JP7124292B2 - 潜像を有する曲面画像形成体及びその製造方法 - Google Patents

潜像を有する曲面画像形成体及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、潜像を有する曲面画像形成体及びその製造方法に関する。詳しくは、自動車用外装部材、アミューズメント用部材、携帯電話用部材、パソコン用部材、家電製品用パネル部材、或いは、食品容器、医薬品容器、医薬部外品容器等として用いられる三次元部材に適用される、潜像を有する曲面画像形成体及びその製造方法に関する。
今までは、基材の表面に凹凸を設けることで、観察する角度を変更することのみで潜像画像を視認できる技術があった。
その中で、特許文献1に記載の発明は、観察する角度を変更することのみで潜像画像を視認するものではなく、反射光下と透過光下の観察では視認できる潜像画像が異なる技術である。
また、特許文献2に記載の発明は、万線状のエンボスでなる凸部を有した画像形成体であり、かつ裏面のデザイン性に自由度のある潜像画像を有する技術である。
特開2014-140985号公報 特許第4329570号公報
しかし、最近では、上記の技術は、銀行券、株券などの偽造防止が要求される貴重印刷物に適用されるのが一般的になってきている。いずれも平面で使用されることを前提とするものであり、曲面で使用されることを考慮したものではなかった。
本発明は、上記の課題を解決することを目的とするものであり、平面ではなく曲面においても潜像画像が視認でき、さらに加飾効果に優れた曲面画像形成体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の潜像を有する曲面画像形成体は、基材の少なくとも一方の表面には、画像および文字から選ばれる少なくとも一つを含む潜像領域と、前記潜像領域を除いた背景領域と、が形成され、前記潜像領域および前記背景領域は、凹凸形状を有する規則的な複数の平行線によって形成され、横方向または縦方向のどちらかの方向を基準線とし、前記潜像領域に形成された前記複数の平行線は、前記背景領域に形成された前記複数の平行線と、ピッチおよび前記基準線に対する角度の少なくともいずれかが異なり、前記基材自体が全体にR形状を帯びている。
上記の構成において、前記潜像領域には、画像および文字が含まれており、前記画像と前記文字が重なる領域に形成される前記複数の平行線は、前記画像、前記文字および前記背景領域に形成された前記複数の平行線と、ピッチおよび前記基準線に対する角度の少なくともいずれかが異なることが好ましい。
上記の構成において、前記複数の平行線は、ピッチおよび前記基準線に対する角度の少なくともいずれかが異なる少なくとも2種類のパターンが並列して形成されていることが好ましい。
上記の構成において、前記基材は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、透明アクリルーブタジエンースチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂のいずれかで形成されていることが好ましい。
上記の構成において、前記基材の少なくとも一方の表面上に蒸着層が設けられていることが好ましい。
上記の課題を解決するため、本発明の潜像を有する曲面画像形成体は、全体がR形状をなす板状の基材の少なくとも一方の表面に凹凸模様が形成された曲面画像形成体であって、前記凹凸模様は、平行に延びる複数の背景側凸部を有する背景領域と、平行に延びる複数の潜像側凸部を有する潜像領域を有し、前記潜像領域は、画像および文字から選ばれる少なくとも一つを構成し、前記潜像側凸部と前記背景側凸部とは、延びる方向および凸部間のピッチの組み合わせが互いに異なり、前記基材の少なくとも一方の表面上に蒸着層が設けられている。
上記の構成において、前記蒸着層は、金属による単層膜蒸着層または金属酸化物による多層膜蒸着層であることが好ましい。
上記の構成において、前記基材は、着色樹脂で形成されていることが好ましい。
本発明によれば、平面ではなく曲面においても潜像画像が視認でき、さらに加飾効果に優れた曲面画像形成体を得ることができる。
第一実施形態の曲面画像形成体について説明する概略模式図。 第二実施形態の曲面画像形成体の斜視図。 (a)は、第二実施形態の曲面画像形成体について説明する概略模式図。(b)、(c)は、潜像領域について説明する図。 本実施形態の曲面画像形成体について説明する図。(a)は、曲面画像形成体を観察する方向を説明する図であり、(b)~(j)は、各矢印方向から曲面画像形成体を観察したときに見える状態を説明する図。 曲面画像形成体の凸部の部分拡大模式図。 変更例について説明する概略模式図。 変更例について説明する概略模式図。 変更例について説明する概略模式図。 変更例について説明する概略模式図。
本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他様々な実態の形態が含まれる。
(第一実施形態)
まず、本発明の曲面画像形成体の第一実施形態について、図1に基づいて説明する。
図1に記載のA、B、C、D、E、FおよびGは、それぞれ複数の平行線の拡大図であり、互いに異なる傾斜角度または異なるピッチの複数の平行線が形成されている。
たとえば、BおよびFは、規則的な複数の平行線から形成されており、横方向の横線を基準線とした場合、30度の鋭角である。Bの複数の平行線とFの複数の平行線では、凹凸のピッチが異なり、FはBに比べてピッチが大きく形成されている。
また、横方向の横線を基準線とした場合、B、G、Dの順で角度が大きくなるように複数の平行線が形成されている。
