JP2022018994A - 積層体およびカーボンナノチューブ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】彩度と陰影性に優れた積層体およびその製造方法の提供。【解決手段】少なくとも第一層1と第二層2の二層を有する積層体10であって、第一層1、第二層2の一方または両方に光輝性顔料を含有し、第一層1は着色顔料を含有し、第二層2はカーボンナノチューブを含有し、第一層1上に形成され、積層された面の垂直方向に対して45°の角度で入射した光の正反射光からのオフセット角15°のJIS Z8729で規定されるL*a*b*表色系のL*が30.0以上である積層体10。【選択図】図1

Description

本発明は、陰影性に優れた意匠性の高い積層体およびカーボンナノチューブ樹脂組成物に関する。
自動車車体などの高い意匠性が必要とされる分野においては、光輝性顔料を含有する光輝性塗料を用いた塗膜が必要とされており、高い陰影性を有すること等の高品質な外観が要望されている。
陰影性とは、見る角度によって明度が変化する現象(角度依存性)の一種であり、角度依存によって深み感を感じる現象である。一般に、角度依存性を発現させる方法としては、例えば、平板状の金属片を含む光輝性顔料を塗膜に含有させる方法が挙げられる。塗膜に含有させた平板状の金属片は、塗膜表面にほぼ平行に配列しており、この塗膜中の金属片により塗膜に入射した光は反射する。その反射の際、入射の角度によって光の位相がずれ、そして、位相のずれた光同士が干渉しあうため、出射する光の光量が変化する。ここで、光の入射角、出射角は塗膜を見る角度によって決まることから、塗膜を見る角度によって目に到達する光量が変化する。このように、目に到達する光量が変化すると、塗膜の色調が変化して観察される。特に、塗膜が着色された場合には、光量によって色相が変化して観察されることがあり、色相によっては陰影性が意匠性に大きく影響する場合がある。
近年、自動車用塗膜として、光輝材を含んだ塗膜(メタリックベース塗膜)上に着色顔料を含んだ透明性の塗膜(カラークリヤー塗膜)を積層した高彩度、高明度および色の深み感に優れた意匠性の高い複層塗膜が知られている。これら意匠性の発現は、光輝材を含んだメタリックベース層による光反射効果とカラークリヤー層による着色効果の相乗効果によるものと考えられている。
特許文献1では、光輝材を含んだメタリックベース層の明度L*値と、カラークリヤー層の透過率とを特定の範囲に設定することにより、鮮やかさと深み感に優れた複層塗膜が得られるとしている。
しかしながら、この複層塗膜は、メタリックベース塗膜とカラークリヤー塗膜に同じ色を使用しているため、鮮やかさはあるものの深み感は十分ではない。
また、特許文献2では、メタリックベース層に黒色顔料を用い、カラークリヤー層にカーボンナノチューブを用いることにより高漆黒積層体が得られるとしている。この場合、メタリックベース層が黒色塗膜であるため、陰影性の効果はみられない。
特開2007-167720号公報 特開2017-030322号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、鮮やかさ(彩度)と陰影性に優れた意匠性の高い積層体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも第一層と第二層の二層を有する積層体であって、第一層、第二層の一方または両方に光輝性顔料を含有し、第一層は着色顔料を含有し、第二層はカーボンナノチューブを含有し、第一層上に形成され、積層された面の垂直方向に対して45°の角度で入射した光の正反射光からのオフセット角15°のJIS Z8729で規定されるL***表色系のL*が30.0以上であることを特徴とする積層体に関する。
また、本発明は、第二層に含有するカーボンナノチューブの短軸側の外径が1~9nmであり、かつ長軸側の長さが5~500μmであることを特徴とする前記積層体に関する。
また、本発明は、第二層の透過率が70~95%であることを特徴とする前記積層体に関する。
また、本発明は、第二層がウエットコートにより形成された層であることを特徴とする前記積層体に関する。
また、本発明は、第二層の膜厚が0.5μm以上20μm以下であることを特徴とする前記積層体に関する。
また、本発明は、第一層がウエットコートにより形成された層であることを特徴とする前記積層体に関する。
また、本発明は、前記積層体の第二層を形成するためのカーボンナノチューブ樹脂組成物に関する。
本発明によれば、陰影性に優れた意匠性の高い積層体およびその製造方法を得ることができる。
図1は、実施形態の積層体の構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳しく説明する。下記の「樹脂組成物」とは、第一層、第二層をそれぞれ形成するための塗料であり、第一層を形成するための樹脂組成物を「第一層形成用樹脂組成物」、第二層を形成するための樹脂組成物を「第二層形成用樹脂組成物」という。また、「層」とは樹脂組成物により形成される、成形体または塗膜である。
<第一層形成用樹脂組成物>
第一層形成用樹脂組成物は、着色顔料と層を形成する役割を担う樹脂とを必須成分とし、必要に応じて光輝性顔料、ワックス、溶媒を含むことができる。但し、光輝性顔料は第一層形成用樹脂組成物、第二層形成用樹脂組成物の一方または両方に含まなければならない。更に、必要に応じて分散剤等の添加剤を加えてもよい。第一層形成用樹脂組成物の作製方法は特に限定されないが、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、バスケットミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、フーバーマーラー、3本ロールミル、エクストルーダー(二軸押出し機)、ヘンシェルミキサー等を使用して分散処理を行うことが好ましい。
