本明細書中で「重量」との表現がある場合は、重さを示すSI系単位として慣用されている「質量」と読み替えてもよい。
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。
≪≪1.粘着剤層付フィルム≫≫
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、基材層と粘着剤層を有する粘着剤層付フィルムであって、該粘着剤層の該基材層と反対側にセパレ-タを有さず、該基材層の該粘着剤層と反対側に離型層を有さない。本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、代表的には、基材層と粘着剤層を有する粘着剤層付フィルムであって、該基材層と該粘着剤層がそれぞれ最外層である。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、粘着剤層の基材層と反対側にセパレ-タを有さないので、セパレータのコストを削減できるとともに、セパレータ剥離工程を省略できる。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、基材層の粘着剤層と反対側に離型層を有さないので、離型層に含まれる各種成分の粘着剤層への移行が回避でき、表面保護フィルムを被着体に貼り付けた場合に、被着体の表面を汚染してしまうという問題を抑制できる。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、基材層と粘着剤層を有する粘着剤層付フィルムであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していてもよい。
図1に示すように、本発明の粘着剤層付フィルム100の一つの実施形態は、基材層10と粘着剤層20が直接に積層されてなるフィルムである。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、各種用途に採用可能である。代表的には、光学部材や電子部材(例えば、液晶ディスプレイ等に用いられるガラス、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、輝度向上フィルム、透明導電性フィルムなど)の製造工程における、加工、組立、検査、輸送などの際の部材の表面の傷付き防止のために表面を保護する表面保護フィルムや、キャリアシートなどが挙げられる。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムの形態としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な形態を採用し得る。このような形態としては、例えば、巻回体(ロール体ともいう)、枚葉体などが挙げられる。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムにおいては、基材層がポリエステル系樹脂を含む。基材層がポリエステル系樹脂を含むことにより、本発明の効果をより発現し得、特に、基材層としてポリエチレン系フィルムを用いた場合の従来の問題点を解消し得る。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムにおいては、粘着剤層がウレタン系粘着剤から構成されるウレタン系粘着剤層である。粘着剤層がウレタン系粘着剤から構成されるウレタン系粘着剤層であることにより、本発明の効果をより発現し得、特に、加工時において糊カスが発生するという問題を抑制し得る。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムにおいては、粘着剤層の厚みが1.0μm~6.0μmの範囲内に調整される。粘着剤層の厚みは、好ましくは1.0μm~5.5μmであり、より好ましくは1.0μm~5.0μmであり、さらに好ましくは1.0μm~4.5μmであり、特に好ましくは1.5μm~4.0μmであり、最も好ましくは1.5μm~3.5μmである。粘着剤層の厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の効果がより発現し得る。粘着剤層の厚みが上記範囲内を外れて大きすぎると、低速剥離力や高速剥離力が高くなりすぎてしまうおそれがあり、特に、高速剥離力が高くなりすぎることにより、実使用において意図しない箇所での剥離が生じてしまうなどの問題が生じるおそれがある。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、温度23℃、湿度50%RH下において、基材層の粘着剤層と反対側の面に対する該粘着剤層の、剥離速度0.3m/分、剥離角度180度で測定した低速剥離力が、好ましくは0.01N/25mm以上であり、より好ましくは0.01N/25mm~0.15N/25mmであり、さらに好ましくは0.01N/25mm~0.10N/25mmであり、特に好ましくは0.01N/25mm~0.05N/25mmである。上記低速剥離力が0.01N/25mm未満の場合、例えば、巻回体とするために巻き取りを行う際や巻き取りを行った巻回体の状態での、基材層に対する粘着剤層の密着性が低くなり、巻き取りがスムーズにできないおそれや、巻回体の形状維持ができないおそれがある。上記低速剥離力が上記範囲内にあれば、セパレータレスでの巻き取り性が良好なものとなり得る。上記低速剥離力の測定方法の詳細は、後述する。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、温度23℃、湿度50%RH下において、基材層の粘着剤層と反対側の面に対する該粘着剤層の、剥離速度10m/分、剥離角度180度で測定した高速剥離力が、好ましくは0.10N/25mm以下であり、より好ましくは0.01N/25mm~0.10N/25mmであり、さらに好ましくは0.02N/25mm~0.10N/25mmであり、特に好ましくは0.03N/25mm~0.10N/25mmである。上記高速剥離力が0.10N/25mmを超えると、例えば、粘着剤層付フィルムを巻回体の状態から巻き出しを行う場合に、重剥離となり、巻き出しがスムーズにできないおそれがある。上記高速剥離力が上記範囲内にあれば、セパレータレスでの巻き出し性が良好なものとなり得る。上記高速剥離力の測定方法の詳細は、後述する。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、上記低速剥離力と上記高速剥離力が、低速剥離力≦高速剥離力の関係であることが好ましい。このような関係であれば、セパレータレスでのより優れた巻き取り性およびより優れた巻き出し性を発現し得る。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムの総厚みは、好ましくは20μm~100μmであり、より好ましくは25μm~80μmであり、さらに好ましくは30μm~60μmである。本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムの総厚みが上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現し得る。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、全光線透過率が、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%~100%であり、さらに好ましくは80%~100%であり、特に好ましくは83%~100%であり、最も好ましくは85%~100%である。
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、ヘイズが、好ましくは15%以下であり、より好ましくは0%~10%であり、さらに好ましくは0%~8%であり、特に好ましくは0%~7%であり、最も好ましくは0%~6%である。
≪1-1.基材層≫
基材層は、本発明の効果を発現させ得る点で、ポリエステル系樹脂を含む。
基材層中のポリエステル系樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%を超えて100重量%以下であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。基材層中のポリエステル系樹脂の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果をより発現させ得る。
ポリエステル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリエステル系樹脂を採用し得る。このようなポリエステル系樹脂としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
基材層の厚みとしては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは1μm~300μmであり、より好ましくは5μm~200μmであり、さらに好ましくは10μm~150μmであり、特に好ましくは20μm~100μmであり、最も好ましくは30μm~80μmである。
基材層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
基材層は、延伸されたものであってもよい。
基材層は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理、下塗り剤によるコーティング処理などが挙げられる。
基材層には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、帯電防止剤、着色剤、顔料等の粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、有機粒子、無機粒子などが挙げられる。
≪1-2.粘着剤層≫
粘着剤層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
粘着剤層の厚みは、前述したように、粘着剤層の厚みが1.0μm~6.0μmの範囲内に調整される。粘着剤層の厚みは、好ましくは1.0μm~5.5μmであり、より好ましくは1.0μm~5.0μmであり、さらに好ましくは1.0μm~4.5μmであり、特に好ましくは1.5μm~4.0μmであり、最も好ましくは1.5μm~3.5μmである。粘着剤層の厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の効果がより発現し得る。上述したように、粘着剤層の厚みが上記範囲内を外れて大きすぎると、低速剥離力や高速剥離力が高くなりすぎてしまうおそれがあり、特に、高速剥離力が高くなりすぎることにより、実使用において意図しない箇所での剥離が生じてしまうなどの問題が生じるおそれがある。
粘着剤層は、前述の通り、ウレタン系粘着剤から構成されるウレタン系粘着剤層である。粘着剤層がウレタン系粘着剤から構成されるウレタン系粘着剤層であることにより、本発明の効果をより発現し得、特に、加工時において糊カスが発生するという問題を抑制し得る。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン系粘着剤組成物から形成される。すなわち、ウレタン系粘着剤組成物から形成されるウレタン系粘着剤が層形状を構成することによって粘着剤層となる。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン系粘着剤組成物から形成されるものとして規定し得る。これは、ウレタン系粘着剤は、ウレタン系粘着剤組成物が、加熱や紫外線照射などによって架橋反応などを起こすことにより、ウレタン系粘着剤となるため、ウレタン系粘着剤をその構造により直接特定することが不可能であり、また、およそ実際的でないという事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するため、「ウレタン系粘着剤組成物から形成されるもの」との規定により、ウレタン系粘着剤を「物」として妥当に特定したものである。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン系粘着剤組成物から形成される。このような形成方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な形成方法を採用し得る。このような形成方法としては、例えば、従来において一般に知られているウレタン系粘着剤の形成方法を採用し得る。このような形成方法としては、具体的には、例えば、ウレタン系粘着剤組成物を任意の適切な基材フィルム(例えば、本発明の実施形態による表面保護フィルムにおける基材層)に直接付与して乾燥または硬化させる方法(直接法)、ウレタン系粘着剤組成物を剥離ライナーの表面(剥離面)に付与して乾燥または硬化させることで該表面上に形成したウレタン系粘着剤層を基材フィルム(例えば、本発明の実施形態による表面保護フィルムにおける基材層)に貼り合わせて該ウレタン系粘着剤層を転写する方法(転写法)が挙げられる。粘着剤層の投錨性の観点から、代表的には、直接法を好ましく採用し得る。これらの形成方法における各種条件については、従来において一般に知られているウレタン系粘着剤の形成方法における各種条件を採用し得る。
このようなウレタン系粘着剤層の付与(代表的には塗布)の方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、キスコート法、ディップロールコート法、バーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、スプレーコート法、コンマコート法、ダイレクトコート法、ダイコーターによるコート法等の、従来公知の各種方法を適宜採用することができる。
ウレタン系粘着剤組成物の乾燥は、必要に応じて加熱下で(例えば、60℃~150℃程度に加熱することにより)行うことができる。ウレタン系粘着剤組成物を硬化させる手段としては、例えば、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、X線、電子線を適宜採用することができる。
ウレタン系粘着剤の製造方法としては、ウレタンプレポリマーを用いずに、ポリオールと多官能イソシアネート化合物をダイレクトに反応させてウレタン系粘着剤を製造するワンショット法と、ウレタンプレポリマーと多官能イソシアネート化合物を反応させてウレタン系粘着剤を製造するプレポリマー法との、2種類の製造方法が存在する。ここで、「ウレタンプレポリマー」は複数の水酸基を有し得るため、「ポリオール」との区別を明確にするため、本発明の説明における「ポリオール(A1)」には、本発明の説明における「ウレタンプレポリマー(A2)」は包含されないものとする。
<1-2-1.ワンショット法で製造されるウレタン系粘着剤>
ポリウレタン系粘着剤の一つの実施形態は、ポリオール(A1)と多官能イソシアネート化合物(B)を含有するウレタン系粘着剤組成物を硬化させて得られるポリウレタン系粘着剤である。すなわち、この形態におけるウレタン系粘着剤組成物は、ポリオール(A1)と多官能イソシアネート化合物(B)を含有する。
この形態におけるウレタン系粘着剤組成物中におけるポリオール(A1)と多官能イソシアネート化合物(B)の合計量の含有割合は、溶剤を除いて、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは55重量%~95重量%であり、さらに好ましくは60重量%~90重量%であり、特に好ましくは65重量%~85重量%であり、最も好ましくは70重量%~80重量%である。
〔1-2-1-a.ポリオール(A1)〕
ポリオール(A1)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリオール(A1)としては、OH基を2個以上有するポリオールであれば、任意の適切なポリオールを採用し得る。このようなポリオール(A1)としては、例えば、OH基を2個有するポリオール(ジオール)、OH基を3個有するポリオール(トリオール)、OH基を4個有するポリオール(テトラオール)、OH基を5個有するポリオール(ペンタオール)、OH基を6個有するポリオール(ヘキサオール)が挙げられる。
