JP2022077399A - 引箔用シート、引箔及び引箔織物 - Google Patents

引箔用シート、引箔及び引箔織物 Download PDF

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Keiko Ichihara
美千代 服部
Michiyo Hattori
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Abstract

【課題】引箔技法の能率化を図ると共に、金属光沢調の立体的な意匠性を高めることができる引箔用シート、引箔及び引箔織物を提供する。【解決手段】厚さ方向に複数層の積層構造を備え、平面視において左右方向に伸びる引箔を複数本裁断して得ることができるように構成された引箔用シートを、細幅に裁断して引箔31を得る。引箔31と経糸41とで引箔織物21を織成する。引箔用シート並びに引箔31は、金属的反射層を備えたメタリック部分と金属的反射層を備えていない非金属的反射部分とを備え、金属的反射層は、その厚さ方向の断面において湾曲している金属的凹曲反射面を備え、その反射光を前面側から見て視認できるように構成されている。引箔織物21を構成する半数以上の引箔31が、その長手方向において、複数のメタリック部分を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、引箔織物、引箔織物を織成するための引箔及び引箔を製造するための引箔用シートに関するものである。
引箔織物は、伝統的な織物の一種で、引箔用シート、引箔及び引箔織物に関しては、種々の提案がなされている。
一般に引箔(ひきはく又はひきばく)と呼ばれる技法は、引箔用シートを細条に裁断した引箔を緯糸とし、経糸間に引き込んで引箔織物を織成する技法である。引箔用シートは、引箔用和紙に厚さ数μmの金箔や銀箔等の金属箔を用いて模様を形成したものであり、この引箔用シートを約0.3~3mm幅の細条に裁断して複数本の引箔を製造し、これらの引箔を用いて織成することによって、引箔用シートに描かれた模様を引箔織物に再現するようにすることが一般的である。
引箔用シートに関しては、伝統的な手作業による手法に加えて、特許文献1~3に示すような工業的な手法が提案されているが、工業的な手法による引箔の場合、いずれの引箔用シートにあっても金属箔は平面的に配置されているに止まるものであった。
他方、本願出願人は特許文献4に係る加飾樹脂シートを備えた成形品とその製造方法発明を提案している。これらの発明にあっては立体的な金属的反射層を有するものではあったが、引箔の技法に適用することの知見が示されていないことはもちろん、着色層よりも平面積の小さなメタリック部分を有する細密領域を備えた構造を開示するものではなかった。
特開平10-204739号公報 特開平11-172540号公報 特開2005-178094号公報 特許第6409153号公報
本発明は、引箔技法の能率化を図ると共に、金属光沢調の立体的な意匠性を高めることができる引箔用シート、引箔及び引箔織物を提供することを課題とする。
本発明は、厚さ方向に複数層の積層構造を備え、平面視において左右方向に伸びる引箔を複数本裁断して得ることができるように構成された引箔用シートにおいて、次の手段を備えたものを提供する。
前記引箔用シートは、平面視において、金属的反射層を備えたメタリック部分と金属的反射層を備えていない非金属的反射部分とを備える。前記金属的反射層は、前記引箔用シートの厚さ方向の断面において湾曲している金属的凹曲反射面を備え、前記金属的凹曲反射面からの反射光を前面側から見て視認できるように構成されている。前記複数本の前記引箔のうち半数以上の前記引箔が、前記左右方向において、複数のメタリック部分を備えるように構成されている。
本発明の実施の形態にあっては、前記金属的反射層は、前記基材シートの後面側に配置された転写箔又は印刷インキによって構成されることができる。前記メタリック部分は、少なくともその一部に前記基材シートの後面側に配置された透光性を有する着色層と透光性を有する厚盛り部とを備えたものとすることができる。前記厚盛り部は、前記基材シートの厚さ方向の断面において、後方に向かって突出しており、且つ、前記厚盛り部の周縁が湾曲部をなしたものとすることができる。
前記金属的反射層は、前記厚盛り部の少なくとも一部の前記湾曲部の後面側に配置されることにより、前記引箔用シートの厚さ方向の断面において、前記厚盛り部の厚みの変化に伴い湾曲している前記金属的凹曲反射面を備えることができる。
前記着色層は、透光性を有すると共に、前面側から見た際に引箔用シートに色彩を与えるものであり、前記引箔用シートは、前面側から見て少なくとも一部の領域に前記着色層よりも平面積の小さな前記メタリック部分を有する細密領域を備えるものとすることができる。
前記細密領域は、前記着色層よりも小さな平面積の前記透過部分と前記メタリック部分とが混在して配置されている領域であり、前記細密領域にある前記厚盛り部は細密厚盛り部であり、前記細密厚盛り部は、その前面側の前記着色層よりも小さな面積の微細厚盛り部分が集合した部分とすることができる。
前記金属的反射層が少なくとも複数の前記微細厚盛り部分の後面に配置され、少なくとも複数の前記微細厚盛り部分に前記金属的凹曲反射面が設けられ、前方から見た際、前記細密厚盛り部の前面側の前記着色層の中に、複数の前記微細厚盛り部分における前記金属的凹曲反射面からの反射光が視認されるように構成することができる。
また、平面視において、前記微細厚盛り部分の上下方向の幅が、前記左右方向に織られる引箔の上下方向の幅の2倍以下として、実施することができる。
また、前記細密領域においては、点状又は線状の微細な前記メタリック部分が1平方センチメートル当たり3個以上存在するものであり、前記メタリック部分同士の間に前記非金属的反射部分が配置されているものとすることができる。
さらにまた、前記基材シートの後面側であって、前面側から見て少なくとも前記細密領域同士の間の部分に着色インキによる後面側着色層と、剥離用の裏貼りシートが存在するものとすることができる。
