JP2022038269A - 緑茶の製造方法並びに緑茶及び飲食物 - Google Patents

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Tatsuya Tsunoda
隆巳 角田
Takami Tsunoda
健司 三島
Kenji Mishima
友彦 伊藤
Tomohiko Ito
謙 堀井
Ken Horii
弘文 河村
Hirofumi Kawamura
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Abstract

【課題】 抹茶と同等以上の品質を有する緑茶の製造方法、緑茶及び緑茶を原材料とする飲食物を提供する。【解決手段】 作業者は、適宜タイミングに至ったと判断した場合、被覆材にて茶樹を被覆した後、茶葉を摘採し(ステップS1)、得られた茶葉から荒茶を生成する(ステップS2)。このとき、作業者は碾茶炉を除く乾燥機を用いる。更に、作業者はこの荒茶を熟成し(ステップS3)、熟成した茶葉を加熱処理する(ステップS5)。【選択図】 図1

Description

本発明は、生茶を醗酵せずに乾燥して得られる乾燥茶葉、及びこれを粉末化してなる粉状の茶を含み、茶飲料を含まない緑茶を製造する方法、該製造方法によって得られる緑茶、及び、得られた緑茶を原材料とする飲食物に関する。
抹茶は風味豊かであり、また鮮やかな緑色をしているため、茶飲料、菓子又はアイスクリーム等の飲食物の原材料として広く用いられており、その需要が年々増大している。しかし、抹茶は、栽培過程上の適宜のタイミングで、茶樹を被覆することによって太陽光の照射量を減じて栽培した茶葉を蒸熱して冷却し、これを揉まずに碾茶炉に投入して乾燥させることによって碾茶荒茶を得、更に葉脈及び茎を除いて葉肉部分である碾茶仕上げ茶を得、これを石うすで挽くという工程にて生産されているため、製造コストが嵩む一方、生産量が少なく、需要に対して生産が追いつかない状態が続いている。
そのため、例えば後記する特許文献1には、現状の製茶方法を改良することによって、茶浸出液の水色、滋味、香気等に優れた緑茶の製造方法が開示されている。
すなわち、摘採した生茶葉を蒸機で蒸熱した後、直ちに冷却し、この蒸熱処理及び直冷却処理を複数回繰り返す。このとき、1回当たりの蒸熱時間は、約5秒~約120秒、特に約10秒~約90秒に設定することが好ましい。その後は常法に従って、揉み工程及び乾燥工程を実施するのである。
特開平10-117687号公報
しかしながら、かかる製造方法によって得られた緑茶であっても、その粉末は抹茶と比べると緑色及び香気が弱く、特に水に懸濁させた場合に鮮やかさが無い。そのため、抹茶と比べると品質が著しく劣る。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、抹茶と同等以上の品質を有する緑茶を製造する方法、及び当該製造方法によって製造される緑茶、並びにその緑茶を原材料とする飲食物を提供する。
本発明者らは、かかる事情に基づいて鋭意検討したところ、乾燥工程における碾茶炉の使用、及び粉末工程における石臼の使用が、製造コスト及び製造量に多大な影響を及ぼすという知見を得て本発明を完成するに至った。
すなわち、(1)本発明に係る緑茶の製造方法は、茶樹から摘採した後に蒸熱して得た茶葉を乾燥する乾燥工程を実施して緑茶を製造する方法において、前記乾燥工程は碾茶炉を除く乾燥機を用いて実施し、また、乾燥して得られた茶葉を熟成する熟成工程を実施することを特徴とする。
本発明の緑茶の製造方法にあっては、茶樹から摘採した後に蒸熱して得た茶葉を乾燥する乾燥工程を実施して緑茶を製造する場合、前記乾燥工程は碾茶炉を除く乾燥機を用いて実施する。乾燥機としては、碾茶炉以外であればいずれの乾燥機であってもよく、例えば煎茶の製造に用いられる乾燥機、及び/又は蒸熱後の葉打ちに用いられる葉打ち機であってもよく、乾燥機及び/又は葉打ち機によって茶葉に実質的な揉みが加えられてもよい。
碾茶炉を除く乾燥機を用いた場合、乾燥効率が高いため、単位時間当たりに乾燥できる茶葉の量が多く、加えて当該乾燥機は碾茶炉に比べて廉価であるため、茶葉の乾燥に要するコストを可及的に低減することができる。
ここで、乾燥工程は一段であっても良いが、例えば二段というように、複数段での乾燥を実施しても良い。この場合、前段において、相対的に低い温度で乾燥を進ませ、ある程度乾燥させた茶葉を、後段において、相対的に高い温度で乾燥させることによって、香気性を向上させた茶葉を得ることができる。
更に、本発明に係る緑茶の製造方法では、乾燥して得られた茶葉を熟成する熟成工程を実施する。熟成工程は茶葉を密閉し、適宜の温度で数カ月間実施する。これによって、香気成分の含有量を増大させることができ、碾茶炉を用いずとも、抹茶と同等の香気性を有する緑茶を得ることができる。
ここで、茶葉としては、乾燥後のテアニン含有量が少なくとも1.7質量%以上である茶葉を用いると好適である。これによって、熟成工程における芳醇化の効果をより増大させることができるからである。
なお、本発明に係る緑茶の製造方法では、煎茶の製造で実施される揉むことを目的とする工程は実施しない。これによって、得られる緑茶は、抹茶と同等の鮮やかさ、及び水色を有することができる。
このように本発明に係る緑茶の製造方法を実施することによって、抹茶と同等以上の品質を有する緑茶を製造することができる。
また、(2)本発明に係る緑茶の製造方法は、茶樹から摘採した後に蒸熱して得た茶葉を乾燥する乾燥工程と、乾燥して得られた茶葉を粉末化する粉末工程とを実施して緑茶を製造する方法において、前記乾燥工程は碾茶炉を除く乾燥機を用いて実施し、前記粉末工程は石臼を除く粉砕機を用いて実施し、また、乾燥して得られた茶葉を熟成する熟成工程を実施することを特徴とする。
本発明の緑茶の製造方法にあっては、茶樹から摘採した後に蒸熱して得た茶葉を乾燥する乾燥工程と、乾燥して得られた茶葉を粉末化する粉末工程とを実施して緑茶を製造する場合、前記乾燥工程は碾茶炉を除く乾燥機を用いて実施する。乾燥機としては、前同様、碾茶炉以外であればいずれの乾燥機であってもよく、例えば煎茶の製造に用いられる乾燥機、及び/又は蒸熱後の葉打ちに用いられる葉打ち機であってもよい。
前述した如く、碾茶炉を除く乾燥機を用いた場合、乾燥効率が高いため、単位時間当たりに乾燥できる茶葉の量が多く、加えて当該乾燥機は碾茶炉に比べて廉価であるため、茶葉の乾燥に要するコストを可及的に低減することができる。
ここで、乾燥工程は一段であっても良いが、例えば二段というように、複数段での乾燥を実施しても良い。
一方、本発明に係る緑茶の製造方法では、粉末工程は石臼を除く粉砕機を用いて実施する。粉砕機としては、石臼以外であればいずれの粉砕機であってもよく、例えば煎茶から緑茶を製造する場合に用いられる粉砕機であっても良い。なお、冷却器を併設して粉砕中に茶葉の温度を低くすると好適である。
石臼を除く粉砕機を用いた場合、粉砕効率が高いため、単位時間当たりに粉末化できる茶葉の量が多く、加えて当該粉砕機は多数配置する必要がある石臼を用いる場合に比べて廉価であるため、茶葉の粉末化に要するコストを可及的に低減することができる。一方、後述する如く、熟成工程を実施することによって香気性を向上させた緑茶を得ることができるため、石臼を除く粉砕機を用いた場合であっても十分な香気性を保持した緑茶を製造することができる。