本発明においては、ポリオール(A1)として、好ましくは、OH基を3個有するポリオール(トリオール)を必須成分として採用する。ポリオール(A1)としてOH基を3個有するポリオール(トリオール)を必須成分として採用すると、本発明の効果をより発現させ得る。
ポリオール(A1)中の、OH基を3個有するポリオール(トリオール)の含有割合は、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは80重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。
ポリオール(A1)としては、好ましくは、数平均分子量Mnが400~20000のポリオールを含む。ポリオール(A1)中の、数平均分子量Mnが400~20000のポリオールの含有割合は、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。ポリオール(A1)中の、数平均分子量Mnが400~20000のポリオールの含有割合を、上記範囲内に調整することにより、本発明の効果をより発現させ得る。
本発明においては、ポリオール(A1)としてOH基を3個有するポリオール(トリオール)を必須成分として採用する場合、好ましくは、数平均分子量Mnが7000~20000のトリオールと、数平均分子量Mnが2000~6000のトリオールと、数平均分子量Mnが400~1900のトリオールとを併用し、より好ましくは、数平均分子量Mnが8000~15000のトリオールと、数平均分子量Mnが2000~5000のトリオールと、数平均分子量Mnが500~1800のトリオールとを併用し、さらに好ましくは、数平均分子量Mnが8000~12000のトリオールと、数平均分子量Mnが2000~4000のトリオールと、数平均分子量Mnが500~1500のトリオールとを併用する。このような3種のトリオールを併用すると、本発明の効果をより発現させ得る。
ポリオール(A1)としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ひまし油系ポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオール成分と酸成分とのエステル化反応によって得ることができる。
ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,8-デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、ポリプロピレングリコールが挙げられる。
酸成分としては、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、ダイマー酸、2-メチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-エチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェエルジカルボン酸、これらの酸無水物が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、低分子ポリオール(プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなど)などを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ε-カプロラクトン、σ-バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記ポリオール成分とホスゲンとを重縮合反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記ポリオール成分と、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロビル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、エチルブチル炭酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジフェニル、炭酸ジベンジル等の炭酸ジエステル類とを、エステル交換縮合させて得られるポリカーボネートポリオール;上記ポリオール成分を2種以上併用して得られる共重合ポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとカルボキシル基含有化合物とをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエーテル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとエステル化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとジカルボン酸化合物とを重縮合反応させて得られるポリエステル系ポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとアルキレンオキサイドとを共重合させて得られる共重合ポリエーテル系ポリカーボネートポリオール;が挙げられる。
ひまし油系ポリオールとしては、例えば、ひまし油脂肪酸と上記ポリオール成分とを反応させて得られるひまし油系ポリオールが挙げられる。ひまし油系ポリオールとしては、具体的には、例えば、ひまし油脂肪酸とポリプロピレングリコールとを反応させて得られるひまし油系ポリオールが挙げられる。
〔1-2-1-b.ワンショット法で用いられる多官能イソシアネート化合物(B)〕
ワンショット法で用いられる多官能イソシアネート化合物(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
多官能イソシアネート化合物(B)としては、ウレタン化反応に用い得る任意の適切な多官能イソシアネート化合物を採用し得る。このような多官能イソシアネート化合物(B)としては、例えば、多官能脂肪族系イソシアネート化合物、多官能脂環族系イソシアネート、多官能芳香族系イソシアネート化合物が挙げられる。
多官能脂肪族系イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
多官能脂環族系イソシアネート化合物としては、例えば、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロへキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
多官能芳香族系ジイソシアネート化合物としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソソアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’一ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
多官能イソシアネート化合物(B)としては、上記のような各種多官能イソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量も挙げられる。また、これらを併用してもよい。
多官能イソシアネート化合物(B)の含有割合は、ポリオール(A1)に対して、多官能イソシアネート化合物(B)が、好ましくは5重量%~60重量%であり、より好ましくは8重量%~60重量%であり、さらに好ましくは10重量%~60重量%である。多官能イソシアネート化合物(B)の含有割合を上記範囲内に調整することにより、本発明の効果をより発現させ得る。
ポリオール(A1)と多官能イソシアネート化合物(B)における、NCO基とOH基の当量比は、本発明の効果をより発現させ得る点で、NCO基/OH基として、1.0を超えて5.0以下であり、好ましくは1.1~5.0であり、より好ましくは1.2~4.0であり、さらに好ましくは1.5~3.5であり、特に好ましくは1.8~3.0である。
〔1-2-1-c.他の成分〕
ウレタン系粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含み得る。このような他の成分としては、例えば、他の樹脂成分、多官能イソシアネート化合物(B)以外の架橋剤、架橋遅延剤、イオン性化合物、フッ素系添加剤、シリコーン系添加剤、脂肪酸エステル、粘着付与剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、箔状物、軟化剤、老化防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤、触媒が挙げられる。
(イオン性化合物)
他の成分として、イオン性化合物を含むと、本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムの帯電防止性能が向上し得る。
イオン性化合物の含有割合としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムの帯電防止性能をより向させ得る点で、ポリオール(A1)全量に対するイオン性化合物の含有割合は、好ましくは0.05重量%以上であり、より好ましくは0.10重量%~50重量%であり、さらに好ましくは0.20重量%~30重量%であり、特に好ましくは0.30重量%~10重量%であり、最も好ましくは0.50重量%~1重量%である。
イオン性化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なイオン性化合物を採用し得る。イオン性化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
イオン性化合物としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、オニウムカチオンおよび金属カチオンから選ばれる少なくとも1種とフルオロ有機アニオンを含むイオン性化合物、イオン性基含有シリコーンオリゴマーであり、粘着剤層の外観をより優れたものとし得る点で、より好ましくは、オニウムカチオンおよび金属カチオンから選ばれる少なくとも1種とフルオロ有機アニオンを含むイオン性化合物である。
イオン性化合物は、イオン性液体であってもよい。イオン性液体とは、25℃で液状を呈する溶融塩(イオン性化合物)を意味する。
イオン性基含有シリコーンオリゴマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なイオン性基含有シリコーンオリゴマーを採用し得る。イオン性基含有シリコーンオリゴマーとして、例えば、信越化学工業社製の商品名「X-40-2450」が挙げられる。
オニウムカチオンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なオニウムカチオンを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、このようなオニウムカチオンとしては、好ましくは、アンモニウムカチオン(窒素含有オニウムカチオン)、スルホニウムカチオン(硫黄含有オニウムカチオン)、リン含有オニウムカチオン(ホスホニウムカチオン)から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、アンモニウムカチオンである。
金属カチオンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な金属カチオンを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、このような金属カチオンとしては、好ましくは、Liカチオン、Naカチオン、Kカチオン等のアルカリ金属カチオンである。
フルオロ有機アニオンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なフルオロ有機アニオンを採用し得る。フルオロ有機アニオンは、完全にフッ素化(パーフルオロ化)されていてもよいし、部分的にフッ素化されていてもよい。
このようなフルオロ有機アニオンとしては、例えば、フッ素化されたアリールスルホネート、パーフルオロアルカンスルホネート、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド、シアノパーフルオロアルカンスルホニルアミド、ビス(シアノ)パーフルオロアルカンスルホニルメチド、シアノ-ビス-(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド、トリフルオロアセテート、パーフルオロアルキレート、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチド、(パーフルオロアルカンスルホニル)トリフルオロアセトアミドが挙げられる。
これらのフルオロ有機アニオンの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、パーフルオロアルキルスルホネート、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドであり、より具体的には、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであり、好ましくは、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
イオン性化合物としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、より好ましくは、オニウムカチオンとフルオロ有機アニオンとから構成されるイオン性化合物である。
オニウムカチオンとしては、好ましくは、一般式(1)~(4)で表される構造から選ばれる少なくとも1種を有する。
一般式(1)において、Raは、炭素数4から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよく、RbおよびRcは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ただし、窒素原子が2重結合を含む場合、Rcはない。
一般式(2)において、Rdは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよく、Re、Rf、およびRgは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
一般式(3)において、Rhは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよく、Ri、Rj、およびRkは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
一般式(4)において、Zは、窒素原子、硫黄原子、またはリン原子を表し、Rl、Rm、Rn、およびRoは、同一または異なって、炭素数1から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ただしZが硫黄原子の場合、Roはない。
一般式(1)で表されるカチオン構造としては、例えば、ピリジニウムカチオン構造、ピロリジニウムカチオン構造、ピペリジニウムカチオン構造、ピロリン骨格を有するカチオン構造、ピロール骨格を有するカチオン構造が挙げられる。
