(実施形態)
(1)概要
本実施形態の搬送装置20は、図1に示すように、車体23と、制御部51(図2参照)と、を備える。車体23には、被搬送物40を連結可能な連結部29が設けられる。車体23は、移動面B1の上を車輪W1で走行する。制御部51は、車体23の走行状態を制御する。車輪W1は、平面視において連結部29に連結される被搬送物40の外側に位置する。制御部51は、被搬送物40に関連する第1情報と、車体23の移動経路に関連する第2情報との少なくとも一方に基づいて、車体23の走行状態を制御する。
ここにおいて、連結部29が被搬送物40を連結可能であるとは、連結部29が被搬送物40を車体23に連結する状態と、被搬送物40を車体23から分離する状態とを切替可能であることをいう。車体23の走行状態を制御するとは、車体23が旋回する場合の旋回中心の位置を変化させる制御と、車体23の加減速の制御と、車体23に被搬送物40が連結された状態で車体23に対する被搬送物40の相対的な位置を変化させる制御との少なくとも一つを含む。例えば、被搬送物40の大きさによって、被搬送物40が連結された搬送装置20の最小回転半径が変化するため、制御部51は、第1情報に基づいて旋回中心の位置を変化させる制御を行うことが好ましい。また、被搬送物40の外形形状、重心位置、又は被搬送物40の種類等によって、被搬送物40を搬送する場合に加減速によって被搬送物40に加わる加速度の許容範囲が変化するので、制御部51は、第1情報に基づいて車体23の加減速の制御を行うことが好ましい。また、被搬送物40を搬送する移動経路の状況(例えば、被搬送物40が移動する通路の幅、勾配、通路がカーブしている場合の通路の曲率半径等)によっても搬送装置20の加減速の許容範囲又は回転半径の許容範囲等が変化する。そのため、制御部51は、第1情報又は第2情報に基づいて車体23の加減速の制御、旋回中心の位置を変化させる制御、及び車体23に対する被搬送物40の相対的な位置を変化させる制御との少なくとも一つを行うことが好ましい。
このように、本実施形態の搬送装置20は第1情報と第2情報との少なくとも一方に基づいて車体23の走行状態を制御するので、被搬送物40の搬送状況(例えば、被搬送物40の大きさ、外形形状、重心位置等の状況、又は、移動経路の状況)に応じて走行状態を制御することができる。よって、搬送装置20を安定した走行状態で走行させることができる。さらに、搬送装置20は第1情報と第2情報との少なくとも一方に基づいて車体23の走行状態を制御するので、走行安定性が向上するという利点があり、また狭い通路を走行する場合でも障害物と干渉することなくスムーズに走行させることができる。
(2)詳細
本実施形態の搬送装置20は、例えば工場、物流センター(配送センターを含む)、オフィス、店舗、学校、及び病院等の施設に導入される。搬送装置20が移動する移動面B1は、その上を搬送装置20が移動する面である。搬送装置20が施設内を移動する場合は施設の床面等が移動面B1となり、搬送装置20が屋外を移動する場合は地面等が移動面B1となる。以下では、製造システム1が設置された工場等の施設F1に搬送装置20を導入する場合について説明する。
本実施形態の搬送装置20は、基板に部品を実装する実装ライン10を含む製造システム1において使用される。以下、本実施形態に係る製造システム1について図面を参照して詳しく説明する。なお、以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
製造システム1は、実装ライン10で使用される1以上の製造装置11と、搬送装置20と、制御システム30と、を備えている。ここにおいて、製造システム1は、基板に対して所定の作業を行う1以上の製造装置11と、製造装置11に対して所定の機能を提供する1以上の機能モジュールとを含む。そして、1以上の機能モジュールが、搬送装置20によって1以上の製造装置11まで搬送される被搬送物40である。搬送装置20が、被搬送物40である機能モジュールを製造装置11に搬送する場合に、第1情報及び第2情報の少なくとも一方に基づいて走行状態を制御する。したがって、搬送装置20は、被搬送物40である機能モジュールに適した走行状態で、機能モジュールを搬送することが可能になる。
1以上の製造装置11が行う「所定の作業」は、基板に対して行われる作業である。以下の実施形態では、所定の作業が、基板に部品を実装する実装ライン10において、基板に行われる作業である場合を例に説明を行うが、所定の作業は実装ライン10において基板に行われる作業に限定されず、基板自体を製造する工程、基板に部品を実装する工程、基板の検査を行う工程などの各種工程のうち少なくとも1つの工程において基板に対して行われる作業を含み得る。つまり、製造システム1は基板の実装ライン10に適用されるものに限定されず、基板の製造の各工程の少なくとも1つに適用されればよい。所定の作業は、例えば、基板に対して半田を印刷する印刷作業、配線が印刷された基板(プリント配線板)に対して部品を載せるマウント作業、及び、基板に載せられた半田を溶融することで部品を基板に接合する接合作業のうちの少なくとも一つを含む。図3に示す実装ライン10では、1以上の製造装置11が、印刷作業を行う印刷装置11Aと、それぞれマウント作業を行う2台のマウント装置11B,11Cと、接合作業を行うリフロー半田装置11Dとを含んでいる。
1以上の機能モジュールは、製造装置11に対して所定の機能をそれぞれ提供する。「所定の機能」は、例えば、半田印刷作業を行う印刷装置11Aに対して半田やマスクを供給する機能、及び、印刷装置11Aから廃棄物を回収する機能の少なくとも一方を含んでもよい。また、所定の機能は、マウント装置11B,11Cに対して部品を提供する機能を含んでもよい。マウント装置11B,11Cに対して部品がテープに取り付けられたリールを供給する場合、所定の機能は、部品が取り外された後のテープをマウント装置11B,11Cから回収する機能を含んでもよい。また、マウント装置11B,11Cに対して部品が載せられたトレイを供給する場合、所定の機能は、部品が取り出された後のトレイをマウント装置11B,11Cから回収する機能を含んでもよい。また、所定の機能は、製造装置11に対して基板を供給する機能、製造装置11から基板を回収する機能、リール部品のカット屑などを回収する機能、製造装置11からメンテナンス対象部品を回収する機能、及び製造装置11にメンテナンス対象部品を戻す機能、の少なくとも一方を含んでもよい。
ここにおいて、複数の機能モジュールは、所定の機能を製造装置11に提供するモジュールであり、例えば、部品供給モジュール、トレイ供給モジュール、廃棄物回収モジュール、基板供給モジュール、基板回収モジュール、メンテナンスモジュール、フィーダー補充モジュール等がある。部品供給モジュールは、製造装置11に対して基板に実装される複数の部品を供給するためのモジュールである。部品供給モジュールが製造装置11に供給する複数の部品は、バルクの状態でもよいし、リールに巻かれたテープに取り付けられた状態でもよいし、リールレス型のテープロール体に取り付けられた状態でもよいし、それ以外の形態(例えば、複数の部品がケースに収容された状態等)でもよい。トレイ供給モジュールは、複数の部品等を載せた複数のトレイを製造装置11に供給するためのモジュールである。廃棄物回収モジュールは、製造装置11から排出される廃棄物を回収するためのモジュールである。基板供給モジュールは、製造装置11に対して作業対象である複数の基板を供給するためのモジュールである。基板回収モジュールは、製造装置11から作業が行われた後の複数の基板を回収するためのモジュールである。メンテナンスモジュールは、基板の製造に用いる資材を製造装置11に提供する機能と、製造装置11からメンテナンス対象部品を回収する機能と、製造装置11にメンテナンス対象部品を戻す機能との少なくとも1つを提供する。メンテナンスモジュールは、基板の製造に用いる資材として、例えば、はんだペースト、マスク、はんだペーストを溶かす溶剤を入れる溶剤タンク、及びマスクに付着したはんだペーストを拭き取るためのペーパー等を製造装置11に提供する。なお、ペーパーは製造装置11において湿式クリーニングに実行するために用いられる資材であり、溶剤が塗布されたペーパーでマスクを拭くことによって、マスクに付着したはんだペーストが拭き取られる。フィーダ補充モジュールは、製造装置11に対してフィーダを補充するためのモジュールである。フィーダ補充モジュールは、例えば、カセット式のフィーダを製造装置11に対して供給するものでもよいし、1又は複数のフィーダを保持するユニットを製造装置11に対して供給するものでもよい。また、フィーダ補充モジュールは製造装置11に対して連結可能に設けられた一括交換台車モジュールでもよい。一括交換台車モジュールは、製造装置11に対して複数種類の部品を供給するための台車であり、製造装置11に接続される一括交換台車モジュールを交換することで、製造装置11に供給する複数種類の部品を一括して交換することができる。
