JP2022118659A - 熱延鋼帯の製造方法及び製造装置 - Google Patents

熱延鋼帯の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】仕上圧延後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなる鋼材の巻取温度の目標巻取温度の達成と当該鋼材の巻取機での適切な巻付きの両立を可能とした熱延鋼帯の製造方法及び製造装置を提供する。【解決手段】熱延鋼帯の製造装置1は、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を80mpm未満の減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後に、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に巻取り開始されるまでの間に、鋼材Sの搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させるよう制御する冷却制御部14を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、熱延鋼帯の製造方法及び製造装置、特に、仕上圧延後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなる鋼材の巻取温度の目標巻取温度の達成と当該鋼材の巻取機での適切な巻付きの両立を可能とした熱延鋼帯の製造方法及び製造装置に関する。
一般に、熱延鋼帯は、加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で所定の板厚に粗圧延してシートバーとし、その後、複数基のスタンドからなる仕上圧延機で所定の板厚に仕上圧延する。仕上圧延されたシートバーは、所定の板厚の熱延鋼帯となり、仕上圧延機の下流側に設置されたランナウトテーブル(冷却設備)で冷却される。その後、熱延鋼帯は、巻取機によりコイル状に巻き取られて製造される。熱延鋼帯を製造する加熱炉、粗圧延機、仕上圧延機、ランナウトテーブル、及び巻取機の一連の設備を熱間圧延ラインという。
ここで、ランナウトテーブルは、通過する熱延鋼帯に対して、上下に設置された多数のノズルから水を噴出することで熱延鋼帯を冷却する設備である。
熱延鋼帯は、用途により製造条件が異なる。特に、CTと呼ばれる巻き取り時の温度は、熱延鋼帯の特性に大きく影響を与えるため、製造条件を決める指標として重要となる。ランナウトテーブルでの冷却により、仕上圧延後の熱延鋼帯のCT(巻取温度)を、目標CT(目標巻取温度)まで冷却水をかけることで冷却する。
ランナウトテーブルでは冷却水を噴射する区間を分けられるようになっている。各区間をバンクと呼ぶ。冷却水を噴射するバンク数を増減させることで、熱延鋼帯に冷却水がかかる時間を調整しCTを制御する。使用するバンク数が多いほど、通過に要する時間が長くなり、冷却による温度降下量が大きくなる。
ランナウトテーブルで熱延鋼帯を冷却するときの温度降下量は、ランナウトテーブルの長さの制約を受ける。すべてのバンクで冷却水を噴射しているときが、温度降下量が最大となるときである。
また、熱延鋼帯をランナウトテーブルで冷却する時間は、熱延鋼帯の搬送速度の影響も受ける。熱延鋼帯の搬送速度が遅いほど冷却時間が長くなるため、CTを低くすることができる。
さらに、冷却能力は熱延鋼帯の板厚の影響も受ける。板が厚いほど冷えにくく、板が薄いほど冷えやすい。
熱間圧延ラインでは、一般的には19mmから30mm程度の板厚を有する厚物とよばれる熱延鋼帯を製造することがある。厚物は、板厚が大きいため目標CTを達成しにくい。そして、厚物の熱延鋼帯を製造するに際しては、仕上圧延後の板厚が一般的に19mm以上となり、熱延鋼帯によっては仕上圧延後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなることがある。
ランナウトテーブルを通過した熱延鋼帯は、次に巻取機で巻き取られてコイル状になる。巻取時には、まず熱延鋼帯の先端部がピンチロールによって曲げられる。その後、マンドレルによって巻取られる。
熱延鋼帯は、巻取機で巻取りを開始するときに、巻取機への進入速度が遅い場合には、うまく巻取れない。巻取りの開始時には、先端部を塑性変形させて、マンドレルと呼ばれる巻取機の中心軸に巻き付かせる。材料の持つ運動エネルギーを利用して先端部の塑性変形させているため、巻取時の最初の速度が重要となる。速度が大きいほど運動エネルギーが大きくなるため、巻付性が上がる。
巻取り開始時の適正な速度は、熱延鋼帯の幅や厚みで異なり、厚物に対しては150mpm以上の速度で巻取機に侵入させて巻取りを開始する。
しかし、巻付性を優先し、ランナウトテーブルにおいて熱延鋼帯の搬送速度を上げた場合、ランナウトテーブルを通過する時間が短くなるので、目標CT(目標巻取温度)の達成が難しくなる。一方で、目標CTを達成するために搬送速度を遅くするすると、巻付性が問題となることがある。とくに、厚物においては、巻付に必要な運動エネルギーが大きい上に、冷却しにくいため、目標CTの達成と適切な巻付きの両立が困難となる。
そのため、熱延鋼帯の製造するために、目標CTを達成しつつ、適切な巻付きを実現するために、様々な開発がなされてきた。
従来のこの種の熱延鋼帯の冷却装置として、例えば、特許文献1に示すものが知られている。
特許文献1に示す熱延鋼帯の冷却装置は、複数の回転するローラテーブル上を鋼帯が搬送されるランナウト(冷却設備)で鋼帯の上下面に冷却水を噴射するノズルを設置し、鋼帯を冷却する冷却装置を最終仕上圧延機の後方直近に配置している。そして、圧延機から冷却装置まではガイドで挟まれた狭い隙間に鋼帯を搬送させるようにしている。
特許文献1に示す熱延鋼帯の冷却装置によれば、圧延直後の鋼帯を圧延機直近で上下に対称に急速冷却が可能となり、オンラインの冷却によって結晶粒の微細な熱延鋼帯を安定して製造することができる。
また、従来の熱延鋼帯の冷却装置として、例えば、特許文献2に示すものも知られている。
特許文献2に示す熱延鋼帯の冷却装置は、鋼帯が搬送されるランナウト上で、搬送ロール間に下面冷却ボックスを設置し、この下面冷却ボックスと相対する位置にライン上から昇降可能な上面冷却ボックスを設置している。そして、鋼帯に対し上下対称に冷却水を噴射し、これら上下部からくる冷却水流が合流するほぼ中心部に鋼帯を通過させ、少なくとも出側には搬送ロールと周速度が同一の水切りロールを昇降自在に設置し、鋼帯先端が冷却装置を通過するのと同時に水切りロールを回転させながら下降させ、同時に上面冷却ボックスも下降させて鋼帯の冷却を行う。
