JP2022112521A - 重合体溶液の脱溶媒方法 - Google Patents

重合体溶液の脱溶媒方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重合体のクラムの互着を有効に抑制して、重合体溶液から非水溶性有機溶媒を分離する重合体溶液の脱溶媒方法を提供する。【解決手段】重合体溶液からスチームストリッピングにより非水溶性有機溶媒を除去する際に、スチームストリッピングに重合体溶液を供給する前に、分散剤濃度の高い分散剤水溶液を予め重合体溶液に混合し、得られる重合体溶液と分散剤濃度の高い分散剤水溶液との混合物を、スチームストリッピングに供給することによって、重合体のクラムの互着を有効に抑制することができる。【選択図】図1

Description

本発明は重合体溶液の脱溶媒方法に関する。さらに詳細には、本発明は、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液から、非水溶性有機溶媒をスチームストリッピングにより除去する重合体溶液の脱溶媒方法に関する。
共役ジエン系重合体や芳香族ビニル系重合体などの重合体は、耐衝撃性などに優れた樹脂であり、射出成型品、シート、フィルム等に広く使用されている。これらの重合体は、通常、炭化水素などの非水溶性有機溶媒中で重合用モノマーを触媒の存在下に重合して得られる重合体溶液を、スチームストリッピングにより、重合体溶液から非水溶性有機溶媒を分離して脱溶媒し、重合体のクラムを得ることによって製造されている。
スチームストリッピング法は、重合体溶液を温水中に注入し、非水溶性有機溶媒をスチームとともに蒸発させ、重合体をクラム状で析出、凝固させて重合体を得る方法として、重合体の製造に広く採用されている。スチームストリッピング法においては、温水中に重合体溶液をよく分散させて重合体が互着して塊状化するのを防止し、適度な大きさのクラムにするのが望ましい。そのためには、適当な分散剤の使用や適切なスチームストリッピング条件の設定等が重要となる。
スチームストリッピング法を用いた重合体の製造方法としては、例えば、特許文献1には、重合体溶液に特定のリン酸エステルとともに界面活性剤を添加して、スチームストリッピングを行うことにより、色調、耐湿熱変色性、透明性等に優れた重合体を回収する方法が記載されている。また、特許文献2には、ブロック共重合体溶液100重量部に対して、水100重量部に対して分散剤を0.001~0.5重量部含んだ分散剤水溶液1~50重量部を予め攪拌、混合を行った後に、その混合物をスチームストリッピングに付することにより、重合の際に用いた重合開始剤である有機リチウム化合物の残渣が少なく、色調や耐失透性が良好なブロック共重合体を製造する方法が記載されている。
特許第5186920号公報 特開2004-155851号公報
特許文献1や特許文献2に記載された方法は、前記したとおり、色調、耐湿熱変色性、透明性等に優れた重合体を回収すること、あるいは、重合開始剤の残渣が少なく、色調や耐失透性が良好なブロック共重合体を製造することを主たる目的としていて、スチームストリッピングの際に重合体が析出、凝固し互着して塊状化することを防止することについては、特に詳細には検討されていない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、本発明は、スチームストリッピングにより重合体溶液から溶媒を分離して重合体を凝固させる際に、特に重合体のクラムの互着を有効に抑制して、重合体溶液から非水溶性有機溶媒を分離する重合体溶液の脱溶媒方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、特に重合体のクラムの互着を有効に抑制して、重合体溶液から非水溶性有機溶媒を分離する重合体溶液の脱溶媒方法を達成することを目的として鋭意検討した結果、重合体溶液からスチームストリッピングにより非水溶性有機溶媒を除去する際に、スチームストリッピングに重合体溶液を供給する前に、分散剤濃度の高い分散剤水溶液を予め重合体溶液に混合し、得られる重合体溶液と分散剤濃度の高い分散剤水溶液との混合物を、スチームストリッピングに供給することによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。
かくして、本発明は、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液から、非水溶性有機溶媒をスチームストリッピングにより除去する、重合体溶液の脱溶媒方法において、
重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液100重量部に、水100重量部に対して分散剤1~50重量部を含む分散剤水溶液0.025~1重量部を、予め混合、攪拌し、得られる分散剤水溶液添加重合体溶液を、分散剤を含む温水とともに、スチームストリッピングに供給して、非水溶性有機溶媒を除去することを特徴とする、重合体溶液の脱溶媒方法に関する。
本発明の重合体溶液の脱溶媒方法においては、前記重合体溶液に前記分散剤水溶液を予め混合、攪拌し、得られる分散剤水溶液添加重合体溶液を、分散剤を含む温水とともに、スチームストリッピングに供給して、スチームストリッピングを行うことにより、得られる重合体のクラムの互着を有効に抑制することができる。
本発明においては、前記分散剤は界面活性剤が好ましい。前記重合体は、1種類もしくは2種類以上の共役ジエンを含む共役ジエン系重合体、又は共役ジエンとビニル芳香族を含むビニル芳香族系共重合体等が好ましい。前記非水溶性有機溶媒は、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が好ましい。
