JP2011180206A - 半導電性複合樹脂 - Google Patents

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【課題】耐摩耗性、耐薬品性、抵抗安定性を有する半導電性複合樹脂を提供する。
【解決手段】元素分析による窒素と炭素の元素比C/Nが7以上である一般式(I)又は(II)で表されるポリアミド樹脂にカーボンブラックが分散されたカーボンブラック分散ポリアミド樹脂、及びポリフッ化ビニリデン樹脂を含む半導電性複合樹脂である。
Figure 2011180206

【選択図】なし

Description

本発明は、半導電性複合樹脂及びこれを用いた画像形成装置用の転写ベルトに関し、さらに詳しくは、電子写真方式の画像形成装置である複写機又はプリンター等に用いられる転写ベルトに関する。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐汚染性、非粘着性、成形加工性等の物性が優れているため、電荷制御部材の樹脂材料として好適である。しかし、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は絶縁体であるため、電荷制御部材として使用するためにはその電気抵抗を下げる必要がある。また、場所による体積抵抗率のばらつきがなく、均一であることが必要とされている。
絶縁性樹脂の電気抵抗を下げ、体積抵抗率を均一にする方法として、シリカ微粒子、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、カーボンファイバー(CF)、カーボンブラック(CB)、粘土などのナノレベルのフィラーを均一に分散させる溶融混練物の製造方法及びその製造方法により得られる溶融混練物、並びにその溶融混練物を成形することにより得られる樹脂成形物を製造することの試みは既になされている。しかしながら、得られる樹脂成形物の特性を調べてみると、期待するほどではなく、必ずしも満足する結果が得られていない。
これらの場合は、フィラーをポリフッ化ビニリデン(PVDF)に添加してフィラーなどを均一かつナノレベルで分布させることが重要であることが指摘されている。しかしながら、ナノサイズレベルのフィラー、例えばカーボンナノチューブや粘土(層状ケイ酸塩)、籠状ポリシルセスキオキサン化合物は、一次粒子としての粒径や空隙率が小さいために、フィラー同士の凝集力が極めて強く、通常の方法では、この凝集力を解くのは困難である。このため、これらのフィラーをナノレベルまで均一分散することは技術的に困難を伴う。
これらの課題を解決するため、カーボンブラックを分散したポリアミド(PI)とポリフッ化ビニリデン(PVDF)をブレンドし、PVDFマトリクス中にPIを分散させた海島構造とすることにより、ナノレベルのカーボンブラックの分散性を持たせるという考え方が提案されている。この構成ではカーボンブラックをナノレベルにまで分散さることができるため、PVDFの良さを活かしつつ均一にかつ所望の抵抗レベルまで電気抵抗を低下させることが可能となった。ただし、カーボンブラックの微分散に有効なポリアミドは比較的吸水性が高いために、高湿環境下において抵抗が大きく低下してしまうという新たな不都合が発生していた。
特許文献1には、ポリフッ化ビニリデンとポリエーテルエステルアミドとポリオレフィンポリエーテルを含有し、海島構造を有する転写ベルトが開示され、帯電防止剤による抵抗調整と非導電性金属酸化物等による強度向上を図ることを目的としている。しかしながら、金属酸化物の微分散が得られなければ高速化、高画質化に対応できるだけの十分な強度が得られないという問題がある。
また、非特許文献1には、カーボンナノチューブとポリアミドとポリフッ化ビニリデンとのブレンド物が記載されているが、このブレンド物においては、ポリアミド中にカーボンナノチューブが存在しないため、カーボンナノチューブの分散性が悪く、電気特性が不十分であるという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性、耐薬品性、環境下での抵抗安定性を有する半導電性複合樹脂を提供することを目的とする。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明の半導電性複合樹脂は、元素分析による窒素と炭素の元素比C/Nが7以上である下記一般式(I)又は(II)で表されるポリアミド樹脂にカーボンブラックが分散されたカーボンブラック分散ポリアミド樹脂、及びポリフッ化ビニリデン樹脂を含むことを特徴とする。
Figure 2011180206
(式中、R及びRは置換もしくは未置換のアルキレン基又はアリーレン基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。RとRの炭素数の合計は14〜18である。Rは炭素数7〜12の置換もしくは未置換のアルキレン基又はアリーレン基を示す。nは繰り返し単位を示す。)
2.本発明の半導電性複合樹脂は、さらに、カーボンブラック分散ポリアミドの樹脂の量が、ポリフッ化ビニリデン樹脂100質量部に対して20〜50質量部であることを特徴とする。
3.本発明の半導電性複合樹脂は、さらに、カーボンブラックの量が、ポリアミド樹脂100質量部に対して10〜50質量部であることを特徴とする。
4.本発明の樹脂成形加工体は、上記半導電性複合樹脂を成形加工して得られることを特徴とする。
5.本発明の樹脂成形加工体シートは、上記樹脂成形加工体からなることを特徴とする。
6.本発明の画像形成装置用転写ベルトは、上記樹脂成形加工体シートからなることを特徴とする。