図1は、潜像領域2、3、4および背景領域1から構成されている曲面画像形成体10である。潜像領域2、3、4には、文字を構成する一部の潜像領域2、画像を構成する一部の潜像領域3、および画像と文字が重なる領域4から構成されている。
また、潜像領域2、3、4および背景領域1は、凹凸ピッチまたは基準線に対する角度が異なる少なくとも2種類のパターンが並列して形成されている。なお、図1は2種類の凹凸パターンであるが、2種類以上の凹凸パターンにして設けることも可能である。
このように潜像領域2、3、4および背景領域1に、凹凸形状を有する凹凸ピッチまたは基準線に対する角度が異なる複数の平行線を形成することで、観察する角度により特定の潜像画像または文字が視認可能となる。
凹凸形状の凸部と凹部との高低差は、5μmから50μmで形成するのが望ましい。高低差が5μm未満であると、画像または文字の切替が十分に行われず加飾性が低下する。
また、高低差が50μmより大きいと、凸部の自立性が悪くなり、規則性のある凹凸形状が形成されず加飾性が低下する。
本発明の別の形態として、凹凸形状を有する規則的な複数の平行線を設けた基材の一方の表面上に蒸着層を設けることで加飾性が向上する。
蒸着層は、酸化珪素などの無機酸化物を基材に蒸着することで設けることができる。
本発明である潜像を有する曲面画像形成体10は、基材に使用される樹脂を用いて、R形状を有する微細彫刻加工版に射出成形して作製される。この微細彫刻加工版は金属製であり、表面に酸化クロム層を設ける処理を施すことで、耐摩擦性、防汚性および量産適性を向上することができる。
また、微細彫刻加工版に設けてある凹凸形状の凸部の一方の側壁にマット処理を施し、他方の側壁にグロス処理を施すことで、画像または文字が抵抗なく切り替わるため加飾性が向上する。
マット処理は、表面を粗面化する処理で、特に方法は限定されない。マット処理に対してグロス処理は、研磨材などを用いて表面を平滑に加工する処理で、特に方法は限定されない。
本発明に使用される基材の樹脂は、一般に汎用樹脂と呼ばれ、透明性が高く、高信頼性のポリカーボネート(PC)樹脂、アクリル(PMMA)樹脂、透明アクリルーブタジエンースチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂などのポリオレフィン(PO)樹脂などである。
基材に使用される樹脂は、R形状を有する微細彫刻加工版からの転写性を高めるために高フローであることが望ましい。高いフローとは、メルトインデックス(MI)およびメルトフローレート(MFR)が12g/分以上である。なお測定方法はJIS K7210に準ずる。
メルトインデックス(MI)およびメルトフローレート(MFR)のどちらかが12g/分未満であると、微細彫刻加工版から基材への転写性が低くなり、凹凸形状の再現性が低下する。つまり、微細彫刻加工版の凹凸形状が十分に基材へ転写されないことで、曲面画像形成体の加飾性が低下する。
(第二実施形態)
次に、本発明の曲面画像形成体の第二実施形態について、図2~図5に基づいて説明する。
図2に示すように、本実施形態の曲面画像形成体10は、板状の基材20全体がR形状のなだらかな曲面状に形成されている。基材20は、基材20全体が同じ曲率で形成された曲面状とされていてもよく、基材20の一端縁20c側と他端縁20d側とが異なる曲率で形成された曲面状とされていてもよい。いずれの場合も、基材20の内周面20aおよび外周面20bは、平滑な曲面として形成されている。
第二実施形態の曲面画像形成体10は、R形状をなす微細彫刻加工版に形成された凹凸パターンを、基材20の内周面20aに転写することにより、基材20の内周面20aのほぼ全面にわたって凹凸模様が形成されている。
基材20は、第一実施形態と同様の無色或いは有色の透明樹脂で形成されている。具体的には、一般に汎用樹脂と呼ばれ、透明性が高く、高信頼性のポリカーボネート(PC)樹脂、アクリル(PMMA)樹脂、アクリルーブタジエンースチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等のポリオレフィン(PO)樹脂等が挙げられる。基材20を有色の透明樹脂で形成する場合、従来公知の染料を樹脂材料に添加して着色すればよい。
基材20に使用される樹脂は、R形状をなす微細彫刻加工版からの転写性を高めるために高フローであることが望ましい。高フローとは、メルトインデックス(MI)およびメルトフローレート(MFR)が12g/分以上である。なお測定方法はJIS K7210に準ずる。メルトインデックス(MI)およびメルトフローレート(MFR)が上記範囲であると、微細彫刻加工版から基材20への転写性が良くなり、凹凸形状の再現性が向上する。つまり、微細彫刻加工版の凹凸形状が十分に基材20へ転写されやすくなり、曲面画像形成体10の加飾性が向上する。
図2に示すように、第二実施形態の曲面画像形成体10は、基材20の内周面20aに、互いに平行に延びる微細な複数の凸部30(以下、基材20の内周面20aに形成された微細な複数の凸部を総称して、万線状凸部30という。)を有する凹凸模様が形成されてなるものである。曲面画像形成体10は、外周面20bを表側とするものであり、内周面20aに形成された凹凸模様は、基材20を形成する透明性の高い樹脂を介して外周面20b側から視認することができる。
図2に示すように、本実施形態の曲面画像形成体10に形成された凹凸模様は、異なる構成の万線状凸部30からなる7つの領域A~Gを有している。それぞれの領域A~Gでは、万線状凸部30が延びる方向、或いは万線状凸部30間のピッチが異なっている。こうすることで、曲面画像形成体10には、基材20の外周面20bを正面方向から観察した場合には認識できないが、所定方向から観察した場合には顕像化して認識可能となる潜像が形成されている。
