JP2022018689A - 水性ポリウレタン樹脂分散体及びその組成物 - Google Patents

水性ポリウレタン樹脂分散体及びその組成物 Download PDF

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Yoshinori Sugimura
健史 山田
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、水性ウレタン樹脂分散体の製造時及び使用時の作業環境をさらに改善させること、且つ耐水性及び分散性に優れた水性ウレタン樹脂分散体を提供することである。【解決手段】 ポリオール化合物(Aa)、ポリイソシアネート化合物(Ab)、酸性基含有ポリオール化合物(Ac)、中和剤(Ad)及び鎖延長剤(Ae)由来の構成単位を有し、有機溶媒(Af)及び水(Ag)を含む、水性ポリウレタン樹脂分散体であって、中和剤(Ad)の沸点が100℃以上150℃以下であり、有機溶媒(Af)中の各有機溶媒の沸点Tn(℃)と、有機溶媒(Af)全量に占める各有機溶媒の質量の割合Rn(質量%)との積の総和として式:[Σ(Tn×Rn/100)]で求められる、有機溶媒(Af)の平均沸点が150℃以上180℃以下である、水性ポリウレタン樹脂分散体。【選択図】 なし

Description

本発明は、有機溶媒及び水の混合媒体中にポリウレタン樹脂を分散させた水性ポリウレタン樹脂分散体及び水性ポリウレタン樹脂分散体組成物に関する。また、本発明は、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法及び当該分散体から製造されるフィルムに関する。
水性ポリウレタン樹脂分散体は、接着性、耐摩耗性、ゴム的性質を有する塗膜を得ることができ、従来の溶剤系ポリウレタンと比較して揮発性有機物を減少できることから環境対応材料として溶剤系ポリウレタンからの置き換えが進んでいる材料である。
この水性ポリウレタン樹脂分散体やその製造方法において、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等の有機溶媒を使用し、乾燥性や増粘性を保持できることが知られている。また、低沸点の中和剤としてアンモニアやトリエチルアミンを使用することも知られている(特許文献1、2参照)。
また、水中又は有機溶媒及び水の混合媒体中への分散性に優れ、且つ、高固形分化した際に粘度を低く抑えることができる水性ポリウレタン分散体として、中和剤として特定のジアルキルアミノメチロールアルカン化合物を使用した水性ポリウレタン樹脂分散体が知られている。(特許文献3参照)
特開2010-143946号公報 国際公開第2016/163394号 特開2018-62572号公報
コーティング剤用途、捺染用インク用途、フレキソ、グラビア等の印刷インキ用途で使用される水性ポリウレタン樹脂分散体において、省エネ、低コスト、環境負荷低減の観点から、低温及び短時間乾燥においても優れた塗膜物性(密着性、耐水性、耐油性、耐熱性など)を発現することが望まれている。
また、特許文献1や2等に記載の通り、中和剤としてアンモニアやトリエチルアミンを使用すると臭気を有するため、水性ポリウレタン樹脂分散体製造時及び使用時の作業環境にはさらなる改善が求められている。
さらに、特許文献3で使用されている高沸点中和剤を使用すると、密着性、耐水性、耐摩耗性などの塗膜物性を低下させることがある。
そこで、本発明の課題は、水性ウレタン樹脂分散体の製造時及び使用時の作業環境をさらに改善させること、且つ耐水性及び分散性に優れた水性ウレタン樹脂分散体を提供することである。
本発明者らは、特定の範囲の沸点を有する中和剤や有機溶媒を使用し、水性ポリウレタン樹脂分散体の構成単位を制御することで水性ウレタン樹脂分散体の臭気が低減され、水性ウレタン樹脂分散体の耐水性及び分散性を共に向上させることができることを見出し、本発明に至った。
本発明は、具体的には以下のとおりである。
1.ポリオール化合物(Aa)、ポリイソシアネート化合物(Ab)、酸性基含有ポリオール化合物(Ac)、中和剤(Ad)及び鎖延長剤(Ae)由来の構成単位を有し、有機溶媒(Af)及び水(Ag)を含む、水性ポリウレタン樹脂分散体であって、
中和剤(Ad)の沸点が100℃以上150℃以下であり、
有機溶媒(Af)中の各有機溶媒の沸点Tn(℃)と、有機溶媒(Af)全量に占める各有機溶媒の質量の割合Rn(質量%)との積の総和として式:[Σ(Tn×Rn/100)]で求められる、有機溶媒(Af)の平均沸点が150℃以上180℃以下である、
水性ポリウレタン樹脂分散体。
2.鎖延長剤(Ae)の融点が50℃以上である、前記1記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
3.鎖延長剤(Ae)が下記式(1)のピペラジン化合物又は下記式(2)のジヒドラジド化合物である、前記1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
Figure 2022018689000001
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素原子数1~4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基である。)
Figure 2022018689000002
(式中、Zは炭素原子数1~6の直鎖状又は分岐状アルキレン基である。)
4.ポリウレタン樹脂の酸価が18~35mgKOH/gである、前記1~3のいずれか1つに記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
5.ポリオール化合物(Aa)が、ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)を含む、前記1~4のいずれか1つに記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
6.ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)のポリオール成分が、直鎖状及び/又は分岐状の脂肪族ポリオールである、前記5に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
7.ポリオール化合物(Aa)は、ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)及び酸性基含有ポリオール(Ac)以外の、その他のポリオール化合物(Aa2)を含む、前記5又は6に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
8.有機溶媒がジアルキレングリコールジアルキルエーテルである、前記1~7のいずれか1つに記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
9.中和剤(Ad)が下記式(3)で示されるアミノアルコール化合物である、前記1~8のいずれか1つに記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
Figure 2022018689000003
(式中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1~4の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Zは炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。)
10.ポリイソシアネート化合物(Ab)が脂肪族ポリイソシアネート化合物及び/又は脂環式ポリイソシアネート化合物である、前記1~9のいずれか1つに記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
11.ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が50,000以上である、前記1~10のいずれか1つに記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
12.前記1~11のいずれか1つに記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含む、水性ポリウレタン樹脂分散体組成物。
13.アクリル樹脂エマルジョン、オレフィン樹脂エマルジョン及びポリエステル樹脂エマルジョンから選ばれる少なくとも1種をさらに含む、前記12記載に水性ポリウレタン樹脂分散体組成物。
14.塗料、コーティング剤又はインク用の、前記12又は13に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体組成物。
15.(I)ポリオール化合物(Aa)、ポリイソシアネート化合物(Ab)及び酸性基含有ポリオール(Ac)を、有機溶媒の存在下で反応させてポリウレタンプレポリマーを得る工程、
(II)前記ポリウレタンプレポリマーを水と混合する工程、
(III)前記ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和剤(Ad)で中和する工程、及び
(IV)前記ポリウレタンプレポリマーを鎖延長剤(Ae)で高分子量化する工程を含み、
前記工程(III)で使用する中和剤(Ad)の沸点が100℃以上150℃以下であり、
水性ポリウレタン樹脂分散体に含まれる有機溶媒(Af)中の各有機溶媒の沸点Tn(℃)と、有機溶媒(Af)全量に占める各有機溶媒の割合Rn(質量%)との積の総和として式:[Σ(Tn×Rn/100)]で求められる、有機溶媒(Af)の平均沸点が150℃以上180℃以下である、
前記1~11のいずれか1つに記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を製造する方法。
16.下記工程(V)をさらに含む、前記15に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を製造する方法。
(V)前記ポリウレタンプレポリマー又は前記水性ポリウレタン樹脂分散体と有機溶媒とを混合する工程。
17.前記1~11のいずれか1つに記載の水性ポリウレタン樹脂分散体から製造される、ポリウレタン樹脂フィルム。
本発明によれば、水性ウレタン樹脂分散体の製造時及び使用時の作業環境をさらに改善させること、且つ耐水性及び分散性を有する水性ウレタン樹脂分散体を提供することができる。