またさらに、前記加飾シートは、その最後面に調整層が配置され、前記調整層により前記加飾シートの後面の凹凸が緩和されているものとすることができる。
本発明は、上記の引箔用シートを細幅に裁断したものであり、その長さ方向において、複数のメタリック部分を備えるように構成されたことを特徴とする引箔を提供する。
また本発明は、上記の引箔が織り込まれていることを特徴とする引箔織物を提供する。
本発明は、引箔技法の能率化を図ると共に、金属光沢調の立体的な意匠性を高めることができる引箔用シート、引箔及び引箔織物を提供することができたものである。
本発明の一実施形態に係る引箔織物の要部拡大正面図である。 同引箔織物を製造するための引箔用シートの要部拡大正面図である。 (A)は本発明の一実施形態に係る引箔用シートの要部拡大平面図であり、(B)は同中央横断面図であり、(C)は同引箔用シートの他の例を示す要部拡大平面図であり、(D)は同中央横断面図である。 (A)は本発明の他の実施形態に係る引箔用シートの要部拡大横断面図であり、(B)は本発明のさらに他の実施形態に係る引箔用シートの要部拡大横断面図であり、(C)はこれらの実施の形態に適用できる着色層の平面図であり、(D)はこれらの実施の形態に適用できる厚盛り部及び金属的反射層の平面図であり、(E)はこれらの実施の形態に適用できる着色層と、厚盛り部及び金属的反射層とを組み合わせた状態の平面図であり、(F)は図(E)の要部拡大図である。 (A)は本発明の実施形態に適用できる着色層の一例を示す平面図であり、(B)は同実施の形態に適用できる厚盛り部及び金属的反射層の一例を示す平面図であり、(C)は同実施の形態に係る引箔用シートの一例を示す要部拡大平面図である。 (A)~(D)はそれぞれ本発明の実施形態に適用することができる着色層と、厚盛り部及び金属的反射層との組み合わせの具体例を示す平面図である。 (A)は本発明の実施形態に適用できる引箔用シートにおける着色層の一例を示す平面図であり、(B)は同実施の形態に適用できる厚盛り部及び金属的反射層の一例を示す平面図であり、(C)は同実施の形態に適用できる後面側着色層の一例を示す平面図であり、(D)は同実施形態に係る引箔用シートの一例を示す平面図であり、(E)は同実施形態に係る引箔用シートの一例を示す要部拡大平面図であり、(F)は同実施形態に係る引箔用シートをさらに拡大した平面図である。 本発明の実施形態に適用することができる厚盛り部及び金属的反射層の具体例を示す平面図である。 本発明の実施形態に適用することができる着色層の具体例を示す平面図である。 (A)及び(B)はそれぞれ本発明の実施形態に係る引箔用シートの一例を示す写真である。 (A)及び(B)はそれぞれ本発明の実施形態に係る引箔用シートの一例を示す写真である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお図3などの各図は、説明のための図であるため各層の厚みなどの寸法を正確に示したものではない。
また、以下、使用者の目に近い方を前とし、使用者の目に遠い方を後とするものであり、「後面側に」とは「よりも後方に」との意味で用いられるものであり、例えば、「部材Xの後面側に部材Yを配置する」とは、部材Xの後面(使用者の目から遠い方)に部材Yを直接配置してもよいし、部材Xの後面と部材Yの前面との間に第3の部材Zを介在させてもよいことを意味する。「前面側に」も同様に「よりも前方に」(使用者の目に近い方)との意味で用いられる。なおこの実施の形態では、前後方向は、引箔用シート51の厚さ方向と同じ意味で用いられるもので、図3と図4の引箔用シート51の各断面図においては、前面側を上方に後面側を下方に配置して描いている。
また、引箔用シート51の左右方向は引箔の長手方向と等しく、引箔用シート51の上下方向は引箔の幅方向と等しいが、その上下左右は、相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。
(引箔織物について)
図1に示す引箔織物21は、緯糸に引箔31が用いられ、これらの引箔31が、紡績糸などの経糸41によって、織成されたものである。引箔織物21の織成形態は一般的な引箔織物と同様であり、その織成方法も周知の引箔技法に従って製造されることができる。
本発明の特徴的な部分は、引箔31の積層構造並びに引箔31を得るための引箔用シート51の構造にある。即ち、引箔31は、例えば図2に示す引箔用シート51を、0.3~3mm程度の幅で左右方向に伸びる細条に裁断して得られるものであり、引箔用シート51によって表わされた図柄が、織物地として引箔織物21に表現される。
なお、実施の形態においては、一般に人が見る表側を前面側として説明し、反対側を後面側として説明する。
(引箔用シートについて)
図3を参照して本発明の一実施形態に係る引箔用シートの積層構造を説明する。
図3に示された引箔用シートは、透光性を有する基材シート10と、基材シート10の後面側に配置された透光性を有する着色インキによる着色層52と、厚盛り部56及び金属的反射層57とを備える。ここで、本発明において、「透光性を有する」とは、光を透過する性質を有することをいい、透明や半透明の材質のものを用いることができる。なお、以下の実施の形態では、金属的反射層57以外の各部や各層は、特記しない限り透光性を有するものとして実施されている。
(基材シート10について)
織成が可能な程度の柔軟性を備えた基材シート10には、セルロースアセテートブチレート(CAB)樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製のフィルムやシート等を用いることができ、単層であってもよく、2層以上の積層体であってもよい。基材シート10の厚さは、特に限定されないが、6~500μm、望ましくは100~200μm程度とすることができる。
基材シート10は、透光性を有するものであって、後述するように、印刷や転写箔の手法等により、着色層52、厚盛り部56並びに金属的反射層57を形成できるものであれば、材質や厚みは問わない。基材シート10は、基材として適切な強度や耐久性、印刷特性等を備えていることが望ましい。基材シート10は、引箔用シート51並びに外殻部材の物性や加工方法に応じて最適なものを選択することができる。
