本開示に従うコポリマーは、−SO
2X末端基と、式:
で表される二価の単位と、を含む。この式において、bは2〜8の数であり、cは0〜2の数であり、eは1〜8の数である。いくつかの実施形態では、bは2〜6、又は2〜4の数である。いくつかの実施形態では、bは2である。いくつかの実施形態では、eは1〜6、又は2〜4の数である。いくつかの実施形態では、eは2である。いくつかの実施形態では、eは4である。いくつかの実施形態では、cは0又は1である。いくつかの実施形態では、cは0である。いくつかの実施形態では、cは0であり、eは2又は4である。いくつかの実施形態では、bは3であり、cは1であり、eは2である。C
eF
2eは、直鎖又は分枝鎖であってもよい。いくつかの実施形態では、C
eF
2eは、(CF
2)
eと表記することができ、これは、直鎖状ペルフルオロアルキレン基と称される。cが2であるとき、2つのC
bF
2b基中のbは、独立して選択してよい。しかし、C
bF
2b基内では、bは独立して選択されないことを当業者は理解する。またこの式及び−SO
2X末端基において、Xは独立して、F、−NZH、−NZSO
2(CF
2)
1−6SO
2X’、−NZ[SO
2(CF
2)
aSO
2NZ]
1−10SO
2(CF
2)
aSO
2X’[式中、各aは独立して、1〜6、1〜4、若しくは2〜4]、又は−OZである。いくつかの実施形態では、Xは独立して、−F、−NZH、又は−OZである。いくつかの実施形態では、Xは、−NZH、又は−OZである。いくつかの実施形態では、Xは、−OZである。いくつかの実施形態では、Xは独立して−NZH、−NZSO
2(CF
2)
1−6SO
2X’、又は−NZ[SO
2(CF
2)
aSO
2NZ]
1−10SO
2(CF
2)
aSO
2X’である。X’は独立して、−NZH、又は−OZ(いくつかの実施形態では、−OZ)である。これらの実施形態のうちのいずれかでは、各Zは独立して、水素、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。四級アンモニウムカチオンは、水素及びアルキル基の任意の組み合わせで置換されていてもよく、いくつかの実施形態では、アルキル基は独立して1〜4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、Zはアルカリ金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Zはナトリウム又はリチウムカチオンである。いくつかの実施形態では、Zはナトリウムカチオンである。この式で表される二価の単位を有するコポリマーは、式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2X”[式中、b、c、及びeは、これらの実施形態のいずれかにおいて上に定義されたとおりであり、各X”は独立して−F、−NZH、又は−OZである。]で表される1つ以上のポリフルオロアリルオキシ化合物を含む構成成分を共重合することによって調製することができる。この式の好適なポリフルオロアリルオキシ化合物としては、CF
2=CFCF
2−O−CF
2−SO
2X”、CF
2=CFCF
2−O−CF
2CF
2−SO
2X”、CF
2=CFCF
2−O−CF
2CF
2CF
2−SO
2X”、CF
2=CFCF
2−O−CF
2CF
2CF
2CF
2−SO
2X”、及びCF
2=CFCF
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−(CF
2)
e−SO
2X”が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリフルオロアリルオキシ化合物は、CF
2=CFCF
2−O−CF
2CF
2−SO
2X”である。
いくつかの実施形態では、本開示に従うコポリマーは、例えば、以下に記載される方法に従って、スルホニルフルオリド化合物[ここで、上述のポリフルオロアリルオキシ化合物のうちのいずれかのX”は、Fである。]から製造することができる。これらの実施形態では、−SO2F基を、従来の方法を使用して、加水分解、又はアンモニアで処理し、−SO3Z、又は−SO2NZH基を得てもよい。−SO2F基を有するコポリマーを、アルカリ性水酸化物(例えば、LiOH、NaOH、又はKOH)溶液で加水分解することにより、−SO3Z基を得て、続いてこれをSO3H基に酸性化してもよい。−SO2F基を有するコポリマーを水及び水蒸気で処理することにより、−SO3H基を形成することができる。
いくつかの実施形態では、本開示に従う方法は、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X’[式中、b、c、及びeは、これらの実施形態のいずれかにおいて上に定義されたとおりである。]で表される少なくとも1つの化合物を含む構成成分を共重合することを含む。この式において、Xは、−NZ’H、又は−OZ’[式中、各Z’は独立して、水素、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。]である。四級アンモニウムカチオンは、水素及びアルキル基の任意の組み合わせで置換されていてもよく、いくつかの実施形態では、アルキル基は独立して1〜4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、Z’はアルカリ金属カチオンである。いくつかの実施形態では、Z’はナトリウム又はリチウムカチオンである。いくつかの実施形態では、Z’はナトリウムカチオンである。いくつかの実施形態では、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X’で表される化合物は、CF2=CFCF2−O−CF2CF2−SO3Naである。
式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X”で表される化合物は、公知の方法によって製造することができる。例えば、式FSO2(CF2)e−1−C(O)F、又はFSO2(CF2)e−(OCbF2b)c−1−C(O)Fで表される酸フルオリドを、米国特許第4,273,729号(Krespan)に記載のとおり、フッ化カリウムの存在下において、ペルフルオロアリルクロリド、ペルフルオロアリルブロミド、又はペルフルオロアリルフルオロサルフェートと反応させて、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2Fの化合物を製造することができる。式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2Fの化合物を、塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、又は水酸化アンモニウム)で加水分解して、CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X’で表される化合物を得ることができる。
本開示に従うコポリマーのいくつかの実施形態では、フッ素化した二価の単位は、式C(R)2=CF−Rfで独立して表される1つ以上のフッ素化オレフィンに由来する。これらのフッ素化した二価の単位は、式−[CR2−CFRf]−で表される。同様に、本開示に従う方法のいくつかの実施形態では、重合される構成成分は、式C(R)2=CF−Rfで独立して表される1つ以上のフッ素化オレフィンを更に含む。式C(R)2=CF−Rf及び−[CR2−CFRf]−において、Rfはフッ素又は1〜8個の、いくつかの実施形態では、1〜3個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであり、各Rは独立して水素、フッ素又は塩素である。重合の構成成分として有用なフッ素化オレフィンのいくつかの例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロクロロエチレン(CTFE)、並びに部分フッ素化オレフィン(例えば、ビニリデンフルオリド(VDF)、テトラフルオロプロピレン(R1234yf)、ペンタフルオロプロピレン、及びトリフルオロエチレン)が挙げられる。
本開示に従うコポリマー及び方法のいくつかの実施形態では、コポリマーはVDF単位を本質的に含まず、共重合される構成成分は本質的にVDFを含まない。例えば、8よりも高いpHにおいては、VDFは脱フッ化水素を受ける場合があり、重合される構成成分からVDFを排除することが有用であり得る。「VDFを本質的に含まない」とは、VDFが、重合される構成成分中に1モル%未満(いくつかの実施形態では、0.5、0.1、0.05、又は0.01モル%未満)で存在することを意味し得る。「VDFを本質的に含まない」ことは、VDFを含まないことを包含する。
本開示に従うコポリマーのいくつかの実施形態では、フッ素化した二価の単位は、1つ以上のペルフルオロビニルエーテル(例えば、ペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE))、又はペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル(PAOVE)に由来する。同様に、本開示に従う方法で重合される構成成分に含まれてもよい好適なモノマーは、ペルフルオロビニルエーテル(例えば、PAVE及びPAOVE)を含むことができる。ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル、及び式CR2=CF−Rfによって独立して表される1種以上のフルオロオレフィンの任意の組み合わせが、有用な、重合される構成成分であり得る。
好適なペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルとしては、式CF2=CFORf1[式中、Rf1は、1〜6個、1〜5個、1〜4個、又は1〜3個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基である。]で表されるものが挙げられる。有用なペルフルオロアルキルビニルエーテルの例としては、ペルフルオロメチルビニルエーテル(CF2=CFOCF3)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(CF2=CFOCF2CF3)、及びペルフルオロプロピルビニルエーテル(CF2=CFOCF2CF2CF3)が挙げられる。
好適なペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルとしては、式CF2=CF(OCnF2n)zORf2[式中、各nは独立して1〜6であり、zは1又は2であり、Rf2は1〜8個の炭素原子を有し、かつ1又は複数の−O−基が任意に介在する、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である。]で表されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、nは、1〜4、又は1〜3、又は2〜3、又は2〜4である。いくつかの実施形態では、nは1又は3である。いくつかの実施形態では、nは3である。zが2である場合、2つのCnF2n基中のnは、独立して選択してよい。しかし、CnF2n基内では、nは独立して選択されないことを当業者は理解する。CnF2nは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。いくつかの実施形態では、CnF2nは、(CF2)nと表記することもできるが、これは直鎖ペルフルオロアルキレン基を指す。いくつかの実施形態では、CnF2nは、−CF2−CF2−CF2−である。いくつかの実施形態では、CnF2nは、分枝鎖であり、例えば−CF2−CF(CF3)−である。いくつかの実施形態では、(OCnF2n)zは、−O−(CF2)1−4−[O(CF2)1−4]0−1で表される。いくつかの実施形態では、Rf2は、1〜8個(又は1〜6個)の炭素原子を有し、最大4つ、3つ又は2つの−O−基が任意に介在する、直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基である。いくつかの実施形態では、Rf2は、1〜4個の炭素原子を有し、1つの−O−基が任意に介在するペルフルオロアルキル基である。好適なペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの例としては、CF2=CFOCF2OCF3、CF2=CFOCF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2(OCF2)3OCF3、CF2=CFOCF2CF2(OCF2)4OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2OCF2OCF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFOCF2CF(CF3)−O−C3F7(PPVE−2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3))2−O−C3F7(PPVE−3)、及びCF2=CF(OCF2CF(CF3))3−O−C3F7(PPVE−4)が挙げられる。これらのペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの多くは、米国特許第6,255,536号(Wormら)及び同第6,294,627号(Wormら)に記載されている方法に従って調製することができる。
