JP2022049675A - 中間転写体及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂材料と導電性フィラーとを含有する中間転写体は、長期間の使用にわたり電気特性を安定化させることが困難であった。【解決手段】熱可塑性樹脂とカーボンブラックとを含有し、該カーボンブラックのストラクチャー体積の値が、50以上250以下であり、該カーボンブラックの含有量が、該中間転写体に対して15.0~30.0質量%であり、トナー像が担持される外周面に対して裏側の内周面から厚さ方向に10μmまでの範囲を内周面領域としたとき、該内周面領域における、前記熱可塑性樹脂に対する前記カーボンブラックの分散性を示すL関数の値が、150nm以下である中間転写体。【選択図】 図1

Description

本開示の一態様は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置において用いられる中間転写体に関する。また、本開示の他の態様は、画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置としては、トナー像を転写材に転写する方法として、感光体上に形成したトナー像をベルト状の中間転写体の上に一次転写したのちに、該トナー像を転写材上に二次転写する中間転写方式を用いるものがある。
上記中間転写体に用いられる部材としては、感光体表面のトナー像を正確に静電的に転写材上に転写するために、半導電性領域の体積抵抗率を有することに加えて、該部材の場所による体積抵抗率のバラツキが小さいことが好ましい。そのため、画像形成に関わる面内において実質的に均一であることが求められている。中間転写体の電気抵抗値としては、体積抵抗率が1×10~1×1013Ω・cm、表面抵抗率が1×10~1×1015Ω/□の範囲内に調整したものが多く使用される。電気抵抗値の目標範囲は、中間転写ベルトが使用される画像形成装置の転写部構成やトナー粒子の帯電特性に合わせて最適な範囲が選択される。
特許文献1には、導電性フィラーを含むPEEKを管状フィルムに押出し、次いで軸方向と直角方向に切断して得られるベルトが開示されている。また、ベルト各部の体積電気抵抗値が10~1017Ω・cmであることが開示されている。
特許文献2には、導電性フィラーとしてpH値が8以上のカーボンブラックとステアリン酸カリウムまたはステアリン酸ナトリウムとを含む熱可塑性樹脂を管状フィルムに成形して得られるベルトが開示されている。また、熱可塑性樹脂100質量部に対するカーボンブラックの含有量が18~30質量部であることが開示されている。
特開平6―254941号公報 特開2015―87545号公報
Ripley B.D., J.Appl.Prob, Vol.13,pp.255 (1976)
しかしながら、カーボンブラックを用いて導電性を発現させている中間転写ベルトについては、長期間にわたって電子写真画像の形成に供することで、電気抵抗が低下する場合があった。特に一次転写部では、中間転写体の内周面と一次転写ローラーとの間に空隙が生じた場合に、中間転写体の導電性フィラーの凝集部と一次転写ローラーとの間で放電が生じ、局所的に中間転写体の電気抵抗が低下することがあった。電気抵抗が低下した部分はトナーが転写されず、白く抜けたような画像(白抜け)が発生する。また二次転写部では、中間転写体の外周面と紙との間に空隙が生じた場合に、中間転写体の導電性フィラーの凝集部と紙との間で放電が生じ、中間転写体上のトナーの帯電極性が放電により反転し、紙に転写できずに白抜けが発生する。これらの現象は、特に導電性フィラーの分散性が悪い場合や、低湿度環境において顕著となる。
導電性フィラーの分散を向上させるために、混練押出機、押出成形機または射出成形機など、スクリューを備えるシリンダー内において、成形温度や混練度を高めて溶融混練を伴う装置を用いて実施すると、剪断発熱によって樹脂温度が上昇する。その結果、樹脂材料の熱劣化(熱分解や酸化による架橋)が進行し、生成する熱劣化物または該熱劣化物と導電性フィラーや不純物などとの凝集物が原因となって、優れた機械的特性、光学特性、及び電気特性の両立が難しくなる。
以上のように、樹脂材料と導電性フィラーとを含有する中間転写体は、長期間の使用にわたる電気特性を安定化させることが困難であった。
本開示の一態様は、長期にわたり安定した電気特性を維持し得る中間転写体の提供に向けたものである。また、本開示の他の態様は、高品位な電子写真画像を安定して形成することができる画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、エンドレス形状の中間転写体であって、基層を有し、該基層は、熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂中に分散されているカーボンブラックとを含有し、該カーボンブラックのストラクチャー体積の値が、50以上250以下であり、該カーボンブラックの含有量が、該基層に対して15.0~30.0質量%であり、該基層の厚み方向の断面において、該基層の内周面から外周面側に向かって厚さ方向に10μmまでの範囲を内周面領域としたとき、該内周面領域における、前記熱可塑性樹脂に対する前記カーボンブラックの分散性を示すL関数の値が、150nm以下である中間転写体が提供される。
本開示の他の態様によれば、