更に、本発明に係る緑茶の製造方法では、乾燥して得られた茶葉を熟成する熟成工程を実施する。前述した如く熟成工程は茶葉を密閉し適宜の温度で数カ月間実施する。これによって、香気成分の含有量を増大させることができ、碾茶炉を用いずとも、抹茶と同等の香気性を有する緑茶を得ることができる。
ここで、熟成工程を実施するタイミングは、乾燥して得られた茶葉が得ることができるタイミングであればいずれでもよく、粉末工程の前後どちらであってもよい。
また、茶葉としては前同様、乾燥後のテアニン含有量が少なくとも1.7質量%以上である茶葉を用いると好適である。これによって、熟成工程における芳醇化の効果をより増大させることができるからである。
なお、本発明に係る緑茶の製造方法では前同様、煎茶の製造で実施される揉むことを目的とする工程は実施しない。これによって、得られる緑茶は、抹茶と同等の鮮やかさ、及び水色を有することができる。
このように本発明に係る緑茶の製造方法を実施することによって、粉砕工程を実施した後も、抹茶と同等以上の品質を有する緑茶を製造することができる。
(3)本発明に係る緑茶の製造方法は、更に、熟成して得られた茶葉を加熱処理する加熱工程を実施することを特徴とする。
本発明の緑茶の製造方法にあっては、更に、熟成して得られた茶葉に対して、所謂火入れと呼ばれる加熱処理を行う加熱工程を実施する。これによって、茶葉中の香気成分の含有量を更に増大させることができるため、得られた緑茶は、抹茶と同等以上の香気性を呈することができる。
(4)本発明に係る緑茶の製造方法は、前記熟成工程は不活性ガス下で実施することを特徴とする。
本発明の緑茶の製造方法にあっては、熟成工程は、窒素といった不活性ガス下で実施するため、熟成工程において酸素の関与を遮断することができ、これによって、ひね香といった酸化臭の発生を抑制することができる。
(5)本発明に係る緑茶の製造方法は、前記熟成工程は15℃以下で実施することを特徴とする。
本発明の緑茶の製造方法にあっては、前述した熟成工程は15℃以下で実施する。これによって、過度な熟成を抑制することができ、良好な香気成分の含有量を増大させることができる。
(6)本発明に係る緑茶の製造方法は、被覆材で被覆した茶樹から摘採した茶葉を用い、前記被覆は、遮光率が85%程度を超え90%程度以下であり、茶葉の新芽が出てから30日程度経過したときから開始し、10日程度を超え15日程度以下の期間実施することを特徴とする。
本発明の緑茶の製造方法にあっては、寒冷紗、藁又はよしず等の被覆材で被覆した茶樹から摘採した茶葉を用いる。ここで、被覆材による被覆は、遮光率が85%程度を超え90%程度以下になるように行うとよい。また、被覆のタイミングは、茶葉の新芽が出てから30日程度経過したとき、即ち2葉期から2.5葉期に至ったときとするとよい。更に、茶葉の摘採は、茶樹を被覆してから10日程度を超え15日程度以下経過したタイミングがよい。
これによって、茶葉内に生成されたアミノ酸の一種であり滋味を生じさせるテアニンが産生される一方、産生されたテアニンが渋味の主因物質であるカテキンに変化することを抑制することができる。また、このようにテアニン含有量が多い茶葉を栽培することによって、前述した熟成工程において、香気性に優れた茶葉を得ることができる。
更に、このような条件で被覆した茶樹から摘採した茶葉にあっては、熟成処理後の火入である加熱処理によって、青葉の青臭い匂いに寄与しているとも言われており、低級抹茶に多く含まれるヘキサナール及び(E)-2-ヘキセナールの含有量をさほど増大させることなく、高級抹茶又は碾茶に多く含まれる香気成分であるフェニルアセトアルデヒド、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン、及びN-エチルスクシンイミドの含有量を顕著に増大させることができる。
(7)本発明に係る緑茶は、茶樹から摘採した茶葉を原料とする緑茶において、テアニンの含有量が1.7質量%以上であり、また、フェニルアセトアルデヒド、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン、及びN-エチルスクシンイミドの各香気成分からなる群から選択される1又は複数の香気成分を含有し、先頭の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.13μg/g以上であり、2番目の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.04μg/g以上であり、3番目の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.33μg/g以上であり、末尾の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.05μg/g以上であることを特徴とする。
本発明の緑茶にあっては、茶樹から摘採した茶葉を原料とする緑茶において、テアニンの含有量が1.7質量%以上であり、また、フェニルアセトアルデヒド、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン、及びN-エチルスクシンイミドの各香気成分からなる群から選択される1又は複数の香気成分を含有し、先頭の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.13μg/g以上であり、2番目の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.04μg/g以上であり、3番目の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.33μg/g以上であり、末尾の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.05μg/g以上である。
このような各成分の含有量を含有する緑茶は、前述した本発明に係る製造方法によって製造される。また、フェニルアセトアルデヒド、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン、及びN-エチルスクシンイミドは高級抹茶、碾茶又は玉露に多く含まれる香気成分であり、かかる香気成分が抹茶の含有量に比べて多く含まれる。本緑茶は、抹茶と同等以上のテアニンを含有するとともに、抹茶と同等以上の香気成分を含有する。このように本緑茶は、抹茶と同等以上の品質を有する。
(8)本発明に係る緑茶は、更に、(E,Z)-2,4-ヘプタジエナールの含有量が2.13μg/g以下であることを特徴とする。
本発明の緑茶にあっては、(E,Z)-2,4-ヘプタジエナールの含有量が2.13μg/g以下である。(E,Z)-2,4-ヘプタジエナールは刺激臭を醸す香気成分であり、かかる香気成分が前述したフェニルアセトアルデヒド、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン、及び/又はN-エチルスクシンイミドの含有量に比べて相対的に少ないため、本緑茶は優れた香気性を呈する。
(9)本発明に係る緑茶は、更に、ヘキサナールの含有量が0.46μg/g以下であることを特徴とする。
