JP2022133068A - 包装容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】自立可能な可撓性の包装容器において、収容物を使い切った後にはシート材のフィルム層どうしを容易に分離することが可能な包装容器を提供する。【解決手段】シート材により、前面、後面、および底面を有する包装容器であって、内側樹脂フィルム層と、樹脂素材または紙材により構成された層を含む最外フィルム層と、これらを接合する、易剥離性を有する接合層と、を有するシート材が折り畳まれ、前面構成シート部と後面構成シート部との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部が形成され、さらに、側部シール部の下部側には、前側下部スカートシートと後側下部スカートシートとの側縁部どうしが接合されたスカートシール部を介して一繋がりになったスカート部が形成されており、少なくとも収容領域に収容物が収容されて底面を下側にして載置面に設置された状態で自立可能な剛性を有する包装容器。【選択図】図1

Description

本発明は、包装容器に関する。
近年、プラスチック成形容器よりも樹脂原料の使用量が少なく、且つ収容物が収容された状態で自立可能である可撓性の包装容器が開発されてきている。この包装容器は、プラスチック成形容器よりも樹脂原料の使用量が少ないためプラスチック資源使用量や廃棄物量の削減が可能であり、収容物の収容前にはかさばらないような大きさに縮小することができるため輸送や保管などがし易く、収容物が収容された状態で自立可能であるため店頭などにおいて自立させて陳列することができ、さらに収容物を使い切った後には小さく押しつぶすことができるため廃棄物の体積も削減が可能となるものである。
例えば特許文献1には、二つ折りした底部材を、折り部を上にして表裏のフィルムの下端に挟み込み、周縁部をシールした自立性包装袋であって、底部材に内容物収納部とは別の独立充填室が設けられている、自立性が確保された自立性包装袋が開示されている。
特開2015-000726号公報
このような自立可能な可撓性の包装容器は、通常、複数のフィルム層が積層された積層フィルムのシート材を用いて形成されている。そして、この積層フィルムのシート材は、可撓性だけでなく、印刷適性や遮光性など包装容器としたときに求められる特性が多岐にわたるため、積層されている複数のフィルム層の一部に、他のフィルム層を構成する材料とは種類が異なる異種材料により構成されたフィルム層を含む場合が多い。
しかしながら、このような積層フィルムのシート材により形成された包装容器は、収容物を使い切った後にリサイクルする場合において、焼却により発生するエネルギーを回収し利用するサーマルリサイクルを行う場合はともかく、マテリアルリサイクルの一態様である、同じような包装容器の原料に再生して利用する水平リサイクルを行う場合などにおいて、シート材の異種材料により構成されたフィルム層どうしを剥離して別々に分離することが難しく、また、このような分離を行わずにそのまま水平リサイクルなどを行うと、得られるリサイクル材料(再生樹脂)の品質が低下してしまうという課題があった。特に、収容物の収容前などにおいて縮小可能な自立性の包装容器は、スカート部などの自立性をより高める部材が設けられている場合があるが、このような部材付近における上記したフィルム層どうしの分離はより難しい傾向にあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、自立可能な可撓性の包装容器としての機能を維持しつつ、収容物を使い切った後にはシート材のフィルム層どうしを容易に分離することが可能な包装容器に関する。
本発明は、シート材が製袋されて形成された、前面、後面、および底面を有する包装容器であって、このシート材は、包装容器において最も外部側に配置される最外フィルム層と、最外フィルム層よりも包装容器の内部側に配置される内側樹脂フィルム層と、最外フィルム層と内側樹脂フィルム層との間に配置され、最外フィルム層と内側樹脂フィルム層とを接合している接合層と、を有し、最外フィルム層は内側樹脂フィルム層を構成している樹脂素材とは異なる種類の樹脂素材および/または紙材により構成された層を含み、接合層は、最外フィルム層と内側樹脂フィルム層とを接合可能な接合性能を有し、且つ、物理的または化学的な処理によって最外フィルム層を内側樹脂フィルム層から剥離させることが可能な易剥離性を有する材料により構成されており、さらにこのシート材は、前面を構成する前面構成シート部と、後面を構成する後面構成シート部と、底面を構成する底面構成シート部と、を含み、このシート材が、最外フィルム層が包装容器において最も外部側に配置されるように折り畳まれ、前面構成シート部と後面構成シート部との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部が形成され、シート材が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋され、さらに、側部シール部の下部側には、前面構成シート部の一部および底面構成シート部の一部により構成された前側下部スカートシートと、後面構成シート部の一部および底面構成シート部の一部により構成された後側下部スカートシートと、が配置されているとともに、前側下部スカートシートと後側下部スカートシートとの側縁部どうしが接合されたスカートシール部が形成され、且つ、スカートシール部を介して前側下部スカートシートと後側下部スカートシートとが一繋がりになったスカート部が形成されており、少なくとも収容領域に収容物が収容されて底面を下側にして載置面に設置された状態で自立可能である包装容器に関する。
本発明によれば、自立可能な可撓性の包装容器としての機能を維持しつつ、収容物を使い切った後にはシート材の最外フィルム層を内側樹脂フィルム層から容易に剥離させて分離することが可能な包装容器を提供することができる。
本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態の斜視図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態の変形例の斜視図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第2実施形態の斜視図である。 本発明の実施形態に係る包装容器を形成しているシート材の断面図である。 本発明の実施形態に係る包装容器を形成しているシート材の変形例の断面図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態のさらなる変形例の側面図(a)および底面図(b)である。 図6の包装容器を形成しているシート材の内側樹脂フィルム層(a)と最外フィルム層(b)とを別にして展開形状を示した図である。 本発明の実施形態に係る包装容器を形成しているシート材のさらなる変形例の断面図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態の別の変形例を形成しているシート材を展開した、底面付近の部分展開図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態の別の変形例を底面側から見た部分断面図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態のさらに別の変形例を底面側から見た部分断面図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態のさらに別の変形例の上部側を拡大した斜視図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態を形成しているシート材のさらに別の変形例の展開図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態を形成しているシート材のさらに別の変形例の展開図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第1実施形態を形成しているシート材のさらに別の変形例の展開図の一部を示したものである。 本発明の実施形態に係る包装容器の第2実施形態の変形例の上部側を拡大した斜視図である。 本発明の実施形態に係る包装容器の第2実施形態のさらなる変形例を底面側から見た部分断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、一部の図面については、便宜上、符号を付していない(省略している)箇所がある。さらに、図面に示された各部材の寸法比率は、発明の理解を容易にするために、実際の寸法比率とは異なる場合がある。
〔全体構成〕
まず、図1から図3を用いて本発明に係る包装容器およびこれを使用した容器詰め品の実施形態の全体構成について説明する。
本発明に係る包装容器は、シート材が製袋されて形成された包装容器であって、以下の実施形態を包含するものである。
本実施形態に係る包装容器100は、シート材200が製袋されて形成された、前面、後面、および底面を有するものである。このシート材200は、包装容器100を形成したときに最も外部側に配置される最外フィルム層11と、最外フィルム層11よりも包装容器100の内部側に配置される内側樹脂フィルム層21と、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21との間に配置され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接合している接合層31と、を有する。そして、内側樹脂フィルム層21は樹脂素材により構成されており、最外フィルム層11は内側樹脂フィルム層21を構成している樹脂素材とは異なる種類の樹脂素材および/または紙材により構成された層を含み、さらに、接合層31は最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接合可能な接合性能を有し、且つ、物理的または化学的な処理によって最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から剥離させることが可能な易剥離性を有する材料により構成されている。そして、このシート材200は、少なくとも、前面を構成する前面構成シート部203と、後面を構成する後面構成シート部205と、底面を構成する底面構成シート部204と、を含み、このシート材200が、最外フィルム層11が包装容器100において最も外部側に配置されるように折り畳まれ、前面構成シート部203と後面構成シート部205との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部101が形成され、シート材200が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋されている。さらに、側部シール部101の下部側には、前面構成シート部203の一部および底面構成シート部204の一部により構成された前側下部スカートシートと、後面構成シート部205の一部および底面構成シート部204の一部により構成された後側下部スカートシートと、が配置されているとともに、前側下部スカートシートと後側下部スカートシートとの側縁部どうしが接合されたスカートシール部が形成され、且つ、スカートシール部を介して前側下部スカートシートと後側下部スカートシートとが一繋がりになったスカート部108が形成されている。そして、この包装容器100は、上記したスカート部108などの構成によって、少なくとも収容領域に収容物が収容されて底面を下側にして載置面に設置された状態で自立可能である。つまり、少なくとも収容領域に収容物が収容された状態で、底面を下側にして自立可能な剛性を有する。