本開示に従うコポリマーのいくつかの実施形態では、フッ素化した二価の単位は、1つ以上のペルフルオロアルキルアリルエーテル、又はペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルに由来する。同様に、ペルフルオロアルキルアリルエーテル及びペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルは、本開示に従う方法で重合される有用な構成成分であり得る。好適なペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルとしては、式CF2=CFCF2(OCnF2n)zORf2[式中、n、z、及びRf2は、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの実施形態のいずれかにおいて上に定義されるとおりである。]によって表されるようなものが挙げられる。好適なペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルの例としては、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2CF2CF2OCF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF2CF2CF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF2)3OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2(OCF2)4OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2OCF2OCF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2CF3、CF2=CFCF2OCF2CF(CF3)−O−C3F7、及びCF2=CFCF2(OCF2CF(CF3))2−O−C3F7が挙げられる。これらのペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルの多くは、例えば、米国特許第4,349,650号(Krespan)に記載されている方法に従って調製することができる。
上記のビニルエーテル及びアリルエーテルは、それらの実施形態のうちのいずれかで、重合される構成成分中に任意の有用な量で存在してもよく、いくつかの実施形態では、重合性構成成分の総量を基準として、最大10、7.5、又は5モルパーセントの量で存在してもよい。したがって、本開示に従うコポリマーを、これらのビニルエーテル及びアリルエーテルに由来する二価の単位を任意の有用な量で、いくつかの実施形態では、二価の単位の総モルを基準として、最大10、7.5、又は5モル%の量で含むことができる。
いくつかの実施形態では、本開示に従うコポリマーにおけるフッ素化した二価の単位は、−[CF2−CF2]−を含む。いくつかの実施形態では、本開示に従う方法で共重合される構成成分は、TFEを含む。いくつかの実施形態では、本開示に従う方法で共重合される構成成分は、構成成分の総量を基準として、TFEを少なくとも60モル%含む。いくつかの実施形態では、構成成分は、構成成分の総量を基準として、TFEを少なくとも65、70、75、80、又は90モル%含む。いくつかの実施形態では、本明細書にて開示される方法で重合される構成成分は、テトラフルオロエチレンと、上記のこれらの実施形態のうちのいずれかの、式CF2=CFCF2−O−(CeF2e)−SO2X”、又はCF2=CFCF2−O−(CeF2e)−SO2X’で表される化合物と、からなる。上記のようなもののうちのいずれかなど、その他のフッ素化オレフィンは、重合される構成成分中に任意の有用な量で存在してもよく、いくつかの実施形態では、重合性構成成分の総量を基準として、最大10、7.5、又は5モル%の量で存在してもよい。
本開示のコポリマーのいくつかの実施形態では、フッ素化した二価の単位は、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、テトラフルオロプロペン、及びビニリデンフルオリドのうちの少なくとも1つに由来する。本開示に従う方法のいくつかの実施形態では、重合される構成成分は、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、又はテトラフルオロプロペンのうちの1つ以上を含む。
本開示に従うコポリマーのいくつかの実施形態では、フッ素化した二価の単位のうちの少なくともいくつかは、1つ以上の短鎖SO2X”含有ビニルエーテルモノマーに由来する。同様に、短鎖SO2X”含有ビニルエーテルモノマーは、本開示に従う方法で重合される有用な構成成分であり得る。式CF2=CF−O−(CF2)2−SO2X”で表される短鎖SO2X”含有ビニルエーテルモノマー(例えば、式[CF2=CF−O−(CF2)2−SO3]M[式中、Mはアルカリ金属である。]及びCF2=CF−O−(CF2)2−SO2NZHで表されるもの)は、公知の方法によって製造することができる。都合の良いことに、式[CF2=CF−O−(CF2)2−SO3]Mの化合物は、式FC(O)−CF(CF3)−O−(CF2)2−SO2Fで表される公知の化合物から、3段階で調製することができる。Gronwald,O.,et al;「Synthesis of difluoroethyl perfluorosulfonate monomer and its application」;J.Fluorine Chem.,2008,129,535〜540において報告されているように、酸フルオリドを、水酸化ナトリウムのメタノール溶液と組み合わせて二ナトリウム塩を形成してもよく、これを無水ジグリム(dry diglyme)中で乾燥及び加熱して、カルボキシル化をもたらしてもよい。FC(O)−CF(CF3)−O−(CF2)2−SO2Fは、米国特許第4,962,292号(Marracciniら)に記載されているように、テトラフルオロエタン−β−スルトンの開環及び誘導体化によって調製することができる。また、式CF2=CF−O−(CF2)a−SO2X”で表される化合物は、米国特許第6,388,139号(Resnick)に記載されている式CF2Cl−CFCl−O−(CF2)2−SO2Fの化合物からハロゲンを脱離させた生成物を加水分解すること、及び又は米国特許第6,624,328号(Guerra)に記載されているFSO2−(CF2)3−4−O−CF(CF3)−COO−)pM+pを脱カルボキシル化した生成物を加水分解することによって調製することもできる。式CF2=CF−O−(CF2)2−SO2NH2の化合物は、例えば、Uematsu,N.,et al.「Synthesis of novel perfluorosulfonamide monomers and their application」;J.Fluorine Chem.,2006,127,1087〜1095によって記載されているように、環状スルホンを1当量のLHMDSと反応させることによって調製することができる。
また、本開示のコポリマーは、式X2C=CY−(CZ2)m−(O)n−RF−(O)o−(CZ2)p−CY=CX2で表されるビスオレフィンに由来する単位を含むこともできる。同様に、本開示に従う方法で重合される構成成分は、式X2C=CY−(CZ2)m−(O)n−RF−(O)o−(CZ2)p−CY=CX2で表され得る、全フッ素化又は部分的フッ素化ビスオレフィンを含むこともできる。この式において、X、Y、及びZの各々は独立してフルオロ、水素、アルキル、アルコキシ、ポリオキシアルキル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、又はペルフルオロポリオキシアルキルであり、m及びpは独立して0〜15の整数であり、n、oは独立して0又は1である。いくつかの実施形態では、X、Y、及びZは各々独立してフルオロ、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、水素、CH3、C2H5、C3H7、C4H9である。いくつかの実施形態では、X、Y、及びZは各々フルオロである(例えば、CF2=CF−O−RF−O−CF=CF2及びCF2=CF−CF2−O−RF−O−CF2−CF=CF2の場合)。いくつかの実施形態では、n及びoは1であり、ビスオレフィンは、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、又はビニル−アリルエーテルである。RFは、直鎖又は分枝鎖の、ペルフルオロアルキレン、又はペルフルオロポリオキシアルキレン、又はフッ素化されていなくてもフッ素化されていてもよいアリーレンを表す。いくつかの実施形態では、RFは、1〜12個、2〜10個、又は3〜8個の炭素原子を有するペルフルオロアルキレンである。アリーレンは、1〜14個、1〜12個、又は1〜10個の炭素原子を有してもよく、及び置換されていなくてもよく、又は1又は複数の、フルオロ以外のハロゲン、ペルフルオロアルキル(例えば、−CF3及び−CF2CF3)、ペルフルオロアルコキシ(例えば、−O−CF3、−OCF2CF3)、ペルフルオロポリオキシアルキル(例えば、−OCF2OCF3、−CF2OCF2OCF3)、フッ素化、全フッ素化、又は非フッ素化フェニル若しくはフェノキシ(これらは1又は複数の、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、ペルフルオロポリオキシアルキル基、1又は複数のフルオロ以外のハロゲンで置換されていてもよい)、若しくはこれらの組み合わせで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、RFは、エーテル基がオルト、パラ、又はメタ位に結合したフェニレン、又はモノ、ジ、トリ若しくはテトラフルオロフェニレンである。いくつかの実施形態では、RFは、CF2、(CF2)q[式中、qは2、3、4、5、6、7、又は8である]、CF2−O−CF2、CF2−O−CF2−CF2、CF(CF3)、(CF2)2−O−CF(CF3)−CF2、CF(CF3)−CF2−O−CF(CF3)、又は(CF2)2−O−CF(CF3)−CF2−O−CF(CF3)−CF2−O−CF2である。ビスオレフィンは、米国特許出願公開第2010/0311906号(Lavelleeら)に記載されているように、長鎖分枝を導入することができる。上記のビスオレフィンは、それらの実施形態のうちのいずれかで、重合される構成成分中に任意の有用な量で存在してもよく、いくつかの実施形態では、重合性構成成分の総量を基準として、最大2、1、又は0.5モル%の量、及び少なくとも0.1モル%の量で存在してもよい。
本開示のコポリマーはまた、非フッ素化モノマーに由来する単位を含むことができる。同様に、非フッ素化モノマーもまた、本明細書において開示される方法で重合される構成成分として有用であり得る。好適な非フッ素化モノマーの例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、エチルビニルエーテル、安息香酸ビニル、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、ノルボルナジエン、クロトン酸、クロトン酸アルキル(alkyl crotonate)、アクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル、及びヒドロキシブチルビニルエーテルが挙げられる。これらの非フッ素化モノマーの任意の組み合わせが有用であり得る。いくつかの実施形態では、重合される構成成分は、アクリル酸又はメタクリル酸を更に含み、本開示のコポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸由来する単位を含む。
本開示に従うコポリマー及び本開示の方法により製造されたイオノマーは、最大1000、900、800、750、700、又は600の−SO2X当量重量を有することができる。いくつかの実施形態では、コポリマー又はイオノマーは、少なくとも400の−SO2X当量重量を有する。概して、コポリマーの−SO2X当量は、1モルの−SO2X基を含有するコポリマーの重量を指し、Xは、その実施形態のいずれかにおいて上に定義されるとおりである。いくつかの実施形態では、コポリマーの−SO2X当量重量は、1当量の塩基を中和するコポリマーの重量を指す。いくつかの実施形態では、コポリマーの−SO2X当量重量は、1モルのスルホネート基(即ち、−SO3 −)を含有するコポリマーの重量を指す。コポリマー又はイオノマーの−SO2X当量重量を低下させると、コポリマー又はイオノマーの電気伝導率は増加する傾向にあるが、その結晶化度は低下する傾向にあり、これは、コポリマーの機械的特性を損なうことがある。したがって、−SO2X当量重量は、コポリマー又はイオノマーの電気的特性及び機械的特性に対する要件のバランスに基づいて選択してもよい。いくつかの実施形態では、コポリマーの−SO2X当量重量は、1モルのスルホンアミド基(すなわち、−SO2NH)を含有するコポリマーの重量を指す。下で更に詳細に説明されるように、スルホンイミド基(例えば、Xが−NZSO2(CF2)1−6SO2X’、及び−NZ[SO2(CF2)aSO2NZ]1−10SO2(CF2)aSO2X’である場合)もまた、塩基を中和可能である酸性基として機能する。これらの基を含むコポリマーの有効な当量重量は、1000よりも遥かに低くあり得る。例えば、以下の実施例に示す等式を使用して、コポリマー中のモノマー単位のモル比から、当量重量を算出することができる。
本開示に従うコポリマーは、二価の単位の総量を基準として、式
で表される、二価の単位を最大40モル%有することができる。いくつかの実施形態では、コポリマーは、これらの二価の単位の総量を基準として、これらの二価の単位を最大35、30、25、又は20モル%含む。本開示に従う方法で共重合される構成成分は、構成成分の総量を基準として、上記のこれらの実施形態のうちのいずれかの、式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2X”、又はCF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2X’で表される、1つ以上の化合物を最大40モル%含む。いくつかの実施形態では、構成成分は、構成成分の総量を基準として、式CF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2X”、又はCF
