JP4070573B2 - 荷受台昇降装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷物の積み下ろしのために貨物自動車等に搭載される荷受台昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
平行リンクを構成するアーム(2本)によって荷受台を昇降させる荷受台昇降装置においては、車体左右のアームの先端同士を車幅方向につなぐリンク体と呼ばれる部材を、アームと荷受台との間に介在させた構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、車幅方向に延びるリンク体に平坦な上面部を設けることにより、この上面部を荷受面の一部とすることもできる。また、荷受台をリンク体上に折り畳んで荷受台を格納した状態においては、リンク体の後部がリヤバンパを兼ねる。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−108758号公報(第2〜4頁、図1、図7、図14)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記リヤバンパの左右両端は、法令上、車幅方向において車輪(後輪)の外端から内側へ所定寸法範囲内に位置しなければならない。また、一般的に、貨物自動車における荷箱の床面の左右端は車輪の外端より外側に位置する。そのため必然的に、上記のようなリヤバンパを兼ねるリンク体では、リンク体の車幅方向への幅より、荷箱の床面の幅の方が広くなる。リンク体の幅はすなわち荷受台の幅でもあり、従って、上記のような従来の構成では、荷箱の床面の幅に合わせてリンク体や荷受台の幅を広くすることができなかった。
【0005】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、リヤバンパとしての機能部分を備えつつも、リンク体や荷受台の幅を荷箱の床面の幅に合わせることができる荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、貨物自動車の後部に取り付けられ、荷受台を昇降動作させるとともに当該荷受台を荷箱の床下に格納可能な荷受台昇降装置であって、平行リンクを構成する左右一対のアームと、前記アームに接続され、車幅方向に延びるとともに荷受台格納時に車体の後方に向けられる後面部を有し、当該後面部は下部側より上部側が車幅方向に幅広であるリンク体と、前記リンク体に対して折り畳み可能に接続された荷受台とを備えたものである(請求項1)。
上記のように構成された荷受台昇降装置においては、リンク体の後面部が、下部側より上部側で車幅方向に幅広であることによって、下部側でリヤバンパとしての要件を満たす寸法を維持しつつ、上部側で、荷箱の床面の幅に合わせた寸法を確保するという双方両立の寸法確保が可能となる。
【0007】
また、上記荷受台昇降装置(請求項1)において、リンク体の後面部を含む後部材の全体は、車幅方向の中央に位置するセンター部材と、このセンター部材に対して着脱可能な左右のサイド部材とにより構成されていてもよい(請求項2)。
この場合、損傷を受けやすいサイド部材のみを取り外して修理するか若しくは新品に取り替える作業が容易になる。すなわち、後部材全体又はリンク体全体を取り外して修理したり取り替えたりする面倒な作業は不要である。しかも、このようにセンター部材とサイド部材とに分離できる構成においては、幅寸法(車幅方向への長さ)の異なる種々のサイド部材を用意すれば、共通のセンター部材と、荷箱の床面の幅に合わせて選択したサイド部材とを組み合わせることができる。
【0008】
また、上記荷受台昇降装置(請求項2)において、リンク体は、軽金属からなる前部材と、鉄系金属からなる後部材とにより構成されていてもよい(請求項3)。
この場合、リンク体全体を鉄系金属で構成する場合に比べて軽量となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、貨物自動車の車体101の後部における荷箱102の下方に取り付けられた、格納状態における荷受台昇降装置1を示す側面図である。
図1において、車輪(後輪)103より後方の、シャーシ104の両側面の各々には、アングル状の取付部材2が垂直に取り付けられ、この取付部材2に対して、スライドレール3が水平に固定されている。スライドレール3は、荷受台昇降装置1の可動部分を支持し、かつ、水平に案内する。可動部分の支持基部となっているのは第1支持板4及び第2支持板5であり、これらは連結パイプ6を介して車体の左右に一体構造を成している。