第1の像担持体と、該第1の像担持体の上に形成された未定着のトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体の上に一次転写されたトナー像を第2の像担持体の上に二次転写させるための二次転写手段とを備える画像形成装置であって、
該中間転写体が、前記の中間転写体である画像形成装置が提供される。
本開示の一態様によれば、優れた電気特性を長期にわたり安定的に維持し得る中間転写体を得ることができる。また、本開示の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を長期にわたり安定して形成することができる画像形成装置を提供することが可能となる。
本開示に係る中間転写体の断面の模式図 本開示に係る中間転写体を用いた画像形成装置の断面の模式図 分散性を評価するために測定を行う中間転写体の領域を示す模式図
以下、本開示に係る中間転写体及び中間転写体の製造方法を図面に則してさらに詳しく説明する。
1.画像形成装置
まず、本開示に係る中間転写体(中間転写ベルト)を用いた画像形成装置の一実施形態について説明する。図2は、本実施形態の画像形成装置100の概略断面図である。本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のカラーレーザープリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkを有する。これら第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkは、後述する中間転写ベルト7の平坦部分(画像転写面)の移動方向に沿ってこの順に配置されている。第1、第2、第3、第4の画像形成部Py、Pm、Pc、Pkにおける同一又は対応する機能又は構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のY又はy、M又はm、C又はc、K又はkを省略して総括的に説明することがある。本実施形態では、画像形成部Pは、後述する感光ドラム1、帯電ローラー2、露光装置3、現像装置4、及び一次転写ローラー5を有して構成され
る。
画像形成部Pは、像担持体としてのドラム型(円筒状)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、基体としてのアルミニウム製のシリンダーの上に、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順に積層して形成したものである。感光ドラム1は、図中矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラー形状の帯電部材である帯電ローラー2によって、所定の極性(本実施形態では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電工程時に、帯電ローラー2には、負極性の直流成分を含む所定の帯電バイアス(帯電電圧)が印加される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(レーザースキャナー)3によって画像情報に応じて走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。
感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。現像工程時に、現像装置4が備える現像剤担持体としての現像ローラー4aには、負極性の直流成分を含む所定の現像バイアス(現像電圧)が印加される。本実施形態では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施形態では負極性)に帯電したトナーが付着する。
4個の感光ドラム1と対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラーとしての駆動ローラー71、テンションローラー72及び二次転写対向ローラー73に掛け渡されて所定の張力で張架されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラー71が回転駆動されることで、感光ドラム1と接触して図中矢印R2方向(時計回り)に回転(周回移動)する。中間転写ベルト7の内周面側には、各感光ドラム1に対応して、一次転写手段としてのローラー状の一次転写部材である一次転写ローラー5が配置されている。一次転写ローラー5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて押圧され、感光ドラム1と中間転写ベルト7とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)T1を形成する。上述のように感光ドラム1上に形成された未定着のトナー像は、一次転写部T1において、一次転写ローラー5の作用によって、回転している中間転写ベルト7上に一次転写される。一次転写工程時に、一次転写ローラー5には、トナーの正規の帯電極性(現像工程時の帯電極性)とは逆極性(本実施形態では正極性)の直流電圧である一次転写バイアス(一次転写電圧)が印加される。一次転写ローラー5は、金属製の回転軸と、回転軸の外周面に形成される弾性層によって構成され、所望の抵抗値に調整されたものがしばしば用いられる。しかし、材質がSUM(硫黄及び硫黄複合快削鋼)あるいはSUS(ステンレス鋼)等で、スラスト方向にストレートの形状である金属ローラーで構成されていてもよい。
