JP2022114231A - 荷受台昇降装置、及び荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車体との接合強度を高めることができる荷受台昇降装置、及び荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法の提供。【解決手段】貨物車両の荷箱の下に格納可能な荷受台を備える荷受台昇降装置であって、長尺であり且つ長手方向を前記貨物車両の車体2の前後方向に合わせた状態で配置されるスライドレール4であって、前記荷受台が前記長手方向に沿ってスライド可能となるように取り付けられたスライドレール4と、前記スライドレール4と前記車体2とに固定される取付ブラケット5と、を備え、前記取付ブラケット5は、前記車体2に溶接される車体側被溶接部51であって、前記スライドレール4の上面42に対応する基準位置を跨いで上下に広がるように配置される車体側被溶接部51を有する。【選択図】図7
Description
本発明は、荷箱を有する貨物車両において、荷箱の下に格納可能に設けられる荷受台昇降装置、及び荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法に関する。
従来、例えば特許文献1に開示されているような、荷受台を荷箱の後部下方に格納できるように構成された荷受台昇降装置が提供されている。
この種の荷受台昇降装置は、荷受台と、長尺であり且つ長手方向が車両前後方向に対応するようにして配置されるスライドレールと、スライドレールと車体とに固定される取付ブラケットと、を備えており、荷受台は、スライドレールにスライド可能(スライドレールの長手方向でスライド可能)となるように取り付けられている。
また、荷受台昇降装置では、取付ブラケットがスライドレールの上面に載置された状態で固定されているため、取付ブラケットをスライドレールよりも上方で車体に溶接することによって荷受台昇降装置が車体に固定されている。
ところで、上記従来の荷受台昇降装置では、取付ブラケットのうちスライドレールよりも上方の部分が車体に溶接されているが、この取付ブラケットと車体との接合強度をより高めることが望まれている。
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、車体との接合強度を高めることができる荷受台昇降装置、及び荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法の提供を課題とする。
本発明の荷受台昇降装置は、
貨物車両の荷箱の下に格納可能な荷受台を備える荷受台昇降装置であって、
長尺であり且つ長手方向を前記貨物車両の車体の前後方向に合わせた状態で配置されるスライドレールであって、前記荷受台が前記長手方向に沿ってスライド可能となるように取り付けられたスライドレールと、
前記スライドレールと前記車体とに固定される取付ブラケットと、を備え、
前記取付ブラケットは、前記車体に溶接される車体側被溶接部であって、前記スライドレールの上面に対応する基準位置を跨いで上下に広がるように配置される車体側被溶接部を有する。
貨物車両の荷箱の下に格納可能な荷受台を備える荷受台昇降装置であって、
長尺であり且つ長手方向を前記貨物車両の車体の前後方向に合わせた状態で配置されるスライドレールであって、前記荷受台が前記長手方向に沿ってスライド可能となるように取り付けられたスライドレールと、
前記スライドレールと前記車体とに固定される取付ブラケットと、を備え、
前記取付ブラケットは、前記車体に溶接される車体側被溶接部であって、前記スライドレールの上面に対応する基準位置を跨いで上下に広がるように配置される車体側被溶接部を有する。
上記構成の荷受台昇降装置によれば、スライドレールと車体とをつなぐ取付ブラケットでは、車体に溶接される車体側被溶接部がスライドレールの上面に対応する基準位置から上下に広がるように配置されるため、車体側被溶接部を基準位置の上方から下方に亘って車体に溶接することができる。
このように、前記荷受台昇降装置は、車体に対する取付ブラケットの溶接範囲を基準位置の下方にも広げることができ、これにより、取付ブラケットと車体との接合強度を高めることができるようになっている。
また、本発明の荷受台昇降装置において、
前記車体側被溶接部には、
上下方向に沿って前記基準位置の上方から下方に亘って縦長に形成される縦向被溶接領域と、
