JP2022165379A - 多孔質ポリイミドフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】水に浸漬しても誘電正接の上昇を抑制できる多孔質ポリイミドフィルムを提供すること。【解決手段】多孔質ポリイミドフィルムでは、25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間静置した後の誘電正接T1と、水に、25℃の雰囲気下で、24時間浸漬した後の誘電正接T2との差が、0.0030以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質ポリイミドフィルムに関する。
ジアミン成分と、酸二無水物成分との反応生成物から形成される多孔質ポリイミドフィルムが知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。特許文献1の実施例では、ジアミン成分が、フェニレンジアミン(PDA)およびオキシジアニリン(ODA)を含む。
WO2018/186486号
多孔質ポリイミドフィルムは、用途および目的によって、水に浸漬される。多孔質ポリイミドフィルムは、水に浸漬されても、誘電正接の上昇が抑制されることが要求される。
しかし、特許文献1に記載の多孔質ポリイミドフィルムは、上記した要求を満足できないという不具合がある。
本発明は、水に浸漬しても誘電正接の上昇を抑制できる多孔質ポリイミドフィルムを提供する。
本発明(1)は、水に、25℃の雰囲気下で、24時間浸漬した後の誘電正接T2と、25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間静置した後の誘電正接T1との差が、0.0030以下である、多孔質ポリイミドフィルムを含む。
本発明(2)は、前記誘電正接T2が、0.0060以下である、(1)に記載の多孔質ポリイミドフィルムを含む。
本発明(3)は、UL94規格で難燃性試験したときの判定が、V-0以上である、(1)または(2)に記載の多孔質ポリイミドフィルムを含む。
本発明の多孔質ポリイミドフィルムでは、水に浸漬した後の誘電正接T2と、雰囲気に静置した後の誘電正接T1との差が0.0030以下である。そのため、多孔質ポリイミドフィルムを水に浸漬しても誘電正接の上昇を抑制できる。
本発明の多孔質ポリイミドフィルムの一実施形態の断面図である。
<多孔質ポリイミドフィルム>
本発明の多孔質ポリイミドフィルムを説明する。多孔質ポリイミドフィルムは、厚みを有する。多孔質ポリイミドフィルムは、面方向に延びる。面方向は、厚み方向に直交する。
多孔質ポリイミドフィルムは、多孔質である。多孔質ポリイミドフィルムは、例えば、独立気泡構造および/または連続気泡構造を有する。多孔質ポリイミドフィルムは、好ましくは、水に浸漬後の誘電正接T2の上昇を確実に抑制する観点から、独立気泡構造を有する。
<雰囲気静置後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T1>
多孔質ポリイミドフィルムを25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間静置した後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T1は、限定されない。なお、静置の開始時は、限定されない。具体的には、静置の開始時は、多孔質ポリイミドフィルムの製造した直後であってもよく、また、流通している多孔質ポリイミドフィルムを入手した時であってもよい。
上記した多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T1は、後述する水に「24時間」浸漬した後の誘電正接T2との差を求めるための基準を得るための誘電正接であることから、静置時間は、誘電正接T2の測定時間である24時間と同じ「24時間」に設定される。
なお、製造した直後、または、入手した時の誘電正接T0、つまり、24時間静置する前の誘電正接T0は、24時間静置した後の誘電正接T1と実質的に同一である。具体的には、静置前の誘電正接T0と、静置後の誘電正接T1との差は、例えば、0.0001以下、さらには、0.00001以下に抑えられる。
多孔質ポリイミドフィルムを25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間静置した後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T1は、後で説明する差が所望の上限以下となるように、調整される。具体的には、多孔質ポリイミドフィルムを25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間静置した後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T1は、例えば、0.0028以下、好ましくは、0.0025以下、より好ましくは、0.0020以下、さらに好ましくは、0.0015以下、とりわけ好ましくは、0.0010以下、最も好ましくは、0.0008以下である。雰囲気下で静置後の誘電正接T1の下限は、限定されない。雰囲気下で静置後の誘電正接T1は、例えば、0.0000超過、さらには、0.0001以上である。
