JP2023143186A - 重合体、前記重合体を含む接着性組成物、及び積層体 - Google Patents

重合体、前記重合体を含む接着性組成物、及び積層体 Download PDF

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JP2023143186A JP2022050424A JP2022050424A JP2023143186A JP 2023143186 A JP2023143186 A JP 2023143186A JP 2022050424 A JP2022050424 A JP 2022050424A JP 2022050424 A JP2022050424 A JP 2022050424A JP 2023143186 A JP2023143186 A JP 2023143186A
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Masashi Igawa
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Abstract

【課題】接合後の簡便な処理により接合強度を強固とすることができる分解性の重合体を提供することにある。また前記重合体を含む接着性組成物を提供することにある。【解決手段】特定の式で表される単量体に由来する単量体単位を有し、かつゲル浸透クロマトグラフィーにて測定されるポリメチルメタクリレート換算の質量平均分子量が250,000以上2,000,000以下である、重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、刺激応答性を有し、接合後に簡便な処理を施すことで接合強度をより強固に
することができる重合体及び、前記重合体を含む接着性組成物に関する。
産業上の様々な要請から、各分野で刺激応答性の重合体が注目を浴びている。とりわけ
接合に用いる重合体においては、接合後の任意のタイミングで刺激を与えることで容易に
接合強度を高める仮接着技術が、リワーク性や製造工程の歩留まり向上の観点で期待され
ている。
特許文献1には、光硬化型アクリル系粘着剤に、エポキシ樹脂とカチオン重合触媒を添
加してなる硬化性粘着材料が記載されている。この硬化性粘着材料を基材に塗布して光硬
化させて得られた粘着テープは、刺激応答性を有する。すなわち、被着体に貼り合わせ後
も位置調整等のリワークが可能であるが、後工程にて加熱硬化させることで、接着強度を
高めて強固に接合させることができる。しかしながら、特許文献1に記載の粘着テープで
は、加熱硬化工程でエポキシ樹脂の架橋による硬化収縮が生じるなど、刺激応答により架
橋させる手法は寸法安定性の点などで実用に制限が生じる難点があった。
特許文献2には、(メタ)アクリル酸とビニルエーテルとを反応させて得られる(メタ
)アクリレートをモノマー成分中の20~90mol%含有するアクリル系共重合体を含
有することを特徴とする粘着剤組成物が記載されている。この粘着剤組成物は、温水応答
性を有し、被着体への貼付後に温水に浸漬することで、容易に解体できる性質を示す。非
特許文献1から、(メタ)アクリル酸とビニルエーテルとを反応させて得られる(メタ)
アクリレート部位の分解が解体性に寄与していることが示されている。
特許文献2に記載の分解性のアクリル系共重合体のように、刺激応答により分解させる
手法は、機能発現の上で利便性がよく好ましいが、一方で、このような分解性の重合体を
仮接着技術に応用した事例については言及がなく、刺激応答により接合強度を向上させる
事例への応用可能性については不明であった。
特開2001-288418号公報 国際公開2014/157620号 Polymer,64(2015),260-267.
本発明の目的は、接合後の簡便な処理により接合強度を強固とすることができる分解性
の重合体を提供することにある。また前記重合体を含む接着性組成物を提供することにあ
る。
即ち、本発明は以下の[1]~[8]を要旨とする。
[1]下記式(a)で表される単量体に由来する単量体単位を有し、かつゲル浸透クロマ
トグラフィーにて測定されるポリメチルメタクリレート換算の質量平均分子量が250,
000以上2,000,000以下である、重合体。
Figure 2023143186000001
(前記式(a)中、Oは酸素原子、Xは酸素原子、硫黄原子又はN(R14)を示し、N
は窒素原子、R14は水素原子又はアルキル基を示し、Zは水素原子またはメチル基を示
し、R及びRはそれぞれ、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を示す。)
[2]示差熱熱重量同時測定装置で測定される10%熱重量減少温度が140℃以上30
0℃以下である、[1]に記載の重合体。
[3]示差熱量分析にて測定されるガラス転移温度が-50℃以上0℃以下である、[1
]又は[2]に記載の重合体。
[4]ゲル浸透クロマトグラフィーにて測定されるPMMA換算の分子量分布が2.5以
上8.0以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の重合体。
[5]前記式(a)で表される単量体が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)
のうちの少なくとも1種で表される、[1]~[4]のいずれか一項に記載の重合体。
Figure 2023143186000002
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子又はNR14を示し、Nは窒素原子を示し、R14は水
素原子又はアルキル基を示し、Zは水素原子またはメチル基を示し、R及びRはそれ
ぞれ、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ、炭素
数1~20のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれ
ぞれ、炭素数1~10のアルキレン基を示す。)
[6]前記重合体を構成する全ての単量体由来の構成単位に対する前記式(a)で表され
る単量体に由来する単量体単位の割合が20質量%以上90質量%以下である、[1]~
[5]のいずれか一項に記載の重合体。
[7][1]~[6]のいずれか一項に記載の重合体を含む接着性組成物。
[8][7]に記載の接着性組成物を含む層と、前記層に接する少なくとも一つの金属層
を含む、積層体。
本発明によれば、接合後の簡便な処理により接合強度を強固とすることができる分解性
の重合体を提供することができる。また前記重合体を含む接着性組成物を提供することが
できる。
本発明において、「構成単位」とは、重合反応によって単量体から直接形成された化学
