JP2015221649A - 重荷重用チューブ式タイヤ - Google Patents

重荷重用チューブ式タイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性能を損なうことなく、転がり抵抗を低減できる重荷重用チューブ式タイヤを提供する。
【解決手段】重荷重用チューブ式タイヤ1は、カーカス6とビードエーペックスゴム8とを備える。無負荷の正規状態において、ビードコア5のタイヤ半径方向の外端5oは、正規リムのフランジFのタイヤ半径方向の外端Foよりもタイヤ半径方向の内側に位置する。ビードエーペックスゴム8は、タイヤ軸方向の内側に設けられた第1ビードエーペックスゴム8aと、第1ビードエーペックスゴム8aよりもタイヤ軸方向の外側に設けられ、ゴム硬度が小さくかつ損失正接tanδが小さいゴムからなる第2ビードエーペックスゴム8bとを有する。外端Foよりもタイヤ半径方向外側の領域Soでの第1ビードエーペックスゴム8aのタイヤ軸方向の厚さT1oは、第2ビードエーペックスゴム8bのタイヤ軸方向の厚さT2oよりも小さい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、耐久性能を損なうことなく、転がり抵抗を低減できる重荷重用チューブ式タイヤに関する。
従来から、重荷重用タイヤでは、優れた耐久性能と転がり抵抗の低減との両立が望まれている。
例えば、下記特許文献1では、カーカスの本体部と折返し部との間をビードコアからテーパー状にのびるビードエーペックスゴムを、タイヤ軸方向内側の第1ビードエーペックスゴムと、タイヤ軸方向外側の第2ビードエーペックスゴムとの二種類のゴムで構成し、第2ビードエーペックスゴムの損失正接tanδを、第1ビードエーペックスゴムの損失正接tanδよりも小さくして、転がり抵抗の低減を図った重荷重用チューブレスタイヤが開示されている。
特開2002−178724号公報
重荷重用チューブ式タイヤにあっても、転がり抵抗の低減するために種々の提案がなされている。例えば、上記特許文献1に記載された技術を重荷重用チューブ式タイヤに適用することが考えられる。
しかしながら、重荷重用チューブレスタイヤと重荷重用チューブ式タイヤとの間では、正規リムのフランジ形状が互いに異なっていることから、負荷時でのビード部の変形態様が異なる。そのため、単に上記特許文献1に記載された技術を重荷重用チューブ式タイヤに適用した場合、ビード部の耐久性能が低下するおそれがある。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、耐久性能と転がり抵抗性能とをバランスよく向上できる重荷重用チューブ式タイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至る本体部に、前記ビードコア廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返す折返し部を一連に設けたカーカスプライからなるカーカスと、前記本体部と前記折返し部との間を前記ビードコアからテーパ状にのびるビードエーペックスゴムとを備え、タイヤ内腔内にチューブが装着される重荷重用チューブ式タイヤであって、前記タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、前記ビードコアのタイヤ半径方向の外端は、前記正規リムのフランジのタイヤ半径方向の外端よりもタイヤ半径方向の内側に位置し、前記ビードエーペックスゴムは、タイヤ軸方向の内側に設けられた第1ビードエーペックスゴムと、前記第1ビードエーペックスゴムよりもタイヤ軸方向の外側に設けられ、前記第1ビードエーペックスゴムよりもゴム硬度が小さくかつ損失正接tanδが小さいゴムからなる第2ビードエーペックスゴムとを有し、前記フランジの前記外端よりもタイヤ半径方向外側領域での前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT1oは、前記第2ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT2oよりも小さいことを特徴とする。
本発明に係る前記重荷重用チューブ式タイヤにおいて、前記本体部のタイヤ軸方向内側をのびる内片と、前記折返し部のタイヤ軸方向外側をのびる外片とをつなげた断面略U字状の補強フィラーを備え、前記内片のタイヤ半径方向の外端は、前記フランジの前記外端よりもタイヤ半径方向の外側にあり、前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記内片の前記外端よりもタイヤ半径方向の外側に位置し、前記第2ビードエーペックスゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ半径方向の外端よりもタイヤ半径方向の外側に位置していることが望ましい。