例えば、本実施形態に係る包装容器100は、図1から図3に示すような、1つのシート材200が少なくとも前面、後面、および底面を構成するように折り畳まれ、シート材200の前面構成シート部203と後面構成シート部205とが対向する内面側の側縁部どうしで接合されて側部シール部101が形成され、さらに、シート材200の底面構成シート部204を含む領域がマチ構造となった底マチ部103が設けられ且つ側部シール部101の下部側(底マチ部103の側端)に上記した構成のスカート部108が形成されて、袋状となったものが例示される。シート材200の接合(シール部の形成など)には、ヒートシール、超音波シール、接合剤などを用いることができるが、リサイクル性の観点から、内側樹脂フィルム層21がヒートシール性を有する樹脂素材により構成され、上記接合がヒートシールによってなされたものであるのが好ましい。ヒートシール条件は、内側樹脂フィルム層21を構成する樹脂素材の特性などによって設定が可能であるが、例えば110℃以上230℃以下のシール温度、0.1MPa以上1.0MPa以下のシール圧力、0.1秒以上10秒以下のシール時間などが条件として例示される。そして、底マチ部103は、収容物を収容前などにおいては折り畳んで包装容器100を縮小させることができ、且つ、収容物が収容領域に収容されたときに包装容器100に厚みを与えるように広がることができる構造を有する。
なお、この図1から図3に示す実施形態(第1実施形態および第2実施形態)のより詳細な構成については後述する。また、本実施形態に係る包装容器100は、上記のような構成において、スカート部108を有さない構成、つまりスカート部108が形成されていない構成であっても構わない。
さらに、本実施形態に係る包装容器100には、収容物を収容および排出が可能な開口部107が設けられるが、この開口部107は、例えば図1または図3に示すような、繰り返し開閉可能な口栓構造を有する構成(スパウト)であっても良い。この口栓構造は、キャップやポンプ付きキャップなどにより封止することができるネジ山が設けられていても良い。そして、この開口部107は、リサイクル性を高める観点から、内側樹脂フィルム層21を構成する樹脂素材(複数の種類の樹脂素材により構成されている場合はそれらのいずれか1つ)と同じ種類に分類される樹脂素材により構成されたものであるか、または最外フィルム層11などとともに内側樹脂フィルム層21から容易に分離が可能な構成であるのが好ましい。
あるいは、本実施形態に係る包装容器100は、例えば図2に示すような、その開口部107が収容領域におけるシート材200の非接合部分であり、この非接合部分から収容物を収容し、ヒートシールなどによってこの非接合部分が接合されて密封された構成であって、収容物の排出時には密封されている開口部107の一部が切除される構成あっても良く、包装容器100の形態などに応じて適宜選択可能である。
そして、このような本実施形態に係る包装容器100を使用して、収容領域に収容物が収容された容器詰め品を得ることができる。この容器詰め品に収容された収容物を使用する場合には、開口部107からこの収容物をスクイズやポンピング等によって排出して使用する。包装容器100に収容する収容物の種類は、特に限定されないが、例えば、シャンプー、リンス、ボディーソープ、洗顔料、洗剤、漂白剤、柔軟剤、飲料、食品、エンジンオイルなどが挙げられる。
また、この収容物は、液体(ペースト状のものを含む)であっても良いし、固体(例えば、粒状のもの(顆粒状のものを含む)、あるいは粉状のものなど)であっても良い。
収容物が液体である場合には、その粘度は、例えば30℃において1mPa・s以上であることが好ましく、そして、12万mPa・s以下であることが好ましく、6万mPa・s以下であることがより好ましい(いずれもB型粘度計(例えば東機産業社製ビスコメーターTV-10またはビスコメーターTVB-10など)により測定)。
〔シート材の層構成〕
次に、本発明に係る包装容器を形成するシート材の層構成の実施形態について、図4および図5を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係る包装容器100を形成するシート材200は、最外フィルム層11、内側樹脂フィルム層21、および接合層31を有する。そして、図4および図5に示すように、包装容器100の最も外部側から順に、最外フィルム層11、接合層31、内側樹脂フィルム層21が配置された層構成であり、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とは接合層31により接合されている。つまり、シート材200の製袋時においては、これらの層は積層されて一体となっている。
内側樹脂フィルム層21は、樹脂素材により構成された樹脂フィルム層であり、単層であっても、基材となる複数の樹脂フィルム層が積層された構成であっても良い。そして、内側樹脂フィルム層21から得られるリサイクル材料の品質向上という観点から、この内側樹脂フィルム層21は、単一種樹脂素材により構成されたものであるのが好ましい。ここで、「単一種樹脂素材により構成された」とは、内側樹脂フィルム層21の単層あるいは複数の層を構成している樹脂素材が全て同じ種類に分類される(単一種である)ことを意味する。つまり内側樹脂フィルム層21がモノマテリアルであることを意味する。したがって、内側樹脂フィルム層21が、複数の樹脂フィルム層が積層された構成である場合、それらの樹脂フィルム層を構成する全ての樹脂素材がいずれも同じ種類に分類されることを意味する。なお、内側樹脂フィルム層21の表面や積層間には、例えばコーティング層などをさらに含んでも良いが、内側樹脂フィルム層21として樹脂素材以外、より好ましくは上記した単一種樹脂素材以外の素材を実質的に含まない構成であることが好適である。ここで、「実質的に含まない」とは、質量割合として1%未満であることを意味し、0.5%未満であることが好ましく、0%であることが最も好ましい。以下においても同様である。
そして、この内側樹脂フィルム層21を構成する樹脂素材としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂などが好ましい例として挙げられる。ポリエチレン系樹脂には、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、これらのいずれかを延伸した一軸延伸ポリエチレン(OPE)、二軸延伸ポリエチレン(BOPE)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)などが包含され、また、ポリエステル系樹脂には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(非晶性PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などが包含される。水平リサイクル等のし易さなどの観点から、この内側樹脂フィルム層21を構成する樹脂素材は、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂を含む樹脂素材であるのがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂素材であるのがさらに好ましく、ポリオレフィン系樹脂の単一種樹脂素材であるのがさらに好ましい。特に、内側樹脂フィルム層21がポリエチレン系樹脂の単一種で構成されていると、複数の樹脂フィルム層が積層された構成であっても積層間の接合をヒートシールにより容易に行うことができ、ラミネート接合を行うシーラント層を形成する必要がない。
また、この内側樹脂フィルム層21は、ポリオレフィン系樹脂、より好ましくはポリエチレン系樹脂の単一種で構成されており、且つガスバリア性を有するポリオレフィン系樹脂、より好ましくはエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)により構成されたガスバリア層を少なくとも含む構成であるのが好適である。収容物の香気成分(揮発成分)などが外部に抜けることなどを抑制することができるからである。
そして、このガスバリア層のガスバリア性は、限定されるものではないが、23℃65%RHにおいて100mL/m2・day・atm以下(MOCON社製 OX-TRAN2/21MLにより、JIS K7126に準拠した方法によって測定)であるのが好ましく、50mL/m2・day・atm以下であるのがより好ましく、10mL/m2・day・atm以下であるのがさらに好ましい。
最外フィルム層11は、前述した内側樹脂フィルム層21を構成する樹脂素材とは異なる種類の(別の種類に分類される)樹脂素材および/または紙材により構成された層を少なくとも含む。なお、内側樹脂フィルム層21を構成している樹脂素材が複数種ある場合には、この複数の種類の樹脂素材のいずれとも異なる種類の樹脂素材および/または紙材により構成された層を少なくとも含む。そして、例えば紙材により構成された紙層(ペーパーフィルム層)は、紙材の特性(印刷適性、遮光性など)を有するため、この最外フィルム層11に内側樹脂フィルム層21の特性とは異なる紙材の特性を付与することができる。なお、この紙層の表面にニスやセルロースナノファイバー(CNF)などがコーティングされていても良い。また、この紙層が一定の厚さ(例えば坪量30g/m2以上、さらには坪量50g/m2以上)を有すると、包装容器100が上記した自立がよりし易くなる。