この特許文献2に示す熱延鋼帯の冷却装置によれば、上下対称に急速な冷却が可能となり、オンラインの冷却によって結晶粒の微細な熱延鋼帯を安定して製造することができる。
特開2001-246410号公報 特開2002-316205号公報
ところで、前述したように、熱間圧延ラインでは、一般的に19mmから30mm程度の板厚を有する厚物とよばれる熱延鋼帯を製造することがある。そして、厚物の熱延鋼帯を製造するに際しては、仕上圧延後の板厚が一般的に19mm以上となり、熱延鋼帯によっては仕上圧延後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなることがある。
しかしながら、特許文献1に示す熱延鋼帯の冷却装置及び特許文献2に示す熱延鋼帯の冷却装置のいずれにあっても、仕上圧延後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなる熱延鋼帯の冷却及び製造については、一切言及していない。
このため、特許文献1及び特許文献2に示す熱延鋼帯の冷却装置では、仕上圧延後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなる鋼材のCTの目標CTの達成と当該鋼材の巻取機での適切な巻付きの両立を図ることができない場合がある。
つまり、当該鋼材の仕上圧延速度は一般的に最低速度が80mpm、最高速度が400mpm程度であるが、その仕上圧延速度でランナウトテーブルにおいてその鋼材が通過すると、当該鋼材のランナウトテーブルを通過する時間が短くなる。その際に、厚物の場合には、冷却時間が短いことから、鋼材のCTが目標CTに達成しない場合がある。鋼材の冷却制御において冷却水の噴射量を増加(すべてのバンクから冷却水を噴射し、各バンクでの冷却水量を増加)すれば目標CTを確保できることがあるが、冷却設備の関係で冷却水の噴射量を増加することにも限界があり、目標の冷却水噴射量を得られないことがあるからである。
一方、当該鋼材の搬送速度を仕上圧延速度よりも遅くしてその搬送速度でランナウトテーブルにおいてその鋼材が通過すると、前述したように、目標CTを達成することは可能となるが、巻取機での巻付性が問題となる。
従って、本発明はこの従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、仕上圧延後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなる鋼材の巻取温度の目標巻取温度の達成と当該鋼材の巻取機での適切な巻付きの両立を可能とした熱延鋼帯の製造方法及び製造装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る熱延鋼帯の製造方法は、鋼材を仕上圧延機で仕上圧延する仕上圧延工程と、該仕上圧延工程で仕上圧延された鋼材を、前記仕上圧延機の下流側に設けられたランナウトテーブルで冷却する冷却工程と、該冷却工程で冷却された鋼材を巻取機で巻取る巻取工程とを含み、下記(1)式で定義される仕上圧延された後の前記鋼材の長さLsが前記ランナウトテーブルの長さLeよりも短くなる熱延鋼帯の製造方法であって、前記ランナウトテーブルに前記鋼材の先端部が仕上圧延速度で進入を開始した後に、前記鋼材の搬送速度を80mpm未満の減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で前記鋼材を搬送し、その後に、前記鋼材の先端部が前記巻取機に巻取り開始されるまでの間に、前記鋼材の搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させるよう制御することを要旨とする。
Ls=M/(ρTW) ・・・(1)
ここで、Mは鋼材の重量、ρは鋼材の密度、Tは仕上圧延後の鋼材の板厚、Wは仕上圧延後の鋼材の板幅である。なお、ρは例えば7.85ton/mの値が用いられる。
また、本発明の別の態様に係る熱延鋼帯の製造装置は、鋼材を仕上圧延する仕上圧延機と、該仕上圧延機の下流側に設けられ、前記仕上圧延機で仕上圧延された鋼材を冷却するランナウトテーブルと、該ランナウトテーブルで冷却された鋼材を巻取る巻取機とを備え、前述の(1)式で定義される仕上圧延された後の前記鋼材の長さLsが前記ランナウトテーブルの長さLeよりも短くなる熱延鋼帯の製造装置であって、前記ランナウトテーブルに前記鋼材の先端部が仕上圧延速度で進入を開始した後に、前記鋼材の搬送速度を80mpm未満の減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で前記鋼材を搬送し、その後に、前記鋼材の先端部が前記巻取機に巻取り開始されるまでの間に、前記鋼材の搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させるよう制御する冷却制御部を備えていることを要旨とする。
例えば、鋼材の重量Mが32tonの場合、仕上圧延後の鋼材の板幅Wが2000mmでは、仕上圧延後の鋼材の板厚Tが19mm以上のときに、仕上圧延された後の鋼材の長さLsが107.4m以下になるため、ランナウトテーブルの長さLeが140mの場合は、本発明による制御が可能となる。
本発明に係る熱延鋼帯の製造方法及び製造装置によれば、仕上圧延後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなる鋼材の巻取温度の目標巻取温度の達成と当該鋼材の巻取機での適切な巻付きの両立を可能とした熱延鋼帯の製造方法及び製造装置を提供できる。
本発明の一実施形態に係る熱延鋼帯の製造装置である熱間圧延ラインの概略構成図である。 図1に示す熱間圧延ラインにおいて、仕上圧延された後の鋼材の長さがランナウトテーブルの長さよりも短いときの、鋼材と仕上圧延機の最終スタンド、ランナウトテーブル、及び巻取機の配置を示す模式図である。 図1に示す熱間圧延ラインにおいて、仕上圧延された後の鋼材の長さがランナウトテーブルの長さ以上のときの、鋼材と仕上圧延機の最終スタンド、ランナウトテーブル、及び巻取機の配置を示す模式図である。 仕上圧延された後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなる鋼材を仕上圧延速度から減速させ、その後、加速させたときの、鋼材の先端部及び尾端部の搬送速度と仕上圧延機最終スタンド出側からのランナウトテーブル上の位置との関係を示すグラフである。 仕上圧延された後の長さがランナウトテーブルの長さよりも長くなる鋼材の先端部及び尾端部の搬送速度と仕上圧延機最終スタンド出側からのランナウトテーブル上の位置との関係を示すグラフである。 仕上圧延された後の長さがランナウトテーブルの長さよりも短くなる鋼材を仕上圧延速度から減速させずに定速で搬送させた後、加速させたときの、鋼材の先端部及び尾端部の搬送速度と仕上圧延機最終スタンド出側からのランナウトテーブル上の位置との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1には、本発明の一実施形態に係る熱延鋼帯の製造装置である熱間圧延ラインの概略構成が示されている。
