JPH0726230A - 粘着剤組成物 - Google Patents

粘着剤組成物

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JPH0726230A
JPH0726230A JP16897893A JP16897893A JPH0726230A JP H0726230 A JPH0726230 A JP H0726230A JP 16897893 A JP16897893 A JP 16897893A JP 16897893 A JP16897893 A JP 16897893A JP H0726230 A JPH0726230 A JP H0726230A
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茂明 平野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被着材特にポリカーボネート、アクリル樹脂
板に有用な架橋型粘着剤組成物を提供することを目的と
する。 【構成】 分子中に二重結合を有するペルオキシ化合物
1〜10重量%と、アルコキシアクリレート及び/また
はアルコキシメタアクリレート99〜90重量%を含む
共重合物からなり、被着材特にポリカーボネート、アク
リル樹脂板に有用な架橋型の粘着剤組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粘接着組成物に関するも
のであり、詳細には特定のアクリル単量体と分子中にペ
ルオキシ基と共重合性二重結合を有する単量体を必須成
分とし熱による架橋及び活性エネルギー線で架橋可能な
新規な粘着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】粘着剤の3大要素をバランスさせるため
に次の手段が従来より公知となっている。
【0003】水酸基、カルボキシル基等の官能基を共重
合体(主成分アクリル樹脂系)の側鎖にペンダントさせ
た重合体を官能基と反応しうる反応基を有する架橋剤を
加え熱反応させる架橋剤としては、ポリイソシアネー
ト、メラミン樹脂、有機金属化合物等がある。
【0004】次に、カルボキシル基、水酸基等の官能基
を有する共重合体とN−メチロール基を含む共重合体と
をブレンドして架橋反応させる。共重合体中に有機過酸
化物構造を有する単量体を共重合させておき、あとから
架橋させる。アルコオキシ(メタ)アクリレートの重合
体に光開始剤を加え紫外線により架橋させる。
【0005】上記の公知のアクリル樹脂系組成物より得
られる粘着剤は架橋度、共重合成分のTgの選択により
実用上有益な組成物として各種の形態、例えば、片面粘
着加工、両面粘着加工され表面保護用化粧シート、マス
キング用、電気絶縁用、銘板固定用、物品の固定、表面
保護用等に多用されている。
【0006】従来より、適切なる粘着剤を構成するため
に粘着力、凝集力、粘着性(タック)のバランスが重要
要素となっている。更に、粘着剤の上述の要素の安定
性、貼着後の耐久性、耐候性が必要である。上記の要求
を満足する素材としてアクリル樹脂組成からなる粘着剤
が有用である。従来より公知例として知られているアク
リル系粘着剤組成物は、次のようなものがある。
【0007】アクリル、樹脂系粘着ポリマーに有機過酸
化物を加え、加熱架橋させ凝集力を改良し粘着力、粘着
性(タック)をバランスさせた粘着剤組成物である。
【0008】アクリル樹脂系粘着ポリマー中に反応性官
能基(例えばカルボキシル基、水酸基等)を有する単量
体を共重合させたポリマーを形成させ、ポリマー中のカ
ルボキシル基、水酸基と架橋反応しうる架橋剤例えば、
多官能ポリイソシアネート、メラミン樹脂、メチロール
基含有ポリマー等で架橋反応させ凝集力、粘着力、粘着
性(タック)をバランスさせた粘着剤組成物である。
【0009】アクリル樹脂系粘着剤ポリマー中にカルボ
キシル基を有する単量体を共重合させた粘着剤ポリマー
を有機金属化合物例えばアルミニウムアルコオキシド、
チタニウムアルコオキシド等)で架橋構造を形成させ凝
集力、粘着力、粘着性(タック)をバランスさせた粘着
剤組成物である。
【0010】活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(特
開昭60−179484)として一般式 式中、R1 はH又はCH32 は炭素数1〜4のアルキレン基 R3 は炭素数1〜4のアルキル基 nは1〜4の整数 の単独重合体又は共重合体に電子線照射により架橋又は
光開始剤を加え紫外線照射により架橋させ粘着力、凝集
力、粘着性(タック)をバランスさせた接着剤組成物で