この紙層を構成する紙材としては、例えば、クラフト紙、上質紙、模造紙、グラシン紙、パーチメント紙、合成紙、白板紙、マニラボール、ミルクカートン原紙、カップ原紙、アイボリー紙などが挙げられる。そして、その原料としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)あるいは針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)に代表される針葉樹由来のパルプや広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)に代表される広葉樹由来のパルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ、キュプラやレーヨン等の再生セルロース繊維などが挙げられる。耐久性の観点から、この紙層は、NBKPまたはNUKPを原料として用いた紙材により構成されたものであるのが好ましく、特に、これらのうち繊維長が比較的長いもの(例えば繊維長が0.5mm以上であるNBKPまたはNUKP)を原料として用いた紙材により構成されたものであるのがより好ましい。
さらに、内側樹脂フィルム層21を構成する樹脂素材とは異なる種類の樹脂素材により構成された樹脂層も、同様に、最外フィルム層11に内側樹脂フィルム層21の特性とは異なる特性を付与することができる。例えば、内側樹脂フィルム層21がポリエチレン系樹脂の単一種で構成されている場合、このポリエチレン系樹脂とは異なる種類に分類される樹脂素材(ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂など)により構成された層を含む最外フィルム層11とすることにより、ポリエチレン系樹脂により構成されたフィルム層の特性とは異なる特性(蒸着適性、印刷適性、耐熱性など)を付与することができる。そして、例えばポリエステル系樹脂により構成された樹脂層として、ペットボトルを原料としたリサイクルPETフィルムを用いることもできる。
なお、最外フィルム層11は、少なくとも内側樹脂フィルム層21を構成する樹脂素材とは異なる種類の樹脂素材または紙材により構成された層を含む限り、これらのいずれかの層の単層であっても良く、あるいは、複数の層が積層された構成(例えば複数の紙層が積層された構成、複数の樹脂層が積層された構成、紙層と樹脂層とが積層された構成など)であっても良い。さらに、これら以外の材料により構成された層(例えば金属フィルム層(アルミニウムフィルム層、銅フィルム層等)やストーンペーパー層など)を含んでいても良い。また各層の厚みは、限定されるものではないが、紙層であれば坪量30~200g/m2程度、さらには坪量30~100g/m2程度、上記した樹脂層であれば10~200μm程度、さらには10~100μm程度が例示される。
接合層31は、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接合可能な接合性能(シート材として一体となって機能させることが可能な接合性能)を有し、且つ、物理的または化学的な処理によって最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から剥離させることが可能な易剥離性を有する材料により構成され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21との間に配置されて、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接合している層である。
この「易剥離性」は、物理的または化学的な処理(物理的な力の負荷、水や有機溶媒などとの接触、加熱など)によって最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から剥離させることが可能な構成であれば限定されない。なお、この構成には、最外フィルム層11を内側フィルム層21から剥離させたときに、内側フィルム層21に最外フィルム層11の一部がわずかに残存する場合(内側樹脂フィルム層21への最外フィルム層11の残存が、包装容器100における最外フィルム層11の全質量の例えば10質量%未満、さらには5質量%未満となるように剥離させることが可能な構成など)も包含されるが、特に、この接合層31は、物理的または化学的な処理によって最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21に実質的に残存させないように剥離させることが可能な構成であるとより好ましい。そして、これらの構成としては、例えば、接合層31において最外フィルム層11との接合側の方が内側樹脂フィルム層21との接合側よりも接合強度が強い構成や、最外フィルム層11との接合側の接合強度および内側樹脂フィルム層21との接合側の接合強度が接合層31自体の破壊強度よりも強い構成などが例示される。また、水、温水、または熱による処理によってその粘着力を低下あるいは消失させることが可能な水溶性樹脂や、イージーオープン樹脂等により構成された層なども例示される。なお、この水溶性樹脂の例としては、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリイミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリアリルアミン樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノキシ樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性メラミン樹脂、およびポリビニルアルコール樹脂、ならびにこれらの樹脂の変性物などが挙げられる。そして、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、この水溶性樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)および/または水溶性のエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)であるのが好ましい。また、ポリエチレン系樹脂の単一種で構成された内側樹脂フィルム層21と最外フィルム層11との間に、水溶性樹脂により構成された接合層31が全面形成されている領域において、この接合層31の内側樹脂フィルム層21に対する引き剥がし粘着力が4N/20mm以下である構成なども例示される。
ポリビニルアルコール(PVA)は、ビニルアルコールの重合体を分子骨格として含むポリマーであり、ポリ酢酸ビニルをケン化する方法などにより得ることができるものである。なお、このポリビニルアルコールは、側鎖に水酸基および酢酸基以外の官能基を有するものであっても良い。また、重合度は、上記した性能を有するものであれば限定されないが、例えば500~3000程度が例示される。ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコールの場合、ケン化度も、上記した性能を有するものであれば限定されないが、80mol%以上であるのが好ましく、例えば85~95mol%程度がより好ましい例として示される。
水溶性のエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)は、ビニルアルコールとエチレンとの共重合体を分子骨格として含むポリマーであり、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をケン化する方法などにより得ることができるものである。そして、この水溶性のエチレンビニルアルコール共重合体も、側鎖に水酸基および酢酸基以外の官能基を有するものであっても良く、重合度やケン化度も、前述したポリビニルアルコールと同様の値であって良い。また、エチレン含有率も、上記した性能を有するものであれば限定されないが、例えば20~40mol%程度が例示される。
イージーオープン樹脂は、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とをヒートシールなどによって接合することができるシーラント樹脂層を形成可能な樹脂であって、さらに、この接合力を上回る物理的な力によってシーラント樹脂層で剥離させることが可能な樹脂である。イージーオープン樹脂には、シーラント樹脂層の接合界面で剥離する形態を有する界面剥離タイプ、接合界面付近で凝集破壊(素材自身の破壊)を伴いながら剥離する凝集剥離タイプ、および多層フィルムで構成されたシーラント樹脂層の層間が剥離する層間剥離タイプなどがあるが、内側樹脂フィルム層21がポリオレフィン系樹脂の単一種で構成されている場合などでは、内側樹脂フィルム層21側に接合層31からの異種材料の剥がれ残りが発生することを抑制するため、界面剥離タイプまたは凝集剥離タイプを使用することが好ましい。なかでも、コスト面から凝集剥離タイプを使用するのがより好ましい。凝集剥離タイプとしては、内側樹脂フィルム層21がポリエチレン系樹脂の単一種で構成されている場合、ポリエチレン系樹脂と他の種類の樹脂による二元系であり、剥離後に内側樹脂フィルム層21に残る剥がれ残りがポリエチレン系樹脂のみであるようなイージーオープン樹脂を用いることがより好ましい。
さらに、この接合層31は、紙、不織布、樹脂(ポリエステル系樹脂など)等により構成された基材層の両方の表面にいずれも粘着剤が塗工された構成であっても良い。この塗工は全面塗工であっても良く、あるいはパターン塗工であっても良い。そして、このような構成の場合、この粘着剤が塗工された基材層の両面に最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とがそれぞれ接合される。粘着剤としては、上記した水溶性樹脂などを使用することができる。