前記基準位置の下方において前記前後方向に沿うように配置される前記車体側被溶接部自身の下縁部全体に亘って横長に形成された横向被溶接領域とが設定されていてもよい。
前記車体側被溶接部には、
上下方向に沿って前記基準位置の上方から下方に亘って縦長に形成される縦向被溶接領域と、
前記基準位置の下方において前記前後方向に沿うように配置される前記車体側被溶接部自身の下縁部全体に亘って横長に形成された横向被溶接領域とが設定されていてもよい。
上記構成の荷受台昇降装置によれば、基準位置(スライドレールの上面)よりも下方側での車体側被溶接部と車体との溶接範囲を広げつつ、車体と横向被溶接領域との溶接部分を横長に形成することによって前後方向での衝撃に対する耐久性を高めることもできる。
さらに、本発明の荷受台昇降装置において、
前記取付ブラケットは、
前記車体側被溶接部に連設され、且つ前記スライドレールに載置された状態でボルトによって上方から前記スライドレールに固定されるレール側固定部を有し、
前記縦向被溶接領域は、前記レール側固定部の上方から下方に亘って形成され、
前記横向被溶接領域は、前記レール側固定部よりも下方側に位置する、ようにしてもよい。
前記取付ブラケットは、
前記車体側被溶接部に連設され、且つ前記スライドレールに載置された状態でボルトによって上方から前記スライドレールに固定されるレール側固定部を有し、
前記縦向被溶接領域は、前記レール側固定部の上方から下方に亘って形成され、
前記横向被溶接領域は、前記レール側固定部よりも下方側に位置する、ようにしてもよい。
上記構成の荷受台昇降装置によれば、レール側固定部をスライドレールに固定するボルトの向きと、車体に横向被溶接部を溶接する向きとがねじれの位置となるように配置されるため、取付ブラケットと車体の接合強度、取付ブラケットとスライドレールの接合強度を高めることができるようになっている。
本発明の荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法は、
荷箱の下に格納可能な荷受台を備える荷受台昇降装置が架装された荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法であって、
前記荷受台昇降装置は、前記荷受台と、長尺であり且つ長手方向を前記貨物車両の車体の前後方向に合わせた状態で配置されるスライドレールであって、前記荷受台が前記長手方向に沿ってスライド可能となるように取り付けられるスライドレールと、前記スライドレールと前記車体とに固定される取付ブラケットであって、前記車体に溶接される車体側被溶接部を有する取付ブラケットと、を備え、
前記車体側被溶接部を前記車体に溶接する溶接工程と、
前記溶接工程の後に、前記荷受台昇降装置を、前記スライドレールに前記荷受台がスライド可能に取り付けられ、且つ前記取付ブラケットが前記スライドレールに取り付けられた組立状態にする架装組立工程と、を備え、
前記溶接工程では、前記スライドレールの上面に対応する基準位置を跨いで上下に広がるように配置されている前記車体側被溶接部を前記基準位置の上方から下方に亘って車体に溶接する。
荷箱の下に格納可能な荷受台を備える荷受台昇降装置が架装された荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法であって、
前記荷受台昇降装置は、前記荷受台と、長尺であり且つ長手方向を前記貨物車両の車体の前後方向に合わせた状態で配置されるスライドレールであって、前記荷受台が前記長手方向に沿ってスライド可能となるように取り付けられるスライドレールと、前記スライドレールと前記車体とに固定される取付ブラケットであって、前記車体に溶接される車体側被溶接部を有する取付ブラケットと、を備え、
前記車体側被溶接部を前記車体に溶接する溶接工程と、
前記溶接工程の後に、前記荷受台昇降装置を、前記スライドレールに前記荷受台がスライド可能に取り付けられ、且つ前記取付ブラケットが前記スライドレールに取り付けられた組立状態にする架装組立工程と、を備え、
前記溶接工程では、前記スライドレールの上面に対応する基準位置を跨いで上下に広がるように配置されている前記車体側被溶接部を前記基準位置の上方から下方に亘って車体に溶接する。