以下、製造システム1を構成する製造装置11、搬送装置20、及び制御システム30について図面を参照して説明する。
(2.1)実装ライン
本実施形態の製造システム1が適用される実装ライン10について図2及び図3を参照して説明する。
実装ライン10が設けられた施設F1には、材料エリアA1と、実装ライン10が設置された実装エリアA2とが設けられている。
材料エリアA1には、基板、部品、及び各種材料(半田及びマスク材料等)を保管する自動倉庫70等の倉庫が設置されている。自動倉庫70等の倉庫から出庫された基板、部品、及び各種材料(半田及びマスク材料等)は、作業者又は搬送ロボットによって実装エリアA2に搬送される。
実装エリアA2には、製造装置11に供給する物品を準備するための準備エリアA3が設けられている。この準備エリアA3には、第1準備エリアA31と、第2準備エリアA32と、第3準備エリアA33が設けられている。
第1準備エリアA31には、基板に実装する部品が取り付けられた複数のリールが材料エリアA1から搬入される。第1準備エリアA31では、複数のリールを部品供給モジュール41(図6参照)に搭載する作業が作業者又は自動化装置等によって行われる。複数のリールを搭載した部品供給モジュール41は搬送装置20によって搬送先のマウント装置11B,11Cの配置場所へと移動させられる。
第2準備エリアA32には、基板に実装する部品を載せた複数のトレイが材料エリアA1から搬入される。第2準備エリアA32では、複数のトレイをトレイ供給モジュール42(図7参照)に搭載する作業が作業者又は自動化装置等によって行われる。複数のトレイを搭載したトレイ供給モジュール42は搬送装置20によって搬送先のマウント装置11B,11Cの配置場所へと移動させられる。
第3準備エリアA33には、製造装置11で使用される材料(例えば基板及び半田やマスク等)が材料エリアA1から搬入される。第3準備エリアA33では、製造装置11で使用される材料を機能モジュールに搭載する作業が作業者又は自動化装置等によって行われる。材料を搭載した機能モジュールは、搬送装置20によって供給先の製造装置11の配置場所へと移動させられる。
また、実装エリアA2には、製造装置11から回収した廃棄物を一時的に保管する回収エリアA4が設けられている。製造装置11から排出される廃棄物は、製造装置11に接続された廃棄物回収モジュール44(図3参照)に収容される。搬送装置20は、製造装置11に接続された廃棄物回収モジュール44を回収エリアA4に搬送し、廃棄物回収モジュール44に収容されている廃棄物を回収エリアA4に集積する。そして、回収エリアA4に集積された廃棄物は、作業者又は搬送ロボット等によって施設F1に設けられた廃棄物の集積場に搬出される。
次に、実装エリアA2に設けられた実装ライン10について説明する。実装ライン10は、基板に部品を実装する製造ラインである。実装ライン10は、基板の搬送方向に沿ってそれぞれ配置された複数(例えば4台)の製造装置11と複数(例えば2台)の検査装置12とを備えている。4台の製造装置11は、基板に半田を印刷する印刷装置11Aと、半田が印刷された基板に部品を載せるマウント作業を行う2台のマウント装置11B,11Cと、部品を基板に接合する接合作業を行うリフロー半田装置11Dと、を含む。2台の検査装置12は、基板に印刷された半田の位置等を検査する検査装置12Aと、基板に配置された部品の位置等を検査する検査装置12Bと、を含む。
実装ライン10において基板は図3の左側から右側へと搬送されており、実装ライン10には基板の配列方向に沿って印刷装置11A、検査装置12A、マウント装置11B,11C、検査装置12、リフロー半田装置11Dがこの順番で並んでいる。
マウント装置11B,11Cは、供給された部品を基板に実装する実装ノズルを備える。マウント装置11B,11Cは、部品が取り付けられたテープが巻かれた1以上のリールを供給するための部品供給モジュール41から供給される部品、又は、部品が載せられたトレイを供給するためのトレイ供給モジュール42から供給される部品を実装ノズルで基板上の所定位置にマウントする。
リフロー半田装置11Dは、基板に載せられた半田を溶融させることによって基板にマウントされた部品と配線とを接合する作業を行う。
ここにおいて、本実施形態の製造システム1では、上記の部品供給モジュール41、トレイ供給モジュール42、及び廃棄物回収モジュール44が、搬送装置20によって搬送される機能モジュール(被搬送物40)となる。すなわち、1以上の製造装置11が、基板に部品をマウントするマウント装置11B,11Cを少なくとも含み、複数の機能モジュールが、部品供給モジュール41と、トレイ供給モジュール42と、廃棄物回収モジュール44と、の少なくとも1つを含む。部品供給モジュール41は、部品が取り付けられたテープが巻かれたリールをマウント装置11B,11Cに供給する。トレイ供給モジュール42は、部品が載せられたトレイをマウント装置11B,11Cに供給する。廃棄物回収モジュール44は、製造装置11から排出される廃棄物を回収する。
図6は部品供給モジュール41の一例であり、部品供給モジュール41は、マウント装置11B,11Cに対して1又は複数個のリールを供給する機能部430を有している。図7はトレイ供給モジュール42であり、トレイ供給モジュール42は、マウント装置11B,11Cに対して1又は複数個のトレイを供給する機能部430を有している。なお、図6に示す部品供給モジュール41は、マウント装置11B,11Cに装着されている複数のリールを1つずつ交換することによって、マウント装置11B,11Cにリールを供給しているが、機能モジュールは、マウント装置11B,11Cに装着されている複数のリールを一括して交換する一括交換モジュール43(図8)でもよい。一括交換モジュール43は、マウント装置11B,11Cに装着されている複数のリールを一括して交換可能な機能部430を有している。なお、廃棄物回収モジュール44は、製造装置11から排出される廃棄物を収容する収容部を備え、廃棄物を収容する機能を製造装置11に対して提供する。さらにいえば、機能モジュールは、例えば、カセット式のフィーダを製造装置11に対して供給するフィーダ補充モジュールでもよいし、1又は複数のフィーダを保持するユニットを製造装置11に対して供給するフィーダ補充モジュールでもよい。
なお、機能モジュール(被搬送物40)は、基板供給/回収モジュール45、及び、メンテナンスモジュール46を含んでもよい。
基板供給/回収モジュール45は、製造装置11に基板を供給する機能と、製造装置11から基板を回収する機能とを提供する機能モジュールである。なお、基板供給/回収モジュール45は、製造装置11への基板の供給と、製造装置11からの基板の回収との両方を行うが、製造装置11に基板を供給する機能モジュールと、製造装置11から基板を回収する機能モジュールとが別々の機能モジュールとして構成されてもよい。
