JP2022128120A - ビード締め付け力予測方法、タイヤの製造方法及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ビード部にビードコアを備えたタイヤのビード締め付け力を予測するための方法、当該方法を用いたタイヤの製造方法及びタイヤに関する。
タイヤのビード部の締め付け力は、大きすぎるとリムへの取り付け作業性が悪化するおそれがあり、小さすぎるとリムずれ、リム外れ、空気漏れ等の問題が発生するおそれがある。例えば、下記特許文献1は、ビード部分のヒール面の形状を適正することで、締め付け力勾配及びビード締め付け力のばらつきを小さくした空気入りタイヤを提案している。
しかしながら、特許文献1の空気入りタイヤは、試験機を用いてビード部の締め付け力を測定するか、シミュレーションでの構造計算をする必要があり、設計パラメータから簡単にビード締め付け力を予測することが望まれていた。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、設計パラメータからビード部の締め付け力を精度よく簡単に予測し得る方法、当該方法を用いたタイヤ製造方法及びタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、ビード部にビードコアを備えたタイヤの前記ビード部の締め付け力を予測するための方法であって、前記タイヤがホイールのリムに嵌合したときの前記ビード部の締め付け力を、下記式(1)を用いて予測する工程を含むことを特徴とする。
ここで、
BF : ビード部の締め付け力[N]
BOW: ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
a1 : 係数
a2 : 定数
ここで、
BF : ビード部の締め付け力[N]
BOW: ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
a1 : 係数
a2 : 定数
本発明は、ビード部にビードコアを備えたタイヤの前記ビード部の締め付け力を予測するための方法であって、前記タイヤがホイールのリムに嵌合したときの前記ビード部の締め付け力を、下記式(2)を用いて予測する工程を含むことを特徴とする。
ここで、
BF : ビード部の締め付け力[N]
BOW: ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
εc : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の圧縮歪[%]
IDw: ビードコアの内径[mm]
ODR: リム径[mm]
Ct : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
a3、a4:係数
a5 : 定数
ここで、
BF : ビード部の締め付け力[N]
BOW: ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
εc : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の圧縮歪[%]
IDw: ビードコアの内径[mm]
ODR: リム径[mm]
Ct : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
a3、a4:係数
a5 : 定数
本発明は、ビード部にビードコアを備えたタイヤの前記ビード部の締め付け力を予測するための方法であって、前記ビードコアは、ビードワイヤから構成されたものであり、前記タイヤがホイールのリムに嵌合したときの前記ビード部の締め付け力を、下記式(3)を用いて予測する工程を含むことを特徴とする。
ここで、
BF : ビード部の締め付け力[N]
BOW : ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
εc : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の圧縮歪[%]
BWST: ビードコアの最もタイヤ半径方向内側の幅[mm]
IDw : ビードコアの内径[mm]
ODR : リム径[mm]
Ct : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
BWd : ビードワイヤ素線径[mm]
BWdn: ビードワイヤの最もタイヤ半径方向内側に並べられる本数[整数]
a6、a7、a8:係数
a9 : 定数
ここで、
BF : ビード部の締め付け力[N]
BOW : ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
εc : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の圧縮歪[%]
BWST: ビードコアの最もタイヤ半径方向内側の幅[mm]
IDw : ビードコアの内径[mm]
ODR : リム径[mm]
Ct : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
BWd : ビードワイヤ素線径[mm]