本発明の重合体溶液の脱溶媒方法によれば、分散剤濃度の高い分散剤水溶液を予め重合体溶液に混合、攪拌し、得られる分散剤水溶液添加重合体溶液を、分散剤を含む温水とともに、スチームストリッピングに供給することにより、スチームストリッピングによる重合体溶液からの重合体の凝固の際に、重合体のクラムの互着を有効に抑制することができる。また、本発明では、スチームストリッピングを実施する脱溶媒タンクに分散剤水溶液添加重合体溶液や分散剤を含む温水を供給する配管ノズル内で重合体のクラムが生じた場合でも、該クラムが配管ノズルに付着するのを効果的に抑制することができる。さらには、スチームストリッピング後に得られる重合体のクラムを貯蔵するクラムタンク、あるいは、それとともに得られるセラム水を貯蔵するセラムタンクにおける発泡を効果的に抑制することもできる。また、本発明では、分散剤濃度の高い分散剤水溶液を予め重合体溶液に混合、攪拌して、分散剤水溶液添加重合体溶液を調製し、配管ノズルに移送する際の、分散剤水溶液添加重合体溶液における重合体溶液と水との分散性を有効に向上させることもできる。
本発明の重合体溶液の脱溶媒方法を含む重合体の製造を好適に実施し得る重合体製造装置の一つの実施形態の概略図である。 図1に示した脱溶媒タンク4に接続する配管ノズル3の一例を示す断面図である。
以下、本発明の重合体溶液の脱溶媒方法について、詳細に説明する。
本発明の脱溶媒方法で対象とする重合体溶液は、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液である。重合体は、非水溶性有機溶媒に溶解するものであれば、特に限定されず、通常使用される重合体が使用される。重合体としては、例えば、アクリル重合体、イソプレン重合体、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、低シスブタジエン重合体、高シスブタジエン重合体、高トランスブタジエン重合体、スチレン・イソプレン共重合体、ブタジエン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン重合体、スチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリスチレン・ポリブタジエン・ポリスチレントリブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、ポリイソプレン・SBRブロック共重合体などの1種類もしくは2種類以上の共役ジエンを含む共役ジエン系重合体、ビニル芳香族系重合体等が挙げられる。また、エピクロロヒドリン重合体、フッ素重合体、シリコーン重合体、ウレタン重合体等も挙げられる。これらの重合体は、末端や分子鎖中に、アミノ基、水酸基、アルコキシシリル基、シラノール基の官能基の少なくとも1つで変性されていてもよい。
前記重合体は、1種類もしくは2種類以上の共役ジエンを含む共役ジエン系重合体、又は共役ジエンとビニル芳香族を含むビニル芳香族系共重合体が好ましい。特に、前記重合体は、St+2Vn≧90(式中、St≧0、Stはビニル芳香族の含量(重量%)、Vnは共役ジエン部のビニル含量(mol%)を示す。)を満たす、1種類もしくは2種類以上の共役ジエンを含む共役ジエン系重合体、又は共役ジエンとビニル芳香族を含むビニル芳香族系共重合体が好ましい。このような重合体を本発明で用いた場合には、重合体溶液の脱溶媒時の重合体のクラムの互着を効果的に抑制することができ、また、配管ノズルへの重合体のクラムの付着を効果的に抑制することができる。さらには、スチームストリッピング後に得られる重合体のクラムを貯蔵するクラムタンクにおける発泡を効果的に抑制することもできる。
前記重合体がスチレン・ブタジエン共重合体の場合、ムーニー粘度(ML粘度)が10~150の重合体が好ましく、ML粘度が10~70の重合体がより好ましく、ML粘度が10~55の重合体が特に好ましい。このような重合体を本発明で用いた場合には、重合体のクラムの互着、配管への付着を効果的に抑制でき、また、クラムタンクの発泡を効果的に抑制することができる。
前記重合体がスチレン・イソプレン共重合体の場合、好ましくはMFR(メルトマスフローレイト)(JIS K-7210-1:2014)が10[g/10min(200℃/5kg)]以上、より好ましくは15[g/10min(200℃/5kg)]以上であるブロック構造を有するスチレン・イソプレン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体が好ましい。このような重合体を本発明で用いた場合には、重合体溶液の脱溶媒時の重合体のクラムの互着を効果的に抑制することができ、また、配管ノズルへの重合体のクラムの付着を効果的に抑制することができる。さらには、スチームストリッピング後に得られる重合体のクラムを貯蔵するクラムタンクにおける発泡を効果的に抑制することもできる。
非水溶性有機溶媒は、重合体が溶解するものであれば、特に限定されない。非水溶性有機溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの飽和炭化水素;1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテンなどの不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなどの含窒素系炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの含ハロゲン系炭化水素;プロピレングリコール;などを挙げることができる。これらの中でも、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が好ましく、飽和炭化水素がより好ましい。非水溶性有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の脱溶媒方法で対象とする重合体溶液は、前記した重合体製造用の単位モノマーを、重合反応で通常使用される触媒の存在下に、前記した非水溶性有機溶媒中で重合させることにより製造することができる。