中間転写ベルト7の外周面側において、二次転写対向ローラー73と対向する位置には、二次転写手段としてのローラー状の二次転写部材である二次転写ローラー8が配置されている。二次転写ローラー8は、中間転写ベルト7を介して二次転写対向ローラー73に向けて押圧され、中間転写ベルト7と二次転写ローラー8とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)T2を形成する。上述のように中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラー8の作用によって、中間転写ベルト7と二次転写ローラー8とに挟持されて搬送されている紙(用紙)などの記録材(シート、転写材)S上に二次転写される。二次転写工程時に、二次転写ローラー8には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である二次転写バイアス(二次転写電圧)が印加される。二次転写においては、通常、十分な転写効率を確保するために数kVの転写電圧が印加される。記録材Sは、記録材Sが収納されているカセット12から、ピックアップローラー13によって搬送路に供給される。搬送路に供給された記録材Sは、搬送ローラー対14及びレジストローラー対15によって、中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部T2に搬送される。
トナー像が転写された記録材Sは、定着手段としての定着装置9に搬送される。定着装置9は、未定着のトナー像を担持した記録材Sを加熱及び加圧することで、トナー像を記録材S上に定着(溶融、固着)させる。トナー像が定着された記録材Sは、搬送ローラー対16、排出ローラー対17などによって画像形成装置100の装置本体の外部に排出(出力)される。
一次転写工程において中間転写ベルト7に転写されずに感光ドラム1の表面に残留したトナー(一次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段を兼ねる現像装置4によって現像同時回収される。また、二次転写工程において記録材Sに転写されずに中間転写ベルト7の表面に残留したトナー(二次転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置11によって中間転写ベルト7の表面から除去されて回収される。ベルトクリーニング装置11は、中間転写ベルト7の回転方向において二次転写部T2の下流かつ最上流の一次転写部T1yの上流(本実施形態では駆動ローラー71と対向する位置)に配置されている。ベルトクリーニング装置11は、中間転写ベルト7の表面に当接するように配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレードによって、回転している中間転写ベルト7の表面から二次転写残トナーをかき取って、回収容器11bに収容する。
このように、画像形成動作では、感光ドラム1から中間転写ベルト7、中間転写ベルト7から記録材Sへのトナー像の電気的転写プロセスが繰り返し行われる。また、多数の記録材Sへの画像形成を繰り返すことで、電気的転写プロセスがさらに繰り返し行われることになる。
2.中間転写体
中間転写体としての中間転写ベルト7は、少なくとも基層(基材)を含むものであり、さらに表面層(表層)などを有して複数の層から構成される積層体であってもよい。図1は、中間転写ベルト7の層構成の例を説明するための模式的な断面図である。中間転写ベルト7は、図1(a)に示すように、単一の層(ここでは、単層の場合も「基層」ということがある。)7aから構成されていてよい。また、中間転写ベルト7は、図1(b)に示すように、基層7a、及び基層7aの上に設けられた表面層7bの少なくとも2層から構成されていてよい。なお、例えば上記基層7aと表面層7bとの間に中間層などの他の層が設けられるなどしていてもよい。以下に詳しく説明するように、基層7aは、樹脂に導電性フィラーを含有させた半導電性のフィルムである。
2-1.中間転写体の構成と特性
<樹脂材料>
単一の層から構成される中間転写ベルトまたは少なくとも二層以上の構成からなる中間転写ベルトの基層の樹脂材料としては、以下のような結晶性熱可塑性樹脂が挙げられる。ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)等。特に、中間転写ベルトは長期にわたる張力負荷を受けても伸びず、かつ、クリーニングブレードによる摺擦に対し表面磨耗しない性能が要求されるため、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)が好適である。また、これらの樹脂を必要に応じて2種類以上選択して混合して用いてもよい。
<導電性フィラー>
基層に導電性を付与するなどの目的で、樹脂材料にはカーボンブラック粒子(以降、単に「カーボンブラック)または「CB」と記す)や金属微粒子などの少なくとも1種類の導電性フィラーが配合される。本開示においては機械物性の観点からカーボンブラックを使用する。カーボンブラックには、その製法や原料により様々な呼称がある。具体的には、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラックなどである。