一般式(1)で表されるカチオンの具体例としては、例えば、1-エチルピリジニウムカチオン、1-ブチルピリジニウムカチオン、1-へキシルピリジニウムカチオン、1-エチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-へキシル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-オクチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3,4-ジメチルピリジニウムカチオン、1,1-ジメチルピロリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオン;1-エチル-1-メチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ペンチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-へキシルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ヘプチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-ペンチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-へキシルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-へプチルピロリジニウムカチオン、1,1-ジプロピルピロリジニウムカチオン、1-プロピル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1,1-ジブチルピロリジニウムカチオン等のピロリジニウムカチオン;1-プロピルピペリジニウムカチオン、1-ペンチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-エチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ペンチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ヘキシルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-へプチルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-プロピルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ペンチルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ヘキシルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-へプチルピペリジニウムカチオン、1-プロピル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1,1-ジメチルピペリジニウムカチオン、1,1-ジプロピルピペリジニウムカチオン、1,1-ジブチルピペリジニウムカチオン等のピペリジニウムカチオン;2-メチル-1-ピロリンカチオン;1-エチル-2-フェニルインドールカチオン;1,2-ジメチルインドールカチオン;1-エチルカルバゾールカチオン;これらのカチオンがさらにビニル基(CH2=CH-基)およびアリル基(CH2=CH-CH2-基)から選ばれる少なくとも1種を有するカチオン;が挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果がより一層発現し得る点で、好ましくは、1-エチルピリジニウムカチオン、1-ブチルピリジニウムカチオン、1-へキシルピリジニウムカチオン、1-エチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-へキシル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-オクチル-4-メチルピリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオン;1-エチル-1-メチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ペンチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-へキシルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-ヘプチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-ブチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-ペンチルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-へキシルピロリジニウムカチオン、1-エチル-1-へプチルピロリジニウムカチオン等のピロリジニウムカチオン;1-メチル-1-エチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ペンチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-ヘキシルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-へプチルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-プロピルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ブチルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ペンチルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-ヘキシルピペリジニウムカチオン、1-エチル-1-へプチルピペリジニウムカチオン、1-プロピル-1-ブチルピペリジニウムカチオン等のピペリジニウムカチオン;これらのカチオンがさらにビニル基(CH2=CH-基)およびアリル基(CH2=CH-CH2-基)から選ばれる少なくとも1種を有するカチオン;が挙げられ、より好ましくは、1-へキシルピリジニウムカチオン、1-エチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-ブチル-3-メチルピリジニウムカチオン、1-オクチル-4-メチルピリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオン、これらのカチオンがさらにビニル基(CH2=CH-基)およびアリル基(CH2=CH-CH2-基)から選ばれる少なくとも1種を有するカチオンである。
一般式(2)で表されるカチオン構造としては、例えば、イミダゾリウムカチオン構造、テトラヒドロピリミジニウムカチオン構造、ジヒドロピリミジニウムカチオン構造が挙げられる。
一般式(2)で表されるカチオンの具体例としては、例えば、1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジエチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-へキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1-へキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムカチオン;1,3-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5-テトラメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニウムカチオン等のテトラヒドロピリミジニウムカチオン;1,3-ジメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3-ジメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3-トリメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,4-ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4-テトラメチル-1,6-ジヒドロピリミジニウムカチオンなどのジヒドロピリミジニウムカチオン;これらのカチオンがさらにビニル基(CH2=CH-基)およびアリル基(CH2=CH-CH2-基)から選ばれる少なくとも1種を有するカチオン;が挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果がより一層発現し得る点で、好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3-ジエチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-へキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、これらのカチオンがさらにビニル基(CH2=CH-基)およびアリル基(CH2=CH-CH2-基)から選ばれる少なくとも1種を有するカチオン等のイミダゾリウムカチオンであり、より好ましくは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-へキシル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、これらのカチオンがさらにビニル基(CH2=CH-基)およびアリル基(CH2=CH-CH2-基)から選ばれる少なくとも1種を有するカチオンである。
一般式(3)で表されるカチオン構造としては、例えば、ピラゾリウムカチオン構造、ピラゾリニウムカチオン構造が挙げられる。
一般式(3)で表されるカチオンの具体例としては、例えば、1-メチルピラゾリウムカチオン、3-メチルピラゾリウムカチオン、1-エチル-2-メチルピラゾリニウムカチオン、1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウムカチオン、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリウムカチオン等のピラゾリウムカチオン;1-エチル-2,3,5-トリメチルピラゾリニウムカチオン、1-プロピル-2,3,5-トリメチルピラゾリニウムカチオン、1-ブチル-2,3,5-トリメチルピラゾリニウムカチオン等のピラゾリニウムカチオン;これらのカチオンがさらにビニル基(CH2=CH-基)およびアリル基(CH2=CH-CH2-基)から選ばれる少なくとも1種を有するカチオン;が挙げられる。
一般式(4)で表されるカチオン構造としては、例えば、テトラアルキルアンモニウムカチオン構造、トリアルキルスルホニウムカチオン構造、テトラアルキルホスホニウムカチオン構造や、上記アルキル基の一部がアルケニル基やアルコキシル基やエポキシ基に置換されたものが挙げられる。
一般式(4)で表されるカチオンの具体例としては、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-プロピルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ブチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ペンチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ノニルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N,N-ジプロピルアンモニウムカチオン、N,N-ジエチル-N-プロピル-N-ブチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-プロピル-N-ペンチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-プロピル-N-ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-プロピル-N-ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-ブチル-N-ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N-ジエチル-N-ブチル-N-ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N-ペンチル-N-ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチル-N,N-ジヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N-ジエチル-N-メチル-N-プロピルアンモニウムカチオン、N,N-ジエチル-N-メチル-N-ペンチルアンモニウムカチオン、N,N-ジエチル-N-メチル-N-ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N-ジエチル-N-プロピル-N-ペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N-ジプロピル-N-メチル-N-エチルアンモニウムカチオン、N,N-ジプロピル-N-メチル-N-ペンチルアンモニウムカチオン、N,N-ジプロピル-N-ブチル-N-ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N-ジプロピル-N,N-ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N-ジブチル-N-メチル-N-ペンチルアンモニウムカチオン、N,N-ジブチル-N-メチル-N-ヘキシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、N-メチル-N-エチル-N-プロピル-N-ペンチルアンモニウムカチオン等のテトラアルキルアンモニウムカチオン;トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン等のトリアルキルスルホニウムカチオン;テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン等のテトラアルキルホスホニウムカチオン;これらのカチオンがさらにビニル基(CH2=CH-基)およびアリル基(CH2=CH-CH2-基)から選ばれる少なくとも1種を有するカチオン;が挙げられる。
イオン性化合物としては、好ましくは、上記のオニウムカチオンおよび上記の金属カチオンから選ばれる少なくとも1種と上記のフルオロ有機アニオンを含むイオン性化合物、イオン性基含有シリコーンオリゴマーであり、より好ましくは、上記のオニウムカチオンおよび上記の金属カチオンから選ばれる少なくとも1種と上記のフルオロ有機アニオンを含むイオン性化合物であり、さらに好ましくは、上記のオニウムカチオンと上記のフルオロ有機アニオンを含むイオン性化合物である。
本発明の効果をより発現させ得る点で、イオン性化合物としては、具体的には、好ましくは、1-ヘキシルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルピリジニウムペンタフルオロエタンスルホネート、1-エチル-3-メチルピリジニウムヘプタフルオロプロパンスルホネート、1-エチル-3-メチルピリジニウムノナフルオロブタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-オクチル-4-メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘプタフルオロプロパンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-アリル-3-メチル-イミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-アリル-3-メチル-イミダゾリウムヘプタフルオロプロパンスルホネート、1-アリル-3-メチル-イミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アリル-3-メチル-イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドであり、より好ましくは、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-アリル-3-メチル-イミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであり、さらに好ましくは、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-アリル-3-メチル-イミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