ある。
【0011】アクリル樹脂系共重合体粘着ポリマー中に
有機過酸化物構造(ペルオキシ基)とエチレン性不飽和
結合を含有させた自己架橋型粘着剤組成物(特開昭62
−100569)である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
粘着剤組成物は使用用途により有用な機能を達成する
が、プラスチック樹脂板特にポリカーボネート樹脂板、
ポリカーボネート樹脂板とアクリル樹脂板の複合樹脂板
等に貼着した場合、ポリカーボネート樹脂板より発生す
る揮発性成分が影響し貼着体のポリカーボネート樹脂板
の界面と粘着剤層の界面でふくれ、バブル等が発生す
る。この現象は貼着体を加熱促進させることによりふく
れ、バブル等の欠点が著しく促進される。上述の組成物
は前述の欠点を有し実用に供し得ない。
【0013】上述の公知の組成物の架橋反応は(1)熱
による反応、(2)紫外線照射による反応(3)熱又は
紫外線照射による架橋反応に分類される。
【0014】上述の組成物より得られる粘着剤はポリエ
ステルフィルム、塩ビフィルム、アセテートフィルム、
不織布、金属箔等に塗布し上述の用途に使用されてい
る。しかしながら、特定の被着剤ポリカーボネート樹脂
板、ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂の積層板に貼
着し、熱雰囲気中に放置した時、樹脂板から発生する揮
発性成分(H2 O)のため樹脂板と粘着剤面の界面で多
数の気泡が発生する。そのため貼着面の透明性、外観が
著しくそこなわれるため使用不可能である。本発明の新
規なる粘着組成物は上述の問題点を解決し、しかも粘着
剤として重要なる要素即ち、凝集力、粘着力、タックの
バランスのとれた粘接着性組成物を提供するものであ
る。更に、本発明品は従来の架橋型粘着剤の架橋剤の使
用は不用である。もし、使用する場合、架橋剤の使用量
は従来の架橋型粘着剤より更に少ない量で良い。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前述の問題
点で被着材樹脂板から発生する揮発性成分(H2 O)に
原因する貼着面での気泡の発生を防ぐため長期にわたり
鋭意研究せる結果、二重結合を有するペルオキシ化合物
とアルコオキシ(アルキル)(メタ)アクリレートの単
量体の共重合成分を使用することが有用であることを見
出した。即ち、この共重合成分を加熱等の操作でペルオ
キシ基を分解させた粘接着組成物が上述の問題点を解決
するための有益な構成であることが判明した。この理由
は明らかでないが共重合体中にペンダントされたペルオ
キシ基の分解により発生する高分子ラジカルとアルコオ
キシラジカルと共重合体中の側鎖のアルコオキシ基(ア
ルコオキシアルキルアクリレート又はアルコオキシアル
キルメタクリレート)との作用が関与した反応物が上述
の問題解決の有用な組成物となっているものと推定され
る。本発明品はペルオキシ基が共重合体中にペンダント
されているため、通常の有機過酸化物と同様に紫外線領
域の波長を吸収して分解し紫外線及び電子線硬化も可能
である。
【0016】本発明品は、以上の知見に基づいて完成さ
れたものであって 一般式 式中、R1 は水素又は炭素数1〜5のアルキル基 R2 ,R3 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又は水
素 R4 は水素又は炭素数1〜12アルキル基、又は炭素数
5〜7のシクロアルキル基 mは0〜4の整数である。で示される二重結合を有する
ペルオキシ化合物0.2〜20重量部と
【0017】一般式 式中、R5 は水素又はメチル基 R6 は炭素数1〜3のアルキレン基(Cn2n) R7 は炭素数1〜4のアルキル基(Cn2n+1) mは1〜2の整数 で示される二重結合を有するアルコオキシ(アルキル)
(メタ)アクリレート99.8〜80重量部の組成から
なるAとBとの共重合体から成る組成物。
【0018】一般式 式中、R8 は水素又はメチル基(CH3 ) R9 はアルキル基(Cn2n+1)炭素数が1〜24 一般式〔C〕で表示される単量体を単量体A+B+C=
100重量部中にAが1.0〜10重量%、Bが30〜
90重量%中に69重量%以下で共重合した組成物。
【0019】改質用単量体〔D〕として、A,B,Cの
一般式で示される二重結合を有する反応性単量体と共重
合可能なものを使用することが出来る。 共重合体A+B+D 100重量部中に〔A〕が1.0
〜10重量(%)、〔B〕が30〜90重量(%)含む
組成に改質用単量体を69重量(%)以下で共重合した
組成物。 共重合体A+B+C+D 100重量部中〔A〕が1.
