JP2022081175A - 遊星ローラトラクションドライブ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】左右一対のリングドラムの形状を統一化することにより、ピニオンローラのスキューを抑制でき、動力伝達効率が高く低コストのトラクションドライブ装置を提供する。【解決手段】入力軸1の外周に固定されて配設されるサンローラ3と、サンローラ3の外側に配設され、背面側にトルクカム機構13を配設したカム側リング5と、トルクカム機構を配設しない反カム側リング7とからなる一対のリングローラ9と、リングローラ9とサンローラ3とに圧接されるピニオンローラ11と、を備え、トルクカム機構13は、カム側リング5とリングドラム15の環状側部25とのそれぞれの間に間隔をあけて配設されるカムディスク19と、カムディスク19と環状側部25との間に介在される玉27とで構成されており、カムディスク19とカム側リンク5との間には、スラストニードル軸受29を配設した。【選択図】図3

Description

本発明は、トラクションドライブ装置、詳しくは、サンローラとピニオンローラ間及びピニオンローラと一対のリングローラ間に形成される油膜を介して動力を伝達する遊星ローラトラクションドライブ装置の改良に関するものである。
EV(Electric Vehicle)車やAT(Automatic Transmission)車の駆動装置、あるいは工作機械などの駆動装置に組み込まれ、電動モータ等の回転駆動力を減速・増速して被駆動部に伝達する遊星ローラトラクションドライブ装置が知られている。
遊星ローラトラクションドライブ装置の一例を図5乃至図8に基づき説明する。
図5中、符号1は入力軸を示し、入力軸1の外周に固定されて配設されるサンローラ3と、サンローラ3の外側に配設され、背面側にトルクカム機構13を配設したカム側リング5と、トルクカム機構を配設しない反カム側リング7とからなる一対のリングローラ9と、リングローラ9とサンローラ3とに圧接される複数個のピニオンローラ11と、を含んで構成されており、サンローラ3とピニオンローラ11間及びピニオンローラ11と一対のリングローラ9(カム側リング5、反カム側リング7)間に形成される油膜を介して動力を伝達している。
ピニオンローラ11は、軸方向で前後に支持軸11a,11aを突設し、玉軸受31を介してホルダ33に回転自在に支持されている。図中符号35は、ホルダ33を揺動自在に支持するキャリアである。
各ピニオンローラ11は、サンローラ3の外周面とカム側リング5の内周面5b及び反カム側リング7の内周面7bとの間に配設されて転がり接触する。図にて符号Ax1はサンローラ3の中心軸を示す。
リングローラ9を構成するカム側リング5と反カム側リング7のそれぞれの内周面5b,7bは、各リング5,7同士が互いに対向する対向面部5c,7c側から反対向面部5d,7d側に向けて内径が小さくなる傾斜状に形成されている。これら内周面5b,7bは、ピニオンローラ11が接触して転動する転がり接触面を構成している。
リングローラ9(カム側リング5、反カム側リング7)は、それぞれ、その外周に突設した複数個の爪部5a…,7a…が、外側に配設されるリングドラム15の内周に設けた複数個の凹部15a…に係合し、ピニオンローラ11の自転軸Ax2に沿って移動(並進移動)可能で、かつ自転軸周りの回転位相がずれないように保持されている。図にて符号H1は鉛直方向を示す。
図中符号17は、リングドラム15の端部15cと反カム側リング7との間に配設される予圧ばね(弾性部材)を示す。予圧ばね17は、コイルスプリング・板バネなど本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。予圧ばね17は、入力軸1から伝達されるトルクが小さいとき、リングローラ9(カム側リング5、反カム側リング7)とピニオンローラ11との転がり接触面における接触面圧を所定値以上に確保する。
トルクカム機構13は、カム側リング5と、カム側リング5の背面側に配設されるカムディスク19と、カムディスク19との対向面に設けられるカム面(カム溝)5eと、カム側リング5との対向面に設けられるカム面(カム溝)19eとの間に組み込まれる玉27と、で構成されている。すなわち、カム側リング5はトルクカム機構13を構成している。
