本発明は、建設機械のフロント作業機において作業用のアタッチメントをアームに対して着脱させるためのアタッチメント着脱装置に関し、可動側のフックを動作させるための構成等を工夫することにより、安全性の向上を図ろうとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、本発明に係る建設機械として、旋回作業車である掘削作業機を例にとって説明する。ただし、本発明に係る建設機械は、掘削作業機に限らず、例えば、クレーン作業機やホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用可能である。
まず、本実施形態に係る掘削作業機1の全体構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、掘削作業機1は、自走可能な走行車体としての走行装置2と、走行装置2に取り付けられた作業部としての掘削装置3および排土装置4とを備える。
走行装置2は、掘削作業機1の本機をなす部分であり、左右一対のクローラ式の走行部5,5と、左右の走行部5,5間に介設された基台としての機体フレーム6と、機体フレーム6上に設けられた旋回台7とを有する。旋回台7は、平面視略円形状に構成され、機体フレーム6に設けられた旋回支持部6aにより、上下方向の軸線回りに左右いずれの方向にも旋回可能に設けられている。
旋回台7上には、運転部8が設けられている。また、旋回台7上の後半部には、エンジン等をボンネット等により被覆した原動機部9が設けられている。
運転部8は、走行装置2、掘削装置3、および排土装置4を運転・操作するためのものであり、旋回台7上に設けられたキャビン10内に設けられている。キャビン10は、その外形をなすフレームと、ガラス等の透明部材によって構成された複数の窓部とを有し、全体として略箱状に構成されている。
運転部8においては、床部上に運転席支持台が設けられており、運転席支持台上に運転席8aが設けられている。運転部8には、例えば、床部から上方へ向けて延出した左右一対の走行レバーや、床部上に配設された作業用の操作ペダル等が設けられている。また、運転部8において、運転席8aの周囲には、作業部(掘削装置3または排土装置4)を操作するための作業操作レバーや、スイッチ等の各種操作部を有する操作パネル部等が設けられている。
旋回台7の前端の左右中央部には、掘削装置3の基端部が取り付けられている。また、機体フレーム6の前側には、排土装置4が取り付けられている。排土装置4は、左右の走行部5,5間において前後方向に伸延する支持フレーム4aと、支持フレーム4aの先端側に設けられた排土板としてのブレード4bとを有する。排土装置4は、支持フレーム4aと機体フレーム6との間に設けられたシリンダ機構によって昇降回動可能に設けられている。
以上のような構成を備えた掘削作業機1においては、運転席8aに着座したオペレータにより走行レバーや作業操作レバー等が適宜操作されることで、所望の動作・作業が行われる。具体的には、例えば、走行レバーの操作により、走行装置2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。また、作業操作レバーの操作により、掘削装置3による掘削作業、あるいは排土装置4による排土作業や整地作業が行われる。
図1から図3を用いて、掘削装置3について説明する。掘削装置3は、走行装置2の前側に設けられたフロント作業装置である。旋回台7の前端の左右中央部には、支持ブラケット15が前方に向けて突設されており、支持ブラケット15に、掘削装置3の基端部が取り付けられている。掘削装置3は、その基端部を構成する部材として、ブーム支持ブラケット16を有する。掘削装置3は、ブーム支持ブラケット16を、本機側の支持ブラケット15に対して、上下方向を回動軸方向として回動可能に支持させている。
掘削装置3は、ブーム支持ブラケット16の右側に配置されたスイングシリンダ(図示せず)により、旋回台7に対して左右にスイングするように設けられている。スイングシリンダは、ブーム支持ブラケット16と旋回台7との間に設けられている。
掘削装置3は、その基部側の部分を構成するブーム17と、ブーム17の先端側に連結されたアーム18と、アーム18の先端部に取り付けられたバケット20とを有する。掘削装置3は、ブーム17を回動動作させるブームシリンダ21と、アーム18を回動動作させるアームシリンダ22と、バケット20を回動動作させる作業具シリンダ23とを有する。
ブーム17は、側面視でブーメラン状に屈曲した形状を有する。ブーム17の基端部が、ブーム支持ブラケット16に対して、左右方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。ブームシリンダ21は、起立状態にあるブーム17の前側に配置され、ブーム支持ブラケット16と、ブーム17の屈曲部の内側に突設されたブラケット17aとの間に架設されている。ブームシリンダ21が伸縮することにより、ブーム17がブーム支持ブラケット16に対して回動動作する。
ブーム17の先端部に、アーム18の基端部が、左右方向を回動軸方向として回動可能に連結されている。アームシリンダ22は、起立状態にあるブーム17の上側(背側)に配置され、ブーム17の屈曲部の外側に突設されたブラケット17bと、アーム18の後端部に突設された後ブラケット18aの後側の端部との間に架設されている。アームシリンダ22が伸縮することにより、アーム18がブーム17に対して回動動作する。
バケット20は、アーム18の先端部に対して、アタッチメント着脱装置30を介して連結されている。つまり、アタッチメント着脱装置30は、アーム18の先端部に連結されるとともに、バケット20に対して着脱可能に連結されている。
作業具シリンダ23は、ブーム17の上端から垂下した状態にあるアーム18の前側(背側)に配置されている。作業具シリンダ23は、シリンダ23aと、一端側にピストンを有しシリンダ23a内にピストンを介して摺動可能に設けられたシリンダロッド23bとを有する。作業具シリンダ23は、一側の端部であるボトム側(シリンダ23a側)の端部を、前ブラケット18bに左右方向を回動軸方向として回動可能に支持させている。前ブラケット18bは、アーム18の後端部において後ブラケット18aの前側に突設されている。
一方、作業具シリンダ23の他側の端部であるロッド側(シリンダロッド23b側)の端部は、第1リンク26を介して、アタッチメント着脱装置30に連結されている。また、作業具シリンダ23のロッド側の端部は、第2リンク27を介して、アーム18の先端部近傍の部位に対して支持されている。
第2リンク27は、左右一対のリンクアーム27aと、一対のリンクアーム27aの一端部間に架設された基部側支持軸27bと、一対のリンクアーム27aの他端部間に架設された先端側支持軸27cとを有する。第2リンク27は、基部側支持軸27bにより、アーム18に対して回動可能に支持されている。
