JP2022133259A - コンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠及びこれを用いたボス型枠 - Google Patents

コンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠及びこれを用いたボス型枠 Download PDF

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健一 守屋
Kenichi Moriya
英紀 大橋
Hidenori Ohashi
正樹 奥村
Masaki Okumura
宗宏 梅本
Munehiro Umemoto
忠洋 藤沢
Tadahiro Fujisawa
圭太 高橋
Keita Takahashi
有輝 青▲柳▼
Yuki Aoyagi
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Abstract

【課題】ボス供試体を作製するための樹脂製型枠において、コンクリート充填後の脱型作業の容易化を図る。【解決手段】樹脂製型枠1は、一面が開口部とされ周方向の4側面4A~4Dと底面5とからなる型枠本体部2と、この型枠本体部2の開口部Aを囲むように周方向に沿って設けられたフランジ部3とから構成されるとともに、前記型枠本体部2の外周面に複数条のリブ6が所定間隔をもって連続的に形成され、前記フランジ部3において、前記開口部Aの縁からフランジ部3の外縁までの区間に亘ってスリット溝8a~8dを複数本形成するとともに、前記型枠本体部2の外面に対して前記スリット溝8a~8dに実質的に連続するように前記底面5までの区間に亘って断面V字状に薄肉化された切込み溝9a、9bを形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、構造体コンクリートと一体成形されたコンクリート強度試験用供試体(以下、ボス供試体ともいう)を作製するための樹脂製型枠及びこれを用いたボス型枠に関する。
構造体として打設されたコンクリートは、同じ配合計画で製造されたコンクリートでも打ち込まれる現場の環境条件(気候、季節)、施工条件(打込み・締固め)、養生条件等が品質に影響を与える。このため構造体コンクリートの品質検査は、打込み施工後の硬化した構造体コンクリートの品質で確認することが必要となる。
このような背景から、構造体コンクリートの品質を直接検査することを目的に、構造体コンクリートと同様な環境条件や施工条件で供試体を打込み、養生した後、供試体を構造体コンクリートから損傷することなく採取し、より的確な強度試験を行うために、構造体コンクリートの強度を直接検査するための試験法が2005年に一般社団法人日本非破壊検査協会によって「ボス供試体の作製方法及び圧縮強度試験方法」(NDIS 3424:2011)が規格制定された。なお、ボス供試体(BOSS供試体)とは、構造体コンクリートの打設前に構造体型枠にあらかじめボス型枠を取り付けておき、構造体型枠にコンクリートを打設するとボス型枠にも同時にコンクリートが充填され、構造体コンクリート表層部に一体成型される直方体の供試体を指すものであり、「BOSS」とはBroken Off Speciments by Splittingを意味する。
従来から、ボス供試体を作製するためのボス型枠が千代田建工(株)から販売されている。しかしながら、このボス型枠は、複数の鋼製部品とネジ・ナットから構成されており、組立て完成品を購入するか、部品を購入し現場で組立て作業を行う必要があった。
そこで、本出願人等はボス型枠の計量化を図ると同時に組立て作業手間を無くすために、下記特許文献1において、コンクリート強度試験用供試体を形成するための箱型の樹脂製型枠であって、合成樹脂で側面及び底面が一体成型の箱型に形成され、前記箱型の上面外周部に幅の異なるフランジ部が形成されると共に、前記側面及び底面の外周部分には複数条のリブが所要間隔をもって連続的に形成され、使用時において上面側となるフランジ部は他のフランジ部の幅より大きく形成すると共に複数の治具用孔を形成してあるコンクリート強度試験用供試体用の軽量化した樹脂製型枠を提案した。
特開2009-190225
前記特許文献1に係る樹脂製型枠では、コンクリート充填後の脱型の便宜のために、箱形部の外側四隅コーナー部において側面からフランジ部に掛けて一対のV字状の切込み溝を近接して設けて前記切込み溝を引き裂くようにしながら四隅部分をコンクリートから引き剥がすようにしているが、この脱型作業は手作業で樹脂型枠を引き裂くのに労を要する作業となっており、脱型作業の容易化が望まれていた。