この種の遊星ローラトラクションドライブ装置の基本的な作動は次のとおりである。
まず、電動モータ等の駆動力(トルク)は入力軸1に入力され、入力軸1に入力されたトルクは、サンローラ3から油膜を介してピニオンローラ11に伝達され、さらに、ピニオンローラ11から油膜を介してリングローラ9に伝達される。
そして、リングローラ9に伝達されたトルクは、リングローラ9からカムディスク19の円筒部19aを介して、円筒部19aと一体の不図示の出力軸へと伝達される。
この種の遊星ローラトラクションドライブ装置は、上述の通り、一方のリングローラ(カム側リング5)の背面側にトルクカム機構13を備え、もう一方のリングローラ(反カム側リング7)の背面側にはトルクカム機構は備えず、予圧ばね(皿ばね)17による予圧により動力伝達面に押付力を付与する構成を採用している。
しかし、このような従来構成の場合,二つのリング(カム側リング5、反カム側リング7)間では、両者の形状の違い(剛性の差異)により弾性変形量に差異が生じる。すなわち、カム側リング5には、上述した通り、カムディスク19との対向面にカム面(カム溝)5eを凹設している。従って、カム側リング5は、トルクカム機構を配設しない反カム側リング7とは、その形状を異にし、反カム側リング7に対して薄肉となっていたため、同じ力を受けたとき、カム側リング5の方が反カム側リング7と比して変形し易いという不都合があった。
一般的には、ピニオンローラ11と当たる場所が対称となるように両リングを設計しているが、弾性変形により中心点からの位置関係がずれると傾きが生じてしまい、その結果、カム側リング5とピニオンローラ11との接触部(図6(a)の接触点A)と、反カム側リング7とピニオンローラ11との接触部(図6(a)の接触点B)との間で、ピニオン重心点に対する接触部の位置や接触面圧に差異が生じる虞があった。転がり接触面に生じるトラクション力の大きさは接触面圧に応じて変化するため、接触点AとBとで接触面圧が異なれば、トラクション力の大きさにも差異(不均衡)が生じてくる。図6(b)において符号Tr1は接触点Aにおけるトラクション力を示し、符号Tr2は接触点Bにおけるトラクション力を示す。
このトラクション力の大きさや作用点の差異が存在することは、ピニオンローラ11にスキューを生じさせ、ひいては動力伝達効率の低下につながるために望ましくない。
また、従来の構成においては、接触点Bを通過するトルク(矢印To1)は、リングドラム15を経由してカム側リング5に伝達され、接触点Aを通過するトルク(矢印To2)と合流した後、出力軸へと伝達される(図6(a)にてトルクの流れを矢印にて示す)。
すなわち、カム側と反カム側とで、リングドラム15と、カム側リング5の爪部5a及び反カム側リング7の爪部7aとの、それぞれの係合部におけるトルク伝達方向が異なっている。
このことは、定常トルク伝達時には問題とならないが、過渡応答時にはピニオンローラ11のスキューを助長し得る虞がある。さらに、ピニオンローラ11が外に飛び出す虞もある。
さらに、リングローラの表面を硬化させることによりトラクション面を改善し、トラクションドライブ装置全体の耐久性を高めることに着眼してなされている従来技術もある(特許文献1及び2参照。)が、これらは、あくまでも材料的な改質のアプローチにとどまるため、リングローラの剛性差に起因するスキューによって動力伝達効率が低下するという課題を解決し得るものではなかった。
なお、スキュー現象の発生を抑制することを目的とした先行技術の一つとして特許文献3の技術が開示されている。
特許文献3では、遊星ローラの第1回転軸側及び第2回転軸側を、周方向に隣り合う2つのキャリアローラによって支持し、遊星ローラ及びインターナルリングの接触部位とキャリアピンとが主軸を中心として径方向に並んでおらず、周方向の異なる位置に配置される構成を採用している。このような構成を採用することにより、遊星ローラ及びキャリアローラ間の隙間を小さくすることができ、インターナルリングから受ける接線力により遊星ローラの自転軸が主軸に対して傾くスキュー現象の発生を抑制するものとしている。