2=CFCF
2−(OC
bF
2b)
c−O−(C
eF
2e)−SO
2X’で表される化合物を最大35、30、25、又は20モル%含む。
より低い当量重量が所望される実施形態を含む、いくつかの実施形態では、コポリマー又はイオノマーは、例えばその耐久性を改善するために架橋されてもよい。1つの有用な架橋方法は、米国特許第7,265,162号(Yandrasitsら)に記載されているように、クロロ、ブロモ、又はヨード基を含むコポリマーを電子ビーム架橋することである。クロロ、ブロモ、又はヨード基、いくつかの実施形態ではブロモ又はヨード基の、本明細書において開示される方法によって調製されるコポリマーへの組み込みは、重合される構成成分中に式CX2=CX(W)を有する化合物を含ませることによって実行することができる。式CX2=CX(W)において、各Xは独立してH又はFであり、WはI、Br、又はRf−W(式中、WはI又はBrであり、Rfは、O原子を任意選択で含有する全フッ素化又は部分全フッ素化アルキレン基である。)である。有用な、式CX2=CX(Z)のモノマーの例としては、CF2=CHI、CF2=CFI、CF2=CFCF2I、CF2=CFCF2CF2I、CF2=CFOCF2CF2I、CF2=CFOCF2CF2CF2I、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2I、CF2=CFO(CF2)3OCF2CF2I、CF2=CHBr、CF2=CFBr、CF2=CFCF2Br、CF2=CFOCF2CF2Br、CF2=CFCl、CF2=CFCF2Cl、又はこれらの組み合わせが挙げられる。電子ビーム架橋は、例えば、以下に記載されるように、コポリマーが膜へと形成された後にコポリマーに実行されてもよい。
コポリマー及びイオノマーの製造方法は、フリーラジカル重合によって実施することができる。都合の良いことに、いくつかの実施形態では、本明細書にて開示されたコポリマー及びイオノマーの製造方法には、ラジカル水性乳化重合(radical aqueous emulsion polymerization)が含まれる。
本開示に従うコポリマー及びイオノマーの製造方法のいくつかの実施形態では、重合プロセスを開始するのに、水溶性開始剤(例えば、過マンガン酸カリウム又はペルオキシ硫酸塩)が有用であり得る。過硫酸アンモニウム若しくは過硫酸カリウムなどのペルオキシ硫酸塩は、単独で適用されてもよく、又は還元剤、例えば亜硫酸水素塩又はスルフィン酸塩(例えば、米国特許第5,285,002号及び同第5,378,782号(いずれもGrootaert)において開示されているフッ素化スルフィン酸塩)若しくはヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩(商品名「RONGALIT」で販売、BASF Chemical Company(New Jersey,USA))の存在下で適用されてもよい。開始剤及び還元剤(存在する場合)の選択は、コポリマーの末端基に影響を及ぼすことになる。開始剤及び還元剤の濃度範囲は、水性重合媒体を基準として、0.01重量%〜5重量%で変動し得る。
本開示に従うコポリマーの製造方法では、及びイオノマーの製造方法のいくつかの実施形態では、重合プロセス中にSO3 −基を発生することにより、本開示に従うコポリマー中に、−SO2X末端基が導入される。亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸カリウム)の存在下でペルオキシ硫酸塩が使用される場合、SO3 −基が重合プロセス中に生成され、結果として−SO3 −末端基がもたらされる。−SO3 −基の形成を触媒又は加速するために、金属イオンを添加することが有用である場合がある。亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩の、ペルオキシ硫酸塩に対する化学量論比を変えることによって、−SO2X末端基の量を変化させることができる。
上記の開始剤及び重合に使用することができる任意の乳化剤の大部分は、それらが最も高い効率性を示す最適なpH範囲を有する。また、pHは、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X’[式中、X’はアルカリ金属カチオン又はアンモニウムカチオンである。]の化合物の塩形態で重合が実施されるように、及びコポリマーの塩形態を維持するように、本開示に従う方法について選択することができる。これらの理由から、緩衝剤が有用であり得る。緩衝剤としては、リン酸塩、酢酸塩、若しくは炭酸塩(例えば、(NH4)2CO3又はNaHCO3)緩衝剤、又は任意の他の酸若しくは塩基、例えばアンモニア又はアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。いくつかの実施形態では、共重合は、少なくとも8、8超、少なくとも8.5、又は少なくとも9のpHで実行される。開始剤及び緩衝剤の濃度範囲は、水性重合媒体を基準として、0.01重量%〜5重量%で変動し得る。いくつかの実施形態では、pHを少なくとも8、8超、少なくとも8.5、又は少なくとも9に調整するような量で、アンモニアが反応混合物に添加される。
H2、低級アルカン、アルコール、エーテル、エステル、及びメチレンフルオリドのような典型的な連鎖移動剤が、本開示に従うコポリマー及びイオノマーの調製において有用であり得る。主に連鎖移動を介した終結は、約2.5以下の多分散度をもたらす。本開示に従う方法のいくつかの実施形態では、重合は、いかなる連鎖移動剤も伴わずに実行される。連鎖移動剤の非存在下では、より低い多分散度が達成され得る場合がある。再結合は、典型的には、小さな変換の場合、約1.5の多分散度をもたらす。
有用な重合温度は、40℃〜150℃の範囲であり得る。典型的には、重合は、40℃〜120℃、70℃〜100℃、又は80℃〜90℃の温度範囲で実施される。重合圧力は、通常、0.8MPa〜2.5MPa、1MPa〜2.5MPaの範囲であり、いくつかの実施形態では、1.0MPa〜2.0MPaの範囲である。HFPなどのフッ素化モノマーは、例えば、Modern Fluoropolymers,ed.John Scheirs,Wiley&Sons,1997,p.241に記載されているように、反応器に事前に装入されてもよく、供給されてもよい。式CF2=CF(OCnF2n)zORf2によって表されるペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル及び式CF2=CFCF2(OCnF2n)zORf2によって表されるペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテル[式中、n、z、及びRf2は、それらの実施形態のいずれかにおいて上に定義されるとおりである。]は、典型的には液体であり、反応器内に噴霧されてもよく、あるいは直接的に添加されたり、気化されたり、又は霧化されたりしてもよい。
都合の良いことに、本開示に従うコポリマー及びイオノマーの製造方法においては、重合プロセスは、乳化剤を伴わずに(例えば、フッ素化乳化剤を伴わずに)実施されてもよい。驚くべきことに、本発明者らは、液体のペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル若しくはペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテル、又はビスオレフィンを多量に組み込む場合でも、これらのモノマーの適正な組み込みを確保するのに、フッ素化乳化剤は必要とされないことを見出した。式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X”で表される化合物と、非官能性コモノマー(例えば、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル若しくはペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテル、又はビスオレフィン)とを均質な混合物として重合に供給することが有用であり得る。いくつかの実施形態では、CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2Fのうちの一部(例えば、最大5ppm)を加水分解して、「in situ」で乳化剤を得ることが可能である。有利には、この方法は、任意のその他のフッ素化乳化剤の非存在下で行われてもよい。
しかしながら、いくつかの実施形態では、全フッ素化乳化剤又は部分フッ素化乳化剤が有用であり得る。一般的に、これらのフッ素化乳化剤は、ポリマーに対して約0.02重量%〜約3重量%の範囲で存在する。フッ素化乳化剤を用いて生成されたポリマー粒子は、典型的には、動的光散乱技法(dynamic light scattering techniques)によって測定した場合、約10ナノメートル(nm)〜約300nmの範囲の平均直径を有し、いくつかの実施形態では約50nm〜約200nmの範囲の平均直径を有する。好適な乳化剤の例としては、式[Rf−O−L−COO−]iXi+[式中、Lは直鎖部分フッ素化若しくは完全フッ素化アルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、Rfは直鎖部分フッ素化若しくは完全フッ素化脂肪族基、又は1又は複数の酸素原子が介在する直鎖部分フッ素化若しくは完全フッ素化脂肪族基を表し、Xi+は価数iを有するカチオンを表し、iは1、2又は3である。]を有する全フッ素化乳化剤及び部分フッ素化乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許第7,671,112号(Hintzerら)を参照されたい。)また、好適な乳化剤の更なる例としては、式CF3−(OCF2)x−O−CF2−X’[式中、xは1〜6の値を有し、X’はカルボン酸基又はその塩を表す。]及び式CF3−O−(CF2)3−(OCF(CF3)−CF2)y−O−L−Y’[式中、yは0、1、2又は3の値を有し、Lは−CF(CF3)−、−CF2−及び−CF2CF2−から選択される二価結合基を表し、Y’はカルボン酸基又はその塩を表す。]を有する全フッ素化ポリエーテル乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許出願公開第2007/0015865号(Hintzerら)を参照されたい。)。他の好適な乳化剤としては、式Rf−O(CF2CF2O)xCF2COOA[式中、RfはCbF(2b+1)であり、ここで、bは1〜4であり、Aは水素原子、アルカリ金属、又はNH4であり、xは1〜3の整数である。]を有する全フッ素化ポリエーテル乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許出願公開第2006/0199898号(Funakiら)を参照されたい。)また、好適な乳化剤としては、式F(CF2)bO(CF2CF2O)xCF2COOA[式中、Aは水素原子、アルカリ金属、又はNH4であり、bは3〜10の整数であり、xは0又は1〜3の整数である。]を有する全フッ素化乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許出願公開第2007/0117915号(Funakiら)を参照されたい。)更なる好適な乳化剤としては、米国特許第6,429,258号(Morganら)に記載されているようなフッ素化ポリエーテル乳化剤、及びペルフルオロアルコキシのペルフルオロアルキル構成部分が4〜12個の炭素原子又は7〜12個の炭素原子を有する、全フッ素化又は部分フッ素化アルコキシ酸及びその塩が挙げられる。(例えば、米国特許第4,621,116号(Morgan)を参照されたい。)また、好適な乳化剤としては、式[Rf−(O)t−CHF−(CF2)x−COO−]iXi+[式中、Rfは1又は複数の酸素原子が任意選択で介在する部分フッ素化又は完全フッ素化脂肪族基を表し、tは0又は1であり、xは0又は1であり、Xi+は価数iを有するカチオンを表し、iは1、2又は3である。]を有する部分フッ素化ポリエーテル乳化剤が挙げられる。(例えば、米国特許出願公開第2007/0142541号(Hintzerら)を参照されたい。)。更なる好適な乳化剤としては、米国特許公開第2006/0223924号、同第2007/0060699号及び同第2007/0142513号(各々、Tsudaら)、並びに同第2006/0281946号(Moritaら)に記載されているような、全フッ素化又は部分フッ素化エーテル含有乳化剤が挙げられる。6〜20個の炭素原子を有するフルオロアルキルカルボン酸、例えばペルフルオロアルキルカルボン酸及びその塩、例えばアンモニウムペルフルオロオクタノエート(APFO)及びアンモニウムペルフルオロノナノエートなど(例えば、米国特許第2,559,752号(Berry))も有用であり得る。都合の良いことに、一部の実施形態においては、本開示に従うコポリマーを作製する方法は、これらの乳化剤又はその任意の組み合わせのいずれも伴わずに実行されてもよい。
フッ素化乳化剤が使用される場合、所望されるならば、米国特許第5,442,097号(Obermeierら)、同第6,613,941号(Felixら)、同第6,794,550号(Hintzerら)、同第6,706,193号(Burkardら)、及び同第7,018,541号(Hintzerら)に記載されているように、乳化剤は、フルオロポリマーラテックスから除去又は再利用され得る。