本発明に係る前記重荷重用チューブ式タイヤにおいて、前記第1ビードエーペックスゴムの損失正接tanδ1は、0.13〜0.20であり、前記第2ビードエーペックスゴムの損失正接tanδ2は、0.03〜0.07であることが望ましい。
本発明に係る前記重荷重用チューブ式タイヤにおいて、前記フランジの前記外端に相当するタイヤ半径方向位置での前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT1rと、前記フランジの前記位置での前記ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さTrとの比T1r/Trは、0.08〜0.30であることが望ましい。
本発明に係る前記重荷重用チューブ式タイヤにおいて、前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT1と前記第2ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT2とが等しくなるタイヤ半径方向位置は、前記フランジの前記外端よりもタイヤ半径方向の内側領域に配されることが望ましい。
本発明に係る前記重荷重用チューブ式タイヤにおいて、前記第1ビードエーペックスゴムの前記外端のビードベースラインからの高さHaと、前記内片の前記外端のビードベースラインからの高さHfとの比Ha/Hfは、1.5以下であることが望ましい。
本発明に係る前記重荷重用チューブ式タイヤにおいて、前記第1ビードエーペックスゴムの前記外端のビードベースラインからの高さHaと、前記内片の前記外端のビードベースラインからの高さHfとの差Ha−Hfは、10mm以上であることが望ましい。
本発明に係る前記重荷重用チューブ式タイヤにおいて、前記内片の前記外端のビードベースラインからの高さHfと、前記フランジの前記外端のビードベースラインからの高さHrとの差Hf−Hrは、15〜40mmであることが望ましい。
本発明の重荷重用チューブ式タイヤは、正規状態でのビードコアのタイヤ半径方向の外端が、フランジのタイヤ半径方向の外端よりもタイヤ半径方向の内側に位置している。これにより、負荷時のビードコアの前記外端近傍でのビードエーペックスゴムの変形が抑制され、ビード部の耐久性能が向上する。さらに、カーカスにかかる張力が大きい本体部の側であるタイヤ軸方向の内側に、ゴム硬度が高い第1ビードエーペックスゴムが設けられているので、ビードエーペックスゴムの歪がより一層低減され、ビード部の耐久性能を高めることが可能となる。
一方、第1ビードエーペックスゴムよりもタイヤ軸方向の外側に設けられた損失正接tanδが小さいゴムからなる第2ビードエーペックスゴムによって、転動時のビードでのエネルギーロスが低減される。さらに、負荷によって大きく変形するフランジの前記外端よりもタイヤ半径方向外側位置で、第2ビードエーペックスゴムの厚さT2oが第1ビードエーペックスゴムの厚さT1oよりも大きいため、転動時のビード部でのエネルギーロスがより一層低減される。これにより、重荷重用チューブ式タイヤ転がり抵抗が低減される。
本発明の重荷重用チューブ式タイヤの一実施形態を示す断面図である。 図1のビード部の拡大断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の重荷重用チューブ式タイヤ1の正規状態におけるタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面図である。ここで、正規状態とは、タイヤを正規リムRMにリム組みし、かつ、正規内圧を充填した無負荷の状態である。以下、特に言及されない場合、タイヤの各部の寸法等はこの正規状態で測定された値である。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば"Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
図1に示されるように、本実施形態の重荷重用チューブ式タイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るトロイド状のカーカス6、カーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されるベルト層7、ビードコア5からタイヤ半径方向外側に先細のテーパ状にのびるビードエーペックスゴム8、ビード部4を補強するU字状の補強フィラー9、及びビード部4の外皮をなすリムずれ防止用のクリンチゴム10を備える。
重荷重用チューブ式タイヤ1は、内腔部にチューブ(図示せず)が装填されて、平底のリムRMに装着される。