本発明の水性ウレタン樹脂分散体は、ポリオール化合物(Aa)、ポリイソシアネート化合物(Ab)、酸性基含有ポリオール(Ac)、中和剤(Ad)及び鎖延長剤(Ae)由来の構成単位を有し、有機溶媒(Af)及び水(Ag)を含む、水性ポリウレタン樹脂分散体であって、中和剤(Ad)の沸点が100℃以上150℃以下であり、有機溶媒(Af)中の各有機溶媒の沸点Tn(℃)と、有機溶媒(Af)全量に占める各有機溶媒の質量の割合Rn(質量%)との積の総和として式:[Σ(Tn×Rn/100)]で求められる、有機溶媒(Af)の平均沸点が150℃以上180℃以下である、水性ポリウレタン樹脂分散体である。なお、特に断り書きがない限り、沸点とは大気圧下での沸点を意味する。
印刷インク用途で使用された場合、前述の課題以外に、乾燥工程は、印刷しながら乾燥オーブンを基材が通る方式であるため、短時間で行う必要があり、特にプラスチックフィルムに印刷する場合には、フィルムの耐熱性に鑑み高温での乾燥を避けなければならないことから、乾燥不十分になることが多く、水分・溶媒がフィルム中に残留することがあり、塗膜物性が低下しやすいという問題がある。
また、高沸点中和剤を使用すると、低温及び短時間の乾燥において塗膜に残留してしまい、密着性、耐水性及び耐摩耗性などの塗膜物性を低下させることもある。
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体では、特定の範囲の沸点を有する中和剤や有機溶媒を使用し、その構成単位を制御することで、これらの課題も解決することができる。
<ポリオール化合物(Aa)>
本発明で使用するポリオール化合物(Aa)は、一分子中に2つ以上の水酸基を有する。このポリオール化合物(Aa)は、ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)を含むことが好ましく、任意成分として、その他のポリオール化合物(Aa2)を含んでいてもよい。
ポリオール化合物(Aa)がポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)や任意成分としてその他のポリオール化合物(Aa2)を含むことで、水性ウレタン樹脂の分散性を向上させることができる。
ポリオール化合物(Aa)は、ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)をポリオール化合物(Aa)の全量に対して30質量%以上含むことが好ましく、40質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましく、60質量%以上含むことがさらにより好ましい。ポリオール化合物(Aa1)の含有量の上限は特に制限されず、ポリオール化合物(Aa)の全量即ち100質量%を占めていてもよい。
ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)は、1種以上のポリオール成分と、炭酸エステル又はホスゲンとを反応させることにより得られる。安全性や試薬の取扱等の観点から製造が容易であること、末端塩素化物の副生成がない点から、1種以上のポリオールモノマーと、炭酸エステルとを反応させて得られるポリカーボネートポリオールが好ましい。
ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)のポリオール成分としては、公知のものを使用することができる。例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等の直鎖状脂肪族ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の分岐状脂肪族ジオールといった脂肪族ポリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコール;1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘプタンジオール、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ジオキサン、2,7-ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、1,4-ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン等の主鎖に脂環式構造を有するジオール;1,4-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,2-ベンゼンジメタノール、4,4’-ナフタレンジメタノール、3,4’-ナフタレンジメタノール等の芳香族ジオール;6-ヒドロキシカプロン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のヒドロキシカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオール;アジピン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のジカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールが挙げられ、脂環式ポリオール及び/又は脂肪族ポリオールが好ましく、脂肪族ポリオールがより好ましい。
脂環構造を含有するポリオール(例えば、脂環式ポリオール又は脂環式ポリオールと脂肪族ポリオールの組み合わせ)としては、1,6-ヘキサンジオール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールの組み合わせ、又は1,5-ペンタンジオール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールの組み合わせが好ましい。
脂肪族ポリオールとしては、直鎖状及び/又は分岐状の脂肪族ポリオールが好ましく、直鎖状又は分岐状の脂肪族ポリオールがより好ましい。直鎖状及び/又は分岐状の脂肪族ポリオールとしては、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール又は2-メチル-1,3-ペンタンジオールが好ましく、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の耐水性の観点から2-メチル-1,3-ペンタンジオールがより好ましい。
ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)のポリオール成分は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
炭酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の脂肪族炭酸エステル;ジフェニルカーボネート等の芳香族炭酸エステル;エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル等が挙げられる。その他に、ポリカーボネートポリオールを生成することができるホスゲン等も使用できる。中でも、ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)の製造のしやすさから、脂肪族炭酸エステルが好ましく、ジメチルカーボネートがより好ましい。
ポリオール化合物(Aa1)は、その分子中に、ポリカーボネートポリオールの特性を損なわない範囲で、1分子中の平均のカーボネート結合の数未満の数のエーテル結合やエステル結合を含有していてもよい。
ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)は、数平均分子量(Mn)が400~5,000であることが好ましい。Mnが400以上であると、ソフトセグメントとしての性能が良好で、塗膜を形成した場合に割れが発生し難い。Mnが5,000以下であると、ポリカーボネートポリオール化合物(Aa)とイソシアネート化合物(Ab)との反応性が低下することなく、ウレタンプレポリマーの製造工程に時間がかかったり、反応が充分に進行しなかったりするという問題や、ポリカーボネートポリオールの粘度が高くなり、取り扱いが困難になるという問題が生じない。ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)のMnは、500~3,500が好ましく、600~2,500がより好ましい。なお、本発明において、Mnは、水酸基価及びH-NMR若しくはアルカリ加水分解後のガスクロマトグラフィーによる組成物の定量値から算出した値である。
ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)の水酸基価は水性ウレタン樹脂の分散性の観点から、20~300mgKOH/gであることが好ましく、30~230mgKOH/gであることがより好ましく、45~200mgKOH/gであることがさらに好ましい。
ポリオール成分及び炭酸エステルからポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)を製造する方法としては、例えば、反応器中に炭酸エステルと、この炭酸エステルのモル数に対して過剰のモル数のポリオールとを加え、温度160~200℃、圧力50mmHg程度で5~6時間反応させた後、更に数mmHg以下の圧力において200~220℃で数時間反応させる方法が挙げられる。上記反応においては副生するアルコールを系外に抜き出しながら反応させることが好ましい。その際、炭酸エステルが副生するアルコールと共沸することにより系外へ抜け出る場合には、過剰量の炭酸エステルを加えてもよい。また、上記反応において、チタニウムテトラブトキシド等の触媒を使用してもよい。
<その他のポリオール化合物(Aa2)>
ポリオール化合物(Aa)は、ポリオール化合物(Aa1)及び後述する酸性基含有ポリオール(Ac)以外のその他のポリオール化合物(Aa2)を含有していてもよい。このような、その他のポリオール化合物(Aa2)は、ポリオール化合物(Aa)の全量に対し、70質量%未満の量で含まれていることが好ましく、60質量%未満の量で含まれていることがより好ましく、50質量%未満の量で含まれていることがさらに好ましく、40質量%未満の量で含まれていることがさらにより好ましい。水性ポリウレタン樹脂に求める物性に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のポリオール化合物(Aa2)の種類、量はともに当業者であれば適宜調整することができるが、その他のポリオール化合物(Aa2)は、ポリオール化合物(Aa)中に含まれていなくてもよい。
