JP2022120817A - 重合体及び、前記重合体を含む接着性組成物 - Google Patents

重合体及び、前記重合体を含む接着性組成物 Download PDF

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Masashi Igawa
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亮 相澤
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Abstract

【課題】接合強度及び易解体性に優れ、接合強度の調整が容易な重合体を提供することにある。また前記重合体を含む接着性組成物を提供することにある。【解決手段】酸素原子―炭素原子―Xを有し、Xが酸素原子、硫黄原子又は窒素原子である特定構造を有する単量体A由来の構成単位を有する重合体であって、示差熱量分析にて測定されるガラス転移温度が-45℃以上30℃以下である、重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、刺激応答性を有し、易解体性に優れ、接合強度の調整が容易な重合体及び、
前記重合体を含む接着性組成物に関する。
産業上の様々な要請から、各分野で刺激応答性の重合体が注目を浴びている。とりわけ
接合に用いる重合体においては、接合後の任意のタイミングで刺激を与えることで容易に
剥離を行うことが出来る易解体技術が、製造工程の省力化や、複合体の分別再利用の観点
で技術の普及が期待されている。
特許文献1には、ヘミアセタール骨格を主鎖構造とするポリアセタール樹脂を接着剤と
して用いることが記載されている。ヘミアセタール骨格からなる主鎖構造を酸等で加水分
解することで、任意のタイミングで接合強度を低下させることができるため、易解体性接
着組成物としての応用が考えられる。
しかしながら、特許文献1に記載の重合体は、カチオン重合によるビニルエーテル化合
物とアルデヒド化合物の交互共重合を使用しているため、分子量は一様に低く、接合強度
の調整が困難であった。また、第三成分を共重合させて耐熱性や接合強度を化学組成の面
から調整することも困難であった。
非特許文献1には、ヘミアセタール骨格を置換基に有する(メタ)アクリレートを用い
たアクリル樹脂が記載されている。非特許文献1に記載のアクリル樹脂は、熱分解性を有
し、熱分解性がヘミアセタール骨格に由来することも明示されている。
しかしながら、非特許文献1に記載の熱分解性のアクリル樹脂を接合に応用する事例に
ついては言及されておらず、易解体性に関しては記載も示唆もされておらず、易解体性接
着組成物としての使用の可否については不明であった。
特開2012-211254号公報
Reactive & Functional Polymers,46(2001),293-298.
本発明の目的は、接合強度及び易解体性に優れる重合体を提供することにある。また前
記重合体を含む接着性組成物を提供することにある。
即ち、本発明は以下の[1]~[10]を要旨とする。
[1]下記式(a)で表される構造を有する単量体A由来の構成単位を有する重合体であ
って、示差熱量分析にて測定されるガラス転移温度が-45℃以上30℃以下である、重
合体。
Figure 2022120817000001
(前記式(a)中、Oは酸素原子、Cは炭素原子を示し、Xは酸素原子、硫黄原子又はN
(R14)を示し、Nは窒素原子、R14は水素原子又はアルキル基を示す。)
[2]PMMA換算の質量平均分子量が110,000以上450,000以下である、
[1]に記載の重合体。
[3]前記式(a)が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)である、[1]又
は[2]に記載の重合体。
Figure 2022120817000002
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子又はN(R14)を示し、Nは窒素原子を示し、R14
は水素原子又はアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ、水素原子又は炭素数1~1
0のアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ、炭素数1~20のアルキル基、シクロ
アルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ、炭素数1~10のアルキレ
ン基を示す。)
[4]前記単量体Aが有する式(a)で表される構造が、前記重合体の側鎖に位置する、
[1]~[3]のいずれか一項に記載の重合体。
[5]前記単量体Aがメタクリレートである、[1]~[4]のいずれか一項に記載の重
合体。
[6]示差熱量分析にて測定されるガラス転移温度が-40℃以上0℃以下である、[1
]~[5]のいずれか一項に記載の重合体。
[7]前記重合体を構成する全ての単量体由来の構成単位に対する前記単量体A由来の質
量割合が25%以上65%以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の重合体。
[8]ゲル浸透クロマトグラフィーにて測定される分子量分布が2.0以上7.0以下で
ある、[1]~[7]のいずれか一項に記載の重合体。
[9][1]~[8]のいずれか一項に記載の重合体を含む接着性組成物。
[10][9]に記載の接着性組成物を含む積層体。
本発明によれば、易解体性に優れ、接合強度の調整が容易な重合体を提供することがで
きる。また前記重合体を含む接着性組成物を提供することができる。
本発明において、「構成単位」とは、重合反応によって単量体から直接形成された化学
構造、及び重合反応によって得られた重合体を化学反応で処理することによって、前記重
合体が有する前記構成単位の構造の一部が別の構造に変換された化学構造を意味する。
「単量体」とは、重合性を有する化合物(重合性単量体)を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリル系共重合体」は、構成単位の少なくとも一部が(メタ)アクリル系単
量体由来の構成単位である共重合体を意味する。
[重合体]
本発明の重合体は、下記式(a)で表される構造を有する単量体A由来の構成単位を有
し、示差熱量分析にて測定されるガラス転移温度が-45℃以上30℃以下である。
Figure 2022120817000003
(前記式(a)中、Oは酸素原子、Cは炭素原子を示し、Xは酸素原子、硫黄原子又はN
(R14)を示し、Nは窒素原子、R14は水素原子又はアルキル基を示す。)
易解体性の点で、前記式(a)が、下記式(1)、下記式(2)又は下記式(3)であ
ることが好ましい。
Figure 2022120817000004
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子又はN(R14)を示しNは窒素原子を示し、R14
水素原子又はアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ、水素原子又は炭素数1~10
のアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ、炭素数1~20のアルキル基、シクロア
ルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ、炭素数1~10のアルキレン
基を示す。)
Xは、酸素原子(エーテル系酸素原子;-O-)、硫黄原子(スルフィド系硫黄原子;
-S-)、N(R14)(Nは窒素原子を示し、R14は水素原子又はアルキル基を示す
。)のいずれであってもよいが、これらの中でも易解体性の点で、酸素原子が好ましい。
すなわち式(a)のXがOであるアセタール構造を有することが好ましい。
式(1)中、R及びRにおける炭素数1~10のアルキル基としては、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
前記分岐状のアセタール構造としては、前記アルキル基のうち、イソプロピル基、イソ
ブチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
及びRにおけるアルキル基の炭素数は、易解体性の点で1~4が好ましく、1~
3がより好ましく、1又は2が更に好ましい。
及びRの好ましい組み合わせとしては、水素原子とメチル基との組み合わせ、メ
チル基とメチル基との組み合わせ、水素原子と炭素数2~10のアルキル基(以下、「長
鎖アルキル基」と記載する場合がある。)との組み合わせ、メチル基と長鎖アルキル基と
の組み合わせ、水素原子と水素原子との組み合わせ、長鎖アルキル基と長鎖アルキル基と
の組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、易解体性の点で、水素原子とメチル基と
の組み合わせが好ましい。
における炭素数1~20のアルキル基としては、前記炭素数1~10のアルキル基
として挙げたアルキル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。易解
体性の点で、Rにおけるアルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。
易解体性の点で、前記シクロアルキル基としては、炭素数4~8のシクロアルキル基が
好ましく、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等がより好ましい。
易解体性の点で、前記アリール基としては、炭素数6~20のアリール基が好ましく、
フェニル基、ナフチル基等がより好ましい。
易解体性の点で、Rとしては、炭素数1~10のアルキル基、シクロアルキル基が好
ましい。
におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基はそれぞれ、シクロアルキル
基、アリール基、アルコキシ基、アルカノイルオキシ基、アラルキル基及びアセトキシ基
からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。置換基を有する場合、置換基の数は
1つでもよく2つ以上でもよい。
置換基としてのシクロアルキル基、アリール基はそれぞれ、前記と同じ置換基が挙げら
れる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が
挙げられる。アルカノイルオキシ基としては、エタノイルオキシ基等が挙げられる。アラ
ルキル基としては、ベンジル基等が挙げられる。
式(2)中、Rにおける炭素数1~10のアルキレン基としては、例えばメチレン基
、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
易解体性の点で、Rにおけるアルキレン基の炭素数は、2~7が好ましく、3~4が
より好ましい。
前記アルキレン基は、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシル基、アルカノイル
オキシ基、アラルキル基及びアセトキシ基からなる群から選ばれる置換基により置換され
ていてもよい。置換基により置換されている場合、置換基の数は1つでもよく2つ以上で
もよい。アルキレン基に置換してもよい置換基の具体例としては、Rにおける置換基と
同じ置換基が挙げられる。
前記環状のアセタール構造としては、前記アルキレン基のうち、シクロアルキル基、ア
リール基等が挙げられる。
式(3)中、Rは、式(1)中のRと同じ置換基が挙げられ、好ましい態様も同じ
である。Rは、式(2)中のRと同じ置換基が挙げられ、易解体性の点で、好ましい
態様も同じである。
本発明の単量体A由来の構成単位を有する重合体において、前記単量体Aが有する式(
a)で表される構造が、前記重合体の側鎖に位置することが好ましい。
単量体Aとしては、前記(a)が前記式(1)、(2)又は(3)で表される構造(以
下、「構造(i)」という。)とエチレン性不飽和結合(重合性炭素-炭素二重結合)と
を有する単量体が挙げられる。この場合、単量体Aに由来する構成単位は、単量体Aのエ
チレン性不飽和結合が開裂して単結合となった構造を有する。すなわち、前記構造(i)
は重合体の主鎖に対して側鎖(主鎖の置換基)に位置する。
本発明の重合体を有機溶剤に溶解させやすく、後述する積層体を得る工程での加工性を
良好とするため、前記単量体Aは、エチレン性不飽和結合を1つ有する単官能単量体であ
ることが好ましい。
前記単量体Aとしては、例えば、下記式(A-1)で表される単量体、下記式(A-2
)で表される単量体、下記式(A-3)で表される単量体等が挙げられる。
Figure 2022120817000005
(式中、Zは、CH=CH-COO-、CH=C(CH)-COO-、CH(CH
)=CH-COO-、CHR=CH-COO-、CH=C(CH)-COO
-又はCH=CR-CHCOO-を示し、Rは、前記構造(i)又はアルキルエ
ステル基を示し、Xは-O-、-S-又は-NR14-を示し、R14は水素原子又はア
ルキル基を示し、R~Rは前記と同義である。)
Zにおいて、CH=CH-COO-はアクリロイルオキシ基、CH=C(CH
-COO-はメタクリロイルオキシ基である。
CH(CH)=CH-COO-は、クロトノイルオキシ基(エチレン性不飽和結合が
トランス型)又はイソクロトノイルオキシ基(エチレン性不飽和結合がシス型)である。
CHR=CH-COO-は、カルボキシ基がヘミアセタールエステル基、ヘミケター
ルエステル基又はアルキルエステル基に置換された、マレイノイルオキシ基(エチレン性
不飽和結合がシス型)又はフマロイルオキシ基(エチレン性不飽和結合がトランス型)で
ある。
前記構造(i)におけるRは、式(1)中のRと同じ置換基が挙げられ、好ましい
態様も同じである。易解体性の点で、前記構造(i)におけるRは、前記Zが結合した
基と同じ構造を有することが好ましい。前記単量体Aが式(A-1)で示される化合物の
場合、易解体性の点で、Rは、-CR-XRで示される基であることが好まし
い。
におけるアルキルエステル基は、-COORX1で示される。RX1はアルキル基
を示す。易解体性の点で、RX1のアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好
