JP2022133067A - 包装容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】自立可能な可撓性の包装容器としての機能を維持しつつ、収容物を使い切った後にはシート材のフィルム層どうしを容易に分離することが可能な包装容器を提供する。【解決手段】シート材が製袋されて形成された、前面、後面、および底面を有する包装容器であって、紙層を含む最外フィルム層と、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材により構成された内側樹脂フィルム層と、これらを接着している、水溶性樹脂により構成された接着層と、を有するシート材が、最外フィルム層が最も外部側に配置されるように折り畳まれ、前面構成シート部と後面構成シート部との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部が形成され、収容領域を包囲するように製袋されて形成されており、少なくとも収容領域に収容物が収容されて底面を下側にして載置面に設置された状態で自立可能である包装容器。【選択図】図1

Description

本発明は、包装容器に関する。
近年、プラスチック成形容器よりも樹脂原料の使用量が少なく、且つ収容物が収容された状態で自立可能である可撓性の包装容器が開発されてきている。この包装容器は、プラスチック成形容器よりも樹脂原料の使用量が少ないためプラスチック資源使用量や廃棄物量の削減が可能であり、収容物の収容前にはかさばらないような大きさに縮小することができるため輸送や保管などがし易く、収容物が収容された状態で自立可能であるため店頭などにおいて自立させて陳列することができ、さらに収容物を使い切った後には小さく押しつぶすことができるため廃棄物の体積も削減が可能となるものである。
例えば特許文献1には、二つ折りした底部材を、折り部を上にして表裏のフィルムの下端に挟み込み、周縁部をシールした自立性包装袋であって、底部材に内容物収納部とは別の独立充填室が設けられている、自立性が確保された自立性包装袋が開示されている。
特開2015-000726号公報
このような自立可能な可撓性の包装容器は、通常、複数のフィルム層が積層された積層フィルムのシート材を用いて形成されている。そして、この積層フィルムのシート材は、可撓性だけでなく、印刷適性や遮光性など包装容器としたときに求められる特性が多岐にわたるため、積層されている複数のフィルム層の一部に、他のフィルム層を構成する材料とは種類が異なる異種材料により構成されたフィルム層を含む場合が多い。
しかしながら、このような積層フィルムのシート材により形成された包装容器は、収容物を使い切った後にリサイクルする場合において、焼却により発生するエネルギーを回収し利用するサーマルリサイクルを行う場合はともかく、マテリアルリサイクルの一態様である、同じような包装容器の原料に再生して利用する水平リサイクルを行う場合などにおいて、シート材の異種材料により構成されたフィルム層どうしを剥離して別々に分離することが難しく、また、このような分離を行わずにそのまま水平リサイクルなどを行うと、得られるリサイクル材料(再生樹脂)の品質が低下してしまうという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、自立可能な可撓性の包装容器としての機能を維持しつつ、収容物を使い切った後にはシート材のフィルム層どうしを容易に分離することが可能な包装容器、および容器詰め品に関する。
本発明は、シート材が製袋されて形成された、前面、後面、および底面を有する包装容器であって、このシート材は、包装容器において最も外部側に配置される最外フィルム層と、最外フィルム層よりも包装容器の内部側に配置される内側樹脂フィルム層と、最外フィルム層と内側樹脂フィルム層との間に配置され、最外フィルム層と内側樹脂フィルム層とを接着している接着層と、を有し、最外フィルム層は紙材により構成された紙層を含み、内側樹脂フィルム層はポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材により構成されており、接着層は水溶性樹脂により構成されており、さらにこのシート材は、前面を構成する前面構成シート部と、後面を構成する後面構成シート部と、底面を構成する底面構成シート部と、を含み、このシート材が、最外フィルム層が包装容器において最も外部側に配置されるように折り畳まれ、前面構成シート部と後面構成シート部との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部が形成され、シート材が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋されて形成されており、少なくとも収容領域に収容物が収容されて底面を下側にして載置面に設置された状態で自立可能である包装容器に関する。
本発明によれば、自立可能な可撓性の包装容器としての機能を維持しつつ、収容物を使い切った後にはシート材の最外フィルム層を内側樹脂フィルム層から容易に剥離させて分離することが可能な包装容器、および容器詰め品を提供することができる。
本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態の斜視図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態の変形例の斜視図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第2実施形態の斜視図である。 本発明の実施形態に係る包装容器を形成しているシート材の断面図である。 本発明の実施形態に係る包装容器を形成しているシート材の変形例の断面図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態のさらなる変形例の上部側を拡大した斜視図である。 本発明の実施形態に係る包装容器を形成しているシート材のさらなる変形例の断面図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態の別の変形例の上部付近を拡大した斜視図である。 図8の包装容器を形成しているシート材を展開した展開図である。 本発明の実施形態に係る包装容器を形成しているシート材の別の変形例の断面図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第2実施形態を形成しているシート材の変形例の断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、一部の図面については、便宜上、符号を付していない(省略している)箇所がある。さらに、図面に示された各部材の寸法比率は、発明の理解を容易にするために、実際の寸法比率とは異なる場合がある。
〔全体構成〕
まず、図1から図3を用いて本発明に係る包装容器および容器詰め品の実施形態の全体構成について説明する。
本発明に係る包装容器は、シート材が製袋されて形成された包装容器であって、以下の実施形態を包含するものである。
本実施形態に係る包装容器100は、シート材200が製袋されて形成された、前面、後面、および底面を有するものである。このシート材200は、包装容器100を形成したときに最も外部側に配置される最外フィルム層11と、最外フィルム層11よりも包装容器100の内部側に配置される内側樹脂フィルム層21と、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21との間に配置され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接着している接着層31と、を有する。そして、最外フィルム層11は紙材により構成された紙層11aを含み、内側樹脂フィルム層21はポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材により構成されており、接着層31は水溶性樹脂により構成されている。さらに、このシート材200は、少なくとも、前面を構成する前面構成シート部203と、後面を構成する後面構成シート部205と、底面を構成する底面構成シート部204と、を含み、このシート材200が、最外フィルム層11が包装容器100において最も外部側に配置されるように折り畳まれ、前面構成シート部203と後面構成シート部205との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部101が形成され、シート材200が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋されて包装容器100が形成されている。そして、この包装容器100は、少なくとも収容領域に収容物が収容されて底面を下側にして載置面に設置された状態で自立可能である。つまり、少なくとも収容領域に収容物が収容された状態で、底面を下側にして自立可能な剛性を有する。