BWdn: ビードワイヤの最もタイヤ半径方向内側に並べられる本数[整数]
a6、a7、a8:係数
a9 : 定数
本発明のビード締め付け力予測方法において、許容されるリム径の最大値から最小値までの値を用いて、前記ビード部の締め付け力を予測するのが望ましい。
本発明のビード締め付け力予測方法において、前記ビードコアの最大幅の中心と前記ビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離を、下記式(4)を用いて予測するのが望ましい。
ここで、
BOW: ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
BG : ビードコアのタイヤ軸方向外側のゴム厚さ[mm]
tch: チェーファーゴムの厚さ[mm]
Nch: チェーファーゴムの数[整数]
tc : カーカスプライの厚さ[mm]
ONc: ビードコアよりもタイヤ軸方向外側に位置するカーカスプライの数[整数]
tj : その他の部材の厚さ[mm]
Nj : その他の部材の数[整数]
BWmax:ビードコアの最大幅[mm]
a10: 係数
a11: その他のゴムの厚さ[mm]
a12: 定数
ここで、
BOW: ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
BG : ビードコアのタイヤ軸方向外側のゴム厚さ[mm]
tch: チェーファーゴムの厚さ[mm]
Nch: チェーファーゴムの数[整数]
tc : カーカスプライの厚さ[mm]
ONc: ビードコアよりもタイヤ軸方向外側に位置するカーカスプライの数[整数]
tj : その他の部材の厚さ[mm]
Nj : その他の部材の数[整数]
BWmax:ビードコアの最大幅[mm]
a10: 係数
a11: その他のゴムの厚さ[mm]
a12: 定数
本発明のビード締め付け力予測方法において、前記ビードコアの最大幅を、下記式(5)を用いて予測するのが望ましい。
ここで、
BWmax: ビードコアの最大幅[mm]
BWd : ビードワイヤ素線径
BWdnmax:ビードワイヤのタイヤ軸方向に並べられる最大本数[整数]
a13 : 係数
a14 : 定数
BWmax: ビードコアの最大幅[mm]
BWd : ビードワイヤ素線径
BWdnmax:ビードワイヤのタイヤ軸方向に並べられる最大本数[整数]
a13 : 係数
a14 : 定数
本発明は、タイヤの製造方法であって、上述のビード締め付け力予測方法により予測された前記ビード部の締め付け力が、1000~10000Nとなるように前記ビード部を構成する工程を含むことを特徴とする。
本発明は、タイヤであって、上述のビード締め付け力予測方法により予測された前記ビード部の締め付け力が、1000~10000Nであることを特徴とする。
本発明のビード締め付け力予測方法は、タイヤがホイールのリムに装着されたときのビード部の締め付け力を、上記式(1)を用いて予測する工程を含んでいる。このようなビード締め付け力予測方法は、ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離から、ビード部の締め付け力を予測することができる。
本発明のビード締め付け力予測方法は、タイヤがホイールのリムに装着されたときのビード部の締め付け力を、上記式(2)を用いて予測する工程を含んでいる。このようなビード締め付け力予測方法は、上述の距離、ビードコアの内径、リム径及びビードコアよりもタイヤ半径方向内側の厚さから、ビード部の締め付け力を予測することができる。
本発明のビード締め付け力予測方法は、ビード部にビードワイヤから構成されたビードコアを備えたタイヤがホイールのリムに装着されたときの前記ビード部の締め付け力を、上記式(3)を用いて予測する工程を含んでいる。このようなビード締め付け力予測方法は、上述の距離、ビードコアの内径、リム径、上述の厚さ、ビードワイヤ素線径及びビードワイヤの最もタイヤ半径方向内側に並べられる本数から、ビード部の締め付け力を予測することができる。
このため、本発明のビード締め付け力予測方法は、設計パラメータからビード部の締め付け力を精度よく簡単に予測することができる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1には、本実施形態のタイヤ1の正規状態における回転軸を含むタイヤ子午線断面図が示されている。本実施形態のタイヤ1は、乗用車等に装着されるゴム製の空気入りタイヤとして好適に用いられる。なお、タイヤ1は、乗用車用のゴム製空気入りタイヤに特定されるものではなく、例えば、重荷重用の空気入りタイヤや樹脂製の空気入りタイヤ等の様々なタイヤ1に応用され得る。
図1には、本実施形態のタイヤ1の正規状態における回転軸を含むタイヤ子午線断面図が示されている。本実施形態のタイヤ1は、乗用車等に装着されるゴム製の空気入りタイヤとして好適に用いられる。なお、タイヤ1は、乗用車用のゴム製空気入りタイヤに特定されるものではなく、例えば、重荷重用の空気入りタイヤや樹脂製の空気入りタイヤ等の様々なタイヤ1に応用され得る。