本発明の緑茶にあっては、ヘキサナールの含有量が0.46μg/g以下である。ヘキサナールも刺激臭を醸す香気成分であり、かかる香気成分が前述したフェニルアセトアルデヒド、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン、及び/又はN-エチルスクシンイミドの含有量に比べて相対的に少ないため、本緑茶は優れた香気性を呈する。
(10)本発明に係る緑茶は、茶樹から摘採した後に蒸熱して得た茶葉を乾燥する乾燥工程を実施して製造された緑茶において、前述した(1)から(6)のいずれかに記載の緑茶の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明の緑茶にあっては、茶樹から摘採した後に蒸熱して得た茶葉を乾燥する乾燥工程を実施して製造された緑茶において、前述した(1)から(6)のいずれかに記載の緑茶の製造方法によって製造されたものである。従って、前述した如き各作用効果を奏する。
ここで、本緑茶は抹茶と同等以上の品質を有する一方、緑茶又は抹茶に含有される成分は多種多様であり、全ての成分について測定することには不可能であるため、両者の相違点を含有成分で比較するには前述した(7)から(9)までは現実的であるが、それ以外の部分について、含有成分によって両者を比較検討することは不可能又はおよそ非実際的である。
(11)本発明に係る飲食物は、原料として緑茶を含有する飲食物において、前記緑茶は(7)から(10)のいずれかに記載の緑茶であることを特徴とする。
本発明の飲食物にあっては、原料として緑茶を含有する飲食物において、前記緑茶は(7)から(10)のいずれかに記載の緑茶である。このような緑茶を材料とする飲食物にあっては、抹茶を用いた場合と同等以上の滋味、色彩、鮮やかさ及び香気性を呈することができる。また、抹茶を原料とする飲食物に比べて廉価である。
本発明に係る緑茶の製造手順を説明するフローチャートである。 図1に示した茶葉の採取工程の詳細を示すフローチャートである。 図1に示した荒茶工程の作業手順を示すフローチャートである。
本発明に係る緑茶製造方法、該製造方法によって製造された緑茶、及び該緑茶を原材料とする飲食物を図面に基づいて詳述する。なお、本実施の形態で説明する緑茶製造方法、緑茶及び飲食物は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
図1は本発明に係る緑茶の製造手順を説明するフローチャートであり、図1を用いて緑茶の製造方法を詳述する。
茶樹から茶葉を採取する(ステップS1)が、茶葉の採取に当たって、後述するように茶葉を常法に従って栽培する場合、次のように寒冷紗、藁又はよしず等の被覆材で茶樹を被覆する期間が設けてある。
図2には、図1に示した茶葉の採取工程の詳細を示すフローチャートである。
図2に示した如く、作業者は、直前シーズンにおける茶葉の採取が終了した後、施肥及び剪定等の作業を行いつつ、次シーズンに向けての栽培を行う(ステップS11)。作業者は、シーズンが到来すると、被覆材にて茶樹を被覆するタイミングに至ったか否かを判断し(ステップS12)、そのタイミングに至っていない場合、ステップS11の作業を続ける。
作業者は、ステップS12において、被覆材にて茶樹を被覆するタイミングに至ったと判断した場合、被覆材にて茶樹を、遮光率が85%程度を超え90%程度以下になるように被覆する(ステップS13)。ここで、被覆材にて茶樹を被覆するタイミングは、茶葉の新芽が出てから30日程度経過したとき、即ち2葉期から2.5葉期に至ったときとするとよい。なお、相対的に弱く被覆する場合は、遮光率が75%程度以上80%程度以下であり、茶葉の新芽が出てから30日程度経過したときから開始するとよい。これによって、茶葉内に生成されたアミノ酸の一種であり滋味を生じさせるテアニンが産生される一方、産生されたテアニンが渋味の主因物質であるカテキンに変化することを抑制することができる。また、このようにテアニン含有量が多い茶葉を栽培することによって、後述する製茶処理にて、香気性に優れた緑茶を得ることができる。なお、カテキンには種々の種類が存在するが、本明細書においてはそれら全てを纏めてカテキンとする。
被覆を開始後、作業者は、茶葉を摘採するタイミングに至ったか否かを判断し(ステップS14)、茶葉を摘採するタイミングに至ったと判断した場合、常法に従って茶葉を摘採する(ステップS15)。ここで、茶葉を摘採するタイミングとしては、前述した如く茶樹を被覆してから10日程度を超え15日程度以下経過したときが好適である。なお、相対的に弱く被覆する場合は、茶葉の新芽が出てから30日程度経過したときから開始し、7日程度以上10日程度以下の期間実施するとよい。また、茶葉は一芯四葉~五葉を手摘み、ハサミ摘み又は機械摘み等適宜の方法により摘採するのが好適である。
これによって、テアニン含有量が多く、カテキン含有量が少ない茶葉を得ることができる。
ここで、本発明に係る緑茶の原料とする茶葉に含まれるテアニンの量は、後述するように蒸熱処理、葉打ち及び乾燥処理して得られる荒茶の状態で、1.7質量%以上が好ましい。乾燥状態の茶葉に含まれるテアニンの量が1.7質量%未満である場合、当該緑茶の品質が抹茶の品質に達しないからである。
一方、乾燥状態の茶葉に含まれるテアニンの量が1.7質量%であれば、当該茶葉に含まれるカテキンの量は相対的に少ないので、当該茶葉から製造した緑茶にあっては抹茶と同等の滋味を呈するが、好ましくは、乾燥状態の茶葉に含まれるカテキンの量は10.0質量%未満がよい。これによって、緑茶が呈する苦味及び渋味を抑えて、当該緑茶の滋味が低下することを防止することができる。
なお、茶樹の栽培地及び気候状態等によっては、前記ステップS13で説明した茶樹への被覆をせずともテアニン含量及びカテキン含量が前述した範囲の茶葉を得ることができるため、本発明に係る製造方法にあっては、茶樹への被覆を省略することができる。しかしながら、茶樹の栽培途中に、摘採して乾燥させた茶葉のテアニン含量及びカテキン含量が前述した範囲になるか否かを予測することは多大な困難を伴うため、茶樹への被覆を実施することによって、得られた茶葉のテアニン含量及びカテキン含量を前記範囲に、確実に至らせることができるため好適である。
一方、茶樹への被覆を実施した場合、得られる緑茶にあっては後述する如く、青葉の青臭い匂いに寄与しているとも言われており、低級抹茶に多く含まれるヘキサナール(hexanal)、及び(E)-2-ヘキセナール((E)-2-hexenal)、並びに、油様の刺激臭があることが知られており、低級抹茶に多く含まれる(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール等の香気成分の含有量が増大することを抑制しつつ、高級抹茶、碾茶又は玉露等に多く含まれるフェニルアセトアルデヒド(phenylacetaldehyde)、6-メチル-5-へプテン-2-オン(6-methyl-5-hepten-2-one)、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(2-hydroxy-2,6,6-trimethylcyclohexanone)、及びN-エチルスクシンイミド(N-ethylsuccinimide)等の香気成分の含有量を顕著に増大させることができるため好適である。
茶葉の摘採が終了すると、図1に示した如く、作業者は荒茶工程を実施する(ステップS2)。
図3は図1に示した荒茶工程の作業手順を示すフローチャートである。
