JP2022145653A - エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法 - Google Patents

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大樹 渡辺
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Abstract

【課題】耐熱性、耐油性および成形加工性にすぐれた加硫物を与えるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法を提供する。【解決手段】エチレン40~79.9モル%、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレート20.0~50.0モル%および不飽和ジカルボン酸0.05~20.0モル%、不飽和ジカルボン酸無水物0.001~20.0モル%の割合で共重合された構造を有し、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定されるメルトフローレートが0.01~100g/10分であるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法に関する。さらに詳しくは、耐熱性、耐油性および成形加工性にすぐれた加硫物を与えるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法に関する。
耐油耐熱性にすぐれた加硫物を与える共重合体として、特許文献1~2では下記共重合体が提案されている。
特許文献1:エチレン、アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルおよび1,4-ブテンジオン酸モノアルキルエステルを単量体として含有するランダム共重合体が記載されている。かかる共重合体は、高圧で重合して製造されるが、1,4-ブテンジオン酸モノアルキルエステルの腐蝕性のため、耐蝕性の高圧設備が必要となる。
特許文献2:エチレン、アクリル酸エステルおよびマレイン酸無水物を単量体として含有する共重合体と第1級または第2級のポリアミンとからなるアミン架橋性ゴム組成物が記載されている。かかる組成物は、架橋反応速度が速すぎるためスコーチタイムが短く、ゴム部品等を成形することが難しいといった課題がある。
特許文献3には、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキル・無水マレイン酸・マレイン酸モノエステル4元共重合体を、不飽和アミンまたは不飽和アルコールで変性するに際し、マレイン酸のハーフエステル共重合体をラボプラストミルによる混練で得ることが記載されている。
原料3元共重合体の加水分解反応またはハーフエステル化反応については、加水分解反応は有機溶媒中で3級アミン塩等の触媒の存在下で行われており、ハーフエステル化反応は同じような溶液法または溶融法により行われ、溶融法ではバンバリーミキサ、押出機等の混練機が使用されると述べられてはいるが、実施例はいずれも溶液法が用いられている。
特開昭50-49389号公報 特開昭60-240749号公報 特開昭61-272204号公報 特公平7-94486号公報公報 特開平8-25586号 特開2010-235955号公報
本発明の目的は、耐熱性、耐油性および成形加工性にすぐれた加硫物を与えるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーおよびその製造法を提供することにある。
かかる本発明の目的は、エチレン40~79.9モル%、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレート20.0~50.0モル%、不飽和ジカルボン酸0.001~20.0モル%および不飽和ジカルボン酸無水物0.05~20.0モル%の割合で共重合された構造を有し、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定されるメルトフローレートが0.01~100g/10分であるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーによって達成される。
このエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーは、エチレン、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレートおよび不飽和ジカルボン酸無水物を共重合させた後、不飽和ジカルボン酸無水物の開環処理を行うことによって製造される。
本発明にかかるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーから得られる加硫物は、耐熱性、耐油性および成形加工性にすぐれており、自動車等の輸送機器、産業機械、一般機器、電気機器等の幅広い分野におけるゴム部品、例えばOリング、各種パッキン、オイルシール、ベアリングシール、ヘッドカバーガスケット、プラグチューブガスケット、エンジンヘッドカバーガスケット、オイルフィルターパッキン、オイルパンガスケット、防振部品、オイルホース、燃料ホース、エアーホース、エアーダクトホース、ターボチャージャーホース、PCVホース、EGRホース、インタークーラーホース等のホース類などとして有効に用いられる。
(メタ)アクリレートとしては、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレートの少なくとも一種が用いられ、これらは単独または組み合わせて用いることができる。ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを指している。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート等が用いられる。一般的に、アルキル基の鎖長が長くなると耐寒性の点では有利となるが、耐油性では不利となり、鎖長が短いとその逆の傾向がみられ、耐油性、耐寒性のバランス上からはメチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレートが好んで用いられる。さらに好ましくは、メチルアクリレートが用いられる。