また、第一層形成用樹脂組成物を得るために高速攪拌機を使用することもできる。高速攪拌機としては、ホモディスパー(PRIMIX社製)、フィルミックス(PRIMIX社製)、ディゾルバー(井上製作所社製)、ハイパーHS(アシザワ・ファインテック社製)が例示できる。
着色顔料は、塗料、錆止め塗料、プラスチック、合成繊維、ゴム製品などに着色するために用いられる顔料であり、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、黄色酸化鉄等の無機着色顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、アゾオレンジ、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、アゾイエロー、インダスロンブルー、ペリレンレッド、アゾレッド、アントラキノンレッド、キナクリドンレッド、ジケトピロロピロール等の有機着色顔料が挙げられる。これら着色顔料を単独使用又は2種以上を併用することができる。
第一層形成用樹脂組成物に用いる必須成分である樹脂は、通常、塗料のバインダー樹脂として用いられるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物、などが挙げられる。前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、珪素樹脂などが挙げられる。前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。前記樹脂は、ホモポリマーとして使用されてもよく、また、コポリマーとして使用して複合系樹脂として用いてもよく、単相構造型、コアシェル型、及びパワーフィード型エマルジョンのいずれのものも使用できる。
このような樹脂の具体例として、例えばアクリル樹脂として、DIC株式会社;(商品名“アクリディック”(登録商標)シリーズなど)、大成ファインケミカル株式会社;(商品名“アクリット”(登録商標)シリーズなど)、株式会社日本触媒;(商品名“アクリセット”(登録商標)シリーズなど)、三井化学株式会社;(商品名“タケラック”(登録商標)UAシリーズ)などを挙げることができる。また、ポリエステル樹脂として、DIC株式会社;(商品名“ポリライト”(登録商標)シリーズなど)、株式会社クラレ;(商品名“クラレポリオール”(登録商標)シリーズなど)、武田薬品工業株式会社;(商品名“タケラック”(登録商標)Uシリーズ)を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂としては、日本曹達株式会社;(商品名“NISSO-PB”(登録商標)Gシリーズなど)、出光興産株式会社;(商品名“Poly bd”(登録商標)シリーズ、“エポール”(登録商標)シリーズなど)を挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
本発明の第一層形成用樹脂組成物は、樹脂の官能基と反応しうる架橋剤としての役割を持つメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネ-ト化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等を用いることができる。架橋性官能基を含有する樹脂と架橋剤としての役割を持つ樹脂は併用することが望ましく、中でも、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及び尿素樹脂から選ばれる1種を用いることが好ましく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂及びメラミン樹脂から選ばれる1種を用いることがより好ましく、アクリル樹脂とメラミン樹脂とを併用することがより好ましい。
メラミン樹脂は、熱硬化性を有し硬化剤として作用することから、特に好ましく用いられる。アクリル樹脂は、当業者によってよく知られた重合性不飽和二重結合を有するモノマーを常法によって重合することにより得られるものが好ましい。上記重合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エタクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸及びフマル酸等のカルボン酸基含有モノマー、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性アクリルモノマー等の水酸基含有モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、スチレン、α-メチルスチレン、α-メチルスチレンダイマー、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー等を挙げることができる。また、重合には、当業者によってよく知られたラジカル重合開始剤等を用いることが好ましい。
