JP2022191167A - 半導電性フィルム、電子写真用ベルト及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

半導電性フィルム、電子写真用ベルト及び電子写真画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022191167A
JP2022191167A JP2022087810A JP2022087810A JP2022191167A JP 2022191167 A JP2022191167 A JP 2022191167A JP 2022087810 A JP2022087810 A JP 2022087810A JP 2022087810 A JP2022087810 A JP 2022087810A JP 2022191167 A JP2022191167 A JP 2022191167A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
semiconductive film
conductive particles
intermediate transfer
image forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022087810A
Other languages
English (en)
Inventor
彰大 田谷
Akihiro Taya
英孝 河村
Hidetaka Kawamura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to US17/831,694 priority Critical patent/US20220397844A1/en
Publication of JP2022191167A publication Critical patent/JP2022191167A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Abstract

【課題】電子写真画像形成装置の中間転写体として長時間使用されても電気特性が低下しにくく、白抜け等の画像課題が発生しにくい半導電性フィルムを提供する。【解決手段】半導電性フィルムであって、バインダー樹脂と導電性粒子を含み、該半導電性フィルムの体積抵抗率が1×109Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、該半導電性フィルムは第1の樹脂を含む第1の相と、第2の樹脂を含む第2の相とを有し該導電性粒子は、該第2の相に偏在しており、該第1の樹脂が結晶性樹脂であり、該第2の樹脂の熱分解温度が400℃以上の非晶性樹脂である。【選択図】 図3

Description

本開示は、電子写真画像形成装置の中間転写体などに用い得る半導電性フィルム、電子写真用ベルト及び電子写真画像形成装置に関する。
近年、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の電子写真方式の画像形成装置において、高画質カラー画像を得る装置が様々上市されてきている。一般的に高画質カラー画像を得る場合、まず各色トナー画像をそれぞれ現像したのち、一次転写部で中間転写体に順次転写し、カラー画像を形成する。次に、中間転写体上に形成されたカラー画像を被記録媒体に一括で二次転写し、画像ズレの極めて少ない高画質カラー画像を得る。
ここで用いられる中間転写体として、熱可塑性樹脂中にカーボンブラックを分散させた樹脂組成物を溶融押し出し成形によりベルトとしたものが提案されている。
熱可塑性樹脂は、溶融押し出し成形が可能であるため、環境負荷の面やコスト面において熱硬化性樹脂より優位性があることで、現在も盛んに検討が進められている。
そうした中で、高速、高耐久性の求められる電子写真画像形成装置では、熱可塑性樹脂の中でも機械強度、耐久強度、耐熱性ともにハイパフォーマンスを有するスーパーエンジニアリングプラスチックを利用した検討も行われている。中でも、ポリエーテルエーテルケトンは耐磨耗性、耐薬品性、摺動性、強靭性、難燃性などの特性において優れている。
特許文献1にも、ポリエーテルエーテルケトンを用いた高耐久性の中間転写ベルトが開示されている。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂を用いた半導電性ベルトに関しては、高い機械強度特性、その耐久強度、耐熱性及びコスト等において格段に優れたものが期待されている。
しかしながら従来の熱可塑性樹脂を用いた半導電性ベルトにおいては中間転写体等の通電、放電を得るプロセスに用いて、繰り返し画像を出力し続けると、白抜けなどの画像不良を起こす現象が発生する場合がある。
特に一次転写部では、中間転写体の内周面と一次転写ローラーとの間に空隙が生じた場合に、中間転写体の導電性フィラーの凝集部と一次転写ローラーとの間で放電が生じ、局所的に中間転写体の電気抵抗が低下してしまう。そして、電気抵抗が低下した部分はトナーが転写されず、白く抜けたような画像(白抜け)が発生する。
このように中間転写体の電気抵抗が放電によって低下していく現象は、特に導電性フィラーの分散性が低い場合において顕著である。電気抵抗が低下する現象を防ぐために、特許文献1には下記のような半導電性フィルムが開示されている。
半導電性フィルムの断面で観察される導電性フィラーとしてのアセチレンブラックの粒子数密度が20個/μm以上であり、かつ、該アセチレンブラックの平均隣接壁面間距離が120nm以下である半導電性フィルム。
特開2012―133220号公報
ここで、本発明者らは、電子写真画像形成装置に対する、より一層のコストダウンの要求から、以下のことを検討した。すなわち、従来、一次転写ローラーとして用いられてきた、金属製の芯金の周囲が半導電性のゴム層で被覆された半導電性ゴムローラーを、金属製のローラーに置き換えることを検討した。しかしながら、一次転写ローラーを金属製のローラーとした場合、一次転写部の抵抗値が、中間転写体のみによって決定されることとなる。このため、一次転写部に流れる電流値を安定させるためには、中間転写体の体積抵抗率が耐久を通して変動しないことが必要となる。そして、本発明者らの検討の結果、このような中間転写体を得る上では、中間転写体の導電層中における導電性フィラーのバインダーへの分散性を向上させることが有効であった。
しかしながら、更なる検討の結果、導電性フィラーをバインダー中に高度に分散させた半導電性フィルムに対して、長時間に亘り高電圧を印加したところ、体積抵抗率が変化する場合があった。
本開示の少なくとも一つの態様は、長期に亘る電圧の印加によっても体積抵抗率の変動が防止された半導電性フィルムの提供に向けたものである。
また、本開示の他の態様は、長期に亘る電圧の印加によっても体積抵抗率の変動が防止された電子写真用ベルトの提供に向けたものである。