0〜10重量(%)、〔B〕が30〜90重量(%)、
〔C〕+〔D〕 69重量(%)以下で共重合した組成
物。
【0020】前記粘接着組成物の一般式〔A〕のペルオ
キシ基含有の二重結合を有する単量体として、t−ブチ
ルペルオキシビニルカーボネート,t−ヘキシルペルオ
キシビニルカーボネート,t−ブチルイソプロペニルカ
ーボネート,1,1,3,3テトラメチルプロピルペル
オキシアリルカーボネート,t−ブチルペルオキシメタ
アリルカーボネート,t−ブチルペルオキシ(3−ブチ
ニル)カーボネート,t−ブチルペルオキシアリルカー
ボネート等がある。これらのペルオキシ基含有不飽和単
量体は一般式〔B〕,〔C〕及び改質用単量体と共重合
することによりペルオキシ基をペンダントした共重合体
を得ることが出来る。ペルオキシ基は熱又は光により分
解し架橋構造が付与される。
【0021】次に粘接着組成物の一般式〔B〕のアルコ
オキシアルキル(メタ)アクリレートは上記の一般式
〔A〕のペルオキシ基含有の不飽和単量体と共重合し重
合体を形成する。アルコオキシアルキル(メタ)アクリ
レートのガラス転移点が低い場合、例えばメトキシエチ
ルアクリレート、プロポキシエチルアクリレート、ブト
キシエチルアクリレートの場合にはペルオキシ基含有不
飽和単量体との共重合体は常態で粘着性の共重合体を得
ることが出来る。この共重合体は側鎖にペルオキシ基を
ペンダントしているので熱によりペルオキシ基が分解し
本発明品の新規なる架橋構造の粘着剤、即ち、ポリカー
ボネート樹脂とアクリル樹脂の積層品に貼着し、熱雰囲
気中に放置しても、樹脂板より揮散する揮発成分(H2
O)の影響がなく、貼着面にバブルの発生がない組成物
となる。
【0022】また、上述の共重合体は紫外域の波長エネ
ルギーを吸収し、熱と同様、架橋構造を形成し、凝集
力、粘着力、タックがバランスされた粘着剤をうること
が出来る。
【0023】一般式〔B〕の単量体として、メトキシメ
チル(メタ)アクリレート,エトキシメチル(メタ)ア
クリレート,プロポキシメチル(メタ)アクリレート,
ブトキシメチル(メタ)アクリレート,メトキシエチル
(メタ)アクリレート,エトキシエチル(メタ)アクリ
レート,プロポオキシエチル(メタ)アクリレート,メ
トキシプロピル(メタ)アクリレート,エトキシプロピ
ル(メタ)アクリレート,プロポキシプロピル(メタ)
アクリレート,ブトキシプロピル(メタ)アクリレー
ト,2−メトキシ−1−メチル−プロピル(メタ)アク
リレート,2−プロポキシ1−メチルプロピル(メタ)
アクリレート,2−ブトキシ−1−メチルプロピル(メ
タ)アクリレートが用いられる。一般式〔B〕の においてnが2の不飽和単量体として、例えばエトキシ
エトキシ(メタ)アクリレート,メトキシプロピレング
リコールモノ(メタ)アクリレート,メトキシジエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート,メトキシトリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等があ
る。本発明品においてnが1〜3のものを使用する。
【0024】本発明の粘接着組成物の一般式〔C〕の
(メタ)アクリル酸エステルは前述の本発明品の必須成
分である一般式〔A〕,〔B〕で表される。不飽和結合
を有する単量体群と共重合が可能である。(メタ)アク
リル酸エステル類として 8 は水素又はメチル基、R9 は炭素数1〜24の直鎖
又は分岐アルキル基を表わす。これらのエステル類とし
て、(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エ
チル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル
酸n−ブチル,(メタ)アクリル酸イソブチル,(メ
タ)アクリル酸ターシャリブチル,(メタ)アクリル酸