カーボンブラックとしては、公知の種々のものを用いることができる。具体的には、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラックが挙げられる。これらの中でも、不純物が少なく、上述の熱可塑性樹脂とともにフィルム形状に成形した場合に異物不良の頻度が少なく、また、所望の導電性を得やすい、アセチレンブラック、ファーネスブラックが好ましい。アセチレンブラックとしては、具体的には、下記のものが挙げられる。「デンカブラック」シリーズ(デンカ(株)製)、「三菱導電フィラー」シリーズ(三菱ケミカル(株)製)、「バルカン」シリーズ(キャボット社製)、「ブリンテックス」シリーズ(デグッサ社製)、「SRF」(旭カーボン(株)製)。ファーネスブラックとしては、具体的には、「トーカブラック」シリーズ(東海カーボン(株)製)、「旭カーボンブラック」シリーズ(旭カーボン(株)製)、「ニテロン」シリーズ(日鉄カーボン(株)製)が挙げられる。
<カーボンブラックの含有量>
カーボンブラックの含有量は、ベルト部材に必要な導電性を付与できること、ベルト部材の耐屈曲性や弾性率などの機械的強度、及び熱伝導率を考慮して選択される。
カーボンブラックの含有量は、中間転写体の100質量部に対して15.0質量部以上30.0質量部以下とする。すなわち、中間転写体が、熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂中に分散されたカーボンブラックとを含む単層の基層のみからなる場合においては、カーボンブラックの含有量は、該基層に対して15.0~30.0質量%である。カーボンブラックの含有量を上記の範囲内とすることで、中間転写ベルトに適した導電性と、十分な機械強度とを担保することができる。好ましいカーボンブラックの含有量は、中間転写体に対して、20.0~28.0質量%である。
2-2.中間転写体の製造方法
本開示に係る中間転写体の基層は、例えば、下記の工程(1)及び工程(2)を経て製造することができる。
工程(1)熱可塑性樹脂及びカーボンブラックを、該熱可塑性樹脂のガラス転移点以上である温度環境下で混合して樹脂混合物を得る工程;
工程(2)該樹脂混合物を、該熱可塑性樹脂の溶融温度以上の温度で溶融し、チューブ状に押出し成形する工程。
以下、工程(1)及び工程(2)について説明する。
<工程(1);混合工程>
混合工程では、熱可塑性樹脂とカーボンブラックを、該熱可塑性樹脂のガラス転移点以上の温度で混合して樹脂混合物を得る。この工程において用い得る混合機としては例えば、バレル又はシリンダー内に2本のスクリューを備える二軸スクリュー混練機を使用することができる。
供給部の供給孔から供給された混合物は、スクリューの回転によってダイに向けて前進しながら、バレル又はシリンダー、スクリュー、及び原料の間の摩擦によって剪断発熱し、溶融混合される。その際に、バレル又はシリンダー内の温度が高くなりすぎると、樹脂材料が熱分解又は熱劣化する。そのため、バレル又はシリンダーの外部からの冷却や温度調整、スクリューの回転速度の調整などを行って、原料の温度が高くなりすぎないように制御することが好ましい。また、バレル又はシリンダーの温度が低くなりすぎると、樹脂材料が安定した溶融状態を形成しないため、導電性フィラーの分散状態が不均一となり、機械的、電気的及び光学的な特性に優れた混合物を得ることが困難となる場合がある。二軸スクリュー混練機の先端部には、ストランドダイが通常設置されており、混合物を棒状に押出し、空冷後、切断してペレット状の混合物を作製する。
なお、混合工程の前に熱可塑性樹脂とカーボンブラックとを、流動式混合機を用いて、熱可塑性樹脂のガラス転移点未満の温度で混合する予備混合工程を設けても良い。流動式混合機としては、固体の流動運動を利用して混合する機構をもつ公知の種々のものを用いることができるが、具体的にはヘンシェルミキサーやリボンミキサー、プラネタリーミキサーなどの混合機を用いることができる。その中でも、混合効率の観点からヘンシェルミキサーを用いることが好ましい。また、流動式混合機の回転数、処理時間、処理量などは、材料に応じて適切に選択することが必要である。
<工程(2);成形工程>
成形工程では、混合工程で得られた樹脂混合物を、エンドレスベルト形状(エンドレス形状とも記載する。)の円筒チューブを成形する。成形には、使用する樹脂に応じて押出成形法、インフレーション成形法などの方法を選択することが可能であるが、生産性の観点から円筒押出成形法を用いることが好ましい。押出成形法における押出機としては、バレル又はシリンダー内に1本のスクリューを備える単軸式又は2本以上のスクリューを組み合わせた多軸式のいずれの押出機も使用することができる。供給部の供給孔から供給された上記ペレット状の混合物は、スクリューの回転によってダイに向けて前進しながら、バレル又はシリンダーからの熱エネルギーとスクリューからの機械エネルギーを受け、実質的に完全に溶融して押出機の先端部へと定量供給される。押出機の先端部には円筒ダイが設置されており、円筒ダイから下方に押出し、下方より引き取ることで、上記混合物は円筒チューブ状に成形される。
なお、これに限定されるものではないが、単一の層から構成される中間転写体または少なくとも二層以上の構成からなる中間転写体の基層の厚さは、通常、10~500μm程度、典型的には50~200μm程度とされる。
2-3.中間転写体の抵抗低下
カーボンブラックを樹脂に適量添加し、混練し、混練物をシート状に成形させて、シートとして導電性を発現させるとき、樹脂中にはシートの表面から裏面にかけて、多数のCBが連結して形成された導電パスが複数存在する。このとき、導電パスの電気抵抗値は、CBからなる導電部の電気抵抗値と、CB粒子とCB粒子とが連結した際の接触部の電気抵抗値との和となる。