図1に示す熱間圧延ライン1は、鋼材Sの搬送方向上流側から下流に向かう順に、鋼材Sを加熱する加熱炉2と、加熱された鋼材Sを粗圧延する複数のスタンドR1~R3を有する粗圧延機3と、粗圧延された鋼材Sを仕上圧延する複数のスタンドF1~F7を有する仕上圧延機4と、仕上圧延された鋼材Sを所定温度まで冷却するランナウトテーブル5と、冷却された鋼材Sをコイルに巻き取る巻取機8とを備えている。仕上圧延された鋼材Sは、所定板厚の熱延鋼帯となり、所定の巻取温度(CT)でコイルに巻き取られて製造される。
つまり、熱延鋼帯は、鋼材Sを加熱炉2で加熱する加熱工程と、加熱された鋼材Sを粗圧延機3で粗圧延する粗圧延工程と、粗あつえされた鋼材Sを仕上圧延機4で仕上圧延する仕上圧延工程と、仕上圧延工程で仕上圧延された鋼材Sを、仕上圧延機4の下流側に設けられたランナウトテーブル5で冷却する冷却工程と、冷却工程で冷却された鋼材Sを巻取機8で巻取る巻取工程とを経て製造される。
ここで、仕上圧延機4の所定スタンドのワークロールの回転軸には、その回転数を計測し鋼材Sの搬送速度である板速度を測定する出側板速度検出器9が設けられている。
また、仕上圧延機4の出側には、仕上圧延出側の鋼材Sの温度である板温度(実績FDT)を測定する出側板温度計10が設置されている。また、仕上圧延機4の出側には、仕上圧延後の鋼材Sの板厚を測定する出側板厚計11が設置されている。更に、仕上圧延機4の出側には、仕上圧延後の鋼材Sの板幅を測定する出側板幅計12が設置されている。
また、ランナウトテーブル5は、図示はしないが、鋼材Sの搬送方向に沿って配設された複数のバンクを備え、各バンクには、通過する鋼材Sに対し冷却水を噴射する複数のノズルが設置されている。後述するように、冷却水を噴射するノズルのあるバンクの数及び鋼材Sの搬送速度を後述する冷却制御部14が制御することで鋼材Sに冷却水がかかる時間及び冷却水量を調整し、鋼材Sの巻取温度(CT)を制御する。ランナウトテーブル5には、鋼材Sを搬送する複数の搬送ロール51が鋼材Sの搬送方向に沿って配設されている。ランナウトテーブル5の長さ、即ちランナウトテーブル5の鋼材Sの搬送方向に沿う長さはLeとなっている。
また、ランナウトテーブル5の出側であって巻取機8の直前には、鋼材Sの巻取温度(CT)を測定する巻取温度計13が設置されている。
また、巻取機8は、搬送されてくる鋼材Sの方向を曲げるピンチロール6と、鋼材Sをコイル状に巻取るマンドレル7とを備えている。
ここで、ランナウトテーブル5には、冷却水を噴射するノズルのあるバンクの数及び鋼材Sの搬送速度を制御する冷却制御部14が接続されている。
冷却制御部14は、鋼材Sの巻取温度計13での巻取温度(CT)が目標巻取温度(目標CT)となるように、出側板温度計10からの仕上圧延出側の鋼材Sの温度である板温度(実績FDT)に基づいて、ランナウトテーブル5での冷却水を噴射するノズルのあるバンクの数及び鋼材Sの搬送速度を制御する。
ここで、冷却制御部14は、鋼材Sの搬送速度の制御に際し、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなる場合、次のように鋼材Sの搬送制御を行う。つまり、図4に示すように、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5に仕上圧延速度(最低速度80mpm、最高速度400mpm)で進入してから当該仕上圧延速度で鋼材Sを搬送させ、鋼材Sの尾端部Sbが最終スタンドF7を抜けた時に、鋼材Sを80mpm未満の減速時速度にまで減速させ、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させ、鋼材Sを巻取時速度で巻き取らせる制御を行う。図4において、鋼材Sの先端部Saの搬送速度は符号21、鋼材Sの尾端部Sbの搬送速度は符号22で示されている。
また、冷却制御部14は、鋼材Sの搬送速度の制御に際し、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLe以上の場合、次のように鋼材Sの搬送制御を行う。つまり、図5に示すように、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5に仕上圧延速度(最低速度80mpm、最高速度400mpm)で進入してから当該仕上圧延速度で鋼材Sを搬送させ、そのままの速度で鋼材Sを巻き取らせる制御を行う。図5において、鋼材Sの先端部Saの搬送速度は符号21、鋼材Sの尾端部Sbの搬送速度は符号22で示されている。
ここで、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsは、次の(1)式により定義される。
Ls=M/(ρTW) ・・・(1)
ここで、Mは鋼材Sの重量、ρは鋼材Sの密度、Tは仕上圧延後の鋼材Sの板厚、Wは仕上圧延後の鋼材Sの板幅である。なお、ρは例えば7.85ton/mの値が用いられる。
冷却制御部14は、上位計算機15から冷却される鋼材Sの重量M及び鋼材Sの密度ρの情報を受け取り、仕上圧延機4の出側に設置された出側板厚計11で測定された板厚Tの情報を受け取る。更に、冷却制御部14は、仕上圧延機4の出側に設置された出側板幅計12で測定された仕上圧延後の鋼材Sの板幅Wの情報を受け取り、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsを(1)式により算出する。
そして、冷却制御部14は、算出された仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短いか否かを次の(2)式により判断する。
Ls<Le ・・・(2)
なお、ランナウトテーブル5の長さLeの情報は、上位計算機15から冷却制御部14に入力される。