その他のポリオール化合物(Aa2)としては、公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステルポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドとブチレンオキシドとのランダム共重合体やブロック共重合体等のポリエーテルポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等の短鎖脂肪族ジオール;1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ハイドロキノン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン及びそれらのアルキレンオキシド付加体等のジオール等が挙げられる。水性ウレタン樹脂の分散性、及び、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の耐加水分解性の観点から、その他のポリオール化合物(Aa2)としてポリエーテルポリオールを使用することが好ましく、ポリテトラメチレングリコールを使用することがより好ましい。
上記のようなその他のポリオール化合物(Aa2)は、市販のものを用いてもよいし、個別に調製したものを用いてもよい。
<ポリイソシアネート化合物(Ab)>
ポリイソシアネート化合物(Ab)としては、公知のものを使用することができる。例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI又は水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-ジクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート化合物が挙げられる。ポリイソシアネート化合物(Ab)は、その構造の一部又は全部がイソシアヌレート化、カルボジイミド化、又はビウレット化など誘導化されていてもよい。
上記のポリイソシアネート化合物(Ab)の中でも、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の基材密着性を向上させる観点から、脂環式ポリイソシアネート化合物が好ましく、硬度と破断エネルギーの観点から、イソホロンジイソシアネート(IPDI)又は4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)がより好ましく、塗膜の耐ブロッキング性の観点から、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)がさらに好ましい。
ポリイソシアネート化合物(Ab)は、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物(Ab)の使用量は、ポリイソシアネート化合物(Ab)のイソシアネート基と全ポリオール(ポリオール化合物(Aa)と酸性基含有ポリオール(Ac)の合計)の水酸基との比(イソシアネート基/水酸基(モル比))が、1.2~2.0であることが好ましく、1.3~1.7であることがより好ましい。
<酸性基含有ポリオール(Ac)>
酸性基含有ポリオール(Ac)とは、一分子中に2個以上の水酸基及び1個以上の酸性基を含有するものである。酸性基含有ポリオール(Ac)は、一種類を単独で用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
酸性基含有ポリオール(Ac)としては、公知のものを使用することができる。例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸等のジメチロールアルカン酸;N,N-ビスヒドロキシエチルグリシン、N,N-ビスヒドロキシエチルアラニン、3,4-ジヒドロキシブタンスルホン酸、3,6-ジヒドロキシ-2-トルエンスルホン酸等が挙げられる。中でも入手の容易さの観点から、2個のメチロール基を含む炭素数4~12のジメチルロールアルカン酸が好ましく、ジメチロールアルカン酸の中でも、2,2-ジメチロールプロピオン酸がより好ましい。
水性ポリウレタン樹脂分散体において、ポリオール化合物(Aa)と、酸性基含有ポリオール(Ac)の合計の水酸基当量数は、40~3000であることが好ましい。水酸基当量数がこの範囲であれば、得られたポリウレタン樹脂を含むポリウレタン樹脂水性分散体の製造が容易である。得られるポリウレタン樹脂水性分散体から得られる塗膜の破断エネルギーの観点から、水酸基当量数は、50~1000であることが好ましく、100~500であることがより好ましく、200~400であることがさらに好ましい。
水酸基当量数は、以下の式(1)及び(2)で算出することができる。
各ポリオール成分の水酸基当量数=各ポリオール成分の分子量/各ポリオール成分の水酸基の数・・・(1)
ポリオール成分の合計の水酸基当量数=M/ポリオール成分の合計モル数・・・(2)
式(2)において、Mは、[〔ポリカーボネートポリオール成分の水酸基当量数×ポリカーボネートポリオール成分のモル数〕+〔酸性基含有ポリオールの水酸基当量数×酸性基含有ポリオールのモル数〕+〔その他のポリオールの水酸基当量数×その他のポリオールのモル数〕]を示す。
<中和剤(Ad)>
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体は、前記ポリウレタン樹脂中の酸性基を中和剤(Ad)で中和して水系媒体中に分散したものである。この中和剤(Ad)は、一種類を単独で用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
上記中和剤(Ad)としては、コーティング材料組成物中の有機溶媒及び水の混合媒体を乾燥する際の温度(通常は25~180℃)で揮発してポリウレタン皮膜から消失し、より一層優れた接着強度が得られる点から、その沸点は100℃以上150℃以下である。
さらに、中和剤の沸点は、水性ポリウレタン樹脂分散体の臭気及び水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の耐水性の観点から、110℃以上145℃以下であることが好ましく、120℃以上140℃以下であることがより好ましい。
中和剤(Ad)としては、具体的には下記式(3)で示されるアミノアルコール化合物が挙げられる。
Figure 2022018689000004
式中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1~4の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、水性ポリウレタン樹脂の分散性、及び、得られた水性ポリウレタン分散体の安定性の観点から、炭素原子数1~2のアルキル基であることが好ましい。
は炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、水性ポリウレタン樹脂の耐水性の観点から、炭素数1~4の直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
中和剤(Ad)としては、公知のものを使用することができる。例えば、2-(ジメチルアミノ)エタノール(沸点:135℃)、1-(ジメチルアミノ)エタノール(沸点:101℃)、1-(エチルメチルアミノ)メタノール(沸点:109℃)、1-(ジエチルアミノ)メタノール(沸点:130℃)、3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール(沸点:164℃)、2-(エチルメチルアミノ)エタノール(沸点:145℃)、2-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール(沸点:150℃)、3-(ジメチルアミノ)-2-ブタノール(沸点:145℃)、が挙げられる。さらに、水性ポリウレタン樹脂分散体の臭気及び耐水性の観点から、1-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジメチルアミノ)エタノール、1-(エチルメチルアミノ)メタノール、1-(ジエチルアミノ)メタノールが好ましく、2-(ジメチルアミノ)エタノールがより好ましい。
上記中和剤(Ad)を用いる場合の使用量としては、上記水性ポリウレタン樹脂分散体に含まれる上記酸性基のモル数に対して0.8~2.0倍の範囲であることが好ましい。前記中和剤(Ad)の使用量が上記水性ポリウレタン樹脂分散体に含まれる上記酸性基のモル数に対して0.8倍以上であると、得られる分散体の安定性が高く、2.0倍以下であると、80℃以下の低温且つ数秒間~数分間の短時間の乾燥条件で、耐水性及び耐摩耗性が高い塗膜を得ることができる。
<鎖延長剤(Ae)>
鎖延長剤(Ae)は、ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と反応性を有する化合物である。鎖延長剤(Ae)は、一種類を単独で用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
さらに、鎖延長剤(Ae)の融点が、50℃以上であり、水性ポリウレタン樹脂の分散性、水性ポリウレタン樹脂分散体を含む組成物から得られる塗膜の耐ブロッキングの観点から、80℃以上200℃以下であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
鎖延長剤(Ae)としては、公知のものを使用することができる。例えば、エチレンジアミン(融点:8℃)、1,4-テトラメチレンジアミン(融点:27℃)、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(融点:-7℃)、1,6-ヘキサメチレンジアミン(融点:42℃)、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン(融点:10℃)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(融点:-70度以下)、キシリレンジアミン(融点:14℃)等のアミン化合物;ピペラジン(融点:110℃)、2,5-ジメチルピペラジン(融点:116℃)等のピペラジン化合物;アジピン酸ジヒドラジド(融点:181℃)等のジヒドラジド化合物;水等が挙げられ、下記式(1)で示されるピペラジン化合物又は下記式(2)で示されるジヒドラジド化合物が好ましく、下記式(1)で示されるピペラジン化合物がより好ましい。
Figure 2022018689000005
式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子、又は炭素原子数1~4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、イソシアネート基との反応性や入手の容易さの観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。また、一種類のピペラジン化合物を単独で用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
Figure 2022018689000006
式中、Zは炭素原子数1~6の直鎖状又は分岐状アルキレン基であり、炭素数4~6の直鎖状アルキレン基であることが好ましい。また、一種類のジヒドラジド化合物を単独で用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