例えば、本実施形態に係る包装容器100は、図1から図3に示すような、シート材200が少なくとも包装容器100の前面、後面、および底面を構成するように折り畳まれ、シート材200の前面構成シート部203と後面構成シート部205とが対向する内面側の側縁部どうしで接合されて側部シール部101が形成され、さらに、シート材200の底面構成シート部204を含む領域がマチ構造となった底マチ部103が設けられ、袋状となったものが例示される。シート材200の接合(シール部の形成など)には、ヒートシール、超音波シール、接合剤などを用いることができるが、リサイクル性の観点から、シート材200の内側樹脂フィルム層21がヒートシール性を有する樹脂素材により構成され、上記接合がヒートシールによってなされたものであるのが好ましい。そして底マチ部103は、収容物を収容前などにおいては折り畳んで包装容器100の収容領域を縮小させることができ、且つ、収容物が収容領域に収容されたときに包装容器100に厚みを与えるように広がることができる構造を有する。
なお、この図1から図3に示す実施形態(第1実施形態および第2実施形態)のより詳細な構成については後述する。
さらに、本実施形態に係る包装容器100には、例えば図1から図3に示すように、包装容器100が底面を下側にして載置面に設置された状態での自立性をより高めるために、側部シール部101の下部側にスカート部108が形成されていても良い。このスカート部108は、側部シール部101の下部側に、前面構成シート部203の一部および底面構成シート部204の一部により構成された前側下部スカートシートと、後面構成シート部205の一部および底面構成シート部204の一部により構成された後側下部スカートシートと、が配置され、この前側下部スカートシートと後側下部スカートシートとの側縁部どうしが接合されたスカートシール部が形成され、このスカートシール部を介して前側下部スカートシートと後側下部スカートシートとが一繋がりになった部材であり、底マチ部103の両方の側端に配置されている。
また、本実施形態に係る包装容器100には、収容物を収容および排出が可能な開口部107が設けられるが、この開口部107は、例えば図1または図3に示すような、繰り返し開閉可能な口栓構造を有する構成(スパウト)であっても良い。この口栓構造は、キャップやポンプ付きキャップなどにより封止することができるネジ山が設けられていても良い。そして、この開口部107は、リサイクル性を高める観点から、内側樹脂フィルム層21を構成する樹脂素材(内側樹脂フィルム層21がポリオレフィン系樹脂を含む複数の種類の樹脂素材により構成されている場合はそれらのいずれか1つ)と同じ種類に分類される樹脂素材により構成されたものであるか、または最外フィルム層11などとともに内側樹脂フィルム層21から容易に分離が可能な構成であるのが好ましい。
あるいは、本実施形態に係る包装容器100は、例えば図2に示すような、その開口部107が収容領域におけるシート材200の非接合部分であり、この非接合部分から収容物を収容し、ヒートシールなどによってこの非接合部分が接合されて密封された構成であって、収容物の排出時には密封されている開口部107の一部が切除される構成あっても良く、包装容器100の形態などに応じて適宜選択可能である。
そして、このような本実施形態に係る包装容器100を使用して、収容領域に収容物が収容された容器詰め品を得ることができる。この容器詰め品に収容された収容物を使用する場合には、開口部107からこの収容物をスクイズやポンピング等によって排出して使用する。包装容器100に収容する収容物の種類は、特に限定されないが、例えば、シャンプー、リンス、ボディーソープ、洗顔料、洗剤、漂白剤、柔軟剤、飲料、食品、エンジンオイルなどが挙げられる。
また、この収容物は、液体(ペースト状のものを含む)であっても良いし、固体(例えば、粒状のもの(顆粒状のものを含む)、あるいは粉状のものなど)であっても良い。
収容物が液体である場合には、その粘度は、例えば30℃において1mPa・s以上であることが好ましく、そして、12万mPa・s以下であることが好ましく、6万mPa・s以下であることがより好ましい(いずれもB型粘度計(例えば東機産業社製ビスコメーターTV-10またはビスコメーターTVB-10など)により測定)。
〔シート材の層構成〕
次に、本発明に係る包装容器を形成するシート材の層構成の実施形態について、図4および図5を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係る包装容器100を形成するシート材200は、最外フィルム層11、内側樹脂フィルム層21、および接着層31を有する。そして、図4および図5に示すように、包装容器100の最も外部側から順に、最外フィルム層11、接着層31、内側樹脂フィルム層21が配置された層構成であり、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とは接着層31により接着されている。つまり、シート材200の製袋時においては、これらの層は積層されて一体となっている。
最外フィルム層11は、紙材により構成された紙層11a(ペーパーフィルム層)を少なくとも含む。そして、この最外フィルム層11は、紙層11aの単層であっても良く、あるいは、紙層11aが複数積層されていても良く、また、紙層11aと紙材以外の材料により構成された層(例えば樹脂フィルム層、金属フィルム層(アルミニウムフィルム層、銅フィルム層等)、ストーンペーパー層など)とが複数積層されていても良い。紙層11aは、紙材の特性(印刷適性、遮光性など)を有するため、この最外フィルム層11に、後述する内側樹脂フィルム層21の特性とは異なる紙材の特性を付与することができる。また、紙層11aが一定の厚さ(例えば坪量30g/m2以上、さらには坪量50g/m2以上)を有する構成であると、包装容器100が上記したような自立がよりし易くなる。
紙層11aを構成する紙材としては、例えば、クラフト紙、上質紙、模造紙、グラシン紙、パーチメント紙、合成紙、白板紙、マニラボール、ミルクカートン原紙、カップ原紙、アイボリー紙などが挙げられる。そして、その原料としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)あるいは針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)に代表される針葉樹由来のパルプや広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)に代表される広葉樹由来のパルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ、キュプラやレーヨン等の再生セルロース繊維などが挙げられる。耐久性の観点から、この紙層11aは、NBKPまたはNUKPを原料として用いた紙材により構成されたものであるのが好ましく、特に、これらのうち繊維長が比較的長いもの(例えば繊維長が0.5mm以上であるNBKPまたはNUKP)を原料として用いた紙材により構成されたものであるのがより好ましい。