構造、及び重合反応によって得られた重合体を化学反応で処理することによって、前記重
合体が有する前記構成単位の構造の一部が別の構造に変換された化学構造を意味する。
「単量体」とは、重合性を有する化合物(重合性単量体)を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリル系共重合体」は、構成単位の少なくとも一部が(メタ)アクリル系単
量体由来の構成単位である共重合体を意味する。
「ポリメチルメタクリレート」は、構成単位の少なくとも95質量%がメタクリル酸メチ
ル単量体由来の構成単位である重合体を意味し、以下、PMMAとも称する。
[重合体]
本発明の重合体は、下記式(a)で表される単量体に由来する単量体単位を有する。示
差熱熱重量同時測定装置で測定される10%熱重量減少温度が140℃以上300℃以下
であることが好ましい。
通常、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単位を有する重合体は、単量体の
エチレン性不飽和結合に由来する繰り返し単位の熱安定性から、300℃以下で熱重量減
少が観測されることは少ない。ただし、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体単
位のエステル構造の熱安定性が乏しい場合、エステル構造の分解、すなわち側鎖分解に基
づいて300℃以下でも熱重量減少が観測されることがある。
側鎖分解を起こしうる(メタ)アクリル酸エステルに由来する単量体(以下、このよう
な単量体単位を「単量体A」と称する。)としては、例えば、エステル部位に下記式(a
)で表される単量体由来の構造を有し、エステル部位のβ水素脱離または加水分解により
カルボキシ基が生成する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
Figure 2023143186000003
(前記式(a)中、Oは酸素原子、Xは酸素原子、硫黄原子又はN(R14)を示し、N
は窒素原子、R14は水素原子又はアルキル基を示し、Zは水素原子またはメチル基を示
し、R及びRはそれぞれ、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を示す。)
側鎖分解性を得やすい点で、前記単量体Aは、前記式(a)で表される単量体であるこ
とが好ましく、式(a)で表される単量体が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(
3)のうちの少なくとも1種で表されることが更に好ましい。
Figure 2023143186000004
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子又はNR14を示し、Nは窒素原子を示し、R14は水
素原子又はアルキル基を示し、Zは水素原子またはメチル基を示し、R及びRはそれ
ぞれ、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ、炭素
数1~20のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれ
ぞれ、炭素数1~10のアルキレン基を示す。)
Xは、酸素原子(エーテル系酸素原子;-O-)、硫黄原子(スルフィド系硫黄原子;
-S-)、N(R14)(Nは窒素原子を示し、R14は水素原子又はアルキル基を示す
。)のいずれであってもよいが、これらの中でも側鎖分解性を得やすい点で、酸素原子が
好ましい。すなわち式(a)のXがOであるアセタール構造を有することが好ましい。
Zは、水素原子、メチル基のいずれであってもよいが、側鎖分解時に接合強度が上昇し
やすい点で、メチル基が好ましい。すなわちメタクリレートであることが好ましい。
式(1)中、R及びRにおける炭素数1~10のアルキル基としては、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
前記分岐状のアセタール構造としては、前記アルキル基のうち、イソプロピル基、イソ
ブチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
及びRにおけるアルキル基の炭素数は、側鎖分解性の点で1~4が好ましく、1
~3がより好ましく、1又は2が更に好ましい。
及びRの好ましい組み合わせとしては、水素原子とメチル基との組み合わせ、メ
チル基とメチル基との組み合わせ、水素原子と炭素数2~10のアルキル基(以下、「長
鎖アルキル基」と記載する場合がある。)との組み合わせ、メチル基と長鎖アルキル基と
の組み合わせ、水素原子と水素原子との組み合わせ、長鎖アルキル基と長鎖アルキル基と
の組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、側鎖分解性の点で、水素原子とメチル基
との組み合わせが好ましい。
における炭素数1~20のアルキル基としては、前記炭素数1~10のアルキル基
として挙げたアルキル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、等が挙げられる。
また、Rにおけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基
、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等が挙げら
れる。
また、Rにおけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基はそれぞれ、シクロアルキル
基、アリール基、アルコキシ基、アルカノイルオキシ基、アラルキル基及びアセトキシ基
からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。置換基を有する場合、置換基の数は
1つでもよく2つ以上でもよい。
置換基としてのシクロアルキル基、アリール基はそれぞれ、前記と同じ置換基が挙げら
れる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が
挙げられる。アルカノイルオキシ基としては、エタノイルオキシ基等が挙げられる。アラ
ルキル基としては、ベンジル基等が挙げられる。
式(2)中、Rにおける炭素数1~10のアルキレン基としては、例えばメチレン基
、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
側鎖分解性の点で、Rにおけるアルキレン基の炭素数は、2~7が好ましく、3~4
がより好ましい。