しかし、特許文献3に開示の先行技術では、1つの遊星ローラを支持するため計4つのキャリアローラを必要とするため、トラクションドライブ装置全体で配置される複数の遊星ローラをそれぞれ支持するにはキャリアローラを多数配置する必要があり、構成が複雑であるばかりか、部品点数も増え、生産コスト、作業コスト及び部品管理コスト等が高騰することも考えられる。
特開2014―092236公報 特開2016―211645号公報 特開2017―044232号公報
本発明は従来技術の有するこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、簡易かつコストを抑えた構成を採用してピニオンローラのスキューを抑制し得るトラクションドライブ装置を提供することである。
上記課題を達成するために、第1の本発明は、入力軸の外周に固定されて配設されるサンローラと、
前記サンローラの外側に配設され、背面方向にトルクカム機構を配設したカム側リングと、トルクカム機構を配設しない反カム側リングとからなる一対のリングローラと、
前記リングローラと前記サンローラとに圧接されるピニオンローラと、を備え、
前記一対のリングローラは、外側に配設されるリングドラムとの間で、ピニオンローラの自転軸に沿って移動可能で、かつ自転軸周りの回転位相がずれないように保持されており、
前記サンローラと前記ピニオンローラ間及び前記ピニオンローラと前記一対のリングローラ間に形成される油膜を介して動力を伝達するトラクションドライブ装置において、
前記カム側リングと反カム側リングとを同一形状としたことを特徴とする遊星ローラトラクションドライブ装置としたことである。
第2の本発明は、第1の本発明において、前記トルクカム機構は、前記カム側リングと前記リングドラムの側部とのそれぞれの間に間隔をあけて配設されるカムディスクと、
前記カムディスクと前記リングドラムの側部との間に介在される玉とで構成されており、
前記カムディスクと前記カム側リンクとの間には、スラストニードル軸受を配設したことを特徴とする遊星ローラトラクションドライブ装置としたことである。
第3の本発明は、第2の本発明において、前記カム側リングと前記スラストニードル軸受との間に中間部材を配設し、
前記カム側リングと中間部材との間に弾性部材を配設したことを特徴とする遊星ローラトラクションドライブ装置としたことである。
本発明によれば、簡易かつコストを抑えた構成を採用することにより、ピニオンローラのスキューを抑制でき、動力伝達効率が高く低コストの遊星ローラトラクションドライブ装置を得ることができる。
本発明トラクションドライブ装置の第一実施形態を一部切欠くとともに省略して示す縦断斜視図である。 図1に示すトラクションドライブ装置の一部省略して示す縦断側面図である。 (a)は第一実施形態に示すトラクションドライブ装置の一部を省略して示す概略模式図、(b)は(a)のX-X線断面図であって、トラクション力が均衡であることを示す概略模式図である。 本発明トラクションドライブ装置の第二実施形態であって、一部を省略して示す概略模式図である。 (a)は従来のトラクションドライブ装置を一部切欠くとともに省略して示す縦断斜視図、(b)は従来のトラクションドライブ装置の一部省略して示す縦断側面図、(c)はリングローラとリングドラムとの係合状態を一部省略して示す概略断面図である。 (a)は従来のトラクションドライブ装置の一部を省略して示す概略模式図、(b)は(a)のX-X線断面図であって、従来のトラクションドライブ装置においてトラクション力が不均衡であることを示す概略模式図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、本発明の一実施形態であって、何等これに限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
「第一実施形態」
図1乃至図3は本発明の第一実施形態で、図1は、本実施形態の遊星ローラトラクションドライブ装置を一部省略して示す概略断面斜視図で、本実施形態の遊星ローラトラクションドライブ装置は次の構成を採用している。