静置後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T1は、共振器を用いて10GHzにおいて測定される。また、上記した誘電正接T0も測定も、上記と同様である。
<水に浸漬後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T2>
多孔質ポリイミドフィルムを、水に、25℃の雰囲気下で、24時間浸漬した後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T2は、限定されない。上記した水に浸漬後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T2は、次に説明する誘電正接の差が所望の上限以下となるように、調整される。なお、浸漬の開始時は、多孔質ポリイミドフィルムの製造した直後であってもよく、また、流通している多孔質ポリイミドフィルムを入手した時であってもよい。具体的には、多孔質ポリイミドフィルムを、水に、25℃の雰囲気下で、24時間浸漬した後の上記した多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T2は、例えば、0.0060以下、好ましくは、0.0050以下、より好ましくは、0.0040以下、さらに好ましくは、0.0038以下、とりわけ好ましくは、0.0030以下、最も好ましくは、0.0025以下であり、さらには、0.0020以下が好適である。水に浸漬した後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T2の下限は、限定されない。水に浸漬した後の多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接T2は、例えば、0.0000超過、さらには、0.0001以上である。
<多孔質ポリイミドフィルムの2つの誘電正接の差>
本発明において、25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間静置した後の上記した誘電正接T1と、水に、25℃の雰囲気下で、24時間浸漬した後の上記した誘電正接T2との差は、0.0030以下である。
誘電正接の上記した差が0.0030超過であれば、多孔質ポリイミドフィルムが水に浸漬されたときに、多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接の上昇を十分に抑制できない。
なお、誘電正接の上記した差は、多孔質ポリイミドフィルムを水に浸漬すれば、誘電正接が上昇する傾向にあることから、水に浸漬後の誘電正接T2から、雰囲気下で静置後の誘電正接T1を差し引いた値(T2-T1)で表される。
誘電正接の上記した差は、好ましくは、0.0025以下、より好ましくは、0.0018以下である。
誘電正接の上記した差の下限は、限定されない。上記した差は、例えば、0.0000超過、さらには、0.0001以上、0.001以上、0.0013以上、0.0015以上である。
<誘電正接以外の物性>
10GHzにおける多孔質ポリイミドフィルムの誘電率は、限定されない。10GHzにおける多孔質ポリイミドフィルムの誘電率は、例えば、2.50以下、好ましくは、2.00以下、より好ましくは、1.80以下、さらに好ましくは、1.75以下、とりわけ好ましくは、1.70以下、最も好ましくは、1.60以下である。多孔質ポリイミドフィルムの誘電率が上記した上限以下であれば、低い誘電率を有する多孔質ポリイミドフィルムとして、例えば、第五世代(5G)の規格の無線通信、および/または、高速フレキシブルプリント基板(FPC)に好適に用いられる。また、10GHzにおける多孔質ポリイミドフィルムの誘電率は、1.00超過である。多孔質ポリイミドフィルムの誘電率は、共振器を用いて測定される。
多孔質ポリイミドフィルムの空孔率は、限定されない。多孔質ポリイミドフィルムの空孔率は、例えば、50%以上、好ましくは、60%以上、より好ましくは、65%以上であり、また、例えば、95%以下、好ましくは、80%以下、より好ましくは、70%以下である。多孔質ポリイミドフィルムの空孔率が上記した下限以上であれば、2つの誘電率を低減できる。多孔質ポリイミドフィルムの空孔率が上記した上限以下であれば、多孔質ポリイミドフィルムの機械強度を確保して、取扱性に優れる。
多孔質ポリイミドフィルムの空孔率は、下記式への誘電率の挿入によって求められる。
多孔質ポリイミドフィルムの誘電率=空気の誘電率×空孔率+ポリイミド樹脂の誘電率×(1-空孔率)
多孔質ポリイミドフィルムの平均孔径は、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下であり、また、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、2μm以上である。平均孔径は、断面SEM写真の画像解析により測定される。
難燃性UL94規格で多孔質ポリイミドフィルムを難燃性試験したときの判定は、例えば、V-2以上、好ましくは、V-1以上、より好ましくは、V-0である。難燃性試験の判定が上記した基準以上であれば、多孔質ポリイミドフィルムは、難燃性に優れる。
多孔質ポリイミドフィルムの厚みは、限定されない。多孔質ポリイミドフィルムの厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、1,000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