前記アルキレン基は、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシル基、アルカノイル
オキシ基、アラルキル基及びアセトキシ基からなる群から選ばれる置換基により置換され
ていてもよい。置換基により置換されている場合、置換基の数は1つでもよく2つ以上で
もよい。アルキレン基に置換してもよい置換基の具体例としては、Rにおける置換基と
同じ置換基が挙げられる。
前記環状のアセタール構造としては、前記アルキレン基のうち、シクロアルキル基、ア
リール基等が挙げられる。
式(3)中、Rは、式(1)中のRと同じ置換基が挙げられ、好ましい態様も同じ
である。Rは、式(2)中のRと同じ置換基が挙げられ、側鎖分解性の点で、好まし
い態様も同じである。
本発明の重合体は、前記(メタ)アクリレート単量体Aに由来する構造が側鎖分解する
ことで、任意のタイミングで接合強度を高めることができる。単量体Aがメタクリレート
の方が、側鎖分解した際に重合体のガラス転移温度Tgの上昇幅が大きくなり、本発明の
重合体を含む接着性組成物の刺激応答後の接合強度を向上させやすい。
一般に、重合体のガラス転移温度Tgは、構成する単量体の単独重合体のガラス転移温
度とその単量体が占める質量割合から、後述するFoxの式より算出できる。例えば前記
単量体Aがメタクリレート(CH=C(CH)-COO-)であれば、側鎖分解した
際にはメタクリル酸(CH=C(CH)-COOH)由来の構造に変化する。一方、
前記単量体Aがアクリレート(CH=CH-COO-)であれば、側鎖分解した際には
アクリル酸(CH=CH-COOH)由来の構造に変化する。
メタクリル酸の単独重合体のガラス転移温度Tgは228℃、アクリル酸の単独重合体
のガラス転移温度Tgは106℃(いずれも「Polymer Handbook 4t
h Edition」より引用)のため、側鎖分解した後の重合体のガラス転移温度Tg
は、前記単量体Aがメタクリレートである方が顕著に上昇するため、刺激応答後の接着性
組成物の接合強度を向上させやすい。
前記単量体Aのうち、式(a)で表される単量体としては、例えば以下に示す(メタ)
アクリレートが挙げられる。
Figure 2023143186000005
これらの単量体Aは、市販品を購入して用いてもよく、公知の方法を利用して適宜合成
した化合物を用いてもよい。
本発明の重合体を構成する前記単量体A以外の単量体としては、単量体Aと共重合可能
であれば特に限定されず、必要に応じて各種の単量体を使用することができる。例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アク
リレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-
ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(
メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェ
ニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(
メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレー
ト等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、
2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロ
イルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(
メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル
マレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン
酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシ基含有ビニル系単量体;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体;
グリジシル(メタ)アクリレート、グリジシルα-エチルアクリレート、3,4-エポ
キシブチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート系のビニル系単量体;
(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(
メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチ
ル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミ
ド等のアミド基を含有するビニル系単量体;
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビ
ニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビス
(メタ)アクリルアミド等の多官能性のビニル系単量体;が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、単量体の入手のしやすさと、重合体のガラス転移温度の調整のしやす
さの点で、(メタ)アクリレート及び水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレート及び水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレー
ト、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好まし
く、接合強度を満たしやすい点でこれらのアクリレートが更に好ましい。
本発明の重合体のガラス転移温度は、-50℃以上であり、-45℃以上が好ましく、
-40℃以上がより好ましい。また、本発明の重合体のガラス転移温度は、0℃以下であ
り、-20℃以下が好ましく、-30℃以下がより好ましい。
本発明の重合体のガラス転移温度が-50℃以上であれば、重合体を室温下で取り扱う
際の取り扱い性に優れる。本発明の重合体のガラス転移温度が0℃以下であれば、重合体
を含む接着性組成物とした際の接合強度に優れる。
なお、ガラス転移温度はFoxの式より算出した値を用いた。
Figure 2023143186000006
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+…+Wn=1)
すなわち、重合体を構成するそれぞれの単量体をホモポリマーとした際のガラス転移温
度及び重量分率をFoxの式に当てはめて算出した値である。なお、重合体を構成するそ