上記鎖延長剤(Ae)の数平均分子量(Mn)は300以下であることが好ましい。Mnが300以下であることは、ポリウレタン樹脂の凝集力を高くするために必要であり、ピペラジン化合物やジヒドラジド化合物を使用することは、ポリウレタン樹脂のMnを高くし、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の耐久性の観点からも好ましく、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の耐水性の観点からピペラジン化合物がさらに好ましい。
上記鎖延長剤(Ae)の添加量は、得られるウレタンポリマー中の鎖延長起点となるイソシアナト基の当量以下であることが好ましい。イソシアナト基の当量を超えて鎖延長剤(Ae)を添加した場合には、鎖延長されたウレタンポリマーの分子量が低下することで凝集力が低下することがあり、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の耐久性が低くなる可能性がある。
<有機溶媒(Af)>
水性ポリウレタン樹脂分散体は、ポリウレタン樹脂、有機溶媒(Af)及び水(Ag)を含み、ポリウレタン樹脂が有機溶媒(Af)及び水(Ag)の混合媒体中に分散している。
有機溶媒(Af)の平均沸点は、150℃以上180℃以下である。当該平均沸点は165℃以上175℃以下であることが好ましい。この範囲とすることで、80℃以下の低温且つ数秒間~数分間の短時間の乾燥条件で、耐水性及び耐摩耗性が高い塗膜を得ることができる。
有機溶媒(Af)の平均沸点とは、有機溶媒(Af)中の各有機溶媒の沸点Tn(℃)と、有機溶媒(Af)に占める各有機溶媒の質量の割合Rn(質量%)との積の総和として式:[Σ(Tn×Rn/100)]で求められる。
例えば、有機溶媒が2種類あり、溶媒の沸点及び質量が、それぞれ1種目の有機溶媒:Ta(℃)、Ma(g)、2種目の有機溶媒:Tb(℃)、Mb(g)であるとすると、
有機溶媒の平均沸点(℃)=Ta×Ma/(Ma+Mb)+Tb×Mb/(Ma+Mb)
と計算することができる。
有機溶媒(Af)としては、ポリウレタン樹脂を水中に分散させる観点から、親水性有機溶媒であることが好ましく、具体的には、アセトン(沸点:56℃)、エチルメチルケトン(沸点:80℃)などのケトン類;N-メチルピロリドン(沸点:202℃)、N-エチルピロリドン(沸点:218℃)などのピロリドン類;ジエチルエーテル(沸点:35℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)(沸点:175℃)、ジブチルジグリコール(沸点:255℃)などのエーテル類;メタノール(沸点:65℃)、エタノール(沸点:78℃)、n-プロパノール(沸点:97℃)、イソプロパノール(沸点:83℃)、エチレングリコール(沸点:197℃)、ジエチレングリコール(沸点:244℃)などのアルコール類;3-メトキシ-N、N-ジメチルアミド(沸点:216℃)などのアミド類が挙げられ、アルコール類又はエーテル類を使用することが好ましく、エーテル類を使用することがより好ましい。
アルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジアルキレングリコール類が好ましい。このエーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点:212℃)、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル(沸点:210℃)等のジアルキレングリコールジアルキルエーテルが好ましく、入手容易性や溶媒の粘度の観点から、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:175℃)がより好ましい。
水性ポリウレタン樹脂分散体中の有機溶媒(Af)の量は、ポリウレタン樹脂の分散性及び造膜性向上の観点から、1~20質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましく、1~10質量%であることがさらに好ましい。
ポリオール化合物(Aa)、ポリイソシアネート化合物(Ab)及び酸性基含有ポリオール(Ac)から得られるポリウレタンプレポリマーと鎖延長剤(Ae)の総質量に対する有機溶媒(Af)の量としては、分散安定性、貯蔵安定性、製造及び使用作業における容易性及び防火性、並びに水性ポリウレタン樹脂分散体の増粘性及び乾燥性をよりよくする観点から、1~30質量%が好ましく、3~30重量%であることがより好ましく、5~25質量%であることがさらに好ましい。
<水(Ag)>
水性ポリウレタン樹脂分散体は、ポリウレタン樹脂、有機溶媒(Af)及び水(Ag)を含み、ポリウレタン樹脂が有機溶媒(Af)及び水(Ag)の混合媒体中に分散している。
水性ポリウレタン樹脂分散体中の水(Ag)の量は、40~90質量%であることが好ましく、50~80質量%であることがより好ましく、55~70質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(Af)と水(Ag)との質量比(有機溶媒(Af)/水(Ag))が、ポリウレタン樹脂の分散性、及び、造膜性向上の観点から、0.01~0.5であることが好ましく、0.03~0.4であることがより好ましく、0.05~0.25であることがさらに好ましい。
<ポリウレタン樹脂>
本発明におけるポリウレタン樹脂は、ポリオール化合物(Aa)、ポリイソシアネート化合物(Ab)、酸性基含有ポリオール(Ac)、中和剤(Ad)及び鎖延長剤(Ae)由来の構成単位を有する。本発明のポリウレタン樹脂は、好ましくは、以下のような特徴を有するものである。
(NCO/OH)
本発明において、水性ポリウレタン樹脂分散体中の、ポリオール化合物(Aa)及び酸性基含有ポリオール(Ac)が有する水酸基(OH)と、ポリイソシアネート化合物(Ab)が有するイソシアナト基(NCO)のモル比率であるNCO/OHが1.1~5であることが好ましく、1.15~3であることがより好ましく、1.2~2であることがさらに好ましく、1.3~1.7であることがさらにより好ましい。NCO/OHの値がこのような範囲であるとき、塗膜の耐水性が向上する傾向がある。
(脂環構造)
水性ポリウレタン樹脂分散体に含まれるポリウレタン樹脂には、基材への密着性の観点から、脂環構造が含まれていることが好ましい。脂環構造は、脂肪族の環構造であればその環員数に制限はない。原料としての入手が容易であることから、6員環(シクロヘキシレン基)が含まれるように設計することが好ましい。脂環構造は、ポリウレタンの原料の何れに由来していてもよいが、ポリイソシアネート化合物(Ab)に由来しているものであることが好ましい。脂環構造を有する構成単位の例としては、ポリオール化合物(Aa)として、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の主鎖に脂環式構造を有するジオール又はこれから得られるポリカーボネートポリオール(Aa1)、ポリイソシアネート化合物(Ab)として水素添加MDI等が挙げられる。脂環構造の含有割合は、これら各構成単位に含まれる脂環構造全体に基づいて算出される。
ポリウレタン樹脂に含まれる脂環構造の含有割合は、固形分基準で20~40質量%であることが好ましく、25~38質量%であることがより好ましい。脂環構造の含有割合が20質量%未満であると、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜のべたつきが顕著となり、脂環構造の含有割合が40質量%を超えると、分散性が悪化する傾向がある。脂環構造の含有割合の計算方法は、水性ポリウレタン樹脂分散体の各原料の仕込み割合から算出される。
(pH)
水性ポリウレタン樹脂分散体のpHは、5.0~10.0であることが好ましく、6.0~9.5であることがより好ましく、6.5~9.0であることがさらに好ましい。
(重量平均分子量)
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、低温乾燥塗膜の耐久性の観点から、50,000以上であることが好ましく、100,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量を50,000以上とすることで、塗膜がより優れた耐久性を示すことができる。
(樹脂の割合)
水性ポリウレタン樹脂分散体中におけるポリウレタン樹脂の割合は、5~60質量%であることが好ましく、20~50質量%であることがより好ましい。
(酸価)
前記ポリウレタン樹脂の酸価は、ポリウレタン樹脂の分散性及び水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の耐水性の観点から、固形分基準で18~35mgKOH/gであり、19~32mgKOH/gであることが好ましく、20~29mgKOH/gであることがさらに好ましい。前記ポリウレタン樹脂の酸価が固形分基準で35mgKOH/gより大きくなると、水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の耐水性が悪くなる傾向がある。酸価が固形分基準で18mgKOH/gより小さくなると、ポリウレタン樹脂の分散性が低下する傾向にある。
酸価は、JIS K 1557の指示薬滴定法に準拠して測定することができる。測定においては、酸性基を中和するために使用した中和剤を取り除いて測定することとする。例えば、有機アミン類を中和剤として用いた場合には、水性ポリウレタン樹脂分散体をガラス板上に塗布し、温度60℃、20mmHgの減圧下で24時間乾燥して得られた塗膜をN-メチルピロリドン(NMP)に溶解させて、JIS K 1557の指示薬滴定法に準拠して酸価を測定することができる。
<水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法>
国際公開第2016/039396号、国際公開第2016/163394号等に記載の公知の方法により、水性ポリウレタン樹脂分散体を製造することができる。例えば、以下のような製造方法が挙げられる。
第1の製造方法は、原料を全て混合し、反応させて、水中又は有機溶媒及び水の混合媒体中に分散させることにより水性ポリウレタン樹脂分散体を得る方法である。
第2の製造方法は、全ポリオール成分とポリイソシアネートとを反応させて、プレポリマーを製造し、前記プレポリマーの酸性基を中和した後、水中又は有機溶媒及び水の混合媒体中に分散させ、鎖延長剤を反応させることにより水性ポリウレタン樹脂分散体を得る方法である。
水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法としては、分子量の制御が行いやすいため、上記の第2の製造方法が好ましい。