リンクアーム27aは、左右方向を板厚方向とするアーム状(長手状)の板状部材により構成されている。一対のリンクアーム27aは、一端側を、アーム18の左右の側面部18cの左右外側に位置させ、アーム18の先端部近傍を左右方向に貫通する基部側支持軸27bにより、アーム18に対して回動可能に支持されている。
先端側支持軸27cには、作業具シリンダ23のシリンダロッド23bの先端部が回動可能に支持されている。シリンダロッド23bの先端部には、先端側支持軸27cを貫通させるボス部23cが設けられている。また、先端側支持軸27cには、第1リンク26の一端側(後端側)が回動可能に支持されている。第1リンク26の一端部は左右に分岐しており、左右それぞれの端部に、先端側支持軸27cを貫通させるボス部26aが設けられている。先端側支持軸27c上においては、第1リンク26の左右のボス部26aの間に、シリンダロッド23bのボス部23cが位置している。
第1リンク26の他端側(前端側)は、アタッチメント着脱装置30の所定の部位に左右方向を軸方向として設けられた第1支持軸であるリンク支持軸28により、アタッチメント着脱装置30に対して回動可能に連結されている。アーム18の先端部は、アタッチメント着脱装置30におけるリンク支持軸28の配設部位とは異なる部位に左右方向を軸方向として設けられた第2支持軸であるアーム支持軸29により、アタッチメント着脱装置30に対して回動可能に連結されている。
このような構成において、作業具シリンダ23の伸縮動作により、第1リンク26および第2リンク27の回動動作をともなって、アタッチメント着脱装置30が、アーム支持軸29を回動軸として回動する。これにともない、バケット20がアタッチメント着脱装置30と一体的に回動する。
以上のような構成を備えた掘削装置3において、バケット20は、作業用のアタッチメントとしてアーム18に対してアタッチメント着脱装置30により着脱可能に装着されている。そして、掘削作業機1による作業内容に応じて、作業用のアタッチメントとして、バケット20に替えてグラップルやブレーカ等の他の装置が装着される。このように、掘削装置3は、アタッチメント着脱装置30により作業用のアタッチメントを着脱可能に支持するアーム18を含み、アーム18は、その先端部に設けられたアタッチメント着脱装置30を介して、作業内容に応じたアタッチメントの装着を受ける。
アタッチメント着脱装置30の構成について、図2から図12を用いて説明する。なお、以下の説明では、アタッチメント着脱装置30において、図4における左方および右方をそれぞれ前方および後方とし、図4における上方および下方をそれぞれ上方および下方とする。
アタッチメント着脱装置30は、掘削作業機1のバケット20を掘削装置3のアーム18に対して着脱させる装置である。アタッチメント着脱装置30は、本体フレーム31と、第1フックとしての可動フック33と、第2フックとしての固定フック34とを備える。アタッチメント着脱装置30は、全体として略左右対称に構成されている。
アタッチメント着脱装置30は、図3に示すように、可動フック33および固定フック34を、それぞれバケット20が有する第1の被係合部である前支持ピン35および第2の被係合部である後支持ピン36に係合させることで、バケット20に連結される。
前支持ピン35および後支持ピン36は、左右方向を軸方向とする直線棒状の部材であり、それぞれバケット20の背面部20aに左右方向に所定の間隔を隔てて突設された左右一対の支持リブ部37間に架設されている。支持リブ部37は、左右方向を板厚方向とする板状の突片部分である。
左右の支持リブ部37は、前支持ピン35および後支持ピン36を所定の間隔をあけた位置に支持している。左右の支持リブ部37は、前支持ピン35および後支持ピン36の両端部を貫通させ、これらの支持ピンを固定状態で支持している。左右の支持リブ部37は、バケット20の背面部20aの基部側(図2において上側)の部分に設けられている。なお、バケット20の背面部20aの先端部には、左右方向に所定の間隔を隔てて複数の爪部20bが設けられている(図2参照)。
本体フレーム31は、アタッチメント着脱装置30において、掘削装置3のアーム18に連結されるフレーム部分である。本体フレーム31は、左右一対の本体フレーム体41を有する。本体フレーム体41は、その基部をなす本体板部41aと、本体フレーム体41の左右内側に設けられた内側突出部41bとを有する。
本体板部41aは、左右方向を板厚方向とする板状の部分であり、側面視において、上辺部を凹状とした略逆台形状の外形を有するとともに後側から前側にかけて先細りの形状を有する。内側突出部41bは、本体フレーム体41の左右内側の面から略一定の突出寸法で突出するように設けられている。内側突出部41bは、前後方向を長手方向とするとともに、本体板部41aの後下部の辺部に沿うように設けられている。本体板部41aおよび内側突出部41bは、一体の本体フレーム体41を構成している。
主に左右一対の本体フレーム体41により構成された本体フレーム31は、アーム支持軸29により、アーム18に対して回動可能に支持されている。アーム支持軸29は、アーム18の先端部において、アーム18を左右方向に貫通した状態で回動可能に支持されている。アーム支持軸29は、左右の端部を、アーム18の先端部において左右両側に突出させている。
本体フレーム体41の後上部には、アーム支持軸29の左右の端部の挿入を受けてこれを支持する後軸支持孔部41cが形成されている。左右の本体フレーム体41は、アーム支持軸29に相対回転不能に連結されており、アーム18に対して、アーム支持軸29と一体的に回動する。右側の本体フレーム体41においては、後軸支持孔部41cに対して左右外側に円筒状のボス部41dが設けられており、ボス部41dおよびアーム支持軸29を径方向に貫通する連結ボルト42およびナット42a等により、本体フレーム体41とアーム支持軸29が連結されている。
また、本体フレーム31は、リンク支持軸28により、第1リンク26に対して回動可能に支持されている。図3に示すように、リンク支持軸28は、第1リンク26の他端部に設けられたボス部26bを左右方向に貫通した状態で回動可能に支持されている。リンク支持軸28は、左右の端部を、第1リンク26の他端部において左右両側に突出させている。
本体フレーム体41の前上部には、リンク支持軸28の左右の端部の挿入を受けてこれを支持する前軸支持孔部41eが形成されている。左右の本体フレーム体41は、リンク支持軸28に相対回転不能に連結されており、第1リンク26に対して、リンク支持軸28と一体的に回動する。右側の本体フレーム体41においては、前軸支持孔部41eに対して左右外側に円筒状のボス部41fが設けられており、ボス部41fおよびリンク支持軸28を径方向に貫通する連結ボルト43およびナット43a等により、本体フレーム体41とリンク支持軸28が連結されている。
可動フック33は、本体フレーム31に回動可能に設けられ、バケット20が有する前支持ピン35に係合する部分である。可動フック33は、左右一対の取付フレーム部45と、各取付フレーム部45に対して設けられたフック部46と、左右のフック部46間に架設されたフック支持軸47とを有する。