作業者は、摘採した茶葉を直ちに蒸熱して(ステップS21)、茶葉中の酵素を失活させ、当該茶葉の発酵を停止させる。ここで、蒸熱処理としては、100℃程度の温度で、10秒間~30秒間程度実施するのが好適である。
蒸熱処理が終了すると、作業者は、茶葉を直ちに散茶機に投入して、茶葉へ風を送り込むことによって、茶葉を均一に室温程度まで急速に冷却する(ステップS22)。これによって、茶葉の色及び香味を保持することができる。
次に、作業者は、冷却した茶葉を葉打ち機に投入し、当該茶葉に90℃~110℃程度の乾燥した風を送り込みながら打圧する葉打ちを行う(ステップS23)。これによって、前述した蒸熱処理後に、茶葉の表面に残存する水分を除去して、次工程における乾燥効果を高くすることができる。
次に、作業者は、葉打ち処理した茶葉を乾燥機に投入し、葉温が40℃程度以上70℃程度以下の適宜温度で、70分間程度以上90分間程度以下の時間、茶葉を乾燥させて(ステップS24)、荒茶を得る。ここで、乾燥機としては例えば、乾燥機120K-3(カワサキ機工株式会社製)を用いることができる。なお、乾燥処理は一段であっても良いが、複数段であってもよい。
このように本発明にあっては、碾茶炉を使用することなく茶葉を乾燥させるのである。そのため、茶葉の乾燥処理を碾茶炉を用いた場合に比べて、より短時間で、より多量に茶葉を乾燥させることができる。従って、乾燥処理に要するコストを可及的に廉価にすることができる。
また、本発明にあっては、煎茶の製造工程で実施されている粗揉、揉揉、中揉又は精揉といった所謂揉む工程を実施しないため、当該荒茶から得られる緑茶自体の色及び緑茶を水に懸濁させた水色が共に鮮やかであり、抹茶と同程度の緑色を保持することができる。
更に、碾茶炉を用いて製造される抹茶に含まれる、例えばフェニルアセトアルデヒド(phenylacetaldehyde)、6-メチル-5-へプテン-2-オン(6-methyl-5-hepten-2-one)、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(2-hydroxy-2,6,6-trimethylcyclohexanone)、及び/又はN-エチルスクシンイミド(N-ethylsuccinimide)という香気成分については、碾茶炉を用いることなく、多量に生成させることができる。
一方、後述するようにヘキサナール(hexanal)、(E)-2-ヘキセナール((E)-2-hexenal)、(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール((E,Z)-2,4-heptadienal)、及び/又は(E,E)-2,4-ヘプタジエナール((E,E)-2,4-heptadienal)という香気成分も生成される。
このようにして荒茶加工が終了すると、図1に示したように、作業者は、得られた荒茶を次のようにして熟成する(ステップS3)。
すなわち、光及びガス等を殆ど透過しない容器内、例えばアルミニウム層を有する密封性の袋内に、適宜量の荒茶を投入し、当該容器内のガスを窒素ガスといった不活性ガスに置換した後、当該容器を密封し、容器内の荒茶を1℃程度以上18℃程度以下、好ましくは3℃程度以上5℃程度以下の適宜温度にて、5ヵ月程度以上12ヵ月程度未満の適宜期間保存するのである。
ここで、茶葉の保存温度が1℃程度未満である場合、茶葉の熟成が進まないため、後述するように茶葉の香気性に欠ける。また、茶葉の保存温度が18℃程度を超えた場合、茶葉の熟成が進み過ぎて、ひね香が生じてしまう。
これに対して、茶葉の保存温度が1℃程度以上18℃程度以下である場合、ひね香が生じることなく、前述したフェニルアセトアルデヒド(phenylacetaldehyde)、6-メチル-5-へプテン-2-オン(6-methyl-5-hepten-2-one)、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(2-hydroxy-2,6,6-trimethylcyclohexanone)、及びN-エチルスクシンイミド(N-ethylsuccinimide)という香気成分を増大させることができる。
一方、茶葉の保存温度が3℃~5℃程度を超えると、ひね香は生じないものの、それより低い温度で熟成させた場合に比べて、香気成分の蓄積量が低い。従って、熟成温度は3℃程度以上5℃程度以下が好適である。
次に、作業者は、熟成した茶葉を加熱する、所謂火入れと呼ばれる加熱処理を実施する(ステップS5)。
加熱処理に用いる機械としては、例えば遠赤外線回転火入機YD-24DS(株式会社山益製作所製)を用いることができ、葉温度が110℃程度以上130℃程度以下になるように、5分間程度以上15分間程度以下の時間、加熱処理を行う。
加熱処理を実施した場合、前述した如く熟成によって生成された香気成分の量が、後述するように2倍前後までに増大し、これによって、碾茶炉を使用せずとも、抹茶と同等以上の香気性を有する緑茶を得ることができる。
このようにして加熱処理した茶葉の葉肉部分が得られると、作業者は、それを粉砕機に投入し、当該粉砕機によって粉砕して粉末化された緑茶を得る(ステップS6)。
粉砕機としては、例えば、超音速ジェット粉砕機PJM-SP(日本ニューマチック工業株式会社製)を用い、当該粉砕機に適量の茶葉を投入して1時間程度、粉砕処理を実施する。なお、粉砕温度は室温程度以下であればよいが、冷却器によって冷却してもよい。
このようにして得られた緑茶にあっては、抹茶を製造する際の粉砕工程で使用される石臼を使用せずとも、後述するように緑茶自体の色彩及び鮮やかさ、並びに、緑茶を水に懸濁した水色のいずれも、抹茶のそれと同程度である。石臼を使用せず、粉砕機によって粉砕処理することによってより短時間で、より大量の緑茶を製造することができるため、粉砕処理に要するコストを可及的に廉価にすることができる。
また、本緑茶は、前述したように熟成工程によって熟成した茶葉を加熱処理することによって、抹茶に含まれる香気成分に加え、抹茶には含有されない香気成分をも多量に有しており、抹茶と同等以上の香気性を有する。更に、本緑茶はテアニンの含有量が抹茶のそれと同程度以上であるので、抹茶と同程度以上の滋味を呈する。このように本緑茶は、抹茶と同等以上の品質を有する。一方、前述したように、本緑茶は、処理時間及び設備費が共に嵩む碾茶炉及び石臼を使用していないため、より多量の緑茶をより廉価に製造することができる。
なお、本形態では、荒茶を熟成した後に粉砕して緑茶を製造した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、荒茶を粉砕処理した後に熟成させてもよい。かかる方法によって製造された緑茶も、前同様、抹茶の品質と同等以上の品質を備える。
また、本形態では、粉砕処理を実施して緑茶を製造した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、荒茶を熟成させるだけで製造工程を終了し、粉砕処理を実施しなくてもよい。これによって、粉状でない緑茶を得ることができる。かかる緑茶にあっては、水又はエタノールといった液体に浸漬させることによって、緑茶エキスを得ることができる。
更に、本形態では、加熱工程も実施して緑茶を製造した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、加熱工程を実施しなくてもよい。この場合であっても、荒茶を熟成させることによって、抹茶と同等以上の品質を有することができる。