また、メンテナンスモジュール46は、例えば、製造装置11からメンテナンス対象部品を回収する機能と、製造装置11にメンテナンス対象部品を戻す機能とを提供する。搬送装置20が、メンテナンスの必要な製造装置11のところへメンテナンスモジュール46を搬送し、製造装置11にメンテナンスモジュール46を連結させると、メンテナンスモジュール46が製造装置11からメンテナンス対象部品を回収する。その後、搬送装置20がメンテナンスモジュール46を施設F1内のメンテナンスエリアに移動させると、メンテナンス対象部品のメンテナンス作業が作業者又はロボット等によって実行される。メンテナンス対象部品のメンテナンス作業が終了すると、メンテナンス対象部品を保持したメンテナンスモジュール46を製造装置11のところへ搬送装置20が搬送し、メンテナンスモジュール46を製造装置11に連結させる。メンテナンスモジュール46が製造装置11にメンテナンス対象部品を供給すると、搬送装置20はメンテナンスモジュール46を製造装置11から切り離し、例えばメンテナンスエリアに移動させ、メンテナンスエリアで待機させる。なお、メンテナンスモジュール46は、基板の製造に用いる資材(例えば、はんだペースト、マスク、溶剤タンク、及びペーパー等)を製造装置11に提供する機能を提供するものでもよい。
以上のように、本実施形態の製造システム1は、基板に対して所定の作業を行う1以上の製造装置11と、製造装置11に対して所定の機能を提供する1以上の機能モジュールとを含む。そして、1以上の機能モジュールが、搬送装置20によって1以上の製造装置11まで搬送される被搬送物40である。
(2.2)搬送装置
次に、本実施形態の製造システム1において使用される1以上の搬送装置20について図1~図5に基づいて説明する。
搬送装置20は、図3に示すように、被搬送物40を搬送するために無人で走行する。
搬送装置20の車体23の下面には、図1、図4、及び図5に示すように、一対の駆動輪21と、一対の補助輪22とを含む車輪W1が設けられている。一対の駆動輪21は、左右方向に並ぶように車体23に設けられている。一対の補助輪22は、車体23の左右方向の中央部に、前後方向に並ぶように設けられている。本開示でいう「左右方向」は、搬送装置20の長手方向であり、図1、図4、及び図5におけるX軸方向である。搬送装置20の前後方向は、左右方向及び上下方向(搬送装置20が移動する移動面B1の法線方向)の各々と直交する方向、つまり搬送装置20の短手方向であり、図1、図4、及び図5におけるY軸方向である。以下の説明において、一対の駆動輪21のうち、車体23の左側に位置する駆動輪21を左駆動輪21L、車体23の右側に位置する駆動輪21を右駆動輪21Rと表記する場合もある。なお、本体23の形状は、搬送対象の機能モジュール等に応じて適宜変更が可能である。
搬送装置20の前後方向における一面には、被搬送物40を連結するための連結部が設けられている。連結部29は、被搬送物40が有する被把持部420を把持する把持部24を含む。把持部24が被搬送物40の被把持部420を把持することによって、連結部29が搬送装置20と被搬送物40とを連結する。搬送装置20は、連結部29によって当該搬送装置20に連結された被搬送物40と共に移動する。
ここで、搬送装置20が前後方向において移動する場合に、搬送装置20が進んで行く方向(進行方向)を前方、その反対方向を後方という。搬送装置20が被搬送物40を搬送する場合、搬送装置20が先頭になって被搬送物40をけん引する走行形態と、被搬送物40を先頭にして搬送装置20が被搬送物40を押して行く走行形態とがある。一般的に、被搬送物40を後側から押す走行形態に比べて、被搬送物40をけん引する走行形態の方が、走行状態が安定するので、搬送装置20は通常は被搬送物40をけん引して移動する。搬送装置20が被搬送物40をけん引して移動する場合、Y軸方向の正の向きが前側となり、X軸方向の正の向きが右側となる。以下では、Y軸方向の正の向きを前側とし、X軸方向の正の向きを右側として説明を行う。なお、搬送装置20の走行方向は前後方向に限定されず、搬送装置20は任意の方向に移動可能であり、搬送装置20は左右方向に進行してもよい。搬送装置20が左右方向に進行する場合、被搬送物40及び搬送装置20は、被搬送物40と搬送装置20とが進行方向と交差する方向に並んだ状態で移動する。
ここにおいて、被搬送物40の本体400の下面には複数の車輪410が設けられており、被搬送物40は移動面B1の上を車輪410で走行可能に構成されている。本体400の一面(搬送装置20によってけん引される場合の前面)には、2つの被把持部420が配列方向DR1(図5参照)において並ぶように設けられている。2つの被把持部420の各々は、本体400から前方に突出する基部421と、基部421の先端から斜め前方に突出する引掛部422と、を有している。ここで、2つの被把持部420が有する2つの引掛部422の間隔は、前側に行くほど狭くなっている。また、被把持部420には、基部421と引掛部422とに跨がって、把持部24が有するローラー部26が嵌まる凹部423が設けられている。
また、搬送装置20は、図2に示すように、制御部51と、電源52と、通信部53と、検知部54と、複数の駆動輪21を駆動するための駆動輪ユニット55と、複数の把持部24を駆動する駆動部58と、を備えている。
本実施形態では、左駆動輪21L及び右駆動輪21Rの各々が操向輪を兼ねている。左駆動輪21Lを駆動する駆動機構と、左駆動輪21Lの向きを変える操向機構とが、左駆動輪ユニット55L(図2及び図4参照)として一体化されている。また、右駆動輪21Rを駆動する駆動機構と、右駆動輪21Rの向きを変える操向機構とが、右駆動輪ユニット55R(図2及び図4参照)として一体化されている。つまり、上記の駆動輪ユニット55は、左駆動輪ユニット55Lと右駆動輪ユニット55Rとを含んでいる。
左駆動輪ユニット55Lは、左駆動輪21Lの回転と舵角とを制御する。左駆動輪ユニット55Lは、図2及び図4に示すように、左駆動輪21Lを円周方向に回転させるドライブモータ56Lと、左駆動輪21Lの向き(転動方向)を変化させるステアリングモータ57Lと、を備えている。ステアリングモータ57Lは、車体23に対して車体23の下面に沿うように設けられている平板状の固定板28の左端部に取り付けられている。ステアリングモータ57Lは、ドライブモータ56Lが固定されたブラケット27Lを、移動面B1と平行な平面内で回転させることによって、左駆動輪21Lの向きを変化させる。ここで、左駆動輪ユニット55Lは、制御部51からの制御命令を受けて、ステアリングモータ57Lが左駆動輪21Lを制御命令で指示された向きに変化させ、ドライブモータ56Lが左駆動輪21Lを制御命令で指示された回転トルク又は回転速度で回転させる。
右駆動輪ユニット55Rは、右駆動輪21Rの回転と舵角とを制御する。右駆動輪ユニット55Rは、図2及び図4に示すように、右駆動輪21Rを円周方向に回転させるドライブモータ56Rと、右駆動輪21Rの向き(転動方向)を変化させるステアリングモータ57Rと、を備えている。ステアリングモータ57Rは、固定板28の右端部に取り付けられている。ステアリングモータ57Rは、ドライブモータ56Rが固定されたブラケット27Rを、移動面B1と平行な平面内で回転させることによって、右駆動輪21Rの向きを変化させる。ここで、右駆動輪ユニット55Rは、制御部51からの制御命令を受けて、ステアリングモータ57Rが右駆動輪21Rを制御命令で指示された向きに変化させ、ドライブモータ56Rが右駆動輪21Rを制御命令で指示された回転トルク又は回転速度で回転させる。
また、本実施形態では、制御部51は、右駆動輪ユニット55Rを制御して右駆動輪21Rを個別に駆動し、左駆動輪ユニット55Lを制御して左駆動輪21Lを個別に駆動する。すなわち、一対の駆動輪21(右駆動輪21R及び左駆動輪21L)の各々を個別に駆動可能であるので、一対の駆動輪21を制御命令で指示された回転トルク又は回転速度で回転させ、一対の駆動輪21を制御命令で支持された方向に向けることで、所望の方向に搬送装置20を移動させることができる。なお、本実施形態では、一対の駆動輪21の各々が操向輪を兼ねており、駆動輪21とは別に操向輪を設ける場合に比べて、搬送装置20が備える車輪の数を減らすことができる。