れぞれの単量体をホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(D
SC)で測定することができる。
本発明の重合体の10%熱重量減少温度は140℃以上が好ましく、160℃以上がよ
り好ましく、180℃以上が更に好ましい。また、本発明の重合体の10%熱重量減少温
度は300℃以下が好ましく、280℃以下がより好ましく、260℃以下が更に好まし
い。
本発明の重合体の10%熱重量減少温度が140℃以上であれば、重合体の耐久性と刺
激応答性を両立させやすい。本発明の重合体の10%熱重量減少温度が300℃以下であ
れば、重合体の主鎖分解と側鎖分解が同時に進行する恐れが低下し、刺激応答性を確保し
やすい。
本発明の重合体の質量平均分子量(Mw)は、250,000以上であり、280,0
00以上が好ましく、300,000以上がより好ましい。また、本発明の重合体の質量
平均分子量は、2,000,000以下であり、1,750,000以下が好ましく、1
,500,000以下がより好ましい。
本発明の重合体の質量平均分子量が250,000以上であれば、刺激応答により側鎖
分解した後の接合強度に優れる。本発明の重合体の質量平均分子量が2,000,000
以下であれば、基材への塗工性に優れる。
本発明の重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、2.5以上が好ましく、2.7以上が
より好ましく、2.9以上が更に好ましい。また、本発明の重合体の分子量分布は8.0
以下が好ましく、7.0以下がより好ましく、6.0以下が更に好ましい。
本発明の重合体の分子量分布が2.5以上であれば、重合体を含む接着性組成物とした
際に刺激応答後の仮接着時の接合強度が向上しやすい。本発明の重合体の分子量分布が8
.0以下であれば、刺激応答により側鎖分解した後の接合強度に優れる。
本発明の重合体の質量平均分子量及び分子量分布は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフ
ィー(GPC)により、ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算、すなわちPMMA
を基準物質として検量線を作成して測定し、求めた。
本発明の重合体を構成する全単量体由来の構成単位に対する前記単量体A由来の構成単
位の割合は、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以
上が更に好ましい。また、本発明の重合体を構成する全単量体由来の構成単位に対する前
記単量体A由来の構成単位の割合は90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好
ましく、70質量%以下が更に好ましい。
本発明の重合体に占める前記単量体A由来の構成単位の割合が20質量%以上であれば
、刺激応答により側鎖分解した後の接合強度に優れる。本発明の重合体に占める前記A由
来の構成単位の割合が90質量%以下であれば、重合体を含む接着性組成物とした際の刺
激応答前の接合強度が適度な値を示す。
[重合体の製造方法]
本発明における重合体の製造方法は、前記単量体Aを含む単量体混合物を重合反応させ
る工程を有する。
重合反応させる方法は特に限定されず、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の
種々の方法を用いることができる。
それらの中でも反応溶液の均一性が重合後期まで保たれた状態で反応させることが可能
である点で、溶液重合が好ましい。
本発明の重合体の製造方法は、除熱効率が上がる点で、単量体の混合物を反応容器内に
一定時間滴下して重合させることが好ましい。
重合の際には、重合体の分子量を調節するために、単量体の混合物に連鎖移動剤として
、メルカプタン類、水素、αメチルスチレンダイマー、テルペノイド類等を添加しても良
い。
ラジカル重合開始剤の存在下で重合する場合には、ラジカル重合開始剤として、有機過
酸化物あるいはアゾ化合物を使用することができる。有機過酸化物の具体例としては、例
えば、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、
o-メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパー
オキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノ
エート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケ
トンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロ
ピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブ
チルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2 , 2’-アゾビス(2,4-
ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。
これらの中でも、重合性が良好となる点で、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’-ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、
2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)が好ましい。こ
れらラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ラジカル重合開始剤は、重合速度の調節と、得られる重合体の分子量の調整の点か
ら、すべての単量体の合計質量100質量部に対して0.0001~10質量部の範囲内
で用いることが好ましい。
重合温度については特に制限はなく、例えば、-100~120℃で重合を行うことが
できる。
[接着性組成物]
本発明の接着性組成物は、前記重合体を含む。刺激応答前の適度な接合強度と刺激応答
後の強固な接合強度を両立する観点で、本発明の接着性組成物全体に占める前記重合体の
割合が20質量%以上であることが好ましい。
本発明の接着性組成物を接着層とした際の接合強度が良好となる点で、前記接着性組成
物は、前記重合体以外に前記重合体の製造で使用した単量体のうちの少なくとも1種を含
むことが好ましい。本発明の接着性組成物中の前記単量体の割合は、接合強度の安定性の
点で、本発明の前記重合体の合計質量100質量部に対して、0.1~20質量部が好ま