いくつかの実施形態では、得られたコポリマー及びイオノマーラテックスは、凝固又は噴霧乾燥(以下に記載)の前に、官能性コモノマー、アニオン、及び/又はカチオンを除去するためのアニオン交換プロセス又はカチオン交換プロセスのうちの1つ以上によって精製される。本明細書で使用する場合、用語「精製する」は、除去が完了するかどうかに関わらず、少なくとも部分的に不純物を除去することを指す。不純物を構成し得るアニオン種としては、例えば、フルオリド、界面活性剤及び乳化剤に由来するアニオン性残留物(例えば、ペルフルオロオクタノエート)、及び式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X’で表される残留化合物が挙げられる。しかしながら、分散体(dispersion)からイオン性フルオロポリマーを除去しないことが望ましい場合があることに留意するべきである。有用なアニオン交換樹脂は、典型的には、様々なアニオン(例えば、ハライド又は水酸化物)と対になった複数のカチオン基(例えば、四級アルキルアンモニウム基)を有するポリマー(典型的には架橋されている)を含む。フルオロポリマー分散体と接触させると、分散体中のアニオン性の不純物が、アニオン交換樹脂と結合する。アニオン交換工程の後、得られたアニオン交換された分散体は、例えば濾過によって、アニオン交換樹脂から分離される。米国特許第7,304,101号(Hintzerら)では、アニオン性加水分解フルオロポリマーは、アニオン交換樹脂に対して明らかに固定されることはなく、これが凝固及び/又は材料の損失につながり得ることが報告された。アニオン交換樹脂は、様々な供給元から市販されている。アニオン交換樹脂が水酸化物形態でない場合は、使用前に、水酸化物塩の形態へと少なくとも部分的に又は完全に変換することができる。これは、典型的には、アニオン交換樹脂を、アンモニア水又は水酸化ナトリウム水溶液で処理することによって行われる。典型的には、マクロ多孔質アニオン交換樹脂を用いるよりも、ゲル型アニオン交換樹脂を使用した場合に、より良好な収率が得られる。
上述の重合から結果として生じるカチオン性不純物の例としては、アルカリ金属カチオン(例えば、Li+、Na+、K+)、アンモニウム、四級アルキルアンモニウム、アルカリ土類カチオン(例えば、Mg2+、Ca2+)、及び第III族金属カチオンのうちの1又は複数が挙げられる。有用なカチオン交換樹脂としては、例えばポリスルホネート又はポリスルホン酸、ポリカルボキシレート又はポリカルボン酸などの、複数のペンダントアニオン基又は酸性基を有するポリマー(典型的には架橋されている)が挙げられる。有用なスルホン酸カチオン交換樹脂の例としては、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、及びベンゼン−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂が挙げられる。カルボン酸カチオン交換樹脂は、カルボン酸カチオン交換樹脂などの有機酸のカチオン交換樹脂である。カチオン交換樹脂は、様々な供給元から市販されている。カチオン交換樹脂は、一般に、その酸形態又はそのナトリウム形態のいずれかで商業的に供給されている。カチオン交換樹脂が酸形態(すなわち、プロトン化形態)でない場合は、一般的には望まれない、分散体への他のカチオンの導入を回避するために、酸形態へと少なくとも部分的に又は完全に変換することができる。この酸形態への変換は、当該技術分野において周知の手段、例えば、任意の適切な強酸を用いた処理によって実現することができる。
フルオロポリマー分散体の精製が、アニオン交換プロセス及びカチオン交換プロセスの両方を使用して実行される場合、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂は個別に使用されてもよく、あるいは例えばアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の両方を有する混合樹脂床の場合のように、組み合わせて使用されてもよい。
水性乳化重合及び任意のイオン交換精製の後に得られたコポリマー若しくはイオノマー分散体は、そのまま使用してもよく、又はより高濃度の固形分が所望される場合は濃縮してもよい。典型的には、コポリマー又はイオノマー分散体が膜を形成するために使用される場合、イオン性フルオロポリマーの濃度は、高いレベルにまで増加される(例えば、20、30、又は40重量%以上)。
得られたコポリマー又はイオノマーラテックスを凝固させるには、フルオロポリマーラテックスの凝固のために一般に使用される任意の凝固剤を使用してもよく、例えば、水溶性塩(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、若しくは硝酸アルミニウム)、酸(例えば、硝酸、塩酸、若しくは硫酸)、又は水溶性有機液体(例えば、アルコール若しくはアセトン)であってもよい。添加される凝固剤の量は、ラテックス100質量部当たり、0.001〜20質量部の範囲、例えば、0.01〜10質量部の範囲であってもよい。代替的又は追加的に、ラテックスを凝固のために凍結させてもよく、又は米国特許第5,463,021号(Beyerら)に記載されているように、例えばホモジナイザーを用いて機械的に凝固させてもよい。代替的又は追加的に、ポリカチオンを添加することによって、ラテックスを凝固させてもよい。また、金属の混入を回避するために、凝固剤としては酸及びアルカリ土類金属塩を回避することが有用であり得る。凝固を全体として回避し、かつ凝固剤に由来するあらゆる混入物を回避するために、重合及び任意のイオン交換精製の後にラテックスを噴霧乾燥させることが、固体のコポリマー又はイオノマーを提供するには有用であり得る。
凝固したコポリマー又はイオノマーは、濾過によって回収し、水を用いて洗浄してもよい。洗浄水は、例えば、イオン交換水、純水、又は超純水であってもよい。洗浄水の量は、コポリマー又はイオノマーに対して1〜5倍の質量であってもよく、これにより、1回の洗浄で、コポリマーに結合している乳化剤の量を十分に低減することができる。
生成されるコポリマー又はイオノマーは、50ppm未満の金属イオン含有量を有してもよく、いくつかの実施形態では、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、又は1ppm未満の金属イオン含有量を有し得る。具体的には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属(例えば、ニッケル、コバルト、マンガン、カドミウム、及び鉄)などの金属イオンを低減することができる。50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、又は1ppm未満の金属イオン含有量を達成するために、重合は、金属イオンの添加を伴わずに実行することができる。例えば、過硫酸アンモニウムの一般的な代替的開始剤又はその共開始剤である過硫酸カリウムは使用されず、金属塩を用いた凝固の代わりに、上に記載される機械的凝固及び凍結凝固が使用され得る。また、米国特許第5,182,342号(Feiringら)において開示されているような有機開始剤を使用することも可能である。このような低いイオン含有量を達成するために、上に記載されているように、イオン交換を使用することができ、重合及び洗浄用の水は脱イオン化され得る。
コポリマーの金属イオン含有量は、コポリマーを燃焼させ、残留物を酸性水溶液に溶解させた後に、フレーム原子吸光分析によって測定することができる。分析物としてのカリウムについては、検出下限は1ppm未満である。
本開示に従うコポリマー又はイオノマーの製造方法のうちのいくつかの実施形態では、懸濁重合によってラジカル重合を実施することもできる。懸濁重合は、典型的には、最大数ミリメートルの粒径をもたらすことになる。
いくつかの実施形態では、本開示に従うコポリマー又はイオノマーの製造方法は、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X’で表される1つ以上の化合物を含む構成成分を共重合させることと、任意に、イオン交換精製によってコポリマーを精製することと、得られた分散体を噴霧乾燥することと、を含む。対照的に、イオノマーの典型的な製造方法は、短鎖SO2F含有アリルエーテル(例えば、CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2F)を含む構成成分を共重合させることと、ポリマー分散体から固体を単離することと、ポリマーを加水分解することと、任意に、イオン交換精製によってポリマーを精製することと、得られたポリマーを乾燥することと、を含み得る。したがって、本開示の方法は、都合の良いことに、固体ポリマーを単離する工程及び加水分解する工程を排除することができるため、より効率的かつ費用対効果が高いプロセスをもたらすことができる。
本開示に従う方法で重合される構成成分は、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X”で表される化合物を2種以上含むことができる。式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X”で表される化合物が2つ以上存在する場合、b、c、e、及びX”の各々は、独立して選択されてもよい。いくつかの実施形態では、構成成分は、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO3Z、及びCF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2NZH[式中、各b、c、及びeは、独立して選択される。]で表される化合物を含む。SO3Z含有構成成分と、SO2NZH含有構成成分との比は、99:1〜1:99の範囲で変動してもよい。これらの実施形態の一部において、各Zは独立して、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。
本開示に従う方法のいくつかの実施形態では、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X’で表される化合物は、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2Fで表される化合物から、in situで調製されない。いくつかの実施形態では、本明細書にて開示された方法で重合される構成成分は、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CF2)e−SO2Fで表される化合物を実質的に含まない。この関連で、「式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CF2)e−SO2Fで表される化合物を実質的に含まない」とは、本明細書にて開示された方法で重合される構成成分が、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CF2)e−SO2Fで表される化合物を含まないか、又はこのような化合物が、構成成分の総量を基準として、最大5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05、又は0.01モル%の量で存在することを意味し得る。
他の実施形態では、本開示のコポリマーは、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2Fで表される化合物と、これらの実施形態のうちのいずれかの上に記載されているようにフッ素化モノマーとを共重合することにより製造され得る。これらの実施形態では、CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2Fのうちの一部(例えば、最大5ppm)を加水分解して、上に記載されているように、「in situ」で乳化剤を得ることが可能である。
無機開始剤(例えば、過硫酸塩、KMnO4など)を用いた水性乳化重合によって得られるフルオロポリマーは、典型的には、多数の不安定な炭素系末端基を有する(例えば、炭素原子106個当たり200個超の−COOM又は−COF末端基[式中、Mは水素、金属カチオン、又はNH2である。])。例えば、電気化学的電池において有用なフッ素化イオノマーの場合、スルホネート当量重量が低下するにつれて、この影響は自然に増加する。これらのカルボニル末端基は、過酸化物ラジカルの攻撃に対して脆弱であり、これによりフッ素化イオノマーの酸化安定性が低減される。燃料電池、電解セル、又は他の電気化学的電池の作動中、過酸化物が形成され得る。これにより、フッ素化イオノマーが劣化し、相応して、所与の電解質膜の作動寿命は低減する。
重合した際に、本開示に従うコポリマー及び本明細書にて開示された方法によって調製されたイオノマーは、炭素原子106個当たり最大400個の−COOM及び−COF末端基[式中、Mは独立してアルキル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。]を有し得る。有利には、いくつかの実施形態では、本開示に従うコポリマー及び本明細書にて開示された方法によって調製されたイオノマーは、炭素原子106個当たり最大200個の不安定な末端基を有する。不安定な末端基とは、−COOM又は−COF基[式中、Mはアルキル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。]である。いくつかの実施形態では、コポリマー及びイオノマーは、炭素原子106個当たり最大150個、100個、75個、50個、40個、30個、25個、20個、15個、又は10個の不安定な末端基を有する。不安定な末端基の数は、以下に記載される方法を使用して、フーリエ変換赤外分光法によって測定することができる。いくつかの実施形態では、本開示に従う及び/又は本開示に従う方法によって調製されたコポリマー並びにイオノマーは、重合した際に、炭素原子106個当たり最大50個(いくつかの実施形態では、最大40個、30個、25個、20個、15個、又は10個)の不安定な末端基を有する。
本開示に従うコポリマー及び本明細書にて開示された方法のいくつかの実施形態に従って製造されたイオノマーは、−SO2X末端基を有する。上に記載されているように、−SO2X末端基は、重合プロセス中にSO3 −基を生成することによって、本開示によるコポリマーに導入され得る。いくつかの実施形態では、本開示に従うコポリマーは、炭素原子106個当たり5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、又は50個以上の−SO2X末端基[式中、Xは、その実施形態のいずれかにおいて上に定義されるとおりである。]を有する。