カーカス6は、例えば、スチール製のカーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90°の角度で配列した1枚のカーカスプライ6Aから形成される。このカーカスプライ6Aは、一対のビードコア5、5間を跨る本体部6aの両端に、ビードコア5の回りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部6bを一連に備える。
カーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内部には、ベルト層7が配される。このベルト層7は、例えば、スチール製のベルトコードを用いた少なくとも2枚のベルトプライから形成される。本例では、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば60±15°の角度で配列された第1のベルトプライ7Aと、その外側に重置されかつベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35°の小角度で配列した第2〜第4のベルトプライ7B〜7Dとからなる4枚構造のものが例示されている。
ビード部4には、折返し部6bと本体部6aとの間を通ってビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配される。ビードコア5は、例えばスチール製のビードワイヤを多列多段に巻回した断面多角形状(例えば断面6角形状)のコア本体5Aを有している。本実施形態では、ビードワイヤのバラケを防止するラッピング層5Bで、コア本体5Aの周囲が被覆された構成が例示されている。ラッピング層5Bには、例えば、ゴム、キャンバスなどの周知の材料が適用されている。
ビードコア5のタイヤ半径方向の外端5oは、正規リムRMのフランジFのタイヤ半径方向の外端Foよりもタイヤ半径方向の内側に位置している。このようなビードコア5の配置によって、負荷時、ビードコア5の外端5oの近傍でのビードエーペックスゴム8の変形が抑制され、ビード部4の耐久性能が向上する。
図2は、ビード部4の断面を拡大して示している。ビードエーペックスゴム8は、タイヤ軸方向の内側で、カーカス6の本体部6aに隣接して設けられた第1ビードエーペックスゴム8aと、第1ビードエーペックスゴム8aよりもタイヤ軸方向の外側でカーカス6の折返し部6bに隣接して設けられた第2ビードエーペックスゴム8bとを有している。
本実施形態では、第2ビードエーペックスゴム8bのゴム硬度は、第1ビードエーペックスゴム8aのゴム硬度よりも小さい。本明細書において、「ゴム硬度」は、JIS−K6253に準拠し、23℃の環境下におけるデュロメータータイプAによるゴム硬さとされる。
一般に、カーカス6の本体部6aにかかる張力は、折返し部6bに係る張力よりも大きい。本実施形態では、このような本体部6aの側であるタイヤ軸方向の内側に、ゴム硬度が高い第1ビードエーペックスゴム8aが設けられているので、ビードエーペックスゴム8の歪が効果的に低減され、ビード部4の耐久性能を高めることが可能となる。
第2ビードエーペックスゴム8bの損失正接tanδ2は、第1ビードエーペックスゴム8aの損失正接tanδ1よりも小さい。このような第2ビードエーペックスゴム8bによって、転動時のビード部4でのエネルギーロスが低減され、重荷重用チューブ式タイヤ1の転がり抵抗が低減される。さらに、第2ビードエーペックスゴム8bによって、転動時のビード部4での発熱が抑制され、ビード部4の耐久性能がより一層高められる。
第1ビードエーペックスゴム8aの損失正接tanδ1は、例えば、0.13〜0.20が望ましい。第1ビードエーペックスゴム8aの損失正接tanδ1が0.13未満の場合、ビードエーペックスゴム8のタイヤ軸方向の内側での耐久性能が低下するおそれがある。一方、第1ビードエーペックスゴム8aの損失正接tanδ1が0.20を超える場合、第1ビードエーペックスゴム8aでのエネルギーロスが大きくなり、重荷重用チューブ式タイヤ1の転がり抵抗を十分に低減できない。
第2ビードエーペックスゴム8bの損失正接tanδ2は、例えば、0.03〜0.07が望ましい。第2ビードエーペックスゴム8bの損失正接tanδ2が0.03未満の場合、ビードエーペックスゴム8のタイヤ軸方向の外側、すなわちカーカス6の折返し部6bの近傍での耐久性能が低下するおそれがある。一方、第2ビードエーペックスゴム8bの損失正接tanδ2が0.07を超える場合、第2ビードエーペックスゴム8bによるエネルギーロスの低減効果が限定され、重荷重用チューブ式タイヤ1の転がり抵抗を十分に低減できない。