7.本発明の画像形成装置用転写ベルトは、さらに、樹脂成形加工体シートの体積抵抗率が10〜10(Ω・cm)の範囲にあることを特徴とする。
8.本発明の画像形成装置は、上記画像形成装置用転写ベルトを用いたことを特徴とする。
本発明によれば、耐摩耗性、耐薬品性、環境下での抵抗安定性を有する半導電性複合樹脂を提供することができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略断面図である。 感光体を配設する作像形成部の構成を示す概略断面図である。 現像装置の構成を示す概略断面図である。 プロセスカートリッジの構成を示す概略断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
ポリマーの吸水性は官能基の量に影響を受け、単位質量あたりの官能基の量を少なくすることでポリマーの含水率を下げることが可能となる。本発明の半導電性複合樹脂は、ポリアミド樹脂として、炭素数の多いアルキレン基又はアリーレン基を含むものを用いるため、相対的に官能基の量が減少し、その結果、ポリアミド樹脂の吸水性を低下させて環境下での抵抗変動を抑制することが可能となる。すなわち、単位重量あたりの官能基量の少ないポリアミド樹脂中にカーボンブラックを分散させたカーボンブラック分散ポリアミド樹脂と、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)をブレンドし、PVDFマトリクス中にポリアミド樹脂が分散された海島構造を形成することで、耐摩耗性、耐薬品性、環境下での抵抗安定性を有する半導電性複合樹脂を提供することができる。
本発明の半導電性複合樹脂は、元素分析による窒素と炭素の元素比C/Nが7以上である下記一般式(I)又は(II)で表されるポリアミド樹脂にカーボンブラックが分散されたカーボンブラック分散ポリアミド樹脂、及びポリフッ化ビニリデン樹脂を含む半導電性複合樹脂である。
Figure 2011180206
式中、R及びRは置換もしくは未置換のアルキレン基又はアリーレン基を示す。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基及びオクタメチレン基等が挙げられる。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基及びフェナントレニレン基などが挙げられる。置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、臭素、塩素、ヨウ素、フッ素などのハロゲン元素、メトキシ基、エトキシプロポキシ基、フェノキシ等のアルコキシ基などが挙げられる。
及びRは同一でも異なっていてもよい。RとRの炭素数の合計は14〜18である。
は炭素数7〜12の置換もしくは未置換のアルキレン基又はアリーレン基を示し、具体的には、R及びRにおいて例示したもののうち炭素数7〜12のもの等が挙げられる。nは繰り返し単位を示す。上記一般式(I)において、nは通常10〜250程度、好ましくは25〜150である。また、上記一般式(II)において、nは通常20〜500程度、好ましくは50〜300である。
ポリフッ化ビニリデン樹脂としては、フッ化ビニリデン単独重合体等のポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いることができる。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、デンカブラック、ケッチェンブラック及びアセチレンブラック等の導電性カーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックの平均粒径は、200nm以下であることが好ましく、10〜150nmがより好ましい。
カーボンブラックは導電性を示すものであればよいが、特にポリアミド樹脂との親和性の観点からpHで酸性を示すものが好ましい。このような酸性カーボンブラックを用いた場合、ポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びカーボンブラックのドライブレンド品であっても酸塩基の親和性からポリアミド樹脂にカーボンブラックが集中し、これに高せん断を加えることでカーボンブラックが分散したポリアミド樹脂をポリフッ化ビニリデン樹脂中に微分散させることが可能である。マスターバッチを用いた場合も同様に各工程で高せん断が必要である。マスターバッチは、カーボンブラックを、加圧ニーダー、2軸エクストゥルーダー、2軸オープンロール等の高せん断機を用いてポリアミド樹脂にカーボンブラックを分散させることにより得ることができる。
上記の工程を経ることによって、ポリフッ化ビニリデン樹脂マトリクス中にカーボンブラック分散ポリアミド樹脂が非連続に存在する海島構造を形成する。このときのカーボンブラック分散ポリアミド樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とのブレンド比率によって、半導電性複合樹脂の体積抵抗率を制御することができる。
本発明の半導電性複合樹脂において、カーボンブラック分散ポリアミド樹脂の量は、ポリフッ化ビニリデン樹脂100質量部に対して20〜50質量部であることが好ましく、25〜50質量部がより好ましい。カーボンブラック分散ポリアミド樹脂におけるカーボンブラックの量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して10〜50質量部であることが好ましく、20〜50質量部がより好ましい。また、最終的に得られる半導電性樹脂(全樹脂成分)100質量部に対するカーボンブラックの割合は、体積抵抗率の観点から5〜25質量部となることが望ましい。