上記構成の荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法によれば、溶接工程では、基準位置を跨いで上下に広がるように配置されている車体側被溶接部が基準位置の上方から下方に亘って車体に溶接されるため、車体に対する取付ブラケットの溶接範囲を基準位置の下方にも広げることができ、これにより、取付ブラケットと車体との接合強度を高めることができるようになっている。
また、本発明の荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法では、
前記溶接工程の前に、前記組立状態にした前記荷受台昇降装置を前記車体への取付位置に配置する配置工程と、
前記配置工程の後に、前記荷受台昇降装置を、前記取付ブラケットから前記スライドレールが取り外された分離状態にする取外工程と、を行うようにしてもよい。
前記溶接工程の前に、前記組立状態にした前記荷受台昇降装置を前記車体への取付位置に配置する配置工程と、
前記配置工程の後に、前記荷受台昇降装置を、前記取付ブラケットから前記スライドレールが取り外された分離状態にする取外工程と、を行うようにしてもよい。
上記構成の荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法によれば、車体に対する荷受台昇降装置の取付位置を確認した後に取付ブラケットだけを残した状態で溶接工程が行われるため、貨物車両への架装が完了した後に荷受台昇降装置の配置位置の修正が必要となる状況に陥ることを避けることができるうえに、取付ブラケットの車体側被溶接部のうち、組付状態においてスライドレールによって覆われてしまう部分に対して簡単に溶接できるようになる。
また、本発明の荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法において、
前記配置工程では、前記荷受台を最も高い位置まで上昇させた状態で前記車体への前記荷受台昇降装置の取付位置を確認する、ようにしてもよい。
前記配置工程では、前記荷受台を最も高い位置まで上昇させた状態で前記車体への前記荷受台昇降装置の取付位置を確認する、ようにしてもよい。
上記構成の荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法によれば、溶接工程を行う前に使用状態に合わせて荷受台昇降装置の取付位置を確認するため、車体への架装が完了した後に荷受台昇降装置の位置の修正が必要となる状況に陥ることをより確実に避けることができる。
以上のように、本発明の荷受台昇降装置、及び荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法は、車体との接合強度を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
以下、本発明の一実施形態にかかる荷受台昇降装置、及び荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置1は、図1に示すように、貨物車両Vにおける荷箱Bの後部下方に設けられる。なお、荷箱Bは、搬入口を閉じた状態で閉鎖空間となる箱状のものであっても、例えば上部が常時開放された荷台であってもよい。本実施形態の荷受台昇降装置1につき、図2に斜視図、図3に側面図を示す。図示の状態は、貨物車両Vにおける荷箱Bの後部下方に荷受台昇降装置1が格納された状態、すなわち貨物車両Vが走行可能な状態を表している。一方、図4~図6は、荷受台昇降装置1のうち可動側支持部材13を、図3のスライド前端位置(前方位置)から荷箱Bの後方へスライドさせ、所定のスライド後端位置(後方位置)に到達させた後、荷受台19を展開および昇降させて荷物の積み降ろし作業をする使用状態を示す側面図である。図1に示すように、貨物車両Vの車体2上には荷箱Bが搭載されている。車体2の後端下方には、いわゆる床下格納式の荷受台昇降装置1が格納されている。
なお、以下の説明において、貨物車両Vの前後に対応する方向を車両前後方向、貨物車両Vの車幅に対応する方向を車幅方向、前後方向と車幅方向とに直交する方向を上下方向と称する。
図4~図6において、荷受台昇降装置1の車幅方向に左右一対設けられている固定側支持部材3は、それぞれ、車両前後方向に水平に延びるスライドレール4と、これを車体2に架装するための複数(本実施形態では3個)の取付ブラケット5と、左右一対のスライドレール4の前端部を連結する角パイプからなる連結部材6とによって構成されている。スライドレール4と各取付ブラケット5とは、ボルト・ナット7により締結されている。スライドレール4には支持板8が車両前後方向に摺動可能に装着されている。
