JP2019059809A - 水性ポリウレタン樹脂分散体、その製造方法及びその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
前記(a)ポリオール由来の構造が、(a1)下記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造を有する、水性ポリウレタン樹脂分散体により、上記課題が解決することを見出し、本発明に至った。
前記(a)ポリオール由来の構造が、(a1)下記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造を有する、水性ポリウレタン樹脂分散体に関する。
本発明において、水性ポリウレタン樹脂分散体におけるポリオール由来の構造とは、ポリオールの分子構造のうち、ポリウレタン化反応に寄与する基以外の部分構造のことを示す。
また、本発明において、(a)ポリオール由来の構造は、(a1)下記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造を有する。
さらに、(a)ポリオール由来の構造は、(a1)下記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造と(c)酸性基含有ポリオール由来の構造とを除く(a2)その他のポリオール由来の構造を含んでも良い。
(a1)前記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造を有するポリカーボネートポリオールとしては、前記式(1)で示される繰り返し単位と、末端水酸基を有していればよく、その種類は、特に制限されず、複数種の構造を有してもよい。
(a1)前記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオールは、(a1)、あるいは、(a1)カーボネートポリオールとも記載されることがある。
ポリカーボネートポリオール中の繰り返し単位の構造は、ポリカーボネートポリオールを構成するモノマー由来の構造であり、全繰り返し単位数(前記式(1)中のmに該当)は、ポリカーボネートポリオールを構成するモノマーの数に相当する。
従って、ポリカーボネートポリオールに含まれるモノマーの数を測定することにより、全繰り返し単位数(全モノマーの合計モル数)、及び各々の繰り返し単位数(各々のモノマーのモル数)を算出することができる。
式(1)で示される繰り返し単位は、具体的には、例えば、ポリテトラメチレングリコールと炭酸エステルとの反応などにより構成される繰り返し単位である。
ポリカーボネートポリオール中の全繰り返し単位に対する式(1)で示される繰り返し単位の割合は、好ましくは10〜100モル%、さらに好ましくは50〜99.9モル%、特に好ましくは80〜99.8モル%である。
この範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンは、高い柔軟性(触感)を発現し、さらに良好なタックフリー性が得られる。
本発明の(a1)ポリカーボネートポリオールには、前記繰り返し単位の含有割合を満たしている限り、式(1)の繰り返し単位以外の繰り返し単位(以下、「その他の繰り返し単位」と称することもある)が含まれていてもよい。その他の繰り返し単位を構成するモノマー(その他のモノマー)としては、例えば、2−メチルー1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール(プロピレン基を主鎖とした場合、1−エチル−2−メチルプロパンジオールとも表記される)、1,4−ブタンジオール、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、3−オキサ−1,5−ペンタンジオール(ジエチレングリコール)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの炭素原子数2〜12のジオール;γ−ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどの、炭素原子数5〜12のラクトン;ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘキサン酸などの、炭素原子数5〜12のヒドロキシカルボン酸;ヒドロキシブタン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
その他の繰り返し単位は、モノマーの種類に応じて、前記式(1)の繰り返し単位において示した方法により、それらの繰り返し単位を形成させることができる。
ポリカーボネートポリオール中のその他の繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位から、式(1)の繰り返し単位の合計割合を引いた割合であり、好ましくは0.1〜50モル%である。
この範囲内にあることで、本発明の(a1)ポリカーボネートポリオールの機能を損なうことがない。
本発明の(a1)ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、目的に応じて適宜調整することができるが、好ましくは100〜5000、更に好ましくは200〜4000、より好ましくは300〜3000である。
この範囲とすることで、ポリカーボネートポリオールが取り扱い容易となるとともに、ポリカーボネートポリオールから誘導されたポリウレタンの低温特性がより良好となる。