【0010】
図2〜図5は、図1の格納状態の荷受台昇降装置1を引き出して展開する過程を順に示した側面図である。
図2において、ほぼ直線状の下アーム7は、左端部に設けられたピン8を中心に所定範囲で回動自在であり、このピン8は、連結パイプ6に固定された支持部9に取り付けられている。下アーム7の右端部は、ピン10を介してリンク体(垂直リンク体)11と接続されている。
【0011】
上記下アーム7と共に平行リンクを構成する上アーム12は、左端部に設けられたピン13を中心に所定範囲で回動自在であり、このピン13は、縦長形状の補助リンク14に取り付けられている。上アーム12の右端部は、ピン15を介してリンク体11と接続されている。リンク体11は、その上面に、各アーム7,12と交差する方向(車幅方向)に延びる荷受面部11aを備えている。なお、上アーム12は実際には、第2支持板5を挟んで一対設けられた同一形状の鋼板からなり、その一対の鋼板間にリフトシリンダ(図示せず。)が配置されている。リフトシリンダは、その基端が補助リンク14の下部に、ピストン先端が上アーム12にそれぞれ接続されており、伸縮動作によって上アーム12を回動させる。
【0012】
上記補助リンク14は、ピン16を中心に所定範囲で回動自在であり、このピン16は、第2支持板5に取り付けられている。補助リンク14の下部左端側には、ボルト及びナット等からなるストッパ17が取り付けられており、このストッパ17が第2支持板5の下部に当接することで、補助リンク14の時計回り方向への回動が制限される。上アーム12の上端面には短いアングル部材18が溶接され、このアングル部材18に、ボルト、ナット等により構成されたストッパ19が取り付けられている。このストッパ19の頭部が第2支持板5に当接することで、上アーム12が回動許容範囲を超えて反時計回り方向に回動することを防止している。
【0013】
上記リンク体11には、ピン20を中心に回動するヒンジ21が取り付けられている。このヒンジ21は、他のピン22を介して荷受台(プラットホーム)23とも接続されており、2箇所の回動支点を有する二重蝶番である。ヒンジ21と荷受台23との間、及び、ヒンジ21とリンク体11との間にはそれぞれ、トーションスプリング等(図示せず。)が装着されている。これによって、荷受台23は、倒伏させた状態(図4)から約90度に起立するまでは、ピン22を中心に回動し、起立状態からリンク体11上に折り畳まれるまでは、ピン20を中心として回動するように構成されている。
荷受台23は、メインプレート24と、サブプレート25とによって構成されている。メインプレート24とサブプレート25とは、前述のヒンジ21と同様の二重蝶番であるヒンジ26によって相互に接続されている。なお、メインプレート24に設けられたロック装置24aにサブプレート25側のロック部材(図示せず。)が係合することにより、サブプレート25を折り畳んだ状態でロックすることができるようになっている。
【0014】
また、左右のスライドレール3間にはアングル27が車体幅方向に水平に取り付けられ、このアングル27に取付板28が固定されている。取付板28には、左右一対設けられたスライドシリンダ29のピストンロッドが取り付けられている。スライドシリンダ29のシリンダ部(図示せず。)を内部に収めたシリンダ支持部材30は、車体の前後方向に水平配置され、連結パイプ6と交差する位置で、当該連結パイプ6に溶接されている。シリンダ支持部材30の後端部には、ガイドローラ31が取り付けられている。なお、車幅方向の中央付近において、連結パイプ6にスペアタイヤ32が取り付けられている。
【0015】
上記スライドシリンダ29が油圧の給排に伴って伸縮動作をすることにより、連結パイプ6が取付板28に対してスライド動作する。従って、連結パイプ6に直接又は間接に支持された全ての部材は可動側部材となる。すなわち、取付部材2、スライドレール3、アングル27及び取付板28が荷受台昇降装置1の固定側部材であり、この固定側部材との連結の役目をするピストンロッド29を含む残りの部材が可動側部材である。
【0016】
以上のように構成された荷受台昇降装置1における、格納状態からの引き出し及び昇降動作について、図1〜図5を参照して簡単に説明する。
まず、図1に示す格納状態からスライドシリンダ29を伸張動作させることにより、荷受台昇降装置1の可動側部材が車体後方へ引き出される。その状態から前述のリフトシリンダを動作させて上アーム12及び下アーム7を下降方向に回動させる。これにより、リンク体11は下降し、ガイドローラ31に接している荷受台23は図2に示すように起立方向へ回動する。