また、車体23に設けられた2つの補助輪22は、搬送装置20の移動方向に追従して向きが変わる従動輪である。2つの補助輪22は、車軸の向きが可変の自在車輪を含む。つまり、2つの補助輪22の各々は、例えば車輪を回転可能に支持する車軸が、移動面B1と平行な平面内で360度の全周方向に移動可能な自在車輪(いわゆる自在キャスタ)である。なお、補助輪22として用いられる自在車輪は、車軸の向きが可変の自在車輪に限定されず、車輪となる球体が任意の方向に回転可能なボールキャスタでもよい。
本実施形態では搬送装置20が2つの駆動輪21を備えているが、駆動輪21の数は3つ以上でもよい。また、本実施形態では搬送装置20が2つの補助輪22を備えているが、補助輪22の数は2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。つまり、搬送装置20は、駆動輪21及び補助輪22を含む3つ以上の車輪で移動面B1に接触していれば、駆動輪21及び補助輪22の数は適宜変更が可能である。
次に、被搬送物40の被把持部420を把持するための把持部24、及び把持部24を駆動する駆動部58について説明する。車体23の後面には、被搬送物40が有する2つの被把持部420をそれぞれ把持する2つの把持部24が、車体23に対して移動可能な状態で設けられている。駆動部58は、2つの把持部24を配列方向DR1に沿って移動させる。駆動部58は、例えば、送りねじと、送りねじを回転させるサーボモータと、送りねじに保持され送りねじの回転に応じて送りねじに沿って移動するスライダとを2組備え、各組のスライダに把持部24が取り付けられている。駆動部58は、制御部51からの制御指令を受けて、2つの把持部24を配列方向DR1に沿って互いに反対向きに移動させる。なお、送りねじは、例えばすべりねじ(台形ねじ)であるが、ボールねじ等でもよい。
把持部24は、図1及び図5に示すように、スライダから斜め後方に突出する一対のアーム25と、一対のアーム25の先端間に保持されたローラー部26と、を備えている。
ここで、2つの把持部24が2つの被把持部420の間に位置している状態で、駆動部58が2つの把持部24を互いに離れる向き(外向き)に移動させると、各把持部24のローラー部26が対応する被把持部420の凹部423に嵌まった状態となる。これにより、把持部24が被把持部420を把持した状態となり、連結部29によって搬送装置20と被搬送物40とが連結された状態となる。本実施形態の連結部29は、平面視において車体23と被搬送物40とが並んでいる状態で被搬送物40を車体23に連結しており、搬送装置20は、被搬送物40をけん引する走行状態、又は被搬送物40を後から押して行く走行状態で搬送できる。
なお、把持部24が被把持部420を把持している状態で、被把持部420は上下方向には移動可能であるが、移動面B1に沿う方向においては把持部24によって移動が規制されている。すなわち、把持部24は、移動面B1に沿う方向において、被搬送物40が車体23に対して相対的に移動できない状態で被把持部420を把持しており、移動面B1に沿う方向において被搬送物40は搬送装置20に対してしっかりと保持されている。したがって、搬送装置20が被搬送物40を搬送する場合に、移動面B1に沿う方向において搬送装置20に対して被搬送物40の位置ががたつかないように搬送装置20は被搬送物40を保持できる。
一方、把持部24が被把持部420を把持している状態で、駆動部58が2つの把持部24を互いに近づく向き(内向き)へ移動させると、各把持部24のローラー部26が対応する被把持部420の凹部423から離れる。これにより、把持部24が被把持部420を把持していない状態となり、搬送装置20に対して被搬送物40が連結されていない状態となる。
このように、2つの把持部24は配列方向DR1に沿って互いに離れる向きに移動することで被把持部420と接触し、搬送装置20が被搬送物40を把持した状態となる。したがって、被把持部420が設けられた被搬送物40であれば搬送装置20は把持することができる。把持部24が配列方向DR1に沿って移動することで被把持部420と接触するので、複数種類の被搬送物40において一対の被把持部420の間隔が互いに異なっている場合でも、搬送装置20は複数種類の被搬送物40を把持して搬送することができる。つまり、搬送装置20が備える連結部は、複数の機能モジュールのうち2以上の機能モジュールに対して連結可能であるので、1台の搬送装置20で2以上機能モジュールを搬送可能になる。よって、複数の機能モジュールを搬送するために必要な搬送装置20の台数を削減できるという利点がある。
次に、検知部54について説明する。検知部54は、車体23の挙動、及び車体23の周辺状況等を検知する。本開示でいう「挙動」は、動作及び様子等を意味する。つまり、車体23の挙動は、車体23が走行中/停止中を表す車体23の動作状態、車体23の移動距離及び走行時間、車体23の速度(及び速度変化)、車体23に作用する加速度、及び車体23の姿勢等を含む。
検知部54は、例えば、車体23の周囲に存在する物体を検知するためのLiDAR(Light Detection and Ranging )541、反射式センサ542、及び磁気センサ543等のセンサを含む。
LiDAR541は車体23の周辺における物体の有無、物体が存在する場合はその位置を検知しており、検知結果を制御部51に出力する。反射式センサ542は、レーザ光のような探査信号を送信し、探査信号の物体による反射信号の受信結果に基づいて、物体を検知しており、検知結果を制御部51に出力する。制御部51は、LiDAR541又は反射式センサ542が検知した周囲の物体の情報と、搬送装置20が移動するエリアの地図データとに基づいて搬送装置20の現在位置を推定したり、停止位置の位置合わせをしたりすることができる。また、制御部51は、LiDAR541又は反射式センサ542が検知した物体の情報に基づいて、物体との衝突を防止することができる。
移動面B1に設けられた誘導ラインは、例えば永久磁石材料等の硬磁性材料を含むゴム等で形成されており、移動面B1の表面に搬送装置20の移動経路にしたがってライン状に形成されている。
磁気センサ543は、移動面B1に設けられた誘導ラインを、磁気によって検出する。制御部51は、磁気センサ543の検知結果に基づいて、誘導ラインの上を通るように、右駆動輪ユニット55R及び左駆動輪ユニット55Lを制御して、搬送装置20を移動させる。つまり、搬送装置20は、磁気センサ543の検知結果に基づいて、移動面B1上を移動する。
検知部54は、LiDAR541が検出した周辺の物体の位置情報と、材料エリアA1及び実装エリアA2を含む所定エリアの電子的な地図情報とに基づいて、所定エリア内での搬送装置20の存在位置を検出し、存在位置の検出結果を制御部51に出力してもよい。
なお、検知部54が、所定エリアに設置された複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信機を含み、複数の発信器から送信されるビーコン信号に基づいて現在位置を検知し、現在位置の検知結果を制御部51に出力してもよい。検知部54は、複数の発信器の位置と、受信機でのビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、搬送装置20の現在位置を測定する。なお、検知部54は、GPS(Global Positioning System)等の全地球測位システムを用いて搬送装置20の現在位置を検知するものでもよい。
