添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態では、複数の切削装置に対して被加工物等を搬送する搬送システムについて説明するが、本発明の搬送システムは、任意の複数の加工装置に対して被加工物等を搬送できるように構成されていれば良い。すなわち、被加工物等の搬送先は、切削装置以外の加工装置でも良い。
例えば、本発明の搬送システムは、複数のレーザー加工装置に対して被加工物を搬送できるように構成されることがある。また、本発明の搬送システムは、例えば、一連の加工に使用される複数の種類の加工装置に対して順に被加工物を搬送できるように構成されることもある。
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る搬送システム2の構成例を示す平面図であり、図2は、搬送システム2の接続関係の例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る搬送システム2は、切削装置(加工装置)4によって加工される板状の被加工物11を搬送するための搬送通路6を含んでいる。
被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハである。この被加工物11の表面側は、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)によって複数の小領域に区画されており、各小領域には、IC(Integrated Circuit)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイスが形成されている。
被加工物11の裏面側には、被加工物11よりも径の大きいテープ(ダイシングテープ)13が貼付されている。テープ13の外周部分は、被加工物11を囲む環状のフレーム15に固定されている。被加工物11は、このテープ13を介してフレーム15に支持された状態で切削装置4へと搬送される。
なお、本実施形態では、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハを被加工物11としているが、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板等を被加工物11として用いることもできる。同様に、デバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイスが形成されていなくても良い。
また、この被加工物11を加工する切削装置4は、被加工物11の搬送先として搬送システム2に接続されているが、必ずしも搬送システム2の構成要素ではない。よって、切削装置4は、上述のように、搬送システム2の使用の態様に合わせて変更、省略されても良い。
そして、図1では、説明の便宜上、1台の切削装置4aのみを示し、図2では、2台の切削装置4a,4bを示しているが、本実施形態では、被加工物11の搬送先として、2台以上の切削装置4が必要になる。すなわち、搬送システム2に接続される加工装置の台数は、2台以上である。
搬送通路6は、各切削装置4に対して被加工物11を搬送できるように、複数の切削装置4に渡って設置される。すなわち、複数の切削装置4は、搬送通路6を介して互いに連結されている。また、搬送通路6は、切削装置4の真上の空間に設けられている。そのため、各切削装置4の側面に接続される配管21等に対して搬送通路6が干渉することはない。
搬送通路6の下方には、切削装置4の他に、複数の被加工物11を収容できるストックユニット8が設けられている。ストックユニット8に収容されている被加工物11は、任意のタイミングで無人被加工物搬送車10へと搬入される。無人被加工物搬送車10は、搬送通路6上を走行して被加工物11を各切削装置4へと搬送する。なお、図1では、3台の無人被加工物搬送車10a,10b,10cを示し、図2では、2台の無人被加工物搬送車10a,10bを示しているが、無人被加工物搬送車10の台数に制限はない。
図2に示すように、切削装置4、ストックユニット8、無人被加工物搬送車10には、これらの動作を制御する制御ユニット12が無線で接続されている。ただし、制御ユニット12は、切削装置4、ストックユニット8、無人被加工物搬送車10の動作を制御できるように構成されていれば良く、これらに対して有線で接続されることもある。
図3は、ストックユニット8の構成例を模式的に示す側面図である。図3に示すように、ストックユニット8は、各種の構成要素を収容する筐体14を含む。なお、この図3では、説明の便宜上、筐体14の輪郭のみが示されている。
筐体14内には、例えば、ボールねじ式の第1昇降機構(不図示)によって昇降する第1カセット支持台16が設けられている。第1カセット支持台16の上面には、複数の被加工物11を収容できるカセット(被加工物ストッカー)18が載せられる。なお、このカセット18は、上述のように、テープ13を介してフレーム15に支持された状態の被加工物11を収容する。
第1カセット支持台16の側方には、フレーム15を把持して移動できるプッシュプルアーム20が配置されている。例えば、カセット18に収容されているフレーム15の高さを第1昇降機構でプッシュプルアーム20の高さに合わせ、このプッシュプルアーム20によってカセット18内のフレーム15を把持すれば、フレーム15をカセット18の外部へと引き出せる。
プッシュプルアーム20を挟む位置には、互いに平行な状態を維持しながら接近、離隔される一対のガイドレール22が設けられている。各ガイドレール22は、フレーム15を下方から支持する支持面と、支持面に概ね垂直な側面とを備え、プッシュプルアーム20によってカセット18から引き出されたフレーム15を挟み込んで所定の位置に合わせる。
プッシュプルアーム20及び一対のガイドレール22の更に側方には、例えば、ボールねじ式の第2昇降機構24によって昇降する第2カセット支持台26が設けられている。この第2カセット支持台26の上面には、1枚の被加工物11を収容できるカセット(搬送用カセット、トレー)28が載せられる。なお、カセット28は、2枚以上の被加工物11を収容できるように構成されても良い。
一対のガイドレール22によって所定の位置に合わせられたフレーム15は、プッシュプルアーム20によって再び把持され、第2昇降機構24によって高さが調整された第2カセット支持台26上のカセット28に側方から挿入される。被加工物11がカセット28に収容されると、第2昇降機構24は、第2カセット支持台26を上昇させる。
第2カセット支持台26の直上の領域には、筐体14の天井14aを上下に貫通する開口14bが設けられている。この開口14bは、少なくとも、第2カセット支持台26に載せられるカセット28を通過できる形状、大きさに形成されている。そのため、第2昇降機構24で第2カセット支持台26を上昇させることにより、被加工物11を収容したカセット28を、開口14bを通じて筐体14の外部に露出させることができる。
筐体14の外部には、開口14bにおいて露出するカセット28を、この開口14bの傍に停止した無人被加工物搬送車10へと搬送するカセット搬送アーム(被加工物搬送部)30が設けられている。第1昇降機構、プッシュプルアーム20、一対のガイドレール22、第2昇降機構24、カセット搬送アーム30等の構成要素には、ストックユニット8の動作を制御するための制御装置32が接続されている。
制御装置32は、代表的には、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成され、記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御装置32の機能が実現される。
制御装置32には、更に、搬送システム2の制御ユニット12から送信される制御用の信号(制御信号)を受信する受信機34と、制御ユニット12に対して通知用の信号(通知信号)を送信する送信機36とが接続されている。制御装置32は、受信機34で受信した信号に基づきストックユニット8の動作を制御する。また、制御装置32は、送信機36を通じて必要な信号を制御ユニット12に送信する。
図4(A)は、無人被加工物搬送車10の構成例を示す斜視図であり、図4(B)は、カセット28が載せられた状態の無人被加工物搬送車10を示す斜視図である。図4(A)に示すように、無人被加工物搬送車10は、トレー状のシャシ(被加工物支持部)38を含む。シャシ38の上面側には、カセット28の形状、大きさに対応する凹部38aが設けられており、カセット搬送アーム30で搬送されたカセット28は、このシャシ38の凹部38aに載せられる。
シャシ38の下面側には、複数(本実施形態では、4個)の車輪(走行機構)40が取り付けられている。各車輪40は、モータ等の回転駆動源に連結されており回転する。この車輪40を回転駆動源によって回転させることで、無人被加工物搬送車10は、搬送通路6上を走行する。なお、車輪40としては、傾斜した樽状(筒状)の複数の回転体が搬送通路6と接触する外周面に取り付けられた、いわゆるメカナムホイール等を用いると良い。
シャシ38の側面には、無人被加工物搬送車10の動作を制御する制御装置42が設けられている。制御装置42は、代表的には、CPU等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成され、記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御装置42の機能が実現される。
この制御装置42には、搬送システム2の制御ユニット12から送信される制御用の信号(制御信号)を受信する受信機44と、制御ユニット12に対して通知用の信号(通知信号)を送信する送信機46とが接続されている。制御装置42は、受信機44で受信した信号に基づき無人被加工物搬送車10の動作(走行)を制御する。また、制御装置42は、送信機46を通じて必要な信号を制御ユニット12に送信する。
なお、無人被加工物搬送車10の回転駆動源、制御装置42、受信機44、送信機46等の構成要素には、二次電池が接続されており、この二次電池から供給される電力によって、無人被加工物搬送車10の各構成要素が動作する。二次電池への給電(充電)は、非接触(ワイヤレス、無接点)方式で行われることが望ましいが、接触方式で行われても良い。