内側樹脂フィルム層21は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材により構成された樹脂フィルム層であり、単層であっても、基材となる複数の樹脂フィルム層が積層された構成であっても良い。そして、内側樹脂フィルム層21から得られるリサイクル材料の品質向上という観点から、この内側樹脂フィルム層21は、ポリオレフィン系樹脂の単一種で構成されたものであるのが好ましい。ここで、「ポリオレフィン系樹脂の単一種で構成された」とは、内側樹脂フィルム層21を構成している樹脂素材が全てポリオレフィン系樹脂に分類される(単一種である)ことを意味する。つまり内側樹脂フィルム層21がモノマテリアルであることを意味する。したがって、内側樹脂フィルム層21が、複数の樹脂フィルム層が積層された構成である場合、それらの樹脂フィルム層を構成する全ての樹脂素材がいずれもポリオレフィン系樹脂に分類されることを意味する。なお、内側樹脂フィルム層21の表面や積層間には、例えばコーティング層などをさらに含んでも良いが、内側樹脂フィルム層21として上記したポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材以外の素材を実質的に含まない構成であることが好適であり、ポリオレフィン系樹脂以外の素材を実質的に含まない構成であることがより好適である。ここで、「実質的に含まない」とは、質量割合として1%未満であることを意味し、0.5%未満であることが好ましく、0%であることが最も好ましい。
この内側樹脂フィルム層21を構成する樹脂素材としては、少なくともポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)を含む構成であれば良く、ポリオレフィン系樹脂以外にポリエステル系樹脂などを含んでいても良い。なお、ポリエチレン系樹脂には、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、これらのいずれかを延伸した一軸延伸ポリエチレン(OPE)、二軸延伸ポリエチレン(BOPE)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)などが包含され、また、ポリエステル系樹脂には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(非晶性PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などが包含される。水平リサイクル等のし易さなどの観点から、このポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材は、ポリエチレン系樹脂を含む樹脂素材であるのがさらに好ましい。特に、内側樹脂フィルム層21がポリエチレン系樹脂の単一種で構成されていると、複数の樹脂フィルム層が積層された構成であっても積層間の接合をヒートシールにより容易に行うことができ、ラミネート接合を行うシーラント層を形成する必要がない。そして、前述したような最外フィルム層11を有するシート材200とすることによって、内側樹脂フィルム層21がポリエチレン系樹脂の単一種で構成されていても、得られる包装容器100としては、紙材の特性が付与されており且つ所定の剛性を有するものとなる。
接着層31は、水溶性樹脂により構成され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21との間に配置されて、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接着している層である。そして、水、温水、または熱による処理によってこの接着層31が有する粘着力を低下あるいは消失させることができ、最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から容易に剥離させて分離することができる。これによって、接着されていた最外フィルム層11が残存していない内側樹脂フィルム層21を容易に取得することができ、この内側樹脂フィルム層21を水平リサイクルすること等によって、品質の良い包装容器のリサイクル材料(再生樹脂)を得ることができる。
上記水溶性樹脂の例としては、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリイミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリアリルアミン樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノキシ樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性メラミン樹脂、およびポリビニルアルコール樹脂、ならびにこれらの樹脂の変性物などが挙げられる。そして、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、この接着層31を構成している水溶性樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)および/または水溶性のエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)であるのが好ましい。
なお、ポリビニルアルコール(PVA)は、ビニルアルコールの重合体を分子骨格として含むポリマーであり、ポリ酢酸ビニルをケン化する方法などにより得ることができるものである。そして、このポリビニルアルコールは、側鎖に水酸基および酢酸基以外の官能基を有するものであっても良い。また、その重合度は、上記した性能を有するものであれば限定されないが、例えば500~3000程度が例示される。ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコールの場合、ケン化度も、上記した性能を有するものであれば限定されないが、80mol%以上であるのが好ましく、例えば85~95mol%程度がより好ましい例として示される。
また、水溶性のエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)は、ビニルアルコールとエチレンとの共重合体を分子骨格として含むポリマーであり、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をケン化する方法などにより得ることができるものである。そして、この水溶性のエチレンビニルアルコール共重合体も、側鎖に水酸基および酢酸基以外の官能基を有するものであっても良く、その重合度やケン化度も、前述したポリビニルアルコールと同様の値であって良い。また、そのエチレン含有率も、上記した性能を有するものであれば限定されないが、例えば20~40mol%程度が例示される。
なお、前述した最外フィルム層11は、図5に示すように、紙層11aとともに樹脂素材により構成された外側樹脂フィルム層11bをさらに含み、この外側樹脂フィルム層11bが紙層11aと接着層31との間に配置されて、接着層31により内側樹脂フィルム層21と外側樹脂フィルム層11bとが接着されている構成であっても良い。このような構成であると、最外フィルム層11を剥離したときに内側樹脂フィルム層21に紙層11aがより残りにくく、さらにシート材200の製造時における最外フィルム層11のハンドリング性もより高まる。また、最外フィルム層11の紙層11aをより薄くすることも可能となる。そして、この外側樹脂フィルム層11bは、ポリオレフィン系樹脂を含まない樹脂素材により構成されていても良く、また、内側樹脂フィルム層21がポリオレフィン系樹脂を含む複数の種類の樹脂素材により構成されている場合において、外側樹脂フィルム層11bが、この複数の種類の樹脂素材のいずれとも異なる種類の(別の種類に分類される)樹脂素材により構成されていても良い。
しかしながら、この外側樹脂フィルム層11bは、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂により構成されているのがより好ましく、ポリエチレン系樹脂またはポリエステル系樹脂により構成されているのがさらに好ましい。そして、この外側樹脂フィルム層11bは、ポリオレフィン系樹脂により構成された層と、ポリエステル系樹脂により構成された層と、の多層構造であっても良い。例えば、外側樹脂フィルム層11bが、紙層11aの側(外部側)から順に、ポリエチレン系樹脂により構成された層と、ポリエステル系樹脂により構成された層と、が積層された2層構造である構成などが例示される。シート材200の製造時において最外フィルム層11が切れにくくなり、ハンドリング性などがさらに高まるからである。