しい。
本発明の接着性組成物は前記重合体と前記単量体以外に溶媒、必要に応じて任意成分と
、を混合した組成物であってもよい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例え
ば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;シクロペンタン
、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類;メタノール
、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール
等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコール
類;アセトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン等のエーテル類;酢酸ブチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート等のエステ
ル類;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、N-メチルピロリドン等の高極性溶剤類、水(イオン交換水、蒸留水又は精
製水等)及びナトリウム塩が溶解した水溶液が挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記任意成分としては、例えば、架橋剤、粘着付与剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤
、シランカップリング剤、帯電防止剤等が挙げられる。
前記架橋剤としては、前記重合体に含まれる官能基、例えば水酸基等と反応して架橋構
造を形成させるものであれば特に制限されず、例えば、公知のイソシアネート系架橋剤、
エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
前記安定剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロー
ル、ナフチルアミン、及びtert-メチルカテコールが挙げられる。
本発明の接着性組成物の製造方法としては、前記重合体を始めとする前述の各成分を通
常使用される撹拌機で混合する方法を挙げることができる。
[積層体]
本発明の積層体は、前記接着性組成物を含む積層体である。
本発明における積層体は、本発明の接着性組成物からなる接着層と、基材と、前記基材
を接合する一つ以上の被着体とからなることが好ましい。
基材の材質としては、本発明の接着性組成物と接着できるものであれば特に制限はない
が、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオ
レフィン系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポ
リフッ化エチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリ
ル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン6T、ナイロン9T、ナイロン10T等のナイロン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリ
スチレン、ABS等のスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチ
レン系樹脂、ポリイミド系樹脂等の合成樹脂類、スチール、ステンレス、アルミニウム、
マグネシウム、銅、真鍮、鉛、亜鉛、チタン等の金属類、ガラス、セラミックスが挙げら
れる。
また、基材の一部に、種々の加工による改質を施したものを用いることもできる。加工
方法の具体例としては、例えば、塗布によるプライマー処理、金属表面の耐蝕加工、化学
的な薬剤又はプラズマによるエッチング加工、メッキ加工、レーザー光等による光学的な
加工、切削又は研磨等の機械的加工が挙げられる。
被着体の材質としては、本発明の重合体と接着できるものであれば特に制限はなく、例
えば前記基材で例示した材質を用いることができるが、刺激応答後の接合強度が十分高い
点で、スチール、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、チタン等の金属類が好ま
しい。一種類の金属、もしくは複数金属の合金のいずれも使用できる。本発明の重合体は
、単量体Aに由来する構造の側鎖分解によりカルボキシ基が発生することで機能を発現す
る。被着体表面の表面自由エネルギーが高いほど、カルボキシ基に富む刺激応答後の重合
体との親和性が高いため、刺激応答により接着性組成物と被着体との接合強度が向上する
。すなわち、被着体としてはスチール、ステンレス、アルミニウム、銅、亜鉛等の金属類
が、刺激応答後の接合強度が十分高い点でより好ましい。
本発明における積層体は、溶剤等に本発明の重合体を溶解させて基材に塗布し、次いで
乾燥させて被着体に貼り合わせる方法、本発明の接着性組成物を基材に塗布し、次いで乾
燥させて被着体に貼り合わせる方法、被着体の上に接着層、基材の順で積層して加圧する
方法等、公知の方法を用いて作製することができる。
本発明における重合体は、物理的又は化学的に一定のエネルギーを与えることで、単量
体Aのエステル部位に由来する置換基(側鎖)が分解する。すなわち刺激応答性を有する
本発明の重合体を用いた積層体は、前記刺激応答性を利用して任意のタイミングで接合
部の強度を容易に強固にできる機能を有する。前記機能の点で、前記式(a)で表される
単量体は、前記式(a)中のXがOである構造、すなわちアセタール構造であることが好
ましい。
本発明の接着性組成物と被着体との、刺激応答前の接合強度は3.0N/25mm以上
が好ましく、4.0N/25mm以上がより好ましく、5.0N/25mm以上が更に好
ましい。また、本発明の接着性組成物と被着体との、刺激応答前の接合強度は20.0N
/25mm以下が好ましく、18.0N/25mm以下がより好ましく、16.0N/2
5mm以下が更に好ましい。本発明の接着性組成物と被着体との、刺激応答前の接合強度
が、3.0N/25mm以上であれば、被着体に貼り合わせた状態を保持しやすい。刺激
応答前の接合強度が20.0N/25mm以下であれば、リワーク可能である。
本発明の接着性組成物と被着体との、刺激応答後の接合強度は10.0N/25mm以
上が好ましく、15.0N/25mm以上がより好ましく、20.0N/25mm以上が
更に好ましい。また、本発明の接着性組成物と被着体との、刺激応答後の接合強度は50
.0N/25mm以下が好ましく、45.0N/25mm以下がより好ましく、40.0