抵抗率に関しては、体積抵抗率及び表面抵抗率の値を如何に設定するかが重要である。特に半導電性複合樹脂を、画像形成装置の中間転写ベルトとして用いる場合には、体積抵抗率が好ましくは10〜1010(Ω・cm)、より好ましくは10〜10(Ω・cm)の範囲にあり、表面抵抗率が10〜1010(Ω/□)の範囲にあることが好ましい。また、体積抵抗率≦表面抵抗率の関係にあることが好ましい。
体積抵抗率及び表面抵抗率が下限値未満になると、トナーとの静電的な付着力が増大し、二次転写効率を下げることになる。また、上限値を超えると、印加した転写バイアスによりベルトに誘起された電荷が除電されず、画像メモリなど画像品質に影響を与える。さらに体積抵抗率>表面抵抗率の関係になると、画像エッジが滲んだようになりシャープな画質が得られないおそれがある。
一般に、カーボンブラック等の導電材料をポリフッ化ビニリデン等の熱可塑性樹脂中に添加し分散させることによって得られた半導電性樹脂には、印加するバイアスの大きさに従って抵抗率が変化するという不具合点がある。特に中間転写ベルトとして用いる場合には、ベルト材の抵抗率の印加バイアス依存性が大きいと細線のチリ、ベタ画像部のボソツキといった画像品位に悪影響を及ぼす。この抵抗率変化を抑えるには、導電材料を熱可塑性樹脂中に均一分散させることが有効とされている。
そこで、本発明においては、半導電性複合樹脂に10V及び500Vのバイアス電圧を印加したときの体積抵抗率を、それぞれρv10及びρv500としたときの、Log(ρv10)−Log(ρv500)が、0≦Log(ρv10)−Log(ρv500)≦1、好ましくは0≦Log(ρv10)−Log(ρv500)≦0.5の範囲に入るように半導電性複合樹脂の電気特性を調節することが好ましい。
本発明の樹脂成形加工体は、半導電性複合樹脂を成形することより得ることができる。成形法としては、射出成形、射出圧縮成形、射出プレス成形、射出モールド成形、圧縮成形及びトランスファ成形が好ましく、生産性に優れた射出プレス成形及び射出モールド成形のような射出成形法がより好ましく、フラッシュフロー圧縮成形がさらに好ましい。
樹脂成形加工体としては、シート(フィルムを含む)等が挙げられ、樹脂成形加工体シートは、例えば下記の画像形成装置用の中間転写ベルト等として好適である。
本発明の実施形態に係る画像形成装置(プリンター)の基本的な構成について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。ここでは、電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。画像形成装置は、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
まず、複数の潜像担持体を備え、この複数の潜像担持体を表面移動部材の移動方向に並列させる画像形成装置(「タンデム型画像形成装置」)の基本的な構成について説明する。
この画像形成装置は、潜像担持体として4つの感光体1Y、1C、1M、1Kを備えている。なお、ここではドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ表面移動部材である中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、さらにその感光層の上に保護層を形成したものであり、また、感光層と保護層との間に中間層を設けてもよい。
図2は、感光体を配設する作像部2の構成を示す概略断面図である。なお、作像部2Y、2C、2M、2Kにおける各感光体1Y、1C、1M、1K周りの構成はすべて同じであるため、1つの作像部2についてのみ図示し、色分け用の符号Y、C、M、Kについては省略してある。感光体1の周りには、その表面移動方向に沿って、帯電手段としての帯電装置3、現像手段としての現像装置5、感光体1上のトナー像を記録媒体又は中間転写体10に転写する転写手段としての転写装置6、感光体1上の未転写トナーを除去するクリーニング装置7の順に配置されている。帯電装置3と現像装置5との間には、帯電した感光体1の表面の画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段としての露光装置4から発せられる光が感光体1まで通過できるようにスペースが確保されている。
帯電装置3は、感光体1の表面を負極性に帯電する。本実施形態における帯電装置3は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行う帯電部材としての帯電ローラを備えている。すなわち、この帯電装置3は、帯電ローラを感光体1の表面に接触又は近接させ、その帯電ローラに負極性バイアスを印加することで、感光体1の表面を帯電する。感光体1の表面電位が−500Vとなるような直流の帯電バイアスを帯電ローラに印加している。 なお、帯電バイアスとして、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたものを利用することもできる。また、帯電装置3には、帯電ローラの表面をクリーニングするクリーニングブラシを設けてもよい。なお、帯電装置3として、帯電ローラの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体1の表面に当接するように設置してもよい。この構成においては、帯電ローラの表面と感光体1の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラに印加される帯電バイアスによって、帯電ローラの表面と感光体1の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体1の表面が帯電される。 このようにして帯電した感光体1の表面には、露光装置4によって露光されて各色に対応した静電潜像が形成される。この露光装置4は、各色に対応した画像情報に基づき、感光体1に対して各色に対応した静電潜像を書き込む。なお、本実施形態の露光装置4は、レーザ方式であるが、LEDアレイと結像手段とからなる他の方式を採用することもできる。