そして、(2)式を満たすとき、冷却制御部14は、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短いと判断する。そのときの、鋼材Sと仕上圧延機4の最終スタンドF7、ランナウトテーブル5、及び巻取機8の配置を図2に示す。また、(2)式を満たさないとき、冷却制御部14は、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLe以上と判断する。そのときの、鋼材Sと仕上圧延機4の最終スタンドF7、ランナウトテーブル5、及び巻取機8の配置を図3に示す。
図2から分かるように、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短いとき、鋼材Sの尾端部Sbが最終スタンドF7を抜けた時、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達しておらず、鋼材Sを拘束するものはなく、鋼材Sはランナウトテーブル5に備えられている搬送ロール51に乗っている。このため、冷却制御部14は、このとき、搬送ロール51の回転速度を制御することで鋼材Sを前述のように減速させたり加速させたりする制御を行うことができる。
一方、図3からわかるように、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLe以上のとき、鋼材Sの尾端部Sbが最終スタンドF7を抜けた時、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達している場合が多い。このため、冷却制御部14は、鋼材Sの搬送速度を加減速する制御が行えず、仕上圧延速度を維持するように搬送ロール51の回転速度を制御する。
本実施形態において、例えば、鋼材Sの重量Mが32tonの場合、仕上圧延後の鋼材Sの板幅Wが2000mmでは、仕上圧延後の鋼材Sの板厚Tが19mm以上のときに、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsが(1)式により107.4m以下になるため、ランナウトテーブルの長さLeが140mの場合は、(2)式により本発明による制御が可能となる。
なお、図6には、仕上圧延された後の長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなる鋼材Sを仕上圧延速度から減速させずに定速で搬送させた後、加速させたときの、鋼材Sの先端部Sa及び尾端部Sbの搬送速度と仕上圧延機4の最終スタンドF7出側からのランナウトテーブル5上の位置との関係が示されている。
図6に示すように、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなる場合において、当該鋼材Sが仕上圧延速度(一般的に最低速度が80mpm、最高速度が400mpm)でランナウトテーブル5を通過すると、当該鋼材Sのランナウトテーブル5を通過する時間が短くなる。その際に、鋼材Sが厚物の場合には、冷却時間が短いことから、鋼材SのCTが目標CTに達成しない場合がある。鋼材Sの冷却制御において冷却水の噴射量を増加(すべてのバンクから冷却水を噴射し、各バンクでの冷却水量を増加)すれば目標CTを確保できることがあるが、冷却設備の関係で冷却水の噴射量を増加することにも限界があり、目標の冷却水噴射量を得られないことがあるからである。一方、この場合において、図6では、仕上圧延速度で鋼材Sを搬送させた後に、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に巻取り開始されるまでの間に、鋼材Sの搬送速度を巻取時速度(150mpmから400mpm程度)にまで加速させるので、鋼材Sは巻取機8に円滑に巻付くことができる。
本実施形態においては、仕上圧延後の長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなる鋼材Sの巻取温度の目標巻取温度の達成と当該鋼材Sの巻取機8での適切な巻付きの両立を可能とすべく、冷却制御部14は、鋼材Sの搬送速度の制御に際し、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなる場合、図6に示すような鋼材Sの搬送制御は行わずに、図4に示すような鋼材Sの搬送制御を行うこととしている。
次に、冷却制御部14による鋼材Sの搬送制御方法について説明する。冷却制御部14は、冷却制御部14における冷却制御機能及び鋼材搬送制御機能をコンピュータソフトウェア上でプログラムによって実行するための演算処理機能を有するコンピュータシステムである。そして、このコンピュータシステムは、ROM,RAM,CPU等を備えて構成され、ROM等に予め記憶された各種専用のプログラムによって、冷却制御機能をソフトウェア上で実行する。
鋼材Sは、仕上圧延機4によって仕上圧延された後、その先端部Saが仕上圧延速度(一般的に最低速度80mpm、最高速度400mpm)でランナウトテーブル5に進入する。冷却制御部14は、鋼材Sの搬送方向の位置を熱間圧延ライン1における搬送ローラからのトラッキング情報によって、常に、把握している。
ここで、冷却制御部14は、出側板厚計11からの仕上圧延された後の鋼材Sの板厚Tの情報、出側板幅計12からの仕上圧延された後の鋼材Sの板幅Wの情報、及び上位計算機15からの鋼材Sの重量Mの情報、鋼材Sの密度ρの情報に基づいて、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsを前述の(1)式により算出する。
そして、冷却制御部14は、上位計算機15からランナウトテーブル5の長さLeの情報を取得し、算出した仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短いか否かを前述の(2)式により判断する。
そして、冷却制御部14は、仕上圧延後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短いと判断しているときには、次のように鋼材Sの搬送制御を行う。
即ち、冷却制御部14は、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5に仕上圧延速度(一般的に最低速度80mpm、最高速度400mpm)で進入してからその仕上圧延速度で鋼材Sを搬送させるよう搬送ロール51に回転速度指令を送出する。
そして、鋼材Sの尾端部Sbが最終スタンドF7を抜けた時、冷却制御部14は、鋼材Sを80mpm未満の減速時速度にまで減速させ、当該減速時速度で鋼材Sを搬送するよう搬送ロール51に回転速度指令を送出する。