(着色層52について)
電波透過性及び透光性を有する着色インキによる着色層52は、基材シート10の後面側に配置される。また、着色層52は、平面状の基材シート10に沿って、平面状に配置される。透光性を有する着色インキには、人が色として認識できる色彩を有しかつ透光性を有する印刷用のインキを用いるが、人が色として認識できる色彩を有していない無色透明のインキを含んでもよい。着色層52の厚みは、1~20μm程度の範囲が好ましいものであるが、適宜変更して実施し得る。着色層52は、前面側から見て引箔用シート51に一色以上の色彩を与えると共に、多色にすることにより文字、図形、模様などの視覚的表現をなすもので、従来の印刷技術の適用により1回または複数回の印刷が施されることによってモノクロームまたは多色の印刷層による着色層52が形成される。
着色層52は、後述する厚盛り部56が後面側に配置されていない第1着色領域53(図4(A)(B)参照)と、厚盛り部56が後面側に配置されている第2着色領域54とを備えてもよく、第1着色領域53と第2着色領域54とは、色相、明度、彩度のうち少なくとも一種が異なる違った色に着色されていてもよい。第1着色領域53と第2着色領域54も含め着色層52は一色に限らず複数色を用いてもよい。
着色層52は、透光性を有する着色インキを用いて、後述する金属的反射層57に対して入出力する光を前方の看者に届くようにするものであるが、一部には透光性のないインキを用いることもできるものであり、例えば、装飾効果を高める観点から金属的光沢のある部分とない部分とを混在させたい場合や、看者に見せたくないもの等を隠蔽するために、一部に透光性のないインキを用いることができる。
(厚盛り部56について)
電波透過性および透光性を有する厚盛り部56は、着色層52の少なくとも一部の後面を含む位置に配置され、着色層52の後面側から後方に突出している。透光性を有する厚盛り部56は、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂やこれらの混合物又は化合物などの合成樹脂製の厚盛インキによって形成され、透光性を有するものであれば、透明であってもよく、着色インキと同様に顔料などで着色された透明であってもかまわない。
厚盛り部56は、その厚みや幅が引箔用シート51の装飾効果を左右する大きな要因となるため、厚みは75μm以上であることが好ましく、80μm以上がより好ましい。この厚みは、大きくすればするだけ立体的な装飾効果を高めることはできるが、大きくするに従ってその精度維持や量産が困難になったり、使用できる素材に制限が生じたりするため150μm以下が適当であり100μm以下がより安定するが、150μmを超える厚みで実施することを妨げるものではない。幅は、シャープな装飾効果を高めるには0.3mm~3mmが適当である。ただし、描かれる図形や文字によって決定されるものであるため、大きな面積に金属的反射や立体的な装飾効果を得る場合にはこれに限るものではない。なお、厚盛り部56の幅は、基材シート10と接する厚盛り部56の基端側の幅を指す。
着色層52と金属的反射層57のみでは、その装飾効果は平面的に止まるものであるが、厚盛り部56が配置されることにより、立体的な装飾効果に高めることができる。
(金属的反射層57について)
金属的反射層57は、金属箔やホログラム箔などの反射箔や金属色のインクを含んでもよく、厚盛り部56の少なくとも一部の後面に配置される。金属的反射層57は、鏡面状の反射や金属的光沢を与える。
引箔用シート51は、前面側から見て、金属的反射層57を備えたメタリック部分3と、金属的反射層57を備えていない非金属的反射部分4とに区分される。引箔用シート51は、メタリック部分3と非金属的反射部分4とを備えることによって、立体的な高級感のあるメタリック風の加飾を、引箔31並びに引箔織物21に付与することができるものである。
金属的反射層57は、転写箔の手法により、金属箔やホログラム箔などの金属を含む反射箔を転写して形成されるものであることが好ましい。また、金属的反射層57は、シルク印刷(銀ペーストインキやミラーインキ)やホットスタンプ、蒸着、スパッタリングで実施してもかまわないが、転写箔を用いる方が高い金属的反射の効果が得られる点で有利である。より詳しくは、転写箔は、シルク印刷(銀ペーストインキやミラーインキ)より鏡面性がより高く、シルク印刷には作れないホログラム箔の使用も可能である点で、転写箔を用いる方が有利である。また、転写箔の手法を用いて金属的反射層57を形成する際、転写用のバインダ層(図示せず)を形成してもよい。バインダ層は、反射箔を定着させるものであればよく、例えば透明なシルクインキで形成することができる。特に、経時変化でバインダ層の割れやクラックを起こさないインキを使用することが適当である。金属的反射層57の厚みは、適宜変更して実施し得るが、0.03~0.05μm程度の範囲が好ましい。
(金属的凹曲反射面59について)
厚盛り部56は、上述のとおり、着色層52の少なくとも一部の後面を含む位置に配置され、着色層52の後面側から後方に突出している。また、着色層52の後面側から後方に突出している厚盛り部56の、少なくともその周縁は、表面張力により、基材シート10の厚さ方向の断面において、後方に向かって湾曲した凹曲部58を備える。この凹曲部58の少なくとも一部の後面に金属的反射層57が配置され、金属的反射層57が金属的凹曲反射面59を構成する。従って、金属的凹曲反射面59は、基材シート10の厚さ方向の断面において、後方に向かって湾曲した面となる。
金属的反射層57は、上述のとおり、凹曲部58の少なくとも一部の後面に配置すればよく、厚盛り部56の後面と完全に一致する部分に配置してもよく、凹曲部58の少なくとも一部の後面と厚盛り部56に隣接する着色層52の少なくとも一部の後面に配置しても構わない。