<多孔質ポリイミドフィルムの原料>
多孔質ポリイミドフィルムは、例えば、ジアミン成分と、酸二無水物成分との反応生成物である。言い換えれば、多孔質ポリイミドフィルムの原料は、例えば、ジアミン成分と、酸二無水物成分とを含有する。
<ジアミン成分>
ジアミン成分は、芳香族ジアミンおよび/または脂肪族ジアミンを含有する。芳香族ジアミンおよび/または脂肪族ジアミンは、ジアミン成分における主要な成分である。
<芳香族ジアミン>
この芳香族ジアミンは、下記式(1)で示される。
Figure 2022165379000001

(式中、Yは、単結合、-COO-、-S-、-CH(CH)-、-C(CH-、-CO-、-NH-および-NHCO-からなる群から選択される少なくとも1つを示す。)
<芳香族ジアミンの種類>
具体的には、ジアミン成分として、Yが単結合である4,4’-ジアミノジフェニル、Yが-COO-である4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート、Yが-S-であるビス(4-アミノフェニル)スルフィド、Yが-CH(CH)-である4,4’-ジアミノジフェニルエタン、Yが-C(CH-である4,4’-ジアミノジフェニルプロタン、Yが-CO-である4,4’-ジアミノベンゾフェノン、Yが-NH-である4,4’-ジアミノフェニレンアミン、および、Yが-NHCO-である4,4’-ジアミノベンズアニリドが挙げられる。好ましくは、多孔質ポリイミドフィルムの誘電正接の差をより低くする観点から、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエートが挙げられる。なお、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエートは、単にAPABと略称される場合がある。上記した芳香族ジアミンは、単独使用または併用できる。好ましくは、上記した誘電正接の差をより一層小さくする観点、および、難燃性を向上させる観点から、APABの単独使用が挙げられる。
ジアミン成分における芳香族ジアミンのモル分率は、例えば、5モル%以上、好ましくは、10モル%以上、より好ましくは、15%以上であり、また、例えば、75モル%以下、好ましくは、60モル%以下、より好ましくは、40モル%以下である。
<脂肪族ジアミン>
脂肪族ジアミンは、長鎖のアルキル基を含む一方、分子内に環状部分を含んでもよい。脂肪族ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、および、ダイマージアミンが挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、好ましくは、ダイマージアミンが挙げられる。ダイマージアミンは、例えば、ダイマー酸が有する2つのカルボキシル基を1級アミノ基に置換したアミン化合物である。ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の2量体である。不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸が挙げられる。ダイマージアミンは、例えば、特開2020-172667、および、特開2018-168369号公報に記載される。ダイマージアミンとして、市販品を用いることができ、具体的には、PRIAMINEシリーズ(Croda社製)が用いられる。
ジアミン成分における脂肪族ジアミンのモル分率は、例えば、5モル%以上、好ましくは、10モル%以上、より好ましくは、15%以上であり、また、例えば、75モル%以下、好ましくは、50モル%以下、より好ましくは、30モル%以下である。
芳香族ジアミンおよび脂肪族ジアミンを併用でき、また、芳香族ジアミンの単独使用、脂肪族アミンの単独使用もできる。好ましくは、芳香族ジアミンの単独使用、好ましくは、脂肪族アミンの単独使用が挙げられる。
<他のジアミン成分>
ジアミン成分は、例えば、上記した芳香族ジアミンおよび/または脂肪族ジアミン以外に、第2芳香族ジアミン、および、第3芳香族ジアミンを含有することができる。第2芳香族ジアミン、および、第3芳香族ジアミンは、ジアミン成分における副成分である。
<第2芳香族ジアミン>
第2芳香族ジアミンは、単数の芳香環を含有する。第2芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジメチルベンゼンジアミン、および、エチルメチルベンゼンジアミンが挙げられる。機械強度の観点から、好ましくは、フェニレンジアミンが挙げられる。フェニレンジアミンとしては、例えば、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、および、p-フェニレンジアミンが挙げられる。フェニレンジアミンとして、好ましくは、p-フェニレンジアミンが挙げられる。p-フェニレンジアミンは、単にPDAと略称される場合がある。
ジアミン成分における第2芳香族ジアミンのモル分率は、例えば、10モル%以上、好ましくは、20モル%以上であり、また、例えば、95モル%以下、好ましくは、75モル%以下、より好ましくは、65モル%以下である。
<第3芳香族ジアミン>