特に、本発明においては、以下の(I)~(IV)を含む方法により水性ポリウレタン樹脂分散体を製造することができる。
(I)ポリオール化合物(Aa)、ポリイソシアネート化合物(Ab)及び酸性基含有ポリオール(Ac)を、有機溶媒の存在下で反応させてポリウレタンプレポリマーを得る工程、
(II)前記ポリウレタンプレポリマーを水と混合する工程、
(III)前記ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和剤(Ad)で中和する工程、及び
(IV)前記ポリウレタンプレポリマーを鎖延長剤(Ae)で高分子量化する工程。
さらに、本発明の製造方法は、前記(I)~(IV)に加えて、工程(V)を含んでいてもよい。
(V)前記ポリウレタンプレポリマー又は前記水性ポリウレタン樹脂分散体と有機溶媒とを混合する工程。
この工程(V)は、工程(I)で使用した有機溶媒の平均沸点が150℃以上180℃以下ではない場合に、さらに有機溶媒と前記ポリウレタンプレポリマー又は前記水性ポリウレタン樹脂分散体とを混合して、混合後の有機溶媒の平均沸点が150℃以上180℃以下となるように調整するために行う。
また、工程(I)で使用した有機溶媒の平均沸点が150℃以上180℃以下である場合であっても、分散安定性、貯蔵安定性、製造及び使用作業における容易性及び防火性、並びに水性ポリウレタン樹脂分散体の増粘性及び乾燥性をよりよくする観点から、前記工程(V)を行ってもよい。
したがって、本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体中の有機溶媒(Af)の平均沸点が150℃以上180℃以下であれば、工程(V)は行わなくてもよいことがある。
また、前記有機溶媒の平均沸点は工程(I)で使用する有機溶媒だけでなく、工程(V)で使用する有機溶媒も含めて計算される。
なお、本製造方法において、使用する中和剤(Ad)の沸点及び有機溶媒(Af)の平均沸点は前記と同じである。
<組成物>
本発明の水性ポリウレタン樹脂分散体組成物は、前記水性ポリウレタン樹脂分散体を含有し、塗料、コーティング剤又はインク用に使用することができる。前記組成物が、塗料、コーティング剤又はインク用に使用されるとき、それぞれ塗料組成物、コーティング剤組成物又はインク組成物という。
本発明の組成物には、上記水性ポリウレタン樹脂分散体以外にも、他の樹脂を添加することもできる。他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられ、中でもポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂を添加することが好ましく、アクリル樹脂エマルジョン、オレフィン樹脂エマルジョン及びポリエステル樹脂エマルジョンから選ばれる少なくとも1種を添加することがより好ましく、アクリル樹脂エマルジョンを添加することがさらに好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。他の樹脂は、1種以上の親水性基を有することが好ましい。親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基等が挙げられる。
なお、エマルジョンとは、水中又は有機溶媒及び水の混合媒体中に樹脂が分散された状態を示す。
ポリエステル樹脂は、通常、酸成分とアルコ-ル成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を使用することができる。
ポリエステル樹脂の水酸基価は、1~80mgKOH/gが好ましく、5~60mgKOH/gがより好ましく、10~30mgKOH/gがさらに好ましい。前記ポリエステル樹脂の酸価は、1~100mgKOH/gが好ましく、5~50mgKOH/gがより好ましく、10~40mgKOH/gがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、3,000~50,000が好ましく、5,000~20,000がより好ましい。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸を含む繰り返し単位からなるポリマーを含む。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。
アクリル樹脂エマルジョンの市販品としては、例えば、高圧ガス工業株式会社製:ペガール(登録商標)862(Tg:-10℃)、865(Tg:-12℃)、751(Tg:25℃)、LC6154(Tg:64℃)、昭和電工株式会社製:ポリゾール(登録商標)AP-3900(Tg:10℃)、AP-1020(Tg:23℃)、AP-4735、TI-3052、SE-4210E(Tg:-50℃)、日本カーバイド工業株式会社製:ニカゾール(登録商標)FX5697H(Tg:-60℃)、FX3750(Tg:-30℃)、FX2138(Tg:-17℃)、FX2555(Tg:-17℃)、FX2033(Tg:8℃)、FX2018(Tg:27℃)、FX672K(Tg:53℃)、ダイソーケミカル株式会社製:パラボンドLX-5(Tg:-40℃)、G-60(Tg:-30℃)、LX-2(Tg:-30℃)、東亞合成株式会社製:アロン(登録商標)NW-400(Tg:-41℃)が挙げられる。
アクリル樹脂のTg(ガラス転移温度)は、-80℃~60℃であることが好ましく、-55℃~0℃であることがより好ましく、-40℃~-20℃であることがさらに好ましい。アクリル樹脂のTgが60℃以下であると、密着性がより優れる。アクリル樹脂のTgが-80℃以上であると、耐薬品性がより優れる。
アクリル樹脂エマルジョンは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、オレフィン系モノマーを適宜他のモノマーと通常の重合法に従って重合又は共重合することにより得られるポリオレフィン樹脂を、乳化剤を用いて水分散するか、あるいはオレフィン系モノマーを適宜他のモノマーと共に乳化重合することにより得られる樹脂が挙げられる。また、場合により、前記のポリオレフィン樹脂が塩素化されたいわゆる塩素化ポリオレフィン変性樹脂を用いてもよい。
オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-デセン、1-ドデセン等のα-オレフィン;ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、スチレン類等の共役ジエン又は非共役ジエンが挙げられ、これらのモノマーは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸が挙げられ、これらのモノマーは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物は、硬化剤を含むことができ、これにより、塗料組成物又はコーティング剤組成物を用いて得られる塗膜又は複層塗膜、コーティング膜や印刷物の耐水性等を向上させることができる。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、着色顔料や体質顔料、光輝性顔料を添加することができる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。これらは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。特に、着色顔料として、酸化チタン及び/又はカーボンブラックを使用することが好ましい。
体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトが挙げられる。これらは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。特に、体質顔料として、硫酸バリウム及び/又はタルクを使用することが好ましく、硫酸バリウムを使用することがより好ましい。
光輝性顔料は、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を使用することができる。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、必要に応じて、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の添加剤を含有することができる。これらは、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物の製造方法は、特に制限されないが、公知の製造方法を用いることができる。一般的には、塗料組成物及びコーティング剤組成物は、前記水性ポリウレタン樹脂分散体と前記各種添加剤を混合し、更に有機溶媒及び水を添加し、適用方法に応じた粘度に調整することにより製造される。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物は有機溶媒を含むこともあるが、有機溶媒の含有量を低減し、主として有機溶媒及び水の混合媒体に分散させて使用することができる。これは、環境保全、安全性、省資源等の観点から、利点がある。
塗料組成物の被塗装材質、コーティング剤組成物の被コーティング材質又はインク組成物の被適用材質としては、金属、プラスチック、無機物、木材等が挙げられる。
塗料組成物の塗装方法又はコーティング剤組成物のコーティング方法としては、例えば、ベル塗装、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装が挙げられる。インク組成物の適用方法としては、例えば、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、反転オフセット印刷方法、枚葉スクリーン印刷方法、ロータリースクリーン印刷方法が挙げられる。水性インキ組成物の乾燥工程では、印刷しながら乾燥オーブンを基材が通る方式であり、短時間で行う必要があるが、特にプラスチックフィルムに印刷する場合には、フィルムの耐熱性に鑑み高温での乾燥を避けなければならない。水性フレキソ印刷においては、40~80℃の低温乾燥で1~300秒の範囲で処理する事が一般的である。
硬化後の塗膜の厚さは、特に制限されないが、1~100μmとすることが好ましく、1~50μmとすることがより好ましい。
<ポリウレタン樹脂フィルム>
本発明のポリウレタン樹脂フィルムは、前記水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる。
水性ポリウレタン樹脂分散体を離形性基材に適用し、加熱等の手段により乾燥、硬化させ、続いてポリウレタン樹脂の硬化物を離形性基材から剥離させることで、ポリウレタン樹脂フィルムが得られる。
前記加熱方法としては、自己の反応熱による加熱方法と、前記反応熱と型の積極加熱とを併用する加熱方法等が挙げられる。型の積極加熱は、型ごと熱風オーブンや電気炉、赤外線誘導加熱炉に入れて加熱する方法が挙げられる。