制御部51は、例えば1以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。言い換えれば、制御部51は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されている。制御部51は、例えば制御システム30(第2制御装置32)からの搬送指示と検知部54の検知結果とに基づいて、各駆動輪ユニット55に制御命令を出力し、搬送装置20を所望の方向へ所望の速度で移動させる。また、制御部51は、駆動部58を制御して、2つの把持部24を配列方向DR1に沿って移動させる。これにより、制御部51は、2つの把持部24の各々が対応する被把持部420と接触する位置と、2つの把持部24の各々が対応する被把持部420から離れる位置との間で、2つの把持部24を移動させることができる。
ここにおいて、本実施形態の搬送装置20では、制御部51が取得部511及び推定部512の機能を備えている。取得部511は、通信部53を介して制御システム30から上記の第1情報及び第2情報を取得する。推定部512は、機械学習で作成された学習済モデルを用いて、第1情報と第2情報との少なくとも一方から走行状態を推定する。そして、制御部51は、推定部512の推定結果に基づいて走行状態を制御する。この学習済モデルは、第1情報及び第2情報のうち少なくとも一方の情報と、搬送装置20の走行状態とのペアを教師データとして、両者の関係性を学習部が機械学習することによって作成された学習済モデルである。この学習済モデルは、搬送装置20に設けられた学習部が機械学習を行うことによって生成されてもよいし、搬送装置20の外部システムが機械学習を行うことによって作成された学習済モデルが統合制御装置33に組み込まれてもよい。なお、搬送装置20は、推定部512が学習済モデルを用いて走行状態を推定するもの限定されず、第1情報及び第2情報の少なくとも一方に関する判定条件に基づいて走行状態を決定してもよい。
電源52は、例えば、二次電池である。電源52は、左駆動輪ユニット55L及び右駆動輪ユニット55R、制御部51、通信部53、及び検知部54等に直接又は間接的に電力を供給する。なお、搬送装置20は、外部から電力が供給されてもよく、この場合、搬送装置20は電源52を備えなくてもよい。
通信部53は、第2制御装置32と通信可能に構成されている。本実施形態では、通信部53は、材料エリアA1及び実装エリアA2を含む所定エリアに設置された複数の中継器34のいずれかと、電波を媒体とする無線通信によって通信を行う。中継器34は、通信部53と第2制御装置32との間の通信を中継する機器(アクセスポイント)である。中継器34は、施設F1内のネットワークを介して第2制御装置32と通信する。したがって、通信部53と第2制御装置32とは、少なくとも中継器34と施設F1内のネットワークとを介して、間接的に通信を行うことになる。なお、本実施形態では一例として、中継器34と通信部53との間の通信には、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、無線通信を採用する。
(2.3)制御システム
搬送装置20に対して搬送指示を与える外部システムとしての制御システム30は、図2及び図3に示すように、第1制御装置31と、第2制御装置32と、統合制御装置33と、を備える。第1制御装置31と第2制御装置32と統合制御装置33とは互いに通信可能に構成されている。本開示における「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワークNT1若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。
第1制御装置31は、実装ライン10が備える複数の製造装置11及び複数の検査装置12の動作を監視する。第1制御装置31は、ネットワークを介して複数の製造装置11及び複数の検査装置12と互いに通信可能に構成されている。また、第1制御装置31は、複数の製造装置11及び複数の検査装置12から稼働状態を示す状態情報(つまり、実装ライン10の稼働状態を示す状態情報)を収集し、収集した状態情報を統合制御装置33に出力する。
第2制御装置32は、施設F1内に配置された1以上の中継器34を介して、施設F1内で使用される複数台の搬送装置20と互いに通信可能に構成されている。第2制御装置32は、複数台の搬送装置20にそれぞれ搬送指示を与え、各搬送装置20の搬送作業を制御する。
統合制御装置33は、第1制御装置31から受信した状態情報に基づいて第2制御装置32に制御指示を与えることで、複数台の搬送装置20の動作を制御する。統合制御装置33(制御システム30)は、選択部331と、搬送指示部332と、を備える。選択部331は、基板に対して所定の作業を行う1以上の製造装置11に対して所定の機能を提供する複数の機能モジュールのうちの少なくとも1つの機能モジュールを被搬送物として選択する。搬送指示部332は、被搬送物の搬送を指示する搬送指令を搬送装置20に出力する。すなわち、統合制御装置33は、実装ライン10が行う所定の作業に合わせて、実装ライン10での作業に必要な部品又は材料の搬送を指示する搬送指示を搬送装置20に出力する。また、統合制御装置33は、実装ライン10が行う所定の作業に合わせて、実装ライン10の製造装置11から排出される廃棄物を回収する廃棄物回収モジュール44の搬送を指示する搬送指示を搬送装置20に出力する。
制御システム30は、複数の機能モジュールを複数の製造装置11に供給する最適な供給計画をリアルタイムで生成し、この供給計画に基づいて複数の機能モジュールから製造装置11に搬送する機能モジュールを選択する。制御システム30は、選択した機能モジュールを製造装置11に所定の機能を提供可能な場所まで搬送装置20によって搬送させる。なお、制御システム30は、上位システムがリアルタイムで作成した供給計画に基づいて搬送装置20により複数の機能モジュールを複数の製造装置11に供給してもよい。制御システム30は、効率的な供給計画にしたがって複数の供給モジュールを複数の製造装置11に供給するので、部品等の供給又は回収が遅れることによって製造装置11が停止するのを抑制でき、製造装置11の停止による損失を低減でき、製造装置11、機能モジュール、及び搬送装置20の必要台数を最小限に抑えることができるから製造システム1の導入及び維持にかかるコストを低減できる。
ここにおいて、制御システム30又は上位システムが作成する供給計画には、複数の機能モジュールが製造装置11に提供する機能などに対して優先度が設定されていてもよい。緊急性の高い機能ほど、より高い優先度が設定されている。統合制御装置33は、例えば、供給計画に設定された優先度に基づいて優先度が高い優先モジュールの搬送作業が発生したと判断すると、搬送装置20に対して現在の搬送作業を中断し、優先モジュールの搬送を指示する搬送指令を、第2制御装置32を経由して搬送装置20に送信する。
なお、統合制御装置33は、実装ライン10が備える複数の製造装置11及び複数の検査装置12の動作を制御してもよい。統合制御装置33は、複数の製造装置11及び複数の検査装置12の動作を制御するとともに、実装ライン10が行う所定の作業に合わせて、実装ライン10での作業に必要な部品又は材料の搬送を指示する搬送指示を搬送装置20に出力すればよい。
また、制御システム30は施設F1の外部に設けられていてもよく、制御システム30はインターネット及び施設F1内のネットワークを介して実装ライン10の製造装置11及び検査装置12、並びに搬送装置20と通信してもよい。
(2.4)動作説明
本実施形態の製造システム1の動作を以下に説明する。
実装ライン10を構成する複数の製造装置11及び検査装置12は、例えば上位システムからの制御指令に基づいて、基板の実装に関連する所定の作業(半田の印刷、部品のマウント、リフロー半田、及び基板の検査等の作業)を実行する。
ここで、実装ライン10を構成する複数の製造装置11は、適宜のタイミングで、基板に対して実行する所定の作業に関連する作業情報(状態情報)を第1制御装置31に出力する。「適宜のタイミング」は、例えば、製造装置11が所定の作業を実行するにあたって、機能モジュールから所定の機能の提供(例えば部品又は材料の提供)を受けることが必要になったタイミングである。なお、適宜のタイミングは、製造装置11が第1制御装置31又は統合制御装置33から作業情報(状態情報)の送信要求を受けたタイミングを含んでもよい。
