HFPコポリマー、TFE/ペルフルオロメチルビニルエーテル(perfluoromethyl vinyl ether、PMVE)コポリマー、TFE/CF2=CFOC3F7コポリマー、TFE/CF2=CFOCF3/CF2=CFOC3F7コポリマー、TFE/エチルビニルエーテル(ethyl vinyl ether、EVE)コポリマー、TFE/ブチルビニルエーテル(butyl vinyl ether、BVE)コポリマー、TFE/EVE/BVEコポリマー、VDF/CF2=CFOC3F7コポリマー、エチレン/HFPコポリマー、TFE/HFPコポリマー、CTFE/VDFコポリマー、TFE/VDFコポリマー、TFE/ペルフルオロ-1,3-ジオキソールコポリマー、TFE/VDF/PMVE/エチレンコポリマー、又はTFE/VDF/CF2=CFO(CF2)3OCF3コポリマーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多官能性化合物に由来する単位を含む非晶質フルオロポリマーは、硬化部位を含む重合単位を含む。これらの実施形態では、硬化部位モノマー(上記のもののいずれかを含む)、例えば、式XXV、XXX、XXXV、I-CF2-CF2-O-CF2-C(R)RF-CF2-O-CF=CF2、I-CF2-CF2-O-CF2-C(R)RF-CF2-O-CF2-CF2-I、
、
の化合物、及びこれらのヨード化合物のいずれかの臭素化類似体は、非晶質フルオロポリマーを製造するために重合中に有用であり得る。いくつかの実施形態では、RFはペルフルオロ化されており、ペルフルオロ化されたRFは、例えば、得られるエラストマーの熱安定性を高めるために有用であり得る。このような硬化部位モノマーとしては、フリーラジカル重合が可能なモノマーが挙げられる。有用な硬化部位の例としては、Br硬化部位、I硬化部位、ニトリル硬化部位、炭素-炭素二重結合及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの硬化部位のいずれも、例えば過酸化物を使用して硬化させることができる。しかし、複数の異なる硬化部位が存在するいくつかの場合には、二重硬化系又は多硬化系が有用であり得る。有用であり得る他の好適な硬化系としては、ビスフェノール硬化系又はトリアジン硬化系が挙げられる。トリアジン硬化系は、例えば、式XXXVで表される多官能性化合物に由来する単位を有する非晶質フルオロポリマーと共に、有用であり得る。硬化部位モノマーの有用な量としては、ポリマーに組み込まれたモノマーの総モルに基づいて、0.01mol%~1mol%が挙げられ、使用することができる。いくつかの実施形態において、非晶質フルオロポリマーに組み込まれたモノマーの総モルに基づいて、少なくとも0.02、0.05又は更には0.1mol%の硬化部位モノマーが使用され、最大0.5、0.75又は更には0.9mol%の硬化部位モノマーが使用される。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多官能性化合物から誘導される単位を含む非晶質フルオロポリマーは、その実施形態のいずれかにおいて上述したように、硬化部位モノマーとしてXXV又はXXXで表される少なくとも1つの化合物を含む重合単位を含む。式XXV又はXXXによって表される化合物は、重合される成分中に任意の有用な量で存在してもよく、いくつかの実施形態では、重合性成分の総量に基づいて、最大2、1又は0.5モル%の量、及び少なくとも0.1モル%の量で存在してもよい。
非晶質フルオロポリマーが全ハロゲン化され、いくつかの実施形態ではペルフルオロされている場合、典型的には、そのインターポリマー化単位の少なくとも50モル%(mol%)は、任意にHFPを含むTFE及び/又はCTFEに由来する。非晶質フルオロポリマーのインターポリマー化単位の残部(例えば、10モル%~50モル%)は、1種以上のペルフルオロ化ビニル又はアリルエーテル、及び硬化部位モノマーとしての本開示の多官能性化合物から構成される。フルオロポリマーがペルフルオロ化されていない場合、それは、典型的には、約5mol%~約90mol%のTFE、CTFE及び/又はHFP由来インターポリマー化単位、約5mol%~約90mol%のVDF、エチレン及び/又はプロピレン由来インターポリマー化単位、最大約40mol%のペルフルオロ化ビニル又はアリルエーテル由来インターポリマー化単位、並びに約0.1mol%~約5mol%、いくつかの実施形態では約0.3mol%~約2mol%の、硬化部位モノマーとしての本開示の多官能性化合物を含有する。
本開示によるフルオロポリマーを製造する方法のいくつかの実施形態では、方法は、フルオロポリマーを架橋してフルオロエラストマーを製造することを含む。これらの実施形態では、硬化部位モノマーとしての本開示の多官能性化合物から調製されたフルオロポリマーは、硬化性組成物中に配合される。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、過酸化物を含む。好適な過酸化物は、一般に、硬化温度でフリーラジカルを生成するものである。それぞれ50℃を超える温度で分解するジアルキルペルオキシド及びビス(ジアルキルペルオキシド)が有用であり得る。有用な過酸化物の例としては、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、a,a’-ビス(t-ブチルペルオキシ-ジイソプロピルベンゼン)、及びジ[1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)-ブチル]カーボネートが挙げられる。アシルペルオキシドは、アルキルペルオキシドより低温で分解する傾向があり、より低い温度での硬化を可能にする。有用なアシルペルオキシドの例としては、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2-フェノキシエチル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、1,1,3,3-テトラメチルエチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサン酸、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、ジコハク酸ペルオキシド、t-ヘキシルペルオキシ-2-エチルヘキサン酸、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサン酸、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、及びt-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートが挙げられる。
更に、過酸化物硬化フルオロエラストマーでは、架橋剤を含むことが望ましい場合が多い。架橋剤は、例えば、最終的な硬化した組成物において向上した機械的強度を実現するために有用であり得る。有用な架橋剤の例としては、トリ(メチル)アリルイソシアヌレート(TMAIC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリ(メチル)アリルシアヌレート、ポリ-トリアリルイソシアヌレート(ポリ-TAIC)、キシレン-ビス(ジアリルイソシアヌレート)(XBD)、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、フタル酸ジアリル、トリス(ジアリルアミン)-s-トリアジン、亜リン酸トリアリル、1,2-ポリブタジエン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、及び、CH2=CH-Rf1-CH=CH2[式中、Rf1は、1個~8個の炭素原子を有するペルフルオロアルキレンである]が挙げられる。架橋剤は、典型的には、フルオロポリマー組成物の重量に対して1重量%~10重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、架橋剤は、フルオロポリマー組成物の重量に対して2重量%~5重量%の範囲で存在する。
窒素含有硬化部位を有する硬化性フルオロポリマー(例えば、X又はYのうちの少なくとも1つが-C≡Nであるもの)の硬化は、有機オニウム触媒、例えば米国特許第8,906,821号(Grootaert)に記載のものを使用して、実施することができる。窒素含有硬化部位を有するフルオロポリマーを含む硬化性組成物は、更に他の種類の硬化剤を使用することによって改質することができる。ニトリル硬化部位を有する非晶質フルオロポリマーのこのような硬化剤の例としては、ビス-アミノフェノール(例えば、米国特許第5,767,204号(Iwaら)及び同第5,700,879号(Yamamotoら))、ビス-アミドオキシム(例えば、米国特許第5,621,145(Saitoら))、並びにアンモニウム塩(例えば、米国特許第5,565,512号(Saitoら))が挙げられる。加えて、アンモニア生成化合物が有用であり得る。「アンモニア生成化合物」は、周囲条件で固体又は液体であるが、硬化条件下でアンモニアを生成する化合物を含む。このような化合物の例としては、ヘキサメチレンテトラミン(ウロトロピン)、ジシアンジアミド、並びに次式のものなどの置換及び置換されていないトリアジン誘導体が挙げられる:
[式中、Rは、水素原子、又は1個~約20個の炭素原子を有する置換若しくは置換されていないアルキル、アリール若しくはアラルキル基である]。特定の有用なトリアジン誘導体としては、ヘキサヒドロ-1,3,5-s-トリアジン及びアセトアルデヒドアンモニア三量体が挙げられる。
硬化剤の組み合わせは、一般に、全フルオロポリマー量の約0.01モル%~約10モル%(いくつかの実施形態では、約0.1モル%~約5モル%)である。
本明細書に開示される多官能性硬化部位モノマーで製造された本開示のフルオロポリマーを使用して、Oリングなどの最終物品、及び/又は最終形状が製造されるプリフォーム(例えば、リングが切り出される管)を含む様々な物品の形態の硬化フルオロエラストマーを製造することができる。物品を形成するために、スクリュー型押出機又はピストン押出機を使用して、硬化性組成物を押出成形することができる。押出成形された又は予め形成された硬化性組成物は、周囲圧力にてオーブン内で硬化され得る。或いは、射出成形、トランスファー成形、又は圧縮成形を使用して、硬化性組成物を物品に成形することができる。硬化性組成物の射出成形は、例えば、押出スクリュー内で硬化性組成物を素練りし、油圧ピストンによって中空金型キャビティ内に硬化性組成物が注入される加熱チャンバ内に硬化性組成物を回収することによって、実施することができる。次いで、加硫後、物品を型から取り出すことができる。本開示による硬化性組成物はまた、現場硬化型ガスケット(cure-in-place gasket、CIPG)又は現場成形型ガスケット(form-in-place gasket、FIPG)を調製するために使用することもできる。硬化性組成物のビード又はスレッドは、ノズルから基材表面上に堆積させることができる。所望のガスケットパターンに形成した後、硬化性組成物を、例えば、周囲圧力にてオーブン内で加熱により現場で硬化させてもよい。本開示による硬化性組成物はまた、フルオロエラストマーコーキングとしても有用であり得る。フルオロエラストマーコーキングは、例えば、様々な基材を充填、コーティング、接着、封止、及び保護して化学的透過、腐食、及び摩耗を防ぐのに有用であり得る。フルオロエラストマーコーキングは、鋼鉄又はコンクリート容器用の接合封止剤、煙道ダクト延長継手用シール、工業用オーブン用ドアガスケット封止剤、燃料電池封止剤又はガスケット、並びにフルオロエラストマーガスケットを(例えば、金属に)結合するための接着剤として有用であり得る。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、手で分配され、周囲圧力にて熱で硬化され得る。
本開示の多官能性化合物及び/又は本開示のプロセスによって製造される多官能性化合物[式中、X又はYのうちの少なくとも1つは、それらの実施形態のいずれかにおいて上述したように、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-SO2Zである]は、それらの実施形態のいずれかにおいて上述したように、式RaCF=CRa
2によって表される化合物と共重合させることができる。いくつかの実施形態では、式RaCF=CRa
2で表される化合物は、TFEである。重合される第4の成分に含まれ得る好適なモノマーとしては、それらの実施形態のいずれかにおいて上述したように、式CF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2によって表される化合物を挙げることができる。式CF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2によって表されるアリル及びビニルエーテルは、任意の有用な量で、いくつかの実施形態では、重合性成分の総量に基づいて、最大20、15、10、7.5、又は5モル%の量で、重合される第4の成分中に存在してよい。好都合には、ZがFであるときに反応を実施し、任意に続いて加水分解及び/又はアミノ化を行い、化合物[式中、Zは、それらの実施形態のいずれかにおいて上述したように、-OM又は-NR1
2である]を提供することができる。
多官能性化合物から製造されるコポリマー[式中、X又はYのうちの少なくとも1つは-C(O)NR1-SO2-Rf
1-SO2Zである]は、アイオノマーと呼ばれ、最大1000、900、800、750、700、又は600の-SO2Z当量を有し得る。いくつかの実施形態では、コポリマー又はアイオノマーは、少なくとも400又は500の-SO2Z当量を有する。一般に、コポリマーの-SO2Z当量は、1モルの-SO2Z基を含有するコポリマーの重量を指す[式中、Zは実施形態のいずれかにおいて上に定義したとおりである]。いくつかの実施形態では、コポリマーの-SO2Z当量は、1当量の塩基を中和するコポリマーの重量を指す。いくつかの実施形態では、コポリマーの-SO2Z当量は、1モルのスルホネート基(すなわち、-SO3
-)を含有するコポリマーの重量を指す。コポリマー又はアイオノマーの-SO2Z当量を低下させると、コポリマー又はアイオノマーの電気伝導性は増加する傾向にあるが、その結晶化度は低下する傾向にあり、このことは、コポリマーの機械的特性を損なうことがある。したがって、-SO2Z当量は、コポリマー又はアイオノマーの電気的及び機械的特性に対する要件のバランスに基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、コポリマーの-SO2Z当量は、1モルのスルホンアミド基(すなわち、-SO2NH)を含有するコポリマーの重量を指す。スルホンイミド基(例えば、Xが-NZSO2(CF2)1-6SO2X’及び-NZ[SO2(CF2)aSO2NZ]1-10SO2(CF2)aSO2X’である場合)はまた、下記で更に詳細に記載するように、塩基を中和することができる酸性基としても機能する。これらの基を含むコポリマーの有効な当量は、1000よりもはるかに低くなり得る。有利には、各X及びYが独立して-C(O)NR1-SO2-Rf
1-SO2Zである多官能性化合物が、式RaCF=CRa
2で表される共重合化合物である場合、アイオノマーの-SO2Z当量は、アイオノマーの分子量を低下させることなく低下させることができる。
いくつかの実施形態では、アイオノマーは、少なくとも1つの多官能性化合物[上述したその実施形態のいずれかにおいて、式中、X又はYのうちの少なくとも1つは、成分の総量に基づいて、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-SO2Zである]を、最大40モルパーセント含む成分から調製される。いくつかの実施形態では、成分は、成分の総量に基づいて、X又はYのうちの少なくとも1つが-C(O)NR1-SO2-Rf
1-SO2Zである多官能性化合物を、最大35、30、25、又は20モルパーセント含む。アイオノマーは、例えば、燃料電池又は他の電解セルで使用するためのポリマー電解質膜の製造において有用であり得る。アイオノマーは、例えば、燃料電池で使用するための触媒インクの製造において有用であり得る。
膜電極接合体(MEA)は、水素燃料電池などのプロトン交換膜燃料電池の中心的要素である。燃料電池は、水素などの燃料と酸素などの酸化剤とを触媒的に組み合わせることによって使用可能な電気を生み出す、電気化学セルである。典型的なMEAは、固体電解質として機能するポリマー電解質膜(PEM)(イオン伝導膜(ICM)としても知られる)を含む。PEMの一方の面はアノード電極層と接触し、反対側の面はカソード電極層と接触する。各電極層には、典型的には白金金属を含む、電気化学的触媒が含まれる。ガス拡散層(GDL)が、アノード及びカソード電極材料との間を出入りするガス輸送を促進して、電流を伝導する。GDLはまた、流体輸送層(FTL)又は拡散体/集電体(DCC)と呼ばれることもある。アノード及びカソード電極層を、触媒インクの形態でGDLに適用してもよく、得られるコーティングされたGDLはPEMで挟まれ、5層MEAを形成する。或いは、アノード及びカソード電極層を、触媒インクの形態でPEMの両側に適用してもよく、得られる触媒コーティング膜(CCM)は、2層のGDLで挟まれ、5層MEAを形成する。触媒インクの調製及び膜アセンブリにおけるそれらの使用に関する詳細は、例えば、米国特許公開第2004/0107869号(Velamakanniら)において見出すことができる。典型的なPEM燃料電池においては、プロトンが、水素の酸化によってアノードで形成され、PEMを越えてカソードに輸送されて酸素と反応し、電極同士を接続する外部回路に電流が流れる。PEMは、反応物質であるガスの間に、耐久性のある、非多孔性で非導電性の機械的障壁を形成するが、それでもなおH+イオンを容易に通過させる。