取付フレーム部45は、左右方向を板厚方向とする板状の部分であり、側面視において、略三角形状の外形を有するとともに下側から上側にかけて先細りの形状を有する。取付フレーム部45は、本体フレーム体41の左右内側に位置しており、側面視において、円周形状に沿う上端部を、本体板部41aの前側の前軸支持孔部41eの形成部位に重ねている。
フック部46は、取付フレーム部45の左右内側において、左右方向について所定の厚さを有する部分として設けられている。フック部46は、取付フレーム部45およびフック部46のそれぞれをなす部材同士を溶接等によって固定することで、取付フレーム部45と一体に設けられている。フック部46は、側面視で略矩形状をなすアーム部46aと、アーム部46aの一端側(後端側)から側面視でアーム部46aとともにフック形状をなすように湾曲状に延出した係止部46bとを有する。
フック部46においては、アーム部46aの後端部および係止部46bにより、側面視で前側を開放側とした凹形状をなす係合面46cが形成されている。フック部46において、係合面46cは、バケット20の前支持ピン35の接触を受ける部分となる。フック部46は、側面視において、取付フレーム部45に対して、アーム部46aの前上部を重ねている。
フック支持軸47は、左右方向を軸方向とする円柱状の部材により構成されており、両端部を、左右のフック部46に挿入させている。このため、フック部46のアーム部46aの前上部には、フック支持軸47の挿入を受ける軸支孔部46dが形成されている。軸支孔部46dは、フック部46において、側面視で取付フレーム部45に重なる部位に形成されている。
フック支持軸47は、フック支持軸47の径方向に沿って螺挿されるボルト47a等によってフック部46に固定されることで、フック部46に対して相対回転不能に支持されている。すなわち、左右一対の取付フレーム部45およびフック部46、ならびにフック支持軸47は、一体的な回動体としての可動フック33を構成している。
また、可動フック33において、左右の取付フレーム部45の前縁部間には、略矩形板状の架設板48が溶接等によって各取付フレーム部45に固定された状態で架設されている(図3参照)。また、左右のフック部46間には、フック部46と一体の部分として、左右のフック部46同士を繋ぐ部分であるフック連結部49が架設されている。フック連結部49は、前側において、側面視でのフック部51の係合面51cの湾曲形状に沿った湾曲面部49aを有する。フック連結部49は、側面視でフック部46の外形の範囲に収まるように設けられている。
可動フック33は、リンク支持軸28により、本体フレーム31に対して回動可能に支持されている。このため、可動フック33は、取付フレーム部45の上端部において、リンク支持軸28を貫通させるための軸支孔33aを有する。このように、可動フック33は、本体フレーム31の左右の本体フレーム体41の前部間において、本体フレーム31に対して固定状態で設けられたリンク支持軸28により、左右方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。
固定フック34は、本体フレーム31に設けられ、バケット20が有する後支持ピン36に係合する部分である。固定フック34は、本体フレーム31に対して固定状態で設けられており、本体フレーム31および本体フレーム31に固定状態で設けられたアーム支持軸29とともに、アーム18に対して回動する一体的な回動体を構成している。固定フック34は、左右一対のフック部51と、左右のフック部51間に設けられた架設部52とを有する。
フック部51は、本体フレーム体41の内側突出部41bの左右内側において、左右方向について所定の厚さを有する部分として設けられている。フック部51は、内側突出部41bおよびフック部51のそれぞれをなす部材同士を溶接等によって固定することで、内側突出部41b(本体フレーム体41)と一体に設けられている。
フック部51は、可動フック33のフック部46に対して側面視で前後方向に略対称的な形状を有する。フック部51は、側面視で略矩形状をなすアーム部51aと、アーム部51aの一端側(前端側)から側面視でアーム部51aとともにフック形状をなすように湾曲状に延出した係止部51bとを有する。
フック部51においては、アーム部51aの前端部および係止部51bにより、側面視で後側を開放側とした凹形状をなす係合面51cが形成されている。フック部51において、係合面51cは、バケット20の後支持ピン36の接触を受ける部分となる。フック部51は、側面視において、内側突出部41bに対して、アーム部51aの上縁部を重ねている。
架設部52は、左右のフック部51同士を繋ぐ部分である。架設部52は、後側において、側面視でのフック部51の係合面51cの湾曲形状に沿った湾曲面部52aを有する。架設部52は、側面視でフック部51の外形の範囲に収まるように設けられている。
また、アタッチメント着脱装置30は、第1アクチュエータとしての第1油圧シリンダ55と、抜止め部材(第1抜止め部材)としての前ロック部材56と、第2アクチュエータとしての第2油圧シリンダ57とを備える。
第1油圧シリンダ55は、本体フレーム31に対して可動フック33を回動させるアクチュエータである。第1油圧シリンダ55は、伸縮動作することで可動フック33をリンク支持軸28の軸回りに前後に回動させる。
第1油圧シリンダ55は、アタッチメント着脱装置30において、左右方向の中央部に、平面視で伸縮方向を前後方向とする向きで設けられている。第1油圧シリンダ55は、シリンダチューブ61と、シリンダチューブ61に対して摺動可能に設けられたピストンロッド62とを有し、シリンダチューブ61に対するピストンロッド62の摺動動作によって伸縮する。シリンダチューブ61内に位置するピストンロッド62の一端側には、シリンダチューブ61内を摺動するピストン63が設けられている(図11参照)。
図11に示すように、シリンダチューブ61の内部空間は、ピストン63により、シリンダチューブ61側(ボトム側)の空間であるボトム側室61aと、ピストンロッド62側(ロッド側)の空間であるロッド側室61bとに区画されている。第1油圧シリンダ55は、ボトム側室61aおよびロッド側室61bのそれぞれに対する圧油の給排によりシリンダチューブ61に対してピストンロッド62を移動させることで伸縮する。
具体的には、図11に示すように、第1油圧シリンダ55に対しては、ホース等により構成されたボトム側油圧配管65の一端側が、ボトム側室61aに連通するように接続されている。ボトム側油圧配管65の他端側は、流路を切り換えるための電磁切換弁67のボトム側シリンダポート(A)に接続されている。ボトム側油圧配管65には、チェック弁65aが設けられている。
また、第1油圧シリンダ55に対しては、ホース等により構成されたロッド側油圧配管66の一端側が、ロッド側室61bに連通するように接続されている。ロッド側油圧配管66の他端側は、電磁切換弁67のロッド側シリンダポート(B)に接続されている。なお、シリンダチューブ61の上側には、ボトム側油圧配管65およびロッド側油圧配管66の接続を受ける接続ブロック61cが設けられている(図10等参照)。