図5は、切削装置4や搬送通路6等の外観を示す斜視図であり、図6は、切削装置4の構成例を示す斜視図である。図5及び図6に示すように、切削装置4は、各構成要素を支持する基台48を備えている。基台48の角部には、開口48aが形成されており、この開口48aに相当する領域には、昇降機構(不図示)によって昇降するカセット支持台50が設けられている。カセット支持台50の上面には、上述したカセット28が載せられる。なお、図5及び図6では、説明の便宜上、カセット28の輪郭のみを示している。
図6に示すように、開口48aの側方には、X軸方向(前後方向、加工送り方向)に長い開口48bが形成されている。開口48b内には、ボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)52と、X軸移動機構52の上部を覆う防塵防滴カバー54とが配置されている。X軸移動機構52は、X軸移動テーブル52aを備えており、このX軸移動テーブル52aをX軸方向に移動させる。
X軸移動テーブル52a上には、被加工物11を吸引、保持するチャックテーブル(保持テーブル)56が設けられている。チャックテーブル56は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向、切り込み送り方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル56は、上述したX軸移動機構52によってX軸方向に移動する(加工送り)。
チャックテーブル56の上面は、被加工物11を保持するための保持面56aになっている。保持面56aは、チャックテーブル56の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル56の周囲には、被加工物11を支持するフレーム15を四方から固定するための4個のクランプ58が設けられている。
開口48bの上方には、Y軸方向(左右方向、割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら接近、離隔される一対のガイドレール(仮置き領域)60が設けられている。一対のガイドレール60は、それぞれ、フレーム15を下方から支持する支持面と、支持面に概ね垂直な側面とを備え、カセット28から引き出されたフレーム15をX軸方向において挟み込んで所定の位置に合わせる。
基台48の上方には、門型の第1支持構造62が開口48bを跨ぐように配置されている。第1支持構造62の前面(ガイドレール60側の面)には、Y軸方向に沿う第1レール64が固定されており、この第1レール64には、第1移動機構66等を介して第1搬送ユニット(加工装置内搬送部)68が連結されている。
第1搬送ユニット68は、例えば、フレーム15の上面に接触してこのフレーム15を吸着、保持し、第1移動機構66によって昇降するとともに、第1レール64に沿ってY軸方向に移動する。第1搬送ユニット68の開口48a側には、フレーム15を把持するための把持機構68aが設けられている。
例えば、把持機構68aでフレーム15を把持して第1搬送ユニット68をY軸方向に移動させれば、カセット28内のフレーム15を一対のガイドレール60に引き出し、又は、一対のガイドレール60上のフレーム15をカセット28に挿入できる。なお、一対のガイドレール60でフレーム15の位置を合わせた後には、第1搬送ユニット68によりこのフレーム15(被加工物11)をチャックテーブル56へと搬入する。
また、第1支持構造62の前面には、Y軸方向に沿う第2レール70が第1レール64の上方に固定されている。この第2レール70には、第2移動機構72等を介して第2搬送ユニット(加工装置内搬送部)74が連結されている。第2搬送ユニット74は、例えば、フレーム15の上面に接触してこのフレーム15を吸着、保持し、第2移動機構72によって昇降するとともに、第2レール70に沿ってY軸方向に移動する。
第1支持構造62の後方には、門型の第2支持構造76が配置されている。第2支持構造76の前面(第1支持構造62側の面)には、それぞれY軸Z軸移動機構(割り出し送りユニット、切り込み送りユニット)78を介して2組の切削ユニット(加工ユニット)80が設けられている。切削ユニット80は、Y軸Z軸移動機構78によってY軸方向に移動する(割り出し送り)とともに、Z軸方向に移動する(切り込み送り)。
各切削ユニット80は、Y軸方向に概ね平行な回転軸となるスピンドル(不図示)を備えている。スピンドルの一端側には、円環状の切削ブレード82が装着されている。各スピンドルの他端側には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。また、切削ブレード82の傍には、被加工物11や切削ブレード82に純水等の切削液を供給するためのノズルが配置されている。
このノズルから切削液を供給しながら、回転させた切削ブレード82をチャックテーブル56に保持された被加工物11に切り込ませることで、被加工物11を切削できる。切削ユニット80に隣接する位置には、チャックテーブル56に保持された被加工物11等を撮像するための撮像ユニット(カメラ)84が設けられている。この撮像ユニット84も、Y軸Z軸移動機構78によってY軸方向に移動するとともに、Z軸方向に移動する。
開口48bに対して開口48aと反対側の位置には、洗浄ユニット86が配置されている。洗浄ユニット86は、筒状の洗浄空間内で被加工物11を吸引、保持するスピンナテーブル88を備えている。スピンナテーブル88の下部には、スピンナテーブル88を所定の速さで回転させる回転駆動源(不図示)が連結されている。
スピンナテーブル88の上方には、スピンナテーブル88により保持された被加工物11に向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した混合流体)を噴射する噴射ノズル90が配置されている。被加工物11を保持したスピンナテーブル88を回転させて、噴射ノズル90から洗浄用の流体を噴射することで、被加工物11を洗浄できる。
切削ユニット80で被加工物11を切削した後には、例えば、第2搬送ユニット74でフレーム15を洗浄ユニット86へと搬入する。洗浄ユニット86で被加工物11を洗浄した後には、例えば、第1搬送ユニット68でフレーム15を一対のガイドレール60に載せ、その後、このフレーム15を把持機構68aで把持してカセット28に収容する。
図5に示すように、基台48の上面側は、カバー92によって覆われており、上述した各構成要素は、カバー92の内側に収容される。開口48aの直上の領域には、カバー92の天井92aを上下に貫通する開口92bが設けられている。そのため、昇降機構によってカセット支持台50を上昇させれば、この開口92bを通じてカセット支持台50の上面をカバー92の外部に露出させることができる。開口92bの形状や大きさは、例えば、基台48に設けられている開口48aの形状や大きさと同じである。
カバー92の天井92aには、例えば、開口92bと同等の高さに位置付けられたカセット支持台50と、開口92bの傍に停止した無人被加工物搬送車10と、の間でカセット28を搬送するカセット搬送アーム94が設けられている。このカセット搬送アーム94は、カセット支持台50を昇降させる昇降機構等とともに、制御装置96に接続されている(図5)。
制御装置96は、代表的には、CPU等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成され、記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御装置96の機能が実現される。
制御装置96には、搬送システム2の制御ユニット12から送信される制御用の信号(制御信号)を受信する受信機98と、制御ユニット12に対して通知用の信号(通知信号)を送信する送信機100と、が更に接続されている。制御装置96は、例えば、受信機98で受信した信号等に基づき、上述した切削装置4の各構成要素を制御する。
基台48の側壁には、各種の配管21を接続する配管接続部48c(図5)が設けられている。また、カバー92の側壁には、メンテナンス等の際に開閉される扉92c(図5)が設けられている。更に、カバー92の側壁には、操作パネル(不図示)やディスプレイ(不図示)等が設けられていても良い。
図7は、切削装置4に搬送システム2の搬送通路6が設置される様子を示す斜視図である。図7等に示すように、本実施形態に係る搬送システム2の搬送通路6は、切削装置4が備えるカバー92の天井92aの上面側に装着される。すなわち、搬送通路6は、切削装置4の真上の空間に設置される。
これにより、切削装置4の側面に設けられている配管接続部48cや扉92c等の構造に対して、搬送通路6が干渉することはなくなる。つまり、搬送通路6を設計する際に、切削装置4の側面の構造を考慮する必要がない。そのため、搬送システム2の構築が容易になる。
図8(A)は、搬送通路6に使用される通路モジュール6aの構成例を示す平面図であり、図8(B)は、通路モジュール6bの構成例を示す平面図であり、図8(C)は、通路モジュール6cの構成例を示す平面図である。搬送通路6は、例えば、図8(A)、図8(B)、及び図8(C)に示す複数の通路モジュール6a,6b,6cを組み合わせて構成される。
各通路モジュール6a,6b,6cは、それぞれ、無人被加工物搬送車10の走行に適した平坦性の高い上面を持つ通路部102と、通路部102の幅方向の端に設けられこの通路部102に沿うガイド部104と、を含む。ガイド部104の上端の通路部102からの高さは、例えば、無人被加工物搬送車10の車輪40の高さよりも高くなっている。これにより、通路部102を走行する無人被加工物搬送車10が通路部102から脱落するのを防止できる。
図8(A)の通路モジュール6aは、無人被加工物搬送車10を待機させるための待機部106を更に有しており、例えば、無人被加工物搬送車10との間で被加工物11(カセット28)の受け渡しを行う切削装置4等の直上に設置される。なお、この待機部106等には、無人被加工物搬送車10の二次電池に給電する給電設備(充電器)を設けると良い。一方で、図8(B)の通路モジュール6bは、直線状に形成されており、図8(C)の通路モジュール6cは、曲がり角に適した直角状に形成されている。
通路モジュール6b,6cは、例えば、隣接する2つの通路モジュール6aの間を繋ぐために用いられる。ただし、搬送通路6を構成する通路モジュールの種類、数量、配置(接続の関係)等に制限はない。例えば、2つの通路モジュール6aの間を、更に別の通路モジュール6aで繋いでも良い。また、例えば、直角状の通路モジュール6cの代わりに、円弧状(曲線状)の通路モジュールを用いることもできる。