図7に示すように、スライドレール4の上面42は、取付ブラケット5が載置される面となっている。また、スライドレール4の前記車幅方向において内側に配置される一面は、車体2に対向する対向面43となっている。なお、以下の説明においては、前記上下方向においてスライドレール4の上面42と対応する位置を基準位置と称する場合がある。
また、本実施形態のスライドレール4には、ボルト・ナット7によって取付ブラケット5が締結するための締結溝44が形成されている。締結溝44は、スライドレール4の上面42で開放し、且つスライドレール4の長手方向に沿って延びるように形成されている。
取付ブラケット5は、スライドレール4に固定されるレール側固定部50と、レール側固定部50に連設されており、且つ車体2に溶接される車体側被溶接部51と、を有する。
レール側固定部50は、スライドレール4の上面42に載置される底板部500と、底板部500に立設される立板部501と、を有する。
底板部500には、ボルト・ナット7のうちのボルトを挿通するための挿通孔5000が形成されている。なお、本実施形態の挿通孔5000は長孔に形成されているが(図9参照)、丸孔であってもよい。
図8に示すように、立板部501は、底板部500の前記車両前後方向における一端部(前端部)と、底板部500の前記車両前後方向における一端部(後端部)とに一つずつ設けられている。
車体側被溶接部51は、前記車両前後方向における幅(前後幅)がレール側固定部50よりも大きく、且つ前記上下方向における幅(上下幅)もレール側固定部50よりも大きくなるように形成されており、また、車体側被溶接部51の下端部が底板部500よりも下方側に位置するように構成されている。
そのため、車体側被溶接部51の前記車両前後方向において前方側に配置される前縁部510は、前記車両前後方向において前方側に位置する立板部501よりもさらに前方側に位置し、車体側被溶接部51の前記車両前後方向において後方側に配置される後縁部511は、前記車両前後方向において後方側に位置する立板部501よりもさらに後方側に位置し、車体側被溶接部51の前記上下方向において下方側に配置される下縁部512は、底板部500よりもさらに下方側に位置している。
本実施形態の車体側被溶接部51は、外周縁部が車体2に溶接されるように構成されており、本実施形態では、前縁部510と後縁部511とが、前記上下方向に沿って基準位置の上方から下方に亘って縦長に形成される縦向被溶接領域513となっており、下縁部512が前後方向における全体(全長)に亘って横長に形成された横向被溶接領域514が設定されている。
前縁部510に設定されている縦向被溶接領域513の下端は横向被溶接領域514の前端部(前記前後方向において前方に位置する一端部)に連続しており、後縁部511に設定されている縦向被溶接領域513の下端は横向被溶接領域514の後端部(前記前後方向において後方に位置する他端部)に連続している。
そのため、2つの縦向被溶接領域513と一つの横向被溶接領域514とが連続することによって、コの字状の被溶接領域が形成されている。また、本実施形態では、コの字状の被溶接領域がレール4と接する底板部500の底面5001に形成されている孔5000(レール4を吊り下げ支持するための孔5000)を囲うように形成されている。
図4~図6に示すように、左右一対の支持板8は、車幅方向に水平に延びる角パイプからなるクロスメンバ9を貫通させ、これらは互いに一体に溶接されている。支持板8より車幅方向の外側には、支持ブラケット10,11が、クロスメンバ9と一体に溶接されている。これらの支持ブラケット10,11も、左右一対設けられている。
左右一対の支持板8の下部は、チャンネル材からなる連結部材12により連結されている(図2参照)。支持板8、クロスメンバ9および支持ブラケット10,11および連結部材12は、固定側支持部材3に対して車両前後方向にスライド可能な可動側支持部材13を構成している。
支持ブラケット10には補助リンク14が一定範囲で回動可能に取り付けられており、この補助リンク14に、上アーム15およびリフトシリンダ(昇降駆動装置)16が回動可能に取り付けられている。リフトシリンダ16の先端は上アーム15の所定位置に接続されており、伸縮作動により上アーム15にトルクを付与する。また、支持ブラケット11には下アーム17が回動可能に取り付けられている。リフトシリンダ16は、例えば単動式の油圧シリンダからなる。