メラミン樹脂の具体例としては、例えばサイメル300、303、325、327、350、370(三井サイテック(株)社製)、ニカラックMS15、MS17、MX430、MX650(三和ケミカル(株)社製)、スミマールM-55(住友化学(株)社製)、レジミン740、741(モンサント社製)などのメチルエーテル化メラミン樹脂;サイメル202、235、同238、254、272、1130(三井サイテック(株)社製)、ニカラックMX485、MX487(三和ケミカル(株)社製)、レジミン755(モンサント社製)などのメチルエーテル・ブチルエーテル混合エーテル化メラミン樹脂を挙げることができる。これらのメラミン樹脂は1種で又は2種以上の混合物として使用することができる。
ポリイソシアネート化合物としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビスフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
また、第一層形成用樹脂組成物を得るために、UV硬化性樹脂を使用できる。代表的なものとしては、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が使用できる。不飽和アクリル系化合物としては、アクリル系またはメタクリル系不飽和基を1ないし数個有するモノマー、オリゴマー或いはそれ等の混合物であって、プロピレン(またはブチレン、エチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の単量体または分子量10,000以下のオリゴエステルが例示される。具体的には、例えば特殊アクリレート(2官能)のアロニックスM-210,アロニックスM-215,アロニックスM-220,アロニックスM-233,アロニックスM-240,アロニックスM-245;(3官能)のアロニックスM-305,アロニックスM-309,アロニックスM-310,アロニックスM-315,アロニックスM-320,アロニックスM-325,および(多官能)のアロニックスM-400(東亜合成社製)などが例示できる。
第一層形成用樹脂組成物に用いる光輝性顔料は、パールのような光沢あるいは金属性の光沢をあたえる顔料の総称であり、例えばアルミニウムフレーク、金属酸化物被覆アルミナフレーク、金属酸化物被覆シリカフレーク、グラファイト顔料、金属酸化物被覆マイカ、チタンフレーク、ステンレスフレーク、板状酸化鉄顔料、金属メッキガラスフレーク、金属酸化物被覆ガラスフレーク、ホログラム顔料、フタロシアニンフレーク、パールなどが挙げられる。
フレーク状の光輝性顔料の平均粒子径は、通常、5~50μm程度が好ましく、5~30μm程度がより好ましい。平均厚みは、通常、0.1~2μmが好ましく、0.05~1.5μm程度がより好ましい。平均粒子径と平均厚みとの比(平均粒子径/平均厚み)は、通常、5~500程度が好ましく、20~300程度がより好ましい。
分散剤としては、界面活性剤または樹脂型分散剤を使用することができる。界面活性剤は主にアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性に分類され、要求特性に応じて好適な種類、配合量を選択して使用することができる。好ましくは、樹脂型分散剤である。これらの分散剤は特に限定されないが、好適な例として以下の化合物が例示できる。
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸スルホン酸塩、グリセロールボレート脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルなどが挙げられ、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などが挙げられる。
カチオン性活性剤としては、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類があり、具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4-アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)-ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩などが挙げられる。
ノニオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルアリルエーテルなどが挙げられ、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。
界面活性剤の選択に際しては1種類に限定されるものではなく、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤など、2種以上の界面活性剤を併用して使用することも可能である。その際の配合量は、それぞれの活性剤成分に対して前述した配合量とすることが好ましい。好ましくは、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の併用がよい。アニオン性界面活性剤としてはポリカルボン酸塩が好ましく、ノニオン性界面活性剤はポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましい。
樹脂型分散剤としては、ポリウレタン;ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル;不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤;(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物;ポリエステル系樹脂、変性ポリアクリレート系樹脂、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系樹脂等が挙げられる。樹脂型分散剤は単独または2種以上を混合して用いることができる。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸を意味する。