2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸n−オクチ
ル,(メタ)アクリル酸イソノニル,(メタ)アクリル
酸ラウリル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)
アクリル酸シクロヘキシル等がある。
【0025】 官能基を有する反応性単量体として(メタ)アクリル
酸,イタコン酸,クロトン酸,無水マレイン酸,(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル,(メタ)アクリ
ル酸プロピル,グリシジル(メタ)アクリレート,(メ
タ)アクリルアミド,Nメチロール及びその誘導体、ジ
メチルアミノ(メタ)アクリレート等を用いることが出
来る。一般式〔C〕に属するエステル群は共重合体のT
a(ガラス転移点)の調整することにより共重合体を用
途により粘着力、タック等を調節することが可能であ
る。
【0026】次に、改質用単量体は上記の一般式
〔A〕,〔B〕,〔C〕と共重合が可能であることが好
ましい。改質用単量体は一般式〔A〕,〔B〕,〔C〕
と共重合し、重合体のTg(ガラス転移点)を調節する
ことにより粘着力,タック,凝集力の改質及び反応基を
有する単量体を使用すれば架橋構造を共重合体中に形成
することが出来る。
【0027】〔D〕の群の単量体 改質用単量体の例として酢酸ビニル,プロピオン酸ビニ
ル,(メタ)アクリロニトリル,スチレン及びその変性
体,アリールグリシジルエーテル及びアリールグリシジ
ルメタクリレート,ビニルピロリドン,シクロヘキシル
(メタ)アクリレート,テトラヒドロフルフリル(メ
タ)アクリレート,イソボルニル(メタ)アクリレー
ト,ベンジル(メタ)アクリレート,モノ(2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルアシッド)ホスフェート
等を用いることが出来る。
【0028】次に、本発明品の共重合体を形成するため
の重合用触媒としては重合体を調整中に一般式〔A〕の
ペルオキシ基を分解させないような触媒、即ち、低い温
度で触媒が分解し、一般式〔A〕,〔B〕,〔C〕,
〔D〕の不飽和単量体の二重結合とすみやかに反応する
ようなものが好ましい。
【0029】このような触媒の例として、アゾ系開始材
として 2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4,ジメチル
バレロニトリル) 2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニト
リル) 2,2′−アゾビス(2,4−メチルバレロニトリル) 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 4,4′−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド) を使用する。
【0030】又、有機過酸化物触媒としてイソーブチリ
ルパーオキサイド,クミルパーオキシネオデカノエイ
ト,ジイソプロピルパーオキシジカーボネート,ジ−n
−プロピルパーオキシジカーボネート,クミルパーオキ
シネオヘキサノネート,ジ(2−エトキシエチル)パー
オキシジカーボネート,ジ(メトキシイソプロピル)バ
ーオキシジカーボネート,ジ(2−エチルヘキシル)パ
ーオキシジカーボネート,t−ブチルパーオキシネオデ
カノエイト,t−ヘキシルパーオキシネオヘキサエイ
ト,t−ブチリルパーオキシネオヘキサノエイト,t−
ブチルパーオキシピバレート,ラウロイルパーオキシ
ド,クミルパーオキシオクテート,ベンゾイルパーオキ
シド等を使用する。
【0031】次に本発明の組成物の一般式の化合物の限
定及びその作用効果について言及する。
【0032】一般式〔A〕の単量体が1.0重量部より