図9は、通路モジュール6a及び通路モジュール6bから搬送通路6が形成される様子を示す斜視図である。図10(A)、及び図10(B)は、通路モジュール6a及び通路モジュール6bが連結される様子を示す断面図である。また、図11は、通路モジュール6bの構成例を示す底面図である。
図9に示すように、通路部102の下面の長さ方向の端部(搬送通路6に沿う方向の端部)には、断面がL字状の一対のアングル(ブラケット)108が設けられている。各アングル108は、概ね水平な支持面108aと、支持面108aに対して概ね垂直な側面108bとを備え、各アングル108の長手方向が搬送通路6に沿うように通路部102の下面に固定される。
通路モジュール6aと通路モジュール6bとを連結する際には、まず、図10(A)に示すように、通路モジュール6aを構成する通路部102の長手方向の端部と、通路モジュール6bを構成する通路部102の長手方向の端部とを十分に近付ける。そして、図10(B)に示すように、通路モジュール6aを構成する通路部102に設けられているアングル108と、通路モジュール6bを構成する通路部102に設けられているアングル108と、に連結具110を挿入する。
連結具110は、例えば、通路モジュール6aのアングル108の長さと通路モジュール6bのアングル108の長さとを合わせた長さよりも長いロッド部110aと、ロッド部110aの両端に設けられ中央に開口を有するリング部110bと、を含んでいる。アングル108には、この連結具110のロッド部110aが挿入される。
アングル108にロッド部110aを挿入した後には、リング部110bの開口を通じて通路部102の下面側のボルト孔(不図示)にボルト112を締め込む。これにより、連結具110を介して通路モジュール6aと通路モジュール6bとを連結できる。なお、通路モジュール6cも、同様の手順で他の通路モジュール(通路モジュール6aや通路モジュール6b等)に連結される。
切削装置4に対する通路モジュール6a,6b,6cの装着は、例えば、図9、図11等に示す脚部材114を介して行われる。脚部材114は、板状の基部114aと、基部114aの一方側の面の中央付近から突出する柱状の柱部114bと、柱部114bの先端に装着された吸盤状の吸着部114c(図11)と、を含んでいる。
基部114aの柱部114bと重ならない領域には、この基部114aを厚み方向に貫通する4個の開口114dが形成されている。また、通路モジュール6a,6b,6cを構成する通路部102の下面には、各開口114dに対応するボルト孔102a(図11)が形成されている。
そのため、基部114aの他方側の面を通路部102の下面に接触させ、開口114dを通じてボルト孔102aにボルト116を締め込めば、通路モジュール6a,6b,6cに脚部材114を固定できる。なお、開口114d及びボルト孔102aの数量や配置等に制限はない。
図11に示すように、本実施形態の通路モジュール6bには、通路部102の下面の複数の領域のそれぞれに基部114aの4個の開口114dに対応する4個のボルト孔102aが形成されており、任意の領域に脚部材114を装着できる。他の通路モジュール6a,6cについても同様である。
すなわち、脚部材114は、通路部102の下面の複数の領域から選択されたいずれかの領域に装着される。なお、各通路モジュール6a,6b,6cには、複数の脚部材114を装着することが望ましい。これにより、切削装置4に対する搬送通路6の位置を安定化させ易くなる。
切削装置4に対して通路モジュール6a,6b,6cを装着する際には、例えば、切削装置4のカバー92に対して通路モジュール6a,6b,6cの位置を合わせ、図7に示すように、脚部材114の吸着部114cをカバー92の天井92aの上面に押し当てる。これにより、カバー92の天井92aの上面に吸着部114cを吸着させて、任意の通路モジュール6a,6b,6cをカバー92に装着できる。つまり、任意の通路モジュール6a,6b,6cが、脚部材114を介して切削装置4のカバー92に装着される。
なお、必ずしも全ての通路モジュール6a,6b,6cを切削装置4に対して装着しなくて良い。例えば、2台の切削装置4の間に位置する通路モジュールは、連結具110を介して隣接する通路モジュールのみに支持されることがある。また、切削装置4やストックユニット8等に対して装着される通路モジュールの通路部102には、図1に示すように、2次元コードに代表される識別コードや無線タグ等の情報提供部102bが設けられている。この情報提供部102bは、例えば、無人被加工物搬送車10の位置の確認等に使用される。
次に、被加工物11の搬送に使用されるカセット28等の構造について説明する。図12は、カセット28等の構造を示す斜視図である。カセット28は、被加工物11を支持するフレーム15を収容できる大きさの箱体118を含む。この箱体118は、被加工物11やフレーム15を支持するための底板120を有している。
底板120は、平面視で矩形状に形成されており、その3辺に相当する位置には、それぞれ、側板122、側板124、及び側板126の下端側が固定されている。側板122、側板124、及び側板126の上端側には、底板120と同様の形状の天板128が固定されている。すなわち、箱体118は、4つの側面の1つに開口118aを有する中空の直方体状に構成されている。
なお、天板128は、波長が360nm~830nm程度の可視光線を透過させる樹脂やガラス等の材料で形成されることが望ましい。これにより、例えば、箱体118に収容された被加工物11の種類等を、カセット28の外部から判別できるようになる。なお、被加工物11の種類等を判別する際には、被加工物11に描画されているバーコード等の識別コード17を読み取ると良い。
また、底板120の開口118a側の領域には、箱体118に収容されたフレーム15の外部への移動を規制するための2個の移動規制部材130a,130bが設けられている。2個の移動規制部材130a,130bは、いずれも直方体状に形成されており、各移動規制部材130a,130bの長手方向が開口118aの下側の縁に沿うように配置される。
2個の移動規制部材130a,130bの高さは、開口118aの高さよりも低くなっており、各移動規制部材130a,130bと天板128との間には、被加工物11やフレーム15を搬入出するための隙間が形成されている。なお、2個の移動規制部材130a,130bは、互いに接していない。すなわち、移動規制部材130aと移動規制部材130bとの間には、所定の隙間130cが形成されている。
底板120の一部には、この底板120を厚み方向に貫通する平面視で矩形状の複数の開口120aが形成されている。各開口120aは、例えば、箱体118に収容されるフレーム15の直下の領域に設けられる。すなわち、各開口120aは、箱体118に収容されるフレーム15に対して平面視で重なる位置に形成される。
図12に示すように、例えば、切削装置4が備えるカセット支持台50の上面には、開口120aの形状に対応する直方体状の複数の突起50aが設けられている。各突起50aは、カセット支持台50の上面に載せられるカセット28の開口120aに対応する位置に配置されている。そのため、例えば、無人被加工物搬送車10上のカセット28をカセット搬送アーム94で搬送してカセット支持台50の上面に載せると、このカセット28の開口120aに突起50aが挿入される。
その結果、カセット28に収容されているフレーム15は、突起50aによって移動規制部材130a,130bより高い位置まで相対的に押し上げられ、移動規制部材130a,130bと天板128との隙間から搬出できる状態となる。なお、開口120aや突起50aの形状等に特段の制限はない。また、図12では、切削装置4が備えるカセット支持台50のみを例示しているが、例えば、ストックユニット8が備える第2カセット支持台26等の構造も同様である。
図13(A)、図13(B)、及び図13(C)は、被加工物11を支持するフレーム15がカセット28から搬出される様子を示す断面図である。例えば、切削装置4においてフレーム15をカセット28から搬出する際には、図13(A)に示すように、開口120aに対して突起50aが挿入されるようにカセット28をカセット支持台50の上面に載せる。その結果、カセットに収容されているフレーム15は、突起50aによって移動規制部材130a,130bより高い位置まで相対的に押し上げられる。
次に、カセット支持台50の突起50aの上面と第1搬送ユニット68の把持機構68aとが概ね同じ高さになるようにカセット支持台50と把持機構68aとの相対的な高さを調整する。そして、図13(B)に示すように、第1搬送ユニット68の把持機構68aを開口118aからカセット28内に挿入する。具体的には、第1搬送ユニット68を水平に移動させて、移動規制部材130aと移動規制部材130bとの隙間130cに把持機構68aを挿入する。
その後、フレーム15を把持機構68aで把持し、図13(C)に示すように、第1搬送ユニット68を水平に移動させて、この把持機構68aをカセット28から引き抜く。これにより、フレーム15はカセット28から搬出される。搬出されたフレーム15は、例えば、一対のガイドレール60で位置を調整された後に、チャックテーブル56に搬入される。
次に、本実施形態に係る搬送システム2の動作等の例を説明する。図14は、搬送システム2の動作等の例を説明するための機能ブロック図である。例えば、切削装置4の制御装置96は、新たな被加工物11が必要な状況になると、その旨を通知するための通知信号(被加工物要求信号)を生成する。制御装置96で生成された通知信号(被加工物要求信号)は、送信機100から制御ユニット12へと送信される。
図14に示すように、制御ユニット12は、各種の制御を行うための制御信号を生成する制御部(制御信号生成部)132を備えている。この制御部132は、代表的には、CPU等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成され、記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御部132の機能が実現される。
この制御部132には、切削装置4、ストックユニット8、無人被加工物搬送車10等から送信される通知信号を受信する受信機134と、切削装置4、ストックユニット8、無人被加工物搬送車10等に対して制御信号を送信する送信機136とが接続されている。