上アーム15および下アーム17は、それらの支点および作用点を結ぶ四角形が平行四辺形となる平行リンクを構成し、リフトシリンダ16の伸縮作動により、その先端側を昇降作動させる。補助リンク14、上アーム15、リフトシリンダ16および下アーム17は、左右一対設けられ、荷受台19を昇降させるアーム式の昇降機構18を構成している。
荷受台19は、上アーム15および下アーム17の先端に水平に取り付けられたメインプレート(基部荷受台)191と、これに対して折り畳み・展開可能に接続されたサブプレート(先部荷受台)192と、メインプレート191とサブプレート192とを連結する連結部193とを備えている。連結部193は、一端部がメインプレート191の先端部に回動可能に連結されるとともに、他端部がサブプレート192の基端部に回動可能に連結されたヒンジ193aを有する。
以上の構成により、図1~図3に示すように、格納時にはメインプレート191上にサブプレート192が折り畳まれる。また、図4~図6に示すように、使用時にはサブプレート192が展開されることで、荷受台19には、メインプレート191の上面42からサブプレート192の上面42へ連続した荷受面19aが構成される。この荷受面19aには荷箱Bに対して積み降ろしされる荷物が載置される。
このように荷受面19aが構成された状態でリフトシリンダ16を伸縮駆動させると、荷受台19を、荷箱Bの床面(図示しない)と荷受面19aとが略同一の高さ位置となる上昇位置(図6の上側の位置)と、地面に接地した接地位置(図6の下側の位置)との間で昇降させることができる。これにより、荷箱Bの後方において荷受台19を昇降させることで、貨物車両Vの荷箱Bに対して荷物を積み降ろすことができる。
前述の左右一対の支持板8のそれぞれには、後方へ突出するようにローラ取付板20が取り付けられ、その後端にガイドローラ21が回転自在に取り付けられている。このガイドローラ21に、サブプレート192の先端を乗せることができる。
次に、荷受台昇降装置1を前方位置と後方位置との間でスライド(前後移動)させるスライドシリンダ(前後駆動装置)22について説明する。図2は、スライドシリンダ22が最収縮した状態に対応している。図4~図6は、スライドシリンダ22が最伸長した状態に対応している。
スライドシリンダ22は、車幅方向において左右のスライドレール4の間に配置された左右一対のシリンダ23にて構成されている。シリンダ23は、例えば複動式の油圧シリンダからなる。左右のシリンダ23のシリンダ本体24は、その前後両端部が互いに前後逆向きに配置された状態で重ね合わされ、前後位置にて一体的に連結されている。
以上の構成により、図1~図3に示す状態で格納されている荷受台19を使用する場合には、スライドシリンダ22を伸長作動により後方へスライドさせ、後方位置まで後退させる。次に、リフトシリンダ16を収縮作動させると、上アーム15および下アーム17が下方回動し、メインプレート191が着地する。このときサブプレート192はその先端がガイドローラ21に乗っているため、サブプレート192は連結部193を中心に、図5の時計回り方向に回動する。
次に、サブプレート192を手で起こしてメインプレート191の後方に水平に倒伏させる。このようして荷受台19が水平に展開される。この状態で、リフトシリンダ16を伸長作動させると、荷受台19を水平に維持したまま、図6の上側に示す上昇位置まで荷受台19を上昇させることができる。また、上昇位置からリフトシリンダ16を収縮作動させれば、荷受台19を元の位置まで下降させることができる。
なお、下アーム17が着地してからさらにリフトシリンダ16を収縮作動させると、補助リンク14の作用により荷受台19はその先端(後端)を下げるようにチルト作動して、図6の下側に示すように地面に沿う。これにより、例えば、図示しないキャスタ付きのカート(荷物)を荷受台19の後方から前方へ移動させることでカートを荷受面19a上に容易に積み降ろしすることができる。
荷受台19を格納するには、下アーム17が着地して荷受台19が水平である状態からサブプレート192を起立させ、さらに、ガイドローラ21に立てかける。次に、上アーム15および下アーム17を上昇させ、サブプレート192を自重によりメインプレート191上に畳み込む。そして、スライドシリンダ22を収縮作動させ、前方位置まで可動側支持部材13、昇降機構18および荷受台19を引き込み、図1~図3の格納状態とする。