さらに、本開示の他の態様は、長期に亘って高品位な電子写真画像を安定して形成することができる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、半導電性フィルムであって、バインダー樹脂と、導電性粒子と、を含み、
体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、
第1の樹脂を含む第1の相と、第2の樹脂を含む第2の相とを有し、
該導電性粒子は、該第2の相に偏在しており、
該第1の樹脂が結晶性樹脂であり、該第2の樹脂の熱分解温度が400℃以上の非晶性樹脂である、半導電性フィルムが提供される。
また、本開示の他の態様によれば、上記の半導電性フィルムを有する電子写真用ベルトが提供される。
さらに、本開示の他の態様によれば、上記の半導電性フィルムを用いた中間転写体を具備する電子写真画像形成装置が提供される。
本開示の一態様によれば、白抜け画像の発生を抑制し、長時間の使用にわたり電気特性を安定化することが可能な中間転写体に用いることができる半導電性フィルムを提供することが可能となる。また、本開示の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を安定して出力できる電子写真画像形成装置を提供することが可能となる。
本実施形態の電子写真画像形成装置100の概略断面図である。 中間転写ベルト7の層構成の例を説明するための模式的な断面図である。 本開示における半導電性フィルムの模式図である。
以下に図面を参照して、本開示を実施するための形態について説明するが、本開示の範囲はこの形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を損ねない範囲で変更されたものも本発明に含まれる。
以下、本開示に係る半導電性フィルムをさらに詳しく説明する。
<1> 電子写真画像形成装置
まず、本開示に係る半導電性フィルムを用いた電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置とも記載する。)の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置100の概略断面図である。本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のカラーレーザープリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKを有する。これら第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKは、後述する中間転写ベルト7の平坦部分(画像転写面)の移動方向に沿ってこの順に配置されている。第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施形態では、画像形成部Pは、後述する感光ドラム1、帯電ローラー2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラー5を有して構成される。
画像形成部Pは、像担持体としてのドラム型(円筒状)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、基体としてのアルミニウム製のシリンダーの上に、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順に積層して形成したものである。感光ドラム1は、図中矢印方向(反時計回り方向)に回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラー状の帯電部材である帯電ローラー2によって、所定の極性(本実施形態では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電工程時に、帯電ローラー2には、負極性の直流成分を含む所定の帯電バイアス(帯電電圧)が印加される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(レーザースキャナー)3によって画像情報に応じて走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。
感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。現像工程時に、現像装置4が備える現像剤担持体としての現像ローラー4aには、負極性の直流成分を含む所定の現像バイアス(現像電圧)が印加される。本実施形態では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施形態では負極性)に帯電したトナーが付着する。
4個の感光ドラム1と対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は半導電性フィルムであり、複数の張架ローラーとしての駆動ローラー71、テンションローラー72及び二次転写対向ローラー73に掛け渡されて所定の張力で張架されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラー71が回転駆動されることで、感光ドラム1と接触して図中矢印R2方向(時計回り方向)に回転(周回移動)する。中間転写ベルト7の内周面側には、各感光ドラム1に対応して、一次転写手段としてのローラー状の一次転写部材である一次転写ローラー5が配置されている。
一次転写ローラー5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて押圧され、感光ドラム1と中間転写ベルト7とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)Tを形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部Tにおいて、一次転写ローラー5の作用によって、回転している中間転写ベルト7上に一次転写される。一次転写工程時に、一次転写ローラー5には、トナーの正規の帯電極性(現像工程時の帯電極性)とは逆極性(本実施形態では正極性)の直流電圧である一次転写バイアス(一次転写電圧)が印加される。一次転写ローラー5は、例えば、金属製で材質が硫黄及び硫黄複合快削鋼(SUM)やステンレス鋼(SUS)製である。一次転写ローラー5としては金属製の回転軸と、回転軸の外周面に形成される弾性層によって構成され、所望の抵抗値に調整されたもので構成されていてもよい。なお、一次転写ローラー5として、金属製のローラー-を用いた場合、中間転写ベルト7の内周面に金属製のローラーの表面が接触することとなる。その結果、前記したように一次転写部の電流値は、中間転写ベルトの体積抵抗率に大きく依存することになる。そのため、一次転写部におけるトナー像の転写性を経時的に安定させるためには、中間転写ベルトの体積抵抗率の変動の防止が特に重要となる。そして、本開示に係る半導電性フィルムによる効果は、このような場合において、特に有効に作用する。