X又はYのうちの少なくとも1つが-C(O)NR1-SO2-Rf
1-SO2Zである多官能性化合物から製造されるアイオノマーは、触媒インク組成物の製造に有用であり得る。いくつかの実施形態では、アイオノマーは、触媒粒子(例えば、金属粒子又は炭素担持金属粒子)と組み合わされる。様々な触媒が有用であり得る。典型的には、炭素担持触媒粒子が使用される。典型的な炭素担持触媒粒子は、50重量%~90重量%の炭素と、10重量%~50重量%の触媒金属とであり、触媒金属は、典型的には、カソードについては白金、並びにアノードについては2:1の重量比における白金及びルテニウムを含む。しかしながら、他の金属、例えば、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、及びこれらの合金が有用である場合もある。MEA又はCCMを製造するために、任意の好適な手段によって触媒をPEMに適用してもよく、これには用手的方法及び機械的方法の両方が含まれ、例えばハンドブラッシング、ノッチバーコーティング、流体ベアリングダイコーティング、巻線ロッドコーティング、流体ベアリングコーティング、スロット供給ナイフコーティング、スリーロールコーティング、又はデカール転写が挙げられる。コーティングは、1回の適用で達成してもよく、又は複数回の適用で達成してもよい。触媒インクをPEM若しくはGDLに直接適用してもよく、又は触媒インクを転写基材に適用し、乾燥させた後、PEM若しくはFTLに対してデカールとして適用してもよい。
本開示の多官能性化合物に由来する且つ/又は本開示のプロセスによって製造される単位を含むフルオロポリマーは、フリーラジカル重合によって製造することができる。好都合には、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるフルオロポリマーを製造する方法は、重合、凝固、洗浄、及び乾燥を含み得る一連の工程を用いたラジカル水性乳化重合を含む。いくつかの実施形態において、水性乳化重合を定常状態下で連続的に実行することができる。例えば、モノマー(例えば、上記のいずれかを含む)、水、乳化剤、緩衝剤及び触媒の水性エマルションを、最適な圧力及び温度条件下で撹拌反応器に連続的に供給することができ、一方では、得られたエマルション又は懸濁液を連続的に取り出す。いくつかの実施形態では、前述の成分を撹拌反応器に供給し、規定された時間にわたり設定温度でそれらを反応させることによるか、又は成分を反応器に充填し、所望量のポリマーが形成されるまでモノマーを反応器に供給し一定の圧力を維持することにより、バッチ又は半バッチ重合が実施される。重合後に、反応器廃液ラテックスから、減圧での蒸発によって未反応モノマーを除去する。フルオロポリマーは、凝固によってラテックスから回収することができる。
乳化剤は、ラジカル水性乳化重合を実施する際に使用されることが多い。過去には、ペルフルオロ化アルカン酸が、一般に乳化剤として使用された。式Rf-(CF2)n-A[式中、Rfは、F及びC原子のみを含有するペルフルオロアルキルラジカルであり、nは5~14の整数であり、Aは酸アニオン塩であり、例えば、-COO-X(ここで、XはH+である)、又は別の金属塩のNH4
+若しくはNa+などのカチオン性塩である]によって表されるペルフルオロアルカン酸は、それらの環境持続性及び生物蓄積のために、ますます厳しい監視下に置かれてきた。
有利には、X又はYのうちの少なくとも1つが-C(O)-O-Mである式I[式中、各Mが独立して水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである]の化合物は、乳化剤として有用である。少なくとも、式Iの化合物中の、アルケン基を含むRF基は、乳化剤が調製済みフルオロポリマーに共有結合することを可能にし、フルオロポリマー又は完成物品中の乳化剤の存在に関連する問題を排除し、乳化剤を除去する必要性を排除する。乳化剤として使用される場合、式Iの化合物は、フルオロポリマーに対して約0.02重量%~約3重量%の範囲で存在する。フッ素化乳化剤を用いて生成されたフルオロポリマー粒子は、典型的には、動的光散乱技術によって決定したとき、約10ナノメートル(nm)~約300nmの範囲、いくつかの実施形態では約50nm~約200nmの範囲の平均直径を有する。
本開示によるフルオロポリマーを製造する方法のいくつかの実施形態では、X又はYのうちの少なくとも1つが-C(O)-O-M[式中、各Mは独立して水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである]である式Iの化合物が使用される実施形態を含めて、重合は、ペルフルオロ化アルカン酸、特に、6個~14個の炭素原子、特に8個の炭素原子を有するペルフルオロ化アルカン酸(ペルフルオロ化オクタン酸(perfluorinated octanoic acid、PFOA))を反応混合物に添加することなく実施することができる。したがって、それらの使用は回避されている。別の利点として、本開示の方法により製造されるフルオロポリマーは、非常に低い抽出可能な量のペルフルオロアルカン酸、例えば、C6~C12、好ましくは、C6~C14ペルフルオロアルカン酸の重量に基づいて100ppb未満の量を有してもよく、フルオロポリマーの重量に基づいて、50ppb未満、好ましくは30ppb未満の抽出可能な量のオクタン酸(C8)を有してもよい。
本開示によるフルオロポリマーを製造する方法の一部の実施形態においては、重合プロセスを開始するのに、水溶性開始剤(例えば、過マンガン酸カリウム又はペルオキシ硫酸塩)が有用であり得る。過硫酸アンモニウム若しくは過硫酸カリウムなどのペルオキシ硫酸塩は、単独で、又は還元剤、例えば亜硫酸水素塩若しくはスルフィン酸塩(例えば、いずれもGrootaertへの米国特許第5,285,002号及び同第5,378,782号に開示されているフッ素化スルフィン酸塩)若しくはヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩(商品名「RONGALIT」で販売、BASF Chemical Company,New Jersey,USA)の存在下のいずれかで、適用することができる。存在する場合、開始剤及び還元剤の選択は、コポリマーの末端基に影響を及ぼすであろう。開始剤及び還元剤の濃度範囲は、水性重合媒体に基づいて0.01重量%~5重量%に変化し得る。亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸カリウム)の存在下でペルオキシ硫酸塩を使用する場合、重合プロセス中にSO3
-基が生成し、-SO3
-末端基をもたらす。-SO3
-基の形成を触媒又は加速するために、金属イオンを添加することが有用であり得る。亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩の、ペルオキシ硫酸塩に対する化学量論比を変えることによって、-SO2X末端基の量を制御することができる。
本開示によるフルオロポリマーを製造する方法のいくつかの実施形態では(例えば、X及びYが-C(O)-O-Mではない式Iの化合物においては)、ペルフルオロ化又は部分フッ素化乳化剤が有用であり得る。一般に、これらのフッ素化乳化剤は、フルオロポリマーに対して、約0.02重量%~約3重量%の範囲で存在する。フッ素化乳化剤を用いて生成されたポリマー粒子は、典型的には、動的光散乱技術によって決定したとき、約10ナノメートル(nm)~約300nmの範囲、いくつかの実施形態では約50nm~約200nmの範囲の平均直径を有する。好適な乳化剤の例としては、式[Rf-O-L-COO-]iXi+[式中、Lは直鎖状の部分若しくは完全フッ素化アルキレン基、又は脂肪族炭化水素基を表し、Rfは直鎖状の部分若しくは完全フッ素化脂肪族基、又は1個以上の酸素原子が中断している直鎖状の部分若しくは完全フッ素化脂肪族基を表し、Xi+は価数iを有するカチオンを表し、iは1、2又は3である]を有するペルフルオロ化及び部分フッ素化乳化剤が挙げられる(例えば、米国特許第7,671,112号(Hintzerら)を参照されたい。)。