電磁切換弁67の供給ポート(P)には、供給用配管68の一端側が接続されている。供給用配管68の他端側は、走行装置2側に設けられた油タンク69に臨んで開口している。供給用配管68には、油圧ポンプ64が設けられており、油圧ポンプ64の動作により、油タンク69内の作動油が電磁切換弁67を介して第1油圧シリンダ55に供給される。また、電磁切換弁67の排出ポート(T)には、油タンク69への戻り配管である排出用配管70の一端側が接続されている。排出用配管70の他端側は、油タンク69に臨んで開口している。
第1油圧シリンダ55の支持構成について説明する。第1油圧シリンダ55は、ピストンロッド62側を前側に向けた状態で設けられており、ピストンロッド62側を、可動フック33に支持させるとともに、シリンダチューブ61側を、本体フレーム31に支持させている。つまり、第1油圧シリンダ55により、可動フック33と本体フレーム31とが互いに連結されている。
第1油圧シリンダ55の前側は、フック支持軸47に対して回動可能に支持されている。ピストンロッド62の先端部には、フック支持軸47を貫通させる孔部を有する略円筒状のボス部62aが設けられている。ボス部62aは、フック支持軸47の軸方向の中央部に位置し、フック支持軸47に対して相対回動可能に支持されている。
一方、第1油圧シリンダ55の後側は、シリンダチューブ61の後部から左右両側に突出したシリンダ支持軸71により、本体フレーム31に対して左右方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。左右のシリンダ支持軸71は、それぞれ左右の内側突出部41bの前部に設けられた支持孔41gに挿嵌された状態で支持されている。
シリンダ支持軸71は、シリンダ支持軸71の径方向に沿って螺挿されるボルト71a等によって内側突出部41bに固定されることで、本体フレーム体41に対して相対回転不能に支持されている。シリンダ支持軸71に対し、シリンダチューブ61が相対回転可能に支持されている。
以上のような第1油圧シリンダ55の支持構成によれば、第1油圧シリンダ55が伸縮することで、シリンダ支持軸71による第1油圧シリンダ55の回動をともない、シリンダチューブ61に対して移動するピストンロッド62と一体的に、フック支持軸47が移動する(図5、矢印A1参照)。これにより、フック支持軸47を含む可動フック33が、本体フレーム31に対してリンク支持軸28の軸回りに回動する(図5、矢印A2参照)。
前ロック部材56は、可動フック33に回動可能に設けられ、可動フック33の係合を受けた前支持ピン35の可動フック33からの離脱を規制する部材である。前ロック部材56は、可動フック33を構成するフック支持軸47に対して回動可能に支持されている。前ロック部材56は、左右一対のロック板部73と、左右のロック板部73同士を連結する架設板部74とを有する。
ロック板部73は、フック支持軸47に支持される部分である略円板形状の基部73aから所定の方向に向けてロック片部73bを突出させた形状を有する。ロック片部73bは、側面視において略円板形状の基部73aに対して略接線方向に沿う向きに突出しており、先端側を略矩形状の部分としている。
ロック板部73において、ロック片部73bは、基部73aの下部から後側に向けて突出している。基部73aからのロック片部73bの突出方向は、側面視において、フック部46の係合面46c側を向く方向となる。
ロック板部73は、基部73aにおいて、フック支持軸47を貫通させる孔部73cを有する。左右のロック板部73は、フック支持軸47上において、第1油圧シリンダ55のピストンロッド62のボス部62aに対して左右両側に隣接した位置に設けられている。本実施形態では、左右のロック板部73のうち、右側のロック板部73Rの板厚が、左側のロック板部73の板厚よりも厚くなっている。
架設板部74は、矩形板状の部分であり、左右のロック板部73のロック片部73b側の部分間において、各ロック板部73に溶接等によって固定された状態で架設されている(図9参照)。左右のロック板部73および架設板部74により、前ロック部材56が、フック支持軸47に対して回動する一体的な回動体として構成されている。
前ロック部材56は、フック支持軸47回りの回動動作について、側面視で左右のロック板部73のロック片部73bを可動フック33のアーム部46aから下側に突出させた回動位置を、可動フック33に係合した前支持ピン35の可動フック33からの離脱を規制するロック位置とする(図13C参照)。すなわち、前ロック部材56は、図5等に示すように側面視においてアーム部46aの外形の範囲内に隠れた非ロック位置から、ロック位置までの範囲で回動動作する。前ロック部材56は、図5に示す左側面視で右回り(時計方向)に回動することで、非ロック位置からロック位置となる。
第2油圧シリンダ57は、可動フック33に設けられるとともに前ロック部材56に連結され、前ロック部材56を回動させるアクチュエータである。第2油圧シリンダ57は、伸縮動作することで、前ロック部材56をフック支持軸47の軸回りに回動させる。
第2油圧シリンダ57は、第1油圧シリンダ55に比して小さい油圧シリンダであり、平面視で伸縮方向を前後方向とする向きで設けられている。第2油圧シリンダ57は、シリンダチューブ76と、シリンダチューブ76に対して摺動可能に設けられたピストンロッド77とを有し、シリンダチューブ76に対するピストンロッド77の摺動動作によって伸縮する。シリンダチューブ76内に位置するピストンロッド77の一端側には、シリンダチューブ76内を摺動するピストン78が設けられている(図11参照)。
図11に示すように、シリンダチューブ76の内部空間は、ピストン78により、シリンダチューブ76側(ボトム側)の空間であるボトム側室76aと、ピストンロッド77側(ロッド側)の空間であるロッド側室76bとに区画されている。ロッド側室76b内には、付勢部材(第1付勢部材)としてのシリンダ内ばね79が設けられている。
シリンダ内ばね79は、コイルばねであり、ロッド側室76b内において、ピストンロッド77を貫通させた状態で、伸縮方向を第2油圧シリンダ57の伸縮方向とする向きで設けられている。シリンダ内ばね79は、弾性力により、ピストン78を介して、ピストンロッド77をボトム側に(引き込む方向に)押圧付勢している。
図11に示すように、第2油圧シリンダ57に対しては、ロッド側油圧配管66から分岐した分岐配管80の一端側が、ボトム側室76aに連通するように接続されている。シリンダチューブ76には、分岐配管80の接続を受ける接続ポート76cが突設されている。分岐配管80は、ホース等により構成されており、他端側をロッド側油圧配管66に連通接続させている。