また、上記樹脂製型枠では、型枠本体は樹脂製とされるが、フランジ面に取り付けられる成形板やスリット板は鋼製のままであり、重量が重くなるとともに、製作費が高価になるなどの問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、ボス供試体を作製するための樹脂製型枠において、コンクリート充填後の脱型作業の容易化を図ることにある。
また第2に、成形板及びスリット板の樹脂化することにより軽量化と製作コストの低廉化を図ることにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、コンクリート強度試験用供試体を作製するための箱形の樹脂製型枠であって、
前記樹脂製型枠は、一面が開口部とされ周方向の4側面と底面とからなる型枠本体部と、この型枠本体部の開口部を囲むように周方向に沿って設けられたフランジ部とから構成されるとともに、前記型枠本体部の外周面に複数条のリブが所定間隔をもって連続的に形成され、
前記フランジ部において、前記開口部の縁からフランジ部の外縁までの区間に亘ってスリット溝を複数本形成するとともに、前記型枠本体部の外面に対して前記スリット溝に実質的に連続するように前記底面までの区間に亘って断面V字状に薄肉化された切込み溝を形成したことを特徴とするコンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠が提供される。
上記請求項1記載の発明では、前記樹脂製型枠のフランジ部において、前記開口部の縁からフランジ部の外縁までの区間に亘ってスリット溝を複数本形成しているとともに、前記型枠本体部の外面に対して前記スリット溝に実質的に連続するように前記底面までの区間に亘って断面V字状に薄肉化された切込み溝を形成するようにしている。従って、最も引き裂き難いフランジ部にスリット溝が形成され、初めから切断されていることにより、幾つかに分断された各フランジ片をペンチ等で摘まんで、そのまま引き剥がすことにより容易に脱型を行うことができるようになる。
請求項2に係る本発明として、前記樹脂製型枠は、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂によって製作されている請求項1記載のコンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠が提供される。
上記請求項2記載の発明は、樹脂製型枠の素材として好適な例を挙げたものである。樹脂製型枠の素材としては、例えばABS樹脂、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂を用いて作製することが望ましい。
請求項3に係る本発明として、前記スリット溝は、前記フランジ部の対向する1組の両側部において、それぞれ上下2段又は左右2段で2条ずつ形成されている請求項1、2いずれかに記載のコンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠が提供される。
上記請求項3記載の発明は、スリット溝の形成パターンの一例を示したものである。後述の形態例に示すように、前記スリット溝は、前記フランジ部の対向する1組の両側部において、それぞれ上下2段又は左右2段で2条ずつ形成することができる。これら2条のスリット溝で挟まれたフランジ片部分をペンチ等で摘まんで、そのまま引き剥がすことにより脱型を容易に行うことが可能となる。
請求項4に係る本発明として、前記スリット溝は、前記フランジ部の対向する2組の両側部において、一方の両側部にはそれぞれ上下2段で2条ずつ形成され、他方の両側部には左右2段で2条ずつ形成されている請求項1、2いずれかに記載のコンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠が提供される。
上記請求項4記載の発明は、スリット溝の形成パターンの他例を示したものである。後述の形態例に示すように、前記スリット溝は、前記フランジ部の対向する2組の両側部において、一方の両側部にはそれぞれ上下2段で2条ずつ形成され、他方の両側部には左右2段で2条ずつ形成することにより、2条のスリット溝で挟まれた各フランジ片部分をペンチ等で摘まんで、そのまま引き剥がすことにより脱型を容易に行うことが可能となる。
請求項5に係る本発明として、請求項1~4いずれかに記載の前記樹脂製型枠のフランジ部の表面側に、外寸法がフランジ部と同寸法とされ、内部に開口を有する樹脂製の成形板が配設されるとともに、前記成形板の表面側であって前記成形板の開口よりも上側となる部分に前記成形板よりも肉厚が大きくかつ下端縁が尖鋭状とされた樹脂製のスリット板が配設され、これらの部材が連結手段によって一体化されていることを特徴とするボス型枠が提供される。