中間転写体ベルト7の外周面側において、二次転写対向ローラー73と対向する位置には、二次転写手段としてのローラー状の二次転写部材である二次転写ローラー8が配置されている。二次転写ローラー8は、中間転写ベルト7を介して二次転写対向ローラー73に向けて押圧され、中間転写ベルト7と二次転写ローラー8とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)T2を形成する。上述のように中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラー8の作用によって、中間転写ベルト7と二次転写ローラー8とに挟持されて搬送されている紙(用紙)などの記録材(シート、転写材)S上に二次転写される。二次転写工程時に、二次転写ローラー8には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である二次転写バイアス(二次転写電圧)が印加される。二次転写においては、通常、十分な転写効率を確保するために数kVの転写電圧が印加される。記録材Sは、記録材Sが収納されているカセット12から、ピックアップローラー13によって搬送路に供給される。搬送路に供給された記録材Sは、搬送ローラー対14及びレジストローラー対15によって、中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部T2に搬送される。
トナー像が転写された記録材Sは、定着手段としての定着装置9に搬送される。定着装置9は、未定着のトナー像を担持した記録材Sを加熱及び加圧することで、トナー像を記録材S上に定着(溶融、固着)させる。トナー像が定着された記録材Sは、搬送ローラー対16、排出ローラー対17などによって画像形成装置100の装置本体の外部に排出(出力)される。
一次転写工程において中間転写ベルト7に転写されずに感光ドラム1の表面に残留したトナー(一次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段を兼ねる現像装置4によって現像と同時に回収される。また、二次転写工程において記録材Sに転写されずに中間転写ベルト7の表面に残留したトナー(二次転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置11によって中間転写ベルト7の表面から除去されて回収される。ベルトクリーニング装置11は、中間転写ベルト7の回転方向において二次転写部T2の下流かつ最上流の一次転写部Tyの上流(本実施形態では駆動ローラー71と対向する位置)に配置されている。ベルトクリーニング装置11は、中間転写ベルト7の表面に当接するように配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレードによって、回転している中間転写ベルト7の表面から二次転写残トナーをかき取って、回収容器11bに収容する。
このように、画像形成動作では、感光ドラム1から中間転写ベルト7、中間転写ベルト7から記録材Sへのトナー像の電気的転写プロセスが繰り返し行われる。また、多数の記録材Sへの画像形成を繰り返すことで、電気的転写プロセスがさらに繰り返し行われることになる。
<2> 電子写真用ベルト
中間転写ベルト7として用い得る電子写真用ベルトは、少なくとも基層(基材)を有する。また、該基層の少なくとも一方の表面を被覆する層を有する積層構造体であってもよい。このような電子写真用ベルトの形状としては、例えば、エンドレス形状を有するものが挙げられる。
図2は、電子写真用ベルトの層構成の例を説明するための模式的な断面図である。電子写真用ベルト7は、図2(a)に示すように、単一の層(ここでは、単層の場合も「基層」ということがある。)7aから構成されていてよい。また、電子写真用ベルト7は、図2(b)に示すように、基層7a、及び基層7aの上に設けられた表面層7bの少なくとも2層から構成されていてよい。なお、例えば基層7aと表面層7bとの間に中間層などの他の層が設けられるなどしていてもよい。以下に詳しく説明するように、基層7aは、樹脂に導電性粒子(以下、導電性フィラーとも記載する。)を含有させた半導電性フィルムである。
<3> 電子写真用ベルトの体積抵抗率の低下
導電フィラーの一例としてのCBを、バインダー樹脂に分散させ、シート状やエンドレスベルト状に成形した半導電性フィルムは、当該半導電性フィルムの表面から裏面にかけて、CBが連結して形成された導電パスを複数有する。このとき、導電パスの電気抵抗はCBからなる導電部の電気抵抗と、CBとCBが連結した際の接触抵抗部の電気抵抗とから構成される。なお、CBは、カーボンブラックを示す。
このような半導電性フィルムを、例えばフルカラー電子写真画像形成装置における中間転写ベルトに適用した場合、画像形成時に、半導電性フィルムへの高電圧の印加に伴う通電によって、負荷が集中することがある。そしてその結果、経時的に半導電性フィルムの体積抵抗率が低下することがあった。この体積抵抗率の低下は、導電パス中のCBの粒子間(CBとCBとの間)に存在するバインダー樹脂の劣化に起因するものであると考えられる。すなわち、電圧印加によるCBの粒子間に存在するバインダー樹脂に電界が集中し、当該バインダー樹脂が炭化することによって絶縁破壊を生じたためであると考えられる。
<4> 半導電性フィルム
本開示の一態様に係る半導電性フィルムは、例えば、電子写真用ベルトの基層を構成するものであり、体積抵抗率は1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である。
図3は本開示における半導電性フィルムの模式図である。半導電性フィルムは、少なくとも、結晶性である第1の樹脂を含む第1の相301と、非晶性である第2の樹脂を含む第2の相302と、第2の層に偏在する導電性フィラー303と、で構成されている。
本開示の一態様に係る半導電性フィルムは第1の樹脂中に、第2の樹脂を含む相を有し、当該第2の樹脂を含む相に導電性粒子が偏在した構成を有する。このような構成においては、導電パスを構成する導電性フィラーの各々の粒子間に第2の樹脂が介在していると考えられる。ここで、第2の樹脂が非晶性である場合、当該半導電性フィルムに長期に亘る電圧印加の後にも、当該半導電性フィルムの体積抵抗率の変化を防止することができる。第2の樹脂として非晶性の樹脂を用いることで、このような効果を得られる理由は明らかではないが、樹脂は結晶化度が小さくなるほど誘電率が大きくなる傾向がある。導電パス中の個々の導電性フィラー間に介在している第2の樹脂が非晶性であることで、導電性フィラー間の電場が小さくなり、導電性フィラー間の部分放電が減少したものと考えられる。その結果、半導電性フィルムに長期に亘り電圧が印加された場合においても当該半導電性フィルムの体積抵抗率の低下が抑制できるものと考えられる。