本実施形態の遊星ローラトラクションドライブ装置は、図5に示す従来のトラクションドライブ装置と同様、入力軸1の外周に固定されて配設されるサンローラ3と、サンローラ3の外側に配設され、背面方向にトルクカム機構13を配設したカム側リング5及びトルクカム機構を配設しない反カム側リング7からなる一対のリングローラ9と、リングローラ9とサンローラ3とに圧接される複数個(本実施形態では3個)のピニオンローラ11と、を含んで構成されており、従来装置とはトルクカム機構13の配設位置を異にすることによって、カム側リング5と反カム側リング7との形状を同一にした(形状を統一した)点に特徴を有している。
以下、本発明に特徴的な構成及び作動・作用効果を中心に説明し、その他図5及び図6に示す従来のトラクションドライブ装置と同様の構成及び作動・作用効果については、図5及び図6と同一の箇所に同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
トルクカム機構13は、リングドラム15の側部25と、カム側リング5との間でそれぞれに間隔をあけて配設されるカムディスク19と、カムディスク19とリングドラム15の側部25との間に介在される玉(転動体)27とで構成されている。すなわち、本実施形態では、トルクカム機構13を、カム側リング5の背面方向には配設しているが、カム側リング5と隣接し、かつカム側リング5をトルクカム機構の構成要素とする従来技術の配設位置構成とは異なっている。
リングドラム15の側部25は、本実施形態では、予圧ばね17、反カム側リング7、カム側リング5、スラストニードル軸受29、カムディスク19、玉27の順でリングドラム15の開放側から挿入した後、止輪23を介して組付けられて玉27をカムディスク19とともに挟持する環状側部が想定されている。
環状側部25は、カムディスク19の円筒部19aの外径よりも大径の内径を有する平板リング状に形成され、軸方向で所定間隔をあけてカムディスク19の外側に配設されている。
環状側部25の外周には、複数個の爪部(図示省略)が突設されてリングドラム15の凹部15a…に係合する構成を採用し、これにより環状側部25は、ピニオンローラ11の自転軸Ax2に沿って、カム側リング5、反カム側リング7とともに移動(並進移動)可能で、かつ環状側部25は、カム側リング5、反カム側リング7と自転軸周りの回転位相がずれないように保持されている。
環状側部25のカムディスク19との対向面には、周方向に複数個のカム面(カム溝)25eが凹設されている。
カムディスク19は、入力軸1と同軸に配設されて出力軸側に連結される円筒部19aと、円筒部19aの端部から鉛直方向H1(円筒部19aの筒中心軸と直交する方向)に連続して立ち上げ形成されるフランジ部19bと、で構成されている。
フランジ部19bにおける環状側部25との対向面には、周方向に複数個のカム面(カム溝)19eが凹設されている。
このカム面(カム溝)19eは、上述した環状側部25のカム面(カム溝)25eと、軸方向で相対向する位置にそれぞれ同一形状に形成されている。そして、このカム面(カム溝)19eと、上述した環状側部25のカム面(カム溝)25eとの間に玉27が組み込まれている。
止輪23は、環状側部25の外径よりも小径の内径を有する平板リング状に形成され、軸方向で環状側部25の外側面に当接すると共に、外周がリングドラム15の内周面に設けられた嵌合部15bに嵌合して配設されている。止輪23は、環状側部25、玉27、カムディスク19などの軸方向への抜け止めを図っている。
カムディスク19とカム側リング5との間にはスラストニードル軸受29が配設されている。
従って、本実施形態によれば、カムディスク19とリングドラム15の環状側部25との間でトルクカム機構13を構成し、カム側リング5とカムディスク19との間にはスラストニードル軸受29を配設する構成を採用しているため、カム側リング5にはカム面(カム溝)が不要となる。従って、カム側リング5を反カム側リング7と同一の形状とすることが可能である。