本実施形態の曲面画像形成体10の万線状凸部30の構成を、図3に基づいてより詳しく説明する。
図3(a)は、図2の領域A~Gが形成された領域を区画して示すとともに、領域A~Gに形成された万線状凸部30の延びる方向、或いは万線状凸部30間のピッチについて説明する図である。曲面画像形成体10には、背景領域1の中に、図3(b)で示す「Tの文字」からなる第1潜像領域2と、図3(c)で示す「山状の画像」からなる第2潜像領域3が形成されている。図3(a)では、第1潜像領域2と第2潜像領域3とが重なる領域を重複領域4として示している。
曲面画像形成体10は、横方向に延びる仮想上の線である基準線40を基準として、基準線40に平行に帯状となって延びる区画50が複数形成されている。本実施形態では、区画50の幅は0.1~2.0mmとされている。背景領域1は、基準線40に直交する方向に対して-20゜の角度で交差する方向に万線状凸部30が延びる領域Aと、基準線40に直交する方向に対して+70゜の角度で交差する方向に万線状凸部30が延びる領域Bとが、基準線40に直交する方向において交互に並設されて構成されている。以下、万線状凸部30の傾斜角度は、図3(a)において、基準線40に直交する方向から右側に傾斜する場合を+で表し、基準線40に直交する方向から左側に傾斜する場合を-で表すものとする。
領域Aに形成された万線状凸部30間のピッチと、領域Bに形成された万線状凸部30間のピッチは同じであり、それぞれ約1~100μmとされている。ここでは、曲面画像形成体10に形成された万線状凸部30のうち、背景領域1の領域A、Bに形成された万線状凸部30を背景側凸部31と言う。
第1潜像領域2は、基準線40に直交する方向に対して-70゜の角度で交差する方向に万線状凸部30が延びる領域Cと、基準線40に直交する方向に対して+20゜の角度で交差する方向に万線状凸部30が延びる領域Dとが交互に並設されている。第1潜像領域2の領域Cは、背景領域1の領域Aと同じ区画50に形成され、第1潜像領域2の領域Dは、背景領域1の領域Bと同じ区画50に形成されている。領域Cに形成された万線状凸部30間のピッチと、領域Dに形成された万線状凸部30間のピッチは同じであり、それぞれ約1~100μmとされている。ここでは、曲面画像形成体10に形成された万線状凸部30のうち、第1潜像領域2の領域C、Dに形成された万線状凸部30を第1潜像側凸部32と言う。
第2潜像領域3では、基準線40に直交する方向に対して-20゜の角度で交差する方向に延びるとともに、領域A~D、Gに形成された万線状凸部30に比べてピッチが約2倍とされた万線状凸部30が形成された領域Eが、背景領域1の領域Aと同じ区画50に形成されている。一方、第2潜像領域3は、背景領域1の領域Bと同じ区画50には形成されていない。ここでは、曲面画像形成体10に形成された万線状凸部30のうち、第2潜像領域3の領域Eに形成された万線状凸部30を第2潜像側凸部33と言う。
第1潜像領域2と第2潜像領域3とが重なり合う重複領域4は、基準線40に直交する方向に対して+70゜の角度で交差する方向に延びるとともに、領域A~D、Gに比べてピッチが約2倍とされた万線状凸部30が形成された領域Fと、基準線40に直交する方向に対して+45゜の角度で交差する方向に万線状凸部30が延びる領域Gとが交互に並設されている。重複領域4の領域Fは、背景領域1の領域Aと同じ区画50に形成され、重複領域4の領域Gは、背景領域1の領域Bと同じ区画50に形成されている。ここでは、曲面画像形成体10に形成された万線状凸部30のうち、重複領域4の領域F、Gに形成された万線状凸部30を第3潜像側凸部34と言う。なお、第1潜像側凸部32、第2潜像側凸部33、第3潜像側凸部34を総称して潜像側凸部と言うものとする。
各領域A~Gの境界部分では、隣り合う領域に形成された万線状凸部30同士が連設されている。例えば、領域Aと領域Bの境界部分では、基準線40の位置において、領域Aに形成された背景側凸部31の端部と、領域Bに形成された背景側凸部31の端部とが連設されている。同様に、領域Bと領域Cでも、基準線40の位置において、領域Bに形成された背景側凸部31の端部と領域Cに形成された第1潜像側凸部32の端部とが連設されている。また、帯状に延びる同じ区画50において隣り合う領域、例えば、領域Aと領域Cの境界部分でも同様に、領域Aに形成された背景側凸部31の端部と、領域Cに形成された第1潜像側凸部32の端部とが連設されている。これは、隣り合う他の領域でも同様である。
図5に示すように、曲面画像形成体10に形成された凹凸模様の底面30aは、同じ深さ位置とされている。また、背景側凸部31、潜像側凸部32、33、34の高さは、すべて同じ高さ位置となるように形成されている。つまり、背景領域1、第1潜像領域2、第2潜像領域3、重複領域4を構成する凹凸模様における万線状凸部30の底面30aの深さ位置は同じであり、背景側凸部31、第1潜像側凸部32、第2潜像側凸部33、第3潜像側凸部34の頂部30bの高さ位置はすべて同じとされている。背景側凸部31、第1潜像側凸部32、第2潜像側凸部33、第3潜像側凸部34の頂部30bの高さhは、5~50μmであることが好ましい。各万線状凸部30の頂部30bの高さhをこの範囲とすることにより、認識される画像または文字の切り替えが鮮明となり、曲面画像形成体10の加飾性が向上する。また、万線状凸部30の自立性が良好となり、規則性のある凹凸模様が形成される。なお、各万線状凸部30の高さhは、基材20の材質、厚み、硬さ等によって適宜調整されていることが好ましい。