かくして製造される、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液から、非水溶性有機溶媒をスチームストリッピングにより除去する。本発明の重合体溶液の脱溶媒方法においては、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液100重量部に、水100重量部に対して分散剤1~50重量部を含む分散剤水溶液0.025~1重量部を、予め混合、攪拌し、得られる分散剤水溶液添加重合体溶液を、分散剤を含む温水とともに、スチームストリッピングに供給して、非水溶性有機溶媒を除去する。
本発明では、特に、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液をスチームストリッピングに供給する前に、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液に、前記分散剤水溶液を、予め混合、攪拌して、分散剤水溶液添加重合体溶液を調製した後に、この分散剤水溶液添加重合体溶液をスチームストリッピングに供給する。ここで、重合体溶液に予め混合、攪拌する分散剤水溶液は、水100重量部に対して分散剤1~50重量部を含む。すなわち、分散剤水溶液は、分散剤濃度1~33重量%の分散剤水溶液である。水100重量部に対して分散剤1重量部未満では、すなわち、分散剤濃度1重量%未満の分散剤水溶液では、スチームストリッピングによる脱溶媒後に得られる重合体のクラムの互着性を有効に抑制することができず、また、重合体のクラムを貯蔵するクラムタンクあるいは重合体のクラムから分離されるセラム水を貯蔵するセラムタンクでの発泡を有効に抑制することができない。さらには、分散剤水溶液添加重合体溶液における重合体溶液と水との分散性も低下する。水100重量部に対して分散剤50重量超では、すなわち、分散剤濃度33重量%超の分散剤水溶液では、同様に、重合体クラムの互着性を有効に抑制できず、発泡も有効に抑制ができない。分散剤水溶液は水100重量部に対して分散剤5~50重量部含むのが好ましく、分散剤5~40重量部含むのが特に好ましい。
また、本発明では、重合体溶液100重量部に、前記分散剤水溶液0.025~1重量部を、予め混合、攪拌する。分散剤水溶液0.025重量部未満では、分散剤の添加量が少なすぎて、重合体溶液全体に水が分散できなくなり、分散剤水溶液1重量部超では、水の添加量が多すぎて、水が合一し易くなり重合体溶液全体に対する水の分散が不良となる。重合体溶液100重量部に、前記分散剤水溶液を0.04~1重量部、予め混合、攪拌するのが好ましく、特に0.04~0.8重量部、予め混合、攪拌するのが好ましい。
本発明では、前記のとおり、分散剤濃度が1~33重量%と高い分散剤水溶液を、重合体溶液に予め混合、攪拌すると、重合体中に分散剤が染み込み、その後に、重合体溶液をスチームストリッピングにより脱溶媒させて重合体のクラムを製造させると、クラム生成時に重合体中から分散剤が染み出し、クラム表面に分散剤が表出して、クラムの互着を有効に抑制できると考えられる。これに対して、例えば、特許文献1に記載されるように、分散剤濃度が低い分散剤水溶液を用いた場合には、重合体溶液中の分散剤の分散に偏りが生じ、重合体溶液中に分散剤を均一に分散させることが難しく、そのために、クラムの互着を有効に抑制できないと考えられる。
前記分散剤水溶液を重合体溶液に、予め混合、攪拌するには、通常攪拌に用いられる撹拌機付きタンクを使用することができる。また、スタティックミキサー付き配管中で予め混合、攪拌することもできる。
本発明で用いる分散剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体等の2種以上のアルキレンオキシドのブロック共重合体; ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数5~50の高級アルコール、オクチルフェノール、イソオクチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール及びブチルナフトール、オクチルナフトール等のアルキルナフトール等にアルキレンオキシドを重付加させたポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチエレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンエーテル系化合物;ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の炭素数5~50の高級脂肪酸等にアルキレンオキシドを重付加させたポリオキシエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル系化合物;グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、マンニタン、ヘキシタン、及びこれらの重縮合物等の分子内に水酸基を3個以上有する多価アルコールと炭素数5~50の高級脂肪酸とのエステルであるグリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート、マンニタンモノラウレート、マンニタンモノステアレート、マンニタンジステアレート、マンニタンモノオレエート、ヘキシタンモノラウレート、ヘキシタンモノパルミテート、ヘキシタンモノステアレート、ヘキシタンジステアレート、ヘキシタントリステアレート、ヘキシタンモノオレエート、ヘキシタンジオレエート等の多価アルコール系脂肪酸エステル化合物;該多価アルコール系脂肪酸エステル化合物にアルキレンオキシドを重付加させたポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンマンニタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンマンニタンモノステアレート、ポリオキシエチレンマンニタンモノオレエート、ポリオキシエチレンヘキシタンモノラウレート、ポリオキシエチレンヘキシタンモノステアレート等のポリオキシアルキレン多価アルコール系脂肪酸エステル化合物;ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン等のポリオキシアルキレンアルキルアミン化合物;アルキルアルカノールアミド化合物等が挙げられる。