このようにして製造された緑茶にあっては、後述する如く、テアニンの含有量が少なくとも1.7質量%以上であり、また、少なくともフェニルアセトアルデヒド、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン、及びN-エチルスクシンイミドの各香気成分からなる群から選択される1又は複数の香気成分を含有しており、フェニルアセトアルデヒドの含有量が少なくとも0.13μg/g以上であり、6-メチル-5-へプテン-2-オンの含有量が少なくとも0.04μg/g以上であり、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノンの含有量が少なくとも0.33μg/g以上であり、N-エチルスクシンイミドの含有量が少なくとも0.05μg/g以上である。そして、かかる各成分及びその含有量の緑茶にあっては、抹茶と同等以上の品質を有すると言える。
一方、加熱工程も実施して製造した緑茶にあっては、後述するように、テアニンの含有量が少なくとも1.7質量%以上であり、また、フェニルアセトアルデヒドが少なくとも1.35μg/g以上であり、6-メチル-5-へプテン-2-オンが少なくとも0.16μg/g以上であり、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノンが少なくとも1.00μg/g以上であり、N-エチルスクシンイミドが少なくとも0.67μg/g以上である。かかる各成分及びその含有量の緑茶にあっては、高級抹茶を超える品質を有すると言え、従って本緑茶はより好適と言える。
このとき、当該緑茶は、油様の刺激臭があることが知られており、低級抹茶に多く含まれる(E,Z)-2,4-ヘプタジエナールの含有量が1.87μg/g以下であり、及び/又は青葉の青臭い匂いに寄与しているとも言われており、低級抹茶に多く含まれるヘキサナールの含有量が0.46μg/g以下であるため、高級抹茶に勝るとも劣らないより好適な香気性を醸すことができる。
ところで、このようにして得られた緑茶は飲食物の材料として適用することができる。飲食物としては、茶飲料を含む清涼飲料、カクテル若しくは前記茶飲料で割った混合アルコール飲料、又は醸造過程で緑茶を添加してなる醸造アルコール等のアルコール飲料、例えば牛乳といった飲料に添加する添加材、緑茶を生地又はトッピング等に用いた菓子、緑茶を生地又はトッピング等に用いたパン、緑茶を生地に混錬させたアイスクリーム又は麺類等々、緑茶を材料として適用し得る全てを包含する。また、本緑茶は抹茶の代用とすることができるため、本緑茶の飲食物の材料としての使用量は、抹茶の使用量を適用することができる。
このような本緑茶を材料とする飲食物にあっては、抹茶を用いた場合と同等以上の滋味、色彩、鮮やかさ及び香気性を呈することができる。
(実施例1)
本発明に係る緑茶の原料とする茶葉に含まれるテアニン及びカテキンの量を測定した結果について説明する。
次の表1は、茶葉のテアニン含有量及びカテキン含有量に与える被覆の影響を検討した結果を示すものであり、Cは前述した如く茶樹を被覆して得られた茶葉を用いて前述した如く得た荒茶の結果を、NCは茶樹を相対的に弱く被覆して得られた茶葉を用いて前述した如く得た荒茶の結果をそれぞれ示している。なお、茶樹の栽培地はいずれも福岡県であり、Cの遮光率は90%で、茶葉の新芽が出てから30日程度経過したときから開始し、17日間栽培した。一方、NCの遮光率は80%で、茶葉の新芽が出てから30日程度経過したときから開始し、14日間栽培した。
なお、テアニン含有量及びカテキン含有量に熟成が与える影響も検討すべく、熟成処理前後のテアニン含有量及びカテキン含有量も測定してあり、AA5は、茶樹を被覆して得られた茶葉を5℃で7ヵ月間成熟させたものを、またAA15は、茶樹を被覆して得られた茶葉を15℃で7ヵ月間成熟させたものを測定した結果をそれぞれ示している。
ここで、テアニン含有量は次のように測定した。
(1)試料の前処理
50mgの緑茶に内部標準溶液1ml及び熱水49mlを加え、超音波洗浄器にて10分間処理した後、80℃の湯浴中で30分間撹拌した。得られた処理液を孔径が0.45μmセルロースアセテートメンブレンフィルターでろ過して試料とした。
(2)測定
測定は高速液体クロマトグラフィー(日本分光株式会社製)を用いて行った。また、高速液体クロマトグラフィーのポンプにはPU-2089Plusを、オートサンプラーにはAS-2057Plusを、カラムオーブンにはCO-2065Plusを、検出器にはFD-2020Plusを、カラムにはDevelosil ODS-HG-5(4.6mm×250mm、野村化学株式会社製)を用いた。高速液体クロマトグラフィーの移動相流量は1ml/min、カラム温度は40℃、注入量は10μlとし、蛍光検出(EXT;340nm、EMI;450nm)にて検出した。
なお、注入直前にオートサンプラーにて、OPA試薬75μlとメルカプトエタノール試薬75μlと試料液10μlを混合し、15分後に高速液体クロマトグラフィーへ注入した。
移動相のグラジエント条件としては、以下の時間、移動相の割合になるよう段階的に直線グラジエントを設定した。即ち、開始時にあっては移動相A:移動相B=95:5(容量比)、5分経過後にあっては移動相A:移動相B=88:12、20分経過後にあっては移動相A:移動相B=83:17、30分経過後にあっては移動相A:移動相B=62.38、35分経過後にあっては、移動相A:移動相B=5:95、35分を超えてから40分にあっては、直前と同じ条件、そして、40分経過後にあっては、移動相A:移動相B=95:5に切り替えて40分間流した後に、次の試料を注入した。
なお、OPA(オルトフタルアルデヒド)試薬は、80mgのOPAをアセトニトリル12mlに溶解させ、これに0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)を28mlを加え、この溶液を1晩以上冷蔵庫に置き、析出した結晶を孔径が0.45μmのPTFEメンブランフィルターで濾過して調製した。
また、メルカプトエタノール試薬は、孔径が0.45μmのセルロースアセテートメンブランフィルターで濾過した0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)の40mlにメルカプトエタノール200μlを加え、それらを混合することによって調製した。
一方、内部標準溶液は、内部標準物質であるグリシルグリシン50mgを0.1規定塩酸100mlに溶かして調製した。
更に、移動相Aは、5mMクエン酸緩衝液(pH6.0)とアセトニトリルとを容量比が19:1になるように混合させて調製した。また、移動相Bは、5mMクエン酸緩衝液(pH6.0)とアセトニトリルとを容量比が3:7になるように混合させて調製した。
テアニンの含有量は、ピーク面積を用いた検量線を作成しておき、高速液体クロマトグラフィーにて検出された試料のテアニンに対応するピーク面積と、前記検量線とから求めた。
また、カテキン含有量は次のように測定した。
(1)試料の前処理