図2に示されるように、フランジFの外端Foよりもタイヤ半径方向外側の領域Soでの、第1ビードエーペックスゴム8aのタイヤ軸方向の厚さT1oは、上記領域Soでの第2ビードエーペックスゴム8bのタイヤ軸方向の厚さT2oよりも小さい。
重荷重用チューブ式タイヤ1では、ビード部4のうち、フランジFの外端Foに対してタイヤ半径方向内側に位置する領域Siは、フランジFとビードコア5とによって拘束されているので、その変形が抑制される。一方、ビード部4のうち、フランジFの外端Foに対してタイヤ半径方向外側に位置する領域Soでは、フランジFによる拘束力が漸減する。このため、負荷時にサイドウォール部3がタイヤ軸方向の外側に撓むことに伴い、上記領域Soでのビード部4の変形が大きくなる。
本実施形態の重荷重用チューブ式タイヤ1では、負荷によって大きく変形する上記領域Soで、第2ビードエーペックスゴム8bの厚さT2oが第1ビードエーペックスゴム8aの厚さT1oよりも大きいため、転動時のビード部4でのエネルギーロスが効果的に低減される。これにより、重荷重用チューブ式タイヤ転がり抵抗がより一層低減される。
フランジFの外端Foに相当するタイヤ半径方向位置での第1ビードエーペックスゴム8aのタイヤ軸方向の厚さT1rと、上記位置でのビードエーペックスゴム8のタイヤ軸方向の厚さTrとの比T1r/Trは、例えば、好ましくは0.08以上、より好ましくは0.12以上であり、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.20以下である。
上記比T1r/Trが0.08未満の場合、第1ビードエーペックスゴム8aのボリュームが不足して、ビードエーペックスゴム8の変形が大きくなり、ビード部4の耐久性能及び転がり抵抗性能が低下するおそれがある。一方、上記比T1r/Trが0.30を超える場合、第1ビードエーペックスゴム8aでのエネルギーロスが大きくなり、転がり抵抗を十分に低減できない。
第1ビードエーペックスゴム8aのタイヤ軸方向の厚さT1と第2ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT2とが等しくなるタイヤ半径方向位置Reは、フランジFの外端Foよりもタイヤ半径方向内側の領域Siに配されているのが望ましい。すなわち、正規リムRMのリム径位置を通るタイヤ軸方向線であるビードベースラインBLからのフランジFの外端Foの高さHrと、ビードベースラインBLからの上記位置Reの高さHeとの差Hr−Heが正値であるのが望ましい。
既に述べたように、重荷重用チューブ式タイヤ1では、ビード部4の領域Siの変形は、フランジFとビードコア5とによって抑制されている。従って、この領域Siで第1ビードエーペックスゴム8aの厚さを増加させた場合であっても、転がり抵抗に及ぼす影響は少ないと考えられる。そこで、本実施形態では、上記位置Reを領域Siに配することにより、ビードコア5の近傍での第1ビードエーペックスゴム8aのボリュームが確保される。これにより、ビード部4の変形が抑制され、ビード部4の耐久性能がより一層高められる。
補強フィラー9は、カーカス6の本体部6aのタイヤ軸方向内側面に沿って半径方向にのびる内片9aと、カーカス6の折返し部6bのタイヤ軸方向外側面に沿って半径方向にのびる外片9bとをビードコア5の半径方向内方を通る底片9cにより連ねたU字状をなす。この補強フィラー9は、例えば、スチール製の補強コードをタイヤ周方向に対して、40〜70°の角度で傾斜配列させた1枚の補強プライからなる。補強フィラー9は、カーカスコードと交差することにより、ビード部4の曲げ剛性を高め、ビード部4を強固に補強する。補強コードの角度が40°未満、或いは70°を超えると、カーカスコードとの交差角が過小、或いは過大となって補強効果が不足し、ビード部4の剛性を十分に高めることができなくなる。
本実施形態では、補強フィラー9の内片9aのタイヤ半径方向の外端9oは、フランジFの外端Foよりもタイヤ半径方向の外側に位置している。このような補強フィラー9によって、上記領域Si内のカーカス6及びビードエーペックスゴム8が、フランジFと補強フィラー9とによって包み込まれる。従って、ビード部4の変形が抑制され、ビード部4の耐久性能がより一層高められる。
第1ビードエーペックスゴム8aのタイヤ半径方向の外端8aoは、補強フィラー9の内片9aの外端9aoよりもタイヤ半径方向の外側に位置されている。本実施形態では、さらに第2ビードエーペックスゴム8bのタイヤ半径方向の外端8boは、第1ビードエーペックスゴム8aの外端8aoよりもタイヤ半径方向の外側に位置されている。