また、最外フィルム層11の紙層11aの厚さは、坪量200g/m2以下、さらには坪量150g/m2以下、さらには坪量100g/m2以下であっても良い。さらに、内側樹脂フィルム層21の厚さは、200μm以下、さらには150μm以下、さらには100μm以下であっても良い。本実施形態に係る包装容器100は、最外フィルム層11の紙層11aおよび内側樹脂フィルム層21がこのような厚さであっても、自立可能な可撓性の包装容器としての機能を維持し、且つ、最外フィルム層11の剥離が容易である。そして、シート材200の全体の厚さは、限定されるものではないが、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、また、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。このようなシート材200を使用して形成された本実施形態に係る包装容器100は、把持感および自立性がより向上する。
そして、このような構成のシート材200は、前述した最外フィルム層11または内側樹脂フィルム層21のいずれかまたは両方の表面に水溶性樹脂を塗工した後、これらを相互に積層して、この塗工層(つまり接着層31)によりこれらを接着する方法などによって作製することができる。そして、このシート材200を包装容器100の形状となるように折り畳んで周縁部の少なくとも一部を接合(側部シール部101などを形成)しながら製袋し、カットする。そして、必要であれば開口部107としてスパウトなどを設け、さらに不要な部分を切除することによって本実施形態に係る包装容器100を作製することができる。
〔第1実施形態〕
次に、本発明に係る包装容器の第1実施形態について、図1、図2、および図6から図10を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係る包装容器100の第1実施形態は、例えば図1に示すような構成である。具体的には、前述したようなシート材200が折り畳まれ、前面構成シート部203と後面構成シート部205との対向する内面側の側縁部どうし(対向する内側樹脂フィルム層21の側縁部どうし)が接合されて側部シール部101が形成され、さらに前面構成シート部203と天面構成シート部206との内面側の周縁部どうしが接合され、シート材200の内側樹脂フィルム層21が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋されて形成された、前面、後面、底面、および天面を有する包装容器100である。そして、側部シール部101の下部側に前述したスカート部108が形成されて、シート材200の底面構成シート部204を含む領域がマチ構造となった底マチ部103が設けられている。また、包装容器100の天面側には、シート材200の天面構成シート部206を含む領域がマチ構造となった天マチ部104が設けられている。さらに、この天マチ部104には、収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107(スパウト)が備わる。
そして、この第1実施形態では、包装容器100の前面および後面に胴部106が備わる。そして、包装容器100の収容領域に収容物が収容されたときに、この胴部106がシート材200の厚み方向に膨らむような構成である。つまり、この胴部106と、底マチ部103と、天マチ部104とによって、収容物の収容前においては包装容器100をかさばらないように縮小することができ、少なくとも収容物が収容された状態では底面を下側にして自立可能となり、さらに収容物を使い切った後には包装容器100を小さく押しつぶすことができるようになっている。
なお、この第1実施形態では、変形例として、図2に示すような構成であっても良い。具体的には、この変形例は少なくとも、前述の構成とは天面および天マチ部104を有さない点、ならびに、開口部107に繰り返し開閉可能な口栓構造を有さない点が異なり、前面構成シート部203と後面構成シート部205との内面側の上縁部どうしも接合されている構成である。そして、収容領域におけるシート材200の非接合部分から収容物を収容後に、この非接合部分が接合されて密封される。収容物の使用時には、この密封された部分を切り取って開口する。つまり、この非接合部分または切り取った部分が開口部107となる。なお、この変形例においても、包装容器100の胴部106と、底マチ部103とによって、収容物の収容前においては包装容器100をかさばらないように縮小することができ、少なくとも収容物が収容された状態では底面を下側にして自立可能となり、さらに収容物を使い切った後には包装容器100を小さく押しつぶすことができるようになっている。
ここで、この第1実施形態においては、シート材200の少なくとも一部、特に最外フィルム層11の少なくとも一部に、最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から剥離するための起点となる剥離誘導部201が備わる構成であるのが好ましい。収容物を使い切った後の包装容器100を、水、温水、または熱により処理して接着層31が有する粘着力を低下あるいは消失させた後、この剥離誘導部201を起点として最外フィルム層11を容易に剥離することができるからである。
なお、剥離誘導部201は、最外フィルム層11を剥離する起点となり得るような構成であれば良いが、この「起点」とは、必ずしも最初に剥離が開始する構成でなくても良く、最外フィルム層11の全体が剥離するまでにおける前半段階において剥離させることができ、最外フィルム層11の全体の剥離を誘導できる構成であれば良い。つまり、この実施形態では、剥離誘導部201よりも早く最外フィルム層11の剥離が開始する領域が含まれていても良い。
そして、この剥離誘導部201としては、例えば図6に示すような、シート材200の周縁部の少なくとも一部(図6では包装容器100の上部側におけるシート材200の周縁部どうしが接合されて形成されたシール部)において、シート材200の周縁から内側に向かって2箇所以上の切欠部201aが形成されている(例えば、いずれも5mm以上の間隔をあけて2箇所以上、より好ましくは5~20mmの間隔をあけて2箇所の切欠部201aが形成されている)構成が例示される。なお、図6では、シート材200の最外フィルム層11に切欠部201aが形成され、内側樹脂フィルム層21は切欠されていない実施形態を示しているが、この切欠部201aは、最外フィルム層11だけでなく内側樹脂フィルム層21を含むシート材200全体が同様に切欠されている構成であっても良い。このような切欠部201aの付近では、接着層31が有する粘着力を温水などの処理によって低下させ易く、最外フィルム層11がより剥離し易い構成となっている。
さらに、この剥離誘導部201は、図6に示すような、上記した切欠部201aと連続するようにして、最外フィルム層11の一部に最外フィルム層11を破断することが可能な(例えば最外フィルム層11を貫通する深さを有する)複数の連続した小穴であるミシン目201bをさらに有する構成であるとより好ましい。このような構成であると、温水などの処理によってミシン目201b付近も接着層31の粘着力を低下させ易くなり、最外フィルム層11を切欠部201aからミシン目201bに沿って容易に破断することができ、最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から分離することがより容易となる。なお、剥離誘導部201が、このミシン目201bだけで形成されていても良い。また、剥離誘導部201は、このような切欠部201aやミシン目201b以外にも、接着層31の粘着力が他の領域よりも弱くなるように調整された領域などであっても良い。