<第1の樹脂>
本開示に係る半導電性フィルムのバインダー樹脂としての第1の樹脂を構成する樹脂材料としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の結晶性熱可塑性樹脂が使用できる。
特に、中間転写ベルトは長期にわたる張力負荷を受けても伸びず、かつ、クリーニングブレードによる摺擦に対し表面磨耗しない性能が要求されるため、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が好適である。また、必要に応じて2種類以上の樹脂を選択して混合して用いてもよい。
<第2の樹脂>
第2の樹脂を構成する樹脂材料としては、各種非晶性樹脂が使用できる。特に、後述する半導電性フィルムの製造工程にて、第1の樹脂と混練する際には400℃を超える高温に曝される可能性があるため、熱分解温度が400℃以上である樹脂を使用する。
<熱分解温度>
熱分解温度は熱重量測定(TG)で求めることができる。TGは試料の温度を一定のプログラムによって変化または保持させながら、試料の質量を温度または時間の関数として測定する方法である。試料を大気雰囲気下で、室温から10℃/分の昇温速度で加熱し、質量が2%減少した際の温度を試料の熱分解温度と定義した。熱重量測定装置としては、例えば(株)日立ハイテクサイエンス製の示差熱熱重量同時測定装置STA7200などが使用できる。
そして、熱分解温度が400℃以上の樹脂の例としては、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリアミドイミド(PAI)が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。
<第2の樹脂の含有量>
第2の樹脂は導電性フィラー間を満たし、部分放電を抑制するために必要で、その含有量は導電性フィラーの含有量に対して、4質量%以上28質量%以下であることが好ましく、より好ましくは9質量%以上18質量%以下である。第2の樹脂の含有量が多すぎると第1の樹脂の機械強度や表面摩耗性を低減させてしまい、少なすぎると部分放電を抑制できない。
<導電性フィラー>
導電性フィラーはカーボンブラックや金属などの導電性を有する微粒子である。このうち優れた機械物性を得ることができるという観点からカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックには、その製法や原料により様々な呼称がある。具体的には、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラックなどである。
カーボンブラックとしては、公知の種々のものを用いることができる。具体的には、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラックが挙げられる。これらの中でも、不純物が少なく、上述の熱可塑性樹脂とともにフィルム形状に成形した場合に異物不良の頻度が少なく、また、所望の導電性を得やすい、アセチレンブラック、ファーネスブラックが好ましい。アセチレンブラックとしては、具体的には以下のものが挙げられる。「デンカブラック」シリーズ(デンカ(株)製)、「三菱導電フィラー」シリーズ(三菱化学(株)製)、「バルカン」シリーズ(キャボット社製)、「ブリンテックス」シリーズ(デグッサ社製)、「SRF」(旭カーボン(株)製)。ファーネスブラックとしては、具体的には以下のものが挙げられる。「トーカブラック」シリーズ(東海カーボン(株)製)、「旭カーボンブラック」シリーズ(旭カーボン(株)製)、「ニテロン」シリーズ(新日化カーボン(株)製)。
<導電性フィラーの含有量>
第1の樹脂、第2の樹脂及び導電性フィラー(導電性粒子)の含有量に対する導電性フィラーの含有量は、半導電性フィルムに必要な導電性を付与できること、半導電性フィルムの耐屈曲性や弾性率などの機械的強度、及び熱伝導率を考慮して選択される。導電性フィラーの含有量が多すぎると、機械的強度が低下するため、25.0質量%以下、好ましくは24.0質量%以下である。一方で含有量が少なすぎると、半導電性フィルムの導電率が小さくなりすぎる場合や、中間転写ベルト内部での導電性フィラーの分散状態を良好に保つことが難しくなる場合がある。このため、導電性フィラーの含有量は20.0質量%以上、好ましくは21.0質量%以上である。
<導電性フィラーの一次粒子の個数平均粒径>
添加する導電性フィラーの一次粒子の個数平均粒径(以下、平均一次粒径とも記載する。)は、10nm以上30nm以下が好ましい。平均一次粒径を10nm以上とすることで、フィラーの再凝集を抑制できる。また、平均一次粒径を30nm以下とすることで、分散性の低下を抑制でき、放電による中間転写体の抵抗低下を防止することができる。
<5> 半導電性フィルムの製造工程
本開示の一態様に係るにおける半導電性フィルムは、例えば、下記の工程(i)~(iii)を含む方法によって製造することができる。
(i)第2の樹脂と導電性フィラーとを混合し、導電性フィラー表面を第2の樹脂で被覆した表面処理導電性フィラーを得る前処理工程
(ii)第1の樹脂と前処理工程で得た表面処理導電性フィラーとを、第1の樹脂のガラス転移点以上である温度環境下で混合して混合物を得る混合工程
(iii)混合工程で得られた混合物を、樹脂材料の溶融温度以上の温度で溶融し、円筒チューブ状に成形する成形工程
以下、上記の工程(i)~(iii)について説明する。
<工程(i)(前処理工程)>
前処理工程では、第2の樹脂と導電性フィラーを混合し、導電性フィラー表面を第2の樹脂で被覆した表面処理導電性フィラーを得る。まず、第2の樹脂を溶媒中に溶解させる。一般的に非晶性の樹脂はN-メチル-2-ピロリドンやN,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒に溶解する。樹脂の前駆体には水溶性のものもあり、その場合は水溶液でも良い。次に、第2の樹脂の溶液に導電性フィラーを混合させる。前述したように、第2の樹脂の含有量が導電性フィラーの含有量に対して4質量%以上28質量%以下であることが好ましく、より好ましくは9質量%以上18質量%以下となるようにする。混合した溶液は分散機を用いて導電性フィラーを充分に分散し、溶媒を除去して乾燥させる。分散機としては公知の種々のものを用いることができるが、具体的にはペイントシェーカーやビーズミル、高圧噴射式分散機、超音波分散機等を用いることができる。その中でも優れた分散効率を得ることができるという観点からペイントシェーカーを用いることが好ましい。また分散機の処理時間、処理量などは材料に応じて適切に選択することが必要である。
溶媒の除去には、加熱乾燥の他に、酸やアルカリを用いて樹脂を軟凝集させて濾過する方法がある。また、樹脂の前駆体を用いた場合は、溶媒の除去、乾燥後に樹脂を硬化させる処理を行う。得られた粉末を乳鉢等で粉砕し表面処理導電性フィラーを得る。
<工程(ii)(混合工程)>