N/25mm以下が更に好ましい。本発明の接着性組成物と被着体との、刺激応答後の接
合強度が、10.0N/25mm以上であれば、使用中に衝撃や振動等で積層体が分離す
る危険性が十分低くなる。刺激応答後の接合強度が50.0N/25mm以下であれば、
使用後における積層体の分離が可能である。
前記重合体の単量体Aに由来する構造の側鎖が分解すると重合体の分子量は低下するも
のの、重合体の主鎖は短くならないため、単量体Aの質量平均分子量及び/または分子量
分布が所定の範囲にあれば、接合強度の低下が起こりにくい。さらに、本発明の重合体は
、単量体Aのエステル部位が分解することでカルボキシ基が発生する。その結果、重合体
のガラス転移温度Tgが上昇し、重合体を含む接着性組成物の凝集力が向上し、接合強度
が向上する。また、被着体表面の表面自由エネルギーが高い場合には、接着層と被着体の
界面強度も向上し、接合強度が著しく向上する。
前記重合体の単量体Aに由来する構造の側鎖の分解が進行すれば、刺激応答の手法とし
ては特に制限はなく、例えば、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波等の活性エ
ネルギー線、熱、超音波等を照射する物理的な手法のほか、温水、酸等に接触させる化学
的な手法、それらの2種類以上を併用する方法が挙げられる。
これらの中でも、様々な用途に応用が利く点から、紫外線、マイクロ波、熱、超音波、
温水が好ましく、紫外線、熱、温水がより好ましく、熱、温水が更に好ましい。
熱を手法とする場合は、加熱温度は100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ま
しく、140℃以上が更に好ましく、160℃以上が最も好ましい。また、熱を手法とす
る場合の加熱温度は、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、210℃
以下が更に好ましく、200℃以下が最も好ましい。加熱温度が100℃以上であれば、
耐久性との両立が可能となる。加熱温度が250℃以下であれば、被着体の熱劣化が起こ
りにくくなる。
温水を用いる場合は、温水の温度は60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい
。また、用いる温水の温度は、95℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。温水
の温度が60℃以上であれば、応答時間を短く抑えることができる。温水の温度が95℃
以下であれば、作業の安全性の点で良好となる。温水を直接用いるだけでなく、湿熱環境
に設置することでも同様の効果が得られる。例えば恒温恒湿槽などに本発明の積層体を設
置して処理するだけで、積層体を簡単に解体することができる。
刺激応答性を補強するために、前記重合体又は前記接着性組成物に公知の光酸発生剤、
熱酸発生剤等を配合して用いても良い。光又は熱による刺激で酸が発生すると、前記式(
a)で表される単量体に由来する単量体単位の分解が促進されるため、刺激応答性を調整
することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
尚、以下の記載において「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を意味する。
[重合体の各種物性値の測定方法]
(1)分子量、及び分子量分布
質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(
GPC)(東ソー(株)製、商品名:HLC-8420)を使用し、以下の条件にて測定
した。
カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER HZ-L(D.I.4.
6mm×35mm)と2本のTSK-GEL SUPER HZM-N(D.I.6.0
mm×150mm)を直列に接続。
溶離液:THF
測定温度:40℃
流速:0.6mL/分
尚、Mw及びMnは、Polymer Laboratories製のピークトップ分
子量が1590、10290、55600及び141500である4種のポリメチルメタ
クリレートを用いて作成した検量線を使用して求めた。
(2)熱分解温度
示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:STA73
00)を用いて、窒素雰囲気下で100℃から450℃まで昇温速度10℃/分で昇温し
た際に観測される熱重量減少曲線から、10%重量減少温度を測定して求めた。
[接合強度の評価方法]
テンシロン万能試験機(オリエンテック(株)製、商品名:RTC-1250A)を用い
て、23℃雰囲気下で剥離速度300mm/minで、基材/接合層/被着体の三層から
なる積層体サンプルについて180度剥離強度(N/25mm)を測定することで、以下
評価基準により接合強度を評価した。
なお、前記積層体サンプルの作製方法は後述の実施例1に記載の方法で作製した。
[接着性の評価方法]
(熱処理)
200℃に設定したイナートオーブン(ヤマト科学(株)製、商品名:DN611I)
にて、前記接合強度の評価方法と同じ方法で作製した積層体サンプルを窒素雰囲気下で加
熱処理した。加熱時間はオーブンにサンプルを投じた時点から起算して3分間とし、サン
プルは慎重に取り出したのち室温(23℃)にて一晩空冷した。空冷後の積層体サンプル
について、前記接合強度の評価方法と同じ方法で180度剥離強度(N/25mm)を測
定した。
(湿熱処理)
70℃、相対湿度95%に設定した恒温恒湿機(エスペック(株)製、商品名:PL-2
J)にて、前記接合強度の評価方法と同じ方法で作製した積層体サンプルを湿熱雰囲気下
に暴露して処理した。処理時間は恒温恒湿機にサンプルを投じた時点から起算して3時間
とし、サンプルは慎重に取り出したのち室温(23℃)にて一晩空冷した。空冷後の積層
体サンプルについて、前記接合強度の評価方法と同じ方法で180度剥離強度(N/25
mm)を測定した。
(評価基準)
刺激応答前後での接合強度の変化率を式(1)に則って算出し、その値をもとに以下の
評価基準により仮接着性を評価した。
◎:接合強度の変化率が160%以上
〇:接合強度の変化率が120%以上 160%未満
×:接合強度の変化率が120%未満
A=Fa/Fb×100 …式(1)
A:接合強度の変化率(%)
Fa:熱処理または湿熱処理を施さない場合の180度剥離強度(N/25mm)
Fb:熱処理または湿熱処理を施した場合の180度剥離強度(N/25mm)
<製造例A1>
2-エチルへキシルビニルエーテル171.9部(1.1mol)、ヒドロキノン0.