あるいは、この剥離誘導部201は、図7から図9に示すような、シート材200の周縁部の少なくとも一部において、最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21よりも延出している延出部201cであっても好適である。この延出部201cが最外フィルム層11の剥離時に摘みとなり、所定の処理後にこの延出部201cを摘んで引き剥がす方法などにより最外フィルム層11を容易に剥離させることができるからである。なお、この延出部201cは、シート材200において、同じ形状の最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21との積層、接着時における位置ズレにより形成されるものではなく、図9に示すように、最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21とは別形状の部位を有し、最外フィルム層11におけるこの別形状の部位により形成されるものである。
また、剥離誘導部201は、上記した切欠部201a、ミシン目201b、またはこの延出部201cのいずれかを複数備える構成としても良く、これらの2以上を組み合わせた構成としても良い。
特に、包装容器100の上部側に口栓構造を有する開口部107(スパウト)が備わり、この包装容器100の上部側におけるシート材200の周縁部の少なくとも一部に剥離誘導部201である延出部201cを有する構成であるとさらに好ましい。例えば、包装容器100の上部側においてシート材200の周縁部どうしが接合されて形成されたシール部(天面構成シート部206と前面構成シート部203との内面側の周縁部どうしが接合されて形成されたシール部など)の少なくとも一部や、開口部107の周縁を包囲しているシート材200の周縁部の少なくとも一部に延出部201cを有する構成であると好適である。最外フィルム層11を剥離させて分離する際に、スパウトを把持部とすることによって包装容器100を確実に把持でき、さらに、把持した包装容器100の上部側の延出部201cから最外フィルム層11を容易に剥離させることができるため、最外フィルム層11の分離工程のオートメーション化がし易いからである。ここでいう「包装容器100の上部側」とは、包装容器100の底面を下側にして載置面に設置し自立させた状態において、この自立している包装容器100を高さ方向の長さにおいて3等分して3つの領域に分けたときに、最も上側に位置する領域である。
例えば、図8および図9に示す実施形態では、包装容器100の上部側において天面構成シート部206の周縁部と接合される前面構成シート部203の周縁部の一部に、最外フィルム層11が方形状に延出した延出部201cが形成されている。また、開口部107の周縁を包囲しているシート材200の周縁部(図9の展開図では天面構成シート部206の内部にある略円形に切り抜かれた部分の内周縁部)の少なくとも一部に同様の延出部201cが備わる実施形態であっても良い。あるいは、天マチ部104は有さないがスパウトを有する実施形態(例えば、天面を有さず、前面構成シート部203と後面構成シート部205との内面側の上縁部どうしが接合されて形成されたシール部の一部にスパウトが設けられている実施形態など)においては、互いに接合される後面構成シート部205の上縁部または前面構成シート部203の上縁部に、最外フィルム層11が延出した延出部201cが形成されていても良い。
そして、この延出部201cは、図7から図9に示すような最外フィルム層11の周縁部が内側樹脂フィルム層21の周縁から外側に突き出ている構成だけでなく、例えば、シート材200において内側樹脂フィルム層21の周縁部の一部に最外フィルム層11の周縁よりも切欠された部分が形成され、この切欠部分では、結果的に最外フィルム層11の周縁部が延出しているような構成であっても良い。この場合においても、上記した切欠部分では最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21とは別形状の部位となり、延出部201cは、最外フィルム層11における内側樹脂フィルム層21とは別形状の部位により形成されていることとなる。
なお、この延出部201cは、シート材200の周縁部の少なくとも一部において最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21よりも延出しているものであるが、最外フィルム層11が前述したような紙層11aと外側樹脂フィルム層11bとを含む場合、紙層11aだけが延出している構成であっても良く、あるいは、図10に示すような紙層11aと外側樹脂フィルム層11bとがいずれも延出している構成であっても良い。そして、紙層11aと外側樹脂フィルム層11bとがいずれも延出している構成である場合、図10に示すように、外側樹脂フィルム層11bが、少なくとも、接着されている内側樹脂フィルム層21の周縁を跨ぐ領域に備わる構成であると好ましい。この延出部201cを摘んで最外フィルム層11を剥離するときに、この領域に紙層11aが備わる場合よりも、内側樹脂フィルム層21の周縁部での剥離がより容易となるからである。
また、この第1実施形態においては、側部シール部101における最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接着している接着層31の引き剥がし粘着力が、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205における最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接着している接着層31の引き剥がし粘着力よりも大きい構成であると好ましい。胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205の接着層31は温水などがより侵入し易く、ここから接着層31の粘着力を低下あるいは消失させ易いからである。さらに、この構成において、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205に前述したミシン目201bと同様の構成を有するミシン目が形成されていても良い。
例えば、側部シール部101がヒートシールにより接合された構成では、側部シール部101の最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21との接着はヒートシールの圧着によって非常に強固となり、ヒートシールされていない胴部106よりも接着層31の引き剥がし粘着力が大きくなる。このヒートシール条件は、シート材200を構成する材料の特性などによって設定が可能であるが、例えば110℃以上230℃以下のシール温度、0.1MPa以上1.0MPa以下のシール圧力、0.1秒以上10秒以下のシール時間などが条件として例示される。
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る包装容器の第2実施形態について、図3および図11を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係る包装容器100の第2実施形態は、例えば図3に示すような構成である。具体的には、第1実施形態と同様に、前述したようなシート材200が折り畳まれ、前面構成シート部203と後面構成シート部205との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部101が形成され、さらに前面構成シート部203と天面構成シート部206との内面側の周縁部どうしが接合されて、シート材200の内側樹脂フィルム層21が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋されて形成された、前面、後面、底面、および天面を有する包装容器100である。そして、この第2実施形態においても、側部シール部101の下部側に前述したスカート部108が形成されて、シート材200の底面構成シート部204を含む領域がマチ構造となった底マチ部103が設けられ、また、包装容器100の天面側には、シート材200の天面構成シート部206を含む領域がマチ構造となった天マチ部104が設けられている。さらに、この天マチ部104には、収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107(スパウト)が備わる。