いくつかの実施形態では、不安定な末端基の数を低減することは、米国特許第7,214,740号(Lochhaasら)に記載されているように、塩又は擬ハロゲンの存在下で、本明細書において開示される方法で重合を実行することによって実現することができる。好適な塩は、塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、又はシアン化物アニオンと、ナトリウム、カリウム、又はアンモニウムカチオンとを含み得る。フリーラジカル重合において使用される塩は、均質な塩であってもよく、あるいは異なる塩のブレンドであってもよい。有用な擬ハロゲンの例は、ニトリル末端基を提供するニトリル含有化合物である。擬ハロゲンニトリル含有化合物は、1又は複数のニトリル基を有し、ニトリル基がハロゲンと置き換えられている化合物と同様の様式で機能する。好適な擬ハロゲンニトリル含有化合物の例としては、NC−CN、NC−S−S−CN、NCS−CN、Cl−CN、Br−CN、I−CN、NCN=NCN、及びこれらの組み合わせが挙げられる。フリーラジカル重合中、塩の反応性原子/反応性基、又は擬ハロゲンのニトリル基は、フルオロポリマーの主鎖の少なくとも一方の末端に対して化学的に結合する。これにより、カルボニル末端基の代わりに、CF2Y1末端基[式中、Y1はクロロ、ブロモ、ヨード、又はニトリルである。]がもたらされる。例えば、フリーラジカル重合がKCl塩の存在下で実施された場合、もたらされる末端基の少なくとも一方は、−CF2Cl末端基であることになる。あるいは、フリーラジカル重合がNC−CN擬ハロゲンの存在下で実施された場合、もたらされる末端基の少なくとも一方は、−CF2CN末端基であることになる。
また、フッ素ガスを用いた後フッ素化も、不安定な末端基及び任意の付随する劣化に対処するために、一般に使用される。フルオロポリマーの後フッ素化は、−COOH、アミド、ヒドリド、−COF、−CF2Y1、及び他の非全フッ素化末端基、又は−CF=CF2を、−CF3末端基へと変換することができる。後フッ素化は、任意の好都合な様式で実行することができる。後フッ素化は、都合の良いことに、20℃〜250℃、いくつかの実施形態では150℃〜250℃又は70℃〜120℃の範囲の温度、及び100KPa〜1000KPaの圧力において、75〜90:25〜10の比の窒素/フッ素ガス混合物を用いて実行することができる。反応時間は、約4時間〜約16時間の範囲であり得る。これらの条件下では、大部分の不安定な炭素系末端基が除去される一方で、−SO2X基は大部分が残存し、−SO2F基へと変換される。いくつかの実施形態では、重合におけるモノマーとして、上記の非フッ素化モノマーが使用される場合には、後フッ素化は実施されない。
上記の末端基−CF2Y1の基Y1はフッ素ガスに対して反応性であるため、これらの実施形態において、コポリマーをポリフッ素化するために必要とされる時間及びエネルギーが低減される。本発明者らはまた、コポリマー中にアルカリ金属カチオンが存在することによって、不安定なカルボン酸末端基の分解速度が上昇するため、必要とされる場合、後続の後フッ素化工程をより容易に、より速く、かつより安価にできることを見出した。
−SO2X基が−SO2F基であるポリマーの場合、コポリマーは、アミン(例えば、アンモニア)を用いて処理して、スルホンアミド(例えば、−SO2NH2基を有する。)を得ることができる。この様式で製造されたスルホンアミド、又は上に記載されているように重合される構成成分においてCF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CF2)e−SO2NH2を使用することによって調製されたスルホンアミドは、多官能性スルホニルフルオリド又はスルホニルクロリド化合物と更に反応させることができる。有用な多官能性化合物の例としては、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−1,3−ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル−1,4−ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−ペルフルオロブチル−1,5−ジスルホニルフルオリド、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−1,2−ジスルホニルクロリド、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジスルホニルクロリド、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル−1,4−ジスルホニルクロリド、及び1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−ペルフルオロブチル−1,5−ジスルホニルクロリドが挙げられる。スルホニルハライド基の加水分解後、Xが−NZSO2(CF2)1−6SO3Zである得られたコポリマーは、重合された際のコポリマーよりも多くの数のイオン性基を有し得る。したがって、コポリマーの主鎖構造に影響を及ぼすことなく、イオン性基の数を増加させることができ、当量重量を低下させることができる。また、不十分な量の多官能性スルホニルフルオリド又はスルホニルクロリド化合物を使用することにより、ポリマー鎖の架橋がもたらされる可能性があり、これは、一部の場合では、耐久性を増加させるのに有用であり得る(例えば、低い当量重量を有するコポリマーの場合)。更なる詳細は、例えば、米国特許出願公開第20020160272号(Tanakaら)において見出すことができる。このような架橋を防止するために、所望される場合、−SO2NH2基を有するコポリマーを、式FSO2(CF2)1−6SO3Hによって表される化合物(これらの化合物は、2011年2月24日に公開された特開2011−40363に記載されているように、上記の多官能性スルホニルフルオリド又はスルホニルクロリドのうちのいずれかを、塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA))の存在下において、1当量の水で加水分解することによって作製することができる。)で処理してもよい。−SO2NH2基を有するコポリマーはまた、式FSO2(CF2)a[SO2NZSO2(CF2)a]1−10SO2F、又はFSO2(CF2)a[SO2NZSO2(CF2)a]1−10SO3H[式中、各aは独立して、1〜6、1〜4、又は2〜4である。]で表されるポリスルホンイミドで処理され得る。ポリスルホンイミドを作製するには、スルホニルハライドモノマー(例えば、上に記載されているもののうちのいずれか)と、式H2NSO2(CF2)aSO2NH2によって表されるスルホンアミドモノマーとを、(k+1)/kのモル比で反応させる。この反応は、例えば、塩基の存在下で、好適な溶媒(例えば、アセトニトリル)中0℃で実行することができる。スルホニルハライドモノマー及びスルホンアミドモノマーは、同じaの値を有してもよく、あるいは異なるaの値を有してもよく、結果として、各繰り返し単位について同じaの値又は異なるaの値がもたらされる。得られた生成物、FSO2(CF2)a[SO2NZSO2(CF2)a]1−10SO2Fは、特開2011−40363に記載されているように、塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA))の存在下において、1当量の水で処理して、FSO2(CF2)a[SO2NZSO2(CF2)a]1−10SO3Hを得てもよい。
他の実施形態では、−SO2X基が−SO2F基であるコポリマーは、低分子スルホンアミド、例えば式NH2SO2(CF2)1−6SO3Z[式中、Zは、その実施形態のいずれかにおいて上に定義されたとおりである。]で表されるものなどを用いて処理して、−SO2NHSO2(CF2)1−6SO3Z基を得ることができる。式NH2SO2(CF2)1−6SO3Zによって表される化合物は、米国特許第4,423,197号(Behr)に記載されている方法に従って、環状ペルフルオロジスルホン酸無水物を、アミンと反応させることによって合成することができる。これも、非常に低い当量重量を有するコポリマーをもたらすことができる。
本開示のコポリマー及び本開示の方法に従って製造されたイオノマーは、例えば、燃料電池又は他の電解セルにおいて使用するためのポリマー電解質膜の製造において有用であり得る。コポリマー及びイオノマーは、キャスティング、鋳造、及び押出を含む任意の好適な方法によって、ポリマー電解質膜へと形成してもよい。典型的には、膜は、コポリマー若しくはイオノマーのラテックス又は懸濁液からキャスティングされた後、乾燥されるか、アニールされるか、又はこれら両方が行われる。典型的には、コポリマー又はイオノマーの分散体が膜を形成するために使用される場合、コポリマー又はイオノマーの濃度は、高いレベルにまで増加され(例えば、30又は40重量%以上)、水混和性有機溶媒が、フィルム形成を促進するために添加される。水混和性溶媒の例としては、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール)、ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン及びジオキサン)、エーテルアセテート、アセトニトリル、アセトン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。コポリマーは、懸濁液からキャスティングされてもよい。バーコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティング、及びブラシコーティングなどの、任意の好適なキャスティング方法を使用することができる。形成後、膜は、典型的には120℃以上、より典型的には130℃以上、最も典型的には150℃以上の温度でアニールされてもよい。本開示に従う方法のいくつかの実施形態では、ポリマー電解質膜は、イオノマーの分散体を得ることと、任意に、イオン交換精製によって分散体を精製することと、上に記載されているように分散体を濃縮して膜を製造することと、によって得ることができる。
本開示のコポリマー及び本開示に従う方法により製造されたイオノマーのいくつかの実施形態では、セリウム、マンガン若しくはルテニウムのうちの少なくとも1つの塩、又は1又は複数の酸化セリウム若しくは酸化ジルコニウム化合物が、膜の形成前に、ポリマー電解質の酸形態に添加される。典型的には、セリウム、マンガン若しくはルテニウムの塩、及び/又は酸化セリウム若しくは酸化ジルコニウム化合物は、ポリマー電解質とよく混合されるか、あるいはポリマー電解質中に溶解されて、実質的に均一な分散が達成される。
セリウム、マンガン、又はルテニウムの塩は、塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、スルホン酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、及び炭酸イオンなどの、任意の好適なアニオンを含み得る。2種以上のアニオンが存在してもよい。他の金属カチオン又はアンモニウムカチオンを含む塩などの、他の塩が存在してもよい。遷移金属塩と酸形態のイオノマーとの間でカチオン交換が起こると、遊離したプロトンと元の塩のアニオンとの組み合わせによって形成される酸を除去することが望ましいことがある。したがって、揮発性又は可溶性の酸を生成するアニオン、例えば塩化物イオン又は硝酸イオンを使用することが有用であり得る。マンガンカチオンは、Mn2+、Mn3+、及びMn4+などの任意の好適な酸化状態であってもよいが、最も典型的にはMn2+である。ルテニウムカチオンは、Ru3+及びRu4+などの任意の好適な酸化状態であってもよいが、最も典型的にはRu3+である。セリウムカチオンは、Ce3+及びCe4+などの任意の好適な酸化状態であってもよい。理論によって束縛されることを意図するものではないが、セリウム、マンガン、又はルテニウムカチオンは、ポリマー電解質のアニオン基に由来するH+イオンと交換されて、それらのアニオン基と結合するため、ポリマー電解質中に留まると考えられる。更に、多価セリウム、マンガン、又はルテニウムカチオンは、ポリマー電解質のアニオン基の間で架橋を形成して、ポリマーの安定性を更に高め得ると考えられる。いくつかの実施形態では、塩は、固体形態で存在してもよい。カチオンは、溶媒和カチオン、ポリマー電解質膜の結合したアニオン基と結合したカチオン、及び塩沈殿物に結合したカチオンなどの、2つ以上の形態の組み合わせで存在してもよい。塩の添加量は、典型的には、ポリマー電解質中に存在する酸官能基のモル量を基準として、0.001〜0.5電荷当量、より典型的には0.005〜0.2電荷当量、より典型的には0.01〜0.1電荷当量であり、より典型的には0.02〜0.05電荷当量である。アニオン性コポリマーと、セリウム、マンガン、又はルテニウムカチオンとの組み合わせに関する更なる詳細は、米国特許第7,575,534号及び同第8,628,871号(各々、Freyら)において見出すことができる。
酸化セリウム化合物は、(IV)酸化状態、(III)酸化状態、又はこれら両方のセリウムを含有していてもよく、結晶質であっても非晶質であってもよい。酸化セリウムは、例えば、CeO2であってもCe2O3であってもよい。酸化セリウムは、金属セリウムを実質的に含まなくてもよく、あるいは金属セリウムを含有してもよい。酸化セリウムは、例えば、金属セリウム粒子上の薄い酸化反応生成物であってもよい。酸化セリウム化合物は、他の金属元素を含有しても含有しなくてもよい。酸化セリウムを含む混合金属酸化物化合物の例としては、ジルコニア−セリアなどの固溶体、及びセリウム酸バリウムなどの多成分酸化物化合物が挙げられる。理論によって束縛されることを意図するものではないが、酸化セリウムは、キレート化及び結合したアニオン基の間での架橋の形成によって、ポリマーを強化し得ると考えられる。酸化セリウム化合物の添加量は、典型的には、コポリマーの総重量を基準として、0.01〜5重量パーセント、より典型的には0.1〜2重量パーセントであり、より典型的には0.2〜0.3重量パーセントである。酸化セリウム化合物は、典型的には、ポリマー電解質膜の総体積に対して1体積%未満、より典型的には0.8体積%未満の量で存在し、より典型的には0.5体積%未満の量で存在する。酸化セリウムは、任意の好適なサイズの粒子であってもよく、いくつかの実施形態では、1〜5000nm、200〜5000nm、又は500〜1000nmの粒子であってもよい。酸化セリウム化合物を含むポリマー電解質膜に関する更なる詳細は、米国特許第8,367,267号(Freyら)において見出すことができる。