なお、図2に示すように、クロスメンバ9の長手方向の一端部には、荷受台昇降装置1(具体的にはリフトシリンダ16及びスライドシリンダ22)の駆動を制御する制御装置を備えたパワーユニット40が取り付けられている。また、クロスメンバ9の長手方向の他端部には、荷受台19を昇降またはスライドさせるための操作指令を制御装置に出力するためのスイッチボックス41が取り付けられている。
続いて、本実施形態に係る荷受台昇降装置付きの貨物車両Vの製造方法の説明を行う。
荷受台昇降装置付きの貨物車両Vの製造方法では、荷受台昇降装置1を、スライドレール4に荷受台19がスライド可能に取り付けられ、且つ取付ブラケット5がスライドレール4に取り付けられた組立状態にしたうえで、この荷受台昇降装置1を車体2への取付位置に配置する配置工程と、取付ブラケット5とスライドレール4とを分離した分離状態(すなわち、取付ブラケット5から取付ブラケット5以外の構成を取り外した状態)にする取外工程と、取付ブラケット5の車体側被溶接部51を車体2に溶接する溶接工程と、荷受台昇降装置1を組立状態にする架装組立工程と、を備えている。
配置工程では、車体側被溶接部51がスライドレール4の上面42に対応する基準位置を跨いで上下に広がるように配置される。また、配置工程では、荷受台昇降装置1を取付位置に合わせて配置した後に、配置位置が適切であるかの確認や、配置位置の微調整等の作業を行う。なお、配置位置が適切であるかを確認する作業は、荷受台19を最も高い位置まで上昇させた状態で行ってもよい。
取外工程では、まず、取付ブラケット5を車体2に仮固定した後に、取付ブラケット5からスライドレール4及びスライドレール4に連結されている他の構成が取り外された状態にする。なお、取付ブラケット5を車体2に仮固定する場合は、ボルト締結や、スポット溶接等を行えばよい。
溶接工程では、車体側被溶接部51を基準位置の上方から下方に亘って車体2に溶接する。本実施形態では、2つの縦向被溶接領域513を基準位置の上方から下方に亘って車体2に溶接し、横向被溶接領域514も前後方向における全長に亘って車体2に溶接する。また、本実施形態の溶接工程では、各縦向被溶接領域513と車体2との溶接部分と、横向被溶接領域514と車体2との溶接部分とが連続するように形成される。
そのため、車体側被溶接部51の外周縁部にはコの字状の溶接部分が形成され、この溶接部分のうち、一方の縦向被溶接領域513と横向被溶接領域514とが交わる部分と、他方の縦向被溶接領域513と横向被溶接領域514とが交わる部分が角部となっている。
そして、架装組立工程において、取付ブラケット5にスライドレール4等を取り付ける作業が完了すると、荷受台昇降装置1が貨物車両Vに架装された状態になる。
以上のように、本実施形態の荷受台昇降装置1によれば、スライドレール4と車体2とをつなぐ取付ブラケット5では、車体2に溶接される車体側被溶接部51がスライドレール4の上面42に対応する基準位置から上下に広がるように配置されるため、車体側被溶接部51を基準位置の上方から下方に亘って車体2に溶接することができる。
このように、荷受台昇降装置1は、車体2に対する取付ブラケット5の溶接範囲を基準位置の下方にも広げることができ、これにより、取付ブラケット5と車体2との接合強度を高めることができるようになっている。
従って、本実施形態の荷受台昇降装置1は、車体との接合強度を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
また、車体側被溶接部51には、上下方向に沿って前記基準位置の上方から下方に亘って縦長に形成される縦向被溶接領域513と、前記基準位置の下方において前記前後方向に沿うように配置される前記車体側被溶接部51自身の下縁部512全体に亘って横長に形成された横向被溶接領域514とが設定されているため、基準位置(スライドレール4の上面42)よりも下方側での車体側被溶接部51と車体2との溶接範囲を広げつつ、車体2と横向被溶接領域514との溶接部分を横長に形成することによって前後方向での衝撃に対する耐久性を高めることもできる。