また、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等が用いられる。
不飽和ジカルボン酸無水物は、分子中にラジカル重合可能な不飽和結合と酸無水物基を各々1個以上有する化合物であり、例えば無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、2-(2-カルボキシエチル)-3-メチルマレイン酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3-ジフェニルマレイン酸無水物、アリルこはく酸無水物、(2-メチル-2-プロペニル)こはく酸無水物、2-ブテン-1-イルこはく酸無水物、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物等が挙げられ、好ましくは無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸が用いられる。これらは単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
以上の単量体に加えて、必要に応じて、その特性が損なわれない範囲で他の共重合可能な単量体、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アセトンアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ペンタフロロプロピル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート等のビニル化合物やイソプレン、ペンタジエン、ブタジエン等のジエン化合物、プロプレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィンを、また混練加工性や押出加工性などを改善する目的で、多官能性(メタ)アクリレートまたはオリゴマー、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、3-アクリロイルオキシグリセリンモノメタクリレート等をさらに共重合して用いることもできる。
共重合体の製造方法は特に限定されないが、ラジカル溶液重合法など(特許文献4~5)、種々の重合方法を適宜用いることができる。一般には、高圧法低密度ポリエチレンの製造設備およびその技術を利用して製造することができ、例えば塊状重合法により、70~350MPa、好ましくは100~250MPaの重合圧力で、また100~300℃、好ましくは150~270℃の重合温度で、ラジカル重合法で製造される。重合圧力が70MPa未満では、重合体の分子量が低くなり、成形性、樹脂組成物の樹脂物性が悪化する。一方、350MPaを超えると、製造コストを高めるだけで、実質的には無意味である。また、重合温度が100℃未満では重合反応が安定せず、共重合体への転化率が低下し、経済的に問題がある。一方、300℃を超えると、共重合体の分子量が低下すると同時に暴走反応の危険性が生じる。
ラジカル重合性ジカルボン酸無水物は重合安定性が乏しいため、高度の反応器内の均一化が必要である。また、必要に応じて複数個の反応器を直列または並列に接続し、多段重合を行うこともできる。さらに、反応器内部を複数のゾーンに仕切ることによって、より緻密な温度コントロールを行うこともできる。また、重合に供するエチレンの温度を調整することで重合反応速度を調節することが可能であり、重合温度との温度差が大きいほど重合反応速度を高められる。
重合反応は、少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤の存在下で行われる。ラジカル重合に使用されるフリーラジカル重合開始剤は遊離基を発生させる化合物が選択され、例えば酸素、ジ第3ブチルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、第3ブチルパーオキシイソブチレート、第3ブチルパーオキシネオデカネート、第3ブチルパーオキシピバレート、第3ブチルパーオキシラウレート等のパーオキシエステル、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド、1,1-ビス第3ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2-ビス第3ブチルパーオキシオクタン等のパーオキシケタール、第3ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、2,2-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。
得られた酸無水物を含むエチレン-(メタ)アクリレート系共重合体は、せん断条件下で開環処理するせん断溶融混練法、好ましくは密閉式混練機または二軸押出機を用いて開環処理が行われる。
せん断溶融混錬法による開環処理は、酸無水物を含むエチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を、混練機を用いてせん断を加えながら、該共重合体100重量部当り約0.1~30重量部、好ましくは約1~20重量部用いられる水と反応させることにより行われる。開環を促進するためには、開環触媒を用いることもできる。また、溶媒を用いることなく開環処理は行うことができるが、流動性を調整する目的で少量の溶媒を使用することもできる。
開環処理に利用可能な混練機としては、例えば単軸押出機、二軸押出機、ニーダ、ロール型混練機、バンバリーミキサ、ブラベンダ、往復式混練機(BUSS KNEADER)等を制限なく使用することができ、好ましくは連続的に開環処理をすることが可能で生産性の面で有利な単軸押出機、二軸押出機、往復式混練機(BUSS KNEADER)であり、さらに好ましくは付帯設備の汎用性の観点から二軸押出機が用いられる。