本開示は本開示のコポリマー又は本開示に従う方法により製造されたイオノマーから製造されたポリマー電解質膜を備える膜電極アセンブリを提供する。膜電極アセンブリ(MEA)は、水素燃料電池などのプロトン交換膜燃料電池の中心的要素である。燃料電池は、水素などの燃料と酸素などの酸化剤とを触媒的に組み合わせることによって使用可能な電気を生み出す、電気化学的電池である。典型的なMEAは、固体電解質として機能するポリマー電解質膜(PEM)(イオン伝導膜(ICM)としても公知である)を含む。PEMの一方の面はアノード電極層と接触し、両面はカソード電極層と接触する。各電極層には、典型的には白金金属を含む、電気化学的触媒が含まれる。ガス拡散層(GDL)が、アノード及びカソード電極材料との間を出入りするガス輸送を促進して、電流を伝導する。GDLはまた、流体輸送層(FTL)又は拡散体/集電体(DCC)と呼ばれることもある。アノード及びカソード電極層は、触媒インクの形態でGDLに適用されてもよく、結果として得られるコーティングされたGDLは、PEMで挟まれて5層MEAが形成される。あるいは、アノード及びカソード電極層は、触媒インクの形態でPEMの両側に適用してもよく、結果として得られる触媒でコーティングされた膜(CCM)を、2層のGDLで挟んで5層MEAを形成することもできる。典型的なPEM燃料電池においては、プロトンが、水素の酸化によってアノードで形成され、PEMを越えてカソードに輸送されて酸素と反応し、電極を接続する外部回路に電流が流れる。PEMは、反応物質であるガスの間に、耐久性のある、非多孔性で非導電性の機械的障壁を形成するが、それでもなおH+イオンを容易に通過させる。
MEA又はCCMを作製するために、任意の好適な手段によって触媒をPEMに適用してもよく、これには手動方法及び機械方法の両方が含まれ、例えばハンドブラッシング、ノッチバーコーティング、流体ベアリングダイコーティング、巻線ロッドコーティング、流体ベアリングコーティング、スロット供給ナイフコーティング、3ロールコーティング、又はデカール転写が挙げられる。コーティングは、1回の適用で達成してもよく、あるいは複数回の適用で達成してもよい。様々な触媒が有用であり得る。典型的には、カーボン担持触媒粒子が使用される。典型的なカーボン担持触媒粒子は、50〜90重量%の炭素及び10〜50重量%の触媒金属であり、触媒金属は、典型的には、カソード用にPt、並びにアノード用にPt及びRuを2:1の重量比で含む。典型的には、触媒は、触媒インクの形態でPEM又はFTLに対して適用される。あるいは、触媒インクを転写基材に適用し、乾燥させた後、PEM又はFTLに対してデカールとして適用することもできる。触媒インクは、典型的には、ポリマー電解質材料を含む。本開示によるコポリマー及び/又は本明細書において開示される方法に従う作製されたコポリマーは、触媒インク組成物のポリマー電解質として有用であり得る。コポリマーは、ポリマー電解質膜に使用されている組成と同じ組成を有してもよく、あるいはそれと異なる組成を有してもよい(例えば、ポリマー電解質膜及び触媒インクは、本明細書において開示されるコポリマーの異なる実施形態を使用してもよい。)。触媒インクは、典型的には、ポリマー電解質の分散体中に、触媒粒子の分散体を含む。インクは、典型的には5〜30%の固形分(すなわち、ポリマー及び触媒)を含有し、より典型的には10〜20%の固形分を含有する。電解質分散体は、典型的には水性分散体であり、これは、アルコール、並びにグリセリン及びエチレングリコールなどの多価アルコールを更に含有してもよい。水、アルコール、及び多価アルコールの含有量を調整して、インクのレオロジー特性を変えることができる。インクは、典型的には、0〜50%のアルコールと、0〜20%の多価アルコールとを含有する。加えて、インクは、好適な分散剤を0〜2%含有してもよい。インクは、典型的には、加熱しながら撹拌した後、コーティング可能な稠度に希釈することによって作製される。触媒インクの調製及び膜アセンブリにおけるそれらの使用に関する更なる詳細は、例えば、米国特許公開第2004/0107869号(Velamakanniら)において見出すことができる。
MEAを作製するために、任意の好適な手段によって、CCMの両側にGDLを適用してもよい。任意の好適なGDLが、本発明の実践において使用することができる。典型的には、GDLは、炭素繊維を含むシート材料で構成される。典型的には、GDLは、織布及び不織布炭素繊維構造から選択される炭素繊維構造である。本発明の実践において有用であり得る炭素繊維構造としては、東レ(商標)カーボンペーパー、SpectraCarb(商標)カーボンペーパー、AFN(商標)不織布カーボンクロス、及びZoltek(商標)カーボンクロスを挙げることができる。GDLは、様々な材料、例えば炭素粒子コーティング、親水化処理剤、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いたコーティングなどの疎水化処理剤などを用いて、コーティング又は含浸することができる。
使用する際、本開示に従うMEAは、典型的に、分配プレートとして知られ、バイポーラプレート(BPP)又はモノポーラプレートとしても知られる2つの剛性プレートの間に挟まれる。GDLと同様に、分配プレートは、典型的には導電性である。分配プレートは、典型的には、炭素複合体、金属、又はめっき金属材料で作製される。分配プレートは、反応物質又は生成物の流体を、典型的には、MEAに面する表面に刻まれたか、フライス処理されたか、成型されたか、又は型打ちされた1又は複数の流体伝導チャネルを通じてMEA電極表面に、かつMEA電極表面から分配する。これらのチャネルは、流動場と呼ばれることもある。分配プレートは、スタック中の2つの連続的なMEAに、かつそれらから流体を分配することができ、一方の面が燃料を第1のMEAのアノードに導く一方で、他方の面は酸化剤を次のMEAのカソードに導く(かつ生成水を取り除く)ため、用語「バイポーラプレート」と称される。あるいは、分配プレートは、一方の側面にのみチャネルを有して、その側面においてのみMEAに又はそれから流体を分配することができ、これは「モノポーラプレート」と称されることがある。典型的な燃料電池スタックは、バイポーラプレートと交互に積層された複数のMEAを含む。
別の種類の電気化学的デバイスは電解セルであり、これは電気を使用して化学変化又は化学エネルギーを生み出すものである。電解セルの一例は、クロルアルカリ膜電池であり、ここでは、塩化ナトリウム水溶液が、アノードとカソードとの間の電流によって電解される。電解質は、厳しい条件に供された膜によって、アノード液部分とカソード液部分とに分離される。クロルアルカリ膜電池においては、腐食性の水酸化ナトリウムがカソード液部分に集まり、水素ガスがカソード部分で生じ、塩素ガスがアノードの塩化ナトリウムリッチなアノード液部分から生じる。
ポリマー電解質膜は、いくつかの実施形態では、最大90ミクロン、最大60ミクロン、又は最大30ミクロンの厚みを有してもよい。膜が薄いほど、イオンが通過する際の抵抗が少なくなり得る。燃料電池において使用する場合、この結果として、作動がより低温となり、使用可能なエネルギーの出力が大きくなる。より薄い膜は、その構造的統合性を使用中に維持する材料で作製しなければならない。
いくつかの実施形態では、本開示のコポリマー又は本明細書にて開示された方法により製造されたイオノマーは、典型的には、最大90ミクロン、最大60ミクロン、又は最大30ミクロンの厚みを有する薄い膜の形態で、多孔質支持体マトリックスに同化されてもよい。過剰圧力、減圧、ウィッキング、及び液浸などの、任意の好適な、支持体マトリックスの細孔にポリマーを同化する方法を使用することができる。いくつかの実施形態では、コポリマー又はイオノマーは、架橋の際にマトリックスに埋め込まれる。任意の好適な支持体マトリックスを使用することができる。典型的には、支持体マトリックスは非導電性である。典型的には、支持体マトリックスはフルオロポリマーで構成され、これはより典型的には全フッ素化されている。典型的なマトリックスとしては、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば二軸延伸PTFEウェブなどが挙げられる。別の実施形態においては、膜を補強するために、フィラー(例えば、繊維)がポリマーに添加されてもよい。
本開示に従うコポリマー及び本開示に従う方法により製造されたイオノマーはまた、他の電気化学的電池(例えば、リチウムイオンバッテリー)における電極用のバインダーとしても有用であり得る。電極を作製するために、粉末化した活性成分を、コポリマーとともに溶媒中に分散させ、金属箔基材又は集電体上にコーティングしてもよい。結果として得られた複合体電極は、金属基材に接着されたポリマーバインダー中に粉末化した活性成分を含有する。負極の作製にとって有用な活性材料としては、典型元素の合金及び黒鉛などの導電性粉末が挙げられる。負極の作製にとって有用な活性材料の例としては、酸化物(酸化スズ)、炭素化合物(例えば、人工黒鉛、天然黒鉛、土黒鉛(soil black lead)、膨張黒鉛、及び鱗状黒鉛)、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、及び炭化ホウ素化合物が挙げられる。正極の作製にとって有用な活性材料としては、リチウム化合物、例えばLi4/3Ti5/3O4、LiV3O8、LiV2O5、LiCo0.2Ni0.8O2、LiNiO2、LiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiMn2O4、及びLiCoO2などが挙げられる。また、電極は、導電性希釈剤及び接着促進剤を含むこともできる。
本明細書にて開示されたコポリマー又はイオノマーをバインダーとして含む電気化学的電池は、電解質中に、正極及び負極の各々を少なくとも1つ配置することによって製造することができる。典型的には、ミクロ多孔性のセパレータが、負極と正極が直接接触することを防止するために使用され得る。電極が外部で接続されると、リチウム化及び脱リチウム化が電極において起こり、電流が生成され得る。リチウムイオン電池では、様々な電解質を採用することができる。代表的な電解質は、1又は複数のリチウム塩と、固体、液体又はゲルの形態の電荷担持媒体とを含有する。リチウム塩の例としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、リチウムビス(オキサレート)ボレート、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiAsF6、LiC(CF3SO2)3、及びこれらの組み合わせが挙げられる。固体電荷担持媒体の例としては、高分子媒体、例えばポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、フッ素含有コポリマー、ポリアクリロニトリル、これらの組み合わせ、及び当業者によく知られることになる他の固体媒体が挙げられる。液体電荷保持媒体の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルジフルオロアセテート、エチルジフルオロアセテート、ジメトキシエタン、ジグリム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、これらの組み合わせ及び当業者によく知られている他の媒体が挙げられる。電荷保持媒体ゲルの例としては、米国特許第6,387,570号(Nakamuraら)及び同第6,780,544号(Noh)に記載されているものが挙げられる。電解質は、他の添加剤(例えば、共溶媒又はレドックス化学シャトル(redox chemical shuttle))を含んでもよい。
電気化学的電池は、再充電バッテリーとして有用であり得、様々なデバイスに使用することができ、携帯型コンピュータ、タブレット型ディスプレイ、携帯情報端末、携帯電話、モータ駆動デバイス(例えば、個人用又は家庭用の機器及び車両)、装置、照明デバイス(例えば、懐中電灯)、及び加熱デバイスが挙げられる。1又は複数の電気化学的電池を組み合わせて、バッテリーパックを提供することができる。
本開示の一部の実施形態
第1の実施形態では、本開示はイオノマーの製造方法であって、フッ素化オレフィンと、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X’[式中、bは2〜8であり、cは0〜2であり、eは1〜8であり、X’は−NZH、又は−OZであり、各Zは独立して、水素、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。]で表される化合物と、を含む構成成分を共重合してイオノマーを形成することを含む方法を提供する。
第2の実施形態では、本開示は、共重合される構成成分が、式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2F[式中、bは2〜8、cは0〜2、eは1〜8である。]で表される化合物を実質的に含まない、第1の実施形態に記載の方法を提供する。
第3の実施形態では、本開示は、方法が、凝固させてイオノマーを固体として単離すること、又は式CF2=CFCF2−(OCbF2b)c−O−(CeF2)e−SO2Fで表される化合物を共重合することにより形成されるコポリマーを加水分解することのうちの少なくとも1つを含まない、第1又は第2の実施形態の方法を提供する。