混合工程では、第1の樹脂材料と前処理工程で得た表面処理導電性フィラーとを、第1の樹脂材料のガラス転移点以上の温度環境下で混合して混合物を得る。混合工程に用いる混合機としては、バレル又はシリンダー内に2本のスクリューを備える二軸スクリュー混練機を使用することができる。供給部の供給孔から供給された混合物は、スクリューの回転によってダイに向けて前進しながら、バレル又はシリンダー、スクリュー、及び原料の間の摩擦によって剪断発熱し、溶融混合される。その際に、バレル又はシリンダー内の温度が高くなりすぎると、樹脂材料が熱分解又は熱劣化する。そのため、バレル又はシリンダーの外部からの冷却や温度調整、スクリューの回転速度の調整などを行って、原料の温度が高くなりすぎないように制御することが必要である。他方で、バレル又はシリンダーの温度が低くなりすぎると、樹脂材料が安定した溶融状態を形成しないため、導電性フィラーの分散状態が不均一となり、機械的、電気的及び光学的な特性に優れた混合物を得ることが困難である。二軸スクリュー混練機の先端部には、通常、ストランドダイが設置されており、混合物を棒状に押し出し、空冷後、切断してペレット状の混合物を作製する。
なお、混合工程の前に第1の樹脂と表面処理導電性フィラーとを、流動式混合機により第1の樹脂材料のガラス転移点未満の温度環境下で混合する混合工程を設けても良い。流動式混合機としては、固体の流動運動を利用して混合する機構をもつ公知の種々のものを用いることができるが、具体的にはヘンシェルミキサーやリボンミキサー、プラネタリーミキサーなどの混合機を用いることができる。その中でも、混合効率が優れるという観点からヘンシェルミキサーを用いることが好ましい。また、流動式混合機の回転数、処理時間、処理量などは材料に応じて適切に選択することが必要である。
<工程(iii)(成形工程)>
成形工程では、混合工程で得られた混合物を、円筒チューブ状のベルト形状へ成形する。成形には、使用する樹脂に応じて押出成形法、インフレーション成形法などの方法を選択することが可能であるが、生産性が優れるという観点から円筒押出成形法を用いることが好ましい。
押出成形法における押出機としては、バレル又はシリンダー内に1本のスクリューを備える単軸式又は2本以上のスクリューを組み合わせた多軸式のいずれの押出機も使用することができる。供給部の供給孔から供給された上記ペレット状の混合物は、スクリューの回転によってダイに向けて前進しながら、バレル又はシリンダーからの熱エネルギーとスクリューからの機械エネルギーを受け、実質的に完全に溶融して押出機の先端部へと定量供給される。押出機の先端部には円筒ダイが設置されており、円筒ダイから下方に押し出し、下方より引き取ることで、上記混合物は円筒チューブ状に成形される。
なお、単一又は二以上の層から構成される中間転写体の基層の厚さは、通常、10~500μm程度、典型的には50~200μm程度とされる。ただし、これに限定されるものではない。
<6> 第1の樹脂と第2の樹脂、および導電性フィラーの配置の確認方法
成形された半導電性フィルムを加熱しながら走査型電子顕微鏡で観察することで、第1の樹脂と第2の樹脂、および導電性フィラーの配置を確認することが可能である。つまり、導電性粒子が第2の相に偏在しているか、導電性粒子と導電性粒子とが互いに直接接しているか、導電性粒子と導電性粒子とが第2の樹脂を介して接しているかなどを確認することが可能である。
まず半導電性フィルムをカッターナイフ等により10mm×10mm程度の矩形に切り出した後、エポキシ樹脂で包埋する。エポキシ樹脂が硬化した後、研磨紙により断面サンプルを作製する。さらに、断面部をイオンミリングし、第1及び第2の樹脂部と導電性フィラー部の間に段差を設ける。イオンミリングの装置としては、例えばIM4000((株)日立製作所製)を用いることができる。
次に、断面部を加熱できる治具が用意された走査型電子顕微鏡で断面部を観察する。例えば、試料を加熱する治具としてはADURO(ProtoChips社製)、走査型電子顕微鏡としてはJSM-7100F(日本電子製)を用いることができる。室温では導電性フィラーの配置を確認することができる。温度を徐々に上げていき、約400℃前後で第2の樹脂が溶融変形を始める。これによって第2の樹脂の配置を確認することができる。
[実施例1]
<前処理工程>
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)74gに第2の樹脂として三井化学製のポリエーテルスルホン・E1010(PES)4gを溶解させ、導電性フィラーとしてのカーボンブラック(品番:#44、三菱化学(株)製)を22g加えた。さらに1mmガラスビーズ30gを加えて密栓し、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で10時間振とうした。次いで、目開き0.2mmのメッシュでガラスビーズを濾別し、濾液をアルミニウム製の容器に移して温度200℃に加熱し、溶媒を蒸発させた。アルミニウム容器中に残った粉末を回収し、乳鉢で粉砕し、表面処理導電性フィラーを得た。
<混合工程>
下記の材料を混合し、設定温度380℃の2軸スクリュー混練機マイクロコンパウンダー(サーモフィッシャー製)にて混練、棒状に押し出し、空冷後、切断してペレット状の混合物を作製した。
・表面処理導電性フィラー 26g(導電性フィラー分は22g、ポリエーテルスルホン分は4g)
・第1の樹脂としてVictrex製のポリエーテルエーテルケトン・450G(PEEK) 74g
<成形工程>
混合工程で得られた混合物を、円筒チューブ状のベルト形状へ成形するために、押出成形法を用いて成形を行い、厚さ80μmの半導電性フィルムを得た。
<走査型電子顕微鏡による観察>
走査型電子顕微鏡による観察によって、導電層が第1の樹脂を含む第1の相と、第2の樹脂を含む第2の相とを有すること、導電性粒子が第2の相に偏在していること、を確認した。
<体積抵抗率の評価>
下記の抵抗率測定装置に下記のリング状プローブと下記の測定ステージとを接続した。
そして、プローブと測定ステージの間に作製した半導電性フィルムを挟み約2kg重の圧力を加えながら、プローブの内側の電極(主電極)と測定ステージとの間に10Vの電圧を印加して測定した。
・抵抗率測定装置(商品名:ハイレスタUP、三菱化学(株)製)
・リング状プローブ(商品名:URSプローブ、三菱化学(株)製、内側の電極の外径5.9mm、外側の電極の内径11.0mm、外側電極の外径17.8mm)
・測定ステージ(商品名:レジテーブルUFL、三菱化学(株)製)
下記の評価基準に基づいてランク付けした。
A:体積抵抗率が、1×1010Ω・cm以上1×1011Ω・cm以下
B:体積抵抗率が、1×10Ω・cm以上1×1010Ω・cm未満又は1×1011Ω・cm超1×1012Ω・cm以下
C:体積抵抗率が、1×10Ω・cm未満又は1×1012Ω・cm超
<抵抗低下の評価>