上記請求項5記載の発明では、前記樹脂製型枠と、樹脂製の成形板と、樹脂製のスリット板とによってボス型枠が構成される。すべての部材を樹脂製としたことによって軽量化と製作コストの低廉化を図ることが可能となる。
請求項6に係る本発明として、前記スリット板に、構造コンクリートからコンクリート強度試験用供試体を割取るための割取り用ボルトを螺入するためのネジ孔が形成されている請求項5記載のボス型枠が提供される。
上記請求項6記載の発明では、本発明ではボス型枠のすべてが樹脂製であるため、割取り用ボルトを螺入するためのネジ孔は最も肉厚の大きい前記スリット板に形成するようにしたものである。割取り用ボルトの螺進によってネジ係合部分を割取り力が作用することになるため、十分な強度を確保するためである。
請求項7に係る本発明として、前記樹脂製型枠に成形板及びスリット板が配設された状態で、前記スリット板の上部両隅と、前記成形板の下部両隅の4箇所にそれぞれ、コンクリート打設用型枠に取り付けるための釘孔が設けられている請求項5、6いずれかに記載のボス型枠が提供される。
上記請求項7記載の発明では、前記樹脂製型枠に成形板及びスリット板が配設された状態で、前記スリット板の上部両隅と、前記成形板の下部両隅の4箇所にそれぞれ、コンクリート打設用型枠に取り付けるための釘孔を設けるようにしたものである。本発明では、前記樹脂製型枠のフランジ部に複数条のスリット溝が形成されているため、各フランジ片が自由に可動可能となる。このような状態ではコンクリートを充填した際に十分なシール機能が果たせない可能性があるため、コンクリート打設用型枠にボス型枠をセットした状態で、四隅に釘を打ち込んで成形板によって各フランジ片を挟み付けるようにすることで十分なシール機能を持たせることが可能となる。
以上詳説のとおり本発明によれば、ボス供試体を作製するための樹脂製型枠において、コンクリート充填後の脱型作業の容易化を図ることできるようになる。
また、成型板及びスリット板の樹脂化することにより軽量化と製作コストの低廉化を図ることができるようになる。
本発明に係る樹脂製型枠1を示す、開口部を上にした状態での斜視図である。 樹脂製型枠1の正面図である。 樹脂製型枠1の平面図である。 樹脂製型枠1の側面図である。 樹脂製型枠1の背面図である。 樹脂製型枠1と成形板12とスリット板13との組立て要領斜視図である。 その組立て要領側面図である。 組立て完了状態を示す成形板12の正面図である。 成形板12を示す正面図である。 スリット板13を示す、(A)は正面図、(B)は側面図である。 樹脂製型枠1の変形例を示す正面図である。 樹脂製型枠1と成形板12とスリット板13との連結手段の他例を示す要部縦断面図である。 ボス型枠のコンクリート打設用型枠30への取付け状態を示す側面図である。 コンクリート打設完了状態を示す中間断面図である。 ボス供試体の割取り要領を示す図である。 第2形態例においてキャップボルト34の取り付け例を示す、ボス型枠のコンクリート打設用型枠30への取付け状態側面図である。 第3形態例のおける、樹脂製型枠1と成形板12とスリット板13との組立て要領斜視図である。 ボス型枠のコンクリート打設用型枠30への取付け状態を示す側面図である。 ボス型枠のコンクリート打設用型枠30への取付け状態を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
構造体コンクリートの品質を直接的に検査できるボス供試体を得るためのボス型枠は、図6に示されるように、樹脂製型枠1と、成形板12と、スリット板13とから構成されるものである。
前記樹脂製型枠1は、箱形の型枠であり、その素材は耐熱性、機械的強度、耐油性、耐衝撃性、光沢性、加工性に優れたABS樹脂や、コンクリートとの剥離性が良いポリエチレン樹脂好ましくは高密度のポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂等の合成樹脂によって製作されている。これらの中でも、ABS樹脂が機械的強度、耐衝撃性や加工性の点で望ましい。以下、この樹脂製型枠1について、図1~図5に基づいて詳述する。
前記樹脂製型枠1は、図1に示されるように、一面が開口部Aとされ周方向の4つの側面4と、底面5とからなる型枠本体部2と、この型枠本体部2の開口部Aを囲むように周方向に沿って設けられたフランジ部3とから構成されるとともに、前記型枠本体部2の外周面には複数条のリブ6が所定間隔をもって連続的に形成されている。