次いで、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けた時、鋼材Sの搬送速度が150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度となるまで加速させ、鋼材Sをその巻取時速度で巻き取らせるように搬送ロール51に回転速度指令を送出する。
一方、冷却制御部14は、仕上圧延後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLe以上と判断しているときには、次のように鋼材Sの搬送制御を行う。
即ち、冷却制御部14は、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5に仕上圧延速度(一般的に最低速度80mpm、最高速度400mpm)で進入してからその仕上圧延速度で鋼材Sを搬送させるよう搬送ロール51に回転速度指令を送出する。
次いで、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けた時、鋼材Sの搬送速度をそのまま維持させて、鋼材Sをその維持した巻取時速度で巻き取らせるように搬送ロール51に回転速度指令を送出する
これにより、冷却制御部14による鋼材Sの搬送速度制御は終了する。
なお、冷却制御部14は、冷却制御部14による鋼材Sの搬送速度制御の際に、鋼材Sの巻取温度計13での巻取温度(CT)が目標巻取温度(目標CT)となるように、ランナウトテーブル5での冷却水を噴射するノズルのあるバンクの数を設定し、そのバンクに噴射指令を送出し、鋼材Sの冷却を行う。
このように、本実施形態に係る熱延鋼帯の製造方法及び製造装置によれば、仕上圧延された後の鋼材の長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなる場合、次のように鋼材Sの搬送制御を行う。即ち、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが仕上圧延速度(一般的に最低速度80mpm、最高速度400mpm)で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を80mpm未満の減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後に、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に巻取り開始されるまでの間に、鋼材Sの搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させるよう制御する。
これにより、仕上圧延後の長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなる鋼材Sの巻取温度(CT)の目標巻取温度(目標CT)の達成と当該鋼材Sの巻取機8での適切な巻付きの両立を可能とした熱延鋼帯の製造方法及び製造装置を提供できる。
つまり、当該鋼材Sが仕上圧延速度(一般的に最低速度が80mpm、最高速度が400mpm)でランナウトテーブル5を通過すると、当該鋼材のランナウトテーブル5を通過する時間が短くなる。その際に、鋼材が厚物の場合には、冷却時間が短いことから、鋼材SのCTが目標CTに達成しない場合がある。鋼材の冷却制御において冷却水の噴射量を増加(すべてのバンクから冷却水を噴射し、各バンクでの冷却水量を増加)すれば目標CTを確保できることがあるが、冷却設備の関係で冷却水の噴射量を増加することにも限界があり、目標の冷却水噴射量を得られないことがあるからである。
一方、鋼材Sの搬送速度を仕上圧延速度よりも遅くしてその搬送速度でランナウトテーブルにおいてその鋼材Sが通過すると、前述したように、目標CTを達成することは可能となるが、巻取機での巻付性が問題となる。
これに対して、本実施形態のように、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが仕上圧延速度(一般的に最低速度80mpm、最高速度400mpm)で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を80mpm未満の減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送する。これにより、冷却時間を長くとることができ、鋼材SのCTを目標CTとすることができる。
また、本実施形態では、減速時速度で鋼材Sを搬送させた後に、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に巻取り開始されるまでの間に、鋼材Sの搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させるよう制御する。これにより、鋼材Sは巻取機8に円滑に巻付くことができる。なお、鋼材Sの巻取時速度が150mpmよりも遅いと、鋼材Sの持つ運動エネルギーが小さいため先端部Saが適切に塑性変形せず、マンドレル7にうまく鋼材Sが巻付かない。一方、鋼材Sの巻取時速度が400mpmよりも速いと、鋼材Sの先端部Saをピンチロール6で抑えることができずに、マンドレル7に鋼材Sの先端部Saが進入せずにトラブルとなることがある。
なお、80mpm未満の減速時速度を具体的にどれくらいにするかについては、目標CTによって適宜決定される。また、減速時速度の最低速度は、10mpmとすることが好ましい。減速時速度の最低速度が、10mpmよりも遅いと、冷却水が鋼材Sの上面に滞留し温度ムラが発生するという不都合がある。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、冷却制御部14がランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を減速時速度にまで減速させる開始トリガーは、鋼材Sの尾端部Sbが最終スタンドF7を抜けた時である必要は必ずしもない。