制御ユニット12の受信機134は、切削装置4の送信機100から送信された通知信号(被加工物要求信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、切削装置4からの通知信号(被加工物要求信号)を確認すると、無人被加工物搬送車10に対して、ストックユニット8から被加工物11を受け取れる位置で待機するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第1待機指示信号)を生成し、送信機136から無人被加工物搬送車10へと送る。
無人被加工物搬送車10の受信機44は、制御ユニット12からの制御信号(第1待機指示信号)を受信すると、これを制御装置42へと送る。制御装置42は、この制御信号(第1待機指示信号)に基づき車輪(走行機構)40等の動作を制御し、無人被加工物搬送車10を搬送通路6に沿って走行させる。
なお、図14に示すように、無人被加工物搬送車10の制御装置42には、搬送通路6に設けられている情報提供部102bの情報を読み取るための読み取り機138が接続されている。そのため、読み取り機138によって情報提供部102bの情報を読み取ることで、制御装置42は、無人被加工物搬送車10の位置を確認できる。
制御装置42は、無人被加工物搬送車10がストックユニット8の傍まで移動したことを確認すると、車輪40等を停止させる。また、制御装置42は、無人被加工物搬送車10が被加工物11を受け取れる位置で待機中である旨を通知するための通知信号(第1待機中信号)を生成する。制御装置42で生成された通知信号(第1待機中信号)は、送信機46から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機134は、無人被加工物搬送車10の送信機46から送信された通知信号(第1待機中信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、無人被加工物搬送車10からの通知信号(第1待機中信号)を確認すると、ストックユニット8に対して、被加工物11を無人被加工物搬送車10へと搬送するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第1搬送指示信号)を生成し、送信機136からストックユニット8へと送る。
ストックユニット8の受信機34は、制御ユニット12からの制御信号(第1搬送指示信号)を受信すると、これを制御装置32へと送る。制御装置32は、この制御信号(第1搬送指示信号)に基づきカセット搬送アーム30等の動作を制御して、被加工物11が収容されているカセット28を無人被加工物搬送車10のシャシ38に載せる。
無人被加工物搬送車10に対するカセット28の搬送が完了すると、制御装置32は、無人被加工物搬送車10に対するカセット28の搬送が完了した旨を通知するための通知信号(第1搬送完了信号)を生成する。制御装置32で生成された通知信号(第1搬送完了信号)は、送信機36から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機134は、ストックユニット8の送信機36から送信された通知信号(第1搬送完了信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、ストックユニット8からの通知信号(第1搬送完了信号)を確認すると、無人被加工物搬送車10に対して、被加工物11を切削装置4に受け渡せる位置まで移動して待機するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第2待機指示信号)を生成し、送信機136から無人被加工物搬送車10へと送る。
無人被加工物搬送車10の受信機44は、制御ユニット12からの制御信号(第2待機指示信号)を受信すると、これを制御装置42へと送る。制御装置42は、この制御信号(第2待機指示信号)に基づき車輪40等の動作を制御して、無人被加工物搬送車10を搬送通路6に沿って走行させる。
制御装置42は、無人被加工物搬送車10が切削装置4の傍まで移動したことを確認すると、車輪40等を停止させる。また、制御装置42は、無人被加工物搬送車10が切削装置4に対して被加工物11を受け渡せる位置で待機中である旨を通知するための通知信号(第2待機中信号)を生成する。制御装置42で生成された通知信号(第2待機中信号)は、送信機46から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機134は、無人被加工物搬送車10の送信機46から送信された通知信号(第2待機中信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、無人被加工物搬送車10からの通知信号(第2待機中信号)を確認すると、切削装置4に対して、被加工物11を無人被加工物搬送車10から搬送するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第2搬送指示信号)を生成し、送信機136から切削装置4へと送る。
切削装置4の受信機98は、制御ユニット12からの制御信号(第2搬送指示信号)を受信すると、これを制御装置96へと送る。制御装置96は、この制御信号(第2搬送指示信号)に基づきカセット搬送アーム94等の動作を制御して、被加工物11が収容されているカセット28を無人被加工物搬送車10のシャシ38から搬出してカセット支持台50に載せる。
切削装置4に対するカセット28の搬送が完了すると、例えば、制御装置96は、切削装置4に対するカセット28の搬送が完了した旨を通知するための通知信号(第2搬送完了信号)を生成する。制御装置96で生成された通知信号(第2搬送完了信号)は、送信機100から制御ユニット12へと送信される。
このような手順により、ストックユニット8に収容されている被加工物11を任意の切削装置4に対して1枚ずつ搬送できる。なお、ここでは、切削装置4に対して被加工物11を搬送する際の手順について主に説明したが、切削装置4から被加工物11やカセット28を回収する際の手順等も同様である。
また、上述した手順は、被加工物11を適切に搬送できる範囲内で変更できる。例えば、上述した手順に含まれている複数のステップを同時に行っても良いし、被加工物11の搬送に支障が出ない範囲内でステップの順序を入れ替えても良い。同様に、被加工物11の搬送に支障が出ない範囲内で任意のステップを追加、変更、省略して良い。
以上のように、本実施形態に係る搬送システム2は、複数の切削装置(加工装置)4に渡って設置される搬送通路6と、シャシ(被加工物支持部)38、車輪(走行機構)40、及び受信機44を備える無人被加工物搬送車10と、カセット搬送アーム(被加工物搬送部)30、及び受信機34を備えるストックユニット8と、を含んでいる。
そのため、カセット(被加工物ストッカー)18に収容されている被加工物11をカセット搬送アーム30で無人被加工物搬送車10のシャシ38へと搬送し、この無人被加工物搬送車10を搬送通路6上で走行させることにより、複数の切削装置4のそれぞれに対して被加工物11を搬送できる。また、本実施形態に係る搬送システム2では、搬送通路6が、切削装置4の真上の空間に設置される。そのため、この搬送通路6を設計する際に各切削装置4の側面の構造を考慮する必要がない。すなわち、搬送システム2の構築が容易になる。
(実施形態2)
本実施形態では、被加工物11とともに切削ブレード82等を搬送の対象とする搬送システムについて説明する。なお、本実施形態に係る搬送システムの基本的な構成は、実施形態1に係る搬送システム2の基本的な構成と同じである。よって、実施形態1の搬送システム2と共通する構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図15は、本実施形態に係る搬送システム202の接続関係の例を示す機能ブロック図である。図15に示すように、本実施形態に係る搬送システム202の制御ユニット12には、無人被加工物搬送車10、切削装置204、無人ブレード搬送車206、ストックユニット208が無線で接続されている。
無人ブレード搬送車206は、無人被加工物搬送車10と同様に搬送通路6(図16等参照)を走行し、各切削装置204に対して切削ブレード82を搬送する。ストックユニット208は、複数の被加工物11に加えて、各切削装置204に供給される切削ブレード82を収容できるように構成されている。
なお、図15では、説明の便宜上、2台の無人被加工物搬送車10a,10b、2台の切削装置204a,204b、及び2台の無人ブレード搬送車206a,206bを示しているが、それぞれの台数に制限はない。また、制御ユニット12は、無人被加工物搬送車10、切削装置204、無人ブレード搬送車206、ストックユニット208等に対して有線で接続されても良い。
図16は、第2実施形態に係るストックユニット208の構成例を示す側面図である。図16に示すように、ストックユニット208の基本的な構成は、実施形態1に係るストックユニット8の基本的な構成と同じである。ただし、本実施形態に係るストックユニット208には、複数の切削ブレード82を収容するためのブレードストッカー210が配置されている。
ブレードストッカー210は、例えば、上面側が複数の領域に区画されたトレー状に構成されている。各領域には、切削ブレード82が収容される。また、このブレードストッカー210の傍には、ブレードストッカー210と無人ブレード搬送車206との間で切削ブレード82を搬送するブレード搬送アーム(ブレード搬送部)212が設けられている。
図17は、無人ブレード搬送車206の構成例を示す斜視図である。図17に示すように、無人ブレード搬送車206は、トレー状のシャシ(ブレード支持部)214を含む。シャシ214の上面側には、切削ブレード82の大きさに対応する複数の凹部214aが形成されており、各凹部214aには、切削ブレード82を収容できるブレードケース216が配置されている。
ブレード搬送アーム212で搬送された切削ブレード82は、このシャシ214の凹部214aに配置されたブレードケース216に載せられる。なお、シャシ214の各ブレードケース216(凹部214a)に対応する位置には、無線タグや識別コード等の情報提供部214bが設けられている。よって、各ブレードケース216に収容される切削ブレード82を容易に特定できる。