このように、第2油圧シリンダ57は、シリンダ内ばね79の弾性力によりピストンロッド77を引き込むばね付きの単動シリンダとして構成されている。すなわち、第2油圧シリンダ57は、分岐配管80によりボトム側室76aに供給される油圧が所定値を上回ると、シリンダ内ばね79による付勢力に抗してピストンロッド77をシリンダチューブ76から突出させて伸長する。一方、ボトム側室76a内の油圧が所定値以下になると、第2油圧シリンダ57は、シリンダ内ばね79の付勢力によってピストンロッド77をシリンダチューブ76内に引き込んで短縮する。
第2油圧シリンダ57の支持構成について説明する。第2油圧シリンダ57は、ピストンロッド77側を前側に向けた状態で設けられており、ピストンロッド77側を、前ロック部材56に支持させるとともに、シリンダチューブ76側を、可動フック33に支持させている。
第2油圧シリンダ57の前側は、前ロック部材56を構成する右側のロック板部73Rに対して、左右方向を軸方向とするピストンロッド支持軸81により回動可能に支持されている。ピストンロッド支持軸81は、ロック板部73Rにおいて基部73aから上側に向けて突設された軸支突部73dに支持されている。ピストンロッド77の先端部には、ピストンロッド支持軸81を貫通させる孔部を有する円筒状のボス部77aが設けられている。
一方、第2油圧シリンダ57の後側は、シリンダチューブ76の後端部において、左右方向を軸方向とするシリンダチューブ支持軸82により、可動フック33を構成する左右の取付フレーム部45のうち、右側の取付フレーム部45Rの後部に対して回動可能に支持されている。シリンダチューブ支持軸82は、取付フレーム部45Rから左方に突出し、シリンダチューブ76の後端部を貫通した状態で、第2油圧シリンダ57を支持している。
以上のような第2油圧シリンダ57の支持構成によれば、第2油圧シリンダ57が伸縮することで、軸支突部73dが押し引きされる(図5、矢印B1参照)。これにより、前ロック部材56がフック支持軸47の軸回りに回動する(図5、矢印B2参照)。
以上のように、第2油圧シリンダ57は、動力としての油圧の供給を受けることで動作して前ロック部材56を前支持ピン35の可動フック33からの離脱を規制する位置(ロック位置)となる向きと反対方向に回動させる可動部として、ピストン78を含むピストンロッド77を有する。すなわち、第2油圧シリンダ57は、分岐配管80により油圧の供給を受けることで伸長し、ロック位置にある前ロック部材56を非ロック位置に移動させる。また、第2油圧シリンダ57は、分岐配管80によりボトム側室76aに供給される油圧により、前ロック部材56を非ロック位置に保持する。
そして、第2油圧シリンダ57は、ピストンロッド77を、前ロック部材56をロック位置となる回動方向に付勢するシリンダ内ばね79を有する。すなわち、第2油圧シリンダ57は、シリンダ内ばね79の付勢力によってピストンロッド77を引き込んで短縮し、非ロック位置にある前ロック部材56をロック位置に移動させる。また、第2油圧シリンダ57は、シリンダ内ばね79の付勢力により、前ロック部材56をロック位置に保持する。ここで、前ロック部材56の回動方向について、ロック位置となる向きは、左側面視で右回りの方向である。
第2油圧シリンダ57の配置について説明する。アタッチメント着脱装置30において、本体フレーム31は、左右一対の壁部として、左右の本体フレーム体41を有する。また、第1油圧シリンダ55は、左右の本体フレーム体41間に設けられている。本実施形態では、第1油圧シリンダ55は、左右方向について、左右の本体フレーム体41の中央部に配置されている。
このような構成において、第2油圧シリンダ57は、左右の本体フレーム体41のうち一方の本体フレーム体41と、第1油圧シリンダ55との間に配置されている。本実施形態では、第2油圧シリンダ57は、左右方向について、左右一対の本体フレーム体41のうちの右側の本体フレーム体41Rと、第1油圧シリンダ55との間に配置されている。
詳細には、第2油圧シリンダ57は、本体フレーム体41Rの左右内側(左側)に設けられた右側の取付フレーム部45Rと、第1油圧シリンダ55との間に設けられている。また、左右方向について、第2油圧シリンダ57は、右側の本体フレーム体41Rの内側突出部41bよりも左右内側(左側)に位置している(図8参照)。
また、アタッチメント着脱装置30は、その後側において、第2抜止め部材としての後ロック部材85と、第2付勢部材としてのロックばね86と、回動操作部材である回動アーム体87とを備える。
後ロック部材85は、本体フレーム31に回動可能に設けられ、固定フック34の係合を受けた後支持ピン36の固定フック34からの離脱を規制する部材である。後ロック部材85は、本体フレーム31において左右のフック部51間に左右方向を軸方向として架設された後支持軸91により、本体フレーム31に対して回動可能に支持されている。
後支持軸91は、両端部をフック部51に対して所定の位置で支持させている。このため、フック部51には、後支持軸91の両端部を支持する支持孔部51dが形成されている。後ロック部材85は、左右一対のロック爪部92と、左右のロック爪部92同士を連結する連結軸部93とを有する。
ロック爪部92は、左右方向について所定の寸法を有する部分であり、後支持軸91に支持される部分である略円筒形状の支持部92aと、支持部92aの前側に設けられたロック片部92bとを有する。
ロック爪部92において、ロック片部92bは、側面視で、支持部92aから前下側に突出しており、下側に向けて鋭角状に突出した先細りの形状を有する。ロック爪部92の下側への突出方向は、側面視において、フック部51の係合面51c側を向く方向となる。
ロック爪部92は、支持部92aにおいて、後支持軸91を貫通させる孔部92cを有する。左右のロック爪部92は、後支持軸91上において、左右両端側に位置し、それぞれ左右のフック部51の左右内側に隣接した位置に設けられている。
連結軸部93は、後支持軸91を貫通させる円筒状の部分であり、左右のロック爪部92の支持部92a間において、各ロック爪部92に溶接等によって固定された状態で架設されている。左右のロック爪部92および連結軸部93により、後ロック部材85が、後支持軸91に対して回動する一体的な回動体として構成されている。
後ロック部材85は、後支持軸91回りの回動動作について、側面視で左右のロック爪部92のロック片部92bを固定フック34のアーム部51aから下側に突出させた回動位置を、固定フック34に係合した後支持ピン36の固定フック34からの離脱を規制するロック位置とする(図13B参照)。すなわち、後ロック部材85は、図5等に示すように側面視においてアーム部51aの外形の範囲内に隠れた非ロック位置から、ロック位置までの範囲で回動動作する。後ロック部材85は、図5に示す左側面視で左回り(反時計方向)に回動することで、非ロック位置からロック位置となる。
ロックばね86は、後ロック部材85を、固定フック34からの後支持ピン36の離脱を規制する位置(ロック位置)となる回動方向に付勢する付勢部材である。つまり、ロックばね86は、後ロック部材85の後支持軸91回りの回動動作について、後ロック部材85を、非ロック位置からロック位置となる回動方向に付勢している。言い換えると、ロックばね86は、後ロック部材85を左側面視で左回りの回動方向に付勢している。