好適な乳化剤の追加の例としては、式CF3-(OCF2)x-O-CF2-X’[式中、xは1~6の値を有し、X’はカルボン酸基又はその塩を表す]並びに式CF3-O-(CF2)3-(OCF(CF3)-CF2)y-O-L-Y’[式中、yは0、1、2又は3の値を有し、Lは-CF(CF3)-、-CF2-及び-CF2CF2-から選択される二価結合基を表し、Y’はカルボン酸基又はその塩を表す]を有するペルフルオロ化ポリエーテル乳化剤も挙げられる(例えば、米国特許出願公開第2007/0015865号(Hintzerら)を参照されたい。)。他の好適な乳化剤としては、式Rf-O(CF2CF2O)xCF2COOA[式中、RfはCbF(2b+1)であり、ここで、bは1~4であり、Aは水素原子、アルカリ金属、又はNH4であり、xは1~3の整数である]を有するペルフルオロ化ポリエーテル乳化剤が挙げられる(例えば、米国特許出願公開第2006/0199898号(Funakiら)を参照されたい。)。好適な乳化剤としては、式F(CF2)bO(CF2CF2O)xCF2COOA[式中、Aは水素原子、アルカリ金属又はNH4であり、bは3~10の整数であり、xは0又は1~3の整数である]を有するペルフルオロ化乳化剤も挙げられる(例えば、米国特許出願公開第2007/0117915号(Funakiら)を参照されたい。)。更なる好適な乳化剤としては、Morganらへの米国特許第6,429,258号に記載されているフッ素化ポリエーテル乳化剤、及びペルフルオロアルコキシのペルフルオロアルキル成分が4個~12個の炭素原子又は7個~12個の炭素原子を有する、ペルフルオロ化又は部分フッ素化アルコキシ酸及びその塩が挙げられる(例えば、米国特許第4,621,116号(Morgan)を参照されたい。)。好適な乳化剤としては、式[Rf-(O)t-CHF-(CF2)x-COO-]iXi+[式中、Rfは任意に1個以上の酸素原子が中断している部分フッ素化又は全フッ素化脂肪族基を表し、tは0又は1であり、xは0又は1であり、Xi+は価数iを有するカチオンを表し、iは1、2又は3である]を有する部分フッ素化ポリエーテル乳化剤も挙げられる(例えば、米国特許出願公開第2007/0142541号(Hintzerら)を参照されたい。)。更なる好適な乳化剤としては、米国特許公開第2006/0223924号、同第2007/0060699号及び同第2007/0142513号(各々、Tsudaら)、並びに同第2006/0281946号(Moritaら)に記載されているような、ペルフルオロ化又は部分フッ素化エーテル含有乳化剤が挙げられる。都合の良いことに、いくつかの実施形態では、本開示によるフルオロポリマーを製造する方法は、これらの乳化剤又はその任意の組み合わせのいずれも存在することなしに、例えば、米国特許公開第2007/0149733号(Otsuka)に見出される方法を使用して実施してもよい。
フッ素化乳化剤を使用する場合、所望により、Obermeierらへの米国特許第5,442,097号、Felixらへの同第6,613,941号、Hintzerらへの同第6,794,550号、Burkardらへの同第6,706,193号、及びHintzerらへの同第7,018,541号に記載されているように、乳化剤は、フルオロポリマーラテックスから除去又は再利用され得る。
上記の開始剤、及び重合に使用することができる任意の乳化剤の大部分は、それらが最も高い効率性を示す最適なpH範囲を有する。これらの理由から、緩衝剤が有用であり得る。緩衝剤としては、リン酸塩、酢酸塩、若しくは炭酸塩(例えば、(NH4)2CO3若しくはNaHCO3)緩衝剤、又はアンモニア若しくはアルカリ金属水酸化物などの任意の他の酸若しくは塩基が挙げられる。開始剤及び緩衝剤の濃度範囲は、水性重合媒体を基準として、0.01重量%~5重量%で変動し得る。
H2、低級アルカン、アルコール、エーテル、エステル及びメチレンフルオリドのような典型的な連鎖移動剤が、本開示による方法のいつかの実施形態では、コポリマーの調製に有用であり得る。主に連鎖移動による停止は、約2.5以下の多分散度をもたらす。本開示による方法のいくつかの実施形態では、重合は、いずれの連鎖移動剤を伴わずに実施される。連鎖移動剤の非存在下では、ときとして、より低い多分散度を達成することができる。少しの変換についての再結合は、典型的には約1.5の多分散度をもたらす。
有用な重合温度は、40℃~150℃の範囲であり得る。典型的には、重合は、40℃~120℃、70℃~100℃又は80℃~90℃の温度範囲で実施される。重合圧力は、通常、0.8MPa~2.5MPa、1MPa~2.5MPaの範囲、いくつかの実施形態では、1.0MPa~2.0MPaの範囲である。HFPなどのフッ素化モノマーは、例えば、Modern Fluoropolymers、ed.John Scheirs、Wiley & Sons、1997、p.241に記載されているように、反応器に事前に投入及び供給することができる。式CF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2[式中、m、n、z及びRf
2は、上記の実施形態のいずれかに定義されたとおりである]によって表されるペルフルオロアルコキシアルキルビニル又はアリルエーテルは、典型的には、液体であり、反応器の中に噴霧してもよく、又は直接添加しても、蒸発若しくは霧化させてもよい。
得られたフルオロポリマーラテックスを凝固させるには、フルオロポリマーラテックスの凝固のために一般に使用される任意の凝固剤を使用することができ、例えば、水溶性塩(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム若しくは硝酸アルミニウム)、酸(例えば、硝酸、塩酸若しくは硫酸)、又は水溶性有機液体(例えば、アルコール若しくはアセトン)であってもよい。添加する凝固剤の量は、ラテックス100質量部当たり、0.001質量部~20質量部の範囲、例えば、0.01質量部~10質量部の範囲であってもよい。代替的又は追加的に、ラテックスを凝固のために凍結させてもよく、又は米国特許第5,463,021号(Beyerら)に記載されているように、例えばホモジナイザーによって機械的に凝固させてもよい。代替的又は追加的に、ポリカチオンを添加することによって、ラテックスを凝固させてもよい。また、金属汚染物質を回避するために、凝固剤としての酸及びアルカリ土類金属塩を回避することが有用であり得る。全体としての凝固を回避し、且つ凝固剤に由来するあらゆる汚染物質を回避するために、重合及び任意のイオン交換精製の後にラテックスを噴霧乾燥させることが、固体のフルオロポリマーを提供するために有用であり得る。
いくつかの実施形態では、得られたコポリマー又はアイオノマーラテックスは、凝固又は噴霧乾燥(以下に記載)の前に、官能性コモノマー、アニオン及び/又はカチオンを除去するためのアニオン交換プロセス又はカチオン交換プロセスの少なくとも1つによって精製される。本明細書で使用する場合、「精製する」という用語は、除去が完了するかどうかに関わらず、不純物を少なくとも部分的に除去することを指す。水性乳化重合及び任意のイオン交換精製の後に得られたコポリマー分散体をそのまま使用してもよい、又はより高い固形分が望ましい場合は濃縮増進させる(upconcentrated)ことができる。
凝固したフルオロポリマーを濾過によって回収し、水によって洗浄してもよい。洗浄水は、例えば、イオン交換水、純水又は超純水であってもよい。洗浄水の量は、フルオロポリマーに対して1倍~5倍の質量であってよく、これにより、場合によって、1回の洗浄で、フルオロポリマーに結合している乳化剤の量を十分に減少させることができる。
本開示によるフルオロポリマーを製造する方法のいくつかの実施形態では、懸濁重合によってラジカル重合を実施することもできる。懸濁重合は、典型的には、最大数ミリメートルの粒子サイズを生成するであろう。
無機開始剤(例えば、過硫酸塩、KMnO4など)による水性乳化重合によって得られるフルオロポリマーは、典型的には、多数の不安定な炭素系末端基(例えば、炭素原子106個当たり200個超の-COOM又は-COF末端基[式中、Mは水素、金属カチオン、又はNH2である])を有する。これらのカルボニル末端基は、過酸化物ラジカルの攻撃に対して脆弱であり、これによりフルオロポリマーの酸化安定性が低下する。不安定な末端基の数は、フーリエ変換赤外分光法によって決定することができる。
不安定な末端基及び任意の付随する劣化に対処するために、フッ素ガスを用いたポストフッ素化が一般に使用される。いくつかの用途で所望される場合、フルオロポリマーのポストフッ素化により、-COOH、アミド、水素化物、-COF、及び他の非ペルフルオロ化末端基又は-CF=CF2を-CF3末端基に変換することができる。ポストフッ素化は、任意の都合の良い方法で実施することができる。ポストフッ素化は、20℃~250℃、いくつかの実施形態では、150℃~250℃又は70℃~120℃の範囲の温度、及び100KPa~1000KPaの圧力において、75~90:25~10の比の窒素/フッ素ガス混合物を用いて都合の良く実施することができる。反応時間は、約4時間~約16時間の範囲であってよい。これらの条件下では、大部分の不安定な炭素系末端基が除去され、一方、あらゆる-SO2X基は大部分が残存し、-SO2F基へと変換される。いくつかの実施形態では、上記の非フッ素化モノマーが重合におけるモノマーとして使用される場合には、ポストフッ素化は実施されない。