各万線状凸部30の傾斜角度(図5にθで示す。)は、70゜以下とされていることが好ましい。各万線状凸部30の傾斜角度θがこの範囲であると、規則性のある凹凸模様として認識することができて、曲面画像形成体10の加飾性が向上する。
図2に示すように、本実施形態の曲面画像形成体10は、基材20の内周面20a全面に蒸着層60が設けられている。蒸着層60は、金属酸化物を含む無機酸化物を多層膜蒸着するか、金属を単層膜蒸着することによって形成することができる。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化チタン等を挙げることができる。これ等を含む無機酸化物から複数種類を適宜組み合わせて多層膜蒸着することにより蒸着層60を形成することができる。また、金属としては、例えば、アルミニウム、クロム、金、銀、プラチナ、ニッケル等を挙げることができる。蒸着層60の厚みは、約5~50nmとされている。
蒸着層60が設けられていることにより、基材20の表面に複雑な色味を付与することができ、基材20に形成された万線状凸部30での反射光や屈折光と相まって、曲面画像形成体10の加飾性を向上させることができる。蒸着材料や蒸着層60の形成箇所は、付与したい色味、加飾性が得られるように適宜決定することができる。
次に、本実施形態の曲面画像形成体10の製造方法について説明する。
曲面画像形成体10は、射出成型法により製造される。具体的には、表面に凹凸模様が形成されたR形状を有する微細彫刻加工版に射出成形することにより、基材20の内周面20aに万線状凸部30からなる凹凸パターンが形成される。ここで使用する微細彫刻加工版の材質は特に限定されないが、加工性に優れていることから銅製であることが好ましい。また、微細彫刻加工版の表面に酸化クロム層を設ける処理が施されていると、耐摩耗性、防汚性が向上して基材20の量産性が向上する。射出成形時の圧力、加熱時間、加熱温度等は、基材20の材質、厚み、硬さ等によって適宜調整することができる。
続いて、基材20の内周面20a側に蒸着層60を形成する。蒸着層60の形成方法は特に限定されないが、蒸着材料や基材20の材質によって適宜決定することができる。例えば、レーザ蒸着、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、高周波誘導蒸着等が挙げられる。また、蒸着材料や基材20の材質によっては、基材20上に接着剤層を塗装してから蒸着層60を形成してもよい。こうすることで、蒸着材料が付きにくい材質の基材20に対しても蒸着層60を良好に形成することができる。
次に、本実施形態の曲面画像形成体10の作用について説明する。
図4は、曲面画像形成体10を異なる角度から観察した場合に視認される態様について説明するものである。図4(a)に示すように、曲面画像形成体10を、異なる9方向、具体的には、左斜め上方向、上方向、右斜め上方向、左方向、正面方向、右方向、左斜め下方向、下方向、右斜め下方向の9方向から観察した。図4(b)~図4(j)は、これら9方向から観察した場合に視認される態様を示すものである。なお、ここで説明する態様は、一つの例であり、この態様に限定されるものではない。
図4(f)に示すように、曲面画像形成体10を正面方向から観察すると、曲面画像形成体10の中央部分に、「Tの文字」の中央部分および「山状の画像」の左側部分が混在した状態で認識される。ここで曲面画像形成体10を正面方向から観察するとは、R形状に形成された曲面画像形成体10の外周面20bの中央部分を正面視する場合をいう。図5に示すように、曲面画像形成体10を観察する場合、曲面画像形成体10に形成された複数の万線状凸部30の表面で光が反射するため、その反射した光を知覚することにより曲面画像形成体10に形成された画像や文字を認識することができる。本実施形態の曲面画像形成体10を正面視した場合には、背景領域1の領域A、Bに形成された背景側凸部31に比べて、第1潜像領域2の領域C、Dに形成された第1潜像側凸部32、第2潜像領域3の領域Eに形成された第2潜像側凸部33、および重複領域4の領域F、Gに形成された第3潜像側凸部34で反射した光が強く知覚される。また、第1潜像側凸部32、第2潜像側凸部33および第3潜像側凸部34で反射した光の強さが異なって知覚される。これにより、「Tの文字」の中央部分および「山状の画像」の左側部分が顕像化して見える状態となっている。
一方、曲面画像形成体10は曲面状に形成されているため、「Tの文字」の左右両側部分および「山状の画像」の右側部分は、見えないか見難い状態となっている。つまり、曲面画像形成体10を正面方向から観察したとき、曲面画像形成体10の左右両側部分では、背景領域1の領域A、Bに形成された背景側凸部31、第1潜像領域2の領域C、Dに形成された第1潜像側凸部32、および第2潜像領域3の領域Eに形成された第2潜像側凸部33で反射した光が、いずれも同程度の強さで知覚される。これにより、「Tの文字」の左右両側部分および「山状の画像」の右側部分は背景領域1と区別がつかず、背景領域1の中に潜像化されて見えないか見難い状態となっている。
図4(e)に示すように、曲面画像形成体10を左方向から観察すると、「Tの文字」の左側部分および「山状の画像」の左側部分が混在した状態で認識され、図4(g)に示すように、曲面画像形成体10を右方向から観察すると、「Tの文字」の右側部分および「山状の画像」が混在した状態で認識される。ここで曲面画像形成体10を左方向から観察するとは、R形状に形成された曲面画像形成体10の外周面20bを左方向の斜め上方から観察する場合をいい、曲面画像形成体10を右方向から観察するとは、外周面20bを右方向の斜め上方から観察する場合をいう。