少ない場合、共重合体の架橋度が少ないため充分な凝集
力をうること出来ない。反対に、〔A〕が20重量部よ
り多い場合、共重合体分子の架橋点の数が多くなり過ぎ
そのため粘着力、タック等が著しく低下し、実用に供し
得ない組成物となる。
【0033】一般式〔B〕で表される単量体が30重量
(%)より少ない場合、〔A〕の単量体のペルオキシ基
の分解作用との相互作用効果が低下しポリカーボネート
樹脂板より発生する揮発成分に対し抑制作用低下する。
また、紫外線硬化に対し不十分である。
【0034】本発明品は共重合体組成物中に一般式
〔A〕の単量体が0.2〜20重量(%)好ましくは
1.0〜10重量(%)、一般式〔B〕の単量体が10
重量(%)以上好ましくは30重量(%)の単量体組成
物に、一般式〔C〕及び改質用単量体を任意の割合で総
計〔A〕+〔B〕+〔C〕+〔D〕又は〔A〕+〔B〕
+〔D〕の総計が100重量部からなる共重合体組成物
が本発明品の効果が達成される組成物となる。
【0035】
【作用】本発明の粘着剤組成物によれば、分子中に二重
結合を有するペルオキシ化合物1〜10重量%と、アル
コキシアクリレート及び/またはアルコキシメタアクリ
レート99〜90重量%を含む共重合物とすることによ
り、被着材特にポリカーボネート、アクリル樹脂板に有
用な架橋型粘着剤組成物を提供することができる。
【0036】
【実施例】本発明の粘着材組成物の実施例を以下に示
す。
【0037】実施例1 共重合体の調整 冷却器,温度計,N2 (窒素)ガス導入管を取り付けた
容積1lの三つ口フラスコにメトキシエチルアクリレー
ト(MOEA)42.8g,ペロマーAC6.0g(7
0%有効成分),アクリル酸(A,A)8.0g,酢酸
ビニル(VAc)12.3g,n−ブチルアクリレート
(n−BA)32.7g,重合溶媒として酢酸エチル1
81.0g,重合触媒として2,2′アソビス(2,4
−ジメチルバレロニトリル)0.08gを仕込む。フラ
スコ内をN2 ガスで置換しながら反応系内の温度を60
℃に保持し、重合反応を8時間行う。酢酸エチル50g
加え反応を終了した。
【0038】比較例1 共重合体の調整 重合操作は実施例1と同様にして行う。三つ口フラスコ
にメトキシエチルアクリレート(MOEA)42.8
g,アクリル酸(A,A)8.0g,酢酸ビニル(VA
C )12.3g,n−ブチルアクリレート(n−BA)
36.4g,2−ヒドロキシエチルメタクリレート(H
EMA)0.5g,重合溶媒として酢酸エチル181
g,重合触媒として2,2′アゾビスイソブチロニトリ
ル0.08gを仕込む。重合反応を8時間行う。酢酸エ
チル52gを加えた反応を終了した。
【0039】表1に実施例1と比較例1のポリマーの性
状を示す。実施例1と比較例1の共重合体成分の差はペ
ロマーACの含有の有無及び2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートの含有の有無である。比較例1で共重合体中
に2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含有せしめた
のは共重合体は熱可塑性であるため架橋構造を導入し凝
集力の付与のため導入した。
【0040】
【表1】
【0041】比較例1の共重合体は従来技術の凝集力が
必要な共重合組成と同じである。比較例1の共重合体は
熱可塑性であるため凝集力が低く比較的高い温度では流
動するため実用に供し難い。
【0042】凝集力を簡便に評価する方法としてJIS
Z0273及びJISZ1528に保持力なる評価項目
がある。この方法はステンレス板上に試料粘着テープを
貼着し25mm×25mmの接合部を形成させる。試料
テープが両面テープの場合には25μ厚さのポリエステ
ルテープで裏打する。前述の試験片を40℃雰囲気中で
下端に1kgの荷重を掛け1時間後のズレを調べる。本