本発明の(a1)ポリカーボネートポリオールの製造方法は、特に限定されないが、例えば、ポリテトラメチレングリコール(式(1)の構成成分)、並びにその他のモノマー(その他の繰り返し単位の構成成分)、炭酸エステル及び触媒を混合して、低沸点成分(例えば、副生するアルコールなど)を留去しながら、反応させるなどの方法によって好適に行われる。
なお、本発明の反応は、一旦、ポリカーボネートポリオールのプレポリマー(目的とするポリカーボネートポリオールより低分子量)を得た後、更に分子量を上げるためにプレポリマーを反応させるなど、反応を複数回に分けて行うこともできる。
前記その他のモノマーは、主原料となるポリテトラメチレングリコールに予め含有されていてもよい。
なお、(a1)ポリカーボネートポリオールは、複数種を併用してもよい。
本発明の反応において使用する炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチルなどの炭酸ジアルキル;炭酸ジフェニルなどの炭酸ジアリール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、トリメチレンカーボネート)、ブチレンカーボネート(4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラメチレンカーボネート)、5−メチル−1,3−ジオキサン−2−オンなどの環状カーボネートが挙げられるが、好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートが使用される。
なお、これらの炭酸エステルは、複数種を併用してもよい。
この範囲とすることで、十分な反応速度で、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
本発明の反応における反応温度は、炭酸エステルの種類に応じて適宜調整することができるが、好ましくは50〜250℃、更に好ましくは70〜230℃である。
また、本発明の反応における反応圧力は、低沸点成分を除去しながら反応させる態様となるような圧力ならば特に制限されず、好ましくは常圧又は減圧下で行われる。
この範囲とすることで、逐次反応や副反応が起こることなく、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
本発明の反応で使用する触媒として、公知のエステル交換触媒を使用することができ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、コバルト、ゲルマニウム、スズ、セリウムなどの金属、及びそれらの水酸化物、アルコキシド、カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、有機金属などが挙げられるが、好ましくは水素化ナトリウム、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズオキサイドが使用される。
なお、これらの触媒は、複数種を併用してもよい。
この範囲とすることで、後処理を煩雑とすることなく、効率良く目的とするポリカーボネートポリオールを得ることができる。
なお、当該触媒は、反応開始時に一括で使用しても、反応開始時、及び反応開始後に2回以上分割して使用(添加)してもよい。
(a)ポリオール由来の構造は、(a1)と(c)酸性基含有ポリオール以外の(a2)その他のポリオール由来の構造を含んでも良い。(a2)その他のポリオール由来の構造を有するポリオールとしては、例えば、高分子量ポリオール又は低分子量ポリオールを用いることができる。(a2)その他のポリオールは、1分子中に2つ以上の水酸基を有していれば、その種類は、特に制限されない。
本発明でいうポリカーボネートポリオールは、その分子中に、1分子中の平均のカーボネート結合の数と同じ又はそれ以下の数のエーテル結合やエステル結合を含有していてもよい。
本発明において、ポリイソシアネート由来の構造とは、ポリイソシアネートの分子構造のうち、ポリウレタン化反応に関与する基以外の部分構造のことを示す。
(b)ポリイソシアネート由来の構造を有するポリイソシアネートとしては、特に制限されないが、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。
本発明において、酸性基含有ポリオール由来の構造とは、酸性基含有ポリオールの分子構造のうち、ポリウレタン化反応に寄与する基以外の部分構造のことを示す。
(c)酸性基含有ポリオール由来の構造を有する酸性基含有ポリオールとしては、1分子中に2個以上の水酸基(フェノール性水酸基は除く)と、1個以上の酸性基を含有するものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。(c)酸性基含有ポリオールとして、1分子中に2個の水酸基と1個のカルボキシ基を有する化合物を含有するものが好ましい。(c)酸性基含有ポリオールは、複数種を併用してもよい。
各ポリオールの水酸基当量数=各ポリオールの分子量/各ポリオールの水酸基の数(フェノール性水酸基は除く)・・・(1)
ポリオールの合計の水酸基当量数=M/ポリオールの合計モル数・・・(2)
ポリウレタン樹脂(A)の場合、式(2)において、Mは、[〔(a)ポリオールの水酸基当量数×(a)ポリオールのモル数〕+〔(c)酸性基含有ポリオールの水酸基当量数×(c)酸性基含有ポリオールのモル数〕]を示す。