開環触媒としては、酸触媒と塩基触媒のいずれも使用することが可能であり、酸触媒として、例えばベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類;塩酸、硝酸、硫酸、りん酸等の鉱酸類;ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸塩等のヘテロポリ酸類が、塩基触媒としては、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩や水酸化物等の無機塩基、脂肪族や芳香族の有機塩基、アルカリ金属やアルカリ土類金属の脂肪酸塩等を用いることができ、好ましくは有機塩基が用いられる。有機塩基としては、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7または1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン-5およびこれらの塩、三級アミン等のアミン化合物、イミダゾール等が挙げられる。開環触媒の使用量は、酸無水物を含むエチレン-(メタ)アクリレート系共重合体100重量部に対し約0.01~10重量部、好ましくは約0.1~5重量部である。
開環処理により、共重合されたジカルボン酸無水物がマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸等のジカルボン酸化合物が共重合された構造となり、共重合された不飽和ジカルボン酸無水物およびその開環処理物であるジカルボン酸化合物構造の合計量に対する不飽和ジカルボン酸化合物構造の割合が20~99.9モル%であるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーが得られる。ここで、好ましい開環率は、23℃、1日後において約70~98%である。
なお特許文献3には、請求項1においてエチレン-アルキル(メタ)アクリレート共重合体中の不飽和ジカルボン酸とその酸無水物との合計量は0.1~5.0モル%であるとされているが、実施例で開示されている開環処理物は開環率100%品のみであり、不飽和ジカルボン酸およびその酸無水物を単量体として含有する共重合体は開示されていない。また、加水分解による開環処理が、共重合体を溶媒に溶解し行う溶媒法で行われている点においても、本発明とは異なっている。さらにかかる文献で開示されているのは、変性処理をする中間体にとどまっており、これを用いた組成物の特性については開示されていない。
開環処理をした後、開環率を向上させるために好ましくはエイジング処理が行われる。エイジング温度は約0~100℃であり、エイジング時間はエイジング温度によって適宜設定される。例えば23℃の室温では1日以上のエイジング時間が設定され、エイジング温度が高くなればそれに伴いエイジング時間を短くすることが可能であるが、経済性の観点からは室温下でのエイジングが採用される。
開環処理されたエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーのうち、耐熱性、耐油性および成形加工性にすぐれた加硫物を得るといった観点から、エチレン40~79.9モル%、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレート20.0~50.0モル%、不飽和ジカルボン酸0.05~20.0モル%および不飽和ジカルボン酸無水物0.001~20.0モル%の割合で共重合された構造を有し、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定されるメルトフローレートが0.01~100g/10分であるものが選択され、これに加硫剤を配合してエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー組成物の調製が行われる。
エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの加硫剤としては、アミン系加硫剤、有機過酸化物架橋剤を用いることができる。
アミン系加硫剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N′-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、4,4′-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、エチレンジアミン、エチレンジアミンカルバメート、シクロヘキサンジアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、3,3′-ジアミノプロピルアミン、シクロヘキサントリアミン、ヘキサメチレンジアミン-シンナムアルデヒド付加物、ヘキサメチレンジアミンベンゾエート、ジアミノ変性シロキサン等の脂肪族多価アミン化合物、4,4′-メチレンビスシクロヘキシルアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、4,4′-メチレンビスシクロヘキシルアミン-シンナムアルデヒド付加物等の脂環状ポリアミン化合物、N,N´-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、4,4′-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4,4′-メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、p-フェニレンジアミン、p,p′-エチレンジアニリン、4,4′-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4′-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、4,4′-ジアミノジフェニルスルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4′-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェノール、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,3,5-ベンゼントリアミン、4,4′-ジアミノベンズアニリド等の芳香族ポリアミン化合物等が挙げられる。さらにアミノ基が有機基で保護された脂肪族多価アミンも用いることができる。
また、特許文献6などにおいて開示されている、一般式
R2(SO2)m(CH2)nOCONHR1NHCOO(CH2)n(SO2)mR2