ロックばね86は、いわゆるトーションバネであり、コイル状の部分の両端側に延出部86a,86bを有する。ロックばね86は、コイル状の部分に後支持軸91を貫通させた状態で、後ロック部材85の左右のロック爪部92の左右外側に設けられている。すなわち、後支持軸91上において2つのロックばね86が左右両側に設けられており、一方のロックばね86は、左側のロック爪部92と左側のフック部51との間に設けられており、他方のロックばね86は、右側のロック爪部92と右側のフック部51との間に設けられている。左右のロックばね86は、左右対称的な態様で設けられている。
ロックばね86は、コイル状の部分の全体を、後支持軸91の左右端部を支持するフック部51の支持孔部51dに対して左右内側に拡径状の孔部として形成された開口部51e内に位置させている。ロックばね86は、コイル状の部分の左右外側に位置する一方の延出部86aを、固定フック34のフック部51に係止させ、コイル状の部分の左右内側に位置する他方の延出部86bを、ロック爪部92に係止させている。
一方の延出部86aは、先端部を左右外方に向けて屈曲させ、フック部51においてアーム部51aの左右内側の壁面に開口した係止孔51fに挿入させることで、固定フック34に係止されている。他方の延出部86bは、先端部を左右内方に向けて屈曲させ、ロック爪部92の左右外側の壁面に開口した係止孔92fに挿入させることで、後ロック部材85に係止されている。
ロックばね86は、延出部86a,86b同士を離間させる方向の付勢力により、ロック爪部92のロック片部92bを下側に押し下げる力を作用させる。これにより、後ロック部材85が、固定フック34に対して後支持軸91の軸回りに非ロック位置からロック位置となる回動方向に付勢される。
回動アーム体87は、アタッチメント着脱装置30において、右側の後部に設けられている。回動アーム体87は、第1油圧シリンダ55のシリンダチューブ61の後端部を支持する左右のシリンダ支持軸71のうち、右側のシリンダ支持軸71Rに対して回動可能に支持されることで、左右方向を回動軸方向として、本体フレーム31側に回動可能に設けられている。
回動アーム体87は、リンク支持軸28の軸回りに後側に回動する可動フック33の押圧作用を受けて回動することで、後ロック部材85をロック位置となる向きと反対方向に回動させる。ここで、可動フック33の回動方向について、回動アーム体87が可動フック33からの押圧作用を受けるときの後側への回動方向は、可動フック33が前支持ピン35に対する係合を解除させる方向である。また、後ロック部材85の回動方向について、ロック位置となる向きと反対方向は、ロック位置から非ロック位置となる回動方向であり、左側面視で右回りの方向である。
回動アーム体87は、シリンダ支持軸71Rに対する支持部分となる支持基部101と、支持基部101から延出された部分であって可動フック33の当接を受ける被当接部である操作突片部102と、後ロック部材85と係合する部分であるアーム部103とを有する。回動アーム体87は、支持基部101、操作突片部102、およびアーム部103により、シリンダ支持軸71Rに対して回動する一体的な回動体として構成されている。
支持基部101は、左右方向を板厚方向とするとともに、側面視で円形に沿う略円板状の部分である。支持基部101は、その中央部にシリンダ支持軸71Rを貫通させ、シリンダ支持軸71Rに回動アーム体87を支持させている。
操作突片部102は、支持基部101の前下側の部分から下方に向けて垂下状に設けられたアーム状の部分である。操作突片部102は、先端部に、後側に回動する可動フック33の当接を受ける突起部102aを有する。突起部102aは、側面視で前側を凸側とした山形状を有し、可動フック33のフック部46の後面46eの当接を受ける。可動フック33は、第1油圧シリンダ55の収縮動作に連動して後側に回動することで、操作突片部102に押圧作用する。
アーム部103は、支持基部101から後方に向けて延出したアーム基部105と、アーム基部105に対して左右内側となる左側に設けられたアーム先端部106と、アーム基部105とアーム先端部106をつなぐ部分である連結板部107とを有する。
アーム基部105は、左右方向を板厚方向とする矩形板状の部分である。アーム基部105の先端部の右側に、矩形板状の連結板部107が設けられている。連結板部107は、アーム基部105の先端部とアーム先端部106との間の架設部分である。
アーム先端部106は、左右方向を板厚方向とする板状の部分であり、下側の部分に、後側を開放側とした係合凹部106aを有する。アーム先端部106は、その下部において後斜め下側に向けて上下2つの突片部を突出させることにより、側面視で略「U」字状をなす係合凹部106aを形成している。アーム先端部106は、係合凹部106aをなす先端部を、後ロック部材85の左右一対のロック爪部92のうちの右側のロック爪部92Rの前上側の近傍に位置させている。
アーム先端部106の係合凹部106aには、ロック爪部92Rに固設された係合ピン110が係合している。係合ピン110は、略「L」字状の屈曲棒状の部材がロック爪部92Rの前上部の右側面に溶接等によって固定されることによって設けられている。
係合ピン110は、ロック爪部92Rに固定されるとともにロック爪部92Rから前側に突出した固定軸部110aと、固定軸部110aから左右内方となる左方に向けて直角状に屈曲した係合軸部110bとを有する。係合ピン110は、係合軸部110bを、アーム先端部106に対して右側から係合凹部106a内に位置させた状態で、アーム先端部106に係合している。
以上のような構成によれば、回動アーム体87のシリンダ支持軸71R回りの回動(図5,図12、矢印C1参照)が、アーム部103を上下に回動させ(図5,図12、矢印C2参照)、係合ピン110を介して、後ロック部材85の後支持軸91回りの回動(図5,図12、矢印C3参照)として伝達される。逆に、後ロック部材85の後支持軸91回りの回動が、係合ピン110を介して、回動アーム体87のシリンダ支持軸71R回りの回動として伝達される。このように、回動アーム体87および後ロック部材85により、両部材が互いに連動して回動する回動機構が構成されている。
アタッチメント着脱装置30によるバケット20の着脱動作について、図13および図14を用いて説明する。なお、図13および図14においては、便宜上、アタッチメント着脱装置30の一部の構成の図示を省略している。
アタッチメント着脱装置30は、バケット20に対して係合した状態であって掘削装置3においてバケット20を連結支持した状態を、第1の状態とする。アタッチメント着脱装置30の第1の状態において、第1油圧シリンダ55は伸長した状態であり、可動フック33は固定フック34に対して最も離れた状態となる。
また、アタッチメント着脱装置30は、バケット20に対する装着前あるいは取外し後の状態であって、バケット20に対する係合を解除した状態を、第2の状態とする。アタッチメント着脱装置30の第2の状態において、第1油圧シリンダ55は短縮した状態であり、可動フック33は固定フック34に対して最も近付いた状態となる。