次に、水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法について説明する。水性ポリウレタン樹脂分散体の製造方法は、
前記(a)ポリオールと、前記(c)酸性基含有ポリオールを、前記(b)ポリイソシアネートと反応させて(A)ポリウレタンプレポリマーを得る工程(α)、
(A)ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する工程(β)、
(A)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させる工程(γ)、
(A)ポリウレタンプレポリマーと、(A)ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と反応性を有する(B)鎖延長剤とを反応させる工程(δ)を含む。
水性ポリウレタン樹脂分散体の製造において、前記工程(β)と、前記工程(γ)とは、どちらを先に行ってもよいし、同時に行うこともできる。前記工程(γ)と、前記工程(δ)は、同時に行ってもよい。更に、前記工程(β)と、前記工程(γ)と、前記工程(δ)は、同時に行ってもよい。
<<(A)ポリウレタンプレポリマー>>
(A)ポリウレタンプレポリマーは、少なくとも、前記(a)ポリオールと、前記(b)ポリイソシアネートと、前記(c)酸性基含有ポリオールとを反応させて得られる。前記(A)ポリウレタンプレポリマーは、末端停止剤を含んでもよい。
前記(a)ポリオールの割合を30質量部以上とすることで、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜の触感を良くすることができる傾向があり、90質量部以下とすることで、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体から得られる塗膜のタックフリー性がより向上する傾向がある。
前記(c)酸性基含有ポリオールの割合を0.5質量部以上とすることで、得られる水性ポリウレタン樹脂の水系媒体中への分散性が良好になる傾向があり、10質量部以下とすることで、得られる水性ポリウレタン樹脂分散体の乾燥性が高くなる傾向がある。また、水性ポリウレタン樹脂分散体を塗布して得た塗膜の耐水性を高くすることができ、得られる塗膜の触感も良好にすることができる傾向がある。
なお、本発明において、「(A)ポリウレタンプレポリマーの酸価」とは、(A)ポリウレタンプレポリマーを製造するにあたって用いられる溶媒及び前記(A)ポリウレタンプレポリマーを水系媒体中に分散させるための中和剤を除いたいわゆる固形分中の酸価である。
具体的には、(A)ポリウレタンプレポリマーの酸価は、下記式(3)によって導き出すことができる。
〔(A)ポリウレタンプレポリマーの酸価〕=〔((c)酸性基含有ポリオールのミリモル数)×((c)酸性基含有ポリオール1分子中の酸性基の数)〕×56.11/〔(a)ポリオール、(c)酸性基含有ポリオール及び(b)ポリイソシアネートの合計の質量〕・・・(3)
<中和剤>
(A)ポリウレタンプレポリマーを水中に分散するために、塩基性成分を(A)ポリウレタンプレポリマー溶液に添加し、(A)ポリウレタンポリプレマーに含まれる酸性基含有ポリオールを中和することができる。
前記(A)ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する工程(β)において使用できる中和剤には、当業者に公知の塩基を、特に制限されず使用することができる。中和剤としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ塩類、アンモニアが挙げられる。中でも、好ましくは有機アミン類を用いることができ、より好ましくは3級アミンを用いることができる。分散安定性が向上する点で、トリエチルアミンがより好ましい。ここで、(A)ポリウレタンプレポリマーの酸性基とは、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等をいう。
<水系媒体>
水性ポリウレタン樹脂分散体においては、ポリウレタン樹脂は水系媒体中に分散されている。前記水系媒体には、水と有機溶剤が含まれる。
前記水としては、例えば、上水、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。中でも入手の容易さや塩の影響で粒子が不安定になること等を考慮して、イオン交換水を用いることが好ましい。
また前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。
水性ポリウレタン樹脂分散体の製造では、分子量を増大させることを目的として、鎖延長剤を用いることができる。
(B)鎖延長剤の例としては、イソシアナト基と反応性を有する化合物が挙げられる。例えば、エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−ヘキサメチレンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミン、ピペラジン、アジポイルヒドラジド、ヒドラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール、ポリエチレングリコールに代表されるポリアルキレングリコール類、水が挙げられ、中でも好ましくは1級ジアミンが挙げられる。これらは、複数種を併用してもよい。