図4(e)に示すように、曲面画像形成体10を左方向から観察した場合には、「Tの文字」の左側部分および「山状の画像」の左側部分では、背景領域1の領域A、Bに形成された背景側凸部31に比べて、第1潜像領域2の領域C、Dに形成された第1潜像側凸部32および重複領域4の領域F、Gに形成された第3潜像側凸部34で反射した光が強く知覚される。また、第1潜像側凸部32と第3潜像側凸部34とでは、反射した光の強さが異なって知覚される。これにより、「Tの文字」の左側部分および「山状の画像」の左側部分が顕像化して見える状態となっている。その一方で、曲面画像形成体10は曲面状に形成されているため、「Tの文字」の右側部分および「山状の画像」の右側部分では、背景領域1の領域A、Bに形成された背景側凸部31、第1潜像領域2の領域C、Dに形成された第1潜像側凸部32および第2潜像領域3の領域Eに形成された第2潜像側凸部33で反射した光が、いずれも同程度の強さで知覚される。これにより、「Tの文字」の右側部分および「山状の画像」の右側部分は背景領域1と区別がつかず、背景領域1の中に潜像化されて見えないか見難い状態となっている。
図4(g)に示すように、曲面画像形成体10を右方向から観察した場合には、「Tの文字」の右側部分および「山状の画像」では、背景領域1の領域A、Bに形成された背景側凸部31に比べて、第1潜像領域2の領域C、Dに形成された第1潜像側凸部32、第2潜像領域3の領域Eに形成された第2潜像側凸部33および重複領域4の領域F、Gに形成された第3潜像側凸部34で反射した光が強く知覚される。また、第1潜像側凸部32、第2潜像側凸部33および第3潜像側凸部34で反射した光の強さが異なって知覚される。これにより、「Tの文字」の右側部分および「山状の画像」が顕像化して見える状態となっている。その一方で、曲面画像形成体10は曲面状に形成されているため、「Tの文字」の左側部分では、背景領域1の領域A、Bに形成された背景側凸部31および第1潜像領域2の領域C、Dに形成された第1潜像側凸部32で反射した光が、いずれも同程度の強さで知覚される。これにより、「Tの文字」の左側部分は背景領域1と区別がつかず、背景領域1の中に潜像化されて見えないか見難い状態となっている。
このように、曲面画像形成体10は曲面状に形成されているため、曲面画像形成体10を左方向、正面方向、右方向へと順に観察していくと、「Tの文字」、「山状の画像」の視認できる部分が異なり、「Tの文字」、「山状の画像」の形状が徐々に変化する状態で知覚される。見る方向によって、潜像化される領域、顕像化される領域が変化していくことで、加飾性に優れた曲面画像形成体10となっている。
図4(c)に示すように、曲面画像形成体10を上方向から観察すると、曲面画像形成体10の中央部分に「Tの文字」の中央部分が濃く、「山状の画像」の左側部分が薄く認識される。これは、背景領域1の領域A、Bに形成された背景側凸部31に比べて、第2潜像領域3の領域Eに形成された第2潜像側凸部33および重複領域4の領域F、Gに形成された第3潜像側凸部34で反射した光が強く知覚され、第1潜像領域2の領域C、Dに形成された第1潜像側凸部32で反射した光がさらに強く知覚されることによる。
一方、曲面画像形成体10は曲面状に形成されているため、曲面画像形成体10を正面方向から観察した場合と同様の現象により、「Tの文字」の左右両側部分および「山状の画像」の右側部分は、見えないか見難い状態となっている。
図4(b)に示すように、曲面画像形成体10を左斜め上方向から観察すると、「Tの文字」の左側部分が濃く、「山状の画像」の左側部分が薄く認識される。また、図4(d)に示すように、曲面画像形成体10を右斜め上方向から観察すると、「Tの文字」の右側部分が濃く、「山状の画像」が薄く認識される。これらは、曲面画像形成体10を左方向から観察した場合、或いは右方向から観察した場合と同様の現象によるものである。つまり、背景領域1の領域A、Bに形成された背景側凸部31、第1潜像領域2の領域C、Dに形成された第1潜像側凸部32、第2潜像領域3の領域Eに形成された第2潜像側凸部33および重複領域4の領域F、Gに形成された第3潜像側凸部34で、それぞれ反射した光の強さが異なって知覚されることによる。
同様に、図4(h)、図4(i)、図4(j)に示すように、曲面画像形成体10を左斜め下方向、下方向、右斜め下方向から観察すると、「Tの文字」が薄く、「山状の画像」が濃い状態で、それぞれ異なる部分が認識される。
このように、本実施形態の曲面画像形成体10には、背景領域1の領域A、Bに形成された背景側凸部31、第1潜像領域2の領域C、Dに形成された第1潜像側凸部32、第2潜像領域3の領域Eに形成された第2潜像側凸部33および重複領域4の領域F、Gに形成された第3潜像側凸部34を、基準線40に対して異なる角度で形成するか、万線状凸部30間のピッチを異なるように形成することにより、見る角度によって見えなかったまたは見難かった「Tの文字」や「山状の画像」が顕像化される。このとき、第1潜像領域2、第2潜像領域3は、いわゆる潜像を構成し、見る角度によって「Tの文字」と一体化したり「山状の画像」と一体化したりする重複領域4は、いわゆるチェンジング画像を構成している。