前記加熱温度は、40~200℃であることが好ましく、60~160℃であることがより好ましい。このような温度で加熱することにより、より効率的に乾燥を行うことができる。前記加熱時間は、0.0001~20時間が好ましく、1~10時間であることがより好ましい。このような加熱時間とすることにより、より硬度の高いポリウレタン樹脂フィルムを得ることができる。ポリウレタン樹脂フィルムを得るための乾燥条件は、例えば、120℃で3~10秒での加熱が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[水性ポリウレタン樹脂分散体の合成]
(実施例S1;水性ポリウレタン樹脂分散体Aの合成)
反応容器に、ETERNACOLL UM90(1/3)(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量894;水酸基価125.5mgKOH/g;1,4-シクロヘキサンジメタノール及び1,6-ヘキサンジオール(モル比で1:3)と炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)(Aa1)320.1g(0.358mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸(Ac)48.8g(0.364mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(Ab)312.8g(1.193mol)及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)(Af)233.0gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら78~84℃で4.5時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物301.6gを取り出し、水554gと2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)(Ad)12.5g(0.140mol)との混合液中に加え、強撹拌した。
その後、得られた反応混合物に35%2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(MPMD)(Ae)水溶液43.3g(0.130mol)を加えて更に反応させ、水性ポリウレタン樹脂分散体Aを得た。凝集物は観測されなかった。
(実施例S2;水性ポリウレタン樹脂分散体Bの合成)
反応容器に、ETERNACOLL UH100(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量999;水酸基価112.3mgKOH/g;1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)379.9g(0.380mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸49.6g(0.370mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート283.6g(1.081mol)及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)232.3gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら77~87℃で7時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物327.0gを取り出し、水640gと2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)17.0g(0.190mol)との混合液中に加え、強攪拌した。
その後、得られた反応混合物にアジピン酸ジヒドラジド(ADH)16.2g(0.093mol)を加えて更に反応させ、水性ポリウレタン樹脂分散体Bを得た。凝集物は観測されなかった。
(実施例S3;水性ポリウレタン樹脂分散体Cの合成)
反応容器に、ETERNACOLL UH100(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量999;水酸基価112.3mgKOH/g;1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)350.7g(0.351mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸61.8g(0.461mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート348.6g(1.329mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)236.6g及びテトラブトキシチタン0.5gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら78~90℃で5時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物326.4gを取り出し、水641gと2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)20.3g(0.228mol)との混合液中に加え、強攪拌した。
その後、得られた反応混合物にピペラジン11.9g(0.138mol)を加えて更に反応させ、水性ポリウレタン樹脂分散体Cを得た。凝集物は観測されなかった。
(実施例S4;水性ポリウレタン樹脂分散体Dの合成)
反応容器に、ETERNACOLL UH100(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量980;水酸基価114.5mgKOH/g;1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)380.3g(0.388mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸67.8g(0.505mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート382.5g(1.458mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)288.4g及びジブチルスズ(IV)ジラウレート0.1gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら80~90℃で5時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物392.8gを取り出し、水726gと22-ジメチルアミノエタノール(DMAE)23.8g(0.267mol)との混合液中に加え、強攪拌した。
その後、得られた反応混合物に35%2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(MPMD)水溶液57.7g(0.174mol)を加えて更に反応させ、分散した水性ポリウレタン樹脂分散体Dが得られた。一部凝集物が観測された。
(実施例S5;水性ポリウレタン樹脂分散体Eの合成)
反応容器に、ETERNACOLL UH100(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量980;水酸基価114.5mgKOH/g;1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)350.6g(0.358mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸84.6g(0.631mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート398.1g(1.517mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)250.4g及びテトラブトキシチタン0.1gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら80~90℃で5時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物389.2gを取り出し、水737gと2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)23.6g(0.265mol)との混合液中に加え、強攪拌した。
その後、得られた反応混合物に35%2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(MPMD)水溶液52.0g(0.157mol)を加えて更に反応させ、分散した水性ポリウレタン樹脂分散体Eが得られた。一部凝集物が観察された。
(実施例S6;水性ポリウレタン樹脂分散体Fの合成)
反応容器に、ETERNACOLL UH100(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量999;水酸基価112.3mgKOH/g;1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)422.1g(0.422mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸49.8g(0.371mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート302.2g(1.152mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)292.2g及びジブチルスズ(IV)ジラウレート0.7gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら80~90℃で7.5時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物348.2gを取り出し、水629gと2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)16.4g(0.184mol)との混合液中に加え、強攪拌した。
その後、ピペラジン7.76g(0.090mol)を加えて更に反応させ、水性ポリウレタン樹脂分散体Fを得た。凝集物は観測されなかった。
(実施例S7;水性ポリウレタン樹脂分散体Gの合成)