さらに、取付ブラケット5は、前記車体側被溶接部51に連設され、且つ前記スライドレール4に載置された状態でボルトによって前記スライドレール4に上方から固定されるレール側固定部50を有し、前記縦向被溶接領域513は、前記レール側固定部50の上方から下方に亘って形成され、前記横向被溶接領域514は、前記レール側固定部50よりも下方側に位置するため、レール側固定部50をスライドレール4に固定するボルトの向きと、車体に横向被溶接領域514を溶接する向きとがねじれの位置となるように配置されるため、取付ブラケット5と車体2の接合強度、取付ブラケット5とスライドレール4の接合強度を高めることができるようになっている。
そして、本実施形態の荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法では、溶接工程において基準位置を跨いで上下に広がるように配置されている車体側被溶接部51が基準位置の上方から下方に亘って車体2に溶接されるため、車体2に対する取付ブラケット5の溶接範囲を基準位置の下方にも広げることができ、これにより、取付ブラケット5と車体2との接合強度を高めることができるようになっている。従って、車体との接合強度を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
また、架装が完了した後に荷受台昇降装置1の取付位置を修正する場合は、取付ブラケット5からスライドレール4等を取り外す作業や、車体2からブラケット5を取り外す作業等の手間が生じるが、本実施形態では、車体2に対する荷受台昇降装置1の取付位置を確認した後に取付ブラケット5だけを残した状態で溶接工程が行われるため、貨物車両Vへの架装が完了した後に荷受台昇降装置1の取付位置の修正が必要となる状況に陥ることを避けることができる。また、取付ブラケット5の車体側被溶接部51のうち、組付状態においてスライドレール4によって覆われてしまう部分に対して簡単に溶接できるようにもなる。
さらに、配置工程では、荷受台19を最も高い位置まで上昇させた状態で前記車体2への前記荷受台昇降装置1の取付位置を確認するため、溶接工程を行う前に使用状態に合わせて荷受台昇降装置1の取付位置を確認するため、車体2への架装が完了した後に、荷受台昇降装置1の位置を確認し直す手間が生じにくくなる。
なお、本発明に係る荷受台昇降装置、及び荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形の荷受台昇降装置付きの貨物車両Vの製造方法では、溶接工程の前に配置工程と取り外し工程を行っていたが、この構成に限定されない。例えば、配置工程と取外工程とを行わずに溶接工程でブラケット5を取り付けた後に、架装組立工程で荷受台昇降装置1を組立状態にしてもよい。
上記実施形の荷受台昇降装置付きの貨物車両Vの製造方法では、配置工程において、荷受台19を最も高い位置まで上昇させた状態で車体2への荷受台昇降装置1の取付位置を確認していたが、この構成に限定されない。例えば、配置工程では、荷受台19を折り畳んだ状態で車体2への荷受台昇降装置1の取付位置を確認したりしてもよい。
上記実施形において、特に言及しなかったが、荷受台昇降装置1が複数の取付ブラケット5を備える場合は、少なくとも一つの取付ブラケット5が基準位置の上方から下方に亘って車体2に溶接されていればよい。
上記実施形態では、各縦向被溶接領域513と横向被溶接領域514とに亘って連続的に溶接部分を形成していたが、この構成に限定されない。例えば、縦向被溶接領域513のみに溶接部分を形成したり、縦向被溶接領域513と横向被溶接領域514が交わる角部に隙間が形成されるように溶接部分を形成し、縦向被溶接領域513に形成した溶接部分と横向被溶接領域514に形成した溶接部分とが非連続となるようにしたりしてもよい。
上記実施形態では、車体側被溶接部51の前縁部510、後縁部511、下縁部512の3箇所を車体2に溶接する態様について説明したが、この構成に限定されない。例えば、例えば、車体側被溶接部51の上縁部も、車体2に溶接される領域(上縁被溶接領域)となっていてもよい。この場合、上縁被溶接領域は、前後方向における全体(全長)に亘って横長に形成することができる。
また、上縁被溶接領域がレール側固定部50の上端(具体的には立板部501の上端)よりも上方に位置している場合は、前縁部510、後縁部511、下縁部512、上縁被溶接領域を車体2に溶接することによって、車体側被溶接部51の外周縁部を全周に亘って車体2に溶接することができる。
このようにすると、レール側固定部50の周囲を包囲するように車体2への溶接部分を形成することができるため、取付ブラケット5と車体2との接合強度をより高めることが可能になる。