シャシ214の下面側には、複数(本実施形態では、4個)の車輪(走行機構)218が取り付けられている。各車輪218は、モータ等の回転駆動源に連結されており回転する。この車輪218を回転駆動源によって回転させることで、無人ブレード搬送車206は、搬送通路6上を走行する。なお、車輪218としては、傾斜した樽状(筒状)の複数の回転体が搬送通路6と接触する外周面に取り付けられた、いわゆるメカナムホイール等を用いると良い。
シャシ214の側面には、無人ブレード搬送車206の動作を制御する制御装置220が設けられている。制御装置220は、代表的には、CPU等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成され、記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御装置220の機能が実現される。
この制御装置220には、制御ユニット12から送信される制御用の信号(制御信号)を受信する受信機222と、制御ユニット12に対して通知用の信号(通知信号)を送信する送信機224とが接続されている。制御装置220は、受信機222で受信した信号に基づき無人ブレード搬送車206の動作(走行)を制御する。また、制御装置220は、送信機224を通じて必要な信号を制御ユニット12に送信する。
図18は、切削装置204等の外観を示す斜視図である。図18に示すように、切削装置204の基本的な構成は、実施形態1に係る切削装置4の基本的な構成と同じである。ただし、この切削装置204には、カバー92の天井92aを上下に貫通する2つの開口92dが更に設けられている。各開口92dは、切削ブレード82を通過できる大きさに形成されている。
また、各開口92dには、切削ブレード82を昇降させるためのブレード昇降機構226が配置されている。ブレード昇降機構226は、切削ブレード82を保持するブレード保持部228を備え、このブレード保持部228を昇降させる。そのため、ブレード保持部228に切削ブレード82を保持させた上でこのブレード保持部228を昇降させれば、切削ブレード82をカバー92の外部から内部へと搬送し、又はカバー92の内部から外部へと搬送できる。
カバー92の天井92aには、ブレード昇降機構226が備えるブレード保持部228と、ブレード昇降機構226の傍に停止する無人ブレード搬送車206と、の間で切削ブレード82を搬送するブレード搬送アーム230が設けられている。ブレード搬送アーム230は、切削ブレード82を保持するブレード把持部230aを備え、このブレード把持部230aを回転、昇降させることにより、無人ブレード搬送車206とブレード保持部228との間で切削ブレード82を搬送する。
切削装置204のカバー92の内部には、切削ユニット80の切削ブレード82を自動制御で交換するブレードチェンジャー232が更に設けられている。ブレードチェンジャー232は、ブレード昇降機構226やブレード搬送アーム230とともに、制御装置96に接続されている。
図19は、ブレードチェンジャー232の構成例を示す分解斜視図である。このブレードチェンジャー232は、例えば、基台48やカバー92等に対して位置が固定される固定プレート234を備えている。固定プレート234の下面側には、X軸方向に長い一対のガイドレール236が設けられている。ガイドレール236には、移動プレート238がX軸方向に沿ってスライドできる態様で支持される。
移動プレート238のY軸方向の端部には、ガイドレール236の形状に対応するブラケット240が設けられており、このブラケット240を介して移動プレート238がガイドレール236に支持される。移動プレート238の上面には、ナット部242が固定されている。ナット部242のネジ孔242aには、X軸方向に概ね平行なボールネジ244が回転できる態様で挿入される。
ボールネジ244の一端には、パルスモータ246が連結されている。このパルスモータ246でボールネジ244を回転させれば、移動プレート238は、ガイドレール236に沿ってX軸方向に移動する。移動プレート238の下面側には、チェンジャー支持構造248が固定されている。
チェンジャー支持構造248には、切削ユニット80に対して切削ブレード82を固定する固定ナット(不図示)を着脱するための一対のナット着脱機構250が支持されている。各ナット着脱機構250は、Y軸方向に沿って移動できるとともに、Y軸方向に平行な回転軸の周りに回転できるように構成される。このナット着脱機構250によって固定ナットを把持して回転させることで、切削ユニット80に固定ナットを取り付け、又は切削ユニット80から固定ナットを取り外すことができる。
また、チェンジャー支持構造248には、切削ブレード82を交換するための一対のブレード交換機構252が支持されている。各ブレード交換機構252は、それぞれ切削ブレード82を保持可能な第1ブレード保持部252a及び第2ブレード保持部252bを含む。このブレード交換機構252は、Y軸方向に沿って移動できるとともに、X軸方向において第1ブレード保持部252aと第2ブレード保持部252bとの位置を入れ替えることができるように構成される。
ブレードチェンジャー232で切削ブレード82を交換する際には、例えば、ブレード昇降機構226のブレード保持部228によって保持された交換用の切削ブレード82を第1ブレード保持部252aで受け取る。そして、ナット着脱機構250で切削ユニット80から固定ナットを取り外す。また、切削ユニット80に装着されている切削ブレード82を第2ブレード保持部252bで切削ユニット80から取り外す。
その後、第1ブレード保持部252aと第2ブレード保持部252bとの位置を入れ替え、第1ブレード保持部252aで交換用の切削ブレード82を切削ユニット80に取り付ける。そして、最後に、ナット着脱機構250で切削ユニット80に固定ナットを取り付ける。なお、切削ユニット80に装着されていた切削ブレード82は、例えば、第2ブレード保持部252bからブレード昇降機構226のブレード保持部228に受け渡される。
次に、本実施形態に係る搬送システム202の動作等の例を説明する。図20は、搬送システム202の動作等の例を説明するための機能ブロック図である。なお、被加工物11の搬送に係る動作は実施形態1と同様であるから、本実施形態では、主に切削ブレード82の搬送に係る動作の例を説明する。
例えば、切削装置204の制御装置96は、切削ブレード82の交換が必要な状況になると、その旨を通知するための通知信号(ブレード要求信号)を生成する。制御装置96で生成された通知信号(ブレード要求信号)は、送信機100から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機134は、切削装置204の送信機100から送信された通知信号(ブレード要求信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、切削装置204からの通知信号(ブレード要求信号)を確認すると、無人ブレード搬送車206に対して、ストックユニット208から切削ブレード82を受け取れる位置で待機するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第1待機指示信号)を生成し、送信機136から無人ブレード搬送車206へと送る。
無人ブレード搬送車206の受信機222は、制御ユニット12からの制御信号(第1待機指示信号)を受信すると、これを制御装置220へと送る。制御装置220は、この制御信号(第1待機指示信号)に基づき車輪(走行機構)218等の動作を制御し、無人ブレード搬送車206を搬送通路6に沿って走行させる。
なお、図20に示すように、無人ブレード搬送車206の制御装置220には、搬送通路6に設けられている情報提供部102bの情報を読み取るための読み取り機254が接続されている。そのため、読み取り機254によって情報提供部102bの情報を読み取ることで、制御装置220は、無人ブレード搬送車206の位置を確認できる。
制御装置220は、無人ブレード搬送車206がストックユニット208の傍まで移動したことを確認すると、車輪218等を停止させる。また、制御装置220は、無人ブレード搬送車206が切削ブレード82を受け取れる位置で待機中である旨を通知するための通知信号(第1待機中信号)を生成する。制御装置220で生成された通知信号(第1待機中信号)は、送信機224から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機134は、無人ブレード搬送車206の送信機224から送信された通知信号(第1待機中信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、無人ブレード搬送車206からの通知信号(第1待機中信号)を確認すると、ストックユニット208に対して、切削ブレード82を無人ブレード搬送車206へと搬送するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第1搬送指示信号)を生成し、送信機136からストックユニット208へと送る。
ストックユニット208の受信機34は、制御ユニット12からの制御信号(第1搬送指示信号)を受信すると、これを制御装置32へと送る。制御装置32は、この制御信号(第1搬送指示信号)に基づきブレード搬送アーム212等の動作を制御して、切削ブレード82をブレードストッカー210から搬出し、無人ブレード搬送車206のシャシ214に載せる。具体的には、例えば、制御信号(第1搬送指示信号)を通じて制御ユニット12から指示されたブレードケース216に切削ブレード82を載せる。
無人ブレード搬送車206に対する切削ブレード82の搬送が完了すると、制御装置32は、無人ブレード搬送車206に対する切削ブレード82の搬送が完了した旨を通知するための通知信号(第1搬送完了信号)を生成する。制御装置32で生成された通知信号(第1搬送完了信号)は、送信機36から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機134は、ストックユニット208の送信機36から送信された通知信号(第1搬送完了信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、ストックユニット208からの通知信号(第1搬送完了信号)を確認すると、無人ブレード搬送車206に対して、切削ブレード82を切削装置204に受け渡せる位置まで移動して待機するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第2待機指示信号)を生成し、送信機136から無人ブレード搬送車206へと送る。