第3芳香族ジアミンは、複数の芳香環と、それらの間に配置されるエーテル結合または単結合とを含有する。第3芳香族ジアミンとしては、例えば、オキシジアニリン、および、ジアミノジメチルビフェニル(別称:トリジン)が挙げられる。オキシジアニリンとしては、例えば、3,4’-オキシジアニリン、および、4,4’-オキシジアニリンが挙げられる。ジアミノジメチルビフェニルとしては、例えば、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(別称:m-トリジン)、および、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル(別称:o-トリジン)が挙げられる。上記した誘電正接の差を小さくする観点、および、難燃性を向上させる観点から、好ましくは、オキシジアニリンが挙げられ、より好ましくは、4,4’-オキシジアニリン(別名:4,4’-ジアミノジフェニルエーテル)が挙げられる。4,4’-オキシジアニリンは、単にODAと略称される場合がある。
ジアミン成分における第3芳香族ジアミンのモル分率は、例えば、5モル%以上、好ましくは、10モル%以上であり、また、例えば、95モル%以下、好ましくは、30モル%以下である。
第2芳香族ジアミンおよび第3芳香族ジアミンを併用でき、また、第2芳香族ジアミンを単独使用でき、また、第3芳香族ジアミンを単独使用できる。好ましくは、第2芳香族ジアミンおよび第3芳香族ジアミンを併用する。
第2芳香族ジアミンと第3芳香族ジアミンとの合計100モル部に対する上記した芳香族ジアミンおよび脂肪族ジアミンの合計モル部(好ましくは、芳香族ジアミンまたは脂肪族ジアミンのモル部)は、例えば、5モル部以上、好ましくは、10モル部以上、より好ましくは、20モル部以上であり、また、例えば、100モル部以下、好ましくは、50モル部以下、より好ましくは、30モル部以下である。
<酸二無水物成分>
酸二無水物成分は、例えば、芳香環を含む酸二無水物を含有する。芳香環を含む酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、および、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
ベンゼンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’-4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、および、2,2’-3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’-4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’-3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および、3,3’,4,4’-ジフェニルエ-テルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、および、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
酸二無水物成分として、機械強度の観点から、好ましくは、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、および、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられ、より好ましくは、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、および、3,3’-4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。なお、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物は、ピロメロット酸二無水物とも別称されることから、単にPMDAと略称される場合がある。3,3’-4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、単にBPDAと略称される場合がある。
酸二無水物成分は、単独使用または併用できる。好ましくは、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物の単独使用、好ましくは、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、および、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の併用が挙げられる。より好ましくは、BPDAの単独使用、より好ましくは、BPDAおよびPMDAの併用が挙げられる。
ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、および、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が併用される場合には、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物100モル部に対するビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル部は、例えば、5モル部以上、好ましくは、10モル部以上、より好ましくは、20モル部以上であり、また、例えば、200モル部以下、好ましくは、100モル部以下、より好ましくは、50モル部以下、さらに好ましくは、30モル部以下である。