前記(a)ポリオールと、前記(c)酸性基含有ポリオールを、(b)ポリイソシアネートと反応させて(A)ポリウレタンプレポリマーを得る(工程(α));
次いで、前記(A)ポリウレタンプレポリマーの酸性基を中和する(工程(β))、
前記工程(β)で得られた溶液を水系媒体中に分散させる(工程(γ))、
分散媒中に分散した前記(A)ポリウレタンプレポリマーと、前記(A)ポリウレタンプレポリマーのイソシアナト基と反応性を有する(B)鎖延長剤とを反応させること(工程(δ))により、水性ポリウレタン樹脂分散体を得る。
本発明は、上記水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物にも関する。
本発明の塗料組成物、コーティング剤組成物及びインク組成物には、上記水性ポリウレタン樹脂分散体以外にも、他の樹脂を添加することもできる。他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらは、複数種を併用してもよい。他の樹脂は、1種以上の親水性基を有することが好ましい。親水性基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の水酸基価は、10〜300mgKOH/g程度が好ましく、50〜250mgKOH/g程度がより好ましく、80〜180mgKOH/g程度が更に好ましい。前記ポリエステル樹脂の酸価は、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、15〜100mgKOH/g程度がより好ましく、25〜60mgKOH/g程度が更に好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、500〜500,000が好ましく、1,000〜300,000がより好ましく、1,500〜200,000が更に好ましい。
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;これらのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
水酸基含有アクリル樹脂の水酸基価は、組成物の貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜100mgKOH/g程度がより好ましく、3〜60mgKOH/g程度が更に好ましい。
また、水酸基含有アクリル樹脂がカルボキシル基等の酸基を有する場合、該水酸基含有アクリル樹脂の酸価は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、1〜200mgKOH/g程度が好ましく、2〜150mgKOH/g程度がより好ましく、5〜100mgKOH/g程度が更に好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂の重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜100,000がより好ましく、更に好ましくは3,000〜50,000の範囲内であることが好適である。
オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン等のα−オレフィン;ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、スチレン類等の共役ジエン又は非共役ジエンが挙げられ、これらのモノマーは、複数種を併用してもよい。
オレフィン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸が挙げられ、これらのモノマーは、複数種を併用してもよい。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。これらは、複数種を併用してもよい。特に、着色顔料として、酸化チタン及び/又はカーボンブラックを使用することが好ましい。
体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトが挙げられる。これらは、単独であってもよいし、複数種を併用してもよい。特に、体質顔料として、硫酸バリウム及び/又はタルクを使用することが好ましく、硫酸バリウムを使用することがより好ましい。
光輝性顔料は、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を使用することができる。
本発明は、更に、上記水性ポリウレタン樹脂分散体から得られるポリウレタン樹脂フィルムにも関する。
攪拌機及び加熱器を備えた反応装置で、ポリカーボネートポリオール(宇部興産製エタナコール(登録商標)UT200;数平均分子量2000;水酸基価56.1mgKOH/g;ポリオールモノマーがポリテトラメチレングリコール(数平均分子量250)と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール、300.4g)と、酸性基含有ポリオールとして、2,2−ジメチロールプロピオン酸(15.77g)と、イソシアネートとして、イソホロンジイソシアネート(83.39g)とを、有機溶媒として、N―メチルピロリドン(134.25g)中、ジブチル錫ジラウリレート(0.3g)存在下、窒素雰囲気下で、80〜90℃で6時間加熱した。ウレタン化反応終了時のNCO基含量は、1.67質量%であった。反応混合物を80℃にした後、トリエチルアミン(11.9g)を加え、30分攪拌した。反応混合物のうち、517.2gを抜き出し、強攪拌しながら水(746.4g)に入れた後、鎖延長剤として、35%2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液(29.6g)を加え、水性ポリウレタン樹脂分散体を得た。