すなわち、アタッチメント着脱装置30は、可動フック33および固定フック34をそれぞれバケット20の前支持ピン35および後支持ピン36に係合させた状態を第1の状態とし、可動フック33および固定フック34それぞれの支持ピンに対する係合を解除した状態(係合していない状態)を第2の状態とする。なお、図4から図10は、第2の状態のアタッチメント着脱装置30を示している。以下では、アタッチメント着脱装置30の第1の状態を「係合状態」とし、第2の状態を「非係合状態」とする。
アタッチメント着脱装置30によるバケット20の着脱作業は、前支持ピン35および後支持ピン36側を上側として地面等に載置された状態のバケット20に対して、掘削装置3等の操作によりアタッチメント着脱装置30を移動させることにより行われる。
すなわち、アタッチメント着脱装置30にバケット20を取り付ける際は、地面等に載置された状態のバケット20に対して、掘削装置3等の操作によって非係合状態のアタッチメント着脱装置30を近付け、所定の手順でアタッチメント着脱装置30をバケット20に係合させながらアタッチメント着脱装置30を係合状態とすることで、アタッチメント着脱装置30にバケット20が取り付けられる。
一方、アタッチメント着脱装置30からバケット20を取り外す際は、掘削装置3等の操作によってバケット20を地面等に載置し、所定の手順でバケット20に対するアタッチメント着脱装置30の係合を解除させながらアタッチメント着脱装置30を非係合状態とし、掘削装置3等に操作によってバケット20からアタッチメント着脱装置30を離すことで、アタッチメント着脱装置30からバケット20が取り外される。
まず、アタッチメント着脱装置30にバケット20を取り付けるとき(バケット装着時)のアタッチメント着脱装置30の動作について、図13を用いて説明する。なお、アタッチメント着脱装置30の非係合状態においては、図11に示すように、電磁切換弁67の動作により、分岐配管80から第2油圧シリンダ57に油圧が作用し、第2油圧シリンダ57において、シリンダ内ばね79の付勢力に抗してピストンロッド77をシリンダチューブ76から突出させた伸長状態が保持される。
図13Aに示すように、バケット装着時においては、非係合状態のアタッチメント着脱装置30が、掘削装置3等の操作によってバケット20に近付けられ、アタッチメント着脱装置30の移動操作により、固定フック34が、後支持ピン36に係合させられる(矢印D1参照)。
次に、図13Bに示すように、固定フック34が後支持ピン36に係合した状態で、第1油圧シリンダ55を伸長させる動作が行われる(矢印D2参照)。すなわち、図11に示すように、油圧ポンプ64の動作によって、供給用配管68から電磁切換弁67を介してボトム側油圧配管65によりボトム側室61aに圧油が供給され、第1油圧シリンダ55が伸長する。ここで、電磁切換弁67は、流路の切換状態として、供給ポート(P)をボトム側シリンダポート(A)に連通させるとともに、排出ポート(T)をロッド側シリンダポート(B)に連通させた状態となっている。
第1油圧シリンダ55が伸長することにより、可動フック33がリンク支持軸28回りに前側に回動し、可動フック33のフック部46が、前支持ピン35に係合させられる(矢印D3参照)。可動フック33は、フック支持軸47に支持した前ロック部材56および第2油圧シリンダ57と一体的に回動する。
ここで、可動フック33が前側に回動することで、可動フック33による回動アーム体87の操作突片部102に対する押圧作用が解除される(矢印D4参照)。これにより、回動アーム体87によって非ロック位置に支持されていた後ロック部材85が、ロックばね86の付勢力によって後支持軸91回りに回動し、非ロック位置からロック位置に移動する(矢印D5参照)。つまり、後ロック部材85により、固定フック34に係合した状態の後支持ピン36の固定フック34からの離脱が規制されたロック状態が得られる。後ロック部材85がロック位置に回動することにともない、回動アーム体87は、係合ピン110を介して、アーム部103側を押し下げられ、シリンダ支持軸71回りに回動する(矢印D6参照)。
また、図11に示すように、第1油圧シリンダ55の伸長動作中には、ピストン63の移動にともなってロッド側室61bからロッド側油圧配管66に排出される作動油が、分岐配管80により第2油圧シリンダ57のボトム側室76aに圧油として供給される。これにより、シリンダ内ばね79の付勢力に抗した第2油圧シリンダ57の伸長状態は保持される。
図13Bに示すように、第1油圧シリンダ55の伸長動作によって可動フック33が前支持ピン35に係合し、第1油圧シリンダ55の伸長が停止すると、分岐配管80を介した第2油圧シリンダ57に対する圧油の供給が停止する。これにより、図13Cに示すように、第2油圧シリンダ57は、シリンダ内ばね79の付勢力により、自動的にピストンロッド77をシリンダチューブ76内に引き込んで短縮する(矢印D7参照)。
第2油圧シリンダ57が短縮することで、ピストンロッド77に連結された前ロック部材56が、フック支持軸47回りに回動し、非ロック位置からロック位置に移動(回動)する(矢印D8参照)。つまり、前ロック部材56により、可動フック33に係合した状態の前支持ピン35の可動フック33からの離脱が規制されたロック状態が得られる。
以上のようにして、アタッチメント着脱装置30が係合状態となり、アタッチメント着脱装置30に対するバケット20の装着状態として、前後の支持ピン(35,36)それぞれに対して可動フック33および固定フック34が係合した状態、並びに各フック(33,34)の支持ピン(35,36)に対する係合部分における前後のロック部材(56,85)によるロック状態が得られる。
次に、アタッチメント着脱装置30からバケット20を取り外すとき(バケット取外し時)のアタッチメント着脱装置30の動作について、図14を用いて説明する。バケット取外し時のアタッチメント着脱装置30の動作は、基本的にバケット装着時の動作と逆の手順となる。
図14Aに示すようにアタッチメント着脱装置30が係合状態となっておりバケット20が装着された状態から、まず、図14Bに示すように、第2油圧シリンダ57を伸長させる動作が行われる(矢印E1参照)。すなわち、図11に示すように、油圧ポンプ64の動作によって、供給用配管68から電磁切換弁67を介してロッド側油圧配管66および分岐配管80によりボトム側室76aに圧油が供給され、第2油圧シリンダ57が伸長する。ここで、電磁切換弁67は、流路の切換状態として、供給ポート(P)をロッド側シリンダポート(B)に連通させるとともに、排出ポート(T)をボトム側シリンダポート(A)に連通させた状態となっている。
図14Bに示すように、第2油圧シリンダ57が伸長することで、ピストンロッド77に連結された前ロック部材56が、フック支持軸47回りに回動し、ロック位置から非ロック位置に移動(回動)する(矢印E2参照)。つまり、前ロック部材56により、可動フック33に係合した状態の前支持ピン35の可動フック33からの離脱が可能な非ロック状態が得られる。