また、冷却制御部14が、減速時速度で鋼材Sを搬送させた後に、鋼材Sの搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させる開始トリガーは、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに限らず、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に巻取り開始されるまでの間であればよい。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。以下に述べる参考例1、比較例1~4、及び実施例1~4の場合に、巻取温度(CT)判定及び巻取判定を行った。その結果を表1に示す。表1において、巻取温度(CT)判定に際しては、実績CTが目標CT以下の場合には「○」、実績CTが目標CTよりも高い場合には「×」とした。また、巻取判定に際しては、鋼材Sが巻取機8(マンドレル7)に巻付いた場合を「○」、鋼材Sが巻取機8(マンドレル7)に巻付かない場合を「×」とした。また、長さ判定において、仕上圧延後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短い場合を「○」、長い場合を「×」とした。
Figure 2022118659000002
ここで、参考例1、比較例1~4、及び実施例1~4では、7スタンドの仕上圧延機4、長さLeが140mのランナウトテーブル5、及び巻取機8を具備する熱間圧延ライン1で検証された。仕上圧延機4の最終スタンドF7の速度(仕上圧延速度)はどの条件においても80mpmとした。鋼材Sの目標CTは、求められる特性から550℃とした。
そして、参考例1は、仕上圧延後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも長く前提から外れる事例である。参考例1では、鋼材Sの単重が32tonの場合において、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が19mmと厚いが、板幅が1500mmと小さいため、鋼材Sの長さLs(143.2m)がランナウトテーブル5の長さLe(140m)よりも長くなっている。参考例1では、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5に80mpmの仕上圧延速度で進入してからその仕上圧延速度で鋼材Sを搬送させ、そのままの巻取時速度で鋼材Sを巻き取らせる制御を行った。参考例1では、実績CTが561℃で目標CT550℃よりも高くなり、CT判定の結果は「×」となった。また、仕上圧延後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも長く、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達する前にその搬送速度を加速することができず、巻取時速度は80mpmで鋼材Sは巻取機8に巻付かず、巻取判定の結果は「×」となった。
また、比較例1は、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が19mm、板幅が2000mm、単重32ton、長さが107.1mであり、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5に80mpmの仕上圧延速度で進入してからその仕上圧延速度で鋼材Sを搬送させ、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに150mpmの巻取時速度まで加速させ、鋼材Sを巻取時速度で巻き取らせる制御を行った。比較例1では、鋼材Sの単重32tonの場合において、板厚が19mmと厚く板幅が2000mmと大きいため、仕上圧延後の鋼材Sの長さLs(107.1m)がランナウトテーブル5の長さLe(140m)よりも短くなっている。比較例1では、ランナウトテーブル5での搬送速度が速いため、実績CTが582℃で目標CT550℃よりも高く、CT判定の結果は「×」となった。一方、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達する前にその搬送速度を150mpmの巻取時速度まで加速したため、鋼材Sは巻取機8に巻付き、巻取判定の結果は「○」となった。
また、比較例2は、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が30mm、板幅が2000mm、単重32ton、長さが68.0mであり、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5に80mpmの仕上圧延速度で進入してからその仕上圧延速度で鋼材Sを搬送させ、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに150mpmの巻取時速度まで加速させ、鋼材Sを巻取時速度で巻き取らせる制御を行った。比較例2では、鋼材Sの単重32tonの場合において、板厚が30mmと厚く板幅が2000mmと大きいため仕上圧延後の鋼材Sの長さLs(68.0m)がランナウトテーブル5の長さLe(140m)よりも短くなっている。比較例2では、ランナウトテーブル5での搬送速度が速いため、実績CTが655℃で目標CT550℃よりも高く、CT判定の結果は「×」となった。一方、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達する前にその搬送速度を150mpmの巻取時速度まで加速したため、鋼材Sは巻取機8に巻付き、巻取判定の結果は「○」となった。
また、比較例3は、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が30mm、板幅が2000mm、単重32ton、長さが68.0mであり、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが80mpmの仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を20mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに80mpmの巻取時速度まで加速させ、鋼材Sを巻取時速度で巻き取らせる制御を行った。比較例3では、鋼材Sの単重が32tonの場合において、板厚が30mmと厚く板幅が2000mmと大きいため仕上圧延後の鋼材Sの長さLs(68.0m)がランナウトテーブル5の長さLe(140m)よりも短くなっている。比較例3では、ランナウトテーブル5において、鋼材Sの搬送速度を20mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送させたため、実績CTが540℃で目標CT550℃よりも低く、CT判定の結果は「○」となった。一方、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達する前にその搬送速度を80mpmの巻取時速度まで加速したが、その巻取時速度が遅いため、鋼材Sは巻取機8に巻付かず、巻取判定の結果は「×」となった。