続いて、操作者が手で荷受台23を起立させ(図3)、さらに後方へ倒伏させると、図4に示す状態となる。さらに、操作者は、折り畳まれた状態の荷受台23を、図5の実線に示すように展開する。このようにして引き出され、かつ、展開された荷受台23は、上アーム12及び下アーム7の回動によって、図示のように昇降動作する。また、下降端にある荷受台23に対してリフトシリンダが動作することにより、補助リンク14が僅かに回動して、荷受台23を着地面に沿わせるようにチルト動作させることができる。
【0017】
次に、リンク体11の構造について詳細に説明する。図6は、荷箱102の床下に格納された状態(図1)の荷受台昇降装置1を、車体の後方から見た図である。図において、車体の後方に向けられているリンク体11の後面部11bは、車幅方向に延びて、リヤバンパを兼ねている。後面部11bの両端は図示のように斜めにカットされており、従って、その下部側より上部側の方が車幅方向に幅広である。図7は、リンク体11の詳細図であり、(a)は図6と同様に車体の後方から見た図、(b)はリンク体11を下から見た図(底面図)である。また、図8は、図7の(a)におけるVIII-VIII線断面図である。
【0018】
図7及び図8において、リンク体11の主要部は、車幅方向に延びた概ね板状の部材である前部材111及び後部材112と、これらと固定され、各アーム7,12(図1〜4)や荷受台23とピン接続される垂直部113とによって構成されている。前述の荷受面部11aは、前部材111と、後部材112の水平部分とによって構成されている。また、前述の後面部11bは、後部材112の垂直部分によって構成されている。ここで、後部材112はリヤバンパとしての機械的強度も必要となるため、鉄系金属(鉄、ステンレス等)鋼板を加工して作製する。また、垂直部113は、荷受台23や積荷の全荷重を支えるため、所定の機械的強度を確保すべく同様の鋼板を加工して作製する。一方、前部材111は、機械的強度を特に要求される部位ではないため、軽金属であるアルミニウムの押し出し成型品とする。前部材111がアルミニウム製であることは、リンク体11全体の重量軽減に寄与する。なお、アルミニウム以外の軽金属を用いてもよいことはいうまでもない。
【0019】
また、車幅方向におけるリンク体11の両端部には、樹脂製のカバー114や、クッションゴム115が取り付けられている。クッションゴム115は、荷受台23を図4の状態から図3の状態に起立させたとき、サブプレート25の先端がヒンジ21に当たって損傷が生じるのを防止している。図8におけるリンク体11の下方側には、垂直部113から取付部材116を介して、着地時の衝撃緩和用のクッションゴム117が取り付けられている。
図7において、後部材112は、車幅方向の中央に位置するセンター部材112aと、これに接続された左右のサイド部材112bとによって構成されている。サイド部材112bはボルト112c等によってセンター部材112a及び前部材111と締結されている。従って、サイド部材112bは、センター部材112a及び前部材111に対して着脱自在である。
【0020】
図6に戻り、上記のようにリンク体11の後面部11bを、下部側より上部側の方が車幅方向に幅広である形状とすることにより、上部側では荷箱102の床面の幅W1に合わせた荷受面の幅を、リンク体11及び荷受台23に確保することができる。他方、このようなリンク体11は、法令上リヤバンパに要求される要件を以下のように満たしている。
【0021】
すなわち、後面部11bの左右両端のうち、下方部分11cは、車輪103の外端より車幅方向における内側に存在し、上方部分11dは、車輪103の外端より車幅方向における外側に存在する。また、車輪103の外端より外側に存在する部分の垂直方向への高さH1は100mmに満たないが、後面部11b全体の高さH2は、100mm以上である。ここで、法令上、リヤバンパたり得るためには、垂直方向に100mm以上存在していなければならず、また、リヤバンパの両端は車輪103の外端から車幅方向の内側に0〜200mmの範囲内でなければならない。従って、車輪103の外端より外側に出ている部分は高さH1が100mmに満たないので、リヤバンパではなく、その部分を除く他の部分(ハッチングを付した部分)がリヤバンパである。こうして、リンク体11に適法なリヤバンパとしての機能部分を備え、かつ、荷箱102の床面の幅W1にリンク体11や荷受台23の幅を合わせることができる。
【0022】