本実施形態では、制御システム30は、複数の機能モジュールから選択した機能モジュールを搬送装置20に搬送させる。具体的には、統合制御装置33の選択部331は、実装ライン10を構成する製造装置11から第1制御装置31を経由して作業情報(状態情報)を取得すると、製造装置11が行う作業に関連する情報(作業情報)から、搬送装置20に搬送させる機能モジュールを選択する。なお、選択部331は、学習済モデルを用いて搬送装置20に搬送させる機能モジュールを選択してもよい。この学習済モデルは、製造装置11が行う作業に関連する作業情報(作業の内容又は目的に関連する情報)と、製造装置11に対して搬送された機能モジュール(被搬送物40)の情報とのペアを教師データとして、両者の関係性を学習部が機械学習することによって作成された学習済モデルである。この学習済モデルは、統合制御装置33に設けられた学習部が機械学習を行うことによって生成されてもよいし、他のコンピュータが機械学習を行うことによって作成された学習済モデルが統合制御装置33に組み込まれてもよい。
統合制御装置33の搬送指示部332は、搬送対象の機能モジュールを決定すると、当該機能モジュールを製造装置11のところへ搬送させる搬送指令を、第2制御装置32を経由して搬送装置20に送信する。搬送装置20の通信部53が第2制御装置32から搬送指令を受信すると、制御部51が、駆動輪ユニット55を制御して搬送対象の機能モジュールが準備されている準備エリアA3に搬送装置20を移動させる。搬送装置20の制御部51は、把持部24により搬送対象の機能モジュールを把持させた後(連結工程)、この機能モジュールを搬送先の製造装置11の場所まで移動させる(搬送工程)。
搬送装置20の制御部51が、機能モジュールを搬送先の製造装置11に接続させると、この機能モジュールから製造装置11に対して所定の機能が提供される。例えば搬送する対象の機能モジュールが部品供給モジュール41であり、製造装置11がマウント装置11Bである場合、部品供給モジュール41からマウント装置11Bに対して部品が取り付けられたリールが供給され、マウント装置11Bは、リールのテープから取り外した部品を基板にマウントする作業を行うことができる。
その後、機能モジュールによる製造装置11への機能の提供が終了すると、統合制御装置33は、第2制御装置32を経由して搬送装置20へ、機能モジュールを準備エリアA3に戻すように指示する搬送指令を送信する。搬送装置20は、第2制御装置32からの搬送指令を受信すると、機能モジュールを製造装置11から分離させ、機能モジュールを準備エリアA3に移動させ、準備エリアA3において機能モジュールを分離する。機能モジュールが準備エリアA3に戻ると、この機能モジュールに部品又は材料を補充する作業が作業者又は自動化装置等によって実行される。なお、搬送装置20は機能モジュールを分離すると所定の待機場所に移動して次の搬送指令に備える。
上述のように、搬送装置20は、第2制御装置32から搬送指令を受信すると、搬送する対象の機能モジュールを搬送する搬送作業を行うのであるが、本実施形態の製造システム1が行う搬送制御方法の一例を図6~図10に基づいて説明する。なお、図10に示すフローチャートは、製造システム1が行う搬送制御方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
搬送装置20の通信部53が第2制御装置32から搬送指令を受信すると、取得部511が、第2制御装置32から被搬送物40に関連する第1情報と、移動経路に関連する第2情報とを取得する取得処理を行う(ST1)。ここで、第1情報は、被搬送物40である機能モジュールに関連する情報である。第1情報は、例えば搬送する対象の機能モジュールの大きさ(全長、全幅、又は全高などの寸法)、外形形状、又は重心位置のうち少なくとも1つに関する情報を含む。また、第2情報は、被搬送物40を搬送する搬送経路、つまり車体23の移動経路に関連する情報である。第2情報は、例えば搬送装置20が移動する通路の幅、勾配、又は通路がカーブしている場合の曲率半径のうち少なくとも1つの情報を含む。
取得部511によって第1情報及び第2情報が取得されると、推定部512は、学習済モデルに第1情報及び第2情報を入力し、走行状態の推定結果を得て、走行状態の推定結果に基づいて、被搬送物40を搬送する場合の走行状態を決定する(ST2)。
制御部51は、ST2の処理で決定された走行状態に基づいて駆動輪ユニット55を制御することによって、被搬送物40を搬送する場合の走行状態を制御する制御処理を行う(ST3)。
本実施形態では、搬送装置20が搬送する被搬送物40は、複数種類の機能モジュール(搬送対象)の中から選択されるので、搬送装置20は、搬送対象の種類に応じた走行状態で被搬送物40を搬送することができる。
ここにおいて、走行状態の制御は、車体23が旋回する場合の旋回中心の位置を変化させる制御を含む。連結部29を用いて連結された被搬送物40及び搬送装置20が一体となって旋回する場合、搬送装置20と被搬送物40とが並ぶ方向(前後方向)の中央位置を旋回中心として搬送装置20が旋回すれば、移動面B1において搬送装置20及び被搬送物40が1回転する場合に通る領域の面積を最小にできる。図9は搬送装置20が部品供給モジュール41、トレイ供給モジュール42、及び一括交換モジュール43をそれぞれ運搬する場合の旋回中心P1,P2,P3の位置をそれぞれ示している。図9の例では、前後方向において部品供給モジュール41の全長が最も長く、トレイ供給モジュール42の全長が最も短くなっている。そのため、前後方向において、部品供給モジュール41と共に搬送装置20が旋回する場合の旋回中心P1が搬送装置20から最も遠くなり、トレイ供給モジュール42と共に搬送装置20が旋回する場合の旋回中心P2が搬送装置20に最も近くになるように、制御部51は旋回中心の位置を制御する。本実施形態では、搬送装置20の車輪W1が、車体23の走行方向を変えるための複数の操向輪(駆動輪21)を含んでいる。制御部51は、複数の操向輪(駆動輪21)の各々を、旋回中心を中心とする円の接線方向に沿う方向に向けることによって、旋回中心を中心として車体23を旋回させる。
例えば、部品供給モジュール41の搬送中に搬送装置20が旋回する場合、制御部51は、左右の駆動輪21の向きを、前後方向と平行な状態から、左右の駆動輪21の前側が互いに近づく向きに角度(舵角)θ1だけ変化させる。これにより、左右の駆動輪21は、旋回中心P1を中心とする半径R1の円の接線方向に沿う方向に向けられるので、搬送装置20は旋回中心P1を中心に旋回することができる。したがって、部品供給モジュール41と搬送装置20とをその場で回転(超信地旋回)させることができ、狭いスペースでも部品供給モジュール41及び搬送装置20を回転させることが可能になる。
また、トレイ供給モジュール42を搬送中の搬送装置20が旋回する場合、制御部51は、左右の駆動輪21の向きを、前後方向と平行な状態から、左右の駆動輪21の前側が互いに近づく向きに角度(舵角)θ2だけ変化させる。これにより、左右の駆動輪21は、旋回中心P2を中心とする半径R2の円の接線方向に沿う方向に向けられるので、搬送装置20は旋回中心P2を中心に旋回することができる。
また、一括交換モジュール43を搬送中の搬送装置20が旋回する場合、制御部51は、左右の駆動輪21の向きを、前後方向と平行な状態から、左右の駆動輪21の前側が互いに近づく向きに角度(舵角)θ3だけ変化させる。これにより、左右の駆動輪は、旋回中心P3を中心とする半径R3の円の接線方向に沿う方向に向けられるので、搬送装置20は旋回中心P3を中心に旋回することができる。