これらの中でも、2種以上のアルキレンオキシドのブロック共重合体、ポリオキシアルキレンエーテル系化合物、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル系化合物、ポリオキシアルキレン多価アルコール系脂肪酸エステル化合物、ポリオキシアルキレンアルキルアミン化合物等のポリオキシアルキレン系化合物が好ましく、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンステアリルアミンが特に好ましい。
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩等のカルボン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩-ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリン酸塩等のスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル類等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、ヨウ化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、臭化ジアルキルジメチルアンモニウム、ヨウ化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルカルボキシメチルベタイン、アルキルジメチルカルボキシメチレンアンモニウムベタイン、アルキルジメイチルアンモニオアセタート、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酸ベタイン、アルキロイルアミドプロピルジメチルグリシン、アルキロイルアミドプロピルジメチルアンモニオアセタート、2-アルキル-1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウム-1-アセテート、アルキルジアミノエチルグリシン、ジアルキルジアミノエチルグリシン、アルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。分散剤は、単独で使用してもよいし、二種以上併用してもよい。
本発明では、前記したように、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液に、分散剤水溶液を、予め混合、攪拌し、得られる分散剤水溶液添加重合体溶液を、前記した界面活性剤等の分散剤を含む温水とともに、スチームストリッピングに供給する。分散剤水溶液添加重合体溶液とともに、分散剤を含む温水を、スチームストリッピングに供給することにより、クラムの互着をより有効に抑制できる。また、分散剤を含む温水を、水溶液添加重合体溶液とともに、スチームストリッピングに供給することにより、供給に用いる配管ノズル中にクラムが生じても、配管ノズルにクラムが付着するのを防ぐことができる。温水中の分散剤の含有量は、2~70ppmであることが好ましく、3~40ppmであることがさらに好ましい。温水中の分散剤の含有量が2~70ppmであると、スチームストリッピングを実施する複数の脱溶媒タンクを直列に配置した場合に、脱溶媒タンク間で重合体スラリーを移送する移送配管での詰まりの発生を有効に抑制することができる点でも好ましい。
前記した分散剤水溶液添加重合体溶液及び分散剤を含む温水は、スチームとともに、通常配管ノズルを経由して、脱溶媒タンクに送られる。また、通常、加温用スチームも脱溶媒タンクに供給される。脱溶媒タンク中でスチームストリッピングにより前記した非水溶性有機溶媒が除去される。スチームストリッピングは、非水溶性有機溶媒の沸点以上の温度で、非水溶性有機溶媒と水とが共沸する場合は共沸温度以上で実施される。通常120℃以下の温度で実施される。脱溶媒タンク内の重合体濃度は通常1~8重量%となるのが好ましく、3~7重量%となるように調整するのがさらに好ましい。脱溶媒タンクは、複数の脱溶媒タンクを直列に設置して、スチームストリッピングを複数の脱溶媒タンクで連続的に順次行うこともできる。また、スチームストリッピングする際に重合体の酸化劣化、熱的劣化を防止するために、フェノール系酸化防止剤やリン酸系酸化防止剤などを用いることもできる。
以上に説明した本発明の重合体溶液の脱溶媒方法により、温水中にクラム状の重合体が分散したスラリー液を得ることができる。得られたスラリー液は、メッシュを備えたスクリーン等で、含水状態のクラムと分散剤を含んだ水に分離される。クラム状の重合体は脱水工程で脱水されて、目的とする重合体を得ることができる。
以下に、本発明の重合体溶液の脱溶媒方法を含む重合体の製造を好適に実施し得る重合体製造装置の一つの実施形態の概略図である図1に基づいて、本発明の重合体溶液の脱溶媒方法について説明する。
図1の重合体製造装置では、重合反応後に得られる重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液が、重合体溶液貯蔵タンク1中に貯蔵される。この重合体溶液は、ポンプ10を経由して混合部2(撹拌機付きタンク又はスタティックミキサー付き配管)へ送られる。他方、前記した水100重量部に対して分散剤1~50重量部を含む分散剤水溶液が、分散剤水溶液1として、混合部2へ送られる。そして、混合部2中で、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液に、水100重量部に対して分散剤1~50重量部を含む分散剤水溶液(分散剤水溶液1)が、予め混合、攪拌されて分散剤水溶液添加重合体溶液が調製される。この分散剤水溶液添加重合体溶液はポンプ11を経由して、配管ノズル3へ送られる。また、前記分散剤水溶液1と温水とが混合されて、分散剤を含む温水が調製され、分散剤を含む温水が分散剤水溶液2として、配管ノズル3へ送られる。同時に、スチームも配管ノズル3へ送られる。配管ノズル3中で、分散剤水溶液添加重合体溶液、分散剤水溶液2及びスチームが混合されて、脱溶媒タンク4へ送られる。また、同時に、加温用スチームも脱溶媒タンク4へ送られる。