(ここで、R1はC1~C20の直鎖状または分岐状構造の2価の脂肪族アルキレン基、2価の脂環式炭化水素基または2価の芳香族基であり、R2は、カルバメート構造としたとき、塩基性加硫促進剤の作用で分解し、ジアミンを発生させ得る基であって、C1~C20のアルキル基、アルコキシル基、フェノキシ基、ハロアルキル基、オレフィン基、アリール基またはアラルキル基、フルオレニル含有基、S含有基、Si含有基、N含有基またはP含有基であり、S含有基またはN含有基は芳香族または脂環式の複素環式基であり、n:0、1または2であり、m:0または1である)で表わされるジウレタン化合物、好ましくは一般式 H2N(CH2)lNH2(l=4~6)で表わされるアルキレンジアミンのアミノ基を9-フルオレニルメチルクロロホーメート〔Fmoc〕でジ置換したジウレタン化合物、さらに好ましくはヘキサメチレンジアミン(l=6)のアミノ基を〔Fmoc〕でジ置換したジウレタン化合物〔HMDA-Fmoc〕
Figure 2022145653000001
を用いることもできる。
このようなポリアミン化合物加硫剤は、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー100重量部当り約0.1~5重量部、好ましくは約0.5~2重量部の割合で用いられる。加硫剤の配合量がこれより少ないと加硫が不十分となり、加硫物の機械的物性の低下、加硫速度の低下を招く。加硫剤の配合量がこれより多いと、加硫が過度に進行し加硫物の弾性が低下する場合がある。加硫に際しては、塩基性加硫促進剤、チウラム系架橋促進剤、チオ尿素系架橋促進剤が、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー100重量部当り約0.5~5重量部、好ましくは約0.5~3重量部の割合で併用されることが望ましい。
塩基性加硫促進剤としては、グアニジン化合物あるいは1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン-5等のジアザビシクロアルケン化合物またはその有機酸塩、無機酸塩が用いられ、好ましくはその添加効果がより高いといった観点から、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7〔DBU〕が用いられる。また、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7とシリカとの混合物を用いることもでき、実際にはSafic Alcan社製品Vulcofac ACT55等が用いられる。
ジアザビシクロアルケン化合物の有機酸塩または無機酸塩を形成する化合物としては、塩酸、硫酸、カルボン酸、スルホン酸、フェノール等が挙げられる。カルボン酸としては、例えばオクチル酸、オレイン酸、ギ酸、オルソフタル酸、アジピン酸等が、またスルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。これらは単独または二種以上を併用することができる。
グアニジン化合物としては、グアニジンまたはその置換体、例えばアミノグアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、n-ドデシルグアニジン、メチロールグアニジン、ジメチロールグアニジン、1-フェニルグアニジン、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、1-ベンジル-2,3-ジメチルグアニジン、シアノグアニジン等が用いられ、この他1,6-グアニジノヘキサン、グアニル尿素、ビグアニド、1-o-トリルビグアニド等も用いられる。
チウラム系化合物としてはテトラメチルチウラムジスルフィド等が、チオ尿素系化合物としてはN,N′-ジフェニルチオ尿素等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばジ第3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ(第3ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ジ(第3ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n-ブチル-4,4-ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等が、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー100重量部当り約0.2~10重量部、好ましくは約0.75~2重量部の割合で用いられる。
過酸化物架橋性組成物には多官能性不飽和化合物よりなる過酸化物架橋用架橋助剤が併用されることが好ましく、多官能性不飽和化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリテート、ビスマレイミド化合物(例えば、N,N′-m-フェニレンビスマレイミド、N,N′-p-フェニレンビスマレイミド、N,N′-p-フェニレン-(1-メチル)ビスマレイミド、N,N′-2,7-ナフタレンビスマレイミド、N,N′-m-フェニレン-4-メチルビスマレイミド、N,N′-m-フェニレン(4-エチル)ビスマレイミド等が用いられ、好ましくはN,N′-m-フェニレンジマレイミドが、共重合体100重量部当り約0.2~15重量部、好ましくは約1~10重量部の割合で用いられる。
エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーには、必要に応じて補強剤、充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、スコーチ防止剤、滑剤等の各種添加剤が適宜配合されて用いられる。