上述のように、本実施形態では、制御部51は、複数の操向輪(右駆動輪21R及び左駆動輪21L)の舵角を変化させることによって、旋回中心の位置を変化させている。制御部51は、被搬送物40に関連する第1情報に基づいて操向輪の舵角を変化させることで、被搬送物40に応じて旋回中心の位置を変化させることができ、被搬送物40に応じて走行状態を制御することができる。なお、制御部41は、搬送装置20の移動経路に関連する第2情報に基づいて、搬送装置20が旋回する場合の旋回中心を変化させてもよく、例えば搬送装置20が移動する通路の幅又は曲率半径に応じて最適な回転中心で旋回させることができる。
なお、走行状態の制御は、車体23の加減速の制御を含んでもよい。例えば、被搬送物40の重心位置が相対的に高い場合は、被搬送物40の重心位置が相対的に低い場合に比べて、横Gを受けたときに倒れやすくなるので、車体23の加速及び減速を緩やかにするように、制御部51は加減速の制御を行う。また、被搬送物40の重心位置が相対的に高い場合は、被搬送物40の重心位置が相対的に低い場合に比べて旋回半径が大きくなるように、制御部51が旋回中心の位置を制御してもよい。また、搬送装置20が移動する通路に勾配がついている場合、制御部51は通路の勾配に応じて走行状態を決定してもよい。例えば下り勾配のついた通路を搬送装置20が前進する場合、制御部21は、被搬送物40に加わる加速度を小さくするように走行状態を制御してもよく、スムーズに停止させることができる。
なお、ST2の処理で、本体23に対する被搬送物40の相対的な位置を変化させることで走行状態を変化させると決定された場合、制御部51は、例えば把持部24を制御することによって、本体23に対する被搬送物40の相対的な位置を変化させればよい。把持部24は、一対のアーム25を左右方向において同じ方向に移動させることで、被搬送物40を本体23に対して左右方向に移動させることができる。図11に示すように、搬送装置20が被搬送物40である部品供給モジュール41を搬送する場合に、搬送装置20の把持部24は、左右方向において本体20の中心と部品供給モジュール41の中心とが一致するように部品供給モジュール41を保持している。そして、搬送装置20は、本体20の中心が移動面B1に設けられた誘導ラインLN1の上を通るように移動面B1上を移動するのであるが、部品供給モジュール41をマウント装置11Bに接近させる場合に、部品供給モジュール41がマウント装置11Bに隣接して設置されたストッカ装置13に干渉する可能性がある。そこで、搬送装置20の制御部51は、把持部24を制御してマウント装置11Bと干渉しないように被搬送物40を本体23に対して右側に移動させた後、部品供給モジュール41をマウント装置11Bに接近させる。このように、制御部51は、本体23に対する被搬送物40の相対的な位置を変化させることによって、車体23の走行状態を制御しており、障害物との接触を回避することで安定した走行状態で走行させることができる。なお、ストッカ装置13は、被搬送物40から受け取った部品(例えばトレイ部品)を収容する収容部と、収容部に収容された部品をマウント装置11Bに供給する供給機構とを有している。
なお、制御部51は、被搬送物40を搬送している搬送時と、被搬送物40を搬送していない非搬送時とで、走行状態を変化させてもよい。例えば、制御部51は、搬送時は非搬送時に比べて、加減速を緩やかにしてもよく、搬送中の被搬送物40に加わる加速度を緩やかにでき、被搬送物40を安全に搬送することができる。
なお、制御部51は、被搬送物40の種類に応じて走行状態を変化させてもよく、被搬送物40が破損しやすい場合や、振動や衝撃に弱い精密部品である場合には、加減速を緩やかにしたり旋回半径を大きくしたりするように走行状態を制御してもよい。
また、制御部51は、被搬送物40である機能モジュールを製造装置11に搬送する場合と、機能モジュールを製造装置11から回収する場合とで走行状態を変化させてもよい。製造装置11に対して部品又は材料を補給する機能を提供する機能モジュールを製造装置11に搬送する場合は、機能モジュールに部品又は材料が搭載されているので、機能モジュールを製造装置11から回収する場合に比べて加減速を緩やかにするように制御部51が走行状態を制御してもよい。
なお、制御部51が第1情報及び第2情報に基づいて走行状態を制御する制御例は上記の形態に限定されず、被搬送物40を安定に搬送可能なように、旋回中心の位置及び加減速以外の制御パラメータを変更するように走行状態を制御してもよい。
なお、ST1の取得処理で取得する第1情報及び第2情報の少なくとも一方は、上位システム(制御システム30)からの搬送指令に含まれていてもよい。つまり、制御部51は、上位システム(制御システム30)からの搬送指令に基づいて、走行状態を制御してもよく、上位システムからの搬送指令に基づいて、被搬送物40又は移動経路に応じた最適な走行状態で被搬送物40を搬送させることができる。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、製造システム1と同様の機能は、製造システム1が備える搬送装置20の搬送制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る搬送制御方法は、取得工程と、制御工程と、を含む。取得工程では第1情報と第2情報との少なくとも一方を取得する。第1情報は、搬送装置20に連結される被搬送物40に関連する情報である。搬送装置20は、被搬送物40を連結可能な連結部29を有し、平面視において連結部29に連結される被搬送物40の外側に位置する車輪W1で移動面B1の上を走行する。第2情報は搬送装置20の移動経路に関連する情報である。制御工程では、取得工程で取得した情報に基づいて搬送装置20の走行状態を制御する。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、取得工程と、制御工程と、を実行させるためのプログラムである。
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における制御システム30(第1制御装置31、第2制御装置32、及び統合制御装置33)及び搬送装置20は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム30及び搬送装置20としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、第1制御装置31、第2制御装置32、及び、統合制御装置33の各々における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは第1制御装置31、第2制御装置32、及び、統合制御装置33の各々において必須の構成ではなく、第1制御装置31、第2制御装置32、及び、統合制御装置33の各々の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、第1制御装置31、第2制御装置32、及び、統合制御装置33の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、複数の装置に分散されている制御システム30の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
上記の実施形態では、制御システム30は、機能モジュールを搬送先の製造装置11に搬送する第1搬送作業と、製造装置11に所定の機能を提供可能な場所にある機能モジュールを別の場所(例えば準備エリアA3)に搬送する第2搬送作業との両方を搬送装置20に行わせている。なお、第1搬送作業と第2搬送作業の両方を搬送装置20に行わせることは必須ではなく、第1搬送作業と第2搬送作業のいずれか一方は作業者又は別の搬送ロボットが行ってもよい。つまり、制御システム30は、第1搬送作業と第2搬送作業との少なくとも一方を搬送装置20に行わせればよく、搬送装置20を用いた被搬送物40の搬送システムを実現できる。