前記型枠本体部2は、少なくとも肉厚が3mm以上、好ましくは3~5mm程度の樹脂で構成されている。説明の便宜上、コンクリート打設用型枠への取付け姿勢状態で上面となる面を上側面4A、下面となる面を下側面4B、両側の側面を左右側面4C、4Dとする。型枠本体部2の全体の剛性(強度)を向上させるために、前記側面4A~4D及び底面5の外周面には、所要幅でかつ所要高さで複数条のリブ6、6…が所定間隔をもって連続的に形成されている。具体的には、前記リブ6は、上側面4Aから対向する下側面4Bまで底面5の外表面を通して連続して形成されるリブ6aが水平方向に所定の間隔で複数条、図示例では10条形成されている。一方、左側面4Cから対向する右側面4Dまで底面5の外表面を通して連続して形成されるリブ6bが水平方向に所定の間隔で複数条、図示例では4条形成されている。上下側面4A、4Bと底面5とに連続して形成されたリブ6a、6a…と、左右側面4C、4Dと底面5とに連続して形成されたリブ6b、6b… とは、図5に示されるように、底面5の外表面において格子状に交差した状態となっており、このような多数のリブ6の存在によって型枠本体部2の強度及び剛性が大幅に増強されている。なお、前記上側面4Aには、図3にも示されるように、縦及び横方向に所定の間隔で空気抜き孔4a、4a…が複数個形成され、図6に示されるように、前記上側面4Aの内面に通気性シート14を張設するようにしている。
一方、前記フランジ部3は、同じく少なくとも肉厚が3mm以上、好ましくは3~5mm程度の樹脂で構成されている。説明の便宜上、図2に示されるように、コンクリート打設用型枠への取付け姿勢状態で上部を上フランジ3A、下部を下フランジ3B、両側の側部を左右フランジ3C、3Dとする。図示例では、上フランジ3Aと、左右フランジ3C、3Dとがほぼ同じ幅寸法とされ、前記下フランジ3Bの幅がそれよりも小さい寸法となっている。なお、図2中、一点鎖線で示された矩形線は、ボス型枠をコンクリート打設用型枠へ取り付けるために、コンクリート打設用型枠に形成する開口部の枠線である。
前記フランジ部3において、コンクリートを充填し硬化した後の脱型作業を容易化するために、前記開口部Aの縁からフランジ部3の外縁までの区間に亘ってスリット溝8を複数本形成するとともに、前記型枠本体部2の側面4に対して前記スリット溝8に実質的に連続するように前記底面5までの区間に亘って断面V字状に薄肉化された切込み溝9を形成している。具体的には、図2に示されるように、前記フランジ部3の対向する1組の両側部3C、3Dにおいて、それぞれ上下2段で水平方向に沿ってスリット溝8a、8b(8c、8d)が形成され、図4に示されるように、前記スリット溝8の開口部端部若しくはその近傍(2mm内)から連続して前記型枠本体部2の側面3に対して底面5までの区間に亘って断面V字状に薄肉化された切込み溝9a、9bを形成している。なお、「実質的に連続するように」とは、前記スリット溝8の開口部端部から連続する形態以外に、その近傍(2mm以内)から連続する形態をも含むことを意味する。
以上のように、樹脂製型枠のフランジ部に複数条のスリット溝を形成し、かつこれから実質的に連続するように底面までに区間に切込み溝9a、9bを形成したことによって、ボス型枠ごと割取た後に、樹脂製型枠1を引き剥がしてボス供試体を取り出す際には、スリット溝によって幾つかに分断された各フランジ片をペンチ等で摘まんで、そのまま引き剥がすことにより容易に脱型を行うことができるようになる。
また、前記フランジ部3において、上フランジ3Aには、後述する成形板12と、スリット板13と組み合わせるための連結手段として連結ピン10が左右それぞれの位置に立設されている。前記連結ピン10は、略円柱形状のピン部材であり、半径方向に拡縮変形が可能なように十字方向に4分割されている。また、前記上フランジ3Aには、構造コンクリートからボス型枠ごと割取るためのボルトを挿通するための挿通孔11が2つ形成されている。
前記樹脂製型枠1に対しては、図6に示されるように、成形板12とスリット板13とが組み付けられ、ボス型枠が完成する。具体的には、前記樹脂製型枠1のフランジ部3の表面側に、外寸法が前記フランジ部3と同寸法とされ、内部に開口を有する樹脂製の成形板12が配設されるとともに、前記成形板12の表面側であってほぼ上側フランジ部3Aに対応する部分に前記成形板12よりも肉厚が大きくかつ下端縁が尖鋭状とされた樹脂製のスリット板13が配設される。