ジアミン成分のアミノ基(-NH)のモル量と、酸二無水物成分の酸無水物基(-CO-O-CO-)のモル量とは、例えば、等量である。
次に、多孔質ポリイミドフィルム1の製造方法を、図1を参照して説明する。
この方法では、例えば、まず、金属からなる基材フィルム2(括弧書きおよび仮想線)を準備する。基材フィルム2は、面方向に延びる。金属としては、例えば、銅、鉄、銀、金、アルミニウム、ニッケル、および、それらの合金(ステンレス、青銅)が挙げられる。金属として、好ましくは、銅が挙げられる。基材フィルム2の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
次いで、ポリイミド樹脂の前駆体と、多孔化剤と、核剤と、溶媒とを含むワニスを調製し、次いで、ワニスを基材フィルム2の厚み方向の一方面に塗布して塗膜を形成する。ワニスにおける多孔化剤、核剤および溶媒の、種類および配合割合等は、例えば、WO2018/186486号に記載されている。
ポリイミド樹脂の前駆体は、上記したジアミン成分と、酸二無水物成分との反応生成物である。ポリイミド樹脂の前駆体を調製するには、上記したジアミン成分と、上記した酸二無水物成分と、溶媒とを配合して、ワニスを調製し、かかるワニスを加熱して、前駆体溶液を調製する。続いて、前駆体溶液に核剤および多孔化剤を配合して、多孔前駆体溶液を調製する。
その後、多孔前駆体溶液を基材フィルム2の厚み方向の一方面に塗布して、塗膜を形成する。
その後、塗膜を加熱により乾燥することにより、前駆体フィルムを形成する。上記した加熱によって、溶媒の除去が進行しつつ、核剤を核とした、ポリイミド樹脂前駆体と多孔化剤との相分離構造を有する前駆体フィルムが調製される。
その後、例えば、超臨界二酸化炭素を溶媒として用いる超臨界抽出法により、多孔化剤を前駆体フィルムから抽出する(引き抜く、あるいは、除去する)。
その後、前駆体フィルムを加熱により硬化させて、ポリイミド樹脂からなる多孔質ポリイミドフィルム1を形成する。多孔質ポリイミドフィルム1は、基材フィルム2の厚み方向の一方面に形成される。
その後、必要により、図1の実線のように、基材フィルム2を除去する。例えば、剥離液を用いて、基材フィルム2を溶解する。剥離液としては、例えば、FeClが挙げられる。これにより、多孔質ポリイミドフィルム1を得る。なお、後述する金属層積層板10を製造するときには、上記した基材フィルム2を除去せず、第1金属層3として残す。
<用途>
次に、図1の仮想線と実線とで示すように、多孔質ポリイミドフィルム1を備える金属層積層板10を説明する。この金属層積層板10は、多孔質ポリイミドフィルム1と、仮想線で示す2つの金属層3,4とを備える。
多孔質ポリイミドフィルム1は、金属層積層板10に備えられる。つまり、多孔質ポリイミドフィルム1は、次に説明する2つの金属層3,4の積層に用いられる。
2つの金属層3,4は、第1金属層3と、第2金属層4とを含む。第1金属層3は、多孔質ポリイミドフィルム1の厚み方向の他方面に配置されている。第1金属層3の材料としては、基材フィルム2で例示した金属が挙げられる。好ましくは、銅が挙げられる。第1金属層3の厚みは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
第2金属層4は、多孔質ポリイミドフィルム1の厚み方向の一方面に配置されている。なお、第2金属層4は、多孔質ポリイミドフィルム1の厚み方向の一方面に図示しない接着剤層を介して配置されていてもよい。第2金属層4の材料としては、基材フィルム2で例示した金属が挙げられる。第2金属層4の厚みは、第1金属層3の厚みと同様である。
金属層積層板10の製造方法を説明する。まず、製造途中であって、基材フィルム2と、多孔質ポリイミドフィルム1とを備える積層体20の厚み方向の一方面に、第2金属層4を配置する。他方、基材フィルム2は、金属からなるので、第1金属層3としてそのまま残す(第1金属層3に転用する)。これによって、多孔質ポリイミドフィルム1と、それの厚み方向の一方面および他方面にそれぞれ配置される第2金属層4および第1金属層3とを備える金属層積層板10を得る。
その後、例えば、エッチングなどによって、第1金属層3と第2金属層4とをパターンに形成する。
用途および目的に応じて、上記したパターンの形成前、形成中および/または形成後に、金属層積層板10をプレスする。具体的には、金属層積層板10を熱プレスする
この金属層積層板10は、例えば、第五世代(5G)の規格の無線通信、および/または、高速フレキシブルプリント基板(FPC)に用いられる。
<一実施形態の作用効果>
多孔質ポリイミドフィルム1では、水に浸漬した後の誘電正接T2と、雰囲気下で静置した後の誘電正接T1との差が0.0030以下である。そのため、多孔質ポリイミドフィルム1を水に浸漬しても誘電正接の上昇を抑制できる。その結果、多孔質ポリイミドフィルム1は、耐水性が必要な用途に用いられる。
また、水に浸漬後の多孔質ポリイミドフィルム1の誘電正接T2が、0.0060以下であれば、多孔質ポリイミドフィルム1は、耐水性が必要な用途に好適に用いられる。
また、UL94規格で多孔質ポリイミドフィルム1を難燃性試験したときの判定が、V-0以上であれば、多孔質ポリイミドフィルム1は、難燃性に優れる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<実施例1>