発明では粘着材の凝集力の差を明確にするため測定温度
を100℃の温度雰囲気で評価しいる。この方法による
と比較例1の共重合体の保持力は10秒以内/100℃
で凝集破壊する。
【0043】次に、比較例1の共重合体を公知の架橋法
で架橋させた場合及び本発明の実施例1の共重合体の性
能を以下に示す。粘着剤の性能を評価するための方法は
下記の如く試料テープを作成し、評価項目は以下に明記
した。
【0044】試料粘着テープの作成 #25のポリエステルフィルムに貼着剤を塗布する(乾
燥厚35±3μ)。155℃に調節したエア・サーキュ
レーションオーブンで7分間乾燥及び反応を行い、評価
用試料テープを作成する。
【0045】評価項目 粘着力:JIS Z0237−8.3‥‥180度引き
はがし法 タック(球転法): 〃 12‥‥傾斜板の角度
30度 保持力: 〃 11‥‥雰囲気温度1
00℃ 粘着剤厚さ: 〃 5.2‥‥測定器マイク
ロメーター プラスチック樹脂板:品名N6ULO5 三菱ガス化学
社、厚さ3mmt ポリカーボネート樹脂とアクリル樹脂の
積層板 N6ULO5の性状:外観 透明 弾性率.′E 1.6×1010 dyne/cm2 損失弾性率.″E 7.0×108 dyne/cm2 Tg 60℃ 周波数 35Hz 水分 0.655μg/mm2
【0046】樹脂板を5cm×10cmの寸法に切断
し、ポリカーボネート面をエチルアルコール,アクリル
面をメチルアルコールでふき、その後で乾いたガーゼで
ふき取り粘着テープの貼着面を調整する。試料テープを
シワ,エアー等が入らない様にローラーで圧着し、樹脂
板上に貼着し、樹脂板上に5cm×10cmの貼着面を
形成する。室温で3時間放置後、80℃×72時間乾燥
炉中に放置する。その後、とり出し外観を調べる。
【0047】判定基準 外 観 貼着面のバブル ××× 80%以上バブル ×× 50%以上〜80%バブル × 10%以上〜50%バブル △ 0.5以上〜10%バブル ○ バブルなく良好 貼着面積を100%として、80℃×72時間後のバブ
ルの発生面積の累積(%)で外観を判定した。
【0048】本発明の具体例について以下に示す。比較
例1の共重合体の凝集力改良のための配合−公知の方法
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】表3に示す如く、本発明の粘着組成物、比
較例の粘着組成物も標準の被着体(ステンレス板)に対
し、粘着力、保持力、タック等の粘着剤の3要素を比較
した場合有意な差はない(但し、比較例1−2は粘着力
が低い)。しかし、プラスチック面に貼着し、80℃温
度雰囲気中に放置した場合、プラスチック面と粘着面の
界面でバブル発生が比較例(公知の粘着剤組成物)では
著しい。本発明の実施例1の組成物はバブルの発生がな
く極めてすぐれた粘着剤組成物となっている。本発明の
粘着組成物と従来よりの公知の架橋方法との差は実施例
1の組成物は加熱により共重合体鎖中にペンダントして
いるペルオキシセグメントが分解し高分子ラジカル及び
t−ブチルオキシラジカル、共重合体中のメトキシ基及
び空気中の酸素との作用が適度に作用した架橋構造が形
成され樹脂板より発生する水分を粘着剤中に拡散作用を
するものと推定される。
【0052】実施例2 実施例2及び比較例2の共重合体の調整は実施例1及び
比較例1と同じ操作及び条件で行った。共重合体の組成
およひ共重合体の性状を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】比較例2の共重合体は熱可塑性で活性水素
と反応する架橋剤例えばポリイソシアネートと容易に反
応し凝集力を改良することが出来る。このような共重合
体は従来から知られている組成である。実施例2の組成
は実施例1の共重合体組成物よりメトキシエチルアクリ
レートの共重合量を低下させた自己硬化型の共重合体組
成物である。