ましく、メチル基がより好ましい。
前記のCH=C(CH)-COO-又はCH=CR-CHCOO-は、
カルボキシ基がヘミアセタールエステル基、ヘミケタールエステル基又はアルキルエステ
ル基に置換されたイタコノイルオキシ基である。Rは式(1)中のRと同じ置換基が
挙げられ、好ましい態様も同じである。
易解体性の点で、前記Zとしては、CH=C(CH)-COO-が好ましい。本発
明の重合体は、単量体Aに由来する前記構造(i)の分解することで易解体性を発揮する
。前記ZがCH=C(CH)-COO-であれば、構造(i)が分解した際に重合体
のガラス転移温度Tgの上昇幅が大きくなり、本発明の重合体を含む接着性組成物の接合
強度を低下させやすい。
一般に、重合体のガラス転移温度Tgは、構成する単量体の単独重合体のガラス転移温
度とその単量体が占める質量割合から推算することができる(Foxの式)。例えば、前
記ZがCH=C(CH)-COO-であれば、前記構造(i)が分解した際にはメタ
クリル酸(CH=C(CH)-COOH)由来の構造に変化する。一方、前記ZがC
=CH-COO-であれば、前記構造(i)が分解した際にはアクリル酸(CH
CH-COOH)由来の構造に変化する。
メタクリル酸の単独重合体のガラス転移温度Tgは228℃、アクリル酸の単独重合体
のガラス転移温度Tg106℃(いずれも「Polymer Handbook 4th
Edition」より引用)のため、前記構造(i)が分解した後の重合体のガラス転
移温度Tgは、前記ZがCH=C(CH)-COO-である方が顕著に上昇するため
、接着性組成物の接合強度を低下させやすい。
前記単量体Aとしては(メタ)アクリレートが好ましく、例えば以下に示す化合物が挙
げられる。
Figure 2022120817000006
前記単量体Aは、市販品を購入して用いてもよく、公知の方法を利用して適宜合成した
化合物を用いてもよい。
本発明の重合体を構成する前記単量体A以外の単量体としては、単量体Aと共重合可能
であれば特に限定されず、必要に応じて各種の単量体を使用することができる。例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アク
リレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-
ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(
メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベン
ジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(
メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレー
ト等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、
2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロ
イルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(
メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル
マレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン
酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシ基含有ビニル系単量体;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体;
グリジシル(メタ)アクリレート、グリジシルα-エチルアクリレート、3,4-エポ
キシブチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート系のビニル系単量体;
(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(
メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチ
ル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミ
ド等のアミド基を含有するビニル系単量体;
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビ
ニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビス
(メタ)アクリルアミド等の多官能性のビニル系単量体;が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、単量体の入手のしやすさと、重合体のガラス転移温度の調整のしやす
さの点で、(メタ)アクリレート及び水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレート及び水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレー
ト、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル
(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、接合強度を
満たしやすい点でこれらのアクリレートが更に好ましい。
本発明の重合体のガラス転移温度は、-45℃以上であり、-40℃以上が好ましい。
また、本発明の重合体のガラス転移温度は、30℃以下であり、15℃以下が好ましく、
0℃以下がより好ましい。
本発明の重合体のガラス転移温度が-45℃以上であれば、重合体を室温下で取り扱う
際の取り扱い性に優れる。本発明の重合体のガラス転移温度が30℃以下であれば、重合
体を含む接着性組成物とした際の接合強度に優れる。
ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC)で測定することもできる。
本発明の重合体のガラス転移温度は、重合体を構成する単量体の種類、組成比等によっ
て調整することができる。
本発明の重合体の質量平均分子量(Mw)は、110,000以上が好ましく、130
,000以上がより好ましく、150,000以上が更に好ましい。また、本発明の重合
体の質量平均分子量は、450,000以下が好ましく、400,000以下がより好ま
しく、350,000以下が更に好ましい。
本発明の重合体の質量平均分子量が110,000以上であれば、重合体を含む接着性
組成物とした際の接合強度に優れる。本発明の重合体の質量平均分子量が450,000
以下であれば、刺激応答による易解体性に優れる。
本発明の重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、2.0以上が好ましく、2.2以上が
より好ましく、2.3以上が更に好ましい。また、本発明の重合体の分子量分布は7.0