32部、フェノチアジン0.61部を室温で撹拌して均一になるまで混合した。空気(1
0mL/min)を吹込みながら、メタクリル酸86.1部(1.0mol)を、反応液
の温度が60℃以下を保つようにして滴下した。滴下後、反応液の温度を80℃まで上げ
て、5時間反応させた。反応液にt-ブチルメチルエーテル264.5部(3.0mol
)を加えて混合し、有機相を20質量%炭酸カリウム水溶液135部で1回洗浄した。分
取した有機相に4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-
オキシル0.07部を加え、エバポレータにより減圧下、低沸分を留出させた。得られた
残渣を減圧蒸留して、沸点99℃/400Paの1-(2-エチルへキシルオキシ)エチ
ルメタクリレート(単量体(A1))207.0部(0.85mol)得た。
<製造例A2>
イソブチルビニルエーテル90.1部(0.9mol)、ヒドロキノン0.14部、フ
ェノチアジン0.28部を室温で撹拌して均一になるまで混合した。空気(10mL/m
in)を吹込みながら、メタクリル酸51.7部(0.6mol)を、反応液の温度が6
0℃以下を保つようにして滴下した。滴下後、反応液の温度を80℃まで上げて、6時間
反応させた。反応液にt-ブチルメチルエーテル158.7部(1.8mol)を加えて
混合し、有機相を20質量%炭酸カリウム水溶液200部で1回洗浄した。分取した有機
相に4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル0
.03部を加え、エバポレータにより減圧下、低沸分を留出させた。得られた残渣を減圧
蒸留して、沸点60℃/400Paの1-イソブトキシエチルメタクリレート(単量体(
A2))97.5部(0.52mol)を得た。
<実施例1>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコ
に、酢酸エチル70質量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
0.04質量部を仕込み還流温度まで加熱し、単量体(A1)40質量部、n-ブチルア
クリレート60質量部、2-ヒドロキシメタクリレート0.1質量部の混合モノマーを2
時間滴下後1時間加熱し、さらにAIBN0.09質量部のトルエン溶液を滴下しながら
還流温度で2.5時間反応させた。その後、酢酸エチルにて希釈して、質量平均分子量3
22,000、分子量分布3.62、ガラス転移温度-43℃のアクリル系共重合体の溶
液(固形分34%)を得た。
得られた重合体溶液100質量部に対し、イソシアネート系架橋剤「コロネートL-5
5E」を1質量部添加して室温下で撹拌したのち、50μmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)フィルムに乾燥後の厚さが25μmとなるようにアプリケーターで塗布した
。更に、軽剥離38μmポリエステル系離形シートを被せて、塗布したフィルムを100
℃で2分間乾燥した後、40℃で3日間エージングして、接合用フィルムを得た。
厚さ0.5mmのステンレス鋼(SUS304)板を被着体として、軽剥離フィルムを
剥がした25mm×100mmの前記接合用フィルムを、23℃の雰囲気下で質量2kg
のゴムローラーで2往復させて加圧貼付し、基材/接合層/被着体の三層からなる積層体
サンプルを作製した。
積層体サンプルを23℃の雰囲気下で一晩放置した後、剥離速度300mm/minで
180度剥離強度(N/25mm)を測定することで接合強度を評価した。
また、前記積層体サンプルと同じ方法で作製した積層体サンプルを200℃にて加熱処
理を施したのち、室温(23℃)にて一晩空冷した後、剥離速度300mm/minで1
80度剥離強度(N/25mm)を測定することで刺激応答後の接合強度を評価した。
測定結果を表1に記載した。表中の各成分に関する数値は質量部を意味する。
Figure 2023143186000007
表中の各化合物の略号を以下に記載した。
EHEMA:1-(2-エチルへキシルオキシ)エチルメタクリレート(前述の製造
例A1で合成した合成品)。
IBEMA:1-イソブトキシエチルメタクリレート(前述の製造例A2で合成した
合成品)。
nBA:n-ブチルアクリレート。
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート。
MMA:メチルメタクリレート。
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート。
コロネートL-55E:トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダ
クト体、東ソー社製。
<実施例2~6、比較例1~4>
アクリル系共重合体の単量体組成比を表1に従い変更した以外は、実施例1と同様にし
て重合体溶液を得た。その後、実施例1と同様の方法により、積層体サンプルを作製し、
接合強度と刺激応答後の接合強度を評価した。
評価結果を表1に記載した。
単量体A由来の構成単位を有し、かつ所定の範囲の熱重量減少温度を有する重合体を使