また、本実施形態の曲面画像形成体10は曲面状に形成されているため、見る角度によって「Tの文字」や「山状の画像」の顕像化される部分が異なる。また、曲面画像形成体10の基材20の内周面20aには、蒸着層60が形成されているため、曲面画像形成体10に複雑な色味が付与され、見る角度によって表現される色味が異なる。これにより、曲面画像形成体10を観察する際、横方向に視点を移動させていくと、顕像化される部分が連続的に変化するとともに、色味が複雑に変化する。
上記実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態の曲面画像形成体10は、R形状をなす基材20の内周面20aに、異なる構成の万線状凸部30からなる7つの領域A~Gを有している。それぞれの領域A~Gでは、万線状凸部30が延びる方向、或いは万線状凸部30間のピッチが異なっている。このため、見る角度によって、「Tの文字」のみが見えたり、「山状の画像」のみが見えたり、「Tの文字」と「山状の画像」の両方が見えたり、いずれも見えなかったりする。また、「Tの文字」の一部のみが見えたり、「山状の画像」の一部のみが見えたりする。万線状凸部30が延びる方向、或いは万線状凸部30間のピッチを異ならせた凹凸模様をR形状をなる基材20に設けることで、複雑な潜像を形成することができる。
また、曲面画像形成体10を観察する際、横方向に視点を移動させていくと顕像化される部分が連続的に変化するため、加飾性に優れた曲面画像形成体10が得られる。
(2)万線状凸部30が延びる方向、或いは万線状凸部30間のピッチが異なる領域を必要に応じて適宜設けることで、複数の異なる画像または文字を潜像として形成することができる。
(3)二つの画像または文字が重なる場合、重なる領域である重複領域4では、一方の画像または文字の第1潜像領域2を形成する第1潜像側凸部32と、他方の画像または文字の第2潜像領域3を形成する第2潜像側凸部33との双方とは、異なる方向或いは異なるピッチで第3潜像側凸部34を形成している。このため、第1潜像領域2のみが顕像化される場合と、第2潜像領域3のみが顕像化される場合と、第1潜像領域2および第2潜像領域3が顕像化される場合を明確にすることができる。
(4)本実施形態の曲面画像形成体10には、基材20の内周面20a全体に蒸着層60が設けられている。蒸着層60は、金属酸化物を含む無機酸化物を多層膜蒸着するか、金属を単層膜蒸着することによって形成されている。このため、基材20の表面に複雑な色味を付与することができ、基材20に形成された万線状凸部30での反射光や屈折光と相まって、曲面画像形成体10の加飾性を向上させることができる。
また、曲面画像形成体10を観察する際、横方向に視点を移動させていくと、色味が複雑に変化するため、加飾性に優れた曲面画像形成体10が得られる。
(5)曲面画像形成体10に蒸着層60が形成されていることにより、例えば、曲面画像形成体10の裏面側に濃色の部材を配置すると、基材20の表面に複雑な色味がより認識されやすくなる。曲面画像形成体10の加飾性をより向上させることができる。
(6)本実施形態の曲面画像形成体10の基材20が有色の透明樹脂で形成されている場合、基材20の色味を適宜選択することにより、曲面画像形成体10の加飾性を向上させることができる。
(7)各領域A~Gに形成された万線状凸部30は、隣り合う領域では端部同士が連設している。このため、認識される画像または文字の切り替えが明確となり、曲面画像形成体10の加飾性が向上する。
(8)各領域A~Gに形成された万線状凸部30の高さは、5~50μmとされている。このため、認識される画像または文字の切り替えが明確となり、曲面画像形成体10の加飾性が向上する。
(9)各領域A~Gに形成された万線状凸部30の傾斜角度は70゜以下とされている。このため、認識される画像または文字の切り替えが明確となり、曲面画像形成体10の加飾性が向上する。
上記実施形態は以下のように変更してもよく、また、以下の変更例を組み合わせて適用してもよい。
・ 上記実施形態では、万線状凸部30からなる凹凸模様を、R形状をなす基材20の内周面20aに形成したが、外周面20bに形成してもよい。また、内周面20aと外周面20bの両方に形成してもよい。この場合、内周面20aの凹凸模様と、外周面20bの凹凸模様とが同じものであっても異なるものであってもよい。
・ 上記実施形態では、基材20を無色または有色の透明樹脂で形成したが、着色された不透明樹脂で形成してもよい。基材20に着色する場合、従来公知の顔料を樹脂材料に添加すればよい。基材20を着色された不透明樹脂で形成する場合、万線状凸部30からなる凹凸模様は、基材20の表側となる外周面20bに形成する。
・ 上記実施形態では、基材20の内周面20aに蒸着層60が設けられているが、外周面20b側に蒸着層60が設けられていてもよく、内周面20aおよび外周面20bの両方に蒸着層60が設けられていてもよい。また、いずれの場合も、基材20上に接着剤層を介して蒸着層60が設けられていてもよい。接着剤層が存在することで、蒸着材料が付きにくい材質の基材20に対しても蒸着層60を良好に形成することができる。なお、接着剤層を介して蒸着層60を設ける場合は、万線状凸部30が形成されていない側の面に蒸着層60を設けることが好ましい。こうすると、万線状凸部30によって認識される画像または文字の切り替えが明確となり、曲面画像形成体10の加飾性が向上する。
・ 上記実施形態では、蒸着層60は基材20の内周面20a全面に設けられているが、これに限定されない。内周面20a、外周面20bの一部に設けられていてもよい。また、蒸着層60を省略してもよい。