次いで、脱溶媒タンク4中でスチームストリッピングが実施されて、非水溶性有機溶媒が除去され、重合体が凝固され、重合体のクラムが生成する。スチームストリッピングにより除去された非水溶性有機溶媒は回収工程へ送られる。図1では、脱溶媒タンク4、脱溶媒タンク5及び脱溶媒タンク6が、移送配管17及び移送配管18並びにポンプ12及びポンプ13を経由して直列に配置されている。脱溶媒タンク4、脱溶媒タンク5及び脱溶媒タンク6のそれぞれには、加温用スチームが送られる。したがって、脱溶媒タンク4、脱溶媒タンク5及び脱溶媒タンク6中で順次スチームストリッピングが実施され、非水溶性有機溶媒が除去されて、重合体が順次凝固され、より凝固した重合体のより硬いクラムが順次生成する。
脱溶媒タンク6中でのスチームストリッピング後に得られる、重合体のクラムが分散された温水スラリーは、ポンプ14を経由して、メッシュを備えたスクリーン7へ送られ、温水スラリーが分離されて、その結果、クラムタンク8に重合体のクラムが回収され、セラムタンク9にセラム水が回収される。セラムタンク9中の分散剤を含む温水は、ポンプ15を経由して、分散剤水溶液2へ送られ、循環再使用される。他方、ポンプ16を経由して、クラムタンク8中の重合体のクラムが脱水工程に送られ、脱水されて、目的とする重合体を製造することができる。
以下に、図1に示した脱溶媒タンク4に接続する配管ノズル3の一例を示す断面図である図2に基づいて、配管ノズル3について説明する。
図2においては、脱溶媒タンク4に接続する配管ノズル3の底面に温水供給部20が設置され、分散剤を含む温水Wが分散剤水溶液2として配管ノズル3に供給される。側面にスチーム供給部19が設置され、スチームSが配管ノズル3に供給される。頂面に重合体溶液供給部21が設置され、前記した分散剤水溶液添加重合体溶液Rが配管ノズル3に供給される。分散剤を含む温水Wは、温水供給部20から、配管ノズル3の内部に鉛直方法(図2中上向き)に供給された後、水平方向に(図2中右向き)に流動する。スチームSは、スチーム供給部19から、配管ノズル3の内部を水平方向に流動している分散剤を含む温水W中に、分散剤を含む温水Wが流動している方向に(図2中右向き)に供給される。分散剤水溶液添加重合体溶液Rは、重合体溶液供給部21から、配管ノズル3の内部を水平方向に流動している分散剤を含む温水W中に、分散剤を含む温水Wが流動している方向に(図2中右向き)に供給される。
このような構成をとる配管ノズル3の場合には、配管ノズル3中に重合体のクラムCが生成しても、クラムC同士が衝突しにくくなり、クラムCの互着を抑制することができる。また、前記したように、本発明では、高い分散剤濃度を有する分散剤水溶液を予め混合、攪拌して得られる分散剤水溶液添加重合体溶液Rを、分散剤を含む温水Wとともに、配管ノズル3に供給するので、配管ノズル3に重合体のクラムCが付着するのを抑制することができる。
以下に、製造例、評価方法、実施例及び比較例を記載して、本発明を更に詳細に説明する。本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.スチレン・ブタジエン共重合体溶液の製造例
冷却器、攪拌機付き耐圧反応容器に、シクロヘキサンとブタンの質量比70:30の混合非水溶性有機溶媒257重量部と、スチレン17.1重量部と、1,3-ブタジエン42.9重量部を投入した後、撹拌し、混合した。次に、反応容器中の混合液を撹拌しながら、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.136重量部と、n-ブチルリチウム0.0384重量部を添加した後、40℃で重合を開始した。ここで、1,3-ブタジエンは、重合禁止剤としての、4-t-ブチルカテコール(TBC)を取り除いたものである。重合を開始してから30分後に、スチレン4重量部と、1,3-ブタジエン36重量部を60分間かけて連続的に添加した。重合転化率が99%を超えた時点で、四塩化スズ0.0153重量部を添加して5分間撹拌した後、N-フェニル-2-ピロリドン0.0666重量部を添加して5分間反応させ、重合体溶液を得た。
重合体溶液を反応容器から、重合体のクラムの製造装置(図1参照)の重合体溶液貯蔵タンク(図1の重合体溶液貯蔵タンク1)に移送した。ここで、重合体溶液を移送する途中で、メタノール0.0376重量部を添加して重合を停止した後、安定剤イルガノックス1520L(BASF製)0.3phrを添加した。シクロヘキサンとブタンの混合非水溶性有機溶媒重合体溶液及びスチレン・ブタジエン共重合体を含む重合体溶液を得た。このスチレン・ブタジエン共重合体溶液は、スチレン・ブタジエン共重合体の含有量が28質量%であった。
ここで、重合体溶液を少量サンプリングして、凝固させた後、真空乾燥させ、スチレン・ブタジエン共重合体を得た。スチレン・ブタジエン共重合体のスチレン由来の構成単位の含有量及びブタジエン由来の構成単位の1,2-結合量を、FT-IR(溶液法・ハンプトン法)により測定したところ、それぞれ21重量%、63重量%であった。また、スチレン・ブタジエン共重合体のムーニー粘度ML1+4(100℃)を測定したところ、45であった。
2.評価方法
(1)クラムの互着性
重合体のクラムが互着をするとポンプ移送が困難になり、タンクの液面レベルが上昇する。そこで、脱溶媒タンク(図1の脱溶媒タンク4)の液面レベルを確認した。生産時の通常の液面レベルを基準とし、基準の液面レベルを50%とした。液面レベルが50~60%未満を〇、液面レベルが60~70%未満を△、液面レベルが80%以上を×として、重合体のクラムの互着性を評価した。