次に、図14Cに示すように、第1油圧シリンダ55を短縮させる動作が行われる(矢印E3参照)。すなわち、図11に示すように、油圧ポンプ64の動作によって電磁切換弁67を介してロッド側油圧配管66によりロッド側室61bに圧油が供給され、第1油圧シリンダ55が短縮する。
ここで、掘削作業機1が備える油圧回路構成(図11参照)によれば、第1油圧シリンダ55の短縮動作は、第2油圧シリンダ57の伸長動作が行われた後に行われる。第2油圧シリンダ57は、第1油圧シリンダ55に比して十分に小さい油圧シリンダである。このため、ロッド側油圧配管66から第1油圧シリンダ55のロッド側室61bに圧油が供給される際、ロッド側油圧配管66から分岐した分岐配管80によって第2油圧シリンダ57に供給される圧油により、第1油圧シリンダ55の短縮動作より先に第2油圧シリンダ57が伸長動作を行うことになる。
第1油圧シリンダ55が短縮することにより、可動フック33がリンク支持軸28回りに後側に回動し、可動フック33のフック部46の前支持ピン35に対する係合が解除させられる(矢印E4参照)。
ここで、可動フック33が後側に回動することで、可動フック33が回動アーム体87の操作突片部102に対して後方に向けて押圧作用する(矢印E5参照)。これにより、回動アーム体87がシリンダ支持軸71の軸回りにアーム部103を上げる方向に回動する(矢印E6参照)。この回動アーム体87の回動にともない、ロックばね86の付勢力によってロック位置に支持されていた後ロック部材85が、回動アーム体87の回動動作に連動して後支持軸91回りに回動し、ロック位置から非ロック位置に移動する(矢印E7参照)。つまり、後支持ピン36の固定フック34からの離脱が許容される非ロック状態が得られる。
以上のようにして、アタッチメント着脱装置30が非係合状態となる。そして、掘削装置3等の操作によるアタッチメント着脱装置30の移動操作により、後支持ピン36に対する固定フック34の係合が解除させられ(矢印E8参照)、アタッチメント着脱装置30からバケット20が取り外される。
以上のような本実施形態に係るアタッチメント着脱装置30およびそれを備えた掘削作業機1によれば、アクチュエータとしての第1油圧シリンダ55および第2油圧シリンダ57に対する油圧の供給が断たれた場合であっても、バケット20の連結状態を保持することができ、高い安全性を得ることができる。
本実施形態のアタッチメント着脱装置30は、第2油圧シリンダ57のシリンダ内ばね79の付勢力により、前ロック部材56をロック位置に保持する。そして、前ロック部材56のロック位置から非ロック位置への移動を、第2油圧シリンダ57の油圧動作によって行う。
このような構成によれば、アタッチメント着脱装置30に対するバケット20の着脱動作について良好な作業性が得られるとともに、例えば油圧機器の破損等によって第2油圧シリンダ57に対する動力の供給が断たれた場合であっても、シリンダ内ばね79の付勢力によって、前ロック部材56による前支持ピン35に対する可動フック33のロック状態が確保される。これにより、安全性を確保することができる。
また、アタッチメント着脱装置30は、前ロック部材56をロック位置に保持するための構成として、第2油圧シリンダ57内に設けられたシリンダ内ばね79を備える。このような構成によれば、前ロック部材56をロック位置に保持するための付勢部材を別途設ける必要がないので、アタッチメント着脱装置30をコンパクトに設計することができる。
また、本実施形態に係るアタッチメント着脱装置30は、前ロック部材56に加え、バケット20の後支持ピン36の固定フック34からの脱落を規制する後ロック部材85を備える。つまり、アタッチメント着脱装置30は、可動フック33および固定フック34のそれぞれに対してロック部材(56,85)を設けたダブルロック構造を備える。このような構成によれば、アタッチメント着脱装置30からのバケット20の脱離を効果的に防止することができ、安全性を高めることができる。
特に、アタッチメント着脱装置30は、ロックばね86の付勢力により、後ロック部材85をロック位置に保持する。そして、後ロック部材85のロック位置から非ロック位置への移動を、第1油圧シリンダ55の油圧動作に連動する回動アーム体87の動作によって行う。
このような構成によれば、アタッチメント着脱装置30に対するバケット20の着脱動作について良好な作業性が得られるとともに、例えば油圧機器の破損等によって第1油圧シリンダ55に対する動力の供給が断たれた場合であっても、ロックばね86の付勢力によって、後ロック部材85による後支持ピン36に対する固定フック34のロック状態が確保される。これにより、安全性を確保することができる。
また、アタッチメント着脱装置30において、回動アーム体87は、第1油圧シリンダ55の動作に連動して回動する可動フック33の当接を受ける操作突片部102と、後ロック部材85と係合するアーム部103とを有する。
このような構成によれば、簡易な構成で、第1油圧シリンダ55の伸縮動作を効率的に後ロック部材85に伝達することが可能となる。これにより、アタッチメント着脱装置30に対するバケット20の着脱動作について良好な動作性を得ることができる。
また、アタッチメント着脱装置30において、第2油圧シリンダ57は、本体フレーム31の左右の本体フレーム体41間において、第1油圧シリンダ55と右側の本体フレーム体41との間に配置されている。
このような構成によれば、第1油圧シリンダ55と本体フレーム体41との間の空間を、第2油圧シリンダ57の動作スペースとすることができるため、アタッチメント着脱装置30をコンパクトに設計することができる。
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係るアタッチメント着脱装置および建設機械は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、上述した実施形態では、第2油圧シリンダ57は、左右の本体フレーム体41のうち右側の本体フレーム体41と第1油圧シリンダ55との間に配置されているが、左側の本体フレーム体41と第1油圧シリンダ55との間に配置されてもよい。
また、上述した実施形態において、第1油圧シリンダ55および第2油圧シリンダ57を動作させるための油圧回路構成(図11参照)は、あくまでも一例である。すなわち、上述したバケット装着時およびバケット取外し時における第1油圧シリンダ55および第2油圧シリンダ57の各油圧シリンダの動作が得られるものであれば、これらの油圧シリンダを動作させるための油圧回路構成は特に限定されない。
また、上述した実施形態において、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータは、いずれも油圧シリンダであるが、本発明に係るアクチュエータは、油圧シリンダに限定されず、例えば、電気駆動式のシリンダ機構等であってもよい。