補強材・充填剤としては、例えば塩基性シリカ、酸性シリカ等のシリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;合成ハイドロタルサイト;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅等の金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック(MTカーボンブラック、SRFカーボンブラック、FEFカーボンブラック、HAFカーボンブラック等)、フッ素化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えばフェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-β-ナフチルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)-ジフェニルアミン、4,4′-(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド-アニリン縮合物等のアミン系老化防止剤;2,6-ジ第3ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6-ジ第3ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、オクタデシル-3-(3,5-ジ第3ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、モノ、ジまたはトリ(α-メチルベンジル)フェノール等のスチレン化フェノール、2,2′-メチレン-ビス(6-α-メチルベンジル-p-クレゾール)、4,4′-メチレンビス(2,6-ジ第3ブチルフノール)、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6第3ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、p-クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、1,3,5-トリス(3′,5′-ジ第3ブチル-4′-ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5第3ブチルフェニル)ブタン、ブチリデンビス(メチル-ブチルフェノール)、3-(4′-ヒドロキシ-3′,5′-ジ第3ブチルフェニル)プロピオン酸-n-オクタデシル、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3′,5′-ジ第3ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2′-ジメチル-2,2′-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイル)ジプロパン-1,1′-ジイルビス[3-(第3ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノアート]、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ第3ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6-ジ第3ブチル-4-メチルフェノール等のフェノール老化防止剤;3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(2,6-ジ第3ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10-テトラ第3ブチル-6-[(2-エチルヘキサン-1-イル)オキシ]-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、トリス(2,4-ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスフィト、2-エチルヘキシルジフェニルホスフィット、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリイソデシルホスフィット、トリフェニルホスファイト等のホスファイト系老化防止剤;その他チオフェノール系老化防止剤、硫黄エステル系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ハイドロキノン系老化防止剤等が挙げられる。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
加工助剤としては、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル;カルナバワックス、セレシンワックス等の石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のポリグリコール;ワセリン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤等が挙げられる。
可塑剤としては例えばエポキシ樹脂、フタル酸やセバシン酸の誘導体等が、軟化剤としては例えば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
組成物の調製は、エチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーにオープンロールあるいは密閉式混練機を用いて補強剤、安定剤、加工助剤等を添加した後、さらに加硫剤および加硫促進剤を添加することにより調製される。加硫成形は、約150~200℃、約1~30分間の一次加硫を行った後、必要に応じて約150~200℃、約1~16時間のオーブン加硫(二次加硫)が行われる。成形は、製品に応じてプレス成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形等の公知な方法を適用することができる。
次に、実施例について本発明を説明する。
重合例1~16
重合例1は、容積5Lオートクレーブを有する高圧法低密度ポリエチレンプラントの設備を使用し、反応器入口におけるモノマー組成が、エチレン91.2wt%、アクリル酸メチル8.7wt%および無水マレイン酸0.11wt%となるように反応器に注入した。反応開始剤としてジ-2-エチルへキシルパーオキシジカーボネートを使用し、重合温度165℃、重合圧力165MPaの条件下で重合した。その他の製造例も、モノマー組成、重合温度、重合圧力を調整することにより製造し、表1の共重合体を得た。
Figure 2022145653000002
なお、生成3元共重合体中の共重合組成は、後記主モノマー組成比(MA/E)とMAH含有量とから計算した。
実施例1