イオン性化合物は、市販のものを使用してもよいし、任意の適切な方法によって合成したものを使用してもよい。例えば、イオン液体は、「イオン性液体-開発の最前線と未来-」(シーエムシー出版発行)に記載されているような、ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、および中和法などによって合成してもよい。
(フッ素系添加剤)
他の成分として、フッ素系添加剤を含むと、本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムのセパレータレスでの巻き取り性および巻き出し性や帯電防止性能をより向上させることが可能となる。
フッ素系添加剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なフッ素系添加剤を採用し得る。
フッ素系添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
フッ素系添加剤の含有割合としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムのセパレータレスでの巻き取り性および巻き出し性や帯電防止性能をより向上させ得る点で、ポリオール(A1)全量に対するフッ素系添加剤の含有割合は、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.03重量%~30重量部であり、さらに好ましくは0.05重量部~10重量部であり、特に好ましくは0.05重量部~1重量部である。
本発明の効果をより発現させ得る点で、ポリオール(A1)全量に対するフッ素系添加剤および後述するシリコーン系添加剤の合計量の含有割合は、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.03重量%~30重量部であり、さらに好ましくは0.05重量部~10重量部であり、特に好ましくは0.05重量部~1重量部である。
フッ素系添加剤としては、例えば、フッ素含有化合物、水酸基含有フッ素系化合物、架橋性官能基含有フッ素系化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
フッ素含有化合物としては、例えば、フルオロ脂肪族炭化水素骨格を有する化合物、有機化合物とフッ素系化合物を共重合したフッ素含有有機化合物、有機化合物を含むフッ素含有化合物が挙げられる。フルオロ脂肪族炭化水素骨格としては、例えば、フルオロメタン、フルオロエタン、フルオロプロパン、フルオロイソプロパン、フルオロブタン、フルオロイソブタン、フルオロt-ブタン、フルオロペンタン、フルオロヘキサンなどのフルオロC1~C10アルカンが挙げられる。ここで、「C1~C10」の標記は、炭素数が1~10を意味する。
フッ素含有化合物の好ましい実施形態は、含フッ素基と、親水性基および/または親油性基とを有するオリゴマー(「特定フッ素系化合物」)である。このような「特定フッ素系化合物」を採用することにより、本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムのセパレータレスでの巻き取り性および巻き出し性や帯電防止性能をより向上させ得る。含フッ素基としては、代表的には、フッ素含有アルキル基(例えば、CF3-など)および/またはフッ素含有アルキレン基(例えば、-CF2-CF2-など)が挙げられる。親水性基とは、親水性を有する基であり、親水性とは、英語で「hydrophilic」と訳され、「水と親和性がある」なる意として当業者に一般に知られている特性である(例えば、マグローヒル科学技術用語大辞典(改訂第3版、日刊工業新聞社)など参照)。親油性基とは、親油性を有する基であり、親油性とは、英語で「lipophilic」と訳され、「油と親和性がある」なる意として当業者に一般に知られている特性である(例えば、マグローヒル科学技術用語大辞典(改訂第3版、日刊工業新聞社)など参照)。
フッ素含有化合物としては、本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムのセパレータレスでの巻き取り性および巻き出し性や帯電防止性能をより向上させ得る点から、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力が、好ましくは19.0mN/m~26.0mN/mである(トルエンの表面張力は27.9mN/m)。
フッ素含有化合物としては、本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムのセパレータレスでの巻き取り性および巻き出し性や帯電防止性能をより向上させ得る点から、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力が、好ましくは26.0mN/m~28.0mN/mである(トルエンの表面張力は27.9mN/m)。
フッ素含有化合物としては、市販品としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
DIC(株)製のメガファックシリーズ:
代表的には、「メガファックF-114」、「メガファックF-251」、「メガファックF-253」、「メガファックF-281」、「メガファックF-410」、「メガファックF-430」、「メガファックF-444」、「メガファックF-477」、「メガファックF-510」、「メガファックF-551-A」、「メガファックF-553」、「メガファックF-554」、「メガファックF-555-A」、「メガファックF-556」、「メガファックF-557」、「メガファックF-558」、「メガファックF-559」、「メガファックF-560」、「メガファックF-561」、「メガファックF-562」、「メガファックF-563」、「メガファックF-565」、「メガファックF-568」、「メガファックF-569」、「メガファックF-570」、「メガファックF-576」、「メガファックR-01」、「メガファックR-40」、「メガファックR-40-LM」、「メガファックR-41」、「メガファックR-41-LM」、「メガファックR-94」、「メガファックRS-56」、「メガファックRS-72-K」、「メガファックRS-75-A」、「メガファックRS-75-NS」、「メガファックRS-78」、「メガファックRS-90」など。
AGCセイミケミカル(株)製のサーフロンシリーズ:
代表的には、「S-242」、「S-243」、「S-386」など。
住友スリーエム(株)製のFCシリーズ:
代表的には、「FC-4430」、「FC-4432」など。
(株)ネオス製のフタージェントシリーズ:
代表的には、「フタージェント100」、「フタージェント100C」、「フタージェント110」、「フタージェント150」、「フタージェント150CH」、「フタージェント250」、「フタージェント400SW」など。
北村化学産業(株)製のPFシリーズ:
代表的には、「PF-136A」、「PF-156A」、「PF-151N」、「PF-636」、「PF-6320」、「PF-656」、「PF-6520」、「PF-651」、「PF-652」、「PF-3320」など。
水酸基含有フッ素系化合物としては、例えば、従来公知の樹脂が使用でき、例えば、国際公開第94/06870号パンフレット、特開平8-12921号公報、特開平10-72569号公報、特開平4-275379号公報、国際公開第97/11130号パンフレット、国際公開第96/26254号パンフレットなどに記載された水酸基含有フッ素樹脂が挙げられる。その他の水酸基含有フッ素樹脂としては、例えば、特開平8-231919号公報、特開平10-265731号公報、特開平10-204374号公報、特開平8-12922号公報などに記載されたフルオロオレフィン共重合体などが挙げられる。その他、水酸基含有化合物にフッ素化されたアルキル基を有する化合物の共重合体、水酸基含有化合物にフッ素含有化合物を共重合したフッ素含有有機化合物、水酸基含有有機化合物を含むフッ素含有化合物が挙げられる。このような水酸基含有フッ素系化合物としては、市販品としては、例えば、商品名「ルミフロン」(旭硝子(株)製)、商品名「セフラルコート」(セントラル硝子(株)製)、商品名「ザフロン」(東亜合成(株)製)、商品名「ゼッフル」(ダイキン工業(株)製)が挙げられる。
架橋性官能基含有フッ素系化合物としては、例えば、ペルフルオロオクタン酸などのようなフッ素化されたアルキル基を有するカルボン酸化合物、架橋性官能基含有化合物にフッ素化されたアルキル基を有する化合物の共重合体、架橋性官能基含有化合物にフッ素含有化合物を共重合したフッ素含有有機化合物、架橋性官能基含有化合物を含むフッ素含有化合物が挙げられる。このような架橋性官能基含有フッ素系化合物としては、市販品としては、例えば、商品名「メガファック F-570」、「メガファックRS-55」、「メガファックRS-56」、「メガファックRS-72-K」、「メガファックRS-75」、「メガファックRS-76-E」、「メガファックRS-76-NS」、「メガファックRS-78」、「メガファックRS-90」(DIC(株)製)が挙げられる。
市販品として入手可能なフッ素含有化合物の中でも、前述の「含フッ素基と、親水性基および/または親油性基とを有するオリゴマー」に該当するものとしては、代表的には、DIC(株)製の、
「メガファックF-477」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)、
「メガファックF-551-A」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=25.6mN/m)、
「メガファックF-553」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.4mN/m)、
「メガファックF-554」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=25.0mN/m)、
「メガファックF-555-A」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=20.4mN/m)、
「メガファックF-557」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.3mN/m)、
「メガファックF-559」(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=26.1mN/m)、
「メガファックF-563」(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=20.2mN/m)、
「メガファックF-569」(含フッ素基・親水性基含有オリゴマー、0.1%トルエン溶液とした場合の表面張力=19.7mN/m)、
などが挙げられる。
(シリコーン系添加剤)
他の成分として、シリコーン系添加剤を含むと、本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムのセパレータレスでの巻き取り性および巻き出し性をより向上させることが可能となる。
シリコーン系添加剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン系添加剤を採用し得る。
シリコーン系添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
シリコーン系添加剤の含有割合としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムのセパレータレスでの巻き取り性および巻き出し性をより向上させ得る点で、ポリオール(A1)全量に対するシリコーン系添加剤の含有割合は、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.015重量%~30重量部であり、さらに好ましくは0.02重量部~10重量部であり、特に好ましくは0.025重量部~1重量部である。
本発明の効果をより発現させ得る点で、ポリオール(A1)全量に対する前述のフッ素系添加剤およびシリコーン系添加剤の合計量の含有割合は、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.03重量%~30重量部であり、さらに好ましくは0.05重量部~10重量部であり、特に好ましくは0.05重量部~1重量部である。
シリコーン系添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン系添加剤を採用し得る。このようなシリコーン系添加剤としては、例えば、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイルが挙げられる。
反応性シリコーンオイルとしては、例えば、シロキサン結合に供するSi原子に側鎖として有機基が結合した側鎖型反応性シリコーンオイル、構造の両末端に位置するSi原子に有機基が結合した両末端型反応性シリコーンオイル、構造の両末端に位置するSi原子の一方のみに有機基が結合した片末端型反応性シリコーンオイル、シロキサン結合に供するSi原子に側鎖として有機基が結合し且つ構造の両末端に位置するSi原子に有機基が結合した側鎖両末端型反応性シリコーンオイルが挙げられる。
側鎖型反応性シリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性タイプの側鎖型反応性シリコーンオイル、エポキシ変性タイプの側鎖型反応性シリコーンオイル、カルビノール変性タイプの側鎖型反応性シリコーンオイル、メルカプト変性タイプの側鎖型反応性シリコーンオイル、カルボキシル変性タイプの側鎖型反応性シリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルタイプの側鎖型反応性シリコーンオイルが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、信越化学工業社製の側鎖型反応性シリコーンオイルとして市販されている各種シリコーンオイルが挙げられる。
両末端型反応性シリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、エポキシ変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、カルビノール変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、メタクリル変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、ポリエーテル変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、メルカプト変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、カルボキシル変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、フェノール変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、シラノール末端タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、アクリル変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイル、カルボン酸無水物変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイルが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、信越化学工業社製の両末端型反応性シリコーンオイルとして市販されている各種シリコーンオイルが挙げられる。特に、信越化学工業社製の「KF-6000」、「KF-6001」、「KF-6002」、「KF-6003」、「KF-6028」などの、カルビノール変性タイプの両末端型反応性シリコーンオイルが好ましく採用できる。