本実施形態に係る包装容器100を形成しているシート材200がこのような接合層31を備える構成であることにより、最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から容易に剥離させて分離することができ、接合されていた最外フィルム層11の残存がないあるいは残存が極めて少ない内側樹脂フィルム層21を容易に取得することができる。そして、この内側樹脂フィルム層21を水平リサイクルすること等によって、品質の良い包装容器のリサイクル材料を得ることができる。
なお、このシート材200の少なくとも一部、特に最外フィルム層11の少なくとも一部には、最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から剥離するための起点となる剥離誘導部201が1以上備わる構成であるとより好適である。剥離誘導部201は、最外フィルム層11を剥離する起点となり得るような構成であれば良いが、この「起点」とは、必ずしも最初に剥離が開始する構成でなくても良く、最外フィルム層11の全体が剥離するまでにおける前半段階において剥離させることができ、最外フィルム層11の全体の剥離を誘導できる構成であれば良い。つまり、この実施形態には、剥離誘導部201よりも早く最外フィルム層11の剥離が開始する領域が含まれていても良い。
そして、この剥離誘導部201としては、例えば図5に示すような、最外フィルム層11の一部に形成されたミシン目201b(より好ましくは最外フィルム層11を貫通する深さを有するミシン目201b)や、シート材200の周縁から内側に向かって一部が切り込みあるいは切り欠きされているノッチ部、シート材200の周縁部の少なくとも一部において最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21よりも延出している延出部、接合層31の接合性能が他の領域よりも弱くなるように調整された領域などが例示される。また、これらのいずれかを複数備える構成であっても良く、これらの2以上を組み合わせた構成であっても良い。このような構成であると、剥離誘導部201の最外フィルム層11は物理的または化学的な処理によってより剥離し易く、最外フィルム層11を、剥離誘導部201を起点として内側樹脂フィルム層21から容易に分離することができる。
ここで、上記した延出部は、シート材200において、同じ形状の最外フィルム層11と内側樹脂フィルム21との積層、接合時における位置ズレにより形成されるものではなく、最外フィルム層11が内側樹脂フィルム21とは別形状の部位を有し、最外フィルム層11におけるこの別形状の部位により形成されるものである。例えば、包装容器100において前面構成シート部203などの周縁部の一部に最外フィルム層11が方形状に突き出した延出部が形成されている構成や、内側樹脂フィルム層21の周縁部の一部に最外フィルム層11の周縁部よりも切欠された部分が形成され、この切欠部分では、結果的に最外フィルム層11の周縁部が延出して延出部が形成されている構成などが例示される。
また、最外フィルム層11および内側樹脂フィルム層21の厚さは、それぞれ200μm以下、さらには150μm以下、さらには100μm以下、さらには80μm以下であっても良い。そして、シート材200の全体の厚さは、限定されるものではないが、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、また、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。このようなシート材200を使用して形成された本実施形態に係る包装容器100は、把持感および自立性がより向上する。
そして、このような構成のシート材200は、前述した最外フィルム層11または内側樹脂フィルム層21のいずれかまたは両方の表面に接合層31を形成した後、これらを相互に積層して、接合層31によりこれらを接合する方法などによって作製することができる。そして、このシート材200を包装容器100の形状となるように折り畳んで周縁部の少なくとも一部を接合(側部シール部101などを形成)しながら製袋し、カットする。そして、必要であれば開口部107としてスパウトなどを設け、さらに不要な部分を切除することによって本実施形態に係る包装容器100を作製することができる。
〔第1実施形態〕
次に、本発明に係る包装容器の第1実施形態について、図1、図2、図6から図15を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係る包装容器100の第1実施形態は、例えば図1に示すような構成である。具体的には、前述したようなシート材200が折り畳まれ、前面構成シート部203と後面構成シート部205との対向する内面側の側縁部どうし(対向する内側樹脂フィルム21の側縁部どうし)が接合されて側部シール部101が形成され、さらに前面構成シート部203と天面構成シート部206との内面側の周縁部どうしが接合され、シート材200の内側樹脂フィルム層21が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋されて形成された、前面、後面、底面、および天面を有する包装容器100である。つまり、シート材200の内側樹脂フィルム層21により収容物を収容する収容領域が形成されている。そして、側部シール部101の下部側に前述したスカート部108が形成されて、シート材200の底面構成シート部204を含む領域がマチ構造となった底マチ部103が設けられている。また、包装容器100の天面側には、シート材200の天面構成シート部206を含む領域がマチ構造となった天マチ部104が設けられている。さらに、この天マチ部104には、収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107(スパウト)が備わる。
そして、この第1実施形態では、包装容器100の前面および後面に胴部106が備わる。そして、包装容器100の収容領域に収容物が収容されたときに、この胴部106がシート材200の厚み方向に膨らむような構成である。つまり、この胴部106と、底マチ部103と、天マチ部104とによって、収容物の収容前においては包装容器100をかさばらないように縮小することができ、少なくとも収容物が収容された状態では底面を下側にして自立可能となり、さらに収容物を使い切った後には包装容器100を小さく押しつぶすことができるようになっている。
なお、この第1実施形態では、変形例として、図2に示すような構成であっても良い。具体的には、この変形例は少なくとも、前述の構成とは天面および天マチ部104を有さない点、ならびに、開口部107に繰り返し開閉可能な口栓構造を有さない点が異なり、前面構成シート部203と後面構成シート部205との内面側の上縁部どうしも接合されている構成である。そして、収容領域におけるシート材200の非接合部分から収容物を収容後に、この非接合部分が接合されて密封される。収容物の使用時には、この密封された部分を切り取って開口する。つまり、この非接合部分または切り取った部分が開口部107となる。なお、この変形例においても、包装容器100の胴部106と、底マチ部103とによって、収容物の収容前においては包装容器100をかさばらないように縮小することができ、少なくとも収容物が収容された状態では底面を下側にして自立可能となり、さらに収容物を使い切った後には包装容器100を小さく押しつぶすことができるようになっている。
そして、この第1実施形態においては、上記したスカート部108を構成するシート材200が最外フィルム層11を有さない構成であるか、あるいは、スカート部108を構成する底面構成シート部204において、接合層31の接合性能を消失させる処理が施され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが接合していない構成であるのがより好ましい。最外フィルム層11を剥離する際に、スカート部108付近での最外フィルム層11の引っ掛かりや裂け残りを抑制できるからである。
例えば、図7(a)に示すような展開形状に切り取られた内側樹脂フィルム層21と、図7(b)に示すような展開形状に切り取られた最外フィルム層11とを積層して接合層31により接合し、シート材200を形成すると、このシート材200から、図6(a)および図6(b)に示すような、スカート部108を構成するシート材200が最外フィルム層11を有さない包装容器100を形成することができる。このような構成であると、最外フィルム層11の剥離時に、スカート部108付近(例えばスカートシール部付近など)での最外フィルム層11の引っ掛かりや裂け残りを抑制できる。なお、図6(a)、図6(b)はいずれも、本実施形態に係る包装容器100の第1実施形態の収容領域に収容物が収容され、胴部106がシート材200の厚み方向に膨らんだ状態を示している。そして、スカート部108を構成するシート材200(図6(a)、図6(b)では符号21が示されている領域)は、最外フィルム層11を有さず、内側樹脂フィルム層21が露出された状態となっている。
あるいは、このスカート部108を構成するシート材200のうち底面構成シート部204の部分(スカート部108のスカート内側)において、接合層31の接合性能を消失させる処理を施し、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが接合していない構成とすると、これも最外フィルム層11の剥離時に、スカート部108付近(スカート内側など)での最外フィルム層11の引っ掛かりや裂け残りを抑制できる。
ここで、「接合層31の接合性能を消失させる処理」には、接合層31のいずれかまたは両方の表面に糊殺し材を塗布することなどにより最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを接合できないようにする処理だけでなく、接合層31を欠失させる処理(接合層31を形成しない処理)も包含される。以下においても同様である。
また、この第1実施形態においては、スカート部108(特にスカート部108の下端)を構成するシート材200の周縁部の少なくとも一部に、接合層31の接合性能を消失させる処理が施され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが接合していない領域が備わる構成であるのがより好ましい。収容物の使用時にはスカート部108を構成するシート材200の周縁から水などが侵入しにくいが、収容物を使い切った後の最外フィルム層11の剥離時には、上記領域が剥離の起点となり、ここから最外フィルム層11を容易に剥離させて分離することができるからである。