また、比較例4は、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が19mm、板幅が2000mm、単重32ton、長さが107.4mであり、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが80mpmの仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を20mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに420mpmの巻取時速度まで加速させ、鋼材Sを巻取時速度で巻き取らせる制御を行った。比較例4では、鋼材Sの単重が32tonの場合において、板厚が19mmと厚く板幅が2000mmと大きいため仕上圧延後の鋼材Sの長さLs(107.4m)がランナウトテーブル5の長さLe(140m)よりも短くなっている。比較例4では、ランナウトテーブル5において、鋼材Sの搬送速度を20mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送させたため、実績CTが548℃で目標CT550℃よりも低く、CT判定の結果は「○」となった。一方、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達する前にその搬送速度を420mpmの巻取時速度まで加速したが、鋼材Sの先端部Saをピンチロール6で抑えることができずに、マンドレル7に鋼材Sの先端部Saが進入せずにトラブルとなり、巻取判定の結果は「×」となった。
また、実施例1は、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が19mm、板幅が2000mm、単重32ton、長さが107.4mであり、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが80mpmの仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を40mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに150mpmの巻取時速度まで加速させ、鋼材Sを巻取時速度で巻き取らせる制御を行った。実施例1では、鋼材Sの単重が32tonの場合において、板厚が19mmと厚く板幅が2000mmと大きいため仕上圧延後の鋼材Sの長さLs(107.4m)がランナウトテーブル5の長さLe(140m)よりも短くなっている。実施例1では、ランナウトテーブル5において、鋼材Sの搬送速度を40mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送させたため、実績CTが521℃で目標CT550℃よりも低く、CT判定の結果は「○」となった。また、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達する前にその搬送速度を150mpmの巻取時速度まで加速したので、鋼材Sは巻取機8に巻付き、巻取判定の結果は「○」となった。
また、実施例2は、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が25mm、板幅が2000mm、単重32ton、長さが81.6mであり、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが80mpmの仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を60mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに150mpmの巻取時速度まで加速させ、鋼材Sを巻取時速度で巻き取らせる制御を行った。実施例2では、鋼材Sの単重が32tonの場合において、板厚が25mmと厚く板幅が2000mmと大きいため仕上圧延後の鋼材Sの長さLs(81.6m)がランナウトテーブル5の長さLe(140m)よりも短くなっている。実施例2では、ランナウトテーブル5において、鋼材Sの搬送速度を40mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送させたため、実績CTが538℃で目標CT550℃よりも低く、CT判定の結果は「○」となった。また、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達する前にその搬送速度を150mpmの巻取時速度まで加速したので、鋼材Sは巻取機8に巻付き、巻取判定の結果は「○」となった。
また、実施例3は、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が30mm、板幅が2000mm、単重32ton、長さが68.0mであり、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが80mpmの仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を40mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに150mpmの巻取時速度まで加速させ、鋼材Sを巻取時速度で巻き取らせる制御を行った。実施例3では、鋼材Sの単重が32tonの場合において、板厚が30mmと厚く板幅が2000mmと大きいため仕上圧延後の鋼材Sの長さLs(68.0m)がランナウトテーブル5の長さLe(140m)よりも短くなっている。実施例3では、ランナウトテーブル5において、鋼材Sの搬送速度を40mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送させたため、実績CTが541℃で目標CT550℃よりも低く、CT判定の結果は「○」となった。また、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達する前にその搬送速度を150mpmの巻取時速度まで加速したので、鋼材Sは巻取機8に巻付き、巻取判定の結果は「○」となった。