トナーボトル31Y、31C、31M、31Kから現像装置5内に補給されたトナーは、現像剤供給ローラ5bによって搬送され、現像ローラ5a上に担持されることになる。この現像ローラ5aは、感光体1と対向する現像領域に搬送される。ここで、現像ローラ5aは、感光体1と対向する領域(以下、「現像領域」と記す。)において感光体1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ5a上のトナーが、感光体1の表面を摺擦しながら、トナーを感光体1の表面に供給する。このとき、現像ローラ5aには、図示しない電源から−300Vの現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体1上の静電潜像と現像ローラ5aとの間では、現像ローラ5a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ5a上のトナーは、感光体1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
転写装置6における中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ11、12、13に張架されており、図中矢印の方向に無端移動する構成となっている。この中間転写ベルト10上には、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。静電転写方式には、転写チャージャを用いた構成もあるが、ここでは転写チリの発生が少ない転写ローラ14を用いた構成を採用している。具体的には、各感光体1Y、1C、1M、1Kと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ転写装置6としての一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kを配置している。ここでは、各一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kにより押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体1Y、1C、1M、1Kとによって、一次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像を中間転写ベルト10上に転写する際には、各一次転写ローラ14に正極性のバイアスが印加される。これにより、各一次転写ニップ部には転写電界が形成され、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像は、中間転写ベルト10上に静電的に付着し、転写される。
感光体1上に形成されたトナー像を中間転写ベルト10に転写させる場合、感光体1と中間転写ベルト10は、圧接していることが好ましい。このときの圧接力は、10〜60N/mの範囲にあることが好ましい。
中間転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置15が設けられている。このベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置15内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送される。 また、支持ローラ13に張架された中間転写ベルト10の部分には、二次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と二次転写ローラ16との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録部材としての転写紙が送り込まれるようになっている。この転写紙は、露光装置4の図中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、転写紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が転写紙上に転写される。 二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、定着手段としての加熱定着装置23が配置されている。この加熱定着装置23は、ヒータを内蔵した加熱ローラ23aと、圧力を加えるための加圧ローラ23bとを備えている。二次転写ニップ部を通過した転写紙は、これらのローラ間に挟み込まれ、熱と圧力を受けることになる。これにより、転写紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が転写紙に定着される。そして、定着後の転写紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。 現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ5aが部分的に露出している。また、ここでは、キャリアを含まない一成分現像剤を使用している。現像装置5は、図1に示したトナーボトル31Y、31C、31M、31Kから、対応する色のトナーの補給を受けてこれを内部に収容している。このトナーボトル31Y、31C、31M、31Kは、それぞれが単体で交換できるように、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。このような構成とすることで、トナーエンド時にはトナーボトル31Y、31C、31M、31Kだけを交換すればよい。したがって、トナーエンド時にまだ寿命に達していない他の構成部材はそのまま利用でき、ユーザーの出費を抑えることができる。