攪拌機および温度計を備える反応装置に、PDA(第2芳香族ジアミン)64.88g(0.60モル)、ODA(第3芳香族ジアミン)40.05g(0.20モル)、および、APAB(式(1)で示され、Y-が-COO-である芳香族ジアミン)45.65g(0.20モル)を入れ、溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)2300gを加えて、40℃で、20分間攪拌し、PDA、ODAおよびAPABのNMP溶液を調製した。なお、NMP溶液は、ジアミン成分1.00モルを含有する。
次いで、上記したNMP溶液に3,3’-4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)294.2g(1.00モル)を加え、さらにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)18gを加えて80℃に昇温した後、10時間攪拌して、ポリイミド前駆体溶液を得た。
ポリイミド前駆体溶液の固形分100質量部に対して、核剤としてのメジアン径1μm以下のPTFE粉末3質量部、多孔化剤としての重量平均分子量が400のポリオキシエチレンジメチルエーテル(日油(株)製グレード:MM400)150質量部、および、2-メチルイミダゾール(四国化成工業(株)製2Mz-H)4質量部を加えて、多孔前駆体溶液を得た。得られた多孔前駆体溶液を、銅からなる基材フィルム2に塗布して、塗膜を形成した。その後、塗膜を、135℃で15分間乾燥させて、前駆体フィルムを作製した。
この前駆体フィルムを60℃にて30MPaに加圧した二酸化炭素に浸漬、4時間流通することで、多孔化剤の抽出除去および残存NMPの相分離、多孔の形成を促進した。その後、二酸化炭素を減圧した。
その後、前駆体フィルムを真空下、390℃の温度で約185分間、加熱し、残存成分の除去およびイミド化を促進することで、基材フィルム2の厚み方向の一方面に配置された多孔質ポリイミドフィルム1を得た。その後、基材フィルム2および多孔質ポリイミドフィルム1(積層体20)をFeCl溶液に浸漬させて、基材フィルム2を除去した。
表1に、各成分のg数および質量部数を記載する。表2に、ジアミン成分および酸二無水物成分のモル分率を記載する。
<実施例2から実施例4および比較例1>
実施例1と同様にして、多孔質ポリイミドフィルム1を製造した。但し、処方を表1および表2に従って変更した。なお、表1中、DMAcは、溶媒としてのジメチルアセトアミドである。
<評価>
実施例2から実施例4および比較例1のそれぞれの多孔質ポリイミドフィルム1について、下記の事項を測定した。それらの結果(但し、平均空孔を除く。)を表2に記載する。
<誘電正接T1>
多孔質ポリイミドフィルム1の誘電正接T1を測定した。具体的には、製造直後の多孔質ポリイミドフィルム1を、25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間静置した。
その後、多孔質ポリイミドフィルム1を、共振器によって周波数10GHzで測定した。
<誘電正接T2>
多孔質ポリイミドフィルム1の誘電正接T2を測定した。具体的には、製造直後の多孔質ポリイミドフィルム1を、水に、25℃の雰囲気下で、24時間浸漬した。その後、多孔質ポリイミドフィルム1を、共振器によって周波数10GHzで測定した。
<誘電正接T0>
実施例1の製造直後の多孔質ポリイミドフィルム1の誘電正接T0を測定した。その結果、製造直後の多孔質ポリイミドフィルム1の誘電正接T0と、製造後24時間静置後の多孔質ポリイミドフィルム1の誘電正接T1とが、同一であることを確認した。
<誘電率>
製造直後の多孔質ポリイミドフィルム1の誘電率を、共振器によって周波数10GHzで測定した。
<空孔率>
多孔質ポリイミドフィルム1の空孔率を、上記で求めた誘電率を下記式へ挿入して、求めた。
多孔質ポリイミドフィルムの誘電率=空気の誘電率×空孔率+ポリイミド樹脂の誘電率×(1-空孔率)
<平均空孔>
実施例1および比較例1のそれぞれの多孔質ポリイミドフィルム1の平均孔径を、断面SEM写真の画像解析により測定した。
その結果、実施例1の多孔質ポリイミドフィルム1の平均孔径は、3.6μmであった。一方、比較例1の多孔質ポリイミドフィルム1の平均孔径は、5.3μmであった。
<難燃性試験>
UL94規格で多孔質ポリイミドフィルム1を難燃性試験した。試験により得られた判定を、以下の基準に基づいて評価した。
○:V-0以上と判定された。
×:V-0以上で判定されなかった。
Figure 2022165379000002
Figure 2022165379000003
1 多孔質ポリイミドフィルム

Claims (3)

  1. 25℃、相対湿度50%の雰囲気下で、24時間静置した後の誘電正接T1と、水に、25℃の雰囲気下で、24時間浸漬した後の誘電正接T2との差が、0.0030以下である、多孔質ポリイミドフィルム。
  2. 前記誘電正接T2が、0.0060以下である、請求項1に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
  3. UL94規格で難燃性試験したときの判定が、V-0以上である、請求項1または2に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
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