(1) 重合例5で得られた3元共重合体 100重量部
イオン交換水 18 〃
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン〔DBU〕 1 〃
(サンアプロ製品)
以上の各成分を、モリヤマ製1Lニーダー(DS1-5MHB-E)を用いて、開環処理を行った。
はじめに、混練機を80~90℃に予熱し、ポリマーおよび触媒を投入し、素練りを回転速度30rpmで2分間実施した。次に、イオン交換水を規定量投入し、回転速度30rpmで15分間混錬し、排出した。混練終了時の温度は92℃であった。さらに、排出された共重合体を2~3cmの小片に切断し、温度60℃で24時間の減圧乾燥を実施した。この時の圧力は、-0.1MPa(減圧乾燥器の圧力表示)であった。含水量の確認は、ケット水分計を用いて120℃/15minの条件で実施された。
得られた開環共重合体について、MFR(メルトフローレイト;JIS K-7210準拠、190℃、2.16kg)およびDSCを用いた耐寒性の測定を行った。DSCは、SII社製 DSC6220を使用し、-100℃から100℃に毎分10℃の昇温速度で昇温し、DSC曲線の微分のピークを与える温度をTgとした。
ここで、3元共重合体の組成(mol%)は、主モノマー組成比(MA/E)とMAH含有量から計算された。
・主モノマー組成比(mol%)は、IRで測定された。はじめに、4600cm-1と3500cm-1でベースラインを引き、エチレン由来の4254cm-1ピークの高さを測定した。次に、3510cm-1で1点ベースラインを引き、MA由来の3457cm-1ピーク高さを測定した。さらに、ピーク比(A3457/A4254)を算出し、別途NMRを用いて作成したMA含有量とIR吸光度比の検量線を使用して、主モノマー組成比(mol%)を算出した。
・MAH含有量(mol%)は、IRで測定された。はじめに、4600cm-1で1点ベースラインを引き、エチレン由来の4254cm-1ピーク高さを測定した。次に、1875cm-1と1825cm-1でベースラインを引き、MAH由来の1855cm-1ピークの高さを測定した。さらに、別途作成された滴定法によるMAH含量とIR吸光度比の検量線を使ったピーク比(A1855/A4254)から、MAH含量を算出した。
また、開環共重合体の開環率(23℃、1日後および2日後(ゴム物性測定時))は、MAH含有量およびマレイン酸含有量の合計(mol%)及びMAH含有量(mol%)を用いて、下記の計算式で算出された。
開環率(%)=〔1-(MAH含量)/(MAH含量+マレイン酸含量)〕×100
MAH含有量およびマレイン酸含有量の合計(mol%)は、中和滴定法により測定された。はじめに、サンプルを2g量りとり、80mlのテトラヒドロフランに溶解し、マグネティックスターラで2時間撹拌した。次に、京都電子工業製電位差自動滴定装置AT-710Mにて、複合ガラス電極非水滴定用電極C-173を使用し、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液で電位差滴定を実施した。当量点から、MAHおよびマレイン酸の合計の含量(mol%)を算出した。MAH含有量(mol%)は3元共重合体の組成測定時に使用されたIR法を用いた。
(2) 上記(1)で得られた開環処理共重合体 100重量部
ステアリン酸 2 〃
アミン系老化防止剤(大内新興化学工業製品ノクラックCD) 2 〃
FEFカーボンブラック(東海カーボン製品シーストGS) 50 〃
リン酸ハーフエステル(東邦化学製品Phosphanol RL210) 1 〃
ステアリルアミン(花王製品ファーミン80) 1 〃
以上の各成分を、モリヤマ製1Lニーダー(DS1-5MHB-E)を用いて混練し、次いで8インチオープンロール(大竹機械工業製)を用いて、ヘキサメチレンジアミンカルバメート(ユニマテック製品CHEMINOX AC-6)1.2重量部およびDBU-ドデカン二塩酸(70%品;Safic-Alcan製品Vulcofac ACT55)2重量部を配合、混練してゴム物性評価用組成物を作製し、得られた混練組成物について、180℃、10分間の一次加硫および175℃、4時間のオーブン加硫(二次加硫)を行い、加硫シートおよびJIS準拠の圧縮永久歪用ブロックを成形した。
得られた組成物および成形物について、次の各項目を測定した。
ムーニー粘度スコーチ:JIS K 6300準拠
機種:AM-4(東洋精機製) 125℃
常態値:JIS K 6253、JIS K 6251準拠
耐熱老化性:JIS K 6257準拠
175℃/70hrs 硬度変化を評価
圧縮永久歪:JIS K 6262準拠
175℃/70hrs 25%圧縮
耐油性:JIS K 6258準拠
150℃/70hrs 試験油IRM 903での膨潤を評価
実施例2
実施例1において、工程(1)の3元共重合体として、重合例6で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
実施例3
実施例2において、工程(1)の開環触媒としてジメチルステアリルアミン(花王製品ファーミンDM8098)が2重量部用いられた。
実施例4
実施例1において、工程(1)の3元共重合体として、重合例3で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられ、また開環触媒としてDBU-ドデカン二塩酸(70%品;Vulcofac ACT55)が3.6重量部用いられた。
実施例5
実施例4において、工程(1)の開環触媒としてDBU-オクチル酸塩(サンアプロ製品U-CAT SA102)が2重量部用いられた。
実施例6
実施例4において、工程(1)の開環触媒としてトリエチレンジアミン(東京化成製品DABCO)が0.8重量部用いられた。
以上の各実施例で得られた結果は、次の表2に示される。
Figure 2022145653000003

Figure 2022145653000004
比較例1
実施例1において、工程(1)の開環処理を行わなかった3元共重合体(MFR 40)について工程(2)の加硫を行ったが、混練中スコーチして、加硫物の諸特性を測定することができなかった。
比較例2
実施例2において、工程(1)の開環処理を行わなかった3元共重合体(MFR 9.6)について工程(2)の加硫を行ったが、混練中スコーチして、加硫物の諸特性を測定することができなかった。