図1に示した構成を有する下記の電子写真画像形成装置に、作製した半導電性フィルムを適用して、低湿環境(温度23℃/相対湿度5%)において下記のA3サイズの普通紙を連続通紙する耐久試験を600,000枚まで実施した。
電子写真画像形成装置(商品名:S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ社製)
A3サイズの普通紙(CS068、キヤノン(株)製)
耐久試験では、画像は形成せず、通電と送紙を繰り返した。試験終了後の半導電性フィルムを上記体積抵抗率の評価法を用いて体積抵抗率を求め、試験開始前の体積抵抗率との差を確認し、下記の評価基準に基づいてランク付けした。
A:試験終了後の体積抵抗値が試験開始前の体積抵抗率の0.8乗以上
B:試験終了後の体積抵抗値が試験開始前の体積抵抗率の0.6乗以上0.8乗未満
C:試験終了後の体積抵抗値が試験開始前の体積抵抗率の0.6乗未満
<機械強度の評価>
引張試験機を用いて作製した半導電性フィルムのヤング率、及び上降伏点の応力を測定し、下記の評価基準に基づいてランク付けした。
A:上降伏点の応力が40MPa以上、かつヤング率が1000MPa以上
B:上降伏点の応力が20MPa以上40MPa未満、かつヤング率が500MPa以上、又は上降伏点の応力が20MPa以上、かつヤング率が500MPa以上1000MPa未満
C:上降伏点の応力が20MPa未満、又はヤング率が500MPa未満、の少なくともいずれか一方に該当する
[実施例2]
カーボンブラックを「トーカブラック#7550」(商品名、東海カーボン社製)に変更した以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例3]
前処理工程における第2の樹脂の量を2.2g、N,N-ジメチルホルムアミドの量を75.8gに変更し、混合工程における表面処理導電性フィラーの量を24.2g、ポリエーテルエーテルケトンの量を75.8gに変更した。上記以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例4]
前処理工程における第2の樹脂量を1.1g、N,N-ジメチルホルムアミドの量を76.9gに変更し、混合工程における表面処理導電性フィラーの量を23.1g、ポリエーテルエーテルケトンの量を76.9gに変更した。上記以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例5]
前処理工程における第2の樹脂量を6.0g、N,N-ジメチルホルムアミドの量を72.0gに変更し、混合工程における表面処理導電性フィラーの量を28.0g、ポリエーテルエーテルケトンの量を72.0gに変更した。上記以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例6]
第2の樹脂をSOLVAY社製ポリスルホン・P-1700(PSU)に変更した以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例7]
本実施例では、第2の樹脂を三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ社製ポリエーテルイミド・ジュラトロンU-1000(PEI)に変更した以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例8]
本実施例では、第2の樹脂をBASF社製ポリフェニルスルホン・P-3010(PPSU)に変更した以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例9]
本実施例では、第2の樹脂を旭化成ケミカルズ製の変性ポリフェニレンエーテル・ザイロンS201A(m-PPE)に変更した以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例10]
<前処理工程>
水62.3gに第2の樹脂の原料として水溶性ポリアミドイミド前駆体(商品名:HPC-1000、昭和電工マテリアルズ(株)製、固形分28%)を15.7g(固形分4.4g)を溶解させ、更に、カーボンブラック(商品名:#44、三菱化学(株)製)を22g加えた。さらに直径1mmのガラスビーズ30gを加えて密栓し、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で10時間振とうした。その後、目開き0.2mmのメッシュでガラスビーズを濾別し、液中に1mol/Lの塩酸を沈殿が生じなくなるまで加えて軟凝集させた。濾過して得た固形分を充分に乾燥させ、乳鉢で粉砕し、表面処理導電性フィラーを得た。
<混合工程>
表面処理導電性フィラー26.4gと第1の樹脂としてポリエーテルエーテルケトン73.6gを混合し、設定温度380℃の2軸スクリュー混練機マイクロコンパウンダー(サーモフィッシャー製)にて混練し、棒状に押し出した。そして、空冷後、切断してペレット状の混合物を作製した。
<成形工程>
この混合物を用いた以外は実施例1の成形工程と同様にして半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例11]
前処理工程における第2の樹脂量を7.1g、水の量を70.9gに変更し、混合工程における表面処理導電性フィラーの量を24.0g、ポリエーテルエーテルケトンの量を76.0gに変更した。上記以外は実施例10と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例12]
前処理工程における第2の樹脂量を3.6g、水の量を74.4gに変更し、混合工程における表面処理導電性フィラーの量を23.0g、ポリエーテルエーテルケトンの量を77.0gに変更した。上記以外は実施例10と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例13]
前処理工程における第2の樹脂量を21.4g、水の量を56.6gに変更し、混合工程における表面処理導電性フィラーの量を28.0g、ポリエーテルエーテルケトンの量を72.0gに変更した。上記以外は実施例10と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例14]
前処理工程における第2の樹脂量を4.0g、導電性フィラー量を20.0g、N,N-ジメチルホルムアミドの量を76gに変更し、
混合工程における表面処理導電性フィラーの量を24.0g、ポリエーテルエーテルケトンの量を76.0gに変更した。上記以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例15]
前処理工程における第2の樹脂量を4.0g、導電性フィラー量を24.0g、N,N-ジメチルホルムアミドの量を72gに変更し、
混合工程における表面処理導電性フィラーの量を28.0g、ポリエーテルエーテルケトンの量を72.0gに変更した。上記以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[実施例16]