上記分散剤のうち、少量の添加量で分散組成物の粘度が低くなり、高い分光透過率を示すという理由から、ポリカルボン酸のような酸性官能基を有する樹脂型分散剤が好ましい。樹脂型分散剤は、顔料を分散させる補助的な役割を担うものであり、カーボンナノチューブに対して3~300質量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から5~100質量%程度使用することがより好ましい。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti-Terra-U、203、204、またはBYK-P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon-WSまたはBykumen等;日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等;BASFジャパン社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等;味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
第一層形成用樹脂組成物に用いるワックスは特に限定されないが、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、サゾールワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、シュラックワックス等が例示できる。ワックスは、1種または2種類以上が用いられる。これらの中でもポリエチレン系ワックスまたはポリプロピレン系ワックスがより好ましい。
第一層形成用樹脂組成物に必要に応じて用いる溶媒は特に限定されるものではなく、水、有機溶媒のいずれも用いることができる。
塗工時の作業性や硬化前後の乾燥性の観点から、沸点が50~250℃の有機溶媒が好ましい。具体的な溶媒の例としては、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;アセトン、ブチルジグリコールアセテート、MEKなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸エチル(EEP)等のエステル系溶媒;ジブチルエーテル、エチレングリコール、モノブチルエーテル等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、ソルベッソ150(東燃ゼネラル石油社製)などの芳香族系溶媒;およびN-メチル-2-ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒などを用いることができる。これらの溶媒は、単独あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
また、第一層形成用樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、濡れ浸透剤、皮張り防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、防腐剤、防カビ剤、粘度調整剤、pH調整剤、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲で適宜配合することができる。
<第一層>
第一層は第一層形成用樹脂組成物から形成された層であり、着色顔料と樹脂を含むものである。第一層をカラーベース層と呼ぶことがある。第一層の下層に基材層を設けてもよい。
上記着色顔料の含有量は、50%質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。この範囲であれば、優れた陰影性が得られる。
基材の材質は特に限定されるものではなく、鉄、アルミニウム、銅またはこれらの合金などの金属類;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネード樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類;FRP等のプラスチック材料、木材、繊維材料(紙、布等)等の天然または合成材料等が挙げられる。基材の形状は、例えば、フィルム、シートである。
第一層を形成する方法としては、用いる樹脂組成物の特性や層を形成する基材により、最適な方法を選択すればよく、加熱硬化、真空蒸着、EB蒸着、スパッタ蒸着などのドライ法;キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法;および射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法等の一般的な方法を挙げることができる。
第一層の膜厚は0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。さらに、50μm以下であることが好ましい。0.5μm以上ならば隠ぺい性が十分に得られる。50μm以下であれば、硬化スピード等の実用性に優れる。
<第二層形成用樹脂組成物>