・ 上記実施形態では、背景領域1を、横方向に延びる仮想上の線である基準線40に平行な帯状となって延びる区画に、領域Aと領域Bを並列して形成した。しかし、背景領域1を構成する領域は二つに限定されず、三つ以上であってもよい。例えば、背景領域1として、基準線40に平行な帯状の区画50の一つを領域Aとし、領域Aに隣接する区画50を領域Bとし、領域Bに隣接する区画50を領域Iとして、これら領域A、B、Iが順に並列して形成されることにより背景領域1を構成することができる。
・ 背景領域1は、一つの領域のみで構成されていてもよい。図6に示すように、背景領域1を、横方向に延びる仮想線である基準線40(図6では二点鎖線で示す。)に直交する方向に対して-20゜の角度で交差する方向に万線状凸部30(背景側凸部31)が延びる領域Aで構成し、潜像領域2である「Tの文字」を基準線40に直交する方向に対して+70゜の角度で交差する方向に万線状凸部30(第1背景側凸部32)が延びる領域Bで構成してもよい。
・ 上記実施形態では、第2潜像領域3は、背景領域1の領域Aと同じ区画50に領域Eを形成し、背景領域1の領域Bと同じ区画50には形成しない構成とした。しかし、図7に示すように、第2潜像領域3を、背景領域1の領域Bと同じ区画50に形成してもよい。例えば、背景領域1の領域Bと同じ区画50に、基準線40に直交する方向に対して-45゜の角度で交差する方向に延びる万線状凸部30(第2潜像側凸部33)が形成された領域Hを形成する。このように、第2潜像領域3を、背景領域1の領域A、Bの双方の区画50に設けることで、「山状の画像」をより際立たせることができる。
・ 上記実施形態では、第1潜像領域2は、背景領域1の領域Aと同じ区画50に領域Cを形成し、背景領域1の領域Bと同じ区画50に領域Bを形成する構成とした。しかし、これに限定されず、背景領域1の領域Aと同じ区画50に領域Cを形成するのみで、背景領域1の領域Bを同じ区画50には形成しない構成としてもよい。同様に、領域Cを形成せず、領域Dのみを形成する構成としてもよい。
・ 上記実施形態では、第1潜像側凸部32、第2潜像側凸部33、第3潜像側凸部34について、背景側凸部31と交差する方向に延びるように形成されているものである場合と、前記背景側凸部31と異なるピッチで形成されているものである場合のいずれかとして、反射された光の知覚の度合いを変えて顕像化するようにした。この構成に加えて、背景側凸部31、第1潜像側凸部32、第2潜像側凸部33、第3潜像側凸部34のそれぞれについて、表面粗さに変化をつけるようにしてもよい。この場合、微細彫刻加工版に形成された凸部の一方の側壁にマット処理を施したり、他方の側壁にグロス処理を施したりすることで、曲面画像形成体10に形成された各万線状凸部30の表面粗さを変えることができる。マット処理とは、表面を粗面化する処理であり、グロス処理とは、研磨材などを用いて表面を平滑に加工する処理であり、いずれの処理も特に方法は限定されない。これにより、画像または文字の見え方に変化を持たせ、画像または文字が抵抗なく切り替わり、また、画像または文字の境界部分を明確化させることができるため、曲面画像形成体10の加飾性が向上する。
・ 上記実施形態の曲面画像形成体10に形成された領域A~Hにおける万線状凸部30の延びる方向、万線状凸部30間のピッチは、これに限定されない。潜像側凸部32、33、34が、背景側凸部31と交差する方向に延びるように形成されているものであるか、背景側凸部31と異なるピッチで形成されているものであれば、各領域A~Hでの万線状凸部30の延びる方向、万線状凸部30間のピッチは適宜設定することができる。
・ 上記実施形態では、「Tの文字」と「山状の画像」がそれぞれ異なる角度から見た場合に顕像化されるようにしたが、同じ角度から見た場合に、画像または文字が顕像化されるようにしてもよい。この場合、同時に顕像化される画像または文字は、基準線40に対して同じ角度で交差する方向に延び、同じピッチで形成された潜像側凸部32、33、34で構成すればよい。
・ 上記実施形態では、「Tの文字」と「山状の画像」からなる潜像領域で説明したが、潜像領域を構成する画像または文字は適宜選択することができる。複数の文字で潜像領域を形成してもよく、複数の画像で潜像領域を形成してもよい。
・ 上記実施形態では、「Tの文字」の全体を領域C、D、F、Gで構成し、「山状の画像」の全体を領域E、F、Gで構成したが、これに限定されない。図8に示すように、例えば、「Tの文字」の輪郭部分のみ、つまり、潜像領域2の輪郭部分のみを背景領域1の背景側凸部31と交差するかピッチが異なる潜像側凸部32で構成して、「Tの文字」の内部は、背景領域1の背景側凸部31と同じ構成としてもよい。
・ 上記実施形態では、各領域A~Hは、それぞれ一種類の万線状凸部30で構成したが、一つの領域に複数の方向に延びる万線状凸部30を形成してもよい。例えば、図9に模式的に示すように、「Tの文字」と「Fの文字」が一部重複して重複領域4が形成されている場合、重複領域4を構成する領域K、Lの万線状凸部30(第3潜像側凸部34)を、異なる方向に延びる二~四種類の万線状凸部30が連設した状態のものとして形成してもよい。なお、図9では、二種類の万線状凸部30の場合について示している。この場合、重複領域4の領域Kの第3潜像側凸部34を、「Tの文字」の一部である第1潜像領域2の領域Iの第1潜像側凸部32と、「Fの文字」の一部である第2潜像領域3の領域Eの第2潜像側凸部33とを連設した状態のものとする。また、重複領域4の領域Lの第3潜像側凸部34を、「Tの文字」の一部である第1潜像領域2の領域Dの第1潜像側凸部32と、「Fの文字」の一部である第2潜像領域3の領域Gの第2潜像側凸部33とを連設した状態のものとする。こうすることで、重複領域4では、曲面画像形成体10を見る方向によって「Tの文字」と「Fの文字」とがチェンジするとともに、それぞれの文字がより明瞭となる、