【0055】次に、公知の配合に従って比較例2の改質
を表5に示す配合で行った。
【0056】
【表5】
【0057】表6に実施例2,比較例2−1,2−2の
性能を示す。
【0058】
【表6】
【0059】実施例3 実施例3及び比較例3及び3′の共重合体の調整は実施
例1及び比較例1と同じ操作及び条件で行った。共重合
体の組成およひ共重体の性状を表7に示す。
【0060】
【表7】
【0061】比較例3の共重合体は自己硬化型の粘着性
を有する共重合体で加熱により共重合体を架橋しうるも
ので実質的に架橋剤の添加が不用である。このような組
成物は粘着剤として有用なものである。このような組成
物は特開昭62−100569で公開されている。本発
明は特開昭62−100569を更に改良し新規性を具
備したものである。
【0062】表8に比較例3′の重合体を公知の架橋手
段で共重合体中に架橋構造を導入し凝集力を改良した例
の配合を示す。表9に実施例3,比較例3′−1,比較
例3の性能を示す。
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】実施例4,5 実施例4はアルコオキシ基を有する反応性単量体と共重
合可能な有機過酸化物構造を有する単量体の共重合量を
変化させた場合の例を示す。実施例4の共重合体の組成
を表10に示す。又、重合条件、操作等は実施例1と同
じ条件で行った。
【0066】
【表10】
【0067】表11に実施例4−1,4−2の性能を示
す。
【0068】
【表11】
【0069】実施例6,7,8 実施例6,7,8では共重合体の組成が二重結合を有す
るペルオキシ化合物とアルコオキシアルキル(メタ)ア
クリレートとアクリルエステルの共重合体(実施例6)
とアクリレートの代わりに酢酸ビニルを使用した場合の
共重合体(実施例7)、アクリル酸を使用した場合(実
施例8)の例を示す。表12に共重合の組成を示す。
又、重合条件、操作等は実施例1と同じ条件で行った。
【0070】
【表12】
【0071】実施例6,7,8の性能を表13に示す。
【0072】
【表13】
【0073】以上の実施例より、本発明は粘着剤の重要
特性即ち、粘着力、凝集力、タックの特性だけで従来の
架橋法だけで解決出来なかった被着材、特にポリカーボ
ネートに対し良好な結果をうることが出来た。
【0074】次に、実施例の共重合体の紫外線による架
橋例について説明する。実施例の共重合体を厚さ25ミ
クロンのポリエステルフィルムに塗布する。乾燥炉で1
00℃×10分間乾燥して揮発分を除去し、ポリエステ
ル上に35±3ミクロンの粘着剤層を形成する。実施例
の共重合体は自己架橋型であるが上記の乾燥温度ではペ
ルオキシ基が分解して架橋反応が起こらない。97℃1
0時間半減期、紫外線に対し、本発明の共重合体が活性
で空気中で照射しても架橋反応が進行し凝集力が改善さ
れ紫外線反応が進行し凝集力が改善され紫外線反応型の
組成物として有効であることは表14に示す通りであ
る。
【0075】
【表14】 UV照射条件 ランプ光源:メタルハライドランプ UVL4000M
−3−N ウシオ電機 高 さ :15cm スピード:1m/min 電 力 :160W/cm 紫外線波長:200〜400nm 照射エネルギー:2.1J/cm2
【0076】表14の結果から、本発明は空気中の酸素
の存在下でも粘着力、凝集力、タックのバランスがとれ
たすぐれた粘着剤となりうることを示す。更に、本発明
は共重合体自体が活性エネルギー線で硬化しうるため反
応速度を促進させる目的で通常の共重体では考えられな
い程の微量の光開始剤を加えることにより硬化を促進出
来るものである。
【0077】以上の結果より、本発明の粘着剤組成物は
加熱架橋で従来の公知の技術では到底達成することが不
可能であったプラスチック材料特にポリカーボネート、
アクリル樹脂面に対し極めてすぐれた適合性を有し、か
つこの組成物は従来の配合系での必須成分である光開始