混合工程における第1の樹脂をSK chemicals製ポリフェニレンサルファイド・ECOTRAN(PPS)に変更した以外は実施例1と同様の手法で半導電性フィルムを作製し、評価した。
[比較例1]
導電性フィラーとして、表面処理を行わないカーボンブラック(商品名:#44、三菱化学(株)製)を用意した。このカーボンブラック22gと、ポリエーテルエーテルケトン78.0gとを用いた以外は、実施例1における混合工程と同様にしてペレット状の混合物を調製した。この混合物を用いた以外は実施例1における成形工程と同様にして半導電性フィルムを作製し、評価した。
[比較例2]
実施例1における前処理工程と同様にして表面処理導電性フィラーを調製した。当該表面処理導電性フィラーの量を18g、ポリエーテルエーテルケトンの量を82gに変更した以外は比較例1と同様にしてペレット状の混合物を調製した。この混合物を用いた以外は実施例1の成形工程と同様にして半導電性フィルムを作製し、評価した。
[比較例3]
表面処理を行わないカーボンブラックの量を26g、ポリエーテルエーテルケトンの量を74.0gに変更した以外は比較例1と同様にしてペレット状の混合物を得た。この混合物を用いた以外は実施例1と同様にして半導電性フィルムを作製し、評価した。
[比較例4]
導電性フィラーとして、表面処理を行わないカーボンブラック(商品名:#44、三菱化学(株)製)を用意した。このカーボンブラック22gと、ポリエーテルエーテルケトン74.0gと、ポリエーテルスルホン(PES)4gとを用いた以外は、実施例1における混合工程と同様にしてペレット状の混合物を調製した。得られた混合物を用いた以外は実施例1と同様にして半導電性フィルムを作製し、評価した。
[比較例5]
<前処理工程>
結晶性樹脂であるポリフェニレンサルファイド(PPS)6gと、カーボンブラック(商品名:#44、三菱化学(株)製)22gとを、設定温度380℃の2軸スクリュー混練機マイクロコンパウンダー(サーモフィッシャー製)にて混合した。得られた混合物をポータブル粉砕機(商品名:OML-1、大阪ケミカル(株)製)を用いて粉末状に粉砕し、表面処理導電性フィラーを得た。
<混合工程>
上記で得た表面処理導電性フィラー28.0gと、第1の樹脂としてのポリエーテルエーテルケトン72.0gとを用いた以外は実施例1の混合工程と同様にしてペレット状の混合物を作製した。この混合物を用いた以外は実施例1と同様にして半導電性フィルムを作製し、評価した。
[比較例6]
第2の樹脂として三菱ガス化学社製ポリカーボネート・ユピゼータPCZ-200(PC)を用いた以外は実施例1の前処理工程と同様にして表面処理導電性フィラーを調製した。この表面処理導電性フィラーを用いた以外は、実施例1と同様にしてペレット状の混合物を調製した。ここで得られた混合物は、多孔質状の脆いものであった。この混合物を用いた場合は実施例1の成形工程と同様にして半導電性フィルムの成形を行ったが、半導電性フィルムを得ることができなかった。
各実施例、比較例の半導電性フィルムの作製条件を表1に、観察結果および評価結果を表2に示す。
Figure 2022191167000002
Figure 2022191167000003
本開示は、以下の構成を含む。
[構成1]
半導電性フィルムであって、
バインダー樹脂と、導電性粒子と、を含み、
体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、
第1の樹脂を含む第1の相と、第2の樹脂を含む第2の相とを有し、
該導電性粒子は、該第2の相に偏在しており、
該第1の樹脂が結晶性樹脂であり、該第2の樹脂の熱分解温度が400℃以上の非晶性樹脂である、半導電性フィルム。
[構成2]
前記第2の相に偏在している前記導電性粒子は、前記導電性粒子と前記導電性粒子とが、互いに直接接している、または、前記第2の樹脂を介して接している構成1に記載の半導電性フィルム。
[構成3]
前記導電性粒子がカーボンブラックであり、
前記導電性粒子の含有量が、前記第1の樹脂、前記第2の樹脂及び前記導電性粒子の含有量に対して21.0質量%以上、24.0質量%以下である構成1又は2に記載の半導電性フィルム。
[構成4]
前記非晶性樹脂が、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、及びポリアミドイミド(PAI)からなる群から選ばれるいずれかの非晶性樹脂である構成1~3のいずれかに記載の半導電性フィルム。
[構成5]
前記第2の樹脂の含有量は、前記導電性粒子の含有量に対して4質量%以上28質量%以下である構成1~4のいずれかに記載の半導電性フィルム。
[構成6]
前記第2の樹脂の含有量が前記導電性粒子の含有量に対して9質量%以上18質量%以下である構成5に記載の半導電性フィルム。
[構成7]
前記結晶性樹脂がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリフェニレンサルファイド(PPS)、のいずれかである構成1~6のいずれかに記載の半導電性フィルム。
[構成8]
構成1~7のいずれかに記載の半導電性フィルムを基層として有する電子写真用ベルト。
[構成9]
中間転写体を具備する電子写真画像形成装置であって、該中間転写体が、構成1~7のいずれかに記載の半導電性フィルムを有する電子写真画像形成装置。
[構成10]
前記中間転写体がエンドレス形状を有する電子写真用ベルトであり、前記半導電性フィルムを基層として具備する構成9に記載の電子写真画像形成装置。
[構成11]
前記電子写真用ベルトの内周面に接している一次転写ローラーを更に具備し、該一次転写ローラーが金属製のローラーである、構成10に記載の電子写真画像形成装置。
100 画像形成装置
7 電子写真用ベルト
7a 基層
7b 表面層
301 第1の相
302 第2の相
303 導電性フィラー


Claims (11)

  1. 半導電性フィルムであって、
    バインダー樹脂と、導電性粒子と、を含み、
    体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、
    第1の樹脂を含む第1の相と、第2の樹脂を含む第2の相とを有し、
    該導電性粒子は、該第2の相に偏在しており、
    該第1の樹脂が結晶性樹脂であり、該第2の樹脂の熱分解温度が400℃以上の非晶性樹脂である、ことを特徴とする半導電性フィルム。
  2. 前記第2の相に偏在している前記導電性粒子は、前記導電性粒子と前記導電性粒子とが、互いに直接接している、または、前記第2の樹脂を介して接している請求項1に記載の半導電性フィルム。
  3. 前記導電性粒子がカーボンブラックであり、
    前記導電性粒子の含有量が、前記第1の樹脂、前記第2の樹脂及び前記導電性粒子の含有量に対して21.0質量%以上、24.0質量%以下である請求項1に記載の半導電性フィルム。