本実施形態を採用することにより、カム側リング5と反カム側リング7の双方の形状を同一(統一化)とできるため、トラクション力の差異(不均衡)やそれに起因するピニオンローラのスキューが生じ難くなり、動力伝達効率の向上に繋がる。
また、本実施形態によれば、カム側リング5の爪部5a及び反カム側リング7の爪部7aと、リングドラム15の凹部15aとのそれぞれの係合部分におけるトルク伝達方向が一致するため、過渡応答時にもスキューを助長する作用は生じない。
以下、上述した本実施形態の作動及び作用効果を、図6に示す従来技術と比較しつつ、図3に基いて詳細に説明する。
従来技術の場合、出力軸1から入力されたトルクが、サンローラ3から油膜を介してピニオンローラ11に伝達されると、A点側でピニオンローラ11に接しているカム側リング5を捩じる。カム側リング5は、カムディスク19と玉27とともにトルクカム機構13を構成しているため、玉27を介してカムディスク19の円筒部19aから、不図示の出力軸へとトルクが伝達される。同じく、ピニオンローラ11に伝達された動力は反カム側リング7を捩じり、B点からのトルクは反カム側リング7の爪部7aからリングドラム15に伝達される。そして、B点からリングドラム15に流れたトルクは、カム側リング5の爪部5aを介してカム側リング5へと伝達され、A点からのトルクと合流し、合流した捩じれがトルクカム機構13を介して不図示の出力軸へと伝達される(図6(a)にて矢印でトルクの流れを示す。)。
このように、カム側と反カム側とで、リングドラム15と、カム側リング5の爪部5a及び反カム側リング7の爪部7aとの、それぞれの係合部におけるトルク伝達方向が異なっており、このトルク伝達方向の相違は、定常トルク伝達時には問題はないが、過渡応答時にはピニオンのスキューを助長し得るため好ましくない。
また、カム側リング5と反カム側リング7との形状が異なることからピニオンリング11への押付力(図6(a)にてA点からの押付力をP1、B点からの押付力をP2で示す。)の位置と大きさにも差異が生じてくるため、トラクション力も不均衡(図6(b)にて、A点のトラクション力をTr1、B点のトラクション力をTr2で示す。)になり、ピニオンリング11のスキューを誘発する虞がある。
一方、本実施形態では、出力軸1から入力されたトルクが、サンローラ3から油膜を介してピニオンローラ11に動力が伝達されると、B点からのトルクは反カム側リング7の爪部7aからリングドラム15に伝達されるが、カム側リング5に隣接してトルクカム機構13がないため、A点からのトルクもカム側リング5の爪部5aからリングドラム15に伝達され、リングドラム15で、反カム側リング7の爪部7aからリングドラム15に流れたトルクと合流し、カム側リング5の外側に位置するカムディスク19と環状側部25とで構成されるトルクカム機構13を捩じり、玉27を介して不図示の出力軸が捩じられてトルクが出力軸から外に出ていく(図3(a)にて矢印でトルクの流れを示す。)。
本実施形態によれば、上述の通り、リングドラム15と、カム側リング5の爪部5a及び反カム側リング7の爪部7aとの、それぞれの係合部におけるトルク伝達方向が、カム側と反カム側とで一致しており、過渡応答時においてもピニオンのスキューを助長する虞はない。
また、本実施形態によれば、カム側リング5と反カム側リング7との形状を統一化(同一)したため、ピニオンリング11への押付力(図3(a)にてA点からの押付力をP1、B点からの押付力をP2で示す。)の位置と大きさにも差異がなくなり、トラクション力の不均衡もなくなるため(図3(b)にて、A点のトラクション力をTr1、B点のトラクション力をTr2で示す。)、ピニオンリング11のスキュー誘発も是正される。
さらに、本実施形態によれば、従来のように、カム側リング5の背面へのカム面加工が不要となり、生産コストの削減及び生産時間の短縮化にも繋がる。
なお、図5に示す従来構造を採用した場合であっても、反カム側リング7にもカム溝5eと同一形状のカム溝を形成すれば、リング形状の統一化が図れ、上述した作用効果を発揮することができ、このような構成を採用することも本発明の範囲内である。
リングローラ9(カム側リング5,反カム側リング7)と、リングドラム15との係合状態は、特に本実施形態に限定解釈されるものではない。