例えば、図8に示すような、スカート部108の下端を構成するシート材200の周縁部において接合層31が欠失された(接合層31の接合性能を消失させる処理が施された)領域が備わると、包装容器100から収容物を使用する際にはこのスカート部108の下端は載置面と接触しているため水などが侵入しにくく、一方、水平リサイクル等を行う際には、このスカート部108の下端の内側樹脂フィルム層21と接合していない最外フィルム層11が剥離時の摘み(つまり剥離誘導部201)となり、所定の処理後にここを摘んで引き剥がす方法などにより最外フィルム層11を容易に剥離させて分離することができる。
また、この第1実施形態においては、底面構成シート部204は、底面の側端における底面構成シート部204が重なって折り込まれる領域(スカート部108のスカートシール部内部側の領域)において、接合層31の接合性能を消失させるかあるいは低下させる処理が施されている構成であるのがより好ましい。最外フィルム層11の剥離時に、スカートシール部の内側の領域での引っ掛かりや裂け残りを抑制できるからである。
あるいは、この第1実施形態においては、底面構成シート部204の、底面の側端における底面構成シート部204が重なって折り込まれる領域(スカート部108のスカートシール部内部側の領域)には、最外フィルム層11が切欠されている最外フィルム層切欠部43が形成されている構成であるのがより好ましい。これも、最外フィルム層11の剥離時に、スカートシール部の内側の領域での最外フィルム層11の引っ掛かりや裂け残りを抑制できるからである。
例えば、図9の部分展開図に示すような、底面構成シート部204において、側縁部から内側に向かって上記領域の最外フィルム層11(図9における斜線部分の最外フィルム層11)が切欠されたシート材200、つまり底面構成シート部204に最外フィルム層切欠部43が形成されているシート材200を使用すると、得られた包装容器100は、底面の側端における底面構成シート部204が重なって折り込まれる領域には最外フィルム層11がないため、最外フィルム層11を剥離させ易く、また、この領域に最外フィルム層11が残存する懸念がないものとなる。
さらに、この第1実施形態においては、包装容器100の上部側に天面を構成する天面構成シート部206を有し(例えば天面構成シート部206を含む領域がマチ構造となった天マチ部104を有しており)、この天面構成シート部206には収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107(スパウト)が設けられている構成である場合、この天面構成シート部206は最外フィルム層11を有さない構成(内側樹脂フィルム21だけの構成など)であるのがより好ましい。最外フィルム層11の剥離時に、天マチ部104やスパウトでの引っ掛かりや裂け残りを回避できるからである。
また、この第1実施形態では、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205においては、接合層31によって、内側樹脂フィルム層21の全体に最外フィルム層11が接合されて被覆されている(容器外部側から最外フィルム層11が接合されて内側樹脂フィルム層21の全体を被覆している)構成であるのがより好ましい。収容物の収容後において、収容物の重みにより胴部106が膨らみすぎることを抑制し、また、ヘッドスペース部分での胴部106の凹みも抑制し、陳列時等の見栄えを向上させることができるからである。なお、内側樹脂フィルム層21の全体を被覆とは、内側樹脂フィルム層21の外部側表面積全体の90%以上、より好ましくは95%以上が被覆されている構成であれば良く、上記効果に影響を与えない範囲でごく一部に内側樹脂フィルム層21が最外フィルム層11に被覆されていない領域を有する構成も除外されないが、100%被覆されている構成であるとより好ましい。以下においても同様である。
あるいは、この第1実施形態では、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205においては、内側樹脂フィルム層21の全体に最外フィルム層11が被覆され(容器外部側から最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21の全体を被覆し)、この胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205の周縁部においては、接合層31によって、最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21の少なくとも一部と接合されており、この胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205の周縁部を除く領域においては、接合層31の接合性能を消失させる処理が施されて最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが接合していない構成であるとより好ましい。胴部106における最外フィルム層11の剥離時の物理的な力などを軽減でき、最外フィルム層11の剥離がより容易となるからである。
例えば、図10に示すような、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205において、内側樹脂フィルム層21の全体に最外フィルム層11が被覆されており、この最外フィルム層11は、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205の周縁部において接合層31により内側樹脂フィルム層21と接合しており、これ以外の領域では内側樹脂フィルム層21と接合されていない(図10では接合層31が形成されていない)構成であると好ましい。なお、図10においては、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205における最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21との間の接合層31が形成されていない領域には空隙が備わるように示されているが、この領域では最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが非接合で当接していても良い。
また、この第1実施形態では、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205においては、内側樹脂フィルム層21の全体に最外フィルム層11が被覆され(容器外部側から最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21の全体を被覆し)、この胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205の周縁部の少なくとも一部は、接合層31の接合性能を消失させる処理が施され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが接合していない構成であり、さらに、前面構成シート部203および後面構成シート部205以外のシート材200は最外フィルム層11を有さない構成であるのがより好ましい。例えば、最外フィルム層11が胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205のみに備わる構成であるのが好ましい。収容物を使い切った後に押しつぶした包装容器100でも最外フィルム層11の剥離がし易いからである。
例えば、図11に示すような、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205において、内側樹脂フィルム層21の全体に最外フィルム層11が被覆され、その周縁部では最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21との間に接合層31が形成されていない領域を有し、これ以外の領域では接合層31により最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが接合されている構成であり、さらに、胴部106を構成する前面構成シート部203および後面構成シート部205以外のシート材200は最外フィルム層11を有さない構成であると好適である。
また、この第1実施形態では、包装容器100の上部側に天面を構成する天面構成シート部206を有し(例えば天面構成シート部206を含む領域がマチ構造となった天マチ部104を有しており)、この天面構成シート部206には収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107(スパウト)が設けられている構成において、天面構成シート部206に、この開口部107(スパウト)の周縁を包囲している周縁部の最外フィルム層11が切欠されている最外フィルム層切欠部43が形成されている構成であると好ましい。最外フィルム層11の剥離時にスパウト付近での引っ掛かりや破れが起き難く、剥離性がより向上するからである。例えば、図12に示すような、開口部107(スパウト)のスパウトフランジ(図12ではスパウトフランジの周縁を点線で示している)を天面構成シート部206の最外フィルム層11が覆わないような大きさとなるように、開口部107の周縁を包囲している天面構成シート部206の周縁部の最外フィルム層11が切欠された最外フィルム層切欠部43が形成されている構成であると好適である。しかしながら、このスパウトフランジの一部を天面構成シート部206の最外フィルム層11が覆うような大きさとなるように、開口部107の周縁を包囲している天面構成シート部206の周縁部の最外フィルム層11が切欠された最外フィルム層切欠部43が形成されている構成であっても良い。