シート状成形物が、例えば複写機に搭載されるような中間転写体であるとき、印刷時に、二次転写ローラーと中間転写体との間で放電が起こることがある。そのような場合に、中間転写体への通電による負荷が集中し、経時的に中間転写体の電気抵抗値が低下してしまい、画像品質を低下させるという問題があった。
これは、多数のCB粒子が連結して形成された導電パスの電気抵抗値が低下したためである。より詳しく見ると導電パス中のCB粒子自体(導電部)の電気抵抗値が低下したというよりも、CB粒子とCB粒子とが連結した際の接触部の電気抵抗値が低下したためであると推測できる。
すなわち、印刷時の電圧印加によるCB粒子とCB粒子との間の接触部に電界が集中し、電界集中による発熱により、接触部の周囲の樹脂を炭化させ絶縁破壊を引き起こしたためであると考えられる。したがって、導電パスの電気抵抗値の低下を起こさないためには、電界集中による発熱を抑制し、接触部の周囲の樹脂を炭化させないことが重要である。
導電パス中のCB粒子とCB粒子とが連結した際の接触部の発熱量Qは、式(1)により示され、発熱量を下げるためには、電圧(V)を下げる、もしくは抵抗値(R)を高くすることが必要である。
Q=V×V×t/R ・・・(1)
Q:発熱量
V:パス中に流れる電圧
R:接触部の抵抗値
t:時間
電圧(V)は印刷条件によって決定されるため、電圧を下げることはできない。
一方、CB粒子間の接触部の抵抗値Rは式(2)で表され、接触部の抵抗値Rを高めるためにはCBのストラクチャー体積aを小さくすることが必要である。
R=ρ/(2×a×n) ・・・(2)
R:接触部の抵抗値
ρ:カーボンブラックの固有抵抗値
a:カーボンブラックのストラクチャー体積
n:接触点の数
2-4.カーボンブラックの一次粒子の粒径
添加する導電性フィラーの一次粒子の平均粒径は、10nm~30nmの導電性フィラーを用いるのが好ましい。一次粒子の平均粒径が10nm未満の導電性フィラーを用いると、フィラーの再凝集が起こりやすく、また耐熱性が低下してしまい、中間転写体に用いることが困難である。一方、一次粒子の平均粒径が30nmより大きい導電性フィラーを用いると、凝集塊が生じた場合に分散性が低下しやすく、放電による中間転写体の抵抗低下が発生しやすい。そのため、一次粒子の平均粒径が上記範囲内の粒子を用いることにより、不良のない良好な抵抗維持性が得られる。
2-5.基層に含有されているカーボンブラックの一次粒子の粒径の評価方法
基層に含有されるカーボンブラックの観察は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて実施されるが、観察前の薄片化試料の作製は公知の方法で実施される。例えば、イオンビーム、ダイヤモンドナイフなどで試料の薄片化が可能である。下記の実施例では「ULTRACUT-S」(商品名、ライカ社製)を用いて、基層の全厚さ方向の断面が表れている、厚み約40nmの観察用切削片試料を採取した。そして、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy:TEM)(商品名:H-7100FA、としては日立製作所製)を用いて、TEモード、加速電圧100kVの測定条件にてTEM画像を取得した。得られたTEM画像の解析には、例えば、「WinROOF」(商品名、三谷商事(株)製)、「ImagePro」(商品名、日本ローパー社製)の如き公知の画像解析ソフトウェアを用いることができる。下記の実施例では「WinROOF」を用いた。そして、カーボンブラックの一次粒子50個の面積相当径を測定して、その平均値を一次粒子の平均粒径とした。
2-6.基層に含有されているカーボンブラックのDBP吸油量の評価方法
測定を行う中間転写体(導電性ベルト)に含有されているカーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸油量は、下記のようにして確認することができる。
中間転写ベルトに含有されているカーボンブラックの観察は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって行うことができる。観察前の薄片化試料は、上記と同様にして行うことができる。そして、以下の実施例においては、得られた薄片化試料を、上記のTEMを用いて、TEモード、加速電圧100kV、画像の1辺が3μm以下となるような倍率で、TEM画像を取得した。カーボンブラックの最小構造単位は、一次粒子が連なった一次凝集体であるため、得られたTEM画像よりカーボンブラック一次凝集体における最大フェレ径の分布を解析する。最大フェレ径は、カーボンブラック一次凝集体に外接する長方形の最大長辺の長さに相当する。
得られたTEM画像からの最大フェレ径の解析にも上記した公知の画像解析ソフトウェアを用いることができ、本開示においては、「WinROOF」を用いた。
取得したTEM画像について、画像解析ソフトウェアを用いて、カーボンブラック一次凝集体部を二値化して抽出することで、画像に点在するカーボンブラック一次凝集体の最大フェレ径分布を解析することができる。このとき、最大フェレ径のピークトップ位置と、カーボンブラックの一次凝集体の大きさの指標であるDBP吸油量とは相関があることが公知である。最大フェレ径のピークトップの数及びピークトップ位置を確認することで、DBP吸油量の異なるカーボンブラックの種類、及びそれぞれのカーボンブラックのDBP吸油量を確認することができる。
2-7.ストラクチャー体積
CB粒子は、球状の一次粒子が複数個ランダムに融着した構造を有している。