前記成形板12は、前記樹脂製型枠1と同様に、その素材はABS樹脂や高密度のポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂によって製作されている。これらの中で、特に、コンクリート打込み時の圧力で変形しない剛性を有する点でポリカーボネート樹脂を用いることがより望ましい。
図9に示されるように、外寸法(縦×横寸法)は前記樹脂製型枠1のフランジ部3と同寸法とされ、内部に開口12Aが形成されている。前記開口12Aは、組立て完了状態の正面図の図8に示されるように、樹脂製型枠1の開口部Aよりも縦寸法及び横寸法ともに小さく形成されている。成形板12の上部側には、前記フランジ部3に形成された連結ピン10に対応する位置に矩形状の開孔15、15が形成されているとともに、前記挿通孔11に対応する位置に同形状の挿通孔16が形成されている。また、上部両隅及び下部両隅の4箇所にそれぞれ、ボス型枠をコンクリート打設用型枠に取り付けるための釘孔17、17…が設けられている。
一方、前記スリット板13は、前記樹脂製型枠1と同様に、その素材はABS樹脂や高密度のポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂によって製作されている。これらの中で、特に、コンクリートの剥離性だけでなく、供試体割取り時にしっかりと強度を伝達して、割取りをスムーズにする強度を有する点からポリカーボネート樹脂を用いることがより望ましい。
図10に示されるように、横寸法は前記成形板12と同寸法とされ、縦寸法は成形板12の開口12Aより上側のフランジ部分の幅寸法と同程度となっている(図8参照)。また、標準部の肉厚は前記成形板12よりも肉厚が大きく、具体的には少なくとも6mm以上、好ましくは6~12mm程度の厚みとされ、下端縁13aは尖鋭状とされる。このスリット板13はボス型枠を構造コンクリートから割り取る際の割裂力を作用させるための伝達部材であり、前記尖鋭状の下端縁13aを基点としてコンクリートにクラックを発生させる。
このスリット板13は、剛性付与のために厚みが必要とされるが、重量が必要とされるわけではないため、図示例のように、格子状に肉盗みを形成し、軽量化とコスト低減とを図っている。
前記スリット板13においては、前記フランジ部3に形成された連結ピン10に対応する位置に矩形状の開孔18、18が形成されているとともに、前記挿通孔11に対応する位置に、構造コンクリートから樹脂型枠ごとコンクリート強度試験用供試体を割取るための割取り用ボルトを螺入するためのネジ孔19、19が形成されている。また、上部両隅にそれぞれ、ボス型枠をコンクリート打設用型枠に取り付けるための釘孔20、20が設けられている。
なお、前述した特許文献1では、前記割取り用ボルトの螺入用ネジ孔を成形板(金属製)に対して形成したが、本発明では成形板12を樹脂製としたため、十分な強度が確保できなくなるおそれがあったため、比較的厚みを有するスリット板13に対して前記割取り用ボルトの螺入用ネジ孔を形成するようにしている。
組立ては、図6に示されるように、樹脂製型枠1の上側面4Aの内面に通気性シート14を張設する。通気性シート14としては、通気性を有する不織布や多孔性フィルムなどを好適に使用することができる。
そして、樹脂製型枠1のフランジ部3の表面側に、前記成形板12を重ね合わせる。その際、前記フランジ部3に形成された連結ピン10を前記成形板12の矩形状の開孔15に貫入させるようにする。前記連結ピン10の外径は開孔15よりも若干大きく形成されており、連結ピン10が半径方向に縮小しながら開孔15に嵌め込まれることにより一体化される。
次に、前記スリット板13が記成形板12の表面側であって前記成形板12の開口12Aよりも上側部分に重ね合せる。その際に、前記フランジ部3に形成された連結ピン10を前記スリット板13の矩形状の開孔18に貫入させるようにする。前記連結ピン10の外径は開孔18よりも若干大きく形成されており、連結ピン10が半径方向に縮小しながら開孔18に嵌め込まれることにより一体化される。
以上の要領によって組立てが完了し、ボス型枠が完成する。
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、前記フランジ部3の対向する1組の両側部3C、3Dにおいて、それぞれ上下2段で水平方向に沿ってスリット溝8a、8b(8c、8d)が形成されたが、前記フランジ部3の対向する1組の両側部3A、3Bにおいて、それぞれ左右2段で鉛直方向に沿ってスリット溝を形成するようにしてもよい。更には、これらを組み合わせて、図11に示されるように、前記フランジ部の対向する2組の両側部3C、3D(3A、3B)において、一方の両側部3C、3Dにはそれぞれ上下2段で2条ずつスリット溝8a、8b(8c、8d)が形成され、かつ他方の両側部3A、3Bには左右2段で2条ずつスリット溝8e、8g(8f、8h)が形成されるようにしてもよい。この形態例では、開口部Aの隅部を跨ぐように両側にスリット溝が形成されているため、最も剥離し難い隅部の剥離容易性に優れるようになる。