通常、フランジFの剛性は非常に高く、フランジFは実質的に変形しないものと考えられる。一方、重荷重用チューブ式タイヤ1のビード部4では、補強フィラー9、第1ビードエーペックスゴム8a、第2ビードエーペックスゴム8bは、この順に剛性が高い。本実施形態では、フランジFの外端Fo、補強フィラー9の内片9aの外端9ao、第1ビードエーペックスゴム8aの外端8ao及び第2ビードエーペックスゴム8bの外端8boが、ビードベースラインBLからタイヤ半径方向の外側に向かって剛性の高い順に並べられている。これにより、フランジFから重荷重用チューブ式タイヤ1の最大幅部にわたって、ビード部4の剛性が漸減する。従って、負荷時の上記外端9ao、外端8ao及び外端8boにかかる応力が分散するので、ビード部4がしなやかに変形し、ビード部4の耐久性能がより一層高められる。
第1ビードエーペックスゴム8aの外端8aoのビードベースラインBLからの高さHaと、補強フィラー9の内片9aの外端9aoのビードベースラインBLからの高さHfとの比Ha/Hfは、例えば、1.5以下が望ましい。
上記比Ha/Hfが1.5を超える場合、負荷時の変形が大きい領域に、第1ビードエーペックスゴム8aの外端8ao近傍が属することになる。従って、第1ビードエーペックスゴム8aでのエネルギーロスが大きくなり、転がり抵抗を十分に低減できない。
第1ビードエーペックスゴム8aの外端8aoのビードベースラインBLからの高さHaと、補強フィラー9の内片9aの外端9aoのビードベースラインBLからの高さHfとの差Ha−Hfは、例えば、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上であり、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下である。
上記差Ha−Hfが10mm未満の場合、第1ビードエーペックスゴム8aの外端8aoと、内片9aの外端9aoとが過度に接近するため、負荷時に外端8aoと外端9aoとの間の領域で応力が集中し、ビード部4の耐久性能が低下するおそれがある。一方、上記差Ha−Hfが30mmを超える場合、負荷時の変形が大きい領域に、第1ビードエーペックスゴム8aの外端8ao近傍が属することになり、上記と同様に、転がり抵抗を十分に低減できない。
補強フィラー9の内片9aの外端9aoのビードベースラインBLからの高さHfと、フランジFの外端FoのビードベースラインBLからの高さHrとの差Hf−Hrは、例えば、好ましくは15mm以上、より好ましくは20mm以上であり、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下である。
上記差Hf−Hrが15mm未満の場合、内片9aの外端9aoとフランジFの外端Foとが過度に接近するため、負荷時に外端9aoと外端Foとの間の領域で応力が集中し、ビード部4の耐久性能が低下するおそれがある。一方、上記差Hf−Hrが40mmを超える場合、外端9aoの高さHfが大きくなることに伴い、第1ビードエーペックスゴム8aの外端8aoの高さHaも大きくなる。従って、負荷時の変形が大きい領域に、第1ビードエーペックスゴム8aの外端8ao近傍が属することになり、上記と同様に、転がり抵抗を十分に低減できない。
クリンチゴム10は、補強フィラー9の底片9cのタイヤ半径方向内側から外片9bのタイヤ軸方向外側に配されている。クリンチゴム10は、少なくともフランジFと接触するフランジ接触範囲において露出し、ビード部4の外面を形成する。
以上、本発明の重荷重用チューブ式タイヤが詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
図2の基本構造をなすサイズ10.00R20の重荷重用チューブ式タイヤが、表1の仕様に基づき試作され、転がり抵抗性能及びビード耐久性能がテストされた。各仕様の重荷重用チューブ式タイヤにおいて、第1ビードエーペックスゴム及び第2ビードエーペックスゴムにはそれぞれ共通のゴムが適用され、第1ビードエーペックスゴムの硬度は85度であり、第2ビードエーペックスゴムの硬度は55度である。テスト方法は、以下の通りである。
<転がり抵抗性能>
各試供タイヤが、リム7.50×20に装着され、転がり抵抗試験機を用い、内圧790kPa、荷重25.01kN、速度80km/hの条件下で転がり抵抗が測定された。結果は、比較例の値を100とする指数で表示されている。評価は、数値が小さいほど転がり抵抗が小さく良好である。
<ビード耐久性能>
各試供タイヤが、リム7.50×20に装着され、ドラム試験機を用いて、内圧800kPa、荷重58.52kN、速度20km/hの条件下で、ビード部が損傷するまでの距離が測定された。結果は、比較例の値を500とする指数で表示されている。評価は、数値が大きいほど耐久性能が高く良好である
Figure 2015221649
表1から明らかなように、実施例の重荷重用チューブ式タイヤは、比較例に比べて転がり抵抗性能及びビード耐久性能が有意にバランスよく向上していることが確認できた。