なお、この第2実施形態でも、上記のような構成において、天面を有さず、天マチ部104が形成されていない構成であっても構わない。
そして、この第2実施形態では、シート材200の内側樹脂フィルム層21が、第1内側樹脂フィルム層と、第1内側樹脂フィルム層よりも包装容器100の内部側に配置される第2内側樹脂フィルム層と、を含む。また、この第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層は、いずれもポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材により構成されている。なお、この第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層は、それぞれ単層であっても良く、あるいは少なくとも一方が複数の樹脂フィルム層が積層された構成であっても良い。そして、この第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層は、これらから得られるリサイクル材料の品質向上という観点から、全体としてポリオレフィン系樹脂の単一種で構成されているのが好ましい。つまり、第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層を構成している樹脂素材が全てポリオレフィン系樹脂に分類される構成であるのが好ましい。さらに、第1内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層との間には、第1内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層とがフィルム接合している内側フィルム接合部と、充填材を封入可能であって、充填材が封入されたときに内側フィルム接合部よりもシート材200の厚み方向に膨らむ充填材封入部105と、を備える。
この内側フィルム接合部の形成は、前述したようなヒートシールや接合剤などにより行うことができ、非接合部である充填材封入部105の形成は、ヒートシールにより内側フィルム接合部を形成する場合におけるパターン加熱や、接合剤により内側フィルム接合部を形成する場合における接合剤のパターン塗工や糊殺し材の使用などにより行うことができる。そして、この充填材封入部105は、充填材が封入されることにより、収容物の収容前などにおいても包装容器100に自立可能な剛性を付与することができる。なお、この第2実施形態には、充填材封入部105に充填材が封入されて膨らんだ形態だけでなく、充填材が封入される前あるいは充填材を除去した後の、充填材封入部105が膨らんでいない形態も包含される。
充填材封入部105は、例えば図3に示すように、包装容器100の前面、後面、天面などの周縁に沿って一繋がりとなるように形成される。そして、収容物の収容前あるいは収容物が収容された後において、この充填材封入部105に、例えば内側樹脂フィルム層21と一体として設けられ充填材封入部105と連通している非接合領域がその外縁まで達している充填材導入部などから充填材が導入され、充填材封入部105がシート材200の厚み方向に膨らむことにより、包装容器100に剛性が付与される。つまり、包装容器100に高い自立性だけでなく、圧縮強度、スクイズバック性なども付与される。また、上記した充填材導入部は、充填材を導入後に適宜の方法により封止され、必要に応じて切除される。
なお、この充填材封入部105は、一繋がりではなく、互いに独立して複数形成されていても良く、また、包装容器100の周縁以外にも形成可能であり、その数や形成領域は特段限定されない。そして、包装容器100に収容された収容物を使い切った後には、この充填材封入部105から充填材を除去することによって包装容器100は剛性を失うため、この包装容器100を容易に小さく押しつぶすことができる。
充填材封入部105に封入される充填材としては、流体(気体または液体)、固体(例えば粉粒体、樹脂ペレット等)または半固体(例えば、発泡材等)を用いることができるが、気体を充填材として用いることが好ましい。充填材として用いる気体としては、空気、窒素、酸素、不活性ガス(アルゴン、ヘリウムなど)などが例示され、コストなどの観点から空気を用いるのが好ましい。そして、この充填材封入部105の内圧は、限定されるものではないが、第2実施形態の包装容器100に十分な剛性を付与するという観点から、例えば、ゲージ圧力換算で10kPa以上であるのが好ましく、20kPa以上であるのがより好ましい。そして、500kPa以下であるのが好ましく、100kPa以下であるのがより好ましい。
そして、本実施形態に係る包装容器100の第2実施形態では、内側樹脂フィルム層21が第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層によって構成される場合においては、第2内側樹脂フィルム層の対向する内面側の周縁部の少なくとも一部どうしが接合されることによって製袋され、この第2内側樹脂フィルム層により収容物を収容する収容領域が形成される。
また、この第2実施形態では、変形例として、シート材200の内側樹脂フィルム層21が、第2内側樹脂フィルム層の容器内部側に、その周縁部が第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層よりもわずかに内側に配置され、さらにその内面側の周縁部の少なくとも一部どうしが接合されることによって製袋され、収容領域を形成する内容器となる第3内側樹脂フィルム層をさらに含む実施形態であっても良い。そして、この第1内側樹脂フィルム層、第2内側樹脂フィルム層、および第3内側樹脂フィルム層を含む内側樹脂フィルム層21は、いずれもポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材により構成されているが、前述と同様の理由から、全体としてポリオレフィン系樹脂の単一種で構成されているのがより好ましい。なお、第3内側樹脂フィルム層は、第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層とは少なくとも部分的に非接合である。また、この第3内側樹脂フィルム層も、単層であっても良く、あるいは複数の樹脂フィルム層が積層された構成であっても良い。
そして、この第2実施形態の変形例では、上記したように、第3内側樹脂フィルム層の内面側の周縁部の少なくとも一部どうしが接合されることによって製袋されて内容器となり、この内容器内に収容物を収容する収容領域が形成されるため、この第3内側樹脂フィルム層に開口部107としてスパウトなどが接続されていても良い。また、第3内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層とは、全体にわたって非接合であるか、あるいは第3内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層との周縁部の一部が互いに接合された状態であることにより、収容物を使用する際にこの内容器が容易に縮小して、収容物が最後まで排出されやすくなるとともに、包装容器100の剛性は第1内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層との間に形成された充填材封入部105によって収容物を使い切るまで保たれる。但し、第3内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層とが全体にわたって非接合である場合でも、内容器となる第3内側樹脂フィルム層が第2内側樹脂フィルム層の内側に保持される構成であることが好ましい。
例えば、側部シール部101の少なくとも一部において、第2内側樹脂フィルム層の内面側に第3内側樹脂フィルム層が配置され、第3内側樹脂フィルム層が第2内側樹脂フィルム層に挟持されて側部シール部101が形成されている構成などであって良い。
そして、この第3内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層との間には、上記した縮小をし易くするために、内容器と、この内容器を被覆する第2内側樹脂フィルム層との間に外気を導入させる外気導入部を設けても良い。