本開示のいくつかの実施形態
第1の実施形態では、本開示は、式:
[式中、
X及びYは、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)-HAL、-C(O)-NR1 2、-C≡N、-C(O)NR1-SO2-Rf 1-W、又は中断されていないか若しくは少なくとも1つの-O-基によって中断されているフッ素化アルケニル基であり、
各HALは、独立して、-F、-Cl、又は-Brであり、
各Rf 1は、独立して、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されているフッ素化アルキレン基であり、
各Wは、独立して、-F、-SO2Z、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2であり、
各Zは、独立して、-F、-Cl、-NR1 2、又は-OMであり、
各R1は、独立して、水素原子又は最大4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンであり、
Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基、若しくはこれらの組み合わせによって置換されている、フッ素化アルケニル基であるか、或いはRFは、臭素又はヨウ素で置換されており、且つ中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されている、フッ素化アルキル基又はアリールアルキレニル基である]によって表される多官能性化合物を提供する。
第1の実施形態では、本開示は、式:
X及びYは、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)-HAL、-C(O)-NR1 2、-C≡N、-C(O)NR1-SO2-Rf 1-W、又は中断されていないか若しくは少なくとも1つの-O-基によって中断されているフッ素化アルケニル基であり、
各HALは、独立して、-F、-Cl、又は-Brであり、
各Rf 1は、独立して、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されているフッ素化アルキレン基であり、
各Wは、独立して、-F、-SO2Z、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2であり、
各Zは、独立して、-F、-Cl、-NR1 2、又は-OMであり、
各R1は、独立して、水素原子又は最大4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンであり、
Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基、若しくはこれらの組み合わせによって置換されている、フッ素化アルケニル基であるか、或いはRFは、臭素又はヨウ素で置換されており、且つ中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されている、フッ素化アルキル基又はアリールアルキレニル基である]によって表される多官能性化合物を提供する。
第2の実施形態では、本開示は、Rがフッ素原子である、第1の実施形態の多官能性化合物を提供する。
第3の実施形態では、本開示は、RFがペルフルオロ化アルケニル基である、第1又は第2の実施形態の多官能性化合物を提供する。
第4の実施形態では、本開示は、RFが、-CF=CF2、-CF=CF-CF3、又は-CF2-CF=CF2である、第1~第3の実施形態のいずれか1つに記載の多官能性化合物を提供する。
第5の実施形態では、本開示は、RFが、CCl=CF2、-CF=CFCl、-CF=CH2、-CF=CF2、-CF=CF-CF3、又は-CF2-CF=CF2である、第1又は第2の実施形態に記載の多官能性化合物を提供する。
第6の実施形態では、本開示は、X及びYが、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)F、-C≡N、又は-CF2-O-ペルフルオロ化アルケニルである[式中、各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである]、第1~第5の実施形態のいずれか1つに記載の多官能性化合物を提供する。
第7の実施形態では、本開示は、X及びYが、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)F、-CF2-O-CF=CF2、又は-CF2-O-CF2-CF=CF2である[式中、各Mは、独立して、アルキル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである]、第1~第6の実施形態のいずれか1つに記載の多官能性化合物を提供する。
第8の実施形態では、本開示は、X及びYが、それぞれ独立して、-C(O)NR1-SO2-Rf
1-SO2Zである[式中、R1は、水素又はメチルであり、各Rf
1は、独立して、最大6個の炭素原子を有するペルフルオロ化アルキレン基である]、第1~第5の実施形態のいずれか1つに記載の多官能性化合物を提供する。
第9の実施形態では、本開示は、第1~第8の実施形態のいずれか1つに記載の多官能性化合物を含む成分から調製されるフルオロポリマーを提供する。
第10の実施形態では、本開示は、第1~第8の実施形態のいずれか1つに記載の多官能性化合物を製造するためのプロセスであって、
以下を含む第1の成分:
式M’O(O)C-C(R)H-C(O)OM’、塩基、及びアルケン基を含むフッ素化化合物で表されるマロネート
を組み合わせることと、
式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’
[式中、各M’は、独立して、アルキル基又はトリメチルシリル基であり、Rは、フッ素原子又は水素原子であり、RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基若しくはこれらの組み合わせによって置換されている、フッ素化アルケニル基である]
によって表される化合物を形成することと、
を含む、プロセスを提供する。
以下を含む第1の成分:
式M’O(O)C-C(R)H-C(O)OM’、塩基、及びアルケン基を含むフッ素化化合物で表されるマロネート
を組み合わせることと、
式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’
[式中、各M’は、独立して、アルキル基又はトリメチルシリル基であり、Rは、フッ素原子又は水素原子であり、RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基若しくはこれらの組み合わせによって置換されている、フッ素化アルケニル基である]
によって表される化合物を形成することと、
を含む、プロセスを提供する。
第11の実施形態では、本開示は、アルケン基を含むフッ素化化合物が、RaCF=CRa
2、CF2=CF-CF2-LG、又はCF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf
2である
[式中、
各Raは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールであり、
LGは、Cl、Br、I、クロロサルフェート、フルオロサルフェート、又はトリフルオロメチルサルフェートであり、
Rf 2は、1個~8個の炭素原子を有し且つ任意に少なくとも1つの-O-基によって中断されている、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
zは、0、1、又は2であり、
各nは、独立して、1、2、3、又は4であり、
mは、0又は1である]、
第10の実施形態に記載のプロセスを提供する。
[式中、
各Raは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールであり、
LGは、Cl、Br、I、クロロサルフェート、フルオロサルフェート、又はトリフルオロメチルサルフェートであり、
Rf 2は、1個~8個の炭素原子を有し且つ任意に少なくとも1つの-O-基によって中断されている、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