上記の実施形態では、1台の搬送装置20が1台の被搬送物40を搬送しているが、1台の搬送装置20で複数台の被搬送物40を搬送してもよいし、複数台の搬送装置20が共同して1又は複数の被搬送物40を搬送してもよい。
上記の実施形態では、搬送装置20と被搬送物40とを連結する連結部29が、被搬送物40の被把持部420を把持する把持部24で構成されているが、連結部29は把持部24に限定されず、把持以外の方法で連結するものでもよい。連結部29は、例えば電磁石等の磁力で被搬送物40の一部を吸着することによって被搬送物40を連結するものでもよい。この場合、連結部29と被搬送物40の強磁性体との連結及びこの連結の解除は、連結部29としての電磁石に流れる電流を制御部51が制御することで切り替えることができる。また、搬送装置20が備える連結部29の数及び形状は適宜変更が可能である。また、本実施形態では搬送装置20に対して被搬送物40が直接連結されているが、搬送装置20に対して被搬送物40が間接的に(つまり、1又は複数の部材を介して)連結されてもよい。
上記の実施形態において、搬送装置20は、被搬送物40をけん引する走行状態、又は被搬送物40を先頭にして被搬送物40を後から押して行く走行形態で被搬送物40を搬送しているが、搬送形態はこれに限定されない。搬送装置20は、被搬送物40を持ち上げた状態(移動面B1から浮かした状態)で、被搬送物40を搬送してもよい。つまり、搬送装置20は、被搬送物40を牽引する走行状態、被搬送物40を後から押していく走行状態、又は被搬送物40を持ち上げた状態で被搬送物40を連結する連結部を備えていてもよい。
(まとめ)
第1の態様の搬送装置(20)は、車体(23)と、制御部(51)と、を備える。車体(23)には被搬送物(40)を連結可能な連結部(29)が設けられる。車体(23)は移動面(B1)の上を車輪(W1)で走行する。制御部(51)は車体(23)の走行状態を制御する。車輪(W1)は、平面視において連結部(29)に連結される被搬送物(40)の外側に位置する。制御部(51)は、被搬送物(40)に関連する第1情報と、車体(23)の移動経路に関連する第2情報との少なくとも一方に基づいて、車体(23)の走行状態を制御する。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第2の態様の搬送装置(20)では、第1の態様において、被搬送物(40)は、複数種類の搬送対象の中から選択される。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第3の態様の搬送装置(20)では、第1又は2の態様において、走行状態の制御は、車体(23)が旋回する場合の旋回中心の位置を変化させる制御を含む。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第4の態様の搬送装置(20)では、第3の態様において、車輪(W1)は、車体(23)の走行方向を変えるための複数の操向輪(21)を含む。制御部(51)は、複数の操向輪(21)の各々を、旋回中心を中心とする円の接線方向に沿う方向に向けることによって、旋回中心(P1~P3)を中心として車体(23)を旋回させる。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第5の態様の搬送装置(20)では、第4の態様において、制御部(51)は、複数の操向輪(21)の舵角(θ1~θ3)を変化させることによって、旋回中心(P1~P3)の位置を変化させる。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第6の態様の搬送装置(20)では、第1~5のいずれかの態様において、制御部(51)は、上位システム(30)からの搬送指令に基づいて、走行状態を制御する。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第7の態様の搬送装置(20)では、第1~6のいずれかの態様において、走行状態の制御は、車体(23)の加減速の制御を含む。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第8の態様の搬送装置(20)では、第1~7のいずれかの態様において、走行状態の制御は、車体‘23)に被搬送物(40)が連結された状態で車体(20)に対する被搬送物(40)の相対的な位置を変化させる制御を含む。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第9の態様の搬送装置(20)では、第1~8のいずれかの態様において、第1情報は、被搬送物(40)の大きさと外形形状と重心位置との少なくとも一つに関する情報を含む。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第10の態様の搬送装置(20)では、第1~9のいずれかの態様において、連結部(29)は、平面視において車体(23)と被搬送物(40)とが並んでいる状態で被搬送物(40)を車体(23)に連結する。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第11の態様の搬送装置(20)では、第1~10のいずれかの態様において、連結部(29)は、被搬送物(40)が有する被把持部(420)を把持する把持部(24)を含む。把持部(24)は、移動面(B1)に沿う方向において、被搬送物(40)が車体(23)に対して相対的に移動できない状態で被把持部(420)を把持する。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第12の態様の搬送装置(20)では、第1~11のいずれかの態様において、制御部(51)は、機械学習で作成された学習済モデルを用いて、第1情報と第2情報との少なくとも一方から走行状態を推定する推定部(512)の推定結果に基づいて走行状態を制御する。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第13の態様の製造システム(1)は、基板に対して所定の作業を行う1以上の製造装置(11)と、製造装置(11)に対して所定の機能を提供する1以上の機能モジュールとを含む。1以上の機能モジュールが、搬送装置(20)によって1以上の製造装置(11)まで搬送される被搬送物である。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第14の態様の搬送制御方法は、取得工程と、制御工程と、を含む。取得工程では、第1情報と、第2情報との少なくとも一方を取得する。第1情報は、搬送装置(20)に連結される被搬送物(40)に関連する情報である。搬送装置(20)は、被搬送物(40)を連結可能な連結部(29)を有し、平面視において連結部(29)に連結される被搬送物(40)の外側に位置する車輪(W1)で移動面(B1)の上を走行する。第2情報は、搬送装置(20)の移動経路に関連する情報である。制御工程では、取得工程で取得した情報に基づいて搬送装置(20)の走行状態を制御する。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
第15の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第14の態様の搬送制御方法を実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、被搬送物(40)の搬送状況に応じて走行状態を制御することができる。
上記態様に限らず、上記実施形態に係る搬送装置(20)の種々の構成(変形例を含む)は、搬送装置(20)の搬送制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
第2~第12の態様に係る構成については、搬送装置(20)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。