第二層形成用樹脂組成物を得るには、カーボンナノチューブと樹脂を少なくとも用いる。必要に応じて光輝性顔料、溶媒を加えることができる。更に、必要に応じて分散剤等の添加剤を加えることができる。第二層形成用樹脂組成物の作製方法は特に限定されない。好適な作製方法として、前述した第一層形成用樹脂組成物と同様の方法が例示できる。
第二層形成用樹脂組成物に用いるカーボンナノチューブは、平面的なグラファイトを円筒状に巻いた形状を有している。カーボンナノチューブは、グラファイト層を1層巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2層またはそれ以上で巻いた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)或いはこれらが混在するものを用いることができる。コスト面や着色効果の面から多層カーボンナノチューブ(MWCNT)が好ましい。また、カーボンナノチューブの側壁がグラファイト構造ではなく、アモルファス構造をもったカーボンナノチューブでもよい。
カーボンナノチューブの形状は特に限定されないが、針状、円筒チューブ状、魚骨状(フィッシュボーン又はカップ積層型)、トランプ状(プレートレット)、コイル状の形態などが例示できる。カーボンナノチューブの例としては、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ、カーボンナノファイバーなどを挙げることができる。カーボンナノチューブは、1種または2種以上を組み合わせた形態において使用することができる。
本発明において好ましくは、魚骨状(フィッシュボーン、カップ積層型)、トランプ状(プレートレット)、コイル状以外のカーボンナノチューブを用いることが好ましい。魚骨状、トランプ状の場合は、樹脂組成物・成形体の製造時に発生するせん断応力により、カップ・トランプ状グラファイトシートの積層面(x-y面)においてカーボンナノチューブの切断が起こる。このため、カーボンナノチューブが樹脂中で充分なネットワーク構造を形成できず、光閉じ込め効果が減少して黒度の低下に繋がる恐れがある。コイル状の場合も同様に、製造時にその3次元構造が破壊されやすく、着色効果が低下する可能性がある。
カーボンナノチューブの短軸側の外径は、分散の容易さや色相の観点から、1~30nmが好ましく、1~10nmが好ましく、1~9nmがより好ましい。この範囲であれば優れた陰影性が得られる。尚、カーボンナノチューブの外径は、透過型電子顕微鏡(日本電子社製)によって、カーボンナノチューブの形態観察を行い、100本の短軸の長さを計測し、その数平均値をもってカーボンナノチューブの外径(nm)とした。
カーボンナノチューブの長軸側の長さは、分散の容易さや色相の観点から、0.1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。また、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。尚、カーボンナノチューブの長さは、透過型電子顕微鏡(日本電子社製 )によって、カーボンナノチューブの形態観察を行い、100本の長軸の長さを計測し、 その数平均値をもってカーボンナノチューブの長さ(μm)とした。
カーボンナノチューブの炭素純度は、カーボンナノチューブ100質量%中、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
カーボンナノチューブは、通常、二次粒子として存在している。この二次粒子形状は、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブが複雑に絡み合っている状態でもよく、ほぐれ易くカーボンナノチューブを直線状にしたものの集合体であってもよい。直線状のカーボンナノチューブの集合体である二次粒子は絡み合っているものと比べると分散性がよいので好ましい。
カーボンナノチューブは、表面処理を行ったものや、カルボキシル基などの官能基を付与させたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、有機化合物や金属原子、フラーレン等を内包させたカーボンナノナノチューブ等も用いることができる。
第二層形成用樹脂組成物に用いる光輝性顔料は、第一層形成用樹脂組成物に用いられる光輝性顔料と同様のものが挙げられる。
第二層形成用樹脂組成物に用いる樹脂は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で特に限定されないが、好適な例として第一層形成用樹脂組成物で例示した樹脂が挙げられる。
特に、例えば、取材として水酸基を含有するポリオール樹脂を、硬化剤としてイソシアネートを使用した2液クリア塗料(例えば、2液硬化型ウレタン塗料)が好ましい。得られるクリア塗膜の外観が良好で、耐酸性に優れたものとなるからである。上記主剤として使用されるポリオール樹脂および硬化剤として用いるイソシアネートは特に限定されないが、第一層形成用樹脂組成物の樹脂の説明で記載した化合物を例示できる。
第二層形成用樹脂組成物に用いる分散剤は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で特に限定されないが、好適な例として第一層形成用樹脂組成物で例示した化合物が挙げられる。
第二層形成用樹脂組成物に用いる溶媒は、特に限定されるものではなく、水、有機溶媒のいずれも用いることができる。有機溶媒としては第一層形成用樹脂組成物に用いられる有機溶媒と同様のものが例示できる。
第二層形成用樹脂組成物は、さらに必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤などを適宜添加でき、また着色顔料、メタリック顔料および雲母などの干渉模様顔料などを該塗膜の透明性が阻害されない程度に配合できる。