無人ブレード搬送車206の受信機222は、制御ユニット12からの制御信号(第2待機指示信号)を受信すると、これを制御装置220へと送る。制御装置220は、この制御信号(第2待機指示信号)に基づき車輪218等の動作を制御して、無人ブレード搬送車206を搬送通路6に沿って走行させる。
制御装置220は、無人ブレード搬送車206が切削装置204の傍まで移動したことを確認すると、車輪218等を停止させる。また、制御装置220は、無人ブレード搬送車206が切削装置204に対して切削ブレード82を受け渡せる位置で待機中である旨を通知するための通知信号(第2待機中信号)を生成する。制御装置220で生成された通知信号(第2待機中信号)は、送信機224から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機134は、無人ブレード搬送車206の送信機224から送信された通知信号(第2待機中信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、無人ブレード搬送車206からの通知信号(第2待機中信号)を確認すると、切削装置204に対して、切削ブレード82を無人ブレード搬送車206から搬送するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第2搬送指示信号)を生成し、送信機136から切削装置204へと送る。
切削装置204の受信機98は、制御ユニット12からの制御信号(第2搬送指示信号)を受信すると、これを制御装置96へと送る。制御装置96は、この制御信号(第2搬送指示信号)に基づきブレード搬送アーム230等の動作を制御して、切削ブレード82を無人ブレード搬送車206のシャシ214から搬出してブレード保持部228に受け渡す。具体的には、制御信号(第2搬送指示信号)を通じて制御ユニットから指示されるブレードケース216内の切削ブレード82が搬出され、ブレード保持部228へと受け渡される。
切削装置204に対する切削ブレード82の受け渡しが完了すると、例えば、制御装置96は、切削装置204に対する切削ブレード82の搬送が完了した旨を通知するための通知信号(第2搬送完了信号)を生成する。制御装置96で生成された通知信号(第2搬送完了信号)は、送信機100から制御ユニット12へと送信される。このような手順により、ストックユニット208に収容されている切削ブレード82を必要に応じて切削装置204に搬送できる。
その後、切削装置204は、例えば、上述したブレード保持部228からブレードチェンジャー232へと切削ブレード82を受け渡す。そして、このブレードチェンジャー232によって、ブレード保持部228から受け取った切削ブレード82と、切削ユニット80に既に装着されている使用済みの切削ブレード82とが交換される。
切削ユニット80から取り外された使用済みの切削ブレード82は、ブレード保持部228へと受け渡される。ブレード搬送アーム230は、ブレード保持部228に保持されている使用済みの切削ブレード82を、待機中の無人ブレード搬送車206のシャシ214に載せる。この時、使用済みの切削ブレード82は、例えば、制御装置96によって指定されたブレードケース216へと載せられる。
無人ブレード搬送車206に対する使用済みの切削ブレード82の搬送が完了すると、制御装置96は、無人ブレード搬送車206に対する使用済みの切削ブレード82の搬送が完了した旨を通知するための通知信号(第3搬送完了信号)を生成する。制御装置96で生成された通知信号(第3搬送完了信号)は、送信機100から制御ユニット12へと送信される。なお、この通知信号(第3搬送完了信号)には、使用済みの切削ブレード82が載せられたブレードケース216の情報(ブレードケース216に対応する情報提供部214bの情報)が含まれる。
制御ユニット12の受信機134は、切削装置204の送信機100から送信された通知信号(第3搬送完了信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、切削装置204からの通知信号(第3搬送完了信号)を確認すると、無人ブレード搬送車206に対して、使用済みの切削ブレード82をストックユニット208に受け渡せる位置まで移動して待機するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第3待機指示信号)を生成し、送信機136から無人ブレード搬送車206へと送る。
無人ブレード搬送車206の受信機222は、制御ユニット12からの制御信号(第3待機指示信号)を受信すると、これを制御装置220へと送る。制御装置220は、この制御信号(第3待機指示信号)に基づき車輪218等の動作を制御して、無人ブレード搬送車206を搬送通路6に沿って走行させる。
制御装置220は、無人ブレード搬送車206がストックユニット208の傍まで移動したことを確認すると、車輪218等を停止させる。また、制御装置220は、無人ブレード搬送車206が切削ブレード82を受け取れる位置で待機中である旨を通知するための通知信号(第3待機中信号)を生成する。制御装置220で生成された通知信号(第3待機中信号)は、送信機224から制御ユニット12へと送信される。
制御ユニット12の受信機134は、無人ブレード搬送車206の送信機224から送信された通知信号(第3待機中信号)を受信すると、これを制御部132へと送る。制御部132は、無人ブレード搬送車206からの通知信号(第3待機中信号)を確認すると、ストックユニット208に対して、使用済みの切削ブレード82を無人ブレード搬送車206から搬出するように指示を出す。具体的には、制御部132は、この指示に相当する制御信号(第3搬送指示信号)を生成し、送信機136からストックユニット208へと送る。
ストックユニット208の受信機34は、制御ユニット12からの制御信号(第3搬送指示信号)を受信すると、これを制御装置32へと送る。制御装置32は、この制御信号(第3搬送指示信号)に基づきブレード搬送アーム212等の動作を制御して、使用済みの切削ブレード82を無人ブレード搬送車206のシャシ214から搬出し、ブレードストッカー210に収容する。具体的には、制御信号(第3搬送指示信号)を通じて制御ユニット12から指示されるブレードケース216内の切削ブレード82が搬出され、ブレードストッカー210へと受け渡される。
このような手順により、ストックユニット208に収容されている切削ブレード82を必要に応じて切削装置204に搬送し、また、切削装置204の切削ユニット80から取り外された使用済みの切削ブレード82を回収できる。なお、ここでは、切削ブレード82を交換する作業の間に無人ブレード搬送車206をその場で待機させているが、例えば、この切削ブレード82を交換する作業の間に、他の切削装置204に対して切削ブレード82を搬送しても良い。
また、上述した手順は、切削ブレード82を適切に搬送できる範囲内で変更できる。例えば、上述した手順に含まれている複数のステップを同時に行っても良いし、切削ブレード82の搬送に支障が出ない範囲内でステップの順序を入れ替えても良い。同様に、切削ブレード82の搬送に支障が出ない範囲内で任意のステップを追加、変更、省略して良い。
以上のように、本実施形態に係る搬送システム202は、複数の切削装置(加工装置)204に渡って設置される搬送通路6と、シャシ(ブレード支持部)214、車輪(走行機構)218、及び受信機222を備える無人ブレード搬送車206と、ブレード搬送アーム(ブレード搬送部)212、及び受信機34を備えるストックユニット208と、を含んでいる。
そのため、ブレードストッカー210に収容されている切削ブレード82をブレード搬送アーム212で無人ブレード搬送車206のシャシ214へと搬送し、この無人ブレード搬送車206を搬送通路6上で走行させることにより、複数の切削装置204のそれぞれに対して切削ブレード82を搬送できる。また、本実施形態に係る搬送システム202では、搬送通路6が、切削装置204の真上の空間に設置される。そのため、この搬送通路6を設計する際に各切削装置204の側面の構造を考慮する必要がない。すなわち、搬送システム202の構築が容易になる。
(実施形態3)
本実施形態では、切削装置に対してカセット28(被加工物11)を搬送するための搬送機構が搬送通路に取り付けられている例を説明する。なお、切削装置や搬送通路の基本的な構成は、実施形態1,2と同じである。よって、共通する構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図21は、本実施形態に係る搬送システムにおいて、無人被加工物搬送車10からカセット28が搬出される様子を模式的に示す斜視図であり、図22は、カセット28が切削装置(加工装置)304へと搬入される様子を模式的に示す斜視図である。なお、図21及び図22では、カバー92の内側の構成要素が全て省略されている。
図21及び図22に示すように、本実施形態で使用される切削装置304には、カセット搬送アーム94が設けられていない。また、この切削装置304では、カセット支持台50の上面をカバー92の外部に露出させる必要がない。一方で、切削装置304上の搬送通路6には、支持構造306が固定されている。
支持構造306には、水平方向に移動する移動機構308が設けられている。移動機構308の下端部には、カセット28を保持するカセット保持ハンド310が設けられている。カセット保持ハンド310は、移動機構308に対して、例えば、クレーンのように昇降できる態様で接続されている。また、カセット保持ハンド310の下面側には、カセット28の有無や位置等を確認する際に用いられるカメラ(不図示)が配置されている。
この搬送システムにおいて無人被加工物搬送車10から切削装置304へとカセット28を搬送する際には、まず、切削装置304の傍で待機している無人被加工物搬送車10の上方に移動機構308を位置付ける。次に、図21に示すように、カセット保持ハンド310を下降させて、このカセット保持ハンド310で無人被加工物搬送車10上のカセット28を保持する。
その後、カセット保持ハンド310を上昇させる。また、移動機構308をカバー92の開口92bの上方(すなわち、カセット支持台50の上方)に移動させる。そして、図22に示すように、カセット保持ハンド310を下降させて、このカセット保持ハンド310で保持しているカセット28をカセット支持台50の上面に載せる。以上のような手順で、無人被加工物搬送車10から切削装置304へとカセット28を搬送できる。