さらに、この第1実施形態では、底面を構成する底面構成シート部204の少なくとも一部に接合層31の接合性能を消失あるいは弱化させる処理が施された接合層処理部45を有し、且つ、前面を構成する前面構成シート部203または後面を構成する後面構成シート部205の底面構成シート部204と隣接する領域の一部に接合層31の接合性能を消失させる処理が施された接合層処理部45を有する構成であると好ましい。最外フィルム層11の剥離を前面側あるいは後面側から開始して、底面から剥離開始側とは反対側の面に剥離を移行する際に、この接合層処理部45において、包装容器100の内側樹脂フィルム21を容易に露出させてこの領域を把持することができ、最外フィルム層11の剥離がより容易となるからである。例えば、図13(a)に示すような、底面構成シート部204の少なくとも一部に接合層処理部45を有し、且つ、後面構成シート部205の底面構成シート部204と隣接する領域の一部に接合層処理部45を有する構成(この場合は天面を含む前面側から最外フィルム層11の剥離を開始し、矢印の方向に剥離を進める)や、図13(b)に示すような、底面構成シート部204の少なくとも一部に接合層処理部45を有し、且つ、前面構成シート部203の底面構成シート部204と隣接する領域の一部に接合層処理部45を有する構成(この場合は後面側から最外フィルム層11の剥離を開始し、矢印の方向に剥離を進める)であると好適である。
また、この第1実施形態では、包装容器100の上部側におけるシート材200の周縁部の少なくとも一部に前述した延出部(剥離誘導部201)を有する構成であると好ましい。例えば、図14(a)に示すような、包装容器100の上部側において、シート材200における天面構成シート部206の後面構成シート部205と接合される側の周縁部の一部に延出部を備える構成(この場合、開口部107を含む天面、前面、底面、後面の順に剥離を行う)や、図14(b)に示すような、後面構成シート部205の天面構成シート部206と接合される側の周縁部の一部に延出部を備える構成(この場合、後面、底面、前面、開口部107を含む天面の順に剥離を行う)であると好適である。包装容器100の上部側の延出部から最外フィルム層11を容易に剥離させることができるため、最外フィルム層11の分離工程のオートメーション化などがし易いからである。特に、上記構成において、包装容器100の上部側に開口部107として前述したようなスパウトが設けられている構成であると、このスパウトを剥離時の把持部とすることができるためより好ましい。なお、「包装容器100の上部側」とは、包装容器100の底面を下側にして載置面に設置し自立させた状態において、この自立している包装容器100を高さ方向の長さにおいて3等分して3つの領域に分けたときに、最も上側に位置する領域である。
さらに、この第1実施形態では、包装容器100の上部側に天面を構成する天面構成シート部206を有し、この天面構成シート部206には収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107(スパウト)が設けられている構成において、天面構成シート部206の周縁部の一部(好ましくは天面構成シート部206と側部シール部101との接合部109を含む領域)に剥離誘導部201である延出部が備わり、さらにこの天面構成シート部206の一部に、最外フィルム層11が、天面構成シート部206の外周縁から開口部107の周縁を包囲している内周縁まで切断された切り込み47を有する構成であると好ましい。例えば、図15に示すような構成の場合、延出部(剥離誘導部201)から最外フィルム層11の剥離を開始すると、天面構成シート部206の最外フィルム層11が切り込み47を境目として離れることができるため、スパウトを周回するような剥離(図15の矢印方向のような剥離)をすることができ、スパウト付近などでの最外フィルム層11の引っ掛かりや破れが起き難く、剥離性がより向上する。
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る包装容器の第2実施形態について、図3、図16、および図17を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係る包装容器100の第2実施形態は、例えば図3に示すような構成である。具体的には、第1実施形態と同様に、前述したようなシート材200が折り畳まれ、前面構成シート部203と後面構成シート部205との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部101が形成され、さらに前面構成シート部203と天面構成シート部206との内面側の周縁部どうしが接合されて、シート材200の内側樹脂フィルム層21が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋されて形成された、前面、後面、底面、および天面を有する包装容器100である。そして、この第2実施形態においても、側部シール部101の下部側に前述したスカート部108が形成されて、シート材200の底面構成シート部204を含む領域がマチ構造となった底マチ部103が設けられ、また、包装容器100の天面側には、シート材200の天面構成シート部206を含む領域がマチ構造となった天マチ部104が設けられている。さらに、この天マチ部104には、収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107(スパウト)が備わる。
なお、この第2実施形態でも、上記のような構成において、天面を有さず、天マチ部104が形成されていない構成であっても構わない。
そして、この第2実施形態では、シート材200の内側樹脂フィルム層21が、第1内側樹脂フィルム層と、第1内側樹脂フィルム層よりも包装容器100の内部側に配置される第2内側樹脂フィルム層と、を含む。この第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層は、それぞれ単層であっても良く、あるいは少なくとも一方が複数の樹脂フィルム層が積層された構成であっても良い。そして、この第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層は、前述した第1実施形態と同様の理由から、全体として単一種樹脂素材により構成されているのが好ましい。つまり、第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層を構成している樹脂素材が全て同じ種類に分類される構成であるのが好ましい。さらに、この第1内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層との間には、第1内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層とがフィルム接合している内側フィルム接合部と、充填材を封入可能であって、充填材が封入されたときに内側フィルム接合部よりもシート材200の厚み方向に膨らむ充填材封入部105と、を備える。
この内側フィルム接合部の形成は、前述したようなヒートシールや接合剤などにより行うことができ、非接合部である充填材封入部105の形成は、ヒートシールにより内側フィルム接合部を形成する場合におけるパターン加熱や、接合剤により内側フィルム接合部を形成する場合における接合剤のパターン塗工や糊殺し材の使用などにより行うことができる。そして、この充填材封入部105は、充填材が封入されることにより、収容物の収容前などにおいても包装容器100に自立可能な剛性を付与することができる。なお、この第2実施形態には、充填材封入部105に充填材が封入されて膨らんだ形態だけでなく、充填材が封入される前あるいは充填材を除去した後の、充填材封入部105が膨らんでいない形態も包含される。
充填材封入部105は、例えば図3に示すように、包装容器100の前面、後面、天面などの周縁に沿って一繋がりとなるように形成される。そして、収容物の収容前あるいは収容物が収容された後において、この充填材封入部105に、例えば内側樹脂フィルム層21と一体として設けられ充填材封入部105と連通している非接合領域がその外縁まで達している充填材導入部などから充填材が導入され、充填材封入部105がシート材200の厚み方向に膨らむことにより、包装容器100に剛性が付与される。つまり、包装容器100に高い自立性だけでなく、圧縮強度、スクイズバック性なども付与される。また、上記した充填材導入部は、充填材を導入後に適宜の方法により封止され、必要に応じて切除される。
なお、この充填材封入部105は、一繋がりではなく、互いに独立して複数形成されていても良く、また、包装容器100の周縁以外にも形成可能であり、その数や形成領域は特段限定されない。そして、包装容器100に収容された収容物を使い切った後には、この充填材封入部105から充填材を除去することによって包装容器100は剛性を失うため、この包装容器100を容易に小さく押しつぶすことができる。
充填材封入部105に封入される充填材としては、流体(気体または液体)、固体(例えば粉粒体、樹脂ペレット等)または半固体(例えば、発泡材等)を用いることができるが、気体を充填材として用いることが好ましい。充填材として用いる気体としては、空気、窒素、酸素、不活性ガス(アルゴン、ヘリウムなど)などが例示され、コストなどの観点から空気を用いるのが好ましい。そして、この充填材封入部105の内圧は、限定されるものではないが、第2実施形態の包装容器100に十分な剛性を付与するという観点から、例えば、ゲージ圧力換算で10kPa以上であるのが好ましく、20kPa以上であるのがより好ましい。そして、500kPa以下であるのが好ましく、100kPa以下であるのがより好ましい。
そして、本実施形態に係る包装容器100の第2実施形態では、内側樹脂フィルム層21が第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層によって構成される場合においては、第2内側樹脂フィルム層の対向する内面側の周縁部の少なくとも一部どうしが接合されることによって製袋され、この第2内側樹脂フィルム層により収容物を収容する収容領域が形成される。
また、この第2実施形態では、変形例として、シート材200の内側樹脂フィルム層21が、第2内側樹脂フィルム層の容器内部側に、その周縁部が第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層よりもわずかに内側に配置され、さらにその内面側の周縁部の少なくとも一部どうしが接合されることによって製袋され、収容領域を形成する内容器となる第3内側樹脂フィルム層をさらに含む実施形態であっても良い。そして、この第1内側樹脂フィルム層、第2内側樹脂フィルム層、および第3内側樹脂フィルム層を含む内側樹脂フィルム層21は、全体として単一種樹脂素材により構成されているのが好ましい。なお、第3内側樹脂フィルム層は、第1内側樹脂フィルム層および第2内側樹脂フィルム層とは少なくとも部分的に非接合である。また、この第3内側樹脂フィルム層も、単層であっても良く、あるいは複数の樹脂フィルム層が積層された構成であっても良い。