片末端型反応性シリコーンオイルとしては、例えば、片末端反応性変性タイプの片末端型反応性シリコーンオイル、平均的片末端カルボキシル変性タイプの片末端型反応性シリコーンオイルが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、信越化学工業社製の片末端型反応性シリコーンオイルとして市販されている各種シリコーンオイルが挙げられる。特に、信越化学工業社製の「X-22-170BX」、「X-22-170DX」、「X-22-4015」などの、カルビノール変性タイプの片末端型反応性シリコーンオイルが好ましく採用できる。
側鎖両末端型反応性シリコーンオイルとしては、例えば、側鎖アミノ・両末端メトキシ変性タイプの側鎖両末端型反応性シリコーンオイル、エポキシ変性タイプの側鎖両末端型反応性シリコーンオイルが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、信越化学工業社製の側鎖両末端型反応性シリコーンオイルとして市販されている各種シリコーンオイルが挙げられる。
非反応性シリコーンオイルとしては、例えば、シロキサン結合に供するSi原子に側鎖として有機基が結合した側鎖型非反応性シリコーンオイル、構造の両末端に位置するSi原子に有機基が結合した両末端型非反応性シリコーンオイルが挙げられる。
側鎖型非反応性シリコーンオイルとしては、例えば、ポリエーテル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイル、アラルキル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイル、風呂路アルキル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイル、フェニル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイルが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、信越化学工業社製の側鎖型非反応性シリコーンオイルとして市販されている各種シリコーンオイルが挙げられる。特に、信越化学工業社製の「KF-351A」、「KF-352A」、「KF-353」、「KF-354L」、「KF-355A」、「KF-615A」、「KF-945」、「KF-640」、「KF-642」、「KF-643」、「KF-644」、「KF-6020」、「KF-6204」、「X-22-4515」などの、ポリエーテル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイルが好ましく採用できる。
これらのポリエーテル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイルの中でも、糊残り性をより低減し得る点で、HLB値が、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、さらに好ましくは10以上のポリエーテル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイルが好ましい。このようなポリエーテル変性タイプの側鎖型非反応性シリコーンオイルとしては、例えば、「KF-351A」(HLB=12)、「KF-353」(HLB=10)、「KF-354L」(HLB=16)、「KF-355A」(HLB=12)、「KF-615A」(HLB=10)、「KF-640」(HLB=14)、「KF-642」(HLB=12)、「KF-643」(HLB=14)、「KF-644」(HLB=11)、「KF-6204」(HLB=10)が挙げられる。
両末端型非反応性シリコーンオイルとしては、例えば、ポリエーテル変性タイプの両末端型非反応性シリコーンオイルが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、信越化学工業社製の両末端型非反応性シリコーンオイルとして市販されている各種シリコーンオイルが挙げられる。特に、信越化学工業社製の「KF-6004」などの、ポリエーテル変性タイプの両末端型非反応性シリコーンオイルが好ましく採用できる。
シリコーン系添加剤としては、上記の他にも、従来公知の、任意の適切なシリコーン系添加剤を採用し得る。このようなシリコーン系添加剤としては、例えば、上記したもの以外のシロキサン結合含有ポリマー、上記したもの以外の水酸基含有シリコーン系化合物、上記したもの以外の架橋性官能基含有シリコーン系化合物が挙げられる。
上記したもの以外のシロキサン結合含有ポリマーの市販品としては、例えば、商品名「LE-302」(共栄社化学株式会社製)、ビックケミー・ジャパン(株)製のBYKシリーズのレベリング剤(「BYK-300」、「BYK-301/302」、「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-310」、「BYK-315」、「BYK-313」、「BYK-320」、「BYK-322」、「BYK-323」、「BYK-325」、「BYK-330」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-337」、「BYK-341」、「BYK-344」、「BYK-345/346」、「BYK-347」、「BYK-348」、「BYK-349」、「BYK-370」、「BYK-375」、「BYK-377」、「BYK-378」、「BYK-UV3500」、「BYK-UV3510」、「BYK-UV3570」、「BYK-3550」、「BYK-SILCLEAN3700」、「BYK-SILCLEAN3720」など)、Algin Chemie社製のACシリーズのレベリング剤(「AC FS180」、「AC FS360」、「AC S20」など)、共栄社化学(株)製のポリフローシリーズのレベリング剤(「ポリフローKL-400X」、「ポリフローKL-400HF」、「ポリフローKL-401」、「ポリフローKL-402」、「ポリフローKL-403」、「ポリフローKL-404」など)、信越化学工業(株)製のKPシリーズのレベリング剤(「KP-323」、「KP-326」、「KP-341」、「KP-104」、「KP-110」、「KP-112」など)、東レ・ダウコーニング(株)製のレベリング剤(「LP-7001」、「LP-7002」、「8032ADDITIVE」、「57ADDITIVE」、「L-7604」、「FZ-2110」、「FZ-2105」、「67ADDITIVE」、「8618ADDITIVE」、「3ADDITIVE」、「56ADDITIVE」など)が挙げられる。
上記したもの以外の水酸基含有シリコーンの市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製の「BYK-370」、「BYK-SILCLEAN3700」、「BYK-SILCLEAN3720」が挙げられる。
上記したもの以外の架橋性官能基含有シリコーン系化合物の市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の「BY16-855」、「SF8413」、「BY16-839」、「SF8421」、「BY16-750」、「BY16-880」、「BY16-152C」が挙げられる。
(劣化防止剤)
ウレタン系粘着剤組成物は、ウレタン系粘着剤の劣化抑制等の点から、他の成分として、劣化防止剤を含んでいてもよい。劣化防止剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
劣化防止剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤が挙げられる。
酸化防止剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ウレタン系粘着剤組成物中の酸化防止剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合は、ポリオール(A1)全量に対する酸化防止剤の含有割合として、好ましくは0.01重量%~10重量%以上であり、より好ましくは0.05重量%~5重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%~3重量%であり、特に好ましくは0.2重量%~1重量%である。
酸化防止剤としては、例えば、ラジカル連鎖禁止剤、過酸化物分解剤が挙げられる。
ラジカル連鎖禁止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が挙げられる。
過酸化物分解剤としては、例えば、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、高分子型フェノール系酸化防止剤が挙げられる。
モノフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリン-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
ビスフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが挙げられる。
高分子型フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H、3H、5H)トリオン、トコフェノールが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネートが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイトが挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ウレタン系粘着剤組成物中の紫外線吸収剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合は、ポリオール(A1)全量に対する紫外線吸収剤の含有割合として、好ましくは0.01重量%~10重量%以上であり、より好ましくは0.05重量%~5重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%~3重量%であり、特に好ましくは0.2重量%~1重量%である。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン、ビス(2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイルフェニル)メタンが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(3’’,4’’,5’’,6’’,-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、[2(2’-ヒドロキシ-5’-メタアクリロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレートが挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレートが挙げられる。
光安定剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ウレタン系粘着剤組成物中の光安定剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合は、ポリオール(A1)全量に対する光安定剤の含有割合として、好ましくは0.01重量%~10重量%以上であり、より好ましくは0.05重量%~5重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%~3重量%であり、特に好ましくは0.2重量%~1重量%である。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線安定剤が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、[ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート]、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートが挙げられる。
紫外線安定剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2’-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)]-n-ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-リン酸モノエチレート、ニッケル-ジブチルジチオカーバメート、ベンゾエートタイプのクエンチャー、ニッケル-ジブチルジチオカーバメートが挙げられる。
劣化防止剤としては、好ましくは、ヒンダードフェノール構造を有する劣化防止剤である。劣化防止剤としてヒンダードフェノール構造を有する劣化防止剤を含む場合、その含有割合は、ポリオール(A)に対して、好ましくは0.01重量%~10重量%であり、より好ましくは0.05重量%~10重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%~10重量%である。ヒンダードフェノール構造を有する劣化防止剤の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明の効果がより発現し得る。
ヒンダードフェノール構造を有する劣化防止剤としては、例えば、フェノールのOH基が結合した芳香族環上炭素原子の隣接炭素原子の少なくとも一方に、ターシャリーブチル基などの立体障害の大きな基が結合したヒンダードフェノール構造を有する劣化防止剤が挙げられる。
ヒンダードフェノール構造を有する劣化防止剤としては、具体的には、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT);商品名「IRGANOX1010」(BASF製)、商品名「IRGANOX1010FF」(BASF製)、商品名「IRGANOX1035」(BASF製)、商品名「IRGANOX1035FF」(BASF製)、商品名「IRGANOX1076」(BASF製)、商品名「IRGANOX1076FD」(BASF製)、商品名「IRGANOX1076DWJ」(BASF製)、商品名「IRGANOX1098」(BASF製)、商品名「IRGANOX1135」(BASF製)、商品名「IRGANOX1330」(BASF製)、商品名「IRGANOX1726」(BASF製)、商品名「IRGANOX1425WL」(BASF製)、商品名「IRGANOX1520L」(BASF製)、商品名「IRGANOX245」(BASF製)、商品名「IRGANOX245FF」(BASF製)、商品名「IRGANOX259」(BASF製)、商品名「IRGANOX3114」(BASF製)、商品名「IRGANOX565」(BASF製)、商品名「IRGANOX295」(BASF製)などのヒンダードフェノール系酸化防止剤;商品名「TINUVIN P」(BASF製)、商品名「TINUVIN P FL」(BASF製)、商品名「TINUVIN234」(BASF製)、商品名「TINUVIN326」(BASF製)、商品名「TINUVIN326FL」(BASF製)、商品名「TINUVIN328」(BASF製)、商品名「TINUVIN329」(BASF製)、商品名「TINUVIN329FL」(BASF製)などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;商品名「TINUVIN213」(BASF製)、商品名「TINUVIN571」(BASF製)などの液状紫外線吸収剤;商品名「TINUVIN1577ED」(BASF製)などのトリアジン系紫外線吸収剤;商品名「TINUVIN120」(BASF製)などのベンゾエート系紫外線吸収剤;商品名「TINUVIN144」(BASF製)などのヒンダードアミン系光安定剤;が挙げられる。