(2)配管ノズルのクラムの付着性
スチームストリッピングによる重合体溶液中の重合体の凝固終了時に、配管ノズル(図1及び図2の配管ノズル3)を開放し、温水供給部(図2の温水供給部20)、スチーム供給部(図2のスチーム供給部19)及び重合体溶液供給部(図2の重合体溶液供給部21)を目視で確認した。配管ノズルの各供給部に重合体のクラムの付着が少ないものを〇、クラムの付着が多いものを×として、配管ノズルのクラムの付着性を評価した。
(3)発泡性
クラムタンクとセラムタンク(図1のクラムタンク8とセラムタンク9)の発泡を目視で確認した。泡立ちが少ないものを〇、タンク上部まで泡立つものを△、タンクから泡が溢れるものを×として、発泡性を評価した。
(4)重合体溶液と水の分散性
透明の耐圧容器に重合体溶液を、図1の混合部2からサンプリングした。耐圧容器を静置し、2分以内に重合体溶液と水とが分離しないものを分散性が良い〇、15秒~2分以内に分離するものを分散性がやや悪い△、15秒以内に分離するものを分散性が悪い×として、重合体溶液と水の分散性を評価した。
実施例1
重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液からの重合体のクラムの製造
図1の重合体製造装置及び図2の配管ノズル3(内径8インチ)を用いて、以下に具体的に説明するように、重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液から、本発明の脱溶媒方法を実施して、重合体のクラムを製造した。
まず、図1の脱溶媒タンク4に接続する配管ノズル3に、スチーム、分散剤水溶液を含む重合体溶液、すなわち、分散剤水溶液添加重合体溶液R、及び分散剤を含む温水W(分散剤水溶液2)を供給した。具体的には、下記の条件及び表1に纏めた条件で、図2に示したように、水平方向に流動している分散剤を含む温水W中に、分散剤水溶液添加重合体溶液R及びスチームSを、それぞれ鉛直方向及び水平方向に供給して、分散剤水溶液添加重合体溶液R及び分散剤を含む温水WをスチームSと接触させ、クラムCが分散しているスラリーとした。
より具体的には、前記した製造例で製造した重合体溶液(シクロヘキサンとブタンの混合非水溶性有機溶媒及びスチレン・ブタジエン共重合体を含む重合体溶液)100重量部に対して、分散剤水溶液(分散剤水溶液1)0.279重量部を、図1の混合部2にて、添加し、混合、攪拌して均一に混合し、分散剤水溶液添加重合体溶液Rを得た。ここで使用した分散剤水溶液の濃度は水100重量部に対して分散剤5重量部であった。使用した分散剤は、曇点58℃のポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン縮合物の非イオン性界面活性剤であった。
分散剤水溶液を含む分散剤水溶液添加重合体溶液Rの単位時間の配管ノズル3への供給量は14.33t/hであった。なお、この時の、重合体溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は14.29t/hであり、分散剤水溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は40kg/hであった。
分散剤を含む温水Wの温度は80℃であり、分散剤を含む温水Wの流速は0.56m/sであり、分散剤を含む温水Wの配管ノズル3への単位時間当たりの供給量は65.56t/hであり、分散剤を含む温水W中の分散剤の含有量は35ppmであった。
脱溶媒タンク4へ供給されたスラリー中のクラム濃度は5重量%であった。脱溶媒タンク4にて、内部の温度110℃の条件でスチームストリッピング法により、非水溶性有機溶媒の一部を脱溶媒した。
次に、重合体のクラムが分散しているスラリーを脱溶媒タンク5に移送した後、温度143℃、圧力0.29MPaの保温スチームを0.3t/hで供給して、スチームストリッピング法により、非水溶性有機溶媒の一部を脱溶媒した。このとき、脱溶媒タンク5の内部の温度を110℃とした。次に、非水溶性有機溶媒の一部が脱溶媒されたスラリーを脱溶媒剤タンク6に移送した後、脱溶媒タンク5と同様にして、保温スチームを供給して、スチームストリッピング法により、非水溶性有機溶媒の残部を脱溶媒し、重合体のクラムが分散している温水スラリーとした。
次に、傾斜角60°で設置されているスクリーン7としての、目開き0.5mmのメッシュを用いて、重合体のクラムが分散している温水スラリーを分離した。その結果、セラムタンク9でセラム水が回収され、クラムタンク8で重合体のクラムが回収された。
以上に記載した実施事項に関して、各具体的条件等を表1に纏めた。また、前記した評価方法に基づいて、重合体のクラムの互着性や付着性、発泡性及び重合体溶液と水との分散性について評価した。得られた結果も表1に示した。
実施例2
図1の混合部2にて、重合体溶液100重量部に対して、分散剤水溶液0.058重量部を添加し、混合、攪拌して均一に混合し、分散剤水溶液添加重合体溶液Rを得た。ここで使用した分散剤水溶液(分散剤水溶液1)の濃度は水100重量部に対して分散剤30重量部であった。
分散剤水溶液を含む分散剤水溶液添加重合体溶液Rの単位時間の配管ノズル3への供給量は14.30t/hであった。なお、この時の、重合体溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は14.29t/hであり、分散剤水溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は8kg/hであった。
前記した分散剤水溶液の濃度、重合体溶液への分散剤水溶液の添加量及び各供給量以外は実施例1と同様である。各具体的条件等及び評価結果を表1に示した。
実施例3
図1の混合部2にて、重合体溶液100重量部に対して、分散剤水溶液0.047重量部を添加し、混合、攪拌して均一に混合し、分散剤水溶液添加重合体溶液Rを得た。ここで使用した分散剤水溶液(分散剤水溶液1)の濃度は水100重量部に対して分散剤40重量部であった。