そして、この第2実施形態の変形例では、上記したように、第3内側樹脂フィルム層の内面側の周縁部の少なくとも一部どうしが接合されることによって製袋されて内容器となり、この内容器内に収容物を収容する収容領域が形成されるため、この第3内側樹脂フィルム層に開口部107としてスパウトなどが接続されていても良い。また、第3内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層とは、全体にわたって非接合であるか、あるいは第3内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層との周縁部の一部が互いに接合された状態であることにより、収容物を使用する際にこの内容器が容易に縮小して、収容物が最後まで排出されやすくなるとともに、包装容器100の剛性は第1内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層との間に形成された充填材封入部105によって収容物を使い切るまで保たれる。但し、第3内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層とが全体にわたって非接合である場合でも、内容器となる第3内側樹脂フィルム層が第2内側樹脂フィルム層の内側に保持される構成であることが好ましい。
例えば、側部シール部101の少なくとも一部において、第2内側樹脂フィルム層の内面側に第3内側樹脂フィルム層が配置され、第3内側樹脂フィルム層が第2内側樹脂フィルム層に挟持されて側部シール部101が形成されている構成などであって良い。
そして、この第3内側樹脂フィルム層と第2内側樹脂フィルム層との間には、上記した縮小をし易くするために、内容器と、この内容器を被覆する第2内側樹脂フィルム層との間に外気を導入させる外気導入部を設けても良い。
さらに、この第2実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107(スパウト)が設けられている天面構成シート部206を有する場合、この天面構成シート部206は最外フィルム層11を有さない構成であるのがより好ましい。また、この天面構成シート部206は、最外フィルム層11だけでなく充填材封入部105も有さない構成であるのが好ましい。同様に、最外フィルム層11の剥離時に、天マチ部104やスパウトでの引っ掛かりや裂け残りを回避できるからである。
また、この第2実施形態においては、天面を構成する天面構成シート部206と、側部シール部101と、の接合部109を含む領域の天面構成シート部206は、接合層31の接合性能を消失させる処理が施され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが接合していない構成であるのがより好ましい。そして、天面には充填材封入部105が形成されていない構成であるのがさらに好ましい。最外フィルム層11を上記した接合部109付近の天面構成シート部206から容易に剥離することができるからである。
例えば、図16に示すような、天面側に天マチ部104およびスパウトを有し、天マチ部104には充填材封入部105が形成されていない包装容器100において、天面構成シート部206の周縁部であって、天面構成シート部206と側部シール部101との接合部109を含む領域には接合層31が形成されておらず、この領域の内側樹脂フィルム層21と接合していない最外フィルム層11の周縁部が剥離誘導部201(最外フィルム層11の剥離時の摘み)となる構成であるのが好適である。
なお、前述した第1実施形態においても、天面構成シート部206についてこれと同様の構成を採用することができる。
さらに、この第2実施形態において、充填材封入部105を形成しているシート材200においては、接合層31によって、内側樹脂フィルム層21の全体に最外フィルム層11が接合されて被覆されている(容器外部側から最外フィルム層11が接合されて内側樹脂フィルム層21の全体を被覆している)構成であるのがより好ましい。外部環境などの影響による充填材封入部105の膨張や伸びを抑制でき、包装容器100の剛性がより向上するからである。
例えば、図17に示すように、充填材封入部105およびその周縁部を形成しているシート材200では、最外フィルム層11が、接合層31により内側樹脂フィルム層21(第1内側樹脂フィルム層21a)と接合されて、最外フィルム層11が内側樹脂フィルム層21の全体を被覆している構成であり、一方で、充填材封入部105およびその周縁部以外の領域では、シート材200は最外フィルム層11および接合層31を有さず、内側樹脂フィルム層21だけで形成されている構成であると好適である。
あるいは、 例えば図3に示すような、前面または後面に環状の充填材封入部105(内部空間が周回状に連通している充填材封入部105)を有する包装容器100において、この環状の充填材封入部105に囲まれた領域にのみ最外フィルム層11が備わり、接合層31によって内側樹脂フィルム層21(第1内側樹脂フィルム層21a)と接合されている構成であっても良い。このような構成であると、最外フィルム層11を印刷ラベルとしても使用し易くなる。
なお、この第2実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、スカート部108を構成するシート材200が最外フィルム層11を有さない構成であるか、あるいは、スカート部108を構成する底面構成シート部204において、接合層31の接合性能を消失させる処理が施され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが接合していない構成も採用することができる。また、スカート部108を構成するシート材200の周縁部の少なくとも一部には、接合層31の接合性能を消失させる処理が施され、最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とが接合していない領域が備わる構成も採用することができる。さらに、底面構成シート部204が、底面の側端における底面構成シート部204が重なって折り込まれる領域において、接合層31の接合性能を消失させるかあるいは低下させる処理が施されている構成も採用することができる。あるいは、底面構成シート部204の、底面の側端における底面構成シート部204が重なって折り込まれる領域に、最外フィルム層11が切欠されている最外フィルム層切欠部43が形成されている構成も採用することができる。
さらには、これも前述した第1実施形態と同様に、この第2実施形態においても、包装容器100の上部側に天面を構成する天面構成シート部206を有し、この天面構成シート部206には収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107が設けられている構成において、天面構成シート部206に、この開口部107の周縁を包囲している周縁部の最外フィルム層11が切欠されている最外フィルム層切欠部43が形成されている構成も採用することができる。また、底面を構成する底面構成シート部204の少なくとも一部に接合層31の接合性能を消失あるいは弱化させる処理が施された接合層処理部45を有し、且つ、前面を構成する前面構成シート部203または後面を構成する後面構成シート部205の底面構成シート部204と隣接する領域の一部に接合層31の接合性能を消失させる処理が施された接合層処理部45を有する構成も採用することができる。さらに、包装容器100の上部側におけるシート材200の周縁部の少なくとも一部に前述した延出部を有する構成も採用することができる。あるいは、包装容器100の上部側に天面を構成する天面構成シート部206を有し、この天面構成シート部206には収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部107が設けられている構成において、天面構成シート部206の周縁部の一部に延出部が備わり、さらにこの天面構成シート部206の一部に、最外フィルム層11が、天面構成シート部206の外周縁から開口部107の周縁を包囲している内周縁まで切断された切り込み47を有する構成も採用することができる。
〔包装容器の水平リサイクル方法〕
次に、本発明に係る包装容器の水平リサイクル方法(本発明に係る包装容器を包装容器の原料にリサイクルする方法)の実施形態について、詳細に説明する。
収容された収容物を使い切った本実施形態に係る包装容器100は、必要に応じて押しつぶされ、回収される。そして、回収された包装容器100は、最外フィルム層11が剥離されて内側樹脂フィルム層21と分離される。
具体的には、回収した包装容器100の最外フィルム層11と内側樹脂フィルム層21とを物理的な力により剥離させて(引き剥がして)分離するか、あるいは、回収した包装容器100に水また温水が接合層31に浸透するような処理、加熱処理などを行い、接合層31の接合力を低下あるいは消失させてから、最外フィルム層11を内側樹脂フィルム層21から剥離させて分離する。なお、前述したスパウトや剥離誘導部201(延出部など)を有する包装容器100の場合には、スパウトを機械などにより把持し、延出部などを利用して機械的に最外フィルム層11を分離しても良い。そして、得られた内側樹脂フィルム層21は、必要に応じて収容領域の洗浄を行う。
次に、この得られた内側樹脂フィルム層21を用いて、リサイクル材料である再生樹脂(樹脂ペレット等)を形成する。例えば、内側樹脂フィルム層21あるいはその細断物を溶融し、押出や圧偏などによって樹脂ペレットを形成することができる。
なお、例えば、新しい樹脂原料(バージン樹脂原料)を主原料として使用し、これに前述した内側樹脂フィルム層21の溶融物などを混合して再生樹脂を形成しても良いが、本実施形態に係る包装容器100の水平リサイクル方法では、単一種樹脂素材により構成された(モノマテリアルである)内側樹脂フィルム層21を原料として用いた場合、この内側樹脂フィルム層21を主原料として使用しても、品質が高いリサイクル材料を得ることができるため非常に好適である。