以下が好ましく、5.0以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。
本発明の重合体の分子量分布が2.0以上であれば、重合体を含む接着性組成物とした
際の接合強度に優れる。本発明の重合体の分子量分布が7.0以下であれば、刺激応答に
よる易解体性に優れる。
本発明の重合体の質量平均分子量及び分子量分布は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフ
ィー(GPC)により、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を基準物質として測定す
ることが出来る。
本発明の重合体を構成する全単量体由来の構成単位に対する前記単量体A由来の構成単
位の割合は、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以
上が更に好ましい。また、本発明の重合体を構成する全単量体由来の構成単位に対する前
記単量体A由来の構成単位の割合は65質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好
ましく、55質量%以下が更に好ましい。
本発明の重合体に占める前記単量体A由来の構成単位の割合が25質量%以上であれば
、刺激応答による易解体性に優れる。本発明の重合体に占める前記A由来の構成単位の割
合が65質量%以下であれば、重合体を含む接着性組成物とした際の接合強度に優れる。
さらに本発明の重合体は接合強度の調整が容易である。
[重合体の製造方法]
本発明における重合体の製造方法は、前記単量体Aを含む単量体混合物を重合反応させ
る工程を有する。
重合反応させる方法は特に限定されず、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の
種々の方法を用いることができる。
それらの中でも反応溶液の均一性が重合後期まで保たれた状態で反応させることが可能
である点で、溶液重合が好ましい。
懸濁重合及び乳化重合のような水系重合は、重合発熱の制御が容易である。それらの中
でも最終製品の回収操作がより簡便で生産性が高い点で懸濁重合が好ましい。
本発明の重合体の製造方法は、重合率が高くなる点で、全ての単量体は反応開始時点で
全て同一の反応容器内に投入済みであることが好ましい。
重合の際には、重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤として、メルカプタン類
、水素、αメチルスチレンダイマー、テルペノイド類等を添加しても良い。
ラジカル重合開始剤の存在下で重合する場合には、ラジカル重合開始剤として、有機過
酸化物あるいはアゾ化合物を使用することができる。有機過酸化物の具体例としては、例
えば、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、
o-メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパー
オキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノ
エート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケ
トンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロ
ピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブ
チルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2 , 2’-アゾビス(2,4
-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。
これらの中でも、重合性が良好となる点で、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’-ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、
2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)が好ましい。こ
れらラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ラジカル重合開始剤は、重合速度の調節と、得られる重合体の分子量の調整の点か
ら、すべての単量体の合計質量100質量部に対して0.0001~10質量部の範囲内
で用いることが好ましい。
重合温度については特に制限はなく、例えば、-100~250℃で重合を行うことが
できる。
[接着性組成物]
本発明の接着性組成物は、前記重合体を含む。易解体性の点で、本発明の接着性組成物
全体に占める前記重合体の割合が20質量%以上であることが好ましい。
本発明の接着性組成物を接着層とした際の接合強度が良好となる点で、前記接着性組成
物は、前記重合体以外に前記重合体の製造で使用した単量体のうちの少なくとも1種を含
むことが好ましい。本発明の接着性組成物中の前記単量体の割合は、接合強度の安定性の
点で、本発明の前記重合体の合計質量100質量部に対して、0.1~20質量部が好ま
しい。
本発明の接着性組成物は前記重合体と前記単量体以外に溶媒、必要に応じて任意成分と
、を混合した組成物であってもよい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例え
ば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;シクロペンタン
、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類;メタノール
、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール
等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコール
類;アセトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン等のエーテル類;酢酸ブチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート等のエステ
ル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、N-メチルピロリドン等の高極性溶剤類、水(イオン交換水、蒸留水又は精
製水等)及びナトリウム塩が溶解した水溶液が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記任意成分としては、例えば、架橋剤、粘着付与剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤
、シランカップリング剤、帯電防止剤等が挙げられる。
前記架橋剤としては、前記重合体に含まれる官能基、例えば水酸基等と反応して架橋構
造を形成させるものであれば特に制限されず、例えば、公知のイソシアネート系架橋剤、
エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
前記安定剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロー
ル、ナフチルアミン、及びtert-メチルカテコールが挙げられる。
本発明の接着性組成物の製造方法としては、前記重合体を初めとする前述の各成分を通
常使用される撹拌機で混合する方法を挙げることができる。
[積層体]
本発明の積層体は、前記接着性組成物を含む積層体である。
本発明における積層体は、本発明の接着性組成物からなる接着層と、基材と、前記基材
を接合する一つ以上の被着体とからなることが好ましい。
基材の材質としては、本発明の接着性組成物と接着できるものであれば特に制限はない
が、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオ
レフィン系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポ
リフッ化エチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリ
ル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン6T、ナイロン9T、ナイロン10T等のナイロン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリ
スチレン、ABS等のスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチ
レン系樹脂、ポリイミド系樹脂等の合成樹脂類、金属、ガラス、セラミックスが挙げられ
る。
また、基材の一部に、種々の加工による改質を施したものを用いることもできる。加工
方法の具体例としては、例えば、塗布によるプライマー処理、金属表面の耐蝕加工、化学
的な薬剤又はプラズマによるエッチング加工、メッキ加工、レーザー光等による光学的な
加工、切削又は研磨等の機械的加工が挙げられる。
被着体の材質としては、本発明の重合体と接着できるものであれば特に制限はなく、例
えば前記基材で例示した材質を用いることができるが、易解体性の点で、合成樹脂類が好
ましい。本発明の重合体は、単量体A由来の構成単位に含まれる前記式(a)で表される
構造、中でも前記構造(i)が分解することで易解体性を発揮する。前記構造(i)が分
解した際に生成する構造と、被着体の親和性が低い場合には、本発明の重合体を含む接着
性組成物の接合強度が低下しやすく、易解体性を発揮しやすい。
本発明における積層体は、溶剤等に本発明の重合体を溶解させて基材に塗布し、次いで
乾燥させて被着体に貼り合わせる方法、本発明の接着性組成物を基材に塗布し、次いで乾
燥させて被着体に貼り合わせる方法、被着体の上に接着層、基材の順で積層して加圧する
方法等、公知の方法を用いて作製することができる。
本発明における重合体における単量体A由来の構成単位に含まれる前記式(a)で表さ
れる構造は、重合体の側鎖に位置することが好ましい。前記重合体は、物理的又は化学的
に一定のエネルギーを与えることで、側鎖に配置された前記構造(i)が速やかに分解す
る。すなわち刺激応答性を有する。
本発明の重合体を用いた積層体は、前記刺激応答性を利用して任意のタイミングで接合
部を容易に解体できるため、易解体性を有する。易解体性の点で、前記式(a)で表され
る構造は、前記式(a)中のXがOである構造、すなわちアセタール構造であることが好
ましい。
側鎖の前記式(a)で表される構造が分解すると重合体の分子量は低下するものの、重
合体の主鎖は短くならないため、接合強度の低下は通常は起こりにくい。しかし、驚くべ
きことに、本発明の重合体は、側鎖の前記式(a)で表される構造の分解に基づく接合強
度の大幅な低下が認められる。詳細な原理の解明には至っていないが、重合体を加熱した
際に、側鎖の前記式(a)で表される構造の分解の温度域で、重合体からの急速な発泡・
膨張が認められたことから、接着層に分解ガス由来のボイドが形成されたことが一因とな
り、接合強度が大幅に低下したことが推測される。また、側鎖の前記式(a)で表される
構造の分解により、重合体のガラス転移温度Tgが上昇し、その結果、重合体を含む接着
性組成物の接合強度が低下したことも寄与していると推測される。
側鎖の前記式(a)で表される構造の分解が進行すれば、刺激応答の手法としては特に
制限はなく、例えば、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波等の活性エネルギー
線、熱、超音波等を照射する物理的な手法のほか、温水、酸等に接触させる化学的な手法
、それらの2種類以上を併用する方法が挙げられる。
これらの中でも、様々な用途に応用が利く点から、紫外線、マイクロ波、熱、超音波、
温水が好ましく、紫外線、熱、温水がより好ましく、熱、温水が更に好ましい。
熱を手法とする場合は、加熱温度は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好まし
く、120℃以上が更に好ましく、140℃以上が最も好ましい。また、熱を手法とする
場合の加熱温度は、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、210℃以
下が更に好ましく、200℃以下が最も好ましい。加熱温度が80℃以上であれば、易解
体性が良好となる。加熱温度が250℃以下であれば、被着体の熱劣化が起こりにくくな
る。
温水を用いる場合は、温水の温度は60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい
。また、用いる温水の温度は、95℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。温水
の温度が60℃以上であれば、応答時間を短く抑えることができる。温水の温度が95℃
以下であれば、作業の安全性の点で良好となる。温水を直接用いるだけでなく、湿熱環境
に設置することでも同様の効果が得られる。例えば恒温恒湿槽などに本発明の積層体を設
置して処理するだけで、積層体を簡単に解体することができる。
刺激応答性を補強するために、前記重合体又は前記接着性組成物に公知の光酸発生剤、
熱酸発生剤等を配合して用いても良い。光又は熱による刺激で酸が発生すると、前記構造
(i)の分解が促進されるため、刺激応答性を調整することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
尚、以下の記載において「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を意味する。
[重合体の各種物性値の測定方法]
(1)分子量、及び分子量分布
質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(
GPC)(東ソー(株)製、商品名:HLC-8420)を使用し、以下の条件にて測定
した。
カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER HZ-L(D.I.4.