この構造がCBの最小構造としてストラクチャーと呼ばれ、CB粒子のつながり状態を表す特性のひとつである。DBP吸油量(JIS6217-4で規定)は、CBのストラクチャーの大小を類推する指標として用いられているが、ストラクチャーの体積を考慮するうえでは完全ではない。さらにはストラクチャーの体積は、一次粒子の体積に連結個数の積で表すことができるが連結個数を求めることが容易ではない。
そこで本発明者は、CBのストラクチャー体積に相当する体積指標値αが(3)式で表されることを明らかにした。
α=(d)×(D×c1+c2) ・・・(3)
d:一次粒子の粒径(nm)
D:DBP吸油量(mL/100g)
c1、c2:定数
体積指標値αが小さいほど、CBのストラクチャー体積も小さくなるため、CB粒子間の接触部の抵抗値Rが大きくなり、接触部の発熱量Qが抑制され、中間転写体への通電による負荷が集中による経時的な電気抵抗値の低下を抑制できると考えられる。
カーボンブラックのストラクチャー体積は後述の方法で評価され、50以上250以下である。ストラクチャー体積が250を超える場合には、CB粒子とCB粒子との間の接触部における電界集中により中間転写体の抵抗低下が発生しやすい。また、ストラクチャー体積が50を下回る場合には、CB粒子とCB粒子との凝集力が大きくなりすぎるため、中間転写ベルト内部での導電性フィラーの分散状態を良好に保つことが難しくなる。本開示においては、カーボンブラックのストラクチャー体積は好ましくは150~160である。
ストラクチャー体積(構造体積)aと体積指標値αの間には、式(3)に示すとおり定数c1及びc2に関する自由度があるが、本開示に係るストラクチャー体積(構造体積)aは式(4)によって計算されるものと定義した。
a=(1/3)×π×(d/2)×(0.0046×D+0.1435)・・・(4
2-8.分散性
ストラクチャー体積(構造体積)aをもつカーボンブラックの樹脂中における分散性は後述するL関数によって評価する。
本開示に係る中間転写体を一次転写部において使用する場合は、中間転写体の下記の内周面領域のL関数の値が150nm以下のものを使用する。L関数の値が150nmより大きいと、一次転写部で放電による中間転写体の抵抗低下が発生しやすいためである。
本開示に係る中間転写体を二次転写部において使用する場合は、中間転写体の下記の中央領域、内周面領域及び外周面領域のL関数の平均値が150nm以下であるものを使用する。L関数の前記平均値が150nmより大きいと、二次転写部で放電による中間転写
体の抵抗低下が発生しやすいためである。
2-9.分散性の評価方法
測定を行う中間転写体(導電性ベルト)の基層301において、図3に示す以下の(1)~(3)の各領域における導電フィラーの分散状態を、以下の手順で測定した。
(1)トナー像が担持される側の面(外周面)301Aから厚さ方向に10μmまでの範囲(図3に示す領域31、外周面領域と称する)、
(2)外周面に対して裏側の内周面301Bから外周面301Aに向かって厚さ10μmまでの範囲(図3に示す領域32、内周面領域と称する)、及び
(3)厚さ方向中央部から前記外周面方向へ5μmまでの範囲及び厚さ方向中央部から前記内周面方向へ5μmまでの範囲(図3に示す領域33、中央領域と称する)
まず導電性ベルトを表面方向にカッターナイフ等により10mm×10mm程度の短冊形に切り出した後、エポキシ樹脂で包埋する。硬化後、研磨紙により全厚さ部分の断面が表れた断面サンプルを作製する。得られた各断面サンプルの表面側(外周面領域)、裏面側(内周面領域)、及び中央部(中央領域)について、走査型電子顕微鏡(商品名:XL-30 SFEG、Philips社製)を用いて倍率20000倍のSEM像を取得する。なお、コントラストが不鮮明な場合には、白黒強調処理やスムージング処理を適宜行う。画像処理ソフトは、例えば「Photoshop」(登録商標)、「ImageJ」の如きソフトウェアを使用することができる。
次に、視野幅における導電フィラーの重心位置の座標を求め、以下の式によりK関数を算出する。
Figure 2022049675000002
ここで、iはそれぞれ画像内での粒子を示す指標であり、λは画像内での粒子の個数密度(単位面積当たりの粒子の個数)であり、nは画像内の粒子数である。wiは「粒子iの重心座標を中心として半径dの円iの面積A」と「粒子iの重心座標を中心として半径dの円iのうち、画像内に含まれる部分の面積B」との比(面積B/面積A)である。wiは、画像境界近辺に粒子iが存在するとき、画像外に粒子が存在しないことによる過小評価を補正するためのものである。Id(i,j)は粒子iの重心座標を中心として半径dの円内に粒子jの重心座標がある場合に1、それ以外では0の値を取る関数である。(非特許文献1参照)
さらに、求めたK関数に対して以下の式によりL関数を算出する。
Figure 2022049675000003
そして、下記のとおり、0nmから500nmまで10nmごとにdを変化させてL(d)を計算したものの単純和を本件におけるL関数値と定義する。
L(0)=(K(0)/π)(1/2);
L(10)=(K(10)/π)(1/2)-10;



L(490)=(K(490)/π)(1/2)-490;
L(500)=(K(500)/π)(1/2)-500;

L関数値=L(0)+L(10)+・・・+L(490)+L(500)