図3は、現像装置の構成を示す概略断面図である。 現像剤収納器中の現像剤(トナー)は、現像剤供給部材としての供給ローラ5bで攪拌されながら、感光体1に供給する前記現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ5aのニップ部分に運ばれる。このとき供給ローラ5bと現像ローラ5aは、ニップ部で逆方向(カウンタ回転)に回転している。さらに、現像ローラ5aに当接するように設けられた現像剤層規制部材としての規制ブレード5cで現像ローラ5a上のトナー量が規制され、現像ローラ5a上にトナー薄層が形成される。また、トナーは、供給ローラ5bと現像ローラ5aのニップ部と規制ブレード5cと現像ローラ5aの間で摺擦され、適正な帯電量に制御される。
図4はプロセスカートリッジの構成を示す概略断面図である。
本発明においては、静電潜像担持体、静電潜像帯電手段、現像手段、電潜像担持体等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンター等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。図4に示したプロセスカートリッジは、静電潜像担持体、静電潜像帯電手段、図3で説明した現像手段を備えている。
以下、本発明の実施例についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で得られたフィルムについての評価方法は下記のとおりである。
(1)体積抵抗率
JIS K6911‐2006「熱硬化性プラスチック一般試験法」に基づいて、リング電極法による体積抵抗率を測定した。体積抵抗率ρvは、抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP)を用いて測定した。測定は、リング状プローブ(三菱化学社製、URSプローブ;内側電極の直径5.9mm、外側電極の内径11.0mm、外側電極の外径17.8mm)と測定ステージ(三菱化学社製、レジテーブルFL)との間に試料を挟み、約30Nの荷重で押さえつつ、プローブの内側電極と測定ステージとの間に100Vの電圧を10秒間印加することにより行った。
プローブの内側の電極と測定ステージの表面に、各々の電極サイズと同じサイズの導電性ゴム(コクゴ社製、REP−2、厚み1mm、体積抵抗率0.87Ω・cm)を導電性粘着シート(応研商事社製、T−9181、厚み0.13mm)で貼り付けてある。体積抵抗率の値を測定すべき試料のA4サイズ当たり任意に選んだ21点を測定し、その平均値を高温高湿(HH)(27℃/80%Rh)、低温低湿(LL)(10℃/15%Rh)の2環境でそれぞれ求めた。
(2)元素分析によるC/N比
フィルムをギ酸に溶解させ、ろ過することでポリアミド成分を抽出し乾燥させ、乾燥させた抽出物を蛍光X線分析装置(リガク社製、ZSXprimusII)を用いて炭素と窒素の定量を行い、その比を算出してC/Nを求めた。なお、配合前のポリアミド樹脂についても同様の方法でC/Nを求めることができる。
(3)画像評価
レーザープリンター(リコー社製、Ipsio SP C310)にフィルムを中間転写ベルトとして装着し、各種環境(10℃/15%Rh、30℃/80%Rh)にて、グリーン、レッド、ブルーのベタ画像の両面印刷を行った。転写材には再生紙からなるクラシックホワイトを用いた。得られた画像にボソツキや白ポチが目立ったものを×、やや目立ったものを△、まったく目立たなかったものを○とした。
(実施例1)
ポリアミド(クラレ社製、ジェネスタG2300:上記一般式(I)において炭素数が15のもの)100質量部と、カーボンブラック(キャボット社製、MOGUL−L)40質量部を、加圧ニーダー(森山製作所社製、DS20−40)を用い、320℃に加温し、モータ消費電力が25kWになるように回転数を調整して混練し、カーボンブラック分散マスターバッチを得た。
このマスターバッチ100質量部に対して、300質量部のフッ化ビニリデン単独重合体(東京材料社製、カイナー301F)をブレンドし、微量型高せん断成形加工機(井元製作所社製)に投入し、ギャップ及び内部帰還型スクリュー内径を、それぞれ1〜2mm、2.5φに設定し、3100℃に加熱溶融して混練(スクリュー回転数:100rpmと1000rpm、混練時間:2分間)した後、T−ダイから押出し、熱プレスにて厚み200μmの均一なフィルム1を得た。
(実施例2)
実施例1において、ポリアミド(クラレ社製、ジェネスタG2300)をポリアミド(宇部興産社製、UBESTA
XPA3024NUX:上記一般式(II)において炭素数が11のもの)に替えた以外は実施例1と同様にしてフィルム2を得た。
(実施例3)
実施例1において、ポリアミド(クラレ社製、ジェネスタG2300)をポリアミド(宇部興産社製、UBESTA
XPA3024NUX)に替え、フッ化ビニリデン単独重合体の量を250質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルム3を得た。