ここで、「正規状態」とは、タイヤ1がゴム製空気入りタイヤの場合、タイヤ1が正規リムRにリム組みされ、かつ、正規内圧に調整された無負荷の状態である。以下、特に言及しない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、この正規状態で測定された値である。
「正規リムR」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。「正規リムR」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が無い場合、メーカー等がタイヤ毎に定めるリムである。
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が無い場合、メーカー等がタイヤ毎に定める空気圧である。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、タイヤ赤道Cを含んで環状に延びるトレッド部2と、トレッド部2の両側に延びる一対のサイドウォール部3と、サイドウォール部3に連なって延びる一対のビード部4とを含んでいる。本実施形態のビード部4は、ビードコア5を備えている。
タイヤ1は、例えば、一対のビード部4のビードコア5の間をトロイド状に跨るカーカス6を備えている。カーカス6は、少なくとも1枚、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aを含んでいる。カーカスプライ6Aは、例えば、タイヤ周方向に対して75~90度の角度で配されたカーカスコード(図示省略)を含んでいる。カーカスコードとしては、例えば、芳香族ポリアミド又はレーヨン等の有機繊維コードが採用され得る。
カーカスプライ6Aは、例えば、一対のビードコア5間を跨って延びる本体部6aと、この本体部6aに連なり、かつ、ビードコア5の周りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含んでいる。このようなカーカスプライ6Aは、ビードコア5のタイヤ半径方向内側に位置する部分を有している。
図2は、本実施形態のビード部4を示す模式図である。図2に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、ホイールのリムRに装着されたときに、ビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとタイヤ半径方向内側の内面4bとがホイールのリムRに接している。
ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側のゴム部材7は、例えば、タイヤ1がホイールのリムRに装着されたときに、図2において着色しているゴム部材7aに圧縮される。このため、タイヤ1がホイールのリムRに装着されたときには、ビード部4に締め付け力BFが発生している。このようなビード部4の締め付け力BFは、リムずれ、リム外れ等を抑制し、タイヤ1とリムRとの間の空気が漏れることを抑止することができる。
本実施形態のビード締め付け力予測方法は、タイヤ1がホイールのリムRに嵌合したときのビード部4の締め付け力BFを、下記式(1)を用いて予測する工程を含んでいる。
ここで、
BF : ビード部4の締め付け力[N]
BOW: ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離[mm]
a1 : 係数
a2 : 定数
BF : ビード部4の締め付け力[N]
BOW: ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離[mm]
a1 : 係数
a2 : 定数
このようなビード締め付け力予測方法は、ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離BOWから、ビード部4の締め付け力BFを予測することができる。このため、本実施形態のビード締め付け力予測方法は、設計パラメータからビード部4の締め付け力BFを精度よく簡単に予測することができる。
なお、係数a1及び定数a2は、それぞれ、予めタイヤビード締め付け力試験機を用いて測定された値から、多変量解析等により実験的に求められるのが望ましい。ここで、係数a1は、距離BOWから締め付け力BFを求めるための係数である。
本実施形態のビード締め付け力予測方法は、距離BOWが、ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の厚さCtに比例するタイヤ1に特に有効に用いられる。ここで、ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の厚さCtは、例えば、タイヤ1がホイールのリムRに装着される前の厚さCtであって、ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cでの厚さCtを代表値とすることができる。
また、ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cは、例えば、ビードコア5の最大幅BWmaxのタイヤ軸方向の中心5cである。ビードコア5の最大幅BWmaxは、ビードコア5を構成するビードワイヤ8のタイヤ軸方向両側の外端面間の幅であるのが望ましい。