<第二層>
第二層は、第二層形成用樹脂組成物を使用して得た層であり、カーボンナノチューブを含有するものである。第二層をカラークリア層と呼ぶことがある。本発明の効果は第二層に含まれるカーボンナノチューブが配向することで陰影性を向上させると推察される。
第二層を第一層上に形成する方法としては、形成する物質により最適な方法を選択すればよく、加熱硬化、真空蒸着、EB蒸着、スパッタ蒸着などのドライ法、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等、一般的な方法を挙げることができる。また、第二層は製膜されたものをラミネートしてもよく、必ずしもこれらの層が密着していなくてもよい。
第二層の膜厚は0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。さらに、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。0.5μm以上であれば、第二層内のカーボンナノチューブが効率よく配向され優れた陰影性が得られる。50μm以下であれば、第二層で入射光を完全に隠蔽することなく、積層体としての効果が充分に得られる。
第二層のカーボンナノチューブの含有量は、0.01%以上1%以下が好ましく、0.01%以上0.5%以下が好ましく、0.01%以上0.1%以下がより好ましい。この範囲であれば彩度を阻害することなく、陰影性の高い積層体が得られる。
第二層の透過率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。また、98%以下が好ましく95%以下がより好ましい。この範囲であれば彩度を阻害することなく、陰影性の高い積層体得られる。
<積層体>
本発明の積層体は少なくとも第一層と第二層の二層から構成される。第一層と第二層との間には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において他の層が設けられていてもよい。また、第二層上には耐候性、耐久性保持の観点から透明保護層等が設けられることが好ましい。
自動車車体および自動車部品に積層体を適用する場合、積層体を形成する箇所に、予め化成処理、電着塗装等による下塗り塗装、中塗り塗装等を施しておくことが好ましい。この中塗り塗装は、下地の隠ぺい、耐チッピング性の付与および上塗りとなる第一層との密着性確保のために塗膜を形成するものである。
本発明の積層体の形成方法において、第一層を形成後であって加熱硬化する前に第二層を形成し、その後に塗膜を一括して加熱硬化させる方法(ウェットオンウェット法)、および第一層を形成後に加熱硬化し、次に第二層を形成して加熱硬化させる方法(ウェットオンドライ法)のどちらも適用可能である。
本発明の積層体は積層された面の垂線方向に対して45°の角度で入射した光の正反射光からのオフセット角15°のJIS Z8729で規定されるL***表色系のL*は30.0以上であり、45.0以上がより好ましい。この範囲であれば、陰影性の高い積層体となる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施例中で単に「%」と記載した場合は「質量%」を指すものとする。
<第一層形成用樹脂組成物の作製例>
(作製例1)
(第一層形成用樹脂組成物A-1)
赤色顔料(BASF社製、パリオゲンマルーンL3920)10.0g、樹脂としてアクリル樹脂(DIC社製、アクリディック57-773)133.3g、溶媒としてトルエン:キシレン:酢酸ブチル:東燃ゼネラル社製ソルベッソ150の質量比3:3:2:2の混合溶媒74.0gを加えて粗粒子が5μm以下となるように顔料分散し、ついで、硬化剤としてメラミン樹脂(DIC社製アミディアL-177-60)66.7g、光輝性顔料としてアルミペースト(東洋アルミニウム社製、アルペースト5422NS、アルミニウム含有量75%)8.0gを加えて均一になるまで卓上撹拌機で撹拌した。これを塗装粘度に調整して第一層形成用組成物A-1を得た。
(作製例2~4)
表1に示す顔料種に代えた以外は、作製例1と同様に調整して第一層形成用組成物A-2~A-4を得た。
Figure 2022018994000002

<第二層形成用樹脂組成物の作製例>
(作製例5)
カーボンナノチューブ(K-nanos 100T、Kumho Petrochemical社製)0.1g、樹脂としてアクリル樹脂(DIC社製、アクリディック57-773)133.3g、溶媒としてトルエン:キシレン:酢酸ブチル:東燃ゼネラル社製ソルベッソ150の質量比3:3:2:2の混合溶媒74.0gを加えて粗粒子が5μm以下となるように顔料分散し、ついで、硬化剤としてメラミン樹脂(DIC社製アミディアL-177-60)66.7g、光輝性顔料としてアルミペースト(東洋アルミニウム社製、アルペースト5422NS、アルミニウム含有量75%)8.0gを加えて均一になるまで卓上撹拌機で撹拌した。これを塗装粘度に調整して第二層形成用組成物B-1を得た。
(作製例6~13)
表2に示す顔料種とその添加量に代えた以外は、作製例5と同様に調整して第二層形成用組成物B-2~B-13を得た。
Figure 2022018994000003

なお、表1、表2に示した略号は以下を意味する。
・パリオゲンマルーンL3920:BASF社製、赤色顔料
・LIONOL BLUE FG7351:トーヨーカラー社製、青色顔料
・Hostaperm Violet RL-NF:クラリアント社製、紫色顔料