得られた水性ポリウレタン樹脂分散体50重量部、チタンペースト(酸化チタン粉末含量60%の水性ペースト)40重量部、顔料水分散体(トーヨーカラー株式会社製:EMF PINK 2B−1)5重量部、25%アンモニア水(和光純薬工業株式会社製)1重量部、及びアルカリ増粘剤(パラケムジャパン株式会社製:パラボンド10−N)3.5重量部を混合して、捺染用インクを得た。続いて、150メッシュのスクリーン及びウレタンゴムスキージを用いて、捺染用インクを白色の天竺綿ニット生地に2度印刷した。印刷物を150℃で2分間の条件で乾燥し、捺染物を得た。
実施例1のポリカーボネートポリール(宇部興産製エタナコール(登録商標)UT200;数平均分子量2000;水酸基価56.1mgKOH/g;ポリオールモノマーがポリテトラメチレングリコール(数平均分子量250)と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)の代わりに、ポリカーボネートポリール(宇部興産製エタナコール(登録商標)UH200;数平均分子量2000;水酸基価56.1mgKOH/g;ポリオールモノマーがヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)を使用した。
実施例1のポリカーボネートポリール(宇部興産製エタナコール(登録商標)UT200;数平均分子量2000;水酸基価56.1mgKOH/g;ポリオールモノマーがポリテトラメチレングリコール(数平均分子量250)と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)の代わりに、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学株式会社製;PTMG:数平均分子量2000;水酸基価56.1mgKOH/g)を使用した。
実施例1のポリカーボネートポリール(宇部興産製エタナコール(登録商標)UT200;数平均分子量2000;水酸基価56.1mgKOH/g;ポリオールモノマーがポリテトラメチレングリコール(数平均分子量250)と炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)の代わりに、ポリカーボネートポリール(宇部興産製エタナコール(登録商標)UH200;数平均分子量2000;水酸基価56.1mgKOH/g;ポリオールモノマーがヘキサンジオールと炭酸エステルとを反応させて得られたポリカーボネートジオール)と、ポリテトラメチレングリコール(三菱化学株式会社製;PTMG:数平均分子量2000;水酸基価56.1mgKOH/g)を表に示す質量%で使用した。
捺染物を指先でつまみながら柔軟性を評価した。良好な柔軟性のものを○、柔軟性に乏しく硬いものを×とした。
捺染インクの印刷物を引っ張った際に、印刷膜が割れないものと○、割れるものを×とした。
捺染物の端を捺染面同士が内側になる様に折り返し、指先で荷重をかけ、3秒間押付けた。荷重を取り除いた後、全く張り付かないものを◎、ほとんど張り付かないものを○、若干張り付くものを×とした。
[フィルムの作成方法]
前記実施例1、比較例1〜3の各水性ポリウレタン樹脂分散体をガラス板上に乾燥後の膜厚が約0.08mmになるように均一に塗布した。次いで、80℃にて2時間、更に120℃にて2時間乾燥した後、得られたポリウレタン樹脂フィルムをガラス板より剥離して以下の評価に供した。
[ヒステリシスロスの測定]
JIS K 7113に準じた方法で引張伸度が200%となるまで前記ポリウレタン樹脂フィルムを伸長させた。その後、その後、同試験片を元の伸度まで戻そうとしたときの伸度の変化と引張応力を測定した。ヒステリシスロスは、特開2016−204595号記載の方法で算出した。数字が小さいほど、ヒステリシスロスが小さく、高いストレッチバック性を有することを示す。
Claims (7)
- (a)ポリオール由来の構造と、(b)ポリイソシアネート由来の構造と、(c)酸性基含有ポリオール由来の構造とを有する水性ポリウレタン樹脂分散体において、
前記(a)ポリオール由来の構造は、(a1)下記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール由来の構造を有する、水性ポリウレタン樹脂分散体。
- 前記(a)中の前記(a1)の割合が、10〜100質量%である請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、塗料組成物。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、コーティング剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を含有する、インク組成物。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を乾燥及び硬化させて得られる、ポリウレタン樹脂フィルム。
- 請求項1又は2に記載の水性ポリウレタン樹脂分散体を原料とする、繊維処理剤。
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