分散剤水溶液を含む分散剤水溶液添加重合体溶液Rの単位時間の配管ノズル3への供給量は14.30t/hであった。なお、この時の、重合体溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は14.29t/hであり、分散剤水溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は7kg/hであった。
前記した分散剤水溶液の濃度、重合体溶液への分散剤水溶液の添加量及び各供給量以外は実施例1と同様である。各具体的条件等及び評価結果を表1に示した。
比較例1
図1の混合部2にて、重合体溶液100重量部に対して、分散剤水溶液0.032重量部を添加し、混合、攪拌して均一に混合し、分散剤水溶液添加重合体溶液Rを得た。ここで使用した分散剤水溶液(分散剤水溶液1)の濃度は水100重量部に対して分散剤70重量部であった。
分散剤水溶液を含む分散剤水溶液添加重合体溶液Rの単位時間の配管ノズル3への供給量は14.29t/hであった。なお、この時の、重合体溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は14.29t/hであり、分散剤水溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は5kg/hであった。
前記した分散剤水溶液の濃度、重合体溶液への分散剤水溶液の添加量及び各供給量以外は実施例1と同様である。各具体的条件等及び評価結果を表1に示した。
比較例2
図1の混合部2にて、重合体溶液100重量部に対して、分散剤水溶液2.673重量部を添加し、混合、攪拌して均一に混合し、分散剤水溶液添加重合体溶液Rを得た。ここで使用した分散剤水溶液(分散剤水溶液1)の濃度は水100重量部に対して分散剤0.5重量部であった。
分散剤水溶液を含む分散剤水溶液添加重合体溶液Rの単位時間の配管ノズル3への供給量は14.67t/hであった。なお、重合体溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は14.29t/hであり、分散剤水溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は382kg/hであった。
前記した分散剤水溶液の濃度、重合体溶液への分散剤水溶液の添加量及び各供給量以外は実施例1と同様である。各具体的条件等及び評価結果を表1に示した。
比較例3
図1の混合部2にて、重合体溶液100重量部に対して、分散剤水溶液49.273重量部を添加し、混合、攪拌して均一に混合し、分散剤水溶液添加重合体溶液Rを得た。ここで使用した分散剤水溶液(分散剤水溶液1)の濃度は水100重量部に対して分散剤0.027重量部であった。
分散剤水溶液を含む分散剤水溶液添加重合体溶液Rの単位時間の配管ノズル3への供給量は21.33t/hであった。なお、この時の、重合体溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は14.29t/hであり、分散剤水溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は7041kg/hであった。
前記した分散剤水溶液の濃度、重合体溶液への分散剤水溶液の添加量及び各供給量以外は実施例1と同様である。各具体的条件等及び評価結果を表1に示した。
比較例4
図1の混合部2にて、重合体溶液100重量部に対して、分散剤水溶液0.559重量部を添加し、混合、攪拌して均一に混合し、分散剤水溶液添加重合体溶液Rを得た。ここで使用した分散剤水溶液(分散剤水溶液1)の濃度は水100重量部に対して分散剤5重量部であった。
分散剤水溶液を含む分散剤水溶液添加重合体溶液Rの単位時間の配管ノズル3への供給量は14.37t/hであった。なお、この時の、重合体溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は14.29t/hであり、分散剤水溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は80kg/hであった。
また、分散剤を含まない温水Wを使用したため、温水W中の分散剤の含有量は0ppmであった。
前記した重合体溶液への分散剤水溶液の添加量、各供給量及び温水W中の分散剤の含有量0ppm以外は実施例1と同様である。各具体的条件等及び評価結果を表1に示した。
比較例5
図1の混合部2にて、重合体溶液100重量部に対して、分散剤水溶液0.093重量部を添加し、混合、攪拌して均一に混合し、分散剤水溶液添加重合体溶液Rを得た。ここで使用した分散剤水溶液(分散剤水溶液1)の濃度は水100重量部に対して分散剤40重量部であった。
分散剤水溶液を含む分散剤水溶液添加重合体溶液Rの単位時間の配管ノズル3への供給量は14.30t/hであった。なお、重合体溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は14.29t/hであり、分散剤水溶液の混合部2への単位時間当たりの供給量は13kg/hであった。
また、分散剤を含まない温水Wを使用したため、温水W中の分散剤の含有量は0ppmであった。
前記した分散剤水溶液の濃度、重合体溶液への分散剤水溶液の添加量、各供給量及び温水W中の分散剤の含有量0ppm以外は実施例1と同様である。各具体的条件等及び評価結果を表1に示した。
比較例6
重合体溶液に分散剤水溶液(分散剤水溶液1)を予め混合、攪拌しなかった。したがって、重合体溶液をそのまま、配管ノズル3へ供給し、単位時間の配管ノズル3への供給量は14.29t/hであった。また、分散剤を含む温水W中の分散剤の含有量は70ppmであった。分散剤を含む温水Wを調製するために使用した分散剤水溶液(分散剤水溶液1)の濃度は水100重量部に対して分散剤30重量部であった。