引箔用シート51を前方から見た際、金属的凹曲反射面59からの反射光が視認できるが、金属的反射層57は着色層52の後面側から後方に突出した厚盛り部56の少なくとも一部の後面に配置されることから、金属的凹曲反射面59からの反射光が奥行き感を持って視認される。
また、金属的反射層57が凹曲部58の少なくとも一部の後面に配置されることによって、凹面鏡状の反射面が形成されるものであり、引箔用シート51を前方から見た際、金属的凹曲反射面59の平面上の位置が変化するに従って、さらに引箔31が経糸41と共に織成される際に加えたれる立体的な湾曲によって、金属的凹曲反射面59までの深さが変化することから、この変化に応じて金属的凹曲反射面59から多様な方向に反射した光が視認され、看者の目の位置の変化により反射光が見える箇所が変化する。
さらに、引箔用シート51において、厚盛り部56及び金属的反射層57が配置されることによって着色された金属的反射効果を有する領域と、厚盛り部56及び金属的反射層57が後面側に配置されていないことによって金属的反射効果を有しない平面的な領域とでは、金属的反射において異なっているものとすることができ、装飾表現に差異を与えることができる。
また、厚盛り部56が配置されていない領域と、厚盛り部56が配置された領域とを、色相、明度、彩度のうち少なくとも一種が異なる違った色に着色すると、装飾表現の差異がさらに強調され、立体的な装飾効果をさらに高めることができる。
以上のことから、厚盛り部56及び金属的反射層57を上記のように構成することにより、引箔用シート51に立体感のある新たな装飾効果を発現させることができる。
なお、第2着色領域54と厚盛り部56と金属的反射層57は、第2着色領域54の後面側に厚盛り部56が配置され、金属的反射層57が凹曲部58の少なくとも一部の後面に配置されていれば、引箔用シート51を前方から見た際、これら三者の外縁(平面視における外周線)は略一致していなくてもよく、平面視においてずれていてもよい。これら三者の外縁が平面視においてずれている例として、金属的反射層57が凹曲部58の一部の後面に配置される場合や、第2着色領域54が厚盛り部56の基端側の幅を超えて形成される場合が挙げられるが、そのずれ方には種々の態様がある。
引箔用シート51を前方から見た際、これら三者の外縁が略一致していることが望ましく、これら三者の外縁が完全に一致することが最も望ましいものであるが、完全に一致しなくとも引箔用シート51を前方から見た際に、第2着色領域54のみが金属的反射を伴う光を発していると認識されるものであれば、略一致していると言えるものであり、完全に一致している必要はない。
この場合、より具体的には三者の外縁(外周線)の平面視におけるズレが3mm以内であることが好ましく、1mm以内であることがより好ましい。引箔用シート51を前方から見た際、これら三者の外縁が略一致していることにより、第2着色領域54、厚盛り部56及び金属的反射層57の全体が金属的反射効果を備えることができる。
着色層52、厚盛り部56及び金属的反射層57は基材シート10の後面側に配置する方が好ましいが、引箔用シート51が複数層の積層体の場合には、その層間に配置してもかまわない。なお、着色層52、厚盛り部56及び金属的反射層57は、イラストや写真等の種々の絵柄や文字を引箔用シート51の前面に表示することができる。
(調整層について)
なお図示は省略するが、引箔用シート51は、その最後面に調整層(図示せず)を配置してもよい。調整層の色は問わない。透明であってもよく、着色インキと同様に顔料などで着色されたものであってもかまわない。調整層は、粘着剤や接着剤の層とその後面に配置されたポリエチレンテレフタレート樹脂やポリカーボネート樹脂等の樹脂フィルムとから構成される。引箔用シート51を備えた外殻部材を形成する場合、引箔用シート51の最後面に調整層を配置することが望ましい。引箔用シート51の最後面に調整層を配置することにより、後方部材の色流れを抑えることができる。調整層の形成には、コーターでの塗布のほか、オフセット印刷やシルク印刷を用いることができる。
この調整層や粘着剤や接着剤は、引箔用シート51の後面の凹凸(引箔用シート51の厚盛り部56の有無による凹凸)を緩和することもできるものであり、引箔用シート51又は粘着剤や接着剤の後面における凹凸の高さの差を、厚盛り部による凹凸の差よりも小さくすることができるものであり、調整層と、粘着剤や接着剤とを、併用することも可能である。
(表面の平滑性について)
この実施の形態では、引箔用シート51の表面が平滑であるが、さらに表面が別個の平滑なシート(図示せず)を配置するなどしなくてもかまわない。また、後方部材に引箔用シート51を貼り付けて外殻部材を形成した場合、経時変化によって後面の凹凸が表面側の平滑性に影響を与えることも考えられるが、前記のように引箔用シート51の後面の凹凸を緩和させることによって、平滑性の影響の発生を抑制することができる。
この実施の形態に係る引箔用シート51は、135℃の高温にも耐え得る耐熱性を有するものなど、素材の選択の自由度が高いものである。
引箔用シート51の最も後側には、剥離用の裏貼りシート(図示せず)を剥離可能に貼り付けておくこともできる。また、引箔用シート51の表面には、傷の発生や埃の付着を抑制するために剥離用の保護シート(図示せず)を剥離可能に貼り付けておくこともできる。これらは、最終的には(引箔織物21または引箔31を製造する際には)、引箔用シート51の本体から剥離されるものであり、引箔用シート51の本体に対して付随的に付加されるものである。
(細密領域について)
厚盛り部56については、その少なくとも一部が細密厚盛り部50を備えているものとすることができ、細密厚盛り部50を含む領域を細密領域という。
図3(A)(B)に示されたように、細密厚盛り部50は、その前面側の一つの第2着色領域54よりも小さな微細厚盛り部分55が複数集合した部分であり、微細厚盛り部分55は、その形状は特に問わないが点状又は線状の細かなものであることが適当である。