500mgの緑茶をメスフラスコ内へ投入し、これにイオン交換水:アセトニトリル:85%リン酸=49.9:50:0.1(容量比)からなる抽出溶液を49ml注入した。超音波洗浄器にて30分間処理した後、更に10分間静置させ、生じた上澄み液1mlとイオン交換水1mlとを混合させ、それを孔径が0.45μmのPTFEメンブレンフィルターで濾過したものを試料とした。
(2)測定
測定は高速液体クロマトグラフィー(日本分光株式会社製)を用いて行った。また、高速液体クロマトグラフィーのカラムには、Develosil ODS-250mm、5μm(inertsil、ガードカラム付き)を用いた。また、設定条件、検出、移動相A及びB、移動相のグラジエント条件は指定条件に倣った。
標準溶液として、MilliQ水を用いて調製した約0.2質量%のビタミンC水溶液にて、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートを約200ppmにて溶解し、これに同容量のアセトニトリルを加えることで約100ppmの溶解液を調製した。さらにこれを1/2、1/3、1/4に希釈し、計4点の標準溶液を調製した。
各カテキンの含有量は、各標準液のピーク面積を用いた検量線を作成しておき、高速液体クロマトグラフィーにて検出された試料の各カテキンに対応するピーク面積と、前記検量線とから求め、それらを合計してカテキン含有量とした。
Figure 2022038269000002
公表されている抹茶のテアニン含有量及びカテキン含有量は、上級抹茶について前者が2.43質量%、後者が9.37質量%であり、中級抹茶について前者が1.74質量%、後者が11.56質量%であり、低級抹茶について前者が1.37質量%、後者が12.63質量%である。
これに対して、表1から明らかなように、本発明に係る緑茶の原料となる荒茶にあっては、相対的に強く遮光した場合、テアニン含有量が2.44質量%~2.77質量%であり、カテキン含有量が5.95質量%~6.56質量%であり、テアニン含有量及びカテキン含有量については、前述した上級抹茶の品質を超える品質を有していた。
また、本発明に係る緑茶の原料となる荒茶にあっては、相対的に弱く被覆した場合であっても、テアニン含有量が2.13質量%~2.60質量%であり、カテキン含有量が8.64質量%~9.12質量%であり、相対的に強く被覆した場合に比べて、テアニン含有量が少なく、カテキン含有量が多くなっていたものの、テアニン含有量及びカテキン含有量については、前述した上級抹茶の品質と同等の品質を有していた。
このように、茶樹の栽培条件によっては、相対的に弱く被覆した場合であっても、抹茶の品質以上の品質を有する荒茶を得ることができる。しかしながら、茶樹の栽培途中に、摘採して乾燥させた荒茶のテアニン含量及びカテキン含量が上級抹茶と同等になるか否かを予測することは多大な困難を伴うため、相対的に強い被覆を実施することによって、得られた荒茶のテアニン含量及びカテキン含量を上級抹茶を超える値に、確実に至らせることができるため好適である。ここで、相対的に強く被覆するとは、遮光率が85%程度を超え90%程度以下であり、茶葉の新芽が出てから30日程度経過したときから遮光を開始し、10日程度を超え15日程度以下の期間、遮光を実施することをいう。
ただし、本発明に係る緑茶の用途によっては、中級抹茶又は低級抹茶と同等の品質でも適用することができる。かかる場合にあっては、相対的に弱く被覆してもよい。
一方、表1のCとAA5との比較、CとAA15との比較から明らかなように、熟成処理前後において、テアニン含有量及びカテキン含有量にいずれも有意な差は無かった。
(実施例2)
次に、本発明に係る製造方法によって製造された緑茶の香気成分を検討した結果について説明する。
次の表2は、本発明に係る緑茶の香気性に与える熟成処理及び加熱処理の影響を検討した結果を示すものであり、本発明に係る緑茶の材料とする荒茶は、前述した如く茶樹を被覆して得られた茶葉を用いた場合と、茶樹を被覆せずに得られた茶葉を用いた場合とを分けて示してある。なお、茶樹の栽培地は福岡県であり、被覆した場合の遮光率は80%とした。また、熟成処理は、15℃で5ヵ月間又は7ヵ月間、5℃で5ヵ月間又は7ヵ月間行った。一方、火入である加熱処理は、葉温が110℃程度以上130℃程度以下になるように、10分間程実施した。
表2中、SM1はフェニルアセトアルデヒド(phenylacetaldehyde)である。これは、蜂蜜のような甘いバラの香り、また、みずみずしい草の香り、とされる香気成分であり、高級抹茶に多く含まれている。また、SM2は6-メチル-5-へプテン-2-オン(6-methyl-5-hepten-2-one)である。これは、フルーティー、グリーン香として知られており、抹茶の材料である碾茶又は玉露に多く含まれている。また、SM3は2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(2-hydroxy-2,6,6-trimethylcyclohexanone)、SM4はN-エチルスクシンイミド(N-ethylsuccinimide)であり、いずれも高級抹茶に多く含まれている香気成分である。
一方、SM5はヘキサナール(hexanal)であり、SM6は(E)-2-ヘキセナール((E)-2-hexenal)である。これらは、青葉の青臭い匂いに寄与しているとも言われており、低級抹茶に多く含まれる。また、SM7は(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール((E,Z)-2,4-heptadienal)であり、SM8は(E,E)-2,4-ヘプタジエナール((E,E)-2,4-heptadienal)である。これらは、油様の刺激臭があることが知られており、低級抹茶に多く含まれる香気成分である。なお、表2中、NDは検出限界以下であったことを表している。また、何れの数値も単位はμg/gである。
ここで、香気成分の含有量は次のように測定した。
(1)試料の前処理
表2に示した対象の各茶葉8gに、予め水を5容量%となるように添加したジエチルエーテルを80ml加えると共に内部標準を添加し、2時間撹拌した後、茶葉を濾過して、濾液を得た。この濾液について、溶剤支援フレーバー蒸発装置(有限会社桐山製作所製)を用いて香気成分を抽出し、得られた溶剤抽出物を濃縮し、GC/MS分析装置の試料とした。
(2)測定
GC/MS分析装置としては、GCの部分が6890N GCであり、MSの部分が5973 Inert MSD(何れもアジレントテクノロジー株式会社製)を用いた。また、キャピラリーカラムにはDB-WAX(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)(アジレントテクノロジー株式会社製)を用いた。そして、50℃で2分間保持後、3℃/分の割合で、220℃になるまで昇温させる温度プログラムを設定した。なお、キャリアガスにはヘリウムガスを用い、注入口圧25psi、定圧モードとした。
一方、MSはスキャンモードで測定し、得られたMSスペクトルを標準物質のスペクトルと照らし合わせて同定した。
Figure 2022038269000003