また、リヤバンパとしてのリンク体11は、特に左右のサイド部材112b(図7)の部分に損傷を受けやすいが、サイド部材112bは着脱可能であるので、そのような場合には、損傷を受けた当該サイド部材112bのみを取り外して修理するか若しくは新品に取り替えればよい。すなわち、後部材112全体や、リンク体11全体を取り外して修理したり取り替えたりする面倒な作業は不要である。従って、修理や取り替えが簡単であるとともに、保守にかかるコストを削減することができる。
しかも、このようにセンター部材112aとサイド部材112bとに分離可能とした構成は、幅寸法(車幅方向への長さ)の異なる種々のサイド部材112bを用意することにより、共通のセンター部材112aと、荷箱の床面の幅に合わせて選択したサイド部材112bとを組み立てることにより、容易に、種々の荷箱に対応する幅寸法の後部材112を作製することができる。
【0023】
なお、リンク体11の後面部11bの両端形状は、上記実施形態のような斜めに直線状にカットした形状に限らず、下部側より上部側の方が幅広であるという基本形態の種々の応用形状が可能である。図9はその一例を示す図である。すなわち、図示のように、車輪103の外端またはそれより内側で垂直に端部(11c)を立ち上げ、上部(11d)を水平に車輪103の外端より外側に張り出させてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の荷受台昇降装置によれば、リンク体の後面部が、下部側より上部側で車幅方向に幅広であることによって、下部側でリヤバンパとしての要件を満たす寸法を維持しつつ、上部側で、荷箱の床面の幅に合わせた寸法を確保するという双方両立の寸法確保が可能となる。従って、リヤバンパとしての機能部分を備えつつも、荷箱の床面の幅にリンク体や荷受台の幅を合わせることができる荷受台昇降装置を提供することができる。
【0025】
請求項2の荷受台昇降装置によれば、損傷を受けやすいサイド部材のみの取り外しや取り替えが容易になるので、後部材全体又はリンク体全体を取り外して修理したり取り替えたりする面倒な作業は不要となり、修理や取り替えが簡単であるとともに、保守にかかるコストを削減することができる。しかも、このようにセンター部材とサイド部材とに分離できる構成においては、幅寸法(車幅方向への長さ)の異なる種々のサイド部材を用意すれば、共通のセンター部材と、その床面の幅に合わせて選択したサイド部材とを組み合わせることにより、容易に、種々の荷箱に対応する幅寸法の後部材を作製することができる。
【0026】
請求項3の荷受台昇降装置によれば、リンク体全体を鉄系金属で構成する場合に比べて軽量化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】貨物自動車の車体の後部における荷箱の下方に取り付けられた、格納状態における荷受台昇降装置を示す側面図である。
【図2】図1の格納状態の荷受台昇降装置を引き出して展開する途中の状態を示す側面図である。
【図3】図2の状態から荷受台を起立させた状態を示す側面図である。
【図4】図3の状態から荷受台を倒伏させた状態を示す側面図である。
【図5】図4の状態から荷受台を展開した状態を示す側面図である。
【図6】荷箱の床下に格納された状態の上記荷受台昇降装置を、車体の後方から見た図である。
【図7】上記荷受台昇降装置におけるリンク体の詳細図であり、(a)は車体の後方から見た図、(b)は底面図である。
【図8】図7の(a)におけるVIII-VIII線断面図である。
【図9】上記荷受台昇降装置のリンク体とは異なる両端形状を有する他のリンク体を示す図である。
【符号の説明】
1 荷受台昇降装置
7 下アーム
11 リンク体
11b 後面部
12 上アーム
23 荷受台
111 前部材
112 後部材
112a センター部材
112b サイド部材
Claims (3)
- 貨物自動車の後部に取り付けられ、荷受台を昇降動作させるとともに当該荷受台を荷箱の床下に格納可能な荷受台昇降装置であって、
平行リンクを構成する左右一対のアームと、
前記アームに接続され、車幅方向に延びるとともに荷受台格納時に車体の後方に向けられる後面部を有し、当該後面部は下部側より上部側が車幅方向に幅広であるリンク体と、
前記リンク体に対して折り畳み可能に接続された荷受台と
を備えたことを特徴とする荷受台昇降装置。 - 前記リンク体の後面部を含む後部材の全体は、車幅方向の中央に位置するセンター部材と、このセンター部材に対して着脱可能な左右のサイド部材とにより構成されている請求項1記載の荷受台昇降装置。
- 前記リンク体は、軽金属からなる前部材と、鉄系金属からなる前記後部材とにより構成されている請求項2記載の荷受台昇降装置。
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