本実施形態の搬送システムでは、切削装置に対してカセット28(被加工物11)を搬送するための搬送機構が搬送通路6に取り付けられているので、切削装置304にカセット搬送アームを設ける必要がない。よって、切削装置にカセット搬送アームを設ける場合等に比べて搬送システムの汎用性が高くなる。
(実施形態4)
本実施形態では、搬送システムに接続される切削装置(加工装置)の別の態様について説明する。なお、本実施形態に係る切削装置や搬送システム等の基本的な構成は、実施形態1-3に係る切削装置や搬送システム等と同じである。よって、共通する構成要素には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図23は、第4実施形態に係る切削装置(加工装置)404の傍に停止した無人被加工物搬送車10から被加工物11が搬出される様子を模式的に示す斜視図であり、図24は、切削装置404に対して被加工物11が搬入される様子を模式的に示す斜視図である。なお、図23及び図24では、カバー92の内側に存在する一部の構成要素が省略されている。
図23及び図24に示すように、切削装置404を構成する基台48の開口48aには、昇降機構(不図示)によって昇降するカセット支持台450が設けられている。カセット支持台450の上面450aには、載置台452が装着される。この載置台452は、カセット支持台450に対して着脱できるように構成されており、カセット支持台450から載置台452が取り外された状態では、例えば、複数の被加工物11を収容するカセット18をカセット支持台450に載せることができる。
カセット支持台450に装着された載置台452には、1枚の被加工物11を収容できるカセット(搬送用カセット、トレー)454が載せられる。図25は、カセット支持台450、載置台452、及びカセット454の構造を示す分解斜視図である。図25に示すように、カセット支持台450の上面450aには、カセット支持台450に対する載置台452の位置を規定する突起456、及びカセット454の有無を検出するプッシュスイッチ型のセンサ458が設けられている。
突起456は、カセット支持台450の上面450aに装着された状態の載置台452の外縁に相当する領域に配置されている。そのため、突起456によって規定される領域の外に載置台452が位置付けられてしまうことはない。なお、本実施形態では、円柱状に構成された複数の突起456をカセット支持台450の上面450aに配置しているが、突起456の形状、数量、大きさ、材質等に特段の制限はない。
センサ458は、例えば、カセット支持台450の上面450aに設けられた開口450bに挿入されるプッシュ部458aを含む。プッシュ部458aの下方には、可動接点(不図示)及び固定接点(不図示)が配置されている。また、プッシュ部458aには、このプッシュ部458aに対して上向きの力を付与するばね等の付勢部材(不図示)が接続されている。
そのため、プッシュ部458aに下向きの外力が加わらない限り、プッシュ部458aは上面450aから突出した状態に保たれる。すなわち、プッシュ部458aの上端が上面450aよりも上方に位置付けられる。一方で、大きな下向きの外力がプッシュ部458aに加わると、このプッシュ部458aは下方に移動する。
その結果、プッシュ部458aの下方に配置された可動接点がプッシュ部458aによって下向きに押され、この可動接点が下方に移動して固定接点と接触し、センサ458は導通する。よって、センサ458の導通に基づいてプッシュ部458aに作用する荷重の有無を検出できる。本実施形態の切削装置404では、センサ458を用いて、載置台452上のカセット454の有無が検出される。
図26は、載置台452の構成例を示す底面図である。図25及び図26に示すように、載置台452は、カセット454の全体を支持できる大きさの載置板460を含む。載置板460は、平面視で長方形状に構成されており、その上面460aにカセット454が載せられる。
載置板460の下面460bは、長方形の4辺に相当する4つの領域を備え、対向する2辺に相当する2つの領域には、この2辺に対して概ね平行な第1方向に長い直方体状の第1ガイド部462,464がそれぞれ固定されている。第1ガイド部462と第1ガイド部464とは、例えば、第1方向に垂直な第2方向において、フレーム15の大きさに対応する間隔(フレーム15の大きさより僅かに小さい間隔)をあけて配置されている。
また、第1ガイド部462,464の内側の面462a,464aには、それぞれ、直線状の溝462b,464bが、第1方向に沿って形成されている。この直線状の溝462b,464bには、被加工物11を支持するフレーム15が挿入される。すなわち、載置板460の下方の第1ガイド部462と第1ガイド部464との間の空間は、被加工物11やフレーム15等が収容される第1収容領域となる。
載置板460の下面460bの第1ガイド部462,464に挟まれた領域には、第1方向に長い直方体状の第2ガイド部466,468がそれぞれ固定されている。第2ガイド部466と第2ガイド部468とは、例えば、第1方向に垂直な第2方向において、フレーム15よりも小型のフレーム35(図29(A)参照)の大きさに対応する間隔(フレーム35の大きさより僅かに小さい間隔)をあけて配置されている。
また、第2ガイド部466,468の長さは、フレーム35の大きさに対応して、第1ガイド部462,464の長さよりも短くなっている。第2ガイド部466,468の内側の面466a,468aには、それぞれ、直線状の溝466b,468bが、第1方向に沿って形成されている。
この直線状の溝462b,464bには、テープ13と同様のテープ33(図29(A)参照)を介して被加工物11よりも小型の被加工物31(図29(A)参照)を支持するフレーム35が挿入される。すなわち、載置板460の下方の第2ガイド部466と第2ガイド部468との間の空間は、被加工物31やフレーム35等が収容される第2収容領域となる。
なお、第2ガイド部466,468の厚み(高さ)は、第1ガイド部462,464の厚み(高さ)よりも薄い(低い)。そのため、カセット支持台450の上面450aに載置台452を載せると、カセット支持台450の上面450aに第1ガイド部462,464の下面462c,464cは接触するが、第2ガイド部466,468の下面466c,468cは接触しない。
また、第1ガイド部462,464の溝462b,464bは、それぞれ、載置台452がカセット支持台450に装着された状態で第2ガイド部466,468の下面466c,468cよりも十分に低い位置に形成される。よって、第1ガイド部462,464に挿入されるフレーム15や、テープ13を介してフレーム15に支持される被加工物11等が、第2ガイド部466,468に干渉することはない。
センサ458の直上に位置付けられる載置板460の一部の領域には、この載置板460を上下に貫通する開口460cが形成されている。開口460c内には、載置板460の上面460aに載せられるカセット454からの荷重をセンサ458のプッシュ部458aに伝える荷重伝達部材470が配置されている。
荷重伝達部材470は、例えば、載置板460の上面460a側に配置される平板状の上板部470aと、上板部470aより下方に配置される平板状の下板部470bと、上板部470aの基端及び下板部470bの基端を連結する側板部470cと、を含む。側板部470cには、第1方向に平行な回転軸となる柱状部材472が固定されている。
柱状部材472は、荷重伝達部材470を自由に回転させることができるように第1ガイド部462に支持されている。なお、本実施形態の第1ガイド部462は、上述した開口460cに対応する領域(すなわち、センサ458に対応する領域)において切り欠かれており、この開口460cに対応する領域を境に2つの部分に分けられている。
載置板460の上面460aには、載置台452に対するカセット454の位置を規定する突起474が設けられている。突起474は、載置板460の上面460aに載せられた状態のカセット454の外縁に相当する領域に配置されている。そのため、突起474によって規定される領域の外にカセット454が位置付けられてしまうことはない。なお、本実施形態では、円柱状に構成された複数の突起474を載置板460の上面460aに配置しているが、突起474の形状、数量、大きさ、材質等に特段の制限はない。
図25に示すように、カセット454は、被加工物11を支持するフレーム15を収容できる大きさの箱体476を含む。この箱体476は、概ね平坦な底板478を有している。底板478は、平面視で矩形状に形成されており、対向する2辺に相当する位置には、それぞれ、側板480の下端側及び側板482の下端側が接続されている。
側板480の上端側及び側板482の上端側には、底板478と同様の形状の天板484が固定されている。すなわち、箱体476は、4つの側面の2つに開口476a,476bを有する中空の直方体状に構成されている。なお、天板484は、波長が360nm~830nm程度の可視光線を透過させる樹脂やガラス等の材料で形成されることが望ましい。
これにより、例えば、箱体476に収容された被加工物11の種類等を、カセット454の外部から判別できるようになる。なお、被加工物11の種類等を判別する際には、被加工物11に描画されているバーコード等の識別コード17(図12参照)を読み取ると良い。また、天板484と同様の材料で底板478等を形成しても良い。
底板478の側板480側の領域、及び底板478の側板482側の領域には、それぞれ、直方体状の支持部486,488が設けられている。開口476a、又は開口476bを通じて箱体476の内部に収容されたフレーム15は、この支持部486,488によって支持される。
天板484の上方には、複数の支柱490を介して被支持プレート492が固定されている。カセット454を搬送する際には、この被支持プレート492を下方から支持して箱体476を持ち上げる。なお、支柱490の形状、数量、配置等に特段の制限はない。一方で、被支持プレート492は、天板484と同様に、波長が360nm~830nm程度の可視光線を透過させる樹脂やガラス等の材料で形成されることが望ましい。