ビードコア5の形状は、図2に示される形状に限定されるものではない。図3は、他の実施形態のビード部4を示す模式図であり、図4は、更に他の実施形態のビード部4を示す模式図である。図3に示されるように、ビードコア5は、例えば、ビードワイヤ8が六角形状に並べられていてもよい。この場合のビードコア5の最大幅BWmaxは、タイヤ半径方向中央に位置するビードワイヤ8のタイヤ軸方向両側の外端面間の幅である。
図4に示されるように、ビードコア5は、例えば、ビードワイヤ8が台形状に並べられていてもよい。この場合のビードコア5の最大幅BWmaxは、タイヤ半径方向内側に位置するビードワイヤ8のタイヤ軸方向両側の外端面間の幅である。
次に、図3及び図4を参酌しつつ、図2に基づき、第2の実施形態のビード締め付け力予測方法が説明される。なお、図2には、ビード部4にカーカスプライ6A及び圧縮された状態のチェーファーゴム9が例示されているが、図3及び図4では、その記載が省略されている。
第2の実施形態のビード締め付け力予測方法は、タイヤ1がホイールのリムRに嵌合したときのビード部4の締め付け力BFを、下記式(2)を用いて予測する工程を含んでいる。
ここで、
BF : ビード部4の締め付け力[N]
BOW: ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離[mm]
εc : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の圧縮歪[%]
IDw: ビードコア5の内径[mm]
ODR: リム径[mm]
Ct : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
a3、a4:係数
a5 : 定数
ここで、
BF : ビード部4の締め付け力[N]
BOW: ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離[mm]
εc : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の圧縮歪[%]
IDw: ビードコア5の内径[mm]
ODR: リム径[mm]
Ct : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
a3、a4:係数
a5 : 定数
このようなビード締め付け力予測方法は、ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離BOW、ビードコア5の内径IDw、リム径ODR及びビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の厚さCtから、ビード部4の締め付け力BFを予測することができる。このため、第2の実施形態のビード締め付け力予測方法は、設計パラメータからビード部4の締め付け力BFを精度よく簡単に予測することができる。
なお、係数a3、係数a4及び定数a5は、それぞれ、予めタイヤビード締め付け力試験機を用いて測定された値から、多変量解析等により実験的に求められるのが望ましい。ここで、係数a3は、距離BOWから締め付け力BFを求めるための係数である。また、係数a4は、圧縮歪εcから締め付け力BFを求めるための係数である。
このようなビード締め付け力予測方法は、距離BOWに加え、圧縮歪εcに基づく締め付け力BFの影響を加味して締め付け力BFを求めることができるので、ビード部4の締め付け力BFをより精度よく予測することができる。
ビード締め付け力予測方法は、許容されるリム径ODRの最大値から最小値までの値を用いて、ビード部4の締め付け力BFを予測するのが望ましい。ここで、許容されるリム径ODRの最大値及び最小値は、JATMAであれば"リム径ODR±0.4mm"、TRAであれば"リム径ODR±0.4mm"、ETRTOであれば"リム周長±1.2mm"である。
このようなビード締め付け力予測方法は、許容されるリム径ODRの範囲において、常にリムRへの取り付け作業性と、リムずれ、リム外れ、空気漏れ等の抑制とを両立させることができる。
次に、第3の実施形態のビード締め付け力予測方法が説明される。
第3の実施形態のビード締め付け力予測方法は、タイヤ1がホイールのリムRに嵌合したときのビード部4の締め付け力BFを、下記式(3)を用いて予測する工程を含んでいる。
ここで、
BF : ビード部4の締め付け力[N]
BOW : ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離[mm]
εc : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の圧縮歪[%]
BWST: ビードコア5の最もタイヤ半径方向内側の幅[mm]
IDw : ビードコア5の内径[mm]
ODR : リム径[mm]
Ct : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
BWd : ビードワイヤ素線径[mm]
BWdn: ビードワイヤ8の最もタイヤ半径方向内側に並べられる本数[整数]