以下、実施例1を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。
R形状を有する微細彫刻加工版の凹凸形状は、凸部と凹部との高低差が5μm、凹凸の間隔が5μm、ピッチが10μmとして形成した。この微細彫刻加工版を、R形状の曲面金型に追随するようにプレス加工することで、R形状を付与した。
メルトインデックス(MI)およびメルトフローレート(MFR)が12g/分以上であるポリカーボネート樹脂を用いて、R形状を有する微細彫刻加工版に射出成形して、曲面画像形成体を作製した。
実施例1にて作製した曲面画像形成体は、曲面においても潜像画像が視認でき、さらに加飾効果に優れていた。
1…背景領域、2…第1潜像領域(文字を構成する一部の潜像領域)、3…第2潜像領域(画像を構成する一部の潜像領域)、4…重複領域(画像と文字が重なる領域)、10…曲面画像形成体、20…基材、30…万線状凸部、31…背景側凸部、32…第1潜像側凸部(潜像側凸部)、33…第2潜像側凸部(潜像側凸部)、34…第3潜像側凸部(潜像側凸部)、40…基準線、60…蒸着層。

Claims (9)

  1. 樹脂製の板状の基材の少なくとも一方の表面に被転写面を有する曲面画像形成体であって、
    前記被転写面には、画像および文字から選ばれる少なくとも一つを含む潜像領域と、前記潜像領域を除いた背景領域と、が形成され、
    前記潜像領域および前記背景領域は、凹凸形状を有する規則的な複数の平行線によって形成され、
    横方向または縦方向のどちらかの方向を基準線とし、
    前記潜像領域に形成された前記複数の平行線は、前記背景領域に形成された前記複数の平行線と、ピッチおよび前記基準線に対する角度の少なくともいずれかが異なり、
    前記平行線を形成する凸部の側壁の傾斜角度は70゜以下であり、
    隣り合う前記凸部において対向する側壁の一方がグロス処理被転写面として形成され、他方が前記グロス処理被転写面より粗面化されたマット処理被転写面として形成されており、
    前記基材自体が全体に、R形状を帯びた曲面状に形成されており、
    前記基材の前記R形状の曲率中心線に沿った方向の一端縁側と他端縁側とは異なる曲率で形成されていることを特徴とする、潜像を有する曲面画像形成体。
  2. 前記潜像領域には、画像および文字が含まれており、
    前記画像と前記文字が重なる領域に形成される前記複数の平行線は、前記画像、前記文字および前記背景領域に形成された前記複数の平行線と、ピッチおよび前記基準線に対する角度の少なくともいずれかが異なることを特徴とする請求項1記載の潜像を有する曲面画像形成体。
  3. 前記複数の平行線は、ピッチおよび前記基準線に対する角度の少なくともいずれかが異なる少なくとも2種類のパターンが並列して形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の潜像を有する曲面画像形成体。
  4. 前記基材は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、透明アクリルーブタジエンースチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項1乃至3記載の潜像を有する曲面画像形成体。
  5. 前記基材の少なくとも一方の表面上に蒸着層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4記載の潜像を有する曲面画像形成体。
  6. 全体がR形状をなす曲面状に形成された樹脂製板状の基材の少なくとも一方の表面に被転写面を有する曲面画像形成体であって、
    前記被転写面は、凹凸模様が形成された潜像を有し、
    前記凹凸模様は、平行に延びる複数の背景側凸部を有する背景領域と、平行に延びる複数の潜像側凸部を有する潜像領域を有し、
    前記潜像領域は、画像および文字から選ばれる少なくとも一つを構成し、
    前記潜像側凸部と前記背景側凸部とは、延びる方向および凸部間のピッチの組み合わせが互いに異なり、
    前記潜像側凸部及び前記背景側凸部の側壁の傾斜角度は70゜以下であり、
    前記潜像側凸部及び前記背景側凸部では、一方の側壁がグロス処理被転写面として形成され、他方の側壁が前記グロス処理被転写面より粗面化されたマット処理被転写面として形成されており、
    前記基材の少なくとも一方の表面上に蒸着層が設けられており、
    前記基材の前記R形状の曲率中心線に沿った一端縁側と他端縁側とは異なる曲率で形成されていることを特徴とする潜像を有する曲面画像形成体。
  7. 前記蒸着層は、金属による単層膜蒸着層または金属酸化物による多層膜蒸着層である請求項6記載の潜像を有する曲面画像形成体。
  8. 前記基材は、着色樹脂で形成されている請求項6または7記載の潜像を有する曲面画像形成体。
  9. 請求項1乃至8記載の潜像を有する曲面画像形成体の製造方法であって、
    表面に凹凸模様が形成されたR形状を有する微細彫刻加工版を形成する版加工工程と、
    金型のキャビティ内に前記微細彫刻加工版を配置して、前記基材となる樹脂を前記キャビティ内の微細彫刻加工版に射出成形することより、前記被転写面を有する曲面画像形成体を形成する射出工程とを備えていることを特徴とする潜像を有する曲面画像形成体の製造方法。
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