  4. 前記非晶性樹脂が、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、及びポリアミドイミド(PAI)からなる群から選ばれるいずれかの非晶性樹脂である請求項1に記載の半導電性フィルム。
  5. 前記第2の樹脂の含有量は、前記導電性粒子の含有量に対して4質量%以上28質量%以下である請求項1に記載の半導電性フィルム。
  6. 前記第2の樹脂の含有量が前記導電性粒子の含有量に対して9質量%以上18質量%以下である請求項5に記載の半導電性フィルム。
  7. 前記結晶性樹脂がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリフェニレンサルファイド(PPS)、のいずれかである請求項1に記載の半導電性フィルム。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の半導電性フィルムを基層として有することを特徴とする電子写真用ベルト。
  9. 中間転写体を具備する電子写真画像形成装置であって、該中間転写体が、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導電性フィルムを有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
  10. 前記中間転写体がエンドレス形状を有する電子写真用ベルトであり、前記半導電性フィルムを基層として具備する請求項9に記載の電子写真画像形成装置。
  11. 前記電子写真用ベルトの内周面に接している一次転写ローラーを更に具備し、該一次転写ローラーが金属製のローラーである、請求項10に記載の電子写真画像形成装置。

JP2022087810A 2021-06-15 2022-05-30 半導電性フィルム、電子写真用ベルト及び電子写真画像形成装置 Pending JP2022191167A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US17/831,694 US20220397844A1 (en) 2021-06-15 2022-06-03 Semi electro-conductive film, electrophotographic belt, and electrophotographic image forming apparatus

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021099261 2021-06-15
JP2021099261 2021-06-15

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022191167A true JP2022191167A (ja) 2022-12-27

Family

ID=84612682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022087810A Pending JP2022191167A (ja) 2021-06-15 2022-05-30 半導電性フィルム、電子写真用ベルト及び電子写真画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022191167A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102191948B1 (ko) 전자 사진용 벨트 및 전자 사진 화상 형성 장치
JP4563665B2 (ja) 半導電性フィルム、電荷制御部材、及び半導電性フィルムの製造方法
JP7110016B2 (ja) 中間転写ベルト、中間転写ベルトの製造方法、及び画像形成装置
JP5533022B2 (ja) 半導電性複合樹脂
JP5640406B2 (ja) 半導電性複合樹脂
JP2022191167A (ja) 半導電性フィルム、電子写真用ベルト及び電子写真画像形成装置
US11614700B2 (en) Intermediate transfer member and image forming apparatus
US20220397844A1 (en) Semi electro-conductive film, electrophotographic belt, and electrophotographic image forming apparatus
JP5744506B2 (ja) 半導電性フィルム及び電子写真画像形成装置
JP4740566B2 (ja) 半導電性フィルム、その製造方法及び電荷制御部材
EP2818939B1 (en) Belt assembly, image-forming apparatus, and method for manufacturing the belt assembly
JP4096526B2 (ja) 中間転写体、中間転写体の製造方法、画像形成装置
JP2022136740A (ja) 電子写真用ベルト及び電子写真画像形成装置
JP2023075032A (ja) 電子写真用ベルト及び電子写真画像形成装置
JP2016109792A (ja) シームレスベルトの製造方法
JP2016141710A (ja) 半導電性樹脂組成物、電子写真用部材及び画像形成装置
US11487227B2 (en) Intermediate transfer member and image forming apparatus
JP2015055740A (ja) 導電性樹脂ベルトおよびその製造方法、並びに該導電性樹脂ベルトを用いた中間転写ベルトおよび画像形成装置
JP2006154062A (ja) 電子写真用熱可塑性樹脂製エンドレスベルト、電子写真用熱可塑性樹脂製エンドレスベルトを有する電子写真装置および電子写真用熱可塑性樹脂製エンドレスベルトの製造方法
US20240085828A1 (en) Intermediate transfer member, image forming apparatus, and production device for polymer mixture
JP7064374B2 (ja) 電子写真用ベルトおよび電子写真画像形成装置
JP2024040117A (ja) 中間転写体、画像形成装置、高分子混合物の製造装置とその製造方法
JP2017126017A (ja) 樹脂ベルトおよびその製造方法並びに画像形成装置
JP2023172549A (ja) 樹脂部材及び画像形成装置
JP2012220839A (ja) 半導電性フィルム及び電子写真画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20231101

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20231113