a6、a7、a8:係数
a9 : 定数
第3の実施形態のビード締め付け力予測方法は、タイヤ1がホイールのリムRに嵌合したときのビード部4の締め付け力BFを、下記式(3)を用いて予測する工程を含んでいる。
ここで、
BF : ビード部4の締め付け力[N]
BOW : ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離[mm]
εc : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の圧縮歪[%]
BWST: ビードコア5の最もタイヤ半径方向内側の幅[mm]
IDw : ビードコア5の内径[mm]
ODR : リム径[mm]
Ct : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
BWd : ビードワイヤ素線径[mm]
BWdn: ビードワイヤ8の最もタイヤ半径方向内側に並べられる本数[整数]
a6、a7、a8:係数
a9 : 定数
このようなビード締め付け力予測方法は、ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離BOW、ビードコア5の内径IDw、リム径ODR、ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側の厚さCt、ビードワイヤ素線径BWd及びビードワイヤ8の最もタイヤ半径方向内側に並べられる本数BWdnから、ビード部4の締め付け力BFを予測することができる。このため、第2の実施形態のビード締め付け力予測方法は、設計パラメータからビード部4の締め付け力BFを精度よく簡単に予測することができる。
なお、係数a6、係数a7、係数a8及び定数a9は、それぞれ、予めタイヤビード締め付け力試験機を用いて測定された値から、多変量解析等により実験的に求められるのが望ましい。
ここで、係数a6は、距離BOWから締め付け力BFを求めるための係数である。また、係数a7は、圧縮歪εcから締め付け力BFを求めるための係数である。また、係数a8は、ビードコア5の最もタイヤ半径方向内側の幅BWSTから締め付け力BFを求めるための係数である。なお、ビードワイヤ8の最もタイヤ半径方向内側に並べられる本数BWdnは、例えば、図2の例では、3本である。
このようなビード締め付け力予測方法は、距離BOW及び圧縮歪εcに加え、幅BWSTに基づく締め付け力BFの影響を加味して締め付け力BFを求めることができるので、ビード部4の締め付け力BFをより精度よく予測することができる。
第3の実施形態のビード締め付け力予測方法は、第2の実施形態のビード締め付け力予測方法と同様、許容されるリム径ODRの最大値から最小値までの値を用いて、ビード部4の締め付け力BFを予測している。このようなビード締め付け力予測方法は、許容されるリム径ODRの範囲において、常にリムRへの取り付け作業性と、リムずれ、リム外れ、空気漏れ等の抑制とを両立させることができる。
上記式(1)、上記式(2)又は上記式(3)を用いてビード締め付け力を予測する方法において、ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離BOWは、下記式(4)を用いて予測されるのが望ましい。
ここで、
BOW: ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離[mm]
BG : ビードコア5のタイヤ軸方向外側のゴム厚さ[mm]
tch: チェーファーゴム9の厚さ[mm]
Nch: チェーファーゴム9の数[整数]
tc : カーカスプライ6Aの厚さ[mm]
ONc: ビードコア5よりもタイヤ軸方向外側に位置するカーカスプライ6Aの数[整数]
tj : その他の部材の厚さ[mm]
Nj : その他の部材の数[整数]
BWmax:ビードコア5の最大幅[mm]
a10: 係数
a11: その他のゴムの厚さ[mm]
a12: 定数
ここで、
BOW: ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離[mm]
BG : ビードコア5のタイヤ軸方向外側のゴム厚さ[mm]
tch: チェーファーゴム9の厚さ[mm]
Nch: チェーファーゴム9の数[整数]
tc : カーカスプライ6Aの厚さ[mm]
ONc: ビードコア5よりもタイヤ軸方向外側に位置するカーカスプライ6Aの数[整数]
tj : その他の部材の厚さ[mm]
Nj : その他の部材の数[整数]
BWmax:ビードコア5の最大幅[mm]
a10: 係数
a11: その他のゴムの厚さ[mm]
a12: 定数
このようなビード締め付け力予測方法は、ビードコア5のタイヤ軸方向の中心5cとビード部4のタイヤ軸方向外側の表面4aとの距離BOWを精度よく簡単に求めることができる。なお、係数a10及び定数a12は、それぞれ、予めタイヤビード締め付け力試験機を用いて測定された値から、多変量解析等により実験的に求められるのが望ましい。ここで、係数a10は、ビードコア5よりもタイヤ軸方向外側の厚さとビードコア5の最大幅BWmaxとから距離BOWを求めるための係数である。