剤が存在しなくとも紫外線により架橋構造を形成するこ
とが可能な光活性機能を付与した新規な組成物を完成し
た。
【0078】なお、本発明は上述の実施例に限らず本発
明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得
ることはもちろんである。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
エチレン性二重結合がアリール基の場合、非共役単量体
との共重性が良いが、メトオキシエチルアクリレート,
エトオキシエチルアクリレート,プロポオキシエチルア
クリレート,ブトオキシエチルアクリレート等の単量体
との共重合性が良くアクリルポリマー共重体のみで自己
硬化型粘着剤を得ることが出来た。
【0080】また、本発明の自己硬化型粘着剤組成物は
従来の粘着剤組成物の応用可能な分野ばかりでなく適用
可能な被着材が多い特にプラスチック樹脂面の中でポリ
カーボネート樹脂面,アクリル樹脂面に貼着した場合、
特に有用である。
【0081】また、粘着剤の3要素の凝集力を保持しな
がら粘着力,粘着性(タック)の2つの要素の調整が可
能である。
【0082】また、光開始剤を用いなくとも紫外線硬化
が可能である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に二重結合を有するペルオキシ化
    合物1〜10重量%と、アルコキシアクリレート及び/
    またはアルコキシメタアクリレート99〜90重量%と
    を含む共重合物からなることを特徴とする粘着剤組成
    物。
  2. 【請求項2】 分子中に二重結合を有するペルオキシ化
    合物1〜10重量%と、アルコキシアクリレート及び/
    またはアルコキシメタアクリレート30〜90重量%
    と、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体10〜7
    0重量%とを含む共重合物からなることを特徴とする粘
    着剤組成物。
  3. 【請求項3】 該エチレン性不飽和二重結合を有する単
    量体のうち5〜20重量%が官能基を有する単量体に置
    換されたことを特徴とする請求項2記載の粘着剤組成
    物。
  4. 【請求項4】 該アルコキシアクリレート及び/または
    アルコキシメタアクリレートのアルコキシ基がメトキシ
    基またはブトキシ基であることを特徴とする請求項1、
    請求項2、または請求項3記載の粘着剤組成物。
  5. 【請求項5】 ペルオキシ化合物がt−ブチルアリルパ
    ーオキシカルボネートであることを特徴とする請求項
    1、請求項2、請求項3、または請求項4記載の粘着剤
    組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007309539A (ja) * 2006-05-16 2007-11-29 Mitsubishi Electric Corp 全熱交換器
US7736058B2 (en) 2004-05-21 2010-06-15 Idemitsu Unitech Co., Ltd. Chuck tape and packaging bag with chuck tape
JP2014212833A (ja) * 2013-04-23 2014-11-17 株式会社たからセルロイド 遊技板
JP2019173186A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 日油株式会社 炭素繊維用サイジング剤、該サイジング剤が結合した炭素繊維およびその製造方法、該炭素繊維を含む炭素繊維強化プラスチック

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