(脂肪酸エステル)
ウレタン系粘着剤組成物は、ウレタン系粘着剤の濡れ性向上等の点から、他の成分として、脂肪酸エステルを含んでいてもよい。脂肪酸エステルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ウレタン系粘着剤組成物中の脂肪酸エステルの含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。このような含有割合は、ポリオール(A)全量に対して、好ましくは1重量%~60重量%であり、より好ましくは5重量%~55重量%であり、さらに好ましくは10重量%~50重量%であり、特に好ましくは15重量%~45重量%であり、最も好ましくは20重量%~40重量%である。
脂肪酸エステルの数平均分子量Mnは、好ましくは200~400であり、より好ましくは210~395であり、さらに好ましくは230~380であり、特に好ましくは240~360であり、最も好ましくは250~350である。脂肪酸エステルの数平均分子量Mnを上記範囲内に調整することによって、濡れ速度がより向上し得る。脂肪酸エステルの数平均分子量Mnが小さすぎると、添加部数が多くても濡れ速度が向上しないおそれがある。脂肪酸エステルの数平均分子量Mnが大きすぎると、乾燥時の粘着剤の硬化性が悪化し、濡れ特性に留まらずその他粘着特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
脂肪酸エステルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な脂肪酸エステルを採用し得る。このような脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、べへニン酸モノグリセライド、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸コレステリル、メタクリル酸ラウリル、ヤシ脂肪酸メチル、ラウリン酸メチル、オレイン酸メチル、ステアリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ペンタエリスリトールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソトリデシル、2-エチルヘキサン酸トリグリセライド、ラウリン酸ブチル、オレイン酸オクチルが挙げられる。
(触媒)
他の成分は、触媒を含んでいてもよい。触媒としては、例えば、有機金属系化合物、3級アミン化合物などが挙げられる。触媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
有機金属系化合物としては、例えば、鉄系化合物、錫系化合物、チタン系化合物、ジルコニウム系化合物、鉛系化合物、コバルト系化合物、亜鉛系化合物を挙げることができる。これらの中でも、反応速度と粘着剤層のポットライフの点で、鉄系化合物、錫系化合物が好ましい。
鉄系化合物としては、例えば、鉄アセチルアセトネート、2-エチルヘキサン酸鉄が挙げられる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルフィド、トリブチル錫メトキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキシド、トリブチル錫エトキシド、ジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレート、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2-エチルヘキサン酸錫が挙げられる。
チタン系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドが挙げられる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、ナフテン酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネートが挙げられる。
鉛系化合物としては、例えば、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛が挙げられる。
コバルト系化合物としては、例えば、2-エチルヘキサン酸コバルト、安息香酸コバルトが挙げられる。
亜鉛系化合物としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛が挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシク口-(5,4,0)-ウンデセン-7が挙げられる。
触媒の量は、ポリオール(A)に対して、好ましくは0.02重量%~0.50重量%であり、より好ましくは0.05重量%~0.40重量%であり、さらに好ましくは0.07重量%~0.30重量%であり、特に好ましくは0.10重量%~0.20重量%である。
(架橋遅延剤)
架橋遅延剤としては、代表的には、ケト-エノ-ル互変異性を生じる化合物が挙げられる。架橋遅延剤としてケト-エノ-ル互変異性を生じる化合物を採用すると、例えば、ウレタン系粘着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し得るとともに、ウレタン系粘着剤組成物のポットライフを延長する効果が発現され得る。この技術は、好ましくは、ウレタン系粘着剤組成物が有機溶剤溶液または無溶剤の形態である場合に好ましく適用され得る。
ケト-エノ-ル互変異性を生じる化合物としては、例えば、各種のβ-ジカルボニル化合物を用いることができる。具体例としては、例えば、アセチルアセトン、2,4-ヘキサンジオン、3,5-ヘプタンジオン、2-メチルヘキサン-3,5-ジオン、6-メチルヘプタン-2,4-ジオン、2,6-ジメチルヘプタン-3,5-ジオン等のβ-ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert-ブチル等のアセト酢酸エステル類;プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸tert-ブチル等のプロピオニル酢酸エステル類;イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸tert-ブチル等のイソブチリル酢酸エステル類;マロン酸メチル、マロン酸エチル等のマロン酸エステル類;などが挙げられる。これらの中でも、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ケト-エノ-ル互変異性を生じる化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ケト-エノ-ル互変異性を生じる化合物の含有量は、ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマー、ポリオール、ウレタンプレポリマー、シリコーン系ポリマー)100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~20重量部であり、より好ましくは0.5重量部~15重量部であり、さらに好ましくは1重量部~10重量部である。ケト-エノ-ル互変異性を生じる化合物の含有量が少なすぎると、十分な使用効果が発揮され難くなるおそれがある。ケト-エノ-ル互変異性を生じる化合物を必要以上に多く使用すると、粘着剤層に残留し、凝集力を低下させるおそれがある。
(界面活性剤)
粘着剤層の材料となるウレタン系粘着剤組成物は、再剥離性や粘着剤組成物の被着体への濡れ性向上の観点から、界面活性剤を含有させることができる。
界面活性剤としては、公知のアニオン性界面活性剤、公知のノニオン性界面活性剤、公知のカチオン性界面活性剤、公知の両性界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
界面活性剤の含有量は、ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマー、ポリオール、ウレタンプレポリマー、シリコーン系ポリマー)100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~10重量部であり、より好ましくは0.1重量部~1重量部である。
<1-2-2.プレポリマー法で製造されるウレタン系粘着剤>
ポリウレタン系粘着剤の一つの実施形態は、ウレタンプレポリマー(A2)と多官能イソシアネート化合物(B)を含有するウレタン系粘着剤組成物を硬化させて得られるポリウレタン系粘着剤である。すなわち、この形態におけるウレタン系粘着剤組成物は、ウレタンプレポリマー(A2)と多官能イソシアネート化合物(B)を含有する。
この形態におけるウレタン系粘着剤組成物中におけるウレタンプレポリマー(A2)と多官能イソシアネート化合物(B)の合計量の含有割合は、溶剤を除いて、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは55重量%~95重量%であり、さらに好ましくは60重量%~90重量%であり、特に好ましくは65重量%~85重量%であり、最も好ましくは70重量%~80重量%である。
〔1-2-2-a.ウレタンプレポリマー(A2)〕
ウレタンプレポリマー(A2)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ウレタンプレポリマー(A2)の数平均分子量Mnは、好ましくは3000~1000000である。
ウレタンプレポリマー(A2)は、好ましくは、ポリウレタンポリオールであり、より好ましくは、ポリエステルポリオール(a21)またはポリエーテルポリオール(a22)を、それぞれ単独で、もしくは、(a21)と(a22)の混合物で、触媒存在下または無触媒下で、有機ポリイソシアネ-ト化合物(a23)と反応させてなるものである。
ポリエステルポリオール(a21)としては、任意の適切なポリエステルポリオールを用い得る。このようなポリエステルポリオール(a21)としては、例えば、酸成分とグリコール成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。酸成分としては、例えば、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸が挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、ポリオール成分としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。ポリエステルポリオール(a1)としては、その他に、ポリカプロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールなども挙げられる。
ポリエステルポリオール(a21)の分子量としては、低分子量から高分子量まで使用可能である。ポリエステルポリオール(a21)の分子量としては、数平均分子量Mnが、好ましくは100~100000である。数平均分子量Mnが100未満では、反応性が高くなり、ゲル化しやすくなるおそれがある。数平均分子量Mnが100000を超えると、反応性が低くなり、さらにはポリウレタンポリオール自体の凝集力が小さくなるおそれがある。ポリエステルポリオール(a21)の使用量は、ポリウレタンポリオールを構成するポリオール中、好ましくは0モル%~90モル%である。
ポリエーテルポリオール(a22)としては、任意の適切なポリエーテルポリオールを用い得る。このようなポリエーテルポリオール(a22)としては、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。このようなポリエーテルポリオール(a22)としては、具体的には、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の官能基数が2以上のポリエーテルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオール(a22)の分子量としては、低分子量から高分子量まで使用可能である。ポリエーテルポリオール(a22)の分子量としては、数平均分子量Mnが、好ましくは100~100000である。数平均分子量Mnが100未満では、反応性が高くなり、ゲル化しやすくなるおそれがある。数平均分子量Mnが100000を超えると、反応性が低くなり、さらにはポリウレタンポリオール自体の凝集力が小さくなるおそれがある。ポリエーテルポリオール(a22)の使用量は、ポリウレタンポリオールを構成するポリオール中、好ましくは0モル%~90モル%である。
ポリエーテルポリオール(a22)は、必要に応じてその一部を、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のグリコール類や、エチレンジアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン等の多価アミン類などに置き換えて併用することができる。
ポリエーテルポリオール(a22)としては、2官能性のポリエーテルポリオールのみを用いてもよいし、数平均分子量Mnが100~100000であり、且つ、1分子中に少なくとも3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールを一部もしくは全部用いてもよい。ポリエーテルポリオール(a22)として、数平均分子量Mnが100~100000であり、且つ、1分子中に少なくとも3個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールを一部もしくは全部用いると、粘着力と再剥離性のバランスが良好となり得る。このようなポリエーテルポリオールにおいては、数平均分子量Mnが100未満では、反応性が高くなり、ゲル化しやすくなるおそれがある。また、このようなポリエーテルポリオールにおいては、数平均分子量Mnが100000を超えると、反応性が低くなり、さらにはポリウレタンポリオール自体の凝集力が小さくなるおそれがある。このようなポリエーテルポリオールの数平均分子量Mnは、より好ましくは100~10000である。
有機ポリイソシアネート化合物(a23)としては、任意の適切な有機ポリイソシアネート化合物を用い得る。このような有機ポリイソシアネート化合物(a23)としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
有機ポリイソシアネート化合物(a23)としては、トリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体などを併用することができる。
ポリウレタンポリオールを得る際に用い得る触媒としては、任意の適切な触媒を用い得る。このような触媒としては、例えば、3級アミン系化合物、有機金属系化合物が挙げられる。
3級アミン系化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7(DBU)が挙げられる。
有機金属系化合物としては、例えば、錫系化合物、非錫系化合物が挙げられる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2-エチルヘキサン酸錫が挙げられる。
非錫系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系化合物;オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系化合物;2-エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系化合物;安息香酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系化合物;ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系化合物;ナフテン酸ジルコニウムなどのジルコニウム系化合物;が挙げられる。