ここで、この「主原料」とは、再生樹脂形成原料中の割合が80質量%以上であることを意味し、90質量%以上であっても良く、95質量%以上であっても良く、100質量%であっても良い。
そして、得られた再生樹脂(樹脂ペレット等)を用いて、例えば本実施形態に係る包装容器100を形成するシート材200の少なくとも一部を形成することができる。なお、この再生樹脂を用いて、シート材200の収容物と直接接しないフィルム層の少なくとも一部を形成するのが好ましい。このようにして得られたリサイクルフィルム層を含むシート材200により構成された包装容器100は、収容物がリサイクルフィルム層に直接接しないため、リサイクルフィルム層中に不純物が少量含まれていたとしても、この不純物が収容物に移行し難く好適である。また、上記再生樹脂を用いて、本実施形態に係る包装容器100とは別の包装容器の少なくとも一部を形成することもできる。
このようにして、収容された収容物を使い切った後の包装容器100を、包装容器100などの作製に用いる樹脂原料に再生する、包装容器100の水平リサイクルシステムを構築することができる。
なお、この包装容器100の水平リサイクル方法の実施形態においては、前述した効果に影響を与えない範囲において、上記の工程以外の任意の工程を含んでいても良い。また、この包装容器100の水平リサイクル方法により得られた本実施形態に係る包装容器100についても、前述した効果に影響を与えない範囲において、任意の構成を含んでいても良い。
11 最外フィルム層
21 内側樹脂フィルム層
21a 第2内側樹脂フィルム層
21b 第1内側樹脂フィルム層
31 接着層
43 最外フィルム層切欠部
45 接合層処理部
47 切り込み
100 包装容器
101 側部シール部
103 底マチ部
104 天マチ部
105 充填剤封入部
106 胴部
107 開口部
108 スカート部
109 接合部
200 シート材
201 剥離誘導部
201b ミシン目
203 前面構成シート部
204 底面構成シート部
205 後面構成シート部
206 天面構成シート部

Claims (13)

  1. シート材が製袋されて形成された、前面、後面、および底面を有する包装容器であって、
    前記シート材は、前記包装容器において最も外部側に配置される最外フィルム層と、前記最外フィルム層よりも前記包装容器の内部側に配置される内側樹脂フィルム層と、前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層との間に配置され、前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とを接合している接合層と、を有し、
    前記最外フィルム層は、前記内側樹脂フィルム層を構成している樹脂素材とは異なる種類の樹脂素材および/または紙材により構成された層を含み、
    前記接合層は、前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とを接合可能な接合性能を有し、且つ、物理的または化学的な処理によって前記最外フィルム層を前記内側樹脂フィルム層から剥離させることが可能な易剥離性を有する材料により構成されており、
    さらに前記シート材は、前記前面を構成する前面構成シート部と、前記後面を構成する後面構成シート部と、前記底面を構成する底面構成シート部と、を含み、
    前記シート材が、前記最外フィルム層が前記包装容器において最も外部側に配置されるように折り畳まれ、前記前面構成シート部と前記後面構成シート部との対向する内面側の側縁部どうしが接合されて側部シール部が形成され、前記シート材が収容物を収容する収容領域を包囲するように製袋され、
    さらに、前記側部シール部の下部側には、前記前面構成シート部の一部および前記底面構成シート部の一部により構成された前側下部スカートシートと、前記後面構成シート部の一部および前記底面構成シート部の一部により構成された後側下部スカートシートと、が配置されているとともに、前記前側下部スカートシートと前記後側下部スカートシートとの側縁部どうしが接合されたスカートシール部が形成され、且つ、前記スカートシール部を介して前記前側下部スカートシートと前記後側下部スカートシートとが一繋がりになったスカート部が形成されており、
    少なくとも前記収容領域に前記収容物が収容されて前記底面を下側にして載置面に設置された状態で自立可能である、
    包装容器。
  2. 前記内側樹脂フィルム層が単一種樹脂素材により構成されている、請求項1に記載の包装容器。
  3. 前記シート材の少なくとも一部に、前記最外フィルム層を前記内側樹脂フィルム層から剥離する起点となる剥離誘導部が備わる、請求項1または2に記載の包装容器。
  4. 前記スカート部を構成する前記シート材は、前記最外フィルム層を有さない構成であるか、あるいは、前記スカート部を構成する前記底面構成シート部において、前記接合層の前記接合性能を消失させる処理が施され、前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とが接合していない構成である、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器。
  5. 前記スカート部を構成する前記シート材の周縁部の少なくとも一部に、前記接合層の前記接合性能を消失させる処理が施され、前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とが接合していない領域が備わる、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器。
  6. 前記底面構成シート部は、前記底面の側端における前記底面構成シート部が重なって折り込まれる領域において、前記接合層の前記接合性能を消失させるかあるいは低下させる処理が施されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器。
  7. 前記底面構成シート部の、前記底面の側端における前記底面構成シート部が重なって折り込まれる領域には、前記最外フィルム層が切欠されている最外フィルム層切欠部が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装容器。
  8. 前記包装容器は天面を有し、
    前記シート材は、前記天面を構成する天面構成シート部を含み、
    前記包装容器の前記天面には、前記収容物を収容および排出可能であり且つ繰り返し開閉可能な口栓構造を有する開口部が設けられており、
    さらに、前記天面構成シート部は前記最外フィルム層を有さない構成である、請求項1~7のいずれか1項に記載の包装容器。
  9. 前記包装容器は天面を有し、
    前記シート材は、前記天面を構成する天面構成シート部を含み、
    さらに、前記天面構成シート部と前記側部シール部との接合部を含む領域の前記天面構成シート部は、前記接合層の前記接合性能を消失させる処理が施されて前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とが接合していない構成である、請求項1~7のいずれか1項に記載の包装容器。
  10. 前記シート材の前記内側樹脂フィルム層が、第1内側樹脂フィルム層と、前記第1内側樹脂フィルム層よりも前記包装容器の内部側に配置される第2内側樹脂フィルム層と、を含み、
    前記包装容器が、前記シート材の前記第1内側樹脂フィルム層と前記第2内側樹脂フィルム層との間に、前記第1内側樹脂フィルム層と前記第2内側樹脂フィルム層とが接合している内側フィルム接合部と、充填材を封入可能であって、前記充填材が封入されたときに前記内側フィルム接合部よりも前記シート材の厚み方向に膨らむ充填材封入部と、を備え、
    前記充填材封入部を形成している前記シート材においては、前記接合層によって、前記内側樹脂フィルム層に前記最外フィルム層が接合されて被覆されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装容器。
  11. 前記包装容器が、前記前面および前記後面に、前記収容領域に前記収容物が収容されたときに前記シート材の厚み方向に膨らむ胴部を備え、
    前記胴部を構成する前記前面構成シート部および前記後面構成シート部においては、前記接合層によって、前記内側樹脂フィルム層に前記最外フィルム層が接合されて被覆されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装容器。
  12. 前記包装容器が、前記前面および前記後面に、前記収容領域に前記収容物が収容されたときに前記シート材の厚み方向に膨らむ胴部を備え、
    前記胴部を構成する前記前面構成シート部および前記後面構成シート部においては、前記内側樹脂フィルム層の全体に前記最外フィルム層が被覆され、
    前記胴部を構成する前記前面構成シート部および前記後面構成シート部の周縁部においては、前記接合層によって、前記最外フィルム層が前記内側樹脂フィルム層の少なくとも一部と接合されており、
    前記胴部を構成する前記前面構成シート部および前記後面構成シート部の周縁部を除く領域においては、前記接合層の前記接合性能を消失させる処理が施されて前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とが接合していない構成である、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装容器。
  13. 前記包装容器が、前記前面および前記後面に、前記収容領域に前記収容物が収容されたときに前記シート材の厚み方向に膨らむ胴部を備え、
    前記胴部を構成する前記前面構成シート部および前記後面構成シート部においては、前記内側樹脂フィルム層の全体に前記最外フィルム層が被覆され、
    前記胴部を構成する前記前面構成シート部および前記後面構成シート部の周縁部の少なくとも一部は、前記接合層の前記接合性能を消失させる処理が施され、前記最外フィルム層と前記内側樹脂フィルム層とが接合していない構成であり、
    さらに、前記前面構成シート部および前記後面構成シート部以外の前記シート材は前記最外フィルム層を有さない構成である、請求項1~4のいずれか1項に記載の包装容器。
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