・K-nanos 100T:Kumho Petrochemical社製、カーボンナノチューブ、外径13nm、長さ30μm
・NC-7000:ナノシル社製、カーボンナノチューブ、外径9.5nm、長さ1.5μm
・JENOTUBE 8S:JEIO社製、カーボンナノチューブ、外径8nm、長さ150μm
・JENOTUBE 6A:JEIO社製、カーボンナノチューブ:外径6nm、長さ150μm
・FW200:デグサ社製、カーボンブラック、外径13nm
(積層体の作製)
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラー100、T60)を基材として、片面に第一層形成用塗料(A-1)を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗工後、電気オーブン中で140±5℃にて20分乾燥させ、基材上に第一層を作製した。第一層に、第二層形成用樹脂組成物(B-3)を乾燥後の膜厚が10μmとなるようにスプレーを用いてウエットコートし、得られた塗膜面を電気オーブン中で140±5℃にて20分乾燥させ、第一層上に第二層を形成させ、積層体(C-1)を作製した。
(実施例2~9、比較例1~10)
表3、表4に示す第一層形成用組成物と第二層形成用組成物に代えた以外は、実施例1と同様に調整して積層体C-2~C-9、比較積層体C-1~C-10を得た。
(第一層のL***の測定方法)
第一層形成用組成物をPETフィルムに乾燥後の膜厚が20μmになるようにスプレーを用いてウエットコートし、得られた塗膜面を電気オーブン中で140℃±5℃にて20分乾燥させた試験塗膜を、JIS Z8729で規定されるL***表色系の測定値に基づき、エックスライト社製多角度分光測色計MA68IIにて、積層された面の垂線方向に対して45°の角度で入射した光の正反射光からのオフセット角15°、110°の角度で測定し、測色値を得た。
(第二層の透過率評価)
第二層形成用組成物をPETフィルムに乾燥後の膜厚が10μmになるようにスプレーを用いてウエットコートし、得られた塗膜面を電気オーブン中で140℃±5℃にて20分乾燥させた試験塗膜を、PETフィルムをリファレンスとして、日本電色工業社製:ヘーズメーター(300A)で透過率を測定した。
(積層体のL***の測定方法)
積層体をJIS Z8729で規定されるL***表色系の測定値に基づき、エックスライト社製多角度分光測色計MA68IIにて、積層された面の垂線方向に対して45°の角度で入射した光の正反射光からのオフセット角15°、110°の角度で測定し、測色値を得た。
(陰影性評価)
上記で作成した第一層と積層体について、式(1)に基づいてFF値を求めた。
FF値=(15°のL*値)/(110°のL*値)・・・式(1)
その求められたFF値から、第二層を形成する前と形成した後のFF値の変化を定量化するために、式(2)に基づいてFF上昇率を算出し、下記判定基準で陰影性評価を行った。
FF上昇率(%)=((積層体のFF値)/(第一層のFF値)-1))×100 ・・・式(2)
判定基準
◎:50%以上
〇:35%以上50%未満
△:20%以上35%未満
×:20%未満
Figure 2022018994000004
Figure 2022018994000005
本発明の第二層にカーボンナノチューブを含有させた積層体は、比較例1、3、4、5、8,10のような第二層にカーボンブラックを含有させた積層体、比較例2、6、9のような第二層に第一層と同じ着色顔料を含有させた積層体、比較例7のような第二層に透明クリアを設けた積層体と比較して、陰影性が優れていることが示された。
本発明に係る積層体は、陰影性が高く、意匠性に優れるので、住宅・建材用途、自動車車体、自動車部材、電気・電子部品、雑貨、フィルム等に好適に使用できる。特に、高い意匠性が求められる外観部材として好適であり、車両用部材や家電製品部材、家具用部品、OA筐体用途、フィルム用途等に好適に用いられる。
1 第一層
2 第二層
3 基材
10 積層体


Claims (7)

  1. 少なくとも第一層と第二層の二層を有する積層体であって、第一層、第二層の一方または両方に光輝性顔料を含有し、第一層は着色顔料を含有し、第二層はカーボンナノチューブを含有し、第一層上に形成され、積層された面の垂直方向に対して45°の角度で入射した光の正反射光からのオフセット角15°のJIS Z8729で規定されるL***表色系のL*が30.0以上であることを特徴とする積層体。
  2. 第二層に含有するカーボンナノチューブの短軸側の外径が1~9nmであり、かつ長軸側の長さが5~500μmであることを特徴とする、請求項1記載の積層体。
  3. 第二層の透過率が70~95%であることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. 第二層がウエットコートにより形成された層であることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の積層体。
  5. 第二層の膜厚が0.5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1~4いずれか記載の積層体。
  6. 第一層がウエットコートにより形成された層であることを特徴とする請求項1~5いずれか記載の積層体。
  7. 請求項1~6いずれか記載の積層体の第二層を形成するためのカーボンナノチューブ樹脂組成物。

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