(2)上記形態例では、フランジ部3と、成形板12と、スリット板13との連結を前記フランジ部3に設けた連結ピン10の貫入によって行うようにしたが、図12(A)に示されるように、皿ナジ21の螺入によってこれらの部材の連結を図るようにしても良いし、図12(B)に示されるように、ボルト・ナット22によってこれらの部材の連結を図るようにしてもよい。
〔施工例〕
次に、図13~図15に基づいて、前記ボス型枠を用いたボス供試体の作製方法、割取り要領について詳述する。
先ず、図13に示されるように、コンクリート打設用型枠30の所定箇所にボス型枠設置のために開口30aを形成する。この開口30aの大きさは、図2に一点鎖線7で示した大きさとされる。
次に、ボス型枠を持ち込み、コンクリート打設用型枠30の内部側から樹脂製型枠1の型枠本体部2を前記開口30aから外部に突出させ、フランジ部3の裏面をコンクリート打設用型枠30に当接させる。そして、ボス型枠の四隅に形成されている釘孔20、17から釘23を打ち込んでボス型枠の固定を図るようにする。
ここまでの準備が完了した後、コンクリート打設用型枠30内にコンクリートを打設する。打設されたコンクリートは、図14に示されるように、成形板12の開口12Aから樹脂製型枠1内に流入し、空気孔4aの存在によって樹脂製型枠1内の空気は通気性シート14を透過して外部に排出され、樹脂製型枠1内の空気溜りを無くしながら、コンクリートは樹脂製型枠1内の隅々まで充満されるようになる。打設したコンクリートは、コンクリート打設用型枠30及び樹脂製型枠1内で同じ環境の下で、所要時間に亘って養生され硬化する。
その後、所定時間が経過し構造体コンクリートが完全に硬化したならば、コンクリート打設用型枠30を撤去する。そして、図15に示されるように、フランジ部3の挿通孔11、成形板12の挿通孔16を通して、割取り用ボルト31のネジ部を差し込み、スリット板13のネジ孔19に対して割取り用ボルト31を螺入させる。そして、スパナ又はラチェットレンチ32を持ち込み、更に割取り用ボルト31を締め付ける方向に回すと、割取り用ボルト31のネジ部先端が構造コンクリートに当接した後は反作用的にスリット板13が剥離する方向に移動されることによりスリット板13の先端(尖鋭部)を基点として、成形板12の開口12Aの位置にひび割れ33が発生する。このひび割れ33によって、スリット板13、成形板12と共に樹脂製型枠1を構造体コンクリートから割り取り(分離)することができる。
そして、前記樹脂製型枠1から前述した要領によって脱型を行い、構造体コンクリートと一体成形されたコンクリート強度試験用供試体(ボス供試体)を得るようにする。
前記形態例における箱型の樹脂製型枠1は、軽量でありながらコンクリートの打ち込みや締固め、および運搬などの作業によっても変形せず、予定した寸法の供試体が精度よく形成できる。前記箱型の樹脂製型枠1については、供試体が長方形であり、例えば、縦・横・長さが75mm×75mm×150mm、100mm×100mm×100mm、100mm×100mm×200mm、125mm×125mm×250mm用の樹脂製型枠とすることができる。
〔第2形態例〕
上記施工形態例では、前記フランジ部3の挿通孔11と、成形板12の挿通孔16と、スリット板13のネジ孔19とによって構成される空間にコンクリートが充填されてしまうことになるため、このコンクリートの除去作業が余計に掛かってしまうことになる。そこで、図16に示されるように、コンクリート打設用型枠30の開口30aは、前記前記フランジ部3の挿通孔11部分を含んで形成するようにし、外側からキャップボルト34を差し込んで、挿通孔11、16及びネジ孔19の空間をネジ部分で埋めるようにすることで該空間へのコンクリート充填を防止し、割取り用ボルト31を円滑に挿入可能とできる。
〔第3形態例〕
次に、図17~図19に基づいて、第3形態例について詳述する。
本第3形態例では、構造体コンクリートからの割取り時に、前記スリット板13に形成したネジ孔19のネジ山は樹脂で形成されているため潰れてしまうことが懸念される。それを防止するためには、図17に示されるように、前記ネジ孔19に代えて六角孔24を形成し、この六角孔24に鋼ナット25を嵌合設置するようにすることが望ましい。従って、割取り用ボルト31を螺合させて割り取る際にも、鋼ナット25はネジ山が潰れることがないため、問題なく樹脂製型枠1を構造体コンクリートから割り取り(分離)することができるようになる。