前記したとおり重合体溶液に分散剤水溶液を添加しなかったこと、温水W中の分散剤の含有量、及び分散剤を含む温水Wの調製に用いた分散剤水溶液の濃度以外は実施例1と同様である。各具体的条件等及び評価結果を表1に示した。
比較例7
重合体溶液に分散剤水溶液を予め混合、攪拌しなかった。したがって、重合体溶液をそのまま、配管ノズル3へ供給し、単位時間の配管ノズル3への供給量は14.29t/hであった。また、分散剤を含む温水W中の分散剤の含有量は35ppmであった。分散剤を含む温水Wを調製するために使用した分散剤水溶液(分散剤水溶液1)の濃度は水100重量部に対して分散剤30重量部であった。
前記したとおり重合体溶液に分散剤水溶液を添加しなかったこと、及び分散剤を含む温水Wの調製に用いた分散剤水溶液の濃度以外は実施例1と同様である。各具体的条件等及び評価結果を表1に示した。
Figure 2022112521000002
表1中、重合体溶液100重量部中には、重合体20重量部と非水溶性有機溶媒80重量部が含まれる。温水Wの重量部は、分散剤水溶液を添加する前の重合体と非水溶性有機溶媒の混合物である重合体溶液100重量部に対する重量部を示す。使用スチーム量は、実施例1のスチーム使用量を100とした時の指数を示す。
表1の結果から分かるように、本発明の重合体溶液の脱溶媒方法を用いた実施例1~3によれば、スチームストリッピングによる重合体溶液からの重合体の凝固の際に、重合体のクラムの互着を有効に抑制することができる。また、配管ノズルへの重合体のクラムの付着を効果的に抑制することができる。さらには、スチームストリッピング後に得られる重合体のクラムを貯蔵するクラムタンク8における発泡を効果的に抑制することもできる。また、分散剤水溶液添加重合体溶液の重合体溶液と水の分散性の結果より、重合体溶液と水の分散性が良いものは、重合体のクラムの互着を効果的に抑制でき、他方、重合体溶液と水の分散性が悪いものは、重合体のクラムの互着の抑制効果が低減する。
これに対して、水100重量部に対して分散剤50重量部超を含む分散剤水溶液を用いた比較例1の場合には、クラムの互着性を十分に抑制できず、クラムタンク8内の発泡も十分に抑制できない。水100重量部に対して分散剤1重量部未満を含む分散剤水溶液を用いた比較例2及び比較例3の場合には、クラムの互着性を抑制できず、クラムタンク8内の発泡も抑制できず、また、分散剤水溶液添加重合体溶液における重合体溶液と水との分散性も悪い。分散剤を含まない温水を用いた比較例4及び比較例5の場合には、配管ノズルへの重合体のクラムの付着を抑制することができない。重合体溶液に分散剤水溶液を予め混合、攪拌しなかった比較例6及び比較例7の場合には、クラムの互着性を抑制できず、また、クラムタンク内の発泡を抑制できない。
本発明の重合体溶液から非水溶性有機溶媒を分離する重合体溶液の脱溶媒方法は、スチームストリッピングにより重合体溶液から溶媒を分離して重合体を凝固させる際に、特に重合体のクラムの互着を有効に抑制でき、配管ノズルへの重合体のクラムの付着を効果的に抑制することができ、さらには、スチームストリッピング後に得られる重合体のクラムを貯蔵するクラムタンクなどでの発泡を効果的に抑制することもでき、また、重合体溶液と水との分散性を有効に向上させることもできる。したがって、本発明の重合体溶液の脱溶媒方法は、重合体の製造において極めて有用である。
1 重合体溶液貯蔵タンク
2 混合部(撹拌機付きタンク又はスタティックミキサー付き配管)
3 配管ノズル
4、5、6 脱溶媒タンク
7 スクリーン
8 クラムタンク
9 セラムタンク
10、11、12、13、14、15、16 ポンプ
17、18 移送配管
19 スチーム供給部
20 温水供給部
21 重合体溶液供給部
S スチーム
W 分散剤を含む温水
R 分散剤水溶液添加重合体溶液
C クラム

Claims (6)

  1. 重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液から、非水溶性有機溶媒をスチームストリッピングにより除去する、重合体溶液の脱溶媒方法において、
    重合体及び非水溶性有機溶媒を含む重合体溶液100重量部に、水100重量部に対して分散剤1~50重量部を含む分散剤水溶液0.025~1重量部を、予め混合、攪拌し、得られる分散剤水溶液添加重合体溶液を、分散剤を含む温水とともに、スチームストリッピングに供給して、非水溶性有機溶媒を除去することを特徴とする、重合体溶液の脱溶媒方法。
  2. 前記重合体溶液に前記分散剤水溶液を予め混合、攪拌し、得られる分散剤水溶液添加重合体溶液を、分散剤を含む温水とともに、スチームストリッピングに供給して、スチームストリッピングを行うことにより、得られる重合体のクラムの互着を抑制する、請求項1に記載の重合体溶液の脱溶媒方法。
  3. 前記分散剤が界面活性剤である、請求項1又は2に記載の重合体溶液の脱溶媒方法。
  4. 前記重合体が、1種類もしくは2種類以上の共役ジエンを含む共役ジエン系重合体、又は共役ジエンとビニル芳香族を含むビニル芳香族系共重合体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体溶液の脱溶媒方法。
  5. 前記重合体が、St+2Vn≧90(式中、St≧0、Stはビニル芳香族の含量(重量%)、Vnは共役ジエン部のビニル含量(mol%)を示す。)を満たす、1種類もしくは2種類以上の共役ジエンを含む共役ジエン系重合体、又は共役ジエンとビニル芳香族を含むビニル芳香族系共重合体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体溶液の脱溶媒方法。
  6. 前記非水溶性有機溶媒が、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素である、請求項1~5のいずれか1項に記載の重合体溶液の脱溶媒方法。
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