1…荷受台昇降装置、2…車体、3…固定側支持部材、4…スライドレール、5…取付ブラケット、6…連結部材、7…ボルト・ナット、8…支持板、9…クロスメンバ、10,11…支持ブラケット、12…連結部材、13…可動側支持部材、14…補助リンク、15…上アーム、16…リフトシリンダ、17…下アーム、18…昇降機構、19…荷受台、19a…荷受面、20…ローラ取付板、21…ガイドローラ、22…スライドシリンダ、23…シリンダ、24…シリンダ本体、40…パワーユニット、41…スイッチボックス、42…上面、43…対向面、44…締結溝、50…レール側固定部、51…車体側被溶接部、191…メインプレート、192…サブプレート、193…連結部、193a…ヒンジ、500…底板部、501…立板部、510…前縁部、511…後縁部、512…下縁部、513…縦向被溶接領域、514…横向被溶接領域、5000…挿通孔、B…荷箱、V…貨物車両
Claims (6)
- 貨物車両の荷箱の下に格納可能な荷受台を備える荷受台昇降装置であって、
長尺であり且つ長手方向を前記貨物車両の車体の前後方向に合わせた状態で配置されるスライドレールであって、前記荷受台が前記長手方向に沿ってスライド可能となるように取り付けられたスライドレールと、
前記スライドレールと前記車体とに固定される取付ブラケットと、を備え、
前記取付ブラケットは、前記車体に溶接される車体側被溶接部であって、前記スライドレールの上面に対応する基準位置を跨いで上下に広がるように配置される車体側被溶接部を有する、
荷受台昇降装置。 - 前記車体側被溶接部には、
上下方向に沿って前記基準位置の上方から下方に亘って縦長に形成される縦向被溶接領域と、
前記基準位置の下方において前記前後方向に沿うように配置される前記車体側被溶接部自身の下縁部全体に亘って横長に形成された横向被溶接領域とが設定されている、
請求項1に記載の荷受台昇降装置。 - 前記取付ブラケットは、
前記車体側被溶接部に連設され、且つ前記スライドレールに載置された状態でボルトによって上方から前記スライドレールに固定されるレール側固定部を有し、
前記縦向被溶接領域は、前記レール側固定部の上方から下方に亘って形成され、
前記横向被溶接領域は、前記レール側固定部よりも下方側に位置する、
請求項1又は請求項2に記載の荷受台昇降装置。 - 荷箱の下に格納可能な荷受台を備える荷受台昇降装置が架装された荷受台昇降装置付き貨物車両の製造方法であって、
前記荷受台昇降装置は、前記荷受台と、長尺であり且つ長手方向を前記貨物車両の車体の前後方向に合わせた状態で配置されるスライドレールであって、前記荷受台が前記長手方向に沿ってスライド可能となるように取り付けられるスライドレールと、前記スライドレールと前記車体とに固定される取付ブラケットであって、前記車体に溶接される車体側被溶接部を有する取付ブラケットと、を備え、
前記車体側被溶接部を前記車体に溶接する溶接工程と、
前記溶接工程の後に、前記荷受台昇降装置を、前記スライドレールに前記荷受台がスライド可能に取り付けられ、且つ前記取付ブラケットが前記スライドレールに取り付けられた組立状態にする取付工程と、を備え、
前記溶接工程では、前記スライドレールの上面に対応する基準位置を跨いで上下に広がるように配置されている前記車体側被溶接部を前記基準位置の上方から下方に亘って車体に溶接する、
荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法。 - 前記溶接工程の前に、前記組立状態にした前記荷受台昇降装置を前記車体への取付位置に配置する配置工程と、
前記配置工程の後に、前記荷受台昇降装置を、前記取付ブラケットから前記スライドレールが取り外された分離状態にする取外工程とを行う、
請求項4に記載の荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法。 - 前記配置工程では、荷受台を最も高い位置まで上昇させた状態で前記車体への前記荷受台昇降装置の取付位置を確認する、
請求項5に記載の荷受台昇降装置付きの貨物車両の製造方法。
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- 2021-01-26 JP JP2021010441A patent/JP2022114231A/ja active Pending
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