ポリウレタンポリオールを得る際に触媒を使用する場合、ポリエステルポリオール(a21)とポリエーテルポリオール(a22)の2種類のポリオールが存在する系では、その反応性の相違のため、単独の触媒の系では、ゲル化したり反応溶液が濁ったりするという問題が生じやすい。そこで、ポリウレタンポリオールを得る際に2種類の触媒を用いることにより、反応速度、触媒の選択性等が制御しやすくなり、これらの問題を解決し得る。このような2種類の触媒の組み合わせとしては、例えば、3級アミン/有機金属系、錫系/非錫系、錫系/錫系が挙げられ、好ましくは錫系/錫系であり、より好ましくはジブチル錫ジラウレートと2-エチルヘキサン酸錫の組み合わせである。その配合比は、重量比で、2-エチルヘキサン酸錫/ジブチル錫ジラウレートが、好ましくは1未満であり、より好ましくは0.2~0.6である。配合比が1以上では、触媒活性のバランスによりゲル化しやすくなるおそれがある。
ポリウレタンポリオールを得る際に触媒を使用する場合、触媒の使用量は、ポリエステルポリオール(a21)とポリエーテルポリオール(a22)と有機ポリイソシアネ-ト化合物(a23)の総量に対して、好ましくは0.01重量%~1.0重量%である。
ポリウレタンポリオールを得る際に触媒を使用する場合、反応温度は、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは85℃~95℃である。100℃以上になると反応速度、架橋構造の制御が困難となるおそれがあり、所定の分子量を有するポリウレタンポリオールが得難くなるおそれがある。
ポリウレタンポリオールを得る際には、触媒を用いなくても良い。その場合は、反応温度が、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは110℃以上である。また、無触媒下でポリウレタンポリオールを得る際は、3時間以上反応させることが好ましい。
ポリウレタンポリオールを得る方法としては、例えば、1)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、触媒、有機ポリイソシアネートを全量フラスコに仕込む方法、2)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、触媒をフラスコに仕込んで有機ポリイソシアネ-トを滴下する添加する方法が挙げられる。ポリウレタンポリオールを得る方法として、反応を制御する上では、2)の方法が好ましい。
ポリウレタンポリオールを得る際には、任意の適切な溶剤を用い得る。このような溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトンなどが挙げられる。これらの溶剤の中でも、好ましくはトルエンである。
〔1-2-1-b.プレポリマー法で用いる多官能イソシアネート化合物(B)〕
プレポリマー法で用いる多官能イソシアネート化合物(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
プレポリマー法で用いる多官能イソシアネート化合物(B)としては、前述の、ワンショット法で用いる多官能イソシアネート化合物(B)を援用し得る。
ウレタンプレポリマー(A2)と多官能イソシアネート化合物(B)における、NCO基とOH基の当量比は、NCO基/OH基として、好ましくは5.0以下であり、より好ましくは0.01~4.75であり、さらに好ましくは0.02~4.5であり、特に好ましくは0.03~4.25であり、最も好ましくは0.05~4.0である。NCO基/OH基の当量比が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。
多官能イソシアネート化合物(B)の含有割合は、ウレタンプレポリマー(A2)に対して、多官能イソシアネート化合物(B)が、好ましくは0.01重量%~30重量%であり、より好ましくは0.05重量%~25重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%~20重量%であり、特に好ましくは0.5重量%~17.5重量%であり、最も好ましくは1重量%~15重量%である。多官能イソシアネート化合物(B)の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。
ウレタンプレポリマー(A2)と多官能イソシアネート化合物(B)を含有するウレタン系粘着剤組成物からウレタン系粘着剤を形成する方法としては、いわゆる「ウレタンプレポリマー」を原料として用いてポリウレタン系樹脂を製造する方法であれば、任意の適切な製造方法を採用し得る。
≪1-3.帯電防止層≫
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、基材層と粘着剤層の間に帯電防止層を有していてもよい。
帯電防止層の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、好ましくは1nm~1000nmであり、より好ましくは5nm~900nmであり、さらに好ましくは7.5nm~800nmであり、特に好ましくは10nm~700nmである。
帯電防止層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
帯電防止層としては、帯電防止効果を奏することができる層であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な帯電防止層を採用し得る。このような帯電防止層としては、好ましくは、導電性ポリマーを含む導電コ-ト液を任意の適切な基材層上にコ-ティングして形成される帯電防止層である。具体的には、例えば、導電性ポリマーを含む導電コ-ト液を基材(例えば、基材層)上にコ-ティングして形成される帯電防止層である。具体的なコ-ティングの方法としては、ロ-ルコ-ト法、グラビアコ-ト法、リバ-スコ-ト法、ロ-ルブラッシュ法、スプレ-コ-ト法、エア-ナイフコ-ト法、ダイコ-タ-等による押出しコ-ト法などが挙げられる。
導電性ポリマーを含む導電コ-ト液としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な導電コ-ト液を採用し得る。このような導電コ-ト液は、好ましくは、導電性ポリマーとバインダと架橋剤と溶剤を含む。この溶剤は、帯電防止層を形成する過程で加熱等によって揮発や蒸発等により実質的になくなるので、帯電防止層は、好ましくは、導電性ポリマーとバインダと架橋剤を含む。
導電性ポリマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な導電性ポリマーを採用し得る。このような導電性ポリマーとしては、例えば、π共役系導電性ポリマーにポリアニオンがド-プされた導電性ポリマーなどが挙げられる。π共役系導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリピロ-ル、ポリアニリン、ポリアセチレンなどの鎖状導電性ポリマーが挙げられる。ポリアニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリメタクリルカルボン酸などが挙げられる。導電性ポリマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
帯電防止層中の導電性ポリマーの含有割合は、好ましくは3重量%~80重量%であり、より好ましくは5重量%~60重量%である。
溶剤としては、例えば、有機溶剤、水、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エ-テル類;n-ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノ-ル、エタノ-ル、n-プロパノ-ル、イソプロパノ-ル、シクロヘキサノ-ル等の脂肪族または脂環族アルコ-ル類;アルキレングリコ-ルモノアルキルエ-テル(例えば、エチレングリコ-ルモノメチルエ-テル、エチレングリコ-ルモノエチルエ-テル)、ジアルキレングリコ-ルモノアルキルエ-テル等のグリコ-ルエ-テル類;などが挙げられる。溶剤として、好ましくは、水または水を主成分とする混合溶媒(例えば、水とエタノ-ルとの混合溶媒)である。
帯電防止層中のバインダの含有割合は、好ましくは50重量%~95重量%であり、より好ましくは60重量%~90重量%である。
導電コ-ト液に含まれ得るバインダとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なバインダを採用し得る。バインダは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このようなバインダとしては、好ましくは、樹脂であり、より好ましくは、ポリエステル樹脂である。バインダに占めるポリエステル樹脂の割合は、好ましくは90重量%~100重量%であり、より好ましくは98重量%~100重量%である。
ポリエステル樹脂は、ポリエステルを主成分(好ましくは50重量%を超え、より好ましくは75重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上であり、特に好ましくは実質的に100重量%を占める成分)として含むことが好ましい。
ポリエステルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリエステルを採用し得る。このようなポリエステルとしては、好ましくは、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸(例えば、ジカルボン酸化合物)およびその誘導体(例えば、多価カルボン酸の無水物、エステル化物、ハロゲン化物等)から選択される1種または2種以上の化合物(多価カルボン酸成分)と、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコ-ル(例えば、ジオ-ル)から選択される1種または2種以上の化合物(多価アルコ-ル成分)とが縮合した構造を有することが好ましい。
多価カルボン酸成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な多価カルボン酸を採用し得る。このような多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、ジフルオロマロン酸、アルキルマロン酸、コハク酸、テトラフルオロコハク酸、アルキルコハク酸、(±)-リンゴ酸、meso-酒石酸、イタコン酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、メチルフマル酸、アセチレンジカルボン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、メチルグルタル酸、グルタコン酸、アジピン酸、ジチオアジピン酸、メチルアジピン酸、ジメチルアジピン酸、テトラメチルアジピン酸、メチレンアジピン酸、ムコン酸、ガラクタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、パ-フルオロスベリン酸、3,3,6,6-テトラメチルスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、パ-フルオロセバシン酸、ブラシル酸、ドデシルジカルボン酸、トリデシルジカルボン酸、テトラデシルジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸類;シクロアルキルジカルボン酸(例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸)、1,4-(2-ノルボルネン)ジカルボン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸(ハイミック酸)、アダマンタンジカルボン酸、スピロヘプタンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、ジチオイソフタル酸、メチルイソフタル酸、ジメチルイソフタル酸、クロロイソフタル酸、ジクロロイソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、クロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキソフルオレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニレンジカルボン酸、ジメチルビフェニレンジカルボン酸、4,4”-p-テレフェニレンジカルボン酸、4,4”-p-クワレルフェニルジカルボン酸、ビベンジルジカルボン酸、アゾベンゼンジカルボン酸、ホモフタル酸、フェニレン二酢酸、フェニレンジプロピオン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジプロピオン酸、ビフェニル二酢酸、ビフェニルジプロピオン酸、3,3'-[4,4’-(メチレンジ-p-ビフェニレン)ジプロピオン酸、4,4’-ビベンジル二酢酸、3,3’(4,4’-ビベンジル)ジプロピオン酸、オキシジ-p-フェニレン二酢酸などの芳香族ジカルボン酸類;上記のいずれかの多価カルボン酸の酸無水物;上記のいずれかの多価カルボン酸のエステル(例えば、アルキルエステル。モノエステル、ジエステル等);上記のいずれかの多価カルボン酸に対応する酸ハロゲン化物(例えば、ジカルボン酸クロリド);などが挙げられる。
多価カルボン酸成分としては、好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類およびその酸無水物;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ハイミック酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類およびその酸無水物;これらのジカルボン酸類の低級アルキルエステル(例えば、炭素原子数1~3のモノアルコ-ルとのエステル);などが挙げられる。
多価アルコ-ル成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な多価アルコ-ルを採用し得る。このような多価アルコ-ル成分としては、例えば、エチレングリコ-ル、プロピレングリコ-ル、1,2-プロパンジオ-ル、1,3-プロパンジオ-ル、1,3-ブタンジオ-ル、1,4-ブタンジオ-ル、ネオペンチルグリコ-ル、1,5-ペンタンジオ-ル、1,6-ヘキサンジオ-ル、3-メチルペンタンジオ-ル、ジエチレングリコ-ル、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、3-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ル、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオ-ル、キシリレングリコ-ル、水添ビスフェノ-ルA、ビスフェノ-ルA等のジオ-ル類;これらのジオ-ル類のアルキレンオキサイド付加物(例えば、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等);などが挙げられる。
ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパ-ミエ-ションクロマトグラフィ-(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、好ましくは5×103~1.5×105であり、より好ましくは1×104~6×104である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃~120℃であり、より好ましくは10℃~80℃である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、市販の東洋紡社製の商品名「バイロナ-ル」などを用いることができる。