さらに、この第2実施形態においては、充填材封入部105に充填材としてガスを封入した場合などにおいて、内側樹脂フィルム層21の水平リサイクル等のし易さを維持しつつ、充填材封入部105内部のガスや収容物の香気成分(揮発成分)が外部に抜けることを抑制するために、内側樹脂フィルム層21がポリオレフィン系樹脂の単一種、より好ましくはポリエチレン系樹脂の単一種で構成されており、さらにガスバリア性を有するポリオレフィン系樹脂、より好ましくはエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)により構成されたガスバリア層を少なくとも含むのが好適である。例えば、図11のように、内側樹脂フィルム層21の第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層がいずれも、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)層21bがポリエチレン(LLDPEなど)フィルム層21aに挟まれて積層された構成であるのが好適な実施形態として示される。そして、内側樹脂フィルム層21がこのようなガスバリア層を含む場合、図11のように、ガスバリア層が収容物と直接接触しないような層構成であるのがより好適である。収容物がこのガスバリア層に与える影響をより低減することができるからである。ここで、図11では、この実施形態のフィルム層構成をわかり易く示すために、便宜上、第1内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層とが接合されている内側フィルム接合部を離した状態として図示している。
なお、前述した第1実施形態においても、収容物の香気成分(揮発成分)が外部に抜けることなどを抑制するために、内側樹脂フィルム層21が上記した第1内側樹脂フィルム層や第2内側樹脂フィルム層と同様にポリオレフィン系樹脂により構成されたガスバリア層を少なくとも含む構成となっていても良い。
このガスバリア層のガスバリア性は、限定されるものではないが、23℃65%RHにおいて100mL/m2・day・atm以下(MOCON社製 OX-TRAN2/21MLにより、JIS K7126に準拠した方法によって測定)であるのが好ましく、50mL/m2・day・atm以下であるのがより好ましく、10mL/m2・day・atm以下であるのがさらに好ましい。
また、この第2実施形態においては、側部シール部101ならびに充填材封入部105周縁の内側フィルム接合部における最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接着している接着層31の引き剥がし粘着力が、側部シール部101ならびに内側フィルム接合部以外の領域における最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接着している接着層31の引き剥がし粘着力よりも大きい構成であると好ましい。外部環境などの影響による充填材封入部105の膨張や伸びを抑制できるため容器の剛性がより維持され易くなり、さらに、側部シール部101および内側フィルム接合部以外の領域の接着層31は温水などがより侵入し易く、ここから接着層31の粘着力を低下あるいは消失させ易いからである。さらに、この構成においても、シート材200の側部シール部101および内側フィルム接合部以外の領域に、前述したミシン目201bと同様の構成を有するミシン目が形成されていても良い。
例えば、側部シール部101ならびに内側フィルム接合部がヒートシールにより接合された構成では、側部シール部101ならびに内側フィルム接合部の最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21との接着はヒートシールの圧着によって非常に強固となり、ヒートシールされていない他の領域よりも接着層31の引き剥がし粘着力が大きくなる。この際のヒートシール条件は、前述した第1実施形態において示したものと同じ条件などが例示される。
なお、この第2実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、シート材200の少なくとも一部に、最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から剥離する起点となる剥離誘導部201が備わる構成であるのが好ましい。そして、この剥離誘導部201は、前述した第1実施形態(例えば図6など)と同様の切欠部201aやミシン目201bを有する構成などであっても良いが、例えば図7から図10などと同様の、シート材200の周縁部の少なくとも一部において、最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21よりも延出している延出部201cであるのがより好ましい。また、これらのいずれかを複数備える構成としても良く、これらの2以上を組み合わせた構成としても良い。
さらに、この第2実施形態においても、これも前述した第1実施形態と同様に、包装容器100の上部側に口栓構造を有する開口部107(スパウト)が備わり、さらに包装容器100の上部側におけるシート材200の周縁部の少なくとも一部に剥離誘導部201である延出部201cを有する構成であるとさらに好ましい。
さらには、これも前述した第1実施形態と同様に、最外フィルム層11が紙層11aと外側樹脂フィルム層11bとを含む場合、延出部201cは、紙層11aだけが延出している構成であっても良く、紙層11aと外側樹脂フィルム層11bとがいずれも延出している構成であっても良い。そして、紙層11aと外側樹脂フィルム層11bとがいずれも延出している構成である場合、外側樹脂フィルム層11bが、少なくとも、接着されている内側樹脂フィルム層21の周縁を跨ぐ領域に備わる構成であるとより好ましい。
〔包装容器の水平リサイクル方法〕
次に、本発明に係る包装容器の水平リサイクル方法(本発明に係る包装容器を包装容器の原料にリサイクルする方法)の実施形態について、詳細に説明する。
収容された収容物を使い切った本実施形態に係る包装容器100は、必要に応じて押しつぶされ、回収される。そして、回収された包装容器100は、最外フィルム層11が剥離されて内側樹脂フィルム層21と分離される。
具体的には、回収した包装容器100に水また温水が接着層31に浸透するような処理を行うか、あるいは加熱処理を行い、接着層31の引き剥がし粘着力を低下あるいは消失させる。そして、物理的な力などによって最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から剥離させて分離する。なお、前述したスパウトや剥離誘導部201(延出部201cなど)を有する包装容器100の場合には、スパウトを機械などにより把持し、延出部201cなどを利用して機械的に最外フィルム層11を分離しても良い。そして、得られた内側樹脂フィルム層21は、必要に応じて収容領域の洗浄を行う。
次に、この得られた内側樹脂フィルム層21を用いて、リサイクル材料である再生樹脂(樹脂ペレット等)を形成する。例えば、内側樹脂フィルム層21あるいはその細断物を溶融し、押出や圧偏などによって樹脂ペレットを形成することができる。
なお、例えば、新しい樹脂原料(バージン樹脂原料)を主原料として使用し、これに前述した内側樹脂フィルム層21の溶融物などを混合して再生樹脂を形成しても良いが、本実施形態に係る包装容器100の水平リサイクル方法では、ポリオレフィン系樹脂の単一種で構成された(モノマテリアルである)内側樹脂フィルム層21を原料として用いた場合、この内側樹脂フィルム層21を主原料として使用しても、品質が高いリサイクル材料を得ることができるため非常に好適である。
ここで、この「主原料」とは、再生樹脂形成原料中の割合が80質量%以上であることを意味し、90質量%以上であっても良く、95質量%以上であっても良く、100質量%であっても良い。