また、ビードコア5よりもタイヤ軸方向外側に位置するカーカスプライ6A、チェーファーゴム9及びその他の部材は、存在しない場合には、それぞれの数として0が入力される。なお、その他のゴムの厚さa11も、存在しない場合には、0が入力される。
上記式(4)を用いてビード締め付け力を予測する方法において、ビードコア5の最大幅BWmaxは、下記式(5)を用いて予測されるのが望ましい。
ここで、
BWmax: ビードコアの最大幅[mm]
BWd : ビードワイヤ素線径
BWdnmax:ビードワイヤのタイヤ軸方向に並べられる最大本数[整数]
a13 : 係数
a14 : 定数
BWmax: ビードコアの最大幅[mm]
BWd : ビードワイヤ素線径
BWdnmax:ビードワイヤのタイヤ軸方向に並べられる最大本数[整数]
a13 : 係数
a14 : 定数
このようなビード締め付け力予測方法は、ビードコア5の最大幅BWmaxを精度よく簡単に求めることができる。なお、係数a13及び定数a14は、それぞれ、予めタイヤビード締め付け力試験機を用いて測定された値から、多変量解析等により実験的に求められるのが望ましい。ここで、係数a13は、ビードワイヤ8の構成からビードコア5の最大幅BWmaxを求めるための係数である。
上記式(2)又は上記式(3)を用いてビード締め付け力を予測する方法において、ビードコア5よりタイヤ半径方向内側の厚さCtは、下記式(6)を用いて予測されるのが望ましい。
ここで、
ti : インナーライナーの厚さ[mm]
Ni : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側に位置するインナーライナーの数[整数]
tc : カーカスプライ6Aの厚さ[mm]
UNc: ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側に位置するカーカスプライ6Aの数[整数]
tch: チェーファーゴム9の厚さ[mm]
Nch: ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側に位置するチェーファーゴム9の数[整数]
tj : その他の部材の厚さ[mm]
Nj : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側に位置するその他の部材の数[整数]
a15: 定数
a16: その他のゴムの厚さ[mm]
ここで、
ti : インナーライナーの厚さ[mm]
Ni : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側に位置するインナーライナーの数[整数]
tc : カーカスプライ6Aの厚さ[mm]
UNc: ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側に位置するカーカスプライ6Aの数[整数]
tch: チェーファーゴム9の厚さ[mm]
Nch: ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側に位置するチェーファーゴム9の数[整数]
tj : その他の部材の厚さ[mm]
Nj : ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側に位置するその他の部材の数[整数]
a15: 定数
a16: その他のゴムの厚さ[mm]
このようなビード締め付け力予測方法は、ビードコア5よりタイヤ半径方向内側の厚さCtを精度よく簡単に求めることができる。なお、定数a15は、予めタイヤビード締め付け力試験機を用いて測定された値から、多変量解析等により実験的に求められるのが望ましい。
また、ビードコア5よりもタイヤ半径方向内側に位置するインナーライナー、カーカスプライ6A、チェーファーゴム9及びその他の部材は、存在しない場合には、それぞれの数として0が入力される。なお、その他のゴムの厚さa16も、存在しない場合には、0が入力される。
次に、上述のビード締め付け力予測方法を用いたタイヤ1の製造方法が説明される。
本実施形態のタイヤ1の製造方法は、上述のビード締め付け力予測方法により予測されたビード部4の締め付け力BFが、一定の範囲となるようにビード部4を構成する工程を含んでいる。
本実施形態のタイヤ1の製造方法は、上述のビード締め付け力予測方法により予測されたビード部4の締め付け力BFが、一定の範囲となるようにビード部4を構成する工程を含んでいる。
ビード部4の締め付け力BFの一定の範囲は、好ましくは、1000~10000Nである。予測された締め付け力BFが1000Nよりも大きいことで、リムずれ、リム外れ、空気漏れ等を抑制することができる。このような観点から、締め付け力BFの下限値は、好ましくは、1200Nであり、より好ましくは、1500Nであり、更に好ましくは、1700Nである。
予測された締め付け力BFが10000Nよりも小さいことで、良好なリムRへの取り付け作業性を維持することができる。このような観点から、締め付け力BFの上限値は、好ましくは、8000Nであり、より好ましくは、7000Nであり、更に好ましくは、6500Nである。
次に、上述のビード締め付け力予測方法を用いたタイヤ1が説明される。
