JP7291641B2 - 供試体型枠および供試体作成方法 - Google Patents
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Description
供試体は、例えば、非特許文献1に示すように、JIS基準に準じてφ10cmまたはφ15cmの鋼製円筒形モールドを使用して作成する。非特許文献1では、モールドに投入した安定処理土を、JIS A 1210に準じて突き固めた後、モールドに収容したまま養生し、自立可能な強度が発現したらモールドから取り出してさらに養生する。供試体の作成に使用するモールドは、突き固め時に変形することがないように重厚に形成されているため、脱型前の運搬や脱型時の作業に労力を要する。また、試験では、多数の供試体を使用する必要があるが、モールドの平面形状は供試体の平面寸法に比較して大きいため、大きな養生スペースが必要となる。
そのため、特許文献1には、改良土が充填される中枠と、内側に中枠が嵌合される外枠とを備える合成樹脂製の改良土供試体用型枠が開示されている。特許文献1の改良土試験用型枠は、合成樹脂製であるため、軽量で取り扱いやすい。
ところが、合成樹脂製の改良土供試体用型枠は、突き固めに対して十分な剛性を有していないため、突き固め時に変形するおそれがある。型枠が変形すると、所定形状の供試体を作成できなくなるため、試験の精度が低下してしまう。
かかる供試体型枠によれば、外枠が安定処理土の突き固め時の作用応力に対して十分な耐力を有しているため、所定の形状の供試体を作成することができる。また、安定処理土の突き固め後、外枠を内枠から取り外すことで、脱型前の供試体の取り扱い性が向上するとともに、養生スペースの削減が可能となる。そのため、供試体を多数作成する場合であっても、養生スペースを確保しやすい。
なお、前記内枠の外面形状と前記外枠の内面形状が、同形状であれば、内枠と外枠が密着し、安定処理土の突き固め時の内枠の変形をより確実に抑制することができる。
かかる供試体作成方法によれば、養生工程において外枠を取り外すため、養生時の供試体が取り扱いやすくなり、その後の作業も容易となる。また、外枠を取り外した状態で養生工程を行うので、養生スペースの削減が可能となる。
内枠2は、セメント安定処理土Soが投入される円筒状の容器である。本実施形態では、内枠2として、金属製の有底の筒体を使用する。本実施形態の内枠2は、内径150mm、高さ300mmである。内枠2は、軽量で取り扱いやすい形状(例えば、部材厚が薄く、突起等がない形状)であるのが望ましい。また、内枠2の一部には、上下方向に二条の切込みが入っていて、供試体Sを取り出す際に、切込みにおいて内枠2の一部を帯状に引き剥がすことが可能となっている。すなわち、内枠2は、使い捨ての容器であり、内部に充填されたセメント安定処理土So(供試体S)に所定の強度が発現した後、一部を引き剥がすことでスリット状の開口を形成し、この開口を利用して残りの部分を取り外す。なお、内枠2を構成する材料は、供試体Sを取り出しやすいものであれば限定されるものではなく、例えば、プラスチック等の合成樹脂材であってもよいし、紙材であってもよい。また、内枠2の形状寸法は限定されるものではなく、例えば内径100mmとするなど、試験方法等に応じて適宜決定すればよい。また、内枠2は、必ずしも有底である必要はなく、底部分がない筒体であってもよい。
なお、外枠3の構成は、内枠2に密着した状態で装着可能であれば限定されるものではなく、例えば、いわゆる割り型モールドや鋳鉄製モールド等を使用してもよい。
準備工程では、図3(a)に示すように、内枠2の外側に外枠3を装着して供試体型枠1を組み立てる。具体的には、まず、内枠2を、底板5の上面中央に立設する。このとき、底板5には、予め一方の外枠構成材4を固定しておくのが望ましい。外枠構成材4は、下端の固定部6に挿通したボルト8を底板5のネジ穴7に螺着することにより固定する。底板5に一方の外枠構成材4が固定されている場合には、内枠2を当該外枠構成材4の内面に当接させた状態で、底板5上に配置する。底板5の上に内枠2を配置したら、内枠2を挟むように一対の外枠構成材4,4を組み合わせる。一対の外枠構成材4,4は、側端面同士を突き合せ、重ね合わされた固定部6同士をボルト8とナットにより固定する。また、底板5の上に配設された外枠構成材4は、下端の固定部6に挿通したボルト8をネジ穴7に螺合することにより底板5に固定する。
また、セメント安定処理土Soの突き固め後、外枠3を内枠2から取り外すことで、脱型前の供試体Sの取り扱い性が向上する。そのため、脱型前の供試体Sを容易に移動させることができる。このとき、供試体Sは、内枠2によって表面が保護されているため、供試体Sに破損が生じることや供試体Sが変形することを抑制できる。また、供試体Sは、土の締固め試験等で利用する一般的なモールドに比べて、締結治具等の構成部材が排除された筒状の内枠2のみが外装された状態となるため、養生スペースの削減が可能となる。そのため、供試体Sを多数作成する場合であっても、養生スペースを確保しやすい。
また、内枠2の外面形状と外枠3の内面形状が、同形状であるため、内枠2と外枠3が密着し、セメント安定処理土Soの突き固め時に内枠2が変形することがない。
前記実施形態では、土と水とセメントとを混合してなるセメント安定処理土Soを利用して供試体Sを作成する場合について説明したが、供試体Sを構成する材料は限定されるものではない。例えば、セメント以外の固化材が混合されていてもよいし、セメントに加えて混和材が混合されていてもよい。
2 内枠
3 外枠
S 供試体
So セメント安定処理土(安定処理土)
Claims (3)
- 安定処理土の強度試験に用いられる供試体を作成するための供試体型枠であって、
安定処理土が投入される円筒状の内枠と、前記内枠の外側に着脱される外枠と、を備え、
前記外枠は、組み合わせると円筒状になる複数の外枠構成材と、底板と、を備えていて、前記内枠内の前記安定処理土を締め固めた際に前記内枠に作用する側圧により変形することがない剛性を有しており、
前記外枠構成材の周方向端部には、側方に張り出す周端固定部が上下に二カ所ずつ形成されているとともに、前記外枠構成材の下端中央には、側方に張り出す下端固定部が形成されていて、
前記外枠構成材は、隣接する他の外枠鋼製材と、前記周端固定部同士を重ねた状態で当該周端固定部に挿通したボルトにより接合され、前記下端固定部に挿通したボルトを前記底板に螺着することにより前記底板に固定されており、
前記内枠は、上下方向に二条の切込みが入った金属製の有底の筒体からなることを特徴とする、供試体型枠。 - 前記内枠の外面形状と、前記外枠の内面形状とが同形状であることを特徴とする、請求項1に記載の供試体型枠。
- 請求項1または請求項2に記載の供試体型枠を使用する供試体作成方法であって、
前記外枠が装着された前記内枠に安定処理土を投入する材料投入工程と、
前記外枠を取り外して前記安定処理土を養生する養生工程と、を備え、
前記材料投入工程では、前記安定処理土を所定回数突き固めることを特徴とする、供試体作成方法。
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