公表されている抹茶の香気成分の含有量は次の通りである。フェニルアセトアルデヒド(SM1)は、高級抹茶では0.117μg/g、中級抹茶では0.131μg/g、低級抹茶では0.070μg/gであり、6-メチル-5-へプテン-2-オン(SM2)は、高級抹茶では0.015μg/g、中級抹茶では0.049μg/g、低級抹茶では0.079μg/gであり、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(SM3)は、高級抹茶では0.349μg/g、中級抹茶では0.197μg/g、低級抹茶では0.175μg/gであり、N-エチルスクシンイミド(SM4)は、高級抹茶では0.123μg/g、中級抹茶では0.032μg/g、低級抹茶では0.019μg/gである。
また、ヘキサナール(SM5)は、高級抹茶では0.077μg/g、中級抹茶では0.105μg/g、低級抹茶では0.267μg/gであり、(E)-2-ヘキセナール(SM6)は、高級抹茶では0.017μg/g、中級抹茶では0.025μg/g、低級抹茶では0.071μg/gであり、(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール(SM7)は、高級抹茶では0.275μg/g、中級抹茶では0.504μg/g、低級抹茶では0.698μg/gであり、(E,E)-2,4-ヘプタジエナール(SM8)は、高級抹茶では0.131μg/g、中級抹茶では0.285μg/g、低級抹茶では0.647μg/gである。
これに対して、表2から明らかなように、本発明に係る緑茶にあっては、6-メチル-5-へプテン-2-オン(SM2)及びヘキサナール(SM5)を除いて、フェニルアセトアルデヒド(SM1)~(E,E)-2,4-ヘプタジエナール(SM8)のいずれの香気成分にあっても、荒茶の段階で、被覆の強弱に拘わらず、高級抹茶と同程度~2倍程度の値を示していた。また、6-メチル-5-へプテン-2-オン(SM2)及びヘキサナール(SM5)については、相対的に弱い被覆を行った場合は検出限界以下であり、相対的に強い被覆を行った場合はいずれも高級抹茶より大きい値であった。
これは、テアニンを豊富に含有する茶葉にあっては、前述した荒茶加工(ステップS2)における乾燥処理(ステップS24)(図1及び図3参照)によって、これらの香気成分を多く産生し得ることが分かる。
一方、相対的に強い被覆を行って得られた荒茶にあっては、7ヵ月程度の熟成処理によって、ヘキサナール(SM5)~(E,E)-2,4-ヘプタジエナール(SM8)までの香気成分の含有量を減少、又はさほど増大させることなく、フェニルアセトアルデヒド(SM1)~N-エチルスクシンイミド(SM4)までの香気成分の含有量を増大させることができた。
更に、相対的に強い被覆を行って得られた荒茶にあっては、表2に示したように、熟成処理後の火入である加熱処理によって、フェニルアセトアルデヒド(SM1)~N-エチルスクシンイミド(SM4)までの香気成分の含有量を、高級抹茶の含有量の5倍程度~10倍程度に増大させることができた。その一方で、かかる加熱処理は、熟成処理によって増大した(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール(SM7)の含有量を、荒茶時の含有量程度まで減少させていた。また、(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール(SM7)を除くヘキサナール(SM5)~(E,E)-2,4-ヘプタジエナール(SM8)までの香気成分にあっては、加熱処理によってその含有量の増大が2倍未満に抑えられていた。
このように、相対的に強い被覆を行って得られた荒茶にあっては、表2に示したように、熟成処理後に加熱処理を実施することによって、ヘキサナール(SM5)~(E,E)-2,4-ヘプタジエナール(SM8)の含有量をさほど増大させることなく、高級抹茶又は碾茶に多く含まれる香気成分であるフェニルアセトアルデヒド(SM1)~N-エチルスクシンイミド(SM4)の含有量を顕著に増大させることができるため、後述する官能試験において、高級抹茶と同等以上の評価であった。
以上より、栽培中に相対的に強い被覆を行って得られた荒茶を5℃から15℃程度の温度で数カ月、好ましくは7ヵ月熟成させ、その後に加熱処理を実施することによって、ヘキサナール(SM5)~(E,E)-2,4-ヘプタジエナール(SM8)の含有量をさほど増大させることなく、高級抹茶又は碾茶に多く含まれる香気成分であるフェニルアセトアルデヒド(SM1)~N-エチルスクシンイミド(SM4)の含有量を増大させ、高級抹茶以上の品質を有する緑茶を製造し得ることが分かる。
かかる場合、フェニルアセトアルデヒド(SM1)~N-エチルスクシンイミド(SM4)の含有量はそれぞれ、フェニルアセトアルデヒド(SM1)が1.35μg/gであり、6-メチル-5-へプテン-2-オン(SM2)が0.16μg/gであり、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(SM3)が1.00μg/gであり、N-エチルスクシンイミド(SM4)が0.67μg/gであった。また、ヘキサナール(SM5)~(E,E)-2,4-ヘプタジエナール(SM8)の含有量はそれぞれ、ヘキサナール(SM5)が0.46μg/gであり、(E)-2-ヘキセナール(SM6)が0.05μg/gであり、(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール(SM7)が1.87μg/gであり、(E,E)-2,4-ヘプタジエナール(SM8)が0.66μg/gであった。
一方、表2から明らかなように、栽培中に相対的に強い被覆を行って得られた荒茶にあっては、加熱処理を実施することなく、5℃から15℃程度の温度で数ヵ月、好ましくは7ヵ月熟成させても、高級抹茶と同等以上の品質を有する緑茶を製造し得ることが分かる。かかる場合にあっては、フェニルアセトアルデヒド(SM1)~N-エチルスクシンイミド(SM4)の含有量はそれぞれ、フェニルアセトアルデヒド(SM1)が少なくとも0.15μg/gであり、6-メチル-5-へプテン-2-オン(SM2)が少なくとも0.04μg/gであり、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(SM3)が少なくとも0.52μg/gであり、N-エチルスクシンイミド(SM4)が少なくとも0.20μg/gである。
また、表2から明らかなように、栽培中の被覆の程度に拘わらず、本発明の製造方法によって得られた荒茶によって、高級抹茶と同等以上の品質を有する緑茶が得られることが分かる。かかる場合にあっては、フェニルアセトアルデヒド(SM1)~N-エチルスクシンイミド(SM4)の含有量はそれぞれ、フェニルアセトアルデヒド(SM1)が少なくとも0.13μg/gであり、6-メチル-5-へプテン-2-オン(SM2)が少なくとも0.04μg/gであり、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(SM3)が少なくとも0.33μg/gであり、N-エチルスクシンイミド(SM4)が少なくとも0.05μg/gである。
これらの結果より、本発明に係る緑茶にあっては、テアニンの含有量が少なくとも1.7質量%以上であり、また、フェニルアセトアルデヒド(SM1)の含有量が少なくとも0.13μg/g以上であり、6-メチル-5-へプテン-2-オン(SM2)の含有量が少なくとも0.04μg/g以上であり、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(SM3)の含有量が少なくとも0.33μg/g以上であり、N-エチルスクシンイミド(SM4)の含有量が少なくとも0.05μg/g以上である。これによって本発明に係る緑茶は、高級抹茶と同等以上の品質を有する。