第4の実施形態では、本開示は、フッ素化オレフィンが、式C(R)2=CF−Rf[式中、Rfはフッ素又は1〜8個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであり、各Rは独立して水素、フッ素、又は塩素、又はこれらの組み合わせである。]で表され、構成成分が、任意に、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、又はペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルを更に含む、第1〜第3の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第5の実施形態では、本開示は、構成成分が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、テトラフルオロプロペン、又はビニリデンフルオリドのうちの1つ以上を含む、第1〜第4の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第6の実施形態において、本開示は、共重合が、水性乳化重合によって実行される、第1〜第5の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第7の実施形態において、本開示は、共重合が、8よりも高いpHで実行される、第1〜第6の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第8の実施形態では、本開示は、共重合が、亜硫酸水素塩又は亜硫酸塩の存在下で実施されて、−SO2X末端基[式中、Xは独立して−NZH、又は−OZ(式中、各Zは独立して水素、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。)である。]を生成する、第1〜第7の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第9の実施形態では、本開示は、bが2又は3であり、cが0又は1であり、eが2又は4である、第1〜第8の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第10の実施形態では、本開示は、X基の少なくとも一部が−OZである、第1〜第8の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第11の実施形態において、本開示は、Zがアルカリ金属カチオンである、第1〜第10の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。これらの実施形態の一部において、Zはナトリウムである。
第12の実施形態において、本開示は、共重合が、フッ素化乳化剤を伴わずに実行される、第1〜第11の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第13の実施形態では、本開示は、イオノマーが、最大1000の−SO2X当量重量を有する、第1〜第12の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第14の実施形態では、本開示は、イオノマーが、最大700の−SO2X当量重量を有する、第1〜第13の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第15の実施形態では、本開示は、イオノマーが、イオノマーに共有結合していないアニオン種を含んでおり、イオノマーの分散体を、会合した水酸化物イオンを有するアニオン交換樹脂と接触させることと、アニオン種の少なくとも一部を水酸化物イオンと交換して、アニオン交換された分散体を提供することとを更に含む、第1〜第14の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第16の実施形態では、本開示は、イオノマーが、イオノマーに共有結合していないカチオン種を含んでおり、イオノマーの分散体を、酸性プロトンを有するカチオン交換樹脂と接触させることと、カチオン種の少なくとも一部をプロトンと交換して、カチオン交換された分散体を提供することとを更に含む、第1〜第15の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第17の実施形態では、本開示は、イオノマーを噴霧乾燥することを更に含む、第1〜第16の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第18の実施形態では、本開示は、イオノマーを後フッ素化することを更に含む、第1〜第17の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第19の実施形態では、本開示は、後フッ素化したイオノマーをアンモニアで処理して、イオノマーに−SO2−NH2基を提供することを更に含む、第18の実施形態に記載の方法を提供する。
第20の実施形態では、本開示は、X基の少なくとも一部が−NZH基である、第1〜第17の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第21の実施形態では、本開示は、イオノマーをジスルホニルフルオリド又はジスルホニルクロリドで処理することを更に含む、第19又は第20の実施形態に記載の方法を提供する。
第22の実施形態では、本開示は、構成成分が、エチレン、プロピレン、イソブチレン、エチルビニルエーテル、安息香酸ビニル、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、ノルボルナジエン、クロトン酸、クロトン酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル、又はヒドロキシブチルビニルエーテルのうちの少なくとも1種を更に含む、第1〜第21の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第23の実施形態では、本開示は、構成成分が、構成成分の総量を基準として、少なくともテトラフルオロエチレンを60モル%含む、第1〜第22の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第24の実施形態では、本開示は、構成成分が、式X2C=CY−(CZ2)m−(O)n−RF−(O)o−(CZ2)p−CY=CX2[式中、X、Y、及びZの各々は独立してフルオロ、水素、アルキル、アルコキシ、ポリオキシアルキル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、又はペルフルオロポリオキシアルキルであり、m及びpは独立して0〜15の整数であり、n、oは独立して0又は1である。]で表されるビスオレフィンを含む、第1〜第23の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第25の実施形態では、本開示は、イオノマーを、セリウムカチオン、マンガンカチオン、ルテニウムカチオン、又は酸化セリウムのうちの少なくとも1つと組み合わせることを更に含む、第1〜第24の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第26の実施形態では、本開示は、セリウムカチオン、マンガンカチオン、又はルテニウムカチオンのうちの少なくとも1つが、イオノマー中のスルホネート基の量に対して0.2〜20%の範囲で存在する、第25の実施形態に記載の方法を提供する。
第27の実施形態では、本開示は、イオノマーを含む膜を形成することを更に含む、第1〜第26の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第28の実施形態では、本開示は、第1〜第27の実施形態のいずれか1つに記載の方法により製造されたイオノマーを提供する。
第29の実施形態では、本開示は、重合した際に、イオノマーが、炭素原子106個当たり最大200個の−COOM及び−COF末端基[式中、Mは独立してアルキル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである]を有する、第28の実施形態に記載のイオノマーを提供する。
第30の実施形態では、本開示は、重合した際に、コポリマーが−SO2X末端基を有する、第29の実施形態に記載のイオノマーを提供する。
第31の実施形態では、本開示は、第1〜第27の実施形態のいずれか1つに記載の方法により製造されたイオノマーを含む、ポリマー電解質膜を提供する。
第32の実施形態では、本開示は、第1〜第26の実施形態のいずれか1つに記載の方法により製造されたイオノマーを含む、触媒インクを提供する。
第33の実施形態では、本開示は、第31の実施形態に記載のポリマー電解質膜、又は第32の実施形態に記載の触媒インクのうちの少なくとも1つを含む、膜電極アセンブリを提供する。
第34の実施形態では、本開示は、第1〜第26の実施形態のいずれか1つに記載の方法により製造されたイオノマーを含む、電極用のバインダーを提供する。
第35の実施形態では、本開示は、第34の実施形態に記載のバインダーを含む、電気化学的電池を提供する。
第36の実施形態では、本開示は、イオノマーを触媒と組み合わせて、触媒インクを提供することを更に含む、第1〜第26の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第37の実施形態では、本開示は、イオノマーをリチウム化合物と組み合わせて、電極を提供することを更に含む、第1〜第26の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第38の実施形態では、本開示は、
−SO
2X末端基と、
式
[式中、bは2〜8であり、cは0〜2であり、eは1〜8であり、Xは、F、−NZH、−NZSO
2(CF
2)
1−6SO
2X’、−NZ[SO
2(CF
2)
aSO
2NZ]
1−10SO
2(CF
2)
aSO
2X’、又は−OZ(式中、Zは、水素、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンであり、X’は独立して、−NZH、又は−OZであり、各aは独立して1〜6である。)である。]で独立して表される二価の単位と、
1又は複数のその他の独立して選択されたフッ素化した二価の単位と、を含むコポリマーであって、
最大1000の−SO
2X当量重量を有するコポリマーを提供する。
第39の実施形態では、本開示は、
−SO
2X末端基と、
式
[式中、bは2〜8であり、cは0〜2であり、eは1〜8であり、X”は、−F、−NZH、又は−OZ(式中、Zは、水素、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。)である。]で独立して表される二価の単位と、
1又は複数のその他の独立して選択されたフッ素化した二価の単位と、を含むコポリマーであって、
最大1000の−SO
2X当量重量を有するコポリマーを提供する。
第40の実施形態では、本開示は、X基の少なくとも一部が−OZである、第38又は第39の実施形態に記載のコポリマーを提供する。
第41の実施形態では、本開示は、
式
[式中、bは2〜8であり、cは0〜2であり、eは1〜8であり、X’”は、−NZH、−NZSO
2(CF
2)
1−6SO
2X’、又は−NZ[SO
2(CF
2)
aSO
2NZ]
1−10SO
2(CF
2)
aSO
2X’(式中、Zは、水素、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンであり、X’は独立して、−NZH、又は−OZであり、各aは独立して1〜6である。)である。]で独立して表される二価の単位と、
1又は複数のその他の独立して選択されたフッ素化した二価の単位と、を含むコポリマーを提供する。
第42の実施形態では、本開示は、コポリマーが25ppm未満の金属イオンを含む、第38〜第41の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを提供する。
第43の実施形態では、本開示は、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル、又は式C(R)2=CF−Rf[式中、Rfはフッ素又は1〜8個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルであり、各Rは独立して水素、フッ素、又は塩素である。]で表されるフッ素化オレフィンのうちの少なくとも1つに由来するフッ素化単位を更に含む、第38〜第42の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを提供する。
第44の実施形態では、本開示は、その他の独立して選択されたフッ素化した二価の単位が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、テトラフルオロプロペン、及びビニリデンフルオリドのうちの少なくとも1つに由来する、第43の実施形態に記載のコポリマーを提供する。
第45の実施形態では、本開示は、その他の独立して選択されたフッ素化した二価の単位が、−[CF2−CF2]−を含む、第44の実施形態に記載のコポリマーを提供する。
第46の実施形態では、本開示は、二価の単位が、コポリマー中の二価の単位の総量を基準として、少なくとも−[CF2−CF2]−を60モル%含む、第45の実施形態に記載のコポリマーを提供する。
第47の実施形態では、本開示は、その他の独立して選択されたフッ素化した二価の単位が、式X2C=CY−(CZ2)m−(O)n−RF−(O)o−(CZ2)p−CY=CX2[式中、X、Y、及びZの各々は独立してフルオロ、水素、アルキル、アルコキシ、ポリオキシアルキル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、又はペルフルオロポリオキシアルキルであり、m及びpは独立して0〜15の整数であり、n、oは独立して0又は1である。]で表されるビスオレフィンに由来する、第38〜第46の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを提供する。