6mm×35mm)と2本のTSK-GEL SUPER HZM-N(D.I.6.0
mm×150mm)を直列に接続。
溶離液:THF
測定温度:40℃
流速:0.6mL/分
尚、Mw及びMnは、Polymer Laboratories製のピークトップ分
子量が1590、10290、55600及び141500である4種のポリメチルメタ
クリレートを用いて作成した検量線を使用して求めた。
(2)熱分解温度
示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:STA73
00)を用いて、窒素雰囲気下で100℃から450℃まで昇温速度10℃/分で昇温し
た際に観測される熱重量減少曲線から、10%重量減少温度を測定して求めた。
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置((株)日立ハイテクサイエンス製、商品名:DSC6200)
を用いて、窒素雰囲気下で-70℃から120℃まで10℃/分で昇温した際に観測され
るDSC曲線から、補外ガラス転移開始温度を測定して求めた。
[接合強度の評価方法]
テンシロン万能試験機(オリエンテック(株)製、商品名:RTC-1250A)を用
いて、23℃雰囲気下で剥離速度300mm/minで、基材/接合層/被着体の三層か
らなる積層体サンプルについて180度剥離強度(N/25mm)を測定することで、以
下評価基準により接合強度を評価した。
なお、前記積層体サンプルの作製方法は後述の実施例1に記載の方法で作製した。
(評価基準)
〇:180度剥離強度が8.0N/25mm以上で接合強度が優れる。
×:180度剥離強度が8.0N/25mm未満で接合強度が悪い。
NG:接合しなかったため、接合強度を評価できなかった。
[易解体性の評価方法]
(熱処理)
200℃に設定したイナートオーブン(ヤマト科学(株)製、商品名:DN611I)
にて、前記接合強度の評価方法と同じ方法で作製した積層体サンプルを窒素雰囲気下で加
熱処理した。加熱時間はオーブンにサンプルを投じた時点から起算して3分間とし、サン
プルは慎重に取り出したのち室温(23℃)にて一晩空冷した。空冷後の積層体サンプル
について、前記接合強度の評価方法と同じ方法で180度剥離強度(N/25mm)を測
定することで、以下評価基準により易解体性を評価した。
(湿熱処理)
70℃、相対湿度95%に設定した恒温恒湿機(エスペック(株)製、商品名:PL-
2J)にて、前記接合強度の評価方法と同じ方法で作製した積層体サンプルを湿熱雰囲気
下に暴露して処理した。処理時間は恒温恒湿機にサンプルを投じた時点から起算して24
時間とし、サンプルは慎重に取り出したのち室温(23℃)にて一晩空冷した。空冷後の
積層体サンプルについて、前記接合強度の評価方法と同じ方法で180度剥離強度(N/
25mm)を測定することで、以下評価基準により易解体性を評価した。
(評価基準)
〇:180度剥離強度が6.5N/25mm未満で易解体性が優れる。
×:180度剥離強度が6.5N/25mm以上で易解体性が悪い。
NG:接合しなかったため、易解体性を評価できなかった。
<製造例A1>
イソブチルビニルエーテル90.1部(0.9mol)、ヒドロキノン0.14部、フ
ェノチアジン0.28部を室温で撹拌して均一になるまで混合した。空気(10mL/m
in)を吹込みながら、メタクリル酸51.7部(0.6mol)を、反応液の温度が6
0℃以下を保つようにして滴下した。滴下後、反応液の温度を80℃まで上げて、6時間
反応させた。反応液にt-ブチルメチルエーテル158.7部(1.8mol)を加えて
混合し、有機相を20質量%炭酸カリウム水溶液200部で1回洗浄した。分取した有機
相に4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル0
.03部を加え、エバポレータにより減圧下、低沸分を留出させた。得られた残渣を減圧
蒸留して、沸点60℃/400Paの1-イソブトキシエチルメタクリレート(単量体(
A1))97.5部(0.52mol)を得た。
<製造例A2>
ブチルビニルエーテル150.2部(1.5mol)、ヒドロキノン0.24部、フェ
ノチアジン0.47部を室温で撹拌して均一になるまで混合した。空気(10mL/mi
n)を吹込みながら、メタクリル酸86.1部(1.0mol)、反応液の温度が60℃
以下を保つようにして滴下した。滴下後、反応液の温度を80℃まで上げて、5時間反応
させた。反応液にt-ブチルメチルエーテル264.5部(3.0mol)を加えて混合
し、有機相を20質量%炭酸カリウム(水溶液350部で1回洗浄した。分取した有機相
に4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル0.