zは、0、1、又は2であり、
各nは、独立して、1、2、3、又は4であり、
mは、0又は1である]、
第10の実施形態に記載のプロセスを提供する。
第12の実施形態では、本開示は、アルケン基を含むフッ素化化合物が、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、又はCF2=CF-CF2-LGである[式中、LGは、Cl、Br、I、クロロサルフェート、フルオロサルフェート、又はトリフルオロメチルサルフェートである]、第10又は第11の実施形態のプロセスを提供する。
第13の実施形態では、本開示は、Rがフッ素原子である、第10~第12の実施形態のいずれか1つに記載のプロセスを提供する。
第14の実施形態では、本開示は、塩基が、水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、炭酸セシウム、又はn-ブチルリチウムのうちの少なくとも1つを含む、第10~第13の実施形態のいずれか1つに記載のプロセスを提供する。
第15の実施形態では、本開示は、式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’によって表される化合物を、式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OH、F(O)C-C(R)RF-C(O)F、又はR1
2N(O)C-C(R)RF-C(O)NR1
2[式中、各R1は、独立して、水素原子又は最大4個の炭素原子を有するアルキルである]によって表される化合物に変換することを更に含む、第10~第14の実施形態のいずれか1つに記載のプロセスを提供する。
第16の実施形態では、本開示は、式F(O)C-C(R)RF-C(O)Fによって表される化合物と、フッ化物イオンと、ヘキサフルオロプロピレンオキシドとを含む第2の成分を組み合わせて、式:
[式中、
X1は、-CF2-O-CF=CF2であり、
Y1は、-C(O)F又は-CF2-O-CF=CF2であり、
Rは、フッ素原子又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、少なくとも1つの塩素原子によって置換されているか又は置換されていない、フッ素化アルケニル基である]
によって表される化合物を提供することを更に含む、第15の実施形態に記載のプロセスを提供する。
X1は、-CF2-O-CF=CF2であり、
Y1は、-C(O)F又は-CF2-O-CF=CF2であり、
Rは、フッ素原子又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、少なくとも1つの塩素原子によって置換されているか又は置換されていない、フッ素化アルケニル基である]
によって表される化合物を提供することを更に含む、第15の実施形態に記載のプロセスを提供する。
第17の実施形態では、本開示は、式F(O)C-C(R)RF-C(O)Fによって表される化合物と、フッ化物イオンと、CF2=CF-CF2-LG[式中、LGは、Cl、Br、I、クロロサルフェート、フルオロサルフェート、又はトリフルオロメチルサルフェートである]とを含む第2の成分を組み合わせて、式:
[式中、
X1は、-CF2-O-CF2-CF=CF2であり、
Y1は、-C(O)F又は-CF2-O-CF2-CF=CF2であり、
Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子によって置換されている、フッ素化アルケニル基である]
によって表される化合物を提供することを更に含む、第15の実施形態に記載のプロセスを提供する。
X1は、-CF2-O-CF2-CF=CF2であり、
Y1は、-C(O)F又は-CF2-O-CF2-CF=CF2であり、
Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子によって置換されている、フッ素化アルケニル基である]
によって表される化合物を提供することを更に含む、第15の実施形態に記載のプロセスを提供する。
第18の実施形態では、本開示は、式R1
2N(O)C-C(R)RF-C(O)NR1
2によって表される化合物、塩基、及び式Hal-SO2-Rf
1-W[式中、各R1は、独立して、水素原子又は最大4個の炭素原子を有するアルキルであり、Rf
1は、独立して、中断されていないか又は1つ以上の-O-基によって中断されている、フッ素化アルキレン基であり、各Wは、-F、-SO2-Hal、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2であり、各Halは、独立して、-F又は-Clである]によって表される化合物を含む第3の成分を組み合わせて、式:
[式中、
X2は、-C(O)NR1-SO2-Rf 1-Wであり、
Y2は、-C(O)NR1 2又は-C(O)NR1-SO2-Rf 1-Wであり、
Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子によって置換されている、フッ素化アルケニル基である]
によって表される化合物を提供することを更に含む、第15の実施形態に記載のプロセスを提供する。
X2は、-C(O)NR1-SO2-Rf 1-Wであり、
Y2は、-C(O)NR1 2又は-C(O)NR1-SO2-Rf 1-Wであり、
Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子によって置換されている、フッ素化アルケニル基である]
によって表される化合物を提供することを更に含む、第15の実施形態に記載のプロセスを提供する。
第19の実施形態では、本開示は、Wが-SO2-Halである、第18の実施形態に記載のプロセスを提供する。
第20の実施形態において、本開示は、
第1~第9の実施形態の多官能性化合物と、式RaCF=CRa 2若しくはCF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf 2、[式中、
各Raは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールであり、
Rfは、1個~8個の炭素原子を有し且つ任意に1つ以上の-O-基によって中断されている、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
zは、0、1、又は2であり、
各nは、独立して、1、2、3、又は4であり、
mは、0又は1である]
によって表される少なくとも1つのフッ素化モノマー、又はこれらの組み合わせと、を含む第4の成分を組み合わせることと、
フッ素化モノマーと多官能性化合物とを共重合させることと、
を含む、フルオロポリマーを製造する方法を提供する。
第1~第9の実施形態の多官能性化合物と、式RaCF=CRa 2若しくはCF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf 2、[式中、
各Raは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールであり、
Rfは、1個~8個の炭素原子を有し且つ任意に1つ以上の-O-基によって中断されている、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
zは、0、1、又は2であり、
各nは、独立して、1、2、3、又は4であり、
mは、0又は1である]
によって表される少なくとも1つのフッ素化モノマー、又はこれらの組み合わせと、を含む第4の成分を組み合わせることと、
フッ素化モノマーと多官能性化合物とを共重合させることと、
を含む、フルオロポリマーを製造する方法を提供する。
第21の実施形態では、本開示は、X及びYがそれぞれ独立して-C≡N又は-CF2-O-ペルフッ素化アルケニルであり、該方法が、該フルオロポリマーを架橋してフルオロエラストマーを製造することを更に含む、第20の実施形態に記載の方法を提供する。
第22の実施形態では、本開示は、X又はYのうちの少なくとも1つが独立して-C(O)-O-Mであり、各Mが独立して水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンであり、多官能性化合物が乳化剤である、第20の実施形態に記載の方法を提供する。
以下の具体的であるが非限定的な実施例は、本開示の例示に役立つであろう。
全ての材料は、特に記述がない又は明らかでない限り、例えば、Sigma-Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI,USA)から市販されている又は当業者に公知のものである。