図23及び図24に示すように、カバー92の天井92aには、カセット搬送機構494が設けられている。カセット搬送機構494は、下端部が天井92aに固定された支持構造496を含む。なお、支持構造496は、搬送通路6に固定されても良い。支持構造496の上端部には、例えば、レール状のガイド部498がX軸方向に沿って配置されている。ただし、ガイド部498の配置等は、搬送通路6の配置等に応じて任意に変更される。
ガイド部498には、このガイド部498に沿って移動する第1移動部500が連結されている。第1移動部500には、第1移動部500の移動方向(本実施形態では、X軸方向)に対して垂直な方向(本実施形態では、Y軸方向)に移動する第2移動部502が連結されている。また、第2移動部502の下面側には、カセット454を保持するカセット保持ハンド504が設けられている。
カセット保持ハンド504は、第2移動部502に対して、例えば、クレーンのように昇降できる態様で接続されている。カセット保持ハンド504の下面側には、カセット454の有無や位置等を確認する際に用いられるカメラ(不図示)が配置されている。また、カセット保持ハンド504の下面側には、カセット保持爪(不図示)が設けられている。
このように構成された切削装置404に対して無人被加工物搬送車10からカセット454(被加工物11)を搬入する際には、まず、切削装置404の傍で待機している無人被加工物搬送車10の上方にカセット保持ハンド504を位置付ける。次に、図23に示すように、カセット保持ハンド504を下降させて、無人被加工物搬送車10上のカセット454の天板484と被支持プレート492との間にカセット保持爪を挿入する。
この状態でカセット保持ハンド504を上昇させれば、被支持プレート492をカセット保持爪で支持して、無人被加工物搬送車10からカセット454を持ち上げることができる。カセット454を持ち上げた後には、カセット保持ハンド504をカバー92の開口92bの上方(すなわち、カセット支持台450に装着された載置台452の上方)に移動させる。
そして、図24に示すように、カセット保持ハンド504を下降させて、このカセット保持ハンド504で保持しているカセット454を、載置台452が備える載置板460の上面460aに載せる。以上のような手順で、無人被加工物搬送車10から切削装置404にカセット454を搬入できる。
図27は、カセット支持台450に装着された載置台452にカセット454を載せる前の状態を示す斜視図であり、図28(A)は、図27の一部を拡大した断面図である。なお、図28(A)では、載置台452の一部の構成要素が省略されている。図27及び図28(A)に示すように、カセット支持台450に載置台452が装着された状態では、センサ458のプッシュ部458aに荷重伝達部材470の下板部470bが接触する。
上述のように、荷重伝達部材470は、柱状部材472を回転軸として自由に回転できるように構成されている。そのため、載置台452にカセット454が載せられていない状態では、プッシュ部458aによって下板部470bが上向きに押され、上板部470aの先端側は、載置板460の上面460aより上方に位置付けられる。つまり、上板部470aは、載置板460の上面460aから突出した状態になる。
図28(A)に示すように、本実施形態では、上板部470aと側板部470cとのなす角度θ1が約90°に設定されており、下板部470bと側板部470cとのなす角度θ2が90°より大きい値に設定されている。そのため、荷重伝達部材470の下板部470bが上向きに押されて下板部470bの下面が水平に近づくと、上板部470aの上面は傾斜する。ただし、荷重伝達部材470の構造等に特段の制限はない。
図28(B)は、カセット支持台450に装着された載置台452にカセット454を載せた後の状態を示す断面図である。なお、図28(A)では、載置台452の一部の構成要素が省略されている。図28(B)に示すように、載置台452にカセット454を載せると、荷重伝達部材470の上板部470aがカセット454の自重で下向きに押され、荷重伝達部材470の下板部470bが下方に移動する。その結果、センサ458のプッシュ部458aが荷重伝達部材470の下板部470bに押されて下方に移動し、センサ458は導通する。
切削装置404の制御装置96は、センサ458の導通をトリガとして、カセット454から被加工物11を搬出するための動作を開始する。具体的には、まず、カセット支持台450(又は第1搬送ユニット(加工装置内搬送部)68)を昇降させて、カセット454内のフレーム15の高さと把持機構68aの高さとを合わせる。
そして、第1搬送ユニット68をY軸方向に沿ってカセット454に接近させ、このカセット454に収容されているフレーム15を把持機構68aで把持する。次に、第1搬送ユニット68をY軸方向に沿ってカセット454から離隔させ、フレーム15を一対のガイドレール(仮置き領域)60に引き出す。
なお、フレーム15をカセット454から搬出した後には、空になったカセット454をカセット搬送機構494で載置台452から搬出し、別のフレーム15(加工前の被加工物11)が収容されているカセット454を載置台452に載せておく。これにより、被加工物11を連続的に加工できるようになる。
一対のガイドレール60でフレーム15の位置を合わせた後には、第1搬送ユニット68によりこのフレーム15をチャックテーブル56へと搬入する。そして、チャックテーブル56により被加工物11を保持する。その後、チャックテーブル56に保持された被加工物11は、切削ユニット(加工ユニット)80により加工される。
切削ユニット80による被加工物11の加工が終了すると、第2搬送ユニット74によりフレーム15を洗浄ユニット86へと搬入し、この洗浄ユニット86で被加工物11を洗浄する。被加工物11を洗浄した後には、第1搬送ユニット68によりフレーム15を一対のガイドレール60に載せる。
その後、ガイドレール60上のフレーム(加工後の被加工物11)がカセット454に収容されることになるが、載置台452上のカセット454には、加工前の被加工物11が収容されている。そのため、加工後の被加工物11を上述した第1収容領域に一時的に収容する。
具体的には、まず、第1搬送ユニット68(又はカセット支持台450)を昇降させて、載置台452の溝462b,464bの高さと把持機構68aの高さとを合わせる。そして、一対のガイドレール60上のフレーム15(加工後の被加工物11を支持するフレーム15)を把持機構68aにより把持し、第1搬送ユニット68をY軸方向に沿って載置台452に接近させる。
これにより、載置台452の溝462b,464bにフレーム15を挿入して、加工後の被加工物11を第1収容領域に収容できる。図29(A)は、被加工物11やフレーム15等が載置台452の第1収容領域に収容された状態を示す底面図である。被加工物11やフレーム15等を載置台452の第1収容領域に収容した後には、カセット454内のフレーム15(加工前の被加工物11)を同様の手順でチャックテーブル56へと搬送する。
なお、本実施形態に係る載置台452には、被加工物11やフレーム15等を収容できる第1収容領域に加えて、被加工物11より小型の被加工物31やフレーム35等を収容できる第2収容領域が設けられている。そのため、小型の被加工物31を同様に搬送して加工できる。図29(B)は、小型の被加工物31やフレーム35等が載置台452の第2収容領域に収容された状態を示す底面図である。
カセット454内のフレーム15がチャックテーブル56へと搬送された後には、載置台452の第1収容領域からフレーム15を搬出する。具体的には、第1搬送ユニット68(又はカセット支持台450)を昇降させて、載置台452の溝462b,464bの高さと把持機構68aの高さとを合わせる。
そして、第1搬送ユニット68をY軸方向に沿って載置台452に接近させ、載置台452の第1収容領域に収容されているフレーム15を把持機構68aで把持する。次に、第1搬送ユニット68をY軸方向に沿って載置台452から離隔させ、フレーム15を一対のガイドレール60に引き出す。
載置台452の第1収容領域から一対のガイドレール60にフレーム15を引き出した後には、再び、第1搬送ユニット68(又はカセット支持台450)を昇降させて、カセット454の高さと把持機構68aの高さとを合わせる。そして、把持機構68aによりフレーム15を把持した状態で、第1搬送ユニット68をY軸方向に沿ってカセット454に接近させる。
これにより、カセット454にフレーム15を挿入して、加工後の被加工物11をカセット454に収容できる。加工後の被加工物11をカセット454に収容した後には、このカセット454をカセット搬送機構494で載置台452から搬出し、無人被加工物搬送車10に載せる。
このように、本実施形態に係る切削装置404では、被加工物11を一時的に収容できる第1収容領域を備えた載置台452がカセット支持台450に装着されているので、被加工物11が収容された状態のカセット454からこの被加工物11を搬出した後に、別の被加工物11をカセット454に収容できる。
つまり、次に加工される被加工物11が収容されたカセット454を利用して、加工後の被加工物11を搬送できるので、切削装置404内に空のカセット454を待機させておく必要がない。その結果、被加工物11の搬送に係るカセット454の使用効率が高まる。
なお、本発明は、上記実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態の切削装置204には、切削ブレード82を昇降させるためのブレード昇降機構226を設けているが、搬送通路6に対してブレード昇降機構を取り付けても良い。この場合には、切削装置にブレード昇降機構を設ける場合等に比べて搬送システムの汎用性が高くなる。また、例えば、切削装置204の構成要素を切削装置404等に組み合わせることもできる。
また、搬送通路6は、2台の無人被加工物搬送車10等が行き違うためのスペース(待機領域)を有していても良い。更に、搬送通路6は、無人被加工物搬送車10等の一方向への走行のみを許容する、いわゆる一方通行に設定されても良い。この場合には、切削装置(加工装置)の上に、往路用の搬送通路6と、復路用の搬送通路6とを設けても良い。
また、上記実施形態では、識別コードや無線タグ等の情報提供部102bを通路部102に設けているが、情報提供部をガイド部104に対して取り付けることもできる。この場合には、例えば、ガイド部104の内側の壁面や上端部等に情報提供部を取り付けると良い。
その他、上記実施形態や変形例等に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。