そして、得られた再生樹脂(樹脂ペレット等)を用いて、例えば本実施形態に係る包装容器100を形成するシート材200の少なくとも一部を形成することができる。なお、この再生樹脂を用いて、シート材200の収容物と直接接しないフィルム層の少なくとも一部を形成するのが好ましい。このようにして得られたリサイクルフィルム層を含むシート材200により構成された包装容器100は、収容物がリサイクルフィルム層に直接接しないため、リサイクルフィルム層中に不純物が少量含まれていたとしても、この不純物が収容物に移行し難く好適である。また、上記再生樹脂を用いて、本実施形態に係る包装容器100とは別の包装容器の少なくとも一部を形成することもできる。
このようにして、収容された収容物を使い切った後の包装容器100を、包装容器100などの作製に用いる樹脂原料に再生する、包装容器100の水平リサイクルシステムを構築することができる。
なお、この包装容器100の水平リサイクル方法の実施形態においては、前述した効果に影響を与えない範囲において、上記の工程以外の任意の工程を含んでいても良い。また、この包装容器100の水平リサイクル方法により得られた本実施形態に係る包装容器100についても、前述した効果に影響を与えない範囲において任意の構成を含んでいても良く、例えば最外フィルム層11が紙層11aの外部側(容器外部側)に樹脂フィルム層をさらに含む構成などであっても良い。そして、この紙層11aの外部側の樹脂フィルム層は、上記再生樹脂を用いて形成されたものであっても良い。
11 最外フィルム層
11a 紙層
11b 外側樹脂フィルム層
21 内側樹脂フィルム層
21a ポリエチレンフィルム層
21b エチレンビニルアルコール共重合体フィルム層
31 接着層
100 包装容器
101 側部シール部
103 底マチ部
104 天マチ部
105 充填剤封入部
106 胴部
107 開口部
108 スカート部
200 シート材
201 剥離誘導部
201a 切欠部
201b ミシン目
201c 延出部
203 前面構成シート部
204 底面構成シート部
205 後面構成シート部
206 天面構成シート部

Claims (12)

  1. シート材が製袋されて形成された、前面、後面、および底面を有する包装容器であって、
    前記シート材は、前記包装容器において最も外部側に配置される最外フィルム層と、前記最外フィルム層よりも前記包装容器の内部側に配置される内側樹脂フィルム層と、前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層との間に配置され、前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とを接着している接着層と、を有し、
    前記最外フィルム層は、紙材により構成された紙層を含み、
    前記内側樹脂フィルム層は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材により構成されており、
    前記接着層は、水溶性樹脂により構成されており、
    さらに前記シート材は、前記前面を構成する前面構成シート部と、前記後面を構成する後面構成シート部と、前記底面を構成する底面構成シート部と、を含み、
    前記シート材が、前記最外フィルム層が前記包装容器において最も外部側に配置されるように折り畳まれ、前記前面構成シート部と前記後面構成シート部との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部が形成され、前記シート材が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋されて形成されており、
    少なくとも前記収容領域に前記収容物が収容されて前記底面を下側にして載置面に設置された状態で自立可能である、
    包装容器。
  2. 前記接着層を構成している前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールおよび/または水溶性のエチレンビニルアルコール共重合体である、請求項1に記載の包装容器。
  3. 前記シート材の少なくとも一部に、前記最外フィルム層を前記内側樹脂フィルム層から剥離する起点となる剥離誘導部が備わる、請求項1または2に記載の包装容器。
  4. 前記剥離誘導部が、前記シート材の周縁部の少なくとも一部において、前記最外フィルム層が前記内側樹脂フィルム層よりも延出している延出部である、請求項3に記載の包装容器。
  5. 前記包装容器の上部側には、前記収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部が備わり、
    さらに、前記包装容器の上部側における前記シート材の周縁部の少なくとも一部に前記延出部を有する、請求項4に記載の包装容器。
  6. 前記最外フィルム層が樹脂素材により構成された外側樹脂フィルム層を含み、前記外側樹脂フィルム層が前記紙層と前記接着層との間に配置され、前記接着層により前記内側樹脂フィルム層と接着されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装容器。
  7. 前記最外フィルム層の前記外側樹脂フィルム層が、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂により構成されている、請求項6に記載の包装容器。
  8. 前記最外フィルム層の前記紙層が坪量200g/m2以下であり、さらに前記内側樹脂フィルム層の厚さが200μm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の包装容器。
  9. 前記内側樹脂フィルム層がポリオレフィン系樹脂の単一種で構成されており、さらに前記内側樹脂フィルム層はガスバリア性を有するポリオレフィン系樹脂により構成されたガスバリア層を少なくとも含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の包装容器。
  10. 前記包装容器が、前記前面および前記後面に、前記収容領域に前記収容物が収容されたときに前記シート材の厚み方向に膨らむ胴部を備え、
    前記包装容器において、前記側部シール部における前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とを接着している前記接着層の引き剥がし粘着力が、前記胴部を構成する前記前面構成シート部および前記後面構成シート部における前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とを接着している前記接着層の引き剥がし粘着力よりも大きい、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装容器。
  11. 前記シート材の前記内側樹脂フィルム層が、第1内側樹脂フィルム層と、前記第1内側樹脂フィルム層よりも前記包装容器の内部側に配置される第2内側樹脂フィルム層と、を含み、
    前記包装容器が、前記シート材の前記第1内側樹脂フィルム層と前記第2内側樹脂フィルム層との間に、前記第1内側樹脂フィルム層と前記第2内側樹脂フィルム層とがフィルム接合している内側フィルム接合部と、充填材を封入可能であって、前記充填材が封入されたときに前記内側フィルム接合部よりも前記シート材の厚み方向に膨らむ充填材封入部と、を備え、
    前記包装容器において、前記側部シール部ならびに前記内側フィルム接合部における前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とを接着している前記接着層の引き剥がし粘着力が、前記側部シール部ならびに前記内側フィルム接合部以外の領域における前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とを接着している前記接着層の引き剥がし粘着力よりも大きい、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装容器。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の包装容器と、前記包装容器の前記収容領域に収容された収容物と、を備える、容器詰め品。
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