導電コ-ト液は、本発明の効果を損なわない範囲で、バインダとして、ポリエステル樹脂以外の樹脂(例えば、アクリル樹脂、アクリルレタン樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコ-ン樹脂、シリコ-ン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂から選択される少なくとも1種の樹脂)をさらに含有し得る。
導電コ-ト液に含まれ得る架橋剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な架橋剤を採用し得る。架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような架橋剤としては、好ましくは、イソシアネ-ト系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレ-ト系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。なかでも好ましくは、メラミン系架橋剤である。
帯電防止層中の架橋剤の含有割合は、好ましくは1重量%~30重量%であり、より好ましくは2重量%~20重量%である。
帯電防止層中には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分が含まれていてもよい。
≪1-4.導電層≫
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、基材層と粘着剤層の間に導電層を有していてもよい。
導電層は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
導電層は、任意の適切な基材上(例えば、基材層)に形成することによって設けることができる。
導電層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ-ティング法、スプレ-熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法、あるいはこれらの組合せ法などの任意の適切な薄膜形成法により、任意の適切な基材(例えば、基材層)上に導電膜を形成する。これらの薄膜形成法の中でも、導電膜の形成速度や大面積膜の形成性、生産性などの点から、真空蒸着法やスパッタリング法が好ましい。
導電膜を形成するための材料としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、錫、これらの合金等からなる金属系材料;酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化カドミウム、これらの混合物等からなる金属酸化物系材料;ヨウ化銅等からなる他の金属化合物;などが用いられる。
導電層の厚みとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような厚みとしては、例えば、金属系材料から形成される場合、好ましくは30Å~600Åであり、金属酸化物系材料から形成される場合、好ましくは80Å~5000Åである。
導電層の表面抵抗値は、好ましくは1.0×1010Ω/□以下であり、より好ましくは1.0×109Ω/□以下であり、さらに好ましくは1.0×108Ω/□以下であり、特に好ましくは1.0×107Ω/□以下である。
導電膜を任意の適切な基材(例えば、基材層)上に形成する際には、該基材(例えば、基材層)の表面に、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、アンダ-コ-ト処理等の、任意の適切な前処理を施して、導電膜と該基材(例えば、基材層)の密着性を高めることもできる。
≪≪2.粘着剤層付フィルムの製造方法≫≫
本発明の実施形態による粘着剤層付フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造し得る。
粘着剤層付フィルムの製造方法の代表例として、図1に示すように、粘着剤層付フィルム100が、基材層10と粘着剤層20が直接に積層されてなるフィルムである形態である場合について説明する。
粘着剤層付フィルムが、基材層と粘着剤層が直接に積層されてなるフィルムである場合、代表的な製造方法としては、下記の(1)、(2)のような方法が挙げられる。
(1)粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を調製する。
(2)基材層の表面に粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて加熱・乾燥を行い、必要に応じて硬化させて、基材層上に粘着剤層を形成する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
<厚みの測定>
実施例および比較例の粘着剤層の厚みは、干渉膜厚計(大塚電子社製、製品名「MCPD-3700」を用いて、測定を実施した。
<Tgの測定>
ガラス転移温度(Tg)(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度をTgn(℃)として下記の文献値を用い、下記の式により求めた。
式:1/(Tg+273)=Σ[Wn/(Tgn+273)]
(式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wnは各モノマーの重量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。)
2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)のホモポリマーのガラス転移温度:-70℃
ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)のホモポリマーのガラス転移温度:-15℃
4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)のホモポリマーのガラス転移温度:-32℃
アクリル酸(AA)のホモポリマーのガラス転移温度:106℃
なお、文献値として「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開発」(中央経営開発センター出版部発行)を参照した。
<重量平均分子量の測定>
重量平均分子量は、ゲルパ-ミエ-ションクロマトグラフ(GPC)法により測定した。具体的には、GPC測定装置として、商品名「HLC-8120GPC」(東ソ-株式会社製)を用いて、下記の条件にて測定し、標準ポリスチレン換算値により算出した。
(分子量測定条件)
・サンプル濃度:0.2重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:10μL
・カラム:商品名「TSKguardcolumn SuperHZ-H(1本)+TSKgel SuperHZM-H(2本)」(東ソ-株式会社製)
・リファレンスカラム:商品名「TSKgel SuperH-RC(1本)」(東ソ-株式会社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量:0.6mL/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度(測定温度):40℃
<剥離速度0.3m/分、剥離角度180度で測定した低速剥離力の測定>
製造した粘着剤層付フィルムについて、粘着剤層を基材層にハンドローラーで圧着した後、0.25MPa、0.3m/minの圧着条件でラミネート貼り合わせし、23℃、湿度50%RHの環境下に20分放置した。その後、フィルムを25mmの幅に裁断し、SUS板(SUS304BA)に、粘着剤層の基材層と反対側を貼り合わせて固定した。万能引張試験機(ミネベア株式会社製、製品名:TCM-1kNB)を用い、剥離速度0.3m/分、剥離角度180度にて、粘着剤層を基材層から剥離したときの、測定される剥離力を低速剥離力とした。
<剥離速度10m/分、剥離角度180度で測定した高速剥離力の測定>
製造した粘着剤層付フィルムについて、粘着剤層を基材層にハンドローラーで圧着した後、0.25MPa、0.3m/minの圧着条件でラミネート貼り合わせし、23℃、相対湿度50%RHの環境下に20分放置した。その後、フィルムを25mmの幅に裁断し、SUS板(SUS304BA)に、粘着剤層の基材層と反対側を貼り合わせて固定した。万能引張試験機(ミネベア株式会社製、製品名:TCM-1kNB)を用い、剥離速度10m/分、剥離角度180度にて、粘着剤層を基材層から剥離したときの、測定される剥離力を高速剥離力とした。
<異物除去率>
製造した粘着剤層付フィルムについて、温度23℃、湿度50%RH下において、非クリーン環境下(具体的には、ISO146441-1:2015における定義にてクラス分けをして管理基準を設けているようなクリーンルームとは異なる空間)にて粘着剤層と光学フィルム(具体的には、特開2017-26939号公報の実施例に記載の「透明保護フィルム1A」)とを、10cm2×10cm2のサイズで貼り合わせ、貼り合わせ時に噛み込んだ異物をマーキングし、光学顕微鏡で異物のサイズを確認した。100μm以上の異物をカウントし、粘着剤層付フィルムを剥離した後に光学フィルムに残っている異物をカウントし、異物除去率を確認した。
<印字密着性>
23℃×50%RHの測定環境下で、シャチハタ社製Xスタンパーを用いて、粘着剤層付フィルムの背面(すなわち、基材層)上に印字を施した後、その印字の上からニチバン社製のセロテープ(登録商標)を貼り付け、次いで、剥離速度30m/分、剥離角度180度の条件で剥離した。その後、剥離後の基材層表面を目視観察し、印字面積の50%以上が剥離された場合を×(印字性不良)、印字面積の50%以上が剥離されずに残った場合を○(印字性良好)と評価した。
<糊カス評価>
粘着剤層の表面をペン先で擦り、粘着剤層が破壊されるかどうかを目視にて判断した。
目視は蛍光灯下にて行った。粘着剤層が破壊されなければ糊カスが発生せず、粘着剤層が破壊されれば糊カスが発生するものとした。評価は下記の基準にて行った。
○:糊カスの発生が全く見られず。
×:糊カスの発生が見られた。
〔製造例1〕
ポリオール(A1)として、OH基を3個有するポリオールであるプレミノールS3011(旭硝子株式会社製、Mn=10000):85重量部、OH基を3個有するポリオールであるサンニックスGP-3000(三洋化成株式会社製、Mn=3000):13重量部、OH基を3個有するポリオールであるサンニックスGP-1000(三洋化成株式会社製、Mn=1000):2重量部を用い、多官能イソシアネート化合物(B)として多官能脂環族系イソシアネート化合物であるコロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社):18重量部、触媒(日本化学産業株式会社製、商品名:ナーセム第2鉄):0.15重量部、劣化防止剤としてIrganox1010(BASF製):0.50重量部、脂肪酸エステル(パルミチン酸イソプロピル、花王製、商品名:エキセパールIPP、Mn=299):30重量部、希釈溶剤として酢酸エチル:241重量部を配合し、ディスパーで撹拌し、ウレタン系粘着剤組成物(1)を得た。
〔製造例2〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つロフラスコに、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA):100重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA):10重量部、アクリル酸(AA):0.02重量部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(和光純薬製):0.2重量部、酢酸エチル:157重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って約6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(1)の溶液(固形分濃度=40重量%)を調製した。得られたアクリル系ポリマー(1)の重量平均分子量(Mw)は54万であり、Tgは-67℃であった。得られたアクリル系ポリマー(1)の溶液(固形分濃度=40重量%)を酢酸エチルで5重量%に希釈し、この溶液中のアクリル系ポリマー(1):100重量部(固形分)に対して、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX):6重量部、錫系触媒としてジオクチルスズジラウレート(東京ファインケミカル製、エンビライザーOL-1):0.03重量部、架橋遅延剤としてアセチルアセトン:10重量部を加えて、25℃付近に保って約1分間混合撹拌を行い、アクリル系粘着剤組成物(1)を調製した。
〔製造例3〕:離型層形成材料(1)の調製
ブチラール樹脂(積水化学工業製、エスレックKW-10)を乾燥させて得られた樹脂:100重量部を、キシレン(太陽化学製、キシロール):900重量部に溶解させ、続いてオクタデシルイソシアネート(大原パラヂウム化学株式会社製、R-NCO):480重量部を加えた。さらに、この溶液をトルエン(出光石油化学製)で固形分が0.2重量%となるように希釈し、離型層形成材料(1)を作製した。
〔実施例1〕
製造例1で得られたウレタン系粘着剤組成物(1)を、基材層としての厚み38μmのPETフィルム(三菱ケミカル製、ダイアホイルT100C38)に塗布し、130℃で30秒間乾燥させ、厚み1.0μmのウレタン系粘着剤層を形成し、基材層(厚み38μm)/ウレタン系粘着剤層(厚み1.0μm)の構成のセパレータレスの粘着剤層付フィルム(1)を製造した。結果を表1に示した。
〔実施例2〕
粘着剤層の厚みを2.0μmとした以外は、実施例1と同様に行い、基材層(厚み38μm)/ウレタン系粘着剤層(厚み2.0μm)の構成のセパレータレスの粘着剤層付フィルム(2)を製造した。結果を表1に示した。
〔実施例3〕
粘着剤層の厚みを3.0μmとした以外は、実施例1と同様に行い、基材層(厚み38μm)/ウレタン系粘着剤層(厚み3.0μm)の構成のセパレータレスの粘着剤層付フィルム(3)を製造した。結果を表1に示した。
〔実施例4〕
粘着剤層の厚みを6.0μmとした以外は、実施例1と同様に行い、基材層(厚み38μm)/ウレタン系粘着剤層(厚み6.0μm)の構成のセパレータレスの粘着剤層付フィルム(4)を製造した。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
製造例3で得られた離型層形成材料(1)を、基材層としての厚み38μmのPETフィルム(三菱ケミカル製、ダイアホイルT100C38)に塗布し、130℃で60秒間乾燥させ、離型層と基材層の積層体を作製した。離型層の乾燥後の厚みは20nmであった。さらに、製造例2で得られたアクリル系粘着剤組成物(1)を、上記積層体の基材層の離型層と反対側に塗布し、130℃で60秒間加熱して、厚み1.5μmのアクリル系粘着剤層を形成し、離型層(厚み20nm)/基材層(厚み38μm)/アクリル系粘着剤層(厚み1.5μm)の構成のセパレータレスの粘着剤層付フィルム(C1)を製造した。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
製造例2で得られたアクリル系粘着剤組成物(1)を、基材層としての厚み38μmのPETフィルム(三菱ケミカル製、ダイアホイルT100C38)に塗布し、130℃で60秒間乾燥させ、厚み1.0μmのアクリル系粘着剤層を形成し、基材層(厚み38μm)/アクリル系粘着剤層(厚み1.0μm)の構成のセパレータレスの粘着剤層付フィルム(C2)を製造した。結果を表1に示した。
〔比較例3〕
粘着剤層の厚みを0.5μmとした以外は、実施例1と同様に行い、基材層(厚み38μm)/ウレタン系粘着剤層(厚み0.5μm)の構成のセパレータレスの粘着剤層付フィルム(C3)を製造した。結果を表1に示した。
〔比較例4〕
粘着剤層の厚みを9.0μmとした以外は、実施例1と同様に行い、基材層(厚み38μm)/ウレタン系粘着剤層(厚み9.0μm)の構成のセパレータレスの粘着剤層付フィルム(C4)を製造した。結果を表1に示した。