L関数の算出に使うdの範囲0~500nmは、画像内の各粒子を中心とする円の半径を示す。測定円の最大半径となるd=500nmに対して、評価に用いるSEMの画像範囲が小さくなりすぎると誤差が大きくなるため、測定時のSEM倍率を20000倍に限定する。この条件下で撮影された画像に含まれる、実際の観察領域のサイズは、測定手段や「画像上に含まれてしまう画像部以外の情報」が表示される領域のサイズにもよるが、短辺が略3~4μmになり、長辺が略5~6μmになる。「画像上に含まれてしまう画像部以外の情報」とは、倍率、スケールなどの情報を意味し、これらの情報が表示されている部分は測定対象に含めない。
さらに下記の各実施例において下記(1)~(3)の各領域においてL関数値を求める。
(1) トナー像の担持面(外周面)から厚さ方向に5μm離れた位置を中心とする領域(2) (1)の外周面に対して裏側(内周面)から厚さ方向に5μm離れた位置を中心とする領域
(3) 厚さ方向中央部を中心とする領域
上記(1)~(3)の各領域におけるL関数値及びそれらの算術平均値(相加平均値)を表1に示す。
2-10.カーボンブラックのpH
本実施形態では、カーボンブラックとしてpH値が8以上のカーボンブラックを用いる。pH値が8以上であることにより、カーボンブラックの表面官能基による液架橋力が小さくなり、CB粒子同士の凝集がより効果的に抑制される。
なお、カーボンブラックのpH値は、9以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、上限値は特に限定されるものではない。
カーボンブラックのpH値は、カーボンブラックと純水の混合液を準備し、ガラス電極pHメーターにより測定する。
2-11.基層に含有されているカーボンブラック量の評価方法
中間転写体に含有されているカーボンブラック量の評価は熱重量分析(TGA)によって評価することができる。本実施例では、メトラー・トレド(株)製熱重量測定装置(TGA851e/SDTA)を用いて実施した。窒素ガス雰囲気下で600℃・1時間加熱することでITB中の熱可塑性樹脂分を分解・除去し、含有されるカーボンのみの質量を評価することができる。
本開示の一態様によれば、優れた電気特性を長期に亘り安定的に維持し得る中間転写体を得ることができる。また、本開示の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を安定して及びそれを用いた画像形成装置を提供することが可能となる。
以下の本開示に係る中間転写体及び電子写真画像形成装置について実施例を用いて具体的に説明する。なお、本開示は実施例に具現化された構成のみに限定されるものではない。また、実施例及び比較例における部数は、特に断りがない限り質量基準である。
<カーボンブラックの準備>
実施例及び比較例に係る中間転写ベルトの作製に用いるカーボンブラックとして下記表1に示すカーボンブラックを用意した。各々のカーボンブラックの物性(DBP吸収量、
一次粒子径、pH値、及び、ストラクチャー体積値)を表1に示す。
Figure 2022049675000004
<実施例1>
下記表2に記載の材料を、二軸混練押出機(商品名:PCM43、株式会社池貝製)を用いて以下の条件にて溶融・混合を行い、樹脂組成物を作製した。
・押出量:6kg/h
・スクリュー回転数:225rpm
・バレル制御温度:360℃
Figure 2022049675000005
得られた樹脂組成物を、先端部にスパイラル円筒ダイ(内径:285 mm、スリット幅1.1mm)を備えた単軸押出成形機(株式会社プラスチック工学研究所製)を用いて、以下の条件にて溶融押出しを行って、下記のサイズの樹脂チューブを作製した。こうして得られた樹脂チューブを本実施例に係る電子写真用ベルトとした。
・押出量:6kg/h
・ダイス温度:380℃
・サイズ:外径280mm、厚み60μm
<実施例2>
カーボンブラックの種類とその配合量、熱可塑性樹脂の配合量を表3に記載した通りとした以外は、実施例1と同様にして中間転写ベルト用の電子写真用ベルトを作製した。
<比較例1~比較例8>
カーボンブラックの種類とその配合量、熱可塑性樹脂の配合量を表3に記載した通りとした以外は、実施例1と同様にして中間転写ベルト用の電子写真用ベルトを作製した。
Figure 2022049675000006
実施例1~2、及び比較例1~8に係る電子写真用ベルトを下記の評価1~評価3に供した。その結果を表4に示す。なお、比較例2及び比較例3に係る電子写真用ベルトは、カーボンブラックの配合量が多かったため、得られた電子写真用ベルトがもろかったため、評価2及び評価3には供しなかった。
[評価1]
実施例1~2及び比較例1~8に係る電子写真用ベルトについて、前記した方法を用いて外側領域、内側領域及び中央領域のL関数を求めた。
[評価2]
実施例1~2及び比較例1~8に係る電子写真用ベルトの内周面の表面抵抗率を、日本産業規格(JIS)K6911:2006 熱硬化性プラスチック一般試験方法に基づき、下記の抵抗率計を用いて測定した。
抵抗率計(商品名:ハイレスタUP MCP-HT450型、三菱ケミカルアナリテック社製)
測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、内周面にURSSプローブを当接させ、印加電圧10V、測定時間10秒とした。任意の4箇所の測定値の算術平均値を各電子写真用ベルトの内周面の表面抵抗率とし、下記の基準に基づき評価した。

ランクA:表面抵抗率が1×10Ω/□~1×1015Ω/□の範囲内である。
ランクB:表面抵抗率が1×10Ω/□~1×1015Ω/□の範囲外である。
[評価3]