用した実施例1~6は、刺激応答前の接合強度と刺激応答後の接合強度が共に良好であっ
た。
単量体A由来の構成単位を有さず、熱重量減少温度が本願規定の上限値を上回る重合体
を使用した比較例1~3は、架橋剤の有無や主鎖の組成に寄らず、刺激応答後の接合強度
の変化が乏しかった。
単量体A由来の構成単位を有するが、その質量平均分子量が本願既定の下限値を下回る
重合体を使用した比較例4は、刺激応答後の接合強度が大きく低下した。
<実施例7>
アクリル系共重合体の単量体組成比を表2に従い変更した以外は、実施例1と同様にし
て重合体溶液を得た。その後、実施例1と同様の方法により、積層体サンプルを作製した
積層体サンプルを23℃の雰囲気下で一晩放置した後、剥離速度300mm/minで
180度剥離強度(N/25mm)を測定することで接合強度を評価した。
また、前記積層体サンプルと同じ方法で作製した積層体サンプルを65℃95%Rhに
調整した恒温恒湿機に設置して湿熱処理を3時間施したのち、室温(23℃)にて一晩空
冷した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定する
ことで刺激応答後の接合強度を評価した。
測定結果を表2に記載した。表中の各成分に関する数値は質量部を意味する。
Figure 2023143186000008
<実施例8、比較例5~6>
アクリル系共重合体の単量体組成比や被着体を表2に従い変更した以外は、実施例7と
同様の方法により積層体サンプルを作製し、接合強度と刺激応答後の接合強度を評価した

評価結果を表2に記載した。
単量体A由来の構成単位を有する架橋性の重合体を使用した実施例7~8は、いずれの
被着体に対しても刺激応答前の接合強度と刺激応答後の接合強度が共に良好であった。ま
た、単量体A由来の構成単位を有さない架橋性の重合体を使用した比較例5~6では、い
ずれも刺激応答後の接合強度の変化が乏しかった。
本発明によれば、特に金属被着体に対して仮接着性に優れ、簡便な処理で接合強度の調
整が容易な重合体を提供することができる。また前記重合体を含む接着性組成物を提供す
ることができる。したがって、本発明の重合体は、仮接着性を要する接着性組成物の分野
において好適に利用でき、産業上極めて重要である。

Claims (8)

  1. 下記式(a)で表される単量体に由来する単量体単位を有し、かつゲル浸透クロマトグ
    ラフィーにて測定されるポリメチルメタクリレート換算の質量平均分子量が250,00
    0以上2,000,000以下である、重合体。
    Figure 2023143186000009
    (前記式(a)中、Oは酸素原子、Xは酸素原子、硫黄原子又はNR14を示し、Nは窒
    素原子を示し、R14は水素原子又はアルキル基を示し、Zは水素原子またはメチル基を
    示し、R及びRはそれぞれ、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を示す。)
  2. 示差熱熱重量同時測定装置で測定される10%熱重量減少温度が140℃以上300℃
    以下である、請求項1に記載の重合体。
  3. 示差熱量分析にて測定されるガラス転移温度が-50℃以上0℃以下である、請求項1
    又は2に記載の重合体。
  4. ゲル浸透クロマトグラフィーにて測定されるポリメチルメタクリレート換算の分子量分
    布が2.5以上8.0以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の重合体。
  5. 前記式(a)で表される単量体が、下記式(1)、下記式(2)及び下記式(3)のう
    ちの少なくとも1種で表される、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合体。
    Figure 2023143186000010
    (式中、Xは酸素原子、硫黄原子又はNR14を示し、Nは窒素原子を示し、R14は水
    素原子又はアルキル基を示し、Zは水素原子またはメチル基を示し、R及びRはそれ
    ぞれ、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ、炭素
    数1~20のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれ
    ぞれ、炭素数1~10のアルキレン基を示す。)
  6. 前記重合体を構成する全ての単量体由来の構成単位に対する前記式(a)で表される単
    量体に由来する単量体単位の割合が20質量%以上90質量%以下である、請求項1~5
    のいずれか一項に記載の重合体。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の重合体を含む接着性組成物。
  8. 請求項7に記載の接着性組成物を含む層と、前記層に接する少なくとも一つの金属層を
    含む、積層体。
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