06部を加え、エバポレータにより減圧下、低沸分を留出させた。得られた残渣を減圧蒸
留して、沸点70℃/667Paの1-ブトキシエチルメタクリレート(単量体(A2)
)166.9部(0.91mol)を得た。
<製造例A3>
2-エチルへキシルビニルエーテル171.9部(1.1mol)、ヒドロキノン0.
32部、フェノチアジン0.61部を室温で撹拌して均一になるまで混合した。空気(1
0mL/min)を吹込みながら、メタクリル酸86.1部(1.0mol)を、反応液
の温度が60℃以下を保つようにして滴下した。滴下後、反応液の温度を80℃まで上げ
て、5時間反応させた。反応液にt-ブチルメチルエーテル264.5部(3.0mol
)を加えて混合し、有機相を20質量%炭酸カリウム水溶液135部で1回洗浄した。分
取した有機相に4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-
オキシル0.07部を加え、エバポレータにより減圧下、低沸分を留出させた。得られた
残渣を減圧蒸留して、沸点99℃/400Paの1-(2-エチルへキシルオキシ)エチ
ルメタクリレート(単量体(A3))207.0部(0.85mol)得た。
<実施例1>
単量体(A1)50質量部、n-ブチルアクリレート25質量部、2-エチルヘキシル
アクリレート25質量部を、トルエン100質量部中で2,2’-アゾビスイソブチロニ
トリル0.003質量部を開始剤として80℃、5時間反応させ、テトラヒドロフランに
て希釈し、質量平均分子量308,000、分子量分布2.50、ガラス転移温度-19
℃のアクリル系共重合体の溶液(固形分20%)を得た。
得られた重合体溶液を50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに乾
燥後の厚さが125μmとなるようにアプリケーターで塗布して、23℃で一晩乾燥させ
て接合用フィルムを得た。
厚さ188μmのPETフィルムを被着体として、25mm×100mmの前記接合用
フィルムを、23℃の雰囲気下でハンドプレス機にて圧力5MPaで5分間加圧し、基材
/接合層/被着体の三層からなる積層体サンプルを作製した。
積層体サンプルを23℃の雰囲気下で一晩放置した後、剥離速度300mm/minで
180度剥離強度(N/25mm)を測定することで接合強度を評価した。
また、前記積層体サンプルと同じ方法で作製した積層体サンプルを200℃にて加熱処
理を施したのち、室温(23℃)にて一晩空冷した後、剥離速度300mm/minで1
80度剥離強度(N/25mm)を測定することで易解体性を評価した。
測定結果を表1に記載した。表中の各成分に関する数値は質量部を意味する。
Figure 2022120817000007
表中の各化合物の略号を以下に記載した。
単量体(A1):1-イソブトキシエチルメタクリレート(前述の製造例A1で合成
した合成品)。
単量体(A2):1-ブトキシエチルメタクリレート(前述の製造例A2で合成した
合成品)。
単量体(A3):1-(2-エチルへキシルオキシ)エチルメタクリレート(前述の
製造例A3で合成した合成品)。
nBA:n-ブチルアクリレート。
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート。
MMA:メチルメタクリレート。
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート。
AIBN:2,2’-アゾビスイソブチロニトリル。
コロネートL-55E:トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダ
クト体、東ソー社製。
<実施例2~7、比較例1~5>
アクリル系共重合体の単量体組成比を表1に従い変更した以外は、実施例1と同様にし
て重合体溶液を得た。その後、実施例1と同様の方法により、積層体サンプルを作製し、
接合強度と易解体性を評価した。
評価結果を表1に記載した。
単量体A由来の構成単位を有し、かつ所定の範囲のガラス転移温度を有する重合体を使
用した実施例1~7は、接合強度及び易解体性が良好であった。ガラス転移温度が本願規
定の範囲外かつ、単量体A由来の構成単位を有さない重合体を使用した比較例1~2は、
接合強度が悪かった。単量体A由来の構成単位を有さない重合体を使用した比較例3は、
ガラス転移温度は本願規定の範囲内であるが、接合強度が悪かった。単量体A由来の構成
単位を有し、ガラス転移温度が本願規定の上限値外である重合体を使用した比較例4は、
接合しなかったため、接合強度と易解体性を評価できなかった。単量体A由来の構成単位
を有し、ガラス転移温度が本願規定の下限値外である重合体を使用した比較例5は、接合
強度が悪かった。
<実施例8>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコ
に、酢酸エチル70質量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
0.04質量部を仕込み還流温度まで加熱し、単量体(A3)40質量部、n-ブチルア
クリレート60質量部、2-ヒドロキシメタクリレート0.1質量部の混合モノマーを2
時間滴下後1時間加熱し、さらにAIBN0.09質量部のトルエン溶液を滴下しながら
還流温度で2.5時間反応させた。その後、酢酸エチルにて希釈して、質量平均分子量3
22,000、分子量分布3.60、ガラス転移温度-43℃のアクリル系共重合体の溶
液(固形分34%)を得た。
得られた重合体溶液100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤「コロネートL-5