「第二実施形態」
図4は本発明の第二実施形態を示す概略模式図で、本実施形態では予圧ばね17を配設する位置が第一実施形態と異なっている。すなわち、本実施形態は、カム側リング5とスラストニードル軸受29との間に中間部材37を配設し、カム側リング5と中間部材37との間に予圧ばね17を配設した実施の一形態である。
中間部材37は、環状の板状に形成され、そのスラストニードル転走面を鏡面仕上げする。
その他の構成及び作用効果は第一実施形態及び図5に示す従来技術と同じであるためその説明は省略する。
第一実施形態の場合、カム側リング5のスラストニードル転走面に鏡面加工をする必要があるが、本実施形態によればその必要がなくなるため、作業管理がしやすくなるという更なる利点もある。
すなわち、第一実施形態の構成を採用する場合、カム側リング5の内周面(ピニオンローラ転がり接触面)5b及びスラストニードル軸受29と接触する面(スラストニードル転走面)5fの二面を鏡面加工する必要がある。
この場合において、内周面5bの鏡面加工を終え、さらにスラストニードル転走面5fの鏡面加工をするときに、既に鏡面加工した内周面5b側の面を傷付けないように気を付けながら作業しなければならないが、本実施形態によればそのようなことも不要である。作業管理が容易となる。
リングローラ(カム側リング5と反カム側リング7)19は自転するため変形しながら回っている。変形しながら回っているカム側リング5の背面をそのまま軸受で押さえるとフレッチング摩耗などが生じ得る。カム側リング5がフレッチング摩耗すると押し付け力が低減してしまう。本実施形態によれば弾性変形自体は、予圧ばねにて吸収し、中間部材37は弾性変形しないので、背面のスラストニードル軸受29のフレッチング摩耗は低減される。
本実施形態の構造を採用すれば、カム側リング5も弾性変形しなくなり、フレッチング摩耗も低減される。
本発明は、他の構造を採用しているその他のトラクションドライブ装置にも利用可能であり、また、建設機械、農業機械、木工機械などのその他の産業機械に用いられるトラクションドライブ装置にも利用可能である。
1 入力軸
3 サンローラ
5 カム側リング
7 反カム側リング
9 リングローラ
11 ピニオンリング
13 トルクカム機構
15 リングドラム
19 カムディスク
25 環状側部(リングドラム側部)
27 玉
29 スラストニードル軸受
37 中間部材

Claims (3)

  1. 入力軸の外周に固定されて配設されるサンローラと、
    前記サンローラの外側に配設され、背面側にトルクカム機構を配設したカム側リングと、トルクカム機構を配設しない反カム側リングとからなる一対のリングローラと、
    前記リングローラと前記サンローラとに圧接されるピニオンローラと、を備え、
    前記一対のリングローラは、外側に配設されるリングドラムとの間で、ピニオンローラの自転軸に沿って移動可能で、かつ自転軸周りの回転位相がずれないように保持されており、
    前記サンローラと前記ピニオンローラ間及び前記ピニオンローラと前記一対のリングローラ間に形成される油膜を介して動力を伝達する遊星ローラトラクションドライブ装置において、
    前記カム側リングと反カム側リングとを同一形状としたことを特徴とする遊星ローラトラクションドライブ装置。
  2. 前記トルクカム機構は、前記カム側リングと前記リングドラムの側部とのそれぞれの間に間隔をあけて配設されるカムディスクと、
    前記カムディスクと前記リングドラムの側部との間に介在される玉とで構成されており、
    前記カムディスクと前記カム側リンクとの間には、スラストニードル軸受を配設したことを特徴とする請求項1に記載の遊星ローラトラクションドライブ装置。
  3. 前記カム側リングと前記スラストニードル軸受との間に中間部材を配設し、
    前記カム側リングと中間部材との間に弾性部材を配設したことを特徴とする請求項2に記載の遊星ローラトラクションドライブ装置。
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