1 重荷重用チューブ式タイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6a 本体部
6b 折返し部
8 ビードエーペックスゴム
8a 第1ビードエーペックスゴム
8ao 外端
8b 第2ビードエーペックスゴム
8bo 外端
9 補強フィラー
9a 内片
9ao 外端
9b 外片
F フランジ
Fo 外端

Claims (8)

  1. トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至る本体部に、前記ビードコア廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返す折返し部を一連に設けたカーカスプライからなるカーカスと、
    前記本体部と前記折返し部との間を前記ビードコアからテーパ状にのびるビードエーペックスゴムとを備え、タイヤ内腔内にチューブが装着される重荷重用チューブ式タイヤであって、
    前記タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、前記ビードコアのタイヤ半径方向の外端は、前記正規リムのフランジのタイヤ半径方向の外端よりもタイヤ半径方向の内側に位置し、
    前記ビードエーペックスゴムは、タイヤ軸方向の内側に設けられた第1ビードエーペックスゴムと、前記第1ビードエーペックスゴムよりもタイヤ軸方向の外側に設けられ、前記第1ビードエーペックスゴムよりもゴム硬度が小さくかつ損失正接tanδが小さいゴムからなる第2ビードエーペックスゴムとを有し、
    前記フランジの前記外端よりもタイヤ半径方向外側領域での前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT1oは、前記第2ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT2oよりも小さいことを特徴とする重荷重用チューブ式タイヤ。
  2. 前記本体部のタイヤ軸方向内側をのびる内片と、前記折返し部のタイヤ軸方向外側をのびる外片とをつなげた断面略U字状の補強フィラーを備え、
    前記内片のタイヤ半径方向の外端は、前記フランジの前記外端よりもタイヤ半径方向の外側にあり、
    前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記内片の前記外端よりもタイヤ半径方向の外側に位置し、
    前記第2ビードエーペックスゴムのタイヤ半径方向の外端は、前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ半径方向の外端よりもタイヤ半径方向の外側に位置している請求項1記載の重荷重用チューブ式タイヤ。
  3. 前記第1ビードエーペックスゴムの損失正接tanδ1は、0.13〜0.20であり、前記第2ビードエーペックスゴムの損失正接tanδ2は、0.03〜0.07である請求項1又は2に記載の重荷重用チューブ式タイヤ。
  4. 前記フランジの前記外端に相当するタイヤ半径方向位置での前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT1rと、前記フランジの前記位置での前記ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さTrとの比T1r/Trは、0.08〜0.30である請求項1乃至3のいずれかに記載の重荷重用チューブ式タイヤ。
  5. 前記第1ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT1と前記第2ビードエーペックスゴムのタイヤ軸方向の厚さT2とが等しくなるタイヤ半径方向位置は、前記フランジの前記外端よりもタイヤ半径方向の内側領域に配される請求項1乃至4のいずれかに記載の重荷重用チューブ式タイヤ。
  6. 前記第1ビードエーペックスゴムの前記外端のビードベースラインからの高さHaと、前記内片の前記外端のビードベースラインからの高さHfとの比Ha/Hfは、1.5以下である請求項2記載の重荷重用チューブ式タイヤ。
  7. 前記第1ビードエーペックスゴムの前記外端のビードベースラインからの高さHaと、前記内片の前記外端のビードベースラインからの高さHfとの差Ha−Hfは、10mm以上である請求項2又は6に記載の重荷重用チューブ式タイヤ。
  8. 前記内片の前記外端のビードベースラインからの高さHfと、前記フランジの前記外端のビードベースラインからの高さHrとの差Hf−Hrは、15〜40mmである請求項2、6又は7のいずれかに記載の重荷重用チューブ式タイヤ。
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