本実施形態のタイヤ1は、上述のビード締め付け力予測方法により予測されたビード部4の締め付け力BFが、1000~10000Nである。このようなタイヤ1は、リムRへの取り付け作業性と、リムずれ、リム外れ、空気漏れ等の抑制とを両立することができる。
本実施形態のタイヤ1は、上述のビード締め付け力予測方法により予測されたビード部4の締め付け力BFが、1000~10000Nである。このようなタイヤ1は、リムRへの取り付け作業性と、リムずれ、リム外れ、空気漏れ等の抑制とを両立することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
図1の基本構造を有するタイヤが3種類試作され、実施例として、上記式(1)~(6)を用いて、ビード部の締め付け力が計算された。比較例として、下記式(7)を用いて、ビード部の締め付け力が計算された。なお、係数a17及び定数a18は、それぞれ、予め別の測定された値から、実験的に求められた。
ここで、
BF : ビード部の締め付け力[N]
Ct : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
a17 : 厚さから締め付け力を求めるための係数
a18 : 定数
BF : ビード部の締め付け力[N]
Ct : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
a17 : 厚さから締め付け力を求めるための係数
a18 : 定数
試作されたタイヤに対し、これらの計算結果である予測値と、タイヤビード締め付け力試験機を用いて測定されたビード部の締め付け力の測定結果との比較試験が行われた。結果は、予測値/測定値*100(%)の比で求められ、比が100に近いほど、測定値との差が小さく、予測精度に優れていることを示す。試験の結果が、表1に示される。
試験の結果、いずれのタイヤにおいても、実施例のビード締め付け力の予測値は、比較例よりも測定値に近く、設計パラメータからビード部の締め付け力を精度よく簡単に予測可能であることが確認された。
1 タイヤ
4 ビード部
4a 表面
5 ビードコア
5c 中心
4 ビード部
4a 表面
5 ビードコア
5c 中心
Claims (8)
- ビード部にビードコアを備えたタイヤの前記ビード部の締め付け力を予測するための方法であって、
前記ビードコアは、ビードワイヤから構成されたものであり、
前記タイヤがホイールのリムに嵌合したときの前記ビード部の締め付け力を、下記式(3)を用いて予測する工程を含む、
ビード締め付け力予測方法。
ここで、
BF : ビード部の締め付け力[N]
BOW : ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
εc : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の圧縮歪[%]
BWST: ビードコアの最もタイヤ半径方向内側の幅[mm]
IDw : ビードコアの内径[mm]
ODR : リム径[mm]
Ct : ビードコアよりもタイヤ半径方向内側の厚さ[mm]
BWd : ビードワイヤ素線径[mm]
BWdn: ビードワイヤの最もタイヤ半径方向内側に並べられる本数[整数]
a6、a7、a8:係数
a9 : 定数 - 許容されるリム径の最大値から最小値までの値を用いて、前記ビード部の締め付け力を予測する、請求項2又は3に記載のビード締め付け力予測方法。
- 前記ビードコアの最大幅の中心と前記ビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離を、下記式(4)を用いて予測する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のビード締め付け力予測方法。
ここで、
BOW: ビードコアのタイヤ軸方向の中心とビード部のタイヤ軸方向外側の表面との距離[mm]
BG : ビードコアのタイヤ軸方向外側のゴム厚さ[mm]
tch: チェーファーゴムの厚さ[mm]
Nch: チェーファーゴムの数[整数]
tc : カーカスプライの厚さ[mm]
ONc: ビードコアよりもタイヤ軸方向外側に位置するカーカスプライの数[整数]
tj : その他の部材の厚さ[mm]
Nj : その他の部材の数[整数]
BWmax:ビードコアの最大幅[mm]
a10: 係数
a11: その他のゴムの厚さ[mm]
a12: 定数 - タイヤの製造方法であって、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のビード締め付け力予測方法により予測された前記ビード部の締め付け力が、1000~10000Nとなるように前記ビード部を構成する工程を含む、
タイヤの製造方法。 - タイヤであって、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のビード締め付け力予測方法により予測された前記ビード部の締め付け力が、1000~10000Nである、
タイヤ。
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