攪拌装置、温度計、及び加熱装置を備えた反応容器に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG、三菱化学製;数平均分子量650;水酸基価172.7mgKOH/g)(Aa2)60.2g(0.926mol)、ETERNACOLL UM90(1/3)(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量894;水酸基価125.5mgKOH/g;1,4-シクロヘキサンジメタノール及び1,6-ヘキサンジオール(モル比で1:3)と炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)180.5g(0.202mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸24.0g(0.179mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート175.8g(0.670mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)143.9g及びジブチルスズ(IV)ジラウレート0.4gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら78~90℃で6時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物332.4gを取り出し、強攪拌させた水642gと2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)13.8g(0.155mol)との混合液中に加えた。
その後、ピペラジン8.35g(0.097mol)を加えて更に反応させ、水性ポリウレタン樹脂分散体Gを得た。一部凝集物が観察された。
(実施例S8;水性ポリウレタン樹脂分散体Hの合成)
反応容器に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG、三菱化学製;数平均分子量650;水酸基価172.7mgKOH/g)59.7g(0.912mol)、ETERNACOLL UP100(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量972;水酸基価115.5mgKOH/g;2-メチル-1,3-プロパンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)179.8g(0.185mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸23.6g(0.176mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート167.6g(0.639mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)143.1g及びジブチルスズ(IV)ジラウレート0.3gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら83~90℃で6.5時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物335.9gを取り出し、水639gと2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)13.8g(0.155mol)との混合液中に加え、強攪拌した。
その後、得られた反応混合物にピペラジン7.91g(0.092mol)を加えて更に反応させ、水性ポリウレタン樹脂分散体Hを得た。凝集物は観測されなかった。
(実施例S9;水性ポリウレタン樹脂分散体Iの合成)
反応容器に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG、三菱化学製;数平均分子量650;水酸基価172.7mgKOH/g)37.2g(0.057mol)、ETERNACOLL UP100(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量972;水酸基価115.5mgKOH/g;2-メチル-1,3-プロパンジオールと炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)210.0g(0.216mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸22.1g(0.165mol)、イソホロンジイソシアネート137.3g(0.618mol)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)133.0g、及びジブチルスズ(IV)ジラウレート0.3gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら83~90℃で6.5時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物335.0gを取り出し、水640gと2-ジメチルアミノエタノール(DMAE)14.0g(0.157mol)との混合液中に加え、強攪拌した。
その後、得られた反応混合物にピペラジン8.22g(0.095mol)を加えて更に反応させ、水性ポリウレタン樹脂分散体Iを得た。凝集物は観測されなかった。
(比較例S1;水性ポリウレタン樹脂分散体Jの合成)
反応容器に、ETERNACOLL UM90(1/3)(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量873;水酸基価128.5mgKOH/g;1,4-シクロヘキサンジメタノール及び1,6-ヘキサンジオール(モル比で1:3)と炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)822.9g(0.942mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸122.6g(0.914mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート800.0g(3.049mol)、及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)600.5gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら76~85℃で5時間反応させた。反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン92.5g(1.04mol)を添加・混合した。
次いで、得られた反応混合物2040gを取り出し、水2875gに加え、強攪拌した。
その後、得られた反応混合物に35%2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(MPMD)水溶液288.5g(0.869mol)を加えて更に反応させ、水性ポリウレタン樹脂分散体Jを得た。凝集物は観測されなかった。
(比較例S2;水性ポリウレタン樹脂分散体Kの合成)
反応容器に、ETERNACOLL UM90(1/3)(登録商標;宇部興産株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量894;水酸基価125.5mgKOH/g;1,4-シクロヘキサンジメタノール及び1,6-ヘキサンジオール(モル比で1:3)と炭酸ジメチルとを反応させて得られたポリカーボネートポリオール)500.0g(0.559mol)、2,2-ジメチロールプロピオン酸74.9g(0.558mol)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート492.4g(1.877mol)、及びジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM)365.4gを混合し、窒素雰囲気にて、攪拌しながら77~84℃で5.5時間反応させた。
次いで、得られた反応混合物376.1gを取り出し、水550gと2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-プロパノール(DMAMP)17.2g(0.147mol)との混合液中に加え、強攪拌した。
その後、得られた反応混合物に35%2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(MPMD)水溶液57.7g(0.174mol)を加えて更に反応させ、分散した水性ポリウレタン樹脂分散体Kが得られた。凝集物は観測されなかった。
以上の実施例及び比較例で得られた水性ポリウレタン樹脂分散体中のポリウレタン樹脂の酸価は、JIS K 1557の指示薬滴定法に準拠して測定した。
実施例S1~S9及び比較例S1、S2で使用した主な化合物及び酸価を表1に示す。
Figure 2022018689000007
表中の略語は下記の通りである。
H12MDI:4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
DMAE;2-(ジメチルアミノ)エタノール
DMAMP;2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-プロパノール
MPMD:2-メチル-1,5-ペンタンジアミン
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
[水性ポリウレタン樹脂分散体組成物の製造]
(実施例E1、E2及び比較例E1、E2)
実施例S1、S2又は比較例S1、S2で得られた水性ポリウレタン樹脂分散体をインク組成物総量に対して87質量%、顔料分散体(トーヨーカラー株式会社製、EMFピンク2B-1)5.2質量%、シリコン系界面活性剤(ビックケミー社製、BYK-345)0.6質量%及び追加の有機溶媒としてジプロピレングリコールジメチルエーテル(DMM、沸点175℃)7.2質量%となるように混合し、インク組成物を得た。使用した有機溶媒はジプロピレングリコールジメチルエーテルのみであるため、平均沸点は175℃である。
(比較例E3)
追加の有機溶媒としてN-メチルピロリドン(NMP、沸点202℃)を使用した以外は実施例E2と同様に行った。水性ポリウレタン樹脂分散体にはジプロピレングリコールジメチルエーテルが7.2質量%含まれ、追加したN-メチルピロリドンは7.2質量%であったことから、平均沸点は188.5℃であった。
(比較例E4)
追加の有機溶媒として3-メトキシ-N、N-ジメチルアミド(KJケミカル社製、KJCMPA(登録商標)-100、沸点216℃)を使用した以外は実施例E2と同様に行った。比較例3と同様に計算すると、平均沸点は195.5℃であった。
(実施例E3~E10)