第48の実施形態では、本開示は、X、Y、及びZが各々独立してフルオロ、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、水素、CH3、C2H5、C3H7、C4H9である、第47の実施形態に記載のコポリマーを提供する。
第49の実施形態では、本開示は、bが2又は3であり、cが0又は1であり、eが2又は4である、第38〜第48の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを提供する。
第50の実施形態では、本開示は、X基の少なくとも一部が−OZである、第38〜第49の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを提供する。
第51の実施形態では、本開示は、Zがアルカリ金属カチオンである、第38〜第50の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマー提供する。
第52の実施形態では、本開示は、Zがナトリウムである、第51の実施形態に記載のコポリマーを提供する。
第53の実施形態では、本開示は、イオノマーが、最大700の−SO2X当量重量を有する、第38〜第52の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを提供する。
第54の実施形態では、本開示は、X基の少なくとも一部が−NZH基である、第38〜第53の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを提供する。
第55の実施形態では、本開示は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、エチルビニルエーテル、ビニルベンゾエート、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、ノルボルナジエン、クロトン酸、アルキルクロトネート、アクリル酸、アルキルアクリレート、メタクリル酸、アルキルメタクリレート、又はヒドロキシブチルビニルエーテルのうちの少なくとも1つに由来する二価の単位を更に含む、第38〜第54の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを提供する。
第56の実施形態では、本開示は、イオノマーが、炭素原子106個当たり最大200個の−COOM及び−COF末端基[式中、Mは独立してアルキル基、水素原子、金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。]を有する、第38〜第55の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを提供する。
第57の実施形態では、本開示は、第38〜第56の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを含むポリマー電解質膜を提供する。
第58の実施形態では、本開示は、ポリマー電解質膜が、セリウムカチオン、マンガンカチオン、ルテニウムカチオン、又は酸化セリウムのうちの少なくとも1つを更に含む、第57の実施形態に記載のポリマー電解質膜を提供する。
第59の実施形態では、本開示は、セリウムカチオン、マンガンカチオン、又はルテニウムカチオンのうちの少なくとも1つが、コポリマー中のスルホネート基の量に対して0.2〜20%の範囲で存在する、第58の実施形態に記載のポリマー電解質膜を提供する。
第60の実施形態では、本開示は、第38〜第56の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを含む触媒インクを提供する。
第61の実施形態では、本開示は、第57〜第59の実施形態のいずれか1つに記載のポリマー電解質膜、又は第60の実施形態に記載の触媒インクのうちの少なくとも1つを備える、膜電極アセンブリを提供する。
第62の実施形態では、本開示は、第38〜第56の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーを含む、電極用のバインダーを提供する。
第63の実施形態では、本開示は、第62の実施形態に記載のバインダーを含む、電気化学的電池を提供する。
第64の実施形態では、本開示は、フッ素化オレフィンと、式
CF2=CF−CF2(O−CbF2b)c−O−(CeF2e)−SO2X”[式中、bは2〜8であり、cは0〜2であり、eは1〜8であり、X”は−F、
−NZH、又は−OZ(式中、Zは水素、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。)である。]で独立して表される化合物と、を含む構成成分を共重合させることを含む、第38〜第56の実施形態のいずれか1つに記載のコポリマーの製造方法を提供する。
第65の実施形態では、本開示は、共重合が水性乳化重合によって実施される、第64の実施形態に記載の方法を提供する。
第66の実施形態では、本開示は、共重合が、8よりも高いpHで実施される、第64又は第65の実施形態に記載の方法を提供する。
第67の実施形態では、本開示は、共重合が、亜硫酸水素塩又は亜硫酸塩の存在下で実施されて、−SO2X末端基[式中、Xは独立して−NZH、又は−OZ(式中、各Zは独立して水素、アルカリ金属カチオン、又は四級アンモニウムカチオンである。)である。]を生成する、第64〜第66の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第68の実施形態では、本開示は、共重合が、フッ素化乳化剤の不存在下で実施される、第64〜第67の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第69の実施形態では、本開示は、コポリマーが、イオノマーに共有結合していないアニオン種を含んでおり、コポリマーの分散体を、会合した水酸化物イオンを有するアニオン交換樹脂と接触させることと、アニオン種の少なくとも一部を水酸化物イオンと交換して、アニオン交換された分散体を提供することと、を更に含む、第64〜第68の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第70の実施形態では、本開示は、コポリマーが、コポリマーに共有結合していないカチオン種を含んでおり、コポリマーの分散体を、酸性プロトンを有するカチオン交換樹脂と接触させることと、カチオン種の少なくとも一部をプロトンと交換して、カチオン交換された分散体を提供することと、を更に含む、第64〜第69の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第71の実施形態では、本開示は、コポリマーを噴霧乾燥することを更に含む、第64〜第70の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第72の実施形態では、本開示は、コポリマーを後フッ素化することを更に含む、第64〜第71の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第73の実施形態では、本開示は、後フッ素化したコポリマーをアンモニアで処理して、コポリマーに−SO2−NH2基を提供することを更に含む、第72の実施形態に記載の方法を提供する。
第74の実施形態では、本開示は、コポリマーをジスルホニルフルオリド又はジスルホニルクロリドで処理することを更に含む、第73の実施形態に記載の方法を提供する。
限定的なものではないが、以下の具体的な実施例は、本発明を例証するのに役立つであろう。
特に指示がない限り、実施例において使用される全ての化学物質はSigma−Aldrich Corp.(Saint Louis,MO)から得ることができる。CF2=CF−CF2−O−CF2−CF2SO2Fは、Anles(St.Petersburg,Russia)から購入した。
本セクションでは、次の略称を用いる:L=リットル、mL=ミリリットル、g=グラム、min=分、rpm=毎分当たりの回転、sec=秒、モル%=モルパーセント、μm=マイクロメートル、mm=ミリメートル、cm=センチメートル、ppm=百万部当たりの部。
特記しない限り、以下の試験方法を使用して示される結果を得た。
固形分含有量
固形分含有量は、分散体の試料を加熱した天秤に置き、溶媒の蒸発の前後で質量を記録することによって、重量測定で測定した。固形分含有量は、試料の初期質量と継続的な加熱によって質量が更に低下しなかった場合の試料の質量の比であった。
当量重量(EW)
TFE及びCF2=CF−CF2−O−CF2−CF2SO2FのコポリマーのEWは、式
EW=((MWTFE×n)+MWMA2S)/1当量
[式中、MWTFEはTFEの分子量(100g/mol)であり、nはTFEのモル%のMA2Sのモル%に対する比であり、MWMA2SはMA2Sの分子量(330.1g/mol)である。]で計算される。荷電末端基としてSO2Xのみを考慮する場合、この式では、1当量の値が使用される。例えば、コポリマーが67モル%TFE、及び33モル% MA2Sである場合、nの値は2であり、
EW=((100x2)+330.1)/1=533.1g
コポリマー組成
19F−NMRスペクトルを使用して、精製されたポリマーの組成を測定した。5mmのBroadbandプローブを備えるBruker Avance II 300分光計を使用した。約13重量%のポリマー分散体の試料を60℃で測定した。CF2OCF2CF2O−CF2CF2SO2Fに対するシグナルを検出した:−70〜−85ppm、−100〜−110ppm、及び−120〜−130ppm;ポリマー骨格からのCF2のシグナルは約−110〜−120ppmであった。
カルボキシル末端基の測定
フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)測定を使用して、TFE−CF2=CF−CF2−O−CF2−CF2−SO2F−ポリマー中のC原子106個当たりのカルボキシル末端基の数を測定した。測定は、FT−IRによって、透過法で実施した。測定したサンプルは、100μmのフィルム厚さを有した。対象のCOOHピークの波数は、1776cm−1及び1807cm−1である。C(O)Fピークの波数は、1885cm−1である。(C(O)Fはカルボキシル基に変換されることになる)。ポリマーのカルボキシル(C(O)F)末端基の量を定量化するために、2つのIRスペクトルを採取した。1つはカルボキシル含有サンプルから採取し、1つは基準サンプル(カルボキシル基を有しない)から採取した。
炭素原子106個当たりの末端基の数は、F1、F2、及びF3に関して、等式1、2、及び3で計算することができる。
(ピーク高さ×F1)/フィルム厚さ[mm] (1)
(ピーク高さ×F2)/フィルム厚さ[mm] (2)
(ピーク高さ×F3)/フィルム厚さ[mm] (3)
ここで、
F1:基準スペクトルに関して計算された因子であり、υ=1776cm−1
F2:基準スペクトルに関して計算された因子であり、υ=1807cm−1
F3:基準スペクトルに関して計算された因子であり、υ=1885cm−1
等式1〜3による結果の合計から、炭素原子106個当たりのカルボキシル末端基の数が得られる。
実施例1(EX−1)
4Lの重合用反応釜に、2500gのH2O、及び40gのCF3−O−CF2CF2CF2−O−CHFCF2−COONH4の30%溶液(米国特許第7,671,112号(Hintzerら)に記載されているようにして調製された)を充填した。反応釜を、70℃まで加熱して、撹拌システムを320rpmに設定した。107gのCF2=CF−CF2−O−CF2−CF2SO2F、及び11gのCF3−O−CF2CF2CF2−O−CHFCF2−COONH4の30%溶液は、Cole−Parmer(Vernon Hills,IL)から入手可能なIKA ULTRA−TURRAXホモジナイザーにより高剪断下(24,000rpm;10秒)で733gのH2Oの中へ予め乳化させた。その後、プレエマルションを反応釜に充填し、TFE(112g)を添加して6バールに到達した。75mLのH2O中6gのAPS(過硫酸アンモニウム、(NH4)2S2O8)を供給することにより、重合を開始させた。
圧力低下後、更なるCF2=CF−CF2−O−CF2−CF2SO2 Fプレエマルション(450gのCF2=CF−CF2−O−CF2−CF2SO2F、及び412gのH2O中15gのCF3−O−CF2CF2CF2−O−CHFCF2−COONH4の30%溶液)、並びに550gのTFEの供給を続けた。387分後に重合を停止させ、得られた固体含有率は19.1%であった。
単離されたポリマーは、786のEW(18モル%のCF2=CF−CF2−O−CF2−CF2SO2F、及び82モル%のTFE)であった。カルボキシル末端基の数は、上記の試験方法により、炭素原子106個当たり、980個のカルボキシル末端基であると測定した。
比較例1
比較例1は、TFE及びF2C=CF−O−CF2CF2CF2CF2SO2Fのコポリマーが製造されることを除いて、実施例1の方法を使用して調製した。F2C=CF−O−CF2CF2CF2CF2SO2Fを、米国特許第6,624,328号(Guerra)に記載される方法に従って調製した。単離されたポリマーは、19モル%のF2C=CF−O−CF2CF2CF2CF2SO2F、及び81モル%のTFEであった。カルボキシル末端基の数は、上記の試験方法により、炭素原子106個当たり、2000個のカルボキシル末端基であると測定した。
本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者によって本開示の様々な修正及び変更を行うことができ、また本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態に不当に限定されるものではない点を理解するべきである。