また、上記第1形態例では、スリット板13と、成形板12と、樹脂製型枠1とを組み立てるのに、樹脂製型枠1のフランジ部3に形成した連結ピン10を用いるようにしたが、これらスリット板13と、成形板12と、樹脂製型枠1との一体化を強固に行うために、本第3形態例では、ボルト26を用い、このボルト26のネジ部を前記フランジ部3に形成した挿通孔11と、成形板12の挿通孔16とを通して差し込み、前記鋼ナット25に螺合させることにより、これら3部材の一体化を図るようにしてもよい。
図18及び図19は、第3形態例に係るボス型枠の型枠30への取付け状態を示したものである。これらの図に示されるように、コンクリート硬化後の割取り時に、コンクリートから剥離し易いようにするため、前記樹脂製型枠1と、成形板12と、スリット板13との組立状態で、これら3部材に亘って、それらの上面及び側面において、コンクリート空間側に向かって内側方向(樹脂製型枠1の中心側方向)に傾斜するテーパー27を設けるようにしてもよい。
1…樹脂製型枠、2…型枠本体部、3…フランジ部、4A~4D…側面、5…底面、6(6a・6b)…リブ、8(8a~8h)…スリット溝、9(9a・9b)…切込み溝、10…連結ピン、11…挿通孔、12…成形板、13…スリット板、14…通気性シート、15…矩形状の開孔、16…挿通孔、17…釘孔、18…矩形状の開孔、19…ネジ孔、20…釘孔、21…皿ネジ、22…ボルト・ナット、23…釘、30…コンクリート打設用型枠、30a…開口、31…割取り用ボルト、32…スパナ又はラチェットレンチ、33…ひび割れ、34…キャップボルト、24…六角孔、25…鋼ナット、26…ボルト、27…テーパー

Claims (7)

  1. コンクリート強度試験用供試体を作製するための箱形の樹脂製型枠であって、
    前記樹脂製型枠は、一面が開口部とされ周方向の4側面と底面とからなる型枠本体部と、この型枠本体部の開口部を囲むように周方向に沿って設けられたフランジ部とから構成されるとともに、前記型枠本体部の外周面に複数条のリブが所定間隔をもって連続的に形成され、
    前記フランジ部において、前記開口部の縁からフランジ部の外縁までの区間に亘ってスリット溝を複数本形成するとともに、前記型枠本体部の外面に対して前記スリット溝に実質的に連続するように前記底面までの区間に亘って断面V字状に薄肉化された切込み溝を形成したことを特徴とするコンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠。
  2. 前記樹脂製型枠は、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂によって製作されている請求項1記載のコンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠。
  3. 前記スリット溝は、前記フランジ部の対向する1組の両側部において、それぞれ上下2段又は左右2段で2条ずつ形成されている請求項1、2いずれかに記載のコンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠。
  4. 前記スリット溝は、前記フランジ部の対向する2組の両側部において、一方の両側部にそれぞれ上下2段で2条ずつ形成され、他方の両側部に左右2段で2条ずつ形成されている請求項1、2いずれかに記載のコンクリート強度試験用供試体のための樹脂製型枠。
  5. 請求項1~4いずれかに記載の前記樹脂製型枠のフランジ部の表面側に、外寸法がフランジ部と同寸法とされ、内部に開口を有する樹脂製の成形板が配設されるとともに、前記成形板の表面側であって前記成形板の開口よりも上側となる部分に前記成形板よりも肉厚が大きくかつ下端縁が尖鋭状とされた樹脂製のスリット板が配設され、これらの部材が連結手段によって一体化されていることを特徴とするボス型枠。
  6. 前記スリット板に、構造コンクリートからコンクリート強度試験用供試体を割取るための割取り用ボルトを螺入するためのネジ孔が形成されている請求項5記載のボス型枠。
  7. 前記樹脂製型枠に成形板及びスリット板が配設された状態で、前記スリット板の上部両隅と、前記成形板の下部両隅の4箇所にそれぞれ、コンクリート打設用型枠に取り付けるための釘孔が設けられている請求項5、6いずれかに記載のボス型枠。
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