実施例S2~実施例S9で得られた水性ポリウレタン樹脂分散体をインク組成物総量に対して45.5質量%、アクリル樹脂エマルジョン (高圧ガス工業株式会社製、ペガール865(登録商標))33.7質量%、顔料分散体(トーヨーカラー株式会社製、EMFピンク2B-1)5.5質量%、界面活性剤(ビックケミー社製、BYK-345)0.6質量%及び水14.7質量%となるように混合し、インク組成物を得た 。
[水性ポリウレタン分散体及びそのインク組成物の評価]
各実施例及び各比較例で得られた水性ポリウレタン分散体及びそのインク組成物を以下のようにして測定、評価した。
(分散性)
実施例S1~S9及び比較例S1、S2で得られた水性ポリウレタン分散体を目視で以下の通り評価した。
○:ウレタンプレポリマーが分散し、良好な水性ポリウレタン樹脂分散体が得られた。
△:ウレタンプレポリマーが分散し、水性ポリウレタン樹脂分散体が得られたが、一部凝集物が観察された。
×:ウレタンプレポリマーが分散せず、水性ポリウレタン樹脂分散体が得られなかった。
(臭気)
実施例S1~S9及び比較例S1、S2で得られた水性ポリウレタン樹脂分散体をサンプル瓶に蓋をし密封してから1時間以上静置した後、充填されたサンプル瓶の蓋を開封した際に感じる臭気の強さを以下の通り評価した。
〇:アミン臭を感じない。
△:わずかではあるがアミン臭を感じる。
×:アミン臭を感じる。
実施例E1、E2及び比較例E1~E4で得られたインク組成物を以下のようにして評価した。
(耐水摩擦性評価方法(1))
インク組成物を、市販のPETフィルムにバーコーター#10で塗布し、45℃で1分間乾燥させ、印刷物を作製した。得られた印刷物を、摩擦子にAATCC標準試験布を用い、摩擦子を水に浸し、塗膜表面を学振試験機(大平理化工業株式会社製)により、荷重400gで10往復させた。印刷物に傷が付いた往復回数から耐水摩擦性について評価した。評価基準は以下の通りである。
○;7往復以上で印刷物に傷が付いた。
△;4往復以上、7往復未満で印刷物に傷が付いた。
×;4往復未満で印刷物に傷が付いた。
実施例E1、E2及び比較例E1~E4で得られたインク組成物、有機溶媒の平均沸点及び耐水摩擦性評価(1)の結果を表2に示す。また、実施例E1~E2及び比較例E1~E4で使用した水性ポリウレタン樹脂分散体の分散性及び臭気の評価結果も表2に示す。
Figure 2022018689000008
実施例E3~E10で得られたインク組成物を以下のようにして評価した。
(耐水摩擦性評価方法(2))
インク組成物を、市販のPETフィルムにバーコーター#3で塗布し、45℃で5分間乾燥させ、印刷物を作製した。得られた印刷物を、摩擦子にAATCC標準試験布を用い、摩擦子を水に浸し、塗膜表面を学振試験機(大平理化工業株式会社製)により、荷重400gで10往復させた。印刷物に傷が付いた往復回数から耐水摩擦性について評価した。評価基準は以下の通りである。
◎;10往復しても傷が付かなかった。
○;6往復以上で印刷物に傷が付いた。
△;3往復以上、6往復未満で印刷物に傷が付いた。
×;3往復未満で印刷物に傷が付いた。
実施例E3~E10で評価したインク組成物及び耐水摩擦性評価(2)の結果を表3に示す。また、実施例E3~E10で使用した水性ポリウレタン樹脂分散体の分散性及び臭気の評価結果も表3に示す。
Figure 2022018689000009
実施例E1と比較例E1及びE2を比較すると、沸点が100℃以上150℃以下の中和剤を使用することで、臭気が低減され、且つ、耐水摩耗性の優れた水性ポリウレタン樹脂分散体が得られることが明らかとなった。また、実施例E2と比較例E3及びE4を比較すると、有機溶媒の平均沸点を180℃以下とすることで、耐水摩擦性の優れた水性ポリウレタン樹脂分散体が得られることが明らかとなった。
また、実施例E3~6を比較すると、鎖伸長剤にピペラジン化合物、ジヒドラジド化合物を使用することで、さらに分散性が優れた水性ポリウレタン分散体を得られることが明らかとなった。
また、実施例E4と実施例E7を比較すると、ポリウレタン樹脂の酸価を20~29mgKOH/gとすることで、さらに耐水摩擦性が優れた水性ポリウレタン樹脂分散体を得られることが明らかとなった。
また、実施例E8と実施例E9及びE10を比較すると、直鎖状及び/又は分岐状の脂肪族ポリオールを使用することで、さらに分散性が優れた水性ポリウレタン樹脂分散体を得られることが明らかとなった。
本発明によれば、水性ウレタン樹脂分散体の製造時及び使用時の作業環境をさらに改善させることができ、さらに十分耐水性及び分散性を有する水性ウレタン樹脂分散体を提供することができる。
本発明の水性ウレタン樹脂分散体は、塗料、コーティング剤又はインクとして使用することができる。

Claims (17)

  1. ポリオール化合物(Aa)、ポリイソシアネート化合物(Ab)、酸性基含有ポリオール化合物(Ac)、中和剤(Ad)及び鎖延長剤(Ae)由来の構成単位を有し、有機溶媒(Af)及び水(Ag)を含む、水性ポリウレタン樹脂分散体であって、
    中和剤(Ad)の沸点が100℃以上150℃以下であり、
    有機溶媒(Af)中の各有機溶媒の沸点Tn(℃)と、有機溶媒(Af)全量に占める各有機溶媒の質量の割合Rn(質量%)との積の総和として式:[Σ(Tn×Rn/100)]で求められる、有機溶媒(Af)の平均沸点が150℃以上180℃以下である、
    水性ポリウレタン樹脂分散体。
  2. 鎖延長剤(Ae)の融点が50℃以上である、請求項1記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  3. 鎖延長剤(Ae)が下記式(1)のピペラジン化合物又は下記式(2)のジヒドラジド化合物である、請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
    Figure 2022018689000010
    (式中、R、R、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素原子数1~4の直鎖状若しくは分岐状アルキル基である。)
    Figure 2022018689000011
    (式中、Zは炭素原子数1~6の直鎖状又は分岐状アルキレン基である。)
  4. ポリウレタン樹脂の酸価が18~35mgKOH/gである、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  5. ポリオール化合物(Aa)が、ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  6. ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)のポリオール成分が、直鎖状及び/又は分岐状の脂肪族ポリオールである、請求項5に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  7. ポリオール化合物(Aa)は、ポリカーボネートポリオール化合物(Aa1)及び酸性基含有ポリオール(Ac)以外の、その他のポリオール化合物(Aa2)を含む、請求項5又は6に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  8. 有機溶媒がジアルキレングリコールジアルキルエーテルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  9. 中和剤(Ad)が下記式(3)で示されるアミノアルコール化合物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
    Figure 2022018689000012
    (式中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1~4の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Zは炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。)
  10. ポリイソシアネート化合物(Ab)が脂肪族ポリイソシアネート化合物及び/又は脂環式ポリイソシアネート化合物である、請求項1~9のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  11. ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が50,000以上である、請求項1~10のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含む、水性ポリウレタン樹脂分散体組成物。
  13. アクリル樹脂エマルジョン、オレフィン樹脂エマルジョン及びポリエステル樹脂エマルジョンから選ばれる少なくとも1種をさらに含む、請求項12記載に水性ポリウレタン樹脂分散体組成物。
  14. 塗料、コーティング剤又はインク用の、請求項12又は13に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体組成物。
  15. (I)ポリオール化合物(Aa)、ポリイソシアネート化合物(Ab)及び酸性基含有ポリオール(Ac)を、有機溶媒の存在下で反応させてポリウレタンプレポリマーを得る工程、
    (II)前記ポリウレタンプレポリマーを水と混合する工程、
    (III)前記ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和剤(Ad)で中和する工程、及び
    (IV)前記ポリウレタンプレポリマーを鎖延長剤(Ae)で高分子量化する工程を含み、
    前記工程(III)で使用する中和剤(Ad)の沸点が100℃以上150℃以下であり、
    水性ポリウレタン樹脂分散体に含まれる有機溶媒(Af)中の各有機溶媒の沸点Tn(℃)と、有機溶媒(Af)全量に占める各有機溶媒の割合Rn(質量%)との積の総和として式:[Σ(Tn×Rn/100)]で求められる、有機溶媒(Af)の平均沸点が150℃以上180℃以下である、
    請求項1~11のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を製造する方法。
  16. 下記工程(V)をさらに含む、請求項15に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を製造する方法。
    (V)前記ポリウレタンプレポリマー又は前記水性ポリウレタン樹脂分散体と有機溶媒とを混合する工程。
  17. 請求項1~11のいずれか一項に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体から製造される、ポリウレタン樹脂フィルム。
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