全てのあるいは少なくとも複数の微細厚盛り部分55の後面には、前記した金属的反射層57が設けられている。これによって、それぞれの微細厚盛り部分55の少なくともの周縁は、基材シート10の厚さ方向の断面において、後方に向かって湾曲した凹曲部58を備え、この凹曲部58の少なくとも一部の後面に金属的反射層57が配置され、金属的反射層57が金属的凹曲反射面59を構成する。
これによって、一つの第2着色領域54の内部において、複数の微細厚盛り部分55による複数の金属的凹曲反射面59を配置することができる。その結果第2着色領域54においては単一の変化のない図形であったとしても、複数の微細厚盛り部分55によって多数の金属的凹曲反射面59が配置されるため、複雑な立体感や輝きを引箔用シート51の表面にもたらすことができる。
もちろん、図3(C)(D)に示すように、複数の微細厚盛り部分55を備えた細密厚盛り部50がないものとして実施することもできる。図3(C)(D)に示されたものは、図3(A)(B)に示されたものに比して単純なものとなっており金属的反射層57を備えたメタリック部分3のみによって構成される面積も広くなっているが、細密厚盛り部50と併用することによって、細密厚盛り部50による精緻な装飾効果を際立たせることができる。よって、本発明の実施に際して、図3(A)(B)に示されたものに加えて、図3(C)(D)に示されたものを併用することができるし、場合によっては図3(C)(D)に示されたもののみで実施しても構わない。
平面視において、上記の細密厚盛り部50は、メタリック部分3(金属的反射層57を備えた微細厚盛り部分55)が1平方センチメートル当たり3個以上存在するものであることが望ましい。
メタリック部分3(金属的反射層57を備えた微細厚盛り部分55)が線状の場合は、その長さ(特に左右方向、言い換えれば引箔31の長手方向に沿った長さ)は30mm以下、より好ましくは20mm以下、であることが、引箔31の微細な意匠的効果の観点からは好ましい。メタリック部分3の長さが不揃いな場合には、それらの平均長さ(特に左右方向、言い換えれば引箔31の長手方向に沿った平均長さ)が20mm以下であることが適当であり、同平均長さが10mm以下であることが好ましい。但し、30mmを超えるものを含んでいても構わない。引箔31の幅にもよるが、メタリック部分3の幅(特に上下方向、言い換えれば引箔31の幅方向に長さ)は10mm以下、より好ましくは5mm以下であることが、引箔31を裁断するに際して、メタリック部分3(金属的反射層57を備えた微細厚盛り部分55)の上下方向の幅が、左右方向に伸びる引箔31の上下方向の幅の2倍以下とすること、より好ましくは1本の引箔31の上下方向の幅の以下とすることができるため、微細な意匠的効果の観点からは好ましい。メタリック部分3(金属的反射層57を備えた微細厚盛り部分55)の上下方向の幅が、左右方向に伸びる引箔31の上下方向の幅の2倍以下、さらには同上下方向の幅の1倍以下とすること、によって、微細厚盛り部分55が平面的に湾曲している部分を、1本の引箔31の中に多く存在させることができる。その結果、微細厚盛り部分55が立体的に湾曲している部分が、前方から見て多くの方向に向くようになすことができる。これによって、微細且つ立体的な意匠性を高めることができる。
なお、メタリック部分3(金属的反射層57を備えた微細厚盛り部分55)の上下方向の幅が不揃いな場合には、それらの平均幅さが20mm以下であることが適当であり、最長40mm以下であることが好ましいが、これを超えるものを含んでいても構わない。
また、金属的反射層57を備えた微細厚盛り部分55の特異な美的効果を視覚上高めるためには、金属的反射層57を備えていない非金属的反射部分4の幅(言い換えれば、縦横に隣り合うメタリック部分3とメタリック部分3との間の間隔)が0.3mm以上、好ましくは0.4mm、より好ましくは0.6mm以上であることが適当であるが、細密な装飾感を高める上では、10mm以下、好ましくは5mm以下、さらに好ましくは1mm以下が適当である。
メタリック部分3(金属的反射層57を備えた微細厚盛り部分55)が点状の場合は、1平方センチメートル当たり9個以上存在するものであることがより望ましく、1つの点の最大径が10mm以下であることが好ましく、より好ましくは3mm以下であることが細密な装飾感を高める上で望ましい。また、金属的反射層57を備えていない非金属的反射部分4の幅(言い換えれば、縦横に隣り合うメタリック部分3とメタリック部分3との間の間隔)が0.3mm以上、好ましくは0.4mm、より好ましくは0.6mm以上であることが適当であるが、細密な装飾感を高める上では、10mm以下、好ましくは5mm以下、さらに好ましくは1mm以下が適当である。
細密厚盛り部50は、例えば図5に示すように、微小な図形の中に多彩な立体感をもたらすことができる。
具体的には図5(A)にて矢印で示される二重円の着色層52は、一色で示された二重円の図形であるに止まるが、図5(B)にて矢印で示された二重円の細密厚盛り部50は、微細厚盛り部分55の集合によって構成されたものである結果、図5(C)にて矢印で示された二重円は、あたかも多くの宝玉によって構成されたものであるかの如く、細密な図形が立体感豊かに表現されたものとなっている。
なお図3に示されるように、微細厚盛り部分55の形状や大きさは均一である必要はなく、表現する図形によって図5(B)に示されるように様々なものを用いることができる。
図4は他の実施の形態を示すもので、この例では微細厚盛り部分55とその前面側に重ねられた第2着色領域54とが、平面視においてずれが生じているものとして実施したものである。
その結果、図4(E)(F)に示すように、平面において次の四つの部分が設けられることになる。
1)一致部分11:前記着色層と前記厚盛り部と前記金属的反射層とが一致した部分。
2)平面着色部分12:前記着色層のみで前記厚盛り部と前記金属的反射層とが存在しない部分。
3)無着色金属反射部分13:前記厚盛り部と前記金属的反射層のみで前記着色層が存在しない部分。
4)無着色非反射部分14:前記着色層、前記厚盛り部及び前記金属的反射層が存在しない部分。
その結果従来にも増して多彩な表現が可能となる。特に無着色非反射部分14をあえて設けることによって、一致部分11、平面着色部分12、無着色金属反射部分13の対比がより強調されることになる。