また、実施例4は、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が19mm、板幅が2000mm、単重32ton、長さが107.4mであり、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部Saが80mpmの仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を20mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後、鋼材Sの先端部Saがランナウトテーブル5を抜けたときに400mpmの巻取時速度まで加速させ、鋼材Sを巻取時速度で巻き取らせる制御を行った。実施例4では、鋼材Sの単重が32tonの場合において、板厚が19mmと厚く板幅が2000mmと大きいため仕上圧延後の鋼材Sの長さLs(107.4m)がランナウトテーブル5の長さLe(140m)よりも短くなっている。実施例4では、ランナウトテーブル5において、鋼材Sの搬送速度を20mpmの減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送させたため、実績CTが543℃で目標CT550℃よりも低く、CT判定の結果は「○」となった。また、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に到達する前にその搬送速度を400mpmの巻取時速度まで加速したので、鋼材Sは巻取機8に巻付き、巻取判定の結果は「○」となった。
このように、実施例1~4から、仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなる場合に、ランナウトテーブル5に鋼材Sの先端部が仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を80mpm未満の減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後に、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に巻取り開始されるまでの間に、鋼材Sの搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させる。これにより、仕上圧延後の長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなる鋼材Sの巻取温度の目標巻取温度の達成と当該鋼材Sの巻取機8での適切な巻付きの両立が可能となることがわかった。
なお、実施例1~4のいずれの場合にあっても、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が19mm以上となっているが、本発明はこれに限定されずに、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が19mmよりも薄い場合であっても、(1)式及び(2)により仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなると判断されるとき、本発明を適用することができる。つまり、仕上圧延後の鋼材Sの板厚が19mmよりも薄い場合であっても、(1)式及び(2)により仕上圧延された後の鋼材Sの長さLsがランナウトテーブル5の長さLeよりも短くなると判断されるとき、ランナウトテーブル5に鋼材の先端部Saが仕上圧延速度で進入を開始した後に、鋼材Sの搬送速度を80mpm未満の減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で鋼材Sを搬送し、その後に、鋼材Sの先端部Saが巻取機8に巻取り開始されるまでの間に、鋼材Sの搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させるよう制御すればよい。
1 熱間圧延ライン
2 加熱炉
3 粗圧延機
4 仕上圧延機
5 ランナウトテーブル
6 ピンチロール
7 マンドレル
8 巻取機
9 出側板速度検出器
10 出側板温度計
11 出側板厚計
12 出側板幅計
13 巻取温度計
14 冷却制御部
15 上位計算機
51 搬送ロール
S 鋼材
Sa 先端部
Sb 尾端部

Claims (2)

  1. 鋼材を仕上圧延機で仕上圧延する仕上圧延工程と、該仕上圧延工程で仕上圧延された鋼材を、前記仕上圧延機の下流側に設けられたランナウトテーブルで冷却する冷却工程と、該冷却工程で冷却された鋼材を巻取機で巻取る巻取工程とを含み、下記(1)式で定義される仕上圧延された後の前記鋼材の長さLsが前記ランナウトテーブルの長さLeよりも短くなる熱延鋼帯の製造方法であって、
    前記ランナウトテーブルに前記鋼材の先端部が仕上圧延速度で進入を開始した後に、前記鋼材の搬送速度を80mpm未満の減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で前記鋼材を搬送し、その後に、前記鋼材の先端部が前記巻取機に巻取り開始されるまでの間に、前記鋼材の搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させるよう制御することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
    Ls=M/(ρTW) ・・・(1)
    ここで、Mは鋼材Sの重量、ρは鋼材Sの密度、Tは仕上圧延後の鋼材Sの板厚、Wは仕上圧延後の鋼材Sの板幅である。
  2. 鋼材を仕上圧延する仕上圧延機と、該仕上圧延機の下流側に設けられ、前記仕上圧延機で仕上圧延された鋼材を冷却するランナウトテーブルと、該ランナウトテーブルで冷却された鋼材を巻取る巻取機とを備え、下記(1)式で定義される仕上圧延された後の前記鋼材の長さLsが前記ランナウトテーブルの長さLeよりも短くなる熱延鋼帯の製造装置であって、
    前記ランナウトテーブルに前記鋼材の先端部が仕上圧延速度で進入を開始した後に、前記鋼材の搬送速度を80mpm未満の減速時速度にまで減速させて、当該減速時速度で前記鋼材を搬送し、その後に、前記鋼材の先端部が前記巻取機に巻取り開始されるまでの間に、前記鋼材の搬送速度を150mpmから400mpmまでの間の巻取時速度にまで加速させるよう制御する冷却制御部を備えていることを特徴とする熱延鋼帯の製造装置。
    Ls=M/(ρTW) ・・・(1)
    ここで、Mは鋼材Sの重量、ρは鋼材Sの密度、Tは仕上圧延後の鋼材Sの板厚、Wは仕上圧延後の鋼材Sの板幅である。
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