以下の略語をこの項で使用する:mL=ミリリットル、g=グラム、cm=センチメートル、℃=摂氏度、min=分、h=時間、mol=モル、mmol=ミリモル、RT=室温、mbar=ミリバール、b.p.=沸点。
実施例1(EX-1)ジメチル-2-フルオロ(fluor)-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロネート
冷却フィンガー(-50~-60℃)を備えた三つ口フラスコ(250mL)にジメチル-2-フルオロマロネート(5.3g、35mmol;M=150g/mol;CAS#344-14-9、abcr GmbH,Karlsruhe,Germanyから入手可能)及びDMF(80mL)を入れた。得られた溶液を3℃~5℃に冷却し、激しく撹拌しながら、鉱油中のNaHの懸濁液(60%;1.5g、39mmol)を添加した。反応を8℃未満に維持した。反応混合物を液体窒素で冷却した後、HFP(ヘキサフルオロプロピレン、5.3g、35mmol)を添加した。容器内容物を-10℃~-15℃にゆっくりと加温し、その温度で1.5hまで撹拌した。次に、反応混合物を10h以内にRTまで温めた。その後、反応混合物を氷水に注意深く注ぎ、亜硫酸ナトリウム溶液(40mL)で洗浄した。粗生成物をジエチルエーテル(3x400mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残留物をVigreuxカラムにより蒸留した。ジメチル-2-フルオロ(fluor)-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロネートを、66%(6.5g、23mmol;M=280g/mol)の収率で、27mbarにて79℃~81℃の沸点を有する無色透明液体として得た。
実施例2(EX-2)ジエチル-2-フルオロ-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロネート
ジメチル-2-フルオロマロネートの代わりにジエチル-2-フルオロマロネート(abcr GmbHから入手可能)を使用したことを除き、EX-1について記載した調製と同様にEX-2を調製した。ジエチル-2-フルオロ-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロネートを、0.7mbarで43℃~44℃の沸点を有する無色液体として収率68%(42.5g、138mmol;M=308g/mol)で単離した。
実施例3(EX-3)2-フルオロ-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロン酸
三つ口フラスコ(25mL)に、H2O(12mL)中の硫酸(98%;1.4g、0.8mL)の溶液を入れ、14℃に冷却した。激しい撹拌下で、ジメチル-2-フルオロ-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロネート(1.0g、3.6mmol、EX-1に記載したとおりに調製可能)を、22℃の反応温度を超えない速度で添加した。反応混合物を125℃で17h加熱した。RTまで冷却した後、塩化ナトリウムを添加し、混合物をメチル-tert-ブチルエーテル(3×15mL)で抽出した。無色抽出物をMgSO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で35℃~40℃で蒸発させた。生成混合物は、80mol%の2-フルオロ-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)-マロン酸を含有した。
実施例4(EX-4)2-フルオロ-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロン酸
Me3Si-O2C-CFH-CO2SiMe3をジエチル-2-フルオロマロネートの代わりに使用したことを除いて、EX-2及びEX-3について記載した調製と同様にEX-4を調製した。従来の方法を用いて、ジメチル-2-フルオロマロネートからMe3Si-O2C-CFH-CO2SiMe3を調製した。
実施例5(EX-5)2-フルオロ-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロニルジクロリド
PCl5(1.5g、7.2mmol;M=208g/mol)及びP(O)Cl3(13mL、21.8g、143mmol;M=153g/mol)の懸濁液を、不活性条件下で、RTにて、3つ口フラスコ(25mL)に入れた。次に、慎重に4滴~5滴のDMF(ジメチルホルムアミド)を、激しく撹拌しながら添加した。懸濁液を15℃に冷却し、激しい撹拌下で、ジメチル-2-フルオロ-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロネート(EX-1に記載したとおりに調製可能)を、26℃の反応温度を超えない速度で添加した。反応混合物を100℃~115℃で一晩撹拌した。RTまで冷却させた後、生成混合物は、21mol%の2-フルオロ(fluor)-2-(ペルフルオロプロパ-1-エン-1-イル)マロニルジクロリドを含有した。
実施例6(EX-6)ジエチル-2-フルオロ-2-(ペルフルオロアリル)マロネート
温度計及び還流凝縮器を備えた三つ口フラスコ(250mL)に、鉱油中のNaHの懸濁液(60%;2.7g、68mmol)及びCH3CN(90mL)を入れた。懸濁液をRTで20分間撹拌し、8℃~10℃に冷却し、ジエチル-2-フルオロマロネート(12g、67mmol;M=178g/mol)を、14℃の反応温度を超えない速度でゆっくり添加した。氷浴を除去し、RTに達するまで容器内容物を2h撹拌した。その後、反応混合物を30℃~35℃まで加熱し、透明になるまで4h撹拌した。
この反応混合物を、滴下漏斗(100mL)を介して、温度計及び還流凝縮器を備えた三口フラスコ(250mL)に添加し、これに-15℃~-20℃にてペルフルオロアリルフルオロサルフェート(17g、74mmol;M=230g/mol;Sigma-Aldrichから入手可能)とアセトニトリル(75mL)との混合物を入れた。添加後、反応混合物をRTまでゆっくりと加温し、その温度で18h撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、0℃にて硫酸(2%、200mL)へと慎重に注いだ。分離した下相と水相をメチル-tert-ブチルエーテル(3*100mL)で抽出した。有機相を混ぜ合わせ、NaHCO3(3*250mL)の飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を減圧下(0.7mbar)のVigreuxカラム(20cm)で蒸留した。ジエチル-2-フルオロ-2-(ペルフルオロアリル)マロネートを、70%収率(14.4g、47mmol、M=308g/mol)で、0.7mbarで56℃~59℃の沸点を有する透明な黄色がかった液体として単離した。
実施例7(EX-7)ジエチル-2-(ペルフルオロアリル)マロネート
温度計及び還流凝縮器を備えた三つ口フラスコ(100mL)に、鉱油中のNaHの懸濁液(60%;2.7g、68mmol)及びDMF(50mL)を入れた。懸濁液をRTで15分間撹拌し、6℃~8℃に冷却し、ジエチルマロネート(10g、63mmol;M=160g/mol;Sigma-Aldrichから入手可能)を、10℃の反応温度を超えない速度でゆっくり添加した。氷浴を除去し、RTに達するまで容器内容物を2h撹拌した後、RTで14h撹拌した。
反応混合物を、滴下漏斗(100mL)を介して、温度計及び還流凝縮器を備えた三つ口フラスコ(250mL)に添加し、これに-25℃~-30℃にてペルフルオロアリルフルオロサルフェート(30g、130mmol;M=230g/mol)とTHF(テトラヒドロフラン、125mL)との混合物を入れた。添加後、反応混合物をRTまでゆっくりと加温し、その温度で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、0℃にて硫酸(2%、750mL)へと慎重に注いだ。下相を分離し、水相をメチル-tert-ブチルエーテル(3*300mL)で抽出した。有機相を混ぜ合わせ、冷水(3*350mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を減圧下(0.7mbar)のVigreuxカラム(20cm)で蒸留した。ジエチル-2-(ペルフルオロアリル)マロネートを、37%収率(6.6g、23mmol、M=290g/mol)で、0.7mbarで56℃~59℃の沸点を有する透明な黄色がかった液体として単離した。
本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者によって本開示の様々な修正及び変更を行うことができ、本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態に不当に限定されるものではない点を理解するべきである。