この図4の例では微細厚盛り部50は複数の線状の微細厚盛り部分55の集合であり、微細厚盛り部分55の前面側に重ねられた着色層52も複数の線分の集合である。この例では微細厚盛り部分55の方が着色層52よりも太いものとして実施されているが、逆に着色層52の方が太いものであっても構わないし、同じ太さであっても構わない。
着色層52と微細厚盛り部分55が平面視において交差しているものとすることによって、上記の四つの部分が形成されたものである。
なお図4(B)に示すように、平面視において微細厚盛り部分55同士の間の部分に着色インキによる62を設けて実施することもできる。
また、図6(A)に示すように、着色層52を線分とし、微細厚盛り部分55を線分と点との組み合わせとして実施することもできる。
さらに図6(B)(C)(D)に示すように、微細厚盛り部分55を不定形なドットの集合体として実施することもできる。
図7は、着色層52を線分とし、微細厚盛り部分55をドットの集合体と、線分の集合体として実施した例を示すものである。図7(A)は着色層の平面図であり、複数の色の異なる線分が縦の縞模様を構成するように配置されたもので、そのうち白く表された線分は着色が施されていない部分で、この部分には着色インキが存在しない。図7(B)は厚盛り部及び金属的反射層の平面図であり、中央に配置された斜め帯状のブランク部分と、このブランク部分の左側に配置されたドットの集合体部分と、このブランク部分の右側に配置された傾斜した線分の集合体部分とが3種類の領域を構成する配置されているものである。ブランク部分とドットの間に介在する部分と線分の間に介在する部分は、厚盛り部及び金属的反射層が全く存在していない非金属的反射部分4を構成する。図7(C)は後面側着色層61の平面図であり、比較的淡い色のインキで全面が均一に着色されている。これらが組み合わされることによって、図7(D)(E)(F)に示すような多彩な表現の引箔用シートを得ることができる。
図7(A)では着色層による縦の縞模様が表されていたに止まるが、図7(D)(E)(F)の引箔用シートでは、メタリック部分3が、着色層と厚盛り部と金属的反射層とが一致した一致部分11と、厚盛り部と金属的反射層のみで着色層が存在しない無着色金属反射部分13とで構成される。他方、非金属的反射部分4は、着色層のみで厚盛り部と金属的反射層とが存在しない平面着色部分12と、着色層、厚盛り部及び金属的反射層が存在しない無着色非反射部分14とで構成されることによって、多彩な細密模様が形成されたものである。
図8は、微細厚盛り部分55の集合体からなる細密厚盛り部50の一例を示すものであり、種々のデザインで実施することができる。図9は、着色層52の一例を示すものであり、種々のデザインで実施することができる。そして両者を組み合わせることによって、多彩なデザインを創出することができる。例えば図10は図9の右上の着色層52による図形に対して、2種類の金属的反射層57を配置した例を示すものであり、図10(A)は図8の中段右側の金属的反射層57を配置し、図10(B)は図8の上段右側の金属的反射層57を配置した例を示すものである。このように、金属的反射層57の形態を変化させるだけで、同じ着色層52を用いても多彩な表現が可能である。
また細密厚盛り部50は、点状又は線状の細かな微細厚盛り部分55の集合によって錯視、モアレ又は干渉縞が生じる図形を構成しているものとすることができる。錯視としては、種々の幾何学的錯視が知られているが、何の錯視をもたらす図形であっても構わないが、立体的な錯視をもたらす図形であることが特に好ましい。幾何学的錯視の一例を示せば、ミュラー・リヤー錯視、ツェルナー錯視、ヘリング錯視、ポンゾ錯視、フィック錯視、ポッゲンドルフ錯視、デルブーフ錯視、オッペル・クント錯視、フレイザー錯視、ミュンスターバーグ錯視、カフェウォール錯視、エビングハウス錯視、ジャストロー図形などを上げることができるし、チェッカーシャドウ錯視であっても構わない。また図11に示すようなモアレ又は干渉縞が生じる図形であっても構わない。
(海島構造)
細密厚盛り部50を備えた細密領域は、前面側から見て、非金属的反射部分4を連続した海部とし、メタリック部分3を透過部分4に周囲が取り囲まれた島部とする海島構造を備えたものとして実施することもできる。その際、複数の透過部分4の島部同士がメタリック部分3の海部を隔てて配列され、島部同士の間の海部の幅が10mm以下の微細な幅とすることができる。前記島部は、引箔用シート51の左右方向(引箔31の長手方向)における平均長さが20mm以下の点状又は線状をなしているものとすることができるし、島部のうち、左右方向における最長の長さを備えたものの長さが40mm以下であるものとすることができる。このように引箔31の長手方向における長さを制限することによって、一本一本の引箔31の立体的な装飾性が高まり、ひいては引箔織物21全体の立体的な装飾性を高めることができる。
(引箔用シート51の製造)
次に上述の引箔用シート51を製造する方法について説明する。
引箔用シート51を製造する工程は、透光性を有する基材シート10の後面側に透光性を有する着色インキによる着色層52を形成する着色ステップと、着色層52の後面側に透光性を有する厚盛り部56を形成する厚盛りステップと、厚盛り部56の後面側に金属的反射層57を形成する装飾ステップとを行うものである。
(着色ステップについて)
着色ステップは、透光性を有する着色インキを、種々の方法で、透光性を有する基材シート10の後面側に印刷することによって着色層52を形成する工程である。印刷にはオフセット印刷やシルク印刷やインクジェット印刷を用いることができるが、グラビア印刷等の他の印刷方法を用いることもできる。
この着色層52の厚みは、オフセット印刷の場合には1μm前後、シルク印刷の場合には10μm前後が適当であり、1~20μm程度の範囲が好ましく4~20μm程度の範囲がより好ましいものであるが、適宜変更して実施し得る。