(実施例4)
実施例1において、ポリアミド(クラレ社製、ジェネスタG2300)をポリアミド(宇部興産社製、UBESTA
XPA3024NUX)に替え、フッ化ビニリデン単独重合体の量を400質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルム4を得た。
(実施例5)
実施例1において、ポリアミド(クラレ社製、ジェネスタG2300)をポリアミド(宇部興産社製、UBESTA
XPA3024NUX)に替え、カーボンブラックの量を47質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルム5を得た。
(実施例6)
実施例1において、ポリアミド(クラレ社製、ジェネスG2300)をポリアミド(宇部興産社製、UBESTA
XPA3024NUX)に替え、カーボンブラックの量を20質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルム6を得た。
(比較例1)
ポリアミド6(PA6)(ユニチカ社製、A1030BRL)100質量部と、カーボンブラック(キャボット社製、MOGUL−L)35質量部を、それぞれ真空中80℃で12時間予備乾燥させた後にブレンドし、ドライブレンド物を作製した。
このブレンド物100質量部に対して、300質量部のフッ化ビニリデン単独重合体(東京材料社製、カイナー301F)をドライブレンドし、微量型高せん断成形加工機(井元製作所社製)に投入し、ギャップ及び内部帰還型スクリュー内径を、それぞれ1〜2mm、2.5φに設定し、310℃で加熱溶融して混練(スクリュー回転数:100rpmと1000rpm、混練時間:2分間)した後、T−ダイから押出し、熱プレスして厚み200μmの均一なフィルム7を得た。
(比較例2)
比較例1において、ポリアミド6(ユニチカ社製、A1030BRL)をポリアミド(ユニチカ社製、A125J)に替えた以外は比較例1と同様にしてフィルム8を得た。
(比較例3)
比較例1において、カーボンブラック量を5質量部に変更した以外は比較例1と同様にしてフィルム9を得た。
(比較例4)
比較例1において、カーボンブラック量を60質量部変更した以外は比較例1と同様に操作したが、マスターバッチ化できなかったためフィルム10を作製することができなかった。
(比較例5)
比較例1において、カーボンブラック量を40質量部、フッ化ビニリデン単独重合体量を100質量部に変更した以外は比較例1と同様にしてフィルム11を得た。
(比較例6)
比較例1において、フッ化ビニリデン単独重合体量を600質量部に変更した以外は比較例1と同様にしてフィルム12を得た。
実施例及び比較例で得られたフィルムについて、上記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。なお、表1において、3.4E+07等のaE+bは、a×10を示す。
Figure 2011180206
1 感光体
2 作像部
3 帯電装置(帯電ローラ)
4 露光装置
5 現像装置
5a 現像ローラ
5b 現像剤供給ローラ
5c 規制ブレード
6 転写装置
7 クリーニング装置
10 中間転写ベルト
11、12、13 支持ローラ
14 一次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
T トナー(現像剤)
特許第4136507号公報
ナノテクノロジーの現状と展望(Poly file 2008.2)産業技術総合研究所、清水 博

Claims (8)

  1. 元素分析による窒素と炭素の元素比C/Nが7以上である下記一般式(I)又は(II)で表されるポリアミド樹脂にカーボンブラックが分散されたカーボンブラック分散ポリアミド樹脂、及びポリフッ化ビニリデン樹脂を含む
    ことを特徴とする半導電性複合樹脂。
    Figure 2011180206
    (式中、R及びRは置換もしくは未置換のアルキレン基又はアリーレン基を示し、R及びRは同一でも異なっていてもよい。RとRの炭素数の合計は14〜18である。Rは炭素数7〜12の置換もしくは未置換のアルキレン基又はアリーレン基を示す。nは繰り返し単位を示す。)
  2. カーボンブラック分散ポリアミドの樹脂の量が、ポリフッ化ビニリデン樹脂100質量部に対して20〜50質量部である
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導電性複合樹脂。
  3. カーボンブラックの量が、ポリアミド樹脂100質量部に対して10〜50質量部である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導電性複合樹脂。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の半導電性複合樹脂を成形加工して得られる
    ことを特徴とする樹脂成形加工体。
  5. 請求項4に記載の樹脂成形加工体からなる
    ことを特徴とする樹脂成形加工体シート。
  6. 請求項5に記載の樹脂成形加工体シートからなる
    ことを特徴とする画像形成装置用転写ベルト。
  7. 樹脂成形加工体シートの体積抵抗率が10〜10(Ω・cm)の範囲にある
    ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置用転写ベルト。
  8. 請求項7に記載の画像形成装置用転写ベルトを用いた
    ことを特徴とする画像形成装置。
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