Claims (15)
- 式:
X及びYは、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)-HAL、-C(O)-NR1 2、-C≡N、-C(O)NR1-SO2-Rf 1-W、又は中断されていないか若しくは少なくとも1つの-O-基によって中断されているフッ素化アルケニル基であり、
各HALは、独立して、-F、-Cl、又は-Brであり、
各Rf 1は、独立して、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されているフッ素化アルキレン基であり、
各Wは、独立して、-F、-SO2Z、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2であり、
各Zは、独立して、-F、-Cl、-NR1 2、又は-OMであり、
各R1は、独立して、水素原子又は最大4個の炭素原子を有するアルキルであり、
各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンであり、
Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基、若しくはこれらの組み合わせによって置換されている、フッ素化アルケニル基であるか、或いはRFは、臭素又はヨウ素で置換されており、且つ中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されている、フッ素化アルキル基又はアリールアルキレニル基である]
によって表される多官能性化合物。 - Rがフッ素原子であり、RFがペルフルオロ化アルケニル基である、請求項1に記載の多官能性化合物。
- X及びYは、それぞれ独立して、-C(O)-O-M、-C(O)F、-C≡N、又は-CF2-O-ペルフルオロ化アルケニルであり、各Mは、独立して、アルキル基、トリメチルシリル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである、請求項1又は2に記載の多官能性化合物。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の多官能性化合物を含む成分から調製されたフルオロポリマー。
- 式M’O(O)C-C(R)H-C(O)OM’で表されるマロネート、塩基、及びアルケン基を含むフッ素化化合物を含む、第1の成分を組み合わせることと、
式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’
[式中、各M’は、独立して、アルキル基又はトリメチルシリル基であり、Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子、アリール基、若しくはこれらの組み合わせによって置換されている、フッ素化アルケニルである]
で表される化合物を形成することと、を含む、多官能性化合物を製造するためのプロセス。 - 前記アルケン基を含むフッ素化化合物が、RaCF=CRa 2、CF2=CF-CF2-LG、又はCF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf 2
[式中、
各Raは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールであり、
LGは、Cl、Br、I、クロロサルフェート、フルオロサルフェート、又はトリフルオロメチルサルフェートであり、
Rf 2は、1個~8個の炭素原子を有し且つ任意に少なくとも1つの-O-基によって中断されている、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
zは、0、1、又は2であり、
各nは、独立して、1、2、3、又は4であり、
mは、0又は1である]
である、請求項5に記載のプロセス。 - 前記アルケン基を含むフッ素化化合物が、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、又はCF2=CF-CF2-LG[式中、LGは、Cl、Br、I、クロロサルフェート、フルオロサルフェート、又はトリフルオロメチルサルフェートである]である、請求項5又は6に記載のプロセス。
- 前記塩基が、水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、炭酸セシウム、又はn-ブチルリチウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載のプロセス。
- 式M’O(O)C-C(R)RF-C(O)OM’によって表される化合物を、式HO(O)C-C(R)RF-C(O)OH、F(O)C-C(R)RF-C(O)F、又はR1 2N(O)C-C(R)RF-C(O)NR1 2[式中、各R1は、独立して、水素原子又は最大4個の炭素原子を有するアルキルである]によって表される化合物に変換することを更に含む、請求項5~8のいずれか一項に記載のプロセス。
- 式F(O)C-C(R)RF-C(O)Fによって表される化合物と、フッ化物イオンと、ヘキサフルオロプロピレンオキシド又はCF2=CF-CF2-LG[式中、LGは、Cl、Br、I、クロロサルフェート、フルオロサルフェート、又はトリフルオロメチルサルフェートである]とを含む第2の成分を組み合わせて、式:
X1は、-CF2-O-CF=CF2又は-CF2-O-CF2-CF=CF2であり、
Y1は、-C(O)F、-CF2-O-CF=CF2又は-CF2-O-CF2-CF=CF2であり、
Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子によって置換されている、フッ素化アルケニルである]
によって表される化合物を提供することを更に含む、請求項9に記載のプロセス。 - 式R1 2N(O)C-C(R)RF-C(O)NR1 2によって表される化合物、塩基、及び式Hal-SO2-Rf 1-W[式中、各R1は、独立して、水素原子又は最大4個の炭素原子を有するアルキルであり、Rf 1は、独立して、中断されていないか又は1つ以上の-O-基によって中断されている、フッ素化アルキレン基であり、各Wは、-F、-SO2-Hal、-CF=CF2、-O-CF=CF2、又は-O-CF2-CF=CF2であり、各Halは、独立して、-F又は-Clである]で表される化合物を含む第3の成分を組み合わせて、式:
X2は、-C(O)NR1-SO2-Rf 1-Wであり、
Y2は、-C(O)NR1 2又は-C(O)NR1-SO2-Rf 1-Wであり、
Rは、臭素、塩素、フッ素、又は水素原子であり、
RFは、中断されていないか又は少なくとも1つの-O-基によって中断されており、且つ置換されていないか又は少なくとも1つの塩素原子によって置換されている、フッ素化アルケニルである]
によって表される化合物を提供することを更に含む、請求項9に記載のプロセス。 - Rがフッ素である、請求項5~11のいずれか一項に記載のプロセス。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の多官能性化合物と、式RaCF=CRa 2若しくはCF2=CF(CF2)m(OCnF2n)zORf 2
[式中、
各Raは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールであり、
Rfは、1個~8個の炭素原子を有し且つ任意に少なくとも1つの-O-基によって中断されている、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
zは、0、1、又は2であり、
各nは、独立して、1、2、3、又は4であり、
mは、0又は1である]
によって表される少なくとも1つのフッ素化モノマー、又はこれらの組み合わせと、を含む第4の成分を組み合わせることと、
前記フッ素化モノマーと前記多官能性化合物とを共重合させること、
を含む、フルオロポリマーを製造する方法。 - X及びYが、それぞれ独立して、-C≡N又は-CF2-O-ペルフッ素化アルケニルであり、前記方法が、前記フルオロポリマーを架橋してフルオロエラストマーを製造することを更に含む、請求項13に記載の方法。
- X又はYのうちの少なくとも1つが独立して-C(O)-O-Mであり、各Mが独立して水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンであり、前記多官能性化合物が乳化剤である、請求項13に記載の方法。
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