また、着色層52として、厚盛り部56が後面側に配置されていない第1着色領域53と、厚盛り部56が後面側に配置されている第2着色領域54を形成してもよく、第1着色領域53と第2着色領域54とは、色相、明度、彩度のうち少なくとも一種が異なる違った色に着色されてもよい。
(厚盛りステップについて)
厚盛りステップは、着色層52の少なくとも一部の後面を含む位置に厚盛り部56を形成する工程である。
厚盛り部56は、着色層52と同様に透光性を有する厚盛インキを印刷することによって形成することができるが、他の手法によって形成してもよい。上述のとおり、厚盛り部56は、その厚み(t)や幅(l)が引箔用シート51の装飾効果を左右する大きな要因となるため、厚み(t)好ましくは75~150μm、より好ましくは80~100μm、幅(l)0.3mm~3.0mmが適当であるが、これに限るものではない。この厚みを得るために、層厚みの大きなシルクスクリ-ン印刷を行うことが有利である。その際、1回から、5回程度の複数回の印刷を施してもよい。部分的に印刷回数を変えるなどして厚みの異なる複数種類の厚盛り部56を形成してもよい。他方厚盛り部56の厚みを同じにすることによって、印刷を施す際の印刷の版を共通して用いることができ生産効率を高めることができる。
(装飾ステップについて)
装飾ステップは、厚盛り部56の少なくとも一部の後面に金属的反射層57を形成する工程である。厚盛りステップにて形成された厚盛り部56は、着色層52の後面側から後方に突出しており、厚盛り部56の少なくともその周縁は、表面張力により、基材シート10の厚さ方向の断面において、後方に向かって湾曲した凹曲部58を備える。そして、装飾ステップにて、この凹曲部58の少なくとも一部の後面に金属的反射層57を形成し、形成された金属的反射層57が金属的凹曲反射面59を構成するものである。
金属的反射層57は、転写箔の手法により、金属箔やホログラム箔などの反射箔を転写して形成されるものであることが好ましい。また、金属的反射層57は、シルク印刷(銀ペーストインキやミラーインキ)やホットスタンプ、蒸着、スパッタリングで実施してもかまわないが、転写箔を用いる方が高い金属的反射の効果が得られる点で有利である。より詳しくは、転写箔は、シルク印刷(銀ペーストインキやミラーインキ)より鏡面性がより高く、シルク印刷には作れないホログラム箔の使用も可能である点で、転写箔を用いる方が有利である。
また、転写箔の手法を用いて金属的反射層57を形成する際、転写用のバインダ層(図示せず)を形成してもよい。バインダ層は、反射箔を定着させるものであればよく、例えば透明なシルクインキで形成することができる。特に、経時変化でバインダ層の割れやクラックを起こさないインキを使用することが適当である。
金属的反射層57の厚みは、適宜変更して実施し得るが、0.3~0.5μm程度の範囲が好ましい。
引箔用シート51を製造する工程は、着色ステップ、厚盛りステップ、装飾ステップの順に実施する場合(以下、第1実施手順という)と、厚盛りステップ、着色ステップ、装飾ステップの順に実施する場合(以下、第2実施手順という)がある。
(着色ステップについて)
着色ステップは、透光性を有する着色インキを、種々の方法で、基材シート10の後面側に印刷することによって着色層52を形成する工程である。着色ステップにおいて、着色層52は、前方から見て、厚盛り部56が存在しない位置にある第1着色領域53と、厚盛り部56が存在する位置にある第2着色領域54とが形成され、第1着色領域53と第2着色領域54とは、色相、明度、彩度のうち少なくとも一種が異なる違った色に着色される。
引箔用シート51を製造する工程が第1実施手順で実施された場合、第1着色領域53、第2着色領域54ともに基材シート10の後面側に形成される。
第2実施手順で実施された場合、第1着色領域53は基材シート10の後面側に形成され、第2着色領域54は基材シート10の後面側に形成された厚盛り部56の後面側に形成されるが、第1実施手順と第2実施手順を併用してもかまわない。
着色層52を形成するための印刷方法や着色層52の厚みは、前述の形態と同じであり、説明を省略する。
(厚盛りステップについて)
厚盛りステップは、基材シート10の後面側に厚盛り部56を形成する工程である。
引箔用シート51を製造する工程が第2実施手順で実施された場合、厚盛り部56は基材シート10の後面側に形成され、第1実施手順で実施された場合、厚盛り部56は基材シート10の後面側に形成された第2着色領域54の後面側に形成される。
厚盛り部56を形成するための方法や、厚盛り部56の厚みや幅は、前述の形態と同じであり、説明を省略する。
(装飾ステップについて)
装飾ステップは、厚盛り部56の後面側に金属的反射層57を形成する工程である。金属的反射層57は前面側からの光を反射するものであり、着色層52を透過した金属的反射層57からの反射光を前方の看者が視認するように構成されることから、金属的反射層57は、引箔用シート51の最も後面側に形成される。
引箔用シート51を製造する工程が第1実施手順で実施された場合、金属的反射層57は厚盛り部56の後面側に形成され、第2実施手順で実施された場合、金属的反射層57は厚盛り部56の後面側に形成された第2着色領域54の後面側に形成される。
金属的反射層57を形成するための方法や、金属的反射層57の厚みは、前述の形態と同じであり、説明を省略する。
転写箔の手法を用いて金属的反射層57を形成する際、厚盛り部56の後面側に形成された第2着色領域54と金属的反射層57との定着性を確保するために、両者の間に転写用のバインダ層(図示せず)を形成してもよい。バインダ層は、反射箔を定着させるものであればよく、例えば透明のシルクインキで形成することができる。特に、経時変化でバインダ層の割れやクラックを起こさないインキを使用することが適当である。
(引箔31の製造)
引箔用シート51は、一定の方向、この実施の形態では左右方向に裁断することによって引箔31が製造される。
この引箔31の幅は、一般的な引箔と同様0.3~3mm程度とすることができる。また、引箔31の長手方向の長さは、特に制限はないが、現時点での自動引箔機の大きさからすれば20~60cm程度とすることができるが、これらの数値は適宜変更して実施することができる。