実施例1~2、及び比較例1~8に係る電子写真用ベルトの各々を、図2に示した電子写真画像形成装置(商品名:imageRUNNER-ADVANCE-C5540、キヤノン社製)の中間転写ベルトとして装着した。この電子写真画像形成装置を用いて、低湿度環境(温度23℃/相対湿度5%)においてA3サイズの普通紙(商品名:CS068;キヤノン社製)を用いて白ベタ画像を600,000枚出力した。その過程で、白ベタ画像を10,000枚出力する毎に、黒の全面ハーフトーン画像を連続して5枚出力した。得られた6セット目、すなわち、600,000枚の白ベタ画像形成後に出力した5枚の全面ハーフトーン画像を目視で観察し、下記の基準に基づき評価した。
ランクA:5枚のハーフトーン画像の全てにおいて、白抜けが確認されなかった。(中間転写体は電気抵抗が低下しにくい、つまり抵抗維持性が高い)。
ランクB:について、5枚のハーフトーン画像のうちの1枚又は2枚に白抜けが確認された。
ランクC:5枚のハーフトーン画像のうちの3枚に白抜けが確認された。
Figure 2022049675000007
表面抵抗率が1×10~1×1015Ω/□の範囲内に調整できなかった比較例8に係る電子写真用ベルトは、用いたカーボンブラックのストラクチャー体積が小さい。このためカーボンブラック同士の凝集力が大きく、樹脂中で良好なカーボンブラックの分散状態を実現することができなかったためと考えられる。
また、比較例1及び8については、それぞれ使用したカーボンブラックの含有量が少なすぎて、樹脂中で良好なカーボンブラックの分散状態を実現することができなかったために、白抜けに関する評価がCになったものと考えられる。
比較例5及び6については、カーボンブラックのpH値が低いことでカーボンブラック同士の凝集が促進され、樹脂中で良好なカーボンブラックの分散状態を実現することができず、白抜けに関する評価がCになったものと考えられる。この場合には、一次転写部における中間転写体の内周面側と一次転写ローラーとの間の空隙、あるいは二次転写部における中間転写体の外周面と紙との間の空隙に生じた放電により白抜け画像が発生したものと考えられる。
1 感光ドラム
2 一次帯電ローラー
3 露光装置
4 現像装置
5 一次転写ローラー
7 中間転写ベルト
7a 基層
7b 表面層
8 二次転写ローラー
9 定着装置
12 カセット
13 ピックアップローラー
15 レジストローラー対
71 中間転写ベルト張架ローラー(駆動ローラー)
72 中間転写ベルト張架ローラー(テンションローラー)
73 中間転写ベルト張架ローラー(二次転写対向ローラー)
301 基層
301A 外周面
301B 内周面

Claims (6)

  1. エンドレス形状の中間転写体であって、基層を有し、
    該基層は、熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂中に分散されているカーボンブラックとを含有し、
    該カーボンブラックのストラクチャー体積の値が、50以上250以下であり、
    該カーボンブラックの含有量が、該基層に対して15.0~30.0質量%であり、
    該基層の厚み方向の断面において、該基層の内周面から外周面側に向かって厚さ方向に10μmまでの範囲を内周面領域としたとき、該内周面領域における、前記熱可塑性樹脂に対する前記カーボンブラックの分散性を示すL関数の値が、150nm以下であることを特徴とする中間転写体。
  2. 前記カーボンブラックのpH値が8以上である請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記熱可塑性樹脂として、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィ ド樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリエーテルイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含む請求項1又は2に記載の中間転写体。
  4. 前記カーボンブラックのストラクチャー体積が150~160である請求項1~3のいずれか一項に記載の中間転写体。
  5. 前記カーボンブラックの一次粒子の平均粒径が10nm~30nmである請求項1~4のいずれか一項に記載の中間転写体。
  6. 第1の像担持体と、該第1の像担持体の上に形成された未定着のトナー像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体の上に一次転写されたトナー像を第2の像担持体の上に二次転写させるための二次転写手段とを備える電子写真画像形成装置であって、
    該中間転写体が、
    エンドレス形状の中間転写体であって、基層を有し、
    該基層は、熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂中に分散されているカーボンブラックとを含有し、
    該カーボンブラックのストラクチャー体積の値が、50以上250以下であり、
    該カーボンブラックの含有量が、該基層に対して15.0~30.0質量%であり、
    該基層の厚み方向の断面において、該基層の内周面から外周面側に向かって厚さ方向に10μmまでの範囲を内周面領域としたとき、該内周面領域における、前記熱可塑性樹脂に対する前記カーボンブラックの分散性を示すL関数の値が、150nm以下である、ことを特徴とする電子写真画像形成装置。

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