このとき、当該緑茶は、油様の刺激臭があることが知られており、低級抹茶に多く含まれる(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール(SM7)の含有量が2.13μg/g以下であり、及び/又は青葉の青臭い匂いに寄与しているとも言われており、低級抹茶に多く含まれるヘキサナール(SM5)の含有量が0.46μg/g以下であるため、高級抹茶に勝るとも劣らないより好適な香気性を醸すことができる。
また、より好適には、本発明に係る緑茶は、テアニンの含有量が少なくとも1.7質量%以上であり、また、フェニルアセトアルデヒド(SM1)の含有量が少なくとも0.15μg/g以上であり、6-メチル-5-へプテン-2-オン(SM2)の含有量が少なくとも0.04μg/g以上であり、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(SM3)の含有量が少なくとも0.52μg/g以上であり、N-エチルスクシンイミド(SM4)の含有量が少なくとも0.10μg/g以上である。これによって本発明に係る緑茶は、高級抹茶以上の品質を有する。更に好適には、本発明に係る緑茶は、テアニンの含有量が少なくとも1.7質量%以上であり、また、フェニルアセトアルデヒド(SM1)の含有量が1.35μg/g以上であり、6-メチル-5-へプテン-2-オン(SM2)の含有量が0.16μg/g以上であり、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン(SM3)の含有量が1.00μg/g以上であり、N-エチルスクシンイミド(SM4)の含有量が0.67μg/g以上である。これによって本発明に係る緑茶は、高級抹茶を超える品質を有する。
(実施例3)
次に、本発明に係る製造方法によって製造された緑茶の色彩を検討した結果について説明する。
緑茶の色彩は次のようにして測定した。
すなわち、ガラス製のプレート上に緑茶を適量載置し、略均一な層になるように均した後、このプレートを透明な樹脂製のフィルムで包み、色差計TES-135A(株式会社佐藤商事)にL値、a値及びb値を測定した。測定結果を次の表3に示す。
Figure 2022038269000004
表3中、Sは本発明に係る緑茶を測定した結果を示している。また、比較例として中級の抹茶、及び高級の煎茶を粉末化した煎茶粉末も同様に測定し、それぞれR1及びR2として示した。
表3から明らかな如く、本発明に係る緑茶(S)にあっては、色彩の明暗を示すL値は、抹茶(R1)より少し低かったものの、煎茶粉末(R2)より高く、その値は60を超えていた。
また、本発明に係る緑茶にあっては、赤色より緑色方向を示すa値は、抹茶(R1)及び煎茶粉末(R2)のいずれより低く、最も緑色傾向にあった。
一方、本発明に係る緑茶にあっては、黄色より青色方向を示すb値は、煎茶粉末(R2)より高かったものの、抹茶(R1)より低く、どちらかと言えば煎茶粉末(R2)に近い結果であった。
以上の結果より、本発明に係る緑茶は、高級な煎茶より明らかに良好な色彩を呈しており、抹茶と比べても、L値及びb値が低かったものの、a値は抹茶より高く、大きな遜色は無いものであった。
(実施例4)
次に、本発明に係る製造方法によって製造された緑茶を用いて官能試験を行った結果について説明する。
官能試験は次のように実施した。
すなわち、2000mgの緑茶を90℃のお湯に十分に懸濁させ、抹茶の専門家4人によって、色彩、香気、及び滋味についてそれぞれ上位から順に「◎」「○」「△」「×」の四段階で評価させた。また、比較例として中級の抹茶(R1)、及び高級の煎茶を粉末化した煎茶粉末(R2)も同様に評価させた後、総合評価を実施した。得られた各評価を平均した結果を次表4に示す。
Figure 2022038269000005
表4から明らかなように、本発明に係る緑茶にあっては、高級な煎茶緑茶より格段に嗜好性に優れており、抹茶と同程度の嗜好性を呈していた。
S1 ステップS1
S2 ステップS2
S3 ステップS3
S5 ステップS5

Claims (11)

  1. 茶樹から摘採した後に蒸熱して得た茶葉を乾燥する乾燥工程を実施して緑茶を製造する方法において、
    前記乾燥工程は碾茶炉を除く乾燥機を用いて実施し、
    また、乾燥して得られた茶葉を熟成する熟成工程を実施する
    ことを特徴とする緑茶の製造方法。
  2. 茶樹から摘採した後に蒸熱して得た茶葉を乾燥する乾燥工程と、乾燥して得られた茶葉を粉末化する粉末工程とを実施して緑茶を製造する方法において、
    前記乾燥工程は碾茶炉を除く乾燥機を用いて実施し、
    前記粉末工程は石臼を除く粉砕機を用いて実施し、
    また、乾燥して得られた茶葉を熟成する熟成工程を実施する
    ことを特徴とする緑茶の製造方法。
  3. 更に、熟成して得られた茶葉を加熱処理する加熱工程を実施する請求項1又は2記載の緑茶の製造方法。
  4. 前記熟成工程は不活性ガス下で実施する請求項1から3のいずれかに記載の緑茶の製造方法。
  5. 前記熟成工程は15℃以下で実施する請求項4記載の緑茶の製造方法。
  6. 被覆材で被覆した茶樹から摘採した茶葉を用い、
    前記被覆は、遮光率が85%程度を超え90%程度以下であり、茶葉の新芽が出てから30日程度経過したときから開始し、10日程度を超え15日程度以下の期間実施する
    請求項1から5のいずれかに記載の緑茶の製造方法。
  7. 茶樹から摘採した茶葉を原料とする緑茶において、
    テアニンの含有量が1.7質量%以上であり、また、フェニルアセトアルデヒド、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチルシクロヘキサノン、及びN-エチルスクシンイミドの各香気成分からなる群から選択される1又は複数の香気成分を含有し、先頭の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.13μg/g以上であり、2番目の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.04μg/g以上であり、3番目の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.33μg/g以上であり、末尾の化合物を含有する場合にあってはその含有量が0.05μg/g以上である
    ことを特徴とする緑茶。
  8. 更に、(E,Z)-2,4-ヘプタジエナールの含有量が2.13μg/g以下である請求項7記載の緑茶。
  9. 更に、ヘキサナールの含有量が0.46μg/g以下である請求項7又は8記載の緑茶。
  10. 茶樹から摘採した後に蒸熱して得た茶葉を乾燥する乾燥工程を実施して製造された緑茶において、
    請求項1から6のいずれかに記載の緑茶の製造方法によって製造されたことを特徴とする緑茶。
  11. 原料として緑茶を含有する飲食物において、
    前記緑茶は請求項7から10のいずれかに記載の緑茶であることを特徴とする飲食物。
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