(引箔織物21の製造)
引箔31は、引箔技法の一般的な方法により、引箔織物21に加工される。引箔技法は、手作業によって実施されるものであっても構わないし、一部または全部が自動化されたものであっても構わない。
その際、例えば図2に示される引箔用シート51における微細厚盛り部分55を備えた微細な金属反射部分は、図1に示される引箔織物21においても一本の引箔31における微細厚盛り部分55による微細な金属反射部分として再現される。
なお、細密領域が2本又はそれ以上の引箔31にまたがる場合には、複数本の引箔31分断されることにはなるが、隣り合う引箔31同士は経糸41と織成されることによって、さらに立体的な構造が付加される。したがって、引箔用シート51では表現することができなかった立体的な装飾効果が引箔織物21に現れることになる。
このように、引箔用シート51は、引箔31を経て引箔織物21に再度具現化されることによって、新たな装飾効果が生み出されるものである。さらにその際、引箔用シート51を、細密領域を備えたものとすることによって、我が国の伝統的な緻密な美的感覚を表現するに止まらず、伝統と現代の新たな技術が融合した従来にない引箔織物21を生み出すことができる基礎技術を提供することができたものである。
引箔織物21は、一般的な織物製品と同様、種々の用途に適用することができるものである。衣服などの繊維製品や工芸品は勿論、かばん、袋物、容器、家具、電化製品、通信装置を備えた通信機器及びこれに装着される保護ケースを含む通信機器用の外郭部材などにも適用することができる。
3 メタリック部分
4 透過部分
5 非金属的反射部分
10 基材シート
11 一致部分
12 平面着色部分
13 無着色金属反射部分
14 無着色非反射部分
21 引箔織物
31 引箔
41 経糸
50 細密厚盛り部
51 引箔用シート
52 着色層
53 着色領域
54 着色領域
55 微細厚盛り部分
56 盛り部
57 金属的反射層
58 凹曲部
59 金属的凹曲反射面

Claims (8)

  1. 厚さ方向に複数層の積層構造を備え、平面視において左右方向に伸びる引箔を複数本裁断して得ることができるように構成された引箔用シートにおいて、
    前記引箔用シートは、平面視において、金属的反射層を備えたメタリック部分と金属的反射層を備えていない非金属的反射部分とを備え、
    前記金属的反射層は、前記引箔用シートの厚さ方向の断面において湾曲している金属的凹曲反射面を備え、前記金属的凹曲反射面からの反射光を前面側から見て視認できるように構成され、
    前記複数本の前記引箔のうち半数以上の前記引箔が、前記左右方向において、複数のメタリック部分を備えるように構成されたことを特徴とする引箔用シート。
  2. 前記金属的反射層は、前記基材シートの後面側に配置された転写箔又は印刷インキによって構成され、
    前記メタリック部分は、少なくともその一部に前記基材シートの後面側に配置された透光性を有する着色層と透光性を有する厚盛り部とを備え、
    前記厚盛り部は、前記基材シートの厚さ方向の断面において、後方に向かって突出しており、且つ、前記厚盛り部の周縁が湾曲部をなし、
    前記金属的反射層は、前記厚盛り部の少なくとも一部の前記湾曲部の後面側に配置されることにより、前記引箔用シートの厚さ方向の断面において、前記厚盛り部の厚みの変化に伴い湾曲している前記金属的凹曲反射面を備え、
    前記着色層は、透光性を有すると共に、前面側から見た際に引箔用シートに色彩を与えるものであり、
    前記引箔用シートは、前面側から見て少なくとも一部の領域に前記着色層よりも平面積の小さな前記メタリック部分を有する細密領域を備え、
    前記細密領域は、前記着色層よりも小さな平面積の前記透過部分と前記メタリック部分とが混在して配置されている領域であり、
    前記細密領域にある前記厚盛り部は細密厚盛り部であり、
    前記細密厚盛り部は、その前面側の前記着色層よりも小さな面積の微細厚盛り部分が集合した部分であり、
    前記金属的反射層が少なくとも複数の前記微細厚盛り部分の後面に配置され、
    少なくとも複数の前記微細厚盛り部分に前記金属的凹曲反射面が設けられ、
    前方から見た際、前記細密厚盛り部の前面側の前記着色層の中に、複数の前記微細厚盛り部分における前記金属的凹曲反射面からの反射光が視認されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の引箔用シート。
  3. 平面視において、前記微細厚盛り部分の上下方向の幅が、前記左右方向に織られる引箔の上下方向の幅の2倍以下であることを特徴とする請求項2に記載の引箔用シート。
  4. 前記細密領域においては、点状又は線状の微細な前記メタリック部分が1平方センチメートル当たり3個以上存在するものであり、前記メタリック部分同士の間に前記非金属的反射部分が配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の引箔用シート。
  5. 前記基材シートの後面側であって、前面側から見て少なくとも前記細密領域同士の間の部分に着色インキによる後面側着色層と、剥離用の裏貼りシートが存在することを特徴とする請求項1~4の何かに記載の引箔用シート。
  6. 前記加飾シートは、その最後面に調整層が配置され、
    前記調整層により前記加飾シートの後面の凹凸が緩和されていることを特徴とする請求項1~5の何かに記載の引箔用シート。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の引箔用シートを細幅に裁断したものであり、
    その長さ方向において、複数のメタリック部分を備えるように構成されたことを特徴とする引箔。
  8. 請求項7に記載の引箔が織り込まれていることを特徴とする引箔織物。
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