比較例3
実施例4において、工程(1)の開環処理を行わなかった3元共重合体(MFR 10.3)について工程(2)の加硫を行ったが、混練中スコーチして、加硫物の諸特性を測定することができなかった。
実施例7
実施例1において、工程(1)の3元共重合体として重合例10で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられ、また工程(2)においてDBU-ドデカン二塩酸が用いられなかった。
実施例8
実施例7において、工程(1)の3元共重合体として重合例11で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
実施例9
実施例7において、工程(1)の3元共重合体として、重合例12で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
実施例10
実施例7において、工程(1)の3元共重合体として、重合例13で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
実施例11
実施例7において、工程(1)の3元共重合体として、重合例14で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
比較例4
実施例7において、工程(1)の3元共重合体として、重合例1で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
比較例5
実施例7において、工程(1)の3元共重合体として、重合例2で得られた3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
実施例7~11、比較例4で得られた結果は、次の表3に示される。ただし、比較例5では、加硫性組成物の粘着が強く、混練が不可能であった。
Figure 2022145653000005

Figure 2022145653000006
実施例12
開環触媒としてDBU-オクチル酸塩(Mw 296.4)が用いられた実施例5において、工程(1)の重合例3の3元共重合体の代りに、重合例15の3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
実施例13
実施例12において、工程(1)の重合例15の3元共重合体の代りに、重合例16の3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
実施例14
実施例12において、工程(1)の重合例15の3元共重合体の代りに、重合例7の3元共重合体が同量(100重量部)用いられ、またDBU-オクチル酸塩として、その33.8重量%水溶液6.04重量部が用いられた。さらに、1Lニーダーに代えて、東芝機械製二軸押出機TEM26SX(スクリュー径:φ26、L/D=64)が使用された。はじめに、共重合体をJIS K7151に準拠し、温度100℃でプレス成形し、冷却方法C(60±30K/min)で急速冷却し、厚さ6mmのプレスシートを作成し、これを適当な幅に裁断し供給用3元共重合体を作成した。次に、これを二軸押出機に連続的に供給し、溶融混練した。二軸押出機の混練ゾーンの中腹部には液体添加ノズルが取り付けられており、共重合体成分の合計100重量部に対し規定量の開環剤が液体添加装置を用いて連続的に圧入され、さらに溶融混練を継続することによって共重合体が開環処理された。二軸押出機からストランド状に押し出された共重合体は、冷却水槽に通され、開環処理された共重合体が得られた。この時の変性温度は190℃、スクリュー回転数300rpm、3元共重合体の添加量が11kg/hrであり、開環剤の添加量が0.66kg/hrとなっている。
実施例15
実施例14において、工程(1)の重合例7の3元共重合体の代わりに、重合例8の3元共重合体が同量(100重量部)用いられた。
実施例12~15で得られた結果は、次の表4に示される。
Figure 2022145653000007

Figure 2022145653000008
実施例16
実施例14において、重合例9で得られた3元共重合体100重量部、イオン交換水 1重量部および開環触媒としてのDBU-オクチル酸塩2重量部が用いられた。実施例14と同様の手順で、供給用3元共重合体を作成し、所定量の開環触媒と一緒に二軸押出機に連続的に投入し、溶融混錬した。二軸混練機の混練ゾーンの中腹部の液体添加ノズルから、共重合体成分の合計100重量部に対し規定量のイオン交換水を液体添加装置を用いて連続的に圧入し、さらに溶融混練を継続することによって共重合体を開環処理し、冷却を実施した。
二軸押出機を用いた開環処理条件は、変性温度が120℃、スクリュー回転数が300rpm、
変性共重合体の吐出量が18kg/hr、開環触媒投入量が0.36kg/hr、イオン交換水添加量が0.18kg/hrであった。
実施例17
実施例16において、開環触媒が1.5重量部、開環触媒投入量が0.27kg/hrにそれぞれ変更された。
実施例18
実施例16において、工程(1)における開環触媒が1重量部、開環触媒投入量が0.18kg/hrにそれぞれ変更され、また工程(2)において、開環触媒としてヘキサメチレンジアミンカルバメート(CHEMINOX AC-6)1.2重量部およびDBU-ドデカン二塩酸(70%品)2重量部がさらに用いられた。
実施例19
実施例18において、開環触媒が0.5重量部、開環触媒投入量が0.09kg/hrにそれぞれ変更された。
実施例20
実施例18において、開環触媒が2-メチルイミダゾール 1重量部に、開環触媒投入量が0.18kg/hrに、イオン交換水添加量が3重量部(イオン交換水添加量は0.54Kg/hr)にそれぞれ変更された。
実施例21
実施例18において、開環触媒が2-メチルイミダゾール 0.5重量部に、開環触媒投入量が0.09kg/hrに、イオン交換水添加量が1.5重量部(イオン交換水添加量は0.27Kg/hr)にそれぞれ変更された。
実施例16~21で得られた結果は、次の表5に示される。
Figure 2022145653000009

Figure 2022145653000010
比較例6
実施例18において、工程(1)の二軸押出機による開環処理を行わなかったところ、加硫性組成物の混練中スコーチが起こり、諸特性の測定ができなかった。