5E」を1質量部添加して室温下で撹拌したのち、50μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)フィルムに乾燥後の厚さが25μmとなるようにアプリケーターで塗布した
。更に、軽剥離38μmポリエステル系離形シートを被せて、塗布したフィルムを100
℃で2分間乾燥した後、40℃で3日間エージングして、接合用フィルムを得た。
厚さ188μmのPETフィルムを被着体として、軽剥離フィルムを剥がした25mm
×100mmの前記接合用フィルムを、23℃の雰囲気下で質量2kgのゴムローラーで
2往復させて加圧貼付し、基材/接合層/被着体の三層からなる積層体サンプルを作製し
た。
積層体サンプルを23℃の雰囲気下で一晩放置した後、剥離速度300mm/minで
180度剥離強度(N/25mm)を測定することで接合強度を評価した。
また、前記積層体サンプルと同じ方法で作製した積層体サンプルを200℃にて加熱処
理を施したのち、室温(23℃)にて一晩空冷した後、剥離速度300mm/minで1
80度剥離強度(N/25mm)を測定することで易解体性を評価した。
測定結果を表2に記載した。表中の各成分に関する数値は質量部を意味する。
Figure 2022120817000008
<比較例6>
アクリル系共重合体の単量体組成比を表2に従い変更した以外は、実施例8と同様にし
て重合体溶液を得た。その後、実施例8と同様の方法により、積層体サンプルを作製し、
接合強度と易解体性を評価した。
評価結果を表2に記載した。
単量体A由来の構成単位を有し、かつ所定の範囲のガラス転移温度を有する架橋性の重
合体を使用した実施例8は、接合強度及び易解体性が良好であった。また、単量体A由来
の構成単位を有さない架橋性の重合体を使用した比較例6では、易解体性には低位であっ
た。
<実施例9>
アクリル系共重合体の単量体組成比を表3に従い変更した以外には、実施例1と同様に
して重合体溶液を得た。その後、実施例1と同様の方法により、積層体サンプルを作製し
、易解体性の評価に湿熱評価を用いた以外は、実施例1と同様に接合強度と易解体性を評
価した。
評価結果を表3に記載した。
Figure 2022120817000009
<実施例10、比較例7>
アクリル系共重合体の単量体組成比を表3に従い変更した以外には、実施例9と同様に
して重合体溶液を得た。その後、実施例9と同様の方法により、積層体サンプルを作製し
、実施例9と同様に接合強度と易解体性を評価した。
評価結果を表3に記載した。
単量体A由来の構成単位を有し、かつ所定の範囲のガラス転移温度を有する重合体を使
用した実施例9~10は、接合強度及び易解体性が良好であった。また、単量体A由来の
構成単位を有さない重合体を使用した比較例7では、ガラス転移温度は本願の規定内であ
るが、接合強度には乏しかった。
本発明によれば、接合強度及び易解体性に優れ、接合強度の調整が容易な重合体を提供
することができる。また前記重合体を含む接着性組成物を提供することができる。したが
って、本発明の重合体は、易解体性を要する接着性組成物の分野において好適に利用でき
、産業上極めて重要である。

Claims (10)

  1. 下記式(a)で表される構造を有する単量体A由来の構成単位を有する重合体であって
    、示差熱量分析にて測定されるガラス転移温度が-45℃以上30℃以下である、重合体

    Figure 2022120817000010
    (前記式(a)中、Oは酸素原子、Cは炭素原子を示し、Xは酸素原子、硫黄原子又はN
    (R14)を示し、Nは窒素原子、R14は水素原子又はアルキル基を示す。)
  2. PMMA換算の質量平均分子量が110,000以上450,000以下である、請求
    項1に記載の重合体。
  3. 前記式(a)が、下記式(1)、下記式(2)又は下記式(3)である、請求項1又は
    2に記載の重合体。
    Figure 2022120817000011
    (式中、Xは酸素原子、硫黄原子又はN(R14)を示し、Nは窒素原子を示し、R14
    は水素原子又はアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ、水素原子又は炭素数1~1
    0のアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ、炭素数1~20のアルキル基、シクロ
    アルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ、炭素数1~10のアルキレ
    ン基を示す。)
  4. 前記単量体Aが有する式(a)で表される構造が、前記重合体の側鎖に位置する、請求
    項1~3のいずれか一項に記載の重合体。
  5. 前記単量体Aが(メタ)アクリレートである、請求項1~4のいずれか一項に記載の重
    合体。
  6. 示差熱量分析にて測定されるガラス転移温度が-40℃以上0℃以下である、請求項1
    ~5のいずれか一項に記載の重合体。
  7. 前記重合体を構成する全ての単量体由来の構成単位に対する前記単量体A由来の質量割
    合が25%以上65%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の重合体。
  8. ゲル浸透クロマトグラフィーにて測定される分子量分布が2.0以上7.0以下である
    、請求項1~7のいずれか一項に記載の重合体。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の重合体を含む接着性組成物。
  10. 請求項9に記載の接着性組成物を含む積層体。
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