実施例22
(1) 重合例11で得られた3元共重合体 100重量部
イオン交換水 18 〃
DBU-オクチル酸塩 2 〃
以上の各成分を、1Lニーダ(モリヤマ製DS1-5MHB-E)を用い、実施例1(1)と同様の条件下で開環処理を行い、MFR:12.6 dg/分、Tg:-32.0℃の開環変性共重合体を得た。なお、混練終了時生地温度は98℃であった。
(2) この変性30日後の組成比が、メチルアクリレート29.2(mol%)、エチレン70.2(mol%)、マレイン酸0.43(mol%)、無水マレイン酸0.07(mol%)である開環変性共重合体に、実施例1(2)の各成分を添加し、
1Lニーダー混練生地 156重量部
ヘキサメチレンジアミンカルバメート(CHEMINOX AC-6) 1.2 〃
を加えて、180℃、8分間の一次加硫および175℃、4時間のオーブン加硫を行った。
実施例23
実施例22(2)において、さらにDBU-ドデカン二塩酸(70%品)2重量部が用いられた。
実施例24
実施例22(2)において、さらに1,3-ジ-o-トリルグアニジン(大内新興化学工業製品ノクセラーDT)が4重量部用いられた。
実施例25
実施例22(2)において、ヘキサメチレンジアミンカルバメートの代りに、4,4´-ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメート(ユニマテック製品CHEMINOX AC-9)が1.9重量部用いられ、さらにDBU-ドデカン二塩酸(70%品)が2重量部用いられた。
実施例26
実施例22(2)において、ヘキサメチレンジアミンカルバメートの代りに、N,N-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン(ケマーズ社製品Diak#3)が2.6重量部用いられ、さらにDBU-ドデカン二塩酸(70%品)が2重量部用いられた。
実施例27
実施例22(2)において、ヘキサメチレンジアミンカルバメートの代りに、1,6-ビス〔カルバミン酸(9-フルオレニルメチル)〕ヘキサンが4重量部用いられ、さらにDBU-ドデカン二塩酸(70%品)が2重量部用いられた。
比較例7~11
実施例23~27において、開環処理共重合体の代りに、未処理共重合体がそれぞれ同量(100重量部)用いられた。
実施例22~27および比較例11で得られた結果は、次の表6に示される。比較例7~10の加硫性組成物は混練中にスコーチが起こり、諸特性の測定ができなかった。
Figure 2022145653000011

Claims (13)

  1. エチレン40~79.9モル%、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレート20.0~50.0モル%、不飽和ジカルボン酸0.05~20.0モル%および不飽和ジカルボン酸無水物0.001~20.0モル%の割合で共重合された構造を有し、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定されるメルトフローレートが0.01~100g/10分であるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー。
  2. 不飽和ジカルボン酸無水物およびその開環処理物であるジカルボン酸構造の合計量に対する不飽和ジカルボン酸化合物構造の割合が20~99.9モル%である請求項1記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー。
  3. アルキル(メタ)アクリレートがメチルアクリレートである請求項1記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー。
  4. 不飽和ジカルボン酸がマレイン酸であり、不飽和ジカルボン酸無水物が無水マレイン酸である請求項1記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー。
  5. エチレン、炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数2~8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシ(メタ)アクリレートおよび不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体の酸無水物の開環処理を行うことを特徴とするエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  6. 開環処理が、せん断溶融混練法により行われる請求項5記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  7. せん断溶融混練法が密閉式混練機または二軸押出機を用いて行われる請求項6記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  8. 開環処理が、水を用いて行われる請求項5記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  9. 開環処理が、開環触媒を用いて行われる請求項5記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  10. 開環触媒が塩基性化合物または有機アミン化合物である請求項9記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  11. 開環処理後にエイジング処理が行われる請求項5記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーの製造法。
  12. 請求項1記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマーに加硫剤を配合してなるエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー組成物。
  13. 請求項12記載のエチレン-(メタ)アクリレート系エラストマー組成物を加硫成形してなる加硫成形物。
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